(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】プラグコネクタ部品
(51)【国際特許分類】
G02B 6/36 20060101AFI20230904BHJP
H01R 13/58 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G02B6/36
H01R13/58
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021103992
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2022-05-10
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マティアス コッホ
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04795229(US,A)
【文献】特開2017-135108(JP,A)
【文献】特表2019-504363(JP,A)
【文献】特表2013-504857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36-6/40
H01R 13/56-13/72
JSTPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学的及び/又は電気的なプラグ接続のためのプラグコネクタ部品であって、
取り外し可能なねじ接続
の手段によって互いに接続されている、光学的及び/又は電気的な接点要素とそれらの支持体(5、12)用の少なくとも1つのハウジング(6)と、少なくとも1つのコレットスリーブ(19)とを
備え、
前
記ハウジング(6)及び/又は前記コレットスリーブ(19)の内部に
、前記プラグコネクタ部品内に案内されたケーブル(K)用の張力緩和機構(8、22、23)が配置され、
前記張力緩和機構(8、22、23)は、外側スリーブ(8)
上に支持された張力緩和スリーブ(23)を
備える、プラグコネクタ部品において、
前記張力緩和機構(8、22、23)は、少なくともその全長の一部(27)にわたって前方に向かって漏斗状に開口するスリーブ(22)を
備え、
前記スリーブ(22)を通じて、前記ケーブル(K)のストランド(29)
又はファイバ(30)
が案内され
、その中に固定されていることを特徴とする
、プラグコネクタ部品。
【請求項2】
前記漏斗状に開口するスリーブ(22)は、
前記張力緩和スリーブ(23)の前側に載せられ
、その上に支持されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項3】
前記スリーブ(22)の少なくとも漏斗状部分(27)の内
部は、硬化した合成樹脂(28)が充填されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項4】
前記スリーブ(22)
の内部
全体と
前記張力緩和スリーブ(23)の少なくとも一部は、硬化した合成樹脂(28)が充填されていることを特徴とする、請求項3に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項5】
前記合成樹脂(28)は、反応性樹脂の群から選択され
ていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項6】
前記スリーブ(22)が
前記張力緩和スリーブ(23)を介して
前記外側スリーブ(8)
上に支持されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項7】
前記ケーブル(K)
のシールドが、
前記スリーブ(23)の漏斗状部分(27)に固く接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項8】
光学的及び/又は電気的ケーブル用のケーブルプラグとしての構成において、そのハウジングは相補的コネクタ部
品とのプラグ接続を形成するために
設計されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
【請求項9】
光学的及び/又は電気的な接点要素と
前記光学的及び/又は電気的な接点要素用の支持体(5、12)のためのハウジング(6)と、
コレットスリーブ(19)と、
前記ハウジング(6)と
