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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】ヘッドライトユニット及び傾斜車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/026 20200101AFI20230904BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230904BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230904BHJP
   B60Q 1/18 20060101ALI20230904BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230904BHJP
   F21S 45/50 20180101ALN20230904BHJP
   F21S 41/143 20180101ALN20230904BHJP
   F21V 23/06 20060101ALN20230904BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20230904BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20230904BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20230904BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230904BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20230904BHJP
【FI】
B62J6/026
F21V19/00 170
F21V19/00 150
B60Q1/04 A
B60Q1/18 Z
F21V23/00 150
F21S45/50
F21S41/143
F21V23/06
F21W102:19
F21W102:13
F21W102:30
F21Y115:10
F21W103:55
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021090873
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022183514
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】相根 一成
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-324703(JP,A)
【文献】国際公開第2019/187427(WO,A1)
【文献】特開2011-014300(JP,A)
【文献】特開2018-078064(JP,A)
【文献】特表2018-511919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02- 6/03
B60Q 1/04- 1/20
F21V 19/00, 23/00-23/06
31/00- 31/04
F21S 41/143,45/50
F21W102/13,102/19,
102/30,103/55
F21Y115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜車両の車体に取り付けられるヘッドライトユニットであって、
前記車体に取り付けられる取付部を有するサポート部材と、
ヘッドライト用のLEDを含むヘッドライトモジュールと、
前記ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDを含むサブライトモジュールと、
前記ヘッドライトユニットが前記傾斜車両に設けられた状態で、前記ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部と前記サブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とが前記傾斜車両の前から視認可能であるように前記サポート部材の少なくとも一部、前記ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及び前記サブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆うカバーモジュールと、を備え、
前記サポート部材は、前記取付部が前記車体に取り付けられるように前記取付部の少なくとも一部を前記カバーモジュールの外部へ露出させる態様で、前記ヘッドライトモジュール、前記サブライトモジュール及び前記カバーモジュールの全てを別個に且つ他のモジュールを介さずに支持するように構成され、前記他のモジュールは前記ヘッドライトモジュール、前記サブライトモジュール及び前記カバーモジュールを指す、ヘッドライトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドライトユニットであって、さらに、
前記ヘッドライトモジュール及び/又は前記サブライトモジュールに電力を供給する電力供給モジュールを備え、
前記ヘッドライトユニットは、
前記サポート部材が、別個に前記電力供給モジュールを支持するように構成される、ヘッドライトユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヘッドライトユニットであって、
前記カバーモジュールは、
前記ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部と前記サブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とが前記傾斜車両の前から視認可能であるように、前記ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及び前記サブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆うフロントカバーと、
前記フロントカバーの後方に配置され、前記フロントカバーとともに前記ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及び前記サブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆うバックカバーと、を含み、
