(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】撮影機器及び方法、並びに調整要素
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20230904BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20230904BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20230904BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230904BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
H04N23/68
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2022502300
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 CN2020081851
(87)【国際公開番号】W WO2021008169
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】201910636878.7
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911040420.1
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユエン,ティーン
(72)【発明者】
【氏名】ジャーン,ハイヤーン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シュウイジェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミーンシュエン
(72)【発明者】
【氏名】コーン,ヤージュイン
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-265126(JP,A)
【文献】国際公開第2015/098120(WO,A1)
【文献】特開2005-275062(JP,A)
【文献】特開2002-228967(JP,A)
【文献】特開2012-137734(JP,A)
【文献】特開平06-230446(JP,A)
【文献】特開平07-240932(JP,A)
【文献】米国特許第05635725(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106060354(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 - 5/08
G03B 7/00 - 7/30
G03B 15/00 - 15/16
G03B 29/00 - 30/00
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影機器であって、前記撮影機器は、レンズバレルと、レンズと、ジッター防止要素と、ジッター防止要素調整機器と、感光性要素と、を含み、
前記レンズは、前記レンズバレルの軸方向の第1端に配置され、前記感光性要素は第2端に配置され、
前記ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであり、前記レンズと前記感光性要素との間に置かれ、前記ジッター防止要素は焦点パワーを有せず、前記ジッター防止要素調整機器を通じて前記レンズバレルの内壁に接続され、前記ジッター防止要素調整機器は、光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動することにより、前記ジッター防止要素の姿勢を調整するよう構成される、機器。
【請求項2】
前記機器は、留め具を更に含み、
前記留め具は、前記レンズバレルの前記内壁に垂直に接続され、前記留め具のサイズは前記ジッター防止要素のサイズと一致し、前記ジッター防止要素調整機器は、前記留め具の軸方向のいずれかの端に接続され、次に前記留め具を通じて前記レンズバレルに接続される、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記ジッター防止要素調整機器は、ボイスコイルモータを含み、前記ボイスコイルモータは、前記レンズの光軸内を移動するよう前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動し、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動するよう構成される、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記ジッター防止要素調整機器は、少なくとも1つのアクチュエータを含み、前記少なくとも1つのアクチュエータは、光軸内を移動するよう前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動するよう構成され、
前記少なくとも1つのアクチュエータを用いて、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動するために使用されるトラックは、前記レンズバレルの前記内壁に配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記ジッター防止要素調整機器は、少なくとも2個のアクチュエータを含み、前記少なくとも2個のアクチュエータは、光軸内を移動するよう前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動するよう構成され、
前記撮影機器は、前記レンズバレルの前記内壁に垂直に接続される
留め具を更に含み、
前記少なくとも2個のアクチュエータを用いて、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動するために使用されるトラックは、前記留め具に配置される、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記機器は、固定フレームを更に含み、
前記固定フレームは、前記ジッター防止要素の外壁に半径方向にスリーブ式に取り付けられ、前記ジッター防止要素を固定するよう構成される、請求項1、2、4、5のいずれか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記機器は、撮影調整要素を更に含み、前記撮影調整要素は、前記ジッター防止要素調整機器に電気的に接続され、前記撮影調整要素は、測定データを取得し、前記測定データに基づき前記ジッター防止要素のターゲット調整データを決定し、前記ターゲット調整データに基づき前記ジッター防止要素の前記姿勢を調整するよう前記ジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の機器。
【請求項8】
撮影方法であって、前記方法は請求項1~7のいずれか一項に記載の撮影機器に適用され、前記方法は、
前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得するステップと、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するステップと、
前記ターゲット調整データに基づき、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動することにより、姿勢を変更するよう前記ジッター防止要素を駆動して撮影を達成するようジッター防止要素調整機器を制御するステップと、
を含む方法。
【請求項9】
前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得する前記ステップは、
ジャイロスコープを用いて前記撮影機器を連続的に検出し、前記撮影機器のジッター量及び前記ジッター方向を取得するステップと、
前記ジッター量に基づき、前記撮影機器の前記ジッターデータを決定するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ターゲット調整データは、前記2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含み、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定する前記ステップは、
前記ジッターデータに基づき、次式:
【数26】
に従い、前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を決定するステップであって、Δsは
前記ジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面と
いずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、Lは前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を表す、ステップと、
前記ジッター方向に基づき、前記回転角及び前記回転方向を決定するステップと、
を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
撮影調整要素であって、前記撮影調整要素は請求項1~7のいずれか一項に記載の撮影機器に適用され、前記撮影調整要素は、
前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得するよう構成される取得モジュールと、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するよう構成される決定モジュールと、