前記コレットスリーブ(19)との間の取り外し可能なねじ接続と、
前記ハウジング(6)及び/又は前記コレットスリーブ(19)の内部の張力緩和機構(8、22、23)と、
ケーブル(K)の前記張力緩和機構(8、22、23)のための外被を形成する外側スリーブ(8)と、
前記外側スリーブ(8)上に支持されている、
前記張力緩和機構(8、22、23)の部分としての張力緩和スリーブ(23)とを備える、プラグコネクタ部品において、
当該プラグコネクタ部品はさらに、
前記張力緩和機構(8、22、23)の一部として
、少なくともその全長の一部(27)に
わたって前方に向かって漏斗状に開口するスリーブ(22)であって、前記ケーブル(K)のストランド(29)
又はファイバ(30
)の端部を包囲している、スリーブ(22)と、
前記ケーブル(K)の
前記ストランド(29)
又はファイバ(30
)と、前記スリーブ(22)との間の固定接続とを備えることを特徴とする
、プラグコネクタ部品。
【請求項10】
さらに、前記ケーブル(K)の
前記ストランド(29)
とファイバ(30)
との間の領域、並びにこれらの要素と少なくとも
前記スリーブ(22)との間の
前記領域を埋める
合成樹脂ポッティングを備えることを特徴とする、請求項9に記載のプラグコネクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能なねじ接続を介して互いに接続されている、少なくとも1つのハウジングと、少なくとも1つのコレットスリーブとを有する、光学的及び/又は電気的なプラグ接続のためのプラグコネクタ部品、特にケーブルプラグであって、ハウジング及び/又はコレットスリーブの内部には、外側スリーブに支持された張力緩和スリーブを有する、コネクタ内に通されたケーブル用の張力緩和機構が配置されている、プラグコネクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
このような種類のコネクタ部品自体は知られている。光学的プラグ接続用のそのようなコネクタ部品は、例えば「OpticalCon」という商標で市場に出回っている。それらは引張応力緩和のための機構も有しており、ケーブルを通って延びる張力緩和ファイバ又は同様の構成部材が、ソケット又は相補的なコネクタ部品とロックされたプラグコネクタの部分と接続されて、エネルギー若しくはデータを伝達するケーブルのファイバ又はストランドに引張力が加えられた場合にこれを緩和するようになっている。
【0003】
この目的のために、金属材料で作られた張力緩和要素をプラグコネクタ部品内のスリーブと、例えば溶接、はんだ付け、圧着、又は同様の接続方法で接続することができる。次に、これらのスリーブはプラグコネクタ部品のハウジングの側部又は内部の対応する構造で支持される。
【0004】
しかし非金属材料で作られた張力緩和要素を、例えば医療分野における用途で使用する場合、これらの公知の種類の接続はもはや安全に使用することができない。
また、例えば、独国特許出願公開第3524105号明細書は、電線路をスルー接続するための電気的プラグ接続のカップリング部品を説明し、それは、少なくとも2つのコアと、そのコアの中の糸状の引っ張り要素とを有する。引っ張り部材は、線路を越えて突出しその線路側の端に向かって円錐形に狭くなる金属製のスリーブに堅く取り付けられる。絶縁体で作られたハンドル本体は、その線路側の端と線路の端との周りに射出成型されている。引っ張り要素とケーブルのシールドは、基部本体の延長部分のアンダーカット内に固定され、そのために、基部は、引っ張り要素とねじれたシールドとが挿入される、2つの軸方向に延びる溝を備える。両部品の端は、折り重ねられ、アンダーカットにあり、基部でぴったりと適合するスリーブによってそこで保持される。したがって、引っ張り部材の端をスリーブの自由な線路側の端に取り付けることと、接点支持体から突出する接点要素の端を、熱せられると流動性を有し、冷えると硬化する材料で作られた絶縁本体によって包囲することは、すでに提案されている。
独国実用新案第202004016541号は、電線を電気的ケーブルから電気的コネクタに接続するためのアダプターと同様に、そのようなアダプターを備えるコネクタを開示する。ケーブルの編組シールドは、アダプターの内部でおおよそ180度、円錐形のリングに巻き付いている。ケーブルに作用する引張力は、編組遮へいに伝達され、したがって、張力緩和は、編組遮へいの引張強度と、編組遮へいが円錐体リングとアダプターのパイプジャケットとの間で保持される絞り効果とに依存する。ケーブルの挿入方向に対して次第に細くなる円錐形リングの種類は、したがって、提案されており、その場合、円錐体リングの外面にある編組シールドは、ケーブルの軸から90度未満離れて曲げられることのみが必要である。編組シールドを90度より大きな角度で曲げることは、必要ではない。
