IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤマハ発動機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図1
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図2
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図3
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図4
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図5
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図6
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図7
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図8
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図9
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図10A
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図10B
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図11
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図12
  • 特許-部品供給装置および部品供給方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】部品供給装置および部品供給方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20230904BHJP
   H05K 13/08 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
H05K13/02 E
H05K13/08 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022522128
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018934
(87)【国際公開番号】W WO2021229674
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恒太
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-060816(JP,A)
【文献】特開2017-199816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/30
H05K 13/02-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の補給スロットを有し、前記複数の補給スロットのそれぞれに、複数の部品を収容可能なパレットを装着可能な補給マガジンと、
複数の使用スロットを有し、前記複数の使用スロットのそれぞれに前記パレットを装着可能な使用マガジンと、
前記補給スロットおよび前記使用スロットに対する前記パレットの挿入および引出を実行可能であり、基板への部品実装に使用される前記パレットを前記使用スロットから部品供給位置に搬送するとともに、前記部品実装で部品が取り出された前記パレットを前記部品供給位置から前記使用スロットに搬送するパレット搬送機構と、
前記パレットに収容される部品の個数である部品残数がゼロになった前記パレットを前記使用マガジンから前記補給マガジンに搬送するパレット回収を前記パレット搬送機構に実行させるとともに、前記部品残数がゼロになる前に前記パレット回収の対象の前記パレットに収容されていた部品と同一種類の部品を収容している前記パレットを前記使用マガジンに装着するパレット準備を前記パレット搬送機構に実行させる制御部と
前記パレットを装着可能な単一のスロットを有するパレット補給部と
前記パレット回収が実行された後に実行される前記部品実装での部品の使用状況に応じて、前記パレットを補給する補給作業に関する情報を作業者に報知する報知部と、
を備え、
前記パレット搬送機構は、前記部品実装に使用される前記パレットを前記パレット補給部から部品供給位置に搬送し、
前記制御部は、前記パレット回収の対象の前記パレットと同一種類の部品を収容する前記パレットを前記補給マガジンから前記使用マガジンに搬送することで前記パレット準備を実行して、前記パレット回収の対象の前記パレットと前記パレット準備の対象の前記パレットとを前記補給マガジンと前記使用マガジンとの間で入れ換え、
前記制御部は、前記使用マガジンに装着された前記パレットのうちに、以後に実行される前記部品実装での部品の使用状況から所定時間以内に前記部品残数がゼロになると予測されるニア・エンプティ・パレットが存在する場合には、前記ニア・エンプティ・パレットが収容する部品と同一種類の部品を収容する前記パレットを前記パレット補給部に補給するように、前記報知部に報知させる部品供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記使用マガジンに装着される前記パレットのうちに前記ニア・エンプティ・パレットが存在しない場合には、前記パレット回収の対象となった前記パレットが収容していた部品と同一種類の部品を収容する前記パレットを前記補給マガジンに補給するように、前記報知部に報知させる請求項に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記補給スロットに装着する前記パレットに収容される部品の種類の組み合わせが異なる複数の補給パターンについて、当該補給パターンで前記パレットを補給してから以後の前記部品実装の実行に伴って必要となる前記パレットの補給作業までの時間を予測した結果、当該時間が最長となる前記補給パターンに従って前記パレットを前記補給スロットに補給するように、前記報知部に報知させる請求項に記載の部品供給装置。
【請求項4】
複数の補給スロットを有し、前記複数の補給スロットのそれぞれに、複数の部品を収容可能なパレットを装着可能な補給マガジンと、複数の使用スロットを有し、前記複数の使用スロットのそれぞれに前記パレットを装着可能な使用マガジンと、前記パレットを装着可能な単一のスロットを有するパレット補給部とを備えるパレット保持装置の前記使用スロットから部品供給位置に前記パレットを搬送して、基板への部品実装に使用される前記パレットを前記部品供給位置に供給する工程と、
前記部品実装で部品が取り出された前記パレットを前記部品供給位置から前記使用スロットに搬送する工程と、
前記パレットに収容される部品の個数である部品残数がゼロになった前記パレットを前記使用マガジンから前記補給マガジンに搬送するパレット回収をパレット搬送機構に実行させるとともに、前記部品残数がゼロになる前に前記パレット回収の対象の前記パレットに収容されていた部品と同一種類の部品を収容している前記パレットを前記使用マガジンに装着するパレット準備を前記パレット搬送機構に実行させる工程と
前記部品実装に使用される前記パレットを前記パレット補給部から部品供給位置に前記パレット搬送機構に搬送させる工程と、
前記パレット回収が実行された後に実行される前記部品実装での部品の使用状況に応じて、前記パレットを補給する補給作業に関する情報を報知部によって作業者に報知する工程と
を備え、
前記パレット回収の対象の前記パレットと同一種類の部品を収容する前記パレットを前記補給マガジンから前記使用マガジンに搬送することで前記パレット準備を実行して、前記パレット回収の対象の前記パレットと前記パレット準備の対象の前記パレットとを前記補給マガジンと前記使用マガジンとの間で入れ換え
前記使用マガジンに装着された前記パレットのうちに、以後に実行される前記部品実装での部品の使用状況から所定時間以内に前記部品残数がゼロになると予測されるニア・エンプティ・パレットが存在する場合には、前記ニア・エンプティ・パレットが収容する部品と同一種類の部品を収容する前記パレットを前記パレット補給部に補給するように、前記報知部に報知させる部品供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板に部品を実装する部品実装のために、パレットに載置された部品を供
