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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】自己使用オシロメトリデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/087 20060101AFI20230904BHJP
   A61B 5/097 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61B5/087
A61B5/097
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021538872
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 CA2019051308
(87)【国際公開番号】W WO2020051718
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】62/731,424
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521106201
【氏名又は名称】ソラシス ソラシック メディカル システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】シェスラー トーマス フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ スン ファット キム ファー
(72)【発明者】
【氏名】ポサダ エステファン ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】ドラピュー ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュトラス セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】チカトゥン フロレンシア
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0150747(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135603(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108095724(CN,A)
【文献】特表2017-526445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/087
A61B 5/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オシロメトリデバイスであって、
筐体と、
前記筐体内に入る導管を形成するユーザ部であって、前記導管がユーザの呼吸を受けるように適合される、前記ユーザ部と、
前記筐体内の前記導管に動作可能に接続され、前記ユーザの前記呼吸からオシロメトリ測定信号を生成するように適合される、オシロメトリ測定システムと、
前記筐体から前記ユーザ部と共通の方向に突出するユーザ支持インタフェースであって、前記ユーザの口が前記ユーザ部上にあるときに、前記ユーザ支持インタフェースが、前記ユーザに対して前記オシロメトリデバイスを垂直に支持し、前記ユーザ支持インタフェースが、可撓性を有する変形可能材料で作られており、前記ユーザ支持インタフェースは、当該ユーザ支持インタフェース自体によって前記ユーザの頬に圧力をかけないように構成されている、前記ユーザ支持インタフェースと、
を備える、前記オシロメトリデバイス。
【請求項2】
前記ユーザ支持インタフェースが、前記筐体から突出する1対のハンドルを含む、請求項1に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項3】
前記ハンドルが、前記可撓性を有する変形可能材料の細長い帯状片である、請求項2に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項4】
前記細長い帯状片が、輪を形成する、請求項3に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項5】
前記輪が、前記ユーザの4指または手のひらを受けるようなサイズを有する、請求項4に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項6】
前記細長い帯状片の側面上に少なくとも1つの指環をさらに備える、請求項3に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項7】
加えられた圧力を示す信号を生成する、前記ハンドル上の少なくとも1つの圧力センサをさらに備える、請求項1に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項8】
前記オシロメトリデバイスの向きを示す信号を生成する、前記筐体上の少なくとも1つの慣性センサをさらに備える、請求項1に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項9】
