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特許7342192化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/742 20150101AFI20230904BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230904BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61K35/742
A61K31/198
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/14
A61P1/12
A61P43/00 121
C12N1/20 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022077813
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】111110119
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【微生物の受託番号】DSMZ  DSM 33206
【微生物の受託番号】BCRC  BCRC 910916
(73)【特許権者】
【識別番号】509013611
【氏名又は名称】生展生物科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳威仁
(72)【発明者】
【氏名】唐宗寅
(72)【発明者】
【氏名】呉▲シェン▼慧
(72)【発明者】
【氏名】曾愛倫
(72)【発明者】
【氏名】沈秀如
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】豪国特許出願公開第2021106459(AU,A1)
【文献】特開2004-123760(JP,A)
【文献】HSIEH C. et al.,CyTA - Journal of Food,2020年,18:1,pp.764-775
【文献】CAO J. et al.,Journal of Functional Foods,2020年,64,103643
【文献】EL-ATTI S. et al.,Journal of Parenteral and Enteral Nutrition,2009年,Volume 33 Number 5,pp.569-570
【文献】KLIMBERG V. et al.,Arch Surg,1990年,Vol.125,pp.1040-1045
【文献】LIN X. et al.,PLOS ONE,2012年,Volume 7 Issue 7,e39764
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/742
A61K 31/198
A61P 1/04
A61P 29/00
A61P 1/14
A61P 1/12
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バチルスコアグランスBC198含む化学療法による腸管損傷の関連病症を予防又は治療するための組成物であって、前記バチルスコアグランスBC198は、2019年7月10日付で、ドイツ微生物細胞培養コレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures、DSMZ)に、受託番号DSM33206として寄託されており、
前記化学療法による腸管損傷の関連病症は、体重減少、食欲不振、下痢、大腸長さの短縮、又は腸管組織損傷である組成物。
【請求項2】
グルタミンをさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記バチルスコアグランスBC198の有効用量は、各個体に毎日少なくとも5×10CFU/dayを投与する請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
バチルスコアグランスBC198含む腸内ミクロビオータのバランスを調整するための組成物であって、前記バチルスコアグランスBC198は、2019年7月10日付で、ドイツ微生物細胞培養コレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures、DSMZ)に、受託番号DSM33206として寄託されており、
腸内ミクロビオータのバランスを調整するための組成物は、下痢の発生に関連する腸内の少なくとも1つの菌株の成長を抑制するために用いられる組成物。
【請求項5】
下痢の発生に関連する菌株の門階層がProteobacteria、Escherichia_Shigella、Odoribacter、UBA1819又はStaphylococcusである請求項に記載の組成物。
【請求項6】
グルタミンをさらに含む請求項に記載の組成物。
【請求項7】
前記バチルスコアグランスBC198の有効用量は、各個体に毎日少なくとも5×10CFU/dayを投与する請求項4から6のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイオティックの用途に関し、特に、化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、世界で2番目に多い死因となっていて、毎年新規症例数1,400万人及び死亡数800万人と推定され、2030年までに最大2,100万人のがん診断症例が増加すると予測されている(非特許文献1)。がん治療について、現在化学療法が臨床上で主流の治療法であるが、化学療法を受けている患者の約50~80%が腸管粘膜炎を発症し、主な臨床症状として体重減少、食欲減退、潰瘍、下痢及び腹痛がり、癌患者の生活の質に著しく影響を与えていた(非特許文献2)。
【0003】
研究によると、L-グルタミン(L-glutamine,L-gln)は、胃腸管の重要な非必須アミノ酸であり、上皮細胞の核酸合成に必要な基質として使用できるため、L-グルタミンが化学療法患者の補助薬としてよく使用される。しかし他の研究では、L-グルタミンが化学療法薬doxifluridine誘発性下痢を抑制できず、又は化学療法薬5-FU/calciumfolinate誘発性口内炎、悪心および下痢の重症度を軽減させることができないと示されている(非特許文献3)。要約すれば、L-グルタミンは、化学療法誘発性下痢の持続期間を短縮することができるが、重症度を軽減させることができない(非特許文献4)。
【0004】
最近の多くの研究では、腸内細菌叢が腸の健康に重要であることが指摘されており、化学療法薬の投与が腸内細菌叢の不均衡に影響を及ぼし、化学療法薬の副作用の発生につながっていた。具体的には、化学療法薬5-FUは、炎症反応の発生を伴う腸内細菌叢の不均衡を引き起こすことで、腸管粘膜炎をさらに悪化させる可能性があり、すなわち、化学療法薬5-FU誘発性腸管粘膜炎と腸内細菌叢の恒常性の乱れとの間に高い相関関係がある。(非特許文献5)。
【0005】
プロバイオティクスで腸内ミクロビオータを調節することで、化学療法薬による副作用を効果的に改善できるという考えもあるが、実際には、異なる菌株による腸内細菌叢の組成の変更が異なるため、菌株が体重減少、食事量低下、下痢、腸管組織損傷、炎症、及び腸内ミクロビオータなどの腸管粘膜炎の臨床症状に与える影響を予測できない。例えば研究では、サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)の投与は、化学療法5-FUによる体重減少と食事摂取量低下を回復する能力がなく、化学療法誘発性腸管粘膜の損傷及び腸管透過性の増加を遅らせる能力もないことが指摘されている。(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】BioMed research international,2018,2018:3428437.
