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特許7342031ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/78 20060101AFI20230904BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230904BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20230904BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20230904BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B01J29/78 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 228
B01D53/94 241
B01D53/94 400
B01J37/02 301D
F01N3/08 B
F01N3/10 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020559561
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060307
(87)【国際公開番号】W WO2019206870
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】18168695.7
(32)【優先日】2018-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲンドルフ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンブヤ,カリファラ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ズンダーマン,アンドレアス
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-100757(JP,A)
【文献】特開2005-111436(JP,A)
【文献】特表2017-518874(JP,A)
【文献】特表2009-538735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 ー 38/74
B01D 53/94
F01N 3/00 ー 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料をみ、前記ゼオライト材料がAEI、CHA、これらの混合物、およびこれらの混合型からなる群から選択される骨格型を有する、前記基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含む、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒。
【請求項2】
第4族~第11族および第13族の金属が、アルミニウム、ガリウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタルおよびタングステンからなる群から選択され、より好ましくは、アルミニウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンからなる群から選択される、請求項1に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項3】
前記非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、チタン、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、好ましくはチタンおよび鉄のうちの1種以上、より好ましくはチタンおよび鉄とを含み、チタンが、前記非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在し、
前記非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含む、請求項1または2に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項4】
前記非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、アルミニウム、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、好ましくはアルミニウムとを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項5】
前記非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、バナジウム、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンのうちの1種以上、より好ましくはジルコニウムとを含み、
前記非ゼオライト酸化物材料が、より好ましくは、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含み、
より好ましくは、前記非ゼオライト酸化物材料中に含まれるマンガンがMnとして存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項6】
前記触媒において、前記コーティングに含まれる前記非ゼオライト酸化物材料が、10~100g/lの範囲、好ましくは30~90g/lの範囲、より好ましくは40~80g/lの範囲、より好ましくは50~70g/lの範囲の担持量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項7】
記コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が、CHAまたはAEIの骨格型、好ましくはCHAの骨格型を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項8】
前記コーティングに含まれる前記ゼオライト材料が銅を含み、ここで、前記ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算され、前記ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10質量%の範囲、より好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは2~5質量%の範囲、より好ましくは、2.5~4質量%の範囲であり、
より好ましくは、前記ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、および任意にHからなり、前記骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲である、請求項7に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項9】
前記触媒において、前記コーティングが60~300g/lの範囲、好ましくは80~250g/lの範囲、より好ましくは100~220g/lの範囲、より好ましくは140~200g/lの範囲、より好ましくは150~190g/lの範囲の担持量で前記ゼオライト材料を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項10】
前記コーティングが金属オキシドバインダーを更に含み、前記金属オキシド材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、並びにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む混合オキシドのうちの1種以上、より好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、より好ましくは前記触媒において、前記コーティングが、1~12g/lの範囲、より好ましくは2~10g/lの範囲、より好ましくは5~10g/lの範囲、より好ましくは6~9g/lの範囲の担持量で、前記金属オキシドバインダーを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項11】
前記触媒において、前記コーティングが、前記非ゼオライト酸化物材料を担持量(l1)で含み、そして、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料を担持量(l2)で含み、担持量(l1)の担持量(l2)に対する比、(l1):(l2)が、0.1:1~10:1の範囲、好ましくは0.1:1~5:1の範囲、より好ましくは0.1:1~2:1の範囲、より好ましくは0.15:1~1:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.2:1~0.45:1の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒と、ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒のうちの1種以上と、フィルター、好ましくは粒子フィルター、より好ましくは触媒化粒子フィルターとを含んでいる、好ましくはディーゼルエンジンから排出される排気ガス流を処理するための、排気ガス処理システム。
【請求項13】
選択的接触還元触媒、好ましくは請求項1から11のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒を調製するための方法であって、
(a) 入口端部と、出口端部と、前記入口端部から前記出口端部に延びる基材軸方向長さと、前記基材を貫通する前記基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材を提供する工程、
(b) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と水とを含むスラリーを調製する工程であって、前記ゼオライト材料がAEI、CHA、これらの混合物、およびこれらの混合型からなる群から選択される骨格型を有する、前記工程
(c) 工程(b)で得たスラリーを工程(a)によるフロースルー基材の内壁の表面上に配置し、スラリー処理した基材を得る工程、
(d) 工程(c)で得たスラリー処理した基材を任意に乾燥させ、コーティングが上に配置された基材を得る工程、
(e) 工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を焼成して、選択的接触還元触媒を得る工程
を含む方法。
【請求項14】
窒素酸化物が排気ガス流中に含まれており、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの、排気ガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された排気ガス流を、請求項1から11のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒に通すこと
を含む、窒素酸化物を選択的に触媒還元する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関する。更に、本発明は、前記選択的接触還元触媒を調製する方法、および前記触媒を使用して窒素酸化物を選択的触媒で還元する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NHを用いたNOxの選択的還元触媒(SCR-反応)に対するマンガンの活性は科学文献に記載されている。例えば、Fudong Liua,et al.、「Selective Catalytic reduction of NO with NH over iron titanate catalyst:Catalytic performance and characterization」、Applied Catalysis B:Environmental96(2010)、第408頁~第420頁には、低温性能が改善されたFe/TiOを含む選択的接触還元触媒が記載されている。