前記ユーザ支持インタフェースが、少なくとも1つのヘッドストラップを含む、請求項1に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項10】
前記ハンドルが、顔面接触端において最大でも4.0cmの高さを有する、請求項2に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項11】
前記ハンドルの前記顔面接触端についての厚さ対高さ比が、少なくとも10である、請求項10に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項12】
オシロメトリデバイスであって、
筐体と、
ユーザ方向に突出し、前記筐体内に入る導管を形成するユーザ部であって、前記導管がユーザの呼吸を受けるように適合され、前記ユーザ部が中心軸を有し、前記中心軸が、前記ユーザ部の基準平面に対して垂直であり、導管平面が、前記ユーザ方向において前記ユーザ部の端にある、前記ユーザ部と、
前記筐体内の前記導管に動作可能に接続され、前記ユーザの前記呼吸からオシロメトリ測定信号を生成するように適合される、オシロメトリ測定システムと、
前記筐体から突出し、前記ユーザ方向において前記基準平面を超えて延びるハンドルを有する、ユーザ支持インタフェースであって、前記ユーザの口が前記ユーザ部上にあるときに、前記ユーザ支持インタフェースが、前記ユーザに対して前記オシロメトリデバイスを垂直に支持し、前記ユーザ支持インタフェースが、可撓性を有する変形可能材料で作られており、前記ハンドルが、前記中心軸の横方向に配置され、少なくとも部分的に前記中心軸の+5cm~-5.0cmの範囲に垂直方向に位置前記ユーザ支持インタフェースは、当該ユーザ支持インタフェース自体によって前記ユーザの頬に圧力をかけないように構成されている、前記ユーザ支持インタフェースと、
を備える、前記オシロメトリデバイス。
【請求項13】
前記ハンドルが、前記可撓性を有する変形可能材料の細長い帯状片である、請求項12に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項14】
前記細長い帯状片が、輪を形成する、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項15】
前記輪が、前記ユーザの4指または手のひらを受けるようなサイズを有する、請求項14に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項16】
前記細長い帯状片の側面上に少なくとも1つの指環をさらに備える、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項17】
加えられた圧力を示す信号を生成する、前記ハンドル上の少なくとも1つの圧力センサをさらに備える、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項18】
前記オシロメトリデバイスの向きを示す信号を生成する、前記筐体上の少なくとも1つの慣性センサをさらに備える、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項19】
前記ハンドルが、ヘッドストラップの一部である、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項20】
前記ハンドルが、顔面接触端において最大でも4.0cmの高さを有する、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項21】
前記ハンドルの前記顔面接触端についての厚さ対高さ比が、少なくとも10である、請求項20に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項22】
前記ハンドルの端が、前記基準平面を少なくとも3.0cmだけ超えて延びる、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【請求項23】
前記ハンドル延長の端が、前記基準平面を超えて3.0cm~12.0cmの距離に位置する、請求項13に記載のオシロメトリデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月14日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第62/731,424号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、例えば喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)の文脈において、呼吸機構及び肺機能の評価及びモニタリングにおいて使用される、オシロメトリ測定(別名、強制オシレーション法(FOT))及び機器に関する。
【背景技術】
【0003】
スパイロメトリまたはピークフローなどの肺機能を測定するための従来技術とは異なり、オシロメトリは、特定の操作を実行するために、ユーザ(この文脈では、測定を監督する人に依らず、測定されるべき被検者または患者を意味する)による自発的な努力に依存しない。むしろ、オシロメトリ測定は、定期的な安静呼吸の間に得られ、それによって、この技術がユーザにとって自然なものとなる。
【0004】