最後に、国際公開第2011/116194号は、電子装置のためのケーブル機構を説明し、その中で、射出成型された要素は、絶縁層の一端でケーブルに取り付けられている。機構は、少なくとも1つの導電体に沿って絶縁層内に延び、絶縁層の一端を越えて突出する第1端を有する補強要素をさらに備える。この第1端はまた、ケーブルに加えられるあらゆる付加的な引張応力が少なくとも最初に補強要素によって担われるように補強要素に負荷を加えるプレローディング力の下で、絶縁層の外面に沿って後方に延びる。留め具は、補強要素及び絶縁層に圧着され、補強要素の偏った第1端を絶縁層の一端にロックする。射出成型された部材の一部は、補強要素の第1端及び留め具の上に形成される。留め具は、ケーブルから半径方向外側に延び、形成された部材の中で保持されるフランジを有する。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]独国特許出願公開第3524105号明細書
[特許文献2]独国実用新案第202004016541号
[特許文献3]国際公開第2011/116194号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術の不利な点を克服し、非金属材料でもプラグコネクタ部品と接続されたケーブルに対してより確実で完全に機能する張力緩和を保証するコネクタ部品を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、特許請求の範囲に記載の装置及び方法によって解決される。
【0007】
本発明の装置は、張力緩和機構が、少なくともその全長の一部にわたり前方に向かって漏斗状に開口するスリーブを有しており、これにケーブル(K)のストランド、ファイバ又は同種のものが貫通案内され、その中で硬化した樹脂からなるポッティングによって固定されていることを特徴とする。
【0008】
スリーブは、プラグコネクタ部品内に通されたケーブルのストランド、ファイバ又は同種のものの端部を包囲しており、これらの要素とスリーブとの間に、好ましくはケーブルの張力緩和とスリーブとの間にも固定接続が存在する。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、スリーブは、張力緩和スリーブの前側に載せられているようになっている。
【0010】
プラグコネクタ部品の有利な実施形態は、少なくともスリーブの漏斗状部分の内部空間が硬化した合成樹脂で満たされていることを特徴とする。
【0011】
スリーブの全内部空間に硬化した合成樹脂が充填されている実施形態が好ましい。
【0012】
本発明の任意の特徴によれば、樹脂は反応性樹脂の群から選択されている。好適な材料はエポキシ樹脂である。
【0013】
スリーブが張力緩和スリーブのみを介して外側スリーブに支持されている、本発明の実施形態が好ましい。
【0014】
本発明の好適な実施形態によると、ケーブルの任意のシールドは、スリーブの漏斗状部分に固く接続されることができる。これは圧着によって行うことが好ましい。
【0015】
本発明をより良く理解するために、以下の図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図は、それぞれ著しく簡略された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、従来技術によるプラグコネクタ部品の分解図である。
【
図2】
図2は、張力緩和機構用のスリーブの別の実施形態である。
【
図3】
図3は、本発明によるコネクタ部品の分解図である。
【
図4】
図4は、別のカバーを備えた
図3のプラグコネクタ部品の縦断面図である。
【
図5】
図5は、張力緩和機構の内部構成部材の斜視図である。
【
図6】
図6は、ケーブルプラグとして形成された本発明によるプラグコネクタ部品と、シャーシソケットとして形成された相補的なプラグコネクタ部品とのプラグ接続の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に確認しておくと、記載された種々の実施形態において同じ部材には同じ参照符号若しくは同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号若しくは同じ部材名称を有する同じ部材に準用され得る。説明において選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接的に説明及び表示された図を基準としており、位置が変化した場合には新しい位置に準用されるものとする。
