(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】マレイン酸テトラポリマーを含有する洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20230904BHJP
C11D 3/08 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/36 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230904BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20230904BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20230904BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/08
C11D3/10
C11D3/04
C11D3/33
C11D3/36
C11D3/20
C11D1/722
C11D3/395
C11D3/40
C11D3/50
C11D3/386
C11D17/08
(21)【出願番号】P 2022507508
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(86)【国際出願番号】 US2020045102
(87)【国際公開番号】W WO2021026292
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2022-03-08
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510250467
【氏名又は名称】エコラボ ユーエスエー インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100191444
【氏名又は名称】明石 尚久
(72)【発明者】
【氏名】ケリー アン ライトマイア
(72)【発明者】
【氏名】カーター エム.シルバーネイル
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159082(JP,A)
【文献】特開2008-050410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0115051(US,A1)
【文献】特許第6490292(JP,B2)
【文献】特許第6444245(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
C02F
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ又は複数のアルカリ源、
一つ又は複数の界面活性剤、および
約1重量%~約15重量%のマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制洗剤組成物
であって、
前記マレイン酸テトラポリマーは、重合モノマーとして、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む、スケール抑制洗剤組成物。
【請求項2】
前記一つ又は複数のアルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
一つ又は複数の水質調整剤をさらに含み、前記一つ又は複数の水質調整剤が、ホスフェート、ホスホネート、アミノカルボン酸、有機水質調整剤、無機水質調整剤、ポリカルボン酸、またはそれらの組み合わせである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
担体をさらに含み、前記担体が、水、アルコール、水溶性ジオール、またはそれらの組み合わせである、請求項1~
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーである、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
前記担体が、水であり、前記水が、約10重量%~約60重量%の量で存在する、請求項
4に記載の組成物。
【請求項8】
一つ又は複数の追加の機能性成分をさらに含み、前記追加の機能性成分が、充填剤、追加の界面活性剤、腐食抑制剤、追加の水質調整剤、硬化剤、漂白剤、消泡剤、再付着防止剤、安定剤、分散剤、酵素、増粘剤、香料、染料、またはそれらの組み合わせである、請求項1~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
約5重量%~約80重量%の一つ又は複数のアルカリ源、
約5重量%~約50重量%の非イオン性界面活性剤、および
約1重量%~約15重量%のマレイン酸テトラポリマーを含み、前記マレイン酸テトラポリマーが、
重合モノマーとして、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む、スケール抑制洗剤組成物。
【請求項10】
約0.001重量%~約5重量%の腐食抑制剤をさらに含み、前記腐食抑制剤が、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛などのアルミニウム塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、またはそれらの組み合わせである、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーである、請求項
9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
約0.01重量%~約8重量%の担体をさらに含み、前記担体が、水、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせである、請求項
9~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
約0.5重量%~約10重量%の充填剤をさらに含み、前記充填剤が、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C
1-C
10アルキレングリコール、もしくはそれらの組み合わせ、および/または約1重量%~約55重量%の一つ又は複数のポリカルボン酸ポリマーである、請求項
9~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、プレス成形された固体、キャスト成形された固体、押出成形された固体、または流動性固体である、請求項
9~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、液体濃縮物である、請求項
9~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記液体濃縮物が希釈されて、使用溶液を形成する、請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
表面上のスケール形成を防止する方法であって、
一つ又は複数のアルカリ源、一つ又は複数の水質調整剤、および
約1重量%~約15重量%のマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制組成物を提供すること
であって、前記マレイン酸テトラポリマーは、重合モノマーとして、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む、ことと、
前記スケール抑制組成物を、表面と接触させることと、を含む、方法。
【請求項18】
前記表面が、金属、プラスチック、および/またはガラスを含む、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面が、グリル、オーブン、食器、平皿、外科用器具、車両、床、天板、テーブル、またはそれらの組み合わせを含む硬質表面である、請求項
17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2019年8月6日に出願された米国仮出願第62/883,222号(その全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、硬水スケールの蓄積を制御するのに効果的な、具体的には炭酸カルシウムスケールの形成を防止および/または除去するのに効果的な、洗剤組成物に関する。具体的には、ポリマレイン酸テトラポリマーを用い、かつアルカリ金属カーボネートおよび/またはアルカリ金属水酸化物と組み合わされた、洗剤組成物が提供される。洗剤組成物を用いる方法、およびスケールの蓄積を防止する方法が、アルカリ性ウェア洗浄および他の用途における使用のために提供される。
【背景技術】
【0003】
スケールは、沈殿して付着物を形成する水の無機鉱物質構成成分からなる。スケールは、硬質不溶性結晶性固体の微細なスケールとして沈殿して、システムおよび機器の表面(例えば、ガラス、プラスチック、および/または金属の表面)に損害を与える可能性があるため、洗剤組成物および洗剤と併用される任意の他の組成物(例えば、すすぎ助剤、抗菌剤など)の汚れ除去効果を抑制する。アルカリ性洗剤は、工業用ウェア洗浄および他の設定で一般的に使用されている。硬水の存在下では、ガラス、プラスチック、および金属などの硬質表面上に炭酸カルシウムスケールが付着するため、効果的な清浄性能は困難である。
【0004】
炭酸カルシウムのスケール化に対処するために、多くの既存の洗剤は、高分子の閾値剤、キレート剤、および/または水質調整剤を利用する。しかしながら、これらの組成物の多くは、一つ又は複数のリン系化合物を使用する。リンは、より安全かつより持続可能な洗剤組成物の観点から、ますます好ましくない。これは、主にリン含有化合物の代わりに使用される代替的な錯化剤、ビルダー、閾値剤、腐食抑制剤などを含有する組成物の開発につながっている。しかしながら、これらの組成物の多くの材料は高価であり、かつ/または効果的なスケール抑制を確実にするために比較的大量に存在しなければならない。さらに、多くは、従来のスケール抑制剤ほど効果的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
結果として、高アルカリ性条件での炭酸カルシウムスケールの形成を効果的に防止および/または除去する環境的に持続可能な洗剤組成物を開発する必要性が存在する。
【0006】
低濃度のスケール抑制剤でも効果的に機能するスケール抑制洗剤組成物に対するさらなる必要性が存在する。
【0007】
最後に、費用効果の高いスケール抑制洗剤組成物を開発する必要性が存在する。
【0008】
本開示の他の必要性、目的、利点、および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本開示は、一つ又は複数のアルカリ源、一つ又は複数の界面活性剤、およびマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制洗剤組成物に関する。この実施形態によれば、一つ又は複数のアルカリ源は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。この実施形態によれば、マレイン酸テトラポリマーは、例えば、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含み得る。この実施形態と一致して、界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、両性、双性イオン性、および/またはカチオン性界面活性剤を含み得る。非イオン性界面活性剤が含まれる場合、非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含み得る。
【0010】
一態様では、組成物は、一つ又は複数の水質調整剤をさらに含み得、一つ又は複数の水質調整剤は、ホスフェート、ホスホネート、アミノカルボン酸、有機水質調整剤、無機水質調整剤、ポリカルボン酸、またはそれらの組み合わせである。
【0011】
一実施形態では、組成物は、担体をさらに含み得、担体は、水、アルコール、水溶性ジオール、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。担体が水である一実施形態では、水は、約10重量%~約60重量%の量で存在し得る。
【0012】
一態様では、組成物は、一つ又は複数の追加の機能性成分をさらに含み得る。追加の機能性成分は、充填剤、追加の界面活性剤、腐食抑制剤、追加の水質調整剤、硬化剤、漂白剤、消泡剤、再付着防止剤、安定剤、分散剤、酵素、増粘剤、香料、染料、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0013】
さらなる態様では、本開示は、約5重量%~約80重量%の一つ又は複数のアルカリ源、約5重量%~約50重量%の非イオン性界面活性剤、および約1重量%~約15重量%のマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制洗剤組成物を対象とし、マレイン酸テトラポリマーは、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む。
【0014】
一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含み得る。
【0015】
一態様では、組成物は、約0.001重量%~約5重量%の腐食抑制剤をさらに含み得、腐食抑制剤は、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛などのアルミニウム塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、またはそれらの組み合わせである。
【0016】
一態様では、組成物は、約0.01重量%~約8重量%の担体をさらに含み得る。一実施形態では、担体は、水、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0017】
一態様では、組成物は、約0.5重量%~約10重量%の充填剤をさらに含み得る。一実施形態では、充填剤は、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C1-C10アルキレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。
【0018】
一態様では、組成物は、約1重量%~約55重量%の一つ又は複数のポリカルボン酸ポリマーをさらに含み得る。
【0019】
一実施形態では、組成物は、プレス成形された固体、キャスト成形された固体、押出成形された固体、または流動性固体であり得る。さらなる実施形態では、組成物は、液体濃縮物であり得る。一実施形態では、組成物は、液体濃縮物として提供され、液体濃縮物は希釈されて、使用溶液を形成し得る。
【0020】
一態様では、本開示は、表面上のスケール形成を防止する方法に関し、この方法は、一つ又は複数のアルカリ源、一つ又は複数の水質調整剤、およびマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制組成物を提供することと、その後、スケール抑制組成物を表面と接触させることと、を含む。
