(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 2/04 20060101AFI20230904BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61N2/04
A61N5/06 Z
(21)【出願番号】P 2021536359
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2019082896
(87)【国際公開番号】W WO2020126392
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】102018009941.6
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521269654
【氏名又は名称】パイオミック メディカル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ ヘンリック ミーチャ クルート
(72)【発明者】
【氏名】マルク アンドレ バルター
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マクシミリアン コンスタンティン リヒャルド ヘルツ
(72)【発明者】
【氏名】イェルク ハンス フレーリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン バルティ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン エーベルリ
(72)【発明者】
【氏名】スベン ツビッカー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0296150(US,A1)
【文献】特表2016-522059(JP,A)
【文献】特表2009-525769(JP,A)
【文献】特表2006-519680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228721(US,A1)
【文献】登録実用新案第3213328(JP,U)
【文献】特表2015-527134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/00 - 2/12
A61N 5/06 - 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光および磁気刺激(OMS)創傷治療装置であって、
OMS創傷治療のための光場を生成するように構成された光源と、
前記光場を生成するために前記光源を駆動するべく前記光源に結合された電気回路と、
前記OMS創傷治療のための磁場を生成するように構成されたコイルと、
一方における前記コイルと、他方における前記光源および
前記電気回路と、の間において配置されたシートを有する磁場シールドであって、
前記光源および前記電気回路が配置される側の前記磁場シールドの一側部において、前記コイルによって生成された前記磁場を10分の1以下に減衰することによって、前記コイルによって生成された前記磁場から前記電気回路および前記光源を遮蔽するように構成された磁場シールドと、を有する、OMS創傷治療装置。
【請求項2】
前記磁場シールドは、5000超の相対透磁率を有する材料を有する、請求項1に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項3】
前記磁場シールドは、前記光場が患者の創傷を照射するべく貫通しうる1つまたは複数の磁場シールド開口部を有する、請求項1または2に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項4】
前記OMS創傷治療装置は、パルス幅変調磁場を生成するために、前記コイルを駆動するべく、ブリッジコイルドライバに結合されたコイル電圧供給源を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項5】
前記ブリッジコイルドライバは、電流が前記パルス幅変調磁場のパルスの降下エッジの間において前記コイル電圧供給源に流れ戻ることを防止するように構成された第1トランジスタを有する、請求項4に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項6】
前記ブリッジコイルドライバは、第2トランジスタを有する線形電流レギュレータを有し、
前記第2トランジスタは、前記第1トランジスタと結合され、
前記ブリッジコイルドライバは、前記電流が、前記第1トランジスタを介して、前記パルスの前記降下エッジの間において前記コイル電圧供給源に流れ戻ることを防止されることに基づいて、前記パルスの前記降下エッジの間において前記第2トランジスタ上において上昇電圧を誘発するように構成される、請求項5に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項7】
前記ブリッジコイルドライバは、前記第1トランジスタおよび第2トランジスタと結合されたツェナーダイオードをさらに有し、
前記ツェナーダイオードは、前記第1トランジスタおよび第2トランジスタが、前記ブリッジコイルドライバのスイッチオフの間において過電圧に起因して損傷することを防止するように構成される、請求項5または6に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項8】
前記コイル電圧供給源の出力電圧を調節するべく、前記コイル電圧供給源に結合されたコイル供給電圧制御フィルタおよびバックコンバータをさらに有する、請求項4~7いずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項9】
前記光源は、複数のLEDを有し、
前記LEDが配置される前記OMS創傷治療装置の層は、複数のセグメントに分割され、
前記セグメントのそれぞれは、前記複数のLEDの1つまたは複数を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項10】
前記コイルは、前記コイルを通じた前記光場の貫通を許容するべく、前記LEDの個々の場所に対応する場所において開口部を有するように巻回される、請求項9に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項11】
前記コイルは、環状の形状を有するように巻回され
前記開口部は、第1ループを有する前記コイルの第1半径方向場所と第2ループを有する前記コイルの第2半径方向場所との間において提供されるギャップ領域において配置される、請求項10に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項12】
表面が、前記OMS創傷治療装置までの予め定義された距離内にあるかどうかを決定するように構成された距離センサをさらに有し、
前記OMS創傷治療装置は、前記表面が前記OMS創傷治療装置までの前記予め定義された距離内にある場合にのみ、前記光場および前記磁場の1つまたは両方を生成するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項13】
表面から反射された光の量と、
前記表面の色であって、前記OMS創傷治療装置は、前記表面の前記色を前記OMS創傷治療装置のメモリ内において記憶されている創傷の色コードと相関させるように構成される、色と、
前記表面の表面構造であって、前記OMS創傷治療装置は、前記表面構造を前記OMS創傷治療装置の前記メモリ内において記憶されている表面構造と相関させるように構成される、表面構造と、
前記表面の反射および/または散乱パラメータと、の1つまたは複数を検出するように構成された光学センサをさらに有し、
前記OMS創傷治療装置は、前記表面から反射された光の量、前記表面の色、前記表面の表面構造、ならびに前記表面の前記反射および/もしくは散乱パラメータの1つまたは複数に基づいて、前記表面が創傷に属するかどうかを決定するように構成され、
前記OMS創傷治療装置は、前記表面が創傷に属すると決定された場合にのみ、前記光場および前記磁場の1つまたは両方を生成するように構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項14】
加速度計をさらに有し、
前記OMS創傷治療装置は、
前記加速度計を介して、前記OMS創傷治療装置が静かな物体上において配置されているかどうかを決定するように、ならびに、
前記OMS創傷治療装置が前記静かな物体上において配置されていると決定された場合、前記光場および/もしくは前記磁場が生成可能になることを防止するように、構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項15】
前記OMS創傷治療装置を患者の創傷に装着するための柔軟な消耗品をさらに有し、
創傷と、それぞれ、前記光源および前記コイルとの間の距離は、前記柔軟な消耗品の凹みの状態を変化させることにより調節可能である、請求項1~14のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項16】
前記柔軟な消耗品は、前記OMS創傷治療装置が装着される患者の身体部分の形状に準拠するように構成される、請求項15に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項17】
前記OMS創傷治療装置は、前記光源、前記電気回路、前記コイルおよび前記磁場シールドを有する非消費可能部分を有し、
前記OMS創傷治療装置は、前記消耗品が前記非消費可能部分に装着された際に可聴フィードバックを提供するように構成される、請求項15または16に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項18】
前記柔軟な消耗品は、リング形状を有し、および/または、
前記柔軟な消耗品は、前記光場に対して半透明である、請求項15~17のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項19】
前記柔軟な消耗品は、スプリング形状または円筒形状を有するアタッチメントメカニズムに基づいて創傷に装着可能となるように構成される、請求項15~18のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項20】
前記光源は、660nmの第1波長および/または830nmの第2波長を有する光を放出するように構成される、請求項1~19のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【請求項21】
前記光源は、400nmと430nmとの間の第3波長を有する光を放出するように構成される、請求項1~20のいずれか一項に記載のOMS創傷治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、創傷の光学的刺激と磁気的刺激とが同時に実行されうる、組合せ型の(combined)光および磁気刺激OMS創傷治療装置に関し、すなわち、COMS創傷治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気刺激
人体は、様々な生理学的機能のために電気および磁気信号を使用する。胚発生、神経活動、細胞の分極化、腺分泌物、筋収縮、再生、および創傷の治癒は、すべての生体内において電磁気成分を有する。近年において、組織修復および創傷治癒は、電気的および磁気的刺激の有益な使用のための最も力強く成長する証拠の主要部を有する医療領域である。その伝達メカニズムの核心において、組織層および細胞膜に跨ってイオン電流の流れを通じて電界が生成される。すべての電流は、磁場を誘発し、かつ、逆もまた真である。
【0003】
表皮層は、主に、分極化した上皮細胞およびケラチノサイトから構成される。Na+チャネルの大部分は、頂端膜において配置され、K+チャネルおよびNa+/K+アデノシントリホスファターゼの大部分は、側底膜においてポンピングする。このイオンチャネルの分布は、頂端側から基底側への経表皮イオン流をもたらし、これにより、表皮細胞の間の細胞間隙に戻る。このイオン流は、経表皮電位(TransEpidermal Potential;TEP)と呼称される、表皮に跨る電圧勾配を生成する。ミトコンドリア呼吸を通じて提供される、細胞エネルギ源ATPの約半分は、細胞膜に跨る電位差(70mVの膜電位)または細胞層に跨る電位差(30~100mVの経上皮電位)を蓄積するために、当該イオン濃度勾配を生成するべく、使用される。
【0004】
