(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】患者テーブルにロボットシステムを固定する支持具
(51)【国際特許分類】
A61B 90/50 20160101AFI20230904BHJP
【FI】
A61B90/50
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022117646
(22)【出願日】2022-07-25
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510292504
【氏名又は名称】コリンダス、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】エリック クレム
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー フェラーリ
(72)【発明者】
【氏名】カイル マッキニー
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11013574(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0269109(US,A1)
【文献】米国特許第05287575(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/50-90/57
A61B 34/00-34/37
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者支持面と
、該患者支持面の両脇に配置された第1のレール及び第2のレールとを有する患者テーブルに機構を取り付けるための支持具であって、
前記機構を支持するためのベースと、
前記ベースの下に設けられ、前記第1のレールと係合可能な第1の係合部と、
前記第1の係合部から離れて位置し、前記第2のレールと係合可能な第2の係合部と、
前記患者支持面を画定する患者テーブル平面に平行なテーブル横断方向に当該支持具を移動させる力を少なくとも提供するように操作可能な単一係合機構と、を含み、
前記単一係合機構は、前記移動させる力を提供するように操作されたときに、前記第1の係合部及び前記第2の係合部を、装着状態から、前記第1のレールと前記第2のレールとに前記ベースを固定する固定状態へ遷移させる
、支持具。
【請求項2】
前記固定状態において、前記第1の係合部は前記第1のレールの下部に当接するように構成され、前記第2の係合部は前記第2のレールの下部に当接するように構成される、請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記ベースは、前記患者支持面に接触する第1のパッドを含む、請求項2に記載の支持具。
【請求項4】
前記第1のパッドは、前記患者支持面にパッド力を加える付勢部材によって付勢される、請求項3に記載の支持具。
【請求項5】
前記パッド力が実質的に一定である、請求項4に記載の支持具。
【請求項6】
前記単一係合機構は、
前記テーブル横断方向において、及び前記患者支持面と直交する上下方向において、前記ベースを固定する、請求項1に記載の支持具。
【請求項7】
前記単一係合機構は、前記ベースを前記テーブル横断方向に移動させる第1のカム面を有するカム機構を含む、請求項6に記載の支持具。
【請求項8】
前記カム機構は、前記ベースを前記上下方向に移動させる第2のカム面を含む、請求項7に記載の支持具。
【請求項9】
前記機構として医療デバイスシステムが当該支持具に取り付けられ、
この医療デバイスシステムは、前記第1のレール及び前記第2のレールにシステム力を加える質量中心を有し、
前記パッド力と前記システム力は、前記第1のレール、前記第2のレール、及び前記患者支持面に既定されている制限力を超えない、請求項4に記載の支持具。
【請求項10】
前記医療デバイスシステムの前記質量中心は、該医療デバイスシステムの能動動作中に所定の領域内において移動し、前記既定の制限力を超えない、請求項9に記載の支持具。
【請求項11】
前記第1のパッドは、前記第2のレールよりも前記第1のレールに近い所で前記患者支持面に接触する、請求項10に記載の支持具。
【請求項12】
前記第1のパッドは、前記第1のレールと前記第2のレールと間の中間で前記患者支持面に接触する、請求項10に記載の支持具。
【請求項13】
前記患者テーブルがテーブルマーカーを有し、前記ベースがベースマーカーを有し、
前記固定状態において前記ベースマーカーが前記テーブルマーカーと位置合わせされる、請求項1に記載の支持具。
【請求項14】
前記単一係合機構は、一方向へ部材を
操作することによって
、当該支持具を前記テーブル横断方向と前記上下方向とに移動させる力を提供するように作動する、請求項6に記載の支持具。
【請求項15】
アームが前記ベースに組み付けられていて、該ベースは、前記患者テーブルの上に前記患者支持面へ下降させるように構成され、取り外し可能にしてある、請求項1に記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年7月30日出願の米国仮出願63/203,794「SUPPORT FOR SECURING A ROBOTIC SYSTEM TO A PATIENT TABLE」の利益を主張する。この関連出願は全体的にここに援用される。
【0002】
本発明は、広く言えばロボット制御医療処置システムの分野に関係し、具体的には、ロボットシステムを患者テーブルに固定する支持具に関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテル等の細長い医療デバイス(EMD)は、神経インターベンション手術としても知られる神経血管インターベンション(NVI)、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、及び末梢血管インターベンション(PVI)を含む様々な脈管系の疾患の診断及び治療のための低侵襲医療処置に使用される。これらの処置は、典型的には、脈管系を通してガイドワイヤをナビゲートし、このガイドワイヤを利用してカテーテルを前進させ治療を行うことを伴う。カテーテル式処置は、標準的な経皮技術を使用してイントロデューサシースにより、動脈や静脈などの適切な血管へアクセスすることによって始まる。続いて、イントロデューサシースを通して、シース又はガイドカテーテルを、診断ガイドワイヤにより、NVIの場合の内頸動脈、PCIの場合の冠動脈口、又はPVIの場合の浅大腿動脈など、一次位置へ前進させる。そして、脈管構造に適したガイドワイヤを、シース又はガイドカテーテルを通して、脈管構造内の標的箇所までナビゲートする。曲がりくねった解剖学的構造などの特定の状況では、ガイドワイヤのナビゲーションを支援するために、支持カテーテル又はマイクロカテーテルがガイドワイヤを通し挿入される。使用者(医師、操作者)は、造影剤注入でシネを得るために撮像システム(例えば、蛍光透視鏡)を使用し、ガイドワイヤ又はカテーテルを病変などの標的箇所までナビゲートするためのロードマップとして使用する固定フレームを選択することができる。造影画像は、医師がガイドワイヤ又はカテーテルを送り込んでいる間にも得られ、それにより医師は、デバイスが標的箇所への適切な経路に沿って移動していることを検証することができる。X線透視法を使用して解剖学的構造を観察しながら、医師は、ガイドワイヤ又はカテーテルの近位端(手元側)を操作して、遠位先端を病変又は標的解剖学的箇所に向かって適切な血管に誘導し、側枝への進入を回避する。
【0004】
例えばNVI、PCI、及びPVIなどのカテーテル式処置を実施する際に医師を補助するべく使用されるロボット制御カテーテルベース処置システムが開発されている。NVI処置の例には、動脈瘤のコイル塞栓形成、動静脈奇形の液体塞栓形成、及び急性虚血性脳卒中の状況における大血管閉塞の機械的血栓除去が含まれる。NVI処置において、医師は、ロボットシステムを使用して、神経血管ガイドワイヤ及びマイクロカテーテルの操作を制御することによって標的の病変にアクセスし、治療を施して正常な血流を回復させる。標的へのアクセスはシース又はガイドカテーテルによって可能にされるが、より遠位の(到達までの距離が長い)領域に関しては、又は、マイクロカテーテル及びガイドワイヤに適切な支持を提供するためには、中間カテーテルも利用し得る。ガイドワイヤの遠位先端は、病変のタイプと治療に応じて、病変の中か病変の先へナビゲートされる。動脈瘤の治療に関しては、マイクロカテーテルを病変の中へ進め、ガイドワイヤを除去し、いくつかの塞栓コイルをマイクロカテーテルを通して動脈瘤内に配置し、動脈瘤内への血流を遮断するために使用する。動静脈奇形の治療に関しては、液体塞栓剤を、マイクロカテーテルを介して奇形に注入する。血管閉塞を治療するための機械的血栓除去は、吸引及び/又はステント回収器の使用のいずれかによって達成することができる。血餅の場所に応じ、吸引カテーテルを通して又はより細い動脈用のマイクロカテーテルを通して、吸引が行われる。吸引カテーテルを病変部に置いた後、陰圧を加えてカテーテルを通し血餅を除去する。あるいは、血餅は、マイクロカテーテルを通してステント回収器を配置することによって除去することができる。血餅をステント回収器に絡め取った後、該ステント回収器及びマイクロカテーテル(又は中間カテーテル)をガイドカテーテル内に後退させることによって血餅を回収する。
