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特許7342262予め充填された注射器用の払出システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】予め充填された注射器用の払出システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230904BHJP
   B65G 33/06 20060101ALI20230904BHJP
   B65G 33/34 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
B65G33/06
B65G33/34
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2022527084
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020055909
(87)【国際公開番号】W WO2021096636
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】16/681,227
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505411125
【氏名又は名称】オムニセル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】トレホ、ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジン
(72)【発明者】
【氏名】メータ、ビクラム
(72)【発明者】
【氏名】モレノ、ジェラード
(72)【発明者】
【氏名】マッカイ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ターゲル、アリエル デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ハーン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ペイヤー、エリーザ
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02564552(US,A)
【文献】特表2020-532344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65G 33/06
B65G 33/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の物品を払い出すための払出機構であって、
アクチュエータを備えるディスペンサと、
カセットと、を備え、前記カセットは、
ねじ部を有する2つ以上の螺旋状オーガーと、
払い出される前記物品を、払い出される前記物品の長手方向軸が前記2つ以上の螺旋状オーガーの回転軸に対しほぼ垂直であり、かつ、払い出される前記物品が少なくとも部分的には前記オーガーの前記ねじ部内に受け入れられる状態で、保持するように構成されている2つ以上のチャネルと、
前記2つ以上の螺旋状オーガーと係合している駆動機構であって、前記2つ以上の螺旋状オーガーを回転させて、払い出される前記物品が前記オーガーの前記ねじ部によって駆動されて前記物品が前記払出機構から払い出されるべく前記物品を輸送するように構成されている、駆動機構と、
前記駆動機構のコンポーネントの回転位置を示すエンコーダと、を備え、前記エンコーダは、連続してギヤにおけるポケットへと落下し前記ポケットから動かされるように位置する、ばね荷重のかかったプランジャを含み、前記ディスペンサおよび前記カセットは、前記アクチュエータが前記駆動機構を駆動するように噛合可能である、払出機構。
【請求項2】
払い出される前記物品の各々は、少なくとも部分的には前記オーガーのうちの2つのオーガーの前記ねじ部内に受け入れられる、請求項1に記載の払出機構。
【請求項3】
前記2つ以上の螺旋状オーガーは、自身の回転軸が垂直であるように配置され、払い出される前記物品は、前記オーガーの前記ねじ部内にほぼ水平に保持される、請求項2に記載の払出機構。
【請求項4】
前記2つ以上の螺旋状オーガーを順番に駆動するように構成されている1つ以上のアクチュエータをさらに備える、請求項2に記載の払出機構。
【請求項5】
前記アクチュエータはモータである、請求項4に記載の払出機構。
【請求項6】
前記2つ以上の螺旋状オーガーの回転が前記物品を輸送し払い出すべく調整されるように、前記2つ以上の螺旋状オーガーに対し結合されている1組のギヤをさらに備える、請求項4に記載の払出機構。
【請求項7】
前記2つ以上の螺旋状オーガーのうちの第1のオーガーは右ねじであり、前記2つ以上の螺旋状オーガーのうちの第2のオーガーは左ねじである、請求項2に記載の払出機構。
【請求項8】
前記ディスペンサ、前記払出機構が設置されているキャビネットから電力および制御信号を受信するためのコネクタを備え、前記ディスペンサの底部に開口部を備え、前記開口部を通じて前記払出機構が前記物品を払い出すように構成されており、
記ディスペンサと前記カセットとは分離可能である、請求項2に記載の払出機構。
【請求項9】
前記キャビネットに対し取り外し可能に電気的および機械的に結合可能である、請求項8に記載の払出機構。
【請求項10】
前記2つ以上の螺旋状オーガーは、自身の回転軸が垂直であるように配置され、払い出される前記物品は、前記オーガーの前記ねじ部内にほぼ水平に保持され、前記ディスペンサは、
前記ディスペンサの前記底部にある前記開口部を横切るように向けられている光エミッタと、
前記光エミッタからの光を検出する1つまたは複数のレシーバと、をさらに備え、
前記光エミッタおよび前記1つまたは複数のレシーバは、前記1つまたは複数のエミッタのうちの1つ以上によって放射された前記光が払い出される前記物品が前記開口部を通過することによって遮断されるように位置する、請求項8に記載の払出機構。
【請求項11】
前記1つまたは複数のレシーバは、前記開口部の遠くの壁からのまたは払出中の物品からの反射された光を検出する、請求項10に記載の払出機構。
【請求項12】
前記1つまたは複数のレシーバは、前記エミッタのうちの1つまたは複数から直接受け取られる光を検出する、請求項10に記載の払出機構。
【請求項13】
前記カセットは、能動電気コンポーネントを備えない、請求項8に記載の払出機構。
【請求項14】
前記カセットは無線可読メモリを備え、
前記ディスペンサは、前記無線可読メモリを読み取るためのリーダを備える、請求項13に記載の払出機構。
【請求項15】
前記カセットは、前記カセットが前記ディスペンサから取り外されたときに自動的に係合する歯止めをさらに備え、前記歯止めは、前記歯止めが係合されているとき前記オーガーの動きを阻止する、請求項8に記載の払出機構。
【請求項16】
長尺状の物品を払い出すための払出機構であって、
ねじ部を有する4つの螺旋状オーガーと
払い出される前記物品を、払い出される前記物品の長手方向軸が前記4つの螺旋状オーガーの回転軸に対しほぼ垂直であり、かつ、払い出される前記物品が少なくとも部分的には前記オーガーの前記ねじ部内に受け入れられる状態で、保持するように構成されている3つのチャネルであって、前記3つのチャネルの各々は、払い出される1列の前記物品を保持するように構成されている、3つのチャネルと、
前記4つの螺旋状オーガーと係合している駆動機構であって、前記4つの螺旋状オーガーを回転させて、払い出される前記物品が前記オーガーの前記ねじ部によって駆動されて前記物品が前記払出機構から払い出されるべく前記物品を輸送するように構成されている、駆動機構と、を備え、
払い出される前記物品の各々は、少なくとも部分的には前記オーガーのうちの2つのオーガーの前記ねじ部内に受け入れられ
前記4つの螺旋状オーガーは、2つの前オーガーおよび2つの後オーガーとして、また2つの左オーガーおよび2つの右オーガーとして、構成されており、
前記3つのチャネルは、前記2つの左オーガーの部分を取り囲む左チャネル、前記2つの右オーガーの部分を取り囲む右チャネル、および、4つすべてのオーガーの部分を取り囲む中央チャネルとして構成されている、払出機構。