【0003】
Siva Sankar Reddy Putlurua,et al.、「Mn/TiO and Mn-Fe/TiO catalysts synthesized by depositionprecipitation―promising for selective catalytic reduction of NO with NH at low temperatures」、Applied Catalysis B:Environmental165(2015)、第628頁~第635頁では、低温性能が改善されたMn/TiOおよびMn-Fe/TiOを含む選択的接触還元触媒が記載されており、Wei Li,et al.、「The enhanced Zn resistance of Mn/TiO catalyst for NH-SCR reaction by the modification with Nb」、Fuel Processing Technology154(2016)、第235頁~第242頁でも、Mn/TiO触媒が記載されている。特に、マンガンおよび鉄を含浸させたチタニアの適用は、鉄含有ゼオライト材料に匹敵する良好な活性および安定性を有するようである。
【0004】
US7691769B2では、マンガンおよびセリウムで処理されたFe含有MFIゼオライト材料を含み、改善された低温性能を示すMn、CeO-Fe-ZSM-5触媒を形成する選択的接触還元触媒が記載されている。しかし、マンガン触媒の欠点は、排気ガス中に存在する硫黄による被毒に対するその感受性である。マンガン触媒は再生することができるが、これには触媒に蓄積された硫黄を脱離させるために700℃以上の温度を必要とすることが多い。
【0005】
あるいは、Douglas W.Crandell,et al.、「Computational and spectroscopic characterization of key intermediates of the Selective Catalytic Reduction cycle of NO on zeolite-supported Cu catalyst」、Inorganica Chimica Acta430(2015)、第132~第143頁では、NOの選択的接触還元触媒のための触媒として使用するCu-SSZ13ゼオライトが記載されている。US7601662B2では、Cu-CHAを含むNOx転化のための触媒が開示されている。しかし、選択的接触還元触媒としてのCu-CHAは、大量の亜酸化窒素の形成を誘発する。よって亜酸化窒素(NO)の形成を低減すると同時に費用効果が高い、改善された選択的還元触媒を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US7691769B2
【文献】US7601662B2
【非特許文献】
【0007】
【文献】Fudong Liua,et al.、「Selective Catalytic reduction of NO with NH3 over iron titanate catalyst:Catalytic performance and characterization」、Applied Catalysis B:Environmental96(2010)、第408頁~第420頁
【文献】Siva Sankar Reddy Putlurua,et al.、「Mn/TiO2 and Mn-Fe/TiO2 catalysts synthesized by depositionprecipitation―promising for selective catalytic reduction of NO with NH3 at low temperatures」、Applied Catalysis B:Environmental165(2015)、第628頁~第635頁
【文献】Wei Li,et al.、「The enhanced Zn resistance of Mn/TiO2 catalyst for NH3-SCR reaction by the modification with Nb」、Fuel Processing Technology154(2016)、第235頁~第242頁
【文献】Douglas W.Crandell,et al.、「Computational and spectroscopic characterization of key intermediates of the Selective Catalytic Reduction cycle of NO on zeolite-supported Cu catalyst」、Inorganica Chimica Acta430(2015)、第132~第143頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、新鮮条件およびエージング条件下で、NO形成を低減しながら改善されたNOx転化率を示し且つ費用効果が高い、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒を提供することである。
【0009】
驚くべきことに、本発明によるディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒は、新鮮条件およびエージング条件下で、亜酸化窒素形成を低減しながらNOx転化率を改善することができ且つ費用効果が高いことが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って本発明は、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料(oxidic material)を含み、更に、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、標準的なSCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、本発明によらない触媒a、bおよびcを用いて得られたNOx転化率を示す。
図2図2は、標準的なSCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、本発明によらない触媒a、bおよびcを用いて得られたNO形成を示す。
図3図3は、高速SCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、本発明によらない触媒a、bおよびcを用いて得られたNOx転化率を示す。
図4図4は、高速SCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、本発明によらない触媒a、bおよびcを用いて得られたNO形成を示す。
図5図5は、標準的なSCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、実施例1および2の触媒および比較例1の触媒を用いて得られたNOx転化率を示す。
図6図6は、標準的なSCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、実施例1および2の触媒および比較例1の触媒を用いて得られたNO形成を示す。
図7図7は、高速SCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、実施例1および2の触媒および比較例1の触媒を用いて得られたNOx転化率を示す。
図8図8は、高速SCR条件下、650℃で50時間エージングした後の、実施例1および2の触媒および比較例1の触媒を用いて得られたNO形成を示す。
図9図9は、250ppmのNO、250ppmのNO、750ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部Nを含むガス供給で、800℃で16時間エージングした後の、実施例1、2の触媒および比較例2、3および4の触媒を用いて得られたNOx転化率を示す。
図10図10は、250ppmのNO、250ppmのNO、750ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部Nを含むガス供給で、800℃で16時間エージングした後の、実施例1、2の触媒および比較例2、3および4の触媒を用いて得られたNO形成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、第4族~第11族および第13族の金属は、アルミニウム、ガリウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタルおよびタングステンからなる群から選択され、より好ましくは、アルミニウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンからなる群から選択される。
【0013】
非ゼオライト酸化物材料は、マンガンと、チタン、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、より好ましくはチタンおよび鉄のうちの1種以上、より好ましくはチタンおよび鉄とを含み、チタンは、非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在することが好ましい。
【0014】
非ゼオライト酸化物材料は、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含むことが好ましい。
【0015】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、マンガン、チタニア、鉄およびシリコンからなる。より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料の70~90質量%、より好ましくは75~90質量%、より好ましくは80~90質量%は、チタニアからなり、非ゼオライト酸化物材料の2~8質量%、より好ましくは3~5質量%は、MnOとして計算されるマンガンからなり、非ゼオライト酸化物材料の2~8質量%、より好ましくは2~5質量%は、SiOとして計算されるシリコンからなり、および非ゼオライト酸化物材料の0.5~4質量%、より好ましくは1~3質量%は、FeOとして計算される鉄からなる。
【0016】
従って本発明は、好ましくは、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと、チタンおよび鉄とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、チタンが非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在し、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含む。
【0017】
本発明では、非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、アルミニウム、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、より好ましくはアルミニウムとを含むことが好ましい。
【0018】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、酸素、マンガンおよびアルミニウムからなる。
【0019】
従って本発明は、好ましくは、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンおよびアルミニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含む。
【0020】
本発明では、非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、バナジウム、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンのうちの1種以上、より好ましくはジルコニウムとを含むことが好ましい。
