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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】回転機構、ロボット、産業機械
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20230904BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20230904BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H57/023
B25J17/00 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021205222
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090311
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】三好 洋之
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111664227(CN,A)
【文献】特開2019-148306(JP,A)
【文献】特開2021-067327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0091300(US,A1)
【文献】実開平05-061510(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 57/023
B25J 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する締結部材と、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
回転機構。
【請求項2】
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部の端部に前記締結部材の締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備える、
請求項1記載の回転機構。
【請求項3】
前記第1接合面および前記第2接合面には、それぞれ前記第1支持部の前記端部および第2支持部の前記端部の全域で一方向に向けて傾斜する前記傾斜部が形成され、
前記第1支持部および第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向での前記傾斜部の端部に、互いに係り合う凹凸形状の前記変形防止部が形成される、
請求項2記載の回転機構。
【請求項4】
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の径方向外向きに傾斜する、
請求項3記載の回転機構。
【請求項5】
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の周方向に向けて傾斜する、
請求項3記載の回転機構。
【請求項6】
前記第1支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かって突出し、
前記第2支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かって突出する、請求項2から5のいずれか記載の回転機構。
【請求項7】
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んで形成される、
請求項2記載の回転機構。
【請求項8】
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んだテーパ形状に形成される、
請求項7記載の回転機構。
【請求項9】
前記締結部材はボルトであり、
前記第1支持部には、前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部が形成され、
前記第2支持部には、前記ボルトの貫通する貫通孔が形成される、
請求項7記載の回転機構。
【請求項10】
前記第1接合面には、前記雌ネジ部の前記開口の周縁の全周に前記回転軸線と直交する平面部が形成され、
前記平面部の径寸法が前記ボルトの頭部の径寸法よりも小さい、
請求項9記載の回転機構。
【請求項11】
前記第1接合面には、前記傾斜部と前記回転軸線と直交する平面部とが形成され、
前記雌ネジ部の軸線が前記回転軸線に沿った方向に見て前記傾斜部に含まれる、
請求項9または10記載の回転機構。
【請求項12】
前記第2接合面は前記第1部材と対向する面に凹んで形成される、
請求項9または10記載の回転機構。
【請求項13】
前記第1支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かって突出し、
前記第2支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かって突出する、請求項7から10のいずれか記載の回転機構。
【請求項14】
ケースと、
前記ケースの内周に設けられた内歯歯車と、
前記内歯歯車と噛合う外歯歯車と、
前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、
前記ケースに第1軸受を介して支持され回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記ケースに第2軸受を介して支持され前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトが締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部の端部に前記ボルトの締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備え、
前記第1接合面および前記第2接合面には、それぞれ前記第1支持部の前記端部および第2支持部の前記端部の全域で一方向に向けて傾斜する前記傾斜部が形成され、
前記第1支持部および第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向での前記傾斜部の端部に、互いに係り合う凹凸形状の前記変形防止部が形成され、
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の径方向外向きに傾斜する、
回転機構。
【請求項15】
前記傾斜部が、前記回転軸線の径方向に見て前記外歯歯車と重なる、
請求項14記載の回転機構。
【請求項16】
ケースと、
前記ケースの内周に設けられた内歯歯車と、
前記内歯歯車と噛合う外歯歯車と、
前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、
前記ケースに第1軸受を介して支持され回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記ケースに第2軸受を介して支持され前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、
前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトが締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部に前記ボルトの締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備え、
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んだテーパ形状に形成され、
前記第1支持部および第2支持部のうち、前記端部の中央部に対して径方向の両側に前記傾斜部と前記変形防止部とが配置される、
回転機構。
【請求項17】
前記第2接合面は前記第1部材と対向する面に凹んで形成される、
請求項16記載の回転機構。
【請求項18】
前記傾斜部が、前記回転軸線の径方向に見て前記外歯歯車と重なる、
請求項16記載の回転機構。
【請求項19】
可動自在に接続されてアーム部を含む複数の部材と、
前記アーム部を含む複数の前記部材を回動自在に連結する連結部と、
前記連結部に取り付けられた回転機構と、
を備え、
前記回転機構は、
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
ロボット。
【請求項20】
互いに接続される複数の部材と、
前記複数の前記部材を回動自在に連結する連結部と、
前記連結部に取り付けられた回転機構を備え、
前記回転機構は、
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
産業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回転機構、ロボット、産業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、偏心揺動型等の回転機構の例として産業用等のロボットに設けられた変速機(減速機)が知られている。このような偏心揺動型の回転機構では、特許文献1に記載されるように、相対回転する一方の部分であるキャリアを備え、このキャリアはホールドとシャフト部とから構成され、ホールドとシャフト部とを締結するために、締結具(ボルト)が配置された技術が開示されている。ボルトは、キャリアの軸心の周りに複数本配置されている。ここでは、ホールドとシャフト部とが、複数のボルトによって締結された状態でケーシングに対して相対回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-109264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような偏心揺動型の回転機構では、外形のサイズはそのままに高トルク、高モーメントが求められている。しかし、回転機構に従来以上の大トルク、大モーメントが作用した時、シャフトとホールドとの合わせ面にせん断力とモーメントが働き、恒久的なズレが発生する可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明は、締結したまま回転する部分での合わせ面を安定化し、外形に比べて大きなトルクおよびモーメントに対する耐性を向上し、回転の安定性を向上可能な回転機構を提供可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る回転機構は、