【請求項17】
前記4つの螺旋状オーガーのうちのいずれか1つが回転したとき4つすべてのオーガーが同時に回転するように、4つすべてのオーガーに対し結合されているギヤの組をさらに備える、請求項16に記載の払出機構。
【請求項18】
前記2つの左オーガーは第1のねじ回し方向を有し、前記2つの右オーガーは、前記第1のねじ回し方向とは反対の第2のねじ回し方向を有する、請求項17に記載の払出機構。
【請求項19】
前記右前オーガーおよび前記左後オーガーは、第1のねじ回し方向を有し、前記左前オーガーおよび前記右後オーガーは、前記第1のねじ回し方向とは反対の第2のねじ回し方向を有する、請求項17に記載の払出機構。
【請求項20】
長尺状の物品を払い出すための払出機構であって、
ねじ部を有する2つ以上の螺旋状オーガーと、
払い出される前記物品を、払い出される前記物品の長手方向軸が前記2つ以上の螺旋状オーガーの回転軸に対しほぼ垂直であり、かつ、払い出される前記物品が少なくとも部分的には前記オーガーの前記ねじ部内に受け入れられる状態で、保持するように構成されている2つ以上のチャネルと、
前記2つ以上の螺旋状オーガーと係合している駆動機構であって、前記2つ以上の螺旋状オーガーを回転させて、払い出される前記物品が前記オーガーの前記ねじ部によって駆動されて前記物品が前記払出機構から払い出されるべく前記物品を輸送するように構成されている、駆動機構と、
前記駆動機構を作動させる駆動ギヤと、を備え、物品は前記駆動機構から、前記駆動ギヤの90,90および180度の回転間隔にて払い出され、払い出される前記物品の各々は、少なくとも部分的には前記オーガーのうちの2つのオーガーの前記ねじ部内に受け入れられる、払出機構。
【請求項21】
長尺状の物品を払い出すための払出機構であって、
ねじ部を有する3つの螺旋状オーガーと
払い出される前記物品を、払い出される前記物品の長手方向軸が前記3つの螺旋状オーガーの回転軸に対しほぼ垂直であり、かつ、払い出される前記物品が少なくとも部分的には前記オーガーの前記ねじ部内に受け入れられる状態で、保持するように構成されている3つのチャネルであって、前記3つのチャネルの各々は、払い出される2列の前記物品を保持するように構成されている、3つのチャネルと、
前記3つの螺旋状オーガーと係合している駆動機構であって、前記3つの螺旋状オーガーを回転させて、払い出される前記物品が前記オーガーの前記ねじ部によって駆動されて前記物品が前記払出機構から払い出されるべく前記物品を輸送するように構成されている、駆動機構と、を備え
前記3つの螺旋状オーガーは、左オーガー、中央オーガー、および右オーガーとして構成されており、
前記3つのチャネルは、前記左オーガーを取り囲む左チャネル、前記中央オーガーを取り囲む中央チャネル、および、前記2つの右オーガーを取り囲む垂直チャネルとして構成されている、払出機構。
【請求項22】
前記3つの螺旋状オーガーは、前記3つの螺旋状オーガーの軸が垂直であるように配置されており、払い出される前記物品は、前記オーガーの前記ねじ部内にほぼ水平に保持される、請求項21に記載の払出機構。
【請求項23】
4つ以上のオーガーと、4つ以上のチャネルと、を備える、請求項21に記載の払出機構。
【請求項24】
駆動ギヤおよびそれぞれのオーガーギヤを含むギヤの組をさらに備え、前記ギヤの組は、前記駆動ギヤが回転すると前記3つの螺旋状オーガーが徐々に連続して回転するように配置されている、請求項21に記載の払出機構。
【請求項25】
前記それぞれのオーガーギヤの各々は歯が欠けている、請求項24に記載の払出機構。
【請求項26】
前記3つの螺旋状オーガーの各々についてそれぞれのタイミングギヤをさらに備え、
前記タイミングギヤの各々は、自身の高さの少なくとも一部について歯が欠けており、
前記タイミングギヤの各々は、前記タイミングギヤが回転するときに、前記タイミングギヤの欠けている前記歯と前記オーガーギヤの欠けている前記歯とが前記それぞれのオーガーの断続的な動きを生じさせるように、自身のそれぞれのオーガーギヤと係合している、請求項25に記載の払出機構。
【請求項27】
物品が、前記駆動ギヤの120度の回転ごとに払い出される、請求項24に記載の払出機構。
【請求項28】
前記ギヤの組における前記ギヤのうちの1つの回転位置をしめすエンコーダをさらに備える、請求項24に記載の払出機構。
【請求項29】
前記エンコーダは、前記ギヤの組の前記ギヤのうちの1つにおいて複数の平坦な反射面を含む、請求項28に記載の払出機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め充填された注射器用の払出システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業は、正確な在庫管理および安全な物品の払出に依存している。例えば、病院環境では、患者に正しい薬剤を正しい用量で投与することが最も重要である。これに加えて、規制物質が保管され正確に追跡されることが法的に要求されており、適切な業務管理を実行できるように薬剤および用品の在庫が追跡されることも重要である。
【0003】
薬剤および他の物品の管理を補助するために、種々の払出キャビネットおよび払出カートが開発されている。しかしながら、依然として、物品の払出と追跡との信頼性において改善が所望されており、物品の収納および払出に必要とされる空間量を低減することも所望されている。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様によれば、長尺状の物品を払い出すための払出機構は、ねじ部を有する2つ以上の螺旋状オーガーと、払い出される前記物品を、払い出される前記物品の長手方向軸が前記2つ以上の螺旋状オーガーの回転軸に対しほぼ垂直である状態で保持するように構成されている2つ以上のチャネルと、を備える。払い出される前記物品は少なくとも部分的には前記オーガーの前記ねじ部内に受け入れられる。前記払出機構は、前記2つ以上のオーガーと係合している駆動機構であって、前記2つ以上のオーガーを回転させて、払い出される前記物品が前記オーガーの前記ねじ部によって駆動されて前記物品が前記払出機構から払い出されるべく前記物品を輸送するように構成されている、駆動機構、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明が具体化され得る例示的なキャビネットを示す。
図2】本発明の実施形態に係る払出ユニットを示す図。
図3図2の一部分の詳細図。
図4A】払出機構によって完全に充填されている図2の払出ユニットを示す図。
図4B】払出機構の様々な組合せによって完全に充填されている図2の払出ユニットを示す図。
図5図4Aの完全充填された払出ユニット105の一部分の逆の角度から見た図。
図6】本発明の実施形態において使用可能である、大きさが異なる2つの予め充填された注射器を示す図。
図7】本発明の実施形態に従う、図6の注射器の一方を封入するべくともにスナップ結合するように寸法決定された、本体キャップとプランジャキャップとを示す図。
図8】本発明の実施形態に従う、注射器カプセルの完成されたアセンブリを示す図。
図9A】本発明の実施形態に従う、予め充填された注射器および他の類似形状の物品を払い出すための払出機構の上面図。
図9B】本発明の実施形態に従う、予め充填された注射器および他の類似形状の物品を払い出すための払出機構の下面図。
図10A】カセットからのディスペンサの分離を示す、図9Aおよび図9Bの払出機構の部分分解図。
図10B】カセットからのディスペンサの分離を示す、図9Aおよび図9Bの払出機構の部分分解図。
図11図10Aおよび図10Bのディスペンサの部分分解斜視図。
図12】部分的に切断された図10Aおよび図10Bのカセットの斜視図。
図13】本発明の実施形態に従う、図10Aおよび図10Bのカセットのオーガー、ギヤ、およびカプセルの直交図。
図14】本発明の実施形態に従う、図10Aおよび図10Bのカセットのオーガー、ギヤ、およびカプセルの直交図。
図15】本発明の実施形態に従う、図10Aおよび図10Bのカセットの1組のギヤの動作を示す図。
図16】部分的に切断された、本発明の他の実施形態に従うカセットの斜視図。
