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特許7342264アビバクテリウム・パラガリナルム及びトリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘ウイルスに対する三種混合ワクチン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】アビバクテリウム・パラガリナルム及びトリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘ウイルスに対する三種混合ワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/295 20060101AFI20230904BHJP
   A61K 39/125 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 39/285 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 39/102 20060101ALI20230904BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230904BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A61K39/295
A61K39/125
A61K39/285
A61K39/102
A61K39/39
A61P31/14
A61P31/20
A61P31/04 171
A61P37/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022529378
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-30
(86)【国際出願番号】 EP2020083293
(87)【国際公開番号】W WO2021105167
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】19212630.8
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505258715
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】マロ ヴェルガラ アリストテレス
【審査官】宮岡 真衣
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-154983(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103721253(CN,A)
【文献】Volvac(R) AE+FP MLV Avian Encephalomyelitis + Avian Pox/Avian Encephalomyelitis, Calnek/Fowl Pox, Homologous Virus REG. SAGARPA B-2083-038,2018年,[retrieved on 2023.04.13], retrieved from the Internet, URL:<https://lapisa.com/eng/assets/ft-volvac-ae-fp-mlv.pdf>
【文献】JACOBS A. A. et al.,Veterinary Microbiology,1992年,32,pp.43-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/295
A61K 39/125
A61K 39/285
A61K 39/102
A61K 39/39
A61P 31/14
A61P 31/20
A61P 31/04
A61P 37/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルス;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
【請求項2】
前記バクテリンが全不活化バクテリンである、請求項1記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記免疫原性組成物が、必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルム感染及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス感染及び/又は鶏痘ウイルス感染に起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、請求項1又は2に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記免疫原性組成物がワクチンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記医薬的に許容される担体がアジュバントである、請求項1~4のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記医薬的に許容される担体が、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、請求項1~5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、前記改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び前記改変生鶏痘ウイルスが一緒に相乗的に作用する、請求項1~6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含むキット。
【請求項9】
前記アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、前記改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び前記改変生鶏痘ウイルスが、1つ又は2つの容器内にある、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
対象(ただし、ヒトを除く)の免疫化方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項11】
必要としている対象(ただし、ヒトを除く)のアビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項12】
必要としている対象(ただし、ヒトを除く)の死亡率及び/又は振戦及び/又は産卵低下を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて低減させる方法であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
前記対象が家禽である、請求項1012のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記免疫原性組成物が1回投与される、請求項1013のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記免疫原性組成物が、皮下、筋肉内、皮内、経口又は点眼により投与される、請求項1014のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法が、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて、より短い持続時間の菌血症、より短い持続時間のウイルス血症、より低い細菌負荷、より低いウイルス負荷、低下した死亡率、減少した振戦、減少した運動失調、減少した脱力、減少した体重減少、減少した産卵低下、減少した病変、減少した食欲不振、減少した眼窩下副鼻腔の炎症又はそれらの組み合わせから成る群より選択される有効性パラメーターの改善をもたらす、請求項1015のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
感染性コリーザ(IC)は、家禽を冒す感染性上気道疾患である。この疾患は、以前はヘモフィルス・パラガリナルム(Haemophilus paragallinarum)として知られていたアビバクテリウム・パラガリナルム(Avibacterium paragallinarum)によって引き起こされる。ICで一般的に見られるいくつかの臨床徴候は鼻炎、顔面腫脹又は浮腫、食欲不振、成長遅延、産卵低下であり、死亡することもある。この疾患は、養鶏業において非常に重要である。
トリ脳脊髄炎ウイルス(avian encephalomyelitis virus)は、ピコルナウイルス科に属する一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスである。感染すると家禽に神経徴候(例えば運動失調、頭頚部の急速振戦)、脱力、体重減少、死亡率上昇及び産卵低下を引き起こし得る。
ポックスウイルス科トリポックスウイルス属のDNAウイルスである鶏痘ウイルス(FPV)は、家禽に感染する。鶏痘ウイルス疾患は、産卵鶏の産卵の低下、ブロイラーの発育速度低減、失明、及び場合によっては死亡に起因する損失により、世界中に大きな経済的影響を与えている。
【0002】
しかしながら、必要なものは、複数の病原に対して保護を与える効果的な混合ワクチンである。該混合ワクチンは、複数の病原に対して防御を与えるため(動物福祉)に必要とされるワクチン接種の取扱い数を最小限にするため、投与コストを低減させるため、並びに受諾及びカバレージ率(coverage rate)を高めるために非常に望ましい。
しかしながら、干渉の問題が多成分のワクチンの開発を複雑にする。詳細には、干渉は、複数抗原の投与は、該抗原が個々に投与されたときに観察される免疫応答に比べて特定抗原に対する応答の低減をもたらすことが多いという知見を指す。複数抗原を投与すると一般的に干渉が生じる可能性がある。しかしながら、特に、生ワクチン成分は死滅ワクチ成分の影響を受ける可能性があるので、干渉という現象は、死菌ワクチンを生ワクチン(医薬的に許容される担体を含み得る)と組み合わせるときに問題である。
従って、複数の病原に対して防御を与える有効な混合ワクチンに対する必要性がある。
【発明を実施するための形態】
【0003】
発明の詳細な説明
本発明の態様について述べる前に、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて複数形の言及が含まれることに留意しなければならない。従って、例えば、「抗原(an antigen)」への言及には、複数の抗原が含まれ、「ウイルス(virus)」への言及には、1つ以上のウイルス及び当業者に知られるその等価ウイルスが含まれる等である。別段の定義がない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者が一般的に理解する意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法及び材料と類似又は等価ないずれの方法及び材料をも本発明の実施又は試験に使用することがでできるが、以下に好ましい方法、装置、及び材料について述べる。本明細書で言及する全ての公表文献は、本発明に関連して使用し得る該文献に報告されている細胞株、ベクター、及び方法論を記載及び開示する目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書のいずれの記載も、本発明が、先行発明という理由で該開示に先行する権利を与えられないことを承認するものと解釈すべきでない。
【0004】
組成物
本発明は、先行技術に内在する課題を解決し、最新技術に明確な進歩をもたらす。
一般的に、本発明は、下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムの1つ以上の抗原及びトリ脳脊髄炎ウイルスの1つ以上の抗原及び鶏痘ウイルスの1つ以上の抗原;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物を提供する。
さらに、本発明は、下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンの1つ以上の抗原及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルスの1つ以上の抗原及び改変生鶏痘ウイルスの1つ以上の抗原;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物をも提供する。従って、この免疫原性組成物は、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスの組み合わせに関するものである。
さらに、本発明は、下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルス;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物をも提供する。
さらに、本発明はアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスを組み合わせて含む免疫原性組成物をも提供する。
【0005】
有利なことに、本明細書で提供する実験データは、三種混合ワクチンが、トリコリーザ、トリ脳脊髄炎及び鶏痘に対して防御を与える証拠を明瞭に提供する。驚いたことに、異なるワクチン成分の有効性との干渉は検出されなかった。痘ワクチンとAEワクチンの両有効性については、わずかにポジティブな相乗効果さえあり、三種のワクチンの組み合わせにおいては驚くべきことである。
用語「アビバクテリウム・パラガリナルム」は、当業者に周知である。アビバクテリウム・パラガリナルムは、パスツレラ科由来のグラム陰性細菌である。感染性コリーザ(IC)は、アビバクテリウム・パラガリナルムによって引き起こされる。感染性コリーザ(IC)は、家禽を冒す感染性上気道疾患である。
用語「トリ脳脊髄炎ウイルス」は、当業者に周知である。トリ脳脊髄炎ウイルスは、ピコルナウイルス科に属する一本鎖RNA(ssRNA)ウイルスである。家禽の感染は、神経徴候(例えば運動失調、頭頚部の急速振戦)、脱力、体重減少、死亡率上昇及び産卵低下を引き超す可能性がある。
用語「鶏痘ウイルス」は、当業者に周知である。トリポックスウイルス属のメンバーである鶏痘ウイルス(FPV)は家禽に感染する。鶏痘ウイルス疾患は、産卵鶏の産卵の低下、ブロイラーの発育速度低減、失明、及び場合によっては死亡に起因する損失により、世界中に大きな経済的影響を与えている。
【0006】