給する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のパレットを装着可能なマガジンから部品供給位置に引き出したパレットから実装ヘッドにより部品を取り出して、基板に実装する部品実装機が知られている。また、特許文献1では、2個のマガジンが具備されており、一方のマガジンから他方のマガジンに予め移しておいたパレットが、他方のマガジンから部品供給位置に引き出されて、部品実装に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5478163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにマガジンを用いて部品を供給する場合、部品実装の実行に伴って部品残数がゼロになったパレットが発生する。かかる場合、効率的な部品供給を行うためには、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットを作業者によりマガジンから取り出すことが求められる。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品残数がゼロになったパレットがマガジン内に発生した場合に、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットを作業者によりマガジンから取り出すことを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品供給装置は、複数の補給スロットを有し、複数の補給スロットのそれぞれに、複数の部品を収容可能なパレットを装着可能な補給マガジンと、複数の使用スロットを有し、複数の使用スロットのそれぞれにパレットを装着可能な使用マガジンと、補給スロットおよび使用スロットに対するパレットの挿入および引出を実行可能であり、基板への部品実装に使用されるパレットを使用スロットから部品供給位置に搬送するとともに、部品実装で部品が取り出されたパレットを部品供給位置から使用スロットに搬送するパレット搬送機構と、パレットに収容される部品の個数である部品残数がゼロになったパレットを使用マガジンから補給マガジンに搬送するパレット回収をパレット搬送機構に実行させるとともに、部品残数がゼロになる前にパレット回収の対象のパレットに収容されていた部品と同一種類の部品を収容しているパレットを使用マガジンに装着するパレット準備をパレット搬送機構に実行させる制御部とを備え、制御部は、パレット回収の対象のパレットと同一種類の部品を収容するパレットを補給マガジンから使用マガジンに搬送することでパレット準備を実行して、パレット回収の対象のパレットとパレット準備の対象のパレットとを補給マガジンと使用マガジンとの間で入れ換える。
【0007】
本発明に係る部品供給方法は、複数の補給スロットを有し、複数の補給スロットのそれぞれに、複数の部品を収容可能なパレットを装着可能な補給マガジンと、複数の使用スロットを有し、複数の使用スロットのそれぞれにパレットを装着可能な使用マガジンとを備えるパレット保持装置の使用スロットから部品供給位置にパレットを搬送して、基板への部品実装に使用されるパレットを部品供給位置に供給する工程と、部品実装で部品が取り出されたパレットを部品供給位置から使用スロットに搬送する工程と、パレットに収容される部品の個数である部品残数がゼロになったパレットを使用マガジンから補給マガジンに搬送するパレット回収をパレット搬送機構に実行させるとともに、部品残数がゼロになる前にパレット回収の対象のパレットに収容されていた部品と同一種類の部品を収容しているパレットを使用マガジンに装着するパレット準備をパレット搬送機構に実行させる工程とを備え、パレット回収の対象のパレットと同一種類の部品を収容するパレットを補給マガジンから使用マガジンに搬送することでパレット準備を実行して、パレット回収の対象のパレットとパレット準備の対象のパレットとを補給マガジンと使用マガジンとの間で入れ換え。
【0008】
このように構成された本発明(部品供給装置、部品供給方法)では、それぞれ複数のパレットを収容可能な補給マガジンと使用マガジンとが具備されており、使用マガジンの使用スロットから部品供給位置にパレットが搬送されて、基板への部品実装に使用されるパレットが部品供給位置に供給されるとともに、部品実装で部品が取り出されたパレットが部品供給位置から使用スロットに搬送される。そして、部品残数がゼロになったパレットを使用マガジンから補給マガジンに搬送するパレット回収が実行されるとともに、部品残数がゼロとなる前にパレット回収の対象となるパレットに収容されていた部品と同一種類の部品を収容するパレットを使用マガジンに装着するパレット準備が、補給マガジンから使用マガジンにパレットを搬送することで実行される。したがって、パレット準備によって使用マガジンに装着されたパレットを使用して部品供給を継続しつつ、作業者は、パレット回収によって使用マガジンから補給マガジンに回収されたパレットを取り出すことができる。こうして、部品残数がゼロになったパレットがマガジン内に発生した場合に、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットを作業者によりマガジンから取り出すことが可能となっている。
【0009】
また、パレット回収が実行された後に実行される部品実装での部品の使用状況に応じて、パレットを補給する補給作業に関する情報を作業者に報知する報知部をさらに備えるように、部品供給装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者は、パレット回収が実行された後に実行される部品実装での部品の使用状況に応じて、パレットの補給作業を適切に実行することができる。
【0010】
また、パレットを装着可能な単一のスロットを有するパレット補給部をさらに備え、パレット搬送機構は、部品実装に使用されるパレットをパレット補給部から部品供給位置に搬送し、制御部は、使用マガジンに装着されたパレットのうちに、以後に実行される部品実装での部品の使用状況から所定時間以内に部品残数がゼロになると予測されるニア・エンプティ・パレットが存在する場合には、ニア・エンプティ・パレットが収容する部品と同一種類の部品を収容するパレットをパレット補給部に補給するように、報知部に報知させるように、部品供給装置を構成してもよい。かかる構成では、作業者は、ニア・エンプティ・パレットと同一種類の部品を収容するパレットを、パレット補給部の単一のスロットに装着するといった簡単な作業で、ニア・エンプティ・パレットの存在に迅速に対応することができる。したがって、ニア・エンプティ・パレットの部品切れによる部品供給の中断を回避することができる。
【0011】
また、制御部は、使用マガジンに装着されるパレットのうちにニア・エンプティ・パレットが存在しない場合には、パレット回収の対象となったパレットが収容していた部品と同一種類の部品を収容するパレットを補給マガジンに補給するように、報知部に報知させるように、部品供給装置を構成してもよい。つまり、部品補給に緊急を要しない場合には、使用者は補給マガジンにパレットを適切に補給することができ、部品補給の緊急性に応じた態様でパレットを補給できる。特に、補給が必要な各パレットを一括して補給マガジンに補給できるため、効率的に作業を実行できる。
【0012】
また、制御部は、補給スロットに装着するパレットに収容される部品の種類の組み合わせが異なる複数の補給パターンについて、当該補給パターンでパレットを補給してから以後の部品実装の実行に伴って必要となるパレットの補給作業までの時間を予測した結果、当該時間が最長となる補給パターンに従ってパレットを補給スロットに補給するように、報知部に報知させるように、部品供給装置を構成してもよい。かかる構成では、パレットの補給作業が頻発するのを抑制して、作業者の作業負担を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、部品残数がゼロになったパレットがマガジン内に発生した場合に、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットを作業者によりマガジンから取り出すことが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は本発明に係る部品供給装置を備えた部品実装機の一例を模式的に示す平面図。
