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特許7342036OSPFコスト・メトリック・ミラーリングの為の装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】OSPFコスト・メトリック・ミラーリングの為の装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/021 20220101AFI20230904BHJP
【FI】
H04L45/021
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020563962
(86)(22)【出願日】2019-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 IL2019050455
(87)【国際公開番号】W WO2019220425
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】62/670,722
(32)【優先日】2018-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519425187
【氏名又は名称】ドライブネッツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(72)【発明者】
【氏名】モシェ,ユバル
(72)【発明者】
【氏名】クライデン,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ジルバーマン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】サンドラー,エフゲニー
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-014032(JP,A)
【文献】特開2006-087103(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0334286(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0114916(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1761239(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-13/18,41/00-49/9057,61/00-65/80,69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPF)プロトコルに準拠した通信ネットワーク内で使用する為に適応化された通信ルータであって、前記通信ルータが、前記通信ルータ及び各隣接ネイバールータの間に伸びているリンクを介して、前記リンクの第1の方向に、通信トラフィックを転送する為の前記通信ルータのコストメトリックを調節するように構成された処理手段を有し、前記通信ルータが、前記各隣接ネイバールータが配置されている管理ドメインとは異なる管理ドメインに配置され、前記コストメトリックが、前記リンクに沿って前記各隣接ネイバールータからトラフィックを転送する為に前記各隣接ネイバールータにより決定されるコストに準拠して自動的に調節され、前記コストメトリックの自動調節が、第2の方向にトラフィックを転送する為の前記各隣接ネイバールータにより決定された前記コストメトリックに準拠して前記通信ルータにより実行され、前記第2の方向が、前記リンクの前記第1の方向の反対方向であることを特徴とする通信ルータ。
【請求項2】
前記各隣接ネイバールータにより転送されたリンク状態広告(LSA)を受信するように構成され、前記通信ルータが前記リンクに沿った通信トラフィックを転送する為のコストメトリックを自動的に調節することを可能にする情報をリンク状態広告から取得することを特徴とする請求項1に記載の通信ルータ。
【請求項3】
前記通信ルータが通信トラフィックを転送することに適応化されている複数のインタフェースを有し、前記複数のインタフェースのそれぞれが各リンクに関連付けされ、前記各リンクがリンク・アグリゲーション・グループ(LAG)のメンバーであることを特徴とする請求項1に記載の通信ルータ。
【請求項4】
前記処理手段は、リンク・アグリゲーション・グループ(LAGにわたってOSPF隣接性を形成するように適応化され、リンク・アグリゲーション・グループ(LAGのメンバーにより同じ属性が共有されることを特徴とする請求項に記載の通信ルータ。
【請求項5】
