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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】多機能発音装置
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20230904BHJP
   H04R 9/06 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
B06B1/04 S
H04R9/06 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022204049
(22)【出願日】2022-12-21
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】202220441422.2
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲興▼志
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲尭▼
(72)【発明者】
【氏名】毛 路斌
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 杰
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0067496(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0080801(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0129260(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1745907(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0039807(KR,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0345457(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0079253(US,A1)
【文献】特開2006-115574(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
H04R 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に収容されたモータアセンブリ及びスピーカアセンブリとを備える多機能発音装置であって、
前記モータアセンブリは、前記ハウジング内に懸架された、第1方向に沿って振動する振動子ユニットを備え、
前記スピーカアセンブリは、前記ハウジングに固定されかつ前記振動子ユニットの対向する両側に設けられた二つの磁石部を備え、
前記二つの磁石部は、それぞれ磁気ギャップが設けられ、
前記スピーカアセンブリは、
前記ハウジングに固定されかつ第2方向に沿って振動する振動膜と、
振動膜を駆動振動させる二つのボイスコイルとをさらに備え、
前記第2方向は、前記第1方向に垂直であり、
前記二つのボイスコイルは、それぞれ前記二つの磁石部の磁気ギャップ内に挿入して設けられ、
前記二つのボイスコイルの巻線軸は、前記第1方向に垂直でありかつ前記第2方向に垂直である、
ことを特徴とする多機能発音装置。
【請求項2】
前記二つ磁石部のそれぞれは、
前記磁気ギャップを形成するように間隔を隔てて設けられた二つの磁性鋼と、
前記二つの磁性鋼における前記磁気ギャップから離れた側の表面に貼り付けられたポールプレートとを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【請求項3】
前記モータアセンブリは、前記ハウジングに固定されかつそれぞれ前記振動子ユニットの対向する両端に設けられた二つの弾性支持部材をさらに備え、
前記二つの弾性支持部材は、前記振動子ユニットを前記ハウジング内に懸架するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【請求項4】
前記モータアセンブリは、前記ハウジングに固定された駆動コイルをさらに備え、
前記振動子ユニットは、
質量ブロックと、
前記質量ブロックに固定されかつ前記駆動コイルと対向して間隔を隔てて設けられた磁気回路系とを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【請求項5】
前記モータアセンブリは、前記ハウジングに固定されたステータユニットをさらに備え、
前記振動子ユニットは、
収容空間を有する質量ブロックと、
前記収容空間内に収容された磁気回路系とを備え、
前記ステータユニットは、前記収容空間内に挿入して設けられ、かつ前記磁気回路系と対向して間隔を隔てて設けられ、
前記ステータユニットは、
ポールピースと、
前記ポールピースに巻回されたコイルとを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【請求項6】
前記ハウジングには前記ボイスコイルが貫通可能な貫通孔が設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【請求項7】
