(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】移動される荷重を輸送するためのセミトレーラ
(51)【国際特許分類】
B62D 53/04 20060101AFI20230904BHJP
B62D 53/06 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B62D53/04 C
B62D53/06 Z
(21)【出願番号】P 2021515103
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2019057991
(87)【国際公開番号】W WO2020058934
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-08
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】520467464
【氏名又は名称】フェイモンビル ディストリビューション アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッピ ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】フローニ フランチェスコ
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-125521(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0202238(US,A1)
【文献】米国特許第06371505(US,B1)
【文献】特開2005-297680(JP,A)
【文献】米国特許第04700966(US,A)
【文献】国際公開第2010/087022(WO,A1)
【文献】英国特許出願公告第01597264(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 53/04
B62D 53/06
B62D 53/08
B62D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動される荷重を輸送するための、独自の長手方向軸線を有したセミトレーラであって、
前記セミトレーラは、
-各油圧サスペンションを作動させるための独自の油圧シリンダがそれぞれ設けられた前部ボギーの右側前列および左側前列を備える前部車輪付きモジュールと、
-対応する油圧サスペンションを作動させるための各油圧シリンダがそれぞれ設けられた後部ボギーの右側後列および左側後列を備える後部車輪付きモジュールと、
-前記前部車輪付きモジュールをトラクタに結合するための結合ユニットであり、前記移動される荷重の一部を前記トラクタに伝えるための少なくとも1つの油圧ジャッキを備える結合ユニットと、
-前記油圧シリンダを接続および制御するための油圧回路と
を備え、
前記油圧回路は、ボギーの前記前列および後列の前記油圧シリンダの間に挿入された第1の油圧分配ユニットを備え、
前記第1の油圧分配ユニットは、前記右側前列の前記
油圧シリンダおよび前記左側後列の前記
油圧シリンダに作用する瞬間荷重支持圧力の合計が、前記左側前列の前記
油圧シリンダおよび前記右側後列の前記
油圧シリンダを制御する瞬間圧力の合計に等しくなるように構成されている、前記セミトレーラにおいて、
前記油圧回路はまた第2の油圧分配ユニットを備え、
前記第2の油圧
分配ユニットは、前記右側前列の前記油圧シリンダおよび前記左側前列の前記油圧シリンダに作用する瞬間荷重支持圧力の合計に基づく圧力信号を前記油圧ジャッキに送信するように構成されており、
前記第2の油圧
分配ユニットは、互いに確実に接続された各可動部材を有する第1の複動式油圧部材および第2の複動式油圧部材を備え、
前記第1の
複動式油圧部材の前記可動部材は、2つの第1の可変容積チャンバを互いに分離し、
前記第2の
複動式油圧部材の前記可動部材は、2つの第2の可変容積チャンバを互いに分離し、
前記第1の
可変容積チャンバの一方は、前部ボギーの前記右側前列の前記油圧シリンダに油圧接続されており、他方は、前記油圧ジャッキに油圧接続されており、
前記第2の
可変容積チャンバの一方は、前記左側前列の前記油圧シリンダに油圧接続されており、他方は、前記油圧ジャッキに油圧接続されている
ことを特徴とする、セミトレーラ。
【請求項2】
前記可動部材が同一のスラスト面を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のセミトレーラ。
【請求項3】
前記可動部材のうちの少なくとも1つが、並進移動または回転することができる
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のセミトレーラ。
【請求項4】
前記第1の油圧
分配ユニットおよび第2の油圧
分配ユニットが、互いに構造的に同一である