オシロメトリ測定の間、オシロメトリデバイスによって生成される緩やかなオシロメトリ波形が、ユーザの安静呼吸の上に重ね合わされる。オシロメトリ波形に含まれる対象の周波数は、自発呼吸のパワースペクトルより上に位置し、したがって、記録に含まれる振動及び呼吸成分は、フーリエ変換及び時間周波数解析などの数値技術を用いて分離され得る。
【0005】
オシロメトリ測定に関連する1つの制約は、典型的にはマウスピースを通して呼吸しているユーザが、オシロメトリデバイスによって生成される振動エネルギーが肺に到達し、上気道のより軟らかく柔軟な組織内に迷い込まないことを確実にするために、頬及び口腔底を手で支持しなければならないことである。より技術的な用語で表現すると、さもなければ低すぎ、かつ振動を短絡させる、上気道壁によってもたらされるシャントインピーダンスを増大させるために、手が使われなければならない。
【0006】
ユーザの両手が左及び右の頬を支持するために用いられるため、ユーザは、手持ち式のポータブルオシロメトリデバイスを同時に保持することができない場合がある。したがって、オシロメトリデバイスは、デスクトップまたは台車などの物理的支持物に取り付けられなければならないか、またはポータブルの場合、ユーザが自分の頬を支持する間、測定中にデバイスを保持するための独立したオペレータが必要であるかのいずれかである。
【0007】
したがって、既存のポータブルデバイスは、例えば血圧モニタリングの場合のように、「どこでも」、即ちユーザのライフスタイルに適合したやり方で自己評価するのに適していない場合がある。デバイスを保持し操作するのに別の人が必要であることが多く、したがって、そのような測定は、もはや自己評価と見なされない。
【0008】
欧州特許第2598026号には、わずかに窪んだ略三角形状のプレートが記載されており、これは、プレート本来のわずかな圧力を加えて、プレートを静止させておくようにユーザの頬の上に配置される。プレートは、手による頬の支持に代わるように意図され、それは、手で頬を支持する間ユーザの手によって加えられる圧力に類似する圧力を、プレートがユーザの頬上に加えなければならないことを意味する。これらのプレートは、頬の肌表面に対して垂直方向に著しい剛性を有する。プレートの重量は、デバイスに対するそれらの付属物によって支持され、それが同様に、適当な構造または独立したオペレータによって支持されなければならない。
【発明の概要】
【0009】
本開示の目的は、先行技術に関する問題に対処する自己使用オシロメトリデバイスを提供することである。
【0010】
本開示のさらなる目的は、妥協することなく、または適切な頬の支持及びデバイス位置決めを確実にしながらであっても、ユーザによって物理的に支持され得るポータブルオシロメトリデバイスを提供することである。
【0011】
本開示の第1の実施形態によれば、筐体と、筐体内に入る導管を形成するユーザ部であって、導管がユーザの呼吸を受けるように適合される、ユーザ部と、筐体内の導管に動作可能に接続され、ユーザの呼吸からオシロメトリ測定信号を生成するように適合される、オシロメトリ測定システムと、筐体からユーザ部と共通の方向に突出するユーザ支持インタフェースであって、ユーザの口がユーザ部上にあるときに、ユーザ支持インタフェースが、ユーザに対してオシロメトリデバイスを垂直に支持し、ユーザ支持インタフェースが、可撓性を有する変形可能材料で作られている、ユーザ支持インタフェースと、を含む、オシロメトリデバイスが提供される。
【0012】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、ユーザ支持インタフェースは、筐体から突出する1対のハンドルを含む。
【0013】
さらに第1の実施形態によれば、ハンドルは、可撓性を有する変形可能材料の細長い帯状片である。
【0014】
さらに第1の実施形態によれば、細長い帯状片は、輪を形成する。
【0015】
さらに第1の実施形態によれば、輪は、ユーザの4指または手のひらを受けるようなサイズを有する。
【0016】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、少なくとも1つの指環は、細長い帯状片の側面の少なくとも1つの上にある。
【0017】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、その上に加えられた圧力を示す信号を生成する少なくとも1つの圧力センサは、ハンドルの少なくとも1つの上にある。
【0018】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、筐体上の少なくとも1つの慣性センサは、オシロメトリデバイスの向きを示す信号を生成する。
【0019】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、ユーザ支持インタフェースは、少なくとも1つのヘッドストラップを含む。
【0020】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、ハンドルは、顔面接触端において最大でも4.0cmの高さを有する。
【0021】
さらに第1の実施形態によれば、例えば、ハンドルの顔面接触端についての厚さ対高さ比は、少なくとも10である。
【0022】