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する締結部材と、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
ことにより上記課題を解決した。
【0007】
上記(1)のように構成することで、締結部材の締結により互いに押される第1結合面および第2結合面が回転軸線に対して傾斜している傾斜部を有することにより、回転軸線に直交する平面である場合に比べて、締結部材の結合により回転軸線に沿って作用する第1結合面および第2結合面を押す力が増大する。これにより、第1結合面および第2結合面の間で作用する摩擦力が増大する。したがって、第1部材と第2部材とに剪断力がかかった場合に、第1結合面および第2結合面のずれ耐性を向上してずれ難くすることができる。つまり、第1部材と第2部材との間の締結力を向上することができる。
【0008】
(2)本発明は、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部の端部に前記締結部材の締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備える、
ことができる。
【0009】
(3)本発明は、
前記第1接合面および前記第2接合面には、それぞれ前記第1支持部の前記端部および第2支持部の前記端部の全域で一方向に向けて傾斜する前記傾斜部が形成され、
前記第1支持部および第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向での前記傾斜部の端部に、互いに係り合う凹凸形状の前記変形防止部が形成される、
ことができる。
【0010】
(4)本発明は、
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の径方向外向きに傾斜する、
ことができる。
【0011】
(5)本発明は、
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の周方向に向けて傾斜する、
ことができる。
【0012】
(6)本発明は、
前記第1支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かって突出し、
前記第2支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かって突出する、
ことができる。
【0013】
(7)本発明は、
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んで形成される、
ことができる。
【0014】
(8)本発明は、
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んだテーパ形状に形成される、
ことができる。
【0015】
(9)本発明は、
前記締結部材はボルトであり、
前記第1支持部には、前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部が形成され、
前記第2支持部には、前記ボルトの貫通する貫通孔が形成される、
ことができる。
【0016】
(10)本発明は、
前記第1接合面には、前記雌ネジ部の前記開口の周縁の全周に前記回転軸線と直交する平面部が形成され、
前記平面部の径寸法が前記ボルトの頭部の径寸法よりも小さい、
ことができる。
【0017】
(11)本発明は、
前記第1接合面には、前記傾斜部と前記回転軸線と直交する平面部とが形成され、
前記雌ネジ部の軸線が前記回転軸線に沿った方向に見て前記傾斜部に含まれる、
ことができる。
【0018】
(12)本発明は、
前記第2接合面は前記第1部材と対向する面に凹んで形成される、
ことができる。
【0019】
(13)本発明は、
前記第1支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かって突出し、
前記第2支持部が、前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かって突出する、
ことができる。
【0020】
(14)本発明の他の態様にかかる回転機構は、
ケースと、
前記ケースの内周に設けられた内歯歯車と、
前記内歯歯車と噛合う外歯歯車と、
前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、
前記ケースに第1軸受を介して支持され回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記ケースに第2軸受を介して支持され前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトが締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部の端部に前記ボルトの締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備え、
前記第1接合面および前記第2接合面には、それぞれ前記第1支持部の前記端部および第2支持部の前記端部の全域で一方向に向けて傾斜する前記傾斜部が形成され、
前記第1支持部および第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向での前記傾斜部の端部に、互いに係り合う凹凸形状の前記変形防止部が形成され、
前記傾斜部が、複数の前記第1支持部および前記第2支持部で、いずれも前記回転軸線の径方向外向きに傾斜する。
ことにより上記課題を解決した。
【0021】
上記(14)のように構成することで、ボルトの締結により互いに押される第1結合面および第2結合面が回転軸線に対して傾斜している傾斜部を有することにより、回転軸線に直交する平面である場合に比べて、ボルトの結合により回転軸線に沿って作用する第1結合面および第2結合面を押す力が増大する。これにより、第1結合面および第2結合面の間で作用する摩擦力が増大する。したがって、第1部材と第2部材とに剪断力がかかった場合に、第1結合面および第2結合面のずれ耐性を向上してずれ難くすることができる。つまり、第1部材と第2部材との間の締結力を向上することができる。
さらに、変形防止部により、ボルト締結で第1支持部および第2支持部が傾斜部に沿って押されて傾斜方向に変形することを防止できる。
また、傾斜部を、回転軸線周りに形成された円錐やこれに近い球面などの曲面として形成し、回転機構の製造時における傾斜部の形成を容易にすることができる。
ことができる。
【0022】
(15)本発明は、
前記傾斜部が、前記回転軸線の径方向に見て前記外歯歯車と重なる、
ことができる。
【0023】
(16)本発明の他の態様にかかる回転機構は、
ケースと、
前記ケースの内周に設けられた内歯歯車と、
前記内歯歯車と噛合う外歯歯車と、
前記外歯歯車を揺動させる偏心体と、
前記ケースに第1軸受を介して支持され回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記ケースに第2軸受を介して支持され前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第2接合面に開口し前記ボルトが締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口し、
前記第1支持部および前記第2支持部は、前記回転軸線に沿った方向で前記傾斜部に前記ボルトの締結による前記第1支持部および第2支持部の前記回転軸線に交差する方向への変形を防止する変形防止部を備え、
前記第1支持部および第2支持部のうち、一方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に突出し、他方の前記端部が周縁に比べて中央部が前記回転軸線に沿った方向に凹んだテーパ形状に形成され、
前記第1支持部および第2支持部のうち、前記端部の中央部に対して径方向の両側に前記傾斜部と前記変形防止部とが配置される、
ことにより上記課題を解決した。
【0024】
上記(16)のように構成することで、ボルトの締結により互いに押される第1結合面および第2結合面が回転軸線に対して傾斜している傾斜部を有することにより、回転軸線に直交する平面である場合に比べて、ボルトの結合により回転軸線に沿って作用する第1結合面および第2結合面を押す力が増大する。これにより、第1結合面および第2結合面の間で作用する摩擦力が増大する。したがって、第1部材と第2部材とに剪断力がかかった場合に、第1結合面および第2結合面のずれ耐性を向上してずれ難くすることができる。つまり、第1部材と第2部材との間の締結力を向上することができる。
さらに、傾斜部が変形防止部として第1支持部および第2支持部の中央部に対して対称なテーパ形状に形成されるため、ボルト締結で第1支持部および第2支持部が傾斜部に沿って押されて傾斜方向に変形することを、第1支持部および第2支持部ごとが防止することができる。したがって、テーパ形状の傾斜部だけで、凹凸が噛み合う変形防止部を形成する必要がない。
また、傾斜部を、1支持部および第2支持部の中央部の周りに形成された円錐やこれに近い球面などの曲面として形成し、回転機構の製造時における傾斜部の形成を容易にすることができる。
【0025】
(17)本発明は、
前記第2接合面は前記第1部材に対向する面に凹んで形成される、
ことができる。
【0026】
(18)本発明は、
前記傾斜部が、前記回転軸線の径方向に見て前記外歯歯車と重なる、
ことができる。
【0027】
(19)本発明の他の態様にかかるロボットは、
可動自在に接続されてアーム部を含む複数の部材と、
前記アーム部を含む複数の前記部材を回動自在に連結する連結部と、
前記連結部に取り付けられた回転機構と、
を備え、
前記回転機構は、
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
ことにより上記課題を解決した。
【0028】
上記(19)のように構成することで、ボルトの締結により互いに押される第1結合面および第2結合面が回転軸線に対して傾斜している傾斜部を有することにより、回転軸線に直交する平面である場合に比べて、ボルトの結合により回転軸線に沿って作用する第1結合面および第2結合面を押す力が増大する。これにより、第1結合面および第2結合面の間で作用する摩擦力が増大する。したがって、第1部材と第2部材とに剪断力がかかった場合に、第1結合面および第2結合面のずれ耐性を向上してずれ難くすることができる。つまり、第1部材と第2部材との間の締結力を向上することができる。