【0005】
PCIにおいて、医師は、ロボットシステムを使用して、冠状動脈ガイドワイヤを操作することによって病変にアクセスし、治療を施して正常な血流を回復させる。アクセスは、冠状動脈口にガイドカテーテルを着座させることによって可能になる。ガイドワイヤの遠位先端が病変の先へナビゲートされ、複雑な解剖学的構造のために、マイクロカテーテルが、ガイドワイヤの適切な支持を提供するために使用され得る。血流は、病変にステント又はバルーンを送り込んで展開することによって回復させる。病変は、ステント留置の前に準備を必要とする場合があり、病変の事前拡張のためにバルーンが送り込まれるか、又は、例えばレーザ又は回転式アテローム切除カテーテルとガイドワイヤを通したバルーンを使用してアテローム切除術が実施される。撮像カテーテルや冠血流予備量比(fractional flow reserve:FFR)測定を使用することによって適切な治療を決定するために、診断撮像及び生理学的測定が実行され得る。
【0006】
PVIにおいて、医師は、ロボットシステムを用いて治療を行い、NVIと同様の技術で血流を回復させる。ガイドワイヤの遠位先端が病変の先へナビゲートされ、マイクロカテーテルが複雑な解剖学的構造に対してガイドワイヤに適切な支持を提供するために使用され得る。血流は、ステント又はバルーンを病変に届けて展開することによって回復させる。PCIと同様に、病変の準備及び画像診断も使用することができる。
【0007】
カテーテル又はガイドワイヤの遠位端における支持が、例えば、曲がりくねった又は石灰化した脈管系をナビゲートするため、遠位の(到達までの距離が長い)解剖学的箇所に到達するため、又は、硬い病変を横断するため、に必要とされるとき、オーバーザワイヤ(OTW)カテーテル又は同軸システムが使用される。OTWカテーテルは、カテーテルの全長に延在する、ガイドワイヤ用の管腔を有する。これにより、ガイドワイヤが全長に沿って支持されるので、比較的安定したシステムが提供される。しかしながら、このシステムは、ラピッドエクスチェンジカテーテルと比較して、摩擦が大きく、全長が長いなど、いくつかの不利点を有する(次のとおり)。通常、留置ガイドワイヤの位置を維持しながらOTWカテーテルを除去又は交換するために、ガイドワイヤの露出長さ(患者の外側の)は、OTWカテーテルよりも長くなければならない。通常、300cmの長さのガイドワイヤがこの目的のために十分とされ、交換長ガイドワイヤと呼ばれることが多い。このガイドワイヤの長さに起因して、OTWカテーテルを除去又は交換するために、2人の操作者が必要とされる。このことは、三軸システムとして当技術分野で知られている三重同軸カテーテルが使用される場合(四重同軸カテーテルも使用されることが知られている)、さらに困難になる。にもかかわらず、その安定性のために、OTWシステムはNVI及びPVI処置において頻繁に使用される。一方、PCI処置では、ラピッドエクスチェンジ(又はモノレール)カテーテルを使用することが多い。ラピッドエクスチェンジカテーテル中のガイドワイヤ管腔は、モノレール又はラピッドエクスチェンジ(RX)セクションと呼ばれるカテーテルの遠位セクションのみに延びている。RXシステムでは、使用者は、(デバイスが縦列構成で操作されるOTWシステムとは対照的に)相互平行にインターベンションデバイスを操作し、ガイドワイヤの露出長さは、カテーテルのRXセクションよりもわずかに長くするだけでよい。ラピッドエクスチェンジ長のガイドワイヤは、典型的には、180~200cmの長さである。より短いガイドワイヤ及びモノレールが提供されて、RXカテーテルは、一人の操作者で交換可能である。しかしながら、RXカテーテルは、より遠位の(遠くで)支持が必要な場合に不適切であることが多い。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、患者支持面と第1のレール及び第2のレールとを有する患者テーブルに、支持具が所定の機構を取り付ける。この支持具はベースを含み、ベースは、第1の係合部と第2の係合部と単一係合機構とを有する。単一係合機構は、第1の係合部及び第2の係合部を、装着状態から、ベースを第1のレールと第2のレールとに固定する固定状態へ遷移させる。
【0009】
一態様において、固定状態で、第1の係合部は、第1のレールの下部に当接するように構成され、第2の係合部は、第2のレールの下部に当接するように構成される。
【0010】
一態様において、ベースは、患者支持面に接触する第1のパッドを含む。
【0011】
一態様において、第1のパッドは、患者支持面にパッドから力(パッド力)を加える付勢部材によって付勢される。
【0012】
一態様において、パッド力は実質的に一定である。
【0013】
一態様において、単一係合機構は、患者支持面を画定する患者テーブル平面と平行なテーブル横断(又は交差)方向において、そして患者支持面と直交する上下方向において、ベースを固定する。
【0014】
一態様において、単一係合機構は、ベースをテーブル横断方向に移動させる第1のカム面を有するカム機構を含む。
【0015】
一態様において、カム機構は、ベースを上下方向に移動させる第2のカム面を含む。
【0016】
一態様において、医療デバイスシステムが支持具に取り付けられ、この医療デバイスシステムは、第1のレール及び第2のレールにシステムから力(システム力)を加える質量中心を有する。この場合、パッド力とシステム力は、第1のレール、第2のレール及び患者支持面に既定されている制限力を超えない。
【0017】
一態様において、医療デバイスシステムの質量中心は、医療デバイスシステムの能動動作中に所定の領域内において移動し、既定の制限力を超えない。
【0018】
一態様において、第1のパッドは、第2のレールよりも第1のレールに近い所で患者支持面に接触する。
【0019】
一態様において、第1のパッドは、第1のレールと第2のレールと間の中間で患者支持面に接触する。
【0020】
一態様において、患者テーブルがテーブルマーカーを含み、ベースがベースマーカーを含み、固定状態においてベースマーカーはテーブルマーカーと位置合わせされる。
【0021】
一態様において、単一係合機構は、一方向へ部材を動かすことによって作動する。
【0022】
一態様において、アームがベースに組み付けられていて、ベースは、患者テーブルの上に患者支持面へ下降させるように構成され、取り外し可能にしてある。
【0023】
一態様によると、患者支持面と第1のレール及び第2のレールとを有する患者テーブルに、支持具が所定の機構を取り付ける。支持具は、第1のレールと第2のレールとの間の中間に配置されたパッドを含むベースを備える。パッドは、付勢部材によって第1の方向へ付勢され、患者テーブルの患者支持面に接触するように構成される。第1の係合部が第1のレールに当接するように構成され、第2の係合部が第2のレールに当接するように構成される。パッドは、パッドが患者支持面と接触しているときに、患者支持面にパッドから力(パッド力)を加える。
【0024】
一態様において、ストップ部材がベースに接続され、ストップ部材は、パッドが第1の方向へ動くことができる距離を制限し、パッドが患者支持面と接触していないときに付勢部材を予荷重状態に維持する。
【0025】
一態様において、パッドが患者支持面に接触してパッドがストップ部材から離れる第2の方向へ動いたとき、付勢部材の力が全面的に患者支持面へ加えられる。
【0026】
一態様によると、支持具に取り付けられるように構成された医療デバイスシステムである。医療デバイスシステムは、第1のレール及び第2のレールにシステムから力(システム力)を加える質量中心を有する。上記のパッド力及びシステム力は、第1のレール、第2のレール及び患者支持面に既定されている制限力を超えない。支持具及び医療デバイスシステムからかかる力は、第1のレールと、第2のレールと、患者支持面とに分散される。
【0027】
一態様によると、支持具に取り付けられるように構成された医療デバイスシステムである。医療デバイスシステムは、第1のレール及び第2のレールにシステムから力(システム力)を加える質量中心を有する。上記のパッド力及びシステム力は、第1のレール、第2のレール及び患者支持面に既定されている制限力を超えない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、図面を参照した以下の詳細な説明からより深く理解される。図中、同じ参照番号は同様の部分を示す。
【
図1】一実施形態に係るカテーテルベース処置システムを例示する斜視図。
【
図2】一実施形態に係るカテーテルベース処置システムを例示する概略ブロック図。
【
図3】
図1に例示したカテーテルベース処置システムの側面図であり、明確にするために特定の構成要素を省略して示してある。
【
図4】一実施形態に係る、ロボット制御駆動装置用の位置決めシステムを例示する斜視図。
【
図7】
図6の支持具のバネ付勢パッドを示す部分分解図。
【
図11A】患者テーブルへの装着途中の支持具を示す図。
【
図11B】患者テーブルの上に降ろされた直後の支持具を示す側面図。
