(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】磁束スイッチシステム
(51)【国際特許分類】
H03K 19/195 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
H03K19/195
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022038128
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-03-28
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】コディ ジェームズ バラード
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ホステトラー ミクリック
(72)【発明者】
【氏名】ミカ ジョン アトマン スタウティモア
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル ディ.ストランド
(72)【発明者】
【氏名】カート プレイム
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-524131(JP,A)
【文献】特表2019-522864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/195
H10N 60/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁束スイッチシステムであって、
質問パルスを供給するように構成された入力段と、
前記入力段に結合され、かつ第1のジョセフソン接合と、入力電流に誘導的に結合された第1のインダクタとを含む第1の磁束ループ
であって、前記第1の磁束ループは、バイアス電流に応答して第1の電流を第1の方向に循環させるように構成されている、前記第1の磁束ループと、
前記第1の磁束ループに結合され、かつ第2のジョセフソン接合と、前記入力電流に誘導的に結合された第2のインダクタとを含む第2の磁束ループであって、前記第2の磁束ループは、前記バイアス電流に応答して第2の電流を前記第1の方向とは反対の第2の方向に循環させるように構成されている、前記第2の磁束ループと、
前記第1の磁束ループの前記第1のジョセフソン接合は、第1の極性の前記入力電流から生じる前記第1の電流の振幅の加算的変化に基づいて、前記質問パルスに応答してトリガして出力パルスを生成し、かつ前記第1の極性とは反対の第2の極性の前記入力電流から生じる前記第1の電流の振幅の減算的変化に基づいて、前記質問パルスに応答してトリガせず出力パルスを生成しないように構成されており、
前記第2の磁束ループに結合され、かつ前記出力パルスを
前記磁束スイッチシステムの出力に伝搬するように構成された出力段と、を備える磁束スイッチシステム。
【請求項2】
前記第1のインダクタは、前記第1の極性の入力電流に応答して前記第1の電流の振幅を増加させ、前記第2の極性の入力電流に応答して前記第1の電流の振幅を減少させるように構成され、前記第2のインダクタは、前記第1の極性の入力電流に応答して前記第2の電流の振幅を減少させ、前記第2の極性の入力電流に応答して前記第2の電流の振幅を増加させるように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記入力段が入力インダクタを含み、前記第1および第2のインダクタが前記入力インダクタのインダクタンス値よりも小さいインダクタンス値を有する、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記入力段が入力ジョセフソン伝送線(
以下、JTL
とする)を含み、前記出力段が出力JTLを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記
質問パルスは、レシプロカル量子論理(RQL)パルスとして供給され、前記入力JTLおよび前記出力JTLの各々は、AC RQLクロック信号を受信するように構成される、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記出力段は、前記出力パルスに応答して負のフラクソンを提供して、個々の
前記第1および第2の磁束ループの各ジョセフソン接合をリセットするように構成されたリセット段をさらに含む、請求項
4に記載のシステム。
【請求項7】
前記リセット段は、低電圧レールに結合された入力と、前記出力JTLに結合された出力とを含むJTLとして配置され、前記リセット段は、
前記出力パルスを受信するとともに、
前記出力パルスを負のフラクソンとして反射するように構成される、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
入力電流の極性を決定するための方法であって、
第1の磁束ループ
および第2の磁束ループの各々にバイアス電流を供給
して、前記第1の磁束ループにおいて第1の電流を第1の方向に循環させるとともに、前記第2の磁束ループにおいて第2の電流を前記第1の方向とは反対の第2の方向に循環させるステップと、前記
第1および第2の磁束ループの各々は、
インダクタと、ジョセフソン接合
とを含んでおり、
前記第1および第2の磁束ループの各々に関連する前記インダクタを介して前記
第1および第2の磁束ループの各々に
前記入力電流を誘導的に供給するステップと、