【文献】Gut,2000,47:632-637.
【文献】Nutrition,1997,13(7-8):748-751;European journal of cancer,1999,35(2):202-207;Gastroenterology,2006,130(2Suppl1):S106-S116.
【文献】Asia Pacific journal of clinical nutrition,2012,21(3):380-385.
【文献】Basic&clinical pharmacology&toxicology,2017,121(3):159-168;Frontiers in cellular and infection microbiology,2017,7:455.
【文献】Journal of negative results in biomedicine,2014,13:6.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主な目的は、化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途を提供することである。すなわち、バチルスコアグランスBC198又はその代謝産物は、腸管の細胞を保護し、化学療法薬によって誘発される損傷の発生を減らし、腸内細菌叢のバランスを保ち、腸管組織構造の完全性を維持し、炎症関連因子の産生を減らすことができるため、有効量の本発明で開示されるバチルスコアグランスBC198又は代謝産物を化学療法又は化学療法薬を受ける個体に投与することにより、化学療法薬による当前記個体の腸管の副作用及び例えば腸炎、下痢、体重減少、食欲不振等の関連する症候を効果的に改善することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これ故に、上記目的を達成するため、本発明は、化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途を開示し、すなわち、有効量の本発明で開示されるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物を、化学療法を受ける予定又は化学療法薬を受けた個体に投与することにより、化学療法による腸病変又は関連の副作用を効果的に改善又は軽減することができる。
【0009】
本発明の実施例において、前記バチルスコアグランスBC198は、2019年7月11日付で、台湾財団法人食品工業発展研究所に、受託番号BCRC910916として寄託され、並びに2019年7月10日付で、ドイツ微生物細胞培養コレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures、DSMZ)に、受託番号DSM33206として寄託されている。
【0010】
本発明の実施例において、前記バチルスコアグランスBC198の有効用量は、各個体に毎日少なくとも5×10CFU/day程度を投与し、正常誤差値の範囲内では本発明のいわゆる有効用量である。
【0011】
本発明の実施例において、前記バチルスコアグランスBC198は、例えば医薬組成物、栄養補助食品、健康補助食品等の組成物として調製される。
【0012】
ここで、前記組成物内は、グルタミンをさらに含む。
【0013】
本発明の一実施例において、前記バチルスコアグランスBC198又はその代謝産物は、化学療法による腸管損傷の関連病症を予防又は補助するための組成物であり、前記腸疾患に関連する病症は体重減少、食欲不振、下痢、腸炎、大腸の長さの短縮、腸内細菌叢の不均衡又は腸管組織損傷の症候、例えば腸管粘膜炎を有する。
【0014】
本発明の別の実施例において、腸内ミクロビオータのバランスを調整する組成物の調製における前記バチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途を開示し、すなわち、有効量の本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物を、化学療法を受ける予定又は化学療法薬を受けた個体に投与することにより、腸の健康に有害な腸内菌株の数を減らし、かつ腸の健康に有益な腸内菌株の数を増加させることができる。
【0015】
ここで、前記腸の健康に有害な菌株は、腸炎、下痢、腸管組織の病変を引き起こす可能性があり、前記腸の健康に有害な菌株の門階層はProteobacteria、Escherichia_Shigella、Odoribacter、UBA1819又はStaphylococcusである。
【0016】