【
図11C】テーブル横断方向において操作した支持具を示す側面図。
【
図11D】上下方向において操作した支持具を示す側面図。
【
図13A】一つの状態にある係合機構を
図11C中の13-13線に概ね沿って示した断面図。
【
図13B】
図13Aに示す状態とは異なるもう一つの状態にある係合機構を
図11C中の13-13線に概ね沿って示した断面図。
【
図14】ロック状態にある係合機構を
図11D中の14-14線に概ね沿って示した断面図。
【
図15】患者テーブルに固定されたロボットシステムの上面図。
【
図16】ロボットシステム及びCアームの部分拡大図。
【
図17】支持部及びロボット制御機構から患者テーブルにかかる力を斜視で示す概略説明図。
【
図18】支持具及びロボット制御機構から患者テーブルにかかる力を概略的に説明する端面図。
【
図20A】患者テーブルの上に降ろされた直後の支持具を示す図。
【
図20B】テーブル横断方向において操作されている支持具を示す図。
【
図20C】上下方向において操作されている支持具を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、一実施形態に係るカテーテルベース処置システム10の斜視図である。カテーテルベース処置システム10は、カテーテル式医療処置、例えば、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(例えば、STEMIを治療するため)、神経血管インターベンション処置(NVI)(例えば、緊急大血管閉塞(ELVO)を治療するため)、末梢血管インターベンション処置(PVI)(例えば、重症下肢虚血(CLI)等のため)などの経皮的インターベンション処置、を実施するために使用される。カテーテル式医療処置は、1つ以上のカテーテル又は他の細長い医療デバイス(EMD)が患者の病変の診断を補助するために使用される診断カテーテル式処置を含み得る。例えば、カテーテル式診断処置の一例で、造影剤が、カテーテルを通して1つ以上の動脈に注入され、患者の脈管系の画像が撮影される。カテーテル式医療処置は、カテーテル式治療処置も含み(例えば、血管形成術、ステント留置、末梢血管疾患の治療、血餅除去、動脈静脈奇形治療、動脈瘤の治療など)、この処置においては、カテーテル(又は他のEMD)が病変を治療するために使用される。治療処置は、例えば、血管内超音波(IVUS)、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、冠血流予備量比(FFR)などの補助装置54(
図2に示される)を含めることによって強化され得る。なお、当業者にとって、特定の専用経皮的インターベンション装置又はコンポーネント(例えば、ガイドワイヤのタイプ、カテーテルのタイプなど)が、実施される処置のタイプに基づいて選択され得るということは、当然のことである。カテーテルベース処置システム10は、わずかな調整で、処置に使用される特定の経皮的インターベンション装置に適応し、様々なカテーテル式医療処置を実行することができる。
【0030】
カテーテルベース処置システム10は、数ある要素の中でも特に、ベッドサイドユニット20及び制御ステーション(図示せず)を含む。ベッドサイドユニット20は、患者12の脇に配置されたロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含む。患者12は患者テーブル18に寝かされている。位置決めシステム22は、ロボット制御駆動装置24の位置決めと支持に使用される。位置決めシステム22は、例えば、ロボットアーム、多関節アーム、ホルダ等であり得る。位置決めシステム22は、一端で、例えば、患者テーブル18(
図1に示されるように)、ベース、又はカートに取り付けられる。位置決めシステム22の他端には、ロボット制御駆動装置24が取り付けられる。位置決めシステム22は、患者12が患者テーブル18に載ることができるように、(ロボット制御駆動装置24と共に)退避させる(脇に退ける)ことができる。患者12が患者テーブル18に寝かされると、位置決めシステム22を使用して、処置を行う患者12に対してロボット制御駆動装置24を位置決めする(据える)ことができる。一実施形態において、患者テーブル18は、床及び/又は地面に固定された台座17により支持されて動作する。患者テーブル18は、台座17に対して多自由度、例えばロール、ピッチ、ヨー、で動くことができる。ベッドサイドユニット20は、(
図2に示される)制御装置及びディスプレイ46も含み得る。例えば、制御装置及びディスプレイ46は、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。
【0031】
一般に、ロボット制御駆動装置24は、適切な経皮的インターベンションデバイス及び付属機器48(
図2に示される)(例えば、ガイドワイヤ、バルーンカテーテルを含む各種のカテーテル、ステント配置システム、ステント回収器、塞栓コイル、液体塞栓、吸引ポンプ、造影剤を注入するデバイス、薬剤、止血弁アダプタ、シリンジ、ストップコック、膨張デバイスなど)を装備し、使用者が、制御ステーションにある制御機器及び入力機器などの様々な制御装置を操作してロボットシステムを介しカテーテル式医療処置を行えるようにする。ベッドサイドユニット20、具体的にはロボット制御駆動装置24は、いくつかの及び/又は組み合わせたコンポーネントを含み、ここに説明する機能をベッドサイドユニット20に提供する。ロボット制御駆動装置24は、レール(又は直線部材)に取り付けられた複数のデバイスモジュール32a~32dを含む。デバイスモジュール32a~32dの各々は、カテーテルやガイドワイヤなどのEMDを駆動するために使用される。例えば、ロボット制御駆動装置24は、患者12の動脈内の診断カテーテルの中へ及びガイドカテーテルの中へガイドワイヤを機械的に送り込むために使用される。EMDなどの1つ以上のデバイスが、例えばイントロデューサシースを介して、挿入点16から患者12の体内(例えば血管)に入る。
【0032】
ベッドサイドユニット20は、制御ステーション(図示せず)と通信しており、制御ステーションで使用者入力により生成される信号がベッドサイドユニット20へ無線又は有線で送信され、ベッドサイドユニット20の各機能が制御される。後述するように、制御ステーションは、制御コンピューティングシステム34(
図2に示す)を含むか、又は、制御コンピューティングシステム34を介してベッドサイドユニット20と接続される。ベッドサイドユニット20は、フィードバック信号(例えば、負荷、速度、動作条件、警告信号、エラーコードなど)を制御ステーションか制御コンピューティングシステム34(
図2に示す)又はその両方に提供することもできる。制御コンピューティングシステム34とカテーテルベース処置システム10の各コンポーネントとの間の通信は、無線接続、有線接続、又はコンポーネント間の通信を可能にする各種の手段である通信リンクを介して提供される。制御ステーション又は他の同様の制御システムは、ローカルサイト(例えば
図2に示されるローカル制御ステーション38)又はリモートサイト(例えば
図2に示されるリモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42)のいずれかに配置される。カテーテルベース処置システム10は、ローカルサイトの制御ステーションかリモートサイトの制御ステーション、又は同時にローカル制御ステーションとリモート制御ステーションの両方によって、操作される。ローカルサイトにおいて、使用者及び制御ステーションは、患者12及びベッドサイドユニット20と同じ部屋又は隣の部屋に配置される。ここで使うローカルサイトは、ベッドサイドユニット20と患者12又は対象(動物や死体など)の場所であり、リモートサイトは、ベッドサイドユニット20を遠隔制御するために使用される制御ステーションと使用者の場所である。リモートサイトの制御ステーション(及び制御コンピューティングシステム)と、ローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は制御コンピューティングシステムは、例えばインターネットを通して、通信システム及びサービス36(
図2に示される)の使用により通信することができる。一実施形態において、リモートサイトとローカル(患者)サイトとは互いに離れており、例えば、同じ建物内の別の部屋、同じ都市内の別の建物、別の都市、又は、リモートサイトからローカルサイトのベッドサイドユニット20及び/又は患者12に物理的にアクセスできない別々の場所にある。
【0033】