前記ターゲット調整データに基づき、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動することにより、姿勢を変更するよう前記ジッター防止要素を駆動して撮影を達成するようジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される制御モジュールと、
を含む撮影調整要素。
【請求項12】
前記取得モジュールは、ジャイロスコープを用いて前記撮影機器を連続的に検出し、前記撮影機器のジッター量及び前記ジッター方向を取得し、前記ジッター量に基づき、前記撮影機器の前記ジッターデータを決定するよう構成される、請求項11に記載の撮影調整要素。
【請求項13】
前記ターゲット調整データは、前記2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含み、
前記決定モジュールは、
前記ジッターデータに基づき、次式:
【数28】
に従い、前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を決定するよう構成され、Δsは前記ジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面といずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、Lは前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を表し、
前記決定モジュールは、前記ジッター方向に基づき、前記回転角及び前記回転方向を決定するよう構成される、請求項11又は12に記載の撮影調整要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、撮影技術の分野に関し、特に、撮影機器及び方法、並びに調整要素に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影技術の発展と共に、撮影機器は人々の生活の中で広く使用されている。撮影機器を通じる撮影のプロセスでは、撮影機器は、機器の内部要素の動作に起因して生成される振動力及び外力のために小刻みに動くことがある。その結果、撮影画像のエッジはぼやけ、解像度は比較的低い。従って、撮影機器の撮影効果を向上するために、撮影機器を提供する必要がある。
【0003】
関連技術は、撮影機器を提供し、該機器は、筐体と、レンズと、感光性要素と、感光性要素調整機器とを含む。筐体の内側は空洞であり、レンズが筐体の閉じられていない端に配置される。感光性要素は、感光性要素調整機器を通じて筐体内の空洞に固定される。機器が撮影プロセス中に小刻みに動くとき、感光性要素調整機器は、機器のジッター情報に基づき感光性要素の位置を調整し、その結果、光線により感光性要素上に形成される画像は比較的明瞭である。言い換えると、撮影機器のジッターは、感光性要素を調整することにより相殺され、ジッター防止撮影が実施される。
【0004】
しかしながら、感光性要素は微小要素である。従って、感光性要素に実行される調整は、感光性要素の耐用期間に影響を与え、更に撮影機器の耐用期間に影響を与える。これは、撮影機器のユーザ経験を低下させる。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施形態は、関連技術における問題を解決するために、撮影機器及び方法、並びに調整要素を提供する。技術的ソリューションは以下の通りである。
【0006】
第1の態様によると、撮影機器であって、前記機器は、レンズバレルと、レンズと、ジッター防止要素と、ジッター防止要素調整機器と、感光性要素と、を含む撮影機器が提供される。
【0007】
前記レンズは、前記レンズバレルの軸方向の第1端に配置され、前記感光性要素は第2端に配置され、
前記ジッター防止要素は、前記レンズと前記感光性要素との間に置かれ、前記ジッター防止要素及び前記レンズは同軸上に配置され、前記ジッター防止要素は焦点パワーを有せず、前記ジッター防止要素調整機器を通じて前記レンズバレルの内壁に接続され、前記ジッター防止要素調整機器は、前記ジッター防止要素の姿勢を調整するよう構成される。
【0008】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、均等な厚さを有する平面レンズである。
【0009】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器はアクチュエータを含み、前記アクチュエータは、X軸及び/又はY軸の周りを回転するよう前記平面レンズを駆動するよう構成され、前記X軸は前記レンズの光軸に垂直であり、前記Y軸は前記X軸及び前記光軸に垂直である。
【0010】
例示的な実施形態では、2個のアクチュエータペアがあり、
半径方向の前記平面レンズの断面が長方形であるとき、前記2個のアクチュエータペアの中の各アクチュエータは、前記平面レンズの中央に配置されるか、又は、前記2個のアクチュエータペアの各アクチュエータは、前記平面レンズの各角に配置され、
前記半径方向の前記平面レンズの前記断面が円であるとき、前記2個のアクチュエータペアの中の各アクチュエータペアは、それぞれ、前記円の直径と前記円の端との交点に配置され、前記2個のアクチュエータペアが置かれる直径は互いに垂直である。
【0011】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器は第1回転フレームと、第2回転フレームと、第3固定フレームと、を含み、前記第1回転フレームと、前記第2回転フレームと、前記第3固定フレームとは、X軸及び/又はY軸の周りを回転するよう前記平面レンズを駆動するよう構成され、前記X軸は前記レンズの光軸に垂直であり、前記Y軸は前記X軸及び前記光軸に垂直である。
【0012】
前記第1回転フレームは、前記平面レンズの外壁に、半径方向に固定的にスリーブ式に取り付けられ、前記半径方向の前記第1回転フレームの外壁は、突起コンポーネントを有し、前記第1回転フレームは、前記第1突起コンポーネントを通じて前記第2回転フレームの前記内側に可動的に接続される。
【0013】
前記半径方向の前記第2回転フレームの外壁は、第2突起コンポーネントを有し、前記第2突起コンポーネントが置かれる直線と、前記第1突起コンポーネントが置かれる直線とは、互いに垂直に置かれ、前記第2回転フレームは、前記第2突起コンポーネントを通じて前記第3固定フレームの前記内側に可動的に接続される。
【0014】
例示的な実施形態では、前記機器は留め具を更に含む。
【0015】
前記留め具は、前記レンズバレルの前記内壁に垂直に接続され、前記留め具のサイズは前記ジッター防止要素のサイズと一致し、前記ジッター防止要素調整機器の第2端は、前記留め具の軸方向のいずれかの端に垂直に接続され、次に前記留め具を通じて前記レンズバレルに接続される。
【0016】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズである。
【0017】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器は、ボイスコイルモータを含み、前記ボイスコイルモータは、前記レンズの光軸内を移動するよう前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動し、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動するよう構成される。
【0018】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器は、少なくとも1つのアクチュエータを含み、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記光軸内を移動するよう前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動するよう構成され、
前記少なくとも1つのアクチュエータを用いて、前記光軸内を回転するよう前記2個のくさび形レンズを駆動するために使用されるトラックは、前記レンズバレルの前記内壁に配置される。
【0019】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器は、少なくとも2個のアクチュエータを含み、前記少なくとも2個のアクチュエータは、前記光軸内を移動するよう、前記2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つのくさび形レンズを駆動するよう構成される。
【0020】
前記撮影機器は、前記レンズバレルの前記内壁に垂直に接続された前記留め具を更に含み、前記少なくとも2個のアクチュエータを用いて前記光軸内を回転するよう前記ジッター防止要素を駆動するために使用されるトラックは、前記留め具に配置される。
【0021】
例示的な実施形態では、前記機器は固定フレームを更に含む。
【0022】
前記固定フレームは、半径方向に前記ジッター防止要素の外壁にスリーブ式に取り付けられ、前記ジッター防止要素を固定するよう構成される。
【0023】
例示的な実施形態では、前記機器は、撮影調整要素を更に含み、前記撮影調整要素は、前記ジッター防止要素調整機器に電気的に接続され、前記撮影調整要素は、測定データを取得し、前記測定データに基づき前記ジッター防止要素のターゲット調整データを決定し、前記ターゲット調整データに基づき前記ジッター防止要素の前記姿勢を調整するよう前記ジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される。
【0024】
一態様によると、撮影方法であって、前記方法は実施形態で提供される任意の可能な撮影機器に適用され、前記方法は、
前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得するステップと、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するステップと、