ここで、前記腸の健康に有益な菌株は、酪酸の産生に関連しており、例えば門階層がMuribaculum又はLachnoclostridiumに属する菌株である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】異なる熱不活性化バチルス菌で処理されたIEC-6細胞が、5-FU薬によって誘発される細胞損傷の後の細胞生存率の結果を示す図である。
図2】実施例4における各群のマウスの試験期間中の体重変化を示す図である(赤い矢印は、5-FU薬の投与時点を表す)。
図3】実施例4における各群のマウスの試験期間中の摂食量変化示す図である(赤い矢印は、5-FU薬の投与時点を表す)。
図4】実施例4における各群のマウスの下痢指数を分析した結果を示す図である(赤い矢印は5-FU薬の投与時点を表す)。
図5】実施例4における各群のマウスの血清中のIL-6濃度を検出した結果を示す図である。
図6】実施例4における各群のマウスの大腸の長さを検出した結果を示す図である。
図7A】実施例4における各群のマウスの小腸組織の切片をヘマトキシリン・エオジン染色した後の結果を示す図である。
図7B】実施例4における各群のマウスの大腸組織の切片をヘマトキシリン・エオジン染色した後の結果を示す図である。
図8】実施例4における各群のマウス糞便サンプルを分析する上位10位の物種の相対存在量のヒストグラムである。
図9】実施例4における各群のマウス糞便サンプル内の物種の存在量を分析して得られた物種の存在量のクラスタリングヒートマップ(heatmap)である。
図10】実施例4における各群のマウス糞便サンプルの部分的最小二乗判別分析の結果を示す図である(図内のパーセンテージは、サンプルの差に対するPLS主成分の寄与率を表し、各群の糞便サンプル平均値は正規信頼楕円の中心で示され、図内の各点が1つの糞便サンプルを示し、同じ群の糞便サンプルが同じ色で表される)。
図11A】metagenomeSeqで各群のマウスの細菌相におけるUBA1819の相対存在量を分析した結果を示す図(水平線は有意差のある2群を示し、水平線のないはこの物種が群間に有意差がないことを示す。*は2群間のp値<0.05で、**が2群間のp値<0.01であることを示す)。
図11B】metagenomeSeqで各群のマウスの細菌相におけるStaphylococcusの相対存在量を分析した結果を示す図(水平線は有意差のある2群を示し、水平線のないはこの物種が群間に有意差がないことを示す。*は2群間のp値<0.05で、**が2群間のp値<0.01であることを示す)。
図11C】metagenomeSeqで各群のマウスの細菌相におけるEscherichia_Shigellaの相対存在量を分析した結果を示す図(水平線は有意差のある2群を示し、水平線のないはこの物種が群間に有意差がないことを示す。*は2群間のp値<0.05で、**が2群間のp値<0.01であることを示す)。
図11D】metagenomeSeqで各群のマウスの細菌相におけるMuribaculumの相対存在量を分析した結果を示す図(水平線は有意差のある2群を示し、水平線のないはこの物種が群間に有意差がないことを示す。*は2群間のp値<0.05で、**が2群間のp値<0.01であることを示す)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198(Bacillus coagulans BC198)又はその代謝産物の用途を開示し、具体的には化学療法を受ける個体に有効量のバチルスコアグランスBC198を投与することにより、化学療法薬による体重減少、食欲不振、下痢、大腸の長さの短縮、炎症、腸管組織損傷及び腸内細菌叢の不均衡等の病症を効果的に改善することができる。したがって、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物は、食品、医薬組成物又は栄養補助食品として調製し、化学療法誘発性腸管粘膜炎或いはその関連病症の予防又は/及び治療に使用されることから、がん患者のアジュバント又は食事療法のための食品とすることができる。
【0019】
さらに、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物は、グルタミンとの相乗効果が生じ、化学療法薬による腸炎、下痢、体重減少、食欲不振又は腸管損傷に関する他の副作用を改善する効果を大幅に向上させることができる。本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物がグルタミンと併用できる場合、二者の有効用量は個体の物種の違いによって調整できることは、当業者には熟知されている。
【0020】
本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物を投与できる個体は、ヒトに限定されない任意の物種の動物である。
【0021】