制御ステーションは、一般に、カテーテルベース処置システム10の様々なコンポーネントやシステムを操作するためのユーザ入力を受信するように構成された1つ以上の入力モジュール28を含む。図示の実施形態の場合、制御ステーションは、使用者がベッドサイドユニット20を制御してカテーテル式医療処置を実行することを可能にする。例えば、入力モジュール28は、ロボット制御駆動装置24と連動する経皮的インターベンションデバイス(例えばEMD)を使用してベッドサイドユニット20に各種のタスクを実行させるように構成される(例えば、ガイドワイヤを前進、後退、又は回転させる、カテーテルを前進、後退、又は回転させる、カテーテルに設けたバルーンを膨張又は収縮させる、ステントを位置決めし及び/又は展開する、ステント回収器を位置決めし及び/又は展開する、コイルを位置決めし及び/又は展開する、カテーテルに造影剤を注入する、カテーテルに液体塞栓を注入する、カテーテルに薬剤又は生理食塩水を注入する、カテーテルで吸引する、あるいは、カテーテル式医療処置の一部として実行され得る各種の他の機能を実行する)。ロボット制御駆動装置24は、経皮的インターベンションデバイスを含むベッドサイドユニット20のコンポーネントを動作させる(例えば軸方向及び回転方向の動作)ための各種駆動機構を含む。
【0034】
一実施形態において、入力モジュール28は、1つ以上のタッチスクリーン、ジョイスティック、スクロールホイール、及び/又はボタンを含む。入力モジュール28に加えて、制御ステーション26には、フットスイッチ及び音声コマンド用マイクロフォンなどのユーザ制御装置44(
図2に示す)を追加で使用してもよい。入力モジュール28は、例えばガイドワイヤ及び1つ以上のカテーテル又はマイクロカテーテルなどの各種コンポーネント及び経皮的インターベンションデバイスを前進させ、後退させ、又は回転させるように構成される。ボタンには、例えば、緊急停止ボタン、倍率ボタン、機器選択ボタン、及び自動化動作ボタンを用意することができる。緊急停止ボタンが押されると、ベッドサイドユニット20に対し、動力(例えば電力)が遮断されるか切り離される。速度制御モードにあるとき、倍率ボタンは、入力モジュール28の操作に応答して関連するコンポーネントが動作する速度を、増減するように機能する。位置制御モードにあるときには、倍率ボタンは、入力距離と出力指令距離との間のマッピングを変更する。機器選択ボタンは、ロボット制御駆動装置24に装填された経皮的インターベンションデバイスのうちのどれを入力モジュール28によって制御するかを使用者が選択できるようにする。自動化動作ボタンは、使用者11から直接コマンドを受けずにカテーテルベース処置システム10が経皮的インターベンションデバイスで実行することができるアルゴリズム動作を可能にするために使用される。一実施形態において、入力モジュール28は、タッチスクリーン(ディスプレイの一部であってもよく、そうでなくてもよい)に表示される1つ以上の制御手段又はアイコン(図示せず)を含み、これらが選択されると、カテーテルベース処置システム10のコンポーネントが操作される。入力モジュール28は、バルーンを膨張又は収縮させ及び/又はステントを展開するように構成されたバルーン又はステント制御手段も含み得る。入力モジュール28の各々は、1つ以上のボタン、スクロールホイール、ジョイスティック、タッチスクリーンなどを含み、これらは、専用制御すべき特定の1つ又は複数のコンポーネントを制御するために使用することができる。さらに、1つ以上のタッチスクリーンに、入力モジュール28の各部分やカテーテルベース処置システム10の各コンポーネントに関連する1つ以上のアイコン(図示せず)を表示することができる。
【0035】
カテーテルベース処置システム10は、撮像システム14も含む。撮像システム14は、カテーテル式医療処置(例えば、非デジタルX線、デジタルX線、CT、MRI、超音波など)と併せて使用され得る各種の医療撮像システムである。一例をあげると、撮像システム14は、制御ステーションと通信するデジタルX線撮像装置である。一実施形態において、撮像システム14は、患者12の周りを撮像システム14が部分的に又は完全に回転することができるようにCアーム(
図1に示される)を含み、これにより撮像システム14は、患者12に対して様々な角度位置(例えば、sagittal view(矢状)、caudal view(尾側)、anterior-posterior view(前後)など)で画像を取得できる。一実施形態において、撮像システム14は、イメージインテンシファイアとしても知られるX線源13及び検出器15を有するCアームを含んだ、透視システムである。
【0036】
撮像システム14は、処置に際し患者12の適切な領域のX線画像を撮るように構成することができる。例えば、撮像システム14は、神経血管の状態を診断するために頭部の1つ以上のX線画像を取得するように構成され得る。撮像システム14は、カテーテル式医療処置において1つ以上のX線画像(例えばリアルタイム画像)を撮ることで制御ステーション26の使用者11を支援し、処置においてガイドワイヤ、ガイドカテーテル、マイクロカテーテル、ステント回収器、コイル、ステント、バルーンなどを適切に位置決めできるようにする。画像はディスプレイ30に表示できる。例えば、画像は、使用者がガイドカテーテル又はガイドワイヤを適切な位置へ正確に移動させられるように、ディスプレイに表示される。
【0037】
方向を明確にするために、X,Y,Z軸をもつ直交座標系が導入される。正のX軸は、長手方向(軸方向)の遠位方向に、すなわち近位端から遠位端へ向かう方向に、言い換えれば近位から遠位の方向に、配向される。Y軸とZ軸はX軸に対する横断面にあり、正のZ軸は上向き、つまり重力の反対方向に向いており、Y軸は右手の法則によって必然的に決まる。
【0038】
図2は、一実施形態に係るカテーテルベース処置システム10のブロック図である。カテーテルベース処置システム10は、制御コンピューティングシステム34を含む。制御コンピューティングシステム34は、物理的に、例えば制御ステーションの一部であってもよい。制御コンピューティングシステム34は、概して、ここに説明する様々な機能をカテーテルベース処置システム10に提供するように適合させた電子制御ユニットであってもよい。例えば、制御コンピューティングシステム34は、組み込みシステム、専用回路、ここに説明する機能をプログラムした汎用システムなどであり得る。制御コンピューティングシステム34は、ベッドサイドユニット20、通信システム及びサービス36(例えばインターネット、ファイアウォール、クラウドサービス、セッションマネージャ、病院ネットワークなど)、ローカル制御ステーション38、追加の通信システム40(例えばテレプレゼンスシステム)、リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42、そして、患者センサ56(例えば心電図(ECG)装置、脳波(EEG)装置、血圧モニタ、温度モニタ、心拍数モニタ、呼吸モニタなど)と、通信する。制御コンピューティングシステム34は、撮像システム14、患者テーブル18、追加の医療システム50、造影剤注入システム52、及び補助装置54(例えばIVUS、OCT、FFRなど)とも通信する。ベッドサイドユニット20は、ロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含み、追加の制御装置及びディスプレイ46を含んでもよい。上述のように、追加の制御装置及びディスプレイ46は、ロボット制御駆動装置24のハウジングに配置することができる。インターベンションデバイス及び付属機器48(例えばガイドワイヤ、カテーテルなど)は、ベッドサイドユニット20と連動する。一実施形態において、インターベンションデバイス及び付属機器48には特殊装置(例えばIVUSカテーテル、OCTカテーテル、FFRワイヤ、造影用診断カテーテルなど)が含まれ、これらはそれぞれの補助装置54、すなわちIVUSシステム、OCTシステム、及びFFRシステムなどと連動する。
【0039】
一実施形態において、制御コンピューティングシステム34は、(例えばローカル制御ステーション38やリモート制御ステーション42といった制御ステーションの)入力モジュール28と使用者の相互作用に基づいて、及び/又は、カテーテルベース処置システム10を使用して医療処置を実行できるようにする制御コンピューティングシステム34の利用可能な情報に基づいて、制御信号を発生するように構成される。ローカル制御ステーション38は、1つ以上のディスプレイ30、1つ以上の入力モジュール28、及び追加のユーザ制御装置44を含む。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42は、ローカル制御ステーション38と同様のコンポーネントを含むことができる。リモート制御ステーション及びコンピューティングシステム42とローカル制御ステーション38とは、それらに必要な機能に従って違う構成で組むことができる。追加のユーザ制御装置44は、例えば、1つ以上のフット入力制御手段を含む。フット入力制御手段は、X線のオン/オフ及び各記憶画像のスクロールなどの撮像システム14の機能を使用者が選択できるようにすべく構成される。一実施形態において、フット入力装置が、入力モジュール28に含まれるスクロールホイールにどのデバイスをマッピングするか使用者が選択できるようにすべく構成される。追加の通信システム40(例えばオーディオ会議、ビデオ会議、テレプレゼンスなど)は、患者、医療スタッフ(例えばアンギオスイートスタッフ)、及び/又はベッドサイド近くにある機器と使用者との連携を補助するべく、採用される。
【0040】
