(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】撮影装置、制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20230904BHJP
B60R 1/24 20220101ALI20230904BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230904BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20230904BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20230904BHJP
H04N 25/44 20230101ALI20230904BHJP
【FI】
H04N23/60
B60R1/24
G03B15/00 V
H04N7/18 J
H04N23/60 500
H04N23/63
H04N25/44
(21)【出願番号】P 2020553781
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2019041037
(87)【国際公開番号】W WO2020090512
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018204836
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019039216
(32)【優先日】2019-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山中 剛
(72)【発明者】
【氏名】湯川 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 卓也
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/187811(WO,A1)
【文献】特開2018-012439(JP,A)
【文献】特開2006-254318(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012299(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
B60R 1/24
G03B 15/00
H04N 7/18
H04N 23/63
H04N 25/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサと、
前記車両で取得される車両情報に基づいて、前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する制御部と
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は前記傾き情報に応じて、前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読出しを制御する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記車両の前側及び後ろ側への傾きを表す前記傾き情報を検出する
請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記車両の左側及び右側への傾きを表す前記傾き情報を検出する
請求項2に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記車両の前側及び後ろ側への傾きと、前記車両の左側及び右側への傾きとを表す前記傾き情報を検出する
請求項2に記載の撮影装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記イメージセンサにおいて前記第1の画像と前記第2の画像がそれぞれ読み出される読み出し位置を制御する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項7】
前記読み出し位置は、前記イメージセンサにおいて前記第1の画像と前記第2の画像のそれぞれの読み出しが開始される読み出し開始位置と、前記イメージセンサにおいて読み出される前記第1の画像と前記第2の画像のそれぞれのサイズとで指定される
請求項6に記載の撮影装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部に表示される画像に写る路面の比率が所定の比率に維持されるように、前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項9】
前記イメージセンサから読み出された前記第1の画像と前記第2の画像の回転、及び、回転後の画像からの、前記表示部に表示する前記第1の画像と前記第2の画像の切り出しを行う加工部をさらに備える
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項10】
前記制御部は
、前記第1の画像と前記第2の画像の回転を制御する
請求項9に記載の撮影装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記車両の傾き情報に応じて、前記画像の回転の回転角度を算出し、その回転角度だけ、前記第1の画像と前記第2の画像を回転させるように、前記第1の画像と前記第2の画像の回転を制御する
請求項10に記載の撮影装置。
【請求項12】
前記車両情報は、前記車両が有するジャイロから得られるジャイロ情報、前記車両のサスペンションに関するサスペンション情報、前記車両の前方を撮影するフロントカメラから得られるフロントカメラ画像、及び、GPSから得られるGPS情報のうちの1以上である
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項13】
前記第1の表示部は、クラスIミラーの代替となる表示部である
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項14】
車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する制御ステップを備える
制御方法。
【請求項15】
車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する制御部
として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項16】
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出ステップをさらに備え、
前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読出しの制御は前記傾き情報に応じてなされる
ことを特徴とする請求項14に記載の制御方法。
【請求項17】
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出部として、さらにコンピュータを機能させるプログラムであり、
前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読出しの制御は前記傾き情報に応じてなされる
ことを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項18】
前記車両情報は、前記車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項19】
前記車両情報は、前記車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
請求項14に記載の制御方法。
【請求項20】
前記車両情報は、前記車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
請求項15に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮影装置、制御方法、及び、プログラムに関し、特に、例えば、車両の運転に適切な画像を容易に提供することができるようにする撮影装置、制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車等の車両については、車両の後部に、撮影装置としてのカメラを設置し、そのカメラで撮影された車両の後方が写る画像を表示するビューイングシステムが提案されている。
【0003】
ビューイングシステムが提供する、車両の後方が写る画像としては、車両の後部の直後より後方が写る画像や、車両の後部の直後が写る画像がある。
【0004】
ここで、車両の後部の直後より後方が写る画像は、例えば、いわゆる室内バックミラー(ルームミラー)と呼ばれるクラスIミラーに写る画像に相当する画像であり、以下、BM(Back Mirror)画像ともいう。また、車両の後部の直後が写る画像は、車両の後部とその直後とが写る画像であり、以下、RV(Rear View)画像ともいう。
【0005】
車両が坂道にさしかかった場合、その他、凹凸がある路面を走行している場合、車両は傾く。また、車両に積載する荷物や、車両の搭乗者の状態によっても、車両は傾くことがある。
【0006】
車両が傾くと、車両に設置されているカメラも傾き、これにより、BM画像に写る空や道路等の比率(割合)が、車両が傾いていない場合の状態から変化する。
【0007】
車両が傾いていない場合に、車両の運転に適切なBM画像が表示されるように、ビューイングシステムが調整されているときには、車両の傾きに起因して、BM画像に写る空や道路等の比率が変化すると、車両の運転に適切なBM画像が表示されなくなることがある。
【0008】
例えば、車両が平坦な路面を走行している場合には、車両の後方から接近してくる他の車両や、車両の後方にある障害物等を運転者が十分に認識することができるBM画像が表示されていたが、車両が傾くと、BM画像において、そのような他の車両や障害物を運転者が認識するのに必要な情報が少なくなることがある。
【0009】
そこで、例えば、坂道走行時に、カメラで撮影した撮影画像を後段の記憶装置に記憶させ、記憶装置に記憶された撮影画像から、必要な画像を切り出す技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
記憶装置に記憶された撮影画像から、必要な画像を切り出す場合には、必要な画像のサイズ(画素数)を大きく超えるサイズの撮影画像を、カメラから読み出す必要がある。カメラから読み出す撮影画像のサイズが大きいことは、フレームレートの低下の原因となる。
【0012】
また、カメラの後段の記憶装置に記憶された撮影画像から必要な画像を切り出す技術以外にも、車両の運転に適切な画像を容易に提供することができる技術の提案が要請されている。
【0013】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、車両の運転に適切な画像を容易に提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本技術の撮影装置は、車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサと、前記車両で取得される車両情報に基づいて、前記イメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する制御部とを備える撮影装置である。
【0015】
本技術の制御方法、または、プログラムは、車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しを制御する制御ステップを備える制御方法、又は、そのような制御を行う制御部として、コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0016】
本技術の撮影装置、制御方法、及び、プログラムにおいては、車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の第1の表示部に表示される第1の画像と第2の表示部に表示される第2の画像を撮影するイメージセンサからの前記第1の画像と前記第2の画像の読み出しが制御される。
【0017】
なお、撮影装置は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【0018】
また、プログラムは、伝送媒体を介して伝送することにより、又は、記録媒体に記録して、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本技術を適用したビューイングシステムが搭載された車両10の外観構成例を示す斜視図である。
【
図2】車両10の車内の構成例を示す斜視図である。
【
図3】車両10に搭載されたビューイングシステムの第1の構成例を示すブロック図である。
【
図4】制御部43による、撮影画像からの読み出し画像としてのBM画像及びRV画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【
図5】車両10の状態とBM画像との関係の第1の例を説明する図である。
【
図6】制御部43による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【
図7】イメージセンサ32の構成例を示す図である。
【
図8】ビューイングシステムの第1の構成例が行うBM画像及を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【
図9】車両10に搭載されたビューイングシステムの第2の構成例を示すブロック図である。
【
図10】車両10の状態とBM画像との関係の第2の例を説明する図である。
【
図11】制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【
図12】制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例をさらに説明する図である。
【
図13】ビューイングシステムの第2の構成例が行うBM画像及を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【
図14】車両10に搭載されたビューイングシステムの第3の構成例を示すブロック図である。
【
図15】制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【
図16】ビューイングシステムの第3の構成例が行うBM画像及を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【
図17】車両10に搭載されたビューイングシステムの第4の構成例を示すブロック図である。
【
図18】イメージセンサ32から出力することができる画像の例を説明する図である。
