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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】画像診断用カテーテル及び画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20230904BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230904BHJP
   A61B 1/015 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61B8/12
A61B1/00 530
A61B1/015 511
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020566513
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(86)【国際出願番号】 JP2020001609
(87)【国際公開番号】W WO2020149416
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019006437
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄紀
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-272137(JP,A)
【文献】特開2017-205430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 1/00 - 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に信号送受信部を備える回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに前記駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブと、
前記駆動シャフトが挿入されるシースと、
前記シースの基端に連結される中継コネクタと、
前記シースの基端より後方において、前記中継コネクタと前記サポートチューブとの間をシールするシール部材と、を有し、
前記中継コネクタは、前記シール部材から前記シースの前記基端まで延在する主ルーメンと、前記主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画し、
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より後方の位置に移動可能である、画像診断用カテーテル。
【請求項2】
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より前方の位置に移動可能である、請求項1に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項3】
前記サポートチューブの先端は、外部装置によるプルバック操作の終了時に前記連通口の前記前端より前方に位置する、請求項2に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項4】
前記中継コネクタの前記主ルーメンの先端と前記シースのルーメンの基端とは、面一である、請求項1~3のいずれか一項に記載の画像診断用カテーテル。
【請求項5】
画像診断用カテーテルと、該画像診断用カテーテルを取り付け可能な外部装置と、を備える画像診断装置であって、
前記画像診断用カテーテルは、
先端部に信号送受信部を備える回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに前記駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブと、
前記駆動シャフトが挿入されるシースと、
前記シースの基端に連結される中継コネクタと、
前記シースの基端より後方において、前記中継コネクタと前記サポートチューブとの間をシールするシール部材と、を有し、
前記中継コネクタは、前記シール部材から前記シースの前記基端まで延在する主ルーメンと、前記主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画し、
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より後方の位置に移動可能であり、
前記外部装置は、前記画像診断用カテーテルが取り付けられた状態において、前記画像診断用カテーテルの前記サポートチューブの先端が前記連通口の前端より後方の位置に移動することを制限する制限部を有する、
画像診断装置。
【請求項6】
画像診断用カテーテルと、該画像診断用カテーテルを取り付け可能な外部装置と、を備える画像診断装置であって、
前記画像診断用カテーテルは、