【0029】
(20)本発明の他の態様にかかる産業機械は、
互いに接続される複数の部材と、
前記複数の前記部材を回動自在に連結する連結部と、
前記連結部に取り付けられた回転機構を備え、
前記回転機構は、
回転軸線の周りに回転する第1部材と、
前記回転軸線に沿って前記第1部材に隣接する第2部材と、
前記回転軸線に沿った軸線を有し前記第1部材と前記第2部材とを締結する複数のボルトと、
前記第1部材に前記回転軸線の周りに複数設けられる第1支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第2部材に向かう前記第1支持部の先端部の第1接合面と、
前記第2部材に前記回転軸線の周りに複数設けられてそれぞれ前記第1支持部に対向する第2支持部と、
前記回転軸線に沿った方向で前記第1部材に向かう前記第2支持部の第2接合面と、 前記第1支持部に形成されて前記第1接合面に開口し前記ボルトの締結される雌ネジ部と、
前記第2支持部に形成されて前記ボルトの貫通する貫通孔と、
を備え、
互いに接触する前記第1接合面と前記第2接合面とが、前記回転軸線と直交する面に対して傾斜する傾斜部を有し、
前記傾斜部に前記雌ネジ部が開口する、
ことにより上記課題を解決した。
【0030】
上記(20)のように構成することで、ボルトの締結により互いに押される第1結合面および第2結合面が回転軸線に対して傾斜している傾斜部を有することにより、回転軸線に直交する平面である場合に比べて、ボルトの結合により回転軸線に沿って作用する第1結合面および第2結合面を押す力が増大する。これにより、第1結合面および第2結合面の間で作用する摩擦力が増大する。したがって、第1部材と第2部材とに剪断力がかかった場合に、第1結合面および第2結合面のずれ耐性を向上してずれ難くすることができる。つまり、第1部材と第2部材との間の締結力を向上することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、力のばらつきを軽減して、シャフトとホールドの軸力を安定化し、主軸受に均一に予圧を与えることの可能な減速機を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る回転機構の第1実施形態を示す断面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】本発明に係る回転機構の第1実施形態におけるシャフトを示す斜視図である。
図4】本発明に係る回転機構の第1実施形態における接合面での作用を示す説明図である。
図5】本発明に係る回転機構の第2実施形態の一部を示す断面図である。
図6】本発明に係る回転機構の第2実施形態におけるホールドを示す斜視図である。
図7】本発明に係る回転機構の第3実施形態の一部を示す断面図である。
図8】本発明に係る回転機構の第4実施形態の一部を拡大して示す断面図である。
図9】回転機構の一部を拡大して示す断面図である。
図10】本発明に係る回転機構の第5実施形態の一部を示す断面図である。
図11図10のXI-XI線に対応する断面図である。
図12】本発明に係る回転機構の第6実施形態を示す断面図である。
図13】本発明に係るロボットの第7実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る回転機構の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における回転機構を示す断面図であり、図2は、図1のII-II線に沿う断面図であり、図3は、本実施形態の回転機構におけるシャフトを示す斜視図であり、図において、符号1は、回転機構である。
【0034】
[回転機構]
本実施形態に係る回転機構1は、図1図3に示すように、入力軸8が中実のいわゆる中実減速機(変速機)である。
回転機構(減速機)1は、ケース30と、減速機構部40と、を備えている。ケース30は、本体部32と、鍔部34と、を備えている。鍔部34は、本体部32から径方向の外側に張り出した形状を有する。第1実施形態の説明では、本体部32の軸線C1に沿う方向を単に軸方向といい、軸方向から見て軸線C1に交差する方向を径方向といい、軸線C1回りに周回する方向を周方向という。また、回転機構1に駆動源が接続される側を入力側といい、回転機構1の出力を受けるアーム等の機構部が接続される側を出力側という。駆動源は入力側の部材の一例であり、アーム等の機構部が出力側の部材の一例であり、回転機構1は、入力側の部材と出力側の部材との間で所定の回転数比で回転数を変換して駆動力を伝達する。
【0035】
本体部32は、軸線C1に沿って筒状に形成される。筒部の一例である本体部32における軸線C1方向の入力側は開口している。本体部32の開口部には、減速機構部40が回転可能に収容される。本体部32には鍔部34が一体に形成される。モーターからの回転が入力される回転機構1には、複数(例えば3つ)の伝達歯車20が露出している。
【0036】
鍔部34は、ケース30の外周に設けられ、軸方向で貫通する貫通孔35を有する。貫通孔35は、周方向に任意の間隔で設けられる。貫通孔35は、回転機構1と、後述するロボットRと、を締結するボルト等の締結部材が貫通する締結孔である。貫通孔35は、図示しない雌ネジ部が形成されており、締結部材がねじ込まれる。貫通孔35および締結部材は、後述する取付締結部を構成する。
【0037】
回転機構1は、入力歯車20bに対応する入力軸8を回転させることによってクランク軸(偏心体)10Aを回転させ、クランク軸10Aの偏心部10a,10bに連動して揺動歯車(外歯歯車)14,16を揺動回転させることにより、入力回転から減速した出力回転を得るように構成されている。
【0038】
回転機構1は、本体部32(筒部)に対応する外筒(ケース)2と、外筒に回転自在に収容されたるキャリア部4と、入力軸8と、複数(例えば3つ)のクランク軸10Aと、第1揺動歯車14と、第2揺動歯車16と、複数(例えば3つ)の伝達歯車20と、を備えている。
【0039】
外筒2は、回転機構1の外面を構成するものであり、略円筒形状を有している。外筒2の内周面には、多数のピン溝2bが形成されている。各ピン溝2bは、外筒2の軸方向に延びるように配置され、軸方向に直交する断面で半円形の断面形状を有している。これらのピン溝2bは、外筒2の内周面に周方向に等間隔で並んでいる。
【0040】
外筒2は、多数の内歯ピン(内歯)3を有している。各内歯ピン3は、ピン溝2bにそれぞれ取り付けられている。具体的に、各内歯ピン3は、対応するピン溝2bにそれぞれ嵌め込まれており、外筒2の軸方向に延びる姿勢で配置されている。これにより、多数の内歯ピン3は、外筒2の周方向に沿って等間隔で並んでいる。これら内歯歯車となる内歯ピン3には、第1揺動歯車(外歯歯車)14の第1外歯14aおよび第2揺動歯車(外歯歯車)16の第2外歯16aが噛合う。
【0041】
キャリア部4は、外筒2と同軸上に配置された状態でその外筒2内に収容されている。キャリア部4は、外筒2(ケース30)に対して同じ軸回りに相対回転する。具体的に、キャリア部4は、外筒2の径方向内側に配置されており、この状態で、軸方向に互いに離間して設けられた一対の主軸受6によって外筒2に対して相対回転可能に支持されている。キャリア部4は、軸線C1方向で分割されて第1方向側に配置された第1キャリア(第1部材)41と、第2方向側に配置された第2キャリア(第2部材;ホールド)42と、からなる。
主軸受6は、転動体の形状が例えば球状である。しかしながらこれに限られるものではなく、コロ軸受、特に転動体の形状が略円錐台である円錐コロ軸受、滑り軸受等、さまざまな軸受を用いることができる。
【0042】
第1キャリア41は、円板状の基板部43と、基板部43の第2方向側の端部から第2方向に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では3個)の支柱部(シャフト部)44と、が一体成形されたものである。
第1キャリア41の外周面41aには、第1軸受収納部41hが形成されている。第1軸受収納部41hには、第1軸受(主軸受)6Aのインナレース6Aaが嵌め合わされている。また、外筒2(ケース30)の第1方向寄りとなる内周面には、第1軸受収納部2hが形成されている。この第1軸受収納部2hに、第1軸受6Aのアウタレース6Abが嵌め合わされている。
【0043】
第1キャリア41の支柱部(第1支持部)44は、軸線C1方向に沿って伸びて形成された柱状である。支柱部(第1支持部)44は、軸線C1方向からみて略円形状に形成される。支柱部44は、軸線C1方向からみて多角形状、例えば、略三角形状、六角形状に形成されてもよい。複数の支柱部44は、軸線C1のまわりの円周上に形成される。
【0044】
各支柱部44は、周方向で基板部43の後述する取付孔4eの間に位置するように配置されている。つまり、各支柱部44は、基板部43の第2方向側に周方向に等間隔で配置されている。各支柱部44のピッチ円直径と取付孔4eのピッチ円直径は、ほぼ同一である。
【0045】
本実施形態の支柱部44の先端部(端部)44aには、全域がほぼ平面の第1接合面(傾斜部)44bと変形防止部61とが形成されている。支柱部(支持部)44は、第1支持部101とされる。第1支持部101については後述する。支柱部44の先端部44aには、締結部50としての雌ネジ部56が形成されている。雌ネジ部56は第1接合面44bに開口部56aを有する。支柱部44の先端部44aには、位置規制ピン58の挿入される凹部58aが形成される。変形防止部61は、支柱部44の先端部44aで第1接合面44bの第2キャリア42に近接する位置に形成された切欠である。
【0046】
締結部50は、本実施形態では一本の支柱部44に1箇所形成されるが、2箇所以上形成されてもよく、本実施形態では形成箇所数がこれらに限らない。複数の締結部50は、軸線C1を中心とする同一円状に位置する。また、3本の支柱部44でも締結部50は、軸線C1を中心とする同一円状に位置する。つまり、3箇所の締結部50は、全て軸線C1を中心とする同一円状に位置する。3箇所の締結部50のピッチ円は軸線C1を中心とし、3箇所の締結部50のピッチ円直径は、同一である。
【0047】