前記ターゲット調整データに基づき、姿勢を変更するよう前記ジッター防止要素を駆動して撮影を達成するようジッター防止要素調整機器を制御するステップと、
を含む方法が提供される。
【0025】
例示的な実施形態では、前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得する前記ステップは、
ジャイロスコープを用いて前記撮影機器を連続的に検出し、前記撮影機器のジッター量及び前記ジッター方向を取得するステップと、
前記ジッター量に基づき、前記撮影機器の前記ジッターデータを決定するステップと、
を含む。
【0026】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、均等な厚さを有する平面レンズであり、前記ターゲット調整データは、前記プレートの回転角及び回転方向を含み、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定する前記ステップは、
前記ジッターデータに基づき、次式:
【数1】
に従い、前記回転角を決定するステップであって、Δsは前記ジッターデータであり、nは前記平面レンズの屈折率を表し、dは前記平面レンズの前記厚さを表し、wは前記回転角を表す、ステップと、
前記ジッター方向に基づき前記回転方向を決定するステップと、
を含む。
【0027】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであり、前記ターゲット調整データは、前記2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含み、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定する前記ステップは、
前記ジッターデータに基づき、次式:
【数2】
に従い、前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を決定するステップであって、Δsは前記ジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面といずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、Lは前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を表す、ステップと、
前記ジッター方向に基づき、前記回転角及び前記回転方向を決定するステップと、
を含む。
【0028】
別の態様によると、撮影調整要素であって、前記撮影調整要素は実施形態において提供される任意の可能な撮影機器に適用され、前記撮影調整要素は、
前記撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得するよう構成される取得モジュールと、
前記ジッターデータ及び前記ジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するよう構成される決定モジュールと、
前記ターゲット調整データに基づき、姿勢を変更するよう前記ジッター防止要素を駆動して撮影を達成するようジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される制御モジュールと、
を含む撮影調整要素が提供される。
【0029】
例示的な実施形態では、前記取得モジュールは、ジャイロスコープを用いて前記撮影機器を連続的に検出し、前記撮影機器のジッター量及び前記ジッター方向を取得し、前記ジッター量に基づき、前記撮影機器の前記ジッターデータを決定するよう構成される。
【0030】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、均等な厚さを有する平面レンズであり、前記ターゲット調整データは、前記プレートの回転角及び回転方向を含み、
前記決定モジュールは、前記ジッターデータに基づき、次式:
【数3】
に従い、前記回転角を決定するよう構成され、Δsは前記ジッターデータを表し、nは前記平面レンズの屈折率を表し、dは前記平面レンズの前記厚さを表し、wは前記回転角を表し、
前記決定モジュールは、前記ジッター方向に基づき前記回転方向を決定するよう構成される。
【0031】
例示的な実施形態では、前記ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであり、前記ターゲット調整データは、前記2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含み、
前記決定モジュールは、
前記ジッターデータに基づき、次式:
【数4】
に従い、前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を決定するよう構成され、Δsは前記ジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面といずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、Lは前記2個のくさび形レンズの間の前記間隔を表し、
前記決定モジュールは、前記ジッター方向に基づき、前記回転角及び前記回転方向を決定するよう構成される。
【0032】
本願の実施形態において提供される技術的ソリューションによりもたらされる有利な効果は、少なくとも以下を含む。
【0033】
本実施形態では、前記ジッター防止要素調整機器は、前記ターゲット調整データに基づき、姿勢調整を実行するよう前記ジッター防止要素を駆動し、その結果、前記撮影機器の前記ジッターが補償され得る。このように、前記撮影機器が小刻みに動くときに撮影された画像又はビデオは比較的明瞭であり、撮影効果が良好である。前記ジッター防止要素は焦点パワーを有しないので、前記撮影機器内のレンズの数は削減され、その結果、前記ジッター防止要素の重さ及びコストが低減される。更に、前記ジッター防止要素は、複数種類のレンズに適合でき、前記撮影機器の設計及び製造期間が短縮され、前記撮影機器の普遍性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の実施形態による関連技術における撮影機器の概略構造図である。
【0035】
【
図2】本願の実施形態による関連技術における感光性要素の概略図である。
【0036】
【
図3】本願の実施形態による関連技術における撮影機器の概略構造図である。
【0037】
【
図4】本願の実施形態による撮影機器の構造図である。
【0038】
【
図5】本願の実施形態によるレンズの概略構造図である。
【0039】
【
図6】本願の実施形態による平面レンズを含む撮影機器の概略構造図である。
【0040】
【
図7】本願の実施形態によるくさび形レンズを含む撮影機器の概略構造図である。
【0041】
【
図8】本願の実施形態による平面レンズの概略構造図である。
【0042】
【
図9】本願の実施形態による回転シャフトアクチュエータの概略構造図である。
【0043】
【
図10】本願の実施形態による平面レンズの概略構造図である。
【0044】
【
図11】本願の実施形態による留め具を含む撮影機器の概略構造図である。
【0045】
【
図12】本願の実施形態による撮影機器の概略構造図である。
【0046】
【
図13】本願の実施形態による撮影機器の概略構造図である。
【0047】
【
図14】本願の実施形態による撮影機器の概略構造図である。
【0048】
【
図15】本願の実施形態による撮影機器の概略構造図である。
【0049】
【
図16】本願の実施形態によるボイスコイルモータの概略3次元図である。
【0050】
【
図17】本願の実施形態によるボイスコイルモータの断面図である。
【0051】
【
図18】本願の実施形態によるボイスコイルモータの断面図である。
【0052】
【
図19】本願の実施形態による固定フレームの概略構造図である。
【0053】
【
図20】本願の実施形態による撮影機器のアーキテクチャの概略図である。
【0054】
【
図21】本願の実施形態による撮影方法のフローチャートである。
【0055】
【
図22】本願の実施形態による撮像の概略図である。
【0056】
【
図23】本願の実施形態によるジッターの概略図である。
【0057】
【
図24】本願の実施形態によるデータ比較図である。
【0058】
【
図25】本願の実施形態による平面レンズの回転の概略図である。
【0059】
【
図26】本願の実施形態によるくさび形レンズの移動の概略図である。
【0060】
【
図27】本願の実施形態による光学式手ぶれ補正システムのアーキテクチャの概略図である。
【0061】
【
図28】本願の実施形態による光学式手ぶれ補正システムの動作フローチャートである。
【0062】
【
図29】本願の実施形態による撮影調整要素の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本願の実施形態で使用される用語は、単に本願の特定の実施形態を説明するために使用され、本願を限定することを意図しない。
【0064】
撮影技術の発展に伴い、益々多くの種類の撮影機器、例えば、携帯電話機カメラ、ソフトウェア定義カメラ(software defined camera, SDC)、及びデジタルカメラ、が存在している。撮影機器を通じる撮影のプロセスでは、撮影機器は、機器の内部要素の動作に起因して生成される振動力及び外力のために小刻みに動くことがある。その結果、撮影画像又はビデオのエッジはぼやけ、解像度は比較的低い。
【0065】