入力段を介して前記
第1および第2の磁束ループに
質問パルスを供給するステップと、
第1の極性の前記入力電流から生じる前記第1の電流の振幅の加算的変化に基づいて、前記質問パルスに応答して前記第1および第2の磁束ループの各々の前記ジョセフソン接合
がトリガ
することの結果により出力段から提供される出力パルスに応答して、
前記入力電流が
前記第1の極性を有していると決定するステップと、
前記第1の極性とは反対の第2の極性の前記入力電流から生じる前記第1の電流の振幅の減算的変化に基づいて、前記質問パルスに応答して前記第1の磁束ループの前記ジョセフソン接合がトリガしないことの結果により前記出力段から出力パルスが提供されないことに応答して、
前記入力電流が
前記第2の極性を有していると決定するステップと、を含む方法。
【請求項9】
前記入力段が入力インダクタを含み、
前記第1および第2の磁束ループの
前記インダクタが前記入力インダクタのインダクタンス値よりも小さいインダクタンス値を有する、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記
質問パルスを供給するステップは、前記入力段に関連付けられた入力ジョセフソン伝送線(JTL)を介して前記
質問パルスをレシプロカル量子論理(RQL)パルスとして供給することを含み、方法は、RQLクロック信号を入力JTLに供給するとともに、前記出力段に関連付けられた出力JTLに供給するステップをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記出力段に関連付けられたリセット段から
前記出力パルスを負のフラクソンとして反射して、個々の前記
第1および第2の磁束ループの各ジョセフソン接合をリセットするステップをさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、古典的および超伝導コンピューティングシステムに関し、より詳細には、磁束スイッチシステム(flux switch system)に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の超伝導回路では、データ状態を制御するために制御電流が一般的に用いられる。例えば、制御ループに磁束を誘導してデータを制御するために、超伝導回路に誘導的な結合を介して電流を誘導的に供給することができる。このような制御電流を実施する様々な種類の超伝導回路には、超伝導量子干渉デバイス(SQUID:superconducting quantum interference device)、量子磁束パラメトロン(QFP:quantum flux parametron)、またはその他の様々なデバイスなどがある。超伝導回路または超伝導回路の一部に供給される制御電流は、電流方向に関して未知である場合がある。従って、制御電流の符号を照会して制御電流の電流の流れの方向を示すために、追加の回路が実装される可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9646682号明細書
【文献】米国特許第10574251号明細書
【発明の概要】
【0004】
一例は、磁束スイッチシステムを含む。システムは、インタロゲーションパルス(質問パルス:interrogation pulse)を供給するように構成された入力段を含む。システムはまた、入力電流を受け取るように構成された複数の磁束ループをも含む。複数の磁束ループの各々は、第1の極性の入力電流に応答してトリガして出力パルスを生成し、第1の極性とは反対の第2の極性の入力電流に応答してトリガせず出力パルスを生成しないように構成されたジョセフソン接合を含む。システムは、出力パルスを磁束スイッチシステムの出力に伝搬するように構成された出力段をさらに含む。
【0005】
別の例は、入力電流の極性を決定するための方法を含む。方法は、磁束ループの各々に電流を供給するために、複数の磁束ループの各々にバイアス電流を供給することを含む。複数の磁束ループの各々は、ジョセフソン接合を含む。方法は、複数磁束ループの各々に入力電流を誘導的に提供することと、入力段を介して複数の磁束ループにインタロゲーションパルスを供給することとを含む。方法は、インタロゲーションパルスに応答した、かつ複数の磁束ループの各々における電流に基づく複数の磁束ループの各々のジョセフソン接合のトリガの結果により出力段から提供される出力パルスに応答して、入力電流が第1の極性を有していると決定することをも含む。方法は、出力段から出力パルスが提供されないことに応答して、入力電流が第1の極性とは反対の第2の極性を有していることを決定することをさらに含む。
【0006】
別の例は、磁束スイッチシステムを含む。システムは、レシプロカル量子論理(RQL)インタロゲーションパルスを提供するように構成された入力段を含む。システムは、入力電流に誘導的に結合される第1のインダクタ、および第1のジョセフソン接合を含む第1の磁束ループをも含む。第1のインダクタおよび第1のジョセフソン接合の各々が入力段に結合され、第1の磁束ループは、バイアス電流に応答して第1の電流を伝導するように構成される。システムは、入力電流に誘導的に結合される第2のインダクタ、および第2のジョセフソン接合を含む第2の磁束ループをも含む。第2の磁束ループは、バイアス電流に応答して第2の電流を伝導するように構成される。第1および第2のジョセフソン接合は、第1および第2の電流の相対関係に基づいて第1の極性の入力電流およびRQLインタロゲーションパルスに応答してトリガしてRQL出力パルスを生成するように構成され、第2の極性の入力電流およびRQLインタロゲーションパルスに応答してトリガしないように構成される。システムは、第2のインダクタおよび第2のジョセフソン接合に結合された出力段をさらに含む。出力段は、RQL出力パルスを磁束スイッチシステムの出力に伝搬するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】磁束スイッチシステムの一例を示す図である。