本発明において「投与」とは、経口投与に限定されず、投与時に一般的な食品又は食品組成物と一緒に食べることができることを意味する。
【0022】
本発明において「組成物」とは、少なくとも有効量の本発明に開示され、熱不活性化菌及び生菌を含むバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物を含有するものを意味する。前記組成物には、前記バチルスコアグランスBC198又はその代謝産物に加えて、本発明の属する技術分野でよく知られている賦形剤、担体、アジュバント及び/又は食品添加物、任意の食品又はタンパク質、糖質、脂質、炭水化物、アミノ酸、ビタミン等の薬学的に許容される成分、及び/又は乳酸菌、酵母菌等の個体の安全性を有する細菌を含み得る。前記組成物は、医薬組成物、食品組成物、栄養補助食品、健康補助食品或いは任意の形態の食べられる物であり得る。前記組成物の剤形には、噴霧ガス、溶液、半固体、固体、ゼラチンカプセル、ソフトカプセル、錠剤、トローチ、チューインガム及び/又は凍結乾燥粉末製剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198の16S S rDNA配列は、SEQ ID NO:1に示され、バチルスコアグランスBC198の配列を複合配列比較データベース(NCBI blast)と対照して配列比較を行い、結果は本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198がBacillus coagulans菌株4086に最も近く、類似度が100.00%に達することを示している。本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は、ドイツ及び台湾に寄託され、寄託情報は次の通りである。
2019年7月10日付で、ドイツ微生物細胞培養コレクションに、受託番号DSM33206として寄託され、
2019年7月11日付で、台湾財団法人食品工業発展研究所に、受託番号BCRC910916として寄託されている。
【0024】
前記バチルスコアグランスBC198の培養環境及び条件:MRSブロス培地、pH6.25、45℃の嫌気性又は好気性環境。
【0025】
前記バチルスコアグランスBC198の細菌学的特徴は、以下の構成を有する。すなわち、
1.細胞形態とグラム染色:細菌をMRSブロス培地において45℃嫌気性環境下で24時間培養した後、顕微鏡下で外観を観察すると、図1に示すような棒状の桿菌であり、
2.活動量:運動性あり、
3.胞子形成:胞子形成あり、
4.グラム染色:陽性、
5.カタラーゼ:陰性。
【0026】
本発明に開示されている「有効量」は、「有効用量」とも呼ばれ、投与する個体が所属する生物の種類又は個体差によって異なる。一般的に前記有効量は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が用量漸増試験(dose escalation)などの試験結果によって決定することができる。例えば本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198を哺乳動物又はヒトへ1日あたりの有効量は、少なくとも5×10CFU/day程度で、投与期間が17日以上であってもよい。上述の投与有効量又は投与期間の正常誤差範囲内において、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198が投与された個体の体内で化学療法による腸管粘膜炎の臨床症状(体重減少、食欲不振、下痢等)を改善し、並びに化学療法による大腸の長さの短縮、炎症反応、腸管組織損傷及び腸内細菌叢の不均衡等の症候を軽減させる効果を発揮することに影響を与えない。
【0027】
本発明に開示されている「化学療法」は、化学療法薬をがん又は腫瘍に罹患している個体に投与される治療法を意味し、ここで、前記化学療法薬は化学的に合成された薬品で、血液循環を介して個体の体内に入り、がん細胞又は腫瘍細胞の成長を抑制することで消える効果を奏することができるものを意味する。
【0028】
以下に、本発明の技術的特徴及び奏することができる効果を説明するため、いくつかの実施例を挙げて、図面を参照しつつ詳細に描写する。
【0029】
以下の実施例で使用されるラットの正常小腸上皮細胞IEC-6細胞株(以下、「IEC-6細胞」という)(受託番号BCRC60301、食品工業発展研究所の生物資源保存及び研究センターから購入された)を、10%の血清とインスリンを含む基本培地DMEMで温度37℃、二酸化炭素濃度5%で培養する。
【0030】
以下の実施例で使用される5-FU薬(5-Flurouracie)は、化学療法薬である。
【0031】