監視シナリオにおいて一般的に使用されるSDCが例として使用される。監視シナリオでは、ターゲット空間にあるSDCは、撮影を実行し、撮影画像又はビデオをネットワークを通じてサーバへ送信する。その結果、ユーザは、サーバからの画像又はビデオを取得し、画像又はビデオを観察することができ、ターゲット空間での監視を実施する。SDCはが撮影のために使用されるとき、SDCは、SDC内のファン及びベルトプーリのような要素により生成される振動力を受けることがある。ターゲット空間が橋、塔、又は海のような屋外空間である場合、SDCは、風力のような外力を受けることがある。従って、振動力及び外力の影響下でジッターが発生し、撮影画像又はビデオのエッジがぼやける。従って、人間の目が画像又はビデオを観察する場合画像又はビデオのエッジのほやけは、人間の目の倦怠感の生成を加速させる。これは、観察及び監視効果に影響する。画像又はビデオがターゲット認識及び追跡システムを通じて分析される場合、エッジのぼやけは、認識精度に影響し、追跡能力を低下させる。更に、携帯電話機カメラ及びデジタルビデオカメラでは、対応するジッターは、通常、携帯電話機を持つユーザの手の小刻みな動きにより生じ、従って、撮影効果は比較的粗悪である。従って、撮影機器の撮影効果を向上するために、撮影機器を提供する必要がある。
【0066】
関連技術1は、撮影機器を提供する。
図1に示されるように、機器は、筐体と、レンズと、感光性要素と、感光性要素調整機器とを含む。筐体の内側は空洞であり、レンズが筐体の閉じられていない端に配置される。感光性要素は、感光性要素調整機器を通じて筐体内の空洞に固定される。機器が撮影プロセス中に小刻みに動くとき、感光性要素調整機器は、機器のジッター情報に基づき感光性要素を調整し、その結果、光線により感光性要素上に形成される画像は比較的明瞭である。言い換えると、撮影機器のジッターは、感光性要素を調整することにより相殺され、ジッター防止撮影が実施される。
【0067】
しかしながら、関連技術1で提供される撮影機器は、少なくとも以下の技術的問題を有する。
【0068】
技術的問題1:感光性要素は、感光性チップ(センサ)及びハード回路基板を含む。感光性チップは放熱要素なので、熱消散機器が相応して配置される必要がある。感光性チップの位置が感光性要素調整機器により調整できる場合、熱消散機器を配置することが比較的困難であり、撮影機器の製造コストが増大する。
【0069】
技術的問題2:感光性要素は、可撓性印刷回路(flexible printed circuit, FPC)を通じて撮影機器内の別のコンポーネントに接続される。従って、感光性要素に対する調整は、また、FPCを移動するよう駆動し、結果として、FPCは連続的に曲げられ、FPCの耐用期間が短縮され、撮影機器の耐用期間が影響を受け、撮影機器の使用経験が低下する。
【0070】
技術的問題3:
図2を参照すると、大きい方の長方形は、調整されない感光性チップであり、大きい方の長方形の周囲を囲む円は、レンズの視野である。感光性要素が調整されないとき、感光性チップの実際に使用される領域は
図2の相対的に大きな長方形領域に等しいことが分かる。しかしながら、感光性要素が調整されるとき、感光性チップの実際に使用される領域は
図2の小さい方の長方形にまで削減される。従って、感光性要素に対する調整は、感光性チップの実際の使用領域を減少させ得る。
【0071】
関連技術2は、撮影機器を提供する。
図3に示されるように、機器は、筐体と、レンズと、焦点パワーを有するジッター防止要素と、ジッター防止要素調整機器と、感光性要素と、を含む。レンズ及び感光性要素は、筐体の2つの端にそれぞれ配置され、焦点パワーを有するジッター防止要素は、レンズと感光性要素との間に置かれる。撮影プロセスでは、ジッター防止要素調整機器は、レンズの光軸に垂直な方向に移動するよう、焦点パワーを有するジッター防止要素を駆動して、撮影機器のジッターを相殺し、ジッター防止撮影を達成する。
【0072】
関連技術2は、少なくとも以下の技術的問題を有する。
【0073】
技術的問題1:ジッター防止要素は焦点パワーを有するので、レンズ設計において焦点パワー割り当て及び収差補正に関与するとき、ジッター防止要素はレンズに結合される必要があり、その結果、レンズにより集められた光ビームが、ジッター防止要素を通過した後に、感光性要素上に画像化され得る。言い換えると、1個のジッター防止要素は1個のレンズにのみ適合され、異なるレンズに適合されるジッター防止要素は別個に設計される必要がある。関連技術2では、撮影機器は不十分な普遍性、及び比較的小さな適用範囲を有する。
【0074】
技術的問題2:ジッター防止撮影の間、焦点パワーを有するジッター防止要素は、レンズの光軸に垂直な方向に移動する。従って、撮像品質が要件を満たすことを保証するよう、収差補正のためのレンズの数を増加する必要がある。従って、撮影機器のレンズの数が増加し、設計、処理、及び製造の困難性及びコストが増大し、撮影機器の撮像性能が低下する。
【0075】
本願の実施形態は、撮影機器を提供する。
図4を参照すると、機器は、レンズバレル1と、レンズ2と、ジッター防止要素3と、ジッター防止要素調整機器4と、感光性要素5と、を含む。レンズ2は、レンズバレル1の軸方向の第1端に配置され、感光性要素5は、軸方向の第2端に配置される。ジッター防止要素3は、レンズ2と感光性要素5との間に置かれ、ジッター防止要素3及びレンズ2は同軸上に配置され、ジッター防止要素3は焦点パワーを有さず、ジッター防止要素調整機器4を通じてレンズバレル1の内壁に接続され、ジッター防止要素調整機器4は、ジッター防止要素3の姿勢を調整するよう構成される。
【0076】
レンズ2は、1つ以上のレンズグループであってよく、各レンズグループは1つ以上のレンズを含む。レンズ又はレンズグループの間の距離を変化させることにより、撮影オブジェクトに基づきフォーカス及びズームが実行され、撮影を容易にしてよい。例えば、
図5を参照すると、レンズ2は、軸方向に、負屈折力を有する第1レンズグループ、及び正屈折力を有する第2レンズグループを含む。仮想面(virtual surface)が、第1レンズグループと第2レンズグループとの間に形成される。第1レンズグループは、補償グループであり、異なる距離を有するオブジェクトは、第1レンズグループと仮想面との間の軸方向の間隔を変化させることにより、フォーカスしてよい(focus)。第2レンズグループは、ズームグループであり、レンズ2の焦点長は、仮想面と第2レンズグループとの間の軸方向の間隔を変化させることにより変更されて、ズーム(zoom)を実施する。
【0077】
撮影中、レンズ2は、撮影オブジェクトにより反射される光線を集めて、オブジェクト画像を形成してよい。レンズ2は、レンズバレル1の軸方向の第1端に配置され、感光性要素5は、軸方向の第2端に配置され、ジッター防止要素3はレンズ2と感光性要素5との間に置かれる。言い換えると、レンズ2、ジッター防止要素3、及び感光性要素5は、軸方向に順次、配置される。レンズ2により集められた光線は、ジッター防止要素3を通過し、感光性要素5に向けられ、その結果、オブジェクト画像が感光性要素5に形成される。
【0078】
留意すべきことに、ジッター防止要素調整機器4がジッター防止要素3を調整できるように、レンズ2と感光性要素5との間に十分な空間が確保される必要がある。空間のサイズは、ジッター防止要素3のサイズ、及びジッター防止要素3の姿勢の変動に基づき決定されてよい。これは、本実施形態において限定されない。
【0079】
更に、感光性要素5は、接続される感光性チップ及び回路基板を含む。感光性チップは、光信号を電気信号に変換するよう構成され、回路基板は、オブジェクト画像を形成するために電気信号を格納し及び送信するよう構成される。更に、感光性チップに接続された、回路基板の端がレンズ2に面する場合、ジッター防止要素3は、レンズ2と感光性要素5に含まれる感光性チップとの間に置かれる。本実施形態では、回路基板は、限定ではないが、ハード回路基板を含む。感光性チップ及び回路基板は、ワイヤボンディングを通じて接続されてよく、又はワイヤボンディングに基づき接着剤を塗布することを通じて更に固定されて接続を実施してよい。
【0080】
感光性要素5に含まれる回路基板は、レンズバレル1の軸方向の第2端に配置される。従って、レンズバレル1の軸方向の第2端は、回路基板を接続し及び固定するために、回路基板と一致するインタフェースを有する必要がある。同様に、レンズバレル1の軸方向の第1端に設けられるインタフェースは、レンズ2に基づき配置されてよく、その結果、レンズバレル1は、異なるモデルの複数のレンズ2に適合される。
【0081】
機器が撮影プロセス中に小刻みに動く場合、ジッター防止要素調整機器4は、ジッター防止要素3の姿勢を調整して、姿勢調整後のジッター防止要素を得る。この場合、光線が調整済みジッター防止要素を通過するとき、伝播方向が変化し、伝播方向が変化した光線が感光性要素5に向けられる位置は、ジッター防止要素3が調整されていないときに光線が感光性要素5に向けられる位置と異なる。従って、感光性要素5上の撮像位置が変化し、その結果、撮影画像のエッジが明瞭になり、解像度は相対的に高く、機器のジッター補償が実施される。
【0082】
留意すべきことに、ジッター防止要素3の姿勢を調整することは、ジッター防止要素3の位置又は形勢のうちの少なくとも1つを調整することを表す。ジッター防止要素3の位置を調整することは、ジッター防止要素3とレンズ2(又は感光性要素5)との間の軸方向の間隔を調整することを表し、ジッター防止要素3とレンズバレル1の内壁との間の軸方向の距離を変化しない。ジッター防止要素3の形勢を調整することは
図4に示されるX軸、Y軸、及びZ軸のうちの少なくとも1つの周囲にジッター防止要素3を回転することを表す。
【0083】
本実施形態では、撮影機器のジッターは、感光性要素を引きずることなく補償できることが分かる。従って、関連技術1と比べて、本実施形態で提供される撮影機器は、相対的に低い製造コスト、及び相対的に長い耐用期間を有する。更に、ジッター防止要素は焦点パワーを有しないので、ジッター防止要素は、レンズにより集められた光線を収束又は拡散させないが、ジッター補償を実施するために、レンズにより集められた光線の伝播方向を変えるだけである。従って、関連技術2と比べて、本実施形態における焦点パワーを有しないジッター防止要素は、複数の異なる属性又はモデルのレンズに適合でき、相対的に高い普遍性を有し、広い適用範囲を有する。
【0084】
任意的な実装では、焦点パワーを有しないジッター防止要素3は、
図6に示される均等な厚さを有する平面レンズであってよく、又は
