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特許7342206セパレータ製造用延伸装置およびこれを用いたセパレータの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】セパレータ製造用延伸装置およびこれを用いたセパレータの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/02 20060101AFI20230904BHJP
   B29C 67/20 20060101ALI20230904BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20230904BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20230904BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20230904BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20230904BHJP
   C08J 9/26 20060101ALI20230904BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20230904BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20230904BHJP
【FI】
B29C55/02
B29C67/20 B
H01M50/403 B
H01M50/449
H01M50/417
H01M50/403 F
H01M50/489
C08J9/26 102
C08J9/26 CES
B29K23:00
B29L7:00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022107760
(22)【出願日】2022-07-04
(65)【公開番号】P2023098809
(43)【公開日】2023-07-11
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191331
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519103067
【氏名又は名称】ダブル・スコープコリア カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】522268535
【氏名又は名称】ダブル-スコープ チュンジュ プラント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100189474
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 修
(72)【発明者】
【氏名】リュ キョン スン
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウォン クン
(72)【発明者】
【氏名】チェ クヮン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク ピョン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョン ヒョン
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-105121(JP,A)
【文献】国際公開第2010/013800(WO,A1)
【文献】特開2011-216331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/02
B29C 67/20
H01M 50/403
H01M 50/449
H01M 50/417
H01M 50/489
C08J 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互並列配置された第1延伸機および第2延伸機を含み、
前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含み、
前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含み、
前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率が相互同一であり、
前記第1延伸機の第1単位区間ごとの延伸倍率の変化率と、前記第2延伸機の第2単位区間ごとの延伸倍率の変化率とが異なる、セパレータ製造用延伸装置。
【請求項2】
前記第1延伸機は、3個以上のロールを含み、
前記第1単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成される、請求項1に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項3】
前記第2延伸機は、3個以上のロールを含み、
前記第2単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成される、請求項2に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項4】
前記第1延伸機は、
前記第1単位区間ごとの延伸倍率が増加する第1増加区間と、前記第1単位区間ごとの延伸倍率が減少する第1減少区間と、を含み、
前記第1増加区間および前記第1減少区間は連続的に位置する、請求項1に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項5】
前記第2延伸機は、
前記第2単位区間ごとの延伸倍率が増加する第2増加区間と、前記第2単位区間ごとの延伸倍率が減少する第2減少区間と、を含み、
前記第2増加区間および前記第2減少区間は連続的に位置する、請求項4に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項6】
前記第1および第2増加区間において前記延伸倍率の増加率は200%以下であり、
前記第1および第2減少区間において前記延伸倍率の減少率は100%以下である、請求項5に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項7】