先端部に信号送受信部を備える回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに前記駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブと、
前記駆動シャフトが挿入されるシースと、
前記シースの基端に連結される中継コネクタと、
前記シースの基端より後方において、前記中継コネクタと前記サポートチューブとの間をシールするシール部材と、を有し、
前記中継コネクタは、前記シール部材から前記シースの前記基端まで延在する主ルーメンと、前記主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画し、
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より後方の位置に移動可能であり、
前記外部装置は、
取付けられた前記画像診断用カテーテルの前記駆動シャフトを回転駆動する回転駆動部と、
前記回転駆動部を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記サポートチューブの先端が前記連通口の前端よりも後方に位置しているときに、前記回転駆動部が駆動しないように制御する、
画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像診断用カテーテル及び画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先端部に信号送受信部が設けられるとともに回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、駆動シャフトが挿入されるシースと、を有する画像診断用カテーテルが知られている。画像診断用カテーテルには、超音波などの信号を円滑に送受信するため等の目的で、使用に先立ってシースのルーメンを生理食塩液などのプライミング液で満たすプライミング処理を必要とするものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、シースの基端に連結される中継コネクタにプライミング液の注入口を設けることにより、プライミング液の流路抵抗を低減して容易なプライミング処理を可能にした画像診断用カテーテルが記載されている。この画像診断用カテーテルは、駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブを有している。中継コネクタは、中継コネクタとサポートチューブとの間をシールするシール部材からシースの基端まで延在する主ルーメンと、主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-205430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される画像診断用カテーテルは、駆動シャフト及びサポートチューブが最も基端側に引かれたときであっても、サポートチューブの先端が連通口の前端より前方に位置するように構成されている。そのため、このような画像診断用カテーテルには、プライミング液の流路抵抗をさらに低減する余地がある。
【0006】
本開示は、このような点に鑑み、プライミング液の流路抵抗を低減して円滑なプライミング処理を可能にできる画像診断用カテーテル及び画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様としての画像診断用カテーテルは、
先端部に信号送受信部を備える回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに前記駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブと、
前記駆動シャフトが挿入されるシースと、
前記シースの基端に連結される中継コネクタと、
前記シースの基端より後方において、前記中継コネクタと前記サポートチューブとの間をシールするシール部材と、を有し、
前記中継コネクタは、前記シール部材から前記シースの前記基端まで延在する主ルーメンと、前記主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画し、
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より後方の位置に移動可能である。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より前方の位置に移動可能である。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、前記サポートチューブの先端は、外部装置によるプルバック操作の終了時に前記連通口の前記前端より前方に位置する。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、前記中継コネクタの前記主ルーメンの先端と前記シースのルーメンの基端とは、面一である。
【0011】
本発明の第2態様としての画像診断装置は、