本明細書で使用する「抗原」は、限定するものではないが、該抗原又はその免疫学的に活性な成分を含む興味ある免疫原性組成物又はワクチンへの宿主の免疫応答を誘発する成分を指す。抗原又は免疫学的に活性な成分は、宿主に投与されると、宿主の免疫応答を誘発できる微生物全体(不活化又は改変生形態)、又はその任意の断片若しくは画分であり得る。抗原は、その原形で又はいわゆる改変生ワクチン(modified live vaccine)(MLV)の弱毒化生体としてのいずれかの完全生体であるか又はそれらを含み得る。抗原は、さらに前記生体の適切な要素を含んでよく(サブユニットワクチン)、これらの要素は、該生体の生体全体若しくは増殖クラスターを破壊し、その後の所望構造をもたらす精製ステップによって、又は限定するものではないが、細菌、昆虫、哺乳動物若しくは他の種のような適切な系の適切な操作によって誘導される合成プロセスによって、並びに任意的なその後の単離及び精製手順によって、又は適切な医薬組成物を用いる遺伝子材料の直接組み入れによるワクチンを必要とする動物における前記合成プロセスの導入(ポリヌクレオチドワクチン接種)によって生成される。抗原は、いわゆる死菌ワクチン(KV)における適切な方法によって不活化された生体全体を含んでよい。生体が細菌の場合、死菌ワクチンはバクテリンと呼ばれる。
【0007】
用語「免疫原性組成物」は、該免疫原性組成物が投与される宿主の免疫応答を誘発する少なくとも1種の抗原を含む組成物を指す。該免疫応答は、本発明の免疫原性組成物に対する細胞媒介及び/又は抗体媒介免疫応答であり得る。好ましくは、免疫原性組成物は、免疫応答を誘発し、さらに好ましくは、感染の臨床徴候の1つ以上に対する防御免疫を与える。宿主を「対象」と記載することもある。好ましくは、本明細書に記載又は言及するいずれの宿主又は対象もトリ又は家禽である。
通常、「免疫応答」には、限定するものではないが、下記作用:本発明の免疫原性組成物に含まれる抗原(複数可)に特異的に向けられる抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/又は細胞傷害性T細胞及び/又はγδT細胞の産生又は活性化が含まれる。好ましくは、宿主は、防御免疫応答又は治療応答のどちらかを呈することになる。
「防御免疫応答」又は「防御免疫」は、感染宿主が普通は呈する臨床徴候の低減又は欠如、より速い回復時間及び/又は感染力の持続時間の低減又は感染宿主の組織若しくは体液若しくは排泄物中の病原力価の低下によって実証される。
新たな感染への耐性が増強され、及び/又は疾患の臨床的重症度が低減されるような防御免疫応答を宿主が呈する場合、該免疫原性組成物は「ワクチン」と記述される。
【0008】
本発明の免疫原性組成物の1つの特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムの1つ以上の抗原は、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンである。
本明細書で使用する「バクテリン」は、不活化細菌を指す。従って、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンは、死滅した不活化アビバクテリウム・パラガリナルムを指す。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンは、アビバクテリウム・パラガリナルムの全細胞不活化バクテリンである。
いずれの従来の不活化方法をも本発明の目的で使用することができる。従って、不活化は、当業者に既知の化学的及び/又は物理的処理によって遂行可能である。好ましい不活化方法としては、二元エチレンイミン(BEI)に環化された2-ブロモエチレンアミンヒドロブロミド(BEA)の溶液の添加を含む環化二元エチレンイミン(BEI)の付加が挙げられる。さらに好ましい化学的活性化剤は、限定するものではないが、トリトンX100、デオキシコール酸ナトリウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、β-プロピオラクトン、チメロサール、フェノール及びホルムアルデヒド(ホルマリン)を含む。しかしながら、不活化は、中和ステップを含んでもよい。好ましい中和剤としては、限定するものではないが、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等がある。
【0009】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンは、アビバクテリウム・パラガリナルムのホルマリン又はチメロサール全不活化バクテリンである。
好ましいホルマリン不活化条件は、約0,02%(v/v)~2,0%(v/v)、さらに好ましくは約0,1%(v/v)~1,0%(v/v)、さらに好ましくは約0,15%(v/v)~0,8%(v/v)、さらに好ましくは約0,16%(v/v)~0,6%(v/v)、最も好ましくは約0,2%(v/v)~0,4%(v/v)のホルマリン濃度を含める。不活化時間はアビバクテリウム・パラガリナルムの耐性によって決まる。一般的に、不活化プロセスは、適切な培養系内でアビバクテリウム・パラガリナルムの成長を検出できなくなるまで行なわれる。
好ましくは、本発明の不活化アビバクテリウム・パラガリナルムは、好ましくは上記濃度を用いてホルマリン不活化される。
好ましいチメロサール不活化条件は、約1%(v/v)~20%(v/v)、さらに好ましくは約3%(v/v)~17%(v/v)、さらに好ましくは約5%(v/v)~15%(v/v)、最も好ましくは約8%(v/v)~12%(v/v)のチメロサール濃度を含める。不活化時間は、アビバクテリウム・パラガリナルムの耐性によって決まる。一般的に、不活化プロセスは、適切な培養系内でアビバクテリウム・パラガリナルムの成長を検出できなくなるまで行なわれる。
好ましくは、本発明の不活化アビバクテリウム・パラガリナルムは、好ましくは上記濃度を用いてチメロサール不活化される。
【0010】
本発明の不活化バクテリン成分は、Nature, 1974, 252, 252-254、又はJournal of Immunology, 1978, 120, 1109-13に記載のような既知技術を利用してリポソームに組み入れてよい。本発明の別の実施形態では、本発明の不活化バクテリン成分は、多糖、ペプチド、タンパク質等、又はその組み合わせのような適切な生体化合物に抱合されることもある。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、鶏痘ウイルスは改変生鶏痘ウイルスである。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、改変生鶏痘ウイルスは弱毒化される。
用語「弱毒化」は、野生型単離菌に比べてビルレンスが低下した病原を指す。本発明においては、弱毒化ウイルスは、当該ウイルス感染の臨床徴候を引き起こさないが、標的動物の免疫応答を誘発する能力があるようなビルレンスが低下したウイルスであるが、非弱毒化ウイルスに感染し、かつ弱毒化ウイルスを受けない「コントロール群」に比べて、弱毒化ウイルスに感染した動物の臨床徴候の発生率又は重症度が低減することを意味することもある。この文脈では、用語「低減する及び/又は低減した」は、上記定義どおりの非弱毒化ウイルスに感染したコントロール群に比べて、少なくとも10%、好ましくは25%、さらに好ましくは50%、さらに好ましくは60%、さらに好ましくは70%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは90%、さらに好ましくは95%、最も好ましくは100%の低減を意味する。従って、弱毒化ウイルス株は、改変生ウイルスを含む免疫原性組成物への組み入れに適した株である。
【0011】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では改変生鶏痘ウイルスは非組換え型である。
本明細書で使用する用語「非組換え型」は、対応するRNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)に自然に起こる改変のみを有するRNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)に関するものである。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、鶏痘ウイルスは組換え型である。
本明細書で使用する用語「組換え型」は、対応するRNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)に自然に起こらない任意の改変を有するRNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)に関するものである。例えば、RNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)は、それが人工的に、例えば人の介入によって誘導された挿入、欠失、反転、再配置又は点変異を含む場合に「組換え型」とみなされる。従って、該RNA又はDNAゲノム(又はRNA配列、cDNA配列、DNA配列若しくはタンパク質)は、それが本来は関連する配列(タンパク質のRNA、cDNA、DNA配列又はアミノ酸配列)の全て又は一部と関連しない。ウイルス又は細菌に関して使用する用語「組換え型」は、ウイルスゲノム又は細菌ゲノムの人為的操作によって生成されたウイルス又は細菌を意味する。用語「組換えウイルス」又は「組換え細菌」は、遺伝子改変ウイルス又は細菌を包含する。
【0012】
組換え鶏痘ウイルスワクチンは、既に先行技術に記載され、防御をもたらすと示されている。さらに、鶏痘に対する該組換えワクチンは市販されており、例としてTROVAC(登録商標)NDV若しくはTROVAC(登録商標)H7亜型(Boehringer Ingelheimから)又はVECTORMUNE(登録商標)FP LT+AE(Cevaから)は改変生鶏痘ワクチンに基づいている。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様ではトリ脳脊髄炎ウイルスは改変生トリ脳脊髄炎ウイルスである。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では改変生トリ脳脊髄炎ウイルスは弱毒化される。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では改変生トリ脳脊髄炎ウイルスは非組換え型である。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様ではトリ脳脊髄炎ウイルスは組換え型である。
【0013】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物は、必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である。
用語「治療及び/又は予防」、「臨床徴候」及び「必要としている」については他の場所で定義した。用語「感染」又は「感染した」は、病原、すなわちアビバクテリウム・パラガリナルム又はトリ脳脊髄炎ウイルス又は鶏痘ウイルスによる対象の感染を指す。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物は、トリコリーザの臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物は、必要としている対象のトリ脳脊髄炎ウイルス感染に起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物は、必要としている対象の鶏痘ウイルス感染に起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記対象はトリ又は家禽である。用語「トリ」及び「家禽」については他の場所で定義した。
【0014】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記免疫原性組成物はワクチンである。 用語「ワクチン」については本明細書の他の場所で既に説明した。しかしながら新たな感染への耐性が増強され、及び/又は疾患の臨床的重症度が低減されるような防御免疫応答を、宿主が呈する場合、該免疫原性組成物はワクチンと記述される。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記免疫原性組成物は、単一用量投与のために処方される。
単一用量が一回投与されるだけである。単一用量の体積については本明細書の他の場所に定義した。
さらに、本発明の免疫原性組成物の単回投与は、該免疫原性組成物の該単一用量の投与後に有効であることが分かった。
【0015】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、溶媒、分散媒、被覆剤、安定剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤、アジュバント、免疫刺激剤、及びその組み合わせから成る群より選択される。
用語「医薬的に許容される担体」としては、ありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、安定剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤、アジュバント、免疫刺激剤、及びその組み合わせが挙げられる。
「希釈剤」としては、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセリン等を挙げることができる。等張剤としては、とりわけ、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースを挙げることができる。安定剤としては、とりわけ、アルブミン及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が挙げられる。
【0016】
好ましくは、免疫原性組成物は、さらにスクロースゼラチン安定剤を含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物はさらに保存剤を含む。
好ましくは、保存剤としてホルムアルデヒド(ホルマリン)又はチメロサールを使用する。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、免疫原性組成物は、保存剤としてホルムアルデヒドを含む。
好ましくは、医薬的に許容される担体はキトサンである。キトサンは、甲殻類(例えば、エビ、カニ)、昆虫、及び他の無脊椎動物中のキチン由来の天然脱アセチル化多糖である。最近、Rauw et al. 2009 (Vet Immunol Immunop 134:249-258)は、キトサンがニューカッスル病生ワクチンの細胞性免疫応答を増強し、その防御作用を促進することを実証した。さらに、Wang et al., 2012 (Arch Virol (2012) 157:1451-1461)は、生弱毒化インフルエンザワクチンに用いるアジュバントとしてのキトサンの可能性を明らかにする結果を示した。
【0017】
