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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】プラズマ環境における遮蔽構造
(51)【国際特許分類】
   G21B 1/11 20060101AFI20230904BHJP
   G21B 1/05 20060101ALI20230904BHJP
   H05H 1/10 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
G21B1/11 B
G21B1/05
H05H1/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021576367
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020040069
(87)【国際公開番号】W WO2021007058
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-12
(31)【優先権主張番号】16/509,286
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504242618
【氏名又は名称】ロッキード マーティン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LOCKHEED MARTIN CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ ジョナサン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ギャレット マイケル レーン
(72)【発明者】
【氏名】マグワイア トーマス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォント ガブリエル イヴァン
【審査官】大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535242(JP,A)
【文献】特許第3429794(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0127836(US,A1)
【文献】米国特許第10012709(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21B 1/11
G21B 1/05
H05H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ閉じ込めシステムであって、
エンクロージャーと、
プラズマ領域において前記エンクロージャー内で懸下された1又は2以上の内部磁気コイルと、
前記エンクロージャー内に懸下された前記1又は2以上の内部磁気コイルを支持するように構成された1又は2以上の支持体と、
を備え、
前記1又は2以上の支持体の各支持体が、
前記エンクロージャーの内部に連結された第1端部と、
前記第1端部と対向する第2端部であって、前記第2端部が、前記プラズマ領域内に配置された構成要素に連結された前記第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部との間に配置された導電材と、
を備え、
前記導電材は、導電材の1又は2以上の第1部分と、導電材の1又は2以上の第2部分とを備え、前記導電材は、前記1又は2以上の第1部分において第1方向へ、及び、前記1又は2以上の第2部分において前記第1方向とは反対の第2方向へ、電流を流すように構成され、
前記導電材は、1又は2以上の電流が供給されたときに、前記第1端部から前記第2端部まで前記支持体に沿って変化する磁場勾配を有する磁場を発生させるように構成される、
プラズマ閉じ込めシステム。
【請求項2】
前記1又は2以上の第1部分と前記1又は2以上の第2部分との間の距離は、前記第1端部と前記第2端部との間で前記支持体に沿って変化する、請求項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項3】
前記導電材は、複数の巻線を有する導電材のコイルを備える、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項4】
前記複数の巻線は、2以上の断面積を定める、請求項に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項5】
前記1又は2以上の支持体の各々は、前記プラズマ領域内のプラズマの流れ方向と一致する軸方向を有する細長い孔を定める、請求項1に記載のプラズマ閉じ込めシステム。
【請求項6】
支持体であって、
プラズマ閉じ込めシステムのエンクロージャーの内部に連結された第1端部と、
前記第1端部と対向する第2端部であって、前記第2端部が、プラズマ領域内に配置された構成要素に連結された前記第2端部と、
前記第1端部と前記第2端部との間に配置された導電材と、
を備え、
前記導電材は、導電材の1又は2以上の第1部分と、導電材の1又は2以上の第2部分とを備え、前記導電材は、前記1又は2以上の第1部分において第1方向へ、及び、前記1又は2以上の第2部分において前記第1方向とは反対の第2方向へ、電流を流すように構成され、
前記導電材は、1又は2以上の電流が供給されたときに、前記第1端部から前記第2端部まで前記支持体に沿って変化する磁場勾配を有する磁場を発生させるように構成される、