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のセミトレーラ。
【請求項5】
前記前部
車輪付きモジュールの前記前部ボギーの数が、前記後部
車輪付きモジュールの後部ボギーの数よりも多い
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のセミトレーラ。
【請求項6】
前記第1の油圧分配ユニットが、
2つの可変容積チャンバを有する複動式前部油圧部材であって、前記可変容積チャンバのうちの一方が前記右側前列の前記油圧シリンダに油圧接続され、他方が前記左側前列の前記油圧シリンダに油圧接続されている、複動式前部油圧部材と、
2つのさらなる可変容量チャンバを有する複動式後部油圧部材であって、前記可変容積チャンバのうちの一方が前記右側後列の前記油圧シリンダに油圧接続され、他方が前記左側後列の前記油圧シリンダに油圧接続されている、複動式後部油圧部材と
を備え、
前記可動部材は互いに確実に接続されていることを特徴とする、
請求項1から5のいずれか一項に記載のセミトレーラ。
【請求項7】
前記前部車輪付きモジュールと前記後部車輪付きモジュールとを互いに接続し、前記移動される荷重を支持するための平面を画定する中間ブリッジ構造物をさらに備え、
前記中間
ブリッジ構造物はボギーを有さない
ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のセミトレーラ。
【請求項8】
商品を輸送するための車両であって、トラクタと、前記トラクタに接続されたセミトレーラとを備える車両において、前記セミトレーラが請求項1に記載のものであることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2018年9月21日出願のルクセンブルク国特許出願第100932号の優先権を主張するものであり、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、移動される荷重を輸送するためのセミトレーラに関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な荷重の輸送には、トラクタによって牽引される車輪付きトレーラを使用することが知られており、この場合には、場合によりバラストで安定させたトラクタ(ballasted tractor)が牽引の機能のみを果たす。あるいは、車輪付きセミトレーラを使用することも知られており、この場合には、トラクタが移動される荷重の一部を牽引して支持するという二重の機能を果たす。後者の場合、「グースネック」として知られるL字型のアームが、トラクタと荷重支持面との間に配置されており、このアームは、一方では、第五車輪連結器の介在によってトラクタに結合され、他方では、荷重面に水平または平行なヒンジピンによって荷重支持フレームに結合されている。前記ヒンジピンを中心としたアームの回転、ひいてはトラクタに解放される荷重の割り当て部分は、前記フレームとL字型アームとの間に挿入された油圧ジャッキによって制御される。
【0004】
トレーラおよびセミトレーラの双方は、連続荷重面を有するか、または1つは前部モジュールであり、1つは後部モジュールである2つの輸送モジュールから構成されることが可能であり、前部モジュールと後部モジュールとは、多くの場合に独自の中間荷重面を画定する中間接続構造物によって相互に接続されている。モジュールの各々は、独自の荷重面を有し、それぞれが独自のサスペンションを備えた、少なくとも隣接する2列のボギー(bogie)を備える。中間構造物は、通常、ボギーを有していない。
【0005】
知られているように、ボギーのサスペンションは、2つの異なる輸送モードで荷重を支えるために互いに油圧で相互接続され得る。第1の輸送モードは、3つの支持点(bearing point)において耐荷重性(load bearing)を有する平衡状態(isostatic condition)(荷重平衡三角形)にある輸送モードであり、前部モジュールのサスペンションのすべてまたは少なくとも一部が同一の導管に接続されて、同一の荷重支持圧力で動作する、つまり、ボールジョイントのように荷重を支持する単一の支点を規定する。3点平衡状態では、フレームはねじれを受けず、自動車両において、転がり面が不均一な状態でも駆動輪のグリップが確保される。
【0006】
第2の輸送モードは、4つの支持点において軸受(bearing)を有する不静定状態(hyperstatic condition)の輸送モードである。この状態では、安定性は3つの支持点よりも著しく高いため、非常に高い荷重を輸送する必要がある場合に適している。しかしながら、4点において軸受を有する不静定状態では、フレームおよび特に中間接続構造物が存在する場合には、それらは大きな曲げを受けるが、主にねじり作用を受ける。
【0007】
