(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】コンクリート性能を改善するための新規組成物
(51)【国際特許分類】
B28C 7/02 20060101AFI20230904BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20230904BHJP
B28C 7/04 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B28C7/02
C04B22/06 Z
B28C7/04
(21)【出願番号】P 2020570392
(86)(22)【出願日】2019-03-08
(86)【国際出願番号】 US2019000009
(87)【国際公開番号】W WO2019172986
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-07
(32)【優先日】2018-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520348967
【氏名又は名称】ハートマン ダスティン エイ
(73)【特許権者】
【識別番号】520348978
【氏名又は名称】シェタリー ウィリアム アーチー ジョセフ
(73)【特許権者】
【識別番号】520348989
【氏名又は名称】ウルフ クリス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン ダスティン エイ
(72)【発明者】
【氏名】シェタリー ウィリアム アーチー ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ クリス
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-534227(JP,A)
【文献】特表2017-507821(JP,A)
【文献】特開昭50-133223(JP,A)
【文献】特表2003-535804(JP,A)
【文献】特表2003-535808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0272542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
B28C 7/00-7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート設備の調製方法であって、前記方法は、
段階(A)において、成分からのコンクリート混合物を生成し、前記成分が、
a)所定量の乾燥セメント混合物であって、
i)製造業者の水/セメント比の推奨値であって、前記水/セメント比が0.35~
0.65の範囲にあり、以下のb)と組み合わせると、前記水/セメント比は、前記推奨値よりも10%小さい値に対応する値よりも大きく且つ前記推奨値よりも30%大きい値に対応する値より大きくない、製造業者の水/セメント比の推奨値、又は
ii)上限値及び下限値を有し、以下のb)と組み合わせると、前記下限値よりも10%小さい値に対応する値よりも大きく且つ前記上限値よりも30%大きい値に対応する値よりも小さい、製造業者の水/セメント比の推奨範囲、又は
iii)以下のb)と組み合わせると、前記水/セメント比が0.35~0.65の範囲にあるような量、
により特徴付けられた乾燥セメント混合物と、
b)所定量の水と、
c)前記a)のセメントのハンドレッドウェイト当たり
2.83~198.45グラム(0.1~7.0オンス
)の範囲にあり、平均シリカ粒径が1~55ナノメートルの範囲及び/又はシリカ粒子の表面積が300~900m
2/gの範囲にある所定量の非晶質シリカと、
d)400~700wt%(bwoc)の範囲の所定量の骨材及び/又は所定量の砂と、
の各々を含む成分からのコンクリート混合物を生成し、
段階(B)において、前記b)の水が、部分で加えられ、この部分が、前記所定量の水の
35~60wt%を含む初期部分と後水の部分とを含み、前記初期部分の水を、a)及びd)の成分と組み合わせて第1の混合物を形成し、前記非晶質シリカは、a)、d)及びb)の前記初期部分を含む混合物に加えられて第2の混合物を形成し、及び
前記後水が、1)前記第1の混合物に加えられ、又は2)前記第2の混合物に加えられ、又は3)前記第1の混合物に前記非晶質シリカと共添加され、前記非晶質シリカ及び前記後水が加えられて相互結合され、及び1)前記第1の混合物は、前記後水の添加前の時間t
11の間、前記後水の添加後であるが前記非晶質シリカの添加前の時間t
12の間、及び前記非晶質シリカの添加後の時間t
13の間攪拌され、又は2)前記第2の混合物は、前記非晶質シリカの添加前の時間t
21の間、前記非晶質シリカの添加後であるが前記後水の添加前の時間t
22の間、及び前記後水の添加後の時間t
23の間攪拌され、又は3)前記第2の混合物は、前記非晶質シリカ及び前記後水の共添加前の時間t
31の間攪拌され、前記コンクリート混合物は、時間t
32の間攪拌され、
前記時間t
11
は、2~8分の範囲にあり、前記時間t
12
は、0.5~4分の範囲にあり、前記時間t
13
は、2~10分の範囲にあり、前記時間t
21
は、2~8分の範囲にあり、前記時間t
22
は、0.5~2分の範囲にあり、前記時間t
23
は、2~10分の範囲にあり、前記時間t
31
は、2~8分の範囲にあり、前記時間t
32
は、2~10分の範囲にあり、
段階(D)において、前記段階(B)の前記コンクリート混合物を注入してコンクリート設備を形成する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
b)の前記水とa)の前記乾燥セメント混合物の組み合わせにより、前記水/セメント比は、
i)の前記推奨値に等しいか又はそれよりも大きいが前記推奨値よりも30%大きい値に対応する値よりも小さく、又は
ii)の前記推奨範囲の前記上限値に等しいか又はそれよりも大きいが、前記上限値よりも30%大きい値に対応する値よりも大きくなく、又は
iii)に関して少なくとも0.35であるが、0.65よりも大きくない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非晶質シリカは、コロイド状シリカ溶液として前記第1の混合物の中に導入され、前記溶液は、50~95wt%の
非晶質シリカ及び5~50wt%の水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記
コロイド状シリカ
溶液は、75~90wt%の
非晶質シリカ及び10~25wt%の水を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記非晶質シリカは、ハンドレッドウェイトのセメント当たり
70.87~155.92グラム(2.5~5.5オンス
)の範囲の量だけ加えられる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記非晶質シリカは、ハンドレッドウェイトのセメント当たり
99.22~127.57グラム(3.5~4.5オンス
)の範囲の量だけ加えられる、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記コロイド状シリカ
溶液は前記後水の後に加えられる、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記コンクリート
混合物はスラブ又はフーチングに注入される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2018年3月9日に出願された米国特許仮出願第62/761,064号、2018年3月22日に出願された米国特許仮出願第62/761,393号、及び2018年9月1日に出願された米国特許仮出願第62/765,597号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートは、古代から建設の基本的要素になっている。タイプに応じて、コンクリートは、要素の苛酷さ及び長期にわたって構造劣化がほとんどない継続的な公共利用に耐える十分な圧縮強度を有することができる。その有用性に不可欠なのは、未硬化コンクリートの含水混合物の注入可能なレオロジーである。コンクリートの注入性は、硬質の形態に硬化する前に、例えば金型又は他の制約を用いるなど構造的成形を可能にする。水はコンクリートの成形及び硬化の両方において機能する。しかしながら、従来では、コンクリートの注入性を生じさせる水を注意深く管理する必要があって、硬化中いつでもコンクリート中の水が多すぎても又は少なすぎてもコンクリート硬化プロセスに悪影響を与える可能性があり、構造的にコンクリート製品の欠陥につながる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】コンクリート混合物の設計及び制御、第16版、第2刷(改訂);Kosmatka,Steven H.;pg.156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