前記第1および第2単位区間ごとの延伸倍率は、それぞれ1~5倍である、請求項6に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項8】
前記セパレータ製造用延伸装置は、
前記第1および第2延伸機の後段に位置し、前記第1および第2延伸機を通過したそれぞれのフィルムをラミネートして、積層体に転換するラミネーターと、
前記ラミネーターの後段に位置し、前記積層体を前記第1および第2延伸機による延伸方向に対して垂直な方向に延伸する第3延伸機と、をさらに含む、請求項1に記載のセパレータ製造用延伸装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のセパレータ製造用延伸装置を用い、かつ、
(a)第1ポリオレフィンおよび第1気孔形成剤を含む第1組成物を押出して、第1シートを製造する段階と、
(b)第2ポリオレフィンおよび第2気孔形成剤を含む第2組成物を押出して、第2シートを製造する段階と、
(c)前記第1および第2シートをそれぞれ前記第1および第2延伸機に投入し、縦方向(MD)に延伸して、第1および第2前駆フィルムを製造する段階と、
(d)前記第1および第2前駆フィルムをラミネートして、積層体を得る段階と、
(e)前記積層体を横方向(TD)に延伸した後、前記積層体から前記第1および第2気孔形成剤を除去する段階と、
(f)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2個のセパレータに分割する段階と、を含む、セパレータの製造方法。
【請求項10】
前記(f)段階で、分割された前記2個のセパレータ間の通気度(Gurley、秒/100ml)の差異の絶対値は、10秒/100ml以下である、請求項9に記載のセパレータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータ製造用延伸装置およびこれを用いたセパレータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットPCなど小型化、軽量化が要求される各種電気製品の電源に広く用いられており、スマートグリッド、電気自動車用中大型バッテリーに至るまでその適用分野が拡大するにつれて、容量が大きく、寿命が長く、安定性が高いリチウムイオン二次電池の開発が要求されている。
【0003】
前記目的を達成するための手段として、正極と負極を分離させて内部短絡(Internal Short)を防止し、充放電過程でリチウムイオンの移動を円滑にする微細気孔が形成されたセパレータ(Separator)、その中でも熱誘導相分離(Thermally Induced Phase Separation)による気孔の形成に有利であり、経済的であり、セパレータに必要な物性を充足することが容易なポリエチレンなどのポリオレフィンを用いた微細多孔性セパレータが多方面にわたって開発されている。
【0004】
リチウムイオン二次電池用セパレータの製造工程は、気孔を形成するための方式を基準として湿式および乾式に区分されることができ、ほとんどの商用化したセパレータは、湿式で製造されている。また、湿式工程の場合、気孔を形成するために、樹脂とともに混錬した所定の気孔形成剤を選択的に抽出、除去するのに先立って、セパレータの中間体であるシートないしフィルムを延伸する過程が行われる。このような延伸は、その方向を基準として一軸延伸および二軸延伸に区分され、このうち二軸延伸は、その順序を基準として逐次二軸延伸および同時二軸延伸に区分され、このうち逐次二軸延伸が一般的に適用されている。
【0005】
前記二軸延伸の場合、前記湿式工程を構成する他の工程に比べて設備と工程に対する物的、人的負担が大きく、それによるセパレータの生産性に及ぼす影響も相対的に大きいので、最近2以上のシートないしフィルムを重ね合わせて同時に延伸するなど延伸工程を最適化してセパレータの生産性を高める方向への研究開発も活発に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4021266号公報
【文献】韓国特許第10-2100433号公報
【文献】特許第5541966号公報
【0007】
特許文献1は、押出、キャストされた複数のシートを重ね合わせて同時二軸延伸、抽出、熱固定した後、重ね合わせた状態を解除して、すなわち、重ね合わせた中間体を分割して、2つの微細多孔膜を製造する方法を開示し、前記中間体が容易に分割されるように、重ね合わせの際、前記シート間に気体を注入したり液体を塗布することを特徴とする。ただし、前記シート間に気体、液体を導入するための工程が付加されなければならないので、生産性、経済性を改善するのに限界があり、精密に制御されない分割によって製造された微細多孔膜の厚さが不均一であるか、外観上不良が発生する問題がある。特に、重ね合わせの際、前記シート間に塗布された液体の場合、気孔形成剤を抽出するための工程で前記気孔形成剤とともに抽出されて、抽出溶媒の再使用性を顕著に低下させたり、再使用を不可能にする問題がある。
【0008】
特許文献2は、図1による方法で中間体を重ね合わせおよび分割してセパレータを製造する方法を開示する。図1を参照すると、前記方法は、2つの中間体をそれぞれ同時二軸延伸、抽出、熱固定を経て製造した後、前記中間体を重ね合わせた状態で逐次二軸延伸、分割する過程を含む。この場合、2つのセパレータを製造するために、4台以上の延伸装置が使用され、これは、従来に比べて一つのセパレータを製造するのにさらに多くの延伸装置が必要であることを意味する。このような方法は、厚さが約0.1~5μmで機械的強度が弱いセパレータを製造する場合に限って効果的でありうるが、その他汎用セパレータを製造する場合、かえって生産性と経済性に悪影響を与える恐れがある。
【0009】