好ましくは、免疫原性組成物は、さらに1種以上の他の免疫調節剤、例えばインターロイキン、インターフェロン、又は他のサイトカインを含み得る。当業者なら本発明との関係で有用なアジュバント及び添加剤の量及び濃度を容易に決定することができる。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体はアジュバントである。
いくつかの態様では、本発明の免疫原性組成物はアジュバントを含有する。本明細書で使用する「アジュバント」として、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム、サポニン、例えば、Quil A, QS-21 (Cambridge Biotech Inc., Cambridge MA)、GPI-0100 (Galenica Pharmaceuticals, Inc., Birmingham, AL)、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルションを挙げることができる。エマルションは、特に軽質液体パラフィン油(欧州薬局方タイプ);イソプレノイド油、例えばスクアラン又はスクアレン;アルケン、特にイソブテン又はデセンのオリゴマー化から生じる油;直鎖アルキル基を含有する酸又はアルコールのエステル、より詳細には植物油、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ-(カプリラート/カプラート)、グリセリルトリ-(カプリラート/カプラート)又はプロピレングリコールジオレアート;分岐脂肪酸又はアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルをベースとすることができる。油を乳化剤と併用してエマルションが形成される。乳化剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、特にソルビタンのエステル、マンニドのエステル(例えばアンヒドロマンニトールオレアート)、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル及びオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸又はヒドロキシステアリン酸のエステル(場合によってはエトキシル化される)、並びにポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンコポリマーブロック、特にプルロニック(Pluronic)製品、特にL121をベースとし得る。Hunter et al., The Theory and Practical Application of Adjuvants (Ed.Stewart-Tull, D. E. S.)、JohnWiley and Sons, NY, pp51-94 (1995)及びTodd et al., Vaccine 15:564-570 (1997)を参照されたい。例示アジュバントは、M. Powell及びM. Newman編集“Vaccine Design, The Subunit and Adjuvant Approach”(Plenum Press, 1995)の147ページに記載のSPTエマルション及びこの同書の183ページに記載のエマルションMF59である。
【0018】
アジュバントのさらなる例は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー及び無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーから選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、特に糖又は多価アルコールのポリアルケニルエーテルで架橋された、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物は、用語カルボマーで知られている(Phameuropa Vol. 8, No. 2, June 1996)。当業者は、少なくとも3個、好ましくは8個以下のヒドロキシル基を有し、少なくとも3個のヒドロキシルの水素原子が、少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和脂肪族基に置き換えられているポリヒドロキシル化化合物で架橋された該アクリルポリマーについて記載する米国特許第2,909,462号を参照することもできる。好ましい脂肪族基は、2~4個の炭素原子を含有する基、例えばビニル、アリル及び他のエチレン性不飽和基である。不飽和基は、それら自体が他の置換基、例えばメチルを含有し得る。商品名Carbopolで販売されている製品(BF Goodrich, Ohio, USA)が特に適している。それらは、アリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋されている。それらの中ではCarbopol 974P、934P及び971Pを挙げることができる。Carbopol 971Pの使用が最も好ましい。無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマーの中には無水マレイン酸とエチレンのコポリマーであるコポリマーEMA(Monsanto)がある。免疫原性組成物、免疫組成物又はワクチン組成物自体が中に組み込まれることになるアジュバント溶液を与えるため、これらのポリマーを水に溶かすと酸性溶液になり、好ましくは生理的pHまで中和されることになる。
【0019】
さらなる適切なアジュバントとしては、限定するものではないが、RIBIアジュバント系(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(CytRx, Atlanta GA)、SAF-M (Chiron, Emeryville CA)、モノホスホリルリピドA、アブリジン(Avridine)リピド-アミンアジュバント、大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン(組換え型又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314若しくはムラミルジペプチド、或いは天然起源若しくは組換えサイトカイン又はその類似体又は内在性サイトカイン放出刺激剤など多数ある。
約100μg~約10mg/用量の量、好ましくは約100μg~約10mg/用量の量、さらに好ましくは約500μg~約5mg/用量の量、さらに好ましくは約750μg~約2.5mg/用量の量、最も好ましくは約1mg/用量の量でアジュバントを添加できると予想される。或いは、アジュバントは、最終生成物の体積で約0.01~50%の濃度、好ましくは約2%~30%の濃度、さらに好ましくは約5%~25%の濃度、さらに好ましくは約7%~22%の濃度、最も好ましくは10%~20%の濃度であってよい。
【0020】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、サポニン、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、アクリル酸若しくはメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマー、RIBIアジュバント系、ブロックコポリマー(co-polymerd)、SAF-M、モノホスホリルリピドA、アブリジン(Avridine)リピド-アミン、大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン(組換え型又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、鉱物油、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである。
有利には、本明細書で提供する実験データは、油中水エマルションがアジュバントとして適していること示す。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバントである。このような油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバントは当業者に周知であり、市販されている。例として、Citation(商標)及びAvatech(商標)からWhite Mineral Oilsが入手可能である。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、前記鉱物油は、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る。本明細書で提供する実験データは、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る鉱物油が適していることを示す。しかしながら、他の鉱物油も同様に適するであろうと理解しなければならない。
【0021】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルム及びトリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘ウイルスの抗原が相乗的に一緒に作用する。
有利には、本明細書で提供する実験データは、医薬的に許容される担体を含む不活化コリーザワクチン(アビバクテリウム・パラガリナルム)との併用時に生弱毒化AE(トリ脳脊髄炎ウイルス)及びFP(鶏痘)ワクチンの効力との干渉は検出されないという証拠を明白に提供する。痘ワクチン及びAEワクチンの両効力については、わずかにポジティブな相乗効果さえあり、三種混合ワクチンの組み合わせでは驚くべきことである。
本発明の組み合わせは有利であり、本組み合わせは、トリコリーザ、トリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘に対する防御を与えるのに必要とされる免疫化数(ワクチン接種取扱い数)を最小限にし、それは投与コストを低減させ、受諾及びカバレージ率を高める。
【0022】
本明細書で使用する用語「相乗的」は、本発明の免疫原性組成物(三種組み合わせ)によって引き起こされる免疫応答が、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び/若しくは改変生鶏痘ウイルスを含む基準となる一価又は二価免疫組成物に比べて増加することを意味する。好ましくは、免疫応答は、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び/若しくは改変生鶏痘ウイルスを含む前記基準となる一価又は二価免疫組成物に比べて少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも75%、最も好ましくは少なくとも100%増加する。免疫応答を測定する方法は、当業者の一般知識の範囲内である。特に、興味ある免疫原性組成物の細胞媒介免疫応答を基準組成物の細胞媒介免疫応答と比較し、又は興味ある免疫原性組成物の抗体媒介免疫応答を基準組成物の抗体媒介免疫応答と比較するが、興味ある免疫原性組成物の細胞媒介免疫応答を基準組成物の抗体媒介免疫応答とは比較せず、逆もまた同様であることは該当業者には明白である。さらに、細胞媒介免疫応答は、例えば、興味ある免疫原性組成物/抗原による細胞傷害性T細胞の活性化を測定することによって測定可能である。抗体媒介免疫応答は、例えば、該抗原を含む免疫原性組成物の動物への投与のために産生された抗原特異抗体の量を測定することによって測定可能である。さらに、臨床パラメーターによって免疫応答を測定することができる。本明細書に記載の実施例1は、痘病変又はトリ脳脊髄炎ウイルス抗体価の決定方法(ELISA)について記載する。
【0023】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では免疫原性組成物は、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
【0024】
改変生トリ脳脊髄炎ウイルスについては当該技術分野で集約的に記載されている。Calnek et al 1961 (Avians Dis 5:297-312)は、既にCalnekワクチン株及びvan Roekelワクチン株について記載さている。さらに、Van Roekel株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Tissue Culture Collection)に受入番号ATCC(登録商標)VR-2058(馴化ニワトリ胚)で寄託されている。
改変生トリ脳脊髄炎ウイルスは既に先行技術に記載され、防御を与えることが示されている。さらに、トリ脳脊髄炎ウイルスに対する該ワクチンは市販されており、例として、Nobilis(登録商標)AE 1143又はNobilis(登録商標)AE+Pox(MSDから)、Volvac(登録商標)AE+FP MLV(Boehringer Ingelheimから)又はCevac(登録商標)Tremor L若しくはCevac(登録商標)Poximmune AE L(Cevaから)がある。
さらに、いずれものトリ脳脊髄炎ウイルス株をどこで得るべきかは当業者の一般知識の範囲内である。トリ脳脊髄炎ウイルス株は科学機関から得ることができる。さらに、Van Roekel株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに受入番号ATCC(登録商標)VR-713(野外株)で寄託されている。さらに、トリ脳脊髄炎ウイルス株は、野外から単離可能である。トリ脳脊髄炎ウイルス株を単離し、前記株を特徴づける方法は当業者に周知である。さらに、トリ脳脊髄炎ウイルスは配列決定され、ゲノム配列が利用可能である(例としては、Marvil et al 1999: J. Gen. Virol. 80: 653-62;又はEMBLデータベース受入番号AJ225173)。従って、その配列を合成し、リバースジェネティクス系(reverse genetic system)を適用するとウイルスゲノムを作製することができる。
【0025】
前記トリ脳脊髄炎ウイルス株の連続継代によって容易に改変生ワクチンを得ることができる。これは当業者ならさらなる面倒なしで行なえるが、US 5 208 023はこの件に関してさらなる指針を与える。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、トリ脳脊髄炎ウイルスは、Calnek 1733株及び卵馴化Van Roekel株から成るリストより選択される。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、トリ脳脊髄炎ウイルスはCalnek 1733株である。