養生コンクリート中の水は、一般的に3つの重要な機能を有する。第一に、水は乾燥セメントの水和に必要である。水和反応(養生)は、コンクリート形成反応(C-S-H形成反応)であり、水は、コンクリートに圧縮強度を与える結合が形成される反応に関与する。理論的には、最も大きな圧縮強度を有するコンクリートは、水和反応が完了するとき形成される。実際には、水和反応は、一般的に養生の第1の段階中にかなりの程度まで進行するが、その後養生コンクリートの表面からの水の蒸発によって制限される。コンクリート水和は、風速、相対湿度及び温度などの周囲条件によって大きく影響を受ける可能性がある。従って、コンクリートは、部分的にしか養生されなくても「乾燥」することができる。コンクリート表面が早期に乾燥する場合、水和が不完全になり、多孔質で脆弱な表面を与える可能性がある。コンクリートがその最大強度の可能性に達するためには、一般的に、長期間、多くの場合は数日間連続的に水を適所に置く必要がある。実際に、コンクリートは、その最大強度の可能性まで養生されることは希である。
【0005】
水の第二の機能は、コンクリートの注入性を支援することである。セメントへの水の添加により、水和が大規模に起こる前であるが、最終的に水和反応に関与することになる水の多くは、既にコンクリート中の添加物及び水酸化カルシウムに関連付けられている。この関連する水を超過する水は、一般的に、コンクリートの流動性に有効となり、「過剰な」水が多いほど、一般的に、コンクリートのより大きな流動性と相関性がある。
【0006】
一般に、比較的少量のこのような過剰な水でも、コンクリート製品に有害であると業界では考えられている。環境条件(風、相対湿度及び温度)は、スラブの表面を内部よりも速く乾燥させる可能性がある。内部の水は、多くの場合内部に閉じ込められる。ある程度の水和は、セメントへの水の添加から始まり、注入のすぐ後に、水和がかなり進行する可能性がある。閉じ込められた水は、比較的乾燥し部分的に養生された表面によって形成された毛細管を通して表面に漏出することができる。代わりに、閉じ込められた水は、養生コンクリートの内側にリザーバを形成し、養生コンクリート製品中に空隙を生じる場合がある。毛細管及びリザーバの両方は、結果として生じる養生コンクリートの圧縮強度を損なう可能性がある。これらはまた、供与耐用期間中に環境水がコンクリートに侵入することを可能にし、凍結損傷及びその他の水介在損傷プロセスによってコンクリートを劣化させる。
【0007】
更に、水和反応に関与しない水(すなわち、コンクリートと化学的に結合しない水)は、注入されたコンクリートに体積を基本的に増加させ、乾燥中のこの水の損失は、一般的に、養生中にある程度のコンクリートの収縮をもたらすと考えられる。それにもかかわらず、コンクリートは実行可能でなければならない。従って、水和/乾燥中のコンクリートに対する収縮及び構造的損傷を最小にしながら、水和(養生)及び実行可能性が最大になるように最適量の水を含めることは、微妙にバランスを取る動作のままであり、環境要因によって更に困難になった。
【0008】
水の第三の機能は、蒸発に起因して乾燥することができる部分養生面の仕上げを可能にすることである。早期に乾燥する表面は、一般的に仕上げが困難である。このような表面に水を加えて、ストライクオフ、クロージング及び仕上げを容易にするのは通常の実施法である。加えた水は、特に毛細管が存在するときに表面に浸透することができる。このような水は、一般的に、多くの場合はコンクリートが乾燥しているように見えるときでも、長期にわたって緩慢にコンクリートから放出される。多くの場合、床タイル又はカーペットなどの構成要素を床に固定する必要があるシーリング又はステップなどの更なるステップは、仕上げ水の緩慢な放出の影響を受ける。例えば、水の緩慢な放出に起因して、床設備の短時間内に接着剤が機能しなくなることは珍しいことではない。この水は、多くの場合、主として水を仕上げている。水が加えられるときでも、仕上げ加工機は、多くの場合、部分的に乾燥している表面を効果的に仕上げるためにより高い設定で操作する必要がある。
【0009】
例えば、水不浸透性、圧縮強度及び耐摩耗性などのコンクリートの特性を改善するのにコンクリートにおける追加のセメント系材料の使用は公知である。例えば、シリカヒュームなどの様々なタイプの粒子状シリカは、水不浸透性及び圧縮強度を改善するのに追加のセメント系材料としてコンクリートに用いられている。シリカに関連する一般的な問題は、著しいブリード水の可能性がより高いことに起因して、養生中の毛細管及び空隙の形成の可能性が増大するように、コンクリート配合の水需要を高める可能性があることである。ブリード水を低減するために、比較的大量のシリカヒューム(セメント系材料の重量で5~10パーセント)を、例えば、セメント系材料に対する水の比率が重量で約0.5を下回るなど、水を最小限又は比較的少量にまで注意深く制限して用いることが当技術分野では一般的である。(コンクリート混合物の設計及び制御、第16版、第2刷(改訂);Kosmatka,Steven H.;pg. 156)。このような少量の水は、一般的にセメント製造業者が推奨するものを下回り、コンクリートのレオロジーを著しく損なう可能性があり、注入又は加工を困難にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、注入されたコンクリート設備では、セメントの100lbs当たり約0.1~約4オンスの非晶質シリカの範囲の重量比で(すなわち、水、骨材、砂又はその他の添加物を含まない)コンクリート中に存在するような量でのナノシリカ(すなわち、約55nmよりも小さく、及び一部の実施形態では約7.8nmよりも小さく、又は他の実施形態では約5~約55nm、或いは約5~約7.9nmの平均粒径を有し、約300~約900m2/g、又は他の実施形態では約450~約900m2/gの範囲の表面積を有する非晶質シリカ)の使用は、このような非晶質シリカがない場合に水和されるコンクリートよりも養生中に著しく低い水損失速度をもたらす可能性があることが見出された。従って、本発明の方法の新たに注入された部分養生コンクリートの表面は、他の方法によって調製されたコンクリートのものよりも長期間容易に加工できる状態を保持し、通常は蒸発を加速する環境条件にあまり敏感でない。ブリード水、カーリング、亀裂及び収縮は一般的に大いに減少する。結果として生じる養生コンクリートの圧縮強度は、一般的に著しく増強する。注目すべきことには、本発明の利点の実現にとって重要なのは、乾燥成分が完全に湿潤するように、水及びその他の乾燥成分が混合された後のコンクリート混合物へのシリカの導入である。湿潤の前などの初期段階におけるシリカの導入は、一般的にブリード水、亀裂及び収縮の有意な減少を与えず、実際に非シリカ対照(又は制御)よりもこのような態様において悪い場合がある。上述の事項は、非シリカ対照に対して圧縮強度の改善がある場合でも当てはまる。
【0011】
構造上の目的のために業界で一般的に用いられるよりもセメントに対してはるかに小さな割合:セメント混合物のハンドレッドウェイト当たり僅か約0.1~約4オンス(「cwt」)で用いられる、小粒径の高表面積非晶質シリカを含むコンクリートが開示される。追加の態様において、改良されたコンクリートは、シリカのプロセス固有の添加によって調製される。これらの改良されたコンクリートは、圧縮強度を著しく損なうことなく、セメント製造業者が推奨する水の標準量、又は推奨される量を超える水を用いて調製することができる。そのような結果は本当に驚くべきものである。このような水量の使用にもかかわらず、ブリード水は養生中にほとんど又は全く観察されない。毛細管及び空隙の形成は最小になるか又は更に本質的に完全に抑制され、養生中にコンクリート中により多くの水が保持され、長期間にわたってより多くの水が養生に関与することを可能にし、且つ圧縮強度は、早期(3日)及び特に後期(28日)の両方で大いに改善される。
【0012】
比較的多量の水に対するこれらの許容性にもかかわらず、低シリカコンクリートは、他の改善された特性の中でも、改善された圧縮強度及び耐摩耗性を有する。圧縮強度の改善は、少量のシリカが採用されていることを考えると驚くべきことであるが、公知の方法は、場合によっては、著しく少ない増加を達成するのにはるかに多くの量を用いる。更に、コンクリート耐摩耗性の大きな改善は、一般的に、例えばシリカヒュームなどのシリカの使用で、通常用いられるより大量でも(id、pg.159)観察されていない。本明細書で説明する低シリカコンクリートは、試験ASTM C944によって測定されたような耐摩耗性の大幅な改善を与える。(上述の標準に関して、22pd、98kgの負荷を採用したバージョンは、本明細書では全て標準を参照して用いられたことに注目されたい。)標準のコンクリート(すなわち、以下に教示する高表面積の非晶質シリカを含まない)は、約2.5~約4.0グラム又はそれ以下の損失の範囲の値を有することができる。本明細書で教示される低シリカコンクリートは、1.1グラムほどの低い損失又はそれ以下のASTM C944値を有することができる。