支持体。
【請求項7】
前記1又は2以上の第1部分と前記1又は2以上の第2部分との間の距離は、前記第1端部と前記第2端部との間で前記支持体に沿って変化する、請求項に記載の支持体。
【請求項8】
前記導電材は、複数の巻線を有する導電材のコイルを備える、請求項に記載の支持体。
【請求項9】
前記複数の巻線は、単一の断面積を定める、請求項に記載の支持体。
【請求項10】
前記複数の巻線は、2以上の断面積を定める、請求項に記載の支持体。
【請求項11】
前記1又は2以上の支持体の各々は、前記プラズマ領域内のプラズマの流れ方向と一致する軸方向を有する細長い孔を定める、請求項に記載の支持体。
【請求項12】
前記支持体は、前記磁場と直交する方向により薄くなる楕円形の断面形状を備える、請求項に記載の支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にプラズマ閉じ込めに関し、より詳細には、プラズマ環境における遮蔽構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
核融合電力とは、2又は3つ以上の原子核が超高速で衝突して結合し、新しい種類の原子核を形成する核融合プロセスによって発生する電力である。核融合炉とは、プラズマを閉じ込めて制御することにより、核融合電力を作り出すデバイスである。
【0003】
核融合炉又はプラズマ閉じ込めデバイスの特定部品は、プラズマ中に浸されるか、又はプラズマに曝露される可能性がある。プラズマへの曝露は、核融合炉又はプラズマ閉じ込めデバイスの構成要素を損傷し、又はその構成要素の動作を干渉する可能性がある。更に、プラズマ閉じ込めデバイスの構成要素によるプラズマ又はそれに付随する電磁場への干渉は、プラズマの閉じ込め及び/又は制御の効率及び/又は安定性を低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラズマ(例えば、核融合で使用される)中の支持体、機能性構造体、診断機器などの障害物は、これらの障害物で又はその近くで、イオン及び電子の著しい捕集をもたらす可能性がある。障害物によるプラズマ損失は、プラズマの密度と温度を大きく変える可能性があり、通常は望ましくない。その結果として、プラズマパラメータを測定するための非摂動的な光学技術及びビーム技術には、このような複雑な相互作用を考慮することが求められている。更に、閉じ込めシステムに対する設計の中には、プラズマ内の障害物の数を減らしてこれらの問題を回避するように高ベータ核融合の対象となる磁場形状を生成するための、複雑で高価な空中浮揚技術を利用するものもある。加えて、この問題は、電磁コイルなどの構成要素をプラズマ中に浸すか、又は別の方法によりプラズマで取り囲むことを必要とする、特定クラスの磁気核融合概念の現実的な探求を妨げる。従って、特定の実施形態では、磁場防護及び磁場成形を用いてプラズマ中の障害物を遮蔽することにより、この問題に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、プラズマ閉じ込めシステムは、エンクロージャーと、1又は2以上の内部磁気コイルと、1又は2以上の支持体とを含む。1又は2以上の内部磁気コイルは、エンクロージャー内でプラズマ領域中に懸下される。1又は2以上の支持体は、エンクロージャー内に懸下された1又は2以上の内部磁気コイルを支持する。1又は2以上の支持体の各支持体は、第1端部と、第1端部に対向する第2端部と、導電材とを含む。第1端部は、エンクロージャーの内部に連結される。第2端部は、プラズマ領域内に配置された構成要素に連結される。導電材は、第1端部と第2端部との間に配置される。導電材は、1又は2以上の電流が供給されたときに、第1端部から第2端部まで支持体に沿って変化する磁場勾配を有する磁場を発生させるように構成される。
【0006】
別の実施形態によれば、支持体は、第1端部と、第2端部と、導電材とを含む。第1端部は、プラズマ閉じ込めシステムのエンクロージャーの内部に連結される。第2端部は、プラズマ領域内に配置された構成要素に連結される。導電材は、第1端部と第2端部との間に配置される。導電材は、1又は2以上の電流が供給されたときに、第1端部から第2端部まで支持体に沿って変化する磁場勾配を有する磁場を発生させるように構成される。
【0007】
更に別の実施形態によれば、方法は、エンクロージャーのプラズマ領域内に懸下される1又は2以上の内部磁気コイルを配置するステップを含む。本方法は更に、1又は2以上の支持体を用いて、エンクロージャー内に懸下される1又は2以上の内部磁気コイルを支持するステップを含む。1又は2以上の支持体は、少なくとも部分的にはプラズマ領域内に配置される。本方法は更に、1又は2以上の支持体の各々に沿って磁場を発生させるステップを含み、磁場は、支持された内部磁気コイルとの間で支持体の長さに沿って非ゼロ磁場勾配を有し、磁場は、1又は2以上の支持体の各々内に配置された導電材に供給される電流を用いて生成される。
【0008】
上記に要約した実施形態の各々は、1又は2以上の付加的な又は異なる利点を提供することができる、1又は2以上の変形又は任意選択の特徴を有することができる。このような変形及び/又は任意選択の特徴の非限定的な例が本明細書で開示されるが、更なる変形及び/又は特徴は、詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面を含め、本開示に照らして、適切に理解することができる。
【0009】