本開示の第2の実施形態によれば、筐体と、ユーザ方向に突出し、筐体内に入る導管を形成するユーザ部であって、導管がユーザの呼吸を受けるように適合され、ユーザ部が中心軸を有し、中心軸が、ユーザ部の基準平面に対して垂直であり、導管平面が、ユーザ方向においてユーザ部の端にある、ユーザ部と、筐体内の導管に動作可能に接続され、ユーザの呼吸からオシロメトリ測定信号を生成するように適合される、オシロメトリ測定システムと、筐体から突出し、ユーザ方向において基準平面を超えて延びるハンドルを有する、ユーザ支持インタフェースであって、ユーザの口がユーザ部上にあるときに、ユーザ支持インタフェースが、ユーザに対してオシロメトリデバイスを垂直に支持し、ユーザ支持インタフェースが、可撓性を有する変形可能材料で作られており、ハンドルが、中心軸の横方向に配置され、少なくとも部分的に中心軸の+5cm~-5.0cmの範囲に垂直方向に位置する、ユーザ支持インタフェースと、を含む、オシロメトリデバイスが提供される。
【0023】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドルは、可撓性を有する変形可能材料の細長い帯状片である。
【0024】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、細長い帯状片は、輪を形成する。
【0025】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、輪は、ユーザの4指または手のひらを受けるようなサイズを有する。
【0026】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、少なくとも1つの指環は、細長い帯状片の側面上にある。
【0027】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドル上の少なくとも1つの圧力センサは、その上に加えられた圧力を示す信号を生成する。
【0028】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、筐体上の少なくとも1つの慣性センサは、オシロメトリデバイスの向きを示す信号を生成する。
【0029】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドルは、ヘッドストラップの一部である。
【0030】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドルは、顔面接触端において最大でも4.0cmの高さを有する。
【0031】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドルの顔面接触端についての厚さ対高さ比は、少なくとも10である。
【0032】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドルの端は、基準平面を少なくとも3.0cmだけ超えて延びる。
【0033】
さらに第2の実施形態によれば、例えば、ハンドル延長の端は、基準平面を超えて3.0cm~12.0cmの距離に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本開示による、自己使用オシロメトリデバイスの概略図である。
図2図1のオシロメトリデバイスの内部及びオシロメトリデバイスのためのユーザ支持インタフェースの実施形態を示すブロック図を有する概略図である。
図3】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
図4】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
図5】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
図6】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
図7】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
図8】オシロメトリインタフェースのためのユーザ支持インタフェースの別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面、及びより詳細には図1を参照すると、本開示による自己使用オシロメトリデバイス10が示されている。オシロメトリデバイス10は、デバイス10が、ある状況(例えば、ユーザの年齢、身体的な自律性など)において、別の人間の存在及び援助を必要とすることなくユーザの自己評価及び自己モニタリングに適した、小型で、コンパクトかつポータブルなオシロメトリデバイスであるという事を表現するために、他の表現の中でも特に、「自己使用」、「自己評価」、「ポータブル」であると説明され得る。さらに明確にするために、この文脈におけるポータブル性の概念は、デバイス10が閉鎖空間、例えば航空機または電車内で容易にかつ快適に使用され、小型バックパックまたは機内持ち込み手荷物などの小型の個人手荷物の品目において輸送され得ることを意味する。図1は、オシロメトリデバイス10の自己使用の概略図を示す。
【0036】