【0013】
更により注目すべきことには、セメント混合物を形成するように成分を混合するためのプロセスの具体的なステップは、新たに注入された部分養生コンクリート表面の保水性、圧縮強度及び実行可能性の増加の実現にとって重要である。本質的に非晶質シリカの全ては、例えば、混合段階(すなわち、実際の注入前)に用いられるべきレディミックスなどの混合機内で、一部又は本質的に全ての水及び乾燥成分(例えば、セメント混合物、骨材、砂)の組み合わせ後に加えられる。「本質的に水の全て」とは、一般的にコンクリート混合物に加えられる水よりもはるかに少ない、非晶質シリカのコロイド懸濁液の生成に伴う例えば水などの非晶質シリカ配合の一部である水が、「本質的に全て」の意味の範囲内に含まれないことを意味する。最終混合及び注入の前で水の最終部分(すなわち「後水」)の後に(又は一部の実施形態ではそれと共に)小粒径シリカを加えるのが特に好都合である。2つの部分への水添加のブレイクは、第2の部分がドラムの口付近からバルクの中に残りの乾燥成分をすすぎ落とすのに用いることができるという点で、レディミックスの使用に特に好都合である。
【0014】
その小粒子のシリカは、後水添加後より有効であるが予想外である。当技術分野における一般的な考え方は、コンクリートへのシリカの添加が、これまで水の添加前にセメント系材料の混合物に加えられても、一般的に有効であると考えられているということである。しかしながら、これは、建物スラブ、フーチング及びその他の大規模コンクリート注入の建設に必要な規模で見出されており、その結果、レディミックスなどの混合及び注入機器が用いられるようになり、本明細書で説明するような少量の小粒径シリカの添加は、所定量の水の後又は好ましい実施形態では水の第2の部分(「後水(又はテイルウォーター)」)と共に又はその後に、湿潤されて任意には本明細書で開示するようにある期間の間混合されているコンクリートに添加されたときに、セメント系材料を湿潤させるのに用いる水の前、又は水の一部と共に加えるときよりもはるかに有効であることが立証されている。
【0015】
非晶質シリカは、水、セメント混合物及び固体(骨材及び砂)が、例えば、レディミックス又は他のミキサーなどで混合された後に加えられる。毛細管及びリザーバの形成は、低減又は排除することができる。本発明の利点は、一般的に、コンクリート混合物が完全に水和するためにコンクリートが必要とする量を超えるかなりの量の水を含有するときでも得ることができる(セメント混合物は、一般的に、製造業者の仕様により完全に水和することができるコンクリートを与えるための水の推奨量を有する)。完全な水和に必要な又はセメント混合物製造業者が推奨する量に等しい或いはそれを超える水を有するコンクリートが好ましい。
【0016】
より大きなサイズのシリカは、コンクリートの圧縮強度を改善することが示されているが、シリカが水要件を有し、サイズが縮小して表面積が増加するにつれて、コンクリートが必要とする水の量が増加することは周知である。従って、当技術分野における認識は、1)シリカ粒径を減少させること、2)毛細血管(キャピラリー)及び空隙の形成が最小になるよう含水量を十分低く保つことの間に緊張関係があることである。従って、小さな粒径では、水要件がシリカによって提供される構造的恩恵を無効にすることになるというリスクが存在すると考えられる。この事実を例示すると、出願人は、所定の非晶質シリカが、注入可能なコンクリート混合物の調製における他の点で、例えば、水及びセメントの比較的完全な混合の前(セメント混合物を湿潤させる水の前又はそれと共に)のいつでもなど、セメント又はコンクリート混合物に加えられる場合、結果として生じる注入されたコンクリートは、水及びセメント混合の完全な混合後に非晶質シリカが加えられる場合よりも、かなり多くの毛細管、空隙及び/又は結果として生じる表面ブリード水を示す可能性があることを見出している。従って、セメント及び水が完全に混合された後の時点でシリカが(好ましくは非晶質コロイド状シリカ又は沈殿シリカとして)加えられる場合、毛細管及び空隙の形成が低減又は排除され、水蒸発が減速されて新たに注入され、部分養生面が、一般的に、多くの場合仕上げ水の添加なしに容易に加工できることは本当に驚くべきことである。一般に、ある程度の恩恵は、水及びセメント混合物の完全な混合が行われていない場合でも、水の後シリカが加えられたとき観察することができると予想される。
【0017】
ナノシリカの遅延添加の成功は、コンクリート形成混合物の中にコロイド状シリカとして導入されるとき、ナノシリカ粒径及び表面積などの要因がコンクリートの特性、最も注目すべきは圧縮強度にどのように影響を与えるかについて発見されたことを考えると、特に驚くべきことである。発明者が自らの経験後にのみ気付く、当技術分野における幾つかの所見である、最新の所見の要約は、以下の通りである。コンクリート形成混合物におけるコロイド状ナノシリカ(約100nmよりも小さい平均粒径を有するシリカ、特に約10~15nmよりも小さい平均粒径を有するシリカ)の使用は、結果として生じるコンクリートのその他の特性の中でも圧縮強度に関する問題がある。例えば、過去の研究では、例えばシリカヒューム(約145nm)などのより大きな粒径のシリカが、一般的に広範囲の粒径及び荷重での圧縮強度によりプラスの効果を有することを示している。しかしながら、より小さなシリカ粒径は、圧縮強度とはるかに複雑な相関性がある。最近の研究では、ナノシリカ粒子は、コロイド溶液中で凝集する傾向があることを示している。(例えば、シリカフュームなどの非ナノサイズのシリカ粒子は、より大きな表面電位を有し、凝集する傾向がそれほどない。)研究は更に、このような骨材が、コンクリート形成混合物の中に導入されて、例えば攪拌などによってその後十分に分散されない場合、コンクリートマトリックス構造のない最終コンクリート製品の空間となり、圧縮強度及び他の特性に悪影響を与えることを示している。しかしながら、研究はまた、非ナノサイズのシリカのそれよりもはるかに大きい(1桁、多くの場合数桁以上だけ)ポゾラン反応のためにナノシリカによって与えられた広範な表面積は、C-S-Hマトリックス形成反応がシリカ表面における反応との競争を受けるようにすることを示している。結果として、大きな表面積の有用性は、より低い圧縮強度をもたらすより弱いC-S-Hマトリックスをもたらす可能性がある。従って、圧縮強度を高めるナノシリカ負荷パラメータの探索では、1)コンクリート形成混合物中の骨材の持続性と、2)コンクリート形成混合物の攪拌又は他の分散モードの適用との間に緊張関係が存在する可能性があり、その結果、骨材は、低減又は排除されることになるが、露出したシリカ表面積の量の急増をもたらす。
【0018】
その分野においてナノシリカを用いようとする発明者の試みにおいて、挫折に遭遇した。多くの場合、大規模なプロセスで標準の様式で用いるとき圧縮強度増加を与えることができなかった、ASTM 305-06などの標準の手順で調製されると、実験室で圧縮強度を明確に生成するシリカ負荷が、工業用注入、例えばレディミックスプロセスの調製制約を受けることが見出された。更に、不十分な注入性を有すると同時に多くの場合、シリカフリー対照よりも大きなブリード水、亀裂、養生及び収縮を示すコンクリートは、多くの場合流動学的に損なわれた。
【0019】
ナノシリカの同じ負荷レベルに対するこのような手順の依存性は、明らかな差が同じ程度にあると同時に、レディミックスに関連する成分混合を完了するまでの時間が増加するので、予想外と考えることができる。当業者は、圧縮強度に影響を与えるプロセスがコンクリート成分の初期混合に伴う比較的短いタイムスケールで起こることを期待せず、その結果、混合時間の差が圧縮強度に影響を与えることになる。これは、テストシリンダーが注入時間に取られることを考えると特に当てはまり、すなわち、測定された圧縮強度の差は、スラブのバルクサイズ対サンプルのサイズの大きさに部分的に起因しないと主張することができる。
【0020】