本開示は、数多くの技術的利点を提供することができる。例えば、特定の実施形態は、支持体の長さに沿って非ゼロ磁場勾配を備えた磁場を発生させる、プラズマに浸された構成要素に対して支持を提供する。このようにして、磁場を既存の磁場と重ね合わせ、これにより、構成要素、支持体、又はプラズマが閉じ込められたエンクロージャーへのプラズマ入射を低減することができる。別の例では、特定の実施形態は、非ゼロ勾配を備えた磁場を生成するように構成された導電材の巻線を含む、支持体内の導電材を提供する。このようにして、巻線は、プラズマ損失を最小限に抑える磁場を提供するために様々な方法で構成することができる。更に別の例として、特定の実施形態は、プラズマが通り抜けることのできるスロットを設けることにより、支持体へのプラズマ損失を更に低減する。提供された支持体の磁場は、支持体を遮蔽することができるが、スロットにより、プラズマは、特定の磁力線に追従するプラズマが支持体に衝突することなく、支持体を通り抜けることができる。
【0010】
他の技術的利点は、以下の図、明細書、及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らとなろう。更に、特定の利点を上に挙げたが、様々な実施形態は、列挙した利点の全部、又は一部を含む、或いは含まない場合がある。
【0011】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】特定の実施形態による、プラズマ領域内に1又は2以上の支持体で支持された内部磁気コイルを有する例示的なプラズマ閉じ込めシステムを示す図である。
図1B】特定の実施形態による、プラズマ領域内に1又は2以上の支持体で支持された内部磁気コイルを有する例示的なプラズマ閉じ込めシステムを示す図である。
図2A】特定の実施形態による、プラズマに対する遮蔽用の磁場を発生させるように構成された例示的な支持体を示す図である。
図2B】特定の実施形態による、プラズマに対する遮蔽用の磁場を発生させるように構成された例示的な支持体を示す図である。
図3A】特定の実施形態による、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させるように構成された内部磁気コイルに対する、支持体の様々な例示的構成を示す図である。
図3B】特定の実施形態による、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させるように構成された内部磁気コイルに対する、支持体の様々な例示的構成を示す図である。
図3C】特定の実施形態による、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させるように構成された内部磁気コイルに対する、支持体の様々な例示的構成を示す図である。
図3D】特定の実施形態による、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させるように構成された内部磁気コイルに対する、支持体の様々な例示的構成を示す図である。
図4】特定の実施形態による、特定構成の導電材を有する例示的な支持体を示す図である。
図5A】特定の実施形態による、プラズマが貫流するスロットを定める例示的な支持体を示す図である。
図5B】特定の実施形態による、プラズマが貫流するスロットを定める例示的な支持体を示す図である。
図5C】特定の実施形態による、プラズマが貫流するスロットを定める例示的な支持体を示す図である。
図6】特定の実施形態による、異なる断面積を備えた複数の巻線を有する導電材を備えた例示的な支持体を示す図である。
図7】特定の実施形態による、プラズマに曝される構造体を遮蔽するための例示的な方法のフローチャート図解である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
磁場を用いて物体又は他の障害物をプラズマから遮蔽する又は「防護する」これまでの試みは、懐疑と論争の的となってきた。例えば、プラズマ中で障害物を遮蔽するために双極子磁場を使用する以前の試みは、種々の幾何形状において、並びに様々なプラズマ環境に亘って磁場遮蔽をどのように実装するかという問題に遭遇した。これに応じて、例えば内部構成要素の空中浮揚によって、構成要素をプラズマ領域から取り除くこと、並びに構成要素をプラズマ領域中に浸すのを回避することを含め、構成要素をプラズマから保護し遮蔽するための種々の仕組みが考えられてきており、それによって、プラズマ閉じ込めシステムについて可能性のある構成が制限されている。
【0014】
本明細書で詳述するように、プラズマ領域に配置された電磁コイルに対する支持体などの支持構造体の周囲に、磁場の長さに沿って非ゼロ勾配を有する磁場を生成することで、磁場遮蔽の改善を提案する。その結果として、プラズマ閉じ込めデバイスの支持構造体以外の構成要素を含めて、内部構成要素へのプラズマの影響を最小限に抑えることができる。
【0015】
本開示のより良い理解を容易にするために、特定の実施形態の以下の例が与えられる。以下の例は、本開示の範囲を限定又は定めるものと解釈すべきではない。本開示の実施形態及びその利点は、図1~7を参照することによって最も良く理解され、ここで同様の番号を用いて同様の要素及び対応する要素を示す。
【0016】
プラズマは、電磁場で閉じ込めることができ、加熱されると、核融合反応によってプラズマに正味のエネルギを作り出させることができる。これらの電磁場は、電極及び/又は磁場コイルで生成することができる。多くの場合、これらはプラズマ閉じ込めチャンバの外部にあるが、構成によっては真空適合性の内部部品が必要とされる。これらの内部電極及び/又は磁場コイルは、プラズマをひどく攪乱することなく、機械的な支持とプラズマ環境の危険性からの保護とを必要とする可能性がある。