【
図19】車両10でデータ伝送に使用することができる車両伝送帯域の例を説明する図である。
【
図20】制御部136によるBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御の第1の例を説明する図である。
【
図21】制御部136によるBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御の第2の例を説明する図である。
【
図22】ビューイングシステムが行うBM画像及びRV画像を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【
図23】車両10に搭載されたビューイングシステムの第5の構成例を示すブロック図である。
【
図24】制御部181による、撮影画像からのBM画像及びRV画像の抽出制御の例を説明する図である。
【
図25】ビューイングシステムが行うBM画像及びRV画像を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【
図26】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<ビューイングシステムを搭載した車両の構成例>
【0021】
図1は、本技術を適用したビューイングシステムが搭載された車両10の外観構成例を示す斜視図である。
【0022】
例えば、(四輪)自動車である車両10には、後部に、車両10の後方を撮影する撮影装置としての1台のカメラユニット11が設置されている。
図1では、カメラユニット11は、車両10のリアガラスの上部に設置されている。
【0023】
カメラユニット11は、BM画像となる範囲と、RV画像となる範囲との両方が写る画像を一つの画像として撮影することができるように、広角(例えば、画角が120度以上)のカメラユニットになっている。さらに、カメラユニット11は、BM画像において、遠方の被写体が明確に写るように、高解像度(例えば、解像度が4K以上)のカメラユニットになっている。したがって、カメラユニット11は、広角かつ高解像度の画像を撮影することができる。
【0024】
なお、カメラユニット11では、後述するように、カメラユニット11において撮影される画像(以下、撮影画像ともいう)から、BM画像及びRV画像が抽出される。
【0025】
BM画像には、車両10に室内バックミラー(ルームミラー。国際連合欧州経済委員会〈UN/ECE〉が定めるRegulation No.46におけるクラスIミラー)が設置されていたならば、その室内バックミラーで観察することができる、車両10の後部の直後より後方の様子の画像が含まれるように、かつ、RV画像には、車両10の後部とその(後部の)直後の様子の画像が含まれて写るように、カメラユニット11は、光軸の向きが調整されて設置される。
【0026】
したがって、BM画像は、車両10に室内バックミラーが設置されていたならば、その室内バックミラーで観察することができる、車両10の後部の直後より後方の様子が写る画像である。また、RV画像は、車両10の後部とその直後の様子とが写る画像である。RV画像には、室内バックミラーでは死角となる車両10の後部の直後が写るので、RV画像は、車両10の後進時に、特に有用である。また、RV画像は、車両10を上部から見たような俯瞰画像の生成に用いることができる。
【0027】
なお、上述のようなBM画像及びRV画像を抽出することができる撮影画像を撮影することができれば、カメラユニット11を設置する位置は、車両10のリアガラスの上部に限定されるものではない。例えば、カメラユニット11は、車両10のリアガラスの上部の他、車両10の後部のナンバープレートの上部の位置P11等に設置することができる。
【0028】
図2は、
図1の車両10の車内の構成例を示す斜視図である。
【0029】
車両10の車内の室内バックミラーが設置される位置には、BM画像を表示するBM表示部21が設けられている。BM表示部21は、室内バックミラーの代替となる表示部である。
【0030】
車両10の車内のダッシュボードの中央の位置には、RV画像を表示するRV表示部22が設けられている。
【0031】
なお、車両10の車内のダッシュボードの運転席側には、運転者を撮影する車内カメラ23が設けられている。車内カメラ23では、運転者を撮影し、その運転者が写る画像が出力される。車両10では、運転者が写る画像から、運転者の視線や頭部の位置が検出される。
【0032】
ここで、運転者を撮影する車内カメラ23は、ダッシュボード以外の任意の位置、例えば、BM表示部21の上部の位置P21等に設けることができる。
【0033】
<ビューイングシステムの第1の構成例>
【0034】
図3は、車両10に搭載されたビューイングシステムの第1の構成例を示すブロック図である。
【0035】
ビューイングシステムは、
図1及び
図2で説明したカメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有する。
【0036】
カメラユニット11は、光学系31、イメージセンサ32、出力部33、取得部41、検出部42、及び、制御部43を有する。
【0037】
光学系31は、集光レンズや絞り等の光学部品で構成され、光学系31に入射する光を、イメージセンサ32に集光させる。
【0038】
イメージセンサ32は、光学系31からの光を受光し、光電変換を行うことで、BM画像やRV画像となる画像を含む撮影画像を撮影する。そして、イメージセンサ32は、制御部43の制御に従い、撮影画像から、BM画像及びRV画像(となる画像)を読み出して出力する。ここで、イメージセンサ32が撮影画像から読み出して出力する画像を読み出し画像ともいう。イメージセンサ32が出力する読み出し画像は、出力部33に供給される。
【0039】
出力部33は、イメージセンサ32からの読み出し画像としてのBM画像及びRV画像を、カメラユニット11の外部に伝送する出力IF(Interface)であり、BM画像を、BM表示部21に伝送するとともに、RV画像を、RV表示部22に伝送する。BM表示部21では、出力部33からのBM画像が、BM表示部21の仕様に従って表示され、RV表示部22では、出力部33からのRV画像が、RV表示部22の仕様に従って表示される。出力部33は、BM画像及びRV画像のフォーマット変換その他の画像処理を、必要に応じて行うことができる。
【0040】
取得部41は、車両10で取得される車両情報を、車両10から、車両10に構築されたネットワーク(車両情報ネットワーク)を介して取得(受信)し、検出部42に供給する。
【0041】
ここで、車両情報とは、例えば、車両10が有するジャイロから得られるジャイロ情報、車両10のサスペンションに関するサスペンション情報、車両10の前方を撮影するフロントカメラから得られるフロントカメラ画像、及び、GPS(Global Positioning System)から得られるGPS情報、車両10の車速や走行方向(前進又は後進)等の走行状態を表す走行情報、車内カメラ23で撮影された画像から求められる車両10の運転者の視線及び頭部の位置、車両10が有するナビゲーションシステムで使用される3D(Dimension)マップ、ADAS(Advanced Driving Assist System)/ 自動運転システムで使用される高精細度マップ等の、車両10で取得することができるあらゆる情報を含む。車速としては、例えば、車両10が速度センサを搭載している場合には、その速度センサが出力する速度情報を採用することができる。走行方向としては、例えば、トランスミッションの状態を表すギア情報を採用することができる。
【0042】
取得部41は、必要に応じて1以上の車両情報を取得し、検出部42に供給する。
【0043】
ビューイングシステムの第1の構成例では、取得部41は、車両情報としての、例えば、ジャイロ情報、又は、GPS情報及び3Dマップ(高精細度マップ)を取得し、検出部42に供給する。
【0044】
検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、車両10の傾きを表す傾き情報を検出(算出)し、制御部43に供給する。
【0045】
制御部43は、車両情報に基づいて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。
【0046】
例えば、制御部43は、検出部42が車両情報から検出する傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。
【0047】
すなわち、制御部43は、検出部42から供給される傾き情報に応じて、イメージセンサ32で撮影された撮影画像から、読み出し画像として読み出しが開始される画像の読み出し開始位置を算出するとともに、読み出し画像のサイズ(画素数)を設定し、その読み出し開始位置とサイズとで指定される読み出し位置を、イメージセンサ32に供給することで、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する読み出し制御を行う。
【0048】
イメージセンサ32は、制御部43からの読み出し位置の画素の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を出力する。
【0049】
なお、読み出し位置は、読み出し開始位置とサイズとで指定する他、例えば、読み出し開始位置と、読み出し画像の読み出しを終了する読み出し終了位置とで指定することができる。
【0050】
ここで、ビューイングシステムの第1の構成例では、イメージセンサ32が出力する読み出し画像は、BM表示部21で表示されるBM画像や、RV表示部22で表示されるRV画像に一致する。したがって、ビューイングシステムの第1の構成例では、読み出し画像のサイズとしては、BM表示部21で表示されるBM画像や、RV表示部22で表示されるRV画像が設定される。
【0051】
<撮影画像からの読み出し画像の読み出し制御>
【0052】
図4は、制御部43による、撮影画像からの読み出し画像としてのBM画像及びRV画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【0053】
光学系31と、イメージセンサ32が撮影する撮影画像とは、例えば、
図4に示すように、撮影画像(イメージセンサ32の受光面)が光学系31(を構成するレンズ)のイメージサークルを包含するような位置関係になっている。
【0054】
制御部43は、読み出し制御において、撮影画像から、車両10の後部の直後より後方が写る所定の領域(車両10に室内バックミラーが設置されていたならば、その室内バックミラーで観察される領域)R11を、BM画像として抽出するように、イメージセンサ32からの画素信号の読み出しを制御する。つまり、表示デバイスや、画像表示機能の種類(/アプリケーション)に応じて、イメージセンサ32からの画素信号の読出しを制御する。
【0055】
さらに、制御部43は、読み出し制御において、読み出し画像の読み出し位置を、イメージセンサ32に供給することにより、撮影画像(のうちのイメージサークル内の画像)から、車両10の後部と、その直後とが写る所定の領域R12を、RV画像として抽出するように、イメージセンサ32からの画素信号の読み出しを制御する。
【0056】
イメージセンサ32は、制御部43の制御に従い、撮影により得られた撮影画像から、BM画像(の画素値)となる領域R11の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を出力するとともに、RV画像となる領域R12の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を出力する。
【0057】
領域R11及びR12は、制御部43からイメージセンサ32に供給される読み出し画像の読み出し位置によって指定される。
【0058】
なお、制御部43は、読み出し画像としてのBM画像の読み出し制御において、車両情報に含まれる運転者の視線及び頭部の位置等にも応じて、BM画像として抽出する領域R11を指定する読み出し位置を算出することができる。
【0059】
すなわち、仮に、車両10に、バックミラーが設置されていたならば、運転者が視線や頭部を移動すると、バックミラーによって運転者が見ることができる画像に写る範囲が変化する。車両10にバックミラーが設置されている場合に観察することができる画像と同様の範囲が写るBM画像を、運転者が見ることができるように、制御部43は、読み出し画像としてのBM画像の読み出し制御において、運転者の視線や頭部の位置にも応じて、BM画像として抽出する領域R11を指定する読み出し位置を算出することができる。
【0060】
以下では、説明を簡単にするため、RV画像については、説明を省略する。
【0061】
<車両10の状態とBM画像との関係>
【0062】
図5は、車両10の状態とBM画像との関係の第1の例を説明する図である。
図5(A1)は車両10が平坦な路面を走行している場合の車両10の状態を示す図である。また、
図5(A2)は、車両10が平坦な路面を走行している場合のBM画像例である。
図5(B1)は車両10が下り坂に差しかかった場合の車両10の状態を示す図である。また、
図5(B2)は、車両10が下り坂に差しかかった場合のBM画像例である。
図5(C1)は車両10が上り坂に差しかかった場合の車両10の状態を示す図である。また、
図5(C2)は、車両10が上り坂に差しかかった場合のBM画像例である。
【0063】
いま、BM画像に写る3次元空間の範囲を、BM範囲ということとする。また、以下では、説明を簡単にするため、運転者の視線及び頭部の位置は固定されているとする。したがって、撮影画像からBM画像として抽出される領域R11(の位置)、ひいては、BM範囲に関して、運転者が視線や頭部の位置を動かすことに起因する変化はないこととする。
【0064】
さらに、制御部43において、車両10が平坦な路面に位置している場合(車両10が傾いていない場合)に、
図5に示すように、車両10から所定の距離だけ後方に位置する後方車両が、ほぼ画面中央に写るBM画像が抽出されるように、読み出し制御、すなわち、読み出し位置(読み出し開始位置及びサイズ)の算出が行われることとする。
【0065】
この場合、車両10が下り坂にさしかかると、車両10がピッチ方向としての前側に傾き、車両10の後部に設置されたカメラユニット11の光軸、ひいては、BM範囲が、車両10が平坦な路面に位置している場合よりも上側(空側)に傾く(
図5(B1),
図5(B2))。
【0066】
その結果、車両10が平坦な路面に位置している状態(平坦な路面を走行している場合)ではBM画像のほぼ画面中央に車両10から所定の距離だけ後方にある後方車両が写るようなカメラ設定の場合、車両10が下り坂にさしかかった状態では、車両10から所定の距離だけ後方にある後方車両が、画面下方に写るBM画像が得られる。このBM画像は、