【
図6】入力電流の極性を決定するための方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、概して、古典的および超伝導コンピューティングシステムに関し、より詳細には、磁束スイッチシステムに関する。磁束スイッチシステムは、超伝導回路システムなどにおいて、電流の符号の指示を提供するためのアナログ-デジタルコンバータ(ADC)として構成することができる。例えば、ADCは、第1の電流方向を有する電流に応答して出力パルス(例えば、レシプロカル量子論理(RQL:reciprocal quantum logic)パルス)を提供し、第2の電流方向を有する電流に応答して出力パルスを提供しないように構成されたシングルビットADCとすることができる。例えば、磁束スイッチシステムには、インタロゲーションパルス(例えば、RQLパルス)を電流の電流方向を問い合わせるために供給することができる。
【0009】
磁束スイッチシステムは、入力段、出力段、および複数の磁束ループを含む。入力段は、監視されるべき入力電流の符号を問い合わせるために供給されるインタロゲーションパルス(例えば、RQLパルス)を受信するように構成される。入力電流が複数の磁束ループに提供されると、入力電流が磁束ループに誘導的に結合されて、磁束ループに電流を誘導するようにすることができる。一例として、磁束ループは、第1の磁束ループおよび第2の磁束ループを含むことができ、これらはそれぞれ、磁束ループ内で反対方向に循環する第1および第2の電流を供給するバイアス電流を受け取る。従って、第1および第2の電流は、個々の磁束ループ内の磁束に対して、定常状態の等しい反対の振幅を提供する。例として、磁束ループはそれぞれ、ジョセフソン接合と、入力電流から誘導電流を受け取るインダクタとを含むことができる。
【0010】
第1の方向を有する入力電流に応答して、入力電流は、第1の方向に電流を誘導して、第1の電流の振幅を増加させ、第2の電流の振幅を減少させることができる。第1の電流の振幅の増加により、第1の磁束ループに関連付けられたジョセフソン接合のバイアスが増加して、ジョセフソン接合がインタロゲーションパルスに応答してトリガすることができるようにすることができる。従って、第1の磁束ループのジョセフソン接合のトリガにより、第2の磁束ループのジョセフソン接合のトリガを生じさせることができ、従って、第2の磁束ループに結合された出力段から、入力電流が第1の電流方向を有していることを指示するための出力パルス(例えば、RQLパルス)を提供することができる。しかしながら、第1の方向とは反対の第2の方向を有する入力電流に応答して、入力電流は、第1の方向とは反対の第2の方向に電流を誘導して、第1の電流の振幅を減少させ、第2の電流の振幅を増加させることができる。第1の電流の振幅の減少により、第1の磁束ループに関連付けられたジョセフソン接合のバイアスを減少させることができる。その結果、第1の磁束ループのジョセフソン接合は、インタロゲーションパルスに応答してトリガされない。従って、出力段から、入力電流が第2の電流方向を有していることを指示するパルスは提供されない。
【0011】
図1は、磁束スイッチシステム10の一例を示す。磁束スイッチシステム10は、インタロゲーションパルスINT
IN(例えば、レシプロカル量子論理(RQL)パルス)に応答して入力電流I
INの符号(例えば、方向)を決定するために、様々な超伝導コンピュータシステムのいずれかに実装され得る。例えば、磁束スイッチシステム10は、入力電流I
INの符号の指示を提供するためのアナログ-デジタルコンバータ(ADC)として構成することができる。例えば、磁束スイッチシステム10は、第1の電流方向を有する入力電流I
INに応答して出力パルスINT
OUT(例えば、RQLパルス)を提供し、第2の電流方向を有する入力電流I
INに応答して出力パルスINT
OUTを提供しないように構成されたシングルビットADCとすることができる。
【0012】
磁束スイッチシステム10は、入力段12、複数の磁束ループ14、および出力段16を含む。入力段12は、インタロゲーションパルスINTINを伝搬するように構成されたジョセフソン伝送線(JTL)として構成することができる。例えば、インタロゲーションパルスINTINはRQLパルスとすることができ、入力段12は、RQLクロック信号を介してバイアスされて、インタロゲーションパルスINTINを受信して、インタロゲーションパルスINTINを磁束ループ14に伝搬することができる。一例として、インタロゲーションパルスINTINを入力電流IINの状態を問い合わせるために磁束スイッチシステム10に供給することができ、インタロゲーションパルスINTINは、入力電流IINが非ゼロ振幅を有するときに供給することができるようになっている。
【0013】
磁束ループ14は、
図1の例において、入力電流I
INとバイアス信号BIASの両方を受け取るものとして示されている。例えば、磁束ループ14は、インダクタおよびジョセフソン接合をそれぞれが含む第1の磁束ループおよび第2の磁束ループを含む。一例として、入力電流I