前記サポート部材は、前記フロントカバー及び前記バックカバーを支持するように構成される、ヘッドライトユニット。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のヘッドライトユニットを備える、傾斜車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライトユニット及び当該ヘッドライトユニットを備えた傾斜車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車に代表される傾斜車両は、傾斜車両の前方を照らすヘッドライトを備えている。また、傾斜車両は、ヘッドライトと目的が異なるライトをヘッドライトの周囲に有することがある。
【0003】
例えば、特許文献1は、1つのヘッドライトモジュールと、ポジションライトモジュールとを備える傾斜車両を開示する。この傾斜車両では、ヘッドライトモジュールは、主としてライダーが前方を視認しやすいようにする機能を有する。ヘッドライトモジュールは、正面視で、車両の中央付近に配置される。ポジションライトモジュールは、主として第三者が傾斜車両を視認しやすいようにする機能を有する。ポジションライトモジュールは、正面視で、ヘッドライトの上方に配置される。ポジションライトモジュールは、ヘッドライトとは別々に車体に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-189012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、大型化を抑制しつつ、車体への着脱及びモジュール交換が容易なヘッドライトユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、傾斜車両におけるヘッドライトモジュール及びポジションライトモジュールの配置について検討を行い、上述の課題を認識した。その検討は、例えば、次の通りである。特許文献1の傾斜車両では、正面視で、ヘッドライトモジュールがポジションライトモジュールから離れて配置される。そのため、ヘッドライトモジュール及びポジションライトモジュールを1つのヘッドライトユニットとして見ると、当該ヘッドライトユニットは大型である。ヘッドライトユニットが大型化すれば、ヘッドライトユニットを所望の場所に配置することが難しくなる。すなわち、ヘッドライトユニットの車体への取付自由度が制限される。
【0007】
また、特許文献1の傾斜車両では、ヘッドライトモジュール及びポジションライトモジュールが別々の場所に別個に取り付けられている。この傾斜車両においてヘッドライトユニット全体を交換する際、ヘッドライトモジュール及びポジションライトモジュールをそれぞれ着脱する必要がある。そのため、ヘッドライトユニットの交換の際、工数が多く、時間を要する。加えて、ヘッドライトモジュール又はポジションライトモジュールを交換する際、作業が複雑になりやすい。
【0008】
本発明者は、さらに、上述の課題を解決するための検討を行い、次の知見を得た。特許文献1の傾斜車両では、ヘッドライトモジュールとポジションライトモジュールとが別個に設けられているため、ヘッドライトユニット全体が大型化しやすい。そこで、本発明者は、ヘッドライトとそれ以外のライトとが一まとめのユニットとして構成されれば、ヘッドライトユニットの大型化が抑制されると考えた。ヘッドライトユニットが一まとめのユニットとして扱われれば、車体への着脱が容易になり、ヘッドライトユニット全体の交換も容易になる。また、本発明者は、ヘッドライトユニットに含まれる複数のライト及び他のモジュールが、一つの部材に取り付けられれば、大型化の抑制及び全体としての車体への着脱の容易さというメリットを享受しつつ、部品の交換が容易になると考えた。本発明は、このような知見に基づいて完成された。
【0009】
(1)本発明のヘッドライトユニットは、傾斜車両の車体に取り付けられる。ヘッドライトユニットは、サポート部材と、ヘッドライトモジュールと、サブライトモジュールと、カバーモジュールと、を備える。サポート部材は、車体に取り付けられる取付部を有する。ヘッドライトモジュールは、ヘッドライト用のLEDを含む。サブライトモジュールは、ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDを含む。カバーモジュールは、ヘッドライトユニットが傾斜車両に設けられた状態で、ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とサブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とが傾斜車両の前から視認可能であるようにサポート部材の少なくとも一部、ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及びサブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆う。サポート部材は、取付部が車体に取り付けられるように取付部の少なくとも一部をカバーモジュールの外部へ露出させる態様で、ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール及びカバーモジュールの全てを別個に支持するように構成される。
【0010】
上記(1)のヘッドライトユニットでは、カバーモジュールが、ヘッドライトユニットを構成する他のモジュールを覆う。また、ヘッドライトユニットを構成する各モジュールは、サポート部材という単一の部材に取り付けられている。そのため、各モジュールは、別個に傾斜車両に取り付けられず、一まとめのユニットとして傾斜車両に取り付けられる。したがって、ヘッドライトユニットの大型化が抑制される。
【0011】
また、ヘッドライトユニットが一まとめのユニットとして扱われることができるため、ヘッドライトユニット全体を着脱する際、工数が少なく、短時間で済む。加えて、全てのモジュールがサポート部材に取り付けられるため、各モジュールはサポート部材から取り外すことができる。したがって、あるモジュールを交換する際、作業が容易になる。
【0012】
さらに、ヘッドライトユニットには、風圧、自重、慣性力等の様々な力が加わる。そのため、ヘッドライトユニットには、ある程度の強度が要求される。複数のモジュールがそれぞれ別個の部材に取り付けられる場合、取り付けられるモジュールを支持するため、当該部材それぞれに強度が要求される。この場合、当該部材それぞれが、肉厚の増加、補強部材の取り付け等により大型化しやすい。
【0013】