図7に示される、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであってよい。ガラス材料を焦点パワーを有する球形のジッター防止要素へと処理することと比べて、ガラス材料を本実施形態における平面レンズ又はくさび形レンズへと処理することは、相対的に低いコストしか必要ない。これは、撮影機器内のレンズの数を削減し、撮像品質を向上する。以下は、平面レンズ、及び2個のくさび形レンズを別個に説明する。
【0085】
ジッター防止要素3が均等な厚さを有する平面レンズであるとき、任意的に、ジッター防止要素調整機器4はアクチュエータを含み、アクチュエータは、X軸及び/又はY軸の周りを回転するよう平面レンズを駆動するよう構成される。X軸は、レンズ2の光軸に垂直であり、Y軸は、X軸及び光軸に垂直である。更に
図6及び
図7を参照すると、X軸及びY軸を含む座標系は、以下のように定義されてよい。レンズ2の光軸はZ軸であり、X軸は紙面に垂直であり、紙面に垂直で且つ内側へ向かう方向はX軸の正方向である。次に、Y軸及びY軸の正方向は、右手座標系に基づき得られる。
【0086】
任意的に、2個のアクチュエータペアがあってよく、異なる形状の平面レンズでは、2個のアクチュエータペアが配置される位置も異なる。平面レンズの断面が半径方向に長方形であるとき、
図8を参照すると、2個のアクチュエータペアの中の各アクチュエータは、平面レンズの各側の中央に配置されてよい。言い換えると、一方のアクチュエータペアがX軸に配置される(2個のアクチュエータが、それぞれ、X軸の正方向及び負方向に置かれる)。他方のアクチュエータペアがY軸に配置される(2個のアクチュエータが、それぞれ、Y軸の正方向及び負方向に置かれる)。
【0087】
アクチュエータは、平面レンズの各側の中央に、軸方向に配置されてよい。この場合、アクチュエータとレンズ2との間の軸方向の間隔は、平面レンズとレンズ2との間の軸方向の間隔より大きくてよく、又は、平面レンズとレンズ2との間の軸方向の間隔より小さくてよい。各アクチュエータは、伸縮端及び非伸縮端を含み、伸縮端はジッター防止要素3に接続され、非伸縮端はレンズバレル1の内壁に接続される。従って、異なる程度の伸縮を実行するよう各アクチュエータを制御することは、X軸及び/又はY軸の周りを回転するよう平面レンズを駆動してよい。
【0088】
留意すべきことに、X軸、Y軸、及びZ軸のうちのいずれか1つについて、平面レンズが軸の周りを回転する方法は、軸の周りの時計回り回転又は反時計回り回転を含む。更に、時計回り又は反時計回り回転の観察方向は、軸の負方向から軸の正方向へである。例えば、X軸の負方向からX軸の正方向への観察方向では、平面レンズが時計回りに回転する場合、それは、平面レンズがX軸の周りに時計回りに回転することを示す。以下において関連するいずれかの軸の周りの回転については、前述の説明を参照する。
【0089】
更に、アクチュエータとレンズ2との間の軸方向の間隔が平面レンズとレンズ2との間の軸方向の間隔より大きい例では、伸縮されるようにアクチュエータを制御する方法は、以下の4つの場合を含む。
【0090】
第1の場合には、アクチュエータが、X軸の周りに時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、X軸上に配置されたアクチュエータペアは、伸縮されないよう制御され、Y軸の正方向に配置されたアクチュエータは短縮され、Y軸の負方向に配置されたアクチュエータは伸長される。代替として、X軸上に配置されたアクチュエータペアの伸長量は、第1伸長量になるよう制御され、Y軸の正方向に配置されたアクチュエータの伸長量は、第1伸長量より小さく、Y軸の負方向に配置されたアクチュエータの伸長量は第1伸長量より大きい。代替として、X軸上に配置されたアクチュエータペアの短縮量は、第1短縮量であり、Y軸の正方向に配置されたアクチュエータの短縮量は、第1短縮量より大きく、Y軸の負方向に配置されたアクチュエータの短縮量は第1短縮量より小さい。
【0091】
第2の場合には、アクチュエータが、X軸の周りを反時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、第1の場合のY軸上に配置されたアクチュエータペアのうちの2個のアクチュエータの伸縮方法は交換されてよい。詳細はここで再び記載されない。
【0092】
第3の場合には、アクチュエータが、Y軸の周りに時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、Y軸上に配置されたアクチュエータペアは、伸縮されないよう制御され、X軸の正方向に配置されたアクチュエータは伸長され、X軸の負方向に配置されたアクチュエータは短縮される。代替として、Y軸上に配置されたアクチュエータペアの伸長量は、第1伸長量になるよう制御され、X軸の正方向に配置されたアクチュエータの伸長量は、第1伸長量より大きく、X軸の負方向に配置されたアクチュエータの伸長量は第1伸長量より小さい。代替として、Y軸上に配置されたアクチュエータペアの短縮量は、第1短縮量であり、X軸の正方向に配置されたアクチュエータの短縮量は、第1短縮量より小さく、X軸の負方向に配置されたアクチュエータの短縮量は第1短縮量より大きい。
【0093】
第4の場合には、アクチュエータが、Y軸の周りを反時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、第3の場合のX軸上に配置されたアクチュエータペアのうちの2個のアクチュエータの伸縮方法は交換されてよい。詳細はここで再び記載されない。
【0094】
アクチュエータが少なくとも1つの伸縮端を有し、レンズバレル1の内壁にジッター防止要素3を固定でき、X軸及び/又はY軸の周りを回転するようジッター防止要素3を駆動できるならば、アクチュエータの形状は本実施形態で限定されない。例えば、アクチュエータは、L形アクチュエータ、円弧状アクチュエータ、又は別の特定形状のアクチュエータであってよい。
【0095】
代替として、平面レンズの断面が半径方向に長方形であるとき、2個のアクチュエータペアの各々は、平面レンズの各角に配置されてよい。各アクチュエータは、平面レンズの軸方向の角に配置されてよい。説明を容易にするために、4個のアクチュエータが、X軸及びY軸により形成される2次元座標系における4象限を用いて説明された。この場合、4象限は、それぞれ、第1象限、第2象限、第3象限、及び第4象限内に置かれ、アクチュエータの伸縮端は、依然としてジッター防止要素3に接続される。
【0096】
アクチュエータとレンズ2との間の軸方向の間隔が平面レンズとレンズ2との間の軸方向の間隔より大きいことが、依然として例として使用される。アクチュエータが、X軸の周りに時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、第1象限及び第2象限内に置かれた2個のアクチュエータは短縮され、第3象限及び第4象限内に置かれた2個のアクチュエータは伸長される。アクチュエータが、Y軸の周りに時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する場合、第2象限及び第3象限内に置かれた2個のアクチュエータは短縮され、第1象限及び第4象限内に置かれた2個のアクチュエータは伸長される。アクチュエータが、X軸の周りに反時計回りに回転し及びY軸の周りに反時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する方法については、詳細はここで再び説明されない。
【0097】
半径方向の平面レンズの断面が長方形である場合に加えて、任意的に、
図10を参照すると、半径方向の平面レンズの断面が円であるとき、2個のアクチュエータペアの中の各アクチュエータペアは、それぞれ、円の直径と円の端との交点に配置され、2個のアクチュエータペアが置かれる直径は互いに垂直である。2個のアクチュエータペアの中の一方のアクチュエータペアはX軸上に配置され、他方のアクチュエータペアはY軸上に配置される。X軸及び/又はY軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動する方法については、前述の説明を参照する。詳細はここで再び記載されない。
【0098】
勿論、均等な厚さを有する平面レンズの形状は、本実施形態において限定されず、経験又は実際の要件に基づき設定されてよい。例えば、平面レンズは、五角形又は六角形のような多角形であってもよい。例えば、平面レンズは六角形である。2個のアクチュエータペアの中の一方のアクチュエータペアは、それぞれ六角形の2つの対向する側の中央にそれぞれ配置され、他方のアクチュエータペアは、それぞれ六角形の2個の対向する頂点に配置され、2個のアクチュエータペアの各々の中のアクチュエータにより形成される接続線は、互いに垂直である。代替として、平面レンズは楕円形であってよい。この場合、2個のアクチュエータペアは、それぞれ、楕円の長軸と楕円の端との交点に、及び楕円の短軸と楕円の端との交点に、配置される。
【0099】
任意的な実装では、ジッター防止要素が平面レンズであるとき、ジッター防止要素調整機器は、X軸及び/又はY軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動するために、第1回転フレーム、第2回転フレーム、及び第3固定フレームを更に含んでよい。実施中、第1回転フレームは、X軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動してよく、第2回転フレームは、Y軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動してよい。代替として、第1回転フレームは、Y軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動してよく、第2回転フレームは、X軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動してよい。