更に、広範囲な実験により、以下に説明するように混合プロセスの終わりにシリカを添加すると、ナノシリカの圧縮強度を増大させる効果が回復することが見出された。ナノシリカが最終的に加えられるまでにほとんど全てではないにしても多くの混合攪拌が行われているので、これは予想外の結果であった。従って、骨材がコンクリート混合物中に完全に散逸する可能性は低く、上で説明したように理論的にコンクリートが脆弱になる。一般に、建設規模では、水の添加後のコロイド状ナノシリカの添加は、より注入可能なコンクリート混合物、及び圧縮強度、注入性、及び耐摩耗性が向上すると同時に、標準の添加サンプル及びシリカフリー対照サンプルと比較して、亀裂、カーリング及び収縮が減少したコンクリート製品が得られることが見出されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
コンクリート混合物は、所定量のa)乾燥セメント混合物、b)水、c)非晶質シリカ、及びd)骨材及び/又は砂を含む成分から生成される。
【0022】
乾燥セメント混合物は、一般的に、望ましい注入及び養生特性の組み合わせを有する、コンクリート混合物を提供する水/セメント比を与える推奨含水量を有する。場合によっては、推奨含水量は、ある範囲の含水量を包含する。以下に示すように、注入前のコンクリート混合物の初期含水量は、養生及び仕上げ中に問題を生じ、結果として生じるコンクリート設備(スラブ、フーチング、その他)の品質を低下させる可能性がある。養生コンクリート中の水介在の構造欠陥を低減する恩恵のために、「減水剤」及び超可塑剤の使用などの減水手段を使用するのが一般的である。本発明の利点は、含水量が製造業者が推奨する量よりも減少している環境で明らかであるが、本発明は、コンクリート混合物中に含まれる水が乾燥セメント混合物の製造業者が指定する量に等しいか又はそれよりも大きい状況において本発明のコンクリートを与えるのに用いることができることに注目すべきである。コンクリート混合物中の減水剤は一般的に不要である。
【0023】
従って、広い態様では、セメント混合物及び水はコンクリート混合物中に存在し、下記の割合で混合物中に存在する:
所定量の水、及び所定量の乾燥セメント混合物、このセメント混合物は、
i)製造業者が推奨した水/セメント比の値、この推奨比は約0.35~約0.65の範囲にあり、水の量と組み合わせると、水/セメント比は、推奨値よりも約10%小さい値に対応する値よりも大きいが、推奨値より約30%大きい値に対応する値よりも小さく、又は
ii)上限値及び下限値を有し、水の量と組み合わせると、下限値よりも約10%小さい値に対応する値よりも大きく且つ上限値よりも約30%大きい値に対応する値よりも大きくない、製造業者が推奨した水/セメント比、又は
iii)水の量と組み合わせると、水/セメント比が約0.35~0.65の範囲にあるような量、
によって特徴付けられる。
【0024】
本発明の利点は、一般的に、商業的に有用なタイプのポルトランドセメントの使用で明らかにすることが期待される。セメント混合物は、例えば、タイプI、II、III、IV及びVのポルトランドセメントなどの建設で一般に用いるタイプのうちの1又は2以上である。
【0025】
上記所定量の水は、セメント混合物に加えられる。この量は、コロイド、分散剤、乳剤、及び同様のものなどの含水配合の場合のシリカと共に導入された水を除き、少なくともセメント混合物を含むコンクリート混合物と結合される全ての水を含む。以下で更に詳細に記載されるように、水は、水の第1の部分がコンクリート混合物と結合されて一度攪拌された後、例えば水の第2の部分(例えば「後水」)の添加など、複数の部分で少なくともセメント混合物を含むコンクリート混合物と結合することができる。水は、収縮、並びに後の加工及び仕上げの困難をもたらす可能性がある表面の早期乾燥を防ぐように、部分的に養生した後コンクリートの表面に適用される場合がある。この「仕上げ」の水は、水の量には含まれない。他の実施形態では、水/セメント比は、約0.38~0.55の範囲、又はより具体的な実施形態では、約0.48~約0.52の範囲、或いは約0.38~約0.42の範囲にある。
【0026】
より好ましい実施形態では、上記のi)、ii)、及びiii)を参照して、水及びセメント混合物は、所定量の水と所定量の乾燥セメント混合物の組み合わせにより、水/セメント比は、
推奨値に等しいか又はそれよりも大きいが、推奨値よりも約30%大きい値に対応する値より大きくなく、又は、
推奨範囲の上限値に等しいか又はそれよりも大きいが、上限値よりも約30%大きな値に対応する値よりも大きくなく、或いは、
少なくとも0.35であるが、0.65よりも大きくない割合でコンクリート混合物中に存在している。
【0027】
非晶質シリカの粒径は特に重要である。微粉化シリカに見られるようなより大きな粒径は、一般的に、本明細書で規定されるサイズの非晶質シリカが規定量で用いられるとき見られる程度まで毛細管及び空隙の形成を低減しない。本発明のコンクリート混合物は、所定量の非晶質ナノシリカを含み、これは好ましくは、a)のセメントのハンドレッドウェイト当たり約0.1~約7.0オンス(cwt)の範囲の量で存在し、平均シリカ粒径が約1~約55ナノメートルの範囲にあるような粒径を有し、及び/又はシリカ粒子の表面積は、約300~約900m2/g、又は他の実施形態では、約450~約900m2/gの範囲にある。
【0028】
種々の供給源からの非晶質シリカは、一般的に、上記の粒径及び表面積パラメータによって特徴付けられる限り適切である。適切な非晶質シリカの非限定的な実施例は、コロイド状シリカ、沈殿シリカ、シリカゲル及びヒュームドシリカを含む。しかしながら、コロイド状非晶質シリカ及びシリカゲルが好ましく、コロイド状非晶質シリカが最も好ましい。
【0029】
更なる実施形態では、シリカ粒径は、約5~約55nmの範囲にある。好ましいのは約25nmよりも小さい平均粒径を有し、より好ましくは約10nmよりも小さい平均粒径を有し、更により好ましいのは約7.9nmよりも小さい平均粒径を有する粒子である。コンクリート中の好ましい重量比率は、セメントの100lbs当たり非晶質シリカが約0.1~約3オンスである(水、骨材、砂又は他の添加物を含まない)。コンクリート中のより好ましい重量比率は、セメントの100lbs当たり非晶質シリカが約0.1~約1オンスである(この場合も同様に、水、骨材、砂又は他の添加物を含まない)。更により好ましいのは、セメントの100lbs当たり非晶質シリカが約0.45~約0.75オンスである(この場合も同様に、水、骨材、砂又は他の添加物を含まない)。驚くべきことに、セメント混合物100lbs当たりに非晶質シリカが約3~約4オンスを超えると、コンクリート混合物の注入又は加工するのが困難になる可能性があり、非シリカ対照に対しても圧縮強度が大幅に低下する可能性がある。それ以外の場合、セメント100lbs当たりに約1オンスを超える量では、一般的に、セメント100lbs当たり非晶性シリカの約0.45~約0.75オンスの好ましい範囲に対して圧縮強度の増加が減少する。与えられた好ましい範囲は、最も経済的に実現可能な範囲であり、すなわち、それを超えると、圧縮強度の増加は、シリカの追加ユニット当たりに小さくなり、圧縮強度のユニット増加当たりのシリカのコストは、コンクリートのコストを極めて高くなる場合がある。
【0030】
約50~約900m2/グラムの範囲の表面積を有する非晶質シリカが好ましく、約150~約900m2/グラムがより好ましく、約400~約900m2/グラムが更により好ましく、450~700m2/グラム又は500~600m2/グラムが更により好ましい。アルカリ性pH(約pH7以上)を有する非晶質シリカが好ましく、8~11の範囲のpHがより好ましい。
【0031】
更に別の実施形態では、非晶質シリカは、約85wt%の水中に約15wt%の非晶質シリカを含有する、仕様製品LLCから商業的に入手可能な添加剤であるE5 INTERNAL CUREの使用によって提供される。シリカ粒子の特性は、(BET法によって測定された)約10nmよりも小さい平均粒径、及び約550m2/gの表面積である。1つの実施形態では、E5 INTERNAL CURE対セメントの重量比率は、E5 INTERNAL CUREの約1~約20オンスから100lbセメントまでの範囲にある(水、砂、骨材又は他の添加物を含まない)。より好ましくは、E5 INTERNAL CURE対セメントの重量比率は、E5 INTERNAL CUREの約1~10オンスから約100lbセメントまでの範囲にある(水、砂、骨材又は他の添加物を含まない)。E5 INTERNAL CURE対セメントのより好ましい重量比率は、E5 INTERNAL CUREの約1~約5オンスから約100lbセメントまで、更により好ましいのは(水、砂、骨材又は他の添加物を含まない)E5 INTERNAL CUREの約3~約5オンスから約100lbセメントまでの範囲にある。驚くべきことに、(この場合も同様に、水、砂、骨材又は他の添加物を含まない)E5の約20オンスからセメント約100lb以上の使用は、追加の有益な水又は圧縮強度恩恵が観察されない場合があり又は最小限に観察される場合があるという点で恩恵がなくなる可能性がある。結果として生じるコンクリート混合物は、注入するのが困難になる場合があり、あらゆる結果として生じるコンクリートは、品質が不十分な場合がある。コンクリートの品質は、100lbセメント当たり約3~約5オンスの好ましい範囲からの距離とともに減少するが、圧縮強度はE5 INTERNAL CUREのコロイド状非晶質シリカがない場合にそれ以上依然として改善することができることに注目されたい。好ましい実施形態では、コンクリート混合物に加えるコロイド状シリカは、約40~98wt%のシリカ、好ましくは60~95wt%、及びより好ましくは70~92wt%、及び更により好ましくは75~90wt%の範囲にある。