雌ネジ部56は、支柱部44の先端部44aから第1方向に向かって延出する。雌ネジ部56にボルト(締結部材)51を締め付けることにより、第1キャリア41と第2キャリア42とが一体化される。
【0048】
第2キャリア(ホールド)42は、略円板状に形成されている。第2キャリア42は、第1キャリア41を構成する支柱部44の先端部44aに第1方向側の第1端部42aが突き当たるように配置されて位置決めされる。このため、第1キャリア41の基板部43と第2キャリア42との間には、支柱部44の高さと同じ隙間が形成される。この隙間の周囲をケース2が取り囲むことにより、揺動歯車14,16を収納するための揺動歯車収納部が形成される。
【0049】
第2キャリア42の第1端部42aには、支柱部44の先端部44aが突き当たる部分に第2接合面(傾斜部)42mと変形防止部62とが形成されている。支柱部44の先端部44aが突き当たる部分は、第2支持部102とされる。本実施形態では、第2接合面42mと変形防止部62とが第2支持部102とされる。第2接合面42mは、後述するように第1接合面44bに対応して傾斜する。このため、第2接合面42mを形成するために第1端部42aに対して第2キャリア42に凹凸が形成される。変形防止部62は、第2支持部102の第2接合面42mの第1キャリア41に近接する位置に形成された凸部である。第2支持部102については後述する。
【0050】
第2キャリア42の外周面42cには、第2軸受収納部42gが形成されている。第2軸受収納部42gには、第2軸受(主軸受)6Bのインナレース6Baが嵌め合わされている。また、外筒2(ケース30)の第2方向寄りとなる内周面には、第2軸受収納部2gが形成されている。この第2軸受収納部2gに、第2軸受6Bのアウタレース6Bbが嵌め合わされている。
【0051】
第2キャリア42の第1端部42aは、全体に渡って平坦に形成されている。第2キャリア42には、雌ネジ部56に対応する位置に、厚さ方向に貫通する嵌合孔(貫通孔)45が形成されている。第2キャリア42には、凹部58aに対応する位置に、厚さ方向に貫通する貫通孔58bが形成されている。
【0052】
嵌合孔45に、第2キャリア42の第2方向側からボルト(締結部材)51を挿入し、このボルト51を、支柱部44の雌ネジ部56に締め付けるとともに、貫通孔58bに位置規制ピン58を挿入し58aに差し込むことにより、第1キャリア41と第2キャリア42とが位置決めされて一体化される。ボルト51と雌ネジ部56とは締結部50を構成する。
嵌合孔(貫通孔)45、雌ネジ部56、ボルト51は、軸線C1に平行な軸線C4に沿って同軸に締結される。貫通孔58a、貫通孔58b、位置規制ピン58は、軸線C1に平行な軸線に沿って同軸に位置する。
【0053】
雌ネジ部56にボルト51を締め付けた状態では、支柱部44の雌ネジ部56と第2キャリア42の嵌合孔45とに、ボルト51の軸部52が嵌め合わされる。すなわち、ボルト51の軸部52は、第1キャリア41と第2キャリア42とに跨って配置される。
【0054】
第2キャリア42の第2方向側の第2端部42bには、嵌合孔45に座繰り部45aが形成されている。座繰り部45aに、ボルト51の頭部54が挿入される。これにより、第2キャリア42の第2端部42bからのボルト51の頭部54の突出高さが抑えられている。座繰り部45aの底面45bには、締結されたボルト51の頭部54の座面55が接触する。
同様に、第2キャリア42の第2方向側の第2端部42bには、貫通孔58bに座繰り部58b1が形成されている。
【0055】
第1支持部101および第2支持部102は、互いに対向する面に、それぞれ、第1接合面(傾斜部)44bおよび第2接合面(傾斜部)42mが形成されている。これら第1接合面44bおよび第2接合面42mは、いずれも平面とされる。第1接合面44bおよび第2接合面42mはいずれも、支柱部44の軸線、つまり、軸線C1に並行な軸線に対して、傾斜している。具体的には、軸線(回転軸線)C1と直交する面に対して、角度θをなすように一方向に傾いている。
本実施形態においては、第1接合面(傾斜部)44bおよび第2接合面(傾斜部)42mの傾斜方向は、回転軸線C1周りとなる周方向に傾斜する(図3参照)。
【0056】
入力軸8は、駆動モータ(不図示)の駆動力が入力される入力部として機能する。入力軸8は、第2キャリア(端板部)42の貫通孔4f及び基板部43の貫通孔4dに挿入されている。入力軸8は、その軸心が外筒2及びキャリア部4の軸心と一致するように配置されており、軸回りに回転する。入力軸8の先端部の外周面には入力ギア8aが設けられている。
【0057】
3つのクランク軸10Aは、外筒2内で入力軸8の周囲に等間隔で配置されている(図2参照)。各クランク軸10Aは、一対のクランク軸受12a,12bによりキャリア部4に対して軸回りに回転可能に支持されている(図1参照)。
【0058】
各クランク軸10Aは、軸本体12cと、この軸本体12cに一体的に形成された偏心部10a,10bと、を有する。
【0059】
クランク軸10Aの一端部、すなわち、基板部43の取付孔4e内に取り付けられる部分の軸方向外側の部位には、伝達歯車20が取り付けられる被嵌合部10cが設けられている。なお、実施形態の回転機構1は、図1の例に限定されず、クランク軸10Aを軸方向に逆に配置し、被嵌合部10cを、第2キャリア(端板部)42の取付孔4gの軸方向外側に配置してもよい。
【0060】
第1揺動歯車14は、外筒2内の前記閉空間に配設されているとともに各クランク軸10Aの第1偏心部10aに第1ころ軸受18aを介して取り付けられている。第1揺動歯車14は、各クランク軸10Aが回転して第1偏心部10aが偏心回転すると、この偏心回転に連動して内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。
【0061】
第2揺動歯車16は、外筒2内の前記閉空間に配設されているとともに各クランク軸10Aの第2偏心部10bに第2ころ軸受18bを介して取り付けられている。第1揺動歯車14と第2揺動歯車16は、第1偏心部10aと第2偏心部10bの配置に対応して軸方向に並んで設けられている。第2揺動歯車16は、各クランク軸10Aが回転して第2偏心部10bが偏心回転すると、この偏心回転に連動して内歯ピン3に噛み合いながら揺動回転する。
【0062】
各伝達歯車20は、入力ギア8aの回転を対応するクランク軸10Aに伝達するものである。各伝達歯車20は、対応するクランク軸10Aの軸本体12cにおける一端部に設けられた被嵌合部10cにそれぞれ外嵌されている。各伝達歯車20は、クランク軸10Aの回転軸と同じ軸回りにこのクランク軸10Aと一体的に回転する。各伝達歯車20は、入力ギア8aと噛み合う外歯20aを有している。
【0063】
締結部50は、雌ネジ部56と、ボルト51とを有する。
ボルト51は、軸部52と、軸部52に形成された雄ネジ部53と、軸部52の第2方向側端に軸部52と同軸上に形成された頭部54と、からなる。頭部54は軸部52より拡径されている。
【0064】
[支持部での作用]
第1支持部101の第1接合面(傾斜部)44bおよび第2支持部102の第2接合面(傾斜部)42mは、互いに対向している。第1接合面44bおよび第2接合面42mはいずれも、軸線C1に対して傾斜したまま互いに接している。具体的には、軸線(回転軸線)C1と直交する面に対して、角度θをなすように傾いて互いに接している。
【0065】
図4は、本実施形態の回転機構における接合面での作用を示す説明図である。
貫通孔58bに位置規制ピン58を挿入し58aに差し込むとともに、雌ネジ部56にボルト51を締め付けた状態では、ボルト51と雌ネジ部56との締結により、第1支持部101と第2支持部102とが互いに圧縮された状態で押される。この押す力Fはボルト51の締結力による。つまり、図4に示すように、ボルト51の軸線C4に沿った方向に第1接合面44bおよび第2接合面42mは、たがいに押し合う。
【0066】
ここで、第1接合面44bおよび第2接合面42mは、力Fに対して、角度θで傾いているため、第1接合面44bおよび第2接合面42mの間で作用する摩擦力に寄与する面に垂直な力は、図4に示すように、F/cosθとなる。つまり、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1と直交する平面である場合Fに比べて大きくなる。ボルト締結力Fに対して1/(cosθ)ぶんだけアップする。ここで、傾斜角θは大きいほどよい。
【0067】
したがって、第1接合面44bおよび第2接合面42mの間で作用する摩擦力は、図4に示すように、μF/cosθとなる。つまり、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1と直交する平面である場合μFに比べて大きくなる。この摩擦力が大きくなるのは、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1に対して、角度θで傾いていることによる。
【0068】
さらに、第1支持部101および第2支持部102の間に、これらをずらす力がかかった場合を考える。つまり、第1キャリア41と第2キャリア42とがずれる、すなわち、軸線(回転軸線)C1と直交する面に沿った方向の力が作用した際、この力に抗して第1支持部101および第2支持部102が変位しないように対抗することが必要である。
これには、このずらす力に沿った摩擦力が大きいことが必要である。
【0069】
ここで、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1に対して、角度θで傾いているため、この変位に対抗する力は、図4に示すように、μF/(cosθ)となる。つまり、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1と直交する平面である場合μFに比べて大きくなる。すなわち、せん断力に対して1/(cosθ)ぶんだけアップする。ここで、傾斜角θは大きいほどよい。
これにより、本実施形態では、第1接合面44bおよび第2接合面42mが軸線(回転軸線)C1と直交する平面である場合μFに比べて、第1支持部101および第2支持部102の変位耐性が向上する。
【0070】
したがって、複数の支柱部44において、それぞれシャフト41とホールド42とを締結する軸力を安定化し、キャリア部4にかかる外形に比べて大きなトルクおよびモーメントに対する耐性を向上することができる。
【0071】