図5に示すように、車両10が平坦な路面に位置している状態のBM画像に比較して、空(が写る領域)の比率が大きく、かつ、道路の比率が小さい画像となる。
【0067】
したがって、車両10が下り坂にさしかかった場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、情報量が変化する。すなわち、例えば、車両10が下り坂にさしかかった場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、道路に関する情報量が減少する。また、車両10と後方車両の相対位置や、下り坂の傾きの状態によっては、後方車両の一部が写らなかったり、後方車両自体が写らないことが起こることがある。
【0068】
一方、車両10が上り坂にさしかかると、車両10がピッチ方向としての後ろ側に傾き、車両10の後部に設置されたカメラユニット11の光軸、ひいては、BM範囲が、車両10が平坦な路面に位置している場合よりも下側(道路側)に傾く(
図5(C1)、
図5(C2))。
【0069】
その結果、車両10が平坦な路面に位置している状態ではBM画像のほぼ画面中央に車両10から所定の距離だけ後方にある後方車両が写るようなカメラ設定の場合、車両10が上り坂にさしかかった状態では、車両10から所定の距離だけ後方にある後方車両が、画面上方に写るBM画像が得られる。このBM画像は、
図5に示すように、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像に比較して、空(が写る領域)の比率が小さく、かつ、道路の比率が大きい画像となる。
【0070】
したがって、車両10が上り坂にさしかかった場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、情報量が変化する。すなわち、例えば、車両10が上り坂にさしかかった場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、空の比率が小さくなるので、空に関する情報量が減少する。また、車両10と後方車両の相対位置や、上り坂の傾きの状態によっては、後方車両の一部が写らなかったり、後方車両自体が写らないことが起こることがある。
【0071】
以上のように、車両10が下り坂や上り坂にさしかかった場合のBM画像において、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像から情報量が変化することは、車両10の運転者に、車両10の運転に適切なBM画像を提供する観点からは、好ましくない。
【0072】
そこで、制御部43は、BM画像の読み出し制御において、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像としてのBM画像の読み出しを制御することで、車両10の状態にかかわらず、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像が得られるようにする。
【0073】
<制御部43による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御>
【0074】
図6は、制御部43による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
【0075】
いま、車両10が平坦な路面に位置している場合に、制御部43において、イメージセンサ32が撮影する撮影画像(イメージセンサ32の受光面)から、矩形の領域R101(の画素の画素信号)が読み出されるように、読み出し制御が行われることとする。領域R101のサイズは、読み出し画像としてのBM画像のサイズと一致する。
【0076】
例えば、車両10が上り坂にさしかかり、車両10が後ろ側に傾いた場合、制御部43は、傾き情報に応じて、領域R101から、車両10の後ろ側への傾きの角度に応じた画素数分だけ、上方にずれた、領域R101と同一サイズの領域R102を指定する読み出し位置を算出し、その読み出し位置の画素信号を読み出すように、読み出し制御を行う。
【0077】
また、例えば、車両10が下り坂にさしかかり、車両10が前側に傾いた場合、制御部43は、傾き情報に応じて、領域R101から、車両10の前側への傾きの角度に応じた画素数分だけ、下方にずれた、領域R101と同一サイズの領域R103を指定する読み出し位置を算出し、その読み出し位置の画素信号を読み出すように、読み出し制御を行う。
【0078】
傾き情報に応じた読み出し位置の算出では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の比率で、道路や空が写る読み出し画像が読み出されるように、すなわち、読み出し画像に写る路や空の比率が、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の比率に維持されるように(/近づくように)、読み出し位置が算出される。
【0079】
制御部43において、以上のような読み出し制御を行うことにより、車両10の運転に適切な画像を容易に得ることができる。すなわち、車両10のピッチ方向の傾きにかかわらず、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像を、容易に得ることができる。
【0080】
ビューイングシステムの第1の構成例では、検出部42は、取得部41から供給される車両情報としてのジャイロ情報、又は、GPS情報及び3Dマップ等から、(急な)坂道を検出し、車両10が坂道にさしかかったときの車両10の傾き情報、すなわち、ここでは、主として、ピッチ方向としての前側及び後ろ側への車両10の傾き(の程度)を表す傾き情報を検出(算出)する。そして、検出部42は、傾き情報を、制御部43に供給する。
【0081】
検出部42では、例えば、ジャイロ情報を用いて、車両10が坂道にさしかかったことを検出し、さらに、そのときの車両10のピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾きを表す傾き情報を検出することができる。
【0082】
また、検出部42では、例えば、GPS情報を用いて得られる現在地と3Dマップとから、車両10が坂道にさしかかることを検出(推定)し、さらに、3Dマップを用いて得られる坂道の傾斜を用いて、車両10が坂道にさしかかったときの車両10のピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾きを表す傾き情報を検出(推定)することができる。
【0083】
制御部43は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32から読み出し画像として読み出す画像の読み出し位置を算出し、イメージセンサ32に供給することで、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。
【0084】
イメージセンサ32は、制御部43からの読み出し位置の画素の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を出力する。
【0085】
<イメージセンサ32の構成例>
【0086】
図7は、
図3のイメージセンサ32の構成例を示す図である。
【0087】
イメージセンサ32は、画素アレイ51、入力回路52、行選択回路53、列選択回路54、AD(Analog to Digital)変換器55、ラインバッファ56、及び、出力回路57を有する。
【0088】
画素アレイ51は、複数の画素61が2次元平面上に配置されて構成される。画素アレイ51において画素61が配置されている領域が、イメージセンサ32の受光面である。
【0089】
画素61は、そこに入射する光を、その光の光量に応じた電気信号としての画素信号に変換する。画素アレイ51からは、行選択回路53で選択された行で、列選択回路54で選択された列の画素61の画素信号が、列選択回路54を介して読み出され、AD変換器55に供給される。
【0090】
入力回路52には、制御部43から、撮影画像から読み出す読み出し画像の読み出し開始位置と、その読み出し画像のサイズ(以下、読み出しサイズともいう)とで指定される読み出し位置が供給される。
【0091】
入力回路52は、制御部43からの読み出し位置としての読み出し開始位置及び読み出しサイズを用いて、例えば、ラスタスキャン順で、画素アレイ51の画素61のうちの、画素信号の読み出しを開始する画素61の座標を、読み出し開始座標(X_STA,Y_STA)として算出するとともに、画素信号の読み出しを終了する画素61の座標を、読み出し終了座標(X_END,Y_END)として算出する。
【0092】
入力回路52は、読み出し開始座標(X_STA,Y_STA)のy座標Y_STA、及び、読み出し終了座標(X_END,Y_END)のy座標Y_ENDを、行選択回路53に供給するとともに、読み出し開始座標(X_STA,Y_STA)のx座標X_STA、及び、読み出し終了座標(X_END,Y_END)のx座標X_ENDを、列選択回路54に供給する(処理PR1)。
【0093】
行選択回路53は、入力回路52からのy座標Y_STAが表す画素61の行からy座標Y_ENDが表す画素61の行までの各行を、順次選択する(処理PR2)。
【0094】
画素アレイ51では、行選択回路53が選択する行の画素61から画素信号が読み出され、列選択回路54に供給される。
【0095】
列選択回路54は、画素61から読み出された画素信号のうちの、入力回路52からのx座標X_STAが表す画素61の列からx座標X_ENDが表す画素61の列までの各列の画素61の画素信号を選択し、AD変換器55に供給する(処理PR3)。
【0096】
AD変換器55は、列選択回路54からの画素信号を、例えば、1行単位でAD変換し、AD変換後の画素信号を、ラインバッファ56に供給する(処理PR4)。
【0097】
ラインバッファ56は、AD変換器55からの画素信号を一時記憶する。
【0098】
出力回路57は、ラインバッファ56に記憶された画素信号を、1画素分ずつ読み出し(処理PR5)、読み出し画像の画素値として、イメージセンサ32の外部に出力する。
【0099】
以上のようにして、イメージセンサ32では、読み出し開始座標(X_STA,Y_STA)の画素61を、左上の頂点とするとともに、読み出し終了座標(X_END,Y_END)の画素61を、右下の頂点とする矩形の領域を、読み出し領域として、その読み出し領域内の画素61の画素信号が読み出され、その画素信号を画素値とする画像が、読み出し画像として出力される。
【0100】
<表示処理>
【0101】
図8は、
図3のビューイングシステムの第1の構成例が行うBM画像及を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【0102】
ステップS11において、取得部41は、車両情報としての、例えば、ジャイロ情報、又は、GPS情報及び3Dマップを取得し、検出部42に供給して、処理は、ステップS12に進む。
【0103】
ステップS12では、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、坂道を検出する。さらに、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、車両10が坂道にさしかかったときの車両10の傾き情報(主として、ピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾きを表す傾き情報)を検出(算出)し、制御部43に供給して、処理は、ステップS12からステップS13に進む。
【0104】
ステップS13では、制御部43は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出し開始位置を算出し、その読み出し開始位置と、BM画像のサイズとを、読み出し位置として、イメージセンサ32に供給して、処理は、ステップS14に進む。
【0105】
ステップS14では、イメージセンサ32は、制御部43からの読み出し位置の画素の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を取得して出力する。イメージセンサ32が出力する読み出し画像は、出力部33に供給され、処理は、ステップS14からステップS15に進む。
【0106】
ステップS15では、出力部33は、イメージセンサ32からの読み出し画像を、BM画像として、BM表示部21に伝送して表示させる。これにより、BM表示部21では、BM画像が表示され、表示処理は終了する。
【0107】
以上のように、ビューイングシステムの第1の構成例は、主として、ピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾きを表す傾き情報を検出し、その傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御するので、車両10の運転に適切な画像を容易に提供することができる。すなわち、車両10が坂道にさしかかった場合に、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像を、容易に提供することができる。
【0108】
さらに、ビューイングシステムの第1の構成例では、読み出し制御において、イメージセンサ32からBM画像と同一のサイズの読み出し画像が読み出されるので、イメージセンサ32からBM画像よりも大きなサイズの画像が読み出される場合に比較して、BM画像のフレームレートが低下するおそれを抑制することができる。
【0109】
第1の構成例の車両情報としては、ジャイロ情報、GPS情報と3Dマップの例で説明した。ただ、第1の構成例における車両情報としては、後述の第2の構成例、第3の構成例のように、サスペンション情報や、フロントカメラ画像等を用いてもよい。これらの、サスペンション情報や、フロントカメラ画像等を用いて、車両の傾きを検出するようにしてもよい。
【0110】
<ビューイングシステムの第2の構成例>
【0111】
図9は、車両10に搭載されたビューイングシステムの第2の構成例を示すブロック図である。
【0112】
なお、図中、
図3の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0113】
図9において、ビューイングシステムは、カメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有する。さらに、
図9において、カメラユニット11は、光学系31、イメージセンサ32、出力部33、取得部41、検出部42、制御部71、及び、加工部72を有する。
【0114】
したがって、
図9のビューイングシステムの第2の構成例は、カメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有する点で、