図2】部品供給装置の外観構成を示す斜視図。
図3図2の部品供給装置の内部構成を示す部分断面図。
図4図2の部品供給装置が備えるパレット保持装置の外観構成の斜視図と断面図とを併記して示す図。
図5図2の部品供給装置が備えるパレット保持装置の外観構成の斜視図と断面図とを併記して示す図。
図6】部品供給装置が具備する電気的構成を示すブロック図。
図7】部品供給装置で実行される部品補給管理の第1例を示すフローチャート。
図8図7のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図。
図9】部品供給装置で実行される部品補給管理の第2例を示すフローチャート。
図10A図9のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図。
図10B図9のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図。
図11】部品供給装置で実行される部品補給管理の第3例を示すフローチャート。
図12図10のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図。
図13】部品供給装置で実行される部品補給管理の第4例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る部品供給装置を備えた部品実装機の一例を模式的に示す平面図である。図1および以下の図では、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向で構成されるXYZ直交座標系を適宜示す。ここで、X方向およびY方向はそれぞれ水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。この部品実装機1では、基板搬送部2により搬入された基板Bに対して、ヘッドユニット3が部品供給部41、42により供給された部品Eを実装する。
【0016】
部品実装機1では、X方向(基板搬送方向)へ基板Bを搬送する基板搬送部2が基台11上に配置されている。基板搬送部2は、それぞれX方向に延設された2本のコンベア21を有する。2本のコンベア21は、Y方向(幅方向)に基板Bの幅に応じた間隔を空けて並列に配置され、X方向の上流側から搬入された基板BをX方向の下流側へ搬送して、所定の実装作業位置(図1の基板Bの位置)で停止させる。なお、実装作業位置で停止した基板Bは、図示を省略する保持機構によって実装作業位置に固定される。さらに、2本のコンベア21は、実装作業位置で部品Eが実装された基板Bを、実装作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0017】
ヘッドユニット3は、実装作業位置に固定された基板Bに対して、部品供給部41、42により供給される部品Eを移載する。ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数の実装ヘッド31を有し、各実装ヘッド31の下端に吸着ノズルが取り付けられている。そして、ヘッドユニット3は、コンベア21の上方でX方向およびY方向へ移動することで、部品供給部41、42からの供給部品Eを吸着ノズルによりピックアップして実装作業位置の基板Bへ移載する。このようなヘッドユニット3の移動は、次のような駆動機構によって実行される。
【0018】
つまり、基台11上には、それぞれY方向に平行に設けられた一対のY軸固定レール32と、Y方向に平行に設けられたY軸ボールネジ33と、Y軸ボールネジ33を回転させるY軸サーボモータ34とが配置されている。一対のY軸固定レール32上には、X方向に延設されたX軸ビーム35が掛け渡されている。このX軸ビーム35は、Y軸固定レール32によってY方向に移動可能に支持されており、X軸ビーム35に取り付けられたナット36がY軸ボールネジ33に螺合している。このX軸ビーム35には、X方向に平行に設けられたX軸レール(図示省略)と、X方向に平行に設けられたX軸ボールネジ37と、X軸ボールネジ37を回転させるX軸サーボモータ38とが取り付けられている。そして、ヘッドユニット3がX軸ガイドによってX方向に移動可能に支持されており、ヘッドユニット3に取り付けられたナット(図示省略)がX軸ボールネジ37に螺合している。
【0019】
したがって、Y軸サーボモータ34がY軸ボールネジ33を回転させると、X軸ビーム35に伴ってヘッドユニット3がY方向に移動する。また、X軸サーボモータ38がX軸ボールネジ37を回転させると、ヘッドユニット3がX方向に移動する。こうして、ヘッドユニット3は、部品供給部41、42の上方位置と実装作業位置の上方位置との間を移動して、Eのピックアップおよび移載を実行する。
【0020】
部品供給部41は、基板搬送部2の前側(Y方向の一方側)に配置されている。部品供給部41は、複数のテープフィーダ411をX方向に並べた構成を具備する。各テープフィーダ411は、IC(Integrated Circuit)、トランジスタおよびコンデンサ等の比較的小型のチップ部品Eを所定間隔おきに収容したテープをリールから導出する構成を具備し、各テープフィーダ411より間欠的に送り出される部品Eが、ヘッドユニット3によってピックアップされて、実装作業位置の基板Bへ移載される。
【0021】
部品供給部42は、基板搬送部2の後側(Y方向の他方側)に配置されている。図1に示す例では、2個の部品供給部42がX方向に並んでいる。ただし、これらは互いに共通する構成を具備して同様の動作を行うものであるので、以下では、基本的に1個の部品供給部42について説明を行う。
【0022】
部品供給部42は、QFP(Quad Flat
Package)およびBGA(Ball Grid Array)等の比較的大型のパッケージ部品Eを供給する。具体的には、部品供給部42は、パレット保持装置5およびパレット搬送機構6を備えた部品供給装置9を有する。パレット保持装置5は、Z方向に並べて複数のパレットPを収容する。また、パレット搬送機構6は、後述するように2台のパレット搬送装置61を有し、各パレット搬送装置61によってパレット保持装置5と部品供給位置Lsとの間でY方向にパレットPを搬送する。パレットPには、トレイTを介して部品Eが載置されており、このトレイTには、複数のパッケージ部品Eが整列されている。パレットPは、単一のあるいは複数のトレイTを磁力等によって固定した状態で支持する。
【0023】
パレット保持装置5は、後に詳述するように、Z方向に並ぶ複数のパレットPを収容し、これら複数のパレットPのうち、パレット搬送装置61が対向するパレットPがパレット搬送装置61によってパレット保持装置5から搬出することが可能となる。また、パレット搬送装置61がZ方向に昇降することで、パレット搬送装置61が対向するパレットPを切り換えて、パレット搬送装置61による搬出対象となるパレットPを変更する。そして、パレット搬送装置61によりパレット保持装置5から部品供給位置LsにまでパレットPを搬送することで、部品供給が実行される。つまり、部品供給位置Lsに搬送されたパレットP上の部品Eがヘッドユニット3によってピックアップされて、実装作業位置の基板Bへ移載される(部品実装)。
【0024】
図2は部品供給装置の外観構成を示す斜視図であり、図3図2の部品供給装置の内部構成を示す部分断面図であり、図4および図5図2の部品供給装置が備えるパレット保持装置の外観構成の斜視図と断面図とを併記して示す図である。これらの図および以下の図では、幅方向Dw、引出方向DdおよびZ方向からなる直交座標系を適宜示す。ここで、幅方向Dwおよび引出方向Ddは水平面に平行な水平方向であり、幅方向DwはX方向に平行であって引出方向Ddに直交し、引出方向Ddは上述のとおりY方向に平行である。さらに、引出方向Ddの一方側Dda(パレット保持装置5から部品供給位置Lsへ向かう供給側)と、引出方向Ddの他方側Ddb(部品供給位置Lsからパレット保持装置5へ向かう回収側)とを適宜示す。
【0025】