INは、第1および第2の磁束ループ14の各々に関連付けられたインダクタを介して、磁束ループ14の各々に誘導的に結合される。個々の磁束ループ14内で反対方向に循環する第1および第2の電流を供給するために、バイアス信号BIASが各磁束ループ14に供給される。従って、第1および第2の電流は、個々の磁束ループ14内の磁束に対して、定常状態の等しい反対の振幅を提供する。本明細書で説明するように、第1および第2の電流は、磁束ループ14の個々のジョセフソン接合のバイアスを調整するために、入力電流I
INの誘導的な結合によって変更される振幅を有する。
【0014】
出力段16は、最後の磁束ループ14(例えば、第2の磁束ループ14)に結合され、インタロゲーションパルスINTINおよび入力電流IINの第1の電流方向に応答した出力パルスINTOUTを伝搬し、インタロゲーションパルスおよび入力電流IINの第2の電流方向に応答した出力パルスINTOUTを伝搬しないように構成される。例えば、第1の電流方向を有する入力電流IINに応答して、入力電流IINは、磁束ループ14の各々において第1の方向に電流を誘導して、第1の磁束ループ14の第1の電流の振幅を増加させ、第2の磁束ループ14の第2の電流の振幅を減少させることができる。第1の電流の振幅の増加により、第1の磁束ループ14に関連付けられたジョセフソン接合のバイアスが増加して、ジョセフソン接合がインタロゲーションパルスINTINに応答してトリガすることができるようにすることができる。従って、第1の磁束ループ14のジョセフソン接合のトリガにより、第2の磁束ループ14のジョセフソン接合のトリガを生じさせることができ、従って、出力段16から、入力電流IINが第1の電流方向を有していることを指示するための出力パルスINTOUT(例えば、RQLパルス)を提供することができる。
【0015】
第1の方向とは反対の第2の方向を有する入力電流IINに応答して、入力電流IINは、磁束ループ14の各々において第1の方向とは反対の第2の方向に電流を誘導して、第1の磁束ループ14の第1の電流の振幅を減少させ、第2の磁束ループ14の第2の電流の振幅を増加させることができる。第1の電流の振幅の減少により、第1の磁束ループ14に関連付けられたジョセフソン接合のバイアスを減少させることができる。その結果、第1の磁束ループ14のジョセフソン接合は、インタロゲーションパルスINTINに応答してトリガされない。従って、出力段16から、入力電流IINが第2の電流方向を有していることを指示するパルスは提供されない。
【0016】
従って、本明細書に記載の磁束スイッチシステム10は、超伝導回路における電流方向を問い合わせるための典型的なADCの実装形態とは対照的に、超伝導持続電流に対応する入力電流IINの電流方向を問い合わせるロバストな方法を提供する。例えば、一般的なADC設計では、動作マージンが低く、測定回路においてクロックに起因するノイズが発生することがある。機能するために、そのような典型的なADCは、(例えば、正しい極性で)問い合わせられる入力電流からADCにおいて誘導される追加の電流が、ADCのジョセフソン接合を励起するために必要な最終閾値を提供する動作点にDCバイアスすることができ、これにより、出力においてデジタルの「論理1」のストリームを導くことができる。ADCは、入力電流がゼロになると出力にデータが生成されないポイントにバイアスされるため、典型的なADCの方式では、超伝導回路から得られる入力電流範囲の半分のみを使用しており、これが動作マージンが低い主な原因となっている。しかしながら、磁束スイッチシステム10は、入力電流IINが存在するときに、入力電流IINの第1の方向における第1の状態と、入力電流IINの第2の方向における第2の状態とを提供するように、問い合わせを受ける。さらに、RQLインタロゲーション用の典型的なADCは、ROLクロック線によってバイアスされるジョセフソン接合に依存している。典型的なADCにおけるRQLクロック型のジョセフソン接合は、測定される回路にノイズを誘発する可能性があり、これは、入力信号の歪みを導入し、かつ測定される超伝導回路の感度によっては測定の忠実度を低下させる可能性がある。しかしながら、磁束スイッチシステム10は、本明細書でより詳細に説明されるように、RQLクロック信号からバイアスされないジョセフソン接合を実装しているため、磁束スイッチシステム10の動作に対するノイズの悪影響が軽減される。
【0017】
図2は、磁束スイッチ回路50の一例を示す。磁束スイッチ回路50は、入力電流I
INの符号(例えば、方向)を決定するために、様々な超伝導コンピュータシステムのいずれかに実装され得る。磁束スイッチ回路50は、
図1の例における磁束スイッチシステム10に対応することができる。従って、
図2の例の以下の説明では、
図1の例が参照される。
【0018】
磁束スイッチ回路50は、入力段52および出力段54を含む。
図2の例では、入力段52は、JTL56および入力インダクタL
INを含む。JTL56は、前のJTL段などから供給されたインタロゲーションパルスINT
INを受信して伝搬するように構成される。例えば、インタロゲーションパルスINT
INはRQLパルスとすることができ、JTL56は、RQLクロック信号(図示せず)を介してバイアスされて、インタロゲーションパルスINT
INを入力インダクタL
INに伝搬することができるようになっている。一例として、インタロゲーションパルスINT
INを入力電流I