図3の場合と共通する。
【0115】
但し、
図9のビューイングシステムの第2の構成例は、カメラユニット11において、制御部43に代えて、制御部71が設けられるとともに、加工部72が新たに設けられている点で、
図3の場合と相違する。
【0116】
制御部71は、制御部43と同様に、検出部42から供給される傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。
【0117】
但し、制御部71は、検出部42から供給される傾き情報に応じて、イメージセンサ32で撮影された撮影画像から、読み出し画像の読み出し開始位置、及び、読み出しサイズを算出し、その読み出し開始位置と読み出しサイズとで指定される読み出し位置を、イメージセンサ32に供給する。
【0118】
すなわち、ビューイングシステムの第1の構成例では、読み出し画像のサイズが、BM画像のサイズと一致するため、読み出しサイズは、BM画像のサイズに設定されるが、ビューイングシステムの第2の構成例では、読み出しサイズは、傾き情報に応じて算出される。
【0119】
ここで、ビューイングシステムの第2の構成例では、取得部41は、車両情報としての、例えば、サスペンション情報等を取得し、検出部42に供給する。
【0120】
この場合、検出部42は、取得部41からのサスペンション情報を用いて、ロール方向としての左側及び右側への傾きを検出し、その傾き(の程度)を表す傾き情報を検出(算出)する。そして、検出部42は、傾き情報を、制御部71に供給する。
【0121】
制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32が出力する読み出し画像を回転させる回転角度を算出し、加工部72に供給する。制御部71は、以上のように、回転角度を、加工部72に供給することで、その回転角度だけ、読み出し画像を回転するように、加工部72による読み出し画像の回転を制御する。
【0122】
加工部72には、イメージセンサ32が出力する読み出し画像が供給される。
【0123】
加工部72は、制御部71からの回転角度に従って、読み出し画像を回転する。さらに、加工部72は、回転後の読み出し画像から、BM画像のサイズ(以下、BMサイズともいう)の画像を切り出し、BM画像として、出力部33に供給する。
【0124】
以上のように、加工部72では、読み出し画像が回転され、その回転後の読み出し画像から、BMサイズの画像が切り出される。したがって、読み出し画像は、回転後の読み出し画像からBMサイズの画像を切り出すことができるサイズを有する画像である必要がある。
【0125】
そのため、制御部71は、傾き情報に応じて、例えば、回転後の読み出し画像からBMサイズの画像を切り出すことができる読み出し画像の最小のサイズを、読み出しサイズとして算出する。
【0126】
<車両10の状態とBM画像との関係>
【0127】
図10は、車両10の状態とBM画像との関係の第2の例を説明する図である。
図10(A1)は車両10が平坦な路面を走行している場合の車両10の状態を示す図である。また、
図10(A2)は、車両10が平坦な路面を走行している場合のBM画像例である。
図10(B1)は車両10が前方の向きに対して右側に左側より高い段差がある路面に位置する場合の車両10の状態を示す図である。また、
図10(B2)は、車両10が前方の向きに対して右側に左側より高い段差がある路面に位置する場合のBM画像例である。
図10(C1)は車両10が前方の向きに対して左側に右側より高い段差がある路面に位置する場合の車両10の状態を示す図である。また、
図10(C2)は、車両10が前方の向きに対して左側に右側より高い段差がある路面に位置する場合のBM画像例である。
【0128】
図10でも、
図5の場合と同様に、運転者が視線や頭部の位置を動かすことに起因して、撮影画像からBM画像として抽出される領域R11は変化しないこととする。
【0129】
この場合、車両10が、前方の向きに対して右側に左側より高い段差がある路面に位置すると、車両10がロール方向としての左側に傾き、車両10の後部に設置されたカメラユニット11も同様にロール方向に傾く。
【0130】
その結果、車両10が平坦な路面に位置している場合(
図10(A))、BM画像に水平方向に延びるように水平線が写る。車両10が右側に高い段差がある路面に位置する場合には、右下がり(左上がり)に写るBM画像が得られる(
図10(B))。このBM画像は、
図10に示すように、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像に比較して、BM画像に写る空や道路の範囲が変化した画像になる。すなわち、車両10が右側に高い段差がある路面に位置する場合のBM画像(
図10(B))では、車両10が平坦な路面に位置している場合にBM画像と比較して、右側の道路の比率が小さくなるとともに、右側の空の比率が大きくなり、かつ、左側の道路の比率が大きくなるとともに、左側の空の比率が小さくなる。
【0131】
したがって、車両10が右側に高い段差がある路面に位置する場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、内容が変化する。
【0132】
一方、車両10が、前方の向きに対して左側に右側より高い段差がある路面に位置すると、車両10がロール方向としての右側に傾き、車両10の後部に設置されたカメラユニット11も同様にロール方向に傾く。
【0133】
その結果、車両10が左側に高い段差がある路面に位置する場合には、水平線は右上がり(左下がり)に写るBM画像が得られる(
図10(C))。このBM画像は、
図10に示すように、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像に比較して、BM画像に写る空や道路の範囲が変化した画像になる。すなわち、車両10が左側に高い段差がある路面に位置する場合のBM画像(
図10(C))では、車両10が平坦な路面に位置している場合にBM画像と比較して、右側の道路の比率が大きくなるとともに、右側の空の比率が小さくなり、かつ、左側の道路の比率が小さくなるとともに、左側の空の比率が大きくなる。
【0134】
したがって、車両10が左側に高い段差がある路面に位置する場合のBM画像では、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と比較して、内容が変化する。
【0135】
以上のように、車両10が左側又は右側に高い段差がある路面に位置する場合のBM画像が、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像から変化したものであることは、車両10の運転者に、車両10の運転に適切なBM画像を提供する観点からは、好ましくない。
【0136】
そこで、制御部71は、BM画像の読み出し制御において、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像としてのBM画像の読み出しを制御することで、車両10の状態にかかわらず、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像が得られるようにする。
【0137】
<制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御>
【0138】
図11は、制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
左側の
図11(A)は、夫々の場合におけるイメージセンサ32上の読出し領域を示した図である。右側の
図11(B)は、加工部72における切りだし領域を示した図である。
【0139】
図6で説明したように、制御部71では、車両10が平坦な路面に位置している場合に、イメージセンサ32が撮影する撮影画像(イメージセンサ32の受光面)から、BM画像と一致するサイズの矩形の領域R101(の画素の画素信号)が読み出されるように、読み出し制御が行われることとする。
【0140】
例えば、車両10が、段差がある路面に位置し、車両10がロール方向に傾いた場合、制御部71は、傾き情報に応じて、車両10のロール方向への傾きの角度に応じた画素数分だけ領域R101よりも大きいサイズの領域R111を指定する読み出し位置を算出し、その読み出し位置の画素信号を読み出すように、読み出し制御を行う。
【0141】
ここで、車両10がロール方向に傾いた場合のBM画像では、
図10に示したように、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像に水平方向に延びるように写る水平線が傾く。
【0142】
そこで、加工部72では、イメージセンサ32が読み出し制御に応じて出力する読み出し画像が、その読み出し画像に写る水平線が水平方向に延びるように回転され、回転後の読み出し画像から、BM画像(となる画像)が切り出される。
【0143】
制御部71において、傾き情報に応じた読み出し位置の算出では、例えば、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出すことができる最小のサイズで、領域R101の中心(重心)を中心とする領域R111を指定する読み出し位置としての読み出し開始位置及び読み出しサイズが算出され、イメージセンサ32に供給される。
【0144】
さらに、制御部71では、傾き情報に応じて、例えば、イメージセンサ32が出力する読み出し画像としての領域R111に写る水平線が水平方向に延びるように写るように、読み出し画像としての領域R111を回転する回転角度が算出され、加工部72に供給される。
【0145】
イメージセンサ32では、制御部71からの読み出し位置としての読み出し開始位置及び読み出しサイズによって指定される矩形の領域R111が、読み出し画像として読み出され、加工部72に供給される。
【0146】
加工部72では、イメージセンサ32からの読み出し画像としての領域R111が、制御部71からの回転角度だけ回転される。そして、加工部72では、領域R111を回転した回転後の領域R112から、回転角度が0度の、BM画像と同一サイズの領域R113が、BM画像として切り出される(
図11(B))。
【0147】
図11(A)の読み出し画像は、車両10がロール方向としての右側に傾いており、読み出し画像に写る水平線が右上がりに傾く。そのため、加工部72では、右上がりに傾いた水平線が水平方向に延びるように、読み出し画像としての領域R111が右回り(時計回り)に回転され、回転後の領域R112から、BM画像としての領域R113が切り出されている。
【0148】
以上により、BM画像として、車両10の運転に適切な画像を容易に得ることができる。すなわち、車両10のロール方向の傾きにかかわらず、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像を、容易に得ることができる。
【0149】
図12は、制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例をさらに説明する図である。
図12(A)は、車両10がロール方向に傾いている場合の読み出し画像の読み出しサイズが、BM画像のサイズよりも大きくなることを説明する図である。
図12(B)は、加工部72における回転を説明する図である。
図12(C)は、加工部72におけるBM画像の切り出しを説明する図である。
【0150】
図12(A)では、車両10がロール方向としての右側に傾いており、そのため、読み出し画像に写る水平線が右上がりに傾いている。
【0151】
ビューイングシステムの第2の構成例では、検出部42は、取得部41から供給される車両情報としてのサスペンション情報から、車両10がロール方向に傾いていることを検出し、車両10の傾きを表す傾き情報、すなわち、ここでは、主として、ロール方向としての左側及び右側への車両10の傾き(の程度)を表す傾き情報を検出(算出)する。そして、検出部42は、傾き情報を、制御部71に供給する。
【0152】
制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32から読み出す読み出し画像の読み出し位置が表す領域R111の読み出し開始位置及び読み出しサイズを算出し、イメージセンサ32に供給する。車両10がロール方向に傾いている場合(ロール方向の傾きが0度以外である場合)、読み出しサイズは、BM画像と同一サイズの領域R101のサイズよりも大きくなる。
【0153】
また、制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、読み出し画像としての領域R111を回転する回転角度を算出し、加工部72に供給する。
【0154】
イメージセンサ32は、制御部71からの読み出し位置(読み出し開始位置及び読み出しサイズ)が表す領域R111を読み出し画像として読み出して出力する。
【0155】
イメージセンサ32が出力する読み出し画像としての領域R111は、加工部72に供給される。
【0156】
加工部72では、領域R111が、制御部71からの回転角度だけ回転され、これにより、水平線が水平方向に延びるように写る領域R112が生成される(
図12(B))。さらに、加工部72では、領域R112から、領域R101と同一サイズの領域R113が、BM画像として切り出される(
図12(B)(C))。
【0157】
<表示処理>
【0158】
図13は、
図9のビューイングシステムの第2の構成例が行うBM画像を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【0159】
ステップS21において、取得部41は、車両情報としての、例えば、サスペンション情報を取得し、検出部42に供給して、処理は、ステップS22に進む。
【0160】
ステップS22では、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、車両10のロール方向の傾きを検出する。さらに、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、車両10がロール方向に傾いている場合の、車両10の傾き情報(主として、ロール方向としての左側及び右側への傾きを表す傾き情報)を検出(算出)し、制御部71に供給して、処理は、ステップS22からステップS23に進む。
【0161】
ステップS23では、制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出し開始位置及び読み出しサイズを算出し、その読み出し開始位置及び読み出しサイズを、読み出し位置として、イメージセンサ32に供給する。さらに、制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、読み出し画像を回転する回転角度を算出し、加工部72に供給して、処理は、ステップS23からステップS24に進む。