健康な真皮層において、TEPは、傍細胞経路を通じた表皮細胞の間のイオン束の抵抗値に比例し、通常は、15~60mVである。密な接合抵抗値が誘発される、または、皮膚の完全性が皮膚病変において失われた、ケースにおいて、イオン流は、低い抵抗値の経路を辿り、これにより、横方向の電界勾配を生成する。電界は、創傷微細環境内において細胞によって検知され、内皮細胞およびケラチノサイトの増殖および移動などの生物学的応答を開始し、これにより、再上皮化の改善と、したがって、創傷治癒進捗の支援と、をもたらす。この負傷の電流は、再生における複雑な生物学的メカニズムの駆動要因と見なすことができる。表皮層が回復されるや否や、表面電位は降下し、TEPが再確立される。
【0005】
負傷した組織の治癒は、電流の低減または不存在が周囲組織内において細胞によって検知された場合、制止されるか、または、不完全なものとなる。虚血状態において、血管供給の低減は、細胞ATP生成を制限し、したがって、十分なTEPを維持するための能力を制限する。この結果、負傷の電流の不存在は、病変を確立する可能性があり、組織再生を再誘発するための創傷エッジにおける細胞用の電気信号が失われる。したがって、自然な負傷の電流を装うことは、慢性的な創傷における創傷治癒を誘発するための、および/または、これを促進するための、有望な論理的根拠となる。そのアクションのメカニズムによる磁気刺激の狙いは、生物学的ターゲットを一時的にのみ刺激し、これにより、持続する効果を実現する、という点にある。
【0006】
静的磁場は、運動する電荷にのみ、力を作用させる一方で、時変磁場は、休止する電荷キャリアにも、同様に力を作用させる。磁場は、組織を貫通し、これにより、生物内における様々な生物学的応答をもたらす。神経活動または圧電メカニズムによって生成されるのに伴って、筋肉、関節、骨、腱、または振動するタンパク質構造の運動によって生成される、交流電流は、パルス化された特性の磁場を生成する。これらの磁場の時変特性は、生体内において、静的磁場との比較において、格段に微妙である。体組織は、外部ソースからの電気的および磁気的刺激を検知することが可能であり、これに応答することができる。外部刺激の周波数および振幅は、生物学的および生理学的応答の結果および程度を決定するべく、極めて重要である。身体内における電流の誘発は、対象のエリアを時変磁場に曝露させることにより、誘導結合を通じて実現することができる。
【0007】
光刺激
フォトバイオモジュレーションまたは光刺激は、光による照射の際の生物学的応答を表す現象である。光は、生物学的システム内の発色団によって吸収される。光変調プロパティは、光活性ポルフィリン、ヘモグロビン、メラニン、フラボタンパク質、NADHデヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フラビン、レチノール、RNAおよびDNA、ホスファチジルイノシトール、ならびにアデノシン3リン酸の間において見出される。発色団の光受容能力は、電磁スペクトルの特定の範囲に対する曝露の際に電子的励起の能力を有する分子サブ構造から生じる。電子的に励起可能なプロパティは、共役パイ電子システム、金属錯体、およびFe-Sクラスタに帰するが、これらは、いずれも、EMスペクトル内の特定の帯域の吸収の際に共鳴アイソフォームを形成することができる。光吸収の際の電子的励起の変化は、生物学的応答が分子レベル上においてトリガされる主要なメカニズムである。タンパク質サブ構造内において金属中心の酸化または還元の際に見出される電子的遷移は、コンフォーメーション変化の発生を許容する。触媒化学反応のチェーンに沿った活性中心におけるこれらの相遷移のトリガは、基質-生成物変換を促進することが可能であり、酵素の全体的な運動学的回転率を改善する。生細胞内の酵素の様々な関連する関与を考慮することにより、酵素活動を有する光受容性分子構造による光の吸収に合焦するための論理的根拠が生成される。
【0008】
「光ウィンドウ」は、生物学的光受容体と相互作用する波長の相対的に狭い範囲として定義される。身体内の水は、1100nm超の波長を大規模に吸収する。600nm未満の波長は、主には、オキシヘモグロビンおよびメラニンによって吸収される。したがって、光照明における組織貫通は、600~1000nmにおいて最大化される。低エネルギの光放出ソースを使用した遠赤~近赤外スペクトル範囲(630~1000nm)内の照射は、特に、細胞培養および動物モデルにおいて生体変調性を有すると報告されている。このスペクトル範囲は、生物学的刺激のための光ウィンドウを表す。
【0009】
シトクロムCオキシダーゼ(Cytochrome C oxidase;COX)は、近赤外分光法によって生体内検出可能である、電磁スペクトルの遠赤~近赤外範囲内における、主要な光受容体として識別される。COXは、ミトコンドリア呼吸チェーン内の酸素の分裂の責任を担う、触媒活動を伴う、内側ミトコンドリア膜内の一体的な膜タンパク質である。ヘムタンパク質として、COXは、2つの鉄(HemeAおよびHemeB)と、2つの銅中心(CuAおよびCuB)と、をその活性部位において含む。酵素の異なるレドックス状態は、613.5~623.5nm、667.5~683.7nm、750.7~772.3nm、および812.5~846.0nmにおける最大吸収の4つの波長範囲と相関し、光刺激用の主要な光受容体として提案される。
【0010】
組合せ型の光および磁気刺激
2つの治療モードは、電磁スペクトルの特定の周波数範囲の利用に基づく。その電磁特性における類似性にもかかわらず、これらのエンティティは、いずれも、生組織と相互作用した際に、その物理的特性およびアクションのモードにおいて大きく異なる。磁気刺激(Magnetic Stimulation;MS)は、創傷の正常な電気生理学的プロパティを再確立するべく、創傷環境における電流の誘発を可能にする一方で、光刺激(Optical Stimulation;OS)は、創傷ベッド内における細胞再生能力を増大させるべく、呼吸チェーン内の酵素の活性中心における電子移動速度をターゲットとする。それぞれの介入(OSおよびMS)ならびにその個々のターゲット(創傷ベッドまたは創傷環境)は、創傷治癒の複雑なプロセスをサポートするべく、単独で、その関連性を有する。2つの治療モードおよび基礎をなす相互作用の異なるメカニズムは、生理学的な相乗効果を生成するべく、互いに補完するものと考えられ、したがって、両方が、医療装置内において実装される。これは、病理学的に分散した人間組織の慢性化にリンクされることから、実際に、他の臨床前モデルにおいて、光および磁気刺激の単一のまたは組み合わせられた適用に由来する効果を弁別するべく十分に合理的に機能することになるものは、存在しない。組合せ型の光および磁気刺激は、なんらかの医療手順の標準を置換するものではないが、患者の多様な医療ニーズとの関係において総合的な治療方式を実現するのに必要とされる、更なる範囲の介入的対策をカバーする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の1つは、創傷治癒のための、非侵襲的なかつ非毒性の治療方式を提供する、改善された装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明については、独立請求項において記述される。本発明の好適な実施形態については、従属請求項において概説される。
【0013】
本開示の第1の態様によれば、本発明者らは、OMS創傷治療のための光場を生成するように構成された光源と、光場を生成するために光源を駆動するべく光源に結合された電気回路と、OMS創傷治療のための磁場を生成するように構成されたコイルと、一方におけるコイルと、他方における光源および電気回路と、の間において配置された磁場シールドと、を有する、光および磁気刺激OMS創傷治療装置(すなわち、COMS創傷治療装置)について記述し、この場合、磁場シールドは、コイルによって生成される磁場から電気回路および光源を遮蔽するように構成される。
【0014】
装置は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によれば、患者の創傷エリアに局所的に適用される磁気刺激と光子放出との技術を組み合わせることができる。
【0015】
一方におけるコイルと、他方における光源および電気回路と、の間において磁場シールドを提供することにより、磁場分布の均一化を許容することができる。これは、例えば、異なる局所化および/または通知の場合などのように、治療用途において磁場の均一化を狙う際には、特に重要となりうる。これにより、患者の創傷に曝露される(治療)磁場の相対的に正確な制御を許容することができる。
【0016】
磁気刺激と光子放出技術とを組み合わせる際には、コンパクトなOMS創傷治療装置を提供するべく、光源(これは、例えば、1つまたは複数のLEDでもよい)およびコイルに近接して光場を生成するために光源を駆動するべく光源に結合された電気回路を提供することが必要となりうる。これにより、磁場は、完成した電気回路を妨害しうる渦電流を電気回路(これは、例えば、印刷回路基板でもよい)上において誘発しうる。
【0017】
本開示の全体を通じて使用される、組合せ型の光および磁気刺激創傷治療装置に対する任意の参照は、同時に生成可能である光および磁気刺激/治療場を参照しうることに留意されたい。
【0018】
ただし、本明細書において記述される装置のいくつかの例示用の実装形態による磁場シールドは、電気回路に対する磁場の影響を低減しつつ、OMS創傷治療装置のコンパクトな設計を許容する。同時に、以上において概説されるように、磁場シールドは、例えば、さらに詳細に以下において概説されるように、コイルから最大で40mmの、または、場合によっては、コイルからもっと離れた40mm超の、距離において、本明細書において記述される装置のいくつかの例示用の実装形態に従って、均一な磁場を提供することをさらに許容することができる。コイルから特定の距離まで生成される磁場強度は、磁場シールドを使用することにより、磁場シールドが使用されない装置との比較において、さらに増大させることができる。
【0019】
具体的には、磁場強度を増大させ、装置が相対的にコンパクトな方式によって準備されることを許容することにより、磁場シールドは、同時に、特に、装置が相対的に軽量になり、エネルギ消費量が減少し、装置が使用される際に生成される加熱が減少しうる、ことから、装置を相対的に効率的なものにすることができる。装置のコンパクトで携帯型の設計は、創傷治療の容易な適用および効率性の保証をさらに支援することができる。
【0020】
いくつかの例示用の実装形態において、磁場シールドは、(例えば、0.1と5mmとの間程度に薄い)薄いシートでもよい。これに加えて、またはこの代わりに、磁場シールドは、電気回路および光源をコイルによって生成された磁場から遮蔽するのに特に適しうるミューメタル(例えば、ニッケル-鉄ソフト強磁性合金)から製造されることができる。
【0021】
コイルは、光源を駆動するべく使用されるものと同一の電気回路によって駆動されうることに留意されたい。これに加えて、またはこの代わりに、コイルは、(また)異なる電気回路によって駆動することもできる。光源とコイルとを駆動するべく、同一の電気回路が使用される場合、磁場シールドは、いくつかの例においては、磁場シールドを通じてコイルのワイヤをガイドするための開口部を有する。
【0022】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、減衰した磁場に基づいて、電気回路がその内部にまたはその上部に配置されるOMS創傷治療装置の層内において渦電流を誘発するべく、コイルおよび磁場シールドを使用することにより、電気回路および光源が配置される磁場シールドの一側部において、減衰した磁場を生成するように構成される。これは、渦電流が、電気回路(および、コイルが配置される磁場シールドの側とは反対の磁場シールドの側の他の電気コンポーネント)に対する治療磁場の影響をさらに低減するように、以上において参照されるOMS創傷治療用の(治療)磁場とは逆に偏極された、更なる磁場を生成しうることから、特に有利でありうる。これによる磁場の減衰は、コイル自体が配置される磁場シールドの側においてコイルを介して生成される磁場との比較において、磁場が、光源および電気回路が配置される側において減衰することを意味する。
【0023】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、磁場シールドは、(自由空間の透磁率μ0を単位として計測された)5000超、好ましくは、10000超、さらに好ましくは、20000超、および、さらに好ましくは、50000超、の相対透磁率を有する材料を有する。磁場シールドは、これにより、例えば、ミューメタルシールドから製造されてもよく、または、これを有してもよい。当該大きな相対透磁率を有する材料を提供することにより、コイルによって生成される磁場から電気回路および光源を効率的に遮蔽することを許容することができる。さらには、これにより、当該大きな相対透磁率を有する材料を使用することにより、コイルから特定の距離(例えば、最大で40mm以上)まで、均一な磁場を提供することができる。