【0017】
図1A及び1Bは、特定の実施形態による、プラズマ領域120内に1又は2以上の支持体で支持された内部磁気コイル105を有する例示的なプラズマ閉じ込めシステム100を示す。プラズマ閉じ込めシステム100は、内部磁気コイル105などの構成要素を使用する何れかのシステムとすることができ、これらの構成要素は、プラズマに曝される可能性があり、それらを支持する構造体、例えば支持体115を必要とする場合がある。例えば、プラズマ閉じ込めシステム100は、内部磁気コイル105を用いて発生した磁場、並びに、必要に応じて他のコイル(例えば、エンクロージャー110の外側にある又はエンクロージャー110の内部に埋め込まれたコイル又は他の磁石)或いは内部磁気コイル105と同軸の他のコイルによって発生した磁場を利用して、プラズマ領域120内にプラズマを制御し閉じ込めることができる。
【0018】
従来のプラズマ内部の構成要素は、ケーブル、絶縁フィードスルーを介して支持されるか、又は外部磁場によって浮揚されていた。これらの手法にはそれぞれ問題がある。ケーブルは、構造的な支持を提供するが、プラズマからの絶縁を提供できない。また、ケーブル周囲の流れは滑らかではない場合があり、ケーブル表面は粗いことが多いため、ケーブルはプラズマ環境を乱す可能性がある。絶縁フィードスルーは通常、電力、冷却、又は診断などの1つのサービスだけを提供し、セラミック材料でできている場合がある。セラミック材料は脆く、ほとんど支持を提供することができない。また、セラミック表面は、プラズマがその表面に電荷を付着させたときに帯電する場合があり、帯電はプラズマ環境を乱す可能性がある。外部浮揚はあまりにも複雑な手法であり、いつまでも持続することはできない。それゆえ、外部浮揚は、核融合炉の運転に望ましいとされる定常状態運転を維持するには不十分な解決策である。本開示の一部の実施形態は、支持体115などの1又は2以上の支持ストークを使用することによって、既存の手法に関するこれら及び他の欠陥に対処し、プラズマ閉じ込めへの有害な影響を最小限に抑えるように設計された方法で、機械的支持に加えて、並びに電気ライン、診断ライン、及び冷却ラインのサービスにおいて、プラズマ環境からの保護を提供することができる。
【0019】
一般に、支持体115は、プラズマ閉じ込めシステム100の内部磁気コイル105に機械的支持を提供することができる。内部磁気コイル105は、少なくとも部分的に、例えばプラズマ領域120において、プラズマに浸される可能性があるので、特別な支持機構を必要とする場合がある。一部の実施形態において、1又は2以上の支持体115は、内部磁気コイル105を機械的に支持し、プラズマ環境を乱すことなく、又はプラズマ環境の乱れを最小限に抑えて、プラズマ環境との持続的な接触に耐えることができる。一部の実施形態では、支持体115は、何れかの適切な構成要素が内部磁気コイル105の内部に貫通して延びることのできる内部空洞を含むことができる。例えば、電気を供給して内部磁気コイル105で磁場を発生させるために使用される構成要素、或いは内部磁気コイル105内で冷却する又は診断を提供するために使用される構成要素は、支持体115の内部を貫いて延びることができる。
【0020】
図1Aは、特定の実施形態による、プラズマ閉じ込めシステム100内で内部磁気コイル105を支持する3つの支持体115を示す。図1Aは3つの支持体115を示しているが、本開示は、プラズマ領域120内に配置できる内部磁気コイル105又は各内部磁気コイル105を支持するために、何れか適切な数の支持体115を使用することができると想定している。例えば、一部の実施形態では、各内部磁気コイル105は、2つ又は1つの支持体115で支持されるのがよい。本開示は、1又は2以上の支持体115が何れか適切な形状を有することができると想定している。例えば、支持体115は、楕円形又は円形の断面を有することができる。
【0021】
一部の実施形態では、支持体115は各々、支持体115の第1端部116でエンクロージャー110に連結することができ、第2端部117で内部磁気コイル105に連結することができる。本開示は、支持体115を何れか適切な方法で内部磁気コイル105及びエンクロージャー110に連結することができると想定する。一例として、支持体115を内部磁気コイル105及びエンクロージャー110に溶接することができる。別の例として、何れか適切な数の何れか適切な締結具を使用して、支持体115を内部磁気コイル105及びエンクロージャー110に連結することができる。本開示は、支持体115を内部磁気コイル105及びエンクロージャー110に連結するために、何れか適切な材料の組み合わせを使用することを想定している。一部の実施形態では、1又は2以上の支持体115はモジュール式とすることができ、これは有利なことに、支持体115のより容易な交換及び/又は整備を可能にすることができる。
【0022】
一部の実施形態において、支持体115は、内部磁気コイル105をプラズマ領域120に懸下するすための機械的支持を提供することができる。一部の実施形態では、支持体115を張力状態又は圧縮状態に置くことができる。支持体115は、何れか適切な材料又は材料の組み合わせから形成することができる。一例として、支持体115をステンレス鋼又はタングステンから形成することができる。別の例として、タングステンで被覆されたアルミニウムから支持体115を形成することができる。支持体115を形成するために使用される1又は2以上の材料は、プラズマ閉じ込めシステム100内の支持体115の特定用途に応じて変わる場合がある。一例として、一部の実施形態において、内部磁気コイル105は、他の実施形態よりも実質的に重くなる可能性があり、おそらくは、より重い内部磁気コイル105を支持するのにより適した材料を使用する必要がある。
