(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】物体の角度放射とスペクトル放射を同時に測定できるようにする光学装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/14 20060101AFI20230904BHJP
G01J 3/50 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G01J3/14
G01J3/50
(21)【出願番号】P 2020552876
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 FR2019050742
(87)【国際公開番号】W WO2019186082
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-25
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500489635
【氏名又は名称】エルディム
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ラルー,ティエリー
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-516522(JP,A)
【文献】特表2013-501930(JP,A)
【文献】特開平10-062303(JP,A)
【文献】Pierre Boher and Thierry Leroux,30 years of viewing angle measurement instruments at ELDIM,Conference Paper [online],2018年01月02日,[2023年1月12日検索], インターネット,<URL:https://www.researchgate.net/profile/Pierre-Boher/publication/322203403_30_years_of_viewing_angle_measurement_instruments_at_ELDIM/links/5a4b576ba6fdcce19721b96c/30-years-of-viewing-angle-measurement-instruments-at-ELDIM.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01M 11/00 - G01N 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体(1)の測定域(2)のスペクトル放射の空間分布を測定するためのシステム(100)であって、前記システムの光軸に沿って順に、
-所定のフーリエ面(Sf1)上に像を形成する第1のフーリエ対物レンズ(202)であって、前記所定のフーリエ面(Sf1)上の各点は、1つの特定の波長について前記物体の放射方向に対応する、前記第1のフーリエ対物レンズ(202)、
-前記物体(1)の前記スペクトル放射の1つの特定の方位に対応する前記第1の対物レンズによって形成される前記像の一部を選択するための
選択手段(204)であって、前記選択手段は、前記所定のフーリエ面に応じて決定される選択面を有する、前記選択手段(204)、
-前記選択手段(204)の後ろに配置され、前記測定域と光学的に共役な像平面を作るために前記第1のフーリエ対物レンズと協働する、第2のフーリエ対物レンズ(206)、
-前記測定域が絞り(208)を通して観測されるときに、前記測定域が
見かけ上の面を有し、前記第1の対物レンズ及び前記第2の対物レンズが前記システムの前記光軸を形成する共通の光軸を有するように、この共役な像平面上に位置する、前記絞り(208)、及び、
-前記選択手段から来る光
を分散させる、光分散手段(210)、
-前記絞り(208)の後ろに位置し、前記第1のフーリエ面(Sf1)が
第2のフーリエ平面(Sf2)上に結像できるようにする、第3のフーリエ対物レンズ(212)、
-この第2のフーリエ平面(Sf2)上に配置されたイメージングセンサ(302)であって、分散光が受光できるようにし、前記選択手段(204)によって選択された1つの特定の方位から来る光のスペクトル応答及び角度応答が決定できるようにする、前記イメージングセンサ(302)、
を備え、
-前記選択手段(
204)は、前記物体のスペクトル放射の1つの特定の方位を選択するように、前記所定のフーリエ面(Sf1)上に配置されており、
-光分散手段(210)は、前記絞り(208)
の後ろに隣接して位置している、
ことを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記絞り(208)は、円形の開口部を有する、
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記
光分散手段
(210)は、
光を一方向に分散させ、分散された光線を前記システムの前記光軸に集めるように配置されたプリズム
によって形成され、前記絞りは、
伝送網に
近接してこの
システムに組み込まれている、
請求項
1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムの前記光軸の周りで、前記選択手段(204)と前記光分散手段(210)とを同時に回転させる手段を備える、
請求項
1-3のいずれか
1項に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステム(100)によって物体(1)の測定域(2)のスペクトル放射の空間分布を測定するための方法であって、前記方法は、
前記物体(1)の前記スペクトル放射の1つの特定の方位に対応する前記第1の対物レンズによって形成される前記像の一部を選択する工程と、
前記選択手段から来る光を分散させる工程と、
前記選択手段(204)によって選択された1つの特定の方位から来る光のスペクトル応答及び角度応答を決定する工程と、を包含することを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、物体の角度分布及びスペクトル分布を同時に測定することができるようにする測定装置に関する。当該測定装置は、液晶スクリーン、プラズマスクリーン、エレクトロルミネセンスクリーン、又は他の種類のスクリーン等の放射スクリーン、並びに照明装置等の物体に適用される。
【0002】
〔従来の技術〕
様々な物体による光の放射又は反射の比色特性を測定するための幾つかの技術が既知である。
【0003】
本件に関しては、以下の文書を参照されたい:
[1]EP 0 286 529 B1、
[2]FR 2 729 220 A、
[3]FR 2 749 388 A、
[4]FR 2 800 163 A1、
[5]“Viewing angle spectral analysis of OLED display light emission properties,”
Pierre Boher, Thierry Leroux, Thibault.