部品供給装置9は、上述の通り、パレット保持装置5と、パレット保持装置5の一方側Ddaに配置されたパレット搬送機構6とを備え、パレット搬送機構6は2台のパレット搬送装置61を有する。また、部品供給装置9は、パレット保持装置5およびパレット搬送機構6を収容するハウジング91を備え、ハウジング91内において、パレット保持装置5の一方側Ddaは、パレット搬送機構6の各パレット搬送装置61が昇降する搬送装置昇降空間60となっており、図示を省略する昇降装置によって2台のパレット搬送装置61のそれぞれを個別に搬送装置昇降空間60内で昇降させる。このパレット搬送装置61は、パレット保持装置5においてZ方向に配列された後述の各パレットスロットSのうち、対象パレットスロットSと同じ高さに位置して、対象パレットスロットSに引出動作あるいは挿入動作を実行する。ここで、引出動作は、パレットスロットSからパレットPを引き出す動作であり、挿入動作は、パレットスロットSにパレットPを挿入する動作である。
【0026】
ハウジング91は、幅方向Dwに並ぶ2個の側壁部材911を有し、パレット保持装置5およびパレット搬送装置61は、幅方向Dwにおいて2個の側壁部材911の間に配置されている。換言すれば、2個の側壁部材911の間に設けられた収容空間912に、パレット保持装置5およびパレット搬送装置61が収容されている。また、収容空間912は、引出方向Ddの両側(一方側Dda、他方側Ddb)に開口を有しており、ハウジング91は、引出方向Ddの他方側Ddbの開口を開閉する複数(3個)のカバー913、914、915を有する。これら複数のカバー913、914、915はZ方向に並んで設けられており、個別に開閉可能である。
【0027】
図3に示すように、パレット保持装置5は、パレット装着部51、マガジン装着部52およびマガジン装着部53を有する。パレット装着部51、マガジン装着部52およびマガジン装着部53はZ方向に配列されており、マガジン装着部53の上方にマガジン装着部52が位置し、マガジン装着部52の上方にパレット装着部51が位置する。このパレット保持装置5は、幅方向Dwに並ぶ2個の側壁板50(図4図5)を有し、側壁板50の上段を占める上段側壁部501がパレット装着部51の側壁を構成し、上段側壁部501の下に位置して側壁板50の中段を占める中段側壁部502がマガジン装着部52の側壁を構成し、中段側壁部502の下に位置して側壁板50の下段を占める下段側壁部503がマガジン装着部53の側壁を構成する。
【0028】
パレット装着部51は、幅方向Dwの両側の2個の上段側壁部501の間にパレット装着空間512を有する。パレット装着空間512内には、単一のパレットスロットSが設けられ、当該単一のパレットスロットSに対して、パレットPを引出方向Ddに挿脱可能である。パレット装着空間512は、引出方向Ddにおいて一方側Ddaに開口するパレット供給口512aと、他方側Ddbに開口するパレット補給口512bとを有する。したがって、パレット搬送装置61は、一方側Ddaからパレット供給口512aを介してパレットスロットSにパレットPを挿脱でき、ユーザー(作業者)は、他方側Ddbからパレット補給口512bを介してパレットスロットSにパレットPを挿脱できる。
【0029】
カバー913は、パレット装着部51のパレット補給口512bに対して設けられており、カバー913を開くと、パレット補給口512bが開放されて、ユーザーは、パレット装着部51のパレットスロットSに対してパレットPの挿脱を実行できる。一方、カバー913が閉じると、パレット補給口512bが閉塞され、パレット装着部51に対するパレットPの挿脱が禁止される。
【0030】
マガジン装着部52は、幅方向Dwの両側の2個の中段側壁部502の間にマガジン装着空間522を有する。マガジン装着空間522に対しては、複数のパレットPを装着可能な補給マガジン54を引出方向Ddに挿脱可能である。マガジン装着空間522は、引出方向Ddにおいて一方側Ddaに開口するパレット供給口522aと、他方側Ddbに開口するパレット補給口522bとを有する。そして、ユーザーは、他方側Ddbからパレット補給口522bを介してマガジン装着部52のマガジン装着空間522内に補給マガジン54を着脱できる。
【0031】
補給マガジン54は、幅方向Dwの両側に2個の側壁板541を有し、幅方向Dwにおいて2個の側壁板541の間にパレット装着空間542が設けられている。補給マガジン54がマガジン装着部52に装着された状態で、パレット装着空間542は引出方向Ddの両側に開口しており、このパレット装着空間542に対して、パレットPを引出方向Ddから挿脱することができる。つまり、各側壁板541の内側(パレット装着空間542側)には、複数のパレット保持部材543がZ方向に並んで取り付けられている。パレット保持部材543は、引出方向Ddに平行に延設されて、側壁板541から幅方向Dwの内側に突出する。そして、Z方向に隣り合う一対のパレット保持部材543の間にパレットPを挿脱できる。つまり、一対のパレット保持部材543の間がパレットスロットSとして機能し、パレットスロットSに挿入されたパレットPは、当該パレットスロットSの下側のパレット保持部材543によって水平に保持される。したがって、パレット搬送装置61は、一方側Ddaからパレット供給口522aを介して補給マガジン54のパレットスロットSにパレットPを挿脱でき、ユーザーは、他方側Ddbからパレット補給口522bを介して補給マガジン54のパレットスロットSにパレットPを挿脱できる。
【0032】
カバー914は、マガジン装着部52のパレット補給口522bに対して設けられており、カバー914を開くと、パレット補給口522bが開放される。そのため、ユーザーは、マガジン装着部52に装着された補給マガジン54のパレットスロットSに対してパレットPの挿脱を実行することができる。また、マガジン装着部52に対しては補給マガジン54を挿脱できるため、ユーザーは、複数のパレットPを保持する補給マガジン54をマガジン装着部52に着脱することで、複数のパレットPをマガジン装着部52に対して一括して挿脱できる。一方、カバー914が閉じると、パレット補給口522bが閉塞される。そのため、マガジン装着部52に対するパレットPの挿脱や補給マガジン54の着脱が禁止される。
【0033】
マガジン装着部53は、幅方向Dwの両側の2個の下段側壁部503の間にマガジン装着空間532を有する。そして、複数のパレットPを装着可能な固定マガジン55がマガジン装着空間532に装着されて、マガジン装着部53に固定されている。マガジン装着空間532は、引出方向Ddにおいて一方側Ddaに開口するパレット供給口532aと、他方側Ddbに開口するパレット補給口532bとを有する。
【0034】
固定マガジン55は、幅方向Dwの両側に2個の側壁板551を有し、幅方向Dwにおいて2個の側壁板551の間にパレット装着空間552が設けられている。固定マガジン55がマガジン装着部53に装着された状態で、パレット装着空間552は引出方向Ddの両側に開口しており、このパレット装着空間552に対して、パレットPを引出方向Ddから挿脱することができる。つまり、各側壁板551の内側(パレット装着空間552側)には、複数のパレット保持部材553が間隔を存してZ方向に並んで取り付けられている。パレット保持部材553は、引出方向Ddに平行に延設されて、側壁板551から幅方向Dwの内側に突出する。そして、Z方向に隣り合う一対のパレット保持部材553の間にパレットPを挿脱できる。つまり、一対のパレット保持部材553の間がパレットスロットSとして機能し、パレットスロットSに挿入されたパレットPは、当該パレットスロットSの下側のパレット保持部材553によって水平に保持される。したがって、パレット搬送装置61は、一方側Ddaからパレット供給口532aを介して固定マガジン55のパレットスロットSにパレットPを挿脱でき、ユーザーは、他方側Ddbからパレット補給口532bを介して固定マガジン55のパレットスロットSにパレットPを挿脱できる。
【0035】
なお、固定マガジン55は補給マガジン54と比べてZ方向に高く、固定マガジン55のパレットスロットSの個数は、補給マガジン54のパレットスロットSの個数より多い。ただし、固定マガジン55の構成は、ここの例に限られず、固定マガジン55のパレットスロットSの個数は、補給マガジン54のパレットスロットSの個数と同一でもよいし、補給マガジン54のパレットスロットSの個数より少なくてもよい。
【0036】
カバー915は、マガジン装着部53のパレット補給口532bに対して設けられており、カバー915を開くと、パレット補給口532bが開放される。そのため、ユーザーは、マガジン装着部53に装着された固定マガジン55のパレットスロットSに対してパレットPの挿脱を実行することができる。一方、カバー914が閉じると、パレット補給口532bが閉塞される。そのため、マガジン装着部53に対するパレットPの挿脱が禁止される。