画像診断用カテーテルと、該画像診断用カテーテルを取り付け可能な外部装置と、を備える画像診断装置であって、
前記画像診断用カテーテルは、
先端部に信号送受信部を備える回転及び進退移動可能な駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの外周に軸方向に沿って設けられるとともに前記駆動シャフトに連動して進退移動するサポートチューブと、
前記駆動シャフトが挿入されるシースと、
前記シースの基端に連結される中継コネクタと、
前記シースの基端より後方において、前記中継コネクタと前記サポートチューブとの間をシールするシール部材と、を有し、
前記中継コネクタは、前記シール部材から前記シースの前記基端まで延在する主ルーメンと、前記主ルーメンと連通口において連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメンと、を区画し、
前記サポートチューブの先端は、前記連通口の前端より後方の位置に移動可能であり、
前記外部装置は、前記画像診断用カテーテルが取り付けられた状態において、前記画像診断用カテーテルの前記サポートチューブの先端が前記連通口の前端より後方の位置に移動することを制限する制限部を有する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、プライミング液の流路抵抗を低減して円滑なプライミング処理を可能にできる画像診断用カテーテル及び画像診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像診断用カテーテルを外部装置によってプルバック操作する直前の状態を示す外観図である。
図2図1に示す状態から開始されたプルバック操作の終了時の状態を示す外観図である。
図3図1に示す状態の中継コネクタの周辺部を示す断面図である。
図4図2に示す状態の中継コネクタの周辺部を示す断面図である。
図5】駆動シャフト及びサポートチューブが後進限位置にある状態のユニットコネクタの周辺部を示す断面図である。
図6】駆動シャフト及びサポートチューブが後進限位置にある状態の中継コネクタの周辺部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る画像診断用カテーテル及び画像診断装置について詳細に例示説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る画像診断用カテーテル1(以下、カテーテル1ともいう)は、外部装置2、制御装置3、及びディスプレイ4とともに使用されることで、人体等の生体における血管等の脈管の内部を撮像しその画像を表示することができる。すなわち、カテーテル1、外部装置2、制御装置3、及びディスプレイ4で画像診断装置を構成している。制御装置3及びディスプレイ4を外部装置2に一体化することなどにより、カテーテル1及び外部装置2からなる画像診断装置を構成してもよい。カテーテル1は、シース5、中継コネクタ6、外チューブ7、ユニットコネクタ8、ハブ9、内チューブ10、サポートチューブ11、及び駆動シャフト12を有している。
【0016】
シース5の基端部には中継コネクタ6の先端部が一体に連結されている。中継コネクタ6の基端部には外チューブ7の先端部が一体に連結されている。外チューブ7の基端部にはユニットコネクタ8の先端部が一体に連結されている。
【0017】
ハブ9の先端部には内チューブ10の基端部が一体に連結されている。内チューブ10の先端部にはサポートチューブ11の基端部が一体に連結されている。
【0018】
駆動シャフト12は、中心軸線X1を有する長尺状をなしている。駆動シャフト12の基端部は、ハブ9に中心軸線X1を中心に回転可能に軸支されている。駆動シャフト12は、先端部に信号送受信部13を有している。信号送受信部13は、超音波信号又は光信号などの信号(検査波)を脈管に対して送信するとともにその反射信号を受信可能である。駆動シャフト12の内部には、外部装置2を介した信号送受信部13と制御装置3との通信を可能にする信号線(図示省略)が設けられている。信号送受信部13は駆動シャフト12と一体に中心軸線X1を中心として回転することができる。
【0019】
駆動シャフト12は、シース5、中継コネクタ6、外チューブ7、ユニットコネクタ8、サポートチューブ11、内チューブ10及びハブ9に挿入されている。
【0020】
図1図2に示すように、ハブ9、内チューブ10、サポートチューブ11及び駆動シャフト12は、シース5、中継コネクタ6、外チューブ7及びユニットコネクタ8に対して相対的に、一体に進退移動可能(つまり、前進移動可能且つ後進移動可能)である。前進移動とは、基端側から先端側への移動を意味し、後進移動とは、その反対方向への移動を意味する。前方とは、基端側から先端側へ向かう方向であり、後方とはその反対方向である。
【0021】
内チューブ10は、中継コネクタ6及び外チューブ7とともにテレスコープ部14を構成している。テレスコープ部14は、内チューブ10で構成される内筒14aと、中継コネクタ6及び外チューブ7で構成される外筒14bと、を有している。テレスコープ部14は、外筒14bの内部における内筒14aの進退移動により、伸縮可能である。