【0021】
好ましくは、非ゼオライト酸化物材料は、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含む。
【0022】
好ましくは、非ゼオライト酸化物材料に含まれるマンガンは、Mnとして存在する。
【0023】
非ゼオライト酸化物材料の、好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、Mnとして存在するマンガン、ジルコニウム、およびランタンからなる。より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料の55~90質量%、より好ましくは60~80質量%、より好ましくは65~75質量%は、Mnとして存在するマンガンからなり、非ゼオライト酸化物材料の5~25質量%、より好ましくは10~20質量%は、ZrOとして計算されるジルコニウムからなり、および非ゼオライト酸化物材料の5~25質量%、より好ましくは10~20質量%は、Laとして計算されるランタンからなる。
【0024】
従って本発明は、好ましくは、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンおよびジルコニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含む。
【0025】
本発明では、触媒において、コーティングに含まれる非ゼオライト酸化物材料が、10~100g/lの範囲、より好ましくは30~90g/lの範囲、より好ましくは40~80g/lの範囲、より好ましくは50~70g/lの範囲の担持量を有することが好ましい。
【0026】
好ましくは、コーティングは、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料を含む。
【0027】
好ましくは、コーティングに含まれるゼオライト材料は骨格型を有し、その骨格型は、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、-SSO、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、コーティングに含まれるゼオライト材料は、より好ましくは骨格型CHAまたはAEI、より好ましくはCHAを有する。
【0028】
好ましくは、コーティングに含まれるゼオライト材料は銅を含み、ここで、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、CuOとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは0.1~10質量%の範囲、より好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは2~5質量%の範囲、より好ましくは、2.5~4質量%の範囲である。より好ましくは、コーティングのゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である。
【0029】
ゼオライト材料の骨格構造の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、Si、Al、O、および任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO:Alとして計算され、より好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲である。
【0030】
コーティングに含まれるゼオライト材料が鉄を含むことが好ましく、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、より好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲であり、より好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造の、95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、Si、Al、O、および任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲である。
【0031】
本発明では、コーティングに含まれる、骨格型CHAを有するゼオライト材料は、好ましくは、走査型電子顕微鏡により決定して少なくとも0.5マイクロメートルの平均結晶子径を有する。
【0032】
触媒において、コーティングが、60~300g/lの範囲、より好ましくは80~250g/lの範囲、より好ましくは100~220g/lの範囲、より好ましくは140~200g/lの範囲、より好ましくは150~190g/lの範囲の担持量で、ゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0033】
従って本発明は、好ましくは、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと、チタンおよび鉄とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、銅および鉄のうちの1種以上、より好ましくは銅を含むゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が骨格型CHAを有する、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、チタンが非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在し、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含むか、
または
マンガンおよびアルミニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、銅および鉄のうちの1種以上、より好ましくは銅を含むゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が骨格型CHAを有する、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
または
マンガンおよびジルコニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、銅および鉄のうちの1種以上、より好ましくは銅を含むゼオライト材料を含み、ゼオライト材料が骨格型CHAを有する、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含む。
【0034】
本発明では、コーティングが金属オキシドバインダーを更に含むことが好ましく、金属オキシド材料は、より好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、並びにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む混合オキシドのうちの1種以上、より好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、触媒において、コーティングが、1~12g/lの範囲、より好ましくは2~10g/lの範囲、より好ましくは5~10g/lの範囲、より好ましくは6~9g/lの範囲の担持量で、金属オキシドバインダーを含む。
【0035】
好ましくは、コーティングの90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料と、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とからなり、ここでより好ましくはゼオライト材料が骨格型CHAを有し、銅、より好ましくは本発明で定義する金属オキシドバインダーを含む。
【0036】
コーティングがバナジウムオキシドを含むことが好ましく、ここでバナジウムオキシドは、より好ましくはバナジウム(V)オキシドおよびバナジウム(IV)オキシドのうちの1種以上であり、バナジウムオキシドは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種以上を任意に含む。より好ましくは、バナジウムオキシドは、チタン、シリコンおよびジルコニウムのうちの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタンおよびシリコンのうちの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタニアおよびシリカ上に、より好ましくはチタニア上に担持され、チタニアはタングステンおよびシリコンのうちの1種以上を任意に含有する。
【0037】
好ましくは、コーティングの90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、マンガンと周期表の第4~11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料と、バナジウムオキシドとからなる。
【0038】
好ましくは、触媒において、コーティングが、触媒コーティングの全質量に基づいて、1~5質量%の範囲、より好ましくは2~4質量%の範囲の担持量で、Vとして計算されるバナジウムオキシドを含む。
【0039】
従って本発明は、好ましくは、ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒に関し、この触媒は、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと、チタンおよび鉄とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、より好ましくはバナジウム(V)オキシドおよびバナジウム(IV)オキシドのうちの1種以上であるバナジウムオキシドを含み、バナジウムオキシドが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種以上を任意に含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、チタンが非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在し、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含むか、
または
マンガンおよびアルミニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、およびより好ましくはバナジウム(V)オキシドおよびバナジウム(IV)オキシドのうちの1種以上であるバナジウムオキシドを更に含み、バナジウムオキシドが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種以上を任意に含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティングか、
または
マンガンおよびジルコニウムを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、およびより好ましくはバナジウム(V)オキシドおよびバナジウム(IV)オキシドのうちの1種以上であるバナジウムオキシドを更に含み、バナジウムオキシドが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種以上を任意に含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含み、
ここで、より好ましくは、非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、より好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含む。
【0040】