INの状態を問い合わせるために磁束スイッチ回路50に供給することができ、インタロゲーションパルスINT
INは、入力電流I
INが非ゼロ振幅を有するときに供給することができるようになっている。同様に、出力段54は、出力インダクタL
OUT、第1のJTL58、および第2のJTL60を含む。一例として、第1および第2のJTL58および60は、RQLクロック信号を介して(例えば、少なくとも第1のJTL58についてはJTL56と同じ位相を介して)同様にバイアスされる。
【0019】
また、磁束スイッチ回路50は第1の磁束ループ62および第2の磁束ループ64を含む。第1の磁束ループ62は、入力インダクタLINに結合され、かつジョセフソン接合J1およびインダクタL1を含む。第2の磁束ループ64は、出力インダクタLOUTに結合され、かつジョセフソン接合J2およびインダクタL2を含み、インダクタL1およびL2ならびにジョセフソン接合J1およびJ2は、平衡配置に構成されるようになっている。一例として、インダクタL1およびL2は、入力インダクタLINおよび出力インダクタLOUTのインダクタンスのインダクタンスよりも小さいほぼ等しいインダクタンスを有する。別の例として、入力インダクタLINおよび出力インダクタLOUTは、本明細書でより詳細に説明されるように、第1および第2の磁束ループ62および64のバランスをとるためにほぼ等しいインダクタンスを有することができる。磁束ループ62および64は、バイアス電流IBIASが流れる第2のバイアスインダクタLBIAS2に誘導的に結合された共有の第1のバイアスインダクタLBIAS1をさらに含む。従って、バイアス電流IBIASは、第1および第2の磁束ループ62および64の各々に反対方向に誘導的に供給されて、個々のインダクタL1およびL2を通って流れるほぼ等しい反対の電流によりジョセフソン接合J1およびJ2の各々に定常状態バイアスを供給する。
【0020】
図3は、磁束スイッチ回路100の別の例を示す。磁束スイッチ回路100は、
図2の例における磁束スイッチ回路50の一部に対応する。従って、
図3の例の以下の説明では、
図2の例が参照され、
図2の例と同様の参照番号が使用される。磁束スイッチ回路100は、第1の磁束ループ62および第2の磁束ループ64を含む。
図3の例では、バイアス電流I
BIASによって(例えば、バイアスインダクタL
BIAS1およびL
BIAS2を介して)供給される誘導電流に対応することができる電流I
Bが、磁束ループ62および64の各々に供給される。従って、電流I
Bは、第1の磁束ループ62の周りで第1のインダクタL
1および第1のジョセフソン接合J
1を通って反時計回り方向に流れる第1の電流I
1と、第2の磁束ループ64の周りで第2のインダクタL
2および第2のジョセフソン接合J
2を通って時計回りの方向に流れる第2のインダクタL
2を通る第2の電流I
2として分割される。
【0021】
また、
図3の例は第1の磁束ループ62に結合された入力インダクタL
INおよび第2の磁束ループ64に結合された出力インダクタL
OUTを示している。前述したように、インダクタL
1およびL
2は、入力インダクタL
INおよび出力インダクタL
OUTのインダクタンスのインダクタンスよりも小さいほぼ等しいインダクタンスを有することができ、入力インダクタL
INおよび出力インダクタL
OUTは、第1および第2の磁束ループ62および64のバランスをとるためにほぼ等しいインダクタンスを有することができる。従って、電流I
1は、(高インピーダンスを有する入力インダクタL
INではなく)ジョセフソン接合J
1を流れ、電流I
2は、(高インピーダンスを有する出力インダクタL
OUTではなく)ジョセフソン接合J
2を流れる。従って、電流I
1およびI
2は、本明細書でより詳細に説明されるように、入力電流I
INの不在に対応する定常状態で振幅がほぼ等しくなり、ジョセフソン接合J
1およびJ
2の定常状態バイアスを個々に供給することが可能である。
【0022】
図2の例に戻って参照すると、インダクタL
1はインダクタL
3に誘導的に結合され、インダクタL
2はインダクタL
4に誘導的に結合されている。インダクタL
3およびL
4は、導体66上に直列に配置され、導体66を介して入力電流I
INが、第1の方向または第1の方向とは反対の第2の方向のいずれかに供給される。従って、入力電流I
INが導体66に供給されると、入力電流I
INは、磁束ループ62および64に電流を誘導し、その結果、電流I
1およびI
2の正味の振幅変化が生じる。電流I
1およびI
2は、インダクタL
1およびL
2を介して反対方向に流れるため、入力電流I
INは、入力電流I
INの方向に基づいて、電流I
1およびI
2の一方の振幅を増加させ、電流I
1およびI
2の他方の振幅を等しく減少させることにより、電流I
1およびI
2の振幅を相対的に変化させる。その結果、入力電流I
INの電流方向(即ち、符号)に基づいて、ジョセフソン接合J
1およびJ
2のバイアスを相対的に変化させることができる。
【0023】
図4は、磁束スイッチ回路150の別の例を示す。磁束スイッチ回路150は、
図2の例における磁束スイッチ回路50の一部に対応する。従って、
図4の例の以下の説明では、
図2および
図3の例が参照され、
図2の例と同様の参照番号が使用される。磁束スイッチ回路150は、第1の磁束ループ62および第2の磁束ループ64を含む。
図4の例では、バイアス電流I
BIASによって(例えば、バイアスインダクタL
BIAS1およびL