特許文献3は、共押出法により製造された多層シートを開示し、このうち中間層は、気孔がない、いわゆる、無孔膜であって、その両面に生成された微細多孔膜の分割時に適切な離型性を提供する。ただし、前記中間層を構成する無孔膜は、リチウムイオン二次電池用セパレータに使用できないので、不可避に廃棄されるが、この場合にも、原料に対する費用と中間層の生成および廃棄に必要な工程が付加されるので、生産性と経済性の観点から改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、シートの重ね合わせ(ラミネート)、延伸および分割による2つのセパレータの同時生産時に生産性とセパレータの品質をバランスよく実現し、改善できるセパレータ製造用延伸装置およびこれを用いたセパレータの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、相互並列配置された第1延伸機および第2延伸機を含み、前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含み、前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含み、前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率が相互同一であり、前記第1単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率および前記第2単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率が異なるセパレータ製造用延伸装置を提供する。
【0012】
一実施形態において、前記第1延伸機は、3個以上のロールを含み、前記第1単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成されることができる。
【0013】
一実施形態において、前記第2延伸機は、3個以上のロールを含み、前記第2単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成されることができる。
【0014】
一実施形態において、前記第1延伸機は、前記第1単位区間ごとの延伸倍率が増加する第1増加区間と、前記第1単位区間ごとの延伸倍率が減少する第1減少区間と、を含み、前記第1増加区間および前記第1減少区間は連続的に位置することができる。
【0015】
一実施形態において、前記第2延伸機は、前記第2単位区間ごとの延伸倍率が増加する第2増加区間と、前記第2単位区間ごとの延伸倍率が減少する第2減少区間と、を含み、前記第2増加区間および前記第2減少区間は連続的に位置することができる。
【0016】
一実施形態において、前記第1および第2増加区間において前記延伸倍率の増加率は200%以下であり、前記第1および第2減少区間において前記延伸倍率の減少率は100%以下であってもよい。
【0017】
一実施形態において、前記第1および第2単位区間ごとの延伸倍率は、それぞれ、1~5倍であってもよい。
【0018】
一実施形態において、前記セパレータ製造用延伸装置は、前記第1および第2延伸機の後段に位置し、前記第1および第2延伸機を通過したそれぞれのフィルムをラミネートして、積層体に転換するラミネーターと、前記ラミネーターの後段に位置し、前記積層体を前記第1および第2延伸機による延伸方向に対して垂直な方向に延伸する第3延伸機と、をさらに含んでもよい。
【0019】
本発明の他の一態様は、前記セパレータ製造用延伸装置を用い、かつ、(a)第1ポリオレフィンおよび第1気孔形成剤を含む第1組成物を押出して、第1シートを製造する段階と、(b)第2ポリオレフィンおよび第2気孔形成剤を含む第2組成物を押出して、第2シートを製造する段階と、(c)前記第1および第2シートをそれぞれ前記第1および第2延伸機に投入し、縦方向(MD)に延伸して、第1および第2前駆フィルムを製造する段階と、(d)前記第1および第2前駆フィルムをラミネートして、積層体を得る段階と、(e)前記積層体を横方向(TD)に延伸した後、前記積層体から前記第1および第2気孔形成剤を除去する段階と、(f)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含むセパレータの製造方法を提供する。
【0020】
一実施形態において、前記(f)段階で、前記積層体の剥離強度は、0.06kgf/15mm以下であってもよい。
【0021】
一実施形態において、前記(f)段階で、分割された前記2つのセパレータ間の通気度(Gurley、秒/100ml)の差異の絶対値は、10秒/100ml以下であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によるセパレータ製造用延伸装置は、相互並列配置された第1延伸機および第2延伸機を含み、前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含み、前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含み、前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率が相互同一であり、前記第1単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率および前記第2単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率を相異に設定することによって、シートの重ね合わせ(ラミネート)、延伸および分割による2つのセパレータの同時生産時に生産性とセパレータの品質をバランスよく実現し、改善することができる。
【0023】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来技術によるセパレータの製造方法を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるセパレータ製造用延伸装置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるセパレータの製造方法を示す図である。
図4図3のA部分に用いられるセパレータ製造用延伸装置を示す図である。
図5図4のB部分に該当する積層体の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明することとする。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似の部分に対しては、類似の参照符号を付けた。
【0026】