【0162】
ステップS24では、イメージセンサ32は、制御部71からの読み出し位置の画素の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を取得して出力する。イメージセンサ32が出力する読み出し画像は、加工部72に供給され、処理は、ステップS24からステップS25に進む。
【0163】
ステップS25では、加工部72は、イメージセンサ32からの読み出し画像を、制御部71からの回転角度だけ回転する。さらに、加工部72は、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出し、出力部33に供給して、処理は、ステップS25からステップS26に進む。
【0164】
ステップS26では、出力部33は、加工部72からのBM画像を、BM表示部21に伝送して表示させる。これにより、BM表示部21では、BM画像が表示され、表示処理は終了する。
【0165】
以上のように、ビューイングシステムの第2の構成例は、主として、ロール方向としての左側及び右側への傾きを表す傾き情報を検出し、その傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。さらに、ビューイングシステムの第2の構成例では、傾き情報に応じて、読み出し画像の回転を制御し、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出す。したがって、ビューイングシステムの第2の構成例によれば、車両10の運転に適切な画像を容易に提供することができる。すなわち、車両10が左右に段差がある路面に位置している場合に、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像を、容易に提供することができる。
【0166】
さらに、ビューイングシステムの第2の構成例では、読み出し制御において、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出すことができる最小のサイズの読み出し画像が、イメージセンサ32から読み出されるので、BM画像のフレームレートが低下するおそれを抑制することができる。
【0167】
第2の構成例の車両情報としては、サスペンション情報の例で説明した。ただ、車両情報としては、前述の第1の構成例や、後述の第3の構成例のように、ジャイロ情報、GPS情報と3Dマップ、フロントカメラ画像等を用いてもよい。そして、これらの、ジャイロ情報、GPS情報と3Dマップ、フロントカメラ画像等を用いて、車両の傾きを検出するようにしてもよい。
【0168】
<ビューイングシステムの第3の構成例>
【0169】
図14は、車両10に搭載されたビューイングシステムの第3の構成例を示すブロック図である。
【0170】
なお、図中、
図3又は
図9の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0171】
図14において、カメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有する。さらに、
図14において、カメラユニット11は、光学系31、イメージセンサ32、出力部33、取得部41、検出部42、制御部71、及び、加工部72を有する。
【0172】
したがって、
図14のビューイングシステムの第3の構成例は、
図9のビューイングシステムの第2の構成例と同様に構成される。
【0173】
但し、
図14のビューイングシステムの第3の構成例では、取得部41は、車両情報としての、例えば、サスペンション情報、又は、フロントカメラ画像等を取得し、検出部42に供給する。
【0174】
この場合、検出部42は、取得部41からのサスペンション情報又はフロントカメラ画像を用いて、路面の凹凸状況を検出する。さらに、検出部42は、その路面の凹凸による車両10のピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾き、並びに、ロール方向としての左側及び右側への傾きを検出し、その傾き(の程度)を表す傾き情報を検出(算出)する。そして、検出部42は、傾き情報を、制御部71に供給する。
【0175】
ここで、ビューイングシステムの第1の構成例では、車両10のピッチ方向としての前側及び後ろ側の傾きに応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しが制御される。ビューイングシステムの第2の構成例では、車両19のロール方向としての左側及び右側への傾きに応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出し、及び、加工部72での読み出し画像の回転が制御される。
【0176】
これに対して、ビューイングシステムの第3の構成例では、車両10のピッチ方向としての前側及び後ろ側の傾き、並びに、ロール方向としての左側及び右側への傾きに応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出し、及び、加工部72での読み出し画像の回転が制御される。
【0177】
したがって、ビューイングシステムの第3の構成例では、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しの制御として、ビューイングシステムの第1の構成例及び第2の構成例で行われるイメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しの制御それぞれを合わせたような制御が行われる。さらに、ビューイングシステムの第3の構成例では、加工部72での読み出し画像の回転の制御として、ビューイングシステムの第2の構成例で行われる読み出し画像の回転制御と同様の制御が行われる。
【0178】
<制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御>
【0179】
図15は、制御部71による傾き情報に応じた読み出し画像の読み出し制御の例を説明する図である。
図15(A)は、イメージセンサ32からの、BM画像より大きいサイズの読み出し画像の読み出しを示す図である。
図15(B)は、加工部72における読み出し画像の回転及び切り出しを示す図である。
【0180】
図6及び
図11で説明したように、制御部71では、車両10が平坦な路面に位置している場合に、イメージセンサ32が撮影する撮影画像(イメージセンサ32の受光面)から、読み出し画像としてのBM画像と一致するサイズの矩形の領域R101(の画素の画素信号)が読み出されるように、読み出し制御が行われることとする。
【0181】
例えば、車両10が、凹凸がある路面に位置し、車両10がピッチ方向やロール方向に傾いた場合、制御部71は、傾き情報に応じて、車両10のロール方向への傾きの角度に応じた画素数分だけ領域R111より大きいサイズで、車両10のピッチ方向への傾きの角度に応じた画素数分だけ領域R111から上下方向にずれた領域R121を指定する読み出し位置を算出し、その読み出し位置の画素信号を読み出すように、イメージセンサ32の読み出し制御を行う。
【0182】
さらに、制御部71では、傾き情報に応じて、例えば、イメージセンサ32が出力する読み出し画像としての領域R121に写る水平線が水平方向に延びるように写るように、読み出し画像としての領域R121を回転する回転角度が算出され、加工部72に供給される。
【0183】
イメージセンサ32では、制御部71からの読み出し制御に従って、矩形の領域R121が、読み出し画像として読み出され、加工部72に供給される。
【0184】
加工部72では、イメージセンサ32からの読み出し画像としての領域R121が、制御部71からの回転角度だけ回転される。そして、加工部72では、領域R121を回転した回転後の領域R122から、回転角度が0度の、BM画像と同一サイズの領域R123が、BM画像として切り出される。
【0185】
図15では、車両10がピッチ方向としての後ろ側に傾き、かつ、ロール方向としての右側に傾いており、そのため、イメージセンサ32からは、領域R101よりサイズが大きい、領域R101から上方にずれた領域R121が、読み出し画像として読み出されている。さらに、車両10がロール方向としての右側に傾いているため、読み出し画像としての領域R121に写る水平線は右上がりに傾いているので、加工部72では、その右上がりに傾いた水平線が水平方向に延びるように、読み出し画像としての領域R121が右回りに回転されている。そして、加工部72では、領域R121を回転した回転後の領域R122から、BM画像としての領域R123が切り出されている。
【0186】
以上により、BM画像として、車両10の運転に適切な画像を容易に得ることができる。すなわち、車両10のピッチ方向やロール方向の傾きにかかわらず、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の画像表現であるBM画像を、容易に得ることができる。これにより、車両10の傾きによらず水平線が水平となるような画像を表示できるため、後方車両との一時的な傾きの違いに起因する表示画像の違い(水平線位置の違い)を起こすことが無い。運転者は運転中の表示画像の違い(水平線位置の違い)を気にすることなく、車両後方の状況を把握することができる。
【0187】
なお、ビューイングシステムの第3の構成例において、検出部42では、例えば、サスペンション情報から、車両10のピッチ方向及びロール方向の傾きを検出することができる。
【0188】
また、検出部42では、例えば、フロントカメラ画像から、車両10の前方の路面の凹凸を認識し、その凹凸の認識結果に応じて、認識した凹凸がある路面を車両10が通るときの車両10のピッチ方向及びロール方向の傾きを推定することにより検出することができる。
【0189】
<表示処理>
【0190】
図16は、
図14のビューイングシステムの第3の構成例が行うBM画像及を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【0191】
ステップS31において、取得部41は、車両情報としての、例えば、サスペンション情報又はフロントカメラ画像を取得し、検出部42に供給して、処理は、ステップS32に進む。
【0192】
ステップS32では、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、車両10が位置する路面の凹凸状況を検出する。さらに、検出部42は、取得部41からの車両情報を用いて、路面の凹凸による車両10の傾きを表す傾き情報(ピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾き、並びに、ロール方向としての左側及び右側への傾きを表す傾き情報)を検出(算出)し、制御部71に供給して、処理は、ステップS32からステップS33に進む。
【0193】
ステップS33では、制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出し開始位置及び読み出しサイズを算出し、その読み出し開始位置及び読み出しサイズを、読み出し位置として、イメージセンサ32に供給する。さらに、制御部71は、検出部42からの傾き情報に応じて、読み出し画像を回転する回転角度を算出し、加工部72に供給して、処理は、ステップS33からステップS34に進む。
【0194】
ステップS34では、イメージセンサ32は、制御部71からの読み出し位置の画素の画素信号を読み出し、その画素信号を画素値とする読み出し画像を取得して出力する。イメージセンサ32が出力する読み出し画像は、加工部72に供給され、処理は、ステップS34からステップS35に進む。
【0195】
ステップS35では、加工部72は、イメージセンサ32からの読み出し画像を、制御部71からの回転角度だけ回転する。さらに、加工部72は、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出し、出力部33に供給して、処理は、ステップS35からステップS36に進む。
【0196】
ステップS36では、出力部33は、加工部72からのBM画像を、BM表示部21に伝送して表示させる。これにより、BM表示部21では、BM画像が表示され、表示処理は終了する。
【0197】
以上のように、ビューイングシステムの第3の構成例は、ピッチ方向としての前側及び後ろ側への傾き、並びに、ロール方向としての左側及び右側への傾きを表す傾き情報を検出し、その傾き情報に応じて、イメージセンサ32からの読み出し画像の読み出しを制御する。さらに、ビューイングシステムの第3の構成例では、傾き情報に応じて、読み出し画像の回転を制御し、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出す。したがって、ビューイングシステムの第3の構成例によれば、車両10の運転に適切な画像を容易に提供することができる。すなわち、車両10が凹凸がある路面に位置している場合に、車両10が平坦な路面に位置している場合のBM画像と同様の情報量のBM画像を、容易に提供することができる。
【0198】
さらに、ビューイングシステムの第3の構成例では、ビューイングシステムの第2の構成例と同様に、読み出し制御において、回転後の読み出し画像からBM画像を切り出すことができる最小のサイズの読み出し画像を、イメージセンサ32から読み出すことにより、BM画像のフレームレートが低下するおそれを抑制することができる。
【0199】
第3の構成例の車両情報としては、サスペンション情報、フロントカメラ画像の例で説明した。ただ、車両情報としては、前述の第1の構成例や、第2の構成例のように、ジャイロ情報、GPS情報と3Dマップ、等を用いてもよい。そして、これらの、ジャイロ情報、GPS情報と3Dマップ等を用いて、車両の傾きを検出するようにしてもよい。
【0200】
なお、本技術は、車両10が位置する路面の状況によって、車両10が傾く場合の他、車両10に積載する荷物や、車両10の搭乗者の状態等によって、車両10が傾く場合にも適用することができる。すなわち、本技術は、車両10が傾く原因に関係なく適用することができる。
【0201】
<ビューイングシステムの第4の構成例>
【0202】
図17は、車両10に搭載されたビューイングシステムの第4の構成例を示すブロック図である。
【0203】
ビューイングシステムは、
図1及び
図2で説明したカメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有する。
【0204】
カメラユニット11は、光学系31、イメージセンサ32、データ量調整部133、出力部134、取得部135、及び、制御部136を有する。
【0205】
光学系31は、集光レンズや絞り等の光学部品で構成され、光学系31に入射する光を、イメージセンサ32に集光させる。
【0206】
