(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】歯間クリーナ
(51)【国際特許分類】
A61C 15/02 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
A61C15/02 501
(21)【出願番号】P 2020549699
(86)(22)【出願日】2019-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2019000062
(87)【国際公開番号】W WO2019174782
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】102018002147.6
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518375339
【氏名又は名称】サンスター スイス エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ,ユルゲン
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0113743(US,A1)
【文献】特開2017-118959(JP,A)
【文献】特開2009-056254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(L)に沿って延在する、プラスチック材料からなる棒状支持体(11)を備える歯間クリーナ(10)であって、
前記棒状支持体(11)は、その前端部に、柔軟で弾性を有するプラスチック材料からなるカバー(13)の形態を有する清掃部(12)を備え、
軸方向において前記前端部に対向する、前記
棒状支持体(11)の後端部に柄部(16)が配置され、
前記
棒状支持体(11)は前記清掃部(12)外に変形部(18)を有し、前記変形部(18)が、
前記歯間クリーナ(10)が、その軸方向後端部から10mmの距離(a)で、前記柄部(16)の領域において、前記
棒状支持体(11)の前記長手方向軸(L)に対して垂直に、挟持面(E)における挟持手段(19)を用いて固く挟持され、
前記挟持面(E)から前記清掃部(12)までの、前記歯間クリーナ(10)の、カンチレバ部長さ(b)を有するカンチレバ部(20)が、同一の軸方向長さ(l
i)を有する複数のセクション(d
i)に区分され、各セクション(d
i)は、前記柄部(16)に対向する始点(a
i)と前記清掃部(12)に対向する終点(e
i)を有し、
前記歯間クリーナ(10)が、荷重作用点P
Fにおいて、前記
棒状支持体(11)の前記長手方向軸(L)に対して垂直に8mmの長さ(d)だけ弾性的に撓むように、外力(F)が前記歯間クリーナ(10)にその軸方向前端部から7mmの距離(c)で作用し、
変形した前記歯間クリーナ(10)において、前記セクション(d
i)の各始点及び終点(a
i、e
i)について、前記歯間クリーナ(10)の前記長手方向軸(L)に沿うx座標と、前記外力(F)の作用方向のy座標とが決定され、
各セクション(d
i)について、その始点(a
i)とその終点(e
i)の、x座標とy座標に基づいて、前記始点(a
i)と前記終点(e
i)とを通って延在するセクション線(ag
i)が算出さ
れ、
隣接するセクション線(ag
i
)がなす各々の小さい方の交差角度(α)が度単位で算出される、
という条件下で
、前記棒状支持体(11)の残りの連結領域(17)より大きな変形を示し、
その場合、3本のセクション線(ag
i
)を構成する隣接する2組の2本のセクション線(ag
i
)がなす各々の小さい方の交差角度(α)の双方は、他の残りのセクション線(ag
i)の最大交差角度(α)よりも少なくとも50%だけ大き
く、
前記カンチレバ部(20)内の前記変形部(18)は最小曲げ剛性を有し、前記変形部(18)の前記曲げ剛性は、低減された曲げ剛性を有する材料を少なくとも部分的に使用することにより、実現される、
歯間クリーナ。
【請求項2】
前記各々の小さい方の前記交差角度(α)
の双方は、他の残りのセクション線(ag
i)の最大交差角度(α)よりも少なくとも80%だけ大きいことを特徴とする請求項1に記載の歯間クリーナ。
【請求項3】
前記各々の小さい方の前記交差角度(α)
の双方は、他の残りのセクション線(ag
i)の最大交差角度(α)よりも少なくとも100%だけ大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の歯間クリーナ。
【請求項4】
前記各々の小さい方の前記交差角度(α)
の双方は、他の残りのセクション線(ag
i)の最大交差角度(α)よりも少なくとも200%だけ大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項5】
前記挟持面(E)から前記清掃部(12)までの、前記歯間クリーナ(10)の前記カンチレバ部(20)は、同一の軸方向長さ(l
i)を有する少なくとも10個のセクション(d