図17】本発明の実施形態に従う、図16のカセットのオーガー、ギヤ、およびカプセルの直交図。
図18】本発明の実施形態に従う、図16のカセットのオーガー、ギヤ、およびカプセルの直交図。
図19図17および図18のギヤの動作をより詳細に示す図。
図20】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類のエンコーダの動作を示す図。
図21】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類のエンコーダの動作を示す図。
図22】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類のエンコーダの動作を示す図。
図23】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類の歯止めの動作を示す図。
図24】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類の歯止めの動作を示す図。
図25】本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類の歯止めの動作を示す図。
図26】本発明の他の実施形態に従うカセットを示す図。
図27】いくつかのエンクロージャ部品が取り外されている、図26のカセットを示す図。
図28図26のカセットの側面図。
図29図26のカセットの端面図。
図30図26のカセットの1組のギヤの上斜視図。
図31図30のギヤの下斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、本発明が具体化され得る例示的なキャビネット100を示す。キャビネット100は、医療用品または薬剤などの物品を収納するための区画へのアクセスを提供する種々のドア101および引出102を備える。例えば、包帯、綿棒などの用品は、ドア101のうちの1つを通じてアクセスされ得るような、ロックされていない区画に収納されてよい。薬剤は、引出102などの引出内のロック可能な区画に個々に収納されてよい。コンピュータ103は、キャビネット100の内容物の記録を維持し、個々の区画へのアクセスを制御してよい。例えば、入院患者のために薬剤の1回分の用量を得る必要がある病棟看護師は、自身の識別情報および必要な薬剤をコンピュータ103に入力してよい。コンピュータ103は、看護師に薬剤を取り出す権限があることを確認して、特定の引出102と必要な薬剤を収容する引出内の特定の区画とをロック解除する。コンピュータ103はまた、正しい薬剤が払い出されることを確実にする助けになるように、看護師を正しい引出および区画へと案内する光を制御してよい。これに加えて、コンピュータ103は、キャビネット100などの多くの収納および払出デバイスからの情報を調整する中央コンピュータシステムと通信してよい。
【0007】
本発明の実施形態は固定式キャビネット100の文脈において記載されるが、本発明が他の種類の収納デバイス、例えば、可動キャビネット、カート、収納室などにおいて具体化されてよいことが認識される。例示的な払出デバイスは、以下の同一出願人が所有する米国特許および特許出願、すなわち、リップス(Lipps)に対して2001年8月7日に発行された米国特許第6272394号明細書、リップスに対して2002年5月7日に発行された米国特許第6385505号明細書、リップスに対して2004年7月6日に発行された米国特許第6760643号明細書、リップスに対して1998年9月8日に発行された米国特許第5805455号明細書、リップスに対して2003年8月19日に発行された米国特許第6609047号明細書、ハイアム(Higham)らに対して1998年9月8日に発行された米国特許第5805456号明細書、ハイアムらに対して1998年4月28日に発行された米国特許第5745366号明細書、ハイアムらに対して1999年5月18日に発行された米国特許第5905653号明細書、ゴドレウスキ(Godlewski)に対して1999年7月27日に発行された米国特許第5927540号明細書、ホームズ(Holmes)に対して2000年3月21日に発行された米国特許第6039467号明細書、ホームズらに対して2003年10月28日に発行された米国特許第6640159号明細書、アーノルド(Arnold)らに対して2000年11月21日に発行された米国特許第6151536号明細書、ブレッチェル(Blechl)らに対して1995年1月3日に発行された米国特許第5377864号明細書、ブレッチェルに対して1993年3月2日に発行された米国特許第5190185号明細書、ダンカン(Duncan)らに対して2005年12月13日に発行された米国特許第6975922号明細書、ダンカンらに対して2009年8月4日に発行された米国特許第7571024号明細書、ダンカンらに対して2010年11月16日に発行された米国特許第7835819号明細書、ホームズに対して2000年1月4日に発行された米国特許第6011999号明細書、ハイアムに対して2008年3月25日に発行された米国特許第7348884号明細書、ハイアムに対して2010年3月9日に発行された米国特許第7675421号明細書、ウィルソン(Wilson)らに対して2001年1月9日に発行された米国特許第6170929号明細書、2012年4月10日に発行された、ファールベルク(Vahlberg)らに対する米国特許第8155786号明細書、2011年12月6日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8073563号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319577号明細書、2012年3月20日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8140186号明細書、2012年2月28日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8126590号明細書、2011年9月27日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8027749号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319790号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319789号明細書、2012年3月6日に発行された、ファールベルクらに対する米国特許第8131397号明細書、2008年12月25日に公開された、ファールベルクらの米国特許出願公開第2008/0319579号明細書、および2010年2月18日に公開された、レビー(Levy)らの米国特許出願公開第2010/0042437号明細書において記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態は、これらの文献において記載されているデバイスの特徴を任意の実現可能な組合せにて組み込んでよい。
【0008】
上記の状況において、看護師には、多用量の薬剤を有する区画へのアクセスが与えられてよく、看護師は直ぐに必要な数を取り出してよい。
キャビネット100はまた、返却ビン104を備え、後に薬局の担当者が在庫に戻すために、未使用の物品がこの返却ビンへと入れられることが可能である。
【0009】
さらなる制御および追跡の精度が必要である場合には、薬剤が払出ユニット105などの払出ユニットに配置されてよい。払出ユニット105は、補充用引出106と払出用引出107とを含む。補充用引出は、今度は、コンピュータ103の制御下にて単一の物品を払出用引出107内へと払い出すことが可能である複数の払出機構(図1においては視認できない)を備える。次いで、払い出された物品を回収するために、払出用引出107を開放することが可能である。補充用引出106は、特別な権限のある者によって(例えば、薬局の担当者が補充のために)しかアクセス可能でない。
【0010】