本発明では、コーティングの0~0.001質量%、より好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%がパラジウムおよび白金から、好ましくはパラジウム、白金およびロジウムから、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムから、より好ましくは貴金属からなることが好ましい。より好ましくは、コーティングは貴金属を含まない。
【0041】
好ましくは、触媒において、コーティングは、非ゼオライト酸化物材料を担持量(l1)で含み、そして、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを担持量(l2)で含み、担持量(l1)の担持量(l2)に対する比、(l1):(l2)は、0.1:1~10:1の範囲、より好ましくは0.1:1~5:1の範囲、より好ましくは0.1:1~2:1の範囲、より好ましくは0.15:1~1:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.2:1~0.45:1の範囲である。
【0042】
コーティングが基材軸方向長さの95~100%、より好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%を覆うことが好ましい。
【0043】
好ましくは、触媒のフロースルー基材は、セラミックまたは金属物質を含む。より好ましくは、触媒のフロースルー基材はセラミック物質を含み、より好ましくはセラミック物質からなり、セラミック物質は、より好ましくは、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、シリコンカーバイド、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、およびチタニアのうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドおよびコーディエライトのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくはこれらからなる。あるいは、より好ましくは、触媒のフロースルー基材は、金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、金属物質は、より好ましくは、酸素と、鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種以上とを含み、より好ましくはこれらからなる。
【0044】
触媒の98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、フロースルー基材およびコーティングからなることが好ましい。より好ましくは、触媒が、フロースルー基材およびコーティングからなることが好ましい。
【0045】
本発明は更に、本発明による選択的接触還元触媒と、ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒のうちの1種以上と、フィルター、好ましくは粒子フィルター、より好ましくは触媒化粒子フィルターとを含んでいる、好ましくはディーゼルエンジンから排出される排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムに関する。
【0046】
本発明は更に、選択的接触還元触媒、好ましくは本発明による選択的接触還元触媒を調製するための方法に関し、この方法は、
(a) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、基材を貫通する基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材を提供する工程、
(b) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更にバナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と水とを含むスラリーを調製する工程、
(c) 工程(b)で得たスラリーを工程(a)によるフロースルー基材の内壁の表面上に配置し、スラリー処理した基材を得る工程、
(d) 工程(c)で得たスラリー処理した基材を任意に乾燥させ、コーティングが上に配置された基材を得る工程、
(e) 工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を焼成して、選択的接触還元触媒を得る工程
を含む。
【0047】
好ましくは、工程(b)は
(b.1) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む、より好ましくはマンガン、チタン、鉄およびシリコンを含む、またはより好ましくはマンガン、ジルコニウムおよびランタンを含む、またはより好ましくはマンガンおよびアルミニウムを含む、好ましくは粉末の、非ゼオライト酸化物材料と水とを用いて、第1のスラリーを形成する工程、
(b.2) ジルコニルアセテート混合物と、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と水とを用いて、またはバナジウムオキサレート溶液を用いて、より好ましくは酸化物材料を添加し、より好ましくは分散剤を用いて、第2のスラリーを形成する工程、
(b.3) 工程(b.1)で得た第1のスラリーと、工程(b.2)で得た第2のスラリーとを、より好ましくは10~40℃の範囲の温度で、より好ましくは15~30℃の範囲の温度で混合する工程
を含む。
【0048】
好ましくは、工程(c)は、基材軸方向長さの95~100%、より好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたってスラリーを配置することを含む。
【0049】
工程(c)によれば、スラリーを配置することは、好ましくは湿式含浸または噴霧によって、より好ましくは湿式含浸、より好ましくはディップコーティングによって行う。
【0050】
工程(d)によれば、工程(c)で得たスラリー処理した基材を、好ましくは、90~200℃の範囲、より好ましくは100~160℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度で、ガス雰囲気中で乾燥させる。
【0051】
工程(d)によれば、工程(c)で得たスラリー処理した基材を、好ましくは、0.5~4時間の範囲、より好ましくは1~3時間の範囲の持続時間で、ガス雰囲気中で乾燥させる。
【0052】
工程(d)に関して、ガス雰囲気が、空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気であることが好ましい。
【0053】
工程(e)によれば、工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を、好ましくは、300~700℃の範囲、より好ましくは400~650℃の範囲、より好ましくは500~650℃の範囲の温度で焼成する。
【0054】
工程(e)によれば、工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を、好ましくは、0.2~6時間の範囲、より好ましくは0.5~4時間の範囲、より好ましくは1~3時間の範囲の持続時間で焼成する。
【0055】
工程(e)に関して、ガス雰囲気が、空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気であることが好ましい。
【0056】
選択的接触還元触媒、より好ましくは本発明による選択的接触還元触媒を調製する工程は、
(a) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、基材を貫通する基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材を提供する工程、
(b) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更にバナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料を含む選択的触媒還元成分と水とを含むスラリーを調製する工程、
(c) 工程(b)で得たスラリーを工程(a)によるフロースルー基材の内壁の表面上に配置し、スラリー処理した基材を得る工程、
(d) 工程(c)で得たスラリー処理した基材を任意に乾燥させ、コーティングが上に配置された基材を得る工程、
(e) 工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を焼成して、選択的接触還元触媒を得る工程
からなることが好ましい。
【0057】
本発明は更に、選択的接触還元触媒、好ましくは、本発明による方法によって得ることができるかまたは得られる、本発明の選択的接触還元触媒に関する。
【0058】
本発明は更に、好ましくはディーゼルエンジンからの排気ガス流中に含まれる窒素酸化物の選択的触媒還元のための、本発明による選択的接触還元触媒の使用に関する。
【0059】
本発明は更に、窒素酸化物を選択的に触媒還元する方法に関し、ここで窒素酸化物が排気ガス流中に含まれており、この方法は、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの、排気ガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された排気ガス流を、本発明による選択的接触還元触媒に通すこと
を含む。
【0060】
本発明を、示した従属的参照および後方参照から生じる以下の一連の実施形態および実施形態の組み合わせによって説明する。特に、実施形態の範囲が言及される各場合において、例えば、「実施形態1から4のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒」などの用語において、この範囲のすべての実施形態が当業者に明確に開示されることが意図されていることに留意されたい。すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、および4のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒」と同義であるとして、当業者に理解される。
【0061】
1. ディーゼルエンジン排気ガス処理用の選択的接触還元触媒であって、
(i) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、フロースルー基材を貫通すると共にフロースルー基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材、
(ii) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更に、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを含む、基材の内壁の表面に配置されたコーティング
を含む、選択的接触還元触媒。
【0062】
2. 第4族~第11族および第13族の金属が、アルミニウム、ガリウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、タンタルおよびタングステンからなる群から選択され、より好ましくは、アルミニウム、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンからなる群から選択される、実施形態1に記載の選択的接触還元触媒。
【0063】
3. 非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、チタン、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、好ましくはチタンおよび鉄のうちの1種以上、より好ましくはチタンおよび鉄とを含み、チタンが、非ゼオライト酸化物材料中にチタニアとして存在する、実施形態1または2に記載の選択的接触還元触媒。
【0064】