【0024】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、磁場シールドは、光場が、患者の創傷を照射するべく貫通しうる、1つまたは複数の磁場シールド開口部を有する。これにより、光源のコンポーネント(例えば、1つまたは複数のLED)は、特に、光場に対する患者の創傷のさらに均一な曝露を目的として、光場が磁場シールド(例えば、その層)を効率的に貫通しうるように、その場所が、基本的に1つまたは複数の磁場シールド開口部に対応するように、OMS創傷治療装置内において配置することができる。
【0025】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、磁場シールドは、磁場が、磁場シールドのエッジまたはコーナ領域を介して電気回路および光源を貫通することを防止するように構成された1つまたは複数の側壁を有する。これは、(治療)磁場が、患者の創傷が曝露される相対的に均一で相対的に強力な(治療)磁場を提供するようにさらに閉じ込められうる限りにおいて、特に有利でありうる。同時に、電気回路に対する治療磁場の影響を最小化するべく、電気回路および光源が配置される磁場シールドの側において生成される渦電流を相対的に良好に制御することができる。
【0026】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、パルス化変調磁場を生成するためにコイルを駆動するべくブリッジコイルドライバに結合されたコイル電圧供給源を有する。これにより、例えば、時間に伴って台形形状を有するパルスにより、均一な磁場を生成することができる。
【0027】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、ブリッジコイルドライバは、電流が、(例えば、台形形状を有する)パルス化変調磁場のパルスの降下エッジの間においてコイル電圧供給源に流れ戻ることを防止するように構成された第1トランジスタを有する。いくつかの例において、ブリッジコイルドライバは、第2トランジスタを有する線形電流レギュレータを有し、この場合、第2トランジスタは、第1トランジスタと結合され、この場合、ブリッジコイルドライバは、電流が、第1トランジスタを介して、パルスの降下エッジの間において、コイル電圧供給源に流れ戻ることを防止されることに基づいて、パルスの降下エッジの間において第2トランジスタ上に上昇電圧を誘発するように構成される。これは、コイル内において保存されるエネルギの迅速な減衰をもたらすことができ、これは、磁場が、以上において概説されるように、同時に、コイルから特定の距離まで均一である状態において、パルス化変調磁場の定義されたパルスを提供しうるように、有利でありうる。これにより、患者の創傷が曝露される(治療)磁場を相対的に正確に制御することを許容することができる。
【0028】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、ブリッジコイルドライバは、第1トランジスタおよび第2トランジスタと結合されたツェナーダイオードをさらに有し、この場合、ツェナーダイオードは、第1トランジスタおよび第2トランジスタが、ブリッジコイルドライバのスイッチオフの間において過電圧に起因して損傷することを防止するように構成される。当該過電圧は、具体的には、ブリッジコイルドライバのロー側ドライバのスイッチオフの際に発生する。したがって、ツェナーダイオードは、具体的には、患者の創傷が曝露される(治療)磁場を制御する精度の向上のために、コイル内において保存されるエネルギの迅速な減衰を許容するように、以上において概説されるトランジスタの使用を可能にすることができる。
【0029】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、コイル電圧供給源の出力電圧を調節するべく、コイル電圧供給源に結合されたコイル供給電圧制御フィルタおよびバックコンバータをさらに有する。低域通過フィルタリングされうる、パルス幅変調信号は、いくつかの例において、0.7V~3.2Vである、コイル供給源の出力電圧の調節を許容しうるバックコンバータのフィードバックネットワーク内に供給されることができる。これにより、コイル供給電圧の増大を許容してもよく、これは、いくつかの例において、例えば、台形信号の高速上昇スロープにおいて誘導コイルの大きなdi/dt(すなわち、時間に伴う電流の増大)に到達するべく、必要とされうる。いくつかの例において、スロープの後に、電圧は、コイルドライバの効率を増大させるべく、低減させることができる。
【0030】
いくつかの例において、コイル供給電圧制御PWMフィルタは、例えば、0.7V~3.2Vなどの、範囲内のコイル供給源/バックコンバータの出力電圧を直接的に制御し、次いで、これが、フルブリッジコイルドライバに電力供給することができる。
【0031】
フルブリッジコイルドライバは、過剰なエネルギを熱に変換しうる可変抵抗器として機能することにより、フルブリッジコイルドライバの相対的にロー側において実装された線形電流レギュレータにより、コイルを通じた電流を制御することができる。したがって、フルブリッジコイルドライバ上における相対的に高い電圧は、線形電流レギュレータ内における相対的に大きなエネルギ損失を意味しうる。
【0032】
コイル内の相対的に迅速な電流変化(相対的に大きなdi/dt)は、これらの電流変化を実現しうるように、コイルに印加される相対的に大きな電圧を必要としうる。したがって、低速の電流変化または電流変化の不存在の際のエネルギ消費を最小化するべく、いくつかの例において、コイル供給電圧制御PWMフィルタを介して、フルブリッジコイルドライバの供給電圧を適切なレベルに低減することができる。
【0033】
以上の内容により、患者の創傷が曝露される(治療)磁場の制御の精度を増大させるように、パルス幅磁場信号の上昇スロープの正確な定義を許容することができる。
【0034】
以上において概説される、OMS創傷治療装置の例示用の実装形態は、特に、創傷の磁場曝露が相対的に正確に制御されうることから、(治療)磁場の改善された制御のためのパルスの迅速な増大および減少の提供を許容することができる。
【0035】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、光源は、複数のLEDを有し、この場合、LEDが配置されるOMS創傷治療装置の層は、複数のセグメントに分割され、この場合、セグメントのそれぞれは、複数のLEDの1つまたは複数を有する。LEDが配置される層装置は、例えば、8つのセグメントに分割することができる。層を複数のセグメントに分割することにより、一方においてLEDからの熱を拡散し、他方において層が磁場からの更なるシールドとして機能することを結果的にもたらしうる。
【0036】
これにより、磁場は、相対的に内側の層上のGNDプレーンの保護を支援しうる反対の磁場をLEDヒートシンク内において誘発することができる。ヒートシンクは、保護を最適化するべく可能な限り大きな状態において維持することができる。これに加えて、またはこの代わりに、GNDプレーンは、残留磁場の影響をさらに分割するべく、(中間において接続されうる)2つの部分に分割することもできる。
【0037】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、コイルは、コイルを通じた光場の貫通を許容するべく、LEDの個々の場所に対応する場所において開口部を有するように巻回される。これにより、有利には、場の乱れの防止と、患者の創傷に向かうコイルを通じた光場の貫通効率の低減の回避と、を許容することができる。コイルが開口部を有するように巻回される形状は、治療光場がコイルを貫通することを許容しつつ、特に、治療距離および/またはエリア内における(治療)磁場の均一化の更なる最適化を許容する。
【0038】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、コイルは、実質的に環状の形状を有するように巻回され、この場合、開口部は、第1ループを有するコイルの第1半径方向場所と第2ループを有するコイルの第2半径方向場所との間において提供されるギャップ領域において配置される。これにより、(ループを有する)異なるコイル部分は、いくつかの例において、さらに後述するように、コイルの単一の方位角位置においてのみ、接続することができる。LEDの個々の場所に対応する場所において開口部を有するように巻回されるコイルとの関係において以上において概説されるように、ギャップの形状は、治療光場がコイルを貫通することを許容しつつ、(治療)磁場の均一化の更なる最適化を許容する。
【0039】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、表面がOMS創傷治療装置までの予め定義された距離内にあるかどうかを決定するように構成された距離センサをさらに有し、この場合、OMS創傷治療装置は、表面が、OMS創傷治療装置、ならびに、特に、光源およびコイル、までの予め定義された距離内にある場合にのみ、光場および磁場の1つまたは両方を生成するように構成される。これは、装置が適切に装着されたおよび/または取り付けられた場合、装置が表面(通常は、患者の皮膚)をターゲットとすることを許容することができる。さらには、距離センサの使用は、特に、磁場の形状および強度が、上述および後述のように、特に、装置の例示用の実装形態を使用して非常に正確に制御されうる、コイルからの創傷の距離に基づいて、創傷が均一な磁場に曝露されることを保証することを支援する。
【0040】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、表面から反射された光の量と、表面の色(この場合、OMS創傷治療装置は、表面の色をOMS創傷治療装置のメモリ内において記憶される創傷の色コードと相関させるように構成されうる)と、表面の表面構造(この場合、OMS創傷治療装置は、表面構造をOMS創傷治療装置のメモリ内において記憶される創傷の例の表面構造と相関させるように構成されうる)と、表面の反射および/または散乱パラメータと、の1つまたは複数を検出するように構成された光学センサをさらに有し、この場合、OMS創傷治療装置は、表面から反射された光の量、表面の色、表面の表面構造、ならびに表面の反射および/もしくは散乱パラメータの1つまたは複数に基づいて、表面が創傷に属するかどうかを決定するように構成され、この場合、OMS創傷治療装置は、表面が創傷に属すると決定された場合にのみ、光場および磁場の1つまたは複数を生成するように構成される。表面から反射された光の検出された量ならびに/または表面の色ならびに/または表面の表面構造ならびに/または表面の反射および/もしくは散乱パラメータの間の比較は、OMS装置自体内において記憶されるデータと比較されてもよく、または、外部メモリ内において記憶されうるデータと内部的もしくは外部的に比較されてもよい。
【0041】
本開示の全体を通じて概説される例の任意の1つもしくは複数において、光学センサは、距離センサ内において有されてもよい、または、これと同一であってもよい、ことに留意されたい。したがって、光学センサの任意のプロパティおよび機能は、同様に、距離センサにも、適用可能であってよく、逆もまた真である。
【0042】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、加速度計をさらに有し、この場合、OMS創傷治療装置は、加速度計を介して、OMS創傷治療装置が、静かな(すなわち、静的な)物体(例えば、治療対象の患者に属してはいないテーブルもしくは他の表面)上において配置されているかどうかを決定するように、ならびに、OMS創傷治療装置が静かな物体上において配置されていると決定された場合、光場および/もしくは磁場が生成可能になることを防止するように、構成される。これにより、特に、装置が電池駆動される際に、装置の寿命を改善することができる。
【0043】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、OMS創傷治療装置を患者の創傷に装着するための柔軟な消耗品をさらに有し、この場合、創傷と、それぞれ、光源およびコイルとの間の距離は、柔軟な消耗品の凹みの状態を変化させることにより調節可能である。理解されるように、創傷と光源との間の距離と、創傷とコイルとの間の距離と、は、同時に変更されてもよく、その理由は、コイルおよび光源は、いずれも、装置の非消費可能な部分内において一緒に固定されるからである。
【0044】