【0032】
骨材及び砂は、一般的に、建設目的のために当技術分野で公知のような量で本発明のコンクリートに用いることができる。1つの実施形態では、骨材の量及び/又は砂の量は、これらが合計で約400~約700wt%(bwoc)の範囲の量になるように用いられる。一般に、コンクリート混合物は、セメント混合物、水、及び好ましくは(場合によってはそれぞれ「大骨材」及び「小骨材」と呼ばれる)ある量の骨材及び砂を含む成分で調製される。コンクリート混合物が僅かな砂又は僅かな骨材などの2つのうち1つだけを含むことが許容されるが、混合物が少なくともある量の各々を含むのが好ましい。砂及び骨材は、セメント混合物のシリカ含有量に寄与することができ、従って、これらはコンクリート混合物の水の要求量に影響を与える(すなわち、幾分上昇する)可能性がある。一般的に、コンクリートを入れるのに使用するのに適切なほとんどのタイプの骨材を用いることができる。含まれるのは、粗い砂利、粉砕した石灰岩の砂利、より大きなグレードの粉砕した清浄石、及び同様のものなどのより大きな骨材、より小さなグレードの粉砕した清浄石、微細な石灰岩の砂利、及び同様のものなどのより小さな骨材である。同様に、山(粗)砂、川砂及び同様のものなどの多くのタイプの砂を用いることができる。一般的に、コンクリート用途では、モルタルに使用するのにより適切であることが知られている「軟砂」よりも、「粗砂」が好ましい。しかしながら、軟砂は、一般的に、コンクリート調製に用いるときに粗砂とは異なる水の要求量を有することが予想尾される。当技術分野で知られるように、重量負荷用途は、粗い粉砕した石灰岩などのより大きな骨材を必要とする場合がある。このようなより大きな骨材は、注入コンクリート用途に好ましく、特に注入された建物のスラブに使用するためには、例えば、粗い砕石した石灰岩の砂利及びより大きなグレードの粉砕した清浄な石、及び山砂などのより大きな骨材である。
【0033】
総合すると、セメントの重量(bwoc)に基づく骨材及び砂の割合は、好ましくは、乾燥セメント混合物の1ヤード当たり約2000~約4000lbsの範囲(1ヤード当たり約520~約610lbs、又はより好ましくは1ヤード当たり約560~約570lbs、更により好ましくは1ヤード当たり約564lbsの範囲)にある。より好ましいのは、セメント混合物の1ヤード当たり約2700~約3300lbsの範囲の骨材及び砂の結合比率である。より好ましいのは、乾燥セメント混合物の1ヤード当たり約2900~約3100lbsの範囲である。別の実施形態では、骨材及び砂の重量は、コンクリートの重量に基づいて50~90wt%であり、好ましくは約70~約85wt%の範囲である。骨材及び砂の相対量はそれほど重要ではないが、好ましくは、砂及び骨材の合計重量に基づいて約20wt%~約70wt%、好ましくは約40wt%~約50wt%の範囲にある。
【0034】
特に商業規模の注入では、開示された恩恵に影響を及ぼすのに必要な少量の非晶質でさえ、水の前にセメント混合物に加えると、コンクリート混合物の注入性並びに結果として生じるコンクリートの品質に有害である可能性があり、コンクリートを不適切にすることさえあることが発見された。本発明の方法は、一般的に、ある量の非晶質ナノシリカを添加する前に少なくとも一部分のある量の水が加えられ、添加の間に少なくともある時間期間攪拌して水を分配する状況を含む。実際に、必要に応じて、幾らかの水を調製プロセスの後半で加えることができる。例えば、第1の部分の添加及び攪拌の後に「後水(又はテイルウォーター)」として一部分を加える実施など、2つ(又はそれ以上)の部分に水を加えることが知られている。1つの実施形態では、非晶質シリカは、水の第2の部分と共にコロイド状シリカとして加えられる。好ましい実施形態では、コロイド状シリカは、2つの部分に加えられている水の添加後加えられ、各部分の添加後に攪拌される。
【0035】
従って、より一般的には、水の量は、水の量の約20wt%~約95wt%の範囲で含む初期部分、及び残りの部分を含む後水部分を含むその全体に加え又は一部に加えることができ、水の初期部分は、セメント混合物及び骨材/砂成分の量と結合されて第1の混合物を形成し、非晶質シリカは、セメント混合物、骨材/砂成分及び水の初期部分の量を含む混合物に加えられて第2の混合物を形成する。更により好ましいのは、水の量の35~約60wt%の範囲を構成する初期部分である。
【0036】
(以下の3つの状況(すなわち、「状況1」、「状況2」及び「状況3」)は、それぞれ、i)後水の添加後のシリカの添加、ii)後水の添加前のシリカの添加、及びiii)後水を有するシリカの共添加に対応する。)
【0037】
分割水の添加を伴う実施形態では、後水は、1)第1の混合物に加えられ、又は2)第2の混合物に加えられ、或いは3)第1の混合物に非晶質シリカと共添加され、非晶質シリカ及び後水は、任意に相互結合され、1)第1の混合物は、後水の添加前の時間t11の間、後水の添加後であるが、非晶質シリカの添加前の時間t12の間、及び非晶質シリカの添加後の時間t13の間攪拌され、又は2)第2の混合物は、非晶質シリカの添加前の時間t21の間、非晶質シリカの添加後であるが後水の添加前の時間t22の間、及び後水の添加後の時間t23の間攪拌され、又は3)第2の混合物は、非晶質シリカ及び後水の共添加前の時間t31の間攪拌され、次いで、コンクリート混合物は、時間t32の間攪拌される。
【0038】
水の第2の部分(後水)が、水の第1の部分、セメント混合物及び砂/凝集成分の量を含むコンクリート混合物に加えられる状況1)では、t11は、好ましくは約2~約8分、より好ましくは約3~約6分の範囲、及び好ましくは約2~約5rpmの混合速度に(例えば、レディミックス中など)にある。時間t12は、約2~約5rpmの範囲の混合速度で、好ましくは約0.5~約4分の範囲、より好ましくは約1~2分の範囲にある。時間t13は、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度で、好ましくは約2~約10分の範囲、より好ましいくは約5~約10分の範囲にある。高速混合後、速度は、例えば注入部位への通過時間などの時間の間約2~約5rpmの範囲の速度まで下げることができる。通過時間の基準は、American Concrete Instituteによって設定される。例えば、コンクリートは、温度が90F又はそれより大きい場合高速混合の終わりの60分以内、及び温度が90Fよりも小さい場合90分以内で注入する必要がある。
【0039】
水の第2の部分(後水)が水の第1の部分、セメント混合物及び砂/骨材成分の量、及び非晶質シリカを含むコンクリート混合物に添加される状況2)では、t21は、好ましくは約2~約8分、より好ましくは約3~約6分の範囲、及び好ましくは約2~5rpmの範囲の混合速度(例えば、レディミックス中など)にある。時間t22は、約2~約5rpmの範囲の混合速度で、好ましくは約0.5~約2分の範囲、好ましくは、約0.5~1分の範囲にある。時間t23は、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度で、好ましくは約2~約10分の範囲、より好ましくは約5~約10分の範囲にある。高速混合後、速度は、例えば、注入部位への通過時間などの時間の間、約2~約5rpmの範囲の速度まで下げることができる。上述のように、通過時間の基準は、American Concrete Instituteによって設定される。
【0040】
後水が非晶質シリカと共に第1の混合物に共添加される状況3)では、非晶質シリカ及び後水は、任意に相互結合され、t31は、好ましくは約2~約8分、より好ましく約3~約6分の範囲、及び好ましくは約2~約5rpmの範囲の混合速度(例えば、レディミックス中など)にある。時間t32は、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度で、好ましくは約2~約10分の範囲、より好ましくは約5~約10分の範囲にある。高速混合後、速度は、例えば、注入部位への通過時間などの時間の間約2~約5rpmの範囲の速度まで下げることができる。上述のように、通過時間の基準は、American Concrete Instituteによって設定される。
【0041】