第1の通信ルータを有する第1の管理ドメイン及び第2の通信ルータを有する第2の管理ドメインの2つのネットワークドメインを有するシステムであって、前記第1及び第2の管理ドメインは、オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPFプロトコルを実装することにより相互に作用するように構成され、前記第1及び第2の通信ルータのそれぞれは、前記第1及び第2の通信ルータ間に伸びているリンクを介して通信トラフィックを転送する為の独自のコストメトリックを自動的に調節するように構成された処理手段を有し、記第1の通信ルータのコストメトリックにおいて変更が作用されると、前記コストメトリックは、前記第1の通信ルータに属するインタフェース及び第2の通信ルータに属する第2のインタフェースの間に伸びているリンクに沿ってトラフィックを転送する為の情報を提供するように適応化され、対応する変更が、前記第2の通信ルータに関連するコストメトリックにおいて自動的に作用され、前記第1の通信ルータに属するインタフェース及び第2の通信ルータに属する第2のインタフェースの間に伸びているリンクに沿ってトラフィックを転送することに関連する前記第1の通信ルータのコストメトリックにおいて変更が作用されると、前記変更に関する情報は、前記第1の通信ルータに属するインタフェース及び第2の通信ルータに属する第2のインタフェースの間に伸びているリンクに沿ってトラフィックを転送することに関連する前記第2の通信ルータのコストメトリックを自動的に適応化する為に、前記第2の通信ルータに送られ、それにより、前記リンクの一方向に前記第1の通信ルータのコストメトリックにおいて前記変更が作用されると、前記リンクの反対方向に第2の通信ルータの前記コストメトリックにおける変更を自動的に引き起こすことを特徴とするシステム。
【請求項6】
前記第1の通信ルータがISPネットワークドメイン内に配置され、前記第2の通信ルータが顧客ネットワークドメイン内に配置され、前記第1の通信ルータは、オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPFコスト・ミラーリング・メカニズムに準拠するように、前記第2の通信ルータに少なくとも1つのインタフェースを構成することを指示するように適応化され、それにより、前記第1の通信ルータ及び前記第2の通信ルータの間に伸びているリンクを介して前記第1の通信ルータにより通信トラフィックを転送する為のコストメトリックにおいて変更が発生すると、前記第2の通信ルータが、前記第1の通信ルータに関連するコストメトリックにおいて作用された変更に準拠するように、前記リンクを介して前記第2の通信ルータにより通信トラフィックを転送することに関連するコストメトリックを自動的に調節することを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の通信ルータがISPネットワークドメイン内に配置され、前記第2の通信ルータが他のISPネットワークドメイン内に配置され、前記第1の通信ルータは、オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPFコスト・ミラーリング・メカニズムに準拠するように、前記第2の通信ルータに少なくとも1つのインタフェースを構成することを指示するように適応化され、それにより、前記第1の通信ルータ及び前記第2の通信ルータの間に伸びているリンクを介して前記第1の通信ルータにより通信トラフィックを転送する為のコストメトリックにおいて変更が発生すると、前記第2の通信ルータが、前記第1の通信ルータにより作用されたコストメトリックの変更に準拠するように、前記リンクを介して前記第2の通信ルータにより通信トラフィックを転送することに関連するコストメトリックを自動的に調節することを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項8】
オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPFに準拠した通信ネットワーク内で使用されるコンピュータプログラム製品であって、通信トラフィックを転送する為の通信ルータのコストメトリックを調節する方法を実行する為の1組の命令を実行する為に非一時的なコンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムを符号化した前記コンピュータプログラム製品において、前記方法が、
(1)第1の管理ドメイン内に配置され、オープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPFプロトコルを実装することに適応化した通信ルータを構成し、前記通信ルータ及び異なる管理ドメイン内に配置された各隣接ネイバールータの間に伸びているリンクを介して、前記リンクの第1の方向に、前記通信ルータにより通信トラフィックを転送する為のコストメトリックを記憶するステップと、
(2)前記第1の方向の反対方向である第2の方向に、前記各隣接ネイバールータにより通信トラフィックを転送することに関連する情報を有するコストメトリックが変更されたという情報を受信すると、前記リンクの前記第1の方向に沿ってトラフィックを転送する為の前記通信ルータのコストメトリックにおいてその変更が自動的に作用されるステップと、