さらに、雌ネジ部56にボルト51を締め付けた状態では、ボルト51と雌ネジ部56との締結により、第1支持部101と第2支持部102とが互いに圧縮された状態で押される。この押す力Fにより、傾斜した第1接合面44bおよび第2接合面42mに沿って、第1支持部101と第2支持部102とが互いに反対方向に移動変形する可能性がある。この変形を防止するために、本実施形態においては、第1支持部101と第2支持部102とに、それぞれ変形防止部61と変形防止部62とを形成した。
【0072】
変形防止部61は、第2支持部102が変形移動しようとする向きの第1接合面44b端部に形成される。変形防止部62は、変形防止部61に対応して、第1支持部101が変形移動しようとする向きの第2接合面42m端部に形成される。具体的には、図3に示すように、変形防止部61は、第1接合面44bの基板部43から最も離れた位置に形成された切欠とされる。また、変形防止部62は、変形防止部61に対応した形状にて、第2接合面42mの第1端部42aに最も近接する位置に形成された凸部とされる。変形防止部61と変形防止部62とは、互いに係り合う凹凸形状とされる。
【0073】
このように、変形防止部61および変形防止部62がいずれも、傾斜した第1接合面44bおよび第2接合面42mの互いにずれて移動する方向の端部に位置しているため、効果的に、第1接合面44bおよび第2接合面42mが互いにずれることを防止できる。
さらに、この変形防止部61と変形防止部62とに加えて、貫通孔58aおよび貫通孔58bに挿入されて嵌め込まれた位置規制ピン58によっても、第1接合面44bおよび第2接合面42mが面に沿って移動することを防止することができる。
【0074】
これらにより、第1支持部101と第2支持部102とが、傾斜した第1接合面44bおよび第2接合面42mに沿った方向に移動変形することを防止できる。したがって、シャフト41とホールド42との締結状態の安定化を図ることができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、第1接合面(傾斜部)44bおよび第2接合面(傾斜部)42mの傾斜方向を、図3に示すように、回転軸線C1周りとなる周方向とした。これにより、ボルト締結による第1支持部101と第2支持部102との移動変形は回転軸線C1周りの周方向に沿った方向となる。つまり、たとえ、第1支持部101と第2支持部102との移動変形が多少生じたとしても、径方向に変形する場合に比べてその影響を小さくすることができる。
【0076】
なお、図1においては、第1接合面44bおよび第2接合面42mの傾斜方向が図示された断面と直交するために、これらの第1接合面44bおよび第2接合面42mが傾斜して示されていない。また、図1においては、変形防止部61と変形防止部62とも図示されていない。
変形防止部61と変形防止部62とは、互いに係り合う切欠と凸部形状であるため、ボルト51と雌ネジ部56との締結により、第1支持部101と第2支持部102とが互いに圧縮された状態で押されても、第1接合面44bおよび第2接合面42mが面に沿って移動することを防止することができる。
【0077】
本実施形態の回転機構1によれば、上記の構成により、第1キャリア(シャフト)41と第2キャリア(ホールド)42との締結で、第1支持部101と第2支持部102との間で、ボルト51の軸線C4と平行な回転軸線C1に対して直交する面に対して角度θで傾いた第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとを形成したことにより、軸力に対する摩擦力を増大して、互いに接触する第1接合面44bと第2接合面42mとの締結状態を安定化することができる。これにより、過大なトルクあるいはモーメントが剪断力として印加した際にも、これに対抗して第1キャリア41と第2キャリア42との軸力を安定化し、変形を防止して、キャリア部4の回転を安定化することができる。
【0078】
また、複数の第1支持部101と第2支持部102との組で、いずれも締付時の軸力を向上することができるため、これらのばらつきを抑制することができる。これにより、結果的に、軸力向上が実現できるためトルク密度を向上することが可能となる。また、回転機構1としての回転安定性を向上し、回転機構1の長寿命化が可能となる。
【0079】
また、変形防止部61と変形防止部62とを形成したことにより、第1接合面44bおよび第2接合面42mが面に沿って移動変形することを防止することができる。
【0080】
上述した第1実施形態において、回転機構1は入力部となる回転軸が中空のいわゆる中空減速機(変速機)であってもよい。
【0081】
以下、本発明に係る回転機構の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図5は、本実施形態における回転機構の一部を示す断面図であり、図6は、本実施形態の回転機構におけるホールドを示す斜視図であり、本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、接合面の向きに関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0082】
本実施形態における回転機構1は、図5図6に示すように、第1支持部101および第2支持部102における第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとが、いずれも回転軸線C1に対して径方向外向きに傾斜している。
具体的には、3本の支柱部44に形成された第1接合面44bは、回転軸線C1を中心とするテーパ形状、さらに云うと、3つの第1接合面44bは、回転軸線C1を中心とする円錐面の一部として形成される。
【0083】
これに追加して、図5に示すように、第1接合面44bと第2接合面42mとは、図の下側にある回転軸線C1に直交する平面に対して角度θで傾斜している(図4参照)。つまり、頂角が180deg-2θである円錐面の一部として、3本の第1支持部101の端部44aにそれぞれ第1接合面44bが形成されている。なお、図5では、位置規制ピン58、凹部58aおよび貫通孔58bは図示されていない。
また、第2接合面42mは、図6に示すように、第1接合面44bに接するように対応した逆円錐面の一部となる形状に形成される。
【0084】
なお、第1接合面44bと第2接合面42mとは、回転軸線C1に対する径方向外向きに傾斜する平面とすることもできる。ここで、第1接合面44bと第2接合面42mとは、回転軸線C1に対する周方向には傾斜していないことができる。この場合、第1接合面44bと第2接合面42mとの傾斜する方向は、上述したように、第1接合面44bと第2接合面42mとが回転軸線C1を中心とする円錐面の一部として形成された場合での第1接合面44bと第2接合面42mとの傾斜する方向にほぼ一致することができる。
【0085】
このように、第1接合面44bと第2接合面42mとが、回転軸線C1を中心とする円錐面の一部として形成された場合と、回転軸線C1に対する径方向外向きに傾斜する平面として形成された場合とを比較すると、それぞれの面での上述したμF/(cosθ)となる摩擦における力の増大に関しては、近似して考慮することが可能な状態とすることができる。
【0086】
ここで、第2キャリア(ホールド)42には、第2接合面42mの傾斜に対応して、第1端部42aから第1キャリア41に向かって突出する突部42dが形成される。この突部42dの端部には、第2接合面42mが形成される。なお、第2接合面42mは、平面である第1端部42aから、変形防止部62に近接する部分が凹むように形成されていることもできる。
【0087】
第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとは、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第1揺動歯車(外歯歯車)14および第2揺動歯車(外歯歯車)16と重なる。より好ましくは、第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとは、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第2揺動歯車(外歯歯車)16と重なる。
【0088】
より好ましくは、第2支持部102の突部42dが、図6に示すものより長く形成されて、第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとが、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第1揺動歯車(外歯歯車)14および第2揺動歯車(外歯歯車)16の範囲と重なって外側にはみ出さないことができる。この場合、ボルト51による第1支持部101および第2支持部102の変形が第2キャリア42に影響せずに、貫通孔4fおよび取付孔4gへの変形などを抑制することが可能となる。
【0089】
これは、第2支持部102が第2キャリア42の第1端部42aから突出しているため、ボルト51の締結による変形をこの第2支持部102で収めることができるためである。
【0090】
また、変形防止部61,62が、図5に示す紙面下側である第1接合面44bと第2接合面42mとの端部に形成されている。
変形防止部61は、第1支持部101が変形移動しようとする向きの第1接合面44b端部に形成される。具体的には、図5に示すように、変形防止部61は、円錐面である第1接合面44bの中心軸線である回転軸線C1に最も近い位置に切欠として形成される。
【0091】
変形防止部62は、変形防止部61に対応して、第2支持部102が変形移動しようとする向きの第2接合面42m端部に形成される。具体的には、図5図6に示すように、変形防止部62は、第2接合面42mの基板部43から最も離れるとともに、第2接合面42mの第1端部42aに最も近い位置に形成された凸部形状とされる。
【0092】
なお、変形防止部61,62が、回転軸線C1に最も近い位置に形成されているのは、第1支持部101および第2支持部102が、ボルト51の締結力により変形する可能性が、回転軸線C1方向の長さ寸法が長い支柱部44のほうが高いためである。このため、ボルト51の締結で押される第2接合面42mよりも、ボルト51の締結で押される第1接合面44bの移動方向となる、回転軸線C1の径方向内側に変形防止部61,62が設けられている。
【0093】