以下の実施例の実験データは、平均値±標準偏差(mean±SD)方式で示される。SPSSソフトウェアを利用して統計分析を行い、One-way ANOVAで検定し、さらにDuncan's Multiple Range testで各群のサンプル間の群間の差を検定する。p-value<0.05の場合、有意差があることを示し、図面又は表においてa、b又はcなどの異なる英字でマークされる。
【0032】
(実施例1:バチルスコアグランスBC198の分離)
グリーンモルトに10倍重量の滅菌水を加え、ホモジナイザーで粉砕し、10分間重力沈降させ、上澄みをMRSブロス培地に入れ、50℃で48時間培養し、10分間重力沈降させ、培養物をMRS寒天プレートに広げ、次に50℃で72時間嫌気培養した後、寒天培地に出現した単一コロニーを回収し、分離株をさらに精製し、検査後、カタラーゼ陰性となり、顕微鏡下では棒状を呈する。
【0033】
前記分離株のDNAを抽出し、16S rDNA(ribosomal DNA)フラグメントを増幅し、得られたPCR産物をアガロースゲル電気泳動にかけ、産物が期待されるサイズを満たしていることを確認し、配列を決定して、得られたヌクレオチド配列番号がSEQ ID No.:1で、前記分離株が本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198であることを確認し、配列比較によりBacillus coagulans菌株4086に最も近いことが分かる。
【0034】
(実施例2:バチルスコアグランスBC198生菌の調製)
培養・分離したバチルスコアグランスBC198をTSB(Tryptone Soy Broth)培地に入れ、37℃の環境下で20~24時間培養し、遠心分離をして上清を除去し、細胞を採取して凍結乾燥してバチルスコアグランスBC198生菌を得た。
【0035】
(実施例3:細胞試験)
IEC-6細胞を1×10 cells/100μL培養液の濃度で釈96ウェルプレートに接種し、細胞がプレートに付着された後、異なる熱不活性化バチルス菌(菌数は10 CFU/mL)である本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198、BC1菌株、BC2菌株、BC3菌株を加えた後、それぞれ5-FU薬(濃度が3μM)と共に96時間培養した後、MTT溶液を添加して、各ウェルの終濃度を0.5mg/mLにし、温度37℃、二酸化炭素5%濃度の培養環境下で4時間培養した後、培養液を吸引し、100μL DMSO(dimethyl sulfoxide)を加え、暗室で45分間振とうした後、マイクロプレート分光光度計で570nm吸光度値を測定し、各群の細胞生存率を計算し、結果を図1に示す。ここで、BC1菌株及びBC3菌株は、それぞれ市販の商品から分離されたバチルスコアグランス菌株で、BC2が受託番号BCRC10606として新竹食品工業研究所に寄託されている菌株である。
【0036】
図1の結果から分かるように、熱不活性化バチルス菌を添加していない群と比較すると、異なる熱不活性化バチルス菌で処理した後のIEC-6細胞を5-FU薬と共培養した後、各群の細胞生存率は向上されおり、各株の熱不活性化バチルス菌は、5-FU薬によって誘発される細胞損傷に対して保護効果を有するが、各群の細胞生存率を比較すると、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は5-FU薬によって誘発された後の細胞生存率を明らかに向上できることを示している。換言すれば、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は、腸管細胞を保護する能力を有し、化学療法薬による腸管細胞損傷を効果的に低減して、化学療法薬による副作用又は不快感、例えば体重減少、食欲不振、下痢、大腸長さの短縮、炎症、腸管組織損傷及び腸内細菌叢の不均衡等の病症の改善を実現する。
【0037】
(実施例4:動物試験)
複数の5週齢の雄BALB/cマウスをランダムに群分けし、試験期間は18日で、各群のマウスの飼育温度を22±2℃に維持し、昼夜サイクルが各12時間で、自由摂食方法を用い、下記条件で投与し、ここで試験の11日目から13日目に投与された5-FU薬を除いて、他の薬剤は試験期間中(すなわち、試験の初日から試験期間の終わりまで)毎日投与された。5-FU薬は腹腔内注射により投与され、他の薬剤は経口投与された。
【0038】
第1群:対照群で、5-FU薬の代わりにリン酸緩衝生理食塩水を使用し、
第2群:5-FU薬のみ(50mg/kg/day)を投与し、
第3群:グルタミン(1g/kg/day)及び5-FU薬(50mg/kg/day)を投与し、
第4群:本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198(5×10/day)、及び5-FU薬(50mg/kg/day)を投与し、