前記スピーカアセンブリは、前記振動膜と前記ボイスコイルとの間に接続されたボイスコイルボビンをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の多機能発音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の技術分野に関し、特に多機能発音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子技術の発展に伴い、携帯型消費者用電子機器は、ますます人々に人気を集めており、例えばスマートフォン、携帯ゲーム機、タブレットPC等である。これらの電子機器は、一般的に、音声再生及び/又は振動感によりユーザと対話する。
【0003】
従来技術では、電子機器の音声再生及び振動感は、それぞれスピーカとモータによって達成されており、その中で、スピーカとモータは独立したデバイスである。デバイスが多ければ多いほど電子機器の組立に不利であり、同時に電子機器のより多くの内部空間を占用する必要がある。
【0004】
したがって、本発明は、上記技術的課題を解決するために、新たな多機能発音装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記技術的課題を克服し、モータアセンブリとスピーカアセンブリを巧みに組み合わせることにより、音声再生と振動感との二重機能を実現し、電子機器の組立を簡略化するとともに、電子機器の内部空間をより少なく占用するだけでよい多機能発音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、多機能発音装置を提供し、当該多機能発音装置は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容されたモータアセンブリ及びスピーカアセンブリとを備え、前記モータアセンブリは、前記ハウジング内に懸架された、第1方向に沿って振動する振動子ユニットを備え、前記スピーカアセンブリは、前記ハウジングに固定されかつ前記振動子ユニットの対向する両側に設けられた二つの磁石部を備え、前記二つの磁石部は、それぞれ磁気ギャップが設けられ、また、スピーカアセンブリは、前記ハウジングに固定されて第2方向に沿って振動する振動膜と、振動膜を駆動振動させる二つのボイスコイルとを備え、前記第2方向は前記第1方向に垂直であり、前記二つのボイスコイルはそれぞれ前記二つの磁石部の磁気ギャップ内に挿入して設けられ、前記二つのボイスコイルの巻線軸は前記第1方向に垂直であるとともに前記第2方向に垂直である。
【0007】
好ましくは、前記二つ磁石部のそれぞれは、前記磁気ギャップを形成するように間隔を隔てて設けられた二つの磁性鋼と、前記二つの磁性鋼における前記磁気ギャップから離れた側の表面に貼り付けられたポールプレートとを備える。
【0008】
好ましくは、前記モータアセンブリはさらに前記ハウジングに固定されかつそれぞれ前記振動子ユニットの対向する両端に設けられた二つの弾性支持部材を備え、前記二つの弾性支持部材は前記振動子ユニットを前記ハウジング内に懸架するように構成されている。
【0009】
好ましくは、前記モータアセンブリは、さらに前記ハウジングに固定された駆動コイルを備え、前記振動子ユニットは、質量ブロックと、前記質量ブロックに固定されかつ前記駆動コイルと対向して間隔を隔てて設けられた磁気回路系とを備える。
【0010】
好ましくは、前記モータアセンブリは、さらに前記ハウジングに固定されたステータユニットを備え、前記振動子ユニットは、収容空間を有する質量ブロックと、前記収容空間内に収容された磁気回路系とを備え、前記ステータユニットは、前記収容空間内に挿入して設けられ、かつ前記磁気回路系と対向して間隔を隔てて設けられ、前記ステータユニットは、ポールピースと、前記ポールピースに巻回されたコイルとを備える。
【0011】
好ましくは、前記ハウジングには前記ボイスコイルが貫通可能な貫通孔が設けられる。
【0012】
好ましくは、前記スピーカ組立体はさらに前記振動膜と前記ボイスコイルとの間に接続されたボイスコイルボビンを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多機能発音装置は、モータアセンブリとスピーカアセンブリを巧みに組み合わせることにより、音声再生と振動感との二重機能を実現し、電子機器の組立を簡略化するとともに、電子機器の内部空間をより少なく占用するだけでよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の提供する多機能発音装置の概略構造を模式的に示す斜視図である。
図2図1に示す多機能発音装置の一部の概略構造を模式的に示す分解斜視図である。
図3図1におけるA-A線に沿った断面図である。
図4図1に示す多機能発音装置の一部のハウジングを除去した概略構造を模式的に示す斜視図である。
図5】本発明の提供する他の多機能発音装置の一部のハウジングを除去した概略構造を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態における技術案をより明確に説明するために、実施形態の説明で使用される必要がある図面を簡単に説明したが、上記説明における図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、本発明が属する技術分野の当業者にとって、創造的な労働を行わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができることは明らかである。
【0016】
以下、本発明の実施形態における技術案を図面と併せて明確かつ完全に説明する。説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部だけであり、全ての実施形態ではないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、当該分野の当業者が創造的な労働をしない前提で得られた全ての他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属するものとする。