i)に区分されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項6】
前記挟持面(E)から前記清掃部(12)までの、前記歯間クリーナ(10)の前記カンチレバ部(20)は、同一の軸方向長さ(l
i)を有する少なくとも15個のセクション(d
i)に区分されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項7】
前記柄部(16)は少なくとも部分的に板状に構成され、前記外力(F)の荷重作用方向が前記柄部(16)の板面に対して垂直に方向付けられることを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【請求項8】
前記変形部(18)は少なくとも部分的に板状に構成され、前記外力(F)の荷重作用方向が前記変形部(18)の板面に対して垂直に方向付けられることを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の歯間クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長手方向軸に沿って延在する、プラスチック材料からなる棒状支持体を備え、棒状支持体は、その前端部に、柔軟で弾性を有するプラスチック材料からなるカバーの形態を有する清掃部を備え、軸方向において前端部に対向する、支持体の後端部に柄部が配置される、歯間クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
このような歯間クリーナは、爪楊枝とも称され、例えば特許文献1から知られている。そこに記載されている歯間クリーナは、寸法安定性を有するプラスチックからなる棒状支持体を備え、その後端部には連結領域を介して柄部が一体的に形成されている。その前側の、柄部から反対側の端部領域において、支持体には、柔軟で弾性を有するカバーが設けられ、カバーは、半径方向に突出する構造要素で形成されてよく、清掃部を構成する。歯間スペースを清掃するために、使用者は歯間クリーナを柄部で把持し、支持体の前端部、従って清掃部を歯間スペースに挿入し、歯間クリーナを前後に移動させる。
【0003】
同様の歯間クリーナは、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5及び特許文献6からも知られている。
【0004】
清掃作用は、使用者が歯間スペース内での歯間クリーナの扱い方に本質的に依存することが明らかになっている。ここで、歯間クリーナの方向付けは、清掃すべき歯間スペースに対して柄部を使用者がどのように配置するかによってほぼ決定される。支持体は一定の弾性を有しており、弾性的に変形可能であるが、歯間スペース内で清掃部を特に傾斜させることが必要な場合、これは、使用者がそれに応じて歯間クリーナ全体を傾斜させて方向付けすることによってのみ達成することができることであり、場合によっては達成が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第0932371号明細書
【文献】独国特許出願公開第102012015664号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013010782号明細書
【文献】独国特許出願公開第102016005012号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3245977号明細書
【文献】国際公開第2017/104784号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、歯間スペース内での清掃部の可変的な位置決めを可能にする、上記の種類の歯間クリーナを達成するという課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1に記載の特徴を有する歯間クリーナにより解決される。この歯間クリーナは、長手方向軸に沿って延在する、プラスチック材料からなる棒状支持体を備え、棒状支持体は、その前端部に、柔軟で弾性を有するプラスチック材料からなるカバーの形態を有する清掃部を備え、軸方向において前端部に対向する、支持体の後端部に柄部が配置され、支持体は清掃部外に変形部を有し、変形部が、
歯間クリーナが、その軸方向後端部から10mmの距離で、柄部の領域において、支持体の長手方向軸に対して垂直に、挟持面における挟持手段を用いて固く挟持され、
挟持面から清掃部までの、歯間クリーナの、カンチレバ部長さを有するカンチレバ部が、同一の軸方向長さを有する少なくとも8つのセクションに区分され、各セクションは、柄部に対向する始点と清掃部に対向する終点を有し、
歯間クリーナが、荷重作用点PFにおいて、支持体の長手方向軸に対して垂直に8mmの距離だけ弾性的に撓むように、外力が歯間クリーナにその軸方向前端部から7mmの距離で作用し、
変形した歯間クリーナにおいて、セクションの各始点及び終点について、歯間クリーナの長手方向軸に沿うx座標と、外力の作用方向のy座標とが決定され、
