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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】車両荷台用積載ボディーユニット
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/64 20060101AFI20230904BHJP
   B60P 1/52 20060101ALI20230904BHJP
   B62D 33/02 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B60P1/64 Z
B60P1/52 Z
B62D33/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022136415
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2018101203の分割
【原出願日】2018-05-28
(65)【公開番号】P2022164757
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 貴行
(72)【発明者】
【氏名】川口 直人
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-97673(JP,A)
【文献】特開2011-116327(JP,A)
【文献】特開2000-198381(JP,A)
【文献】特開平9-267680(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0309380(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/00- 1/64
B62D 33/00-33/10
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席を有するキャビンと、前記キャビンの後方に一対の側面アオリと後面アオリとで囲まれる荷台とを有する車両の前記荷台に積載する車両荷台用積載ボディーユニットであって、
積載ボディーには、
一対の側面材と、
少なくとも一部に扉機構を有する後面材と
上面材と、
前面材と
を有し、
前記積載ボディーは、一対の前記側面材と、前記後面材と、前記上面材と、前記前面材で覆われ、
一対の前記側面材には、
下方に位置する下部側面材と、
前記下部側面材の上端に接続される上部側面材と
を有し、
前記後面材には、
下方に位置する下部後面材と、
前記下部後面材の上端に接続される上部後面材と
を有し、
前記荷台に積載した状態で、
一方の前記側面材を形成する一方の前記下部側面材は、一方の前記側面アオリの内側面より内方に配置され、
他方の前記側面材を形成する他方の前記下部側面材は、他方の前記側面アオリの内側面より内方に配置され、
一方の前記側面材を形成する一方の前記上部側面材は、一方の前記側面アオリの前記内側面より外方に配置され、
他方の前記側面材を形成する他方の前記上部側面材は、他方の前記側面アオリの前記内側面より外方に配置され、
前記後面材を形成する前記下部後面材は、前記後面アオリの内側面より内方に配置され、
前記後面材を形成する前記上部後面材は、前記後面アオリの前記内側面より外方に配置される
ことを特徴とする車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項2】
前記積載ボディーには、一方の前記下部側面材と他方の前記下部側面材との間に、メインフレームを有し、
前記メインフレームを形成する底面フレームには、スライドローラーを有し、
前記荷台には、前記スライドローラーが転がるスライドレールを有し、
前記後面アオリを倒した状態で、
前記積載ボディーが荷台面を前記後面アオリの方向にスライドできる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項3】
前記スライドレールを円柱状部材で形成した
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項4】
前記底面フレームには、第1ボディー側ロック部材を有し、
前記荷台には、第1荷台側ロック部材を有し、
前記後面アオリを倒した状態で、
前記積載ボディーが前記荷台面を前記キャビンの方向にスライドすることで、前記第1ボディー側ロック部材と前記第1荷台側ロック部材とが係合し、
前記積載ボディーが前記荷台面を前記後面アオリの方向にスライドすることで、前記第1ボディー側ロック部材と前記第1荷台側ロック部材との係合が解除される
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項5】
前記第1ボディー側ロック部材として、
前記後面アオリ側に配置する一対の第1後方ボディー側ロック部材と、前記キャビン側に配置する一対の第1前方ボディー側ロック部材とを設け、