を有することを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記コンピュータプログラム製品がさらに、a)複数のインタフェースにわたってオープン・ショーテスト・パス・ファースト(OSPF隣接性を形成し、前記複数のインタフェースのそれぞれが各リンクに関連付けされ、前記各リンクがリンク・アグリゲーション・グループ(LAG)のメンバーであり、(b)LAGのメンバーにより同じ属性を共有することを可能にするように構成されることを特徴とする請求項に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包括的には、通信システムの分野に関する。詳しくは、本開示は、インターネットプロトコル(IP)通信ネットワーク内のオープン・ショーテスト・パス・ファースト(以下、OSPF)の実装に関する。
【背景技術】
【0002】
用語
BFD-双方向転送検出(Bi-Directional Forwarding Detection)
ISP-インターネット・サービス・プロバイダ(Internet Service Provider)
LAG-リンク・アグリゲーション・グループ(Link Aggregation Group)
LSA-リンク状態広告(Link State Advertisement)
OSPF-オープン・ショーテスト・パス・ファースト(Open Shortest Path First)
【0003】
コメント(RFC)2328の為のIETF要求内に定義されるOSPFコスト割当である、OSPFプロトコルは、各ルータインタフェースの出力側に関連するコストに基づいている。コストはシステム管理者により構成可能である。コストが低ければ低いほど、データトラフィックの転送にインタフェースが使用される可能性が高くなる。コストは外部に由来するルーティングデータ(例えば、BGP学習ルート)にも関連付けられる。
【0004】
ネイバーネットワーク素子は、リンク状態広告(LSA)内のOSPFプロトコル交換ルーティング情報に準拠する。LSAは、ルータインタフェース、ネットワーク、同様に、外部プロトコルを実装する素子との接続、又はOSPFプロトコルを実装するネットワーク外の領域との接続に関する情報を含む。
【0005】
LSA1型(ルータLSA)は、インタフェース出力コストを含む、ルータインタフェース上の情報を含む。この情報は、リンク状態メトリックで表されるインタフェースを介してデータパケットを送信することに関連するコストを示している。
【0006】
本発明は、先行技術において提案されているように、システム管理者により割り当てられた局所値を単に適用するのではなく、隣接OSPFネイバー・インタフェース・コスト値に応じてOSPFインタフェース・コスト・メトリックを自動的に調節することにより利益を得られる様々なネットワーク展開の為のソリューションを提供しようとするものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、添付の特許請求の範囲を参照することによって要約できる。
【0008】
本開示の目的は、隣接OSPFネイバールータのインタフェースのコスト値に応じてルータOSPFインタフェース・コスト・メトリックを自動的に調節するルータ、システム及びソフトウェアを提供することである。
【0009】
本開示の別の目的は、単一リンク及び/又はリンク群に対し、隣接OSPFネイバールータのインタフェースのコスト値に応じてルータOSPFインタフェース・コスト・メトリックを自動的に調節するルータ、システム及びソフトウェアを提供することである。
【0010】
本開示の他の目的は、以下の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の実施形態によれば、OSPFに準拠した通信ネットワーク内で使用する為の通信ルータであって、前記通信ルータが、前記通信ルータ及び各隣接ネイバールータの間に伸びている少なくとも1つのリンクを介して、前記通信ルータにより通信トラフィックを転送する為に設定される前記通信ルータのコストメトリックを自動的に調節するように構成された処理手段を有し、前記コストメトリックが、同じ少なくとも1つのリンクに沿って前記各隣接ネイバールータからトラフィックを転送する為に前記各隣接ネイバールータにより決定されるコストに準拠して調節されるように適応化されている通信ルータが提供される。
【0012】
明細書及び特許請求の範囲を通して使用されている「コストメトリック」又は「コスト値」との用語は、宛先アドレス(例えば宛先ネットワーク)への最適な経路を決定する為に通信ルータにより使用される値を示す為に使用される。特定の通信リンクに沿ってトラフィックを搬送するコストは、特定の宛先への最適な経路を選択する為の要因の1つである。同じ経路型の宛先(例えばネットワーク)への複数の経路が存在する場合、帯域幅に基づくコストとして計算されるOSPFメトリックは、最適な経路を選択する為によく使用される。コストが最低値の経路が最適な経路として選択される。コスト計算は、例えば基準帯域幅である100Mbpsに基づいている。コストの計算式は、基準帯域幅/インタフェース帯域幅である。例えば、10Mbpsのイーサネット(登録商標)の場合、OSPFメトリックコスト値は100Mbps/10Mbps=10である。OSPFの規定の基準帯域幅は100Mbpsであり、規定のOSPFコスト計算式は、100Mbpsよりも速い帯域幅を有するインタフェース間を差別化しないものである。しかしながら、OSPFの他の基準帯域幅、例えば1及び10Gbpsの基準帯域幅を使用することもできる。