図2は、補充用引出106と払出用引出107とを備える払出ユニット105をより詳細に示す。複数の払出機構は、これらの払出機構をレール201に取り付けることにより補充用引出106内に設置されてよい。図2には、少数の払出機構202、203、204しか示されていない。以下により詳細に述べるように、払い出される物品の種類に応じて、異なるタイプの払出機構が存在してよい。異なる種類の払出機構は、異なる大きさであってよく、レール201は、レール201を異なる組のハンガー205に固定することにより、特定の組合せの払出機構を必要に応じて収容するように構成されてよい。
【0011】
例えば、払出機構203は、ベイ2つの幅であるレール間に配置される、2倍幅の機構であり、一方、払出機構202および204は、隣接する組のハンガー205に対して接続されるレール201間に配置される、1倍幅の機構である。他の大きさのディスペンサ、例えば、3倍および4倍の幅も可能である。
【0012】
図2はまた、払出用引出107と補充用引出106とが入れ子状の1対の引出を形成することを示す。すなわち、補充用引出106は、補充、保守管理などのためのガイド206上を、キャビネット100の外に摺動することが可能であり、補充用引出106と共に払出用引出107を支える。同様に、払出用引出107は、図2では容易に視認できない同様のガイド上を、補充用引出106に出入りするように摺動することが可能である。
【0013】
いくつかの実施形態において、払出用引出107は、便宜上、キャビネット100または同様のデバイスのユーザのための作業面としての役割を果たしてよい。例えば、物品が払出用引出107へと払い出され、ユーザが物品を回収するために払出用引出107を開放したら、ユーザは、処理を文書化するかまたは処理に関するメモを作成するためにユーザが使用し得るメモ帳、コンピュータ、または他の物品を載置するために、払出用引出107の平坦な底部を使用してよい。払出ユニット105は、作業面としての払出用引出107の使用を容易にするための特徴を備えてよい。例えば、ガイドまたは他のスライド機構(これにより払出用引出107が開放する)は、払出用引出107が作業面として使用されている間に払出用引出107に安定性を与えるために、払出用引出107の最も開放した位置に戻り止めを備えてよい。
【0014】
図3は、電気コネクタ301が各ハンガー205に位置することを示す、図2の一部分の詳細図である。各コネクタ301は、それぞれのハンガー205に位置決めされているレール201内の配線に取り付けられた相手側コネクタと接続し、キャビネット100内の他のシステムからの電力および信号を供給する。他のコネクタ302は、払出機構202、203、および204などの払出機構との電気的接続を行うために、レールに沿って間隔をおいて配置される。必要な電気的接続を達成するために、各レール201は、配線用ハーネス、プリント回路基板アセンブリ(PCBA)、などを収納してよい。したがって、コンピュータ103は、補充用引出106内の任意の払出機構と個々に通信することが可能である。全てのコネクタからの配線は、払出ユニット105の背面にある回路基板(視認できない)に集まり、この回路基板は、今度は、1つまたは複数のフレキシブルケーブル(図3では視認できない)を介してキャビネット100内の他の電子部品に接続し、この電子部品は、補充、保守管理などのために払出ユニット105がキャビネット100の外に出るように摺動することを可能とする。
【0015】
図4Aは、レール201上の利用可能な空間を完全に満たす、7個の払出機構202、14個の払出機構203、および7個の払出機構204によって完全に充填されている払出ユニット105を示す。払出ユニットのこの配置は利用可能である払出ユニットの多くの配置のうちの一例にすぎないことが認識される。例えば、補充用引出106は、払出ユニットにより完全に満たされていなくてよい。1種類もしくは異なる2種類の払出機構しか存在しなくてよく、または4種類以上の払出ユニットが存在してよい。異なる種類の払出ユニットは、任意の実現可能な比率で存在してよく、類似の払出ユニットは互いに隣接して設置される必要はない。例示的な払出ユニット105は、(2つの追加のレール201が設置された状態で)1倍幅の最大42個の払出機構を保持することが可能である。この一例が図4Bに示されており、図4Bでは、払出ユニットには42個の払出機構202が充填されている。
【0016】
好ましくは、各払出ユニットは、自身のそれぞれのコネクタ302を通じて自身を識別することが可能であり、コンピュータ103は、設置される払出ユニットの特定の配置のマップを作成することが可能である。コンピュータ103はまた、好ましくは、それぞれのコネクタ302を通じてまたは別個のセンサにより、ベイ位置の任意の1つにおいて払出ユニットの存在を検出することが可能である。これに加えて、各払出ユニットは、好ましくは、払出ユニットが収容し払い出す準備の整った物品の種類および数量をコンピュータ103に通信することも可能である。
【0017】
図5は、補充用引出106の背面パネル501を示しており、図4Aの完全充填された払出ユニット105の一部分の逆の角度から見た図である。好ましくは、補充用引出106と払出用引出107との両方は、不適切な時間帯における引出の開放を防止するために、コンピュータ103により操作可能なラッチ機構を備える。例えば、コンピュータ103は、コンピュータ103が補充担当者から適切なセキュリティコードを受け取った後にしか補充用引出106が開放されないことを可能としてもよく、また、物品が払出機構202、203、204のうちの1つから払い出された後にしか払出用引出107が開放されないことを可能としてよい。図5では、補充用引出106をロックおよびロック解除するためのラッチ機構502を視認できる。同様のラッチ機構が、払出用引出107をロックおよびロック解除するために、補充用引出106の内側に設けられてよい。図5では、1つもしくは複数のフレキシブルケーブル(図示せず)を通じて、キャビネット100内の他の電子部品、例えば、電源、コンピュータ103、または他の電子コンポーネントに接続するための種々のコネクタ503も視認できる。
【0018】
多様な払出機構が、異なる種類の物品、例えば、注射器、バイアル、ブリスターパックにおける1回分の薬用量などを払い出すために開発されている。複数のそうした払出機構は、2017年11月14日に発行された、ウィルソンらに対する米国特許第9818251号明細書、2019年4月16日に発行された、ウィルソンらに対する米国特許第10262490号明細書、2019年5月2日に公開された、ウィルソンらの米国特許出願公開第2019/0130692号明細書、2019年2月28日に公開された、ウィルソンらの米国特許出願公開第2019/0060175号明細書、2019年4月9日に発行された、ウィルソンらに対する米国特許第10251816号明細書、2019年2月28日に公開された、ウィルソンらの米国特許出願公開第2019/0062038号明細書、および、2019年6月25日に発行された、ウィルソンらに対する米国特許10327996号明細書において記載されており、これらの内容はあらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
しかしながら、それらの文献に記載されている払出機構は、他の形状を有する特定の他の物品を払い出すのに適さないことがある。例えば、いくつかの薬剤は、予め充填された注射器において利用可能である。図6は、大きさが異なる2つの予め充填された注射器601および602を示す。他の大きさが可能であるが、注射器601は、1mlの用量の以前に調製された薬剤を運ぶ「1ミリリットル」(1ml)注射器であってよく、注射器602は、2mlの用量の薬剤を運ぶ「2ミリリットル」(2ml)注射器であってよい。注射器601および602の各々は、薬剤を収容する本体603と、注射器を注入ポートまたはニードルに接続するためのルアーコネクタ604と、プランジャ605と、を有する。明らかであるように、2ml注射器602の本体603は、より多くの薬剤を貯蔵するように、1ml注射器601の本体603よりも長い。したがって、2ml注射器602のプランジャ605は、より長い本体から薬剤の全てを排出することを可能とするように、1ml注射器602のプランジャ605よりも長い。好ましくは、本発明の実施形態において使用可能である注射器は、直径が同一または類似である。