一対の前記第1後方ボディー側ロック部材の間隔を、一対の前記第1前方ボディー側ロック部材の間隔よりも広くした
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項6】
前記メインフレームを形成する底面フレームには、第2ボディー側ロック部材を有し、
前記荷台には、前記第2ボディー側ロック部材に係合する第2荷台側ロック部材を有し、
前記第2荷台側ロック部材には操作レバーを有し、
前記後面アオリを立てることで、前記後面アオリが前記操作レバーを動作させて前記第2ボディー側ロック部材と前記第2荷台側ロック部材とが係合する
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項7】
前記メインフレームに対してスライドするボディー内スライド棚を有し、
前記底面フレームと前記ボディー内スライド棚の下部との間に一対の下部スライダー機構を有し、
前記メインフレームを形成する天面フレームと前記ボディー内スライド棚の上部との間に上部スライダー機構を有する
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項8】
前記下部スライダー機構を形成する下部スライダー面を前記荷台面に垂直に配置し、
前記上部スライダー機構を形成する上部スライダー面を前記荷台面に平行に配置する
ことを特徴とする請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニット。
【請求項9】
請求項から請求項のいずれか1項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットを、前記荷台に積み込み及び積み下ろしする昇降装置であって、
前記車両荷台用積載ボディーユニットを載置する載置面材と、
前記載置面材を昇降動作させる昇降機構と
を有し、
前記載置面材には、前記スライドローラーが転がる昇降側スライドレールを有する
ことを特徴とする昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席を有するキャビンと、キャビンの後方に一対の側面アオリと後面アオリとで囲まれる荷台とを有する車両の荷台に積載する車両荷台用積載ボディーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、風水害、土砂災害、雪害、火山災害、及び地震災害など突発災害が発生しており、車両幅が1900mmから2500mm、車両高さが2810mmから3500mm、車両長さが5670mmから10500mmの一般的な消防車両では、これらの災害に対して十分に対応できない。
一方、二輪タイプの消防車両では、バランスが悪いだけでなく、複数の隊員が乗車できず、災害対応に必要な資機材を十分に積載することができない。
そこで、より速く現場に自走で到着でき、災害状況を確認でき、最低限の消火、救助、及び救急活動が行えるコンパクトでオフロード能力の高い車両が望まれている。
特許文献1は、多くの資機材を収納することができるとともに収納された資機材の視認性や取り出し性を向上することができる作業車を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-121403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で対象としている作業車は、クレーン装置や消防ポンプや放水用の水槽を搭載する作業車であるため、積載ボディーを荷台から積み下ろすことを想定していない。
【0005】
本発明は、収納空間を大きく取れるとともに、積載ボディーを荷台から積み下ろすことを容易に行える車両荷台用積載ボディーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の車両荷台用積載ボディーユニットは、運転席を有するキャビン1と、前記キャビン1の後方に一対の側面アオリ3と後面アオリ4とで囲まれる荷台2とを有する車両の前記荷台2に積載する車両荷台用積載ボディーユニットであって、積載ボディー10には、一対の側面材11と、少なくとも一部に扉機構13を有する後面材12と、上面材14と、前面材15とを有し、前記積載ボディー10は、一対の前記側面材11と、前記後面材12と、前記上面材14と、前記前面材15で覆われ、一対の前記側面材11には、下方に位置する下部側面材11aと、前記下部側面材11aの上端に接続される上部側面材11bとを有し、前記後面材12には、下方に位置する下部後面材12aと、前記下部後面材12aの上端に接続される上部後面材12bとを有し、前記荷台2に積載した状態で、一方の前記側面材11Rを形成する一方の前記下部側面材11aは、一方の前記側面アオリ3の内側面3Rsより内方に配置され、他方の前記側面材11Lを形成する他方の前記下部側面材11aは、他方の前記側面アオリ3の内側面3Lsより内方に配置され、一方の前記側面材11Rを形成する一方の前記上部側