【0021】
一態様では、表面は、金属、プラスチック、および/またはガラスを含む。さらなる態様では、表面は、グリル、オーブン、食器、平皿、外科用器具、車両、床、天板、テーブル、またはそれらの組み合わせを含む硬質表面である。
【0022】
複数の実施形態が開示されているが、さらに他の実施形態が、例示的な実施形態を示し、説明する、以下の発明を実施するための形態から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面および発明を実施するための形態は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】高レベルのアルカリ性を含有し、テトラポリマーを含有せず、かつ炭酸カルシウムスケール抑制剤を含有しない対照製剤で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図2】テトラポリマーを含有せず、かつ従来の炭酸カルシウムスケール抑制剤(例えば、Acusol 448)を含有する固形洗剤配合物である固形洗剤1で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図3】約8重量%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤2で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図4】約4重量%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤3で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図5】約2重量%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤4で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図6】約1重量%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤5で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図7】テトラポリマーを含有せず、かつ12重量%の従来の炭酸カルシウムスケール抑制剤(例えば、Belclene 200などのポリマレイン酸ホモポリマー)を含有する固形洗剤配合物である固形洗剤6で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図8】テトラポリマーを含有せず、かつ従来の炭酸カルシウムスケール抑制剤(例えば、Acumer 1000)を含有する液体洗剤配合物である液体洗剤1で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図9】約1.6重量%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による液体洗剤配合物である液体洗剤2で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図10】約8%のマレイン酸系テトラポリマーを含有し、かつ他の水質調節剤/ポリマーを含有しない本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤7で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図11】約8%のマレイン酸系テトラポリマーを含有し、かつ他の水質調節剤/ポリマーを含有しない本開示による液体洗剤配合物である液体洗剤3で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図12】約4%のマレイン酸系テトラポリマーを含有し、かつ他の水質調節剤/ポリマーを含有しない本開示による液体洗剤配合物である液体洗剤4で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図13】約1%のマレイン酸系テトラポリマーを含有し、かつ他の水質調節剤/ポリマーを含有しない本開示による液体洗剤配合物である液体洗剤5で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図14】約4%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤8で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図15】約6.4%のマレイン酸系テトラポリマーを含有する本開示による固形洗剤配合物である固形洗剤8で清浄されたガラス製およびプラスチック製カップを示す。
【
図16】実施例1~2で評価した固形洗剤組成物と液体洗剤組成物のライトボックススコアを比較したグラフである。
【
図17】100サイクル試験に使用したRaburnラックの図であり、6つの清浄なガラス製タンブラー(「G」で示される)をRaburnラック内に対角線上に配置し、1つのNewport 10oz.プラスチック製タンブラー(「P」で示される)をRaburnラック内に非対角線上に配置し、ラックをウェア洗浄機の内部に配置した。
【0024】
本発明の様々な実施形態は、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、いくつかの図全体を通して同様の部分を表す。様々な実施形態への参照は、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に表される図は、本発明による様々な実施形態を限定するものではなく、本発明の例示的な例証のために提示される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書に記載の組成物は、アルカリ性洗剤組成物の一部としてマレイン酸系テトラポリマーを用いる洗剤組成物に関する。洗剤組成物は、従来のアルカリ金属カーボネートおよび/またはアルカリ金属水酸化物洗剤を超える多くの利点を有する。例えば、洗剤組成物は、アルカリ性条件で効果的な硬水スケールの蓄積防止を提供し、低レベルのスケール抑制ポリマーを使用する。
【0026】
本明細書に記載の実施形態は、特定のアルカリ性洗剤組成物に限定されず、これは異なり得、当業者によって理解される。本明細書に使用されるすべての専門用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためであり、いかなる様式または範囲においても限定的であることを意図していないことをさらに理解されたい。例えば、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が別段明確に示さない限り、複数の指示対象を含み得る。さらに、すべての単位、接頭辞、および記号は、そのSI認証形態で表示され得る。
【0027】
本明細書内に記載される数値範囲は、範囲を定義する数字を含んでおり、定義される範囲内の各整数を含む。例えば、「約1ppm~約10ppm」と記載される範囲は、1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、6ppm、7ppm、8ppm、9ppm、および10ppmを含む。
【0028】
明確にするために、ある特定の用語を最初に定義する。別段定義されない限り、本明細書に使用されるすべての技術用語および科学用語は、当該技術分野で一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似しているか、それらを修正したか、またはそれらと同等である多くの方法および材料を、過度な実験を行うことなく、本明細書に記載の実施形態の実践に使用することができ、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。本明細書に記載の実施形態の説明および特許請求において、以下の専門用語が以下に示される定義に従って使用される。
【0029】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、実際に濃縮物または使用溶液を作製するために使用される典型的な測定および液体取り扱い手順によって;これらの手順における不慮の誤りによって;組成物の作製または方法の履行のために使用される成分の製造、供給源、もしくは純度の差などによって生じ得る、数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期混合物から得られる組成物に対する異なる平衡条件によって異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されているか否かにかかわらず、特許請求の範囲は、その量の同等物を含む。
【0030】
「再付着防止剤」は、清浄されている対象物上に再付着する代わりに水中に懸濁されたままであることを助ける化合物を指す。再付着防止剤は、本明細書に記載の洗剤組成物において、除去された汚れが清浄されている表面上に再付着することを低減することを補助するのに有用である。
【0031】
本明細書で使用される場合、「清浄する」という用語は、任意の汚れ除去、漂白、微生物集団の減少、もしくはそれらの組み合わせを実施するか、または助けることを指す。
【0032】
本明細書で使用される場合、「消泡剤(defoamer)」または「消泡剤(defoaming agent)」という用語は、泡の安定性を低下させることができる組成物を指す。消泡剤の例には、Pluronic N-3の名称で入手可能なものなどの(ポリ)エチレンオキシド/(ポリ)プロピレンブロックコポリマー;ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、およびAbil B9952の名称で入手可能なものなどの官能化ポリジメチルシロキサン中に分散されたシリカなどのシリコーン化合物;脂肪アミド、炭化水素ワックス、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、エトキシレート、鉱物油、ポリエチレングリコールエステル、およびリン酸モノステアリルなどのアルキルリン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。消泡剤の考察は、例えば、米国特許第3,048,548号および同第3,334,147号(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に見出され得る。
【0033】
本明細書で使用される場合、「微生物(microorganism)」という用語は、任意の非細胞生物または単細胞(群体を含む)生物を指す。微生物は、すべての原核生物を含む。微生物は、細菌(シアノバクテリアを含む)、胞子、地衣類、真菌類、原生動物、ビリノ、ウイロイド、ウイルス、ファージ、およびいくつかの藻類を含む。本明細書で使用される場合、「微生物(microbe)」という用語は、微生物(microorganism)と同義である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「無リン」または「実質的に無リン」という用語は、リンもしくはリン含有化合物を含有しないか、またはリンもしくはリン含有化合物が添加されていない組成物、混合物、または成分を指す。リンまたはリン含有化合物が、無リン組成物、混合物、または成分の汚染によって存在する場合、リンの量は、0.5重量%未満でなければならない。好ましくは、リンの量は、0.1重量%未満であり、より好ましくは、リンの量は、0.01重量%未満であり、最も好ましくは、リンの量は、0.00重量%未満である。
【0035】
「実質的に同様の清浄性能」という用語は、概して、ほぼ同程度の(もしくは少なくとも有意により少ない程度ではない)清浄度の、もしくはほぼ同じ(もしくは少なくとも有意により少なくはない)労力を要する、またはその両方である、代替的な清浄製品または代替的な清浄システムによる達成を指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ウェア」という用語は、食事および調理用具、食器類などのアイテム、ならびにシャワー、シンク、トイレ、浴槽、天板、窓、鏡、運搬用車両、および床などの他の硬質表面を指す。本明細書で使用される場合、「ウェア洗浄」という用語は、ウェアの洗浄、清浄、またはすすぎを指す。ウェアは、プラスチック製のアイテムも指す。清浄され得るプラスチックの種類には、ポリカーボネートポリマー(PC)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)、およびポリスルホンポリマー(PS)を含むものが含まれるが、これらに限定されない。洗剤組成物を使用して清浄され得る別の例示的なプラスチックには、ポリエチレンテレフタレート(PET)が含まれる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「重量パーセント(weight percent)」、「重量%(wt.%)」、「重量パーセント(percent by weight)」、「重量%(% by weight)」という用語、およびそれらの変形は、その物質の重量を組成物の総重量で除して100を乗じた、物質の濃度を指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」、および同様のものは、「重量パーセント」、「重量%」などと同義であることが意図されることが理解される。
【0038】
本明細書に記載の方法および洗剤組成物は、例示的な実施形態に列挙される構成成分および成分、ならびに本明細書に記載の他の成分を含み得るか、それらから本質的になり得るか、またはそれらからなり得る。本明細書で使用される場合、「から本質的になる」は、方法および組成物が、追加のステップ、構成成分、または成分を含み得るが、ただしその追加のステップ、構成成分、または成分が、特許請求される方法および組成物の基本的および新規の特徴を物質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0039】
組成物
一実施形態によれば、洗剤組成物は、マレイン酸系テトラポリマーを、一つ又は複数のアルカリ源、水質調整剤、腐食抑制剤、非イオン性界面活性剤、ポリカルボン酸、および追加の成分と一緒に組み込んで、ガラスおよびプラスチック表面上への炭酸カルシウムの付着の有意に改善された抑制を提供する。
【0040】
好適な配合物のさらなる説明を、以下の表に示す。
【表1】
【表2】
【0041】
マレイン酸系テトラポリマー
一実施形態によれば、洗剤組成物は、リンゴ酸系テトラポリマーを含む。ポリマレイン酸は、効果的な炭酸カルシウムスケール抑制剤であり得る。具体的には、ポリマレイン酸系テトラポリマーは、優れたスケール抑制を提供することができる。一態様では、洗剤組成物は、ポリマレイン酸コポリマーを含み、コポリマーは、モノカルボン酸、末端ヒドロキシル基、および非イオン性官能基を含む。
【0042】
ポリマーは、適用において、結晶表面上へのポリマーの吸着を助け得る、ある量の非官能化基を含み得る。ポリマーは、好ましくは、モノカルボン酸、非イオン性官能基、および末端ヒドロキシル基を、所望の処理官能基を達成するための割合で含み得る。例えば、そのようなコポリマーは、少なくとも約10%(Mw)のポリマレイン酸、および少なくとも約10%(Mw)のその場で形成されたコモノマー(少なくとも10%(Mw)の脱炭酸化マレイン酸を含む)を含み得る。いくつかの事例では、ポリマーは、増強されたコポリマーにおいて、有意に高い割合の脱炭酸化モノマー反復単位を有し得る。いくつかの事例では、組み合わされたコポリマーの分子量は、約300~約3000ダルトンである。