これらの不都合を克服するために、油圧回路に油圧補償ユニットを設けることが知られており、油圧補償ユニットは、2つの支点を通過する対角線に沿った荷重支持作用の合計が、他の2つの支点を通過する対角線に沿った荷重支持作用の合計と等しくなるように構成されている。実際、補正ブロックは、許容可能な車両安定性を維持しながら、フレームにおけるねじれおよび曲げを排除または低減することにより、4つの支持点における軸受系を平衡にする。
【0008】
平衡状態の輸送モードおよび4点における軸受は、トレーラには容易に実装可能であるが、グースネックに油圧ジャッキが存在するため、セミトレーラには適用できない。この油圧ジャッキは、上記の油圧補償ブロックが設けられた油圧回路に接続されている場合、実際には、これまた不静定となる系を生じる新しい圧力変数を追加する。
【0009】
このため、現在のすべてのセミトレーラは3点平衡モードで動作し、油圧ジャッキは前部モジュールに油圧接続されている。しかしながら、横転耐性は実際には後部モジュールによってのみ達成されるため、3点平衡モードでは、荷重面に対して輸送される荷重の重心の高さが大幅に制限される。
【0010】
荷重を輸送するための車両は、例えば、米国特許第6371505B1号、独国特許出願公開第2809628A1号および欧州特許出願公開第1584503A2号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上記の問題を非常に単純かつ安価な方法で解決することを可能にするセミトレーラを提供することにあり、特に、輸送される荷重の重心の高さに関係なく、平衡輸送モードで動作することができるセミトレーラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、請求項1に記載のセミトレーラが実現される。
【0013】
本発明によれば、請求項8に記載の商品を輸送するための車両も実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の教示に従って実現される、移動される荷重を輸送するためのセミトレーラの好ましい実施形態を、概略的かつ実質的にブロックおよび側面図で示す図である。
【
図2】
図1のセミトレーラの油圧サスペンションを制御するための油圧回路を概略的かつ実質的にブロックで示す図である。
【
図3】標準的なセミトレーラの安定性を示す図と比較して、
図1および
図2のセミトレーラの平衡安定性(isostatic stability)を概略的に示す図である。
【
図4】
図3と同様であり、
図1のセミトレーラの異なる実施形態の安定性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の非限定的な実施形態を示す添付図面を参照しながら、本発明について説明する。
図1および
図2において、数表示1は、全体として、商品を輸送するための車両、特に、以下の議論において、一般性を失うことなく、明示的に参照される重心Gを有する部分的に図示された風力タービンブレード2などの、高さ方向に延びる荷重を輸送するための車両を示している。
【0016】
特に、車両1は、それ自体が公知のトラクタ3と、既知の方法でトラクタ3に接続されたセミトレーラ4とを備える。
【0017】
図示の例では、セミトレーラ4は、独自の長手方向軸線5を有し、セミトレーラ4の前進方向において、車輪付き前部モジュール6と、車輪付き後部モジュール7と、車輪付きモジュール6および車輪付きモジュール7を互いに接続する中間ブリッジ構造物8とを備える。
【0018】
図示していない変形例によれば、セミトレーラ4には中間構造物8が設けられておらず、車輪付きモジュール6および車輪付きモジュール7は互いに直接接続されている。
【0019】
記載する例では、車輪付きモジュール6および車輪付きモジュール7は、各荷重面Pを画定する前部フレーム10および後部フレーム11をそれぞれ有し、前部フレーム10および後部フレーム11は、好ましくは、しかし必ずしもではないが、例えばヒンジピンによって、解放可能な方法で、中間構造物8に確実に接続されている。
【0020】
前部モジュール6および後部モジュール7はさらに、既知の方法で前部フレーム10に結合された複数の前部台車またはボギー12と、これもまた既知の方法で後部フレーム11に確実に接続された複数の後部ボギー13とをそれぞれ備える。前部ボギー12および後部ボギー13は、前部ボギー12の右側前列15および左側前列16と、後部ボギー13の右側後列18および左側後列19とをそれぞれを形成するように、各フレーム10、11の下に配置されている。示した例では、前部モジュール6および後部モジュール7は、同一の数のボギーを有している。
【0021】
好都合には構造的に同一である前部ボギー12および後部ボギー13は、それ自体は既知であり、他の油圧サスペンション20から独立した、独自の油圧サスペンション20をそれぞれ備えており、油圧サスペンション20は荷重を支持するための油圧シリンダ21を備えている。
【0022】