面材11bは、一方の前記側面アオリ3の前記内側面3Rsより外方に配置され、他方の前記側面材11Lを形成する他方の前記上部側面材11bは、他方の前記側面アオリ3の前記内側面3Lsより外方に配置され、前記後面材12を形成する前記下部後面材12aは、前記後面アオリ4の内側面4sより内方に配置され、前記後面材12を形成する前記上部後面材12bは、前記後面アオリ4の前記内側面4sより外方に配置されることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記積載ボディー10には、一方の前記下部側面材11aと他方の前記下部側面材11aとの間に、メインフレーム16を有し、前記メインフレーム16を形成する底面フレーム16aには、スライドローラー17を有し、前記荷台2には、前記スライドローラー17が転がるスライドレール5を有し、前記後面アオリ4を倒した状態で、前記積載ボディー10が荷台面2Sを前記後面アオリ4の方向にスライドできることを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記スライドレール5を円柱状部材で形成したことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記底面フレーム16bには、第1ボディー側ロック部材18を有し、前記荷台2には、第1荷台側ロック部材6を有し、前記後面アオリ4を倒した状態で、前記積載ボディー10が前記荷台面2Sを前記キャビン1の方向にスライドすることで、前記第1ボディー側ロック部材18と前記第1荷台側ロック部材6とが係合し、前記積載ボディー10が前記荷台面2Sを前記後面アオリ4の方向にスライドすることで、前記第1ボディー側ロック部材18と前記第1荷台側ロック部材6との係合が解除されることを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記第1ボディー側ロック部材18として、前記後面アオリ4側に配置する一対の第1後方ボディー側ロック部材18Fと、前記キャビン1側に配置する一対の第1前方ボディー側ロック部材18Fとを設け、一対の前記第1後方ボディー側ロック部材18Fの間隔を、一対の前記第1前方ボディー側ロック部材18Fの間隔よりも広くしたことを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記メインフレーム16を形成する底面フレーム16cには、第2ボディー側ロック部材19を有し、前記荷台2には、前記第2ボディー側ロック部材19に係合する第2荷台側ロック部材7を有し、前記第2荷台側ロック部材7には操作レバー7aを有し、前記後面アオリ4を立てることで、前記後面アオリ4が前記操作レバー7aを動作させて前記第2ボディー側ロック部材19と前記第2荷台側ロック部材7とが係合することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記メインフレーム16に対してスライドするボディー内スライド棚20を有し、前記底面フレーム16aと前記ボディー内スライド棚20の下部との間に一対の下部スライダー機構21L、21Rを有し、前記メインフレーム16を形成する天面フレーム16xと前記ボディー内スライド棚20の上部との間に上部スライダー機構21Tを有することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、前記下部スライダー機構21L、21Rを形成する下部スライダー面を前記荷台面2Sに垂直に配置し、前記上部スライダー機構21Tを形成する上部スライダー面を前記荷台面2Sに平行に配置することを特徴とする。
請求項記載の本発明は、請求項から請求項のいずれか1項に記載の車両荷台用積載ボディーユニットを、前記荷台2に積み込み及び積み下ろしする昇降装置30であって、前記車両荷台用積載ボディーユニットAを載置する載置面材31と、前記載置面材31を昇降動作させる昇降機構32とを有し、前記載置面材31には、前記スライドローラー17が転がる昇降側スライドレール5を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両荷台用積載ボディーユニットによれば、限られた荷台スペースに対して収納空間を大きく取れるとともに、積載ボディーを荷台から積み下ろすことを容易に行えるため、災害現場に応じた資機材を収納した積載ボディーに取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による車両荷台用積載ボディーユニットの写真
図2】同車両荷台用積載ボディーユニットの外観図
図3】同車両荷台用積載ボディーユニットの積載ボディーと車両の荷台とを示す構成図
図4】同積載ボディーに設けたスライドローラーと、同荷台に設けたスライドレールとを示す構成図
図5】同積載ボディー及び同荷台に設けたロック部材を示す構成図
図6】同車両荷台用積載ボディーユニットの積載ボディーとボディー内スライド棚とを示す構成図