これにより、装置は、例えば、ストラップまたは他の固定装置を使用することにより、特定の凹みの状態において患者の身体部分に固定されることができる。柔軟な消耗品を提供することにより、それぞれ、治療対象の創傷までの光源およびコイルの距離の容易な調節が許容され、これにより、特に、磁場が正確に制御されうる場所(均一な磁場、磁場の強度)における創傷の磁場に対する曝露を許容することができる。同様に、非常に正確な方式により、創傷の光場曝露を変化させることもできる。
【0045】
いくつかの例において、柔軟な消耗品は、OMS創傷治療装置が装着される患者の身体部分の形状に準拠するように構成される。これにより、特に、創傷が治療される患者の身体部分の特定の形状とは無関係に、磁場が正確に制御されうる場所(均一な磁場、磁場の強度)における磁場に対する創傷の曝露をさらに改善することができる。
【0046】
いくつかの例において、OMS創傷治療装置は、光源、電気回路、コイル、および磁場シールドを有する非消費可能な部分を有し、この場合、OMS創傷治療装置は、消耗品が非消費可能部分に装着された際に可聴フィードバックを提供するように構成される。これにより、非消費可能部分に対する消耗品の正しい装着が保証され、これにより、特に、(特に、それぞれ、コイルおよび光源と創傷との間の距離の観点において)創傷が曝露される磁場および光場の正確な制御を許容する。
【0047】
いくつかの例において、柔軟な消耗品は、実質的にリング形状を有し、および/または、この場合、柔軟な消耗品は、光場に対して半透明である。したがって、消耗品は、磁場および光場に対する創傷の曝露の改善された制御を許容しうるのみならず、消耗品が、光場に曝露可能である創傷に対して悪影響を及ぼすことを防止することを支援する。
【0048】
いくつかの例において、柔軟な消耗品は、圧力が低減されたアタッチメントメカニズムに基づいて、創傷に装着可能となるように構成される。これにより、特に、創傷が曝露される磁場の正確な制御を許容するように、OMS創傷治療装置の患者への容易な固定を保証することができる。これにより、患者の解剖構造に準拠するように圧力が低減されたアタッチメントは、スプリング形状および/または円筒形のフィット形状を有することができる。
【0049】
OMS創傷治療装置のいくつかの例において、光源は、約660nmおよび/または830nmの波長を有する光を放出するように構成される。660nmおよび830nmの波長は、ミトコンドリアシトクロムCオキシダーゼの活性中心(または、活性部分)における電子相転移を有利にトリガすることが見出されており、これは、基質-生成物変換を促進し、酵素の全体的な運動学的回転率を改善する。
【0050】
これに加えて、またはこの代わりに、OMS創傷治療装置のいくつかの例において、光源は、約400nmと430nmとの間の波長を有する光を放出するように構成される。400~430nmの波長は、活性酸素種(ROS)の増大を有利に誘発することが示される。特定の濃度の遊離基は、真核生物内における細胞内信号伝達および遺伝子発現を刺激する能力を有しうる一方で、(特に、400~430nmの波長の)青色光は、バクテリアに対する毒性作用を有することが見出されており、これらは、ROMの影響を格段に受けやすい相対的に低いレベルの抗酸化物質に起因する。
【0051】
具体的には、原核細胞内において、400~430nmの波長は、自然に励起し、これにより、細胞傷害性ROSの生成をもたらしうる、内因性光感作発色団(無鉄ポルフィリンおよびフラビン)を発生させることが示される。真核細胞内において、哺乳類細胞のペルオキシソームおよびミトコンドリア内におけるフラビンの励起により、細胞間ROSの増大を誘発することが示される。有利には、細胞内信号伝達および遺伝子発現に対して刺激効果を有することが見出される酸化に向かって、レドックス電位をシフトさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実施形態によるOMS創傷治療装置の写真様の画像を示す図である。
【
図2】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるOMS創傷治療装置の概略ブロック図である。
【
図4a】磁気刺激信号およびシーケンスの例を示す図である。
【
図4b】磁気刺激信号およびシーケンスの例を示す図である。
【
図5】磁気刺激信号およびシーケンスの例を示す図である。
【
図6a】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の概略図である。
【
図6b】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の概略図である。
【
図7】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の一部分の概略図である。
【
図8】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の概略断面側面図である。
【
図9】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の概略図である。
【
図10】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の一部分の概略図である。
【
図11】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置のコンポーネントの概略ブロック図である。
【
図12】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置のコンポーネントの概略図である。
【
図13a】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による、PCB上部の概略図である。
【
図13b】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による、PCB下部の概略図である。
【
図14a】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルアダプタの概略図である。
【
図14b】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルアダプタの概略図である。
【
図15】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルの概略図である。
【
図16】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による磁場シールドの概略図である。
【
図17】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルによって生成される磁場のシミュレーションを示す図である。
【
図18】磁場対距離のシミュレーションを示す図である。
【
図19】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるスペーサフォイルの概略図である。
【
図20】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるフルブリッジコイルドライバを示す図である。
【
図21】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイル供給電圧制御PWMフィルタを示す図である。
【
図22】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイル制御信号タイミングのグラフである。
【
図23a】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による消耗品の概略図である。
【
図23b】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による消耗品の概略図である。
【
図23c】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による消耗品の概略図である。
【
図23d】本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による消耗品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、同一の参照符号が全体を通じて同一の部分を参照する、以下の添付図面を参照し、例としてのみ、本開示のこれらのおよび他の態様について、さらに説明することとする。
【0054】
図1は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるOMS創傷治療装置(wound therapy device)100の写真様の画像を示す。
【0055】
この例において、OMS創傷治療装置100は、非消費可能(non-consumable)部分102と、消耗品104と、を有し、消耗品104は、この例において、柔軟な消耗品(flexible consumable)である。
【0056】
この例において、OMS創傷治療装置100は、ストラップ106を使用して患者の身体部分(例えば、脚)に固定される。
【0057】
図2は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるOMS創傷治療装置の概略ブロック図を示す。
【0058】
この例において、OMS創傷治療装置は、(
図2において、「ポッド(Pod)」と呼称される)非消耗品102を有する。非消耗品102は、すべての電子回路を収容しうる、装置の部分を意味する。
【0059】
この例において、装置は、USBケーブルと、標準的なUSB充電装置と、を収容しうる充電器230をさらに有する。
【0060】
さらには、この例において、装置は、組合せ型の光および磁気刺激(Combined Optical and Magnetic Stimulation;COMS)治療のための磁場(magnetic field)を生成するように構成されたコイル226をさらに有する。
【0061】
さらには、この例において、装置は、コイルアダプタ228をさらに有する。コイルアダプタ228は、コイル226用の機械的なホルダである。
【0062】
図2に示される例示用の実装形態の装置は、コイル226によって生成された磁場から電子回路を遮蔽する磁場シールド222をさらに有する。この例において、磁場シールド222は、ミューメタル(Mu-metal)シートを有する。
【0063】
この例において、装置は、COMS治療のための光場(optical field)を放出するように構成されたLEDアレイ220をさらに有する。
【0064】
装置は、この例において、すべてのポッド(非消費可能部分)コンポーネントを内蔵および保護しうるハウジング216をさらに有する。これは、さらには、消耗品104およびストラップ106とインターフェイスすることもできる。
【0065】
装置は、この例において、反射された光の強度を検知するように構成され、物体存在検出器として使用されうる、フォトセンサ212をさらに有する。これにより、フォトセンサ212は、本明細書の全体を通じて記述されるように、距離センサおよび/もしくは光学センサに含まれてもよく、または、これと一体的でもよい。
【0066】
この例において、装置は、非消費可能部分102の位置を計測するように構成された位置センサ214をさらに有する。位置センサは、3軸加速度センサでもよい。これは、装置が静止状態にある際のモーションを伴わない状態(例えば、テーブル上に位置する)とは対照的に、ユーザが装置を着用する際に発生すると予想されるモーションを検出するべく、使用することができる。治療の起動は、装置が静止状態にある(ユーザによって着用されない)間は、禁止することができる。
【0067】
さらには、この例において、装置は、ユーザインターフェイス202をさらに有する。ユーザインターフェイス202は、ボタン204(これは、オン/オフボタンでもよい)と、ユーザに(例えば、装置のオン/オフ/アイドル状態の)視覚状態フィードバックを提供するべく使用されうるヒューマンマシンインターフェイス(Human Machine Interface;HMI)LED206と、ユーザに(例えば、装置のオン/オフ/アイドル状態の)音響状態フィードバックを提供するべく使用されうるビーパ208と、を有する。
【0068】
装置は、この例において、制御ユニット210、電力管理ユニット218、および電池管理ユニット224をさらに有し、これらについては、さらに後述することとする。
【0069】
以上において概説されるように、装置は、この例において、消耗品104を有し、これは、装置の非消費可能部分102から創傷を保護しうる、使い捨ての、消毒された部分でもよい。