【0013】
明細書及び特許請求の範囲を通して使用されている「コストミラーリング」との用語は、本発明により提供されるソリューションにより実行されるアルゴリズムを示す為に使用され、通信リンクの一端に配置されたルータインタフェースにおいてコストメトリックが変更された場合、通信リンクの他端に配置されたインタフェースを備えたルータにおいても同じ変更が自動的に作用される。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、前記通信ルータが、隣接ネイバールータの少なくとも1つにより転送されたリンク状態広告(LSA)を受信するように構成され、前記通信ルータが少なくとも1つのリンクに沿って通信トラフィックを転送する為のコストメトリックを自動的に調節することを可能にする情報をリンク状態広告から取得する。
【0015】
別の実施形態によれば、前記各隣接ネイバールータ及び前記通信ルータは、単一の管理ドメインに属していない。
【0016】
明細書及び特許請求の範囲を通して使用されている「管理ドメイン」との用語は、セキュリティ・リポジトリを有し、顧客に認証情報を安全に認可及び認証するサービス・セキュリティ・プロバイダを含む為に使用される。管理ドメインは、単一の共通管理下に置かれるネットワーク及びデータベースの集合又はコンピュータのネットワークを含んでいる。
【0017】
更に別の実施形態では、前記通信ルータが通信トラフィックを転送することに適応化されている複数のインタフェースを有し、前記複数のインタフェースのそれぞれが各リンクに関連付けされ、前記各リンクがリンク・アグリゲーション・グループ(LAG)のメンバーである。
【0018】
更に別の実施形態によれば、前記処理手段はさらに、LAGにわたってOSPF隣接性(OSPF adjacency)を形成するように構成され、上述のように単一のインタフェース隣接性であるかのように、LAGのメンバーにより同じ属性が共有される。
【0019】
本開示の別の側面によれば、少なくとも2つのネットワークドメインを有するシステムであって、前記少なくとも2つのネットワークドメインのそれぞれが、通信ルータを有し、OSPFプロトコルを実装することにより相互に作用するように構成される前記システムにおいて、前記通信ルータの第1の通信ルータのコストメトリックにおいて変更が作用されると、前記コストメトリックは、前記第1の通信ルータに属するインタフェース及び第2の通信ルータに属する第2のインタフェースの間に伸びているリンクに沿ってトラフィックを転送する為の情報を提供するように適応化され、対応する変更が、前記第2の通信ルータに関連するコストメトリックにおいて自動的に作用されることを特徴とするシステムが提供される。
【0020】
本開示のこの側面の別の実施形態によれば、前記第1の通信ルータがISPネットワークドメイン内に配置され、前記第2の通信ルータが顧客ネットワークドメイン内に配置される。好ましくは、前記第1の通信ルータは、OSPFコスト・ミラーリング・メカニズムに準拠するように、前記第2の通信ルータに少なくとも1つのインタフェースを構成することを指示するように適応化され、それにより、前記第1の通信ルータ及び前記第2の通信ルータの間に伸びているリンクを介して前記第1の通信ルータにより通信トラフィックを転送する為のコストメトリックにおいて変更が発生すると、前記第2の通信ルータが、前記第1の通信ルータに関連するコストメトリックにおいて作用された変更に準拠するように、前記リンクを介して前記第2の通信ルータにより通信トラフィックを転送することに関連するコストメトリックを自動的に調節する。
【0021】
本開示の別の側面によれば、OSPFに準拠した通信ネットワーク内で使用されるコンピュータプログラム製品であって、
(1)OSPFプロトコルを実装することに適応化した通信ルータを構成し、前記通信ルータ及び各隣接ネイバールータの間に伸びている少なくとも1つのリンクを介して前記通信ルータにより通信トラフィックを転送する為のコストメトリックを記憶するステップと、
(2)前記各隣接ネイバールータにより通信トラフィックを転送することに関連する情報を有するコストメトリックが変更されたという情報を受信すると、前記通信ルータのコストメトリックにおいてその変更が作用されるステップと、
を有する方法を実行する為に、1つ以上のコンピュータプロセッサにより1組の命令を実行する為の非一時的なコンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータプログラムを符号化するように構成されるコンピュータプログラム製品が提供される。
【0022】
更に別の実施形態によれば、前記各隣接ネイバールータ及び前記通信ルータは、単一の管理ドメインに属していない。