カテーテルベース処置システム10は、明示していない他の各種のシステム及び/又はデバイスを含むように接続又は構成され得る。例えば、カテーテルベース処置システム10は、画像処理エンジン、データストレージ及びアーカイブシステム、自動バルーン及び/又はステント膨張システム、薬剤注入システム、薬剤追跡及び/又はロギングシステム、ユーザログ、暗号化システム、カテーテルベース処置システム10のアクセス又は使用を制限するシステムなどを含むことができる。
【0041】
上述のように、制御コンピューティングシステム34は、ロボット制御駆動装置24及び位置決めシステム22を含み且つ追加の制御装置及びディスプレイ46を含み得るベッドサイドユニット20と通信し、そして、ベッドサイドユニット20に制御信号を提供して、経皮的インターベンションデバイス(例えばガイドワイヤ、カテーテルなど)を駆動するために使用されるモータ及び駆動機構の動作を制御する。種々の駆動機構がロボット制御駆動装置24の一部として設けられる。
【0042】
図3を参照すると、
図1に例示するカテーテルベースの処置システム10の側面図が、明確にするために特定の構成要素(例えば患者、Cアーム)を除去して、示されている。
図1を参照して上述したように、患者テーブル18は台座17に支持され、ロボット制御駆動装置24は、位置決めシステム22を用いて患者テーブルに取り付けられる。位置決めシステム22は、患者テーブル18と相対的なロボット制御駆動装置24の操作を可能にする。この点に関して、位置決めシステム22は、患者テーブル18に固定され、
図4を参照して以下に説明するように、操作を可能にする様々な関節及びリンク/アームを含む。
【0043】
図4は、一実施形態に係る、ロボット制御駆動装置のための位置決めシステム22を例示する斜視図である。位置決めシステム22は、位置決めシステム22を患者テーブル18に固定するための固定装置60を含む。固定装置60は、第1の係合部材を第1の長手方向レールと係合させると共に第2の係合部材を第2の長手方向レールと係合させて位置決めシステムを患者テーブル(ベッド)に取り外し可能に固定する、係合機構を含む。
【0044】
位置決めシステム22は様々なセグメント及びジョイントを含み、これらが連結して、ロボット制御駆動装置24の位置(配置/状態)を、例えば患者に対して、望むとおりに決めることができるようにする。位置決めシステム22は、固定装置60に連結された第1の回転ジョイント70を含む。第1の回転ジョイント70は、第1のアーム72(リンク)の回転軸の周りの回動を可能にする。図示の例において、固定装置60は、実質的に水平な面(例えば患者テーブル18の平面)内にあり、回転軸は、実質的に垂直であって第1の回転ジョイント70の中央を通って延びている。第1の回転ジョイント70は、第1の回転ジョイント70の回転を使用者が制御できるようにする構造を、含むことができる。
【0045】
図示の例において、第1のアーム72は、第1の回転ジョイント70に連結された第1の端部をもち、実質的に水平である。第1のアーム72の第2の端部は、第2の回転ジョイント74に連結されている。さらに、第2の回転ジョイント74には、第2のアーム76の第1の端部も連結される。すなわち第2の回転ジョイント74は、第1のアーム72に対する第2のアーム76の回動を可能にする。第1の回転ジョイント70と同様に、第2の回転ジョイント74は、第2の回転ジョイント74の中央を通る実質的に垂直の軸の周りに回転可能である。加えて第2の回転ジョイント74は、第2の回転ジョイント74の回転を使用者が制御できるようにする構造を、含むことができる。
【0046】
図示の例において、第2のアーム76の第2の端部は、第3の回転ジョイント78に連結されている。第3の回転ジョイント78は、位置決めシステム22に対しロボット制御駆動装置24を取り付けるためのポスト80を含む。すなわち第3の回転ジョイント78は、第2のアーム76に対するロボット制御駆動装置24の回動を可能にする。第3の回転ジョイント78は、第3の回転ジョイント78の中央を通る実質的に垂直の軸の周りに回転可能である。加えて第3の回転ジョイント78は、第3の回転ジョイント78の回転を使用者が制御できるようにする構造を、含むことができる。
【0047】
一実施形態において、第2のアーム76は、第2の回転ジョイント74に対する第3の回転ジョイント78の制限された上下方向の動作を可能にする4アームリンク機構を含む。この4アームリンク機構は、第3の回転ジョイント78及びポスト80の実質的に垂直の向きを維持しながら、第3の回転ジョイント78の上下方向の移動を可能にする。
【0048】
図4及び
図5を参照すると、一実施形態における固定装置60は、患者支持面102と第1のレール104と反対側の第2のレール106とを有する患者テーブル18に、ロボット制御駆動装置24などの所定の機構を取り付けるための支持具100を含む。支持具100はベース108を含む。一実施形態において、ベース108は、ロボット制御駆動装置24などの機構を支持するために、ベースに組み付けられた関節アーム110を含む。支持具100は、第1の係合部112及び第2の係合部114を含む。係合機構116は、装着状態から、ベース108を第1のレール104及び反対側の第2のレール106に固定する固定状態へ、第1の係合部112を動作させると共に第2の係合部114を動作させる操作を行える。
【0049】
図1及び
図11Aを参照すると、患者テーブル18は、第1の長手方向端部118及び反対側の第2の長手方向端部120を有する患者支持面102を含む。一実装形態において、使用時の向きは、患者の頭部が、第1の長手方向端部118よりも第2の長手方向端部120に近く、そして患者の足が、反対側の第2の長手方向端部120よりも第1の長手方向端部118に近い。患者が患者テーブル18に仰向けで寝ているとき、患者の左側が第1の長手方向側部122の方にあり、患者の右側が第2の長手方向側部124の方にある。第1のレール104は、第1の長手方向側部122の側縁から、第2の長手方向側部124から遠退く方へ突出している。第2のレール106は、第2の長手方向側部124の側縁から、第1の長手方向側部122から遠退く方へ突出している。
【0050】
使用時の向きの一例において、患者支持面102は、重力の方向が患者支持面によって画定される平面に対し交差するように、水平である。X軸、Y軸、及びZ軸について言えば、患者支持面102はX-Y平面に平行である。患者支持面によって画定される平面に交差する方向を、ここでは垂直(上下)方向と呼び、重力の方向にある垂直方向に沿った動きを下降と呼ぶ。言い換えれば、ここで言う垂直方向はZ軸に沿った方向を指す。使用位置にある患者テーブルにおいて重力の方向とは反対に向いている患者テーブル18の表面を上面と呼び、使用位置にある患者テーブルにおいて重力の方向へ向いている表面を下面と呼ぶ。
【0051】
図11Aを参照すると、第1のレール104は、第1のレール上面126と第1のレール下面128とを含み、第1のレール上面126の方が第1のレール下面128よりも患者テーブルの患者支持面102に近い。同様に、反対側の第2のレール106は、第2のレール上面130とその反対側の第2のレール下面132とを含み、第2のレール上面130の方が第2のレール下面132よりも患者テーブルの患者支持面102に近い。第1のレール104は、第1のレール上面126と第1のレール下面128との間に延在する外縁面134を含む。外縁面134は、第2のレール106に対し反対の方向を向いている。第2のレール106は、外縁面136を含む。
【0052】
図5を参照すると、ベース108は、第2の係合部114を支持する横断アーム138を含む。横断アーム138は、ベース108の本体140から延びるように摺動可能である。横断アーム138は、異なるベッド横断寸法を有する患者ベッド(患者テーブル)を収容できるように、本体140に対して調節することができる。第1の係合部112は、第1の係合部ハウジング117を本体140に接続するアジャスタ206によって上下方向(Z軸)に調節することができる。テーブル横断方向は、第1のレール104の外縁面134から第2のレール106の外縁面136へ直交して延びる方向である。第2の係合部114は、横断アーム138の上下延伸部144に配置されるタブ142を含む。横断アーム138は、患者支持面102によって画定される平面にほぼ平行に延びる第1の伸縮部139を含む。テーブル横断向はY軸に沿っている。正のY軸方向又はテーブル横断方向が第1のレール104から第2のレール106へ向かう方向である。一実施形態において、横断アーム138の第1の伸縮部139が、ベース108の本体140から延出し伸縮自在である。上下延伸部144は、第2のレール106に対面する係合面146を含む。上下延伸部144は、患者支持面102から下方へ延在する。タブ142の位置は、第2のレール106と患者支持面102との間の様々な高さに適応するように、Z軸方向に調節することができる。同様に、上述のとおり、係合機構116は、アジャスタ206を介してZ軸方向に調節可能であり、第1のレール104と患者支持面102との間の様々な高さに対応する。
【0053】