これに対し、上記(1)のヘッドライトユニットでは、各モジュールがサポート部材に集中的に取り付けられる。これにより、主にサポート部材が、ヘッドライトユニットの強度を担うことになる。サポート部材が所定の強度を有していれば、各モジュールが補強されなくても、ヘッドライトユニットの強度を維持又は向上させることができる。したがって、各モジュールの大型化が抑制された結果、ヘッドライトユニットの大型化がより抑制される。
【0014】
(2)上記(1)のヘッドライトユニットは、さらに、ヘッドライトモジュール及び/又はサブライトモジュールに電力を供給する電力供給モジュールを備えていてもよい。ヘッドライトユニットは、サポート部材が、別個に電力供給モジュールを支持するように構成される。
【0015】
ある種の傾斜車両では、ヘッドライトユニット自体に電力供給モジュールが含まれることがある。上記(2)のヘッドライトユニットによれば、電力供給モジュールが、他のモジュールと同様に、サポート部材に取り付けられる。したがって、電力供給モジュールを含むヘッドライトユニットにおいて、ヘッドライトユニットの大型化が抑制され、車体への着脱及びモジュール交換が容易になる。
【0016】
(3)上記(1)又は(2)のヘッドライトユニットにおいて、カバーモジュールは、フロントカバーと、バックカバーと、を含んでいてもよい。フロントカバーは、ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とサブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部とが傾斜車両の前から視認可能であるように、ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及びサブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆う。バックカバーは、フロントカバーの後方に配置される。バックカバーは、ヘッドライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部及びサブライトモジュールの非光照射部分の少なくとも一部を覆う。サポート部材は、フロントカバー及びバックカバーを支持するように構成される。
【0017】
従来技術では、カバーモジュールがフロントカバー及びバックカバーを含む場合、フロントカバー及びバックカバーは、それぞれ、近接するモジュールに取り付けられることが多い。例えば、フロントカバーは、ヘッドライトモジュールに取り付けられることがある。これに対し、上記(3)のヘッドライトユニットでは、フロントカバー及びバックカバーは、サポート部材に取り付けられる。したがって、フロントカバー及びバックカバーを含むヘッドライトユニットにおいて、ヘッドライトユニットの大型化が抑制され、車体への着脱及びモジュール交換が容易になる。
【0018】
(4)本発明の傾斜車両は、上記(1)~(3)のいずれかのヘッドライトユニットを備える。
【0019】
「傾斜車両」は、輸送機器である。傾斜車両は、有人の乗物、又は無人の輸送機関である。傾斜車両は、例えば鞍乗型車両である。鞍乗型車両とは、運転者がサドルに跨って着座する形式の車両をいう。傾斜車両は、例えば自動二輪車、自動三輪車である。自動二輪車としては、特に限定されず、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。また、傾斜車両は、鞍乗型車両に限定されず、車室を有する3輪車、4輪車両等であってもよい。車室を有する傾斜車両は、例えば、運転者が跨らずに座るためのシートを備えていてもよい。
【0020】
傾斜車両は、車体が傾斜した状態で旋回可能に構成される。傾斜車両は、旋回時に傾斜車両に加わる遠心力に対向するために、カーブの内方に傾いた姿勢で旋回するように構成される。傾斜車両は、例えば2つの前輪を操舵輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば1つ又は2つの後輪を駆動輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば、バーハンドルを有する。傾斜車両は、例えば、ライダーの体重移動を伴う姿勢制御により旋回されるように構成される。傾斜車両では、小型化に対する強い要請がある。そのため、傾斜車両に搭載されるヘッドライトユニットについても、大型化が抑制されることが好ましい。
【0021】
「ヘッドライトユニット」は、傾斜車両の前部に取り付けられる。ヘッドライトユニットの少なくとも一部は、傾斜車両の外部に露出する。ヘッドライトユニットは、複数のモジュールで構成される組立品である。1台の傾斜車両に設けられるヘッドライトユニットの個数は、特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。二灯式のヘッドライトが傾斜車両に設けられる場合、傾斜車両は2つのヘッドライトユニットを備えていてもよい。2つのヘッドライトユニットは、それぞれ、1つのヘッドライトモジュールを備える。傾斜車両は、2つのヘッドライトモジュールを備える1つのヘッドライトユニットを備えていてもよい。
【0022】
「ヘッドライトモジュール」は、傾斜車両の前方を照らし、ライダーに対して前方の視認性を向上させる機能を有する。1つのヘッドライトユニットに設けられるヘッドライトモジュールの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0023】
「ヘッドライトモジュールの光照射部分」は、ヘッドライト用のLEDからの光を透過させ、外部に照射する部分である。ヘッドライトモジュールの光照射部分は、例えばヘッドライトモジュールにおいて最も前方に位置する。ヘッドライトモジュールの光照射部分は、例えばアウターレンズである。ヘッドライトモジュールの光照射部分は、例えば透明色を有する。ヘッドライトモジュールの光照射部分は、例えばヘッドライト用のLEDの光軸上に配置される。ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部は、カバーモジュールにより覆われず、傾斜車両の前から見て視認可能であるようにヘッドライトユニットの外部に露出する露出部分である。
【0024】
「ヘッドライトモジュールの非光照射部分」は、上述の光照射部分以外の部分を指す。ヘッドライトモジュールの非光照射部分は、ヘッドライト用のLEDからの光を全く又は実質的に外部に照射しない。
【0025】
「ヘッドライト用のLED」は、ヘッドライトの光源である。ヘッドライト用のLEDは、例えば白色光を照射する。ヘッドライト用のLEDの色温度は、例えば5,000~6,000K(ケルビン)である。ヘッドライト用のLEDの光度は、例えば15,000cd(カンデラ)以上である。
【0026】