【0070】
消耗品104は、消耗品104が創傷から除去された後に、廃棄されうる、消費可能パッケージング内において提供されることができる。
【0071】
ストラップ106は、非消費可能部分102を患者の身体上の創傷との関係において固定するべく使用することができる。
【0072】
いくつかの例示用の実装形態において、装置は、USB-Cポートを介して充電することができる。
【0073】
ハウジング216は、(限定を伴うことなしに、IP65などの)防水および防塵ハウジングでもよい。
【0074】
装置は、いくつかの例において、(本明細書において規定されるいくつかの治療シーケンスが付与された場合に)充電を伴うことなしに10回超の治療を許容するように、2つの電池(例えば、2×2100mAh/LiMnoO2)を保持することができる。
【0075】
以上において概説されるように、装置は、相対的にコンパクトな方式により、提供されることができる。装置は、いくつかの例において、約300グラムの重量を有しうる一方、外側寸法は、例えば、110×110×35mm(装置のみ)、または、120×110×60mm(取り付けられた消耗品を含む)でもよい。
【0076】
消耗品は、装置が再使用可能となることを許容するべく、消毒された消耗品に関係しうる。ストラップは、いくつかの例において、(患者ごとの)使い捨てを目的として提供することができる。
【0077】
本明細書において記述される装置を使用することにより、創傷を治療するための、改善された光場および磁場放射プロパティを有する単純な設計を提供することができる。したがって、装置は、自宅において、または医療施設において、使用することができる。装置の単純な使用法は、患者の創傷治療が、医療専門家により、または、いくつかの例において、患者自身により、実行されることを許容する。
【0078】
いくつかの例において、装置は、最大で50cm2のサイズを有する創傷を治療するべく、使用することができる。これにより、治療対象の創傷の直径は、最大で8cmの大きさでもよい。理解されるように、これらの寸法は、変更することができる。
【0079】
ハウジングは、いくつかの例において、(ボタン204、状態ライト、およびグリッパなどの)統合されたヒューマンマシンインターフェイス部分を有するプラスチックの2つのコンポーネントからなるハウジングから構成することができる。
【0080】
いくつかの例において、ソフトな封止リングにより、ハウジングの上部および下部部分の1つまたは複数上において封止を提供することができる。
【0081】
(フォトセンサ212と一体型でもよい)光センサは、治療が開始または再開されうるように、装置が患者上において配置されるかどうかが決定されうる、治療光の反射を検出することができる。
【0082】
図3aおよび
図3bは、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による、この例においては、複数のLEDを有する、光源の相対放射強度(単位:任意(Arbitrary Units;A.U.))対波長(単位:nm)を示す。
【0083】
図3aおよびbの相対スペクトル放出からわかるように、この例において、LEDは、それぞれ、約660nmおよび830nmの中心波長を有する。この例において、計測値は、摂氏25度の温度において取得される。
【0084】
この例において、装置は、計測時点において、少なくとも1.6mTのピーク磁束密度を提供する。
【0085】
この例において、装置は、3つのステップにおいて、計測時点において、0.4mT(±10%)、0.8mT(±10%)、1.2mT(±10%)、および1.6mT(±10%)、というピーク磁束密度を適用するように構成される。
【0086】
この例において、装置は、2分(±1秒)ごとに磁場の極性をスイッチングするように構成される。
【0087】
この例において、装置は、最も明るい地点において、治療エリア/距離内において4J/cm2の1つの期間にわたって最大値を適用するように構成される。
【0088】
以上において概説されるように、装置は、この例において、約660nmおよび830nmの、製造者の通常のピーク波長を有するLEDを収容する。
【0089】
この例において、装置は、1kHz(±2%)の周波数によってパルス化された光を適用するように構成される。
【0090】
この例において、装置は、治療エリア/距離内において1~4J/cm2の1つの期間にわたって光場を適用するように構成される。
【0091】
磁場は、この例において、20Hzの反復レートによって誘発される。
【0092】
この例において、装置は、16分(±5秒)の治療持続時間を提供するように構成される。
【0093】
いくつかの例において、装置は、患者の下腿上において使用することができる。
【0094】
いくつかの例において、装置によって創傷部位に供給される光子は、それぞれ、650~670nmおよび820~840nmの波長範囲にあり、この例においては、2つのタイプのLEDを介して、提供される。この例において、光は、熱効果を最小限に低減するべく、(約)1kHzの周波数においてパルス化される。この例において、光場の適用は、この例においては、例えば、標準治療において第2~第3日ごとに、16分間の持続時間にわたって、磁気刺激(MS)治療と同時に実行される。
【0095】
いくつかの例において、8つのLEDが提供されるが、LEDの数は、変更されることができる。LEDは、この例において、パルス化されたモードにおいて動作する。この例において、パルス化されたモードは、交互に変化するパルス波である。これは、1kHzの周波数ならびに350mA(1つまたは複数の660nmLEDの場合)および650mA(1つまたは複数の830nmLEDの場合)のピーク電流における(それぞれ、約660nmおよび830nmによって規定される)2つのLEDタイプの間においてスイッチングする。
【0096】
この例において、複数のLED/複数のLEDタイプの両方のデューティサイクルは、それぞれ、D=0.05とD=0.45との間(5%および45%のパルス幅)である。これは、任意の製造較正を保証するべく、調節可能でもよい。
【0097】
この例において、装置によって組織内において堆積される合計エネルギは、最大で、かつ、概略的には、4.0J/cm2である。
【0098】
スイッチング電子回路は、この例において、両方のストリングが、同一のLED電流レギュレータ(バックコンバータ)によって電力供給され、交互に変化するように動作するように、LED回路のストリングが、決して同時に起動しないことを許容する。NORゲートは、この例において、第1に、マイクロコントローラ側においてデジタル出力を記憶しうると共に、同時の両方のストリングの起動を回避しうる、という、2つの理由から実装される。さらには、これは、MOSFETであるT10、T11、およびT12を駆動するべく、ゲート電圧を増大させることもできる(以下を参照されたい)。この方式は、これらのMOSFETのRDSONを大幅に低減することを許容することができると共に、回路の効率を増大させることができる。したがって、信号は、ソフトウェア更新と共にさえ、同時に稼働しない場合がある。
【0099】
図4a、
図4b、および
図5は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置において使用される磁気刺激信号の例を示す。
【0100】
装置によって生成された磁場は、マイクロおよびマクロ生理学的セクションに沿って電流を誘発するよう設計することができる。したがって、磁場の磁束密度は、時間に伴って変化しうる。時変特性は、台形形状のバーストによって生成することができる。1つのバーストの合計持続時間t
onは、一定でもよく(例えば、5ms)、2つのバーストの間の時間t
offも、
図4aに示されるように、一定でもよい(例えば、45ms)。この例示用の構成は、20個の台形形状のバースト/秒を結果的にもたらす。
【0101】
台形バーストは、3つのフェーズに弁別することができる。第1フェーズは、磁束密度の線形増大によって特徴付けられてもよく(t
rise)、第2フェーズは、一定の磁束密度(t
hold)を有してもよく、第3フェーズにおいて、磁束密度は、時間に伴って線形で減少しうる(t
fall)。この例において、20個の台形バースト/秒がコイルによって放出される。t
holdの持続時間が一定に留まる一方で、t
riseおよびt
fallの持続時間は、この例において、
図4bに示されるように、バーストからバーストに、1秒以内において変化する。それぞれの秒ごとに、t
riseの持続時間は、この例において、100μsにおいて始まり、バーストからバーストまで、100μsずつ、最後のバーストにおいて、2000μsにわたって、上昇する。補完的に、t
fallは、この例において、2000において始まり、バーストからバーストまで、100μsだけ、減少し、これにより、
図4bに示されるように、最後のバーストにおいて、100μsの値に到達する。この構成は、20個の非対称な台形形状のバースト/秒を結果的にもたらす。
【0102】
20個の非対称なパルスは、いくつかの例において、生物学的組織の異質性によって生成されうる、一定ではない、受動型の、誘電特性、相対透磁率、および比導電率について補償するべく、望ましいものである。複雑なメンブレイン表面構造に依存する、アルファ分散メカニズムは、主には、細胞表面イオンの動的な再配置、細胞の形状、向きおよび分布ならびに細胞外マトリックス、ならびに、方向付け可能な双極子および相対的に自由な電荷の利用可能性に由来する。これらの組織プロパティは、周波数に依存した方式により、誘発される電流密度および経路に影響を及ぼしうる。様々な周波数における生物学的組織の誘電特性の変動は、いくつかの例において、例えば、0~300Hzにおいて最も支配的であるサブハーモニックスの相対的に均一な分布を選択する理由であり、これは、triseおよびtfallにおいて非対称な分布を有する台形バーストを適用することにより、実現することができる。
【0103】
上述の例示用の信号構成は、0.4mTの最大磁束密度値により、4分間にわたって適用されうる一方で、磁場の極性は、2分後にスイッチングする。次の4分間において、最大持続密度は、この例において、0.8mTまで上昇し、これにより、再度、2分後に、磁場の極性をスイッチングする。この結果、信号は、この例において、次の4分間において、1.2mTの最大磁束密度により、別の4分間においては、1.6mTの最大磁束密度により、継続する。この場合にも、磁場の極性は、この例において、慣れ効果を防止するべく、2分後にスイッチングする。
図5には、上述のシーケンスが示される。他のシーケンスが可能であることを理解されたい。
【0104】
図6aおよび
図6bは、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の可視要素の概略図を示す。装置は、以上において概説されるように、装置100に対応しうる。
【0105】
図6aにおいて描かれるように、装置600は、この例において、装置600の動作状態を通知するべく、状態LEDシステム602を有する。さらには、この例において、装置600は、装置がオンまたはアイドル状態にある間の装置の温度を通知するべく、状態LED温度インジケータ604をも有する。さらには、この例において、装置600は、装置600の電池状態を通知するべく、状態LED電池606をも有する。
【0106】
図6bに描かれるように、装置600は、この例において、装置600がスイッチオン状態またはオフ状態であるかどうかを通知するべく、オン/オフボタンLED608を有する。さらには、この例において、装置600は、いくつかの例において、個々の治療のための特定のシーケンスが付与された場合、創傷治療セッションの持続時間における現在の時点を通知しうる進捗バーLED610をも有する。さらには、装置600は、この例において、治療LED(図示せず)をも有する。
【0107】
図7は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の一部分の概略図を示す。
【0108】
この例において、装置は、装置を充電するべく、および/もしくは、ソフトウェア更新などの他のサービスを提供するべく、または、例えば、治療のために装置を駆動する駆動シーケンスを提供するなどのように、他のデータを装置に提供するべく、使用されうるUSB-Cインターフェイス702を有する。患者に対する装置の固定を目的として、この例において、ベルクロ(登録商標)テープを提供することができる。
【0109】
図8は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の断面側面図の概略図を示す。
【0110】