各セクションについて、その始点とその終点の、x座標とy座標に基づいて、セクション各々の始点と終点とを通って延在するセクション線が算出される、
という条件下でより大きな変形を示し、
隣接するセクション線がなす各々の小さい方の交差角度が度単位で算出され、その場合、2本又は3本のセクション線による交差角度は、他の残りのセクション線の最大交差角度よりも少なくとも50%だけ大きい。
【0008】
本発明に係る歯間クリーナの曲げ挙動を、制御して再現可能に定めることができるように、本発明は必然的に上記構成を必要とする。これにより、歯間スペースの清掃時にも生じるような、歯間クリーナの曲げ挙動や変形をシミュレーションすることができる。
【0009】
本発明は、従来技術の公知の歯間クリーナの場合、使用時の変形が、支持体の軸方向長さ全体に拡散し、それにより歯間クリーナの不利な湾曲やそれに起因して生じる材料応力を引き起こすという、根本的な考慮事項に基づいている。支持体の変形部の剛性を好適に変化させることより、歯間クリーナの略全ての(弾性)変形が変形部の領域で起こる。これにより、支持体の他の領域には、はるかに僅少な荷重がかかることになる。より低い剛性を有する変形部の位置においては、生じる荷重を確実に受けるために好適に措置を講じることができる。
【0010】
歯間クリーナを挟持するための挟持手段は、挟持の際に互いに向かって移動し、これにより歯間クリーナをそれらの間で、その長手方向軸に対して垂直に固く挟持する、2つの互いに対向して配置される側面部を有してよい。従って、挟持面は支持体の長手方向軸に対して垂直である。好ましくは、挟持手段は、歯間クリーナを、各方向においてその長手方向軸に対して垂直に強固に挟持するように構成される。
【0011】
本発明に係る歯間クリーナのカンチレバ部は、挟持面から清掃部の開始点まで延在する、歯間クリーナのその領域として定義される。従って、清掃部はカンチレバ部の一部ではない。
【0012】
好ましくは、セクションにおけるカンチレバ部の区分は、1つのセクションの終点が次の隣接セクションの始点と一致するようになっている。有利な構成において、セクションは各々、軸方向の伸長が制限されているものの変形を局所的により良好に除去することができるように、最大2mm、特に最大1mmの軸方向長さを有する。
【0013】
好ましくは、外力は、その使用時の歯間クリーナの変形挙動を模倣するために、清掃部に作用する。特に、外力は清掃部の軸方向中央に作用する。
【0014】
セクションの始点と終点のx座標とy座標は、例えば光学測定方法を用いて、例えば、カメラ又は測定用投影機を用いて決定することができる。この場合、x軸は支持体の長手方向軸と一致し、y軸は外力の作用方向に対して平行に方向付けられる。x軸及びy軸に関して広がる2次元平面は、従って挟持面に対して垂直である。
【0015】
始点aa(xa/ya)及び終点ee(xe/ye)を有するセクションのセクション線を、線形方程式に基づいて求める。この線形方程式により、2つの与えられた点に関して両点を通って延在する、一意に定まる直線を算出する。ここで、点(xag/yag)を有するセクション線は以下の式による。
yag=((ye-ya)/(xe-xa))xag+(yaxe-yexa)/(xe-xa)
【0016】
この式は、yag=magxag+y0;agと一般形でも表され、ここでmagはセクション線の傾きを示し、y0;agはセクション線のy軸切片を示す。yagとxagは、セクション線のy座標とx座標である。
【0017】
本発明によれば、交差角度は、常に2つの隣接するセクションに基づいて算出される。傾きmag1とmag2を有する2本の隣接するセクション線がなす交差角度αは次のように定められる。
α=arctan(|(mag1-mag2)/(1+(mag1・mag2))|)
【0018】
角度表記は常に度(°)の単位で示される。本発明に係る交差角度は、常に90°未満のその交差角度であり、隣接するセクションに基づいて算出される。小さい方の交差角度と大きい方の交差角度は、常に合計180°である。本発明において、交差角度が、外力の作用方向における、関連するセクションの湾曲と合致する場合、交差角度は正である。従って、湾曲が外力の作用方向に逆らう場合、交差角度は負である。交差角度が丁度0である場合、セクション間の相対的な湾曲は存在しない。
【0019】
好ましくは、2本又は3本のセクション線による交差角度は、他の残りのセクション線の最大交差角度よりも少なくとも80%、特に少なくとも100%、好ましくは200%だけ大きい。
【0020】
本発明に係るさらなる形態において、互いに連続する2本又は3本のセクション線による交差角度は、他の残りのセクション線の最大交差角度よりも少なくとも50%だけ大きい。本発明において、互いに連続するセクション線とは、互いに隣接するセクション線である。
【0021】
支持体は柄部と一体的に構成することができ、それにより歯間クリーナを容易に製造可能である。あるいは、支持体は柄部と形状嵌合及び/又は圧力嵌合で連結可能であるため、柄部の材料は、支持体の材料とは独立して、取扱性の観点から選択可能である。
【0022】