Bignon, Veronique Collomb-Patton, IDW, ISSN 1883-2490/21/0641, 641 (2014)、
[6]“New multispectral Fourier optics viewing angle instrument for full characterization of LCDs and their components,” Pierre Boher, Thierry Leroux, Thibault. Bignon, David Glinel, SID08, ISSN 008-0966X/08/3903, 1571 (2008)。
【0004】
参照文献[1]に記載されているような、測定される物体の周りで光度計を動かすことからなる電気機械技術は、サンプリングによって実行されるため、非常に遅い。観察される各方向には、機械的なシステムの動きと特別な測定とが必要である。しかし、それらは、光度計を分光光度計に置き換えれば、選択された方向における良質なスペクトル測定ができるため、まだ使用されている。
【0005】
観測方向に基づいて色を測定するために、イメージングセンサと関連するフーリエ光学系を用いることからなる技術が非常に広く用いられている。これは参考文献[3]に記載されている。このシステムの原理を、本出願の
図1に示す。このシステムは、物体1の区域から放射された光を集光して焦点面3上の各観測方向に再集光できるように、フーリエ対物レンズ2を用いることからなる。この面は、視野レンズ4及び伝達対物レンズ(transfer objective)6を用いて二次元センサ8上に再結像される。視野レンズ4と伝達対物レンズ6との間に配置され、物体1上の測定域と光学的に共役な絞り5により、測定域の見かけ上のサイズが観測方向に関係無く定義できるようになる。検出器の近くに配置されたフィルタ7により、システムによって分析される光を選択し、色を測定できるようになる。
【0006】
放射される光の色を、波長におけるその分布を知らずに測定することには、難点があることがある。比色測定の精度は通常、波長の分布が分かっていれば、より良好である。ある場合には、スペクトル依存性により、観測された比色シフトの原因を推定することができる。これは、文献[5]にて説明されているように、エレクトロルミネセンススクリーンの場合である。結局、本来は放射性ではない面における反射率測定では、照明に使用される光源のスペクトルと、面で反射した後のスペクトルの変化とを知る必要がある。
【0007】
放射性物体の角度依存性及びスペクトル依存性を同時に測定することの可能性は、フーリエ光学系を用いて既に商業的に実行されている[6]。スペクトル依存性は、着色フィルタ(
図1の要素7)の代わりに、イメージングセンサの前に順に配置された一連のショートパス干渉フィルタによって測定される。しかし、フィルタの数は制限され(可視領域400nm~700nmにわたって31個のフィルタが分布している)、それらの帯域幅は10nmのオーダーである。したがって、光度測定に必要な分解能は少なくとも4nmであるのに対して、スペクトル分解能は制限される。さらに、スペクトルシグネチャを得るために必要とされる31回の一連の測定は、比較的長い時間を要する。
【0008】
フーリエ光学系と組み合わせたイメージング分光計の使用も、本出願人によって特許となっている[4]。このシステムの原理を
図2a及び
図2bに示す。光学要素は、検出部を除いて、参考文献[3]に記載され、
図1にて示される従来のフーリエシステムで使用されるものと同様である。イメージングセンサ8は、システムの光軸が通り、1つの特定の方位を選択するスリット9によって置き換えられる。スペクトル解析は、分散要素10、伝達光学系11及び11b、並びにスリットの反対側に配置されたイメージングセンサ8から構成されている画像分光器を用いて行われる。この解決手法は、いくつかの欠点を有する。それは、追加の光学系を必要とするため、実行が複雑である。さらに、システムの位置合わせを成すことは非常に困難である。問題の光学系は、選択スリット9の前に位置するフーリエ光学系全体と同様に、無色でなければならず、このことは実用上の実現にあたって著しい光学的制約をもたらす。
【0009】
本発明の特定の目的の1つは、上述の欠点を完全に、又は部分的に克服することであり、特に、十分なスペクトル分解能及び非常に短い測定時間で1つの特定の方位に沿って角度測定及びスペクトル測定を行えるようにする、最小限の数の構成要素を有する装置を提案することである。
【0010】
〔発明の説明〕
本発明の第1の態様によれば、物体の測定域のスペクトル放射の空間分布を測定するためのシステムが提案され、当該システムは、