「サブライトモジュール」は、例えば車両視認ライトとして機能してもよい。車両視認ライトは、傾斜車両の前方、左方及び右方の少なくともいずれかを照らし、第三者に対して傾斜車両の視認性を向上させる機能を有する。車両視認ライトとしては、例えばデイタイムランニングライト、ポジションライトが挙げられる。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれかとして機能してもよい。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトの双方として機能してもよい。この場合、デイタイムランニングライトとポジションライトとを切り替えるスイッチが傾斜車両に設けられる。デイタイムランニングライト及びポジションライトは、車両視認ライトの一例である。
【0027】
ただし、サブライトモジュールは、例えば補助ヘッドライトとして機能してもよい。補助ヘッドライトは、傾斜車両の前方を照らし、ヘッドライトを補助する機能を有する。補助ヘッドライトとしては、例えばフォグライト、コーナリングライトが挙げられる。フォグライトは、視界不良時等においてヘッドライトの補助的な役割を担う。コーナリングライトは、傾斜車両の旋回時に点灯し、旋回方向を照らす。1つのヘッドライトユニットに設けられるサブライトモジュールの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。複数のサブライトモジュールは、同一種であってもよく、互いに異なる種類であってもよい。
【0028】
「サブライトモジュールの光照射部分」は、サブライト用のLEDからの光を透過させ、外部に照射する部分である。サブライトモジュールの光照射部分は、例えばサブライトモジュールにおいて最も前方に位置する。サブライトモジュールの光照射部分は、例えばアウターレンズである。サブライトモジュールの光照射部分は、例えば透明色を有する。サブライトモジュールの光照射部分は、例えばサブライト用のLEDの光軸上に配置される。サブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部は、カバーモジュールにより覆われず、傾斜車両の前から見て視認可能であるようにヘッドライトユニットの外部に露出する露出部分である。
【0029】
「サブライトモジュールの非光照射部分」は、上述の光照射部分以外の部分を指す。サブライトモジュールの非光照射部分は、サブライト用のLEDからの光を全く又は実質的に外部に照射しない。
【0030】
「サブライト用のLED」は、サブライトの光源である。サブライト用のLEDは、例えば白色光を照射する。サブライト用のLEDは、用途に応じて、黄色光等の白色光以外の光を照射してもよい。サブライト用のLEDの色温度は、例えば、白色光の場合では5,000~6,000Kであり、黄色光の場合では2,700~3,000Kである。サブライト用のLEDの光度は、例えば、デイタイムランニングライト、フォグライト及びコーナリングライトの場合では1,200cd以下であり、ポジションライトの場合では40cd以下である。サブライト用のLEDの光度は、ヘッドライト用のLEDの光度よりも小さい。
【0031】
「カバーモジュール」は、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールの概ね全体を覆う部材である。カバーモジュールは、例えば、少なくとも透過又は反射によるヘッドライト及びサブライトの照射に全く又は実質的に関与しない。カバーモジュールは、レンズ又はリフレクタのいずれの機能も有さない。カバーモジュールは、例えば、ヘッドライト又はサブライトの照射光を部分的に遮蔽可能であってもよい。ヘッドライトユニットは、例えばカバーモジュールが無くても、所望の照射領域を形成可能である。カバーモジュールは、例えば樹脂製である。カバーモジュールは、例えば有色であり、透明ではない。
【0032】
「サポート部材」は、ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール及びカバーモジュールのそれぞれを直接的に支持する。サポート部材は、ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール及びカバーモジュールのそれぞれを他のモジュールを介さずに支持する。ここでいう他のモジュールは、ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール及びカバーモジュールを指す。例えば、ヘッドライトモジュールは、サブライトモジュール又はカバーモジュールを介さずに、サポート部材に支持される。サポート部材は、例えばねじ、接着剤等を用いてヘッドライトモジュール、サブライトモジュール及びカバーモジュールのそれぞれと接合される。各モジュールとサポート部材との間に、座金等の他の部材が設けられていてもよい。サポート部材の強度は、例えば、カバーモジュールよりも高い。
【0033】
サポート部材は、例えば、外周環状部を有する。外周環状部は、例えば、正面視で、サポート部材のうち、外周で環状を成す部分である。外周環状部は、例えば、正面視で、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールの各々の外縁より外方に位置する。環状は、必ずしも、円環状に限定されない。サポート部材のうち、少なくとも外周環状部は、例えばカバーモジュールの強度よりも高い強度を有する。外周環状部は、例えば、側面視で、ヘッドライトモジュールと重なる。外周環状部は、例えば、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールの両方を外周環状部の内側で支持すると共に、カバーモジュールを外周環状部の前及び/又は後ろで支持し、取付部を有するように構成されている。取付部は、例えば、外周環状部の外方に位置するように設けられる。カバーモジュールが、フロントカバー及びバックカバーを含む場合、外周環状部は、フロントカバーが外周環状部の前に位置するようにフロントカバーを支持すると共に、バックカバーが外周環状部の後に位置するようにバックカバーを支持する。なお、正面視とは、ヘッドライトユニットが傾斜車両に設けられた状態の傾斜車両の正面視をいう。側面視とは、ヘッドライトユニットが傾斜車両に設けられた状態の傾斜車両の側面視をいう。
【0034】
この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0035】
本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0036】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0037】