BIAS2を介して)供給される誘導電流に対応することができる電流I
Bが、磁束ループ62および64の各々に供給される。従って、電流I
Bは、第1の磁束ループ62の周りで第1のインダクタL
1および第1のジョセフソン接合J
1を通って反時計回り方向に流れる第1の電流I
1と、第2の磁束ループ64の周りで第2のインダクタL
2および第2のジョセフソン接合J
2を通って時計回りの方向に流れる第2のインダクタL
2を通る第2の電流I
2として分割される。
【0024】
図4の例では、入力電流I
INは、第1の方向(例えば、第1の符号)に導体66上に供給されるものとして示されている。入力電流I
INが導体66上に、従って、インダクタL
3およびL
4を介して供給される結果として、インダクタL
3は、インダクタL
1を介して、第1の電流I
1に加算される電流を第1の磁束ループ62上に誘導する。従って、
図4の例において、第1の電流I
1は、第1の方向における入力電流I
INへの誘導結合から供給される、加算振幅(例えば、電流I
Bと同じ方向)の結果としての第1の電流I
1の振幅の増加に対応する太い線として示されている。同様に、インダクタL
4は、インダクタL
2を介して、第2の電流I
2から減算される電流を第2の磁束ループ64上に誘導する。従って、
図4の例において、第2の電流I
2は、第1の方向における入力電流I
INへの誘導結合から供給される、減算振幅(例えば、電流I
Bとは反対方向)の結果としての第2の電流I
2の振幅の減少に対応する細い線として示されている。
【0025】
第1の電流I
1の振幅の増加に基づいて、第1の電流I
1は、第1のジョセフソン接合J
1のバイアスを増加させる。以前に説明したように、
図4の例において152で示されているインタロゲーションパルスINT
INは、入力電流I
INの符号を問い合わせるために、入力段52に供給され、入力段52を通って伝搬する。入力段52から入力インダクタL
IN(
図4の例には図示せず)を介して供給されるインタロゲーションパルスINT
INに応答して、インタロゲーションパルスINT
INは、ジョセフソン接合J
1の増加バイアスに加算されて、ジョセフソン接合J
1をトリガすることができる。従って、ジョセフソン接合J
1は、インダクタL
1およびインダクタL
2を伝搬して、ジョセフソン接合J
2をもトリガする電圧パルスを同様に生成することができる。従って、ジョセフソン接合J
2は、
図4の例において154で示されている出力パルスINT
OUTに対応する電圧パルスを放出することができ、入力電流I
INが第1の符号を有しており、従って、第1の方向に流れることを指示するために、この電圧パルスは、出力段54に伝搬し、出力段54を通って伝搬することができる。
【0026】
図5は、磁束スイッチ回路200の別の例を示す。磁束スイッチ回路200は、
図2の例における磁束スイッチ回路50の一部に対応する。従って、
図5の例の以下の説明では、
図2から
図4の例が参照され、
図2の例と同様の参照番号が使用される。磁束スイッチ回路200は、第1の磁束ループ62および第2の磁束ループ64を含む。
図5の例では、バイアス電流I
BIASによって(例えば、バイアスインダクタL
BIAS1およびL
BIAS2を介して)供給される誘導電流に対応することができる電流I
Bが、磁束ループ62および64の各々に供給される。従って、電流I
Bは、第1の磁束ループ62の周りで第1のインダクタL
1および第1のジョセフソン接合J
1を通って反時計回り方向に流れる第1の電流I
1と、第2の磁束ループ64の周りで第2のインダクタL
2および第2のジョセフソン接合J
2を通って時計回りの方向に流れる第2のインダクタL
2を通る第2の電流I
2として分割される。
【0027】
図5の例では、入力電流I
INは、
図4の例の第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、第2の符号)に導体66上に供給されるものとして示されている。入力電流I
INが導体66上に、従ってインダクタL
3およびL
4を介して供給される結果として、インダクタL
3は、インダクタL
1を介して、第1の電流I
1から減算される電流を第1の磁束ループ62上に誘導する。従って、
図5の例において、第1の電流I
1は、第2の方向における入力電流I
INへの誘導結合から供給される、減算振幅(例えば、電流I
Bとは反対方向)の結果としての第1の電流I
1の振幅の減少に対応する細い線として示されている。同様に、インダクタL
4は、インダクタL
2を介して、第2の電流I
2に加算される電流を第2の磁束ループ64上に誘導する。従って、
図5の例において、第2の電流I
2は、第2の方向における入力電流I
INへの誘導結合から供給される、加算振幅(例えば、電流I
Bと同じ方向)の結果としての第2の電流I
2の振幅の増加に対応する太い線として示されている。
【0028】
第1の電流I
1の振幅の減少に基づいて、第1の電流I
1は、第1のジョセフソン接合J
1のバイアスを減少させる。以前に説明したように、
図5の例において202で示されているインタロゲーションパルスINT
INは、入力電流I
INの符号を問い合わせるために、入力段52に供給され、入力段52を通って伝搬する。入力段52から入力インダクタL
IN(
図5の例には図示せず)を介して供給されるインタロゲーションパルスINT
INに応答して、ジョセフソン接合J
1のバイアスの減少に基づいて、インタロゲーションパルスINT
INは、ジョセフソン接合J