図2を参照すると、自己使用オシロメトリ測定を作動させるための様々なハードウェア、電子回路、及びソフトウェアコンポーネントを含む筐体80を有する、デバイス10の実施形態が示される。筐体80は、上述の自己使用を可能にするために限られた容積のものである。例えば、実際には、これは、オシロメトリデバイス10が、(例えば、2リットルを超えない)限られた容積包装内に収まってもよく、軽量(例えば、わずか1kg)であってもよく、及び/または独立して電力供給され動作可能であってもよいことを意味する。オシロメトリデバイス10は、筐体80から突出し、筐体80内への通気路を画成する呼吸導管20を有し得る。呼吸導管20は、コンパクト振動流源30に接続され、コンパクト振動流源30は、ハウジング33内で動いているピストン32に接続される線形アクチュエータ31として示されている。中でも実施例として、コンパクト振動流源30は、同様に、いくつか例を挙げると、線形振動子、拡声器、回転ファン、または圧縮空気を含む小型シリンダに接続されたバルブによって駆動される膜であってもよい。
【0037】
導管20は、自由端にユーザポート40を有する。ユーザポート40には、マウスピースなどのユーザの気道開口部への適当なインタフェースが着脱可能に取り付けられても取り付けられなくてもよい。流量計50は、振動流源30とユーザポート40との間に位置し、ユーザの気道開口部内への気流及び気道開口部からの気流を測定するように導管20と流体連通している。流体連通は、ユーザポート40及び導管20内への気流が、動作可能な接続においてオシロメトリ測定システムに到達するという点で、動作可能な接続と認定され得る。流量計50は、いくつか例を挙げると、スクリーン、ハニカム、超音波、可変オリフィス、またはベンチュリ呼吸流量計を含み得る。流量計50とユーザポート40との間は、ユーザの気道開口部の最も近くの圧力を測定するための圧力計51である。
【0038】
呼吸器入力インピーダンス及び呼吸機構及び肺機能の他の指標は、流量計50及び圧力計51によって記録されるデータから計算され得る。ユーザと測定場所の間、即ちユーザポート40と、ユーザポート40及び流量計50の間に位置する導管20の一部との間の通気路の動的特性は、計算されたインピーダンス及び指標の精度を強化するために使用され得る。
【0039】
導管20は、さらに、ユーザの呼吸の過度な負荷を防止するには十分低いが、振動波形の短絡を防止するには十分高い、気流に対する決定性インピーダンスを有する空気ポート60と流体連通していてもよい。
【0040】
デバイス10は、データ記憶のためのメモリ、通信設備などを有する1つまたは複数のプロセッサを具備する少なくとも1つの処理モジュール71、A/D及びD/A変換器、信号増幅器、フィルタ、及び発振器ドライバなどの周辺機器72、ならびにバッテリなどのエネルギー源73を含む、全ての必要な電子回路70、即ち、振動を発生させ、測定値を記録し、結果を記憶し、いくつか例を挙げるとコンピュータ、タブレット、スマートフォン、遠隔医療サーバ、または中央データベースなどの別のデバイスに結果を送信するのに必要な全てのコンポーネントをさらに含み得る。処理モジュール71は、処理ユニットに通信可能に連結され、オシロメトリ測定を実行及び評価するための処理ユニットによって実行可能なコンピュータ可読プログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読メモリの形態であってもよい。別の実施形態では、デバイスは、コンピュータまたはポータブル電子デバイスと無線で通信してもよく、上述の処理またはユーザインタフェース機能性のいくつかが、このポータブル電子デバイス上に位置してもよい。
【0041】
上記コンポーネントの全てが、コンパクトかつ十分軽量な密閉された筐体80において互いに物理的に堅固に取り付けられ、筐体80は、使用のために組み立てられるが、洗浄またはメンテナンスのために分解されるように構成され得る。これは、オシロメトリ測定システム、即ち、ハードウェア、電子回路、及びソフトウェア、動作オシロメトリ測定を含む、上述の様々なコンポーネントへのアクセスを可能にし得る。ユーザ支持インタフェース90が、筐体80にさらに取り付けられている。図2に示される実施形態によれば、ユーザ支持インタフェース90は、1つまたは2つの柔軟な解剖学的かつ人間工学的形状のグリップ90(図2には1つが示されているが、右手側は図2の左手側の鏡像である)の形態を取り得る。グリップ90は、ユーザが、これらのグリップ90によりオシロメトリデバイス10を掴むこと、ユーザの口の近くにそれを持っていくこと、及びユーザポート40が気道開口部に接続される(例えば、マウスピースが口の中にある)ようにオシロメトリデバイス10の最終的な位置決めをすることを可能にする。グリップ90は、ハンドルとも呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、デバイス10の重量の一部は、デバイスが定位置にある時点でユーザポート40(または、より具体的には、ユーザがマウスピースを噛むこと)によっても支持され得る。グリップ90は、輪を形成してもしなくてもよい細長い平らな帯状片として画成されてもよく、図1には輪と共に示されており、図2には輪のない構成が示されている。帯状片は、厚さよりも大幅に大きな幅及び長さを有する主面を有するとき、平らであると見なされる。細長い帯状片の「平らな」性質は、帯状片が変形可能であり得るときに湾曲していることを除外せず、帯状片がユーザの頬と頬を支持するユーザの手との間の十分な領域を機能的に覆う限り、穴もしくは切抜きを含むこと、またはメッシュ、網、もしくはワイヤフレーム構造で構成されることも除外しない。
【0042】