【0043】
好ましい実施形態では、ポリマーは、モルベースで、モノカルボン酸、末端ヒドロキシル基、および非イオン性官能基を含み得、その結果、ポリマーは、少なくとも50%のマレイン酸、および最大約50%のフリーラジカル重合コモノマーを含む。一実施形態では、マレイン酸は、少なくとも5%の脱炭酸化マレイン酸反復単位を含む。さらなる実施形態では、非イオン性官能基および末端ヒドロキシル基は、水性重合プロセス中に形成される。
【0044】
さらにさらなる実施形態では、ポリマーは、モルベースで、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含有し得る。
【0045】
本明細書に開示される原理に従って調製されるポリマー、または本明細書に開示される属性を特徴とするポリマーは、鉱物質スケーリングを防止または修復するための処理添加剤としてシステム(例えば、水性システム)に有益に適用され得る。用途において、ポリマーは、他の機能の中でも、晶質または結晶格子構造上に吸着し得、その結果、例えば、望ましくない無機化合物の晶癖を改変し得る。
【0046】
適切なテトラポリマー、およびそれを作製する方法のさらなる考察は、US2018/0215638およびUS2016/0115051(これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に見出される。
【0047】
好ましい実施形態では、マレイン酸系テトラポリマーは、Radical Polymersから市販されているInitia(登録商標)585である。
【0048】
一実施形態では、マレイン酸系テトラポリマーは、約1重量%超の量で存在する。いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、約0.0001重量%~約30重量%、好ましくは約0.001重量%~約20重量%、より好ましくは約1重量%~約15重量%の量のマレイン酸系テトラポリマーを含む。
【0049】
アルカリ源
一実施形態によれば、洗剤組成物は、一つ又は複数のアルカリ源を含む。例示的なアルカリ源には、アルカリ金属カーボネートおよび/またはアルカリ金属水酸化物が含まれる。好ましい実施形態では、組成物は、2つのアルカリ源を含む。さらなる実施形態では、2つのアルカリ源は、水酸化ナトリウム(50%)および苛性ビーズを含む。
【0050】
洗剤の配合物に使用されるアルカリ金属カーボネートは、多くの場合、灰系洗剤と称され、最も多くの場合、炭酸ナトリウムを用いる。追加のアルカリ金属カーボネートには、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムが含まれる。一態様では、アルカリ金属カーボネートには、メタシリケート、シリケート、バイカーボネート、およびセスキカーボネートが含まれることがさらに理解される。本明細書で使用される場合、任意の「灰系」または「アルカリ金属カーボネート」には、すべてのアルカリ金属カーボネート、メタシリケート、シリケート、バイカーボネート、および/またはセスキカーボネートが含まれることも理解されたい。
【0051】
洗剤の配合物に使用されるアルカリ金属水酸化物は、多くの場合、苛性洗剤と称される。好適なアルカリ金属水酸化物の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムが含まれる。例示的なアルカリ金属塩には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、およびそれらの混合物が含まれる。アルカリ金属水酸化物は、固体ビーズ、水溶液中に溶解、またはそれらの組み合わせを含む、当該技術分野で既知の任意の形態で組成物に添加され得る。アルカリ金属水酸化物は、約12~100のUSメッシュの範囲の粒子サイズの混合物を有する小球化された固体もしくはビーズの形態の固体として、または水溶液として、例えば、45重量%および50重量%の溶液として、市販されている。
【0052】
第1のアルカリ源に加えて、洗剤組成物は、第2のアルカリ源を含み得る。有用な第2のアルカリ源の例には、ケイ酸もしくはメタケイ酸ナトリウムまたはカリウムなどの金属シリケート;炭酸、重炭酸、もしくはセスキ炭酸ナトリウムまたはカリウムなどの金属カーボネート;ホウ酸ナトリウムまたはカリウムなどの金属ボレート;ならびにエタノールアミンおよびアミンが含まれるが、これらに限定されない。そのようなアルカリ性薬剤は、水性または粉末形態のいずれかで一般に入手可能であり、そのいずれも本発明の洗剤組成物の配合に有用である。
【0053】
有効量の一つ又は複数のアルカリ源が、洗剤組成物中に提供される。有効量は、本明細書では、約8~約13、より好ましくは約9~約12のpHを有する使用組成物を提供する量を指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1重量%~約90重量%の第1のアルカリ源、好ましくは約5重量%~約40重量%、より好ましくは約10重量%~約20重量%の第1のアルカリ源を含む。一実施形態では、組成物は、約0重量%~約90重量%、好ましくは約20重量%~約70重量%、より好ましくは約55重量%~約65重量%の量で存在する第2のアルカリ源を含む。
【0055】
界面活性剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の洗剤組成物は、一つ又は複数の界面活性剤を含む。使用に好適な界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、および/または双性イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、例えば、約10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%、60重量%、70重量%、80重量%の一つ又は複数の非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、および/または双性イオン性界面活性剤を含む、約0重量%~約90重量%の一つ又は複数の界面活性剤を含む。一実施形態では、洗剤組成物は、約0重量%~約10重量%、好ましくは約0.001重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約2重量%の量で存在する一つ又は複数の非イオン性界面活性剤を含む。
【0057】
非イオン性界面活性剤
使用に適した好適な非イオン性界面活性剤には、例えば、アルコキシル化界面活性剤が含まれる。好適なアルコキシル化界面活性剤は、EO/PO共重合体、封止されたEO/PO共重合体、アルコールアルコキシレート、封止されたアルコールアルコキシレート、これらの混合物などを含む。溶媒として使用するのに好適なアルコキシル化界面活性剤には、Pluronic(登録商標)および逆Pluronic(登録商標)界面活性剤などのEO/POブロックコポリマー、アルコールアルコキシレート、末端処理アルコールアルコキシレート、それらの混合物などが含まれる。
【0058】
有用な非イオン性界面活性剤は、概して、有機疎水基および有機親水基の存在により特徴付けられ、典型的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合物の、一般的な実施がエチレンオキシドまたはその多水和生成物(polyhydration product)、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキシド部分との縮合によって生成される。具体的には、反応性水素原子を有するヒドロキシル、カルボキシル、アミノ、またはアミド基を有する任意の疎水性化合物を、エチレンオキシド、もしくはその多水和添加剤、またはプロピレンオキシドなどのアルコキシレンとのその混合物と縮合させて、非イオン表面活性剤を形成することができる。任意の特定の疎水性化合物と縮合する親水性ポリオキシアルキレン部分の長さは、親水性特性と疎水性特性との間の所望の程度のバランスを有する水分散性または水溶性化合物を生成するように、容易に調節され得る。
【0059】
開始剤反応性水素化合物としての、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、およびエチレンジアミン系のブロックポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンポリマー化合物は、好適な非イオン性界面活性剤である。
【0060】
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーのいくつかの例は、下記の式を有するものを含み:
【化1】
式中、EOは、エチレンオキシド基を表し、POは、プロピレンオキシド基を表し、xおよびyは、全体的なブロックコポリマー組成物中の各アルキレンオキシドモノマーの平均分子比を反映する。いくつかの実施形態では、xは、約10~約130の範囲にあり、yは、約15~約70の範囲にあり、x+yは、約25~約200の範囲にある。分子中の各xおよびyは、異なり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーの全ポリオキシエチレン構成成分は、ブロックコポリマーの少なくとも約20モル%の範囲にあり得、いくつかの実施形態では、ブロックコポリマーの少なくとも約30モル%の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、材料は、約400超、いくつかの実施形態では、約500超の分子量を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、材料は、約500~約7000以上の範囲、または約950~約4000以上の範囲、または約1000~約3100以上の範囲、または約2100~約6700以上の範囲の分子量を有し得る。
【0061】
上に提供される例示的なポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー構造は、3~8つのブロックを有するが、非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、3~8つ超または3~8つ未満のブロックを含み得ることが理解されるべきである。加えて、非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、ブチレンオキシド反復単位などの追加の反復単位を含み得る。さらに、好適な非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、ヘテロポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーとして特徴付けられ得る。開始剤の連続プロポキシル化およびエトキシ化から作製される高分子化合物の例は、BASF Corpによって製造され、Pluronic(登録商標)およびTetronic(登録商標)の商品名で市販されており、具体的には、Pluronic(登録商標)N-3、Pluronic(登録商標)25-R2などである。
【0062】
Pluronic(登録商標)化合物は、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドをプロピレングリコールの2つのヒドロキシル基に追加することによって形成された疎水性塩基と、を縮合させることによって形成された二官能性(2つの反応性水素の)化合物である。この分子のこの疎水性部分は、約1,000~約4,000の重さがある。次いで、エチレンオキシドは、この疎水性物質(hydrophobe)を親水基の間に挟み込むように添加され、最終的な分子の約10重量%~約80重量%を構成するように長さにより制御される。
【0063】
Tetronic(登録商標)化合物は、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのエチレンジアミンへの逐次付加から得られる四官能性ブロックコポリマーである。プロピレンオキシドハイドロタイプ(hydrotype)の分子量は約500~約7,000の範囲であり、親水性物質(hydrophile)のエチレンオキシドは分子の約10重量%~約80重量%を構成するように付加される。
【0064】
半極性非イオン性界面活性剤
半極性型の非イオン性界面活性剤は、本明細書に記載の洗剤組成物において有用であり得る別のクラスの非イオン性界面活性剤である。半極性非イオン性界面活性剤には、アミンオキシド、ホスフィンオキシド、スルホキシドおよびそれらのアルコキシル化誘導体が含まれる。
【0065】
アミンオキシドは、次の一般式に対応する三級アミンオキシドであり、
【化2】
式中、矢印は半極性結合の従来の表示であり、R
1、R
2、およびR
3は、脂肪族、芳香族、複素環式、脂環式、またはそれらの組み合わせであり得る。概して、対象となる洗剤のアミンオキシドに関して、R
1は、約8~約24個の炭素原子のアルキルラジカルであり、R
2およびR
3は、1~3個の炭素原子のアルキルもしくはヒドロキシアルキル、またはそれらの混合物であり、R
2およびR
3は、例えば、酸素もしくは窒素原子を通して互いに付着されて、環構造を形成することができ、R
4は、2~3個の炭素原子を含有するアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、nは、0~約20の範囲である。アミンオキシドは、対応するアミンと、過酸化水素などの酸化剤から生成することができる。
【0066】
有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性ホスフィンオキシドを含み、
【化3】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1は、10~約24個の炭素原子の鎖長の範囲のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキル部分であり、R
2およびR
3は、各々、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基から別々に選択されるアルキル部分である。
【0067】
有用なホスフィンオキシドの例には、ジメチルデシルホスフィンオキシド、ジメチルテトラデシルホスフィンオキシド、メチルエチルテトラデシルホスフィンオキシド、ジメチルヘキサデシルホスフィンオキシド、ジエチル-2-ヒドロキシオクチルデシルホスフィンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルホスフィンオキシド、およびビス(ヒドロキシメチル)テトラデシルホスフィンオキシドが含まれる。
【0068】