改変生鶏痘ワクチンは先行技術に集約的に記載されている。例として、Mocket et al 1990 (Avian Pathology, 19: 613-625)は、改変生HP1及びHP193鶏痘ウイルス株を記載し、Diallo et al 1998 (Avian Pathology, 27: 60-66)は、Sワクチン株(FPV30)、Mワクチン株(FPV31)、ステッゲレス(steggeles)ワクチン株(FPV32、33及び34)及びウェブスター(Webster)のワクチン株(FPV30)並びに他の株及び単離菌を記載している。Ariyoshi et al 2003 (J. Vet. Med. Sci. 65(10): 1127-1130)は、F132-cワクチン株を記載している。鶏痘ワクチン株Beaudetteは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに受入番号ATCC VR-229で寄託されている。KEM-7及びGibbsワクチン株は、先行技術に記載されているのみならず、市販の鶏痘ワクチンに使用されている。
【0026】
改変生鶏痘ワクチンは、既に先行技術に記載され、防御を与えると示されている。さらに、鶏痘に対する該ワクチンは市販され、例としてはNobilis(登録商標)AE+Pox (MSDから)、Volvac(登録商標)AE+FP MLV (Boehringer Ingelheimから)又はCevac(登録商標)FP L若しくはCevac(登録商標)Poximmune AE L (Cevaから)がある。
さらに、いずれもの鶏痘ウイルス株をどこで得るべきかは当業者の一般知識の範囲内である。鶏痘株は科学機関から得ることができる。さらに、鶏痘株を野外から単離することができる。鶏痘株を単離し、前記株を特徴づける方法は当業者に周知である。さらに、鶏痘ウイルスは配列決定されており、ゲノム配列が利用可能である。従って、その配列を合成し、リバースジェネティクス系を適用することによってウイルスゲノムを作製することができる。前記鶏痘株の連続継代によって容易に改変生ワクチンを得ることができる。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、鶏痘ウイルスは、HP1及びHP193ウイルス株、Sワクチン株(FPV30)、Mワクチン株(FPV31)、ステッゲレスワクチン株(FPV32、33及び34)、ウェブスターのワクチン株(FPV30)、F132-cワクチン株、Beaudetteワクチン株、KEM-7ワクチン株及びGibbsワクチン株から成るリストより選択される。
【0027】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、鶏痘ウイルスは、Weybridgeワクチン株、Beaudetteワクチン株、KEM-7ワクチン株及びGibbsワクチン株から成るリストより選択される。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、鶏痘ウイルスはBeaudetteワクチン株である。
アビバクテリウム・パラガリナルムについて、3つの異なる血清群A、B及びC並びに9つの血清型(A1~A4、B-1及びC1~C4)が記載されている(Blackall et al 1990; JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, June 1990, p. 1185-1187)。さらに、異なる基準株、すなわち株221(血清型A-A1)、株2403(血清型A-A2)、株E-3C(血清型A-A3)、株HP14(血清型A-A4)、株H-18(血清型C-C1)、株Modesto(血清型C-C2)、株SA-3(血清型C-C3)、株HP60(血清型C-C4)及び株2671(血清型B-B1)が同定されている。さらにアビバクテリウム・パラガリナルム株はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションに受入番号ATCC(登録商標)29545、ATCC(登録商標)29975及びATCC(登録商標)29976で寄託されている。
【0028】
死菌アビバクテリウム・パラガリナルムワクチン(例としては血清群A+B+C又はA+Cを含むワクチン)は先行技術に既に記載され、防御を与えると示されている。さらに、トリコリーザ(coruyza)に対する該ワクチンは市販され、例としてNobilis(登録商標)Coryza (MSDから)、Volvac(登録商標)AC Plus Bact KV(Boehringer Ingelheimから)又はCEVAC(登録商標)CORYZA K(Cevaから)がある。
さらに、任意のアビバクテリウム・パラガリナルム株をどこで得るべきかは当業者の一般知識の範囲内である。アビバクテリウム・パラガリナルム株は科学機関から得ることができる。さらに、アビバクテリウム・パラガリナルム株は野外から単離可能である。アビバクテリウム・パラガリナルム株を単離し、前記株を特徴づける方法は当業者に周知である。不活化方法によって(例えばβ-プロピオラクトン、チメロサール、フェノール又はホルマリンを使用して)、容易に死菌ワクチンを得ることができる。
【0029】
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムは、血清群A、血清群B及び血清群Cから成るリストより選択される。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムは、アビバクテリウム・パラガリナルム血清群A及びCの株を含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムは、アビバクテリウム・パラガリナルム血清群A、B及びCの株を含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムは、A1 (O83)、B1 (Spross/古典的)、4143 (B1変異株)、San Francisco 27 (B1変異株)及びC2 (Modesto)から成るリストより選択される株を含む。
本発明の免疫原性組成物の別の特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムは、株A1 (O83)、B1 (Spross/古典的)、4143 (B1変異株)、San Francisco 27 (B1変異株)及びC2 (Modesto)を含む。有利なことに、3種の組み合わせは、該アビバクテリウム・パラガリナルム株を含むときに有効であることが分かった。
【0030】
キット
組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得るパック又はディスペンサー装置で提供してよい。パックは、例えば金属箔又はプラスチック箔、例えばブリスターパックを含んでよい。パック又はディスペンサー装置は、投与のため、好ましくは対象、特に家禽への投与のための指示を伴うことがある。該容器に付随されるのは、医薬品又は生物製剤の製造、使用又は販売を規制する政府機関により規定される形式の注意であり得、この注意は、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売の該機関による承認を反映する。
従って、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物を含むキットを提供する。
本発明のキットの1つの特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスは1つの容器内にある。
本発明のキットの1つの特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスは1又は2つの容器内にある。
本発明のキットの1つの特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスは別々の容器内にある。
本発明のキットの1つの特定態様では、アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンは1つの容器内にあり;改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスは1つの容器内にある。
【0031】
本発明のキットの1つの特定態様では、キットは、トリの疾患の治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む。
本発明のキットの1つの特定態様では、キットは、家禽の疾患の治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む。
本発明のキットの1つの特定態様では、キットは、トリコリーザ及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスの治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む。
本発明のキットの別の特定態様では、キットは、動物、トリ又は家禽にワクチンを投与する能力があるディスペンサーをさらに含む。
さらに、さらなる態様によれば、前記指示書は、前記混合ワクチンの少なくとも1用量の反復可能投与の情報を含む。
【0032】
治療方法
さらに、本発明は、本明細書に記載の免疫原性組成物を対象に投与することを含む該対象を免疫化する方法を提供する。
用語「免疫化する」は、免疫化すべき対象に免疫原性組成物を投与し、それによって該免疫原性組成物に含まれる抗原に対する免疫応答を引き起こす能動免疫化に関するものである。
好ましくは、免疫化は、群れ内の特定の感染の発生率の低下又は特定の感染に起因するか又は関連する臨床徴候の重症度の低減をもたらす。
さらに、ここに提供される免疫原性組成物で必要としている対象を免疫化すると、特定の感染による対象の感染症を予防することになる。さらに好ましくは、免疫化は、特定の感染に対して有効な持続性免疫応答をもたらす。前記期間は、1カ月超、好ましくは2カ月超、好ましくは3カ月超、さらに好ましくは4カ月超、さらに好ましくは5カ月超、さらに好ましくは6カ月超持続することになると理解される。免疫化は、免疫化された全ての対象に有効であるわけではないことを理解すべきである。しかしながら、この用語は、群れの対象のかなりの部分が効果的に免疫化されることを必要とする。
【0033】
この関係では、好ましくは、対象の群れは、一般的に、すなわち免疫化されなければ、一般的に特定の感染に起因するか又は関連する臨床徴候を発症することになると想定される。群れの対象が効果的に免疫化されるかどうかは、当業者ならさらなる面倒なしで決定することができる。好ましくは、免疫化は、免疫化されないか又は本発明前に利用可能だった免疫原性組成物で免疫化されたが、その後(アビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスに)感染した対象に比べて、所与の群れの対象の少なくとも33%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%において臨床徴候の発生率が低いか、又は重症度が少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%低い場合に有効であるとする。
【0034】
さらに、本発明は、必要としている対象の、トリ脳脊髄炎ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物を治療有効量投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の、鶏痘ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物を治療有効量投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の、鶏痘ウイルス及びトリ脳脊髄炎ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物を治療有効量投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の、アビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療又は予防方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物を治療有効量投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の、鶏痘ウイルス及びトリ脳脊髄炎ウイルス及びアビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療又は予防方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物を治療有効量投与することを含む。
【0035】
用語「治療又は予防すること」は、群れ内の特定の感染(アビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスによる)の発生率を下げること又は特定の感染に起因するか若しくは関連する臨床徴候の重症度の低減を指す。従って、用語「治療又は予防すること」は、対象が本明細書で提供する免疫原性組成物の有効量を受けた対象群において、対象が該免疫原性組成物を受けたことがない対象群と比較した群れ内の感染する対象数の減少(=特定の感染の発生率の低下)又は特定の感染に一般的に関連するか若しくは起因する臨床徴候の重症度の低減又は感染後のウイルス排出の減少又は感染後の産卵鶏の産卵低下の予防若しくは低減をも指す。
「治療又は予防すること」は、一般的に、該治療/予防を必要としているか又は該治療/予防から恩恵を受ける可能性のある対象又は対象の群れへの本発明の免疫原性組成物の有効量の投与を伴う。用語「治療」は、対象又は群れの少なくとも一部の対象が既に感染し、該対象が該感染に起因するか又は関連するいくつかの臨床徴候を既に示している時点での有効量の免疫原性組成物の投与を指す。用語「予防」は、対象のいずれもの感染の前の該対象又は少なくとも対象群の該対象若しくは対象のどれも感染に起因するか若しくは関連するいずれの臨床徴候をも示していない対象への投与を指す。本出願では用語「予防(prophylaxis)」及び「予防すること(preventing)」を互換的に使用する。
【0036】
本明細書で使用する用語「有効量」は、限定するものではないが、対象の免疫応答を誘発するか又は誘発できる抗原の量を意味する。該有効量は、群れ内の特定の感染の発生率を下げるか又は特定感染(アビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスによる)の臨床徴候の重症度を低減させることができる。
好ましくは、臨床徴候の発生率又は重症度は、治療されないか又は本発明の前に利用可能だった免疫原性組成物で治療されたが、その後感染した対象に比べて、少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%低下する。
【0037】
本明細書で使用する用語「臨床徴候」は、アビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスによる対象の感染の徴候を指す。感染の臨床徴候は、選ばれた病原に左右される。