第5群:本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198(5×10/day)、グルタミン(1g/kg/day)及び5-FU薬(50mg/kg/day)を投与した。
【0039】
試験期間に各群のマウスの体重と飼料摂取量を毎日測定し、記録し、結果を図2及び図3に示す。5-FU薬の投与後、各群のマウスの糞便を収集して各群のマウスの下痢指数を評価し、結果を図4に示す。
【0040】
図2及び図3の結果から、試験の11~13日目に5-FU薬を投与した後、第2群のマウスの体重と摂食量は、第1群のマウスよりも有意に低かったことが分かり、5-FU薬が確実に個体に食欲減退や体重減少などの副作用をもたらしたことを示している。第3群及び第4群のマウスは、それぞれ体重と摂食量を維持でき、第5群のマウスは試験期間に体重を維持し続けるだけではなく、試験の14~15日目での摂食量が第3群及び第4群のマウスより有意に多かった。
【0041】
図4の結果から分かるように、試験の11~13日目に5-FU薬を投与した後、試験の14~15日目に第2群のマウスの下痢指数が有意に向上し、5-FU薬が腸管細胞を損傷させて、個体に下痢又は胃腸の不具合等の病症を引き起こす可能性があることを示している。第2群のマウスと比較して、第3群及び第4群のマウスは、5-FU薬による下痢を軽減させることができ、第5群のマウスが試験の14日目から下痢指数を効果的に低下させることができる。
【0042】
図2図4の結果は、個体が化学療法前に先に本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198を投与すると、化学療法薬又は化学療法による体重減少、食欲不振、下痢、胃腸の不具合等の病症を効果的に改善できることを示している。本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198をグルタミンと併用した場合、化学療法薬による胃腸の不具合及び腸管細胞損傷によって引き起こされる副作用を大幅に改善又は軽減できる。
【0043】
(実施例5:炎症関連サイトカインに対するバチルスコアグランスBC198の影響の分析)
実施例4の試験期間の終わりに、各群のマウスの血清をそれぞれ収集し、各群のマウスの血清中のIL-6濃度を市販のキットで分析し、結果を図5に示す。
【0044】
図5の結果から分かるように、第2群のマウスの血清中のIL-6濃度は、第1群のマウスよりも有意に高く、5-FU薬が確実に炎症反応を引き起こす可能性があることを示している。第3群~第5群のマウスの血清中のIL-6濃度は、それぞれ第2群のマウスよりも有意に低く、第5群のマウスの血清中のIL-6濃度が第3群のマウスよりも低かった。
【0045】
図5の結果は、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198が確実に化学療法又は化学療法薬による炎症反応の発生を低減でき、かつ本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198がグルタミンとの相乗効果を生じることができ、炎症関連サイトカインの産生の抑制を強化することで、化学療法薬による炎症又はその関連する副作用を効果的に軽減又は改善する効果を奏することができることを示している。
【0046】
(実施例6:腸管組織に対するバチルスコアグランスBC198の影響の分析)
実施例4の試験期間の終わりに、各群のマウスの大腸及び小腸組織を収集し、各群のマウスの大腸の長さをそれぞれ測定し、結果を図6に示す。かつ各群のマウスの大腸及び小腸の組織をスライスした後、ヘマトキシリン-エオシン染色し、結果を図7A及び図7Bに示す。
【0047】
図6の結果から分かるように、第1群のマウスと比較して、第2群のマウスの大腸の長さは短くなる傾向があり、第3群及び第4群のマウスが大腸の長さを維持し、第5群のマウスが大腸の長さを維持するだけでなく、大腸の長さを伸ばすことができる。さらに、図5及び図6の結果をまとめると、化学療法薬を受ける個体に本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198を事前かつ持続投与することにより、大腸の長さを維持して、化学療法薬による下痢又は腸の不具合の副作用を早期に軽減或いは効果的に改善することができることが分かる。
【0048】