【0022】
テレスコープ部14は、それ以上の収縮が規制される収縮限状態と、それ以上の伸長が規制される伸長限状態との間で伸縮可能である。テレスコープ部14は、図1に示すように、ハブ9の先端面がユニットコネクタ8の基端面に当接することで収縮限状態となるように構成されている。テレスコープ部14は、これ以外の面同士の当接によって収縮限状態となるように構成されてもよい。テレスコープ部14は、図5に示すように、内チューブ10の先端部に設けられた段差面10aがユニットコネクタ8の内部に設けられた段差面8aに当接することで伸長限状態となるように構成されている。内チューブ10の段差面10a及びユニットコネクタ8の段差面8aは、それぞれ、基端側から先端側に向けて拡径する環状をなしている。テレスコープ部14は、これ以外の面同士の当接によって伸長限状態となるように構成されてもよい。
【0023】
ハブ9、内チューブ10、サポートチューブ11及び駆動シャフト12は、テレスコープ部14が収縮限状態となる前進限位置(図1参照)と、テレスコープ部14が伸長限状態となる後進限位置(図5参照)との間で進退移動可能である。
【0024】
図5に示すように、サポートチューブ11の基端部は、内チューブ10の先端面に接着剤15によって固着されている。サポートチューブ11の基端部と内チューブ10の先端部とは、接着剤15以外の、溶着等の固着手段によって互いに固着されてもよい。ユニットコネクタ8は、雄ねじ部を有する先端側部材8bと、この雄ねじ部と螺合する雌ねじ部を有する基端側部材8cとで構成されている。しかし、ユニットコネクタ8を構成する部材の数は適宜増減が可能である。
【0025】
図1に示すように、外部装置2は、駆動シャフト12を回転駆動する回転駆動部2aと、駆動シャフト12を進退移動する進退移動機構2bと、を有している。
【0026】
回転駆動部2aは、ハブ9を着脱可能なハウジング2cと、ハウジング2cの内部に配置されるとともに、駆動シャフト12を着脱可能な主軸2dと、を有している。主軸2dは、ハブ9の内部に中心軸線X1を中心に回転可能に軸支されたコネクタ(図示省略)を介して駆動シャフト12の基端部と連結することで、駆動シャフト12の内部の通信線を制御装置3と通信可能に接続することができる。また、主軸2dは、駆動シャフト12と連結した状態で、モータなどの回転駆動源2eによって中心軸線X1を中心に回転することで、駆動シャフト12を、中心軸線X1を中心に回転させることができる。
【0027】
進退移動機構2bは、回転駆動部2aのハウジング2cと、モータなどの回転駆動源2fと、ハウジング2cを回転駆動源2fにより進退移動させるボールねじ機構2gと、ボールねじ機構2gを支持する基台2hと、基台2hに一体に連結するユニットコネクタ固定部2iと、を有している。ボールねじ機構2gは、基台2hに軸支されるとともに回転駆動源2fによって回転駆動されるねじ軸2jと、ハウジング2cに固定されたナット2kと、で構成されている。ユニットコネクタ固定部2iは、ユニットコネクタ8と着脱可能に係合することでユニットコネクタ8を固定可能である。
【0028】
外部装置2は、カテーテル1が取り付けられた状態で、制御装置3からの制御信号により、図1に示すように駆動シャフト12が前進限位置にある状態から、駆動シャフト12を回転駆動部2aにより回転しながら、図2に示すように、駆動シャフト12を後進限位置より手前の所定位置まで後進移動させるプルバック操作を行うことができる。駆動シャフト12の回転速度は、例えば1800rpmである。制御装置3は、例えばCPUなどのプロセッサで構成されている。
【0029】
プルバック操作の開始から終了まで、信号送受信部13は、回転しながら脈管に対して信号(検査波)を送信し、その反射信号を受信する。信号送受信部13は、この受信信号に基づく測定信号を駆動シャフト12の内部の信号線を通じて制御装置3に送信する。制御装置3は、測定信号に基づく脈管の画像をディスプレイ4に表示させる。
【0030】
カテーテル1は、プルバック操作による脈管の撮像に先立って行われる、シース5のルーメン5a(図3参照)を生理食塩液などのプライミング液で満たすプライミング処理を必要とする。このため、図3に示すように、中継コネクタ6は、プライミング液の注入口6aを基端に区画する側管6bを有している。側管6bの先端は、駆動シャフト12、サポートチューブ11及びシース5が挿入される主管6cに一体に連なっている。
【0031】
主管6cの内部には、シース5の基端5bより後方において主管6cとサポートチューブ11との間をシールするシール部材16が配置されている。シール部材16としてはXリングが用いられている。シール部材16は、例えばOリングであってもよい。
【0032】
主管6cは、シール部材16からシース5の基端5bまで延在する主ルーメン6dを内部に区画している。側管6bは、主ルーメン6dと連通口6eにおいて連通するとともにプライミング液を注入可能な注入ルーメン6fを内部に区画している。注入ルーメン6fの先端に連通口6eが位置し、注入ルーメン6fの基端に注入口6aが位置している。