したがって、第2支持部102のほうが、第1支持部101よりも回転軸線C1に沿った軸方向長さが長い場合、あるいは、第1接合面44bと第2接合面42mの円錐面が、図5図6に示す方向とは逆向きに頂点を有する場合、つまり、第1接合面44bの基板部43に近接する位置が外向きとなるように傾斜していた場合には、回転軸線C1の径方向外側に変形防止部61,62が設けられることになる。
【0094】
本実施形態においては、上記の第1実施形態と同等の効果を奏することができる。
さらに、本実施形態においては、回転軸線C1を中心とした円錐面の加工であるので第1実施形態に比べて容易に製造することができるという効果を奏することができる。
【0095】
なお、本実施形態においては、第1接合面44bと第2接合面42mとを円錐面としたが、これに限られるものではなく、傾斜方向の上述した方向と同じ平面、あるいは、球面に近い曲面等、これ以外の構成とすることもできる。
【0096】
以下、本発明に係る回転機構の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図7は、本実施形態における回転機構の一部を示す断面図であり、本実施形態において、上述した第1および第2実施形態と異なるのは、接合面に関する点であり、これ以外の上述した第1および第2実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0097】
本実施形態における回転機構1は、図7に示すように、第1支持部101および第2支持部102における第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとが、いずれもボルト51の軸線C4に対して径方向外向きに傾斜している。
具体的には、3本の支柱部44に形成された第1接合面44bは、ボルト51の軸線C4を中心とするテーパ形状、さらに、いうと、3つの第1接合面44bは、それぞれがボルト51の軸線C4を中心とする円錐面として形成される。
【0098】
これに追加して、図7に示すように、第1接合面44bと第2接合面42mとは、それぞれがボルト51の軸線C4に直交する平面に対して角度θで傾斜している(図4参照)。つまり、頂角が180deg-2θである円錐面の一部として、3本の第1支持部101の端部44aにそれぞれ周縁に比べて中央部が突出した第1接合面44bが形成されている。また、第2接合面42mは、第1接合面44bに接するように対応して周縁に比べて中央部が凹んだ逆円錐面の一部となる形状に形成される。なお、本実施形態では、位置規制ピン58、凹部58aおよび貫通孔58bは形成されていない。
【0099】
ここで、第2キャリア(ホールド)42には、第2接合面42mの傾斜に対応して、第1端部42aから基板部43に向かって突出する突部42dが形成される。この突部42dの端には、第2接合面42mが形成される。第2接合面42mは、第1接合面44bに接するように対応した逆円錐面の一部となる形状に形成される。突部42dは、支柱部44に対応する径寸法である。突部42dは、支柱部44に対応する断面形状である。突部42dは、第2支持部102である。
【0100】
第2接合面42mは、第2支持部102の突部42dの端面が軸線C4を中心として凹んだ凹状の円錐面とされる。突部42dの周面において、第2接合面42mは、平面である第1端部42aから軸線C1,C4に沿って離間している。つまり、第2接合面42mの周縁は、平面である第1端部42aには接していない。
【0101】
このように、第1支持部101の端部44aに第1接合面44bが形成され、第2支持部102の端部に第2接合面42mが形成されて、これら第1接合面44bと第2接合面42mとが接している。ここで、第2接合面42mが凹状の円錐面とされ、第1接合面44bが凸状の円錐面とされ、締結時には、これらが互いに突き合わされる。このとき、互いに円錐面である第1接合面44bと第2接合面42mとは、第1支持部101と第2支持部102とが軸線C1,C4方向に互いに近づくと、それぞれの軸線C4が重なるように位置が規制される。
【0102】
したがって、位置規制ピン58を用いることなく、第1キャリア(シャフト)41と第2キャリア(ホールド)42との位置決めを行うことが可能となる。
これにより、本実施形態では、位置規制ピン58を必要とせず、これを備えない構成とすることができる。これにともなって、回転機構1の組み立て工程において、位置規制ピン58を凹部58bに嵌め込む工程を省略することができる。したがって、作業工程を削減し、製造時間を短縮することができる。
【0103】
また、本実施形態では、第1,第2実施形態のように対応する切欠と凸部である変形防止部61,62を設けていない。
変形防止部61,62は、いずれも、ボルト51の締結力によって第1接合面44bと第2接合面42mとが互いに面に沿ってずれることを防止するための構成である。しかし、本実施形態では、第1接合面44bと第2接合面42mとが。いずれも、軸線C4を中心とする円錐面とされている。
【0104】
つまり、軸線C4に対して径方向で片方の第1接合面44bおよび第2接合面42mからみると、軸線C4に対して径方向で反対側(逆側)の第1接合面44bおよび第2接合面42mがそれぞれ変形防止部61,62と同じように、片方の第1接合面44bと第2接合面42mとが互いに面に沿ってずれることを防止している。つまり、第1接合面44bと第2接合面42mとは、第1接合面44bおよび第2接合面42m自身が軸線C4の両側でいずれも変形防止部61,62と同じ作用を有する構成である。
【0105】
すなわち、第1接合面44bと第2接合面42mとは、第1接合面44bと第2接合面42mとのそれぞれが、ボルト51の締結による第1支持部101および第2支持部102自身に対する回転軸線C1または軸線C4に交差する方向への変形を防止する変形防止部とみなすことができる。
【0106】
第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとは、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第1揺動歯車(外歯歯車)14および第2揺動歯車(外歯歯車)16と重なる。より好ましくは、第1接合面(傾斜部)42mと第2接合面(傾斜部)44bとは、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第2揺動歯車(外歯歯車)16と重なる。
【0107】
より好ましくは、第2支持部102の突部42dが、より長く形成されて、第1接合面(傾斜部)44bと第2接合面(傾斜部)42mとが、いずれも、回転軸線C1の径方向に見て第1揺動歯車(外歯歯車)14および第2揺動歯車(外歯歯車)16の範囲と重なって外側にはみ出さないことができる。この場合、ボルト51による第1支持部101および第2支持部102の変形が第2キャリア42に影響せずに、貫通孔4fおよび取付孔4gへの変形などを抑制することが可能となる。
【0108】
特に、突部42dでは、第2接合面(傾斜部)42mが第1端部42aから離れており、同時に、支柱部44では、第1接合面(傾斜部)44bが基板部43から離れていることで、貫通孔4d,4fおよび取付孔4e,4gへの変形の影響などをそれぞれ抑制することが可能となる。
【0109】
本実施形態においては、上記の各実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0110】
以下、本発明に係る回転機構の第4実施形態を、図面に基づいて説明する。
図8は、本実施形態における回転機構の一部を示す拡大断面図であり、図9は、回転機構の一部を示す拡大断面図であり、本実施形態において、上述した第3実施形態と異なるのは、接合面に関する点であり、これ以外の上述した第3実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0111】
本実施形態における回転機構1は、図8に示すように、第2キャリア(ホールド)42の第1端部42aに、第2支持部102としての第2接合面42mが凹状のテーパ面として形成されている。凹状のテーパ面の第2接合面42mは、貫通孔45の周りに形成されている。つまり、凹状の第2接合面42mが第2支持部102となる。
【0112】
ここで、凸形状となる第1接合面(傾斜部)44bに、雌ネジ部56の開口部56aの周りに平面部44cが形成される。平面部44cは、雌ネジ部56の開口部56aの周り全周に形成される。平面部44cの軸線C4の径方向における径寸法φ44cは、嵌合孔45の径寸法φ45と等しいか、やや大きい。
平面部44cの軸線C4の径方向における径寸法φ44cは、ボルト51の頭部54の径寸法φ54よりも小さい。
【0113】
これは、図9に示すように、平面部44dとして、ボルト51の頭部54の径寸法φ54よりも大きな径寸法φ44dを有する構成とした場合には、平面部44dと、第2接合面42mとの間には、空間Sが生じることになる。このため、ボルト51を雌ネジ部56に締結した際に、ボルト51の頭部54によって嵌合孔(貫通孔)45周りが締結力により押されて、嵌合孔(貫通孔)45周りが平面部44dと第2接合面42mとによって生じた空間Sを潰すように変形する可能性がある。
【0114】
これを防止するために、平面部44cの軸線C4の径方向における径寸法φ44cを、ボルト51の頭部54の径寸法φ54よりも小さく設定することが必要である。つまり、空間Sをなるべく小さくすることが好ましい。
また、平面部44cを形成することにより、支柱部44の端部44aに雌ネジ部56を形成する際に、タップなど工具先端が滑らずに、軸線C4に対して正確な位置に加工を行うことができる。
【0115】
本実施形態においては、上記の各実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0116】
以下、本発明に係る回転機構の第5実施形態を、図面に基づいて説明する。
図10は、本実施形態における回転機構の一部を示す断面図であり、図11は、本実施形態における回転機構の一部を回転軸線と直交して示す断面図であり、本実施形態において、上述した第3,第4実施形態と異なるのは、結合面およびボルトの本数に関する点であり、これ以外の上述した第3,第4実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0117】
本実施形態における回転機構1は、図10図11に示すように、第1支持部101と第2支持部102とが、2本のボルト51によって締結されている。複数の締結部50は、軸線C1を中心とする同一円状に位置する。また、3本の支柱部44でも締結部50は、軸線C1を中心とする同一円状に位置する。つまり、6箇所の締結部50は、全て軸線C1を中心とする同一円状に位置する。6箇所の締結部50のピッチ円は軸線C1を中心とし、6箇所の締結部50のピッチ円直径は、同一である。