イメージセンサ32は、光学系31からの光を受光し、光電変換を行うことで、撮影画像を撮影する。そして、イメージセンサ32は、制御部136の制御に従い、撮影画像から、BM画像及びRV画像を抽出して出力する。イメージセンサ32が出力するBM画像及びRV画像は、データ量調整部133に供給される。
【0207】
データ量調整部133は、制御部136の制御に従い、イメージセンサ32が出力するBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、データ量が調整された後のBM画像及びRV画像を、出力部134に供給する。
【0208】
出力部134は、データ量調整部133からのBM画像及びRV画像を、カメラユニット11の外部に伝送する出力IF(Interface)であり、BM画像を、BM表示部21に伝送するとともに、RV画像を、RV表示部22に伝送する。BM表示部21では、出力部134からのBM画像が、BM表示部21の仕様に従って表示され、RV表示部22では、出力部134からのRV画像が、RV表示部22の仕様に従って表示される。出力部134は、BM画像及びRV画像のフォーマット変換その他の画像処理を、必要に応じて行うことができる。
【0209】
取得部135は、車両情報を、車両10から取得し、制御部136に供給する。
【0210】
取得部135が取得する車両情報としては、例えば、走行情報や、BM表示部21及びRV表示部22の仕様、車両10の運転者の視線及び頭部の位置、ジャイロ情報等がある。
【0211】
走行情報は、車両10の走行状態を表す情報であり、具体的には、車速や、走行方向(前進又は後進)を表す。車速は、例えば、車両10が速度センサを搭載している場合には、その速度センサの出力から取得することができる。走行方向は、例えば、トランスミッションの状態から取得することができる。
【0212】
BM表示部21及びRV表示部22の仕様とは、例えば、BM表示部21及びRV表示部22の解像度等であり、BM表示部21及びRV表示部22から取得することができる。
【0213】
車両10の運転者の視線及び頭部の位置は、車内カメラ23で撮影された画像から求めることができる。
【0214】
ジャイロ情報とは、車両10の姿勢(/車両の傾きの角度)を表す情報である。ジャイロ情報は、車両10がジャイロセンサを搭載している場合には、そのジャイロセンサの出力から求めることができる。ジャイロ情報によれば、車両10が坂道に位置しているかどうかを認識することができる。
【0215】
制御部136は、取得部135から供給される車両情報に応じて、イメージセンサ32やデータ量調整部133を制御する。
【0216】
すなわち、制御部136は、車両情報に応じて、例えば、制御部43と同様の読み出し制御を行うことで、イメージセンサ32での撮影画像からのBM画像及びRV画像の抽出を制御する抽出制御を行う。BM画像及びRV画像の読出し範囲の一例としては、
図4にて図示される範囲である。また、制御部136は、車両情報に応じて、データ量調整部133でのBM画像及びRV画像のデータ量の調整を制御する調整制御を行う。
【0217】
したがって、イメージセンサ32は、車両情報に応じて、撮影画像から、BM画像及びRV画像を抽出し、データ量調整部133は、車両情報に応じて、BM画像及びRV画像のデータ量を調整する、ということができる。
【0218】
<イメージセンサ32から出力することができる画像>
【0219】
図18は、イメージセンサ32から出力することができる画像の例を説明する図である。
【0220】
いま、イメージセンサ32が出力可能な最高解像度の撮影画像を、最高解像度画像ということとする。イメージセンサ32は、例えば、解像度(画素数)Rmaxの最高解像度画像を、60fps(frame per second)(のフレームレート)以上で出力することができる性能を有することとする。
【0221】
ここでは、最高解像度画像から抽出される最高解像度(画素数)のBM画像の解像度RBMが、最高解像度画像の解像度Rmaxの1/2以下であることとする。また、最高解像度画像から抽出される最高解像度のRV画像の解像度RRVが、BM画像の解像度RBM以下であることとする。
【0222】
本実施の形態では、例えば、BM画像の解像度RBMとRV画像の解像度RRVとの加算値RBM+RRVとが、最高解像度画像の解像度Rmaxの1/2以下であるとする。この場合、解像度Rmaxで、60fps(以上)の最高解像度画像を出力可能なイメージセンサ32を用いると、最高解像度画像の一部の部分読み出しにより得られる解像度RBMのBM画像と、解像度RRVのRV画像との両方の画像を、120fpsで出力することができる。
【0223】
<車両10でデータ伝送に使用することができる車両伝送帯域の例>
【0224】
図19は、車両10でデータ伝送に使用することができる車両伝送帯域の例を説明する図である。
【0225】
すなわち、
図19は、カメラユニット11がデータ量調整部133でのデータ量の調整なしで出力することができるBM画像及びRV画像の例を示している。
【0226】
カメラユニット11は、BM画像として、例えば、解像度RBMで、YUVが4:2:2フォーマットの、1画素のビット数が(輝度及び色差のそれぞれについて)8ビットのカラー画像を出力することができる。また、カメラユニット11は、RV画像として、例えば、解像度RRVで、YUVが4:2:2フォーマットの、1画素のビット数が8ビットのカラー画像を出力することができる。
【0227】
解像度RBMで、YUVが4:2:2フォーマットの、1画素のビット数が8ビットのBM画像を、最高画質のBM画像と呼び、解像度RRVで、YUVが4:2:2フォーマットの、1画素のビット数が8ビットのRV画像を、最高画質のRV画像と呼ぶこととする。
【0228】
本実施の形態では、カメラユニット11からデータが伝送される帯域である車両伝送帯域は、例えば、60fpsの最高画質のBM画像を2画面分だけ(リアルタイムで)伝送することができる伝送帯域になっていることとする。本実施の形態では、RBM>=RRVであるので、60fpsの最高画質のBM画像を2画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域によれば、例えば、60fpsの最高画質のRV画像を2画面分を伝送することができる。また、車両伝送帯域によれば、例えば、60fpsの最高画質のBM画像を1画面分と、60fpsの最高画質のRV画像を1画面分との合計で2画面分とを伝送することができる。
【0229】
図18及び
図19で説明したことから、カメラユニット11は、最高画質のBM画像及びRV画像の両方を、最大120fpsで出力することができる。
【0230】
しかしながら、本実施の形態では、車両伝送帯域は、60fpsで、最高画質のBM画像(又はRV画像)の2画面分しか伝送することができない。
【0231】
車両伝送帯域を大きくすることにより、カメラユニット11が出力可能な、120fpsで、最高画質のBM画像及びRV画像の両方を伝送することができるが、車両伝送帯域を大きくすると、ビューイングシステムが高コスト化する。
【0232】
本技術では、ビューイングシステムが高コスト化することを抑制するため、カメラユニット11は、BM画像やRV画像のデータ量を適切に調整し、車両伝送帯域内で、BM画像やRV画像を伝送する。
【0233】
<車両伝送帯域が、60fpsで、最高画質のBM画像の2画面分が伝送可能である場合のBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御>
【0234】
図20は、制御部136によるBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御の第1の例を説明する図である。
【0235】
図20のAは、車両10が前進している場合、あるいは、速度の第1の閾値以上の速度である高速で後進している場合の調整制御を示している。
【0236】
この場合、制御部136は、解像度RBMで、120fpsのBM画像が出力され、かつ、RV画像の出力が制限されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMで、120fpsのBM画像を出力するとともに、RV画像の出力を制限する。
【0237】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMで、120fpsのBM画像が出力され、RV画像は出力されない。その結果、BM表示部21では、解像度RBMで、120fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、RV画像は表示されない。
【0238】
以上から、車両10が前進している場合、あるいは、高速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMで、120fpsのBM画像、すなわち、高解像度で、高フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。
【0239】
なお、車両10が前進している場合、あるいは、高速で後退している場合には、車両10の後部の直後の画像を含むRV画像は、表示しない。
【0240】
また、カメラユニット11が出力する解像度RBMで、120fpsのBM画像は、60fpsの最高画質(解像度RBM)のBM画像を2画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域によって伝送することができる。
【0241】
ここで、データ量調整部133において、画像のデータ量を調整するデータ量調整方法としては、上述のように、画像の出力を制限する(画像を出力しない)方法の他、例えば、解像度(画素数)を小さくする方法や、階調(1画素のビット数)を小さくする方法、フレームレートを小さく方法、所定の圧縮符号化方式で圧縮する方法等がある。
【0242】
データ量調整方法の中で、画像の出力の制限、解像度を小さくすること、階調を小さくすること、フレームレートを小さくすることは、データ量調整部133に行わせる他、制御部136において、イメージセンサ32の抽出制御等の制御を行うことにより、イメージセンサ32に行わせることができる。
【0243】
すなわち、画像の出力の制限、例えば、RV画像の出力の制限は、制御部136において、撮影画像からのRV画像の抽出を制限するように、イメージセンサ32からのデータの読み出しを制御し、画素51(
図7)からの、RV画像となる画素信号の読み出しを行わないことにより行うことができる。制御部136は、車両10が前進している場合、あるいは、高速で後進している場合、車両情報に応じて、撮影画像からのRV画像の抽出を制限するように、イメージセンサ32の抽出制御を行うことができる。もちろん、イメージセンサ32で制限せずに、データ量調整部133においてRV画像の出力の制限を行っても良い。
【0244】
画像の解像度を小さくすることは、制御部136において、例えば、画素信号を読み出す画素51を間引くように、又は、いわゆるSF(Source Follower)加算やFD(Floating Diffusion)加算等により、複数の画素51の画素信号を加算するビニング(Binning)を行うように、イメージセンサ32を制御することにより行うことができる。
【0245】
階調を小さくすることは、制御部136において、例えば、AD変換器55(
図7)のAD変換のビット数を小さくするように、イメージセンサ32を制御することにより行うことができる。
【0246】
フレームレートを小さくすることは、制御部136において、例えば、画素51から画素信号を読み出すレートや、AD変換器55でAD変換を行うレートを小さくするように、イメージセンサ32を制御することにより行うことができる。
【0247】
図20のBは、車両10が、第1の閾値より小さい第2の閾値以上かつ第1の閾値未満の速度である中速で後進している場合の調整制御を示している。
【0248】
この場合、制御部136は、解像度RBM未満の解像度RBMMで、120fpsのBM画像が出力され、かつ、解像度RRV未満の解像度RRVMで、30fpsのRV画像が出力されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMMで、120fpsのBM画像を出力するとともに、解像度RRVMで、30fpsのRV画像を出力する。
【0249】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMMで、120fpsのBM画像と、解像度RRVMで、30fpsのRV画像とが出力される。その結果、BM表示部21では、解像度RBMMで、120fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、解像度RRVMで、30fpsのRV画像が表示される。
【0250】
以上から、車両10が、中速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMMで、120fpsのBM画像、すなわち、中解像度で、高フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。さらに、運転者は、解像度RRVMで、30fpsのRV画像、すなわち、中解像度で、低フレームレートのRV画像により、車両10の後部の直後を確認することができる。
【0251】
なお、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の伝送に必要な伝送帯域が、最大伝送レート(ここでは解像度RBMのBM画像を圧縮せずに120fpsで伝送する場合に必要になる伝送レート)と解像度RBMMを120fpsで伝送する場合に必要となる伝送レート(第1の伝送レート)の差の伝送帯域以下であることとする。この場合、カメラユニット11が出力する解像度RBMMで、120fpsのBM画像、及び、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の両方の画像は、60fpsの最高画質のBM画像を2画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域によって伝送することができる。
【0252】
ここで、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の伝送に必要な伝送帯域が、最大伝送レートと第1の伝送レートの差の伝送帯域以下ではない場合、データ量調整部133では、BM画像及びRV画像の一方又は両方を、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の伝送に必要な伝送帯域が、最大伝送レートと第1の伝送レートの差の伝送帯域以下となるように(解像度RRVMのRV画像が伝送できる程度になるように)圧縮(符号化)することができる。例えば、解像度RBMMで、120fpsのBM画像については、その一部又は全部を圧縮(符号化)することにより、データ量を少なくすることができる。解像度RRVMで、30fpsのRV画像については、カラー画像のまま、又は、白黒画像に変換し、圧縮符号化することにより、データ量を少なくすることができる。