【0019】
図1には、光学的及び/又は電気的プラグ接続のためのコネクタ部品の従来、特にケーブルコネクタの従来の実施形態が分解図で示されている。
【0020】
これは、コレットスリーブ19を、好ましくはコレットスリーブ19に被せたキンク防止材10も貫通して延び、張力緩和23を通ってハウジング6内に到達するケーブルK(図示せず)のための張力緩和機構を有する。張力緩和機構はさらに小さい中央圧着スリーブ15と、これより大きい円周を有する幅広の圧着スリーブ6を有する。圧着スリーブ6は張力緩和スリーブ23に支持されて、ケーブルKのシールドと接続されている一方、中央のクリンプスリーブ15はケーブルKの張力緩和要素と接続されている。
【0021】
張力緩和スリーブ23は、両ハーフシェル8に支持され、さらに両ハーフシェル8はコレットスリーブ19に支持されている。ハーフシェル8の内側には保持突起17も配置されており、これらを介して中央の圧着スリーブ15はハーフシェル8に、さらにはコレットスリーブ19に支持されている。
【0022】
従来技術の別の実施形態は、2つの別個の圧着スリーブ15及び6が1つの一体的な構成部材32に組み合わされた張力緩和機構を有する(
図2を参照)。中央の小さい圧着スリーブ15は、管状の中間部材33と横断方向ウェブ34を介して幅広の圧着スリーブ6に支持されている。全体としての構成部材32は再び、
図1に関連して既に説明された方法でハーフシェル8に、したがってさらにはコレットスリーブ19に支持されている。
【0023】
図3は、本発明によるプラグコネクタの好適な実施形態を示しており、以下に詳細に説明する。
【0024】
本発明によるプラグコネクタのハウジング6は、公知の実施形態と等しくコレットスリーブ19と取り外し可能なねじ接続を介して互いに接続されている。その際にハウジングに向かって長手方向に移動可能なロックリング18の歯部26は、コレットスリーブ19の固定歯部25と係合する。この固定歯部25は、コレットスリーブ19に対して相対的に移動することができず、好ましくは直接的にコレットスリーブ19に形成若しくは成形されているか、又は最初に追加部材として製造され、次いでコレットスリーブ19に相応に固定される。
【0025】
ハウジング6上のロックリング18は、付勢ばね3によって負荷されて、ハウジング6の長手方向に対して平行な方向に移動可能に支持されている。付勢ばね3は、ロックリング18をその歯部26がコレットスリーブ19の歯部25と係合する方向に付勢する。これによりハウジング6とコレットスリーブ19との間のねじ接続が係合位置で誤って締められるのを防ぐ。ねじ接続を緩めることができるようにするためには、ロックリング18を付勢ばね3の付勢に抗してコレットスリーブ19の固定歯部25から持ち上げて、このロック拘束解除状態でその歯部26とコレットスリーブ19の歯部25がもはや係合しなくなるようにしなければならない。これに対してハウジング6とコレットスリーブ19をねじ合わせると、歯部25、26はそれらの平坦な歯面に沿って互いに滑動でき、ロックリング18は自動的に付勢ばね3の作用に抗して移動する。
【0026】
もちろん代替として、ハウジング6とコレットスリーブ19との間に他の接続形態、例えばバヨネットロック又は固定したプラグ接続などを設けることもできる。
【0027】
ロックリング18がハウジング6に対して回動するのを防止することは、ハウジング6に相対回動不能に固定できるラッチリング14によって行われる。この場合、ロックリング18は、好ましくは内部に、即ちハウジング6に向かう配列の歯を有しており、歯は好ましくはロックリング18に一体的に成形されていて、これらに相補的に形成されたラッチリング14の外側が係合する。ラッチリング14は片側が開いた受容開口部を有しており、これによってラッチリング14はハウジング6にその長手方向に対して直行方向に嵌め込み、回動しないように固定することができる。この回動防止にもかかわらず、ロックリング18はなおもハウジング6上で長手方向に移動可能に支持されている。
【0028】