この例において、装置は、光ガイド802、1つの電池(または、複数の電池)804、および、この例において、印刷回路基板806の形態を有する、電気回路を有する。さらに、
図8には、コイル226も、示される。
【0111】
図9は、解体された状態における、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の概略図を示す。
【0112】
この例において、装置は、装置の非消費可能部分に消耗品を接続するべく使用されうる消耗品インターフェイスを有する。
【0113】
この例において、電子回路組立体902が、ハウジング下部組立体901とハウジング上部組立体906との間において配置される。この例において、ハウジング上部組立体906内において電子回路組立体902を配置するべく、Oリング904が使用される。
【0114】
図10は、解体された状態における、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置の一部分の概略図を示す。
【0115】
この例において、換気メンブレインが、ハウジング下部部分内において提供される。これは、装置が、負圧を使用して患者の身体部分に装着されるケースにおいて、特に有用でありうる。進捗ライトガイド、ボタンライトガイド、および状態ライトガイドが、この例において、ハウジング上部部分内において配置され、この例においては、ねじを介して固定される。
【0116】
図11は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置のコンポーネントの概略ブロック図を示す。
【0117】
この例において、装置は、マイクロコントローラ、RTC、および温度センサを有する制御ユニット210を有する。
【0118】
装置は、この例において、ユーザインターフェイス(UI)LED、プッシュボタンスイッチ、および、例えば、装置のユーザに提供される可聴フィードバックを目的として使用されるビーパを有するユーザインターフェイス202をさらに有する。
【0119】
装置は、この例において、以上において概説されるように、加速度計1104と、フォトセンサ212と、を有する表面検出ユニット1102をさらに有する。
【0120】
さらには、この例において、装置は、LED電流レギュレータ、(例えば、4つの)660nmのLED220、および、(例えば、4つの)830nmのLED220を有する治療LEDドライバを有する。
【0121】
さらには、この例において、装置は、この例においては、コイル供給源1110(この例において、0.8~2.5Vおよび7Vの仕様を有する)、フルブリッジ電流レギュレータ1108、およびコイル226を有する、コイルドライバ1106を有する。
【0122】
この例において、装置は、電池管理ユニット224を有する。電池管理ユニット224は、この例において、USBコネクタ(これは、この例においては、USB-Cコネクタである)、電池充電器、電池温度センサ、電池、および安全回路を有する。
【0123】
さらには、この例において、装置は、電力管理ユニット218を有し、これは、RTC供給源(この例において、2.2V/3.3V/0.02Vの仕様を有する)、メイン供給源(この例において、4.5Vおよび0.5Aの仕様を有する)、デジタル供給源(この例において、3.3Vおよび0.1Aの仕様を有する)、電池スイッチ、インターステージ供給源(この例において、12Vおよび2Aの仕様を有する)、およびアナログ供給源(この例において、5Vおよび0.1Aの仕様を有する)を有する。
【0124】
図11(A~G)には、制御ユニットのコンポーネント、ユーザインターフェイス、表面検出ユニット、治療LEDドライバおよびコイルドライバと、電池管理ユニット224および電力管理ユニット218と、の結合が示される。
【0125】
安全回路は、この例において、電池を監督および保護するべく、電池と電力管理ブロックとの間に位置する。この例において、電池は、例えば、安全回路が介入しない限り、電池から電力を永久的に受け取るように、ボタン、RTC供給源、メイン供給源、および電池スイッチに対して直接的に電力供給する。RTCおよび加速度計は、いずれも、この例において、RTC供給源によって電力供給され、さらには、永久的にオン状態にある。メイン供給源は、この例において、デジタル供給源、UI-LED、およびビーパに電力供給する。
【0126】
そして、この例において、デジタル供給源は、マイクロコントローラ、温度センサ、UI-LEDの駆動回路、ビーパの駆動回路、およびフォトセンサに電力供給する。
【0127】
電池スイッチは、この例において、治療ハードウェア(治療LEDおよびコイル)に対する電力をターンオンするべく、使用される。これは、インターステージ供給源に直接的に電力供給してもよく、次いで、これが、LED電流レギュレータおよびコイル供給源に電力供給する(電池スイッチを通じた直接的なコイル供給源への電力供給は、組立の選択肢に過ぎない)。これに加えて、フルブリッジ電流レギュレータは、この例において、5Vのアナログ供給源により(および、ブロック図には示されない、コイル供給源により)、電力供給される。
【0128】
図12は、分解された状態における、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による装置のコンポーネントの概略図を示す。
【0129】
この例において、装置は、印刷回路基板組立体806を有し、これは、スペーサフォイル1202、磁場シールド222、ならびに、コイル226およびコイルアダプタ228を有するコイル組立体1204により、後続される。様々なコンポーネントについては、さらに詳細に後述する。
【0130】
図13aおよび
図13bは、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による、それぞれ、PCB上部部分およびPCB下部部分の概略図を示す。
【0131】
図13aに示されるように、PCB上部部分は、この例において、MCU1302と、電池位置1304と、を有する。
【0132】
図13bにおいて示されるように、PCB下部部分は、この例において、光反射計測に基づいて、装置が身体上において配置されるかまたは別の表面上において配置されるかを計測するべく、8つのLED1306(この例において、4つの660nmのLEDおよび4つの830nmのLED)および表面検出センサ1308を有する。
【0133】
下部層は、この例において、一方において、LEDからの熱を拡散させ、他方において、磁場からの更なるシールドとして機能する、8つのセグメントに分割される。コイルによって生成された磁場は、8つのセグメント内において渦電流を誘発することができると共に、これにより、以上において概説されるように、磁場からその背後の接地層を遮蔽することができる。
【0134】
治療コイルからの磁場は、この例において、ミューメタルシールドでありうる、磁場シールドにより、10~20分の1に、減衰する。残留磁場は、この例において、下部層上のセグメント内において渦電流を誘発する。これらの渦電流は、治療磁場とは逆に偏極され、したがって、セグメントの背後の電子回路に対する治療磁場の影響をさらに低減する、磁場を生成する。
【0135】
図14aおよび
図14bは、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルアダプタの概略図を示す。
【0136】
いくつかの例において、コイル226は、コイルアダプタ228に糊付けされる(glued)ことができる。コイルアダプタ228は、コイルおよびコイルを駆動する電子回路(または、電子回路の1つもしくは複数の部分)を隠蔽することができる。
【0137】
コイルアダプタ228は、(例えば、糊インターフェイスに基づいて)コイルを保持することができる。コイルアダプタ228は、(この例においては、4つの変形可能なリブを介して)磁場シールド222に装着することができる。
【0138】
コイルアダプタ228は、(この例においては、スプリングフットを介して)装置の内側における公差の等化を提供することができる。
【0139】
さらには、この例において、コイルアダプタ228は、治療光源(例えば、LED)用の開口部および光センサを有する
【0140】
図15は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイル226の概略図を示す。
【0141】
この例において、コイルは、LEDおよび光センサの個々の場所に対応する場所において開口部1502および1504を有する。コイルのワイヤは、この例において、LEDおよび光センサとの関係における場の乱れを回避するべく、これらのエリアを通じて延在しない。
【0142】
この例において、コイル226は、ループの第1の組226aと、ループの第2の組226bと、を有する。理解されるように、ループの第1の組の代わりに、単一のループが提供されてもよく、および/または、ループの第2組の代わりに、単一のループが提供されてもよい。
【0143】
この例において、コイルは、実質的に環状の形状を有するように巻回され、この場合、開口部は、複数の第1ループを有するコイルの第1半径方向場所と複数の第2ループを有するコイルの第2半径方向場所との間において提供されたギャップ領域1502において配置される。
【0144】
コイルは、この例において、COMS治療の治療磁場を生成するように構成された、絶縁された銅ワイヤ(PU)である。
【0145】
以上において概説されるように、コイルは、それぞれ、(この例においては、中心において)治療LEDおよび光センサ用の開口部1502および1504を有する。
【0146】
形状(geometry)は、この例においては、治療(COMSの光成分)/センサ光がコイルを貫通することを許容しつつ、治療距離/エリア内における均一な磁場生成のために最適化される。
【0147】
いくつかの例示用の実装形態において、コイルは、(例えば、はんだ付けにより)PCBとインターフェイスする。
【0148】
いくつかの例において、コイルは、(いくつかの例において、糊付けを介して)コイルアダプタに装着される。
【0149】
図16は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による磁場シールド222の概略図を示す。
【0150】
この例において、磁場シールドは、LEDの光場が磁場シールドを貫通することを許容するように、LEDの場所に対応する開口部1602を有する。
【0151】
さらには、この例において、磁場シールド222は、光センサからの光が磁場シールド222を貫通することを許容するように、磁場シールド222の中心場所において配置された開口部1606を有する。
【0152】
この例において、磁場シールドは、コイルおよびコイルアダプタを封入する。
【0153】
磁場シールドは、コイルによって生成された磁場から電子回路を効率的に遮蔽するように、大きな(以上において概説されるように、最大で50000以上の)透磁率の材料を提供する。
【0154】
いくつかの例において、磁場シールドは、フラップにより、(例えば、はんだ付けを介して)PCBとインターフェイスする。
【0155】
この例において、磁場シールドは、(この例において、変形リブを介して)コイルアダプタに装着される。
【0156】
磁場シールドは、この例において、スペーサフォイルとさらにインターフェイスする。
【0157】
この例において、磁場シールドは、コイル端部用の開口部1604をさらに有する。
【0158】
厚さは、両方の方向においてPCBとコイルとの間の遮蔽を提供しつつ、LED/センサ光が磁場シールドを貫通することを許容しつつ、最良の磁気信号の実施のために最適化することができる。これは、必要とされる出力を提供しうることにより、電力消費の低減をもたらしうる。
【0159】
図17は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイルによって生成される磁場のシミュレーションを示す。
【0160】
磁場シールドは、この例において、コイルから10mmの距離において計測される。この例において、ミューメタルシールドが提供される。
【0161】
シミュレーション結果を検証するべく、磁場の計測値が示される。新しいシミュレーションのために、電流コイルおよびシールド設計寸法を有する同一のシミュレーションモデルを使用した。磁場振幅は、対象の地点(中心であり、かつ、r=40mmである)において、古いシミュレーション結果にマッチングした。
【0162】
図18は、磁場対距離のシミュレーションを示す。磁場は、ミューメタルシートを有する、および有さないコイルから、10mmの距離において計測される。
【0163】
曲線1は、過渡時点t_1、ミューメタルシールドを有するコイルまで10mmの距離におけるMag_Bについて得られたデータに関係する。