【0037】
また、図4に示すように、パレット保持装置5は、パレット装着部51のパレット供給口512aを一方側Ddaから開閉するパレットシャッタ56と、パレット装着部51の上側に設けられてパレットシャッタ56を収容するシャッタ収容部571とを有する。シャッタ収容部571は、幅方向Dwにおいて両側の2個の上段側壁部501の間に設けられた空間(シャッタ収容空間)であり、引出方向Ddに平行に延設されている。そして、パレットシャッタ56は、シャッタ収容部571に収まるオープン位置Lpoから、パレット供給口512aに一方側Ddaから対向するクローズ位置Lpcへ到るパレットシャッタ経路Wpに沿って移動可能である。
【0038】
パレットシャッタ56がオープン位置Lpoに位置すると、パレット供給口512aが開放される。そのため、パレット搬送装置61は、パレット供給口512aを介して、パレット装着部51のパレットスロットSに対してパレットPを挿脱できる。一方、パレットシャッタ56がクローズ位置Lpcに位置すると、パレット供給口512aが閉塞される。そのため、パレット装着部51のパレット装着空間512に対するパレット搬送装置61のアクセスが禁止される。
【0039】
また、パレット保持装置5は、マガジン装着部52のパレット供給口522aを一方側Ddaから開閉するマガジンシャッタ58と、マガジン装着部52の上側に設けられてマガジンシャッタ58を収容するシャッタ収容部591とを有する。このシャッタ収容部591は、Z方向において、マガジン装着部52とパレット装着部51との間に位置する。シャッタ収容部591は、幅方向Dwにおいて両側の2個の中段側壁部502の間に設けられた空間(シャッタ収容空間)であり、引出方向Ddに平行に延設されている。そして、マガジンシャッタ58は、シャッタ収容部591に収まるオープン位置Lmoから、パレット供給口522aに一方側Ddaから対向するクローズ位置Lmcへ到るマガジンシャッタ経路Wmに沿って移動可能である。
【0040】
マガジンシャッタ58がオープン位置Lmoに位置すると、パレット供給口522aが開放される。そのため、パレット搬送装置61は、パレット供給口522aを介して、マガジン装着部52のパレットスロットSに対してパレットPを挿脱できる。一方、マガジンシャッタ58がクローズ位置Lmcに位置すると、パレット供給口522aが閉塞される。そのため、マガジン装着部52のマガジン装着空間522に対するパレット搬送装置61のアクセスが禁止される。
【0041】
マガジンシャッタ58は、マガジンシャッタ経路Wmに沿って配列された複数のスラットSLを有する。マガジンシャッタ経路Wmに沿ったマガジンシャッタ58の長さは、マガジンシャッタ経路Wmの長さより短い。各スラットSLは、マガジンシャッタ経路Wmに直交する幅方向Dwに延設されており、マガジンシャッタ経路Wmにおいて隣接するスラットSL同士は、幅方向Dwに平行な軸を中心に互いに回動可能に取り付けられている。このように複数のスラットSLを互いに回動可能に連結した構成では、マガジンシャッタ経路Wmの形状に応じてスラットSLが回動しつつ、マガジンシャッタ経路Wmに沿ってマガジンシャッタ58が移動する。
【0042】
パレットシャッタ56も、マガジンシャッタ58と同様に、互いに回動可能に連結された複数のスラットSLを有する。ただし、パレットシャッタ56が有するスラットSLの個数は、マガジンシャッタ58が有するスラットSLの個数より少なく、パレットシャッタ56は、マガジンシャッタ58よりも短い。なお、パレットシャッタ経路Wpに沿ったパレットシャッタ56の長さは、パレットシャッタ経路Wpの長さより短い。
【0043】
図4に示すように、マガジンシャッタ58がクローズ位置Lmcに位置する状態では、マガジンシャッタ58が有する複数のスラットSLのうち、マガジンシャッタ経路Wmの下流端(クローズ位置Lmc側の端)のスラットSLから複数の対向個数(図4の例では6個)のスラットSLがパレット供給口522aの一方側DdaでZ方向に並んで、パレット供給口522aに一方側Ddaから対向する。こうして、マガジンシャッタ58の当該対向個数のスラットSLによって、パレット供給口522aが一方側Ddaから閉塞される。
【0044】
一方、図5に示すように、マガジンシャッタ58がオープン位置Lmoに位置する状態では、マガジンシャッタ58がパレット供給口522aから上方へ退避するとともに、マガジンシャッタ58が有する複数のスラットSLのうち、マガジンシャッタ経路Wmの上流端(オープン位置Lmo側の端)のスラットSLから複数の収容個数(図4の例では6個)のスラットSLがシャッタ収容部591において引出方向Ddに並んで、シャッタ収容部591に収まる。ここで、対向個数と収容個数は等しい。ただし、これらが等しい必要は必ずしもなく、対向個数より収容個数が多くてもよい。
【0045】
また、図4に示すように、パレットシャッタ56がクローズ位置Lpcに位置する状態では、パレットシャッタ56が有する複数のスラットSLのうち、パレットシャッタ経路Wpの下流端(クローズ位置Lmc側の端)のスラットSLがパレット供給口512aに一方側Ddaから対向する。こうして、パレットシャッタ56のスラットSLによって、パレット供給口512aが一方側Ddaから閉塞される。
【0046】
一方、図5に示すように、パレットシャッタ56がオープン位置Lpoに位置する状態では、パレットシャッタ56がパレット供給口522aから上方へ退避するとともに、パレットシャッタ56が有する複数のスラットSLがシャッタ収容部571において引出方向Ddに並んで、シャッタ収容部571に収まる。
【0047】
また、パレット保持装置5は、マガジンシャッタ58を開閉駆動する開閉駆動機構581を有する。この開閉駆動機構581は、中断側壁部502の外側(マガジン装着空間522の逆側)に取り付けられたリニアアクチュエータ582(シリンダー)と、リニアアクチュエータ582のロッドに取り付けられた可動板583とを有し、リニアアクチュエータ582が可動板583を引出方向Ddに直動させる。また、マガジンシャッタ58が有する複数のスラットSLのうち、マガジンシャッタ経路Wmの上流端(クローズ位置Lmc側の端)のスラットSLには被駆動板580が取り付けられており、被駆動板580と可動板583とが幅方向Dwに並んで相互に接続されている。したがって、リニアアクチュエータ582による引出方向Ddへの駆動に応じて、被駆動板580は可動板583に伴って引出方向Ddに平行に移動する。そして、マガジンシャッタ58は、被駆動板580の水平移動に伴って、マガジンシャッタ経路Wmに沿ってオープン位置Lmoとクローズ位置Lmcとの間を移動する。
【0048】
さらに、パレット保持装置5は、パレットシャッタ56を開閉駆動する開閉駆動機構561を有する。この開閉駆動機構561は、上段側壁部501の外側(パレット装着空間512の逆側)に取り付けられたリニアアクチュエータ562(シリンダー)と、リニアアクチュエータ562のロッドに取り付けられた可動板563とを有し、リニアアクチュエータ562が可動板563を引出方向Ddに直動させる。また、パレットシャッタ56が有する複数のスラットSLのうち、パレットシャッタ経路Wpの上流端(クローズ位置Lpc側の端)のスラットSLには被駆動板560が取り付けられており、被駆動板560と可動板563とが幅方向Dwに並んで相互に接続されている。したがって、リニアアクチュエータ562による引出方向Ddへの駆動に応じて、被駆動板560は可動板563に伴って引出方向Ddに平行に移動する。そして、パレットシャッタ56は、被駆動板560の水平移動に伴って、パレットシャッタ経路Wpに沿ってオープン位置Lpoとクローズ位置Lpcとの間を移動する。
【0049】
図6は部品供給装置が具備する電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、部品供給装置9は、制御部93、UI(User
Interface)94およびリーダ95を有する。制御部93は、演算部931、記憶部932および入出力部933を有する。演算部931は、例えばプロセッサで構成され、部品供給装置による部品Eの供給に必要な演算を実行する。記憶部932は、例えばメモリで構成され、後述する部品残数等の各種情報を記憶する。入出力部933は、UI94およびリーダ95に対する情報の送受信を実行する。