【0100】
第1回転フレームは、平面レンズの外壁に、半径方向に固定的にスリーブ式に取り付けられ、半径方向の第1回転フレームの外壁は、突起コンポーネントを有し、第1回転フレームは、第1突起コンポーネントを通じて第2回転フレームの内側に可動的に接続される。半径方向の第2回転フレームの外壁は、第2突起コンポーネントを有し、第2突起コンポーネントが置かれる直線と、第1突起コンポーネントが置かれる直線とは、互いに垂直に置かれ、第2回転フレームは、第2突起コンポーネントを通じて第3固定フレームの内側に可動的に接続される。
【0101】
図9に示されるように、第1回転フレームがX軸の周りに回転するよう平面レンズを駆動する例が使用される。第1回転フレームは、X軸の正方向に1つの第1突起コンポーネント、及び負方向に1つの第1突起コンポーネントを有し、第2回転フレームは、X軸の正方向に第1突起コンポーネントと一致する1つの穴、及び負方向に第1突起コンポーネントと一致する1つの穴を有する。第1突起コンポーネントは、第2回転フレーム上にある穴に挿入され、その結果、第1回転フレームは、第2回転フレームの内側に可動的に接続される。第1回転フレームは、半径方向に固定的に平面レンズの外壁にスリーブ式に取り付けられるので、第1回転フレームがX軸の周りを回転するとき、平面レンズは、X軸の周りに回転するよう駆動されてよい。
【0102】
相応して、第2回転フレームは、Y軸の正方向に1つの第2突起コンポーネント、及び負方向に1つの第2突起コンポーネントを有する。従って、第1突起コンポーネントが置かれる直線と、第2突起コンポーネントが置かれる直線とは、互いに垂直である。第3固定フレームは、Y軸の正方向に第2突起コンポーネントに一致する1つの穴、及び負方向に第2突起コンポーネントに一致する1つの穴を有する。第2突起コンポーネントは、第3固定フレーム上の穴に挿入され、その結果、第2回転フレームは、第3固定フレームの内側に可動的に接続され、平面レンズはY軸の周りに回転するよう駆動され得る。更に、X軸の周りに反時計回りに回転し及びY軸の周りに反時計回りに回転するよう平面レンズを駆動する方法については、詳細はここで再び説明されない。
【0103】
更に、
図11を参照すると、機器は留め具を更に含む。留め具は、レンズバレル1の内壁に垂直に接続され、留め具のサイズはジッター防止要素3のサイズと一致し、ジッター防止要素調整機器4は、留め具の軸方向のいずれかの端に接続され、次に留め具を通じてレンズバレル1に接続される。
【0104】
更に、ジッター防止要素調整機器4が2個のアクチュエータペアを含むとき、留め具は、4個の固定バーをであってよく、各固定バーは1つのアクチュエータに対応する。この場合には、前述の説明における特定形状のアクチュエータの代わりに、直線アクチュエータが、アクチュエータとして直接使用されてよい。更に、固定バーの長さは、光線を遮るのを回避するために、ジッター防止要素3のサイズに一致する必要がある。代替として、ジッター防止要素調整機器4が第1回転フレーム、第2回転フレーム、及び第3固定フレームを含むとき、留め具は固定プレートであってよく、固定プレートの中心は、ジッター防止要素3のサイズ及び形状に一致する穴を有する。固定フレームの形状は、本実施形態で限定されない。
【0105】
任意的な実装では、ジッター防止要素3が、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであるとき、ジッター防止要素調整機器4は、少なくとも1つのアクチュエータを含む。少なくとも1つのアクチュエータは、光軸方向に移動するよう、2個のくさび形レンズのうちの少なくとも1つを駆動するよう構成される。更に、少なくとも1つのアクチュエータを用いて、光軸内で回転するよう2個のくさび形レンズを駆動するために使用されるトラックは、レンズバレル1の内壁に配置される。
【0106】
1つのアクチュエータがあるとき、アクチュエータは、同時に光軸の周りに回転するよう、2個のくさび形レンズを駆動する必要があり、アクチュエータは、更に、2個のくさび形レンズをレンズバレル1の内壁に固定する必要がある。従って、アクチュエータは、少なくとも3個の端点を有し、例えば、T形アクチュエータに基づく変形を通じて取得されるT形アクチュエータ又は別の特定形状のアクチュエータ。T形アクチュエータが例として使用される。
図12に示されるように、T形状の中の「-」の2個の端点は、それぞれ1個のくさび形レンズに接続され、「-」の2個の端点のうちの少なくとも1個は、光軸内で移動するよう2個のくさび形プレート内の少なくとも1個のくさび形レンズを駆動するための伸縮端である。T形状の中の「|」の端点は、レンズバレル1の内壁に接続され、端点に一致するトラックはレンズバレル1の内壁に配置される。
【0107】
2個のアクチュエータがあるとき、2個のアクチュエータは、それぞれ1個のくさび形プレートに接続される。アクチュエータはL形アクチュエータであってよい。
図13に示されるように、L形アクチュエータの伸縮端は、くさび形プレートの軸方向の端に接続される。勿論、3、4、又はより多くのアクチュエータがあってもよい。この場合、1つ以上のアクチュエータは、各くさび形プレートに接続され、くさび形プレートとレンズバレル1との間の接続強度は強化される。詳細はここに説明されない。
【0108】
更に、ジッター防止要素3が、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであるとき、ジッター防止要素調整機器4は、少なくとも2個のアクチュエータを更に含んでよい。相応して、撮影機器は、レンズバレル1の内壁に垂直に接続された留め具を更に含んでよく、少なくとも2個のアクチュエータを用いて光軸内を回転するよう2個のくさび形レンズを駆動するために使用されるトラックは、留め具に配置される。
【0109】
図14を参照すると、2個のくさび形レンズは、それぞれ、アクチュエータを通じて留め具の軸方向の2個の端に接続されてよい。代替として、
図15を参照すると、くさび形レンズのうちの1つは、アクチュエータを通じて留め具の軸方向の端に接続されてよく、他方のくさび形レンズは、アクチュエータを通じて前のくさび形レンズに接続される。従って、2個のくさび形レンズは、留め具の軸方向のいずれかの端に配置される。アクチュエータは、伸縮することにより、光軸内を移動するよう少なくとも1つのくさび形レンズを駆動してよい。アクチュエータは、光軸内で回転するよう2個のくさび形レンズを駆動するために、留め具に配置されたトラックに沿って更にスライドしてよい。
【0110】
更に、ジッター防止要素3が2個のくさび形レンズであるとき、機器が留め具を更に含む場合、トラックは、留め具に配置されなくてよいが、留め具に一致するトラックがレンズバレル1の内壁に配置される。ジッター防止要素調整機器4は留め具に接続されるので、留め具はトラックに沿ってスライドする。トラックは、光軸の周りに回転するようジッター防止要素調整機器4を駆動し、光軸の周りに回転するよう2個のくさび形レンズを更に駆動してよい。
【0111】
任意的に、ジッター防止要素3が2個のくさび形レンズであるとき、ジッター防止要素調整機器4は、
図16に示されるボイスコイルモータであってよい。ボイスコイルモータは、光軸内を移動するようジッター防止要素3内の少なくとも1つのくさび形レンズを駆動し、光軸内で回転するようジッター防止要素3内kの2個のくさび形レンズを駆動するよう構成される。
【0112】
レンズ2に近いくさび形レンズが第1くさび形レンズであり、レンズ2から離れているくさび形レンズが第2くさび形レンズであり、ボイスコイルモータが第2くさび形レンズを駆動する例が使用される。
図17は、YZ方向のボイスコイルモータの断面図である。ボイスコイルモータは、同軸上に配置される第1フレーム、第2フレーム、及び第3フレームを含み、第2フレームはレンズの光軸に平行な移動シャフトを通じて第1フレームに接続され、第3フレームは回転ベアリングを通じて第1フレームに接続されることが分かる。
【0113】
第2フレームは、第2くさび形レンズを固定するよう構成され、Y軸第1磁石及びY軸第2磁石は、半径方向に第2フレームの外壁に埋め込まれる。第1フレームは、第1くさび形レンズを固定するよう構成され、Y軸第1コイル及びY軸第2コイルは、半径方向に第1フレームの内壁に埋め込まれる。Y軸第1コイル及びY軸第2コイルに電圧を加えることにより、コイルは電流を生成し、その結果、Y軸第1磁石及びY軸第2磁石がコイルに対して移動し、第2フレームを押して、移動シャフトに沿って移動させる。移動シャフトはレンズの光軸と平行なので、第2くさび形レンズは光軸内を移動するよう駆動される。
【0114】
実施中、第2くさび形レンズの移動量、言い換えると、2個のくさび形レンズの間の間隔は、コイルに加えられる電圧のサイズ及び方向を制御することにより制御されてよい。例えば、電圧が加えられないとき、2個のくさび形レンズの傾斜面は、互いに接触するよう配置されてよい。電圧がコイルに加えられた後に、大きい電圧が加えられたほど、Z軸の正方向に第2くさび形レンズの大きな移動量を示し、その結果、2個のくさび形レンズの間の間隔が大きい。代替として、電圧が加えられないとき、2個のくさび形レンズの間の間隔は、基準間隔として設定されてよい。このように、より大きな順方向電圧が加えられると、第2くさび形レンズは、光軸の正方向に移動し、その結果、2個のくさび形レンズの間の間隔が増大する。より大きな負電圧が加えられると、第2くさび形レンズは、光軸の負方向に移動し、その結果、2個のくさび形レンズの間の間隔が減少する。勿論、電圧方向と移動方向との間の関係は、実際の要件又は経験に基づき設定されてよい。これは、本実施形態において限定されない。
【0115】
図18は、XZ方向のボイスコイルモータの断面図である。X軸第1磁石及びY軸第1磁石が、半径方向に第1フレームの外壁に更に埋め込まれ、X軸第1コイル及びX軸第2コイルが、半径方向に第3フレームの内壁に更に埋め込まれることが分かる。X軸コイルに加えられる電圧のサイズ及び方向を制御することにより、X軸磁石及びX軸コイルは、互いに対して移動でき、回転ベアリングと協働して、光軸の周りに2個のくさび形レンズを回転させる。例えば、順方向電圧がX軸コイルに加えられ、その結果、2個のくさび形レンズは、光軸の周りに時計回りに回転する。