【0023】
支持体115は、エンクロージャー110の何れか適切な区域に設置することができる。一部の実施形態では、支持体115をプラズマ領域120に浸す、又は部分的に浸すことができる。一部の実施形態において、支持体115は、プラズマ閉じ込めシステム100において、例えば、プラズマが内部磁気コイル105の周り及び/又はプラズマ領域120内の内部磁気コイル105と別の磁気コイルとの間を循環する再循環ゾーンなど、プラズマ領域120のプラズマ濃度が最も薄い区域に設置することができる。支持体115は、プラズマの閉じ込め又は制御に有害な影響を与えることなく、エンクロージャー110内のプラズマへの曝露に耐えるように適合させることができる。
【0024】
上述したように、支持体115は、何れかの適切な形状を有することができる。一部の実施形態では、支持体115は、楕円体の断面形状を有することができる。一部の実施形態では、この楕円体形状により、プラズマは支持体115の周りを滑らかに流れることができ、有利なことに、支持体115によるプラズマ閉じ込めへの有害な影響を防止することができる。一部の実施形態では、支持体115の断面は、磁場に直交する方向でより薄くなっている。支持体115をこのように方向付けることで、有利なことに、剛性を提供しつつ、表面へのプラズマ流束の減少をもたらすことができる。一部の実施形態では、支持体115の表面を被覆して、衝突するプラズマに対するスパッタリング耐性を与えることができる。
【0025】
内部磁気コイル105などの1又は2以上の内部磁気コイルが、プラズマ領域、例えばプラズマ領域120内に配置されるプラズマ閉じ込めシステムの例は、2018年5月1日に発行された米国特許第9,959,941号明細書に提供されており、これにより、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書に開示する特定の実施形態及び例は、特定のプラズマ閉じ込めシステムに言及する場合があるが、本明細書に開示する特定の技術及び装置は、構成要素がプラズマの一領域に配置され、何らかの機械的支持を必要とするあらゆる好適な閉じ込めシステムに実装することができる。
【0026】
図2A及び2Bは、それぞれ、特定の実施形態による、プラズマに対する遮蔽用の磁場「B」を発生させるように構成された例示的な支持体215を示す。図2Aは、電流225a及び225bが支持体215を貫流するように構成された例示的な支持体215を示す。この特定の例に示すように、電流225a及び225bは、例えば、エンクロージャー110から内部磁気コイル105へ、並びに内部磁気コイル105からエンクロージャー110へと、反対方向に流れる。各電流225aと225bは磁場を発生させ、これは、重ね合わせ原理により、記号Bで指定される単一の合成磁場を発生させる。図2Aに示すように、磁場Bは一般に、支持体215内の電流225aと225bの間ではページの中に向いており、電流225a及び225bの外側且つ支持体115の外側ではページから外に向いている。
【0027】
一部の実施形態では、電流225a及び225bは、支持体215内に配置された導電材で流すことができる。例えば、支持体215は、1又は2以上のワイヤ、又は電気を伝導するように構成された他の材料堆積物を含むことができる。一部の実施形態では、電流225a及び225bは、それぞれ、導電材の第1部分及び第2部分で流すことができる。例えば、電流225aは、支持体215内に配置された導電材の第1部分で流されるとすることができ、電流225bは、支持体215内に配置された導電材の第2部分で流されるのがよい。一部の実施形態では、第1部分と第2部分は、1又は2以上の巻線を有するコイル状配線の異なる部分として連結させることができる。例えば、第1部分は、エンクロージャー110から内部磁気コイル105への第1方向に電流を流す巻線の部分とすることができ、第2部分は、内部磁気コイル105からエンクロージャー110への第2方向に電流を流す巻線の部分とすることができる。支持体215内で電流を流すことのできる導電材の何れか適切な構成が、本明細書では想定されている。
【0028】
図2Bは、支持体215の断面図を示す。電流225a及び225bは、それぞれ、支持体215の長さに沿って、ページの中に、並びにページから外に向いている。図2Bは、1対の電流225a及び225bに由来する、図示の断面平面における例示的な磁力線230を示す。図示するように、磁力線230は、開いていても閉じていてもよい。例えば、電流225a及び225bに近い磁力線230ほど、より詰まって閉じたループである。しかしながら、電流225aと225bの中心点から特定の距離では、磁力線230は更に離れて広がり、もはや閉ループではない。閉じた磁力線230と開いた磁力線230の境界235は、流束境界又は磁気圏と呼ぶ場合がある。境界235は、電流225aと225bの中心点と、開いた磁力線230と閉じた磁力線230の間の遷移点との間の距離を定める半径「r」を含めて、1又は2以上のパラメータで定めることができる。半径「r」は、電流225a及び225bの特定構成に応じて変化する可能性がある。一般に、より大きな電流が支持体215を貫いて供給される場合に、半径「r」はより大きくなり得る。本明細書で更に詳述するように、境界235とその関係する磁気圏の半径「r」は、支持体215の長さに沿って変化するように構成することができる。