図7A及び図7Bの結果から分かるように、第1群のマウスと比較して、第2群のマウスの小腸の組織構造、例えば絨毛短縮などの損傷を受け、大腸組織に絨毛の短縮や腺窩(赤い矢印で示されている箇所)の消失などの明らかな病変が生じ、第3群及び第4群のマウスはそれぞれ5-FU薬によって誘発される小腸及び大腸の構造損傷を軽減させることができ、すなわち、第3群及び第4群のマウスの小腸及び大腸の構造はそれぞれ第2群のマウスよりも完全しており、第5群のマウスは小腸組織及び大腸組織を5-FU薬による損傷から保護し、小腸又は大腸の病変の発生を避けるだけではなく、小腸組織及び大腸組織の構造を維持でき、例えば小腸の絨毛組織の完全性、腺窩の完全性及び数量を維持する。
【0049】
図6図7の結果は、化学療法又は化学療法薬を受ける個体に本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198を単独事前かつ持続投与すると、前記個体が化学療法過程中で化学療法薬による腸管組織損傷を低減して、腸管構造の完全性を維持するか、化学療法薬による胃腸病症を低下する効果を奏することができ、かつ本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198はグルタミンとの相乗効果を生じ、すなわち化學療法又は化学療法薬を受ける個体に本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198及びグルタミンを同時に投与した場合、小腸及び大腸の保護効果を強化することで、腸管組織を保護し、腸管構造完全性を維持し、腸管組織の病変の発生を防ぐ効果を奏することができることを示している。
【0050】
(実施例7:細菌相解析)
実施例4の試験の終わりに、各群のマウスの糞便を収集して、各群のマウスの糞便の配列決定解析を外部委託し、次に類似度(97%超)OTUs(Operational Taxonomic Units)のクラスタリング及び物種分類解析を行い、物種注釈結果に基づいて、各群のマウスの門階層(phylum)における相対存在量の上位10位の物種を選択し、結果を図8に示す。ここで、糞便配列決定解析及び細菌相解析は、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者によく知られている技術である。一般的にまず糞便サンプルのDNAを抽出及び精製した後、PCRで増幅、精製し、配列決定が行われる。配列決定の結果は、ペアシーケンススプライシング(Raw Tags)、フィルタリングなどのステップを経て、識別可能な有効なデータを得てからOTUsのクラスタリング及び物種分類解析を実施する。
【0051】
各群の各階層における全ての物種注釈情報及び存在量情報に基づいて、存在量の上位35位の属を選択し、群別の存在量は群内の全てのサンプルの平均存在量で、物種階層からクラスタリングを行って各群の糞便サンプル内の物種ヒットマップを作成し、結果を図9に示す。
【0052】
部分的最小二乗判別分析(PLS-DA、Partial Least Squares Discriminant Analysis)を使用して各群のマウスの糞便中の微生物群集のβ多様性を分析し、各群のマウスの細菌相間に菌群差があるかどうかを判断し、結果を図10に示す。metagenomeSeqで各群のマウスの細菌相データを分析して、各群のマウスの細菌相間の有意差を評価し、結果を図11A図11Dに示す。
【0053】
図8に示すように、腸管粘膜の特徴がない第1群の腸内ミクロビオータを正常な細菌相と見なした場合、第2群のマウスの糞便では、粘膜関連炎症を起こす細菌相である変形菌門(Proteobacteria)の相対存在量は比較的高く、以前の研究では変形菌門の存在量の増加が腸内ミクロビオータの不均衡につながることが指摘され、すなわち、変形菌門の存在量の増加が腸管及び上皮細胞の機能障害を判断する微生物特徴とすることができ、したがって、第2群のマウスの腸内ミクロビオータは不均衡な状態にあり、かつ第2群のマウスに腸管及び上皮細胞の機能障害現象があると推測される。第2群のマウスと比較して、第3群~第5群のマウスはそれぞれ変形菌門の相対存在量を減らすことができ、また第5群のマウスの変形菌門の相対存在量を減らす方が良い。
【0054】
図9の結果から分かるように、第2群のマウスの細菌相分布は、第1群のマウスの細菌相とは明らかに異なり、第2群のマウスの腸内ミクロビオータが不均衡な状態になり、かつ第2群のマウスの細菌相中の下痢及び腸炎に関連する細菌相の存在量が有意に増加し、例えばEscherichia_Shigella及びOdoribacterであり、第3群~第5群のマウスの細菌相中の下痢及び腸炎に関連する細菌相の存在量はそれぞれ第2群のマウスよりも低く、第5群のマウスの細菌相では酪酸産生に関する菌株であるLachnoclostridiumの相対存在量をより増えた。
【0055】