有用な水溶性アミンオキシド界面活性剤は、オクチル、デシル、ドデシル、イソドデシル、ココナッツ、またはタロウアルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドから選択され、その具体例は、オクチルジメチルアミンオキシド、ノニルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ウンデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、イソドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド、3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシドおよび3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0069】
本明細書の有用な半極性非イオン性界面活性剤はまた、以下の構造を有する水溶性スルホキシド化合物を含み、
【化4】
式中、矢印は、半極性結合の従来の表示であり、R
1は、約8~約28個の炭素原子、0~約5個のエーテル結合、および0~約2個のヒドロキシル置換基のアルキルまたはヒドロキシアルキル部分であり、R
2は、1~3個の炭素原子を有するアルキルおよびヒドロキシアルキル基からなるアルキル部分である。これらのスルホキシドの有用な例は、ドデシルメチルスルホキシド、3-ヒドロキシトリデシルメチルスルホキシド、3-メトキシトリデシルメチルスルホキシド、および3-ヒドロキシ-4-ドデコキシブチルメチルスルホキシドを含む。
【0070】
好適な半極性非イオン性界面活性剤には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、それらの組み合わせなどのようなジメチルアミンオキシドが含まれるが、これらに限定されない。アルコキシル化アミン、または最も具体的には、アルコキシル化/アミノ化/アルコキシル化アルコール界面活性剤もまた好適である。これらの非イオン性界面活性剤は、少なくとも部分的に、一般式:R20--(PO)SN--(EO)tH、R20--(PO)SN--(EO)tH(EO)tH、およびR20--N(EO)tHにより表され得、式中、R20がアルキル、アルケニルもしくは他の脂肪族基、または8~20個、好ましくは12~14個の炭素原子のアルキル-アリール基であり、EOがオキシエチレンであり、POがオキシプロピレンであり、sが1~20、好ましくは2~5であり、tは、1~10、好ましくは2~5であり、uは、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物の範囲における他の変形は、代替的な式:R20--(PO)V--N[(EO)wH][(EO)zH]により表され得、式中、R20が上で定義された通りであり、vが1~20(例えば、1、2、3、または4(好ましくは2))であり、wおよびzが独立して、1~10、好ましくは2~5である。これらの化合物は、商業的には、非イオン性界面活性剤としてHuntsman Chemicalsにより販売されている製品ラインにより代表される。
【0071】
アニオン性界面活性剤
本発明の組成物での使用に好適なアニオン性スルフェート界面活性剤には、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、直鎖および分岐一級および二級アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、脂肪オレイルグリセロールスルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルスルフェート、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)および-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンスルフェート、ならびにアルキル多糖類のスルフェート、例えばアルキルポリグルコシドのスルフェートなどが含まれる。また、エチレンオキシドおよびノニルフェノールのスルフェートまたは濃縮製品(通常1分子当たり1~6つのオキシエチレン基を有する)などの、アルキルスルフェート、アルキルポリ(エチレンオキシ)エーテルスルフェート、および芳香族ポリ(エチレンオキシ)スルフェートも含まれる。
【0072】
本組成物での使用に好適なアニオン性スルホネート界面活性剤にはまた、アルキルスルホネート、直鎖および分岐鎖の一級および二級アルキルスルホネート、ならびに置換基を有するかまたは有しない芳香族スルホネートが含まれる。
【0073】
本発明において使用するのに好適なアニオン性カルボキシレート界面活性剤には、アルカン酸(およびアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、コハク酸アルキル)、エーテルカルボン酸などのカルボン酸(および塩)、ならびに同様のものが含まれる。そのようなカルボキシレートには、アルキルエトキシカルボキシレート、アルキルアリールエトキシカルボキシレート、アルキルポリエトキシポリカルボキシレート界面活性剤、および石鹸(例えば、アルキルカルボキシル)が含まれる。本組成物において有用な二級カルボキシレートには、二級炭素に接続されたカルボキシル単位を含有するものが含まれる。二級炭素は、例えば、p-オクチル安息香酸におけるように、またはアルキル置換シクロヘキシルカルボキシレートにおけるように、環構造にあってもよい。二級カルボキシレート界面活性剤は、典型的には、エーテル結合、エステル結合、およびヒドロキシル基を含有しない。さらに、これらは、通常、頭部基(両親媒性部分)内に窒素原子を欠く。好適な二級石鹸界面活性剤は、通常、11~13個の総炭素原子を含有するが、より多くの炭素原子(例えば、16個まで)が存在し得る。好適なカルボキシレートには、アシルグルタメート、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウレート(例えば、N-アシルタウレート、およびメチルタウリド(methyl tauride)の脂肪酸アミド)などのアシルアミノ酸(および塩)もまた含まれる。
【0074】
好適なアニオン性界面活性剤には、以下の式のアルキルまたはアルキルアリールエトキシカルボキシレートが含まれ、
R-O-(CH
2CH
2O)
n(CH
2)
m-CO
2X(3)
式中、Rは、C
8~C
22アルキル基であるか、または
【化5】
R
1は、C
4~C
16アルキル基であり、nは、1~20の整数であり、mは、1~3の整数であり、Xは、水素、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの対イオン、またはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、もしくはトリエタノールアミンなどのアミン塩である。いくつかの実施形態ではて、nは4~10の整数であり、mは1である。いくつかの実施形態では、Rは、C
8~C
16アルキル基である。いくつかの実施形態では、Rは、C
12~C
14アルキル基であり、nは、4であり、mは、1である。
【0075】
他の実施形態では、Rは、
【化6】
であり、R
1は、C
6~C
12アルキル基である。さらにまた他の実施形態では、R
1は、C
9アルキル基であり、nは、10であり、mは、1である。
【0076】
そのようなアルキルおよびアルキルアリールエトキシカルボキシレートは市販されている。これらのエトキシカルボキシレートは、通常、酸の形態として入手可能であり、それらは、アニオン性または塩の形態に容易に変換され得る。市販のカルボキシレートには、Neodox 23-4、C12-13アルキルポリエトキシ(4)カルボン酸(Shell Chemical)、およびEmcol CNP-110、C9アルキルアリールポリエトキシ(10)カルボン酸(Witco Chemical)が含まれる。カルボキシレート、例えば製品Sandopan(登録商標)DTC、C13アルキルポリエトキシ(7)カルボン酸もまた、Clariantから入手可能である。
【0077】
両性界面活性剤
両性または両性電解質界面活性剤は、塩基性および酸性親水基の両方ならびに有機疎水基を含有する。これらのイオン性実体は、他の型の界面活性剤について本明細書に記載されるアニオン性またはカチオン性基のいずれかであり得る。塩基性窒素および酸性カルボキシレート基は、塩基性および酸性親水基として採用される典型的な官能基である。少数の界面活性剤において、スルホネート、サルフェート、ホスホネート、またはホスフェートは、負電荷をもたらす。
【0078】
両性界面活性剤は、脂肪族二級および三級アミンの誘導体として広く説明することができ、脂肪族ラジカルは、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは、約8~18個の炭素原子を含有し、1つが、アニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスファト、またはホスホノを含有する。第1のクラスには、アシル/ジアルキルエチレンジアミン誘導体(例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリン誘導体)およびそれらの塩が含まれる。第2のクラスには、N-アルキルアミノ酸およびそれらの塩が含まれる。一部の両性界面活性剤は、両方のクラスに当てはまると想像され得る。
【0079】
両性界面活性剤は、当業者に既知の方法によって合成され得る。例えば、2-アルキルヒドロキシエチルイミダゾリンは、長鎖カルボン酸(または誘導体)のジアルキルエチレンジアミンとの縮合および閉環によって合成される。商業的な両性界面活性剤は、その後の加水分解およびアルキル化によるイミダゾリン環の開環によって、例えば、クロロ酢酸または酢酸エチルを用いて誘導体化される。アルキル化の間に、1つまたは2つのカルボキシ-アルキル基が反応して、三級アミンおよびエーテル結合を形成し、異なるアルキル化剤が、異なる三級アミンを生じる。
【0080】
好適な長鎖イミダゾール誘導体は、概して、以下の一般式を有し得、
【化7】
式中、Rは、約8~18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオン、一般にナトリウムである。本組成物に用いることができる商業的に有名なイミダゾリン由来両性化合物には、例えば、ココアンホプロピオネート、ココアンホカルボキシ-プロピオネート、ココアンホグリシネート、ココアンホカルボキシ-グリシネート、ココアンホプロピル-スルホネート、およびココアンホカルボキシ-プロピオン酸が含まれる。アンホカルボン酸は、脂肪族イミダゾリンから生成することができ、ここで、アンホジカルボン酸のジカルボン酸官能基は、二酢酸および/またはジプロピオン酸である。
【0081】
本明細書で上記のカルボキシメチル化化合物(グリシネート)は、しばしばベタインと呼ばれる。ベタインは、双性イオン界面活性剤と題した以下の節において、本明細書で以下に説明される特別なクラスの両性化合物である。
【0082】
長鎖N-アルキルアミノ酸は、反応RNH2によって容易に調製され、Rは、C8~C18直鎖または分岐鎖アルキル、ハロゲン化カルボン酸を有する脂肪アミンである。アミノ酸の一級アミノ基のアルキル化は、二級および三級アミンをもたらす。アルキル置換基は、複数の反応性窒素中心を提供する2つ以上のアミノ基を有してもよい。最も商業的なN-アルキルアミン酸は、ベータ-アラニンまたはベータ-N(2-カルボキシエチル)アラニンのアルキル誘導体である。好適な市販のN-アルキルアミノ酸両性電解質の例には、アルキルベータ-アミノジプロピオネート、RN(C2H4COOM)2、およびRNHC2H4COOMが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、Rは、約8~約18個の炭素原子を含有する非環式疎水基であり得、Mは、アニオンの電荷を中和するためのカチオンである。
【0083】
好適な両性界面活性剤には、ココナッツ油またはココナッツ脂肪酸などのココナッツ製品から誘導されるものが含まれる。追加の好適なココナッツ由来界面活性剤には、それらの構造の一部として、エチレンジアミン部分、アルカノールアミド部分、アミノ酸部分、例えば、グリシン、またはそれらの組み合わせ、および約8~18(例えば12)個の炭素原子の脂肪族置換基が含まれる。そのような界面活性剤はまた、アルキルアンホジカルボン酸とみなされ得る。これらの両性界面活性剤は、C12-アルキル-C(O)-NH-CH2-CH2-N+(CH2-CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHまたはC12-アルキル-C(O)-N(H)-CH2-CH2-N+(CH2-CO2Na)2-CH2-CH2-OHとして表される化学構造を含み得る。ココアンホジプロピオン酸二ナトリウムは、1つの好適な両性界面活性剤であり、Rhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMiranol(商標)FBSの商品名で市販されている。化学名ココアンホジ酢酸二ナトリウムを有する別の好適なココナッツ由来の両性界面活性剤は、同じくRhodia Inc.,Cranbury,N.J.からMirataine(商標)JCHAの商品名で販売されている。両性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストには、米国特許第3,929,678号およびJ.Bertz Schwartz&J.W.PerryによるSURFACE ACTIVE AGENTS AND DETERGENTS,Vol.I-II(1958)(これらは両方とも、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0084】
カチオン性界面活性剤
表面活性物質は、分子のヒドロトロープ部分上の電荷が正である場合、カチオン性として分類される。ヒドロトロープがpHが中性近くまたはそれ以下まで下げられない限り電荷を帯びないが、その場合カチオン性(例えば、アルキルアミン)である界面活性剤も、この群に含まれる。理論的には、カチオン性界面活性剤は、「オニウム」構造RnX+Yを含む元素のいずれの組み合わせからも合成され得、リン(ホスホニウム)および硫黄(スルホニウム)などの窒素(アンモニウム)以外の化合物を含み得る。実際には、カチオン性界面活性剤分野は、恐らく、窒素性カチオン性物質への合成経路が、単純で容易であり、高収率の生成物を得るため、窒素含有化合物により支配され、これは、それらをより安価にすることができる。
【0085】
カチオン性界面活性剤は、好ましくは、少なくとも1つの長炭素鎖疎水基および少なくとも1つの正に荷電した窒素を含有する化合物を含み、より好ましくはこれを指す。長炭素鎖基は、単純な置換によって窒素原子に直接結合され得るか、またはより好ましくは、いわゆる中断アルキルアミンおよびアミドアミン中の架橋官能基によって間接的に結合され得る。そのような官能基は、分子を、より親水性および/もしくはより水分散性にし、共界面活性剤混合物によってより容易に水に溶解されるようにし、かつ/または水溶性にすることができる。水溶性の増大のために、さらなる一級、二級、もしくは三級アミノ基が導入され得るか、またはアミノ窒素が低分子量アルキル基を用いて四級化され得る。さらに、窒素は、多様な不飽和度の分岐鎖部分もしくは直鎖部分の一部、または飽和もしくは不飽和ヘテロ環式環の一部であり得る。それに加えて、カチオン性界面活性剤は、2個以上のカチオン性窒素原子を有する複雑な結合を含有してもよい。
【0086】