【0029】
特定の実施形態では、図2A及び2Bの例に示す磁場は、支持体215を通して1又は2以上の電流を流すことなく発生させることができる。例えば、一部の実施形態では、永久磁石の組み合わせを用いてこの磁場を発生させることができる。永久磁石の使用により、支持体215内に電流及び導電材を提供する必要性を低減することができる。しかしながら、永久磁石の使用は、実現できる磁場の幾何形状、及び/又は特定レベルの磁場強度の利用可能性を制限する可能性がある。
【0030】
図3A-3Dは、特定の実施形態による、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させる支持体215の様々な例示的構成を示す。前述のように、境界235とその関係する磁気圏の半径「r」は、支持体215の長さに沿って変化するように構成することができる。磁気圏半径「r」の変化は、いくつかの利点を有する場合がある。例えば、プラズマ閉じ込めデバイス100と内部磁気コイル105などのその構成要素の構成によっては、プラズマ領域120内のプラズマは、例えばプラズマを制御する/閉じ込める磁場を介して、プラズマ圧力を受ける場合があり、この磁場により、プラズマはより高い発生率で内部磁気コイル105及び/又はエンクロージャー110に衝突することになる。従ってプラズマが受ける「ドリフト」の一部を打ち消し、それによって内部磁気コイル105及び/又はエンクロージャー110へのプラズマ損失を低減するように、支持体215が発生させる磁場を構成することができる。特に、支持体215の磁場をプラズマ閉じ込めシステム100の磁場に重ね合わせて、より安定したプラズマ領域120をもたらすことができる。
【0031】
支持体215に沿う磁場の変化は、内部磁気コイル105とエンクロージャー110の間で支持体215に沿って変化する磁気圏半径「r」によって表すことができる。図3Aは、磁気圏半径「r」が支持体215に沿って変化し、それによって非ゼロ勾配を備えた磁場(例えば、支持体215に沿って∇B≠0)を与える支持体215の構成を示す。特に、図3Aは、例えば支持体215内の電流の特定構成による、結果として生じる磁場が磁気圏半径ra、rb、及びrcを有するような、支持体215の構成を示す。この特定の例では、raはrbよりも大きく、rcはrbよりも大きい。その結果として、磁気圏半径「r」は、支持体215の長さに沿って減少し、その後で増加する。
【0032】
別の実施形態によると、図3Bは、磁気圏半径rd、re、及びrfを有する支持体215の構成を示している。この特定の構成では、rdはreよりも小さく、rfはreよりも小さい。従って、磁気圏半径「r」は、支持体215の長さに沿って増加し、その後で減少する。
【0033】
別の実施形態によると、図3Cは、磁気圏半径rg、rh、及びriを有する支持体215の構成を示している。この例では、磁気圏半径「r」は、エンクロージャー110から内部磁気コイル105まで減少するだけである。別の実施形態によると、図3Dは、磁気圏半径rj、rk、及びrlを有する支持体215の構成を示している。この例では、磁気圏半径「r」は、エンクロージャー110から内部磁気コイル105まで増加するだけである。一部の実施形態では、支持体215の長さに沿う磁気圏半径の減少/増加は、均一、線形、非線形、階段状、又は何れか他の適切な変化であるのがよい。
【0034】
図3A-Dは、磁気圏半径「r」が支持体215の長さに沿って変化する支持体215の特定の例示的構成を提供するが、プラズマ損失を低減することができる、あらゆる他の適切な構成が本明細書では想定されている。例えば、プラズマ閉じ込めシステム100の異なる構成は、プラズマ損失を低減するための、支持体215の異なる磁場構成を保証することができる。別の例として、プラズマ閉じ込めシステム100における異なるコイル用の支持体は、異なる磁場トポロジを受けて、支持体215からの異なる重畳磁場を必要とする可能性がある。従って、支持体215に沿って非ゼロ勾配を備えた磁場を発生させる支持体215のあらゆる適切な構成が、本明細書において、並びに当業者の理解に照らして想定されている。
【0035】
図4は、特定の実施形態で導電材425を有する例示的な支持体415を示す。支持体415には、図4の図解付きの例に示すように、1又は2以上のループ又は巻線を有する導電材425を内部に配置することができる。一部の実施形態では、導電材425は、支持体415内で電流を伝導するように構成された金属線又はコイルの1又は2以上の巻線を含む。特定の実施形態では、導電材425は、1又は2以上の電流が導電材425を貫流するときに、非ゼロ勾配を備えた磁場が作り出されるように、支持体415内に配置される。例えば、電流が反対方向に流れている導電材425の部分間の距離d1、d2、及びd3は、支持体415の長さに沿って変化することができる。特に、導電材425の対向する部分は、内部磁気コイル105に近接して第1距離d1だけ、支持体415の中央付近で第2距離d2だけ、エンクロージャー110に近接して第3距離d3だけ、離れているのがよい。
【0036】
d1、d2、及びd3の相対的な値は、支持体415に沿った磁場の所望の変化(例えば、磁場勾配のプロファイル)に基づいて選択することができる。具体的には、支持体415内の導電材425の構成は、磁場の特定構成に基づいて選択することができる。図4の図解付きの例では、d1はd2よりも小さく、d2はd3よりも大きい。従って、対応する磁気圏半径r1はr2よりも大きく、r2はr3よりも小さい。