【0116】
任意的な実装では、
図19に示されるように、本実施形態で提供される機器は、固定フレームを更に含む。固定フレームの内壁は、半径方向でジッター防止要素3の外壁と一致し、その結果、固定フレームは、半径方向でジッター防止要素3の外壁にスリーブ式に取り付けられ、ジッター防止要素3を固定する。相応して、ジッター防止要素調整機器4は、固定フレームに接続することにより、ジッター防止要素3に間接的に接続されてよい。
【0117】
更に、本実施形態で提供される機器は、撮影調整要素を更に含む。撮影調整要素は、ジッター防止要素調整機器に電気的に接続される。撮影調整要素は、測定データを取得し、測定データに基づきジッター防止要素のターゲット調整データを決定し、ターゲット調整データに基づきジッター防止要素の姿勢を調整するようジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される。
【0118】
図20を参照すると、実施中、撮影調整要素は、光学式手ぶれ補正(optical image stabilization, OIS)チップであってよい。撮影調整要素は、ジャイロスコープ及びホールセンサに電気的に接続され、撮影調整要素により取得された測定データは、ジャイロスコープにより測定された、撮影機器のジッター量及びジッター方向、及びホールセンサにより測定された、ジッター防止要素3の現在姿勢データを含む。次に、撮影調整要素は、ジッター防止要素3の取得したジッター量、ジッター方向、及び現在姿勢に基づき、ジッター防止要素3のターゲット調整データを計算し及び決定し、ジッター防止撮影を実施するために、ターゲット調整データに基づきジッター防止要素3の姿勢を調整するようジッター防止要素調整機器4を制御する。
【0119】
更に、
図20に示されるように、撮影機器は、レンズ2に含まれるレンズグループを調整するよう構成される、オートフォーカス(auto-focus, AF)モータ、AF駆動チップ、及び相補型金属酸化膜半導体(complementary metal-oxide-semiconductor, CMOS)センサを更に含む。
【0120】
同じ概念に基づき、本実施形態は撮影方法を更に提供し、該方法は、
図4~
図20のいずれかの撮影機器に適用される。
図21に示すように、方法は以下のステップを含む。
【0121】
ステップ2101:撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得する。
【0122】
撮影機器のジッターデータは、撮影機器のジッターの大きさを示すために使用される。本実施形態では、ジッターデータは、ジッター撮影機器により撮影された画像と非ジッター撮影機器により撮影された画像との間のオフセットを表す。
図22に示されるように、撮影機器が小刻みに動かないときに撮影された画像Aは中央に置かれ、撮影機器が小刻みに動くときに撮影された画像Aは中心からずれて、上方にあり、2個のAの間の間隔はジッターデータである。ジッターデータ及びジッター方向を取得する方法は、ジャイロスコープを用いて撮影機器を連続的に検出し、撮影機器のジッター量及びジッター方向を取得するステップと、ジッター量に基づき、撮影機器のジッターデータを決定するステップと、を含む。
【0123】
ジッター方向は、正x方向、負x方向、正y方向、及び負y方向を含む。ジッター方向は、ジャイロスコープを用いて直接測定されてよい。例えば、
図22に示される場合には、ジッター方向は正y方向である。留意すべきことに、撮影機器の異なるジッター方法は、ジッターデータの異なる計算方法を有する。従って、異なるジッター方法では、ジャイロスコープにより検出されたジッター量も異なる。
図23に示されるように、ジッター方法がX軸及び/又はY軸の周りの並進ジッターであるとき、ジャイロスコープにより測定されたジッター量は、並進量であり、ジッターデータΔS1は次式に従い計算される:
【数5】
【0124】
式中、fは焦点長であり、Δmは並進量であり、Hはオブジェクト距離であり、lは、撮影機器が小刻みに動かないときの画像点と画像中心との間の距離であり、l'は、撮影機器が小刻みに動くときの画像点と画像中心との間の距離である。
【0125】
ジッター方法がX軸及び/又はY軸の周りの回転ジッターであるとき、ジャイロスコープにより測定されたジッター量は、回転量であり、ジッターデータΔS2は次式に従い計算される:
【数6】
【0126】
式中、fはここでも焦点長であり、Δθは回転量である。
【0127】
更に、
図24を参照すると、例えば、焦点長は2mmであり、並進量Δmは3mmであり、回転量Δθは1度である。オブジェクト距離Hが100mmより大きい、言い換えると、オブジェクト距離が相対的に長いとき、ジッター量が回転量であるときに生成されたジッターデータΔS2の値は、ジッター量が並進量であるときに生成されたジッターデータΔS1の値より大きい。言い換えると、回転ジッターの影響は、並進ジッターの影響より大きい。撮影機器により撮影されたオブジェクトのオブジェクト距離は、通常、相対的に長く、本実施形態は、主に、X軸及び/又はY軸の周りの回転のジッター方法を対象とする。従って、本実施形態では、ジャイロスコープにより連続的に検出されるジッター量は、撮影機器の回転角Δθである。次に、撮影機器の焦点長と検出された回転角Δθとの積が計算され、その結果、ジッターデータは、ジッター量に基づき取得できる。
【0128】
代替として、本実施形態におけるジッターデータを取得する方法は、ジッターデータを取得するために、ジッター撮影機器により撮影された画像を測定するステップを更に含む。ジッター撮影機器により撮影されたオブジェクト画像は、オブジェクトのぼやけた境界を有する。ぼやけた境界は、オブジェクトの明瞭な境界を取得するために処理される。ジッターデータは、ぼやけた境界と明瞭な境界との間の距離を測定することにより取得できる。
【0129】
勿論、ジッターデータを取得する方法は、本実施形態で限定されない。ジッターデータを取得する方法に関係なく、ジッターデータが取得された後に、撮影機器のジッター方向が、更にジッターデータに基づき決定されてよい。ステップ2102を参照する。
【0130】
ステップ2102:ジッターデータ及びジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定する。
【0131】
ジッターデータ及びジッター方向が決定された後に、ジッター防止要素のターゲット調整データは、ジッターデータ及びジッター方向に基づき更に決定されてよい。
【0132】
任意的に、ジッター防止要素が、均等な厚さを有する平面レンズであるとき、ターゲット調整データは、プレートの回転角及び回転方向を含む。ジッターデータ及びジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するステップは、ジッターデータに基づき、次式に従い回転角を決定し、ジッター方向に基づき回転方向を決定するステップを含む。
【0133】
先ず、回転角ωは、次式に従い決定される。
【数7】
【0134】
式中、Δsはジッターデータを表し、nは平面レンズの屈折率を表し、dは平面レンズの厚さを表し、ωは回転角を表す。
【0135】
図25を参照すると、前述の式は、以下の処理に基づき導出されてよい:
【数8】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
回転角ωを計算するための式は、項を更に入れ替えることにより取得られる:
【数13】
【0141】
相応して、ωが10°より大きいとき、計算は、次式に従い実行される:
【数14】
【0142】
更に
図25を参照すると、式の導出プロセスは以下の通りである:
【数15】
【0143】
従って、ジッターデータは、次式に従い表すことができる。
【数16】
【0144】
【0145】
【0146】
この場合、Δsは次式のように表される:
【数19】
【0147】
回転角ωが決定された後に、回転方向が、ジッター方向に基づき更に決定される。ジッターデータのジッター方向が正y方向であるとき、平面レンズの回転方向は、X軸の周りに時計回り方向であり、負y方向の補償量を生成して、正y方向のジッターデータを補償する。ジッターデータのジッター方向が負y方向であるとき、平面レンズの回転方向は、x軸の周りの反時計回り方向である。ジッターデータのジッター方向が正x方向であるとき、平面レンズの回転方向は、y軸の周りの反時計回り方向である。ジッター方向が負X方向であるとき、回転方向は、y軸の周りの時計回り方向である。
【0148】
代替として、ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであってよい。任意的な実装では、ターゲット調整データは、2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含む。従って、ジッターデータ及びジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するステップは、ジッターデータに基づき、次式に従い2個のくさび形レンズの間の間隔を決定し、ジッター方向に基づき回転角及び回転方向を決定するステップを含む。
【0149】
先ず、2個のくさび形レンズの間の間隔Lは、次式に従い決定される:
【数20】
【0150】
式中、Δsはジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面といずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、αは5°より大きくなく、Lは2個のくさび形レンズの間の間隔を表す。
【0151】
図26を参照すると、前述の式は、以下の処理に基づき導出されてよい:
【0152】