図7】下部スライダー機構と上部スライダー機構とを示すフレーム構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットは、積載ボディーには、一対の側面材と、少なくとも一部に扉機構を有する後面材とを有し、一対の側面材には、下方に位置する下部側面材と、下部側面材の上端に接続される上部側面材とを有し、後面材には、下方に位置する下部後面材と、下部後面材の上端に接続される上部後面材とを有し、荷台に積載した状態で、一方の側面材を形成する一方の下部側面材は、一方の側面アオリの内側面より内方に配置され、他方の側面材を形成する他方の下部側面材は、他方の側面アオリの内側面より内方に配置され、一方の側面材を形成する一方の上部側面材は、一方の側面アオリの内側面より外方に配置され、他方の側面材を形成する他方の上部側面材は、他方の側面アオリの内側面より外方に配置され、後面材を形成する下部後面材は、後面アオリの内側面より内方に配置され、後面材を形成する上部後面材は、後面アオリの内側面より外方に配置されるものである。本実施の形態によれば、限られた荷台スペースに対して収納空間を大きく取れるとともに、積載ボディーを荷台から積み下ろすことを容易に行えるため、災害現場に応じた資機材を収納した積載ボディーに取り替えることができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、積載ボディーには、一方の下部側面材と他方の下部側面材との間に、メインフレームを有し、メインフレームを形成する底面フレームには、スライドローラーを有し、荷台には、スライドローラーが転がるスライドレールを有し、後面アオリを倒した状態で、積載ボディーが荷台面を後面アオリの方向にスライドできるものである。本実施の形態によれば、上方への持ち上げに比べて積載ボディーの積み込み及び積み下ろしを容易に行える。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、スライドレールを円柱状部材で形成したものである。本実施の形態によれば、特に積載ボディーの積み込みにおける左右方向ずれ調整が容易となり、積載時の確実な位置決めを行える。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第2の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、底面フレームには、第1ボディー側ロック部材を有し、荷台には、第1荷台側ロック部材を有し、後面アオリを倒した状態で、積載ボディーが荷台面をキャビンの方向にスライドすることで、第1ボディー側ロック部材と第1荷台側ロック部材とが係合し、積載ボディーが荷台面を後面アオリの方向にスライドすることで、第1ボディー側ロック部材と第1荷台側ロック部材との係合が解除されるものである。本実施の形態によれば、スライドの方向によって第1ボディー側ロック部材と第1荷台側ロック部材との係合と解除とが行えるため、確実で容易に荷台への積載ボディーの固定を行える。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第3の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、第1ボディー側ロック部材として、後面アオリ側に配置する一対の第1後方ボディー側ロック部材と、キャビン側に配置する一対の第1前方ボディー側ロック部材とを設け、一対の第1後方ボディー側ロック部材の間隔を、一対の第1前方ボディー側ロック部材の間隔よりも広くしたものである。本実施の形態によれば、車両の走行時に生じる上下方向の力は後面アオリ側が大きいため、第1後方ボディー側ロック部材の間隔を、一対の第1前方ボディー側ロック部材の間隔よりも広くすることで、車両の走行時に生じる上下方向の力に対して十分な固定が行えるとともに、後面アオリ側の荷台のフラット面を広くできるため、積載ボディーを積載しない状態における荷台への資機材の積載が容易となる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第2の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、メインフレームを形成する底面フレームには、第2ボディー側ロック部材を有し、荷台には、第2ボディー側ロック部材に係合する第2荷台側ロック部材を有し、第2荷台側ロック部材には操作レバーを有し、後面アオリを立てることで、後面アオリが操作レバーを動作させて第2ボディー側ロック部材と第2荷台側ロック部材とが係合するものである。本実施の形態によれば、操作レバーによるロック操作を忘れた場合であっても後面アオリを立てることで係合されるため、安全性が高い。