【0037】
上記の例では、支持体415に対する有効磁気圏半径は、支持体415内の導電材425の部分間の距離の変化に基づいて、支持体415の長さに沿って減少し、その後で増加する。これは、そのような構成の1つを表しているに過ぎず、支持体415内の導電材425の構成のバリエーションは、図3A-Dに示す構成、並びに当業者が認識し得るあらゆる他の構成を含めて、支持体415の長さに沿って非ゼロ勾配を有するあらゆる磁場に対して明示的に想定されている。
【0038】
図5A-Cは、特定の実施形態による、プラズマが貫流するスロット540を定める例示的な支持体515を示す。支持体515は、電流が流れて磁場遮蔽支持体515を作り出すことのできる導電材525を含むことができる。導電材525は、支持体515の長さに沿って非ゼロ勾配を有する磁場を作り出す上述の構成を含めて、何れかの適切な構成を有することができる。更に、支持体515は、支持体515及び導電材525を構成する材料が存在しないスロット540を定める。
【0039】
支持体515が発生させる磁場は、例えば磁気圏半径で定められた有効境界に基づいて、遮蔽効果を有することができるが、作り出された磁場により、依然として、プラズマは支持体515に向かって流れ、それに衝突することができる。例えば、図5Cに示すように、磁気圏境界535の外側から始まり、境界535内に入り、再び境界535の外側に出る、1又は2以上の磁力線530が存在する。プラズマは、磁力線530に沿って移動することができ、それゆえ、境界535内の領域から完全には排除されない可能性がある。その結果として、プラズマは、支持体515の一部に衝突するようにプラズマを導く磁力線に追従しようとする可能性がある。
【0040】
特定の実施形態では、支持体515は、スロット540の向きが、導電材525の対向する部分間の磁力線の向きと一致するように、スロット540を定める。例えば、スロット540は、磁力線と同じ軸方向を有するように定めることができる。図5Bに示すように、スロット540をプラズマの流れ方向に向けることができる。このようにして、支持体515の遮蔽磁場によって方向転換されないプラズマは、支持体515に衝突するのではなく、スロット540を貫流することができる。
【0041】
スロット540のサイズ及び形状は、プラズマの支持体515との衝突を最小限に抑えるように定めることができる。例えば、スロット540のサイズは、支持体515に必要な機械的強度、及び/又は支持体515内の導電材について必要とされるスペース及び構成を考慮して、最大化することができる。例えば、図5A-5Cに示すような巻線構成が使用される場合、スロット540は、導電材525が存在しない支持体515の中央部分に定めることができる。一部の実施形態では、スロット540は細長い孔とすることができ、特定の実施形態では、スロット540はオーバル形又は円形の形状を有することができる。
【0042】
スロット540を例示的な支持体515に設けているが、スロット540或いは何れか同様の切り抜き又は孔は、本明細書に開示する支持体215、415、515、615の何れの構成又は特徴とも併せて使用することができる。
【0043】
図6は、特定の実施形態による、異なる断面積を備えた複数の巻線を有する導電材625を備えた例示的な支持体615を示す。別の言い方をすると、支持体615は、支持体615の長さに沿って変化する電流の集中度(concentration)を支持する導電材625を含むことができる。図4に関連して論じた実施形態とは異なり、反対方向に電流を流す導電材625の部分間の距離は変化する必要がない。図解付きの例に示すように、変化する磁気圏半径は、異なる位置で始まり終わる巻線を設けることによって達成することができる。言い換えれば、巻線の面積は変化することができる。
【0044】
図6の例に示すように、導電材625aの巻線は、支持体615の内部で内部磁気コイル105に近接して輪を描くことができ、それによって、支持体615内に、より高い電流の集中度を有する領域が生成され、ひいては、より大きな磁気圏半径を有する磁場が発生する。同様に、導電材料625cの巻線は、支持体615の内部でエンクロージャー110に近接して輪を描くことができ、それによって、支持体615内に、より高い電流の集中度を有する領域が生成され、ひいては、より大きな磁気圏半径を有する磁場が発生する。対照的に、支持体615の中央付近の導電材625bの巻線は、より大きな面積を有することができ、それゆえ、より低い電流の集中度を有する。従って、支持体615の中央付近の磁気圏半径は、支持体615の両端における磁気圏半径よりも小さいのがよい。このようにして、支持体615内の導電材625を用いて、支持体615の長さに沿って変化し、非ゼロ勾配を有する磁場を発生させることができる。
【0045】
図6は、支持体615内に異なる面積及び/又は異なる集中度を備えた巻線を有する導電材625の例示的な一構成を示しているに過ぎない。導電材625の巻線の配置を変化させるあらゆる適切な構成が、本明細書では想定されている。例えば、異なる断面積の巻線を備えた導電材625の構成を用いて、支持体615の長さに沿って変化し、その方向に沿って非ゼロ勾配を有する何れか適切な磁場を生成することができる。特に、導電材625は、図3A-Dに示す磁気圏半径の構成、又はプラズマ損失を低減するためにプラズマ閉じ込めシステム100内で使用できる何れか他の構成を作り出すように構成することができる。