4. 非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはシリコンを更に含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0065】
5. 非ゼオライト酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、マンガン、チタニア、鉄およびシリコンからなる、実施形態1から4のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0066】
6. 非ゼオライト酸化物材料の70~90質量%、好ましくは75~90質量%、より好ましくは80~90質量%がチタニアからなり、非ゼオライト酸化物材料の2~8質量%、好ましくは3~5質量%がMnOとして計算されるマンガンからなり、非ゼオライト酸化物材料の2~8質量%、好ましくは2~5質量%がSiOとして計算されるシリコンからなり、および非ゼオライト酸化物材料の0.5~4質量%、好ましくは1~3質量%がFeOとして計算される鉄からなる、実施形態5に記載の選択的接触還元触媒。
【0067】
7. 非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、アルミニウム、バナジウム、鉄およびタングステンのうちの1種以上、好ましくはアルミニウムとを含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0068】
8. 非ゼオライト酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、酸素、マンガンおよびアルミニウムからなる、実施形態7に記載の選択的接触還元触媒。
【0069】
9. 非ゼオライト酸化物材料が、マンガンと、バナジウム、コバルト、ジルコニウムおよびタングステンのうちの1種以上、より好ましくはジルコニウムとを含む、実施形態1から8のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0070】
10. 非ゼオライト酸化物材料が、シリコン、アンチモン、ランタン、セリウム、プラセオジムおよびネオジムのうちの1種以上、好ましくはシリコン、ランタンおよびセリウムのうちの1種以上、より好ましくはランタンを更に含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0071】
11. 非ゼオライト酸化物材料中に含まれるマンガンがMnとして存在する、実施形態1から10のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0072】
12. 非ゼオライト酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Mnとして存在するマンガン、ジルコニウムおよびランタンからなる、実施形態1から11のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0073】
13. 非ゼオライト酸化物材料の55~90質量%、好ましくは60~80質量%、より好ましくは65~75質量%がMnとして存在するマンガンからなり、非ゼオライト酸化物材料の5~25質量%、好ましくは10~20質量%がZrOとして計算されるジルコニウムからなり、および非ゼオライト酸化物材料の5~25質量%、好ましくは10~20質量%がLaとして計算されるランタンからなる、実施形態12に記載の選択的接触還元触媒。
【0074】
14. 触媒において、コーティングに含まれる非ゼオライト酸化物材料が、10~100g/lの範囲、好ましくは30~90g/lの範囲、より好ましくは40~80g/lの範囲、より好ましくは50~70g/lの範囲の担持量を有する、実施形態1から13のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0075】
15. コーティングが、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料を含む、実施形態1から14のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0076】
16. コーティングに含まれるゼオライト材料が骨格型を有し、その骨格型が、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、-SSO、SSY、STF、STI、STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、好ましくはAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、より好ましくはAEI、CHA、BEA、これらの2種以上の混合物、およびこれらの2種以上の混合型からなる群から選択され、コーティングに含まれるゼオライト材料が、より好ましくは骨格型CHAまたはAEI、より好ましくはCHAを有する、実施形態1から15のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0077】
17. コーティングに含まれるゼオライト材料が銅を含み、ここで、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10質量%の範囲、好ましくは1~8質量%の範囲、より好ましくは2~5質量%の範囲、より好ましくは、2.5~4質量%の範囲である、実施形態15または16に記載の選択的接触還元触媒。
【0078】
18. コーティングのゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である、実施形態17に記載の選択的接触還元触媒。
【0079】
19. ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、および任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲である、実施形態1から18のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0080】
20. コーティングに含まれるゼオライト材料が鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Feとして計算され、ゼオライト材料の総質量に基づいて、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲であり、および好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、および任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~30:1の範囲である、実施形態1から19のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0081】
21. コーティングに含まれる、骨格型CHAを有するゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定して少なくとも0.5マイクロメートルの平均結晶子径を有する、実施形態16から20のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0082】
22. 触媒において、コーティングが60~300g/lの範囲、好ましくは80~250g/lの範囲、より好ましくは100~220g/lの範囲、より好ましくは140~200g/lの範囲、より好ましくは150~190g/lの範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態1から21のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0083】
23. コーティングが金属オキシドバインダーを更に含み、金属オキシド材料が、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、並びにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む混合オキシドのうちの1種以上、より好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種以上、より好ましくはジルコニアを含み、触媒において、より好ましくは、コーティングが1~12g/lの範囲、より好ましくは2~10g/lの範囲、より好ましくは5~10g/lの範囲、より好ましくは6~9g/lの範囲の担持量で、金属オキシドバインダーを含む、実施形態1から22のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0084】
24. コーティングの90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料と、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と、好ましくは実施形態23に記載の金属オキシドバインダーとからなる、実施形態1から23のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0085】
25. コーティングがバナジウムオキシドを含み、バナジウムオキシドが、好ましくはバナジウム(V)オキシドおよびバナジウム(IV)オキシドのうちの1種以上であり、バナジウムオキシドが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種以上を任意に含む、実施形態1から24のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0086】
26. バナジウムオキシドが、チタン、シリコンおよびジルコニウムのうちの1種以上を含む酸化物材料、好ましくはチタンおよびシリコンのうちの1種以上を含む酸化物材料、より好ましくはチタニアおよびシリカ上に、より好ましくはチタニア上に担持され、チタニアがタングステンおよびシリコンのうちの1種以上を任意に含有する、実施形態25に記載の選択的接触還元触媒。
【0087】
27. コーティングの90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料と、バナジウムオキシドとからなる、実施形態25または26に記載の選択的接触還元触媒。
【0088】
28. 触媒において、コーティングが、触媒コーティングの全質量に基づいて、1~5質量%の範囲、好ましくは2~4質量%の範囲の担持量で、Vとして計算されるバナジウムオキシドを含む、実施形態25から27のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0089】
29. コーティングの0~0.001質量%、好ましくは0~0.0001質量%、より好ましくは0~0.00001質量%がパラジウムおよび白金から、好ましくはパラジウム、白金およびロジウムから、より好ましくはパラジウム、白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムから、より好ましくは貴金属からなり、より好ましくは、コーティングが貴金属を含まない、実施形態1から28のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0090】
30. 触媒において、コーティングが、非ゼオライト酸化物材料を担持量(l1)で含み、そして、バナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料とを担持量(l2)で含み、担持量(l1)の担持量(l2)に対する比、(l1):(l2)が、0.1:1~10:1の範囲、好ましくは0.1:1~5:1の範囲、より好ましくは0.1:1~2:1の範囲、より好ましくは0.15:1~1:1の範囲、より好ましくは0.15:1~0.5:1の範囲、より好ましくは0.2:1~0.45:1の範囲である、実施形態1から29のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0091】