【0050】
UI94は、例えばタッチパネルディスプレイで構成され、制御部93からの指令に応じて作業者に対して情報を報知する。したがって、作業者は、UI94のディスプレイに表示された内容に基づき、制御部93からの指示を確認することができる。
【0051】
リーダ95は例えば光学センサで構成され、パレットスロットSに挿入されたパレットPに付された識別子(バーコード)を読み取って、当該パレットPの識別子を制御部93に送信する。このリーダ95は、パレット搬送装置61に取り付けられており、補給マガジン54および固定マガジン55に装着された各パレットPの識別子を読み取るのに用いられる。この識別子は、当該識別子が付されたパレットPに収容される部品Eの種類や個数を示す。
【0052】
例えば、カバー914が開閉された場合には、補給マガジン54に装着されるパレットPが作業者の補給作業によって変更された可能性がある。そこで、制御部93は、カバー914の開閉を開閉センサ等により確認すると、開閉駆動機構581によりマガジンシャッタ58を開いてから、パレット搬送機構6によってパレット搬送装置61をZ方向に移動させる。これに伴って、Z方向に並んで補給マガジン54に装着された各パレットPの識別子を、パレット搬送装置61に取り付けられたリーダ95が順番に読み取って、制御部93に送信する。制御部93は各パレットPの識別子に基づき、補給マガジン54の各パレットスロットSに装着されたパレットPに収容される部品の種類や個数を取得する。なお、カバー915が開閉された際にも、固定マガジン55に対して同様の動作が実行される。
【0053】
図7は部品供給装置で実行される部品補給管理の第1例を示すフローチャートであり、図8図7のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図である。図7のフローチャートは、制御部93によって実行される。また、図8では、補給マガジン54および固定マガジン55のそれぞれに5個のパレットPが装着される場合が例示されている。さらに、補給マガジン54の1~5段目までのパレットスロットSに装着される5個のパレットPに順に符号P21~P25が付され、固定マガジン55の1~5段目までのパレットスロットSに装着される5個のパレットPに順に符号P31~P35が付されている。また、符号Ea、Eb、Ec、Edは互いに異なる種類の部品Eに相当し、それぞれが付されたパレットPに収容される部品Eを示す。括弧内の数字は、パレットPに収容される部品の個数を示す。
【0054】
ステップS101では、パレット搬送装置61によってパレット保持装置5から部品供給位置LsにパレットPが引き出されて、部品実装で基板Bに実装される部品Eの供給が開始される。図8の例では、部品Eの供給開始の直前における初期状態では、固定マガジン55に装着された各パレットPに収容する部品Ea、Eb、Ec、Edと同一種類の部品Ea、Eb、Ec、Edを収容する各パレットPが補給マガジン54に予め装着されている。
【0055】
なお、補給マガジン54および固定マガジン55のうち固定マガジン55から優先してパレットPの引き出しが実行される。つまり、補給マガジン54および固定マガジン55の両方に同一種類の部品Eを収容するパレットPが装着されている場合、当該種類の部品Eを収容するパレットPを固定マガジン55から先に引き出して部品実装に使用する。そして、固定マガジン55の当該パレットPの部品残数がゼロになると、当該種類の部品Eを収容するパレットPを補給マガジン54から引き出して部品実装に使用する。また、部品実装において、必要な個数の部品Eが取り出されたパレットPは、部品供給位置Lsから固定マガジン55に搬送される。こうして、部品供給位置Lsに位置するパレットPを変更することで、供給する部品Eの種類を変更しつつ、部品実装が実行される。
【0056】
ステップS102では、残数カウントが開始される。つまり、部品供給位置Lsに引き出されたパレットPの識別子が示す個数(初期個数)から、部品実装に伴ってパレットPから取り出された部品Eの個数を減算することで、現時点でパレットPに収容される部品Eの個数である部品残数を、演算部931が算出する。なお、演算部931は、部品実装機1において基板Bに部品Eを実装する手順を示す実装プログラムの実行状況から、パレットPから取り出された部品Eの個数を確認することができる。
【0057】
ステップS103では、固定マガジン55に装着されたパレットPのうちに、部品残数がゼロになった部品切れパレットPが発生したかが判断される。そして、部品切れパレットPが発生すると(ステップS103で「YES」)、部品切れパレットPに収容されていた部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPが補給マガジン54に装着されているかが判断される(ステップS104)。該当のパレットPが補給マガジン54に装着されている場合(ステップS104で「YES」の場合)、部品切れパレットPが交換対象に設定される(ステップS105)。
【0058】
そして、ステップS103~S105が、パレット交換条件が満たされるまで繰り返される(ステップS106)。ここの例では、部品残数がゼロになったパレットPが補給マガジン54に発生したという条件をパレット交換条件としている。ただし、パレット交換条件の具体例はこれに限られず、部品残数が閾個数以下になったパレットPが補給マガジン54に発生したという条件をパレット交換条件としてもよい。ここで、閾個数は1以上の整数である。
【0059】
そして、パレット交換条件が満たされると(ステップS106で「YES」)、交換対象に設定されたパレットPに対してパレット交換が実行される(ステップS107)。図8の例では、部品供給の開始直前における初期状態(ステップS101)から2時間が経過した時点では、補給マガジン54のパレットP22の部品残数がゼロになっており、パレット交換条件が満たされるとともに、固定マガジン55のパレットP31、P32、P33、P34の部品残数がゼロになっている。また、パレットP31、P32、P33、P34が収容する部品Ea、Eb、Ec、Edと同一種類の部品Ea、Eb、Ec、Edを収容するパレットP21、P23、P24、P25が補給マガジン54に存在し、パレットP31、P32、P33、P34は交換対象に設定されている。
【0060】
このパレット交換(ステップS107)は、交換対象に設定されたパレットP31、P32、P33、P34それぞれに対して実行される。ここでは、パレットP31に対するパレット交換を例に具体的に説明する。2台のパレット搬送装置61のうち、一方のパレット搬送装置61が固定マガジン55に装着された部品Eaに対応するパレットP31を引き出すとともに、他方のパレット搬送装置61が補給マガジン54に装着された同一種類の部品Eaに対応するパレットP21を引き出す。そして、一方のパレット搬送装置61は、固定マガジン55から引き出したパレットPを、空になった補給マガジン54のパレットスロットSに挿入し(パレット回収)、他方のパレット搬送装置61は、補給マガジン54から引き出したパレットPを、空になった固定マガジン55のパレットスロットSに挿入する(パレット準備)。このようにステップS107のパレット交換では、パレット回収に応じてパレット準備が実行され、パレット回収の対象となった部品Eaに対応するパレットPと、パレット準備の対象となった同一種類の部品Eaに対応するパレットPとが、補給マガジン54と固定マガジン55との間で入れ換えられる(パレット交換)。
【0061】
以上に説明した部品補給管理の第1例では、それぞれ複数のパレットPを収容可能な補給マガジン54と固定マガジン55(使用マガジン)とが具備されている。そして、固定マガジン55のパレットスロットS(使用スロット)から部品供給位置LsにパレットPが搬送されて、基板Bへの部品実装に使用されるパレットPが部品供給位置Lsに供給されるとともに、部品実装で必要な個数の部品Eが取り出されたパレットPが部品供給位置Lsから固定マガジン55に搬送される(ステップS101)。また、部品残数がゼロになったパレットPを固定マガジン55から補給マガジン54に搬送するパレット回収が実行されるとともに、パレット回収の対象となったパレットPに部品残数がゼロとなる前に収容されていた部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPを固定マガジン55に装着するパレット準備が、補給マガジン54から固定マガジン55にパレットPを搬送することで実行される(ステップS107)。したがって、パレット準備によって固定マガジン55に装着されたパレットPを使用して部品供給を継続しつつ、作業者は、パレット回収によって補給マガジン54に回収されたパレットPを取り出すことができる。こうして、部品残数がゼロになったパレットPが固定マガジン55内に発生した場合に、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットPを作業者により補給マガジン54から取り出すことが可能となっている。