【0118】
第1支持部101と第2支持部102とは、いずれも軸線C1方向からみて三角形状に形成される。第1支持部101である第1キャリア41の支柱部44は、軸線C1方向からみて三角形状に形成された柱状である。第2支持部102は、第1端部42aに第2接合面42mが凹状のテーパ面として形成されている。つまり、凹状の第2接合面42mが第2支持部102となる。また、支柱部44の先端部44aは、第1接合面44bが凸状のテーパ面として形成されている。
【0119】
第1接合面44bと第2接合面42mとは、回転軸線C1または軸線C4に平行な中心線に対する円錐面のテーパとされる。ここで、テーパの中心線は支柱部44の中心軸線であり、回転軸線C1および軸線C4のいずれとも一致しない。
【0120】
凸形状となる第1接合面(傾斜部)44bに、支柱部44の中心軸線の周りに平面部44eが形成される。平面部44eは、支柱部44の中心付近のみに形成される。
本実施形態においては、雌ネジ部56の軸線C4が回転軸線C1に沿った方向に見て第1接合面(傾斜部)44bに含まれる。つまり、雌ネジ部56の軸線C4が回転軸線C1に沿った方向に見て平面部44eには含まれない。
【0121】
これは、平面部44eと第2接合面42mとの間に生じる空間S1をなるべく小さくすることを意図している。本実施形態では、ボルト51が隣接して2本並んでいるので、これらの頭部54の配置も極めて近接することになる。このため、ボルト51を雌ネジ部56に締結した際に、ボルト51の頭部54によって嵌合孔(貫通孔)45周りが締結力により押されて、嵌合孔(貫通孔)45周りが平面部44eによって生じた空間Sを潰すように変形しても、この影響を小さくするために、隣接する2本の雌ネジ部56の軸線C4が回転軸線C1に沿った方向に見て平面部44eに含まれないように配置する。
【0122】
本実施形態においては、上記の各実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0123】
以下、本発明に係る回転機構の第6実施形態を、図面に基づいて説明する。
図12は、本実施形態における回転機構を示す断面図であり、本実施形態において、上述した第1~第5実施形態と異なるのは、クランク軸に関する点である。図において、符号3000は、回転機構である。
【0124】
本実施形態の回転機構(減速機)3000は、いわゆるセンタークランク式とされる。本実施形態の回転機構3000は、図12に示すように、外筒3300と、外壁3740と、を備える。
回転機構3000は、キャリア3400Cと、クランク軸組立体3500Cと、歯車部3600Cと、2つの主軸受3710C,3720Cと、インプットギア3730Cと、を備える。
【0125】
図に示す出力軸3C1は、2つの主軸受3710C,3720C及びインプットギア3730Cの中心軸(軸線)に相当する。外筒3300及びキャリア3400Cは、出力軸3C1周りに相対的に回転することができる。
【0126】
モータ(図示せず)や他の駆動源(図示せず)が生成した駆動力は、出力軸3C1に沿って延びるインプットギア3730Cを通じて、クランク軸組立体3500Cに入力される。クランク軸組立体3500Cに入力された駆動力は、外筒3300及びキャリア3400Cによって囲まれた内部空間内に配置された歯車部3600Cに伝達される。
2つの主軸受3710C,3720Cは、外筒3300と、外筒3300によって取り囲まれたキャリア3400Cと、の間に形成された環状空間に嵌め込まれる。外筒3300又はキャリア3400Cは、歯車部3600Cに伝達された駆動力によって、出力軸3C1周りに回転される。
【0127】
キャリア3400Cは、基部(第1キャリア)3410Cと、端板(第2キャリア)3420Cと、を含む。キャリア3400Cは、全体的に、円筒状である。端板3420Cは、略円板形状である。端板3420Cの外周面は、第2円筒部3312によって部分的に取り囲まれる。主軸受3720Cは、第2円筒部3312と端板3420Cの周面との間の環状の空隙に嵌め込まれる。主軸受3720Cの球が、端板3420C上で直接的に転動するように、端板3420Cの外周面は形成される。
【0128】
基部3410Cは、基板部3411Cと、複数のシャフト部(第2支持部)3412Cと、を含む。基板部3411Cの外周面は、第3円筒部3313によって部分的に取り囲まれる。主軸受3710Cは、第3円筒部3313と基板部3411Cの外周面との間の環状の空隙に嵌め込まれる。主軸受3710Cのコロが、基板部3411Cの外周面上で直接的に転動するように、基板部3411Cの外周面は形成される。
基板部3411Cは、出力軸3C1の延設方向において、端板3420Cから離間する。基板部3411Cは、端板3420Cと同軸である。すなわち、出力軸3C1は、基板部3411C及び端板3420Cの中心軸に相当する。
【0129】
基板部3411Cは、内面3415Cと、内面3415Cとは反対側の外面3416Cと、を含む。内面3415Cは、歯車部3600Cに対向する。内面3415C及び外面3416Cは、出力軸3C1に直交する仮想平面(図示せず)に沿う。
中央貫通孔3417Cは、基板部3411Cに形成される。中央貫通孔3417Cは、出力軸3C1に沿って、内面3415Cと外面3416Cとの間で延びる。出力軸3C1は、中央貫通孔3417Cの中心軸に相当する。
【0130】
端板3420Cは、内面3421Cと、内面3421Cとは反対側の外面3422Cと、を含む。内面3421Cは、歯車部3600Cに対向する。内面3421C及び外面3422Cは、出力軸3C1に直交する仮想平面(図示せず)に沿う。
中央貫通孔3423Cは、端板3420Cに形成される。中央貫通孔3423Cは、出力軸3C1に沿って、内面3421Cと外面3422Cとの間で延びる。出力軸3C1は、中央貫通孔3423Cの中心軸に相当する。
【0131】
複数のシャフト部(第1支持部)3412Cそれぞれは、基板部3411Cの内面3415Cから端板3420Cの内面3421Cに向けて延びる。端板3420Cは、複数の第2接合面3421Bが、複数のシャフト部3412Cそれぞれの先端の第1接合面3412Bに接続される。端板3420Cは、ボルト51と雌ネジ部56とからなる締結部50、および、位置決めピン他によって、複数のシャフト部3412Cそれぞれの先端面に接続されてもよい。
【0132】
シャフト部3412Cそれぞれは、第1支持部101である。端板3420Cの第2接合面3421Bそれぞれは、第2支持部102である。第2接合面3421Bと第1接合面3412Bとが、互いにボルト51により押した状態で接続される。
第1接合面3412Bと第2接合面3421Bとは、上記の各実施形態のように軸線3C1に直交する平面に対して傾斜している。
【0133】
歯車部3600Cは、基板部3411Cの内面3415Cと端板3420Cの内面3421Cとの間に配置される。複数のシャフト部3412Cは、歯車部3600Cを貫通し、端板3420Cに接続される。
歯車部3600Cは、2つの揺動歯車3610C,3620Cを含む。
揺動歯車3610Cは、端板3420Cと揺動歯車3620Cとの間に配置される。揺動歯車3620Cは、基板部3411Cと揺動歯車3610Cとの間に配置される。
【0134】
揺動歯車3610C,3620Cは、共通の設計図面に基づいて形成されてもよい。揺動歯車3610C,3620Cそれぞれは、トロコイド歯車であってもよいし、サイクロイド歯車であってもよい。本実施形態の原理は、揺動歯車3610C,3620Cとして用いられる歯車の特定の種類に限定されない。
【0135】
揺動歯車3610C,3620Cそれぞれは、複数の内歯ピン3320に噛み合う。クランク軸組立体3500Cが、出力軸3C1周りに回転すると、揺動歯車3610C,3620Cは、内歯ピン3320に噛み合いながら、ケース3310内で周回移動(すなわち、揺動回転)する。この間、揺動歯車3610C,3620Cの中心は、出力軸3C1周りを周回することとなる。外筒3300及びキャリア3400Cの相対回転は、揺動歯車3610C,3620Cの揺動回転によって引き起こされる。
【0136】
揺動歯車3610C,3620Cそれぞれの中心には、貫通孔が形成される。クランク軸組立体3500Cは、揺動歯車3610C,3620Cそれぞれの中心に形成された貫通孔に嵌め込まれる。
揺動歯車3610C,3620Cそれぞれには、出力軸3C1周りに規定された仮想円に沿って配置された複数のシャフト部3412Cに対応して、複数の貫通孔が形成される。複数のシャフト部3412Cは、これらの貫通孔に挿通される。これらの貫通孔の大きさは、複数のシャフト部3412Cと揺動歯車3610C,3612Cとの間の干渉が生じないように設定される。
【0137】
クランク軸組立体3500Cは、クランク軸3520Cと、2つのジャーナル軸受3531C,3532Cと、2つのクランク軸受3541C,3542Cと、を含む。クランク軸3520Cは、第1ジャーナル3521Cと、第2ジャーナル3522Cと、第1偏心部3523Cと、第2偏心部3524Cと、を含む。
第1ジャーナル3521Cは、出力軸3C1に沿って延び、端板3420Cの中央貫通孔3423Cに挿入される。第2ジャーナル3522Cは、第1ジャーナル3521Cとは反対側で、出力軸3C1に沿って延び、基板部3411Cの中央貫通孔3417Cに挿入される。
【0138】
ジャーナル軸受3531Cは、第1ジャーナル3521Cと中央貫通孔3423Cを形成する端板3420Cの内壁との間の環状空間に嵌め込まれる。この結果、第1ジャーナル3521Cは、端板3420Cに連結される。ジャーナル軸受3532Cは、第2ジャーナル3522Cと中央貫通孔3417Cを形成する基板部3411Cの内壁との間の環状空間に嵌め込まれる。この結果、第2ジャーナル3522Cは、基板部3411Cに連結される。したがって、キャリア3400Cは、クランク軸組立体3500Cを支持することができる。
【0139】
第1偏心部3523Cは、第1ジャーナル3521Cと第2偏心部3524Cとの間に位置する。第2偏心部3524Cは、第2ジャーナル3522Cと第1偏心部3523Cとの間に位置する。クランク軸受3541Cは、揺動歯車3610Cの中心に形成された貫通孔に嵌め込まれ、第1偏心部3523Cに連結される。この結果、揺動歯車3610Cは、第1偏心部3523Cに取り付けられる。クランク軸受3542Cは、揺動歯車3620Cの中心に形成された貫通孔に嵌め込まれ、第2偏心部3524Cに連結される。この結果、揺動歯車3620Cは、第2偏心部3524Cに取り付けられる。