-所定のフーリエ面上に像を形成する第1のフーリエ対物レンズであって、前記所定のフーリエ面上の各点は、1つの特定の波長について前記物体の放射方向に対応する、前記第1のフーリエ対物レンズ、
-前記物体の前記スペクトル放射の1つの特定の方位に対応する前記第1の対物レンズによって形成される前記像の一部を選択するための手段であって、前記選択手段は、前記所定のフーリエ面に応じて決定される選択面を有する、前記選択手段、
-前記選択手段の後ろに配置され、前記測定域と光学的に共役な像平面を作るために前記第1のフーリエ対物レンズと協働する、第2のフーリエ対物レンズ、
-前記測定域が絞りを通して観測されるときに、前記測定域が前記方向にほとんど関係無い見かけ上の面を有し、前記第1の対物レンズ及び前記第2の対物レンズが前記システムの前記光軸を形成する共通の光軸を有するように、この共役な像平面上に位置する、前記絞り、
-前記選択手段から来る光が前記絞りに向けて分散できるようにする、又は前記絞りにできるだけ近接できるようにする、光分散手段、
-前記絞りの後ろに位置し、前記第1のフーリエ面がフーリエ平面上に結像できるようにする、第3のフーリエ対物レンズ、
-この第2のフーリエ平面上に配置されたイメージングセンサであって、分散光が受光できるようにし、前記第1のフーリエ面上に位置する前記選択手段によって選択された1つの特定の方位から来る光のスペクトル応答及び角度応答が決定できるようにする、前記イメージングセンサ、
を備える。
【0011】
本発明によれば、前記第1の対物レンズは、所定のフーリエ面(平坦ではない)上に像を形成し、前記所定のフーリエ面上の各点は、1つの特定の波長について前記物体の放射方向に対応し、前記選択手段は、前記所定のフーリエ面に応じて決定される選択面を有し、前記選択手段は、前記所定のフーリエ面上に配置される。
【0012】
また、前記光分散手段は、前記絞りの近傍に位置している。
【0013】
前記絞りは、観測方向にほとんど関係無い見かけ上の面を有する物体上の測定域を定義できるようにし、したがって、広い観測角度においても、最適な集光を保証する。
【0014】
有利には、前記絞りは、円形の開口部を有してもよい。
【0015】
光分散要素は、前記絞りの前に、又は直接前記絞り上に配置することができる。
【0016】
光分散要素は、選択方向に垂直な方向に光を分散させることができる。
【0017】
一実施形態によれば、前記分散手段は、プリズムと、伝送網と、光を一方向に分散させ、分散された光線を前記システムの前記光軸に合わせるように配置されたプリズムと、の組合せによって形成されてもよく、前記絞りは、前記伝送網にできるだけ近接するようにこの装置に組み込まれている。
【0018】
また、本発明によるシステムは、前記システムの前記光軸の周りで、前記選択手段と前記光分散手段とを同時に回転させる手段を備えてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、システムによって物体の測定域のスペクトル放射の空間分布を測定するための方法が提案され、前記システムは、
-所定のフーリエ面上に像を形成する第1のフーリエ対物レンズであって、前記所定のフーリエ面上の各点は、1つの特定の波長について前記物体の放射方向に対応する、前記第1のフーリエ対物レンズ、
-前記第1の対物レンズによって形成される像の一部を選択するための手段、
-前記選択手段の後ろに配置され、前記測定域と光学的に共役な像平面を作るために前記第1のフーリエ対物レンズと協働する、第2の対物フーリエレンズ、
-前記測定域が絞りを通して観測されるときに、前記測定域が前記方向にほとんど関係無い見かけ上の面を有し、前記第1の対物レンズ及び前記第2の対物レンズが前記システムの前記光軸を形成する共通の光軸を有するように、この共役な像平面上に位置する、前記絞り、
-前記絞りの近傍に位置し、前記選択手段から来る光が分散できるようにする、光分散手段、
-前記絞りの後ろに位置し、前記第1のフーリエ面がフーリエ平面上に結像できるようにする、第3のフーリエ対物レンズ、
-この第2のフーリエ平面上に配置されたイメージングセンサであって、分散光が受光できるようにし、前記選択手段によって選択された1つの特定の方位から来る光のスペクトル応答及び角度応答が決定できるようにする、前記イメージングセンサ、
を備える。
【0020】
本発明による方法は、以下の工程を含む:
-所定のフーリエ面(平坦ではない)を決定する工程であって、前記所定のフーリエ面上の各点は、1つの特定の波長について前記物体の放射方向に対応する、工程、
-前記第1の対物レンズによって、前記所定のフーリエ面上に像を形成する工程、
-前記所定のフーリエ面に応じて決定される選択面を有し、前記所定のフーリエ面上に配置される選択手段によって、選択する工程。