【0033】
側管6bの基端には、プライミング液を供給するプライミング液供給装置17(図1参照)が接続されている。プライミング液供給装置17は、シリンジ17aと、接続チューブ部材17bと、で構成されている。接続チューブ部材17bは、シリンジ17aの先端部に接続される基端側コネクタ17cと、側管6bの基端に接続される先端側コネクタ17dと、基端側コネクタ17cから先端側コネクタ17dまで延在するチューブ17eと、を有している。
【0034】
図3に示すように、中継コネクタ6は、第1部材18と、第2部材19と、で構成されている。第1部材18は、主ルーメン6dを内部に区画する主筒18aと、注入ルーメン6fを内部に区画する側筒18bと、を有している。
【0035】
主筒18aの先端部における内周面には、シース5の基端部の外周面が溶着などの固着手段によって固着されている。シース5の基端5bは、主筒18aの先端部における内周面に設けられた円環状の段差面に突き当てられている。シース5の基端部の外周には、軸方向に沿ってキンク抑制用チューブ20が設けられている。シース5の基端5bは、キンク抑制用チューブ20の基端20aから基端側に飛び出ている。キンク抑制用チューブ20の内周面は、シース5の基端部の外周面に溶着などの固着手段によって固着されている。キンク抑制用チューブ20の基端部における外周面は、主筒18aの先端部における内周面に溶着などの固着手段によって固着されている。
【0036】
主ルーメン6dの先端6lと、シース5のルーメン5aの基端5dとは、面一である(つまり、滑らかに連なっている)。主ルーメン6dの先端部には、前方に向けて徐々に縮径する縮径部6gが設けられている。主ルーメン6dは、縮径部6gからシール部材16まで軸方向に亘って一定の形状及び大きさとなる円形の断面形状を有している。
【0037】
主筒18aの基端部には、主ルーメン6dの基端から段差状に拡径した拡径内周面18cが設けられている。拡径内周面18cの先端には、シール部材16が配置されている。拡径内周面18cにおけるシール部材16より基端側の部分には、雌ねじ部18dが設けられている。
【0038】
雌ねじ部18dには、筒状の第2部材19の先端部における外周面に設けられた雄ねじ部19aが螺合している。第2部材19の内周面には、前方に向けて徐々に縮径する縮径部19bが設けられている。第2部材19の内周面における縮径部19bより基端側の部分には、外チューブ7の先端部における外周面が溶着などの固着手段によって固着されている。
【0039】
シース5は、長尺円筒状をなしており、その内部にルーメン5aを区画している。シース5の先端5cには、ルーメン5aからプライミング液を排出可能な排出口(図示省略)を区画する先端壁が設けられている。先端壁は、シース5と一体に成形されていてもよいし、シース5と別体に成形され、シース5の先端に溶着などの固着手段によって固着されていてもよい。シース5の先端5cには、ガイドワイヤを挿入可能な筒状の被案内部21が設けられている。
【0040】
各部材の長さにおける製造誤差を吸収し、被案内部21の先端からユニットコネクタ8の基端までの全長を仕様どおりの寸法に調整するために、第2部材19の基端部と外チューブ7の先端部とは、その相対的な軸方向位置が調節された上で、互いに固着されている。
【0041】
主ルーメン6dは、中心軸線X1と同心状に延在している。注入ルーメン6fは、中心軸線X2を有している。中心軸線X2は、中心軸線X1の基端側に鋭角を形成するように、中心軸線X1と交差している。注入ルーメン6fは、連通口6eまで中心軸線X2に沿って基端側から先端側に向けて徐々に縮径する切頭円錐状の縮径部6hを有している。縮径部6hの形状は切頭円錐状に限らない。注入ルーメン6fは、縮径部6hを有するものに限らない。中心軸線X2は、中心軸線X1と交差していなくてもよい。
【0042】
サポートチューブ11は、駆動シャフト12の外周に軸方向に沿って設けられるとともに駆動シャフト12に連動して進退移動するように構成されている。より具体的には、サポートチューブ11は、前述したように駆動シャフト12と一体に進退移動する。
【0043】
サポートチューブ11の先端11aは、連通口6eの前端6iより前方の位置に移動可能である。つまり、サポートチューブ11の先端11aは、前後方向における連通口6eの前端6iと同じ位置Pより前方の位置に移動可能である。したがって、図4に示すように、外部装置2によるプルバック操作の終了時にサポートチューブ11の先端11aが位置Pより前方に位置するように、プルバック操作を行うことが可能である。より具体的には、サポートチューブ11の先端11aは、図3に示すように、中継コネクタ6の先端6jより前方の位置に移動可能である。
【0044】
サポートチューブ11は、駆動シャフト12の円滑な回転を許容するとともに駆動シャフト12の局所的な変形を抑制することができる程度の僅かな隙間(図示省略)を空けて駆動シャフト12を収容している。したがって、サポートチューブ11は、回転する駆動シャフト12と連通口6eとの間に介在することにより、駆動シャフト12がトグロ状に変形しながら連通口6eに入り込み、ねじ切れたりするなどの作動不良の発生を抑制することができる。プルバック操作の終了時にサポートチューブ11の先端11aが位置Pより前方に位置するようにプルバック操作を制御することにより、このような作動不良の発生を抑制することができる。