本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0038】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、ヘッドライトの大型化を抑制しつつ、車体への着脱及びモジュール交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1(a)は本実施形態の傾斜車両の側面図であり、図1(b)は本実施形態のヘッドライトユニットの斜視図であり、図1(c)は本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態のヘッドライトユニットを上下方向及び前後方向に沿った面で切断した断面図である。
図3図3は、サブライトモジュールの分解図である。
図4図4は、本実施形態のヘッドライトユニットの正面図である。
図5図5は、図1(c)とは異なる方向から見た本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。
図6図6は、サポート部材の斜視図である。
図7図7は、サポート部材、ヘッドライトモジュール及びコネクタモジュールの背面図である。
図8図8は、図7中のサポート部材及びヘッドライトモジュールを斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1(a)~(c)を参照して、本実施形態の傾斜車両及びヘッドライトユニットについて概略的に説明する。
【0042】
図1(a)は、本実施形態の傾斜車両の側面図である。傾斜車両100は、例えば自動二輪車である。傾斜車両100は、ヘッドライトユニット1と、車体2とを備える。ヘッドライトユニット1は、傾斜車両100の前部に取り付けられる。ヘッドライトユニット1は、例えば車体2にブラケットを介して取り付けられる。ヘッドライトユニット1の少なくとも一部は、傾斜車両100の外部に露出する。
【0043】
図1(b)は、本実施形態のヘッドライトユニットの斜視図である。ヘッドライトユニット1は、例えば概略砲弾形状を有する。ヘッドライトユニット1は、複数のモジュールを組み合わせて構成された一まとめのユニットである。ヘッドライトユニット1は、各モジュールを取り外すことなく、一まとめのユニットの状態で傾斜車両100に着脱可能である。
【0044】
図1(c)は、本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。ヘッドライトユニット1は、ヘッドライトモジュール11と、サブライトモジュール12と、カバーモジュール13と、サポート部材14と、電力供給モジュール15と、コネクタモジュール16と、を備える。
【0045】
ヘッドライトモジュール11は、概略箱形状を有する。ヘッドライトモジュール11は、光照射部分111と、非光照射部分112と、ヘッドライト用のLEDとを含む。
【0046】
光照射部分111は、ヘッドライトモジュール11の前面を構成する。光照射部分111は、ヘッドライト用のLEDからの光を傾斜車両100の前方Fに照射する。非光照射部分112は、ヘッドライトモジュール11における光照射部分111以外の部分である。非光照射部分112は、ヘッドライトモジュール11の上下面、左右面及び後面を構成する。
【0047】
ヘッドライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、ヘッドライトモジュール11は、防水構造を有する。なお、防水構造は、対象物をその機能を失わないように水等の液体から保護する仕組みを指す。他方、後述の非防水構造は、上述の防水構造以外の仕組みを指す。
【0048】
サブライトモジュール12は、正面視で概略環形状を有する。サブライトモジュール12は、光照射部分121と、非光照射部分122と、ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDとを含む。
【0049】
光照射部分121は、サブライトモジュール12の前面を構成する。光照射部分121は、サブライト用のLEDからの光を傾斜車両100の前方F及び/又は半径方向に照射する。非光照射部分122は、サブライトモジュール12における光照射部分121以外の部分である。非光照射部分122は、サブライトモジュール12の内外周面及び後面を構成する。
【0050】
サブライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、サブライトモジュール12は、防水構造を有する。
【0051】
カバーモジュール13は、概略円筒箱形状を有する。カバーモジュール13は、サポート部材14の少なくとも一部、ヘッドライトモジュール11の非光照射部分112の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の非光照射部分122の少なくとも一部を覆う。この状態で、ヘッドライトモジュール11の光照射部分111の少なくとも一部とサブライトモジュール12の光照射部分121の少なくとも一部とは、傾斜車両100の前から視認可能である。カバーモジュール13は、非防水構造を有する。
【0052】
サポート部材14は、車体2に取り付けられる取付部141を有する。サポート部材14は、外周環状部1431を有している。外周環状部1431は、取付部141を有する。外周環状部1431は、正面視で、ヘッドライトモジュール11及びサブライトモジュール12が外周環状部1431の外周縁内に位置するように構成されている。サポート部材14は、取付部141が車体2に取り付けられるように取付部141の少なくとも一部をカバーモジュール13の外部へ露出させるように構成される。サポート部材14は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、カバーモジュール13及び電力供給モジュール15の全てを別個に支持する。
【0053】
以下、本実施形態のヘッドライトユニット1について、より詳細に説明する。図2は、ヘッドライトユニットを上下方向UD及び前後方向FBに沿った面で切断した断面図である。なお、上下方向UD、前後方向FB、左右方向LRは、ヘッドライトユニット1が搭載された直立状態の傾斜車両100を基準として定義される。
【0054】
ヘッドライトモジュール11は、ハウジング113と、アウターレンズ114と、ヘッドライト用のLED115と、インナーレンズ116とを含む。
【0055】