ロックリング18の把持領域には全周に延びる溝があり、これにカバーキャップ16の紛失防止部材若しくは固定部材20を取り付けることができる。このカバーキャップ16は、好ましくはインサート4を備えている。
【0029】
付勢ばね3は、ロックリング18と、同様に長手方向に移動可能なアンロックリング21との間にクランプされている。アンロックリング21は、コネクタ部品が意図せず緩むのを防止するために、本発明によるコネクタ部品を相補的コネクタ部品、特にシャーシソケットに挿入した後に取り外し可能にロックできるロック・アンロック機構の一部である。
【0030】
この目的のために、テンションスリーブ24がハウジング6と少なくとも軸方向に移動不能に接続されている。テンションスリーブ24は、その軸方向前方に向いたラグで相補的コネクタ部品の相補的保持構造と係合し、これを後方から把持してラッチ接続を形成する。アンロックリング21はテンションスリーブ24の上にあり、付勢ばね3の作用に抗してロックリング18の方向に引っ張られると、テンションスリーブ24のラグを半径方向内側に押し、それによって相補的コネクタ部品とのロックを解除する。
【0031】
ロック解除方向に向いているアンロックリング21の縁部領域37は、円周方向に延びる丸みを帯びた窪みから出て顕著に隆起しているので、手袋を着用しても確実に把持して後方に引っ張ることができ、それによって相補的コネクタ部品とのロックを解除することができる。これは特に医療分野における使用に有利である。
【0032】
同様に公知のシールリング13は、ハウジング6とコレットスリーブ19が互いにねじ合わされると、即ち接続された状態で、両構成部材の間のねじ接続を密封する。
【0033】
ハウジング6の前部には、例えばケーブルKの若干のストランド30を介してデータを電気的に伝送するために、アダプター接点1のための接点支持体12が挿入されている。ケーブルKの光ファイバ29の好ましくは終端部に対する保持部材9が、2つのハーフシェル8を組み合わせたスリーブの前部に配置されている。保持部材9は、好ましくはケーブルKの相応のストランド30を介して行われるエネルギー伝送のために、電気的接点要素11のための接点支持体としても同時に機能することが好都合である。
【0034】
背面、即ち保持部材9の反対側に位置するハーフシェル8の端部には、張力緩和スリーブ23が配置されていて、ハーフシェル8を介してコレットスリーブ19の前端部に支持されている。張力緩和スリーブ23にはまた、ハウジング6に向かって漏斗状に開口するスリーブ22が支持されており、この漏斗状部分27はスリーブ22の全長の少なくとも一部にわたりその前部に形成されている。円筒状スリーブが張力緩和スリーブ23に支持され、相補的な漏斗状スリーブが別個の構成部材として円筒状スリーブに当接し、それによって間接的に張力緩和スリーブ23に支持されている実施形態も可能である。ケーブルKのストランド30、ファイバN29、張力緩和部材、又は同種のものは、このスリーブ22又は他の全ての同様のスリーブ構成を貫通して前方のハウジング6内に案内され、更にスリーブ22の少なくとも円筒部で固定されている。しかしケーブルKの任意のシールドが、スリーブ22の漏斗状部分27と、例えば圧着によって接続されていることが好ましい。ケーブルKの残りの要素については、それらのスリーブ22内の固定は、スリーブ22の少なくとも漏斗状部分27の内部空間に硬化した合成樹脂28が充填されていることによって行われると好都合である。好適な実施形態は、漏斗状スリーブ22の全内部空間と、張力緩和スリーブ23の少なくとも一部が、硬化した合成樹脂28で充填されるようになっている(
図4及び5を参照)。これにより非金属材料で作られた張力緩和要素も使用することが可能になり、このことは医療用途において有利である。
【0035】
スリーブ22に充填するための材料として、エポキシ樹脂を使用することが好ましいが、他の反応性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂、PUR注型用樹脂、アミノプラスト又はフェノプラストなども使用することができる。別の実施形態は、合成樹脂ポッティングがスリーブ22を超えて延長され、ハウジング6、及び場合によってはコレットスリーブ19の内部のより大きい容積を満たすようにすることができる。
【0036】
張力緩和を有するケーブルKの全ての要素29、30はスリーブ22内に、及び場合によっては更に張力緩和にスリーブ23内でも固定されているので、ハーフシェル8の内側には保持部材がなく、そのため言うまでもなく組み立てが著しく簡単になる。この場合、漏斗状スリーブ22は張力緩和スリーブ23のみを介して両ハーフシェル8からなる外側スリーブに支持されている。