【0017】
図1図4に示すように、本発明は、ハウジング1と、ハウジング1内に収容されたモータアセンブリ2及びスピーカアセンブリ3とを備える多機能発音装置100を提供する。本実施形態において、前記ハウジング1は、下ハウジング11と、前記下ハウジング11にカバーされた上ハウジング12とを備える。
【0018】
前記モータアセンブリ2は、前記ハウジング1内に懸架された、第1方向Xに沿って振動する振動子ユニット21を備える。本実施形態では、前記モータアセンブリ2は、前記ハウジング1(上ハウジング12)に固定されかつそれぞれ前記振動子ユニット21の対向する両端に設けられた二つの弾性支持部材22をさらに備え、前記二つの弾性支持部材22は前記振動子ユニット21を前記ハウジング1内に懸架する。当然ながら、前記の弾性支持部材22を用いた支持態様以外にも、振動子ユニット21がハウジング1内に振動を形成する他の支持態様又は支持態様の組み合わせは、いずれも採用可能であり、例えば、ガイドレール又はガイド軸などである。本実施形態では、前記モータアセンブリ2は、さらに前記ハウジング1(下ハウジング11)に固定された駆動コイル23をさらに備え、前記振動子ユニット21は、質量ブロック211と、前記質量ブロック211に固定され、前記駆動コイル23と対向して間隔を隔てて設けられた磁気回路系212とを備える。
【0019】
前記スピーカアセンブリ3は、前記ハウジング1(下ハウジング11)に固定されかつそれぞれ前記振動子ユニット21の対向する両側に設けられた二つの磁石部31と、前記ハウジング1(上ハウジング12)に固定された、第2方向Yに沿って振動する振動膜32と、振動膜を駆動振動させる二つのボイスコイル33とを備える。ここで、前記第2方向Yは前記第1方向Xに垂直であり、前記二つの磁石部31はそれぞれ磁気ギャップ310が設けられ、前記二つのボイスコイル33はそれぞれ前記二つの磁石部31の磁気ギャップ310内に挿入して設けられ、前記二つのボイスコイル33の巻線軸Zは前記第1方向Xに垂直であるとともに前記第2方向Yに垂直である。本実施形態では、前記二つの磁石部31のそれぞれは、間隔を隔てて設けられて前記磁気ギャップ310を形成する二つの磁性鋼311と、前記二つの磁性鋼311における前記磁気ギャップ310から離れる側の表面に貼り付けられたポールプレート312とを備える。前記スピーカアセンブリ3は、前記振動膜32と前記ボイスコイル33との間に接続されたボイスコイルボビン34をさらに備え、前記ボイスコイルボビン34は、位置が分散した二つのボイスコイル33によって生じる駆動力を結合して振動膜32を同期駆動して、振動バランスを改善することができる。前記ハウジング1(下ハウジング11)には、前記ボイスコイル33が貫通可能な貫通孔10が設けられており、前記貫通孔10は前記ボイスコイル33に十分な振動空間を確保しつつ、前記ハウジング1の内外の気圧バランスを保持することができる。
【0020】
図5に示すように、本発明は、他の多機能発音装置200を提供し、前記多機能発音装置200は、モータアセンブリの駆動形態という点で前記多機能発音装置100と相違しているが、それ以外の部分は、前記多機能発音装置100を参照可能である。前記多機能発音装置100の駆動コイルと磁気回路系の駆動形態とは異なり、本実施形態では、前記多機能発音装置200のモータアセンブリは、ハウジング(例えば前記多機能発音装置100の下ハウジング11)に固定されたステータユニット23’を備え、このとき、振動子ユニット21’は、収容空間210’を有する質量ブロック211’と、前記収容空間210’内に収容された磁気回路系212’とを備え、前記ステータユニット23’は、前記収容空間210’内に挿入して設けられかつ前記磁気回路系212’と対向して間隔を隔てて設けられ、前記ステータユニット23’は、ポールピース(pole piece)231’と、前記ポールピース231’に巻回されたコイル232’とを備える。
【0021】
本発明の多機能発音装置は、モータアセンブリとスピーカアセンブリを巧みに組み合わせることにより、音声再生及び振動感の二重機能を実現し、電子機器の組立を簡略化するとともに、電子機器の内部空間をより少なく占用するだけでよい。
【0022】
上述したのは、本発明の一実施形態だけであり、本発明が属する技術分野の当業者にとって、本発明の創造的な構想から逸脱しない範囲において種々変更可能であるが、これらはいずれも本発明の保護範囲内に属するものと理解されるべきである。
【要約】
【課題】モータアセンブリとスピーカアセンブリを巧みに組み合わせることにより、音声再生と振動感との二重機能を実現し、電子機器の内部空間をより少なく占用するだけでよいようにする。
【解決手段】多機能発音装置は、ハウジングと、それに収容されたモータアセンブリ及びスピーカアセンブリとを備え、モータアセンブリはハウジング内に懸架された第1方向に沿って振動する振動子ユニットを備え、スピーカアセンブリはハウジングに固定されかつそれぞれ振動子ユニットの対向する両側に設けられた二つの磁石部を備え、二つの磁石部のそれぞれは磁気ギャップが設けられ、スピーカアセンブリは、ハウジングに固定されかつ第1方向に垂直な第2方向に沿って振動する振動膜と、二つの磁石部の磁気ギャップ内にそれぞれ挿入して設けられ、振動膜を駆動振動させる二つのボイスコイルとを備え、各ボイスコイルの巻線軸は第1方向及び第2方向に垂直である。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5