アビバクテリウム・パラガリナルム感染に起因する該臨床徴候の例としては、限定するものではないが、鼻炎、顔面腫脹若しくは浮腫、食欲不振、成長速度低下、産卵低下、嗜眠及び死亡率上昇が挙げられる。
トリ脳脊髄炎ウイルス感染に起因する該臨床徴候の例としては、限定するものではないが、運動失調、頭頚部の急速振戦、脱力、体重減少、死亡率上昇及び産卵低下がある。
鶏痘ウイルス感染に起因する該臨床徴候の例としては、限定するものではないが、痘;肉冠及び肉垂上の伝播性の発疹、痂皮及び病変;口腔、咽頭、喉頭及び気管の病変;産卵低下;成長速度低下;失明;及び死亡率上昇がある。
臨床徴候には、限定するものではないが、生きた動物から直接観察できる臨床徴候が含まれる。生きた動物から直接観察できる臨床徴候Eの例としては、痘;肉冠及び肉垂上の伝播性の発疹、痂皮及び病変;口腔、咽頭、喉頭及び気管の病変;逆立った羽;体重減少;成長速度低下;食欲減少;跛行;嗜眠;消耗及び不始末などがある。
【0038】
好ましくは、治療されないか又は本発明の前に利用可能だった免疫原性組成物で治療されたが、その後感染した対象に比べて治療対象の発生率又は重症度が低下した臨床徴候は、より短い持続時間の菌血症、より短い持続時間のウイルス血症、より低い細菌負荷、より低いウイルス負荷、低下した死亡率、減少した振戦、減少した運動失調、減少した脱力、減少した体重減少、減少した産卵低下、減少した病変、減少した食欲不振、又はその組み合わせを指す。
本明細書で使用する用語「必要としている(in need又はof need)」は、投与/治療が、本発明の免疫原性組成物を受ける対象の健康若しくは臨床徴候の向上若しくは改善又は健康への任意の他のポジティブな薬効と関係があることを意味する。
さらに、本発明は、必要としている対象の死亡率を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて低減させる方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の振戦を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の産卵低下を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
さらに、本発明は、必要としている対象の痘又は痘病変を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む。
【0039】
実施例に示すように、本明細書で提供する免疫原性組成物は、鶏痘ウイルス及びトリ脳脊髄炎ウイルス感染の治療及び予防に有効であると判明した。またアビバクテリウム・パラガリナルム感染の治療及び予防にも有効である。
本出願では、用語「減少させる」又は「減少した」又は「減少」又は「より低い」を互換的に使用する。用語「減少」は、臨床徴候が、治療されない(免疫化されない)が、その後感染した対象に比べて、少なくとも10%、さらに好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%減少すること意味する。
用語「死亡率、振戦、産卵低下、痘又は痘病変の低減」は、前記臨床徴候が、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%低減されることを意味する。前記臨床徴候/パラメーターの測定方法は当業者の一般知識の範囲内である。
【0040】
本発明の一態様では、前記対象はトリである。
用語「トリ」は当業者に周知である。用語「トリ」は、家禽を含めた全ての鳥類を包含する。
本発明の一態様では、前記対象は家禽である。
用語「家禽」は当業者に周知である。用語「家禽」は、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、ホロホロチョウ、ガチョウ、及びアヒルを包含する。さらに、用語「ニワトリ」には、ブロイラー、産卵鶏、及び両方とも種畜として再び飼う(refeered)ための繁殖家畜が含まれる。
本発明の一態様では、前記対象は、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、又はキジから成るリストより選択される。
本発明の一態様では、前記対象はニワトリである。
【0041】
本発明の一態様では、免疫原性組成物は1回投与される。
単一用量が1回でけ投与されるという共通認識がある。実施例に示すように、本明細書で提供する免疫原性組成物は、必要としている対象への単一用量の投与後に有効であると判明した。
家禽1羽当たりの用量体積は、ワクチン接種経路及び家禽の齢によって決まる。
筋肉内又は皮下ワクチン接種用のワクチンは30μl~1000μlの体積の用量を含有し得る。好ましくは、単一用量は、約30μlと1000μlの間、さらにましくは約100μlと800μlの間、さらに好ましくは約100μl、200μlと700μlの間の総体積を有し、単一の200μl、300μl、4000μl、500μl、600μl、700μl又は800μlの用量が最も好ましい。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は2以上の用量で投与される。
しかしながら、第1の用量の後に第2の(ブースター)用量が投与される2以上の用量で免疫原性組成物を投与することができる。
2回投与レジメンの好ましい態様では、免疫原性組成物の第1及び第2の両用量が同量で投与される。好ましくは、各用量は、上記好ましい量である。第1及び第2の投与レジメンに加えて、代替実施形態は、さらに後の用量を含む。例えば、これらの態様では第3、第4、又は第5の用量を投与することができる。好ましくは、後の第3、第4、又は第5の用量レジメンは第1の用量と同量で投与され、用量間の時間枠は、上記第1と第2の用量間のタイミングと一致する。
【0042】
免疫原性組成物は、好ましくは、局所又は全身投与される。通常に利用される適切な投与経路は、経口又は非経口投与、例えば鼻腔内、静脈内、皮内、経皮、筋肉内、腹腔内、皮下、並びに吸入、卵内、スプレー経由、飲料水経由又は点眼による。しかしながら、化合物の作用の性質及びモードに応じて、他の経路でも同様に免疫原性組成物を投与してよい。例えば、このような他の経路としては、皮下、静脈内、血管内、動脈内、腹腔内、くも膜下腔内、気管内、皮内、心臓内、肺葉内(intralobally)、葉内(intralobarly)、髄内、肺内(intrapulmonarily)、直腸内、及び腟内が挙げられる。しかしながら、最も好ましくは、免疫原性組成物は皮下、筋肉内、経口、卵内、スプレー経由、飲料水経由又は点眼により投与される。
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物は、皮下、筋肉内、皮内、経口又は点眼により投与される。
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物は、皮下、筋肉内投与される。
【0043】
典型的に、ワクチンは、101~108EID50(50%卵感染量(Egg Infective Dose))/用量の濃度で、好ましくは101~105EID50/用量の濃度で、さらに好ましくは、101~103EID50/用量の濃度でトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
典型的に、ワクチンは、101~108EID50(50%卵感染量)/用量の濃度で、好ましくは101~105EID50/用量の濃度で、さらに好ましくは101~103EID50/用量の濃度で鶏痘ウイルスを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
典型的に、ワクチンは、不活化前に101~1020CFU(コロニー形成単位)/用量の濃度で、好ましくは102~1015EID50/用量の濃度で、さらに好ましくは、105~1010EID50/用量の濃度でアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、102~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルス、102~103EID50/用量の鶏痘ウイルス及び不活化前に107~109CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
【0044】
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、2週齢を超えて、3週齢を超えて、4週齢を超えて、6週齢を超えて又は8週齢を超えてから対象に投与される。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、2週齢を超えてから対象に投与される。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、3週齢を超えてから対象に投与される。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、6週齢を超えてから対象に投与される。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、産卵開始5~8週間前に対象に投与される。
本発明の一態様では、免疫原性組成物は、3週齢を超えてから対象に投与される。
実施例に示すように、本明細書で提供する免疫原性組成物は、3週齢の家禽に投与されると、安全かつ有効であると判明した。
【0045】
本発明の一態様では、前記方法は、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて、より短い持続時間の菌血症、より短い持続時間のウイルス血症、より低い細菌負荷、より低いウイルス負荷、低下した死亡率、減少した振戦、減少した運動失調、減少した脱力、減少した体重減少、減少した産卵低下、減少した病変、減少した食欲不振又はその組み合わせから成る群より選択される有効性パラメーターの改善をもたらす。
用語「ウイルス負荷」又は「細菌負荷」は当業者に周知である。本明細書では用語ウイルス負荷(細菌負荷)を用語ウイルス力価(細菌力価)と互換的に用いる。ウイルス負荷(細菌負荷)又はウイルス力価(細菌力価)は、活動性ウイルス(細菌)感染症の重症度の尺度であり、当業者に既知の方法で測定可能である。測定は、ウイルス(細菌)タンパク質に結合する抗体によってのようなウイルス(細菌)タンパク質の検出及びさらなる検出に基づくことができ、或いは、RT-PCR等の増幅法によるウイルス(細菌)RNAの検出によることができる。例として、ウイルス負荷(細菌負荷)又はウイルス力価(細菌力価)は、関与体液中のウイルス(細菌)の生存量、例えば血漿1ミリリットル当たりのRNAコピー数を評価することによって計算することができる。
【0046】
用語「減少させる」、「減少した」、「減少」又は「より低い」若しくは「より短い」は、有効性パラメーター(菌血症の持続時間、ウイルス血症の持続時間、細菌負荷、ウイルス負荷、死亡率、振戦、運動失調、脱力、体重減少、産卵低下、病変、食欲不振)が、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、さらに好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、さらに好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%減少することを意味する。有効性パラメーターの改善を測定する方法は当業者の一般知識の範囲内である。
本発明の一態様では、治療又は予防は、同一種の未治療コントロール群の対象に比べて死亡を予防するか又は死亡率を低下させることになる。
本発明の一態様では、治療又は予防は、同一種の未治療コントロール群の対象に比べて振戦を予防するか又は減少させることになる。
本発明の一態様では、治療又は予防は、同一種の未治療コントロール群の対象に比べて産卵低下を予防するか又は減少させることになる。
本発明の一態様では、治療又は予防は、同一種の未治療コントロール群の対象に比べて痘若しくは痘病変を予防するか又は減少させることになる。
【0047】
本発明は、下記:
-アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-改変生鶏痘ウイルス;及び
-油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物をさらに提供する。
本発明は、下記:
-不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを有するアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを有する改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを有する改変生鶏痘ウイルス;及び
-油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物をさらに提供する。
【0048】
本発明は、下記:
-アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-改変生鶏痘ウイルス;及び
-飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物をさらに提供する。
本発明は、下記:
-不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを有するアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを有する改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを有する改変生鶏痘ウイルス;及び
-飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物をさらに提供する。
【0049】
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物はワクチンである。
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物は、102~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物は、102~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の一態様では、前記免疫原性組成物は、不活化前に107~109CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明は、治療的使用のための本明細書で提供する免疫原性組成物をさらに提供する。
本発明は、免疫原又はワクチンとして使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物をさらに提供する。
本発明は、薬物として使用するための本明細書に記載の免疫原性組成物をさらに提供する。
本発明は、薬物製造のための本明細書に記載の免疫原性組成物をさらに提供する。