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第2の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、メインフレームに対してスライドするボディー内スライド棚を有し、底面フレームとボディー内スライド棚の下部との間に一対の下部スライダー機構を有し、メインフレームを形成する天面フレームとボディー内スライド棚の上部との間に上部スライダー機構を有するものである。本実施の形態によれば、一対の下部スライダー機構に加えて上部スライダー機構を有することで、積載ボディーから引き出した状態でのボディー内スライド棚のゆがみを防止できるとともに、ボディー内スライド棚によって積載ボディーの剛性を高めることができる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第7の実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットにおいて、下部スライダー機構を形成する下部スライダー面を荷台面に垂直に配置し、上部スライダー機構を形成する上部スライダー面を荷台面に平行に配置するものである。本実施の形態によれば、更にボディー内スライド棚及び積載ボディーの剛性を高めることができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第2から第8のいずれかの実施の形態による車両荷台用積載ボディーユニットを、荷台に積み込み及び積み下ろしする昇降装置において、車両荷台用積載ボディーユニットを載置する載置面材と、載置面材を昇降動作させる昇降機構とを有し、載置面材には、スライドローラーが転がる昇降側スライドレールを有するものである。本実施の形態によれば、載置面材に昇降側スライドレールを有することで、積載ボディーの積み込み及び積み下ろしを容易にできる。
【実施例
【0018】
以下本発明の一実施例による車両荷台用積載ボディーユニットについて説明する。
図1は本実施例による車両荷台用積載ボディーユニットの写真であり、図1(a)は同車両荷台用積載ボディーユニットを積載した車両の外観側面写真、図1(b)は同車両の後面写真、図1(c)は同車両荷台用積載ボディーユニットを荷台に積み込み前、又は積み下ろし後の状態での車両後方からの写真、図1(d)は同車両荷台用積載ボディーユニットを荷台に積み込み前、又は積み下ろし後の状態での車両前方からの写真である。
【0019】
本実施例による車両荷台用積載ボディーユニットAは、運転席を有するキャビン1の後方に有する車両の荷台2に積載される。荷台2は、一対の側面アオリ3と後面アオリ4とで囲まれる。荷台2の荷台面2sは、一対の側面アオリ3と後面アオリ4とで所定の高さを囲われている。後面アオリ4は倒すことができるが、一対の側面アオリ3は必ずしも倒すことができなくてもよい。
車両荷台用積載ボディーユニットAは、積載ボディー10と、ボディー内スライド棚20(図6及び図7参照)とで構成される。
積載ボディー10には、一対の側面材11と、後面材12と、上面材14と、前面材15とを有している。積載ボディー10は、一対の側面材11と、後面材12と、上面材14と、前面材15とで覆われている。
後面材12は、少なくとも一部に扉機構13を有する。本実施例では後面材12全体を扉機構13としている。
車両荷台用積載ボディーユニットAは、昇降装置30を用いて荷台2に積み込み及び積み下ろしされる。
昇降装置30は、車両荷台用積載ボディーユニットAを載置する載置面材31と、載置面材31を昇降動作させる昇降機構32とを有している。
【0020】
図2は同車両荷台用積載ボディーユニットの外観図であり、図2(a)は後面アオリを倒した状態での後面図、図2(b)は側面アオリが無い状態での側面図である。
【0021】
一対の側面材11には、下方に位置する下部側面材11aと、下部側面材11aの上端に接続される上部側面材11bとを有している。後面材12には、下方に位置する下部後面材12aと、下部後面材12aの上端に接続される上部後面材12bとを有している。
図2に示すように、荷台2に積載した状態で、一方の側面材11Rを形成する一方の下部側面材11Raは、一方の側面アオリ3Rの内側面3Rsより内方に配置され、他方の側面材11Lを形成する他方の下部側面材11Laは、他方の側面アオリ3Lの内側面3Lsより内方に配置され、一方の側面材11Rを形成する一方の上部側面材11Rbは、一方の側面アオリ3Rの内側面3Rsより外方に配置され、他方の側面材11Lを形成する他方の上部側面材11Lbは、他方の側面アオリ3Lの内側面3Lsより外方に配置されている。
また、後面材12を形成する下部後面材12aは、後面アオリ4の内側面4sより内方に配置され、後面材12を形成する上部後面材12bは、後面アオリ4の内側面4sより外方に配置される。
従って、本実施例の車両荷台用積載ボディーユニットAによれば、限られた荷台スペースに対して収納空間を大きく取れるとともに、積載ボディー10を荷台2から積み下ろすことを容易に行えるため、災害現場に応じた資機材を収納した積載ボディー10に取り替えることができる。
【0022】