【0164】
曲線2は、過渡時点t_1、ミューメタルシールドを有さないコイルまで10mmの距離におけるMag_Bについて得られたデータに関係する。
【0165】
曲線3は、過渡時点t_2、ミューメタルシールドを有するコイルまで10mmの距離におけるMag_Bについて得られたデータに関係する。
【0166】
曲線4は、過渡時点t_2、ミューメタルシールドを有さないコイルまで10mmの距離におけるMag_Bについて得られたデータに関係する。
【0167】
理解されうるように、磁場の強度は、この例において、ミューメタルシートが使用される際に、磁場シールドが実装されないケースとの比較において、約1.7~2.1の倍率で、増大する。
【0168】
磁界強度の低下は、この例において、コイルが設計される方式に由来しうる。いくつかの例において、コイルの内側および外側部分が存在し、この結果、磁界強度における内側および外側ピークがもたらされる。これらのピークをオーバーレイすることにより、結果的に、磁界強度分布を得ることができる。内側および外側コイルの間のギャップの中心は、この例において、25mmにおいて位置する。
【0169】
1mTのすぐ上方の曲線を比較することにより、この例において、磁界強度は、ミューメタルシールドを有さないものよりも、ミューメタルを有するもののほうが、わずかに少なく低下することがわかる。ただし、効果は、非常に小さく、当然のことながら、曲線を最大の大きさと比較した際に、ミューメタルシールドを有するものは、ミューメタルシールドを有さないものよりも、格段に大きな低下を有する。
【0170】
図19は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるスペーサフォイルの概略図を示す。
【0171】
スペーサフォイルは、この例において、接着層を提供する。ただし、接着性は必要とされないことから、ライナを除去する必要はない。
【0172】
スペーサフォイルは、PCBおよび磁場シールドとインターフェイスする。スペーサフォイルは、PCBと磁場シールドとの間の空間を充填する。これは、治療LED、光センサ、および電池ホルダ足部(
図19には、示されない)用の開口部をさらに有する。これにより、PCBと遮蔽(Shielding、シールド)との間において必要でありうる電気的絶縁を実現することができる。さらには、(装置の落下などのための)機械的固定を保証することもできる。さらには、がたつきを防止することもでき、これにより、すべての部分が定位置において適切に固定されることを保証することができる。
【0173】
図20は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるフルブリッジコイルドライバ1106のレイアウトを示し、このフルブリッジコイルドライバ1106は、本明細書の全体を通じて概説される装置内において使用されることができる。
【0174】
磁場パルスの台形形状は、この例において、1MHzのPWM信号(ucp_COILx_LEN)および低域通過フィルタにより、生成される。この例において、MOSFETであるT7、T8、T9を起動することにより(または、これらのいずれをも起動しないことにより)(図示せず)、4つの異なる振幅が生成される。ハードウェアにおいてスイッチングすることにより、4の倍数だけ、PWM信号の垂直方向分解能を増大させることができ、これは、10ステップの代わりに、40ステップが実現可能でありうることを意味する。(例えば、500kHzまで)PWM周波数を低減することにより、更なる改善に到達することができる。これは、この場合にも、出力信号の垂直方向分解能を倍増することになるであろう。これは、低域通過フィルタ値のわずかな調節を必要としうる。フィルタの後の出力は、この例において、台形形状の信号であり(COILx_LEN)、これは、
図20に示されるフルブリッジコイルドライバに供給される。
【0175】
それぞれ、U5、T5、R29と、U6、T6、R30と、は、この例において、台形信号COILx_LENによって制御される線形電流レギュレータを実装する。磁場の極性は、それぞれ、T1/T2のuco_COILx_HENにより、選択される。R27、C39は、OPAMPの帯域幅を有用なレベルに制限し、オーバーシュートおよび発振を回避する。R21は、OPAMPから引き出される電流を制限し、OPAMPの性能を低減しうる過負荷を回避する。ネットワークR41、C72は、誘導負荷によって生成されるコイル電流のオーバーシュートを低減するべく、チューニング済みのスナバとして機能する。C73は、高周波数信号用の出力を短絡することにより、EMC放射を低減する。フルブリッジの動作は、uca_COILx_FBおよびネットワークC35、R17、R15により、監視することができる。
【0176】
フルブリッジドライバは、MOSFETであるT22およびT23を有する。これらのMOSFETは、降下エッジの間において供給源に戻る電流フローを回避する。これは、(通常は、回避される)T5/T6上における上昇電圧をもたらし、これは、コイル内の保存されているエネルギの迅速な減衰のために必要とされる。D43は、ロー側ドライバの即座のスイッチオフのケースにおいて過電圧によってもたらされるMOSFETの破壊を回避する。
【0177】
コイルドライバ(Coil Driver)は、この例において、PCBの上部層上に配置され、これにより、PCBとコイルとの間の磁場シールドを有するコイルとは対向しない。
【0178】
減衰率は、ロー側の電流レギュレータにより、制御することができる。コイル電圧がコイルドライバ供給電圧によって制限されることを保証するべく、ハイ側は、ダイオードが反対方向に対向する状態において、2つのトランジスタ(T1&T23/T2&T22)を有することができる。これにより、回路がコイルをコイルドライバ供給源から接続解除することを許容することができ、したがって、コイル電圧がコイル供給電圧よりも一時的に高くなること(これは、電力消費を減少させるべく低減されていてもよい)を許容することもでき、コイル電流がコイル供給源に流れ戻ることを禁止することを許容することもできる。
【0179】
図21は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイル供給電圧制御PWMフィルタ2102を示す。
【0180】
この例において、フィルタの出力CS_VSETは、コイル供給バックコンバータ(Coil Supply Buck Converter)の電圧フィードバックピンに接続し、0.7V~3.2Vの範囲のコイル供給出力電圧の変動を許容する。
【0181】
低域通過フィルタリング済みのPWM信号は、R7により、バックコンバータのフィードバックネットワーク(R6、R7、R8)に供給され、0.7V~3.2Vのコイル供給源の出力電圧の調節を許容する。この特徴は、供給電圧を増大させるための機会を提供し、これは、台形信号の高速上昇スロープにおいて誘導コイルの大きなdi/dtに到達するために必要とされる。スロープの後に、電圧は、コイルドライバの効率を増大させるべく、低減することができる。
【0182】
この例において、コイル供給電圧制御PWMフィルタは、フルブリッジコイルドライバの供給電圧を制御する。相対的に高速の電流変化レートは、コイルに適用される相対的に大きな電圧を必要としうる(di/dt=U/L)。コイルを通じた電流が変更された後には、電流の流れを維持するべく、当初必要とされた電圧の一部分のみが必要とされうる(UL=IL*RL)。電流は、線形電流レギュレータによって維持されうることから、コイルの代わりに、多くの電力がここで浪費され、これにより、電池を相対的に迅速に枯渇させうる。これを解決するべく、この例において、高電流変化率および電池電力の効率的使用の両方を充足するべく、フルブリッジコイルドライバの供給電圧を調節することができる。
【0183】
図22は、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態によるコイル制御信号タイミングのグラフを示す。
図20および21において描かれる要素を使用することにより、
図22において観察されうるように、非常に良好な効率を有するパルスの迅速な増大および減少を提供することができる。
【0184】
以上において概説されるように、装置は、フォト/光センサを有することができる。装置は、適切に装着された/取り付けられた場合、表面(通常は、患者の皮膚)をターゲットとすることができる。表面は、照明LEDによって放出される光を反射しうる。反射された光は、いくつかの例において、装置の中心における患者に向かって配置された光センサにより、計測することができる。センサは、表面を検出するように構成され、光は、表面が存在する場合にのみ、起動することができる。
【0185】
反射された光の量は、動作および周囲の状況および状態が付与された場合、高度に可変でありえ、表面までの距離、構造、色、および表面の反射/散乱パラメータに依存しうる。
【0186】
光センサは、いくつかの例において、5つの異なるチャネル(赤色、緑色、青色、白色、および赤外線)を提供することができると共に、外部光補償の機会を提供することができる。いくつかの例において、光センサは、I2Cインターフェイスを有するデジタルセンサである。
【0187】
さらには、以上において概説されるように、装置は、加速度計をさらに有することができる。加速度計は、装置が、テーブルのようなフラットな表面上において配置されたときを検出するように構成することができる。このケースにおいて、装置の起動を防止することができる。
【0188】
装置は、COMS治療の際にコイル電流を調節するコイル電流調節をさらに有することができる。電圧は、コイル上において調節することができる。
【0189】
磁気刺激と光アニメーション(放出)との技術を組み合わせた際に、LEDを有するPCBは、コイルに近接する必要がありうるが、このケースにおいて、磁場が、PCB上において渦電流を誘発する場合があり、これは、完成した電子回路を妨害しうる。
【0190】
本明細書において記述される装置は、磁気刺激(例えば、3つのステップを有する、20Hzおよび0.4~1.6mTを有する、例えば、(準)台形パルス)と光子放出治療(いくつかの例において、660および830nmの波長を有する)とを組み合わせる。
【0191】
薄い(例えば、0.1~5mmの)シート(すなわち、シールド)をPCBとコイルとの間に配置することができる。好ましくは、ミューメタル(例えば、ニッケル-鉄ソフト強磁性合金)または非常に大きな透磁率を有する任意の他の材料を磁場シールドのために使用することができる。
【0192】
PCBからのLEDが磁場シールドを通じて発光することを許容するべく、孔(例えば、8つのLEDおよび1つの光センサ)を磁場シールド内において提供することができる。
【0193】
コイルは、いくつかの例において、1~100回の巻回(例えば、5~15巻回)を有することができ、1.2mmの厚さを有するワイヤから製造することができる。
【0194】
装置は、必要とされる高電流を実現するべく、小さな電池およびDC-DCコンバータにより、電力供給することができる。
【0195】
磁場シールドは、磁場が磁場シールドのコーナから漏出することを防止するべく、側壁を有することができる。
【0196】
本明細書において記述される装置の構成は、LED(または、一般には、光源)がコイルに相対的に近接して配置されることを許容する。これは、装置のコンパクトな携帯型の設計を許容する。具体的には、このような小さな表面/装置に異なる技術を適用することは、これまでは、難題であった。装置のコンパクトな設計(軽量)が、治療の容易な適用および効率性の保証をさらに支援する。
【0197】
本明細書において記述される例示用の実装形態に従って記述される装置は、非常に一貫性のある磁場を許容する。非常に均一な磁場分布を実現することができる。異なる通知/場所について治療の適用を均一化することが重要でありうる。
【0198】
本明細書において記述される例示用の実装形態による装置は、エネルギ効率に優れた設計をさらに許容する。同時に、磁場遮蔽が、装置をさらに効率的なものにする。装置は、相対的に軽量であり、装置の加熱の低減を保証することができる。
【0199】
遮蔽を介して、渦電流がPCB上において生成されない、または、非常にわずかな渦電流がPCB上において生成される、場合がある。装置は、電気回路に対する磁場の任意の効果を最小化するように、治療磁場とは反対に偏極されうる渦電流の生成を許容するように構成することができる。
【0200】
図23a~
図23dは、本明細書において記述されるいくつかの例示用の実装形態による消耗品の概略図を示す。観察されうるように、消耗品は、この例において、実質的に環状の形状を有し、光源(例えば、LED)に由来する光場について半透明である材料から製造されることがでできる。柔軟な消耗品は、