【0253】
図20のCは、車両10が、第1の閾値より小さい第2の閾値未満の速度である低速で後進している場合の調整制御を示している。
【0254】
この場合、制御部136は、解像度RBMで、60fpsのBM画像が出力され、かつ、解像度RRVで、60fpsのRV画像が出力されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMで、60fpsのBM画像を出力するとともに、解像度RRVで、60fpsのRV画像を出力する。
【0255】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMで、60fpsのBM画像と、解像度RRVで、60fpsのRV画像とが出力される。その結果、BM表示部21では、解像度RBMで、60fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、解像度RRVで、60fpsのRV画像が表示される。
【0256】
以上から、車両10が、低速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMで、60fpsのBM画像、すなわち、高解像度で、中フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。さらに、運転者は、解像度RRVで、60fpsのRV画像、すなわち、高解像度で、中フレームレートのRV画像により、車両10の後部の直後を確認することができる。
【0257】
車両10が、低速で後進している場合とは、例えば、車両10を駐車しようとしている場合等であり、運転者から死角となる車両10の後部の直後の確認が重要である。そのため、車両10が、低速で後進している場合には、RV画像は、車両10が高速や中速で後進している場合よりも高解像度かつ高フレームレートで表示される。これにより、死角となる領域の確認と、死角の状況に応じた車両制御が行い易くなる。
【0258】
なお、カメラユニット11が出力する解像度RBMで、60fpsのBM画像、及び、解像度RRVで、60fpsのRV画像の両方の画像は、60fpsの最高画質のBM画像を2画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域によって伝送することができる。
【0259】
<車両伝送帯域が、60fpsで、最高画質のBM画像の1画面分が伝送可能である場合のBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御>
【0260】
図21は、制御部136によるBM画像及びRV画像のデータ量の調整制御の第2の例を説明する図である。
【0261】
ここで、BM画像及びRV画像のデータ量の調整制御の第2の例では、車両伝送帯域が、例えば、60fps(以上)の最高画質(解像度RBM)のBM画像を1画面分だけ伝送することができる伝送帯域になっていることとする。
【0262】
図21のAは、車両10が前進している場合、あるいは、速度の第1の閾値以上の速度である高速で後進している場合の調整制御を示している。
【0263】
この場合、制御部136は、解像度RBMで、60fps(以上)のBM画像が出力され、かつ、RV画像の出力が制限されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMで、60fpsのBM画像を出力するとともに、RV画像の出力を制限する。
【0264】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMで、60fpsのBM画像が出力され、RV画像は出力されない。その結果、BM表示部21では、解像度RBMで、60fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、RV画像は表示されない。
【0265】
以上から、車両10が前進している場合、あるいは、高速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMで、60fpsのBM画像、すなわち、高解像度で、中フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。
【0266】
なお、車両10が前進している場合、あるいは、高速で後進している場合には、
図20のAで説明したように、車両10の後部の直後の画像を含むRV画像は、表示しない。
【0267】
また、カメラユニット11が出力する解像度RBMで、60fpsのBM画像は、60fpsの最高画質(解像度RBM)のBM画像を1画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域によって伝送することができる。
【0268】
図21のBは、車両10が、第1の閾値より小さい第2の閾値以上かつ第1の閾値未満の速度である中速で後進している場合の調整制御を示している。
【0269】
この場合、制御部136は、解像度RBM未満の解像度RBMMで、60fpsのBM画像が出力され、かつ、解像度RRV未満の解像度RRVMで、30fpsのRV画像が出力されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMMで、60fpsのBM画像を出力するとともに、解像度RRVMで、30fpsのRV画像を出力する。
【0270】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMMで、60fpsのBM画像と、解像度RRVMで、30fpsのRV画像とが出力される。その結果、BM表示部21では、解像度RBMMで、60fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、解像度RRVMで、30fpsのRV画像が表示される。
【0271】
以上から、車両10が、中速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMMで、60fpsのBM画像、すなわち、中解像度で、中フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。さらに、運転者は、解像度RRVMで、30fpsのRV画像、すなわち、中解像度で、低フレームレートのRV画像により、車両10の後部の直後を確認することができる。
【0272】
なお、カメラユニット11が出力する解像度RBMMで、60fpsのBM画像、及び、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の両方の画像の伝送に必要な伝送帯域(以下、必要伝送帯域ともいう)が、60fpsの最高画質のBM画像を1画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域に収まらない場合には、必要伝送帯域が車両伝送帯域に収まるように、BM画像を、中速用の第1の圧縮率で圧縮することや、RV画像を、カラー画像のまま、又は、白黒画像に変換して、中速用の第1の圧縮率より高圧縮の中速用の第2の圧縮率で圧縮することができる。
【0273】
図21のCは、車両10が、第1の閾値より小さい第2の閾値未満の速度である低速で後進している場合の調整制御を示している。
【0274】
この場合、制御部136は、解像度RBMM未満の解像度RBMLで、60fpsのBM画像が出力され、かつ、解像度RRVMで、30fpsのRV画像が出力されるように、データ量調整部133の制御としての調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整し、解像度RBMLで、60fpsのBM画像を出力するとともに、解像度RRVMで、30fpsのRV画像を出力する。
【0275】
したがって、この場合、カメラユニット11からは、解像度RBMLで、60fpsのBM画像と、解像度RRVで、30fpsのRV画像とが出力される。その結果、BM表示部21では、解像度RBMLで、60fpsのBM画像が表示され、RV表示部22では、解像度RRVMで、30fpsのRV画像が表示される。
【0276】
以上から、車両10が、低速で後進している場合には、運転者は、解像度RBMLで、60fpsのBM画像、すなわち、低解像度で、中フレームレートのBM画像により、車両10の後部の直後より後方を確認することができる。さらに、運転者は、解像度RRVMで、30fpsのRV画像、すなわち、中解像度で、低フレームレートのRV画像により、車両10の後部の直後を確認することができる。
【0277】
なお、カメラユニット11が出力する解像度RBMLで、60fpsのBM画像、及び、解像度RRVMで、30fpsのRV画像の両方の画像の伝送に必要な必要伝送帯域が、60fpsの最高画質のBM画像を1画面分だけ伝送することができる車両伝送帯域に収まらない場合には、必要伝送帯域が車両伝送帯域に収まるように、BM画像を、低速用の第1の圧縮率で圧縮することや、RV画像を、(カラー画像のまま)低速用の第1の圧縮率より高圧縮の低速用の第2の圧縮率で圧縮することができる。
【0278】
ここで、低速用の第1の圧縮率としては、中速用の第1の圧縮率よりも高圧縮の圧縮率を採用することができる。中速用の第2の圧縮率、及び、低速用の第2の圧縮率としては、同一の圧縮率を採用することができる。この場合、低速用の第1の圧縮率及び第2の圧縮率、並びに、中速の第1の圧縮率及び第2の圧縮率の関係は、低速用の第2の圧縮率=中速用の第2の圧縮率>低速用の第1の圧縮率>中速用の第1の圧縮となる。但し、ここでは、圧縮率の値が大きいほど、高圧縮であるとする。低速用の第1の圧縮率及び第2の圧縮率、並びに、中速の第1の圧縮率及び第2の圧縮率それぞれでの圧縮後のデータ量の関係は、低速用の第2の圧縮率による圧縮後のデータ量=中速用の第2の圧縮率による圧縮後のデータ量<低速用の第1の圧縮率による圧縮後のデータ量<中速用の第1の圧縮による圧縮後のデータ量となる。
【0279】
以上、車両10の車速及び走行方向(前進、後進)に応じて、BM画像及びRV画像のデータ量を調整する調整制御について説明した。調整制御の方法は、
図20及び
図21で説明した方法に限定されるものではない。すなわち、調整制御の方法は、車両伝送帯域や、イメージセンサ32の性能、BM表示部21及びRV表示部22の仕様等に応じて、適宜設定することができる。データ量は表示されるBM画像の画質やRV画像の画質と関係しているため、車両10の車速及び走行方向(前進、後進)に応じて、BM画像及びRV画像の画質を変えていると言える。
【0280】
また、調整制御において、BM画像及びRV画像の解像度を小さくすることは、BM画像及びRV画像を構成する画素数を少なくすることにより行うこともできるし、BM画像及びRV画像の(不可逆な)圧縮を、画素数を変化させずに行うことにより行うこともできる。
【0281】
BM画像及びRV画像を圧縮することにより、BM画像及びRV画像の解像度を小さくする場合、BM画像及びRV画像を圧縮する圧縮率としては、圧縮及び伸張により得られる、高周波成分等の一部の周波数成分が失われたBM画像及びRV画像の実質的な解像度(画像が有する最高の周波数成分)が、
図20や
図21で説明した解像度(画素数)と等価になるような圧縮率を採用することができる。
【0282】
<表示処理>
【0283】
図22は、
図17のビューイングシステムが行うBM画像及びRV画像を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【0284】
ステップS111において、イメージセンサ32は、撮影画像を撮影し、処理は、ステップS112に進む。
【0285】
ステップS112では、取得部135は、車両10から車両情報を取得し、制御部136に供給して、処理は、ステップS113に進む。
【0286】
ステップS113では、制御部136は、取得部135からの車両情報に応じて、イメージセンサ32の抽出制御を行う。イメージセンサ32は、制御部136の抽出制御に従い、撮影画像から、BM画像及びRV画像を抽出する。そして、イメージセンサ32は、BM画像及びRV画像を、データ量調整部133に供給して、処理は、ステップS113からステップS114に進む。
【0287】
ステップS114では、制御部136は、取得部135からの車両情報に応じて、データ量調整部133の調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整する。そして、データ量調整部133は、データ量が調整されたBM画像及びRV画像を、出力部134に供給して、処理は、ステップS114からステップS115に進む。
【0288】
ステップS115において、出力部134は、データ量調整部133からのデータ量が調整されたBM画像及びRV画像を、カメラユニット11の外部に出力し、BM画像を、BM表示部21に伝送するとともに、RV画像を、RV表示部22に伝送して、処理は、ステップS116に進む。
【0289】
ステップS116では、BM表示部21は、出力部134からのBM画像を、BM表示部21の仕様に従って表示するとともに、RV表示部22は、出力部134からのRV画像を、RV表示部22の仕様に従って表示する。
【0290】
<ビューイングシステムの第5の構成例>
【0291】
図23は、車両10に搭載されたビューイングシステムの第5の構成例を示すブロック図である。
【0292】
なお、図中、
図17の場合と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下では、その説明は、適宜省略する。
【0293】
図23において、ビューイングシステムは、カメラユニット11、BM表示部21、RV表示部22、及び、抽出部182を有し、カメラユニット11は、光学系31、イメージセンサ32、データ量調整部133、出力部134、取得部135、及び、制御部181を有する。
【0294】
したがって、
図23のビューイングシステムは、カメラユニット11、BM表示部21、及び、RV表示部22を有し、カメラユニット11が、光学系31ないし取得部135を有する点で、
図17の場合と共通する。
【0295】
但し、
図23のビューイングシステムは、抽出部182が新たに設けられている点、及び、カメラユニット11において、制御部136に代えて、制御部181が設けられている点で、
図17の場合と相違する。
【0296】
なお、
図23では、抽出部182は、カメラユニット11の外部に設けられているが、カメラユニット11の内部に設けることができる。
【0297】
制御部181には、取得部135から、車両情報が供給される。車両情報としては、例えば、走行情報や、BM表示部21及びRV表示部22の仕様、ジャイロ情報等がある。但し、この例では、取得部135から供給される車両情報には、運転者の視線及び頭部の位置は、含まれない。なお、車両10の運転者の視線及び頭部の位置は、車両情報の一部として抽出部182に入力される。