【0045】
外部装置2は、カテーテル1が取り付けられた状態において、カテーテル1のサポートチューブ11の先端が連通口6eの前端より後方の位置に移動することを制限する制限部2l(図1図2参照)を有していてもよい。このような制限部2lにより、上述した作動不良の発生を抑制することができる。制限部2lは、このような制限を解除できるように構成されていてもよい。
【0046】
制御装置3は、サポートチューブ11の先端が連通口6eの前端よりも後方に位置しているときに、駆動シャフト12を回転駆動する回転駆動部2aが駆動しないように制御するよう構成されていてもよい。制御装置3のこのような構成により、上述した作動不良の発生を抑制することができる。
【0047】
図6に示すように、サポートチューブ11の先端11aは、連通口6eの前端6iより後方の位置に移動可能である。つまり、サポートチューブ11の先端11aは、位置Pより後方の位置に移動可能である。より具体的には、サポートチューブ11の先端11aは、後進限位置(テレスコープ部14の伸長限状態)において連通口6eの前端6iより後方に位置する。したがって、サポートチューブ11の先端11aを位置Pより後方の位置に移動させた状態でプライミング処理を行うことにより、連通口6eから主ルーメン6dに流入するプライミング液の流路抵抗を低減し、プライミング処理を円滑に行うことができる。プライミング処理において、プライミング液は、注入ルーメン6f、主ルーメン6d及びルーメン5aを順次満たしながら、ルーメン5aの先端に設けられた排出口から排出されるまで流れることで、注入ルーメン6f、主ルーメン6d及びルーメン5aの内部の空気を排出口から排出する。
【0048】
サポートチューブ11の先端11aは、より具体的には、連通口6eの後端6kより後方の位置に移動可能である。つまり、サポートチューブ11の先端11aは、図6に示すように、後進限位置において連通口6eの後端6kより後方に位置する。
【0049】
サポートチューブ11の先端11aは、連通口6eの前端6iより後方の位置に移動可能であればよいが、流路抵抗をより低減するためには、連通口6eの中心より後方の位置に移動可能である(後進限位置において連通口6eの中心より後方に位置する)ことが好ましく、連通口6eの後端6kより後方の位置に移動可能である(後進限位置において連通口6eの後端6kより後方に位置する)ことがより好ましい。
【0050】
サポートチューブ11の先端11aは、図6に示すように、後進限位置においてシール部材16より前方に位置する。
【0051】
プライミング処理後に駆動シャフト12及びサポートチューブ11を前進限位置まで前進移動させる際には、縮径部6gによってサポートチューブ11の先端11aを主ルーメン6dの先端6lまで円滑に案内し、さらに、ルーメン5aの基端5dと面一な主ルーメン6dの先端6lによってサポートチューブ11の先端11aをルーメン5aの内部まで円滑に案内することができる。
【0052】
中継コネクタ6(第1部材18、第2部材19)、サポートチューブ11、シース5は、それぞれ、合成樹脂製であることが好ましいが、これに限らない。
【0053】
前述した実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 画像診断用カテーテル
2 外部装置
2a 回転駆動部
2b 進退移動機構
2c ハウジング
2d 主軸
2e 回転駆動源
2f 回転駆動源
2g ボールねじ機構
2h 基台
2i ユニットコネクタ固定部
2j ねじ軸
2k ナット
2l 制限部
3 制御装置
4 ディスプレイ
5 シース
5a ルーメン
5b シースの基端
5c シースの先端
5d ルーメンの基端
6 中継コネクタ
6a 注入口
6b 側管
6c 主管
6d 主ルーメン
6e 連通口
6f 注入ルーメン
6g 縮径部
6h 縮径部
6i 連通口の前端
6j 中継コネクタの先端
6k 連通口の後端
6l 主ルーメンの先端
7 外チューブ
8 ユニットコネクタ
8a 段差面
8b 先端側部材
8c 基端側部材
9 ハブ
10 内チューブ
10a 段差面
11 サポートチューブ
11a サポートチューブの先端
12 駆動シャフト
13 信号送受信部
14 テレスコープ部
14a 内筒
14b 外筒
15 接着剤
16 シール部材
17 プライミング液供給装置
17a シリンジ
17b 接続チューブ部材
17c 基端側コネクタ
17d 先端側コネクタ
17e チューブ
18 第1部材
18a 主筒
18b 側筒
18c 拡径内周面
18d 雌ねじ部
19 第2部材
19a 雄ねじ部
19b 縮径部
20 キンク抑制用チューブ
20a キンク抑制用チューブの基端
21 被案内部
X1、X2 中心軸線
P 位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6