【0023】
更に別の実施形態では、前記コンピュータプログラム製品がさらに、a)複数のインタフェースにわたってOSPF隣接性を形成し、前記複数のインタフェースのそれぞれが各リンクに関連付けされ、前記各リンクがリンク・アグリゲーション・グループ(LAG)のメンバーであり、(b)LAGのメンバーにより同じ属性を共有することを可能にするように構成される。
【0024】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の幾つかの実施形態を示し、以下の説明と共に、本明細書に開示される実施形態の原理を明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】相互接続リンクに関連する単一の物理的インタフェースをそれぞれが有する複数のプラットフォームにわたるOSPFプロトコルを使用することにより相互作用するISPドメイン及び顧客ネットワークドメインの実施例の概略図である。
図2】相互接続リンクに関連するLAGインタフェースを有する複数のプラットフォームにわたるOSPFプロトコルを使用することにより相互作用するISPドメイン及び顧客ネットワークドメインの他の実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明における特定の詳細及び値の一部は、本開示の特定の例を示している。但し、この説明は、例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求される方法及びデバイスは、当該技術分野で公知の他の方法を使用しても実施できることは、当業者にとって明らかである。更に、ここに開示する実施形態は、異なるステップを含むが、その全てが本発明の全ての実施形態において必要とされるわけではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照することによって要約できる。
【0027】
「OSPFコストミラーリング」メカニズムとしてここで呼ばれている本願発明により開示されているメカニズムは、隣接ネイバーにより同じリンクに割り当てられるOSPFコストメトリックに準拠したインタフェースOSPFコストメトリックを自動的に設定するように構成されたメカニズムである。この機能は、好ましくは、隣接OSPFネイバーから受信したOSPF・LSAメッセージ(例えば、LSA1型広告)をリッスンするネットワーク素子(例えば、ルータ)を有することにより達成される。OSPFネイバールータLSAをリッスンし、その後、LSAメッセージをリッスンしている間に取得した情報に準拠して自己(ローカル)OSPFコストメトリックを変更する能力は、各リンクに基づいて構成可能な機能として適用することができる。当業者により認められているように、この機能は、標準コスト割当実行とは概念的に異なるものであり、これにより、構成可能な値が、ルータインタフェース毎に、システム管理者によりネットワーク素子のコストメトリックに割り当てられる。
【0028】
インタフェースOSPFコストは、その出力方向のみにつき設定されるが、あるリンク上の両ネイバーの整合OSPFコスト(matching OSPF cost)が有益になるシナリオもある。
【0029】
同じ管理ドメインに属していないOSPFネイバーは、異なる自動管理システム又は手動の管理者により構成又は制御されやすい。同じリンク又は同じネットワークの両端において同じコストが要求されている場合、上述の従来技術の方法を実施することによりOSPFコスト構成のクロスドメイン割当を操作することは非常に面倒であり、従来技術では、特定リンク上の単一のルータを制御及び変更することを選択するインターネットサービスプロバイダ(ISP)が、ネイバードメインも構成OSPFコストに整合するように命令し、ネイバードメインが、同じISP、他のISP又は顧客内の構成であることができる。対比すると、本発明により提供されるソリューションは、ここに開示されているOSPF隣接ベースのソリューションを実装している間、ネイバードメインとは関係なく、この目的を達成することを可能にする。
【0030】
図1は、相互接続リンクの単一の物理的インタフェースを有する複数のプラットフォームにわたって実装されたOSPFプロトコルを使用することにより相互作用するISPドメイン及び顧客ネットワークドメインの実施例の概略図である。この実施例において、ISP(X)がルータ(B)のインタフェース(b2)上にOSPFコストミラーリングを構成することを選択すると仮定する。ここで、ルータ(A)に関連するインタフェース(a2)のOSPFコストメトリックに変更が発生すると、その変更に整合するように、ルータ(B)はリンク(b2)の為の独自のOSPFコストメトリックを自動的に変更する。
【0031】
ISP(X)は、OSPFコストミラーリングに準拠するようにルータ(C)のインタフェース(c1)を構成するように顧客(Z)に命令することを選択することができる。したがって、ルータ(A)のインタフェース(a1)に関連するOSPFコストメトリック割当において変更が発生した場合、ルータ(C)は結果的に、リンク(c1)の為の独自のOSPFコストメトリックを自動的に変更する。