別の実施形態では、水の全量は、セメント混合物及び骨材/砂成分の量に加えられて混合物を形成し、その結果、この混合物は、非晶質シリカの添加前に時間taの間攪拌され、その結果、コンクリート混合物は、注入前に時間tbの間攪拌される。すぐに水の全量を添加することは、湿潤バッチ方法の場合に有用である。時間taは、好ましくは約2~約8分、より好ましくは約3~約6分の範囲、及び好ましくは約2~約5rpmの範囲の混合速度(例えば、レディミックス中など)にある。時間tbは、約12~約15rpmの範囲の速度で比較的高い混合速度で、好ましくは約2~約10分の範囲、より好ましくは約5~約10分の範囲にある。高速混合後、速度は、例えば注入部位への通過時間などの時間の間約2~約5rpmの範囲の速度まで下げることができる。上述のように、通過時間の基準は、American Concrete Instituteによって設定される。本発明の利点は、一般的に、水の単一添加の場合に観察されることになるが、実際に、水の2つの部分の分割が一般的に固執されている。第1の部分を含むコンクリート混合物の攪拌後、第2の部分の使用は、バレルの口付近から不十分に混合されたセメント混合物のレディミックス残余物の中に洗い流す利点を有する。
【0042】
コンクリート混合物は、湿潤(「中心混合物」)又は乾燥(「通過混合物」)バッチ状況で調製することができる。湿潤バッチモードでは、乾燥成分は、上に示した方法のうちの1つで、水に続いて非晶質シリカの量と混合されてコンクリート混合物を与える。混合物は、上記のように攪拌され又は上で示したようにレディミックスの中に導入されてその中で攪拌される。本質的には、湿潤及び乾燥バッチ状況は、湿潤バッチのための手順の一部がレディミックスの外側で(例えば、プラントで)行われることを除いて同様である。乾燥バッチ(「通過混合物」)が幾分好ましい。例えば、40プラスマイナス20%、又は更なる実施形態では、バッチで用いるコンクリート混合物、砂及び粗い骨材の調製に利用される水の総量のプラスマイナス10%は、レディミックスの中に装填される。セメント混合物、粗い骨材及び砂は一緒に混合されてレディミックスの中に装填される。残りの水は、次いでレディミックスの中に装填される。乾燥成分及び水が完全に混合されると、非晶質シリカが加えられ、混合物は5~10分間混合される。混合は、好ましくは、例えば約12~約15rpmの範囲の速度などの比較的高いドラム回転速度で行われる。高速混合が行われていると、バッチを注入することができる。しかしながら、注入部位への通過時間などの高速混合と注入との間の期間を有することが許容される。一般に、コンクリートが、例えば約3~5rpmなどの低速で混合される限り、約1~60分の範囲の高速混合と注入との間の時間が許容される。
【0043】
1つの実施形態では、水、セメント及び他の乾燥成分を含有するレディミックスにシリカを加えるのは、レディミックスが注入部位に達していると特に好都合である。非晶質シリカが加えられた後、コンクリート/シリカ混合物は、しばらくの間、最も好ましくは少なくとも約5~約10分の間、注入前に混合すべきであることが更に見出されている。しかしながら、他の期間は、少なくとも部分的に本発明の利点を得ることに関して許容することができる。
【0044】
本発明の利点は、乾燥成分及び水の第1及び第2の部分を一緒に(又は水の第2の部分と共に)混合した後非晶質シリカが終わりに加えられる限り、上述の方法の商業的に用いる変形形態において期待することができ、シリカ添加混合物は、注入前にここで指定したような時間の間混合される。
【0045】
次いで、コンクリート混合物が注入されてコンクリート設備を形成する。好ましい実施形態では、コンクリート混合物は、フーチング又はスラブの調製などの工業規模の注入との関連で形成されて攪拌される。追加の実施形態では、コンクリート混合物は、生成されているときに混合物を保持し、また、例えばレディミックスなどの混合物を攪拌する能力を有する機器を使用して及びその内部で生成される。
【0046】
本発明の方法の1つの利点は、例えば、本発明に従って配合されたスラブなどのコンクリート形成における水が、蒸発によって失われるのではなく、形成中に固定化されるように見えることである。この水の多くの起こり得る結末は、毛細管及び空隙を形成するのではなく長期間において水和に加わることである。従って、厚みに関係なく、コンクリートスラブ、壁及び他の形成は、空隙及び毛細管の低減又は欠如、並びに圧縮強度の相関増加を示すことが期待される。約20フィートまでの厚みを有する構造及び圧縮強度を改善しているコンクリート形成は、本発明のコンクリートで形成することができる。
【0047】
本発明の方法の利点は、温度、相対湿度及び風などの空気の動きなどの環境条件よって生じる乾燥による損傷が少ない点である。例えば、良品質のコンクリートは、50mphほどの高い風速、120°Fほどの高温及び10°Fほどの低温、並びに5%ほどの低い相対湿度及び85%ほど又はそれよりも高い相対湿度で生成することができる。
【0048】
本発明の方法によって形成されたコンクリートの圧縮強度は、一般的に、水、セメント混合物及び充填材料(骨材、砂及び同様のもの)の混合後にシリカの添加を除いて同様の又は好ましくは同じ方法によって形成されたコンクリートに対して増加する。「同様のもの」又は「同じもの」は、風速、相対湿度及び温度プロフィールなどの環境条件、並びに圧縮強度の増加の評価に対して陰影又は放熱周囲などの他の環境要因に適用される。混合時間及びパラメータ、注入パラメータ(すなわち、スラブ寸法)などの注入者の制御内の要因がより容易に考慮される。圧縮強度の増加は、好ましくは、非晶質シリカの添加を除いて同一である注入から評価される。好ましい実施形態では、評価は、同一の成分の同一の量から調製された注入から、同時に並んで注入された別個のレディミックスであるが、別個のレディミックスを用いて行われる。このような注入は「実質的に同一」である。
【0049】
圧縮強度の増加は、1対の実質的に同一の注入の非シリカ含有注入の圧縮強度に基づいて、約5~約40%又は更にそれ以上の範囲にある可能性がある。より一般に観察される実施形態では、実質的に同一の注入を通して評価されるような圧縮強度の増加は、約10~約30%の範囲にある。
【0050】
本発明のコンクリートは、一般的に、例えばスラブ、フーチング、及び同様のものなどの注入されたコンクリートを必要とする用途に用いることができる。本発明の利点は、調製されたコンクリートが一般的に水の浸透に対する抵抗の増加のものであり、従って、特に水分暴露する傾向のある注入用途及びフーチングなどの関連する損傷に用いることができることである。
【0051】
以下に示すように、本発明は、水の少なくとも一部分の添加後コンクリート混合物、好ましくはコロイド状シリカとして加えるときナノシリカは、耐摩耗性及び透水性などの他の改善された特性の中でも改善された圧縮強度を有するセメントを与えるという発見を伴う。
【0052】
当技術分野で用いられるサイズの砂及び骨材などの添加剤コンクリート成分は、一般的に、本発明によって提供される恩恵を損なうことなく本発明のコンクリートに用いることができる。
【0053】
従って、輸送の大量の水を有するコンクリートからコンクリートに関連するその他の欠陥が一般的にないコンクリートの調製において、水和、注入及び加工のための十分な水から構成されるコンクリートを利用することが可能である。本発明の組成物は、非晶質シリカが加えられなかったコンクリートよりも、露出面が通常より早く乾燥し難いように、水を保持するコンクリートをもたらす。相対保水効果は、表面が通常乾燥する傾向がある周囲の条件下でも観察される。従って、コンクリートは、標準コンクリートよりもより広い範囲の環境条件下で注入することができる。従って、表面は、表面水の減量で、又は場合によっては表面水を加えなくても仕上げることができる。
【0054】
注目すべきことには、収縮が、同等の量の水を含有するコンクリートに対して低減される。より注目すべきことには、圧縮強度が増加する。この結果は、一般的に、コンクリートが、非晶質シリカがない場合に毛細管及び空隙形成の危険を冒すことになる輸送の水量を含有するにもかかわらず得られる。
【0055】
理論に束縛されることは望まないが、非晶質シリカは、養生中に水を固定化して水が移動するのを防ぎ、蒸発を遅らせ、毛細管及び空隙の形成を妨げることができると推測される。驚くべきことに、固定化は、圧縮強度の予想外の増加を与える、水が長期の水和に関与するのを妨げない。
【0056】
本発明の包括的な恩恵は、一般的に蒸発により水を失うことに起因して養生反応(水和)で過剰な水を用いない能力である。このような恩恵は、コンクリートの完全な水和に理論的に必要とするよりも小さい水位、並びに水和に理論的に必要とするものを超える水位を有する注入されたコンクリートの場合でも観察することができる。
【0057】