【0037】
上記の張力緩和機構は、全体がコレットスリーブ19の側部又は内部に配置でき、また、ハウジング6とコレットスリーブ19との間の移行領域に位置決めできる。
【0038】
EMCシールド用のリターンリング7と環状に形成された螺旋ばね2も、張力緩和機構8、22、23とコレットスリーブ19との間にある。ハウジング6とコレットスリーブ19をねじ合わせるか、又は他の方法で接続すると、この螺旋ばね2は軸方向に負荷され、それによって円周方向に傾き、その結果、ハウジング6とコレットスリーブ19との間のギャップに対して最適なEMC保護を形成する。
【0039】
図4には、好ましくは医療用途に使用される、カバーキャップ16の別の実施形態を見ることができる。前方に大きく突き出たラグ31は開口部32を包囲しており、利用者はこの開口部32に指を差し入れて、手袋をした指でも、カバーキャップ16を簡単で迅速に取り外すことができる。
【0040】
図5にはまた、任意のキンク防止材10とコレットスリーブ19(ケーブルブッシュ19)を貫通するケーブルKが張力緩和スリーブ23まで案内されている状態が、別途詳細に示されている。この場合、ケーブルKの個々の要素29、30のみが分割されてこのスリーブ23を貫通し、さらに前方で漏斗状に開口するスリーブ22を通って、ハウジング6内に案内されている。これらの要素29、30は、ケーブルKの任意のシールドと同様に、合成樹脂ポッティング28内に固く固定されている。
【0041】
更に
図5は、光ファイバ29が光導波路29の端部のための保持部材9内に案内され、及び導電体30が同様にこの保持部材9内に案内されている状態を示す。保持部材9の接点支持体領域は、接点支持体12によって前方に延長されている。光ファイバと導電体の数は原則として任意であり、それらの最大数はコネクタ部品の寸法によってのみ制限されている。
【0042】
図6も同様に縦断面図を示しているが、ここではケーブルプラグとして形成された本発明によるプラグコネクタ部品は、シャーシソケットとして形成された対応するコネクタ部品33と接続されてプラグ接続を形成している。ハウジング6の前部は、プラグコネクタ部品33の挿入開口部に押し込まれている。プラグコネクタ部品33の前縁部36は、フランジプレート35の平面からごくわずかしか隆起していないが、このことは特に医療分野の装置にとってこの縁部36に引っ掛かることをほぼ回避するために有利である。
【0043】
相補的なプラグコネクタ部品33において、環状に形成された螺旋ばね34が使用されており、挿入されたハウジング6の前端部によって軸方向に負荷されると傾くようになっている。これによりプラグコネクタ部品33の側でも最適なEMCシールドが確保されている。これにより、ケーブルKの端部にある他方のプラグコネクタ部品の螺旋ばね2によるEMCシールドとともに、光学的及び電気的接触が行われるプラグコネクタ部品の領域の最適なシールドが保証される。
【0044】
図6に示す接続及びロックされた位置で、ハウジング6の前端部にある電気接点1及び11は、プラグコネクタ部品33の対応する電気接点と導電接続している。好ましくは光ファイバ29のための保持部材9は、その接触面がプラグコネクタ部品33の光ファイバ支持体の接触面に直接的に当接している。このようにすることにより接触面に配置された光ファイバの開放端部は光伝導接続に入り、この接続を介して光学信号を伝送することができる。
【0045】
以上の実施形態は可能な変形例を示すものであり、本発明は特別に図示された本発明の実施態様に制限されておらず、むしろ個々の実施態様を互いに種々組み合わせることが可能であり、この変形可能性は本発明による技術的行為に関する教示に基づき当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、構成要素は一部縮尺通りではなく及び/又は拡大及び/又は縮小して表現された。本発明の態様の一部を以下記載する。
[態様1]
光学的及び/又は電気的なプラグ接続のためのプラグコネクタ部品であって、取り外し可能なねじ接続を介して互いに接続されている、光学的及び/又は電気的な接点要素とそれらの支持体(5、12)用の少なくとも1つのハウジング(6)と、少なくとも1つのコレットスリーブ(19)とを有しており、前記少なくとも1つのハウジング(6)及び/又は前記コレットスリーブ(19)の内部には、外側スリーブ(8)に支持された張力緩和スリーブ(23)を有する、コネクタ部品内に通されたケーブル(K)用の張力緩和機構(8、22、23)が配置されている、プラグコネクタ部品において、