中間構造物8はブリッジ構造物であり、ボギーによって支持されておらず、荷重面P1の境界を定めており、荷重面P1は、荷重面Pに対して低く、すなわち、面Pの高さよりも地面から低い高さに配置されている。好都合には、荷重面P1は、面Pよりも50センチメートル低く、風力タービンブレード2を2つの限界端位置の間で回転させるのに適した、風力タービンブレード2を結合および支持するためのユニット23を支持する。2つの限界端位置の一方は、2つのモジュール6、7のうちの一方に横たわる位置であり、他方は、風力タービンブレード2が垂直に近い状態で配置される傾けられた位置である。
【0023】
前部フレーム10は、グースネックとして知られる逆L字型アーム24によってトラクタ3に結合されており、逆L字型アーム24は、水平ピン25によって前部フレーム10にヒンジ結合された端部と、第五車輪連結器26によってトラクタ3に結合された反対端部とを有する。
【0024】
前部フレーム10とアーム24との間には、一対の油圧ジャッキ27が挿入されており、そのうちの1つのみが添付図に表示されている。油圧ジャッキ27は、ピン12を中心にグースネックを回転させ、トラクタ3上で輸送される荷重の一部を既知の方法で伝えるように駆動される。
【0025】
図2を参照すると、セミトレーラ4はまた、すべての車輪付きボギー12、13のシリンダ21および油圧ジャッキ27のシリンダ21を接続および制御するための油圧回路30を備える。油圧回路30は「自律型」油圧回路であり、すなわち、外部信号、または操作者もしくは電子制御ユニットによる介入なしで動作し、セミトレーラ4が、以下で詳しく説明するように、5点において耐荷重性を有する平衡状態で常に動作するように、サスペンションを連続的に制御するように構成されている。
【0026】
油圧回路30は、右側前列15の油圧シリンダ21および左側後列19の油圧シリンダ21を制御する瞬間圧力の合計が、左側前列16および右側後列18の油圧シリンダ21を制御する瞬間圧力の合計に等しくなるように構成された油圧分配ユニット31を備える。この目的のために、油圧群31は、前部モジュール6に関連する複動式油圧シリンダ32と、後部モジュール7に関連する複動式油圧シリンダ33とを備える。油圧シリンダ32および33は、互いに対して固定され、互いに対して適切かつ確実に接続された各ライナー34と、各ピストン35および36を有する。記載する例では、ピストン35および36は同一のスラスト面を有する。
【0027】
変形例によれば、ピストン35および36は、異なるスラスト面を有する。
【0028】
双方の場合において、ピストン35および36は、各ライナー34の内側で摺動可能であり、双方のライナー34を通過する共通のフリーロッド37に確実に接続されている。ピストン35は、各ライナー34の内側の空間を分割し、それにより、2つの前部可変容積チャンバ38、39の境界を定め、それらのうちのチャンバ38は、導管39を介して、右側前列15のボギー12の油圧シリンダ21に油圧接続されており、チャンバ39は、導管41によって、左側前列16の前部ボギー12の油圧シリンダ21に接続されている。
【0029】
一方、ピストン36は、各ライナー34の内側の空間を分割し、それにより、参照符号43および44として示される2つの可変容積後部チャンバの境界を定める。チャンバ43は、導管45によって、後部ボギーの左側列19のボギー13の油圧シリンダ21に油圧接続され、チャンバ44は、導管46によって、ボギーの右側列18の後部ボギー13の油圧シリンダ21に油圧接続されている。
【0030】
再び
図2を参照すると、油圧回路30は、油圧分配ユニット47をさらに備え、油圧分配ユニット47は、右側前列15の前部油圧シリンダ12の瞬間動作圧力および左側前列16の前部油圧シリンダ12の瞬間動作圧力の合計に基づいて、圧力下における制御信号を油圧ジャッキ27に送信するように構成されている。
【0031】
図1を参照すると、油圧ユニット47は、参照符号48および49として示される2つの複動式油圧シリンダを備える。シリンダ48および49は、互いに対して固定され、好都合には、互いに確実に接続された各ライナー50と、記載する例では同一のスラスト面を有した各ピストン51および52とを有する。
【0032】
これに代わって、ピストン51および52は、異なるスラスト面を有する。
【0033】
ピストン51および52は、各ライナー50内で摺動可能であり、双方のライナー50を通過する共通のフリーロッド53に確実に接続されている。ピストン51は、各ライナー50の内側の空間を、参照符号54および55として示される2つのチャンバに分割する。チャンバ54は、導管56によって、前部ボギーの左側列16のボギー12の油圧シリンダ21に油圧接続されている。一方、チャンバ55は、導管57を介して、アーム24を作動させるための油圧ジャッキ27に油圧接続されている。
【0034】