明細書全体において、任意の部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を間に置いて「間接的に連結」されている場合も含む。また、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明することとする。
【0028】
セパレータ製造用延伸装置
図2は、本発明の一実施形態によるセパレータ製造用延伸装置を示す。図2を参照すると、本発明の一実施形態によるセパレータ製造用延伸装置は、相互並列配置された第1延伸機および第2延伸機を含み、前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含み、前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含み、前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率が相互同一であり、前記第1単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率および前記第2単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率が異なっていてもよい。
【0029】
前記第1および第2延伸機は、セパレータを製造するための工程ラインで樹脂組成物を押出して、ゲル状のシートを吐出する押出機、Tダイのような装置ないし設備の後段に設置されてもよい。前記第1および第2延伸機は、相互並列配置されたものであって、前記第1および第2延伸機の前段には、それぞれ、相互並列配置された押出機、Tダイのような装置ないし設備が配置されてもよい。相互並列配置された押出機およびTダイを通じて吐出されたそれぞれのシートは、前記第1および第2延伸機に投入されることができる。
【0030】
前記第1および第2延伸機は、それぞれ、前記押出機およびTダイから吐出されたシートを前記工程ラインで前記シートの移送方向に沿って延伸する装置であって、前記第1および第2延伸機による前記シートの延伸方向を縦方向(MD,mechanical direction)と定義することができる。
【0031】
前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含んでもよい。前記第1延伸機は、その内部に前記シートの移送方向に沿って順次に、直列に設置された3個以上、好ましくは、4個以上、さらに好ましくは、6個以上のロール(延伸ロール)を含んでもよく、前記第1単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成されることができる。
【0032】
それぞれの前記第1単位区間において前記シートの延伸は、隣接する2個のロール間の回転速度の差異によって行われ得る。例えば、隣接する2個のロールのうち前段に位置するロールに比べて後段に位置するロールの回転速度が速い場合、前記シートは、前記2個のロールの間で前記回転速度の差異による倍率で縦方向に延伸されることができる。
【0033】
前記第1延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第1単位区間を含んでもよい。前記延伸ロールが3個以上設けられる場合、前記第1延伸機は、相互隣接する2個のロールの間に提供される2つ以上の第1単位区間を含んでもよく、前記第1単位区間の延伸倍率、すなわち、それぞれの前記第1単位区間において前記シートが延伸される倍率が異なっていてもよい。
【0034】
前記第1延伸機は、前記第1単位区間ごとの延伸倍率が増加する第1増加区間と、前記第1単位区間ごとの延伸倍率が減少する第1減少区間と、を含んでもよく、前記第1増加区間および前記第1減少区間は、それぞれ、前記第1延伸機の内部で順次に、連続に位置してもよい。すなわち、前記第1延伸機において前記シートの第1単位区間ごとの延伸倍率は、徐々に増加した後、徐々に減少することができ、これは、直列に配置された延伸ロールのうち相互隣接する2個のロール間の回転速度の差異を徐々に増加させた後、徐々に減少させることによって実現することができる。
【0035】
前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含んでもよい。前記第2延伸機は、その内部に前記シートの移送方向に沿って順次に、直列に設置された3個以上、好ましくは、4個以上、さらに好ましくは、6個以上のロール(延伸ロール)を含んでもよく、前記第2単位区間は、相互隣接して異なる速度で回転する2個のロール間に形成されることができる。
【0036】
それぞれの前記第2単位区間で前記シートの延伸は、隣接する2個のロール間の回転速度の差異によって行われ得る。例えば、隣接する2個のロールのうち前段に位置するロールに比べて後段に位置するロールの回転速度が速い場合、前記シートは、前記2個のロールの間で前記回転速度の差異による倍率で縦方向に延伸されることができる。
【0037】
前記第2延伸機は、延伸倍率が異なる複数の第2単位区間を含んでもよい。前記延伸ロールが3個以上設けられる場合、前記第2延伸機は、相互隣接する2個のロールの間に提供される2つ以上の第2単位区間を含んでもよく、前記第2単位区間の延伸倍率、すなわち、それぞれの前記第2単位区間で前記シートが延伸される倍率は異なっていてもよい。
【0038】
前記第2延伸機は、前記第2単位区間ごとの延伸倍率が増加する第2増加区間と、前記第2単位区間ごとの延伸倍率が減少する第2減少区間と、を含んでもよく、前記第2増加区間および前記第2減少区間は、それぞれ、前記第2延伸機の内部で順次に、連続に位置してもよい。すなわち、前記第2延伸機において前記シートの第1単位区間ごとの延伸倍率は、徐々に増加した後、徐々に減少することができ、これは、直列に配置された延伸ロールのうち相互隣接する2個のロール間の回転速度の差異を徐々に増加させた後、徐々に減少させることによって実現することができる。
【0039】
前記第1および第2増加区間において前記延伸倍率の増加率は、200%以下、好ましくは、180%以下、さらに好ましくは、150%以下であってもよく、前記第1および第2減少区間において前記延伸倍率の減少率は、100%以下、好ましくは、80%以下、さらに好ましくは、50%以下であってもよい。前記第1および第2延伸機において前記延伸倍率の増加率が200%超過であるか、減少率が100%超過であれば、延伸によって形成された気孔のモルフォロジーが不均一になるだけでなく、延伸間シートが損傷、破損することがある。