好ましくは、挟持面から清掃部までの、歯間クリーナのカンチレバ部は、同一の軸方向長さを有する、少なくとも10個、特に少なくとも15個又は20個、最大で好ましくは少なくとも30個のセクションに区分される。
【0023】
カンチレバ部内の変形部が支持体全体における最小曲げ剛性を有してよいため、好適にこの位置において、使用時の歯間クリーナの最大変形が生じる。これにより、歯間クリーナの残り部分の材料にかかる荷重は低減され、その結果、歯間クリーナの寿命が長くなる。
【0024】
特に、変形部の低減された曲げ剛性は、断面薄肉部により、及び/又は低減された曲げ剛性を有する材料を少なくとも箇所に応じて使用することにより、及び/又は変形部の幾何学的形状により達成される。
【0025】
本発明に係る1つの形態において、柄部は少なくとも部分的に板状に構成され、外力の荷重作用方向が柄部の板面に対して垂直に方向付けられる。柄部は、本形態において把持と取扱いがより容易である。歯間クリーナを使用する場合、外力は清掃部の板面に対して特に垂直に方向付けられることが想定されているため、この方向において変化した剛性は特に有利に働く。
【0026】
変形部は少なくとも部分的に板状に構成され、外力の荷重作用方向が変形部の板面に対して垂直に方向付けられて構成されてよい。これにより、変形部の剛性が低減される方向を好適に定めることができる。特に、この構成は、板状の柄部と組み合わせることができ、その結果、柄部及び変形部の板面が互いに平行に方向付けられる。これにより、歯間スペースを清掃する際の歯間クリーナの変形特性が最適化される。
【0027】
本発明のさらなる有利な点及び特徴は、特許請求の範囲及び以下の発明の詳細な説明から見出され、発明の詳細な説明において、本発明の実施形態例を図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明に係る歯間クリーナを概略平面図で示す。
【
図2】
図2は、挟持状態における
図1の歯間クリーナを側面図で示す。
【
図3】
図3は、区分されたカンチレバ部を有する
図2の歯間クリーナを側面図で示す。
【
図5】
図5は、撓んだ状態における
図2及び3の歯間クリーナを示す。
【
図6】
図6は、
図5の撓んだ歯間クリーナ及び撓んだ状態の従来技術による歯間クリーナを示す。
【
図7】
図7は、交差角度を算出するための、
図6の歯間クリーナの一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、第1プラスチック材料からなる棒状支持体11を備える、本発明に係る歯間クリーナ10を概略平面図で示す。支持体11は、
図1に示されるように水平方向に延在する、
図1に破線で示される長手方向軸Lに沿って延在する。
図1において左側のその前端部に、支持体11は、柔軟で弾性を有するプラスチック材料からなるカバー13の形態を有する清掃部12を備える。一般に、複数の半径方向に突出するフィンガー及び/又は毛部がカバー13に配置されるが、これらは明確であるので図示しない。本発明において半径方向は、支持体11の長手方向軸Lに対して垂直である。フィンガー及び/又は毛部は、歯間スペースを清掃するために供される。
【0030】
カバー13に対向する、支持体11の後端部には、板状の柄部16が配置され、板面は紙面に対して平行である。使用者は柄部16を一般に親指と人差し指との間で把持し、板状構成により容易な取り扱いが可能になり、歯間クリーナ10の望ましくない回転が防止される。
【0031】
歯間クリーナ10は長手方向において、柄部16の軸方向後端部と一致するその軸方向後端部14と、カバー13の軸方向前端部と一致するその軸方向前端部15とにより画定される。
【0032】
柄部16とカバー13との間に、支持体11は、軸方向前端部15の方向に先細りする台形状の構成を有する。
【0033】
柄部16に対向するセクションにおいて又は清掃部12外に、支持体11は、歯間クリーナ10の曲げ挙動に好適に作用するために、支持体11の残りの連結領域17と比較して著しく剛性が低い変形部18を有する。図示の実施形態例において、変形部は、柄部16が支持体11に移行する台形状の領域に位置する。変形部18とは対照的に、支持体11の残りの連結領域17の剛性は、清掃部12に向かって先細りする構成のため、僅かにしか変化しない。
【0034】
図1の実施形態例において、変形部18のより低い剛性は、変形部18が支持体11の残りの連結領域17とは異なる材料からなることにより達成される。その追加又は代替として、変形部18の断面は清掃部12に向かって漸減し、このことによっても剛性が低減される。材料の選択と断面の漸減は、本発明においては互いに独立して、又は互いに組み合わせても構成することができる。追加又は代替として、例えば、変形部18の幾何学的形状の特別な構成等、他の作用構成も可能である。
【0035】
歯間クリーナ10の剛性と、所定の荷重下でのその変形挙動との評価には、
図2において側面図で示す構造が適している。歯間クリーナ10は、挟持手段19を用いて固く挟持される。挟持手段19は、例えば、それらの間において歯間クリーナ10を収容して挟持面E内で挟持する、2つの互いに対向する側面部を有する挟持部材である。