【0020】
予め充填された注射器は、病院または他の保健施設における薬剤管理を単純化し得る。薬剤はすでに適切な注射器にある状態で購入されることが可能であるため、保健施設にて薬剤を調合するまたは注射器を充填させる必要がなく、時間を節約し、潜在的な過ちを回避する。注射器は、様々な薬剤を様々な用量にて保持するのに利用可能であってよい。予め充填された注射器は、薬剤の追跡を単純化し薬剤の誤りを回避することが特に重要である麻薬などの制御された物質にとって、特に魅力的であってよい。
【0021】
払出中の保護のため、注射器601または注射器602などの注射器は、保護カプセルに配置されてよい。図7は、注射器601を封入するべくスナップ結合するように寸法決定された、本体キャップ701とプランジャキャップ702とを示す。本体キャップ701およびプランジャキャップ702は、好ましくは、ポリプロピレンなどの高価でなく除菌可能なポリマーから作製されてよいが、任意の適切な材料が用いられてよい。本体キャップ701およびプランジャキャップ702は、使い捨てであり1回しか使用されなくてよく、または再利用可能であってよい。図8は、注射器カプセル801の完成されたアセンブリを示す。同様の(しかしながら、より長い)カプセルが、より長い注射器602用に提供されてよい。
【0022】
以下の説明では、語句「注射器」または語句「カプセル」は、注射器とその保護カプセルとの組合せを呼ぶように用いられることがあり得る。例えば、カプセルにおける注射器が払い出されるとき、これは、注射器を単純に払い出すまたはカプセルを払い出すことを呼び得る。
【0023】
図9Aおよび図9Bは、本発明の実施形態に従う、予め充填された注射器および他の類似形状の物品を払い出すための払出機構900の上面図および下面図を示す。
図9Aにおいて視認できるように、払出機構900の頂部におけるボタン901は、補充用引出106の内部にアクセスする権限があるユーザがコンピュータ103に信号を送ること、例えば、払出機構900が補充されていることを記録することを可能にする。光902は、コンピュータ103がユーザと通信できるように提示されてよく、例えば、この特定の払出機構を補充するようにユーザに指示するために光を点滅させる。
【0024】
図9Bで視認できるように、レール201におけるコネクタ302に適合するコネクタ903は、払出機構900が補充用引出106に設置されたときにコネクタ302のうちの1つに係合するように位置決めされる。払出機構900の種々の部品は全体として、払出機構900の底部に開口部904を形成するハウジングを構成し、この開口部904を通して物品が払い出される。払出機構900は、スナップ機構、1つもしくは複数のねじ、または別の方法を用いて、レール201のうちの1つに取り外し可能に固定されてよい。
【0025】
図10Aおよび図10Bに示されるように、例示的な払出機構900は、ディスペンサ1001とカセット1002とを備え、これらは分離可能である。例えば、ディスペンサ1001およびカセット1002は、スナップ結合してよく、1つまたは少数のねじの取り外しにより分離可能であってよく、またはディスペンサ1001もしくはカセット1002のいずれにも損傷を与えずにいくつかの他の方法により適切に分離可能であってよい。このように、空になったカセット1002を満杯のカセット1002と交換することにより補充が行われてよい。カセット1002におけるギヤ1003は、カセット1002がディスペンサ1001に対し組み付けられたときに、ディスペンサ1001内の駆動ギヤ1004に係合する。
【0026】
好ましくは、以下により詳細に述べるように、カセット1002は能動電気コンポーネントを備えない。例示的な払出機構900の能動コンポーネントのすべては、ディスペンサ701に存在してよい。例えば、アンテナ1005は、カセット1002における受動メモリチップ1006を励起して、カセット1002の内容物(遠隔地にてカセット1002が充填されたときに受動メモリチップ1006へと書き込まれた)を判別することが可能である。所望に応じて、受動メモリチップ1006におけるデータを更新するために、アンテナ1005を用いることも可能である。この無線データ交換は、任意の適切な無線プロトコル、例えば、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、または別の無線プロトコルを用いてよい。
【0027】
ディスペンサ1001は、好ましくは、カセット1002の設置および取り外しを自動的に検出することが可能である。この自動検出は、物品の在庫管理および追跡を容易にし、また物品の不正流用を防止する助けになり得る。この検出は、任意の適切な手法、例えば、アンテナ1005を用いた定期的なポーリング、カセット1002の存在を電気機械的に検出することが可能である接触センサ(図示せず)、または別の技術によって行われてよい。
【0028】
他の実施形態では、本発明の実施形態に係る払出機構は、払出機構900の分離可能なアーキテクチャを有さなくてよいが、払い出される物品を収納するための空間を含むとともに物品を払い出すためのアクチュエータおよび他のコンポーネントを備える、単一ユニットであってよい。カセットを含む他の実施形態では、カセットは、能動コンポーネント、例えば、モータもしくは他のアクチュエータ、センシング用の光エミッタ、または他のコンポーネントを備えてよい。
【0029】
図10Aにおいて視認できるように、光エミッタ1007および1つまたは複数の光レシーバ1008は、ディスペンサ1001の底部近傍に位置決めされる。動作時に、光エミッタ1006からの光は、反射面1009(図10Bにおいて視認できる)から反射し、払い出される物品であって開口部904を横切るように形成された「光のカーテン」を通って落下する物品により光が遮断されない限り、光レシーバ1008に戻る。物品が開口部904を通して払い出されるときに、物品は、光レシーバ1008の一方または両方によって受光される光を遮断し、ディスペンサ1001は、物品が実際に払い出されたことを知ることが可能である。物品を払い出すコマンドにもかかわらず光の遮断が検出されない場合には、コンピュータ103は、ミスフィードまたは他の問題が発生しているかまたはカセット1002が空であると仮定してよい。より精巧な監視戦略を用いることによって、複数の物品の偶発的な払出が検出されてよい。例えば、光のカーテンの2回の遮断が短い時間間隔にて検出された場合には、ダブルフィードが表示されてよい。エミッタ1007は、任意の適切な種類のエミッタであってよく、任意の適切な波長または波長の組合せの光を放射してよい。例えば、光エミッタ1007は、発光ダイオード、垂直共振器半導体発光レーザ(VCSEL)などのレーザ、または別の種類の光源であってよく、可視光、赤外光、または他の適切な波長帯域もしくは波長帯域の組合せの光を放射してよい。
【0030】
他の実施形態では、物品の払出によって光が遮断されるまでレシーバ1008が光エミッタ1007から直接光を受け取るように、光エミッタ1007およびレシーバ1008は、開口部904の反対側同士にあってよい。
【0031】
図11は、ディスペンサ1001の一部の内部詳細を明らかにする、ディスペンサ1001の部分分解斜視図を示す。モータ1101は、プリント回路板1102に取り付けられており、駆動ギヤ1004を回転させ、この駆動ギヤ1004が、カセット1002上のギヤ1003に係合して、カセット1002を作動させる。モータ1101は、例えば、ステッピングモータであってもよく、このステッピングモータの角度位置を徐々に動かすことと保持することとを容易に行うことが可能である。その場合、1回の払出動作に対応すると分かっているステップ数でモータ1101を前進させることにより、物品が払い出されてよい。物品が払い出されることを光のカーテンが検出しない場合には、モータ1101をさらに前進させてよく、払出がまだ検出されない場合には、エラーメッセージを生成してよく、またはカセット1002が空であると仮定してよい。これに代えて、モータ1101は、単純な直流または交流モータであってよく、この場合には、必要な場所までモータ1101を徐々に前進させるために、物品の払出が検出されるまで単にモータ1101を動かし、次いで、モータを停止することによって、払出が行われてよい。制限時間が課されてよく、モータ1101が動いている制限時間内に払出が検出されない場合には、モータが停止されエラーメッセージが生成されてよい。他の実施形態では、モータまたは別のコンポーネントにエンコーダが提供されてよく、モータの回転位置または払出機構の状態についてのフィードバックを提供してよい。