【0046】
図7は、特定の実施形態による、プラズマに曝される構造体を遮蔽するための例示的な方法700のフローチャート図解を示す。例えば、方法700は、プラズマ閉じ込めシステム100などのプラズマ閉じ込めシステムにおいて実装することができ、この場合、プラズマ内に配置される又は浸される1又は2以上の構成要素が機械的な支持を必要とする。方法700は、ステップ710で開始することができ、ここでは、内部磁気コイル105などの1又は2以上の内部磁気コイルが、エンクロージャーのプラズマ領域内に懸下される。例えば、内部磁気コイルをプラズマ閉じ込めシステムで使用して磁場を発生させ、例えば核融合プロセスを用いてエネルギを発生させるために、プラズマを制御する及び/又は閉じ込めることができる。内部磁気コイルは、有利には、内部磁気コイルがプラズマに曝されるようなシステム内の領域の中に、例えば、システムの運転中にプラズマが流動している、又は別の態様で存在するエンクロージャーの領域内に配置することができる。コイルは、その姿勢と、非遮蔽構成要素又はプラズマに浸されるようには設計されないプラズマ閉じ込めシステムの他の構成要素から離れた位置とを維持するために、機械的な支持を必要とする場合がある。
【0047】
ステップ520では、1又は2以上の支持体を用いて、エンクロージャー内に懸下された1又は2以上の内部磁気コイルを支持する。1又は2以上の支持体は、少なくとも部分的にはプラズマ領域内に配置することができる。例えば、内部磁気コイルがプラズマ領域に完全に浸される場合、プラズマ領域内で支持体を内部磁気コイルに連結することができる。これは、プラズマ領域内で内部磁気コイルの配置を支持することのトレードオフとして、プラズマ領域内のプラズマによる潜在的な影響に支持体を曝す可能性がある。
【0048】
ステップ730では、1又は2以上の支持体の各々に沿って磁場を発生させることができる。発生した磁場は、入射プラズマから支持体を遮蔽する又は「防護する」ことができる。例えば、発生した磁場は、背景磁場のトポロジを改変して、支持体に近接する磁力線を修正することができる。これには、支持体の一部と交差する経路を有するのではなく、支持体の周囲に延びる磁力線を生成するステップを含めることができる。特定の実施形態では、発生した磁場は、1又は2以上の支持体の各々内に配置された導電材に供給される電流を用いて、支持された内部磁気コイルとの間で支持体の長さに沿って変化する。特に、導電材は、電気が供給されたときに、結果として生じる磁場が支持体の長さに沿う方向に非ゼロ勾配を有するように、支持体内で特定の方法で構成することができる。別の言い方をすれば、支持体215、315、515、及び615の例に示すように、支持体に発生した磁場の有効磁気圏半径は、その長さに沿って変化することができる。このようにして、支持体は、プラズマ損失を低減する磁場を発生させることができる。
【0049】
図7に描写する方法700に修正、追加、又は省略を加えることができる。何れかのステップを並行して、又は何れか適切な順序で実行することができる。更に、方法700は、より多くの、より少ない、又は他のステップを含むことができる。更に、方法700のステップの1又は2以上、或いはその実施形態は、プラズマ閉じ込めシステム100又は支持体115、215、415、515、及び/又は615の何れか適切な構成要素又は構成要素の組み合わせで実行することができる。
【0050】
本開示は、本明細書に開示する様々な実施形態及び例に関して記載した様々な技術的利点など、数多くの利点を提供することができる。他の技術的利点は、以下の図、説明、及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らかとなろう。更に、本開示では特定の利点を上に挙げたが、様々な実施形態は、列挙した利点の全部又は一部を含む、或いは一切含まない場合がある。
【0051】
本開示の範囲は、本明細書に記載する又は図示する例示的な実施形態に対して、当業者が理解するであろう全ての変更、置換え、変形、改変、及び修正を包含する。本開示の範囲は、本明細書に記載する又は図示する例示的な実施形態に限定されない。更に、本開示は、特定の構成要素、要素、機能、動作、又はステップを含むものとして、本明細書にそれぞれの実施形態を記載し図示するが、これらの実施形態のどれもが、本明細書のどこかで記載又は図示した構成要素、要素、機能、動作、又はステップの何れかの、当業者が理解するであろうあらゆる組み合わせ又は並べ換えを含むことができる。更に、添付の特許請求の範囲において、装置又はシステム、或いは装置又はシステムの構成要素が、特定の機能を実行するように適応される、配置される、能力がある、構成される、有効化される、動作可能である、又は動作するという言及は、その装置、システム、又は構成要素がそのように適応される、配置される、能力がある、構成される、有効化される、動作可能である、又は動作する限り、それが又はその特定の機能が作動している、オンになっている、又はロック解除されているか否かに関わらず、その装置、システム、構成要素を包含する。
【0052】
本開示をいくつかの実施形態を用いて説明してきたが、無数の変更、変形、改変、変換、及び修正を当業者に提案することができ、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれるような変更、変形、改変、変換、及び修正を包含するものとする。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7