一実施形態において、支持具100は、長手方向軸に沿った所定の位置で患者テーブル18上に配置される。テーブルマーカーや他のテーブルの印などのマーカーが、患者テーブル18の長手方向軸に沿った特定の位置に付けられる。支持具100は、ロボット制御機構が予め決められた動作範囲内で動くことができるように、テーブルの印と位置合わせされる印を有する。ここに説明する患者テーブル18における支持具100の位置合わせは、ロボット制御駆動装置24と撮像システム14との間の干渉を回避するのに役立つ。加えて、患者テーブル18に対する支持具100の位置合わせは、届かないことがないようにロボット制御駆動装置24を患者に対して位置決めするために有用である。一実施形態において、テーブルマーカーは、第1のレール104に恒久的にクランプされるものとでき、そしてテーブルマーカーは、X軸の方向に第1のレール104に沿って長手方向の二箇所に位置する2つの部分を含むものとし、このテーブルマーカーの2つの部分の間に係合機構116が位置するようにしてもよい。
【0054】
支持具100は、予定された長手方向の位置で患者テーブル18の上に直接降ろされる。この支持具100は、患者テーブル18の遠位端で取り付けてから第1のレール104及び第2のレール106に沿って予定の長手方向位置まで摺動させる必要がない。同様に、ここに説明する一実装形態において支持具100の取り外しは、第1の係合部112及び第2の係合部114をリリースし、支持具を患者テーブル18から持ち上げることによって達成され、長手方向軸に沿って支持具を摺動させる必要はない。このように、支持具100は、第1の長手方向端部118と反対側の第2の長手方向端部120との間の患者テーブル18の長手方向軸上の予定の位置で、使用位置に降ろされる。同様に、支持具100は、第1の長手方向端部118又は反対側の第2の長手方向端部120のどちらかに向けて先ず始めに支持具100を摺動させる必要がなく、患者テーブル18から支持具100を持ち上げることによって患者テーブル18から迅速に取り外すことができる。このことは、必要なときに迅速に患者テーブル18から取り外すことを可能にする。
【0055】
図11Aを参照すると、支持具100は、予定された長手方向の位置で患者テーブル18の上に概ね下に向けて降ろされる。一実施形態において、支持具100は、患者支持面102によって画定される平面に対し横断アーム138を概ね平行としつつ、患者テーブル18の上に降ろされる。別の実施形態においては、支持具100が、第1のレール上面126を軸に、横断アーム138の一部が患者支持面102に接触するまで回動させられ、第1の係合部112の支えタブ、支え部又はレッジ119が第1のレール上面126に寄り掛かる(載る)。患者支持面102と交差する方向に平行なベクトルに沿って支持具100を降ろす方式、また、始めに支持具100のレッジ119を第1のレール上面126に接触させてから横断アームを患者支持面102に降ろして支持具100を降ろす方式、の両方とも、支持具100を最初の装着状態にする。一実施形態において、使用者は、先ず、第2の係合部114の側の支持具100の部位を、第2のレール106の近傍の患者テーブル18の領域に降ろしてから、第1の係合部112を第1のレール104に向けて降ろす。
【0056】
図11B及び
図12を参照すると、支持具100が患者支持面102の上に降ろされた第1の状態において、第1の係合部112と第2の係合部114は、それぞれ、第1のレール104と第2のレール106から離れている。別の言い方をすれば、第1のレール104の外縁面134と第2のレール106の外縁面136との間の距離が、第1の係合部112と第2の係合部114との間のテーブル横断方向の間隔よりも小さい。
【0057】
図11C及び
図13A及び
図13Bを参照すると、第2の状態において、支持具100は、係合機構116によってテーブル横断方向に動作し、第1のレール104の外縁面134及び第2のレール106の外縁面136に係合機構116が接触する。
図13Bを参照すると、第3の状態において、支持具100は、第1のレール104から第2のレール106へ向かうテーブル横断方向にさらに動作し、第1の係合部112が第1のレール下面128に接触し始める。
【0058】
図11D及び
図14を参照すると、完全な固定状態において、第1の係合部112は、第1のレール104の第1のレール下面128と外縁面134とに当接し、第2の係合部114は、反対側の第2のレール106の第2のレール下面132と外縁面136とに当接する。完全な固定状態において、ベース108は患者支持面102に接触する。本体140の下面にある第1のパッド150が患者支持面102に当接する。一実施形態において、完全な固定状態でレッジ119は、第1のレール104の第1のレール上面126に接触しない。別の言い方をすると、一実施形態において、完全な固定状態で支持具100は、第2のレール上面130と第1のレール上面126とに接触しない。ただし、使用中のピッチングモーメントに応じて、第1のレール上面126と支え部119の部分121とは接触し得る。一実施形態において、設計に応じ、第1のレール上面126と支え部119の部分121との間には、0.0~0.2mmの間のクリアランスを設ける。ただし、所定の動作で部分121は、第1のレール104の少なくともある程度の長手方向領域で第1のレール上面126に接触する。なお、第1のレール上面126と部分121との間の間隙は、第1の係合部ハウジング117に対し支え部119を移動させることによって調節することができる。一実装形態において、支え部119は、留め具を用いて第1の係合部ハウジング117に取り付けられ、支え部119と第1の係合部ハウジング117との間に少なくとも1つのシム(ワッシャ)を追加したり除去したりすることで、支え部119と第1のレール上面126との間の間隙を変更することができる。一実施形態において、第1のパッド150に加えて、支持具100から下に出ている第2のパッド152が患者支持面102に当接する。支持具100によって加えられる力の場所によっては、支持具100の一部が第1のレール上面126に接触し得る。力の場所によっては、第2のパッド152が患者支持面102に接触しないこともあり、2つあるカムアセンブリのうちの1つのみがZ軸方向において第1のレール104に接触する。支持具100からかかる力の場所に関して、第1のパッド150と第2のパッド152の両方及び/又はカムアセンブリの両方が、それぞれ、患者支持面102と第1のレール104に接触する。
【0059】
患者テーブルは、患者テーブルの右側及び左側に、長手方向に延びる第1及び第2のレールを含む。この左右のレールに、複数の装置が支持される。第1のレール及び第2のレールは、第1のレール及び/又は第2のレールに加えられる力が、患者支持面に対して装置を確実に位置決めするその能力に打ち勝つまで、ある程度の質量を支えることができる。レールは多くの場合重量でランク付けされるが、レールに固定される装置の力の場所によってはレールに望ましくないトルクがかかることがある。装置がかなりの質量をもつ場合、第1のレール104及び/又は第2のレール106を曲げる及び/又はトルクを加え得る。ここでさらに説明するように、第1のパッド150は、患者支持面102にパッドから力(パッド力)を加えるべく付勢部材によって付勢される。一実施形態において、該パッド力は、アーム及びロボット制御駆動装置の動作中、実質的に一定である。パッド力は、支持具100及びロボット制御駆動装置24から患者テーブル18に加えられる力に対抗するように作用する。一実装形態において、バネ180は予圧され、パッドがハードストップ部材151から離れると直ぐにバネ180の力が全面的に印加される。
【0060】
図5、
図8、
図9、
図10A及び
図10Bを参照すると、係合機構116は単一係合機構であり、第1の係合部112及び第2の係合部114を、装着状態から、ベース108を第1のレール104及び第2のレール106に固定する固定状態へ動作させる。一実施形態において、係合機構116は、ベース108をテーブル横断(Y軸)方向及び上下(Z軸)方向において固定する。別の言い方をすれば、単一係合機構116は、患者支持面102を画定する患者テーブル平面に平行なテーブル横断方向及び患者支持面102と交差する上下方向においてベース108を固定する。
【0061】
係合機構116は、ラックギア162を介してハンドル158によって操作される第1のカムアセンブリ156を有する機構を含む。ハンドル158は、ボタン、ダイヤル、ギア、ハンドル、又は同様のデバイスなど、当技術分野で既知の各種アクチュエータとすることができる。第1のカムアセンブリ156は、テーブル横断(Y軸)方向にベース108を動かすように作動する第1のカム面160と、上下(Z軸)方向にベース108を動かすように作動する第2のカム面164とを含む。一実施形態において、係合機構116は、第1のカムアセンブリ156に類似した第2のカムアセンブリ166を含み、この第2のカムアセンブリ166は、ラックギア162を介して第1のカムアセンブリ156とリンクされて回転する。ラックアンドピニオン装置はオプションの1つであり、他のリンク装置を使用することもできる。ハンドル158は、第1のカムアセンブリ156及び第2のカムアセンブリ166が第1のレール104から離れて接触していない第1の位置から、第1のカムアセンブリ156及び第2のカムアセンブリ166が第1のレール104と直に接する第2の位置へ、操作される。一実装形態において、ハンドル158は第1の位置から第2の位置へ180度動作するが、ただし、その回動量は、90度など他の動作量でもよい。なお、ハンドルの回転角度をカムの回転角度と等しくする必要はない。一実施形態において、カムの回転角度はハンドルの回転角度よりも大きい。