【0032】
他の実施形態では、モータ以外のアクチュエータが用いられてよい。例えば、ソレノイドアクチュエータまたは形状記憶金属アクチュエータは、ラチェットまたはラチェット状の構成を用いてディスペンサ1001内の駆動ギヤを駆動するように用いられる往復運動を提供してよい。他の種類のアクチュエータおよび駆動構成も可能である。
【0033】
マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または同様の制御回路がディスペンサ1001内に存在してよく、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからのまたはコンピュータ103からの高レベルコマンドに応答して、ディスペンサ1001の種々の能動コンポーネントおよびセンサを動作させてよい。その場合、ディスペンサ1001は、いくつかの処理知能を備えるため、「スマート」ディスペンサと見なされる。しかしながら、他のアーキテクチャも可能である。例えば、補充用引出106内の他の場所にある監視用コントローラからの論理信号が、ディスペンサ1001を動作させてよい。
【0034】
上で述べたように、払出機構900は、好ましくはカプセル801などの保護カプセルに封入される、予め充填された注射器を払い出すのに特に有用であり得る。
図12は、内側に収納されている複数の注射器カプセル801を明らかにするべく部分的に切断された、本発明の実施形態に従うカセット1002の斜視図を示す。内部配置を見るために、カセット1002は、注射器カプセル801により部分的にしか充填されずに示される。図12に示されるカプセル801は、1ml注射器601を保持する。取外し可能なスペーサ1214が、より短いカプセル801を長手方向に拘束するように、カセット1002のドア1215に取り付けられている。2ml注射器602を払い出すことが所望されるとき、スペーサ1214を取り外すことが可能である。
【0035】
カセット1002は、4つのオーガーを水平垂直配置にて備える。図12は、右前オーガー1201、右後オーガー1202、および左前オーガー1203が視認できる。左後オーガー1204も存在するが、図12では視認できない。3列のカプセル801を収納するための3つの垂直チャネルが、オーガー、カセット挿入部1212、およびカセット1002のハウジングに形成された部分分割部1213のうちの1つまたは複数によって形成される。カプセル801は、カプセル801の長手方向軸が軸に対しほぼ垂直な状態にて収納される。
【0036】
1組のギヤ1205は、右前オーガー1201に対し固定された右前オーガーギヤ1206を備え、右前オーガーギヤ1206が回転させられたときに右前オーガー1201が回転する。同様に、右後オーガーギヤ1207は右後オーガー1202に対し固定されており、左前オーガーギヤ1208は左前オーガー1203に対し固定されており、左後オーガーギヤ1209は左後オーガー1204に対し固定されている。左後オーガーギヤ1209は、ギヤ1003および左後オーガーギヤ1209と係合している。右アイドラーギヤ1210および左アイドラーギヤ1211は、それぞれ前オーガーギヤおよび後オーガーギヤに対し結合している。したがって、ギヤ1003がディスペンサ1001の駆動ギヤ1004によって駆動させられると、カセット1002における4つすべてのオーガーが同期して回転し、以下により詳細に説明されるように、カプセル801をカセット1002の底部に向かって下方に動かす。
【0037】
語句「左」、「右」、「前」および「後」は、任意に割り当てられ、他の実施形態において異なって割り当てられてよいことが認識される。同様に、語句「上」、「下」、「頂部」、「底部」、「垂直」、「水平」などは、図面における払出機構の位置を呼ぶ。本発明を具体化する払出機構は、他の配向にて用いられてよい。
【0038】
図13および図14は、図12に示される方向からの、カセット1002のオーガー、ギヤ、カプセルの直交図を示す。右後オーガー1202および左後オーガー1204は、図13において視認できるが、前オーガーは視認できない。右後オーガー1202および右前オーガー1201は、図14において視認できるが、左オーガーは視認できない。
【0039】
図13に示されるように、左右のオーガーは異なるねじ回し方向を有する。左後オーガー1204は左ねじであり、一方、右後オーガー1203は右ねじである。しかしながら、図14に示されるように、右前オーガー1201および右後ろオーガー1202は右ねじである。
【0040】
図15は、ギヤ1205の動作を示す。ギヤ1003は、駆動ギヤ1004およびモータ1101によって反時計方向(カセット1002の頂部から見て)に駆動させられ、左後オーガーギヤ1209および左後オーガー1204は、時計方向に駆動させられる。左後オーガーギヤ1209が右後オーガーギヤ1207と係合しているため、右後オーガーギヤおよび右後オーガー1202は反時計方向に回転する。左後オーガー1204は左ねじである(図13に示されるように)ため、左後オーガー1204を時計方向に回転させるとカプセル801を下方に動かす。また、右後オーガー1202は右ねじである(図13に示されるように)ため、右後オーガー1202を反時計方向に回転させるとカプセル801を下方に動かす。
【0041】
右アイドラーギヤ1210および左アイドラーギヤ1211は、後オーガーギヤ1207および1209の回転を前オーガーギヤ1206および1208へと移す。これによって、カセット1002の右側にあるオーガー(オーガー1201および1202)が同一方向に回転し、カセット1002の左側にあるオーガー(オーガー1203および1204)も同一方向に回転し、しかしながら他方側にあるオーガー同士の方向は反対となることを保証する。カセット1002の両側にあるオーガーのねじ回し方向が異なり、回転方向が異なるため、両方の組のオーガーがカプセル801を下方に動かす。
【0042】
同一の効果を達成するために、ギヤ1003の回転の方向が反転され、オーガーのすべてのねじ回し方向が反転されることが可能であることが理解される。
再び図13を参照すると、3列のカプセル801が、下方に並行して同一のレートにて進行する。左右の底部のねじ部にある平坦面1301は位相がずれている。その結果、通路が形成され、重力によって複数列のうちの1行からカセット1002を出るように、ギヤ1003の90,90および180度の回転間隔にて、カプセル801が落下することを可能とする。他の実施形態では、本発明を具体化する払出機構は、オーガーが物品をカセットから押し出すように、別の配向にて用いられてよい。
【0043】
図16は、内側に収納されている複数の注射器カプセル801を明らかにするべく部分的に切断された、本発明の実施形態に従うカセット1601の斜視図を示す。カセット1002と比較すると、カセット1601の外側寸法は同一であるが、内側においてカプセル801の下方の動きを達成するために異なるオーガーおよびギヤを用いる。例えば、図16において視認できるように、ギヤの組1602は、図12に示されるギヤの組1205とは異なる。これに加えて、以下により詳細に説明されるように、右後オーガー1603は右前オーガー1604とは異なるねじ回し方向を有する。
【0044】
図17および図18は、図16に示される方向からの、カセット1601のオーガー、ギヤ、カプセルの直交図を示す。右後オーガー1603および左後オーガー1605は、図17において視認できるが、前オーガーは視認できない。右後オーガー1603および右前オーガー1604は、図18において視認できるが、左オーガーは視認できない。
【0045】