【0062】
また、同一種類の部品Eを収容するパレットPを補給マガジン54と固定マガジン55との間で入れ換えるといった簡単な動作を実行すれば足りるため、例えば生産プログラムに基づいて入れ換えるパレットPを選定するといった演算が不要となり、制御を単純にできる。さらに、パレットPの入れ換えの前後で、パレットPにおいて部品Eが収容されるピッチが変わることもない。そのため、パレットPの入れ換えによって固定マガジン55に装着されたパレットPのピッチをチェックする必要もない。
【0063】
図9は部品供給装置で実行される部品補給管理の第2例を示すフローチャートであり、図10Aおよび図10B図9のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図である。図9の第2例のフローチャートは、制御部93によって、図7の第1例のフローチャートに続いて実行され、パレット交換の後にパレット保持装置5に部品Eを補給する態様を作業者に報知する。また、図10Aおよび図10Bの表記は図8のそれと同様である。ただし、図10Aおよび図10Bでは、単一のパレットスロットS(図3を参照)を有するパレット装着部51が併記されている。
【0064】
ステップS201では、パレット保持装置5に補給すべき部品Eのうちに、緊急補給部品が存在するかが判断される。具体的には、パレット交換(図7のステップS107)の後に実行される部品実装での部品Eの使用状況から所定時間以内に部品残数がゼロになると予測されるニア・エンプティ・パレットが固定マガジン55に装着された各パレットPのうちに存在するかが確認される。かかる予測は、例えば、部品実装でパレットPから部品Eを取り出す頻度(単位時間当たりに部品Eを取り出す個数)で、当該パレットPの部品残数を除算した値が所定時間以下か否かを判断することで実行できる。図10Aの例では、パレット交換後に固定マガジン55の1段目のパレットスロットSに装着されるパレットPが収容する部品Eaの個数は5個であり、僅少である。そのため、このパレットPがニア・エンプティ・パレットであると判断され、このパレットPに収容される部品Eaが緊急補給部品であると判断される(ステップS201で「YES」)。
【0065】
このように緊急補給部品がある場合には、ニア・エンプティ・パレットと同一種類の部品Ea(緊急補給部品)を収容するパレットPをパレット装着部51に装着することを示す内容が、UI94のディスプレイに表示される(ステップS202)。つまり、図10Aの例では、100個の部品Eaを収容するパレットPをパレット装着部51に装着するといった内容が表示される。
【0066】
また、ステップS203では、パレット交換(ステップS107)によって補給マガジン54に回収された各パレットP(P21、P22、P23、P24、P25)に対応する部品E(部品Ea、Eb、Eb、Ec、Ed)のうち、緊急補給部品(部品Ea)以外の部品E(部品Eb、Eb、Ec、Ed)を収容するパレットPを、補給マガジン54に装着することを示す内容がUI94のディスプレイに表示される。
【0067】
一方、ステップS201で緊急補給部品を収容するパレットPが固定マガジン55に存在しない(NO)と判断されると、ステップS204が実行される。このステップS204では、パレット交換(ステップS107)によって補給マガジン54に回収された各パレットP(P21、P22、P23、P24、P25)に対応する部品E(部品Ea、Eb、Eb、Ec、Ed)を収容するパレットPを、補給マガジン54に装着することを示す内容がUI94のディスプレイに表示される。
【0068】
以上に説明した部品補給管理の第2例では、パレット回収(ステップS107)が実行された後に実行される部品実装での部品Eの使用状況に応じて、パレットPを補給する補給作業に関する情報を作業者に報知するUI94が具備されている。かかる構成では、作業者は、UI94の表示内容を確認することで、パレット回収が実行された後に実行される部品実装での部品の使用状況に応じて、パレットPの補給作業を適切に実行することができる。
【0069】
また、パレット保持装置5では、パレットPを装着可能な単一のパレットスロットSを有するパレット装着部51(パレット補給部)が具備されている。したがって、パレット搬送機構6は、部品実装に使用されるパレットPを、パレット搬送装置61によりパレット装着部51から部品供給位置Lsに搬送し、ヘッドユニット3は、このパレットPから部品Eを取り出して基板Bに実装することができる。また、制御部93は、固定マガジン55に装着されたパレットPのうちに、以後に実行される部品実装での部品Eの使用状況から所定時間以内に部品残数がゼロになると予測されるニア・エンプティ・パレットが存在する場合には、ニア・エンプティ・パレットが収容する部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPをパレット装着部51に補給するように、UI94に報知させる(ステップS202)。かかる構成では、作業者は、ニア・エンプティ・パレットと同一種類の部品Eを収容するパレットPを、パレット装着部51の単一のパレットスロットSに装着するといった簡単な作業で、ニア・エンプティ・パレットの存在に迅速に対応することができる。したがって、ニア・エンプティ・パレットの部品切れによる部品供給の中断を回避することができる。
【0070】
また、制御部93は、固定マガジン55に装着されるパレットPのうちにニア・エンプティ・パレットが存在しない場合には、パレット回収の対象となったパレットPが収容していた部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPを補給マガジンに補給するように、報知部に報知させる。つまり、部品補給に緊急を要しない場合には、使用者は補給マガジン54にパレットPを適切に(すなわち、部品切れが発生しない時間内に)補給することができ、部品補給の緊急性に応じた態様でパレットPを補給できる。特に、補給が必要な各パレットPを一括して補給マガジン54に補給できるため、効率的に作業を実行できる。
【0071】
図11は部品供給装置で実行される部品補給管理の第3例を示すフローチャートであり、図12図11のフローチャートに伴って実行される動作の一例を模式的に示す図である。図11の第2例のフローチャートは、制御部93によって、図7の第1例のフローチャートに続いて実行され、パレット交換の後にパレット保持装置5に部品Eを補給する態様を作業者に報知する。また、図12の表記は図8のそれと同様である。
【0072】
ステップS301では、補給マガジン54に対するパレットPの複数の補給パターンR(n)が作成される(n=1、2、3、…)。ここで、補給パターンは、補給マガジン54のパレットスロットSと、当該パレットスロットSに装着するパレットPに収容される部品Eの種類との組み合わせを示し、複数の補給パターンは、互いに異なる組み合わせを有する。なお、同一種類の部品Eを収容する複数のパレットPの間で部品Eの収容個数が異なる場合には、パレットスロットSに装着するパレットPに収容される部品Eの種類と、種類毎の部品数との組み合わせを示してもよい。
【0073】
ステップS302では、最大時間Tmaxがゼロにリセットされる。また、ステップS303で、補給パターンRを識別する番号nがゼロにリセットされ、ステップS304で番号nが1だけインクリメントされる。
【0074】
ステップS305では、補給パターンR(n)に従って補給マガジン54にパレットPを補給して部品実装を実行した場合に、次に補給マガジン54へのパレットPの補給作業を実行するまでに経過する時間、すなわちパレット補給なしで基板生産を継続できる生産継続可能時間Tc(n)が算出される。この際、例えば上記のパレット交換条件が満たされるタイミングを、次に補給マガジン54への補給作業を実行するタイミングとして求めることができる。