図13A、
図13B、及び
図14を参照すると、ハンドル158は、第1の係合部112及び第2の係合部114を第1のレール104及び第2のレール106と係合させるために、係合方向159へ操作される。
【0062】
ピボット軸168の周りのハンドル158の作動は、ラックギア162及びピニオン170を介して第1のカムアセンブリ156と第2のカムアセンブリ166とを回転させる。ハンドル158は、第1の位置で第1のストッパ172に当たり、第2の位置で第2のストッパ174に当たる。ハンドル158がハンドルの第1の位置から第2の位置へ操作されると、第1のカム面160の第1の領域176が第1のレール104の外縁面134に接触し、これにより支持具100が、第2のレール106から第1のレール104へ向かうテーブル横断方向に移動させられる。この結果、第2の係合部114の係合面146が第2のレール106の外縁面136と当接し、タブ142も接触する。タブ142は、支持具100が第2のレール106から第1のレール104へ向かうテーブル横断方向へ移動するにつれて反対側の第2のレール下面132に係合する、傾斜面143を有する。
【0063】
ハンドル158をハンドルの第1の位置から第2の位置まで操作すると、第2のカム面164の第1の傾斜領域178が第1のレール104の第1のレール下面128に接触し、そして、第2のカム面164の第2の領域179を徐々に係合させることにより、支持具100が負のZ軸に沿って下方へ移動する。ハンドルがハンドルの第2の位置へ操作されると、支持具100は、患者テーブル18に固定される。一実装形態において、ハンドル158は、1つの動作で、支持具100を患者テーブル18にテーブル横断(Y軸)方向と上下(Z軸)方向の両方において固定する。支持具100を患者テーブル18からリリースする場合は、ハンドル158をハンドルの第2の位置から第1の位置へ操作すればよい。なお、一実施形態において、第1のカム面160は、第2のカム面164が第1のレール104に接触する前に第1のレール104と接触する。
【0064】
1つのハンドル158の操作で、第1の係合部112及び第2の係合部114を第1のレール104及び第2のレール106と係合させると共に第1のパッド150を患者支持面102と係合させるように操作できる。ピボット軸168を軸とした1つの方向において動作する1つのアクチュエータ158の使用により、係合機構116は、支持具100を患者テーブル18に係止しそしてリリースするよう動作可能である。
【0065】
図11C及び
図11Dを参照すると、ハンドル158がハンドルの第1の位置から、ハンドルの第1の位置と第2の位置との間の位置へ操作されるにつれて、支持具100は先ずテーブル横断方向(-Y軸方向)に移動させられ、次に第2のカム面164が第1のレール下面128と係合することにより支持具100は下方(-Z軸)に移動させられる。
【0066】
図6及び
図7を参照すると、第1のパッド150は、支持具100が固定状態にあるときに患者支持面102にパッド力が加えられるように、付勢部材180で付勢される。一実施形態において、第1のパッド150は、パッドアーム182によりベース108に軸支される。付勢部材180は圧縮バネとすることができ、一実施形態において、支持具100が患者テーブル18に固定されているときに、たわみの範囲で実質的に一定のバネ力を有する2つの圧縮バネを含む。第1のパッド150は、付勢部材180から離してパッドアーム182に配置される。パッド力は、上下方向の力、ピッチ力、ロール力に対する抵抗力を提供する。一実施形態において、第1のパッド150は、第1のレール104に近い所で患者支持面102に当接する。支持具100が患者支持面102と接触していない予荷重(予圧)状態において付勢部材180は、第1のパッド150の上面189と自由面(当接面)との中間にベース105の下面186があるように、第1のパッド150を下面186から離れる下方へベース108から離れるように付勢する。支持具100が装着状態から固定状態にされると、パッド力が第1のパッド150から患者支持面102に加えられる。一実施形態において、パッドアーム182に負荷がかかったときにバネが底値とならないように、付勢されたパッドのサスペンションには十分な行程がある。パッドアーム182に対して、患者支持面102に向かうパッド150の移動を制限するハードストップ部材151が設けられる。付勢されたパッドのサスペンションにおけるこのストップ部材151は、支持具100を設置する度に装着に大きなエネルギーを人が使う必要がないように、バネ定数を低くすることに貢献する。一実施形態において、付勢部材180は、ロボット制御駆動装置24及び支持具100の重量の75%を印加する。すなわち、ロボット制御駆動装置24及び支持具100の重量が50kgである場合、付勢部材180は、その50kgによって加えられる力の75%に対抗する力を提供する。
【0067】
第2のパッド152は、第1のパッド150より遠い所でベース108に配置され、第1のレール104よりも第2のレール106に近い所で患者支持面102に当接する。第2のパッド152は、支持具及びロボット制御駆動装置の質量中心の場所により決まるローリングモーメントに対応する。
【0068】
図15を参照すると、一実施形態において、ロボット制御駆動装置24の遠位端194は、位置決めシステム22の動作によって、テーブル横断(Y軸)方向及びテーブル長手(X軸)方向においてゾーン188の範囲内で移動可能である。一実施形態において、位置決めシステム22の動作は、ロボット制御駆動装置24の遠位端194がゾーン188の中に留まるように制限される。一実施形態において、ロボット制御駆動装置24の遠位端移動は、位置決めシステム22の関節アーム部分の動作を制限することによって制限される。ベース及び連結したアームを含む支持具100の対応する質量中心は、質量中心ゾーン190として
図15に示されている。一実施形態において、支持具100及びロボット制御駆動装置24の質量中心は、第2のレール106から離れる方向へ、第1のレール104から横方向に変位させることができる。別の言い方をすれば、ロボット制御駆動装置24の遠位端がX-Y平面内のゾーン188の中にあるときの一状態における質量中心は、患者テーブル18から外れ得る。支持具100及びロボット制御駆動装置24の質量によって加えられる力は、患者支持面102、第1のレール104、及び第2のレール106に対し上下方向の力を加える。
【0069】
付勢部材180の付勢力は、パッド力に重なる支持具100及びロボット制御駆動装置24からの力が、第1のレール104、第2のレール106、及び患者支持面102にかかる力の予め決められた制限を超えないように選択される。別の言い方をすれば、第1のレール104及び第2のレール106に加えられる力が、ロボット制御駆動装置24及び支持具100の重量からの力の予め決められた制限(直交、ピッチ、及び/又はロール)を超えるかもしれない場合、パッド力は、レール及び患者支持表面の予め決められた力の制限を超えないように、加えられる力を相殺する。なお、ロボット制御駆動装置24及び支持具100によって第1のレール104に加えられる力は、関節アームの向きに依存する。ここに説明するように、ロボット制御駆動装置24及び支持具100の質量中心は、処置中、質量中心ゾーン(又は限定された区域)190にある。質量中心ゾーン190の中にある質量中心の場所の全て対して、パッド力は、予め決められた力の制限を超えないことを確実にする。なお、質量中心ゾーン190は、図示の範囲より広いこともあるし、支持具100を患者テーブルに装着するときや支持具100にドレーピングを適用するときに支持具100の場所に及ぶこともある。
図17及び
図18を参照すると、患者テーブル18の一部の概略図において、患者支持面102、第1のレール104、及び第2のレール106に作用する力F1~F7の場所が示されている。留意すべきは、第1のレール104に力が作用する場所が長手X軸方向に離間して存在していることであり、特に、第1のカムアセンブリ156及び第2のカムアセンブリ166が第1のレール104に接触する場所、並びに、各カムアセンブリのレッジが第1のレール104に接触する2つの場所である。一実施形態において、各レッジは、長手軸に沿って、第1のカムアセンブリ156及び第2のカムアセンブリ166とほぼ同じ場所に配置される。一方、第2のレール106に加えられる力は、タブ142が第2のレール106に接触する場所となる。
【0070】
重ねられたロボット駆動及び支持具の質量中心の場所に従い、力は、レッジ119を介して第1のレール上面126に伝達され得る。一実施形態において、レッジ119は、第1のレール上面126に隣接して近くに配置されるが、接触はしない。しかしながら、ロボット制御駆動装置及び支持具の質量中心は、レッジ119が第1のレール上面126に接触して力を第1のレール上面126に伝達する可能性のある位置にくる場合もある。
【0071】
図1及び