図17に示されるように、左右の後オーガーは異なるねじ回し方向を有する。左後オーガー1605は右ねじであり、一方、右後オーガー1603は左ねじである。しかしながら、図18に示されるように、右前オーガー1604も右ねじであり、右後ろオーガー1603とは異なる。視認できないが、左前オーガーも左螺子であり、対角のオーガーは同様のねじである。
【0046】
図17および図18のねじ回し方向の構成を有するオーガーは、図19においてより詳細に示されるように、ギヤ1602と協働して動作する。ギヤ1901は、ギヤ1003と同様であり、ディスペンサ1001のギヤ1004によって駆動させられるように位置決めされる。ギヤ1901は、左後オーガーギヤ1902と係合する。左後オーガーギヤ1902は、左後オーガー1605と結合される。左後オーガー1605は、右ねじである。ギヤ1901が、示されるように時計方向(上から見て)に回転させられると、左後オーガー1605は反時計方向に回転する。
【0047】
左後オーガーギヤ1902は、中央アイドラーギヤ1903に対し結合されている。中央アイドラーギヤ1903は、同様に、右前オーガーギヤ1904を駆動し、右前オーガー1604を左後オーガー1605と同一方向に回転させる。この実施形態では対角オーガーが同一のねじ回し方向を有するため、その両方が任意のカプセル801を下方に動かす。
【0048】
左前オーガーギヤ1905は、右前オーガーギヤ1904と係合するとともに右前オーガーギヤ1904によって駆動させられ、したがって、反対方向に回転する。左前オーガー1906は、したがって、時計方向に回転し、左ねじであり、カプセル801を下方に動かす。
【0049】
同様に、右後オーガーギヤ1907は、左後オーガーギヤ1902と係合するとともに左後オーガーギヤ1902によって駆動させられ、したがって、対角にある反対の左前オーガー1906と同一方向に回転する。アイドラーギヤ1903は、自身の高さの上部にしか歯を有さず、オーガーギヤ1905および1907は、自身の高さの下部にしか歯を有さず、その結果、オーガーギヤ1905および1907は、アイドラーギヤ1903と干渉しない。
【0050】
図16図19の実施形態では、注射器は、ギヤ1901の90,90および180度の回転間隔にて払い出される。一元的な払出が、任意の適切な手法により達成されてよい。例えば、モータ1101はステッピングモータであってよく、次の払出に必要とされるように、オーガーを90または180度回転させるのに必要とされる複数のステップで駆動されてよい。または、モータ1101は、注射器の払出がディスペンサ1001の底部にある光カーテンによって検出されるまで、駆動されてよい。
【0051】
他の実施形態では、本発明の実施形態に従うカセットのコンポーネントは、オーガーの位置が知られるように、エンコーダと嵌合されてよい。
図20図21および図22は、本発明の実施形態に従う、1つの例示的な種類のエンコーダの動作を示す。図20は、カセット1601の一部分の上斜視背面図を示す。開口部2001が、カセット1601の後壁2002に形成されている。後壁2002は、カセット1601がディスペンサ1001と結合されるときにディスペンサ1001と噛合する壁である。開口部2001は、ギヤ1901のすぐ下にある。光センサ(図示せず)は、開口部2001と位置整合されるように、ディスペンサ1001に存在してよい。
【0052】
図21は、カセット1601の一部分の下斜視背面図を示す。ギヤ1901は、傾斜のある複数のポケット2101を底面に有する。この実施例では、ポケット2101は、回転方向に90,90および180度離間しており、物品がカセット1601から払い出されるギヤ1901の位置に対応している。ばね荷重のかかったプランジャ2102は、ギヤ1901の底面に対し載置され、ポケット2101がプランジャ2102を通すようにポケット2101へと「落下」(上方に)する。プランジャ2102は、反射ターゲット2103を支持するが、ターゲット2103を取り囲むプランジャ2102の部分は、相対的に無反射(例えば、黒色プラスチックから成形された)である。プランジャ2102がポケット2101のうちの1つへと落下するたびに、ターゲット2103は開口部2001を通じて視認できるようになる。
【0053】
図21は、上方位置にあるプランジャ2102を示し、ターゲット2103は開口部2001を通じて視認できる。図22は、下方位置にあるプランジャ2102を示し、ターゲット2103は開口部2001を通じて視認できない。
【0054】
ディスペンサ1001内の光源およびセンサ(図示せず)は、注射器が払い出されることが可能である位置にいつカセット1601が到達したかを検出するように、ターゲット2103を検出することが可能である。ギヤ1901がそうした位置にないとき、プランジャ2102は、ポケット2101の後縁にある傾斜によって下方に押され、その結果、反射ターゲット2103は、もはや開口部2001を通じて視認できなくなる。ターゲット2103の位置を読み取るセンサは、したがって、カセット1601の構成についてのフィードバックを提供する。注射器物品を払い出すために、モータ1101は、ターゲット2103がディスペンサ1002によって見られるまで駆動させられてよく、その後、モータ110が停止してよい。注射器の払出は、カセット1601の底部にある光カーテンからの信号によって確認されてよい。払い出されていない物品が光カーテンによって検出された場合、ギヤ1901を次の払出位置に前進させてよい。
【0055】
他の種類のエンコーダ、例えば、払出機構の任意の適切なコンポーネント上の、回転光エンコーダ、線形エンコーダ、または他の種類のエンコーダが用いられてよいことが理解される。図21および図22のエンコーダの種類では、検出の判断が反転し得る。例えば、機構が払出位置にないときに反射ターゲットが検出可能であってよい。
【0056】
エンコーダ構成は、カセット1601に関して記載されているが、他のカセット配置においても(例えば、カセット1002において)同様に用いられてよい。
いくつかの実施形態では、カセット1601などのカセットは、カセットがそのディスペンサから取り外されたときに自動的に係合する歯止めを備えてよい。このようにして、カセットの輸送および収納中に、物品のカセットからの不注意な損失が防止され得る。
【0057】
図23は、本発明の実施形態に係る歯止め構成を備える、カセット1601の上斜視図を示す。この例示的な構成では、トーションばね2301は、ウェッジ2302を右後オーガーギヤ1907へと付勢する。カセット1601がディスペンサに取り付けられない限り、ウェッジ2302は、カセット1601のギヤの動きを阻止する。
【0058】
図24は、カセット1601の部分切断図を示し、歯止めの追加の詳細を明らかにする。ウェッジ2301は、軸2402の周りを枢動可能なレバー2401と一体に形成されている。レバー2401の底部には突出部2403があり、突出部2403は、ウェッジ2302がギヤ1907と係合するとき、トーションばね2301の作用によってカセット1601のエンベロープの外側に延びる。
【0059】
図25は、レバー2401が、カセット1601がディスペンサ1001などのディスペンサ(図示せず)と係合したような位置にある状態での、カセット1601の部分切断図を示す。ディスペンサの前壁は、レバー2401の突出部2403をカセット1601へと押し込んでおり、レバー2401を軸2402の周りについて回転させ、トーションばね2301の作用に反して、ウェッジ2302をギヤ1907との係合から引き離す。したがって、カセット1601がディスペンサに設置されると、ギヤはモータ1101(図示せず)に応答して自由に回転する。カセット1601がディスペンサから外されたとき、カセット1601のギヤは、自動的にロックされる。
【0060】
図23図25のエンコーダおよび歯止めシステムが、他の実施形態のカセット(例えば、カセット1002)において用いられてよいことが理解される。これに加えて、他の種類のエンコーダおよび歯止めが用いられてよい。
【0061】