【0021】
〔図面の説明〕
本発明のさらなる利点及び特徴は、添付の図面を参照して、決して限定的ではない実行及び実施形態に関する以下の詳細な説明から、明らかになるのであろう:
図1は、従来技術によるシステムの概略図を表す;
図2は、従来技術によるシステムの概略図を表す;
図3は、本発明によるシステムの概略図を表す;
図4は、本発明によるシステムのフーリエ光学系の実施形態、及び前記光学系に関連する選択手段を表す;
図5は、フーリエ面における、
図4に表されるフーリエ光学系の横方向色収差の影響の概略図である。
【0022】
〔実施形態の説明〕
以下に記載される実施形態は決して限定するものではないので、記載される特性の選択のみを含むものとして本発明の変形形態を考慮することが、特性のこの選択が技術的利点を付与するために十分であるか、又は本発明を従来技術から区別するために十分である場合には、特に可能である。この選択は、少なくとも1つの特徴、好ましくは機能的特徴を含み、構造的詳細は含まないか、又は技術的利点を付与するために、若しくは本発明を従来技術から区別するためにその一部のみで十分である場合には、構造的詳細の一部分のみを含む。
【0023】
図3aは、本発明によるシステムの観測平面における、
-測定域2のスペクトル放射の空間分布が測定される、物体1、
-観測平面による本発明によるシステム100であって、当該観測平面は、システム100の光軸と測定域
2の観測方向とによって決定される、システム100、
を表す。
【0024】
システム100は、
-結像部200、
-検出部300、
を備える。
【0025】
結像部は、第1の収束対物レンズ202;選択スリット204;第2の収束対物レンズ206;絞り208;絞り208のできるだけ近接して配置され、1つの特定の方位から来る選択スリット204によって選択された光が分散できるようにする、光分散手段210;及び第3の対物レンズ212;を備える。
【0026】
分析中の物体1の面は、第1の対物レンズ202の焦点平面に配置される。
【0027】
測定域2及び第1の対物レンズ202は、フーリエ面と呼ばれる平坦ではない面Sf1を、測定域2からの任意のビームがこの面上に収束するように、定義する。
【0028】
本発明によれば、選択スリット204(
図4Aにおいてより明確に示される)は、所定の面Sf1に応じて決定され、面Sf1上に配置される。
【0029】
検討中の実施形態では、不透明材料に形成されたスリットが使用され、システムの光軸と一致する回転軸を有する面上に配置される。スリットは、1つの特定の方位を選択できるようにする。
【0030】
第2の対物レンズ206は、第1の対物レンズ202と絞り208との間に配置され、第1の対物レンズ202の光軸と一致する光軸を有し、システムの光軸を定義する。
【0031】
また、第2の対物レンズ206は、絞り208の開口部が第1の対物レンズ及び第2の対物レンズによって測定域2と光学的に共役になるように配置される。
【0032】
測定域2は、絞り208を通して観測されるときに、観測方向に関係無い見かけ上の面を有する。
【0033】
光分散手段210は、プリズムと、伝送網と、選択スリット204に垂直な方向に光を分散させ、分散された光線をシステムの光軸に集めることができるようにするプリズムと、を組み合わせて備える。
【0034】
絞り208は、伝送網にできるだけ近接して、この装置に組み込まれる。
【0035】
これらの分散手段は、第3の対物レンズ212の前に配置されている。
【0036】
第3の対物レンズ212は、絞り208と検出部300との間で、その光軸がシステム100の光軸と一致するように、配置される。第3の対物レンズ212はまた、対物レンズ206によってフーリエ面Sf1が第2のフーリエ平面Sf2上に再結像されるように、配置される。
【0037】
分散要素としての光分散手段210及び伝達光学系としての第3の対物レンズ212は、従来技術によるものよりもはるかに単純な画像分光器として機能する。
【0038】
図3bは、直線分析部に垂直な面、すなわち分散平面内における、
図3aの装置100の概略図である。
【0039】
検出部300は、第2のフーリエ平面Sf2上に配置され、分散光が受光できるようにし、選択スリット204によって選択された1つの特定の方位から来る光のスペクトル応答及び角度応答が決定できるようにする、イメージングセンサ302を備える。
【0040】
イメージングセンサ302は、二次元センサ(例えば、光検出器のマトリクス又はCCDを備える)であり、選択手段の所与の位置について、一方では、同一方向において角度シータに依存する光強度を、他方では、垂直方向において波長に依存する光強度を分析できるようにする。有利には、このセンサは、その軸がこれらの2つの方向に対応するように、配置される。