図3は同車両荷台用積載ボディーユニットの積載ボディーと車両の荷台とを示す構成図であり、図3(a)は同積載ボディーの構成図、図3(b)は同荷台の構成図である。
図4は同積載ボディーに設けたスライドローラーと、同荷台に設けたスライドレールとを示す構成図であり、図4(a)は斜視図、図4(b)は後面図、図4(c)及び図4(d)は図4(b)の要部拡大図、図4(e)は側面図である。
図5は同積載ボディー及び同荷台に設けたロック部材を示す構成図であり、図5(a)は第1ボディー側ロック部材と第1荷台側ロック部材との係合状態を示す斜視図、図5(b)は第1ボディー側ロック部材を示す斜視図、図5(c)は第2ボディー側ロック部材と第2荷台側ロック部材との係合状態を示す斜視図である。
【0023】
図3(a)及び図4に示すように、積載ボディー10には、一方の下部側面材11Raと他方の下部側面材11Laとの間に、メインフレーム16を有し、メインフレーム16を形成する一対の底面フレーム16aには、スライドローラー17を有している。
一方、図3(b)及び図4に示すように、荷台2の荷台面2sには、スライドローラー17が転がるスライドレール5を有している。
積載ボディー10に設けたスライドローラー17と、荷台2に設けたスライドレール5とによって、後面アオリ4を倒した状態で、積載ボディー10が荷台面2sを後面アオリ4の方向にスライドでき、積載ボディー10を上方に持ち上げることに比べて積載ボディー10の積み込み及び積み下ろしを容易に行える。
図4(c)及び図4(d)に示すように、スライドレール5を円柱状部材で形成している。このようにスライドレール5を円柱状部材とすることで、特に積載ボディー10の積み込みにおける左右方向ずれ調整が容易となり、積載時の確実な位置決めを行える。
【0024】
図3(a)に示すように、底面フレーム16bには、4つの第1ボディー側ロック部材18を有している。
第1ボディー側ロック部材18は、後面アオリ4側に配置する一対の第1後方ボディー側ロック部材18Rと、キャビン1側に配置する一対の第1前方ボディー側ロック部材18Fとで構成され、一対の第1後方ボディー側ロック部材18Rの間隔を、一対の第1前方ボディー側ロック部材18Fの間隔よりも広くしている。
一方、図3(b)に示すように、荷台2の荷台面2sには、4つの第1ボディー側ロック部材18と係合する4つの第1荷台側ロック部材6を有している。
第1荷台側ロック部材6は、一対の第1後方ボディー側ロック部材18Rに対応する一対の第1後方荷台側ロック部材6Rと、一対の第1前方ボディー側ロック部材18Fに対応する第1前方荷台側ロック部材6Fとで構成されている。
車両の走行時に生じる上下方向の力は後面アオリ4側が大きいため、一対の第1後方ボディー側ロック部材18Rの間隔を、一対の第1前方ボディー側ロック部材18Fの間隔よりも広くすることで、車両の走行時に生じる上下方向の力に対して十分な固定が行えるとともに、一対の第1後方荷台側ロック部材6Rの間隔が、一対の第1前方荷台側ロック部材6Fの間隔よりも広くなるため、後面アオリ4側の荷台2のフラット面を広くでき、積載ボディー10を積載しない状態における荷台2への資機材の積載が容易となる。
【0025】
図5(a)及び図5(b)に示すように、第1ボディー側ロック部材18は、底面フレーム16bに取り付ける台座部18aと、台座部18aから突出させた一対の腕部18bと、一対の腕部18bの間に設けたピン部18cとで構成されている。
図5(a)に示すように、第1荷台側ロック部材6は、荷台2に取り付ける台座部6aと、台座部6aから突出させたコの形状の規制部6bとで構成されている。
図5(a)に示すように、コの形状の規制部6bにピン部18cが位置することで、第1ボディー側ロック部材18と第1荷台側ロック部材6とが係合する。
後面アオリ4を倒した状態で、積載ボディー10が荷台面2sをキャビン1の方向にスライドすることで、第1ボディー側ロック部材18と第1荷台側ロック部材6とが係合し、積載ボディー10が荷台面2sを後面アオリ4の方向にスライドすることで、第1ボディー側ロック部材18と第1荷台側ロック部材6との係合が解除される。
このように、スライドの方向によって第1ボディー側ロック部材18と第1荷台側ロック部材6との係合と解除とが行えるため、確実で容易に荷台2への積載ボディー10の固定を行える。
【0026】
図3(a)及び図5(c)に示すように、メインフレーム16を形成する底面フレーム16cには、第2ボディー側ロック部材19を有している。
一方、図3(b)及び図5(c)に示すように、荷台2には、第2ボディー側ロック部材19に係合する第2荷台側ロック部材7を有している。第2荷台側ロック部材7には操作レバー7aを有している。
なお、第2荷台側ロック部材7は、操作レバー7aが図3(b)に示すように一方に位置するときには、第2ボディー側ロック部材19との係合が解除される状態であり、操作レバー7aが図5(c)に示すように他方に位置するときには、第2ボディー側ロック部材19を解除できない状態である。