【0140】
第1ジャーナル3521Cは、第2ジャーナル3522Cと同軸であり、出力軸3C1周りで回転する。第1偏心部3523C及び第2偏心部3524Cそれぞれは、円柱状に形成され、出力軸3C1から偏心している。第1偏心部3523C及び第2偏心部3524Cそれぞれは、出力軸3C1に対して偏心回転し、揺動歯車3610C,3620Cに揺動回転を与える。本実施形態において、偏心部は、第1偏心部3523C及び第2偏心部3524Cのうち一方によって例示される。
【0141】
外筒3300が固定されているならば、揺動歯車3610C,3620Cは、外筒3300の複数の内歯ピン3320と噛み合うので、揺動歯車3610C,3620Cの揺動回転は、出力軸3C1周りのクランク軸3520Cの周回運動と基板部3411Cの回転に変換される。端板3420C及び基板部3411Cは、第1ジャーナル3521C及び第2ジャーナル3522Cにそれぞれ連結されているので、クランク軸3520Cの周回運動は、シャフト部3412Cを介して出力軸3C1周りの端板3420C及び基板部3411Cの回転運動に変換される。揺動歯車3610C,3620C間の周回位相差は、第1偏心部3523Cと第2偏心部3524Cとの間の偏心方向の差異によって決定される。
【0142】
キャリア3400Cが固定されているならば、揺動歯車3610C,3620Cは、外筒3300の複数の内歯ピン3320と噛み合うので、揺動歯車3610C,3620Cの揺動回転は、出力軸3C1周りの外筒3300の回転運動に変換される。
インプットギア3730Cは、出力軸3C1に沿って延び、支持壁3742を貫通する。インプットギア3730Cは、外壁3740によって囲まれた空間3750を貫通する。クランク軸3520Cには、出力軸3C1に沿って延びる貫通孔3525が形成される。インプットギア3730Cの先端部は、貫通孔3525に差し込まれる。
【0143】
キー溝3732は、インプットギア3730Cの先端部に形成される。他のもう1つのキー溝3526は、貫通孔3525を形成するクランク軸3520Cの内壁面に形成される。キー溝3732,3526は、出力軸3C1に略平行に延びる。キー3733は、キー溝3732,3526に差し込まれる。この結果、インプットギア3730Cは、クランク軸3520Cに連結される。インプットギア3730Cが出力軸3C1周りに回転すると、クランク軸3520Cは、出力軸3C1周りに回転する。この結果、揺動歯車3610C,3620Cの揺動回転が引き起こされる。
【0144】
基板部3411Cに形成された中央貫通孔3417Cは、第1空房部3491と第2空房部3492とを含む。第1空房部3491及び第2空房部3492はともに円形断面を有する。第1空房部3491は、断面積において、第2空房部3492よりも小さい。
第1空房部3491には、第2ジャーナル3522C及びジャーナル軸受3532Cが配置される。基板部3411Cの外面3416Cは、相手部材(図示せず)に圧接される。
【0145】
ケース3310の外周には、フランジ部3314が全周に形成され、外壁3740と接続される。外壁3741の先端部3741aは、平坦に形成されている。外壁3741の先端部3741aには、取付締結部150としての雌ネジ部250が形成されている。
フランジ部3314は、ケース3310の外周に設けられ、軸線3C1に沿った方向で貫通する貫通孔3315を有する。貫通孔3315は、周方向に任意の間隔で設けられる。
【0146】
貫通孔3315は、回転機構3000と、ロボットRの一部である外壁3740と、を締結するボルト151が貫通する締結孔である。貫通孔3315は、締結部材であるボルト151が貫通する。外壁3740の雌ネジ部250およびボルト151は、取付締結部150を構成する。取付締結部150におけるボルト151および雌ネジ部250は、締結部50におけるボルト51および雌ネジ部56に対応する。
【0147】
本実施形態によれば、上記の構成により、第1支持部101であるシャフト部3412Cの第1接合面3412Bと、第2支持部102である端板3420Cの第2接合面3421Bとが、互いに軸線3C1に直交する平面に対して傾斜してボルト51により締結される。
【0148】
これにより、第1支持部101と第2支持部102との摩擦力を向上して締結状態を安定化し、シャフト部3412Cと端板3420Cとの軸力を安定化し、回転機構3000としての回転安定性を向上し、トルク密度を向上することが可能となる。
なお、本実施形態の第1接合面3412Bと第2接合面3421Bとは、上述した各実施形態の構成を適宜選択すること、さらに、組み合わせた構成とすることができる。
【0149】
本実施形態においては、上記の各実施形態と同等の効果を奏することができる。
【0150】
以下、本発明に係る産業用ロボットの第7実施形態を、図面に基づいて説明する。
図13は、本実施形態におけるロボットを示す概略図である。
本実施形態において上述した各実施形態と異なるのは回転機構の取り付けられるロボットに関する点であり、これ以外の対応する構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0151】
[ロボット(相手部材)]
本実施形態のロボットRは、産業用ロボットであることが好ましく、協調(協働)ロボットであることがさらに好ましい。協調(協働)ロボットとは、ファクトリーオートメーション(FA)などの分野で「作業員と協働するロボット」のことをいう。
また、ロボットRとして、回転機構1または回転機構3000に対応する減速機(変速機)を複数有する多関節ロボットを用いることができる。
【0152】
[回転機構]
回転機構1または回転機構3000は、回動自在に連結される一対のアームの連結部(ロボットRの関節部分)330L,330Uおよび連結部330Sに設けられる。回転機構1または回転機構3000は、駆動源としてのモータ(不図示)から入力されるモータトルクを減速して出力する。
【0153】
なお、回転機構1または回転機構3000は上述した構成だけでなく、回転力を発生させる駆動源の回転を変速できるものであればよい。例えば、回転機構1または回転機構3000に代わって回転力を発生させる駆動源の回転を増速して出力する増速機でもよい。したがって、本実施形態においては、回転機構も含めて変速機と称する。
【0154】
ロボットRは、連結部330S,330L,330U,にそれぞれ設けられた複数の変速機(第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320)を有している。これら変速機308,314,320は、いずれも第1支持部101と第2支持部102とを備えている。
ここで、回転機構1,3000に対応する変速機308,314,320は、ロボットRの一部となる。
【0155】
ロボットRは、設置面に接する固定ベース302と、固定ベース302から上方に延びる回転ヘッド304と、回転ヘッド304に回転自在に組み付けられている複数のアーム(第1アーム310、および第2アーム316)と、アームの先端に設けられたエンドエフェクタEと、複数の変速機(第1変速機308、第2変速機314、および第3変速機320)と、を備える。
【0156】
複数の変速機308,314,320を介し、回転ヘッド304に第1アーム310が回転自在に連結され、第1アーム310に第2アーム316が回転自在に連結されている。変速機308,314,320は、上述した回転機構1および回転機構3000のうちのいずれか一方を用いることができ、回転機構1と回転機構3000とを自由に組み合わせて用いてもよい。以下、詳細に説明する。
【0157】
固定ベース302上には、回転ヘッド304がS軸の回りに回転自在に組み付けられ、駆動源としての第1サーボモータ306及び第1変速機308を介してS軸を中心として回転する。回転ヘッド304の上部には、第1アーム310がL軸の回りに前後揺動自在に組み付けられ、駆動源としての第2サーボモータ312及び第2変速機314を介してL軸を中心として前後に揺動する。第1アーム310の上部には、第2アーム316がU軸の回りに上下揺動自在に組み付けられ、駆動源としての第3サーボモータ318及び第3変速機320を介してU軸を中心として上下に揺動する。以上の構成で、エンドエフェクタEを3次元的に駆動することができる。
【0158】
本実施形態によれば、第1接合面44bと第2接合面42m、または、第1接合面3412Bと第2接合面3421Bにより、第1支持部101と第2支持部102との軸力が安定し、これに加えて、回転機構1,3000がトルク、モーメントを受けた際の耐性が向上する。
【0159】
本実施形態では、回転機構1,3000を取り付ける連結部330L,330Uを有する構成をロボットRとしたが、これに限定されるものではなく、所定の産業機械に回転機構1,3000を取り付けることが可能である。
【0160】
この場合でも、主軸受6,3710C,3720Cに均一に予圧を与えることができるため、産業機械そのものが定格寿命を全うする確率が高まる。
産業機械と回転機構1,3000の取付締結部150の軸力が安定化するため、産業機械そのものが定格寿命を全うする確率がさらに高まる。
【0161】
本実施形態における産業機械としては、ポジショナ、AGV(Automatic Guided Vehicle;無人搬送車)等を例示することができる。
【0162】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0163】
1…回転機構(減速機)
2…外筒(ケース)
4…キャリア部
6A…第1軸受(主軸受)
6B…第2軸受(主軸受)
10A…クランク軸(偏心体)
41…第1キャリア(第1部材;シャフト)
42…第2キャリア(第2部材;ホールド)
42d…突部
42m…第2接合面(傾斜部)
44…支柱部(シャフト部)
44b…第1接合面(傾斜部)
44c…平面部
45…貫通孔
61,62…変形防止部
50…締結部
51…ボルト(締結部材)
53…雄ネジ部
54…頭部
56…雌ネジ部
101…第1支持部
102…第2支持部
C1…回転軸線
C4…軸線
R…ロボット
330L,330U,330S…連結部
3421B…第2接合面
3411B…第1接合面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13