図16を参照すると、撮像システム14は、X線源13及び検出器15を含み、これらの両方がCアームに支持される。一実施形態において、支持具100は、ロボット制御駆動装置24の遠位端194が検出器15に接触しないよう離れて位置するように、印192の所で患者テーブルに配置される。一実装形態において、センサが撮像システムに対するロボット制御駆動装置の位置を追跡し、ロボット制御駆動装置24と撮像システム14との間に衝突が起ころうとしているときに使用者に警告を与える。別の言い方をすれば、ロボット制御駆動装置24が撮像システム14から所定の距離内にあるときの音響信号の形態又はディスプレイでの警告である。一実施形態において、ロボット制御駆動装置24の遠位端194は、テーパ部分の高さ198がロボット制御駆動装置24のテーパなし部分の高さ200よりも低くなるようにした、テーパ付き輪郭を有する。一実施形態において、ゾーン188の範囲内におけるロボット制御駆動装置24の遠位端194の動作は、上下(Z軸)方向においてクリアランス202を、テーブル長手方向においてクリアランス204を、提供することになる。
【0072】
図19~
図21Cを参照すると、この実施形態に係る支持具210は係合機構212を含み、係合機構212は第1のパドル214及び第2のパドル216を、第1のレール104の外縁面134に向けて動作させまた離れる方へリリースする。係合機構212は、第1のレール104のレール下面128に接触しまたリリース可能である第1のローラカム218及び第2のローラカム220を含む。係合機構212及び係合機構116は、両方とも、それぞれ支持具210及び支持具100にテーブル横断方向及び上下方向の動作をさせることができるが、ここに説明するように係合機構212は、摺動カム面164の代わりに、第1のローラカム218及び第2のローラカム220を含んでいる。第1のローラカム218及び第2のローラカム220は、これら第1のローラカム218及び第2のローラカム220が第1のレール104と係合するとき、その長手方向軸の周りに回転する。
【0073】
係合機構212は、第1のリンク機構226によって第1のパドル214及び第1のローラカム218を作動させるハンドル224を含む。ハンドル224は、第2のリンク機構228によって第2のパドル216及び第2のローラカム220を作動させる。第1のリンク機構226は、第1の部材234に軸支された第1のリンク機構部材244を含む。第2のリンク機構228は、ハンドル224に接続されて動作するリンク機構部材246と、第2のリンク機構248とを含む。第3のリンク機構250が、第2のリンク機構248及び第1の部材234と同様の第2の部材に軸支される。第2のリンク機構228は、第2のパドル216における方向転換のために第1のリンク機構226よりも多い2つ以上のリンク機構部材を含み、第2のローラカム220が、ここに説明するように第1のレール104と係合する。
【0074】
図20A及び
図21Aを参照すると、ハンドル224は、第1の非係合位置にある。この第1の非係合位置では、第1のパドル214、第1のローラカム218、第2のパドル216、及び第2のローラカム220が第1の状態にある。使用者がハンドル224を軸の周りに時計回りで操作すると、第1のリンク機構226の動作により、第1のパドル214が第1のパドルポストを軸にして第1の方向252に操作されて回動し、第1の場所において第1のレール104の外縁面134と当接する。同時に、第2のリンク機構228の動作により、第2のパドル216が第2のパドルポストを軸にして第1の方向252に対向する第2の方向254に操作されて回動し、第1の場所から離れた第2の場所で第1のレール104の外縁面134と当接する。一実施形態において、第1の方向252が時計回りであり、第2の方向254が反時計回りである。別の言い方をすれば、第1のパドル214及び第2のパドル216は、ハンドル224が非係合位置から係合位置へ操作されると、第1のレール104の長手方向軸に関して互いに反対方向に動作する。同様に、第1のローラカム218及び第2のローラカム220も、ハンドル224が非係合位置から係合位置へ操作されると、第1のレール104の長手方向軸に関して互いに反対方向に動作する。この反対の動きにより、ハンドル224が非係合位置から係合位置へ操作されるときに、支持具210が第1のレール104の長手軸の方向において不用意に移動することが抑制される。
【0075】
図19を参照すると、第1のリンク機構226は、軸線236を有するポスト(カムシャフト)240の周りを回転する第1の部材234を含む。第1の部材234は、第1(第2)のローラカム218(220)を回転可能に支持するように固定された延長部を含む。また、第1の部材234は、軸線236に平行な軸線を有するポストを含み、このポストの周りに第1のガイドローラ242が回転する。第1のガイドローラ242は、第1のパドル214の側面214aと当接する。第1のパドル214の側面214aは、異なる輪郭、第1の輪郭214b、第2の輪郭214c、及び第3の輪郭214dをもった複数の領域を含む。加えて、これら各輪郭の間に遷移領域が存在する。非係合位置において、第1のガイドローラ242は第1の輪郭214bに当接する。第1のパドル214は、第1のパドルポスト213を軸にしてパドルをローラ242へ向け付勢するバネなどの付勢部材によって、第1のガイドローラ242へ向け付勢されている。ハンドル224が使用者によって非係合位置から係合位置の方へ操作されると、第1のガイドローラ242は、第1の輪郭214bから第2の輪郭214cに向かって、第1の輪郭214bと第2の輪郭214cとの間の遷移領域を移動し、これに従い第1のパドル214が、第1のレール104に向かって移動する。ハンドル224が完全に係合位置まで操作されると、第1のガイドローラ242は、第2の輪郭214cから第3の輪郭214dに移動する。第2の輪郭214cは、カムの動作に関係なくパドルを同じ位置に維持する。これにより、水平方向には動かさない一方で垂直方向の移動を許容することができる。第3の輪郭214dは、第1のパドル214と第1のガイドローラ242との間の力によって第1のガイドローラ242がパドルポストの方へ戻ることのないように構成された留置輪郭である。別の言い方をすれば、第3の輪郭214dにおいて、カムシャフトに正味のトルクはない。
【0076】
図20A、
図20B、
図20C、
図21A、
図21B、及び
図21Cを参照すると、ハンドル224が非係合位置から係合位置へ完全に操作されると、第1のローラカム218は、第1のローラカム218が第1のレール下面128に接触していない位置から、第1のローラカム218が第1のレール下面128に接触している位置まで移動する。第1のローラカム218は、第1の切頭円錐状部218aと第2の円錐状部218bとを含み、ハンドル224の非係合位置から係合位置への操作に伴い、第1のローラカム218の第1の切頭円錐状部218aが始めに第1のレール下面128と接触する。第1のローラカム218は、第1のローラカム218が第1のレール下面128に接触すると、第1のローラカム218長手軸の周りに回転する。完全な係合位置において、第1のローラカム218の第2の円錐状部218bが第1のレール下面128に接触し、これにより支持具210が患者支持面102に固定される。
【0077】
支持具210は、第1の実質平面部分232aと、第1の実質平面部分232aと第3の平面部分232cとの間に延在する第2の傾斜面部分232bとを有する係合部232を、含む。使用者が患者支持面102の上に支持具210を配置したとき、第1の実質平面部分232aが第1のレール104の第1のレール上面126に載る。第1のパドル214がハンドル224の操作に従って第1のレール104に向かって動くと、第1のレール上面126は、第1の実質平面部分232aから第2の傾斜面部分232bへ移動し、そして、ハンドル224が完全に係合位置となったとき最終的に第3の平面部分232cに移動する。
【0078】
支持具100と同様に、支持具210は、横断アームと、第2のレール106に係合する第2の係合部とを含む。第2の係合部は、反対側の第2のレール下面132をタブ230の上側平面230bに案内する上側傾斜面230aを有するタブ230、を含む。支持具210が患者支持面102の上に装着されているときに、支持具210の重心により、特定の状況において、反対側の第2のレール下面132の外縁部がタブ230に当たることがある。
【0079】
以上、実施形態を例示してこれを基に説明してきたが、当業者であれば、ここに記載した主題の思想及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細を変更できることは当然である。例えば、例示した様々な実施形態は、1つ以上の利益を提供する1つ以上の機能/特徴を含むものとして説明されているが、説明された機能/特徴は、例示した実施形態において又は他の代替的な実施形態において、互いに交換され得るか、又は、相互に組み合わされ得ることが想定される。ここに開示した技術は比較的複雑であるため、当該技術のすべての変更が予見可能であるとは限らない。ここに開示した事項は、可能な限り広いことが意図されていることが明らかである。例えば、特に断らない限り、1つの特定の要素を述べた記載は、同様の特定の要素も複数包含する。