ハウジング113は、前面に開口部1131が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、ハウジング113は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。ハウジング113は、ヘッドライトモジュール11の非光照射部分112の一例である。
【0056】
アウターレンズ114は、ハウジング113の前方Fに配置される。アウターレンズ114は、概略ドーム形状を有する。アウターレンズ114は、例えば平凸レンズである。アウターレンズ114は、凸面を前方Fに向けて配置される。アウターレンズ114は、ヘッドライトモジュール11の光照射部分111の一例である。アウターレンズ114は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング113に取り付けられる。アウターレンズ114は、ハウジング113とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、ヘッドライト用のLED115及びインナーレンズ116が収容される。
【0057】
ヘッドライト用のLED115は、図示しない基板に取り付けられる。ヘッドライト用のLED115は、照射面を前方Fに向けて配置される。ヘッドライト用のLED115は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。ヘッドライト用のLED115の色温度は、例えば5,000Kである。ヘッドライト用のLED115の光度は、例えば20,000cdである。
【0058】
インナーレンズ116は、ヘッドライト用のLED115とアウターレンズ114との間に配置される。インナーレンズ116は、例えば平凸レンズである。インナーレンズ116は、凸面を前方Fに向けて配置される。インナーレンズ116は、アウターレンズ114とともにヘッドライト用のLED115から照射された光を集め、所望の照射領域を形成する。
【0059】
サブライトモジュール12は、ヘッドライトモジュール11を取り囲むように配置される。サブライトモジュール12は、中央に空洞部120を有する。空洞部120には、ヘッドライトモジュール11が配置される。より詳細には、サブライトモジュール12は、例えばヘッドライトモジュール11のアウターレンズ114を取り囲む。サブライトモジュール12とヘッドライトモジュール11との間には、隙間SPが設けられる。隙間SPは、正面視で、ヘッドライトモジュール11の周囲全体にわたって設けられる。
【0060】
本実施形態では、サブライトモジュール12は、デイタイムランニングライト及びポジションライトとして機能する。サブライトモジュール12がデイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれとして機能するかは、図示しない切替スイッチによって制御される。切替スイッチは、例えば傾斜車両100のステアリングに設けられる。
【0061】
図3は、サブライトモジュールの分解図である。サブライトモジュール12は、ハウジング123と、アウターレンズ124と、サブライト用のLED125と、インナーレンズ126と、制御基板127と、LED基板128とを含む。
【0062】
ハウジング123は、前面に開口部1231が設けられた概略環形状を有する。ハウジング123の環部分は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。ハウジング123は、サブライトモジュール12の非光照射部分122の一例である。
【0063】
アウターレンズ124は、ハウジング123の前方Fに配置される。アウターレンズ124は、後面に開口部(図示せず)が設けられた概略円筒形状を有する。アウターレンズ124は、全体として、透明色を有する。アウターレンズ124は、サブライトモジュール12の光照射部分121の一例である。アウターレンズ124は、前面に複数のレンズ部1241を含む。複数のレンズ部1241は、等間隔に配置され、前方Fに突出する。複数のレンズ部1241は、例えば平凸レンズである。複数のレンズ部1241は、凸面を前方Fに向けて配置される。アウターレンズ124は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング123に取り付けられる。アウターレンズ124は、ハウジング123とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板127、サブライト用のLED125、インナーレンズ126及びLED基板128が収容される。
【0064】
制御基板127は、ハウジング123に取り付けられる。制御基板127は、図示しないバッテリ等の電源装置及びLED基板128と電気的に接続される。制御基板127は、サブライト用のLED125に電力を供給する。制御基板127は、図示しない切替スイッチからの信号に対応して、サブライト用のLED125の光度を調整する。制御基板127の前方Fには、LED基板128及びサブライト用のLED125が配置される。
【0065】
サブライト用のLED125は、LED基板128に取り付けられる。サブライト用のLED125は、照射面を前方Fに向けて配置される。サブライト用のLED125は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。サブライト用のLED125の色温度は、例えば5,000Kである。サブライト用のLED125の光度は、例えば、デイタイムランニングライトの場合では1,000cdであり、ポジションライトの場合では30cdである。
【0066】
インナーレンズ126は、サブライト用のLED125とアウターレンズ124との間に配置される。インナーレンズ126は、概略円筒形状を有する。インナーレンズ126は、例えば概略平凸レンズと同様の形状を有する。
【0067】
図2を参照して、インナーレンズ126は、凸面を後方Bに向けて配置される。すなわち、凸面がサブライト用のLED125からの光を受ける受光面である。他方、インナーレンズ126の前面は、照射面である。インナーレンズ126の前面は、サブライトモジュール12の中心軸に向かって高さが低くなる階段形状を有する。インナーレンズ126において、受光面の面積は、照射面の面積よりも大きい。すなわち、インナーレンズ126は、前方Fに向かって厚みが減少するテーパ形状を有する。インナーレンズ126は、アウターレンズ124とともにサブライト用のLED125から照射された光を集光し、所望の照射領域を形成する。
【0068】
カバーモジュール13は、フロントカバー131と、バックカバー132とを含む。
【0069】