アミンオキシド、両性物質および双性イオンとして分類される界面活性剤化合物は、それ自体が一般的には中性近くから酸性pHの溶液中でカチオン性であり、界面活性剤の分類と重複する。ポリオキシエチル化カチオン性界面活性剤は、概して、アルカリ性溶液中で非イオン性界面活性剤のように作用し、酸性溶液中でカチオン性界面活性剤のように作用する。最も単純なカチオン性アミンであるアミン塩および四級アンモニウム化合物は、以下のように概略的に描かれ、
【化8】
式中、Rは、長アルキル鎖を表し、R’、R’’、およびR’’’は、長アルキル鎖、またはより小さいアルキル基もしくはアリール基、あるいは水素のいずれかであってもよく、Xは、アニオンを表す。大量の商業的カチオン性界面活性剤の大部分は、当業者に既知の4つの主要なクラスおよび追加的な部分群に細分化され得、「Surfactant Encyclopedia」,COSMETICS&TOILETRIES,104(2),86-96(1989)(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。第1のクラスは、アルキルアミンおよびそれらの塩を含む。第2のクラスは、アルキルイミダゾリンを含む。第3のクラスは、エトキシル化アミンを含む。第4のクラスは、例えば、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンゼン塩、複素環式アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩などの四級物を含む。カチオン性界面活性剤は、本組成物において有益であり得る多様な特性を有することが知られている。これらの望ましい特性には、中性pH以下の組成物における洗浄力、抗微生物性効能、他の薬剤と連携した増粘化またはゲル化などが含まれ得る。好適なカチオン性界面活性剤には、限定されるものではないが、式R
1mR
2xYLZを有するものが含まれ、各R
1は、最大3つのフェニル基またはヒドロキシ基で任意選択的に置換され、かつ以下の構造のうちの最大4つ:
【化9】
またはこれらの構造の異性体もしくは混合物によって任意選択的に中断された直鎖もしくは分岐鎖アルキルまたはアルケニル基を含有する有機基であり、これは、約8~22個の炭素原子を含有する。R
1基は、12個までのエトキシ基をさらに含むことができる。mは、1~3の数字である。好ましくは、分子中の1個以下のR
1基は、mが2である場合に16個以上の炭素原子を有するか、またはmが3である場合に12個超の炭素原子を有する。各R
2は、1~4個の炭素原子またはベンジル基を含有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、分子中の1個以下のR
2は、ベンジルである。xは、0~11、好ましくは0~6の数である。Y基上の任意の炭素原子位置の残りは、水素により満たされる。Yは、
【化10】
またはそれらの混合物を含むがこれらに限定されない群であり得る。好ましくは、Lは、1または2であり、かつY基は、Lが2である場合に、1~約22個の炭素原子と2個の遊離炭素単結合とを有するR
1およびR
2類似体(好ましくはアルキレンまたはアルケニレン)から選択される部分により分離されている。Zは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、メチル硫酸アニオン、水酸化物アニオン、または硝酸アニオンなどの水溶性アニオンであり、特に塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、硫酸アニオン、またはメチル硫酸アニオンが多くの中で、カチオン性構成成分の電気的中性を付与するために好ましい。
【0087】
双性イオン性界面活性剤
双性イオン性界面活性剤は、両性界面活性剤のサブセットと考えることができ、アニオン電荷を含み得る。双性イオン性界面活性剤は、二級および三級アミンの誘導体、複素環式二級および三級アミンの誘導体、または四級アンモニウム、四級ホスホニウム、または三級スルホニウム化合物の誘導体として広義に説明され得る。典型的には、双性イオン性界面活性剤は、正荷電四級アンモニウム、または場合によってはスルホニウムもしくはホスホニウムイオン、負荷電カルボキシル基、およびアルキル基を含む。双性イオンは、概して、分子の等電領域でほぼ等しい度合いまでイオン化し、正電荷-負電荷中心の間に強い「分子内塩」引力を発生し得るカチオン性基およびアニオン性基を含有する。そのような双性イオン性の合成界面活性剤の例には、脂肪族ラジカルが直鎖であっても分岐鎖であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つが8~18個の炭素原子を含有し、1つがアニオン性水溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、またはホスホネートを含有する、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、およびスルホニウム化合物の誘導体が含まれる。
【0088】
ベタインおよびスルタイン界面活性剤は、本明細書で使用するための例示的な双性イオン性界面活性剤である。これらの化合物の一般式は、
【化11】
であり、式中、R
1は、0~10個のエチレンオキシド部分および0~1つのグリセリル部分を有する8~18個の炭素原子のアルキル、アルケニル、またはヒドロキシアルキルラジカルを含有し、Yは、窒素、リン、および硫黄原子からなる群から選択され、R
2は、1~3個の炭素原子を含有するアルキルまたはモノヒドロキシアルキル基であり、xは、Yが硫黄原子であるとき1であり、Yが窒素またはリン原子であるとき2であり、R
3は、1~4個の炭素原子のアルキレンまたはヒドロキシアルキレンまたはヒドロキシアルキレンであり、Zは、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、およびホスフェート基からなる群から選択されるラジカルである。
【0089】
上に列挙した構造を有する双性イオン界面活性剤の例には、4-[N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-N-オクタデシルアンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、5-[S-3-ヒドロキシプロピル-S-ヘキサデシルスルホニオ]-3-ヒドロキシペンタン-1-スルフェート、3-[P,P-ジエチル-P-3,6,9-トリオキサテトラコサンホスホニオ]-2-ヒドロキシプロパン-1-ホスフェート、3-[N,N-ジプロピル-N-3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル-アンモニオ]-プロパン-1-ホスホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-プロパン-1-スルホネート、3-(N,N-ジメチル-N-ヘキサデシルアンモニオ)-2-ヒドロキシ-プロパン-1-スルホネート、4-[N,N-ジ(2(2-ヒドロキシエチル)-N(2-ヒドロキシドデシル)アンモニオ]-ブタン-1-カルボキシレート、3-[S-エチル-S-(3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピル)スルホニオ]-プロパン-1-ホスフェート、3-[P,P-ジメチル-P-ドデシルホスホニオ]-プロパン-1-ホスホネート、およびS[N,N-ジ(3-ヒドロキシプロピル)-N-ヘキサデシルアンモニオ]-2-ヒドロキシ-ペンタン-1-スルフェートが含まれる。当該洗剤界面活性剤に含有されるアルキル基は、直鎖または分岐でもよく、飽和または不飽和であり得る。
【0090】
本組成物における使用に好適な双性イオン性界面活性剤は、次の一般構造のベタインを含む。
【化12】
【0091】
これらの界面活性剤ベタインは、典型的に、極度のpHで強いカチオン性またはアニオン性特徴を呈すことも、またはそれらの等電範囲で水溶性の低減を示すこともない。「外部」四級アンモニウム塩とは異なり、ベタインは、アニオンと適合性である。好適なベタインの例には、ココナッツアシルアミドプロピルジメチルベタイン、ヘキサデシルジメチルベタイン、C12~14アシルアミドプロピルベタイン、C8~14アシルアミドヘキシルジエチルベタイン、4-C14~16アシルメチルアミドジエチルアンモニオ-1-カルボキシブタン、C16~18アシルアミドジメチルベタイン、C12~16アシルアミドペンタンジエチルベタイン、およびC12~16アシルメチルアミドジメチルベタインが含まれる。
【0092】
好適なスルタインには、式(R(R1)2N+R2SO3-(式中、Rが、C6-C18ヒドロカルビル基であり、各R1が、典型的には独立して、C1-C3アルキル、例えばメチルであり、R2が、C1-C6ヒドロカルビル基、例えばC1-C3アルキレンまたはヒドロキシアルキレン基である)を有する化合物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0093】
双性イオン性クラスおよびこれらの界面活性剤の種の典型的なリストは、米国特許第3,929,678号およびJ.Bertz Schwartz&J.W.PerryによるSURFACE ACTIVE AGENTS AND DETERGENTS,Vol.I-II(1958)に記載されている。
【0094】
ホスフィノコハク酸(PSO)誘導体
洗剤組成物は、ホスフィノコハク酸(PSO)誘導体を用い得る。PSO誘導体はまた、ホスホン酸系組成物として記載され得る。一態様では、PSO誘導体は、モノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸付加物と、ホスフィノコハク酸(PSA)付加物との組み合わせであり得る。
【0095】
ホスフィノコハク酸(PSA)付加物は、以下の式(I)を有し得る。
【化13】
【0096】
モノホスフィノコハク酸付加物は、以下の式(II)を有する。
【化14】
【0097】
ビスホスフィノコハク酸付加物は、以下の式(III)を有する。
【化15】
【0098】
オリゴマーのホスフィノコハク酸付加物の例示的な構造を、以下の式(IV)に示し、
【化16】
式中、Mは、H
+、Na
+、K
+、NH
4
+、またはそれらの混合物であり、mとnの合計は、2超である。
【0099】
追加のオリゴマーホスフィノコハク酸付加物構造は、例えば、米国特許第5,085,794号、同第5,023,000号、および同第5,018,577号(これらの各々は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。オリゴマー種はまた、ホスホネート基がコハク酸由来のアルキル基でエステル化されている、ホスフィノコハク酸のエステルも含有し得る。さらに、オリゴマーのホスフィノコハク酸付加物は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、およびアクリルアミドを含むがこれらに限定されない、約1重量%~約20重量%の選択された追加のモノマーを含み得る。
【0100】
式I、II、III、およびIVの付加物は、酸または塩の形態で使用され得る。さらに、ホスフィノ酸およびオリゴマー種に加えて、組成物はまた、付加物IIの酸化からのいくつかのホスフィノコハク酸誘導体(I)、ならびに式H2P02-、HP03
2-、およびPO4
3-の様々な無機リン副生成物などの不純物を含有し得る。
【0101】
一態様では、モノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸付加物ならびにホスフィノコハク酸(PSA)は、以下のモル比および重量比で提供され得る。
【表3】
【0102】
洗剤組成物および使用方法は、ホスフィノコハク酸誘導体を用い得、かつモノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸、ならびに任意選択でホスフィノコハク酸から選択される一つ又は複数のPSO誘導体を含み得、誘導体の少なくとも約10モル%は、約1:1~約20:1のコハク酸:リン比を含む。ホスフィノコハク酸誘導体は、モノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸、ならびに任意選択的にホスフィノコハク酸から選択される一つ又は複数のPSO誘導体を含み得、誘導体の少なくとも約10モル%は、約1:1~約15:1のコハク酸:リン比を含む。より具体的には、ホスフィノコハク酸誘導体は、モノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸、ならびに任意選択的にホスフィノコハク酸から選択される一つ又は複数の誘導体を含み得、誘導体の少なくとも約10モル%は、約1:1~約10:1のコハク酸:リン比を含む。
【0103】
好適なPSO誘導体を含む好適なモノ、ビス、およびオリゴマーのホスフィノコハク酸付加物の追加の説明は、米国特許第6,572,789号(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に提供されている。
【0104】
本発明の態様では、洗剤組成物は、ある特定の規制を満たすために、ニトリロ三酢酸(NTA)を含有しない。本発明の追加の態様では、洗剤組成物は、ある特定の規制を満たすために、実質的にリンを含有しない。PSO誘導体は、約0.5重量%未満のリンを有する実質的にリンを含有しない洗剤組成物を提供し得る。より好ましくは、洗剤組成物中のリンの量は、約0.1重量%未満であり得る。したがって、本明細書に記載の洗剤組成物の利点は、硬質スケールおよび/または蓄積を防止するために洗剤に一般的に使用されるトリポリホスフェートなどのホスフェートを使用することなく、基板表面上での硬質スケールの蓄積を制御(すなわち防止)することができる洗剤組成物を提供することである。
【0105】
本明細書に記載の洗剤組成物に利用される場合、PSO誘導体は、約0重量%~約15重量%、好ましくは約1重量%~約10重量%、より好ましくは約5重量%~約10重量%の量で存在し得る。
【0106】
水質調節剤、ビルダー、キレート剤、および/または封鎖剤
組成物は、縮合ホスフェート、アルカリ金属カーボネート、ホスホネート、アミノカルボン酸、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸ポリマー、および/またはポリアクリレートを含むが、これらに限定されない、キレート剤もしくは封鎖剤とも称される、一つ又は複数の水質調節剤または構築剤(例えば、ビルダー)を含み得る。一般に、キレート剤は、金属イオンが清浄組成物の他の洗剤性成分の作用に干渉することを防止するように、天然水中に一般的に見られる金属イオンを配位(すなわち、結合)することができる分子である。同様に、ビルダーおよび水質調整剤もまた、金属化合物の除去を助ける。例示的な水質調整剤には、再付着防止剤、キレート剤、封鎖剤、および抑制剤が含まれる。
【0107】
縮合ホスフェートの例には、オルトリン酸ナトリウムおよびカリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ならびにヘキサメタリン酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。縮合ホスフェートはまた、組成物中に存在する遊離水を水和水として固定することによって、組成物の固化を限定的に補助し得る。
【0108】