筐体80及びユーザポート40に対するユーザ支持インタフェース90の位置に起因して、自己使用ユーザの口及び/または鼻が、ユーザポート40に(例えば、ポート40上に直接、またはマウスピース上に)接続されるとき、自己使用ユーザの手は、頬及び口腔底に対して人間工学的に手が当たるように、ユーザのそれぞれの頬に対向して配置される。この構成では、グリップ90(またはその一部)が、手と頬及び/または口腔底との間に挟まれ、それによって、デバイス10の重量が、グリップ90または類似のユーザ支持インタフェースによって支持される。グリップ90は、各ユーザの顔の固有形状に適合するように、肌の表面に対して垂直な範囲において、十分に可撓性を有してもよく、例えば弾性変形していてもよい。グリップ90は、形状保持力を有する材料で作られていてもよく、即ち、グリップ90は、変形の範囲で、それらが変形される形状を保持し得る。グリップ90は、デバイス10の重量を支持するために垂直範囲において十分な剛性を有してもよく、図2に示されるやり方で支持されるとき、ユーザの口に対して筐体80に安定した位置を与え得る。
【0043】
実施形態によれば、デバイス10は、グリップ90のうちの1つによって適切に支持されてもよい。別の実施形態によれば、ユーザ支持インタフェース(複数可)90は、ユーザポート40と同じ方向に突出し、ユーザポート40の位置の関数として筐体80上に垂直に配置される。例えば、デバイス10が、図2の向きにあるとき、即ち、グリップ90及び/またはユーザポート40の軸が概して水平であるとき、グリップ(複数可)90または類似のユーザ支持インタフェース90は、その上端がユーザポート40の軸と同じ高さに位置され、またはユーザポート40の軸より最大5.0cm上もしくは5.0cm下に位置される。他の可能性として、グリップ90は、本質的にはマウスピースまたはユーザポート40の周囲に取り付けられてもよく、即ち、マウスピースは、グリップ90から押し出し、または同一部品でさえある。グリップ90または類似のユーザ支持インタフェース90は、また、やはり手で頬を支持して、頬の上ではなく顎の下で使われてもよい。ユーザ支持インタフェース90は、また、筐体80に接続されたグローブ形状であってもよい。
【0044】
したがって、図2のグリップなどのユーザ支持インタフェース90は、本来頬に圧力をかけず、または実質的には上気道の軟組織を支持することに全く寄与しない。したがって、支持は、実質的にはグリップ90の上及び下でユーザの手によって、かつグリップ90を後ろに戻すことによって、もたらされる。グリップ90は、実質的に自己使用ユーザの顔に圧力をかけるように構成されないため、(グローブ状のユーザ支持インタフェース90など、いくつかのグリップは4.0cmより大きくてもよいが、)グリップ90は、顔面接触端において最大でも4.0cmであり得る高さを有する。しかしながら、最大でも4.0cmの高さは、グリップ90の厚みよりも大幅に大きい。実施形態によれば、グリップ90の厚み対高さ比は、少なくとも10であるが、より低くてもよい。この比によって、グリップ90または類似のユーザインタフェース90が、図2のようにデバイス10の垂直性を維持しつつ、自己使用ユーザの頬に従うように変形可能または可撓性を有することが確実にされ得る。変形能力または可撓性は、ハンドル90が使用時に弾性変形したままである点から表現され得る。ハンドル90が異なる形で垂れている場合があるとき、変形能力または可撓性は、何らかの塑性変形も示唆し得る。グリップの目的は、オシロメトリデバイス10を支持することであり、言い換えると、自己使用ユーザが、手で頬を支持するために同時に自分の手を使うことを可能にし、かつ口をユーザポート40上に置きながらデバイス10を操作し、デバイス10を位置決めし、デバイス10の重量を支持することを可能にすることである。したがって、ユーザ支持インタフェース90は、頬の肌表面に垂直な方向に柔軟で、かつ剛性をほとんど有してはならない。
【0045】
ユーザ支持インタフェースの構成を説明するための別の方法において、ユーザポート40は中心軸X、及びユーザに最も近いユーザポート40の端に基準平面Pを有し、中心軸Xは、ユーザポート40の基準平面Pに垂直である(図3、しかし全ての実施形態に適用可能である)。ハンドル90は、中心軸の横方向に配置され、少なくとも部分的に中心軸の+5cm~-5.0cmの範囲に垂直方向に位置する。ハンドル90は、ユーザ方向において基準平面Pを少なくとも3.0cmだけ超えて突出する。実施形態では、ハンドルの端は、基準平面Pから3.0cm~12.0cmの範囲に位置する。別の実施形態では、位置調整機構93は、所与のユーザの顔付きに最適な位置決めを容易にするために、ユーザポート40に対するグリップ90のユーザ調整可能な垂直位置決めを可能にし得る。位置調整機構93は、他の可能性の中でも、グリップ90の移動のためのスロット、グリップ90についてのインデックス付き接続点(例えば、穴、溝など)の形態であってもよい。
【0046】