図26は、本発明の他の実施形態に従う、カセット2601を示す。カセット2601の幅Wは、カセット1002および1602の幅の約2倍であるが、カセット2601は、他の直交寸法においては同等の大きさであってよい。カセット2601は、6列の注射器カプセル801を保持することが可能であり、したがって、上記の他のカセットの実施形態よりも大容量を有する。図26では、カセット2601は、2ml注射器602用のカプセルにより充填されているように示されている。1ml注射器601を払い出すようにカセット2601を用いることが所望されるとき、図12に示されるスペーサ1214と同様に、スペーサ(図示せず)がドア2602に取り付けられてよい。
【0062】
図27は、内部の詳細を明らかにするように、いくつかのエンクロージャ部品が取り外されているカセット2601を示す。3つのオーガー2701(図27ではそのうちの1つしか視認できない)は、カプセルを列により保持する。オーガー2701の各々は、好ましくは、2列のカプセル(すなわち、各オーガーの各側に1列)に実質的にわたるのに十分な幅である。1組のギヤ2702は、駆動ギヤおよびエンコーダギヤ2703により、取り付けられるディスペンサ(図示せず)における駆動ギヤによって係合するように位置している。
【0063】
図28および図29は、カセット2601の側面図および端面図をそれぞれ示し、カセット2601のオーガー2701内に注射器カプセル801のパッキングを示す。カセット2601の左右両側は、図27にある通り、背面から見られるように定められている。カセット2601は図29において前方から見られるため、図29出は左右が反転しているように見える。オーガー2701はすべて同一のねじ回し方向(左ねじまたは右ねじ)を有し、互いに同位相にて取り付けられる。いくつかの実施形態ではオーガー2701のすべては、互いと同一である。
【0064】
ギヤ2702は、以下に詳細に説明されるように、ギヤ2703が回転したときに、オーガー2701が「順番に」断続的に回転して注射器を払い出すように設計されている。
図30は、駆動およびエンコーダギヤ2703を含む、ギヤ2702の上斜視図である。オーガー2701のうちの1つも示されているが、明確さのため1つが取り外されている。第1アイドラーギヤ3001は、駆動およびエンコーダギヤ2703と係合し、第1のタイミングギヤ3002とも係合する。この例では、第1のタイミングギヤ3002は、駆動およびエンコーダギヤ2703と同一の有効径および同数の歯を有する。したがって、タイミングギヤ3002は、駆動およびエンコーダギヤ2703と同一量で同方向に回転する。同様に、追加のタイミングギヤ3003および3004が、追加のアイドラーギヤ3005および3006により、第1のタイミングギヤ3002から駆動される。駆動およびエンコーダギヤ703、アイドラーギヤ3001,3005および3006、ならびにタイミングギヤ3002,3003および3004のすべては、したがって、駆動およびエンコーダギヤ2703が回転したときに一緒に連動し、一緒に回転する。
【0065】
各オーガー2701は、それぞれのオーガーギヤ3007a,3007bまたは3007cに対し固定されており、タイミングギヤ3002,3003または3004のうちの1つに各々対応する。
【0066】
図31は、ギヤ2702の下斜視図であり、本発明の実施形態に従う、オーガーギヤ3007a,3007bおよび3007cの動作を示す。明確さのため、図31には1つのオーガー2701しか示されていない。
【0067】
図30および図31において視認できるように、タイミングギヤ3002,3003および3004は、それらの高さの上部にしか自身の外周全体の周りに歯を有さない。タイミングギヤ3002,3003および3004は、それらの下部には、自身の外周の一部にしか歯を有さない。例えば、タイミングギヤ3002は、自身の上部の周りに20個の歯を有するが、自身の下部の周りには部分的に5つの歯3101しかしか有さず、5つの歯同士の間および隣接部に間隙を、合計6つの間隙を有する。タイミングギヤ3002の下部の残り部分は、滑らかな円柱面3103であり、好ましくは、タイミングギヤ3002のほぼ有効径の直径を有する。
【0068】
これに加えて、オーガーギヤ3007b(タイミングギヤ3002に対応する)は、14個の歯に十分な有効径を有するが、12個の歯しか有さず、オーガーギヤ3007bの外周の周りに180度離間して、位置3102にて2つの歯が欠けている。示される位置では、オーガーギヤ3007bとタイミングギヤ3002との歯が係合しないため、オーガーギヤ3007bは、タイミングギヤ3002とともに回転しない。タイミングギヤ3002の下部の歯3101がオーガーギヤ3007bの位置に到達したときにしか、オーガーギヤ3007bとタイミングギヤ3002との歯は係合しない。しかしながら、係合は一時的である。下部の歯3101は、オーガーギヤ3007bを180度しか回転させず、2つのギヤは、タイミングギヤ3002の残りの回転の間は係合しない。
【0069】
同様の関係が、タイミングギヤ3003とオーガーギヤ3007との間に、またタイミングギヤ3004とオーガーギヤ3007cとの間に存在する。タイミングギヤ3002,3003および3004は、互いに120度位相がずれて取り付けられている。したがって、駆動およびエンコーダギヤ2703の(およびタイミングギヤ3002~3004の)120度の回転ごとに、オーガーギヤ3007a~3007cのうちの1つずつが180度回転する。オーガーギヤ3007a~3007cは、「順番に」180度回転する。すなわち、オーガーは、徐々に(回転の間で停止する)順次(次々に、2つが同時にならない)回転する。オーガーの各180度回転によって、1つの注射器を払い出す。図30および図31では、オーガーの回転方向は、徐々に動くことを示すように、破線で示されている。
【0070】
図31において視認できるように、オーガーギヤ3007cは、その180度回転を終了し、自身の歯が、位置3105にてタイミングギヤ3004との係合から外れる。しかしながら、ギヤの組の他の側では、タイミングギヤ3003は、位置3106にてオーガーギヤ3007アと係合し、オーガーギヤ3007aは、自身の180度回転を開始しようとする。オーガーギヤ3007bは、自身の欠けている歯のうちの一方が、タイミングギヤ3002の滑らかな円柱面3103に隣接しているため、当面は静止したままである。
【0071】
駆動およびエンコーダギヤ2703は、互いに対し120度に角度を付された、平坦なエンコーダ面3104を備えてよい。エンコーダ面3104は、反射材料によりコーティングされてよく、ディスペンサ1001などのディスペンサ内の検出器に視認されてよい。エンコーダ面3104のうちの1つが検出器によって見られると、現在動いているオーガーが180度回転しており、物品が払い出されていると仮定することが可能である。物品を払い出すために、ディスペンサは、次のエンコーダ面3104が見られるまで、自身のモータを単に回転させ、その後モータを停止させてよい。
【0072】
他の実施形態では、モータは、ディスペンサの底部にある光カーテンによって物品が検出されるまで回転させられてよい。他の実施形態では、払出は、エンコーダ位置に基づいて行われてよいが、光カーテンを用いて確認される。さらに他の実施形態では、異なる数のオーガー、例えば、2つのオーガーまたは4つ以上のオーガーが存在してよい。また、図30および図31のギヤの組の原理を具体化するギヤが、オーガーを駆動するように用いられてよい。
【0073】
本明細書に添付された特許請求の範囲において、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「1つまたは複数の」を意味することが意図される。「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などのその変化形は、ステップまたは要素の列挙に先行する場合に、更なるステップまたは要素の追加が任意選択であり除外されないことを意味することが意図される。本明細書に開示した要素および特徴のいかなる実現可能な組み合わせも開示されるものとみなされることを理解されたい。
【0074】
これまでに、明確さおよび理解を目的として本発明を詳細に説明してきた。しかしながら、当業者であれば、ある特定の変更および修正が添付の特許請求の範囲内で実施され得ることを理解する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図31