既存のコンクリート調製及び注入工程に関連する問題は、注入が最適よりも小さい条件で行われるリスクである。以下に示すように、他の環境要因の中でも相対湿度、風速及び温度は、コンクリートの上及びその内部の種々の場所における水位へのこれらの影響のために、標準注入を定期的に含む。これは、含まれる水の量が、それが推奨範囲の値又は単一の指定された最適値であるかどうか、セメント混合物製造業者が指定する水の推奨量に準拠するときでも起こり得る。本発明は、水関連問題のリスクを低減して、セメント製造業者が推奨する含水量における操作を可能にする。これらの推奨値は、一般的に、水和反応が許容可能な程度まで、場合によっては完了まで進むことができるのに必要となる水の量に対応する。本発明の実施では、セメント製造業者が指定した量の水の使用が好ましい。しかしながら、本発明はまた、含水量が、製造業者が指定したものから逸脱するときでも、他のプロセスに対して水問題のリスクを低減する。従って、一部の実施形態では、含水量は、本明細書で説明するコロイド状非晶質又は他のシリカの添加前にセメントに加えられる水の重量に基づいて、製造業者の仕様によって指定される最低値の約-30%及び製造業者の仕様で指定される最大値の+30%の範囲内にある。
【0058】
本発明の更に別の恩恵は、毛細管及び空隙リザーバの形成なしに延長水和の恩恵のために水を保持するその配合の能力から得られる。骨材、砂及びコンクリートを形成するのにセメントに一般に含まれる他の増量及び強化材料の添加は、一般的に、コンクリートにそれらを収容するのに追加の水を必要とし、毛細管及び特に空隙リザーバの形成を実際に促進することができることは当技術分野で公知である。このようなリザーバは、含まれる材料の表面に関連付けられて位置付けられる。一般に、最も好ましい骨材及び材料は、圧縮強度の関連損失にあるように、水和中にリザーバ形成が最小になるようにこれらの表面積にわたってコンクリートと密接に関連付けるような品質のものである。しかしながら、このような高品質の含まれる材料は、一般的に不経済である。驚くべきことに、骨材の存在下でも、非晶質シリカ粒子を含めることは、空隙リザーバ及び毛細管の形成を減少又は阻止する可能性がある。理論に束縛されることを望まずに、このような不完全性、特に空隙リザーバの減少、及び関連する圧縮強度の増加は、材料の準最適品質に関係なく、高表面積非晶質シリカ粒子が、含まれる材料と直接関連して加わっていることを示す傾向がある。この関連は、水を除外して含まれる材料へのコンクリートの付着を強化することができる。
【0059】
本発明の更に別の恩恵は、その調製されたコンクリート配合が、いわゆる「超可塑剤」の使用なしに注入可能及び/又は加工可能とすることができるということである。このような超可塑剤の非限定的な実施例は、リグニンスルホン酸、スルホン化ナフタレンホルムアルデヒド重縮合物、スルホン化メラミンホルムアルデヒド重縮合物、ポリカルボンシル酸エーテル及び他の超可塑剤成分を、これらが乳剤、分散剤、粉末又は他の化学形態であれ含む。1つの実施形態では、本発明のコンクリート配合は、超可塑剤を含めることなく注入可能であり、超可塑剤フリー又は本質的に超可塑剤フリーである。「本質的に超可塑剤フリー」によって、超可塑剤含有量は、セメントの重量に基づいて約0.1%よりも小さい微量であることを意味する。
【0060】
以下は、本発明と共に用いることができる混和剤の非限定的なリストである。或いは、本発明のコンクリート混合物は、以下の添加剤又は他の添加剤の何れか又は全てを含まない可能性がある。以下のリストは、ASTM C 494カテゴリーのように順序付けられる。含まれるのは、ASTM C 494によって認定されているのと認定されていない混和剤である。
【0061】
混和剤は、粉末又は液体として加えることができる。
・通常の減水剤及び遅延剤(タイプA、B、D)
・公称投与量範囲:0.5-6 OZ/C
・超可塑剤:通常の設定及び遅延(タイプF、G)
・公称投与量範囲:2-40 OZ/C
・加速混和剤:減水又は非減水(タイプC、E)
・公称投与量範囲:2-45 OZ/C
・ASTM C 494で定義するようなタイプS混和剤:
・中範囲減水剤及び遅延剤
・公称投与量範囲:2-45 OZ/C
・腐食防止剤
・公称投与量範囲:0.25-5 GAL/YD
・MVRA(水分蒸気低減混和剤)
・公称投与量範囲:5-24 OZ/C
・SRA(収縮-低減混和剤)
・公称投与量範囲:0.25-5 GAL/YD
・水和安定剤
・公称投与量範囲:0.5-24 OZ/C
・粘度調整剤
・公称投与量範囲:0.25-8 OZ/C
・空気同伴混和剤:
・公称投与量範囲:空気を同伴するのに必要に応じてOZ:0.1-36 OZ/C
・着色剤:液体及び固体
・公称投与量範囲:0.1-20 LB/YD
【0062】
(実施例1)
場所:Shelby MaterialsレディミックスプラントにあるShelbyville,Indiana。
環境条件:注入の開始時間は約60°Fの開始温度で07:30AMであった。周囲温度は日中に80台でピークに達した。相対湿度は18%~67%の範囲であった。風速範囲は3~13mphであった。
【0063】
ステップ及び結果:
1- 1立方ヤード(合計9ヤード)当たり31ガロンの水(SSD-飽和表面乾燥)に対する6袋(564lbs)のセメントの従来のクラスAコンクリート設計は、非空気同伴コンクリートを備えた4インチ厚の内部コンクリートスラブを配置するのに用いられた。1立方ヤード当たりおよそ12ガロンの水がレディミックス、続いて乾燥セメント混合物(1ヤード当たり564lbs)並びに骨材及び砂(1ヤード当たり1250lbsの砂、及び1750lbsの石)に加えられた。水及び乾燥成分は1-2分間混合され、次いで、1ヤード当たり約19ガロンの追加の水がレディミックスに加えられた。混合物は、(コンクリートの混合のために12-15rpmの高速を有するコンクリートドラムで)5-10分の追加時間に混合された。ドライバーがコンクリートを仕事場所に輸送する状態になっていたとき、彼は3~5rpmまでコンクリートバレルを減速した。
【0064】
2- 合計380.7オンスのE5 INTERNAL CURE(7.5オンス/100lbsセメント)が、次いで、9ヤード装填してバッチ処理した後に加えられた。この場合も同様に、1立方ヤード当たり564lbsのセメント及び31ガロンの水があった。
【0065】
3- チームは、レディミックスドライバーに12~15rpmで5分間バッチを混合することを許可した。
【0066】
4- 次いで、レディミックスは2~5rpmに減速されて現場へ15分だけ駆動された。次いで、コンクリートは注入されてスラブ形態になった。スラブは金属建物に対して位置付けられた。
【0067】
5- 従来の仕上げプロセスが行われた。注入後、スラブは水平にされた。次いで、ブルフロートを用いて表面を閉じた。表面が機械仕上げプロセスを開始するのに十分硬くなると、当技術分野で広く用いられている適切な方法用いて仕上げを完了した。
【0068】
6- ブルフローティングプロセス中に、コンクリートが、従来のレディミックスプロセスのものよりも閉鎖するのがはるかに容易であったことが留意された。
【0069】
7- ブリード水が通常存在する仕上げプロセス中に、このプロセスではブリード水が現れなかった。しかしながら、表面は湿ったままであった。チームは、従来のレディミックス製品から調製されたコンクリートとは異なると推測して、驚くべきことに、E5 INTERNAL CUREがないレディミックスでははるかに乾燥した表面を与えるであろう条件下で、水はコンクリート表面内に保持されていた。
【0070】
8- 次いで、チームはコンクリート仕上げプロセスを完了するのに4時間費やした。従来のレディミックスから調製されたコンクリートとは異なり、仕上げプロセスは、コンクリート表面に依然として存在する水分のために、半分のスロットルで動作する機械で行うことができた。これは、はるかに簡単な仕上げプロセスにつながる。従来のコンクリートは、100%のスロットルで動作する機械を必要とし、仕上げ中に表面損傷のリスクの増大を伴うより労働集約的プロセスである。
【0071】
9- チームはまた、内部の熱温度スイングが50°Fを超えたことに注目した。実際に、注入は金属建物に対して位置したため、内部センサで測定したような内部コンクリート温度スイングは、145°Fの日中高温から70°Fの夜間低温であった。チームの経験では、これらの温度スイングは、養生中にコンクリートの重大な亀裂をもたらすと見込まれる(以下の10を参照)。チームの広大な経験では、熱温度は、一般的に、コンクリートの表面における水分の蒸発に対する最大の促進剤のうちの1つである。この注入の日、チームは、水分が表面に残り、熱温度スイングによって比較的影響を受けていないように見えたことに気付いた。チームは、このような挙動が従来の注入コンクリートの挙動とは完全に異なることが分かり、業界では非常に有用である可能性があった。