ホスホネートの例には、2-ホスフィノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTC)、1-ヒドロキシエタン-l、1-ジホスホン酸、CH2C(OH)[PO(OH)2]2;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、N[CH2 PO(OH)2]3;アミノトリ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(ATMP)、N[CH2 PO(ONa)2]3;2-ヒドロキシエチルイミノビス(メチレンホスホン酸)、HOCH2CH2 N[CH2PO(OH)2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、(HO)2POCH2 N[CH2 N[CH2 PO(OH)2]2]2;ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホネート)、ナトリウム塩(DTPMP)、C9 H(28-x)N3 NaxO15 P5(x=7);ヘキサメチレンジアミン(テトラメチレンホスホネート)、カリウム塩、C10H(28-x)N2Kx O12 P4(x=6);ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(ペンタメチレンホスホン酸)、(HO2)POCH2 N[(CH2)2N[CH2 PO(OH)2]2]2;およびリン酸、H3PO3が含まれるが、これらに限定されない。好ましいホスホネートは、PBTC、HEDP、ATMP、およびDTPMPである。ホスホネートが添加されるときに中和反応によって熱もしくはガスがほとんどまたは全く発生しないように、中和済みのホスホネートもしくはアルカリ性ホスホネート、または混合物に添加される前にホスホネートとアルカリ源とを組み合わせたものが好ましい。しかしながら、一実施形態では、組成物は、リンを含有しない。
【0109】
NTAをほとんどまたは全く含有しない有用なアミノカルボン酸材料には、N-ヒドロキシエチルアミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、N-ヒドロキシエチル-エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、エチレンジアミンコハク酸(EDDS)、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、イミノジコハク酸(IDS)、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノジコハク酸(HIDS)、およびカルボン酸置換基とともにアミノ基を有する他の類似の酸またはそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。しかしながら、一実施形態では、組成物は、アミノカルボキシレートを含有しない。
【0110】
好適な有機水質調整剤には、高分子および低分子の両方の水質調整剤が含まれ得る。有機低分子水質調整剤は、典型的には、有機カルボン化合物または有機リン酸水質調整剤である。高分子抑制剤は、一般的に、ポリアクリル酸化合物などのポリアニオン性組成物を含む。より最近では、再付着防止剤としてのカルボキシメチルセルロースナトリウムの使用が発見された。これは、Miralles et al.の米国特許第8,729,006号(これは、その全体が本明細書に組み込まれる)により広範に考察されている。
【0111】
低分子有機水質調整剤には、グルコン酸ナトリウム、グルコヘプトン酸ナトリウム、N-ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、ならびにそれらのそれぞれのアルカリ金属、アンモニウム、および置換アンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩(EDTA)、ニトリロ三酢酸三ナトリウム塩(NTA)、エタノールジグリシン二ナトリウム塩(EDG)、ジエタノールグリシンナトリウム塩(DEG)、および1,3-プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)、メチルグリシン-N-N-二酢酸三ナトリウム塩(MGDA)、およびイミノジコハク酸ナトリウム塩(IDS)が含まれるが、これらに限定されない。これらのすべては既知であり、市販されている。
【0112】
好適な無機水質調整剤には、トリポリリン酸ナトリウムおよび他のより高次の直鎖および環式ポリリン酸種が含まれるが、これらに限定されない。好適な縮合ホスフェートには、オルトリン酸ナトリウムおよびカリウム、ピロリン酸ナトリウムおよびカリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ならびにヘキサメタリン酸ナトリウムが含まれる。縮合ホスフェートはまた、固形洗剤組成物中に存在する遊離水を水和水として固定することによって、組成物の固化を限定的に補助し得る。
【0113】
一実施形態では、組成物は、リン、ホスフェート、および/またはホスホネートを実質的に含有しない場合がある。
【0114】
NTAをほとんどまたは全く含有しないアミノカルボキシレートに加えて、水質調整ポリマーは、リン不含ビルダーとして使用され得る。ポリカルボン酸ポリマーキレート剤は、リン不含キレート剤である。ポリカルボキシレートには、ポリアクリル酸ホモポリマー、ポリマレイン酸ホモポリマー、マレイン酸/オレフィンコポリマー、スルホン化コポリマーまたはターポリマー、アクリル/マレイン酸コポリマーまたはターポリマー、ポリメタクリル酸ホモポリマー、ポリメタクリル酸コポリマーまたはターポリマー、アクリル酸-メタクリル酸コポリマー、加水分解ポリアクリルアミド、加水分解ポリメタクリルアミド、加水分解ポリアミド-メタクリルアミドコポリマー、加水分解ポリアクリロニトリル、加水分解ポリメタクリロニトリル、加水分解アクリロニトリル-メタクリロニトリルコポリマー、およびそれらの組み合わせなどのペンダントカルボキシレート(--CO2-)基を有するキレート剤ポリマーが含まれる。キレート剤/封鎖剤のさらなる考察については、KIRK-OTHMER ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY(3 Ed.),vol.5 pp.339-66,vol.23,pp.319-20(この開示は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。これらの材料はまた、準化学量論的レベルで使用されて、結晶改質剤としても機能し得る。
【0115】
ポリカルボン酸ポリマーキレート剤は、ポリアクリル酸ホモポリマーおよびポリマレイン酸ホモポリマー、ならびに脂肪酸末端基によって修飾されたポリマーを含み得る。例示的なポリアクリル酸ホモポリマーには、約500~100,000g/mol、または約1,000~50,000g/mol、または約1,000~25,000g/molの分子量を有するものが含まれる。例示的な好適な市販のポリアクリル酸ポリマーには、Dow Chemicalから入手可能なAcusol 445N(アクリル酸の完全に中和されたホモポリマー)、Acusol 448、およびAcusol 944が含まれる。例示的な好適な市販のポリマレイン酸キレート剤/水質調整剤には、例えば、BWAから市販されているBelclene 200が含まれる。
【0116】
追加の実施形態では、アクリル酸ホモポリマーおよび/またはアクリレートモノマーを含むポリマーの混合物が用いられ得る。
【0117】
一実施形態では、洗剤組成物は、約0重量%~最大約80重量%の量で存在する一つ又は複数の水質調整剤、ビルダー、キレート剤、および/または封鎖剤を含む。一実施形態では、洗浄剤組成物は、低分子有機水質調整剤およびポリカルボン酸ポリマーキレート剤を含み、低分子有機水質調整剤は、約0重量%~約40重量%、好ましくは約0.5重量%~約25重量%、より好ましくは約5重量%~約15重量%の量で存在し、ポリカルボン酸ポリマーキレート剤は、約0重量%~約40重量%、好ましくは約1重量%~約25重量%、より好ましくは約5重量%~約15重量%の量で存在する。
【0118】
腐食抑制剤
本明細書に記載の洗浄剤組成物は、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、水酸化鉄、二酸化シリコーン(シリカ)、シュウ酸カルシウムなどを含む、炭酸カルシウム系スケールまたは他の種類の鉱物質スケールに対処するための一つ又は複数の腐食抑制剤を任意選択的に含み得る。好適な腐食抑制剤の例には、アルミニウムイオン源と亜鉛イオン源との組み合わせ、ならびにアルカリ金属シリケートまたはその水和物が含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
腐食抑制剤は、アルミニウムイオン源と亜鉛イオン源の組み合わせを指すことができる。固形洗剤組成物が使用溶液の形態で提供される場合、アルミニウムイオン源および亜鉛イオン源は、それぞれ、アルミニウムイオンおよび亜鉛イオンを提供する。腐食抑制剤の量は、アルミニウムイオン源および亜鉛イオン源の合計量に基づいて計算される。使用溶液中にアルミニウムイオンを提供するあらゆるものは、アルミニウムイオン源と称され得、使用溶液中に提供される場合に亜鉛イオンを提供するあらゆるものは、亜鉛イオン源と称され得る。必ずしも、アルミニウムイオン源および/または亜鉛イオン源が反応して、アルミニウムイオンおよび/または亜鉛イオンを形成するわけではない。アルミニウムイオンはアルミニウムイオン源とみなされ得、亜鉛イオンは亜鉛イオン源とみなされ得る。アルミニウムイオン源および亜鉛イオン源は、有機塩、無機塩、およびそれらの混合物として提供され得る。
【0120】
例示的なアルミニウムイオン源には、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭素酸アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、および硫酸アルミニウム亜鉛などのアルミニウム塩が含まれるが、これらに限定されない。例示的な亜鉛イオン源には、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、およびサリチル酸亜鉛などの亜鉛塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、約0重量%~約10重量%、好ましくは約0.001重量%~約5重量%、より好ましくは約0.05重量%~約0.5重量%の量で存在する一つ又は複数の腐食抑制剤を含有する。
【0122】
消泡剤
洗剤組成物は、消泡剤を含み得る。消泡剤は、低い泡プロファイルを維持し、かつ/または様々な水質条件下で、好ましくは脱イオン水もしくは軟水条件下で、および/または機械的作用の下で、泡プロファイルの溶解を引き起こす。さらにさらなる態様では、消泡剤は、界面活性剤、好ましくは非イオン性界面活性剤と適合性であり、カップリング/湿潤などの重要な性能、および改善された材料適合性を達成する。
【0123】
幅広い様々な好適な消泡剤のうちのいずれか、例えば、多種多様な非イオン性エチレンオキシド(EO)含有界面活性剤のうちのいずれか、具体的には本明細書に記載の非イオン性界面活性剤が使用され得る。多くの非イオン性エチレンオキシド誘導体界面活性剤は、水溶性であり、かつすすぎ助剤組成物の意図される使用温度未満の曇り点を有し、したがって、有用な消泡剤であり得る。消泡剤として使用され得るエチレンオキシド誘導体界面活性剤のいくつかの例には、Pluronic(登録商標)N-3などのポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、アルコールアルコキシレート、低分子量EO含有界面活性剤など、または本明細書に記載のそれらの誘導体が含まれる。
【0124】
代替的な態様では、消泡剤は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、および/または他の希土類金属塩を含む、金属塩である。好ましい態様では、消泡剤は、Fe3+、Al3+、およびLa3+などの高電荷密度を有するカチオンである。好ましい態様では、消泡剤は、硫酸アルミニウムである。他の態様では、消泡剤は、遷移金属化合物ではない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の洗剤組成物は、例えばシリコーン系製品を含む、食品グレードの品質である発泡防止剤または消泡剤を含み得る。
【0125】
一態様では、組成物は、所望の程度の消泡を提供するために、任意の好適な濃度で存在する一つ又は複数の消泡剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、約0.001重量%~約10重量%、または約0.1重量%~約5重量%の消泡剤の濃度を有する。さらに他の実施形態では、消泡剤は、約0.1重量%~約1重量%の濃度を有する。一実施形態では、組成物は、2つの消泡剤、具体的にはそのような金属塩および非イオン性界面活性剤を含み、金属塩は、約0重量%~約10重量%、好ましくは約0.001重量%~約5重量%、より好ましくは約0.05重量%~約0.5重量%の量で存在し、非イオン性界面活性剤は、約0重量%~約10重量%、好ましくは約0.001重量%~約5重量%、より好ましくは約0.1重量%~約2重量%の量で存在する。
【0126】
担体
組成物は、一つ又は複数の担体を含む。好ましい担体には、水および/または水溶性担体が含まれ得るが、これらに限定されない。好ましい水溶性担体には、アルコール、水溶性ジオール、またはそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。好ましいアルコールには、エタノール、n-プロパノール、およびイソプロパノールが含まれるが、これらに限定されない。好ましいジオールには、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、およびプロピレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。担体として水を含む一実施形態では、水は、脱イオン水または軟水である。
【0127】
一実施形態では、洗剤組成物は、水溶性ジオールおよび脱イオン水を含む一つ又は複数の担体を含み、ジオールは、約0重量%~約50重量%、好ましくは約0.01重量%~約8重量%、より好ましくは約0.1重量%~約2重量%の量で存在し、脱イオン水は、約0重量%~約90重量%、好ましくは約0重量%~約50重量%、より好ましくは約0.5重量%~約10重量%の量で存在する。
【0128】
充填剤
いくつかの実施形態では、洗剤組成物は、概して不活性であるが、界面活性剤システムと協働して組成物の全体的な能力を強化し得る、少量ではあるが有効量の一つ又は複数の充填剤を含み得る。好適な充填剤のいくつかの例には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、プロピレングリコールなどのC1-C10アルキレングリコール、およびそれらの組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0129】
一態様では、洗剤組成物は、約0重量%~約40重量%、好ましくは約0.5重量%~約10重量%、より好ましくは約1重量%~約5重量%の一つ又は複数の充填剤を含む。
【0130】
追加の機能性成分