1をトリガするのに不十分となる。従って、電圧パルスは、磁束スイッチ回路50を通って出力段54に伝搬せず、従って、入力電流I
INが第2の符号を有しており、従って、第2の方向に流れることを指示するために、出力段54は、出力パルスINT
OUTを供給しない。
【0029】
図2の例に戻って参照すると、前述したように、インタロゲーションパルスINT
INは、正のフラクソンとそれに続く負のフラクソンとを含むRQLパルスとして(例えば、レシプロカルのペアとして)供給される。従って、磁束スイッチ回路50は、RQL回路に実装することができる。例えば、入力インダクタL
INの高いインダクタンス値に基づいて、RQLパルスの負のフラクソンを拒否(例えば反射)して、正のフラクソンのみが入力インダクタL
INを通過して第1のジョセフソン接合J
1に到達するようにすることができる。さらに、出力段54は、第1および第2のJTL58および60を相互接続するノード70に結合されたリセット段68を含む。リセット段68は、ジョセフソン接合J
1およびJ
2(例えば、第1のJTL58のジョセフソン接合(単数または複数)と同様に)をリセットするために、出力パルスINT
OUTに応答して負のフラクソンを提供するように構成される。
【0030】
リセット段68は、入力において低電圧レール(例えば、接地)を相互接続し、出力においてノード70を(インダクタL
RSTを介して)相互接続するJTL72を含む。前述したように、(例えば、
図4の例に示すように、入力電流I
INが第1の方向に供給されることに応答した)ジョセフソン接合J
1のトリガにより、ジョセフソン接合J
2のトリガが生じて、電圧パルスが出力段54に伝搬される。従って、第1のJTL58は、同様に、リセット段68のJTL72および第2のJTL60の両方に提供される電圧パルスを伝搬することができる。従って、第2のJTL60は、電圧パルスをRQL出力パルスINT
OUTの正のフラクソンとして伝搬することができる。しかしながら、リセット段68のJTL72は、JTL58および60に対して入力および出力に対して反対に配置されているため、JTL72に供給された電圧パルスは、低電圧レールに提供され、従って、負のフラクソンとして反射される。従って、負のフラクソンは、JTL58を介してジョセフソン接合J
1およびJ
2に伝搬し、ジョセフソン接合J
1およびJ
2、並びにJTL58に関連付けられたジョセフソン接合(単数または複数)をリセットする。負のフラクソンも第2のJTL60を介して伝搬し、RQL出力パルスINT
OUTのレシプロカルペアの負のフラクソンとして出力される。
【0031】
上記した構造的および機能的特徴を考慮して、本開示の様々な態様による方法は、
図6を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
図6は、入力電流の極性を決定するための方法250の一例を示す。本開示によれば、本明細書に示され、説明されたものとは異なる順序で、かつ/または他の態様と同時に発生し得るため、
図6の方法は、図示された順序によって限定されないことを理解および諒解されたい。さらに、本実施例の一態様による方法を実施するために、図示されたすべての特徴が必要とされるわけではない。
【0032】
252において、複数の磁束ループの各々に電流(例えば、電流I1およびI2)を供給するために、バイアス電流(例えば、バイアス電流IBIAS)が複数の磁束ループ(例えば、磁束ループ60および62)の各々に供給される。複数の磁束ループの各々はジョセフソン接合(例えば、ジョセフソン接合J1およびJ2)を含む。254において、入力電流(例えば、入力電流IIN)が複数の磁束ループの各々に誘導的に供給される。256において、インタロゲーションパルス(例えば、インタロゲーションパルスINTIN)が、入力段(例えば、入力段52)を介して複数の磁束ループに供給される。258において、インタロゲーションパルスに応答した、かつ複数の磁束ループの各々における電流に基づく磁束ループの各々のジョセフソン接合のトリガの結果により出力段(例えば、出力段54)から提供される出力パルス(例えば、出力パルスINTOUT)に応答して、入力電流が第1の極性を有していると決定される。260において、出力段から出力パルスが提供されないことに応答して、入力電流が第1の極性とは反対の第2の極性を有していると決定される。
【0033】
上記に記載されているのは、本発明の例である。もちろん、本発明を説明する目的で構成要素または方法の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本発明のさらに多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識するであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲の技術思想および範囲内に含まれるそのようなすべての変更、修正および変形を包含することが意図されている。さらに、本開示または特許請求の範囲が「ある」、「第1の」、または「別の」構成要素、またはそれらと同等の構成要素を記載している場合、それは、そのような構成要素を1つまたは複数含むと解釈されるべきであり、2つ以上の要素を必要とするわけでも、除外するわけでもない。本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、含むがこれに限定されないことを意味し、「含んでいる」という用語は、含んでいるがこれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