【0050】
本発明は、免疫原性組成物の調製方法であって、下記:
a.) アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンを準備すること;及び
b.) 改変生トリ脳脊髄炎ウイルスを準備すること;及び
c.) 改変生鶏痘ウイルスを準備すること;
d.) a)~c)の成分を組み合わせて、三価組成物を有すること;及び
e.) 前記三価組成物を得ること;及び
f.) 医薬的に許容される担体の添加
を含む方法をさらに提供する。
用語「得ること」は、収集、単離、精製及び/又は製剤処方(例えば仕上げ及び/又はブレンディング)を含み得る。
【0051】
本発明の免疫原性組成物の調製方法の1つの特定態様では、前記医薬的に許容される担体はアジュバントである。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、サポニン、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマー、RIBIアジュバント系、ブロックコポリマー(co-polymerd)、SAF-M、モノホスホリルリピドA、アブリジン(Avridine)リピド-アミン、大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン(組換え型又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、鉱物油、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、前記医薬的に許容される担体は、油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバントである。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、前記鉱物油は、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る。
【0052】
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
本発明の免疫原性組成物の調製方法の別の特定態様では、免疫原性組成物は、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む。
【0053】
態様
下記条項をも記載する。
条項1. 下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムの1つ以上の抗原及びトリ脳脊髄炎ウイルスの1つ以上の抗原及び鶏痘ウイルスの1つ以上の抗原;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
条項2. 下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンの1つ以上の抗原及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルスの1つ以上の抗原及び改変生鶏痘ウイルスの1つ以上の抗原;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
条項3. 下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルス;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
条項4. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスを組み合わせて含む免疫原性組成物。
条項5. アビバクテリウム・パラガリナルムの1つ以上の抗原がアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンである、条項1に記載の免疫原性組成物。
条項6. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンが、アビバクテリウム・パラガリナルムの全不活化バクテリンである、条項2~5のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項7. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンが、アビバクテリウム・パラガリナルムの全ホルマリン又はチメロサール不活化バクテリンである、条項2~6のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0054】
条項8. 鶏痘ウイルスが改変生鶏痘ウイルスである、条項1に記載の免疫原性組成物。
条項9. 改変生鶏痘ウイルスが弱毒化されている、条項2~4及び条項6~8のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項10. 改変生鶏痘ウイルスが非組換え型である、条項2~4及び条項6~9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項11. 改変生鶏痘ウイルスが組換え型である、条項2~4及び条項6~9のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項12. 前記トリ脳脊髄炎ウイルスが改変生トリ脳脊髄炎ウイルスである、条項1に記載の免疫原性組成物。
条項13. 改変生トリ脳脊髄炎ウイルスが弱毒化されている、条項2~4及び条項6~12のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項14. 改変生トリ脳脊髄炎ウイルスが非組換え型である、条項2~4及び条項6~13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項15. 改変生トリ脳脊髄炎ウイルスが組換え型である、条項2~4及び条項6~13のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0055】
条項16. 免疫原性組成物が、必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルム感染に起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、条項1~15のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項17. 免疫原性組成物が、トリコリーザの臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、条項1~16のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項18. 免疫原性組成物が、必要としている対象のトリ脳脊髄炎ウイルスに起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、条項1~17のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項19. 免疫原性組成物が、必要としている対象の鶏痘ウイルスに起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、条項1~18のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項20. 前記対象がトリ又は家禽である、条項16~19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項21. 前記免疫原性組成物がワクチンである、条項1~20のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項22. 前記免疫原性組成物が、単一用量投与のために処方される、条項1~21のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項23. 前記医薬的に許容される担体が、溶媒、分散媒、被覆剤、安定剤、希釈剤、保存剤、抗細菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤、アジュバント、免疫刺激剤、及びその組み合わせから成る群より選択される、条項1~3及び条項5~19のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項24. 免疫原性組成物が保存剤を含む、条項1~23のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項25. 免疫原性組成物が、保存剤としてホルムアルデヒドを含む、条項1~24のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0056】
条項26. 前記医薬的に許容される担体が、アジュバントである、条項1~3及び条項5~25のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項27. 前記医薬的に許容される担体が、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、サポニン、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマー、RIBIアジュバント系、ブロックコポリマー(co-polymerd)、SAF-M、モノホスホリルリピドA、アブリジン(Avridine)リピド-アミン、大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン(組換え型又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、鉱物油、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、条項1~3及び条項5~26のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項28. 前記医薬的に許容される担体が、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、条項1~3及び条項5~27のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項29. 前記医薬的に許容される担体が、油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバントである、条項1~3及び条項5~28のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項30. 前記鉱物油が、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る、条項27~29のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項31. アビバクテリウム・パラガリナルム及びトリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘ウイルスの抗原が一緒に相乗的に作用する、条項1~30のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0057】
条項32. 免疫原性組成物が、101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項1~31のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項33. 免疫原性組成物が、101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項1~32のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項34. 免疫原性組成物が、101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項1~33のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項35. 免疫原性組成物が、101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項1~34のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項36. 免疫原性組成物が、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項1~35のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項37. 免疫原性組成物が、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項1~36のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0058】
条項38. トリ脳脊髄炎ウイルスが、Calnek 1733株及び卵馴化Van Roekel株から成るリストより選択される、条項1~37のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項39. トリ脳脊髄炎ウイルスがCalnek 1733株である、条項1~38のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項40. 鶏痘ウイルスが、HP1及びHP193ウイルス株、Sワクチン株(FPV30)、Mワクチン株(FPV31)、ステッゲレスワクチン株(FPV32、33及び34)、ウェブスターのワクチン株(FPV30)、F132-cワクチン株、Beaudetteワクチン株、KEM-7ワクチン株及びGibbsワクチン株から成るリストより選択される、条項1~39のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項41. 鶏痘ウイルスが、Weybridgeワクチン株、Beaudetteワクチン株、KEM-7ワクチン株及びGibbsワクチン株から成るリストより選択される、条項1~40のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項42. 鶏痘ウイルスがBeaudetteワクチン株である、条項1~41のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項43. アビバクテリウム・パラガリナルムが、血清群A、血清群B及び血清群Cから成るリストより選択される、条項1~42のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項44. アビバクテリウム・パラガリナルムが、アビバクテリウム・パラガリナルム血清群A及びCの株を含む、条項1~43のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項45. アビバクテリウム・パラガリナルムが、アビバクテリウム・パラガリナルム血清群A、B及びCの株を含む、条項1~44のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項46. アビバクテリウム・パラガリナルムが、A1(O83)、B1(Spross/古典的)、4143(B1変異株)、San Francisco 27(B1変異株)及びC2(Modesto)から成るリストより選択される株を含む、条項1~45のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項47. アビバクテリウム・パラガリナルムが、株A1(O83)、B1(Spross/古典的)、4143(B1変異株)、San Francisco 27(B1変異株)及びC2(Modesto)を含む、条項1~46のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0059】