前記張力緩和機構(8、22、23)は、少なくともその全長の一部(27)にわたって前方に向かって漏斗状に開口するスリーブ(22)を有し、前記ケーブル(K)のストランド(29)、ファイバ(30)又は同種のものが前記スリーブ(22)に貫通案内されて固定されていることを特徴とするプラグコネクタ部品。
[態様2]
前記漏斗状に開口するスリーブ(22)は、張力緩和スリーブ(23)の前側に載せられそこで支持されていることを特徴とする、態様1に記載のプラグコネクタ部品。
[態様3]
前記スリーブ(22)の少なくとも漏斗状部分(27)の内部空間は、硬化した合成樹脂(28)が充填されていることを特徴とする、態様1又は2に記載のプラグコネクタ部品。
[態様4]
前記スリーブ(22)の全内部空間と張力緩和スリーブ(23)の少なくとも一部は、硬化した合成樹脂(28)が充填されていることを特徴とする、態様3に記載のプラグコネクタ部品。
[態様5]
前記合成樹脂(28)は、反応性樹脂の群から選択されており、好ましくはエポキシ樹脂が選択されていることを特徴とする、態様3又は4に記載のプラグコネクタ部品。
[態様6]
前記スリーブ(22)が張力緩和スリーブ(23)を介して外側スリーブ(8)に支持されていることを特徴とする、態様1~5のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
[態様7]
前記ケーブル(K)の任意のシールドが、好ましくは圧着によって、スリーブ(23)の漏斗状部分(27)に固く接続されていることを特徴とする、態様1~6のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
[態様8]
光学的及び/又は電気的ケーブル用のケーブルプラグとしての構成において、そのハウジングは相補的コネクタ部品、好ましくはシャーシソケットとのプラグ接続を形成するために構成されている、態様1~7のいずれか一項に記載のプラグコネクタ部品。
[態様9]
光学的及び/又は電気的な接点要素とそれらの支持体(5、12)のためのハウジング(6)と、
コレットスリーブ(19)と、
前記ハウジング(6)とスリーブクランプ(19)との間の取り外し可能なねじ接続と、
前記ハウジング(6)及び/又は前記コレットスリーブ(19)の内部の張力緩和機構(8、22、23)と、
ケーブル(K)の前記張力緩和機構(8、22、23)のための外被を形成する外側スリーブ(8)と、
前記外側スリーブ(8)上に支持されている、張力緩和機構(8、22、23)の部分としての張力緩和スリーブ(23)とを備える、プラグコネクタ部品において、
当該プラグコネクタ部品はさらに、
前記張力緩和機構(8、22、23)の一部として少なくともその全長の一部(27)にわたり前方に向かって漏斗状に開口するスリーブ(22)であって、前記ケーブル(K)のストランド(29)、ファイバ(30)又は同種のものの端部を包囲している、スリーブ(22)と、
前記ケーブル(K)のストランド(29)、前記ファイバ(30)又は同種のものと、前記スリーブ(22)との間の固定接続とを備えることを特徴とするプラグコネクタ部品。
[態様10]
さらに、前記ケーブル(K)のストランド(29)、前記ファイバ(30)又は同種のものの間の領域、並びにこれらの要素と少なくともスリーブ(22)との間の領域を埋めるプラスチックポッティングを備えることを特徴とする、態様9に記載のプラグコネクタ部品。
【符号の説明】
【0046】
1 アダプター接点
2 リングばね
3 付勢ばね
4 保護キャップ用インサート
5 光学接点支持体
6 ハウジング
7 リターンリング
8 ハーフシェル
9 保持部材
10 キンク防止材
11 接点
12 電気接点支持体
13 シールリング
14 ラッチリング
15 圧着スリーブ
16 保護キャップ
17 保持突起
18 ロックリング
19 コレットスリーブ
20 固定部材
21 アンロックリング
22 漏斗状スリーブ
23 張力緩和スリーブ
24 テンションスリーブ
25 固定歯部
26 ロックリング歯部
27 漏斗状部分
28 樹脂ポッティング
29 ストランド
30 光ファイバ
31 保護キャップ用ラグ
32 ラグ開口部
33 シャーシソケット
34 リングばね
35 フランジプレート
36 挿入開口部縁部
37 アンロックリング縁部