ピストン52は、代わりに、各ライナー50の内側の空間を分割し、それにより、参照符号58および59として示される2つの可変容量チャンバの境界を定める。チャンバ58は、導管60を介して前部ボギーの右側列15のボギー12の油圧シリンダ21に油圧接続され、一方、チャンバ59は、これもまた導管57によって、アームを作動させるための油圧ジャッキ27に接続されている。したがって、チャンバ55とチャンバ59とは、導管57を介して、互いに直接連通している。
【0035】
使用中、油圧回路30により、5つの支持点において耐荷重性を有するが、常に平衡状態にあり、そのため2つのモジュール6および7のねじれだけでなく、中間構造物8のねじれも制限された、荷重、例えば、風力タービンブレード2、の輸送を可能にするセミトレーラを得ることが可能となる。同時に、上記のセミトレーラ1は、特に、風力タービンブレード2の移送中のように、荷重面に対して大幅に上昇した重心を有する荷重が移送される場合に、荷重から伝達される横転モーメントに対して優れた耐性を有する。この場合、実際には、その経路上の障害物に対処するためにブレード2を傾けるため、同一のブレード2の重心Gは、ブレードが水平に横たわっているときの3~4メートルの高さから、ブレードがほぼ垂直状態に達したときには最大25メートルに至る。
【0036】
それに加えて、記載したセミトレーラ4は、輸送中に重心Gが、トラクタ3から、およびトラクタ3に向って長手方向に移動した場合でも、高い横転耐性を保証する。これは、風力タービンブレード2をそのほぼ垂直状態の位置に傾けている間の場合にあたる。
【0037】
上記は、油圧ユニット31と油圧ユニット47との間の相乗効果によるものであり、
図3によって図形で確認される。前部モジュール6および後部モジュール7、ならびに各ボギー12および13が概略的に示されている
図3を参照すると、頂点A、B、Cを有する三角形は、3つの支持点を有する従来のセミトレーラの平衡安定性の領域の境界を定める。輸送される荷重の重心Gが三角形ABC内にある場合に、輸送の安定性が確保される。これらの状態では、重心Gが頂点Aに向かって移動するにつれて転倒安定性がどのように低下するか、また横転ペア(lateral rollover pairs)が主に後部モジュールによってどのように吸収されるかは明らかである。
【0038】
相変わらず
図3において、ひし形DEFHは、代わりに、本発明によるセミトレーラ4の平衡安定性の領域の境界を定める。すぐに分かるように、少なくとも荷重が位置する中間構造物8では、長手方向5に直交する方向または車両の前方方向の安定領域の大きさが、三角形ABCに対して増大しており、したがって、横転に対する安定性も増大する。さらに、同一の図から、横転に対する安定性が、中間構造物8において、また重心Gが頂点Dに向かって移動するにつれて、増大することがすぐに見てとれ、このような方向の移動はブレード2がそのほぼ垂直状態に向かって持ち上げられる間に起こるので、これは非常に重要である。したがって、本発明によるセミトレーラ4は、荷重の重心Gが荷重面に対して大幅に上昇した位置に配置されている場合と、風力タービンブレード2を中間構造物8で支持されているときに傾ける間のように、重心Gがトラクタ3からおよびトラクタ3に向かって長手方向に並進移動する場合との双方において、高い動的安定性、特に横転に対する高い耐性を有することは明らかである。
【0039】
これに対して、
図4では、菱形ILMNは、本発明に従って作製されたセミトレーラ4’の平衡安定性の領域を表している。セミトレーラ4’は、その前部モジュール6が、その後部モジュール7のボギー13の数よりも多い多数のボギー12を有するため、セミトレーラ4とは異なっている。また、
図4には、モジュール6、7およびボギー12、13が概略的に示されている。2つの菱形DEFHおよび菱形ILMNの領域および相対的な長手方向位置の比較から、この場合、安定領域の横断方向の寸法、つまり横転に対する耐性が、同一の数のボギー12、13を有するモジュール6、7を備えた解決策に対して増大され、重心Gが中間構造物8に沿ってトラクタ3に向かって移動するにつれて大きくなっている。
【0040】
さらに
図3および
図4を参照すると、安定領域は、油圧分配ユニット31,47のピストン部分を変更することによってさらに修正することができる。
【0041】
上記の説明から、独立請求項に定義された範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の油圧回路30に対して修正および変更を加えることができることは明らかである。特に、油圧ユニット31のシリンダ32および33、ならびに/または油圧ユニット47のシリンダ49および49を、同等の回転油圧アクチュエータ、例えば歯付きギアトランスミッションによって、角度方向に固定されるように互いに結合された回転シャフトを有する、例えば油圧モータによって、どのように置き換えることができるかは明らかである。実質的には、この変形例では、油圧並進移動が油圧回転に置き換えられ、油圧モータにより、対応する支持点から受け取った油圧スラストがねじりモーメントに変換されることが可能となる。