条項48. 条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含むキット。
条項49. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスが1つの容器内にある、条項48に記載のキット。
条項50. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスが1つ又は2つの容器内にある、条項48に記載のキット。
条項51. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスが別々の容器内にある、条項48に記載のキット。
条項52. アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンが1つの容器内にあり;改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルスが1つの容器内にある、条項48に記載のキット。
条項53. キットが、トリの疾患の治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む、条項48~52のいずれか1項に記載のキット。
条項54. キットが、家禽の治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む、条項48~53のいずれか1項に記載のキット。
条項55. キットが、トリコリーザ及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスの治療及び/又は予防に関する指示書をさらに含む、条項48~54のいずれか1項に記載のキット。
【0060】
条項56. 対象を免疫化する方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を該対象に投与することを含む方法。
条項57. 必要としている対象のトリ脳脊髄炎ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項58. 必要としている対象の鶏痘ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項59. 必要としている対象の鶏痘ウイルス及びトリ脳脊髄炎ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項60. 必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項61. 必要としている対象の鶏痘ウイルス及びトリ脳脊髄炎ウイルス及びアビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項62. 必要としている対象の死亡率を同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて低減させる方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項63. 必要としている対象の振戦を同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項64. 必要としている対象の産卵低下を同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
条項65. 必要としている対象の痘又は痘病変を同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法であって、条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を対象に投与することを含む方法。
【0061】
条項66. 対象の免疫化方法で使用するための条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、該方法が、治療有効量の前記免疫原性組成物を対象に投与することを含む、免疫原性組成物。
条項67. 必要としている対象の鶏痘ウイルス及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又はアビバクテリウム・パラガリナルムに起因する臨床徴候の治療又は予防方法で使用するための条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、該方法が、治療有効量の前記免疫原性組成物を対象に投与することを含む、免疫原性組成物。
条項68. 必要としている対象の死亡率及び/又は振戦及び/又は産卵低下及び/又は痘若しくは痘病変を同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて減少させる方法で使用するための条項1~47のいずれか1項に記載の免疫原性組成物であって、該方法が、治療有効量の前記免疫原性組成物を対象に投与することを含む、免疫原性組成物。
【0062】
条項69. 前記対象がトリである、条項56~68のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項70. 前記対象が家禽である、条項56~69のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項71. 前記対象が、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、又はキジから成るリストより選択される、条項56~70のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項72. 前記対象がニワトリである、条項56~71のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項73. 免疫原性組成物が1回投与される、条項56~72のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項74. 免疫原性組成物が2以上の用量で投与される、条項56~72のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項75. 前記免疫原性組成物が、皮下、筋肉内、皮内、経口又は点眼により投与される、条項56~74のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項76. 前記免疫原性組成物が、皮下、筋肉内投与される、条項56~74のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項77. 免疫原性組成物が、101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項56~76のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項78. 免疫原性組成物が、101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条条項56~77のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項79. 免疫原性組成物が、101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条条項56~78のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項80. 免疫原性組成物が、101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項56~79のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項81. 免疫原性組成物が、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項56~80のいずれか1項に記載の方法又は使用。
条項82. 免疫原性組成物が、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項56~81のいずれか1項に記載の方法又は使用。
【0063】
条項83. 免疫原性組成物が、2週齢を超えてから、3週齢を超えてから、4週齢を超えてから、6週齢を超えてから又は8週齢を超えてから対象に投与される、条項56~82のいずれか1項に記載の方法。
条項84. 免疫原性組成物が、3週齢を超えてから対象に投与される、条項56~83のいずれか1項に記載の方法。
条項85. 前記方法が、下記:同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて、より短い持続時間の菌血症、より短い持続時間のウイルス血症、より低い細菌負荷、より低いウイルス負荷、低下した死亡率、減少した振戦、減少した運動失調、減少した脱力、減少した体重減少、減少した産卵低下、減少した病変、減少した食欲不振又はその組み合わせから成る群より選択される有効性パラメーターの改善をもたらす、条項56~84のいずれか1項に記載の方法。
【0064】
条項86. 下記:
-アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-改変生鶏痘ウイルス;及び
-油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物。
条項87. 下記:
-不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを有するアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを有する改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを有する改変生鶏痘ウイルス;及び
-油中水エマルションアジュバント又は鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物。
【0065】
条項88. 下記:
-アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-改変生鶏痘ウイルス;及び
-飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物。
条項89. 下記:
-不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを有するアビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、及び
-101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを有する改変生トリ脳脊髄炎ウイルス、及び
-101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを有する改変生鶏痘ウイルス;及び
-飽和脂肪族及び脂環式炭化水素を含むか又はそれらから成る鉱物油を含む油中水エマルションアジュバント
を組み合わせて含む免疫原性組成物。
【0066】
条項90. 前記免疫原性組成物がワクチンである、条項86~89のいずれか1項に記載の
免疫原性組成物。
条項91. 前記免疫原性組成物が、102~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項86~90のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項92. 前記免疫原性組成物が、102~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項86~91のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
条項93. 前記免疫原性組成物が、不活化前に107~109CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項86~92のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
【0067】
製造方法
条項94. 免疫原性組成物の調製方法であって、下記:
a.) アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンを準備すること;及び
b.) 改変生トリ脳脊髄炎ウイルスを準備すること;及び
c.) 改変生鶏痘ウイルスを準備すること;及び
d.) a)~c)の成分を組み合わせて三価組成物を有すること;及び
e.) 前記三価組成物を得ること;及び
f.) 医薬的に許容される担体の添加
を含む方法。
条項95. 前記医薬的に許容される担体がアジュバントである、条項94に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項96. 前記医薬的に許容される担体が、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、サポニン、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、無水マレイン酸とアルケニル誘導体のコポリマー、RIBIアジュバント系、ブロックコポリマー(co-polymerd)、SAF-M、モノホスホリルリピドA、アブリジン(Avridine)リピド-アミン、大腸菌由来の熱不安定性エンテロトキシン(組換え型又はその他)、コレラ毒素、IMS 1314、ムラミルジペプチド、鉱物油、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、条項94又は95に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項97. 前記医薬的に許容される担体が、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、条項94~96のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