図2に示すように、挟持面Eは、支持体11の長手方向軸Lに対して垂直であり、歯間クリーナ10とその軸方向後端部14から10mmの距離aで交差する。
【0036】
挟持手段19から自由に突出する、歯間クリーナ10の、挟持面Eと清掃部12との間の部分は、軸方向のカンチレバ部長さbを有するカンチレバ部20を形成する。変形部18は
図2においてハッチングで示され、カンチレバ部20の一部である。清掃部12は、カンチレバ部の一部ではない。
【0037】
挟持された歯間クリーナ10のカンチレバ部20は、
図3おいては、同一の軸方向長さl
iを有する11個のセクションd
iに区分されており、自然数である添字iが対応するセクションに用いられている(
図4)。ここで、セクションd
1は常に挟持面Eに最も近いセクションd
1である。それに続いて、挟持面Eとの距離の増加に伴い番号付けが行われる。従って、セクションd
11が清掃部12と最も近い。
【0038】
各セクションd
iは、柄部16に対向する始点a
iと清掃部12に対向する終点e
iを有する(
図4)。2つの隣接するセクションd
i、d
i+1において、セクションd
iの軸方向後側の終点e
iは、セクションd
i+1の軸方向前側の始点a
i+1と一致する。
【0039】
歯間クリーナ10の軸方向前端部15から7mmの距離cで、外力Fは、清掃部12の荷重作用点P
Fにおいて(
図2及び3)、荷重作用点P
Fが支持体11の長手方向軸Lに対して垂直に8mmの距離dだけ弾性的に撓むように、支持体11の長手方向軸Lに対して垂直に下方に作用する。歯間クリーナ10は、外力Fの作用下で
図5に示す湾曲形状をとる。
図5から、歯間クリーナ10の変形の圧倒的大部分が変形部18の領域で生じる一方で、支持体11の残りの連結領域17は僅かにしか湾曲しないか、略直線のままであることが分かる。
【0040】
各セクションdiについて、その始点aiとその終点eiが各々決定される。点は、割り当てられたx座標及びy座標からなり、x軸は支持体11の長手方向軸Lと一致し、y軸は外力Fの作用方向に対して平行に方向付けられる。座標は、例えば、100μm、好ましくは10μmのサイズで座標を決定できる、十分に高い解像度を有するカメラを用いて決定される。
【0041】
その後、各セクションdiについて、セクションdiの始点aiと終点eiとを通って延在する、セクションdiに関するセクション線agiが算出される。各セクションdiについて、セクション線agiは、以下により一意に決定される。
yag;i=((ye;i-ya;i)/(xe;i-xa;i))xag;i+(ya;ixe;i-ye;ixa;i)/(xe;i-xa;i)
ここで、xag;1とyag;1は、セクション線agiのx座標とy座標を示す。このことは、同様に、始点ai(xa;1/ya;1)及び終点ei(xe;i/ye;i)についても当てはまる。ここで、セクション線agiは、セクションdiの始点ai及び終点eiを通って延在する。
【0042】
セクション線の別の表記:yag;1=mag;ixag;1+y0;ag;iから、セクション線agiの傾きmag;iは明らかである。ここで、mag;i=(ye;i-ya;i)/(xe:i-xa;i)である。
【0043】
その後、2本の隣接するセクションd
i、d
i+1と、セクション線ag
i、ag
i+1各々の対応する傾きm
ag;i、m
ag;i+1について、交差角度αが以下により算出される。
α=arctan(|(m
ag;i-m
ag;i+1)/(1+(m
ag;i・m
agi+1))|)
このことは、
図7からも理解できる。
【0044】
交差角度αは、セクションdi内のカンチレバ部20の湾曲挙動を特徴付けるものであり、本発明においてカンチレバ部20が外力Fの方向に湾曲する場合には正である。交差角度αは、湾曲が外力Fの方向の反対方向の場合には負である。交差角度αは、セクションdiに湾曲がない場合には丁度0である。
【0045】
図5から、第2領域d
2及び第3領域d
3が残りの領域よりも著しく大きい湾曲を有することが分かる。従って、それと関連する交差角度αは、残りのセクションd
iの最大交差角度αよりも大幅に大きく、このことは、本発明においては、2つの最大交差角度αが、残りのセクションd
iの最大交差角度α、言い換えれば次に最も大きい交差角度よりも少なくとも50%だけ大きいことを意味する。
【0046】
図6において、変形した状態の本発明に係る歯間クリーナ10が実線で示されている。比較のため、変形した状態の従来技術による公知の歯間クリーナ21が破線で示されている。本発明に係る歯間クリーナ10とは対照的に、公知の歯間クリーナ21は連続的な湾曲挙動を有し、略直線的に延在する領域が完全に欠如している。この変形挙動により、公知の歯間クリーナ21の支持体全体が湾曲し、これによりその性能特性が著しく低下する。公知の歯間クリーナ21の交差角度αの中で、上記のような、残りのセクションd
iの最大交差角度αよりも少なくとも50%だけ大きいものはない。