フロントカバー131は、後面に開口部1311が設けられた概略円筒箱形状を有する。フロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の非光照射部分112の少なくとも一部とサブライトモジュール12の非光照射部分122の少なくとも一部とを覆う。より詳細には、フロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の左右面、上下面及び前面を覆い、後面を覆わない。フロントカバー131は、サブライトモジュール12の周面及び前面を覆い、後面を覆わない。
【0070】
図4は、本実施形態のヘッドライトユニットの正面図である。フロントカバー131は、前面に複数の開口部1312を含む。ヘッドライトユニット1を前から見て、複数の開口部1312にはヘッドライトモジュール11のアウターレンズ114及びサブライトモジュール12のアウターレンズ124が配置される。すなわち、フロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の光照射部分111の少なくとも一部とサブライトモジュール12の光照射部分121の少なくとも一部とを覆わない。したがって、ヘッドライトモジュール11の光照射部分111の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の光照射部分121の少なくとも一部は、傾斜車両100の前から視認可能である。
【0071】
図2を参照して、バックカバー132は、フロントカバー131の後方Bに配置される。バックカバー132は、前面に開口部1321が設けられた概略円筒箱形状を有する。バックカバー132は、フロントカバー131とともにヘッドライトモジュール11の非光照射部分112の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の非光照射部分122の少なくとも一部を覆う。より詳細には、バックカバー132及びフロントカバー131は、ヘッドライトモジュール11の前面以外の部分及びサブライトモジュール12の前面以外の部分を覆う。
【0072】
電力供給モジュール15は、ヘッドライトモジュール11の後方Bに配置される。電力供給モジュール15は、フロントケース151と、バックケース152と、制御基板153とを含む。
【0073】
フロントケース151は、後面に開口部1511が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、フロントケース151は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。
【0074】
バックケース152は、フロントケース151の後方Bに配置される。バックケース152は、前面に開口部1521が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、バックケース152は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。バックケース152は、例えばねじ、接着剤等によってフロントケース151に取り付けられる。
【0075】
バックケース152は、フロントケース151とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板153が収容される。
【0076】
図5は、図1(c)とは異なる方向から見た本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。制御基板153は、図示しないバッテリ等の電源装置に接続され、ヘッドライトモジュール11に電力を供給する。制御基板153の下部には、差込口1531が設けられる。差込口1531は、フロントケース151及びバックケース152で構成される筐体の内部から外部へ飛び出している。差込口1531には、コネクタモジュール16が接続される。
【0077】
コネクタモジュール16は、2つのコネクタ本体161,162と、電線163とを含む。
【0078】
コネクタ本体161は、制御基板153の差込口1531に差し込まれる。コネクタ本体162は、図示しない傾斜車両100の電源装置又は電源装置に繋がる中継装置に接続される。電線163は、コネクタ本体161とコネクタ本体162とを繋ぐ。電線163は、塩化ビニル等の被覆材で覆われる。
【0079】
コネクタ本体161と差込口1531との接続部分は、例えばシリコーン材で覆われる。接続部分は、塩化ビニル等の防水性を有する被覆材で覆われてもよい。すなわち、コネクタモジュール16は、通電に影響しないように防水構造を有する。
【0080】
上述したヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール15及びカバーモジュール13はそれぞれ、サポート部材14に取り付けられる。
【0081】
図2を参照して、サポート部材14は、サブライトモジュール12の後方B、かつ、バックカバー132の前方Fに配置される。サポート部材14は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール15及びカバーモジュール13を直接的に支持する。サポート部材14は、円筒部142と、円盤部143とを含む。
【0082】
円筒部142は、概略円筒形状を有する。円筒部142の内部には、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部が配置される。
【0083】
円盤部143は、中央部に孔が設けられた概略円盤形状を有する。円盤部143の内周面は、円筒部142の外周面に繋がる。すなわち、サポート部材14は、円盤部143の孔に円筒部142がはめ込まれた形状を有する。ただし、円盤部143は、円筒部142と一体である。
【0084】
図6は、サポート部材の斜視図である。円盤部143の外周環状部1431は、前後方向FBにおいて他の部分よりも厚い。この外周環状部1431の周面、すなわち円盤部143の外周面1432には、複数の取付部141が設けられる。図中では、外周面1432の右端領域143Rに設けられた1つの取付部141のみが示されている。しかしながら、取付部141は、外周面1432の図示しない左端領域にも設けられる。左端領域は、円盤部143の中心を通る上下方向UDを基準に右端領域143Rに対して左右対称である。複数の取付部141は、外周面1432から突出する。複数の取付部141は、例えば円柱形状のボスである。取付部141は、例えばブラケットを介して車体2に取り付けられる。
【0085】