図3(b)及び図5(c)に示すように、操作レバー7aは、一方又は他方に位置するときには荷台面2s上に位置するが、一方と他方との間に位置するときには荷台面2sから突出する。
従って、操作レバー7aが他方側に位置して荷台面2sから突出する状態にあるときには、後面アオリ4を立てることで、後面アオリ4が操作レバー7aを動作させて第2ボディー側ロック部材19と第2荷台側ロック部材7とが係合する。なお、後面アオリ4を立てることで、第2ボディー側ロック部材19と第2荷台側ロック部材7とは係合するがロック状態にまではならない。
このように、後面アオリ4を立てることで第2ボディー側ロック部材19と第2荷台側ロック部材7とが係合するため、操作レバー7aによるロック操作を忘れた場合であっても後面アオリ4を立てることで係合状態になるため、安全性が高い。
【0027】
図6は同車両荷台用積載ボディーユニットの積載ボディーとボディー内スライド棚とを示す構成図であり、図6(a)は同ボディー内スライド棚の収納状態の構成図、図6(b)はボディー内スライド棚の引き出し状態の構成図である。
図7は下部スライダー機構と上部スライダー機構とを示すフレーム構成図であり、図7(a)は上方からの斜視図、図7(b)は後面図である。
【0028】
図6に示すように、車両荷台用積載ボディーユニットAは、積載ボディー10に対してスライドするボディー内スライド棚20を有している。
図6(a)に示す状態から、後面アオリ4を倒し、後面アオリ4を倒した後に扉機構13を開状態とすることで、図6(b)に示すようにボディー内スライド棚20を引き出すことができる。
【0029】
図7に示すように、底面フレーム16aとボディー内スライド棚20の下部との間に一対の下部スライダー機構21R、21Lを有し、メインフレーム16を形成する天面フレーム16xとボディー内スライド棚20の上部との間に上部スライダー機構21Tを有する。
このように、一対の下部スライダー機構21R、21Lに加えて上部スライダー機構21Tを有することで、積載ボディー10から引き出した状態でのボディー内スライド棚20のゆがみを防止できるとともに、ボディー内スライド棚20によって積載ボディー10の剛性を高めることができる。
特に図7(b)に示すように、下部スライダー機構21R、21Lを形成する下部ローラー軸Hを荷台面2sに平行に配置し、上部スライダー機構21Tを形成する上部ローラー軸Tを荷台面2sに垂直に配置している。すなわち、下部スライダー機構21R、21Lの下部スライダー面は荷台面2sに垂直に配置し、上部スライダー機構21Tの上部スライダー面を荷台面2sに平行に配置している。
下部スライダー面を荷台面2sに垂直に、上部スライダー面を荷台面2sに平行に配置することで、更にボディー内スライド棚20及び積載ボディー10の剛性を高めることができる。
【0030】
なお、図示は省略するが、図1(c)及び図1(d)に示す昇降装置30は、載置面材31に、スライドローラー17が転がる昇降側スライドレールを有することが好ましい。ここで、載置面材31に設ける昇降側スライドレールは、荷台面2sに設けたスライドレール5と同一構成で、同一幅に設けることが好ましい。
このように、載置面材31に昇降側スライドレールを有することで、積載ボディー10の積み込み及び積み下ろしを容易にできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の車両荷台用積載ボディーユニットによれば、風水害、土砂災害、雪害、火山災害、及び地震災害など突発災害に対して機動的な対処ができる。
【符号の説明】
【0032】
1 キャビン
2 荷台
2s 荷台面
3 側面アオリ
3L 他方の側面アオリ
3Ls 内側面
3R 一方の側面アオリ
3Rs 内側面
4 後面アオリ
4s 内側面
5 スライドレール
6 第1荷台側ロック部材
6a 台座部
6b 規制部
6F 第1前方荷台側ロック部材
6R 第1後方荷台側ロック部材
7 第2荷台側ロック部材
7a 操作レバー
10 積載ボディー
11 側面材
11a 下部側面材
11b 上部側面材
11L 他方の側面材
11La 他方の下部側面材
11Lb 他方の上部側面材
11R 一方の側面材
11Ra 一方の下部側面材
11Rb 一方の上部側面材
12 後面材
12a 下部後面材
12b 上部後面材
13 扉機構
14 上面材
15 前面材
16 メインフレーム
16a 底面フレーム
16b 底面フレーム
16c 底面フレーム
16x 天面フレーム
17 スライドローラー
18 第1ボディー側ロック部材
18a 台座部
18b 腕部
18c ピン部
18F 第1前方ボディー側ロック部材
18R 第1後方ボディー側ロック部材
19 第2ボディー側ロック部材
20 ボディー内スライド棚
21L、21R 下部スライダー機構
21T 上部スライダー機構
30 昇降装置
31 載置面材
32 昇降機構
A 車両荷台用積載ボディーユニット
H 下部ローラー軸
T 上部ローラー軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7