【0072】
10- チームの経験では、従来のコンクリートは、通常注入の24時間内に鋸切断を必要とすることになる。しかしながら、チームは、コンクリートの上面に明らかに保持された水の量の増加、及び結果として、収縮タイミング(収縮が通常起こる期間)が短縮されて亀裂を減らしそうであったため鋸切断しなかった。従って、コンクリートスラブは、チームがスラブが内部で放出するのにかかる時間がどのくらいか決定することができるように、邪魔されないままにすることができた。チームが驚いたことに、スラブはそれ自体を10日間放出しなかった。気温及び雨などの著しい環境変化があったことに注目すべきである。理論に束縛されることを望まずに、E5 INTERNAL CUREの添加は、蒸発を通して失われるのではなく、E5 INTERNAL CURE中の非晶質シリカとの化学的関連を通して恐らく、水の多くを保持させていたと推測した。保持水の多くは、最終的に水和に加わって内部養生を与えたと更に推測される。後で水和(内部養生)を通して組み込むように、(例えばレディミックストラックなどの注入前にコンクリートに加えられた)E5 INTERNAL CUREにおける非晶質シリカとの化学的関連による水の保持は、チームによって最もよく決定することができるように、以前は観察されていなかった。
【0073】
(実施例2)
これは、製品の性能の一貫性を保証し、内部養生の最大効果のためのプロセスを理解するために行った。
【0074】
場所:Shelby MaterialsレディミックスプラントにおけるBeach Grove,Indiana。
時間枠:08:30am~09:35amの間に注入された。
環境条件:79°F、61%~93%に及ぶ相対湿度、曇り及び6.9~12.7mphに及ぶ風速。
【0075】
ステップ及び結果:
1- 2つのサンプルのためのコンクリートは、5.5袋(517lbs)のセメント、非空気同伴の0.5水対セメント比の31ガロンの水(SSD-飽和表面乾燥)、5.5インチスランプ(1ヤード当たり517lbsのセメント、125lbsの砂、及び1800lbsの石)であった。仕上げプロセスは実施例1のものと同じであった。
【0076】
2- サンプル1は基準として注入された。サンプル1は、実行され、4”厚スラブとして配置された。コンクリートスラブはまた、American Concrete Institute(ACI)が推奨するような7日間スラブの上部にプラスチックシートを適用することによって硬化された。圧縮強度は、注入後7日に測定され、5760psiであった。
【0077】
3- サンプル2は、サンプル1のように注入されたが、セメント、骨材及び砂(1ヤード当たりセメント517lbs、砂1225lbs、及び石1800lbs)の混合後、E5 INTERNAL CURE(100lbsのセメント当たり3.5oz)の添加を伴う。それはサンプル1のように養生させた。注入7日後に、圧縮強度が6580psiと測定された。(E5 INTERNAL CUREを有する)サンプル1と2の間の差は、強度の14%増加であった。
【0078】
4- 次いで専門家のチームは、ACI(American Concrete Institute)が推奨する28日強度テストを行って、E5 INTERNAL CUREが内部養生を促進し、従って水をコンクリートに化学的に結合するという考えを更に支持した。28日テスト結果は、以下の通りであった:参照圧縮強度:6910psi。E5 INTERNAL CUREが注入コンクリートに含まれるときの圧縮強度:8040psi。E5 INTERNAL CUREは16%だけ圧縮強度psiを増加させる。
【0079】
(実施例3)
コンクリートの16の産業規模バッチが調製された。各サンプルからのシリンダーは、3、7及び28日にASTM C-39に従って圧縮強度のために取って試験された。全てのサンプルは1350lbsの砂を含んだ。全てのサンプルに対して、レディミックスは、現場へ平均20分で駆動され、次いで、コンクリート試験シリンダーはASTM C-39に従って注入された。結果は表1に示されている。
【0080】
4つ(サンプル1-4)のうちの第1のグループ、「コンクリート対照」グループは、コロイド状シリカの添加なしに調製される。0.51の水/セメント比。これらは、2-5rpmで回転していたレディミックスに指示された水の約40%を加えることによって、続いてセメント混合物、骨材及び砂の合計の指示量の添加によって調製された。研究における全てのサンプル中の骨材は(承認された3/4”#8 ASTM C-33#8INDOT)砂利であった。水及び乾燥成分は、レディミックスドラムに成分を加えるのにかかった時間を含む、1-2分間混合された。次いで、残りの水(指定された水の約60%)が、レディミックスに加えられた。混合物は、5-10分の追加時間の間コンクリートの混合のために12-15RPMの高速を有するコンクリートドラムで混合された。ドライバーが仕事場にコンクリートを輸送する状態になっていたとき、彼はコンクリートバレルを3-5RPMに減速した。レディミックスは、現場へ駆動され、次いで、コンクリート試験シリンダーはASTM C-39に従って注入された。
【0081】
4つ(サンプル5-8)のうちの第2のグループは、ハンドレッドウェイトのセメント(cwt)当たりコロイド状シリカ溶液の4oz(E5 Internal Cure:約550m2/gのBET表面積、及び85wt%の水を有する、約15wt%のシリカ、10nmよりも小さい平均粒径)の添加で調製された。
【0082】
サンプル7及び8(後水後4oz/cwt)に対する手順はサンプル1-4と同じであるが、加えて、4oz/cwt E5 Internal Cureは次いで、バレルが3-5rpmに減速された後加えられた。レディミックスは、12-20rpmで約5分間バッチを混合した。レディミックスは、3-5rpmに減速されて現場に対して駆動され、次いで、コンクリート試験シリンダーはASTM C-39に従って注入された。
【0083】
サンプル5及び6(後水前4oz/cwt)に対する手順は、E5 Internal Cureが初期コンクリート混合物に含まれたことを除いて、サンプル1-4と同様であり、添加の順序は、セメント混合物、骨材/砂、4oz/cwt E5 Internal Cure、水の40%であった。
【0084】
サンプル9-12(後水前2、4、6及び8oz/E5 Internal Cure/cwt;W/C=0.41)に対する手順は、サンプル6及び7に対するものと同じである。E5 Internal Cureの量は各サンプルに対して増加し、水/セメント比はサンプル1-8と同様に0.51ではなくて0.41であることに注目されたい。
【0085】
サンプル13-16(後水後2、4、6及び8oz/E5 Internal Cure/cwt;W/C=0.41)に対する手順は、サンプル7及び8に対するものと同じである。E5 Internal Cureの量は各サンプルに対して増加するが、水/セメント比は0.51ではなくて0.41であることに注目されたい。
【0086】
各サンプルに対して、圧縮強度は、3、7及び28日に熟成したシリンダーから測定された。同様のサンプル(1-4;5及び6;7並びに8;9-12;13-16)のグループに対して測定された圧縮強度は、サンプルが完全に同一であるのを阻止する多くの要因の変形形態の結果である自然な広がりを反映することに注目されたい。サンプルは、便宜上のみに上昇する圧縮強度の順に順序付けられる。
【0087】
シリカが後水の後に加えられた何れの場合も、コンクリートは、ブリード水、カーリング、亀裂又は収縮(幾らかある場合でも)をほとんど示さなかった。水の前に加えられた同量のシリカは、対照に類似し、又は場合によっては対照よりも悪いブリード水の量を有したセメントを与えた。上述の事項は、水/セメント比(0.51及び0.41)の両方に当てはまった。圧縮強度は、一般的に、シリカの使用に伴う増加を示し、より多くのシリカは圧縮強度のより高い増加を与えた。しかしながら、ポスト後水添加は、シリカの前水添加よりも有意により大きな増加を与えた。この利点は、ブリード水及びカーリング、亀裂及び収縮を大いに減少させるという以前に注目した利点に加えられる。理論に束縛されることを望まずに、シリカは、水を他の乾燥成分と混合した後に加えるとき、それが水の前に乾燥成分に、又は場合によって水を含有する不十分に混合されたコンクリート混合物にさえ加えられる場合よりも十分に上層からの水分蒸発を減少させることができると考えられる。従って、上記の実施例は、シリカをよく混合して湿潤させたコンクリート混合物に加えることは、特に後水の添加後、予想外に大きな圧縮強度の改善を与えると同時に、ブリード水があまり又は全くなく、且つ養生コンクリートの露出上面からの高い蒸発に関連する欠陥がほとんど又は全くないことを示す。
【0088】