図7は、サポート部材、ヘッドライトモジュール及びコネクタモジュールの背面図である。サポート部材14は、さらに、複数のカバーモジュール取付部144,145と、複数の電力供給モジュール取付部146と、複数のサブライトモジュール取付部147と、複数のヘッドライトモジュール取付部148と、を含む。
【0086】
複数のカバーモジュール取付部144,145には、カバーモジュール13が取り付けられる。より具体的には、複数のカバーモジュール取付部144には、フロントカバー131が取り付けられる。複数のカバーモジュール取付部144は、例えば円盤部143の内周面に設けられる。複数のカバーモジュール取付部144は、例えば、背面視で、円盤部143の中心を通る上下方向UDを基準に左右対称に設けられる。複数のカバーモジュール取付部145には、バックカバー132が取り付けられる。複数のカバーモジュール取付部145は、例えば円盤部143の外周環状部1431に設けられる。複数のカバーモジュール取付部145は、例えば、背面視で、円盤部143の周方向に等間隔に設けられる。
【0087】
複数の電力供給モジュール取付部146には、電力供給モジュール15が取り付けられる。複数の電力供給モジュール取付部146は、例えば円盤部143の後面に設けられる。複数の電力供給モジュール取付部146は、例えば、背面視で、円盤部143の中心を通る上下方向UDを基準に左右対称に設けられる。
【0088】
複数のサブライトモジュール取付部147には、サブライトモジュール12が取り付けられる。複数のサブライトモジュール取付部147は、例えば円盤部143の後面に設けられる。複数のサブライトモジュール取付部147は、例えば、背面視で、円盤部143の周方向に等間隔に設けられる。
【0089】
図8は、図7中のサポート部材及びヘッドライトモジュールを斜め下方から見た図である。複数のヘッドライトモジュール取付部148には、ヘッドライトモジュール11が取り付けられる。複数のヘッドライトモジュール取付部148は、例えば円盤部143の下端領域に設けられる。複数のヘッドライトモジュール取付部148は、例えば、下面視で、三角形状に設けられる。
【0090】
一例として、カバーモジュール取付部144,145、電力供給モジュール取付部146、サブライトモジュール取付部147及びヘッドライトモジュール取付部148は、それぞれ、ねじ穴である。各取付部は、取付先の部材とねじによって締結される。
【0091】
本実施形態のヘッドライトユニット1では、フロントカバー131及びバックカバー132が、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール15及びサポート部材14を覆う。また、ヘッドライトユニット1を構成する各モジュールは、サポート部材14に集中して取り付けられている。ヘッドライトユニット1は、一まとめのユニットとして扱われることができる。これにより、各モジュールが近接して配置されることができ、ヘッドライトユニット1の大型化が抑制される。
【0092】
また、ヘッドライトユニット1は、一まとめのユニットとして扱えるため、一度にヘッドライトユニット1全体を傾斜車両100に着脱することができる。したがって、ヘッドライトユニット1全体を交換する際、工数が少なく、短時間で済む。加えて、全てのモジュールが、サポート部材14から取り外すことができる。したがって、あるモジュールを交換する際、作業が容易になる。
【0093】
さらに、ある部材Aが部材Bを介して部材Cに取り付けられる場合、取付公差が累積され、部材Aに対する部材Cの位置精度が低下しやすい。これに対し、ヘッドライトユニット1では、各モジュールが全て、直接サポート部材14に取り付けられる。そのため、取付公差が累積せず、ヘッドライトユニット1における各モジュールの位置精度が高い。
【0094】
上述の実施形態では、ヘッドライトユニット1が、電力供給モジュール15を備える場合について説明した。しかしながら、ヘッドライトユニット1は、電力供給モジュール15を備えていなくてもよい。この場合、電力供給モジュール15は、例えば車体2に取り付けられる。
【0095】
上述の実施形態では、ヘッドライトユニット1が、1つのサブライトモジュール12を備える場合について説明した。しかしながら、ヘッドライトユニット1は、複数のサブライトモジュール12を備えていてもよい。この場合、例えば、複数のサブライトモジュール12は、正面視で、ヘッドライトモジュール11を取り囲むように等間隔に配置される。
【0096】
本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態及び変形例は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態及び変形例は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、実施形態及び変形例に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態及び変形例に限定されるべきではない。そのような実施形態及び変形例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
【符号の説明】
【0097】
100 :傾斜車両
1 :ヘッドライトユニット
11 :ヘッドライトモジュール
111 :光照射部分
112 :非光照射部分
113 :ハウジング
1131 :開口部
114 :アウターレンズ
115 :LED
116 :インナーレンズ
12 :サブライトモジュール
120 :空洞部
121 :光照射部分
122 :非光照射部分
123 :ハウジング
1231 :開口部
124 :アウターレンズ
1241 :レンズ部
125 :LED
126 :インナーレンズ
127 :制御基板
128 :LED基板
13 :カバーモジュール
131 :フロントカバー
1311 :開口部
1312 :開口部
132 :バックカバー
1321 :開口部
14 :サポート部材
141 :取付部
142 :円筒部
143 :円盤部
1431 :外周環状部
1432 :外周面
143R :右端領域
144 :カバーモジュール取付部
145 :カバーモジュール取付部
146 :電力供給モジュール取付部
147 :サブライトモジュール取付部
148 :ヘッドライトモジュール取付部
15 :電力供給モジュール
151 :フロントケース
1511 :開口部
152 :バックケース
1521 :開口部
153 :制御基板
1531 :差込口
16 :コネクタモジュール
161 :コネクタ本体
162 :コネクタ本体
163 :電線
2 :車体
SP :隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8