【0040】
本明細書において使用された用語、前記延伸倍率の「増加率」および「減少率」は、前記第1増加区間および前記第1減少区間において相互隣接して連続的に配置された2個の前記第1単位区間の間の前記延伸倍率の変化率を意味し、前記第2増加区間、第2減少区間、および第2単位区間に対しても同じ意味で解釈することができる。具体的に、相互隣接して連続的に配置された2個の前記第1単位区間(または第2単位区間)をそれぞれ前方単位区間および後方単位区間というとき、前記変化率は、下記式によって算出されることができる。ここで、後方単位区間とは、シートの進行方向で終着側にある単位区間であり、例えば、図4におけるラミネーター側にある単位区間である。先方単位区間とは、シートの進行方向で始発側にある単位区間である。
【数1】
【0041】
前記第1および第2単位区間ごとの延伸倍率は、それぞれ1~5倍、好ましくは、1.01~3倍、さらに好ましくは、1.02~2.8倍であってもよい。前記第1および第2単位区間ごとの延伸倍率が5倍超過である場合にも、延伸によって形成された気孔のモルフォロジーが不均一になるだけでなく、延伸間シートが損傷、破損することがある。
【0042】
前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率が相互同一であり、前記第1単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率および前記第2単位区間のうち少なくとも一つの延伸倍率が異なっていてもよい。前記第1および第2延伸機による全体延伸倍率は、2~20倍、好ましくは、3~15倍、さらに好ましくは、3~10倍であってもよいが、これに限定されるものではない。延伸機の全体延伸比は、単位部の全延伸比を乗じた値です。
【0043】
前記第1および第2延伸機による前記シートの全体延伸倍率を相互同一の値に固定し、かつ、前記第1および第2延伸機に含まれたロールの回転速度とそれによる単位区間ごとの延伸倍率の増加率および/または減少率を相異に設定することによって、前記第1および第2延伸機によって縦方向(MD)に延伸されるそれぞれのシートに含まれた高分子樹脂と気孔の構造、配向性などに微細な差異を付与することができる。
【0044】
前記第1および第2延伸機によって延伸されたシートにおいて、これらそれぞれを構成する高分子樹脂と気孔の構造、配向性などに微細な差異が発生する場合、これらが相互重ね合わせ、ラミネートされた積層体の界面に離型剤、離型フィルムのような任意の物質、素材を介在させることなく、前記積層体を前記界面に沿って円滑に分割するのに必要な離型性を確保することができる。
【0045】
前記セパレータ製造用延伸装置は、前記第1および第2延伸機の後段に位置し、前記第1および第2延伸機を通過したそれぞれのフィルムをラミネートして、積層体に転換するラミネーター、および前記ラミネーターの後段に位置し、前記積層体を前記第1および第2延伸機による延伸方向に対して垂直な方向に延伸する第3延伸機をさらに含んでもよい。
【0046】
前記ラミネーターは、前記第1および第2延伸機によって延伸された2個のシートを相互ラミネートする設備ないし装置であって、前記ラミネートは、2個のシートを加圧して行われ得、前記加圧時に加熱、超音波(高周波)、レーザーのような物理的手段をさらに用いることもできる。
【0047】
前記積層体は、前記ラミネーターの後段に位置する前記第3延伸機に移送されることができ、前記第3延伸機は、前記積層体を前記第1および第2延伸機による延伸方向、すなわち、縦方向(MD)に対して垂直な方向、すなわち、横方向(TD)に延伸することができる。前記第3延伸機による前記積層体の横方向(TD)延伸倍率は、2~20倍、好ましくは、3~15倍、さらに好ましくは、3~10倍であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記延伸ロールの前段および後段には、それぞれ、少なくとも一つの加熱ロールおよび冷却ロールがさらに設けられてもよい。前記加熱ロールは、前記シートに柔軟性を付与して円滑に延伸されるようにすることができ、前記冷却ロールは、延伸された前記シートの構造を安定化させることができる。一般的に、前記加熱ロールおよび前記冷却ロールの間で前記シートはそれぞれ加熱および冷却されて、その後段に移送され、必要に応じて、前記シートは、当該区間で既定の倍率で縦方向(MD)に延伸されることもできる。
【0049】
セパレータの製造方法
図3は、本発明の一実施形態によるセパレータの製造方法を示す。図3を参照すると、本発明の他の一実施形態によるセパレータの製造方法は、前記セパレータ製造用延伸装置を用い、かつ、(a)第1ポリオレフィンおよび第1気孔形成剤を含む第1組成物を押出して、第1シートを製造する段階と、(b)第2ポリオレフィンおよび第2気孔形成剤を含む第2組成物を押出して、第2シートを製造する段階と、(c)前記第1および第2シートをそれぞれ前記第1および第2延伸機に投入し、縦方向(MD)に延伸して、第1および第2前駆フィルムを製造する段階と、(d)前記第1および第2前駆フィルムをラミネートして、積層体を得る段階と、(e)前記積層体を横方向(TD)に延伸した後、前記積層体から前記第1および第2気孔形成剤を除去する段階と、(f)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2個のセパレータに分割する段階と、を含んでもよい。
【0050】
前記(a)段階で、第1ポリオレフィンおよび第1気孔形成剤を含む第1組成物を押出し、Tダイを通じて吐出して、第1シートを製造することができ、前記(b)段階で、第2ポリオレフィンおよび第2気孔形成剤を含む第2組成物を押出し、Tダイを通じて吐出して、第2シートを製造することができる。前記第1および第2シートは、相互並列配置された押出機およびTダイによって同時に製造されることができる。
【0051】
前記第1および第2ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)は、それぞれ300,000~2,000,000、好ましくは、300,000~1,000,000、さらに好ましくは、300,000~700,000であってもよく、分子量分布(Mw/Mn)は、3~7であってもよい。前記第1および第2ポリオレフィンの分子量分布が3未満であれば、前記気孔形成剤との分散性が低下して、製造されたセパレータの均一性が低下することがあり、7超過であれば、セパレータの機械的物性が低下することがある。