αが5°より小さいとき、式は以下の処理に基づき導出されてよい:
【数21】
【0153】
【0154】
2個のくさび形レンズの間の間隔Lが決定された後に、回転角及び回転方向は、ジッター方向に基づき更に決定される。ジッターデータのジッター方向が正y方向であるとき、2個のくさび形レンズの回転角は0度である。言い換えると、2個のくさび形レンズは、正y方向のジッターデータを補償するよう負y方向の補償量を生成するために、
図26に示される角度を維持するだけでよい。ジッターデータのジッター方向が負y方向であるとき、2個のくさび形レンズの回転角は180度であり、回転方向はz軸の周りに時計回り方向又は反時計回り方向である。ジッターデータのジッター方向が正x方向であるとき、2個のくさび形レンズの回転角は90度であり、回転方向はz軸の周りの反時計回り方向である。ジッター方向が負x方向であるとき、2個のくさび形レンズの回転角は90度であり、回転方向はz軸の周りの時計回り方向である。
【0155】
ターゲット調整データが決定された後に、ジッター防止要素に対する調整がトリガされてよい。詳細については、ステップ2103を参照する。
【0156】
ステップ2103:ターゲット調整データに基づき、撮影を達成するために、姿勢を変更するようジッター防止要素を駆動するよう、ジッター防止要素調整機器を制御する。
【0157】
取得されたターゲット調整データについて、ジッター防止要素調整機器は、取得されたターゲット調整データに基づき、姿勢を変更するようジッター防止要素を駆動するよう制御される。その結果、撮影機器のジッターは補償でき、撮影画像のエッジは明瞭になり、撮影を達成する。ジッター防止要素調整機器がジッター防止要素を駆動する方法については、前述の説明を参照する。詳細はここで再び記載されない。
【0158】
留意すべきことに、本実施形態では、ジッター防止要素調整機器は、
図27に示されるOISシステムに基づきジッター防止要素を調整する。命令入力は、ジャイロスコープ(gyro)により検出されるジッター量及びジッター方向を表す。計算要素はOISチップを使用し、実行要素はジッター防止要素調整機器であり、被制御オブジェクトはジッター防止要素であり、測定及びフィードバック要素はホールセンサを使用する。
【0159】
実装中、
図28を参照すると、OISチップはサーボフィルタ(servo filter)であってよい。レンズが小刻みに動くとき、一方で、ジャイロスコープはレンズのジッター量及びジッター方向を検出し、ジャイロスコープフィルタ(gyro filter)は、ジッター量及びジッター方向に基づく計算を通じて、サーボフィルタにより受信可能なデジタル信号を取得し、該デジタル信号をサーボフィルタへ送信する。他方で、ホールセンサは、ジッター防止要素の姿勢信号を検出し、ホール増幅器(Hall amplifier)を通じて該姿勢信号を増幅する。更に、ホール増幅器は、バイアス電流(bias current)を用いて姿勢信号を更に微調整してよい。次に、アナログ-デジタル変換(analogue-to-digital conversion, AD conversion)が、増幅された姿勢信号に対して実行されて、サーボフィルタにより受信可能なデジタル信号を取得し、デジタル信号はサーボフィルタへ送信される。
【0160】
次に、サーボフィルタは受信したデジタル信号に基づき計算を通じて、ジッター防止要素により要求される回転及び/又は並進の値を取得し、ジッター防止要素調整機器へ値を送信する。異なるジッター防止要素調整機器では、値は異なってよい。例えば、ジッター防止要素調整機器が伸縮アクチュエータであるとき、値は伸縮量である。ジッター防止要素調整機器がボイスコイルモータであるとき、値はボイスコイルモータにおけるコイル電圧の変動である。
【0161】
次に、ジッター防止要素調整機器は、値に基づきジッター防止要素を調整する。調整が完了した後に、ホール要素は、調整済みジッター防止要素の姿勢データを検出し、姿勢データをサーボフィルタにフィードバックし、サーボフィルタは、調整済みジッター防止要素により要求される回転及び/又は並進の値を再計算する。このように、ジッター防止要素の位置は、ジッター防止撮影を実施するために、連続的に調整される。
【0162】
纏めると、本実施形態では、ジッター防止要素調整機器は、ターゲット調整データに基づき、姿勢調整を実行するようジッター防止要素を駆動し、その結果、撮影機器のジッターが補償され得る。このように、撮影機器が小刻みに動くときに撮影された画像又はビデオは比較的明瞭であり、撮影効果が良好である。焦点パワーを有するジッター防止要素を備えるジッター防止システムと比べて、焦点パワーを有しないジッター防止要素は、撮像品質を向上し、撮影機器内のレンズの数を削減し、その結果、撮影機器の重さ及びコストが低減される。更に、レンズ及びジッター防止要素は分離され、その結果、ジッター防止要素は、複数種類のレンズに適合でき、撮影機器の設計及び製造期間が短縮され、撮影機器の普遍性が向上する。
【0163】
更に、本実施形態におけるジッター防止要素は、平面レンズ又はくさび形レンズであってよく、ガラス材料のジッター防止要素への処理は、比較的低い処理コスト、高い精度及び比較的高い歩留まりが必要である。
【0164】
同じ概念に基づき、本願の実施形態は、撮影調整要素を更に提供する。撮影調整要素は、
図4~
図20におけるいずれかの撮影機器に適用される。
図29を参照すると、撮影調整要素は、撮影機器のジッターデータ及びジッター方向を取得するよう構成される取得モジュール2901と、ジッターデータ及びジッター方向に基づき、ジッター防止要素のターゲット調整データを決定するよう構成される決定モジュール2902と、ターゲット調整データに基づき、姿勢を変更するようジッター防止要素を駆動して撮影を達成するようジッター防止要素調整機器を制御するよう構成される制御モジュール2903と、を含む。
【0165】
任意的に、取得モジュール2901は、ジャイロスコープを用いて撮影機器を:連続的に検出し、撮影機器のジッター量及びジッター方向を取得し、ジッター量に基づき、撮影機器のジッターデータを決定するよう構成される。
【0166】
任意的に、ジッター防止要素が、均等な厚さを有する平面レンズであるとき、ターゲット調整データは、プレートの回転角及び回転方向を含む。
【0167】
決定モジュール2902は、ジッターデータに基づき、次式に従い回転角を決定するよう構成される:
【数23】
【0168】
式中、Δsはジッターデータを表し、nは平面レンズの屈折率を表し、dは平面レンズの厚さを表し、ωは回転角を表す。
【0169】
決定モジュール2902は、ジッター方向に基づき回転方向を決定する。
【0170】
任意的に、ジッター防止要素は、傾斜面が互いに向かい合って配置される2個のくさび形レンズであり、ターゲット調整データは、2個のくさび形レンズの間の間隔、回転角、及び回転方向を含む。
【0171】
決定モジュール2902は、ジッターデータに基づき、次式に従い、2個のくさび形レンズの間の間隔を決定するよう構成される:
【数24】
【0172】
式中、Δsはジッターデータを表し、nはいずれかのくさび形レンズの屈折率を表し、αは垂直面といずれかのくさび形レンズの傾斜面との間に含まれる角度を表し、Lは2個のくさび形レンズの間の間隔を表す。
【0173】
回転角及び回転方向は、ジッター方向に基づき決定される。
【0174】
纏めると、本実施形態では、ジッター防止要素調整機器は、ターゲット調整データに基づき、姿勢調整を実行するようジッター防止要素を駆動し、その結果、撮影機器のジッターが補償され得る。このように、撮影機器が小刻みに動くときに撮影された画像又はビデオは比較的明瞭であり、撮影効果が良好である。ジッター防止要素は焦点パワーを有しないので、撮影機器内のレンズの数は削減され、その結果、ジッター防止要素の重さ及びコストが低減される。更に、ジッター防止要素は、複数種類のレンズに適用でき、撮影機器の設計及び製造期間が短縮され、撮影機器の普遍性が向上する。
【0175】
例えば、本願の本実施形態で提供される撮影調整要素は、
図20に示される光学式手ぶれ補正チップであってよい。具体的に、特定の実装シナリオでは、
図28に示されるサーボシステムフィルタは、撮影調整要素の機能を実装するために使用されてよい。
【0176】
更に、本実施形態におけるジッター防止要素は、平面レンズ又はくさび形レンズであってよく、ガラス材料のジッター防止要素への処理は、比較的低い処理コスト、高い精度及び比較的高い歩留まりが必要である。
【0177】
理解されるべきことに、前述のシステムがシステムの機能を実装するとき、前述の機能の分割は単なる例である。実際の実装では、前述の機能は、必要に応じて、異なるモジュールに割り当てられ実装できる。言い換えると、機器内部構造は、上述の機能の全部又は一部を実装するために、異なる機能モジュールに分割される。更に、前述の実施形態で提供される機器及び方法の実施形態は、同じ概念に関連する。その特定の実装プロセスについては、方法の実施形態を参照する。詳細はここで再び記載されない。
【0178】
留意すべきことに、前述の撮影システム内の機能モジュールの機能は、システム内に設置されるチップにより実装されてよく、又は撮影システム内のプロセッサにより実装されてよい。例えば、チップ又はプロセッサは、携帯電話機又は幾つかのカメラの内部のチップ又はプロセッサであってよい。別の例では、チップは、代替として、携帯電話機のプロセッサに接続されたチップであってよく、前述のジッター防止制御機能を実装するよう構成される。
【0179】
本願は、コンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムがコンピュータにより実行されると、プロセッサ又はコンピュータは、前述の方法の実施形態における対応するステップ及び/又は手順を実行してよい。
【0180】
前述の説明は、本願の単なる実施形態であり、本願を限定することを意図しない。本願の精神及び原理から逸脱することなく行われる、任意の変更、均等物置換、又は改良は、本願の保護範囲内に包含されるべきである。