【0068】
条項98. 免疫原性組成物が101~105EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項94~97のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項99. 免疫原性組成物が101~103EID50/用量のトリ脳脊髄炎ウイルスを含む、条項94~98のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項100. 免疫原性組成物が101~105EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項94~99のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項101. 免疫原性組成物が101~103EID50/用量の鶏痘ウイルスを含む、条項94~100のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項102. 免疫原性組成物が、不活化前に102~1015CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項94~101のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
条項103. 免疫原性組成物が、不活化前に105~1010CFU/用量のアビバクテリウム・パラガリナルムを含む、条項94~102のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の調製方法。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】チャレンジ後の1日当たりの痘病変(羽の上及び/又は大腿の上)を有するトリの百分率を示す(PC=ポジティブコントロール;NC=ネガティブコントロール)。
図2】治療群毎の平均AE ELISA力価を示す(PC=ポジティブコントロール;NC=ネガティブコントロール)。
【実施例
【0070】
次の実施例を以下に示して本発明の特定実施形態を実証する。これらの実施例は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲又は基本原理を限定しないものと理解すべきである。
実施例1:家禽の鶏痘及びトリ脳脊髄炎ウイルスに対する改変生ワクチンの有効性へのトリ感染性コリーザに対するワクチンの干渉の測定
研究目的
家禽の鶏痘(FP)に対する生弱毒化ワクチン及びトリ脳脊髄炎ウイルス(AE)に対する生弱毒化ワクチンの有効性への不活化感染性トリコリーザワクチン(アビバクテリウム・パラガリナルム)の干渉の測定。
【0071】
実験デザイン
SPF産卵型ニワトリ(D0で21日齢)を4つの治療群(TG)にランダムに分けた:
・TG01(20羽):不活化コリーザワクチンを添加した生AE-FPワクチン(三種混合ワクチン)のワクチン接種後にFPチャレンジ。この群は、コリーザワクチンのAE-FPワクチンの有効性への干渉を検出するのに役立つ。
・TG02(20羽):生AE-FPワクチン(二価ワクチン)のワクチン接種後にFPチャレンジ。この群は、生AE-FPワクチンの有効性を実証するのに役立つ。
・TG03(10羽):ワクチン接種ではなくFPウイルス(FVP)暴露した。この群は、FPVによるチャレンジを測定し、それによって動物実験(チャレンジコントロール)を検証するのに役立つ。
・TG04(5羽):ワクチン接種ではなく滅菌水接種した。この群は、AE及びFPVへの抗体の非存在並びに痘の発生の非存在並びに研究の妥当性を管理するのに役立つ。
【0072】
実験単位は治療群(TG)だった。
ワクチン接種動物は、様々な組み合わせで試験したワクチンの1用量を受ける。ワクチン接種経路は、ワクチンについて記録した経路である(表1)。ワクチン接種の3週間後にチャレンジを行ない;TG01、TG02及びTG03には飛膜及び羽嚢法により病原性痘株を接種し、TG04(コントロール群)には滅菌水を接種する。その後、研究終了まで、トリを毎日観察し、日29~35には、鶏痘に起因する臨床徴候の出現についてチェックする。研究終了時に、O2-CO2ガス混合物の吸入によってトリを安楽死させる。日0、21及び42に全てのトリの血液サンプルを採取する。AEへの抗体の存否について血液を調べる。
【0073】
【表1】
【0074】
この研究の一次パラメーターは以下のとおりである。
1. 標準的な市販のELISA試験を使用して測定したAEウイルスへの抗体応答;
2. 赤血球凝集抑制試験を用いたコリーザAに対する抗体力価の測定;
3. 接種部位(飛膜及び大腿側面)における痘発生の存否。
材料及び方法
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
所見
チャレンジ後、日中にニワトリを2回臨床徴候について観察する。全ての徴候及び死亡率を記録し、研究ファイルに保存する。
サンプリング
血清学用の血液サンプルは、日0、21及び42に羽の静脈を穿刺することによって採取する。血液を血清ゲルチューブに集めて少なくとも2時間室温で凝固させる。その後、チューブを遠心分離機(4700g;10~15分;室温)にかけて血清を収集し、二等分にし、さらに処理するために<-16℃で貯蔵する。
【0083】
赤血球凝集抑制試験
Kume株A1抗原を用いる赤血球凝集抑制試験を利用してD42に採取したトリの血清中のコリーザ血清型Aに対する抗体の存在を評価した。丸底マイクロタイタープレートを用いて血清の2倍段階希釈を行なった。各カップに、等量の血球凝集単位(50μl、4単位)及び0.75%のホルマリン化ニワトリ赤血球(50μl)を添加した。室温で45分間のインキュベーション後に、血球凝集を完全に抑制した最大血清希釈度として結果を判断した。ニワトリ赤血球(2回PBSで洗浄した)を3%のホルムアルデヒドを含むPBSと共に18時間4℃でインキュベートすることによってホルマリン化ニワトリ赤血球を調製した。引き続き、赤血球を1回PBSで洗浄し、PBSに懸濁させて50%緩衝液を作製し、試験を行なう直前に0.75%に希釈する(Jacobs et al., 1992)。
【0084】
結果
A. コリーザA(アビバクテリウム・パラガリナルム)
不活化コリーザワクチンを接種しなかった群TG02、TG03及びTG04は、コリーザ血清型Aに対して検出可能な抗体レベルを有しなかった。これは、試験の高い特異性を示す。
群TG01(不活化コリーザワクチンに添加した生AE+FP)では、コリーザ血清型Aに対する抗体レベルが予想レベルで検出された(データ示さず)。これらの結果は、コリーザワクチン成分について予想されたネガティブな干渉の兆候がないことを示す。あらゆるネガティブな干渉の大分部が生ワクチン成分のいずれにも又は両方について予想された。
【0085】
B. 鶏痘
ワクチン接種の結果(チャレンジ後に鶏痘病変を有するトリの百分率)を図1に示す。
ネガティブコントロール群(TG04)は痘病変を示さないが、ポジティブコントロール群(TG03)のトリは全て痘病変を引き起こすので、この研究は妥当である。非ワクチン接種群(TG03及びTG04)はELISAネガティブのままであり、両AEワクチン化群(TG01及びTG02)はAE抗体に対してポジティブになるので、研究のトリ脳炎部分についても同様に結論づけられる。
生弱毒化AE-FPワクチン接種した両群についての痘に対する防御レベルを図1に示す。全てのチャレンジした非ワクチン接種トリは1週間以上の間に痘病変を示し;ワクチン接種トリのほとんど(約75%)はチャレンジ後に如何なる痘病変をも示さず;約25%のトリは1~3日間で小さい病変を示す(小(サイズ2~3mm)と分類される病変)。TG01(不活化コリーザ+AE-FPワクチン)の防御レベルは96%であり、TG02(生AE-FPワクチン)の防御レベルは92%なので、TG01の防御レベルがわずかに高い。チャレンジ後の日21(d.p.c.)に、両ワクチン接種群には病変が存在しないにもかかわらずTG03のトリの89%は痘病変を示す。
これらの結果は、驚いたことに、生弱毒化FPワクチンの有効性に対して不活化コリーザワクチンのネガティブな干渉の兆候がないことを示している。また一方、三種混合ワクチンにおいては痘ワクチンの有効性に関してわずかにポジティブな相乗効果さえあり、驚くべきことである。
【0086】
C. トリ脳脊髄炎ウイルス(AE)ウイルス
表9及び図2は、ワクチン接種の日並びにワクチン接種後の日(d.p.v.)21及び24における全ての群についての平均AE ELISA力価を示す。
【0087】
【表9】
【0088】
AE成分についての平均力価発達を図2に示す。ワクチン接種後の日21及び42に、不活化コリーザワクチンに添加した生弱毒化AE-FPワクチン(TG01)を接種した群のトリにポジティブなAE抗体ELISAの百分率は、それぞれ81%及び95%である。生弱毒化AE-痘ワクチンを接種したトリにポジティブな百分率は同日にそれぞれ57%及び90%である(TG02)。従って、TG01のトリにポジティブな抗体の百分率がわずかに高い。これらの結果は、不活化コリーザワクチンの生弱毒化AE-FPワクチンの有効性へのネガティブな干渉の兆候はないことを示している。また一方で、三種混合ワクチン製剤ではAEワクチンの有効性についてわずかにポジティブな相乗効果さえあり(AE抗体ポジティブトリの百分率が上昇)、驚くべきことである。
【0089】
結論
要約すると、不活化コリーザワクチン(アビバクテリウム・パラガリナルム)を添加しても生弱毒化AE(トリ脳脊髄炎ウイルス)及びFP(鶏痘)ワクチンの有効性への干渉は検出されないと結論づけることができる。本明細書で提供するデータは、三種混合ワクチンを接種した動物が鶏痘チャレンジに対して防御され、動物はAEに対して高い抗体力価を生じさせることを示す。三種混合ワクチンの組み合わせでは痘ワクチン及びAEワクチンの両有効性については、わずかにポジティブな相乗効果さえあり、驚くべきことである。ワクチンを組み合わせるとワクチンの有効性へのネガティブな効果が予想され、一般的により複雑なワクチン組成物に至ることが多い。特に、アジュバントは改変生ワクチン成分の活性と干渉し得るので、改変生ワクチンをアジュバントを含むバクテリンと組み合わせるときにこのことが予想されることになる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリンの1つ以上の抗原及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルスの1つ以上の抗原及び改変生鶏痘ウイルスの1つ以上の抗原;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
〔2〕下記:a)アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン及び改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び改変生鶏痘ウイルス;並びにb)医薬的に許容される担体を含む免疫原性組成物。
〔3〕前記バクテリンが全不活化バクテリンである、前記〔1〕又は〔2〕に記載の免疫原性組成物。
〔4〕前記免疫原性組成物が、必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルム感染及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス感染及び/又は鶏痘ウイルス感染に起因する臨床徴候の治療及び/又は予防に有効である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
〔5〕前記免疫原性組成物がワクチンである、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
〔6〕前記医薬的に許容される担体がアジュバントである、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
〔7〕前記医薬的に許容される担体が、鉱物油、油中水エマルション、水中油エマルション、水中油中水エマルション、及びその組み合わせから成る群より選択されるアジュバントである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
〔8〕アビバクテリウム・パラガリナルム及びトリ脳脊髄炎ウイルス及び鶏痘ウイルスの前記抗原が一緒に相乗的に作用する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物。
〔9〕前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を含むキット。
〔10〕前記アビバクテリウム・パラガリナルムのバクテリン、前記改変生トリ脳脊髄炎ウイルス及び前記改変生鶏痘ウイルスが、1つ又は2つの容器内にある、前記〔9〕に記載のキット。
〔11〕対象の免疫化方法であって、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を該対象に投与することを含む、前記方法。
〔12〕必要としている対象のアビバクテリウム・パラガリナルム及び/又はトリ脳脊髄炎ウイルス及び/又は鶏痘ウイルスに起因する臨床徴候の治療又は予防方法であって、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔13〕必要としている対象の死亡率及び/又は振戦及び/又は産卵低下を、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて低減させる方法であって、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の免疫原性組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、前記方法。
〔14〕前記対象が家禽である、前記〔11〕~〔13〕のいずれか1項に記載の方法。
〔15〕前記免疫原性組成物が1回投与される、前記〔11〕~〔14〕のいずれか1項に記載の方法。
〔16〕前記免疫原性組成物が、皮下、筋肉内、皮内、経口又は点眼により投与される、前記〔11〕~〔15〕のいずれか1項に記載の方法。
〔17〕前記方法が、同一種の非免疫化コントロール群の対象に比べて、より短い持続時間の菌血症、より短い持続時間のウイルス血症、より低い細菌負荷、より低いウイルス負荷、低下した死亡率、減少した振戦、減少した運動失調、減少した脱力、減少した体重減少、減少した産卵低下、減少した病変、減少した食欲不振、減少した眼窩下副鼻腔の炎症又はその組み合わせから成る群より選択される有効性パラメーターの改善をもたらす、前記〔11〕~〔16〕のいずれか1項に記載の方法。
図1
図2