【0052】
前記第1および第2ポリオレフィンは、それぞれポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよく、好ましくは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレン、さらに好ましくは、ポリエチレンであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0053】
前記気孔形成剤は、パラフィンオイル、パラフィンワックス、鉱油、固体パラフィン、大豆油、菜種油、パーム油、ヤシ油、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ビス(2-プロピルヘプチル)フタレート、ナフテンオイルおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよく、好ましくは、パラフィンオイルであってもよく、さらに好ましくは、40℃で動粘度が50~100cStであるパラフィンオイルであってもよいが、これに限定されるものではない。前記第1および第2組成物は、それぞれ前記第1および第2ポリオレフィン20~50重量%および前記気孔形成剤50~80重量%を含んでもよい。
【0054】
図4は、図3のA部分に用いられるセパレータ製造用延伸装置を示す。図4を参照すると、前記(c)段階で、前記第1および第2シートをそれぞれ前記第1および第2延伸機に投入し、縦方向(MD)に延伸して、第1および第2前駆フィルムを製造することができる。
【0055】
前記第1および第2延伸機による前記第1および第2シートの全体延伸倍率を相互同一の値に固定し、かつ、前記第1および第2延伸機に含まれたロールの回転速度とそれによる単位区間ごとの延伸倍率の増加率および/または減少率を相異に設定することによって、前記第1および第2延伸機によって縦方向(MD)に延伸された前記第1および第2前駆フィルムに含まれた高分子樹脂と気孔の構造、配向性などに微細な差異を付与することができる。その他、前記第1および第2延伸機の構成、作用効果などに対しては、前述したのと同じである。
【0056】
前記(d)段階で、前記第1および第2前駆フィルムをラミネートして、積層体を得ることができる。前記第1および第2延伸機によって延伸された前記第1および第2前駆フィルムにおいて、これらそれぞれを構成する高分子樹脂と気孔の構造、配向性などに微細な差異が発生する場合、これらが相互重ね合わせ、ラミネートされた前記積層体の界面に離型剤、離型フィルムのような任意の物質、素材を介在させることなく、前記積層体を前記界面に沿って円滑に分割するのに必要な離型性を確保することができる。
【0057】
前記ラミネートは、前述したラミネーターによって行われ得る。具体的に、前記ラミネートは、2個のシートを加圧して行われ得、前記加圧時に加熱、超音波(高周波)、レーザーのような物理的手段をさらに用いることもできる。
【0058】
前記(e)段階で、前記積層体を横方向(TD)に延伸した後、前記積層体から前記第1および第2気孔形成剤を除去することができる。前記積層体の横方向(TD)延伸は、前記第3延伸機によって行われ得る。
【0059】
前記第3延伸機は、前記積層体を前記第1および第2延伸機による延伸方向、すなわち、縦方向(MD)に対して垂直な方向、すなわち、横方向(TD)に延伸することができる。前記第3延伸機による前記積層体の横方向(TD)延伸倍率は、2~20倍、好ましくは、3~15倍、さらに好ましくは、3~10倍であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0060】
前記積層体を所定の抽出溶媒を適用して、前記積層体から、具体的に、前記積層体を構成する前記第1および第2前駆フィルムから前記第1および第2気孔形成剤を同時に選択的に抽出、除去することができる。前記抽出溶媒を含む溶液が担持された含浸槽に前記積層体を既定の時間の間浸漬させることによって、前記第1および第2気孔形成剤が抽出、除去されることができる。
【0061】
抽出後、前記積層体の表面および/または内部に残留する前記気孔形成剤の含有量は、1重量%以下であってもよい。前記抽出溶媒は、例えば、メチルエチルケトン、ヘキサン、ジクロロメタンなどであってもよいが、これに限定されない。
【0062】
前記第1および第2気孔形成剤の抽出、除去に所要する時間は、前記積層体の厚さ、気孔率などによって決定されることができるが、前記積層体の厚さおよび気孔率がそれぞれ10~30μmおよび40~60体積%である場合、10分以下、好ましくは、5分以下、さらに好ましくは、1分以下であってもよい。
【0063】
前記第1および第2気孔形成剤が抽出、除去された前記積層体を加熱して、前記積層体に残留する前記抽出溶媒を除去することができる。前記(e)段階で適用された前記抽出溶媒のうち一部は、前記積層体の表面および/または内部に残留することができる。残留した前記抽出溶媒は、後続工程とこれを通じて製造されるセパレータの物性を悪化させることができるので、前記積層体を前記抽出溶媒の沸点以上の温度で適切に加熱して、前記積層体に残留する前記抽出溶媒を除去することができる。
【0064】
前記(f)段階で、前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2個のセパレータ、すなわち、前記第1シートおよび前記第1前駆フィルムに由来する第1セパレータと、前記第2シートおよび前記第2前駆フィルムに由来する第2セパレータに分割することができる。
【0065】
図5は、図4のB部分に該当する積層体の断面を示す。図5を参照すると、前記(d)段階で、前記第1および第2前駆フィルムのラミネートによって形成された前記界面は、前記(e)段階でも安定的に維持されることができ、前記(d)段階で、前記界面に付与された離型性は、前記(e)段階で、前記積層体の横方向(TD)延伸によってさらに強化されることができる。
【0066】