【0298】
制御部181は、制御部136と同様に、取得部135からの車両情報に応じて、イメージセンサ32の抽出制御、及び、データ量調整部133の調整制御を行う。
【0299】
但し、制御部181は、抽出制御において、運転者の視線及び頭部の位置のうちの一方又は両方に応じて、BM画像として抽出する領域R11(の位置)を制御する代わりに、領域R11よりサイズが大きい領域を、BM画像として抽出させる。
【0300】
したがって、
図23において、出力部134が出力するBM画像のサイズは、
図17及び
図12において、出力部134が出力するBM画像のサイズよりも大きい。
【0301】
図23において、出力部134が出力する領域R11より大きいサイズのBM画像は、抽出部182に供給される。
【0302】
抽出部182には、出力部134から領域R11より大きいサイズのBM画像が供給される他、車両情報のうちの、運転者の視線及び頭部の位置が供給される。
【0303】
抽出部182は、運転者の視線及び頭部の位置のうちの一方又は両方に応じて、出力部134からの領域R11より大きいサイズのBM画像の一部の領域、すなわち、領域R11と同一サイズの領域を、BM表示部21に表示させる最終的なBM画像として抽出し、BM表示部21に供給する。
【0304】
<撮影画像からのBM画像及びRV画像の抽出制御>
【0305】
図24は、制御部181による、撮影画像からのBM画像及びRV画像の抽出制御の例を説明する図である。
【0306】
図24は、
図4と同様に、光学系31のイメージサークルと、イメージセンサ32が撮影する撮影画像(イメージセンサ32の受光面)とを示している。
【0307】
制御部181は、抽出制御において、制御部136と同様に、領域R12を、RV画像として抽出するように、イメージセンサ32からのデータの読み出しを制御する。
【0308】
また、制御部181は、抽出制御において、撮像画像から、領域R11ではなく、領域R11のサイズよりも大きいサイズの領域R31を、BM画像として抽出するように、イメージセンサ32からのデータの読み出しを制御する。
【0309】
領域R31は、仮に、車両10に、室内バックミラーが設置されていたならば、運転者が視線や頭部を移動することにより、室内バックミラーによって運転者が見ることができる最大の範囲を包含する領域である。領域R11は、運転者の視線や頭部の位置に応じて位置が変更される可変の領域であるが、領域R31は、固定の領域である。
【0310】
抽出部182では、以上のような領域R31から、運転者の視線及び頭部の位置のうちの一方又は両方に応じた位置の領域であって、領域R11と同一サイズの領域が、BM表示部21に表示させる最終的なBM画像として抽出される。すなわち、抽出部182では、領域R31から、車両10に室内バックミラーが設置されていたならば、運転者が、その室内バックミラーによって観察するであろう領域R11が、BM画像として抽出される。
【0311】
<表示処理>
【0312】
図25は、
図23のビューイングシステムが行うBM画像及びRV画像を表示する表示処理の例を説明するフローチャートである。
【0313】
ステップS121において、イメージセンサ32は、撮影画像を撮影し、処理は、ステップS122に進む。
【0314】
ステップS122では、取得部135は、車両10から車両情報を取得し、制御部136に供給して、処理は、ステップS123に進む。
【0315】
ステップS123では、制御部136は、イメージセンサ32の抽出制御を行う。イメージセンサ32は、制御部136の抽出制御に従い、
図24で説明したように、撮影画像から、領域R31及びR12を、BM画像及びRV画像としてそれぞれ抽出する。そして、イメージセンサ32は、BM画像及びRV画像を、データ量調整部133に供給して、処理は、ステップS123からステップS124に進む。
【0316】
ステップS124では、制御部136は、取得部135からの車両情報に応じて、データ量調整部133の調整制御を行う。データ量調整部133は、制御部136の調整制御に従い、イメージセンサ32からのBM画像及びRV画像のデータ量を調整する。そして、データ量調整部133は、データ量が調整されたBM画像及びRV画像を、出力部134に供給して、処理は、ステップS124からステップS125に進む。
【0317】
ステップS125において、出力部134は、データ量調整部133からのデータ量が調整されたBM画像及びRV画像を、カメラユニット11の外部に出力して、処理は、ステップS126に進む。これにより、
図23では、BM画像は、抽出部182に供給され、RV画像は、RV表示部22に伝送される。
【0318】
ステップS126では、抽出部182は、車両10から、車両情報に含まれる運転者の視線及び頭部の位置を取得し、処理は、ステップS127に進む。
【0319】
ステップS127では、抽出部182は、出力部134からのBM画像から、運転者の視線及び頭部の位置に応じた位置の、領域R11と同一サイズの領域を、BM表示部21に表示させる最終的なBM画像として抽出する。そして、抽出部182は、最終的なBM画像を、BM表示部21に伝送して、処理は、ステップS127からステップS128に進む。
【0320】
ステップS128では、BM表示部21は、抽出部182からのBM画像を、BM表示部21の仕様に従って表示するとともに、RV表示部22は、出力部134からのRV画像を、RV表示部22の仕様に従って表示する。
【0321】
<本技術を適用したコンピュータの説明>
【0322】
次に、上述した一連の処理は、ハードウエアにより行うこともできるし、ソフトウエアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウエアによって行う場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0323】
図26は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0324】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク905やROM903に予め記録しておくことができる。
【0325】
あるいはまた、プログラムは、ドライブ909によって駆動されるリムーバブル記録媒体911に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体911は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体911としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0326】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体911からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク905にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0327】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)902を内蔵しており、CPU902には、バス901を介して、入出力インタフェース910が接続されている。
【0328】
CPU902は、入出力インタフェース910を介して、ユーザによって、入力部907が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)903に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU902は、ハードディスク905に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)904にロードして実行する。
【0329】
これにより、CPU902は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU902は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース910を介して、出力部906から出力、あるいは、通信部908から送信、さらには、ハードディスク905に記録等させる。
【0330】
なお、入力部907は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部906は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0331】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0332】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0333】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0334】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0335】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0336】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0337】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0338】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0339】
なお、本技術は、以下の構成をとることができる。
【0340】
<1>
車両の表示部に表示される画像を撮影するイメージセンサと、
前記車両で取得される車両情報に基づいて、前記イメージセンサからの画像の読み出しを制御する制御部と
を備える撮影装置。
<2>
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は前記傾き情報に応じて、イメージセンサからの画像の読出しを制御する
<1>に記載の撮影装置。
<3>
前記検出部は、前記車両の前側及び後ろ側への傾きを表す前記傾き情報を検出する
<2>に記載の撮影装置。
<4>
前記検出部は、前記車両の左側及び右側への傾きを表す前記傾き情報を検出する
<2>に記載の撮影装置。
<5>
前記検出部は、前記車両の前側及び後ろ側への傾きと、前記車両の左側及び右側への傾きとを表す前記傾き情報を検出する
<2>に記載の撮影装置。
<6>
前記制御部は、前記イメージセンサにおいて画像が読み出される読み出し位置を制御する
<1>ないし<5>のいずれかに記載の撮影装置。
<7>
前記読み出し位置は、前記イメージセンサにおいて画像の読み出しが開始される読み出し開始位置と、前記イメージセンサにおいて読み出される画像のサイズとで指定される
<6>に記載の撮影装置。
<8>
前記制御部は、前記表示部に表示される画像に写る路面の比率が所定の比率に維持されるように、前記イメージセンサからの画像の読み出しを制御する
<1>ないし<7>のいずれかに記載の撮影装置。
<9>
前記イメージセンサから読み出された画像の回転、及び、回転後の画像からの、前記表示部に表示する画像の切り出しを行う加工部をさらに備える
<1>ないし<8>のいずれかに記載の撮影装置。
<10>
前記制御部は、前記画像の回転を制御する
<9>に記載の撮影装置。
<11>
前記制御部は、前記車両の傾き情報に応じて、前記画像の回転の回転角度を算出し、その回転角度だけ、前記画像を回転させるように、前記画像の回転を制御する
<10>に記載の撮影装置。
<12>
前記車両情報は、前記車両が有するジャイロから得られるジャイロ情報、前記車両のサスペンションに関するサスペンション情報、前記車両の前方を撮影するフロントカメラから得られるフロントカメラ画像、及び、GPSから得られるGPS情報のうちの1以上である
<1>ないし<11>のいずれかに記載の撮影装置。
<13>
前記表示部は、クラスIミラーの代替となる表示部である
<1>ないし<12>のいずれかに記載の撮影装置。
<14>
車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の表示部に表示される画像を撮影するイメージセンサからの画像の読み出しを制御する制御ステップを備える
制御方法。
<15>
車両で取得される車両情報に基づいて、前記車両の表示部に表示される画像を撮影するイメージセンサからの画像の読み出しを制御する制御部
として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
<16>
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出ステップをさらに備え、
前記イメージセンサからの画像の読出しの制御は前記傾き情報に応じてなされる
ことを特徴とする<14>に記載の制御方法。
<17>
前記車両情報を用いて、前記車両の傾き情報を検出する検出部として、さらにコンピュータを機能させるプログラムであり、
前記イメージセンサからの画像の読出しの制御は前記傾き情報に応じてなされる
ことを特徴とする<15>に記載のプログラム。
<18>
前記車両情報は、車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
<1>ないし<13>のいずれかに記載の撮影装置。
<19>
前記車両情報は、車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
<14>又は<16>に記載の制御方法。
<20>
前記車両情報は、車両の速度情報とギア情報の少なくとも一つを含む
<15>又は<17>に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0341】
10 車両, 11 カメラユニット, 21 BM表示部, 22 RV表示部, 23 車内カメラ, 31 光学系, 32 イメージセンサ, 33 出力部, 41 取得部, 42 検出部, 43 制御部, 51 画素アレイ, 52 入力回路, 53 行選択回路, 54 列選択回路, 55 AD変換器, 56 ラインバッファ, 57 出力回路, 61 画素, 71 制御部, 72 加工部, 133 データ量調整部, 134 出力部, 135 取得部, 136 制御部, 181 制御部, 182 抽出部, 901 バス, 902 CPU, 903 ROM, 904 RAM, 905 ハードディスク, 906 出力部, 907 入力部, 908 通信部, 909 ドライブ, 910 入出力インタフェース, 911 リムーバブル記録媒体