31. コーティングが基材軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%の範囲を覆う、実施形態1から30のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0092】
32. 触媒のフロースルー基材が、セラミックまたは金属物質を含む、実施形態1から31のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0093】
33. 触媒のフロースルー基材がセラミック物質を含み、好ましくはセラミック物質からなり、セラミック物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、シリコンカーバイド、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネル、およびチタニアのうちの1種以上、より好ましくはシリコンカーバイドおよびコーディエライトのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含み、より好ましくはこれらからなる、実施形態1から32のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0094】
34. 触媒のフロースルー基材が金属物質を含み、好ましくは金属物質からなり、金属物質が、酸素と、鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種以上とを好ましくは含み、より好ましくはこれらからなる、実施形態1から32のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0095】
35. 触媒の98~100質量%、好ましくは99~100質量%が、フロースルー基材およびコーティングからなる、実施形態1から34のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0096】
36. 触媒がフロースルー基材およびコーティングからなる、実施形態1から35のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0097】
37. 実施形態1から36のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒と、ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、アンモニア酸化触媒のうちの1種以上と、フィルター、好ましくは粒子フィルター、より好ましくは触媒化粒子フィルターとを含んでいる、好ましくはディーゼルエンジンから排出される排気ガス流を処理するための、排気ガス処理システム。
【0098】
38. 選択的接触還元触媒、好ましくは実施形態1から36のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒を調製するための方法であって、
(a) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、基材を貫通する基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材を提供する工程、
(b) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更にバナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と水とを含むスラリーを調製する工程、
(c) 工程(b)で得たスラリーを工程(a)によるフロースルー基材の内壁の表面上に配置し、スラリー処理した基材を得る工程、
(d) 工程(c)で得たスラリー処理した基材を任意に乾燥させ、コーティングが上に配置された基材を得る工程、
(e) 工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を焼成して、選択的接触還元触媒を得る工程
を含む方法。
【0099】
39. 工程(b)が、
(b.1) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む、好ましくはマンガン、チタン、鉄およびシリコンを含む、または好ましくはマンガン、ジルコニウムおよびランタンを含む、または好ましくはマンガンおよびアルミニウムを含む、好ましくは粉末の、非ゼオライト酸化物材料と水とを用いて、第1のスラリーを形成する工程、
(b.2) ジルコニルアセテート混合物と、銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料と水とを用いて、またはバナジウムオキサレート溶液を用いて、好ましくは酸化物材料を添加し、より好ましくは分散剤を用いて、第2のスラリーを形成する工程、
(b.3) 工程(b.1)で得た第1のスラリーと、工程(b.2)で得た第2のスラリーとを、好ましくは10~40℃の範囲の温度で、より好ましくは15~30℃の範囲の温度で混合する工程
を含む、実施形態38に記載の方法。
【0100】
40. 工程(c)が、基材軸方向長さの95~100%、好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたってスラリーを配置することを含む、実施形態38または39に記載の方法。
【0101】
41. 工程(c)によりスラリーを配置することを、湿式含浸または噴霧によって、好ましくは湿式含浸、より好ましくはディップコーティングによって行う、実施形態38から40のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
42. 工程(d)により、工程(c)で得たスラリー処理した基材を、90~200℃の範囲、好ましくは100~160℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度で、ガス雰囲気中で乾燥させる、実施形態38から41のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
43. 工程(d)により、工程(c)で得たスラリー処理した基材を、0.5~4時間の範囲、好ましくは1~3時間の範囲の持続時間で、ガス雰囲気中で乾燥させる、実施形態38から42のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
44. ガス雰囲気が、空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気である、実施形態42または43に記載の方法。
【0105】
45. 工程(e)により、工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を、300~700℃の範囲、好ましくは400~650℃の範囲、より好ましくは500~650℃の範囲の温度で焼成する、実施形態38から44のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
46. 工程(e)により、工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を、0.2~6時間の範囲、好ましくは0.5~4時間の範囲、より好ましくは1~3時間の範囲の持続時間で焼成する、実施形態38から45のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
47. ガス雰囲気が、空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気を含み、より好ましくは空気、希薄空気、および酸素のうちの1種以上、より好ましくは空気である、実施形態45または46に記載の方法。
【0108】
48. (a) 入口端部と、出口端部と、入口端部から出口端部に延びる基材軸方向長さと、基材を貫通する基材の内壁によって規定される複数の通路とを含むフロースルー基材を提供する工程、
(b) マンガンと周期表第4族~第11族および第13族の金属のうちの1種以上とを含む非ゼオライト酸化物材料を含み、更にバナジウムオキシドのうちの1種以上と銅および鉄のうちの1種以上を含むゼオライト材料を含む選択的触媒還元成分と水とを含むスラリーを調製する工程、
(c) 工程(b)で得たスラリーを工程(a)によるフロースルー基材の内壁の表面上に配置し、スラリー処理した基材を得る工程、
(d) 工程(c)で得たスラリー処理した基材を任意に乾燥させ、コーティングが上に配置された基材を得る工程、
(e) 工程(c)で得たスラリー処理した基材、または工程(d)で得たコーティングが上に配置された基材を焼成して、選択的接触還元触媒を得る工程
からなる、実施形態38から47のいずれか一項に記載の方法。
【0109】
49. 選択的接触還元触媒、好ましくは、実施形態38から48のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるかまたは得られる、実施形態1から36のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒。
【0110】
50. 好ましくはディーゼルエンジンからの排気ガス流中に含まれる窒素酸化物の選択的触媒還元のための、実施形態1から36のいずれか一項、または実施形態49に記載の選択的接触還元触媒の使用。
【0111】
51. 窒素酸化物が排気ガス流中に含まれており、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの、排気ガス流を提供すること、
(2) (1)で提供された排気ガス流を、実施形態1から36のいずれか一項に記載の選択的接触還元触媒、または実施形態49に記載の選択的接触還元触媒に通すこと
を含む、窒素酸化物を選択的に触媒還元する方法。
【0112】
本発明では、「内壁の表面」という用語は、「露わな」または「むき出しの」または「空白の」壁の表面、すなわち、表面を汚染するおそれのあるあらゆる不可避な不純物とは別の、壁の材料からなる未処理状態の壁の表面として理解される。
【0113】
本発明を、以下の参考例、比較例、および実施例によって更に例示する。
【実施例
【0114】
参考例1:Dv90値の決定
粒子径分布を、Sympatec HELOS装置を使用した静的光散乱法により決定したところ、試料の光学濃度は5~10%の範囲であった。
【0115】
参考例2:Cu-CHAの調製
Cuを含む骨格型CHAを有し、本明細書の実施例(実施例1、2および5、比較例1~4)で使用したゼオライト材料は、US8293199B2の教示に従い調製した。特に、US8293199B2、第15列目、第26~52行目の発明例2を参照されたい。
【0116】
参考例3:参考例2のCu-CHA、チタニアおよびマンガンを含む酸化物の混合物、およびマンガンオキシドを含む酸化物の混合物の試験-NOx転化率およびNO形成
純粋なCu-CHA、チタニアおよびマンガンを含む酸化物の混合物、およびマンガンオキシドを含む酸化物の混合物それぞれについて、標準的なSCR条件下(ガス空間速度(GHSV):80000h-1、500ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)および高速SCR条件下(GHSV:80000h-1、125ppmのNO、375ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)でのNOx転化率およびNO形成の性能を測定するために、粉末試験を行った。参考例2のCu-CHAの粉末88mg(触媒a)、15質量%のLaおよび15質量%のZrOを含浸させたMn(70質量%)を含む粉末120mg(触媒b)、およびTiO(87.1質量%)と共にSiOとして計算されるSiを3.6質量%、FeOとして計算されるFeを1.9質量%、MnOとして計算されるMnを4.1質量%含む粉末120mg(触媒c)を、別々にコランダムを使用して約1mlに希釈した。各試料は、2g/inのウォッシュコート担持量を有するコーティングされた触媒1mlに相当する。触媒a、bおよびcを、空気中で10%蒸気を用いて650℃で50時間エージングした。