図10の結果から分かるように、第2群のマウスの細菌相分布は、第1群のマウスの細菌相から遠く離れており、第2群のマウスの細菌相が不均衡な状態になることを示している。第3群及び第4群のマウスの細菌相分布状態は、第2群のマウスに近く、ここで、第3群のマウスの細菌相分布のごく一部が第2群と重なり、第3群と第2群のマウスの腸管内に類似の細菌相が存在していることを示す。ただし、第5群のマウスの細菌相分布は、第2群のマウスとは明らかに異なり、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198及びグルタミンを同時に投与すると、化学療法薬による腸内細菌叢の不均衡を効果的に改善できることを示している。
【0056】
図11A図11Bに示すように、第1群と比較して、第2群の細菌相中にはUBA1819及びStaphylococcusの相対存在量が有意に増加し、第2群と比較して、第3群及び第4群がUBA1819及びStaphylococcusの相対存在量を有意に減少できないが、第5群は、UBA1819及びStaphylococcusの相対存在量を有意に減少できる。図11Cに示すように、第1群と比較して、第2群の細菌相にはEscherichia_Shigellaの相対存在量を有益に増加し、第2群と比較して、第3群~第5群はそれぞれEscherichia_Shigellaの相対存在量を減少でき、第5群の減少程度が最高であった。また図11Dに示すように、第1群と比較して、第2群の細菌相中にはMuribaculumの相対存在量を有益に減少し、第2群と比較して、第3群のMuribaculumの相対存在量が有益に減少され、第3群と比較して、第4群及び第5群のMuribaculumの相対存在量はそれぞれ有意に増加され、ここで第5群の増加が有意に良好である。
【0057】
当業者によく知られているように、Escherichia_Shigellは下痢関連菌株で、Staphylococcusは腸管粘膜炎を誘発する可能性のあるβ-グルクロニダーゼ(β-glucuronidase)産生菌株で、UBA1819は腸炎を助長する関連菌株である。
【0058】
図8図11に示す結果は、化学療法を受ける個体に本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198を事前かつ持続投与することにより、当該個体の腸内ミクロビオータのバランスを維持でき、かつ腸炎又は下痢を助長する関連菌株、例えばEscherichia_Shigell、Staphylococcus、UBA1819の存在量を効果的に減少でき、また酪酸産生菌株であるMuribaculumの相対存在量を増加でき、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198とグルタミンを併用する時、腸の健康に有害な上記菌株の相対存在量の減少効果及び腸の健康に有益な菌株の相対存在量の増加効果はより良い。
【0059】
これから分かるように、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は、確実に腸内細菌相のバランスを維持でき、また腸管内の腸炎又は下痢に関連する菌株の成長を低下又は抑制でき、同時に消化器系環境に有益な菌株の成長を促進できるから個体が化学療法を受けて引き起こす腸炎、体重減少、下痢、食欲不振等の副作用を効果的に改善する。なお、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は、グルタミンとの相乗効果を生じることができ、すなわち本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198及びグルタミンを同時に投与すると、化学療法薬5-FUによる腸内細菌叢の不均衡を低減する効果はより良い。
【受託番号】
【0060】
DSM33206
【要約】
【課題】 化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、化学療法による腸管損傷の関連病変又は細菌叢の不均衡の予防或いは補助療法におけるバチルスコアグランスBC198又はその代謝産物の用途を開示し、すなわち、化学療法を受ける個体に有効量を含有するバチルスコアグランスBC198を投与することにより、化学療法薬による体重減少、食欲不振、下痢、大腸の長さの短縮、炎症、腸管組織損傷及び腸内細菌叢の不均衡等の病症を効果的に改善することができ、換言すれば、本発明に開示されているバチルスコアグランスBC198は化学療法のアジュバント又は食事療法のための食品、或いは副作用改善又は治療効果向上のための他の組成物とすることができる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
【配列表】
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