【0041】
図4aは、3つのレンズを含むフーリエ光学系
としての第1の対物レンズ202の一実施形態を示す。様々な角度の光ビームは、これらの3つのレンズを通過することによって、次第に光軸の方向に向けられる。フーリエ面Sf1は、平面ではなく、むしろ回転対称な面である。
【0042】
1つの方位を選択する
選択スリット204は、
図4bに示すように、回転物体上に生成される。
【0043】
図5aは、フーリエ面Sfにおける、フーリエ光学系
としての第1の対物レンズ202の横方向色収差の影響の概略図である。
【0044】
物体1上に集光角度θで集光された所与の光ビームに対して、各波長λは、システムの光軸から多少離れた点に収束される。
図5は特に、k
Rθ
1、k
vθ
1、及びk
Bθ
1の3つの異なる波長に対して、この影響を、集光角θ
1に対して示している。
【0045】
この影響は、通常、角度θが増加することにつれて、ますます大きくなる。
【0046】
イメージングセンサ302上のピクセル/ペア対応(θ、λ)を較正することによってこの影響を考慮することは、
図5bにおいて提案されているように達成することができる。
【0047】
好ましい実施形態では、視野レンズは、選択スリットから来る特定の方向各々に対して、絞り208上に準平行ビームを生成する。これは、これらのレンズの設計上の制約がフーリエ平面全体を分析する従来のフーリエシステム(参考文献[3]及び
図1)よりも少ないため、技術的に可能である。実際、従来のフーリエシステムは、完全に色収差が無しでなければならず、波長が何であっても、1つの特定の放射方向はイメージングセンサの面上の同じ点に収束しなければならない。これは、従来のシステムでは、視野レンズ4及び伝達光学系7によってフーリエ光学系2の不可避の色収差を補正することによって、達成される。
【0048】
これは、本発明の装置には当てはまらない。実際、フーリエ光学系
としての第1の対物レンズ202の設計上の制約は軽減される:必要なことは、関与するスペクトル範囲(典型的には可視範囲)において、縦方向色収差が最小であることだけである。実際、物体上に集光された光ビームの様々なスペクトル成分は、フーリエ面を構成する同じ焦点面Sf1上に完全に集束されなければならない。対照的に、
図5a及び
図5bに示すように、横方向色収差は問題を生じない。実際、物体1の同じ角度から来る光ビームは、容易にフーリエ面の異なる点に収束され得る。これは、3つの異なる入射角から来る赤色(R)、緑色(V)及び青色(b)のビームについての
図4aの詳細を図示する
図5aに、概略的に示されている。さらなるスペクトル分散によって寄与を分離することができるので、物体1の面上の同じ入射角からくるビームの位置は、大きな欠点無しに異なり得る。これは、単に、
図5bに示されるように、分析される様々な波長に対するイメージングセンサ上のピクセル/角度対応の異なる校正をもたらす。
【0049】
スペクトル分析は、システムの特定の要素を同時に回転させる手段を加えることによって、他の方位に拡張することができる。選択要素としての選択スリット204及び光分散要素としての光分散手段210は、回転固定方式で取り付けることができる。したがって、スキャニングによって分析域全体を再構成することが可能である。実際、選択スリット204及び分散素子としての光分散手段210がシステムの光軸の周りで同時に回転される場合、当該2つの要素の各位置に対するピクセル/角度及び波長依存性が正しく較正されていれば、一連の方位全体のリアルタイムスペクトル分析を達成することが連続的に可能である。したがって、放射性物体の開口角度全体のスペクトル分析を、高速かつ高角度分解能で達成することができる。
【0050】
明らかに、本発明は、説明されたばかりの実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱すること無しに、これらの実施形態に多くの変形を行うことができる。さらに、本発明の異なる特徴、形式、変形、及び実施成形は、それらが互いに矛盾が無く、又は互いに排他的でないと限りで、異なる組み合わせにしたがって互いに関連付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、従来技術によるシステムの概略図を表す。
【
図2】
図2は、従来技術によるシステムの概略図を表す。
【
図3】
図3は、本発明によるシステムの概略図を表す。
【
図4】
図4は、本発明によるシステムのフーリエ光学系の実施形態、及び前記光学系に関連する選択手段を表す。
【
図5】
図5は、フーリエ面における、
図4に表されるフーリエ光学系の横方向色収差の影響の概略図である。