図23dにおいて観察されうるように、装置が適用される患者の身体部分に準拠することができる。
【0201】
患者の創傷を治療するべく、磁気刺激および光子放出技術を組み合わせる際には、装置が創傷に近接する必要がありうるが、同時に、これは、創傷側を傷つけてはならず、交差汚染を防止する必要がある。
【0202】
消耗品は、創傷に対する装置のソフトインターフェイスを許容するべく、消毒された、使い捨てを目的として、使用することができる。
【0203】
消耗品を介して患者に装置を固定するべく、ストラップを使用することができる。
【0204】
いくつかの例において、ソフトな部分に対する装置の容易な固定を許容するべく、メカニズムが提供される。
【0205】
消耗品は、いくつかの例において、一緒に成形された2つの部分を有することができる。これは、患者に対するソフトな適合を保証しつつ、容易な固定を許容することができる。
【0206】
消耗品が装置の非消費可能部分に結合された際をユーザに通知するように、可聴フィードバックを提供することができる。
【0207】
いくつかの例において、消耗品の相対的に硬い部分は、リング形状において形成することができる。これに加えて、またはこの代わりに、硬い部分は、半透明であってもよく、および/または、生体適合性を有してもよく、および/または、円の代わりに、リングから製造されてもよい。
【0208】
消耗品は、創傷までの、近接した、定義された距離において装置のソフトな固定を許容することができ、これは、光場および磁場に対する創傷の曝露の正確な制御をさらに許容する。
【0209】
消耗品は、変形可能でもよい。消耗品のいくつかの部分は、シリコンから製造することができる。スプリングメカニズムおよびシリコンの3Dフィッティングメカニズムは、治療対象の患者の身体部分に対する最適で快適な装着を許容することができる。これは、定義された距離において装置を適用することにより、容易な適用を保証しつつ、治療の効率性を増大させつつ、圧力点/浮腫の減少を結果的にもたらしうる。
【0210】
いくつかの例において、正しい配置用のフィードバックを付与する、カチリと鳴る結合を介して、ユーザフレンドリな通知が提供され、これは、消耗品が医療専門家または患者によって接触されないように、消毒されたパッケージングトレイからの直接的な固定を許容する。
【0211】
消耗品は、創傷滲出液から装置を保護する。したがって、これは、滲出液から装置を保護する、生体適合性を有する、ソフトな層を提供してはいるが、治療光が通過することを許容し、さらには、光反射計測を可能にする。
【0212】
消耗品は、無菌状態を目的として、交差汚染を防止する。いくつかの例において、消耗品は、使い捨てを目的として使用されてもよく、消耗品は、消毒されたコンポーネントとして、すべてのタイプの交差汚染を防止する。センサ計測および治療の適用は、患者の治療エリアの上方の非常に透明なエリア上において実行することができる。
【0213】
以下の節も、本開示によって包含され、本明細書において記述される他の例示用の実装形態および実施形態に全体的にまたは部分的に内蔵されうる。
【0214】
1.光および磁気刺激(OMS)創傷治療装置であって、
OMS創傷治療のための光場を生成するように構成された光源と、
光場を生成するために光源を駆動するべく光源に結合された電気回路と、
OMS創傷治療のための磁場を生成するように構成されたコイルと、
一方におけるコイルと、他方における光源および電気回路と、の間において配置された磁場シールドであって、コイルによって生成された磁場から電気回路および光源を遮蔽するように構成された磁場シールドと、
を有する。
【0215】
2.第1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
OMS創傷治療装置は、減衰した磁場に基づいて、電気回路がその内部においてまたはその上部において配置されるOMS創傷治療装置の層内において渦電流を誘発するべく、コイルおよび磁場シールドを使用することにより、電気回路および光源が配置される磁場シールドの側において、減衰した磁場を生成するように構成される。
【0216】
3.第1または2項に記載のOMS創傷治療装置であって、
磁場シールドは、5000超、好ましくは、10000超、さらに好ましくは、20000超、および、さらに好ましくは、50000超、の相対透磁率を有する材料を有する。
【0217】
4.第1~第3項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
磁場シールドは、光場が、患者の創傷を照射するべく貫通しうる1つまたは複数の磁場シールド開口部を有する。
【0218】
5.第1~第4項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
磁場シールドは、磁場が磁場シールドのエッジまたはコーナ領域を介して電気回路および光源まで貫通することを防止するように構成された1つまたは複数の側壁を有する。
【0219】
6.特に、第1~5項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
OMS創傷治療装置は、パルス化変調磁場を生成するためにコイルを駆動するべくブリッジコイルドライバに結合されたコイル電圧供給源を有する。
【0220】
7.第6項に記載のOMS創傷治療装置であって、
ブリッジコイルドライバは、電流がパルス化変調磁場のパルスの降下エッジの間においてコイル電圧供給源に流れ戻ることを防止するように構成された第1トランジスタを有する
【0221】
8.第7項に記載のOMS創傷治療装置であって、
ブリッジコイルドライバは、第2トランジスタを有する線形電流レギュレータを有し、
第2トランジスタは、第1トランジスタと結合され、
ブリッジコイルドライバは、電流が、第1トランジスタを介して、パルスの降下エッジの間においてコイル電圧供給源に流れ戻ることを防止されることに基づいて、パルスの降下エッジの間において第2トランジスタ上において上昇電圧を誘発するように構成される。
【0222】
9.第7または8項に記載のOMS創傷治療装置であって、
ブリッジコイルドライバは、第1トランジスタおよび第2トランジスタと結合されたツェナーダイオードをさらに有し、
ツェナーダイオードは、第1トランジスタおよび第2トランジスタが、ブリッジコイルドライバのスイッチオフの間において過電圧に起因して損傷することを防止するように構成される。
【0223】
10.第6~9項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
コイル電圧供給源の出力電圧を調節するべく、コイル電圧供給源に結合されたコイル供給電圧制御フィルタおよびバックコンバータをさらに有する。
【0224】
11.第1~10項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
光源は、複数のLEDを有し、
LEDが配置されるOMS創傷治療装置の層は、複数のセグメントに分割され、
セグメントのそれぞれは、複数のLEDの1つまたは複数を有する。
【0225】
12.第11項に記載のOMS創傷治療装置であって、
コイルは、コイルを通じた光場の貫通を許容するべく、LEDの個々の場所に対応する場所において開口部を有するように巻回される。
【0226】
13.第12項に記載のOMS創傷治療装置であって、
コイルは、実質的に環状の形状を有するように巻回され、
開口部は、第1ループを有するコイルの第1半径方向場所と第2ループを有するコイルの第2半径方向場所との間において提供されるギャップ領域において配置される。
【0227】
14.第1~13項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
表面がOMS創傷治療装置までの予め定義された距離内にあるかどうかを決定するように構成された距離センサをさらに有し、
OMS創傷治療装置は、表面がOMS創傷治療装置までの予め定義された距離内にある場合にのみ、光場および磁場の1つまたは両方を生成するように構成される。
【0228】
15.第1~14項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
表面から反射された光の量と、
表面の色であって、OMS創傷治療装置は、表面の色をOMS創傷治療装置のメモリ内において記憶されている創傷の色コードと相関させるように構成される、色と、
表面の表面構造であって、OMS創傷治療装置は、表面構造をOMS創傷治療装置のメモリ内において記憶されている表面構造と相関させるように構成される、表面構造と、
表面の反射および/または散乱パラメータと、の1つまたは複数を検出するように構成された光学センサをさらに有し、
OMS創傷治療装置は、表面から反射された光の量、表面の色、表面の表面構造、ならびに表面の反射および/もしくは散乱パラメータの1つまたは複数に基づいて、表面が創傷に属するかどうかを決定するように構成され、
OMS創傷治療装置は、表面が上記創傷に属すると決定された場合にのみ、光場および磁場の1つまたは両方を生成するように構成される。
【0229】
16.第1~15項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
加速度計をさらに有し、OMS創傷治療装置は、
加速度計を介して、OMS創傷治療装置が静かな物体上において配置されているかどうかを決定するように、ならびに、
OMS創傷治療装置が上記静かな物体上において配置されていると決定された場合、光場および/もしくは磁場が生成可能になることを防止するように、構成される。
【0230】
17.特に、第1~16項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
OMS創傷治療装置を患者の創傷に装着するための柔軟な消耗品をさらに有し、
創傷と、それぞれ、光源およびコイルとの間の距離は、柔軟な消耗品の凹みの状態を変化させることにより、調節可能である。
【0231】
18.特に、第17項に記載のOMS創傷治療装置であって、
柔軟な消耗品は、OMS創傷治療装置が装着される患者の身体部分の形状に準拠するように構成される。
【0232】
19.第17または18項に記載のOMS創傷治療装置であって、
OMS創傷治療装置は、光源、電気回路、コイル、および磁場シールドを有する非消費可能部分を有し、
OMS創傷治療装置は、消耗品が非消費可能部分に装着された際に可聴フィードバックを提供するように構成される。
【0233】
20.第17~19項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
柔軟な消耗品は、実質的にリング形状を有し、および/または、
柔軟な消耗品は、光場に対して半透明である。
【0234】
21.第17~20項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
柔軟な消耗品は、圧力が低減されたアタッチメントメカニズムに基づいて上記創傷に装着可能となるように構成される。
【0235】
22.第1~21項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
光源は、約660nmの(第1)波長および/または約830nmの(第2)波長を有する光を放出するように構成される。
【0236】
23.第1~22項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置であって、
光源は、約400nmと430nmとの間の(第3)波長を有する光を放出するように構成される。
【0237】
24.患者の創傷を治療する方法であって、
第1~23項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置を使用する。
【0238】
25.第24項に記載の方法であって、
約660nmおよび/または約830nmの波長の光によって創傷を照射することにより、創傷内のミトコンドリアシトクロムCオキシダーゼ内の電子相転移をトリガするステップをさらに有する。
【0239】
26.第24または25項に記載の方法であって、
約400nm~430nmの波長の光によって創傷を照射することにより、創傷内の活性酸素種の増大を誘発するステップをさらに有する。
【0240】
27.創傷治療のための第1~23項のいずれか1項に記載のOMS創傷治療装置の使用であって、
特に、約660nmおよび/または約830nmおよび/または約400nm~430nmの波長の光を使用する。
【0241】
当業者には、多くの他の有効な代替肢が想起されるであろうことに疑いはない。本発明は、記述される実施形態に限定されるものではなく、当業者には明らかである、添付の請求項の範囲に含まれる、変更を包含することを理解されたい。