【0075】
ステップS306では、ステップS305で算出した生産継続可能時間Tc(n)が最大時間Tmaxより長いかが判断される。生産継続可能時間Tc(n)が最大時間Tmaxより長い場合(ステップS306で「YES」の場合)には、生産継続可能時間Tc(n)を最大時間Tmaxに設定することで、最大時間Tmaxが更新されて(ステップS307)、ステップS308に進む。一方、生産継続可能時間Tc(n)が最大時間Tmaxより長くない場合(ステップS306で「NO」の場合)には、ステップS307を実行せずに、ステップS308に進む。
【0076】
ステップS308では、ステップS301で作成した複数の補給パターンR(n)の全てに対して、ステップS304~307を終了したかが判断される。そして、終了していない場合(ステップS308で「NO」の場合)には、ステップS304に戻って、番号nを1だけインクリメントする。こうして、複数の補給パターンR(n)の間で対象となる補給パターンR(n)を変更しつつ生産継続可能時間Tc(n)を算出し、最大時間Tmaxより長い生産継続可能時間Tc(n)の補給パターンR(n)が発見される度に、当該生産継続可能時間Tc(n)に最大時間Tmaxを更新する(ステップS304~S308)。
【0077】
複数の補給パターンR(n)の全てに対して、ステップS304~307を終了すると(ステップS308で「YES」)、最大時間Tmaxに対応する補給パターンRに従って補給マガジン54にパレットPを補給するといった内容が、UI94のディスプレイに表示される。図12の例は、部品実装において、部品Edの使用頻度が低い一方、部品Ecの使用頻度が高い場合に相当し、高頻度で使用される部品Ecを多量に補給マガジン54に補給するように指示することで、生産継続可能時間Tcが確保されている。
【0078】
以上に説明した部品補給管理の第3例においても、パレット回収(ステップS107)の後に実行される部品実装での部品Eの使用状況に応じて、パレットPを補給する補給作業に関する情報を作業者に報知するUI94が具備されている。かかる構成では、作業者は、パレット回収の後に実行される部品実装での部品の使用状況に応じて、パレットPの補給作業を適切に実行することができる。
【0079】
また、制御部93は、補給マガジン54のパレットスロットSに装着するパレットPに収容される部品Eの種類の組み合わせが異なる複数の補給パターンR(n)について、当該補給パターンR(n)でパレットPを補給してから以後の部品実装の実行に伴って必要となるパレットPの補給作業までの時間(生産継続可能時間Tc(n))を予測する(ステップS301~S308)。そして、制御部93は、こうして予測した結果、生産継続可能時間Tc(n)が最長となる補給パターンR(n)に従ってパレットPを補給マガジン54のパレットスロットSに補給するように、UI94に報知させる。かかる構成では、パレットPの補給作業が頻発するのを抑制して、作業者の作業負担を抑制できる。
【0080】
このように上記の実施形態では、パレット装着部51が本発明の「パレット補給部」の一例に相当し、補給マガジン54が本発明の「補給マガジン」の一例に相当し、補給マガジン54のパレットスロットSが本発明の「補給スロット」の一例に相当し、固定マガジン55が本発明の「使用マガジン」の一例に相当し、固定マガジン55のパレットスロットSが本発明の「使用スロット」の一例に相当し、制御部93が本発明の「制御部」の一例に相当し、UI94が本発明の「報知部」の一例に相当し、パレット搬送機構6が本発明の「パレット搬送機構」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、部品供給位置Lsが本発明の「部品供給位置」の一例に相当し、パレットPが本発明の「パレット」の一例に相当し、補給パターンR(n)が本発明の「補給パターン」の一例に相当し、部品供給装置9が本発明の「部品供給装置」の一例に相当する。
【0081】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、図13に示すフローチャートを、図7のフローチャートに代えて実行してもよい。ここで、図13は部品供給装置で実行される部品補給管理の第4例を示すフローチャートである。また、図13のフローチャートに伴って実行される動作の一例として、上記の図8を参照する。なお、上述の部品補給管理の第2例および第3例は、部品補給管理の第4例に続いて実行することができる。
【0082】
ステップS401では、パレット搬送装置61によってパレット保持装置5から部品供給位置LsにパレットPが引き出されて、部品実装で基板Bに実装される部品Eの供給が開始される。また、ステップS402では、残数カウントが開始される。
【0083】
そして、ステップS403では、パレット交換条件が満たされたかが確認される。そして、パレット交換条件が満たされると(ステップS403で「YES」)、固定マガジン55に装着されたパレットPのうちに、部品残数がゼロになった部品切れパレットPが存在するかが判断される。さらに、部品切れパレットPが存在する場合(ステップS403で「YES」の場合)、部品残数がゼロとなる前に、この部品切れパレットPに収容されていた部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPが補給マガジン54に装着されているかが判断される(ステップS405)。
【0084】
該当のパレットPが補給マガジン54に装着されている場合(ステップS405で「YES」の場合)、パレット交換が実行される(ステップS406)。図8の例では、パレット交換条件が満たされた2時間後の状態では、固定マガジン55に装着されたパレットP31、P32、P33、P34の部品残数がゼロである。そして、部品残数がゼロになる前にパレットP31、P32、P33、P34に収容されていた部品Ea、Eb、Ec、Edと同一種類の部品Ea、Eb、Ec、Edを収容するパレットP21、P23、P24、P25が補給マガジン54に存在する。したがって、上記と同じ要領で、これらに対してパレット交換が実行される。
【0085】
以上に説明した部品補給管理の第4例においても、部品残数がゼロになったパレットPを固定マガジン55から補給マガジン54に搬送するパレット回収が実行されるとともに、パレット回収の対象となったパレットPに部品残数がゼロとなる前に収容されていた部品Eと同一種類の部品Eを収容するパレットPを固定マガジン55に装着するパレット準備が、補給マガジン54から固定マガジン55にパレットPを搬送することで実行される(ステップS406)。したがって、パレット準備によって固定マガジン55に装着されたパレットPを使用して部品供給を継続しつつ、作業者は、パレット回収によって補給マガジン54に回収されたパレットPを取り出すことができる。こうして、部品残数がゼロになったパレットPが固定マガジン55内に発生した場合に、部品供給を継続しつつ、部品残数がゼロのパレットPを作業者により補給マガジン54から取り出すことが可能となっている。
【0086】
また、ステップS106やステップS403のパレット交換条件を適宜変更することができる。例えば固定マガジン55において部品残数がゼロになったパレットPの個数が所定個数に到達したという条件をパレット交換条件にしてもよい。これによって、作業者によるパレット交換の頻度を低く抑えることができる。
【0087】
また、パレット搬送装置61の個数は1台でも構わない。この場合、パレットPの交換は、補給マガジン54および固定マガジン55の一方に、空きのパレットスロットSを用意しておくことで実行できる。例えば、補給マガジン54に空きのパレットスロットSが用意されている場合には、固定マガジン55からパレットPを引き出して、この空きのパレットスロットSに装着するとともに、固定マガジン55から当該パレットPを引き出したパレットスロットSに、補給マガジン54から引き出したパレットPを装着することで、パレットPを交換できる。
【符号の説明】
【0088】
51…パレット装着部(パレット補給部)
54…補給マガジン
55…固定マガジン(使用マガジン)
6…パレット搬送機構
9…部品供給装置
93…制御部
94…UI(報知部)
B…基板
E…部品
Ls…部品供給位置
P…パレット
R(n)…補給パターン
S…パレットスロット(補給スロット、使用スロット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13