入力電流の極性を決定するための方法であって、
複数の磁束ループの各々に電流を供給するために、前記複数の磁束ループの各々にバイアス電流を供給するステップと、前記複数の磁束ループの各々は、ジョセフソン接合を含んでおり、
前記複数の磁束ループの各々に入力電流を誘導的に供給するステップと、
入力段を介して前記複数の磁束ループにインタロゲーションパルスを供給するステップと、
前記インタロゲーションパルスに応答した、かつ前記複数の磁束ループの各々における電流に基づく前記複数の磁束ループの各々の前記ジョセフソン接合のトリガの結果により出力段から提供される出力パルスに応答して、入力電流が第1の極性を有していると決定するステップと、
出力段から出力パルスが提供されないことに応答して、入力電流が第1の極性とは反対の第2の極性を有していると決定するステップと、を含む方法。
[付記2]
前記複数の磁束ループは、
前記入力電流に誘導的に結合される第1のインダクタ、および第1のジョセフソン接合を含む第1の磁束ループと、前記第1のインダクタおよび前記第1のジョセフソン接合の各々が前記入力段に結合されており、
入力電流に誘導的に結合される第2のインダクタ、および第2のジョセフソン接合を含む第2の磁束ループと、を含み、前記第2のインダクタおよび前記第2のジョセフソン接合の各々が前記出力段に結合され、前記第1および第2の磁束ループの各々が、入力電流の極性に基づく振幅を有する個々の第1の電流および第2の電流を個々に循環させるように構成される、付記1に記載の方法。
[付記3]
入力電流を提供するステップは、
前記インタロゲーションパルスに応答して前記第1および第2のジョセフソン接合のトリガを可能にするために、第1の極性の入力電流に応答して第1の電流の振幅を増加させ、第2の電流の振幅を減少させることと、
前記インタロゲーションパルスに応答して前記第1および第2のジョセフソン接合をトリガしないことを可能にするために、第2の極性の入力電流に応答して第1の電流の振幅を減少させ、第2の電流の振幅を増加させることと、を含む、付記2に記載の方法。
[付記4]
前記入力段が入力インダクタを含み、第1および第2のインダクタが前記入力インダクタのインダクタンス値よりも小さいインダクタンス値を有する、付記1に記載の方法。
[付記5]
前記インタロゲーションパルスを供給するステップは、前記入力段に関連付けられた入力ジョセフソン伝送線(JTL)を介して前記インタロゲーションパルスをレシプロカル量子論理(RQL)パルスとして供給することを含み、方法は、RQLクロック信号を入力JTLに供給するとともに、前記出力段に関連付けられた出力JTLに供給するステップをさらに含む、付記1に記載の方法。
[付記6]
出力パルスに応答して、前記複数の磁束ループの各々に関連付けられたジョセフソン接合をリセットするステップをさらに含む、付記1に記載の方法。
[付記7]
前記ジョセフソン接合をリセットするステップは、前記出力段に関連付けられたリセット段から出力パルスを負のフラクソンとして反射して、個々の前記複数の磁束ループの各ジョセフソン接合をリセットすることを含む、付記6に記載の方法。
[付記8]
磁束スイッチシステムであって、
レシプロカル量子論理(RQL)インタロゲーションパルスを供給するように構成された入力段と、
入力電流に誘導的に結合される第1のインダクタ、および第1のジョセフソン接合を含む第1の磁束ループと、前記第1のインダクタおよび前記第1のジョセフソン接合の各々が前記入力段に結合され、前記第1の磁束ループはバイアス電流に応答して第1の電流を伝導するように構成されており、
入力電流に誘導的に結合される第2のインダクタ、および第2のジョセフソン接合を含む第2の磁束ループと、前記第2の磁束ループは、バイアス電流に応答して第2の電流を伝導するように構成され、前記第1および第2のジョセフソン接合は、前記第1および第2の電流の相対関係に基づいて第1の極性の入力電流およびRQLインタロゲーションパルスに応答してトリガしてRQL出力パルスを生成するように構成され、かつ第2の極性の入力電流およびRQLインタロゲーションパルスに応答してトリガしないように構成されており、
前記第2のインダクタおよび前記第2のジョセフソン接合に結合された出力段と、を備え、前記出力段は、前記RQL出力パルスを磁束スイッチシステムの出力に伝搬するように構成される、磁束スイッチシステム。
[付記9]
前記第1および第2の電流に関連付けられた磁束に関して定常状態の等しい反対の振幅を提供するために、前記バイアス電流が前記第1および第2の磁束ループの各々に供給され、前記第1のインダクタは、前記第1の極性の入力電流に応答して前記第1の電流の振幅を増加させ、前記第2の極性の入力電流に応答して前記第1の電流の振幅を減少させるように構成され、前記第2のインダクタは、前記第1の極性の入力電流に応答して前記第2の電流の振幅を減少させ、前記第2の極性の入力電流に応答して前記第2の電流の振幅を増加させるように構成される、付記8に記載のシステム。
[付記10]
前記入力段が入力インダクタを含み、前記第1および第2のインダクタが前記入力インダクタのインダクタンス値よりも小さいインダクタンス値を有する、付記8に記載のシステム。
[付記11]
前記出力段は、前記RQL出力パルスに応答して負のフラクソンを提供して、個々の前記第1および第2の磁束ループの前記第1および第2のジョセフソン接合の各々をリセットするように構成されたリセット段をさらに含む、付記8に記載のシステム。