【0117】
標準的なSCR反応中のNOx転化率およびNO形成を図1および図2に示す。図1および2からわかるように、純粋なCu-CHA試料(触媒a)は175℃で30%のNOx転化率を有し、NOx転化率は250℃でほぼ100%まで急速に増加した。この転化率は、575℃の温度までほぼ一定に留まった。触媒bは175℃で40%のNOx転化率を示したが、前記転化率は、触媒aと比較すると、温度上昇に伴って緩やかに上昇した。更に、NOx転化率は、250℃での最高値70%から、高温では非常に負のNOx転化率へと減少した。負のNOx転化率は、NHがNよりも急速にNOxに酸化されることを意味すると想定される。更に、この材料で非常に高いNO形成もあった。これとは反対に、触媒cについては、低温でのNOx転化はなく、NOx転化率の最高値は450℃で40%にしか達しなかった。更に、350~575℃までは、触媒bよりも高いNOx転化率を示し、これは温度が高いほどNH酸化率が低いことを示す。550℃および575℃でのみ、触媒cで著しいNO形成があり、250~550℃では、触媒bで高いNO形成があった。
【0118】
高速SCR反応中のNOx転化率およびNO形成を図3および4に示す。図3および4からわかるように、NOx転化率は、触媒a、bおよびcすべてで、より高かった。これは特に、175~250℃の温度でNOとの活性がなく、供給ガスのみ(標準SCR)の触媒cで明白であった。ここで、触媒cでのNOx転化は、175℃で40%から開始し、300℃で50%まで増加した。形成されたNOはごくわずかであった。触媒bを用いたNOx転化率に関しては、NOのみ(標準SCR)を用いた結果の方に類似しており、すなわち、NOx転化率は、触媒aおよびcと比較すると175℃で最も高く、250℃でその最高値70%に到達したが、300℃で50%まで低下したことが理解できる。触媒bでのNO形成は依然として非常に高かった。触媒aについては、NO形成は比較的低かったが、触媒cよりも高かった。しかしながら、触媒は175℃以外で最高のNOx転化率を得た。
【0119】
この例は、Cu-CHAのみを含む触媒、ドープされたマンガンのみを含む触媒、およびマンガンでドープされたチタニアのみを含む触媒を、標準的なSCR反応および高速SCR反応に使用する場合の異なる問題点を例示した。
【0120】
参考例4:一般的なコーティング方法
フロースルー基材をコーティングで被覆するために、フロースルー基材を所与のスラリーの一部に垂直方向で、適用するコーティングの目標長さと等しい基材の特定の長さで浸漬した。このようにして、ウォッシュコートを基材の壁と接触させた。試料を特定の時間、通常は1~10秒の間、スラリー中に放置した。次いで、基材をスラリーから取り出し、余分なスラリーを、基材から排出させてから圧縮空気を(スラリーの浸透方向に逆らって)吹き付けることにより除去した。
【0121】
実施例1:本発明による触媒の調製
a) 新鮮な触媒の調製
焼成後の触媒中の最終担持量60g/lに相当する、マンガンオキシド粉末(85m/gのBET比表面積、10~25マイクロメートルのDv90、94質量%の固形分を有する、15質量%のLaおよび15質量%のZrOでドープしたMn(70質量%))を、脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーをボールミルで粉砕し、Dv90を6マイクロメートルに到達させた。
【0122】
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、脱イオン水と混合した。得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルに到達するまでボールミルで粉砕した。
【0123】
ゼオライトスラリーに金属オキシドスラリーを添加して室温で30分間撹拌し、40質量%の固形分含量を有する最終スラリーを作った。次いで最終スラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)セル、および0.135ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後のコーティングのウォッシュコート担持量は238g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、Laとして計算されるLaを15質量%有するマンガン(III)オキシドが60g/l、ZrOとして計算されるZrが15質量%、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0124】
b) a)で得られた触媒のエージング
a)で得られた触媒を、空気中で10%蒸気を用いて650℃で50時間エージングした。
【0125】
実施例2:本発明による触媒の調製
a) 新鮮な触媒の調製
チタニア粉末(SiOとして計算されるSiを3.6質量%、FeOとして計算されるFeを1.9質量%、およびMnOとして計算されるMnを4.1質量%有し、96m/gのBET比表面積を有するTiO(87.1質量%))を、脱イオン水と混合することにより、チタニアスラリーを調製した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書の参考例1に記載のように決定したDv90が5~10マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。
【0126】
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。
【0127】
ゼオライトスラリーにチタニアスラリーを添加して室温で30分間撹拌し、40質量%の固形分含量を有する最終スラリーを得た。次いで最終スラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)セル、0.13ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は238g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、SiOとして計算されるSiを3.6質量%、FeOとして計算されるFeを1.9質量%、およびMnOとして計算されるMnを4.1質量%有するチタニアが60g/l、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0128】
b) a)で得られた触媒のエージング
a)で得られた触媒を、空気中で10%蒸気を用いて650℃で50時間エージングした。
【0129】
比較例1:マンガンおよび1種以上の遷移金属を含まない、本発明によらない触媒の調製
a) 新鮮な触媒の調製
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、焼成後の触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が9g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量174g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。次いでスラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.56)セル、0.1ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は183g/lであり、これにはCu-CHAが174g/l、およびジルコニアが9g/l含まれていた。
【0130】
b) a)で得られた触媒のエージング
a)で得られた触媒を、空気中で10%蒸気を用いて650℃で50時間エージングした。
【0131】
実施例3:実施例1、2の触媒および比較例1の触媒の使用-NOx転化率およびNO形成
実施例1(b)、2(b)および比較例1(b)のエージングした触媒を、標準的なSCR条件下(GHSV:80000h-1、500ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)および高速SCR条件下(GHSV:80000h-1、125ppmのNO、375ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)で選択的接触還元触媒試験に供した。NOx転化率およびNO形成は、標準的なSCRについては175~575℃、高速SCRについては175~300℃の温度範囲で測定した。
【0132】
標準的なSCR反応中のNOx転化率およびNO形成を図5および図6に示す。図5からわかるように、175~200℃および300~450℃で、実施例1および2、および比較例1の触媒のNOx転化率は同様であった。すべての試料は、NOx転化率100%に300℃でほぼ到達した。200~300℃では、本発明による触媒を用いて得られたNOx転化率は、比較例の触媒よりもわずかに高かった(2~3%)。より高い温度、すなわち550~575℃では、実施例1の触媒は、他の2つの試料よりも低いNOx転化率(5~10%)を示した。図6からわかるように、実施例1の触媒を用いて得られたNO形成は、175~300℃で約3~4ppmであったのに対し、比較例1の触媒を用いて得られたNO形成は、4.4~10.4ppmであり、250℃にピークを有していた。前記ピークにおいて、本発明による触媒を用いて得られたNO形成は、比較例1の触媒を用いて得られたNO形成よりも50%を超えて低かった。更に、実施例2の触媒は、全温度範囲、すなわち175~575℃の温度にかけて、比較例1の触媒よりも低いNO形成を示した。この例は、標準的なSCR条件下で、マンガンを主に含む非ゼオライト酸化物材料を用いた本発明による触媒は、低~中間温度、すなわち175~350℃でNOx転化率を維持または改善しながらNO形成を低減することができ、およびチタニアとマンガンとを含む非ゼオライト酸化物材料を用いた本発明による触媒は、広い温度範囲、すなわち175~575℃でNO形成を低減しながらNOx転化率を改善できることを実証している。
【0133】
高速SCR反応中のNOx転化率およびNO形成を図7および図8に示す。図7からわかるように、175~250℃では、比較例1の触媒と比較して、実施例1および2の触媒は改善されたNOx転化率を示す。300℃では、3つの試料から得られたNOx転化率は100%であった。図8からわかるように、実施例1の触媒は3.8~6.0ppmのNO形成を示し、実施例2の触媒は4.3~7.7ppmのNO形成を示した一方で、比較例1の触媒はより高い5.6~14.1ppmのNO形成を示した。よってこの例は、高速SCR条件下で、本発明による触媒が、175℃~300℃の間の温度でNO形成を低減しながら改善されたNOx転化率を得ることができることを実証している。
【0134】
比較例2:マンガンを含まない非ゼオライト酸化物材料を用いた本発明によらない触媒の調製
チタニア粉末(200m/gのBET比表面積を有する、TiO88質量%およびSiOとして計算されるSi6.5質量%)を、脱イオン水と混合することにより、チタニアスラリーを調製した。これは焼成後の触媒中の最終チタニア材料担持量60g/lに相当する。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書の参考例1に記載のように決定したDv90が6マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。
【0135】
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、焼成後の触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。
【0136】
ゼオライトスラリーにチタニアスラリーを添加して室温で30分間撹拌し、40質量%の固形分含量を有する最終スラリーを形成した。次いで最終スラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.56)セル、0.1ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後の触媒中のコーティングのウォッシュコート担持量は238g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、Si含有チタニアが60g/l、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0137】