前記(f)段階で、前記分割時に前記界面で測定された前記積層体の剥離強度は、0.06kgf/15mm以下、好ましくは、0.01~0.06kgf/15mmであってもよい。前記積層体の剥離強度が0.06kgf/15mm超過であれば、前記積層体の分割が円滑に行われることができず、分割された第1および第2セパレータの表面で剥離、損傷などが観察されることができる。反対に、前記積層体の剥離強度が0.01kgf/15mm未満であれば、前記(d)段階で、ラミネートされた前記積層体の層間結合力が低下して、前記(d)および(e)段階で、前記積層体の構造が安定的に維持されることができず、前記(f)段階で、分割された第1および第2セパレータの物性が顕著に変わって、製品の生産性、信頼性が低下することがある。
【0067】
前記(a)~(f)段階を通じて製造される前記第1および第2セパレータは、前記第1および第2前駆フィルムの重ね合わせを通した横方向(TD)同時延伸によって製造されるものであって、セパレータの生産性を高めると同時に、製造された2個のセパレータ間の物性の差異を最小化することが重要である。例えば、前記(f)段階で、分割された前記2個のセパレータ間の通気度(Gurley、秒/100ml)の差異の絶対値は、10秒/100ml以下、好ましくは、8秒/100ml以下、さらに好ましくは、5秒/100ml以下であってもよい。
【0068】
前記(e)および(f)段階の間に、(e’)前記積層体を熱固定する段階をさらに含んでもよい。前記熱固定は、前記積層体を固定させた状態で熱を加えて、収縮しようとする積層体を強制的に保持して、残留応力を除去する工程を意味する。熱固定温度は、高いことが収縮率を低減するのに有利であるが、その温度が過度に高ければ、前記積層体が部分的に溶融して、形成された気孔が閉鎖されて、透過度が低下することがある。
【0069】
熱固定温度は、前記積層体の結晶部分の10~30重量%が溶ける範囲で選択されることが好ましい。熱固定温度が前記範囲で選択されると、前記積層体内ポリオレフィン分子の再配列が不十分で、フィルムの残留応力の除去効果がない問題と、部分的溶融によって気孔が閉鎖されて透過度が低下する問題を防止することができる。例えば、熱固定温度は、120~140℃、好ましくは、123~135℃であってもよく、熱固定時間は、5秒~1分であってもよい。
【0070】
前記セパレータの製造方法を構成する前記(a)~(f)段階は、これらのうち2以上の間に任意の中断、中止なしに連続的に行われ得、これを通じて工程の連続性を維持して生産性をさらに改善することができる。
【実施例
【0071】
以下、本発明の実施例に関して詳細に説明することとする。
【0072】
実施例1
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)30重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル70重量部を混合した原料を2軸押出器(第1押出機、内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記第1押出機で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャストロール(casting roll)を通過させて、厚さが800μmである第1シートを製造した。
【0073】
同じ原料を2軸押出器(第2押出機、内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記第2押出機で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャストロール(casting roll)を通過させて、厚さが800μmである第2シートを製造した。
【0074】
前記第1および第2シートを縦方向(MD)に延伸するために、それぞれ相互並列に配置された第1および第2延伸機に投入した。前記第1および第2延伸機は、それぞれ2個の加熱ロール、6個の延伸ロール、および2個の冷却ロールが順次に設置され、それぞれの延伸ロールの前段に延伸倍率が異なる6個の単位区間が提供される(図2および図4参考)。前記第1および第2シートをそれぞれ縦方向(MD)に既定の倍率で延伸して、第1および第2前駆フィルムを製造した。前記第1および第2延伸機において単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率は、下記表1の通りである。
【表1】
【0075】
前記第1および第2前駆フィルムを前記冷却ロールの後段に設置されたガイドロールに沿って前記第1および第2延伸機の後段に設置されたラミネーターに投入し、前記第1および第2前駆フィルムが相互面接触して、ラミネートされた積層体を得た。
【0076】
前記積層体をテンター延伸機で125℃で横方向(TD)に7倍延伸した後、25℃ジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去し、50℃で5分間乾燥した。前記積層体を130℃で横方向(TD)に10%弛緩させて熱固定した後、前記積層体中、前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を分割して、前記第1および第2シートにそれぞれ由来する第1および第2セパレータを得た。
【0077】
実施例2
第1および第2延伸機において単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率を変更したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で第1および第2セパレータを得た。前記第1および第2延伸機で単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率は、下記表2の通りである。
【表2】
【0078】
実施例3
第1および第2シートの厚さをそれぞれ1,000μmに変更し、第1および第2延伸機において単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率を変更したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で第1および第2セパレータを得た。前記第1および第2延伸機において単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率は、下記表3の通りである。
【表3】
【0079】
比較例1