【0032】
また、この図に図示されているISP(X)は、ルータ(D)においてOSPFコストミラーリングポリシーを構成するようにISP(Y)に命令することを選択することができる。結果的に、ルータ(B)のインタフェース(b1)に関連するOSPFコストメトリック割当において変更が発生した場合、ルータ(D)は結果的に、その変更に整合するように、リンク(d1)の為の独自のOSPFコストメトリックを自動的に変更する。
【0033】
LAGコストフォールバック
ルータは、単一の物理的インタフェースにわたって、又は単一のリンク・アグリゲーション・グループ(LAG)内に結合された複数のインタフェースにわたって、OSPF隣接性を形成することができる。LAGにわたって形成されたOSPF隣接性は、単一インタフェースの隣接性であるかのように、同じ属性を共有する。しかしながら、OSPF隣接性が存在する場所において物理的リンク障害が発生した場合、2つの隣接性のそれぞれの挙動は、他方の挙動とは異なってしまうことがある。単一の物理的インタフェースにわたるOSPF隣接性の単一リンク障害の場合、OSPF隣接性は、即時、物理的信号の消失を検知した後、又はBFDのような障害検出メカニズムによる障害検出後に、終了する。物理的リンク障害の場合、このリンクはLAGに含まれるメンバーであり、OSPF隣接性は、(ソフトウェアの命令により論理的に、又はハードウェア故障により物理的に)同じLAG内の全てのメンバーがダウンしない限り、終了しない。インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)が、隣接OSPFネイバーLAGインタフェースの下流に配置されたOSPFネットワークに到達する複数の経路を有する場合、システム管理者は、LAGインタフェースのOSPFコストをより高い値に変更することを決定することができる。それにより、OSPF情報を共有するISPルータは、ショーテストパス計算(Shortest Path Calculation)(SPF)を実行することができ、ネットワーク内に伸びている代替ルータ又はリンクを介して、下流のOSPFネットワークに到達する経路を最適化することができる。この構成は、ラグ・コスト・フォールバック(lag-cost-fallback)と呼ばれる。
【0034】
図2を参照すると、ISP(X)のルータ(B)は複数の経路を有し、複数の経路のそれぞれは、顧客(Z)のネットワーク(N)にトラフィックを搬送する為に使用される。ネットワーク(N)に到達する最短経路がB(b2)からA(a1)を介してC(c3)まで伸びていると仮定する。ルータ(A)のインタフェース(a1)のOSPFコストが更新された場合、ルータ(B)は、B(b2)からA(a3)及びE(e1)を介してC(c3)まで伸びている代替経路を選択することができる。
【0035】
しかしながら、いくつかのルータのソフトウェアは、ラグ・コスト・フォールバック・メカニズムをサポートしていないので、いくつかのサービスプロバイダ又は顧客はこの構成を作動することを拒否することになる。
【0036】
図2に図示されているISP(X)は、ルータ(B)のOSPFコスト・ミラーリング・メカニズム及びラグ・コスト・フォールバック・メカニズムに準拠するようにルータ(A)を構成することを選択することができる。a2LAGインタフェースのメンバー障害が発生した場合、ルータ(A)はリンクのOSPFコストを変更し、ルータ(B)は、OSPFコストフォールバックを構成する必要なく、同じリンク(b2)の独自のOSPFコストメトリックを自動的に変更する。
【0037】
次に、図2に図示されている顧客(Z)のルータ(C)が、ラグ・コスト・フォールバック構成をサポートしていないと仮定する。この場合、ISP(X)は、OSPFコスト・ミラーリング・メカニズムに準拠するように、ルータ(C)のリンク(c1)を構成するように顧客(Z)に命令することを選択することができる。LAGインタフェースのメンバー障害が発生した場合、ルータ(A)はリンクのOSPFコストを変更し、ルータ(C)は、同じリンク(c1)の独自のOSPFコストメトリックを変更することにより、自動的に追随する。
【0038】
図2に図示されているISP(Y)ルータがラグ・コスト・フォールバック構成をサポートしていない場合、ISP(X)は、ルータ(D)及び(G)のOSPFコスト・ミラーリング・メカニズムを構成するように、ISP(Y)に命令することを選択することができる。b1LAGインタフェースのメンバー障害が発生した場合、ルータ(B)はリンクのOSPFコストを変更し、ルータ(D)は、同じリンク(d1)の独自のOSPFコストメトリックを変更することにより、自動的に追随する。
【0039】
ここに開示した発明の説明及び実施を検討することにより、本発明の他の実施形態は、当業者にとって明らかである。以上の説明及び実施例は、単なる例示であり、本発明の真の範囲及び思想は、特許請求の範囲に示されている。
図1
図2