比較例3:マンガンを含む非ゼオライト酸化物材料を含まない、本発明によらないMn-Cu-CHAを含む触媒の調製
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、焼成後の触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。更に、マンガンニトレート(Mn(NO)溶液(MnOとして計算されるMn49質量%)27gを得られたスラリーに添加して混合した。次いで得られたスラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)セル、0.1ミリメートル(4ミル(mil))の壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後のコーティングのウォッシュコート担持量は187g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、MnOとして計算されるMnが9g/l、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0138】
比較例4:本発明によらない触媒の調製
チタニア粉末(FeOとして計算されるFeを2質量%、およびSiOとして計算されるSiを4質量%有するTiO)を、脱イオン水と混合することにより、チタニアスラリーを調製した。これは焼成後の触媒中の最終チタニア材料担持量60g/lに相当する。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書の参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。
【0139】
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、焼成後の触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。ゼオライトスラリーにチタニアスラリーを添加して室温で30分間撹拌し、40質量%の固形分含量を有する最終スラリーを形成した。次いで最終スラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.56)セル、0.1ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥し、600℃で2時間焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は238g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、Si/Fe含有チタニアが60g/l、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0140】
実施例4:実施例1、2、比較例2、3および4の触媒の使用-NOx転化率およびNO形成
実施例1(a)、2(a)および比較例2、3および4の触媒を、空気中で10%蒸気を用いて800℃で16時間エージングさせ、選択的接触還元触媒試験に供した(GHSV:80000h-1、250ppmのNO、250ppmのNO、750ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)。NOx転化率およびNO形成は、140~350℃の温度範囲で測定した。結果を図9および10に示す。
【0141】
図9からわかるように、実施例1の触媒および比較例3の触媒を用いて得られたNOx転化率はほぼ同様であった。しかしながら、マンガンニトレート溶液を使用して調製した比較例3の触媒は、より高いNO形成を示した。例えば、約240℃で、比較例3の触媒では16ppmを超えるNO形成があった一方で、実施例1の触媒では約11ppmのNO形成があった。更に、実施例2の触媒を用いて得られたNOx転化率は、比較例2および4の触媒を用いて得られたNOx転化率よりもわずかに大きく、比較例3の触媒を用いて得られたNOx転化率よりも大きかった(約10~20%から)。更に、実施例2の触媒は、比較例2~4の触媒よりも低いNO形成を示した。例えば、350℃で、実施例2の触媒では約11ppmのNO形成があった一方で、比較例2の触媒では15ppmを超えるNO形成があり、比較例3の触媒では約17ppmのNO形成があり、比較例4の触媒では15ppmのNO形成があった。この例は、マンガンを主に含む非ゼオライト酸化物材料を用いた本発明による触媒は、厳しいエージング後も良好なNOx転化率を維持しながらNO形成を低減することができ、およびチタニアとマンガンとを主に含む非ゼオライト酸化物材料を用いた本発明による触媒は、厳しいエージング後もNO形成を低減しながらNOx転化率を改善できることを実証している。更に、この例は、マンガンをイオンとしてCu-CHAと共に使用しても、厳しいエージング後にNO形成を低減しながら大きなNOx転化率を得ることはできず、マンガンを含む非ゼオライト酸化物材料の存在が必須であることを示している。
【0142】
実施例5:本発明による触媒の調製
a) 新鮮な触媒の調製
酸化物スラリーは、酸化物粉末(140m/gのBET比表面積、0.82ml/gの総細孔容積、および54マイクロメートルのDv50を有する、95.4質量%のAl(混合オキシド)および4.6質量%のMnO(混合オキシド))を脱イオン水と混合することにより調製した。
【0143】
15質量%の固形分含量を有するジルコニルアセテート混合物を、焼成後の触媒中の最終ジルコニア担持量(ZrOとして計算される)が8g/lとなるように、焼成後の触媒中の最終Cu-CHA担持量170g/lに相当するCu-ゼオライト(SiO対Alモル比(SAR)25を有し、CuOとして計算されるCuを3.3質量%含むチャバザイト)、および脱イオン水と混合した。40質量%の固形分含量を有する得られたスラリーを、本明細書中参考例1に記載のように決定したDv90が5マイクロメートルになるまでボールミルで粉砕した。ゼオライトスラリーに酸化物スラリーを添加して室温で30分間撹拌した。次いで最終スラリーを、参考例4に記載のコーティング方法を使用して、コーティングされていないハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:10.16cm(4インチ)×長さ:2.54cm(1インチ)の円筒形状で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)セル、0.13ミリメートルの壁厚を有する)の全長にわたって配置した。その後、コーティングした基材を120℃の温度で2時間乾燥させ、600℃で2時間焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は238g/lであり、これにはCu-CHAが170g/l、アルミニウム-マンガンオキシドが60g/l、およびジルコニアが8g/l含まれていた。
【0144】
b) a)で得られた触媒のエージング
a)で得られた触媒を、空気中で10%蒸気を用いて650℃で50時間エージングした。
【0145】
実施例6:実施例5および比較例1の触媒の使用-NOx転化率およびNO形成
実施例5(b)および比較例1(b)のエージングした触媒を、標準的なSCR条件下(GHSV:80000h-1、500ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)および高速SCR条件下(GHSV:80000h-1、125ppmのNO、375ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)で選択的接触還元触媒試験に供した。NOx転化率およびNO形成は、標準的なSCRについては175~575℃、高速SCRについては175~250℃の温度範囲で測定した。結果を以下の表1および2に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
表1および表2からわかるように、実施例5の触媒を用いて得られたNOx転化率は、比較例1の触媒を用いて得られたものとほぼ同様またはそれより高かった。しかしながら、比較例1の触媒は、より高いNO形成を示した。例えば、標準的な条件下では、250℃で、比較例1の触媒では10.4ppmのNO形成があった一方で、実施例5の触媒では約3.8ppmのNO形成があり(比較例よりも2.5倍を超えて低いNO形成)、前記本発明の触媒は、より良好なNOx転化率を示した。高速SCR条件下では、実施例5の触媒を用いて得られたNOx転化率は、比較例1の触媒を用いて得られたものよりも高く、比較例1の触媒はより高いNO形成を示した。特に、225℃では、比較例1の触媒が93%のNOx転化率を示し、13.2ppmのNO形成があった一方で、比較例5の触媒はより高い96.3%の転化率を示し、約6.7ppmのNO形成があった。よってこの例は、高速および標準的なSCR条件下で、本発明による触媒が、改善されたNOx転化率を得ながらNO形成を低減できることを実証している。
【0149】
実施例7:実施例5および比較例1の触媒の使用-NOx転化率およびNO形成
実施例5(a)および比較例1(a)の触媒を、空気中で10%蒸気を用いて800℃で16時間エージングし、標準的なSCR条件下(GHSV:80000h-1、500ppmのNO、500ppmのNH、5%のHO、10%のO、残部N)で選択的接触還元触媒試験に供した。NOx転化率およびNO形成は、標準的なSCRについては175~575℃の温度範囲で測定した。結果を以下の表3に示す。
【0150】
【表3】
【0151】
表3からわかるように、実施例5の触媒を用いて得られたNOx転化率は、比較例1の触媒を用いて得られたものとほぼ同様またはそれより高かった。しかしながら、比較例1の触媒は、より高いNO形成を示した。具体的には、250℃で、比較例1の触媒では7.2ppmのNO形成があった一方で、実施例5の触媒では約2.1ppmのNO形成があった(比較例の触媒よりも約3.5倍低いNO形成)。よってこの例は、本発明による触媒が、厳しいエージングの後でさえ、改善されたNOx転化率を得ながらNO形成を低減できることを実証している。
【0152】
引用文献
- Fudong Liua,et al.,Selective catalytic reduction of NO with NH over iron titanate catalyst:Catalytic performance and characterization,Applied Catalysis B:Environmental 96(2010)、第408頁~第420頁
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- Douglas W.Crandell,et al.,Computational and spectroscopic characterization of key intermediates of the Selective Catalytic Reduction cycle of NO on zeolite-supported Cu catalyst,Inorganica Chimica Acta 430(2015)、第132~第143頁
- Wei Li, et al.,The enhanced Zn resistance of Mn/TiO catalyst for NH-SCR reaction by the modification with Nb,Fuel Processing Technology154(2016)、第235頁~第242頁
- US7691769B2
- US7601662B2
- US8293199B2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10