洗剤組成物の構成成分は、様々な追加の機能性成分と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、PSO誘導体およびアルカリ源を含む洗剤組成物は、例えば、その中に配置された追加の機能性成分をほとんどまたは全く有しない実施形態では、洗剤組成物の総重量の大部分、またはさらには実質的にすべてを構成する。これらの実施形態では、洗剤組成物ついて上記に提供された構成成分の濃度範囲は、洗剤組成物中のそれらの同一の構成成分の範囲を表す。
【0131】
機能性成分は、洗剤組成物に所望の特性および機能性を提供する。本出願の目的において、「機能性成分」という用語は、水溶液などの使用および/または濃縮物中に分散または溶解される場合、特定の使用において有益な特性を提供する成分を含む。機能性成分のいくつかの例は、以下により詳細に考察されるが、考察される特定の材料は、単に例として与えられており、多種多様な他の機能性成分が使用され得る。例えば、以下に考察される機能性成分の多くは、清浄用途に使用される材料に関する。しかしながら、他の実施形態は、他の用途に使用するための機能性成分を含み得る。
【0132】
例示的な追加の機能性成分には、例えば、洗剤ビルダー、硬化剤、漂白剤、充填剤、消泡剤、再付着防止剤、安定剤、分散剤、酵素、ガラスおよび金属腐食抑制剤、香料および染料、増粘剤などのビルダーまたは水質改質剤が含まれる。好適な追加の機能性成分のさらなる説明は、米国特許第8,748,364号(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0133】
一実施形態では、組成物は、組成物の約0重量%~約90重量%、約20重量%~約50重量%、および/または約1重量%~約10重量%の量で存在する一つ又は複数の追加の機能性成分を含有し得る。
【0134】
組成物の形態
本明細書に記載の洗剤組成物は、固体、液体、粉末、ペースト、ゲルなどに配合され得る。
【0135】
洗剤組成物は、液体濃縮物を含む液体として提供され得る。濃縮物として提供される場合、組成物は希釈されて、使用組成物を形成し得る。概して、濃縮物は、水で希釈されて、対象物に接触して所望の清浄、すすぎなどを提供する使用溶液を提供することが意図される組成物を指す。洗浄される物品に接触する洗剤組成物は、本明細書に記載の方法に用いられる配合物によって濃縮物または使用組成物(あるいは使用溶液)と称され得る。
【0136】
使用溶液は、所望の洗剤特性を有する使用溶液を提供する希釈比で濃縮物を水で希釈することによって、濃縮物から調製され得る。濃縮物を希釈して使用組成物を形成するために使用される水は、希釈水または希釈剤と称され得、これは場所によって異なり得る。典型的な希釈係数は、約1~約10,000であるが、これは、水の硬度、除去される汚れの量などを含む要因に依存するであろう。一実施形態では、濃縮物は、約1:10~約1:10,000の濃縮物対水の比率で希釈される。具体的には、濃縮物は、約1:100~約1:5,000の濃縮物対水の比率で希釈される。より具体的には、濃縮物は、約1:250~約1:2,000の濃縮物対水の比率で希釈される。使用溶液において、洗浄剤組成物は、約10ppm~約10,000ppm、好ましくは約200ppm~約5000ppm、より好ましくは約500ppm~約2000ppm、および約750ppm~約1500ppm、ならびに最も好ましい実施形態では、約1000ppm存在する。
【0137】
他の実施形態では、希釈比は、1つの特定の構成成分、例えば、マレイン酸系テトラポリマーの所望の濃度に基づいて決定され得る。一実施形態では、濃縮物は、低いが効果的なレベルのポリマー、例えば、マレイン酸系テトラポリマーが、約1ppm~約100ppm、好ましくは約1ppm~約40ppm、より好ましくは約1ppm~約20ppm、最も好ましくは約1ppm~約10ppm存在する使用溶液をもたらす比率で希釈される。
【0138】
一実施形態では、液体として提供される場合、本開示の洗剤組成物は、例えば、以下の表2に従って調製され得る。
【表4】
【0139】
液体に加えて、本開示の洗剤は、固体として提供され得る。固形洗剤組成物は、ある特定の商業的利点を提供する。例えば、濃縮された固形洗剤組成物の使用は、コンパクトな固体形態の結果として、よりかさ高い液体製品と比較して輸送費を低減させる。ある特定の実施形態では、固体製品は、ブロックまたは複数のペレットなどの複数回使用固体の形態で提供され得、繰り返して使用して、複数回サイクルまたは所定の数の分配サイクル用の洗剤組成物の使用水溶液を生成することができる。ある特定の実施形態では、固形洗剤組成物は、約5グラム超、例えば、約5グラム~10キログラムなどの質量を有し得る。ある特定の実施形態では、複数回使用形態の固形洗剤組成物は、約1キログラム~約10キログラム超の質量を有する。
【0140】
本開示に従って生成される好適な固体組成物は、顆粒状およびペレット化された固体組成物、フレーク、粉末、顆粒、ペレット、錠剤、ロゼンジ、パック、ブリケット、ブリック、単位用量、流動性固体、ならびに/またはブロック組成物(プレス成形されたか、押出成形されたか、またはキャスト成形されたかにかかわらず)を含むがこれらに限定されない、様々な形態をとり得る。
【0141】
プレス成形された固体のプロセスでは、顆粒状固体または他の粒子固体などの流動性固体を加圧下で組み合わせて、固体組成物を形成する。プレス成形された固体のプロセスでは、組成物の流動性固体は、型枠(例えば、型または容器)内に配置される。方法は、流動性固体を型枠内に穏やかにプレス成形して、固体清浄組成物を生成することを含み得る。圧力は、ブロック機械または回転板プレスなどによって適用され得る。
【0142】
洗剤組成物は、任意選択的に硬化されて、固体組成物を生成し得る。本明細書で言及される場合、流動性固体を含む硬化されていない組成物は、硬化されていない組成物が安定した固体組成物へと固化するであろう流動性固体を構成する粒子間に、十分な表面接触を提供するように圧縮される。十分な量の互いに接触している粒子(例えば、顆粒)は、安定した固体組成物を作製するのに効果的な粒子同士の結合を提供する。硬化ステップの包含は、プレス成形された固体を、例えば、数時間または約1日間(またはそれ以上)の期間にわたって固化させることを含み得る。追加の態様では、方法は、米国特許第8,889,048号(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示される方法などの、流動性固体を型枠内または型内で振動させることを含み得る。
【0143】
プレス成形された固体の使用は、打錠機において高圧を必要とする従来の固体ブロックもしくは錠剤組成物、または有意な量のエネルギーを消費する組成物の溶融を必要とするキャスト成形、ならびに/または高価な機器および高度な技術知識を必要とする押出成形を上回る、数多くの利点を提供する。プレス成形された固体は、固体組成物を作製する必要性が存在する理由である、他の固体配合物のそのような様々な制限を克服する。さらに、プレス成形された固体組成物は、組成物が貯蔵され得るか、または取り扱われ得る条件下で、その形状を保持する。
【0144】
一実施形態では、本開示の洗剤組成物は、ペレットの形態で提供され得る。一態様では、ペレット化された材料は、尿素および酸の固体顆粒状または凝集複合体を適切なペレット化機器中で圧縮して、適切にサイズ決めされたペレット化材料をもたらすことによって形成され得る。固体ブロックおよびキャスト成形された固体ブロック材料は、事前硬化されたブロックまたは容器内で硬化する固体ブロックのいずれかを容器内に導入することによって作製され得る。好ましい容器には、使い捨てのプラスチック容器または水溶性フィルム容器が含まれる。組成物のための他の好適な包装には、可撓性バッグ、小包、収縮ラップ、およびポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムが含まれる。
【0145】
他の態様では、固体組成物は、本明細書に記載の材料を組み合わせるバッチまたは連続混合システムを使用して形成され得る。例示的な実施形態では、一軸または二軸スクリュー押出機を使用して、一つ又は複数の構成成分を高剪断で組み合わせ、混合して、均質な混合物を形成する。いくつかの実施形態では、加工温度は、構成成分の溶融温度以下である。加工された混合物は、形成、キャスト成形、または他の好適な手段によって混合器から分配され得、その際に清浄組成物が固体形態に硬化する。概して、これらの方法に従って加工された固体組成物は、成分のその質量全体にわたる分布に関して実質的に均質であり、かつ寸法的に安定性である。
【0146】
押出成形プロセスでは、組成物の構成成分は、最終混合システムに導入され、構成成分がその質量全体にわたって分配される実質的に均質な半固体混合物を構成成分が形成するまで、連続的に混合される。混合物は、次いで、混合システムからダイもしくは他の成形手段の中へ、またはそれを通して排出される。生成物は、次いで、包装される。例示的な実施形態では、形成された組成物は、固体形態に硬化し始める。
【0147】
キャスト成形プロセスでは、組成物の構成成分は、最終混合システムに導入され、構成成分がその質量全体にわたって分配される実質的に均質な液体混合物を構成成分が形成するまで、連続的に混合される。混合が完了すると、生成物は包装容器に移され、そこで固化が起こる。例示的な実施形態では、キャスト成形された組成物は、固体形態に硬化し始める。
【0148】
一実施形態では、固体として提供される場合、本開示の洗剤組成物は、例えば、以下の表3に従って調製され得る。
【表5】
【0149】
使用方法
本明細書に記載の洗剤組成物は、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ金属カーボネート洗剤に好適な任意の用途を含む、様々な用途および方法における使用に好適である。より具体的には、本明細書に記載の洗剤組成物は、アルカリ性洗剤の使用が望まれ、かつガラス、プラスチック、および/または金属表面上の炭酸カルシウムスケールの蓄積の形成を防止または除去することが有益である、任意の産業に使用され得る。加えて、組成物および方法は、複数の表面上での水の硬度の増大を制御するのに非常に適している。本明細書に記載の方法は、処理された基板表面上での中程度から重度の蓄積硬度を防止し、表面の美的外観を有益に改善する。ある特定の実施形態では、硬水スケールの蓄積防止を必要とする表面には、例えば、プラスチック、金属、ガラス表面、および/または任意の好適な硬質表面が含まれる。
【0150】
本明細書に記載の洗剤組成物を用いる使用方法は、施設用ウェア洗浄に特に好適である。ウェア洗浄用途の例示的な開示は、そこに引用されるすべての参考文献を含む、米国特許出願第8,758,520号および同第9,139,800号(これらは、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。方法は、任意の消費者向けまたは施設用の食器洗浄機において実行され得、例えば、すべての図および図面を含む、米国特許第8,092,613号(これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含む。食器洗浄機のいくつかの非限定的な例には、ドア型機械またはフード型機械、コンベヤ型機械、カウンター下機械、グラス洗浄機、フライト機械、鍋釜用機械、用具洗浄機、および消費者向け食器洗浄機が含まれる。食器洗浄機は、一槽式または多槽式洗浄機のいずれかであり得る。
【0151】
フード型食器洗浄機とも称されるドア型食器洗浄機は、汚れた食器をラック上に配置し、次いでラックを食器洗浄機内に移動する、商業用食器洗浄機を指す。ドア型食器洗浄機は、1つまたは2つのラックを一度に清浄する。そのような機械では、ラックは据え付けであり、洗浄およびすすぎアームが移動する。ドア型機械は、2セットのアームを含み、これは、洗浄アームとすすぎアームのセット、またはすすぎアームのセットである。
【0152】
ドア型機械は、高温機または低温機であり得る。高温機では、食器は、熱水によって消毒される。低温機では、食器は、化学的消毒剤によって消毒される。ドア型機械は、再循環機または廃棄充填機(dump and fill machine)のいずれかであり得る。再循環機では、洗剤溶液は、洗浄サイクル間で再利用または「再循環」される。適切な濃度が維持されるように、洗剤溶液の濃度は、洗浄サイクル間で調節される。廃棄充填機では、洗浄溶液は、洗浄サイクル間で再利用されない。次の洗浄サイクルの前に、新しい洗剤溶液が添加される。ドア型機械のいくつかの非限定的な例には、Ecolab Omega HT、Hobart AM-14、Ecolab ES-2000、Hobart LT-1、CMA EVA-200、American Dish Service L-3DWおよびHT-25、Autochlor A5、Champion D-HB、ならびにJackson Tempstarが含まれる。
【0153】
洗剤組成物は、硬水を含む様々な水源を使用するウェア洗浄用途において、硬水スケールの蓄積を防止するのに効果的である。加えて、洗剤組成物は、例えば、洗浄ステップ中に約150°F~約165°F、およびすすぎステップ中に約170°F~約185°Fを含む、工業用ウェア洗浄用途において典型的に使用される温度範囲での使用に好適である。
【0154】
加えて、洗剤組成物の使用方法はまた、処理された表面上に硬水残渣を残すバルク洗剤の使用に取って代わるCIPおよび/またはCOPプロセスにも好適である。使用方法は、工業規格が処理された表面の品質に焦点を当てる追加の用途、例えば、洗剤組成物によって提供される硬水スケールの蓄積防止において望ましい場合がある。そのような用途には、車両ケア、工業的ケア、病院ケア、および繊維品ケアが含まれるが、これらに限定されない。
【0155】
洗剤組成物が使用され得る追加の産業には、食品および飲料用途、レストラン/ダイニング産業、繊維品ケア/洗濯、ヘルスケア産業(例えば、病院、ケア施設、クリニックなど)、ならびに/または害虫駆除が含まれる。洗剤組成物の使用の用途の例には、例えば、グリルおよびオーブン清浄剤、ウェア洗浄洗剤、洗濯洗剤、洗濯予浸剤、排水管清浄剤、硬質表面清浄剤、外科用器具清浄剤、運搬用車両清浄剤、車両清浄剤、食器洗浄予浸剤、食器洗浄洗剤、飲料機清浄剤、コンクリート清浄剤、建物外壁清浄剤、金属清浄剤、床材清浄剤、カウンター清浄剤、テーブル清浄剤、脱脂剤、焦げ付き汚れ除去剤、繊維品、ならびに/または織物として効果的なアルカリ性洗剤が含まれる。様々なこれらの用途において、高いアルカリ性を有する清浄組成物が最も望ましくかつ有効であるが、硬水スケールの蓄積によって引き起こされる損傷は望ましくない。
【0156】
本明細書に記載の様々な使用方法は、本明細書に開示される重量パーセントで洗剤組成物の構成成分を組み合わせることによって、使用前または使用時点で形成され得る、洗剤組成物の使用を用いる。洗剤組成物は、様々な配合物で提供され得る。使用方法は、例えば、液体、半固体、および/または本明細書に記載の他の固体配合物を含む、開示された配合物のうちのいずれかを用い得る。
【0157】
この方法はまた、本明細書に記載の水溶液または濃縮物の分散液を構成する濃縮物および/または使用溶液を用い得る。そのような使用溶液は、ウェア洗浄プロセス中などの洗浄プロセス中に形成され得る。
【0158】