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)40重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル60重量部を混合した原料を2軸押出器(第1押出機、内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記第1押出機において幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャストロール(casting roll)を通過させて、厚さが500μmである第1シートを製造し、同じ方法で第2シートを製造した。
【0080】
前記第1および第2シートの間にグリセリンを塗布した後、前記第1および第2シートを重ね合わせて積層体を得た。前記積層体を120℃で同時二軸延伸機で7×7倍(MD×TD)延伸した後、25℃のジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去し、50℃で5分間乾燥した。前記積層体中、前記重ね合わせによって形成された界面に沿って前記積層体を分割して、前記第1および第2シートにそれぞれ由来する第1および第2セパレータを得た。
【0081】
比較例2
前記第1および第2シートの重ね合わせの際、前記第1および第2シートの間にグリセリンを塗布せずに、厚さが0.2mmであるポリプロピレンシートを介在させたことを除いて、前記比較例1と同じ方法で第1および第2セパレータを得た。
【0082】
比較例3
前記第1および第2前駆フィルムのラミネート時に前記第1および第2前駆フィルムの間にグリセリンを塗布し、第1および第2延伸機において単位区間ごとの延伸倍率と全体延伸倍率を下記表4のように変更したことを除いて、前記実施例3と同じ方法で第1および第2セパレータを得た。
【表4】
【0083】
比較例4
前記第1および第2前駆フィルムのラミネート時に前記第1および第2前駆フィルムの間にグリセリンを塗布しないことを除いて、前記比較例3と同じ方法で第1および第2セパレータを得た。
【0084】
比較例5
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)30重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル70重量部を混合した原料を2軸押出器(第1押出機、内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記第1押出機で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャストロール(casting roll)を通過させて、厚さが1,000μmである第1シートを製造した。
【0085】
同じ原料を2軸押出器(第2押出機、内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記第2押出機で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャストロール(casting roll)を通過させて、厚さが1,000μmである第2シートを製造した。
【0086】
前記第1および第2シートを前記第1および第2押出機の後段に設置されたラミネーターに投入し、前記第1および第2シートが相互面接触して、ラミネートされた積層体を得た。
【0087】
前記積層体をロール延伸機で110℃で縦方向(MD)に10倍延伸し、テンター延伸機で125℃で横方向(TD)に7倍延伸した後、25℃のジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去した。パラフィンオイルが除去された積層体を5分間50℃の条件で乾燥した。前記積層体を130℃で横方向(TD)に10%弛緩させて熱固定した後、前記積層体中前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を分割して、前記第1および第2シートにそれぞれ由来する第1および第2セパレータを得た。
【0088】
実験例1
実施例および比較例で得られた第1および第2セパレータの物性を次のような方法で測定し、その結果を下記表5に示した。
【0089】
-厚さ(μm):微細厚さ測定機を用いてセパレータの厚さを測定した。
-通気度(Gurley、秒/100ml):旭精工社製ガーレー測定機(Densometer)EGO2-5モデルを用いて測定圧力0.025MPaで100mlの空気がセパレータを通過する時間を測定した。
【表5】
【0090】
実験例2
実施例および比較例でラミネートされた積層体の分割時に前記第1および第2セパレータの剥離強度などを次のような方法で測定し、その結果を下記表6に示した。
【0091】
-剥離強度(kgf/15mm):実施例および比較例による積層体を幅15mm、長さ50mmに裁断した後、Shimadzu社製UTMを用いて前記積層体中、前記第1および第2セパレータの界面を引張速度0.3m/minで剥離して測定し、長さ20~40mm区間での平均値を下記表6に示した。
-表面剥離の有無:実施例および比較例による積層体の分割後、第1および第2セパレータの表面で剥離、スクラッチ、破損などの発生の有無を目視で観察した。
【表6】
【0092】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形が可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散して実施されることもでき、同様に、分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されることができる。
【0093】
本発明の範囲は、後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。
【符号の説明】
【0094】
10’ 第1シート
20’ 第2シート
10 第1前駆フィルム
20 第2前駆フィルム
S11~S16 第1単位区間
S21~S26 第2単位区間
R11~R16,R21~R26 延伸ロール
G ガイドロール
H11、H12、H21、H22 加熱ロール
C11、C12、C21、C22 冷却ロール
L ラミネーター
30 界面
図1
図2
図3
図4
図5