図3に示されるデバイス10の実施形態を参照すると、ユーザ支持インタフェース90は、手または1つもしくは複数の指を取り巻く1つまたは複数の人間工学的形状のストラップ91を含み得るグリップの形態をしており、それによって、ユーザポート40を口の方に持っていく間、デバイス10が自己使用ユーザの手に対する垂直移動関係から保持される。例示される実施形態では、2つのストラップ91があり、1つが4指用であり、もう1つが人差し指及び中指用である。2つのグリップ90がある場合、グリップ90毎に単一のストラップ91があってもよく、両方のグリップ90について合計1つであってもよい。ストラップ91は、1本の指を含む、いずれかの指のためのものであってもよい。ストラップ91は、例えば弾性を有してもよく、及び/または所望の圧力に締まっていてもよい。グリップ90上のストラップ91の位置は、93を参照して上述したように、調整可能であってもよい。グリップ90及びストラップ91のうちの1つが、図3に示されているが、右手側に、図2の左手側の鏡像として別のグリップ90及びストラップ91があってもよい。さらに、図1に示されるように、オシロメトリデバイス10は、ストラップのみを有してもよい。類似の実施形態では、グリップ90は、ミトンまたはグローブのような形状であってもよい。さらに、2つのグリップを有する実施形態では、顎の下を通過するグリップ間の架橋またはブリッジが存在してもよく、そのような架橋は、調整可能であってもよい。
【0047】
図4に示されるデバイスの実施形態では、ユーザ支持インタフェース90は、ユーザの頬及び口腔底上にユーザの手によって加えられる圧力を測定するための1つまたは複数のセンサ92を含んでもよく、それによって、頬の支持が十分で、かつ適切に分散されることが保証され得る。センサ(複数可)92からの出力は、例えば、頬の支持が十分で、かつ適切に分散されていることをセンサ(複数可)に検出させることによって、測定を開始する前提条件またはトリガとして使用され得る。さらに、センサ(複数可)92は、頬の支持が測定全体を通して十分であることを確実にするように、オシロメトリ測定の間動作し得る。センサ92は、歪みゲージなどの任意の適切な形態を取り得る。
【0048】
別の実施形態では、ユーザポート40は、ユーザの舌が楽に置かれ得る、マウスピースの下の凹空間を含み得る。そのような舌の空間には、適切に舌を置くことを検出及び確認し得るセンサが取り付けられてもよく、それによって、適切に舌を置くことが、測定を開始するための前提条件またはトリガとして使用され得る。この特徴は、必ずしも自己使用ではないオシロメトリデバイスまたは他の肺機能測定デバイスにあってもよい。
【0049】
図5に示される別の実施形態では、オシロメトリデバイス10は、水平面に対するオシロメトリデバイス10の向きを検出するセンサまたはセンサ(複数可)74を含んでもよく、それによって、わずかに上を向いているユーザの正しい向きがアサートされ得る。ユーザは、例えば可視信号または可聴信号によって、正しい位置を推測するように誘導されてもよく、適切なデバイス位置決めが、測定を開始するための前提条件またはトリガとして使用され得る。センサ(複数可)74は、例えば、加速度計などの慣性センサであってもよい。
【0050】
図6に示される別の実施形態では、ユーザ支持インタフェース90は、下部筐体80に取り付けられた単一のカップ形状の要素の形状をしていてもよく、ユーザの顎を受け台に載せるように設計されてもよく、この場合もやはり、頬を支持するユーザの手が存在するときに患者の顔の形状に適合するように十分に柔軟な材料で形成されてもよい。カップ形状の要素は、ユーザの生体構造の関数として選択される、異なるサイズで利用可能であってもよい。
【0051】
図7に示される別の実施形態では、ユーザ支持インタフェース90は、平らな、細長い把持領域の円周にわたる柔軟なワイヤフレーム要素として実施されてもよい。実施形態では、柔軟なワイヤフレーム要素は、グリップ90の形状を維持するための追加の支持支柱94を含み得る。
【0052】
図8に示される別の実施形態では、ユーザ支持インタフェース90は、頬を支持する間ユーザの手と頬との間の平らな細長い領域をまとめて覆うように、筐体80から扇形に広がる個別の柔軟なワイヤの集合から形成されてもよい。ここでも、1つまたは複数の直交接続要素95が、このグリップ90の全体形状及び完全性を維持するために使用され得る。
【0053】
実施形態によれば、オシロメトリデバイス10は、図1~8に示され本明細書で説明される項目のうちの2つまたはそれ以上を有して、測定が自動的に開始される前に安定した安静呼吸がデバイス10によって検出されていることなどの他の基準とおそらく組み合わせて、適切な頬の支持、舌を置くこと、及び/または適切なデバイスの向きの組み合わせが、測定を開始するための前提条件またはトリガとして使用され得ることを確実にする。これらの特徴は、例えば処理モジュール71の一部として、デバイス10内にプログラムされてもよい。
【0054】
別の実施形態では、オシロメトリデバイス10で提供される受け台は、オシロメトリデバイス10が受け台の上に置かれるときに、デバイス10がユーザ支持インタフェース(複数可)90によって容易に掴まれ得るようにユーザ支持インタフェース90が自然に配置されるような形状であってもよい。受け台は、他の選択肢の中でも、非接触充電のための手段を含み得る、オシロメトリデバイス10を充電するための手段を含んでもよい。
【0055】
デバイスの別の実施形態では、ユーザ支持インタフェースは、ユーザの頭部の周りに付けられる弾性バンドを有する頭部インタフェースによって代えられてもよく、それによって、オシロメトリデバイス10は、マスクのように装着されて、例えば運動試験中にトレッドミルまたは定置式自転車上でユーザを測定するために完全なハンズフリー操作を可能にし得る。この特徴は、必ずしも自己使用ではないオシロメトリデバイスにあってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8