包装された固形洗剤組成物を用いる態様では、製品は、最初に、任意の適用可能な包装(例えば、フィルム)からの除去を必要とし得る。その後、ある特定の使用方法によれば、組成物は、清浄のために分配装置に直接挿入され得、かつ/または水源に提供され得る。そのような分配システムの例には、例えば、米国特許第4,826,661号、同第4,690,305号、同第4,687,121号、同第4,426,362号、ならびに米国特許再発行第32,763号、および同第32,818号(これらの開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)が含まれる。理想的には、固形洗剤組成物は、装置への不正確な固形製品の導入および分配を防止するために、分配システムの特定の形状に厳密に適合するように構成または生成される。
【0159】
ある特定の実施形態では、洗剤組成物は、使用前または使用時点で、水源と混合され得る。他の実施形態では、洗剤組成物は、使用溶液の形成および/またはさらなる希釈を必要とせず、さらなる希釈を伴わずに使用され得る。
【0160】
固形洗剤組成物を用いる態様では、水源が洗剤組成物と接触して、固形洗剤組成物、特に粉末を、使用溶液に変換する。追加の分配システムも利用され得、これは、代替的な固形洗剤組成物を使用溶液に変換するのにより適している。方法には、例えば、押出成形されたブロックまたは「カプセル」型の包装を含む、多様な固形洗剤組成物の使用が含まれる。
【0161】
一態様では、ディスペンサーを用いて、(例えば、ノズルから噴霧パターンで)水を噴霧して、洗剤使用溶液を形成し得る。例えば、水は、装置または他の保持リザーバに向かって洗剤組成物とともに噴霧され得、水は、固形洗剤組成物と反応して、使用溶液を形成する。方法のある特定の実施形態では、使用溶液は、洗浄組成物の溶解溶液が使用のために分配されるまで、重力によって下向きに滴下するように構成され得る。一態様では、使用溶液は、ウェア洗浄機の洗浄溶液中に分配され得る。
【0162】
本明細書におけるすべての刊行物および特許出願は、本開示が関連する技術分野の通常の技術レベルを示している。すべての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が、参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0163】
本明細書に記載の組成物の実施形態を、以下の非限定的な実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、ある特定の実施形態を示しているが、単に例証として与えられていることを理解されたい。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本明細書に記載の組成物および方法の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更および修正を行って、様々な用途および条件にそれを適合することができる。したがって、本明細書に示され、説明されるものに加えて、実施形態の様々な修正が前述の説明から当業者に明らかとなるであろう。そのような修正もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0164】
実施例1
本開示の固形洗剤組成物がウェアから染みおよびフィルムを除去する能力を決定するために、固形洗剤組成物を以下の表4に従って調製した。本開示による洗剤を、固形洗剤対照(高レベルのアルカリ性を含有し、ポリマーを含有しない)と比較し、かつまた、市販の洗剤(スケール化を最小限に抑えるために使用される他のポリマーを含有する)に匹敵する洗剤である固形洗剤6とも比較した。
【表6】
【0165】
配合物の調製後、6つのLibby 10oz.ガラス製タンブラーを、ガラスの表面からすべてのフィルムおよび異物を除去することによって調製した。次いで、Apex HTウェア洗浄機に適切な量の水を充填し、この水を硬度について試験した。
【0166】
硬度値を記録した後、槽加熱装置をオンにした。実験当日、水の硬度は、17グレインであった。ウェア洗浄機をオンにし、洗浄/すすぎサイクルを、約150°F~約160°Fの洗浄温度、および約175°F~約190°Fのすすぎ温度に達するまで、この機械によって実行した。次いで、制御装置を設定して、適切な量の洗剤を洗浄槽に分配した。洗剤がサイクル中に水と混合されて使用溶液を形成する場合、使用溶液中の洗剤濃度が百万分の1000部(ppm)となるように、洗剤を分配した。洗浄槽内の溶液を滴定して、洗剤濃度を検証した。
【0167】
図17に示されるように(図中、P=プラスチック製タンブラー、G=ガラス製タンブラー)、6つの清浄なガラス製タンブラーをRaburnラック内に対角線上に配置し、1つのNewport 10oz.プラスチック製タンブラーをRaburnラック内に非対角線上に配置し、ラックをウェア洗浄機の内部に配置した。
【0168】
次いで、100サイクル試験を開始した。各洗浄サイクルの開始時に、適切な量の洗剤をウェア洗浄機内へ自動的に分配して、最初の洗剤濃度を維持した。洗剤濃度を、導電率によって制御した。
【0169】
100サイクルが完了したら、ラックをウェア洗浄機から取り出し、ガラス製およびプラスチック製タンブラーを乾燥させた。次いで、ガラス製およびプラスチック製タンブラーを、分析ライトボックス評価を使用して、染みおよびフィルムの蓄積について格付けした。
【0170】
ライトボックス試験は、デジタルカメラ、ライトボックス、光源、露出計、ならびに「Spot Advance」および「Image Pro Plus」という市販のソフトウェアを用いる制御コンピュータを使用した。評価されるガラスを、ライトボックス上に横向きに配置し、光源の強度を、露出計を使用して所定の値に調節した。ガラスの写真画像を撮影し、コンピュータに保存した。次いで、ソフトウェアを使用して、ガラスの上半分を分析し、コンピュータが柱状グラフを表示し、このグラフの下の面積は、フィルムの厚さに比例している。
【0171】
概して、より低いライトボックススコアは、より多くの光がタンブラーを通過することができたことを示す。したがって、ライトボックススコアが低いほど、組成物はタンブラーの表面上のスケールの防止により効果的である。100サイクル試験およびそれに続くライトボックス試験の結果を、以下の表5および
図16に示す。
【表7】
【0172】
これらの結果は、本発明の組成物が、テトラポリマーまたは従来の炭酸カルシウムスケール抑制剤を含有しない組成物よりも良好に機能したため、マレイン酸系テトラポリマーによって提供される有用性を示す。これらのデータはまた、本開示の固形洗剤組成物が、プラスチック上およびガラス上の両方での炭酸カルシウムの蓄積の除去および防止において、対照配合物よりも有意に良好に機能したことを示す。さらに、本開示の組成物はまた、匹敵する市販の配合物と少なくとも同等に、多くの場合それよりもはるかに良好に機能し、追加の水質調整ポリマーの非存在下であっても非常に良好に機能した。固形洗剤9によって示されるように、本開示の組成物はまた、約500ppmの濃度であっても、実質的に改善された性能を提供する。また、これらの結果を、
図1~7および10に視覚的に例示する。
【0173】
実施例2
本開示の液体洗剤組成物がウェアから染みおよびフィルムを除去する能力を決定するために、液体洗剤組成物を以下の表6に従って調製した。本開示による洗剤を、対照(高レベルのアルカリ性を含有し、ポリマーを含有しない)と比較し、かつまた、市販の洗剤(スケール化を最小限に抑えるために使用される他のポリマーを含有する)に匹敵する洗剤である固形洗剤6とも比較した。
【表8】
【0174】
配合物の調製後、表4の組成物を、実施例1に概説された100サイクル手順を使用して評価した。100サイクル試験およびそれに続くライトボックス試験の結果を、以下の表7および
図16に示す。
【表9】
【0175】
表7は、本開示の液体洗剤組成物が、プラスチック上およびガラス上の両方での炭酸カルシウムの蓄積の防止において、対照配合物、炭酸カルシウムスケール抑制剤を含有しない配合物、および匹敵する市販の配合物よりも有意に良好に機能したことを示す。本開示の配合物はまた、追加の水質調整剤/ポリマーの非存在下であっても、驚くほど改善された性能を実証した。これらの結果を、
図1、8~9、および11にさらに示す。
【0176】
この実施例において、および実施例1においても評価されたテトラポリマーは、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、およびアルカン(脱炭酸化モノマー)のブレンドを含む。マレイン酸、アクリル酸、および無水マレイン酸を、各々個別に使用して、スケール形成の問題に対処する。しかしながら、マレイン酸、アクリル酸、無水マレイン酸、およびアルカンのすべての重合モノマーを組み込んだテトラポリマーを使用した場合の成功または優れた結果は予想されていなかった。よくても、テトラポリマーが、他のアクリル酸またはマレイン酸ポリマーと同程度に機能するくらいであろうと予想されていた。しかしながら、組成物のテトラポリマーが、特にそのような低濃度で、他のポリマーよりも実質的に良好に機能したことは驚くべきことであった。例示的な組成物は、対照組成物の半分の濃度で、対照組成物よりも実質的に良好に機能した。例示的な組成物はまた、対照組成物の4分の1の濃度で、対照組成物と実質的に同様に機能した。スケール化のリスクが特に深刻な状況では、例示的な組成物は、既存の市販製品のちょうど50%の濃度で、実質的に改善された性能を提供することができる。
【0177】
したがって、優れた業界標準の性能は、既存の市販製品のちょうど25%の濃度で達成することができ、一方で実質的な改善は、50%の濃度で達成することができる。はるかに低い濃度で業界標準の性能を達成することにより、材料費を有利に削減し、より濃縮された配合物の調製を可能にする。さらに、優れたスケール抑制結果を達成するために製品を多く必要としないため、洗剤組成物およびディスペンサーの寿命が長くなる。実施形態はこのように説明されているが、これは多くの点で変わり得ることは明らかであろう。そのような変動は、本開示の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、すべてのそのような修正は、以下の特許請求の範囲の範疇内に含まれることが意図される。以下の項目[1]~[20]に、本開示の実施形態の例を列記する。
[1]
一つ又は複数のアルカリ源、
一つ又は複数の界面活性剤、および
マレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制洗剤組成物。
[2]
前記一つ又は複数のアルカリ源が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、セスキ炭酸ナトリウム、セスキ炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、またはそれらの組み合わせである、項目1に記載の組成物。
[3]
一つ又は複数の水質調整剤をさらに含み、前記一つ又は複数の水質調整剤が、ホスフェート、ホスホネート、アミノカルボン酸、有機水質調整剤、無機水質調整剤、ポリカルボン酸、またはそれらの組み合わせである、項目1または2に記載の組成物。
[4]
前記マレイン酸テトラポリマーが、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む、項目1~3のいずれか一項に記載の組成物。
[5]
担体をさらに含み、前記担体が、水、アルコール、水溶性ジオール、またはそれらの組み合わせである、項目1~4のいずれか一項に記載の組成物。
[6]
前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、項目1~5のいずれか一項に記載の組成物。
[7]
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーである、項目6に記載の組成物。
[8]
前記担体が、水であり、前記水が、約10重量%~約60重量%の量で存在する、項目5に記載の組成物。
[9]
一つ又は複数の追加の機能性成分をさらに含み、前記追加の機能性成分が、充填剤、追加の界面活性剤、腐食抑制剤、追加の水質調整剤、硬化剤、漂白剤、消泡剤、再付着防止剤、安定剤、分散剤、酵素、増粘剤、香料、染料、またはそれらの組み合わせである、項目1~8のいずれか一項に記載の組成物。
[10]
約5重量%~約80重量%の一つ又は複数のアルカリ源、
約5重量%~約50重量%の非イオン性界面活性剤、および
約1重量%~約15重量%のマレイン酸テトラポリマーを含み、前記マレイン酸テトラポリマーが、50%超のマレイン酸、最大約5%の無水マレイン酸、最大約50%のアクリル酸、および最大約50%の2-炭素アルカン基を含む、スケール抑制洗剤組成物。
[11]
約0.001重量%~約5重量%の腐食抑制剤をさらに含み、前記腐食抑制剤が、アルミン酸ナトリウム、臭化アルミニウム、塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム亜鉛などのアルミニウム塩、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、ヨウ化亜鉛、チオシアン酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、二クロム酸亜鉛、塩素酸亜鉛、亜鉛酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、ギ酸亜鉛、臭素酸亜鉛、臭化亜鉛、フッ化亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、またはそれらの組み合わせである、項目10に記載の組成物。
[12]
前記非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーである、項目10または11に記載の組成物。
[13]
約0.01重量%~約8重量%の担体をさらに含み、前記担体が、水、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせである、項目10~12のいずれか一項に記載の組成物。
[14]
約0.5重量%~約10重量%の充填剤をさらに含み、前記充填剤が、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、デンプン、糖、C
1
-C
10
アルキレングリコール、もしくはそれらの組み合わせ、および/または約1重量%~約55重量%の一つ又は複数のポリカルボン酸ポリマーである、項目10~13のいずれか一項に記載の組成物。
[15]
前記組成物が、プレス成形された固体、キャスト成形された固体、押出成形された固体、または流動性固体である、項目10~14のいずれか一項に記載の組成物。
[16]
前記組成物が、液体濃縮物である、項目10~14のいずれか一項に記載の組成物。
[17]
前記液体濃縮物が希釈されて、使用溶液を形成する、項目16に記載の組成物。
[18]
表面上のスケール形成を防止する方法であって、
一つ又は複数のアルカリ源、一つ又は複数の水質調整剤、およびマレイン酸テトラポリマーを含む、スケール抑制組成物を提供することと、
前記スケール抑制組成物を、表面と接触させることと、を含む、方法。
[19]
前記表面が、金属、プラスチック、および/またはガラスを含む、項目18に記載の方法。
[20]
前記表面が、グリル、オーブン、食器、平皿、外科用器具、車両、床、天板、テーブル、またはそれらの組み合わせを含む硬質表面である、項目18に記載の方法。