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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】釣り用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/02 20060101AFI20230904BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20230904BHJP
   A01K 91/06 20060101ALI20230904BHJP
【FI】
A01K85/02
A01K85/16
A01K91/06 J
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023056422
(22)【出願日】2023-03-30
【審査請求日】2023-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723004314
【氏名又は名称】玉木 碧
(72)【発明者】
【氏名】玉木 碧
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-072109(JP,A)
【文献】特開2006-067885(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0083559(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/02
A01K 85/16
A01K 91/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝部を有する前部ボディと、
釣針を固定する為の釣針押え部材と、
上記前部ボディと上記釣針押え部材とで係止された釣針と、
上記釣針を隠納するための溝部を有する後部ボディとを備え、
上記前部ボディと上記後部ボディとにはスライド機能を備え、上記前部ボディは上記後部ボディに対して直線的にスライド移動可能であり、
上記前部ボディが上記後部ボディに対して直線的にスライド移動することにより、上記前部ボディに係止された上記釣針が直線的にスライド移動し上記後部ボディの溝部より突出することを特徴とするルアー。
【請求項2】
上記後部ボディの上記スライド機能の摺接面と、
上記後部ボディの上記摺接面から最も距離が離れた点と、上記後部ボディの摺接面の中心点を通り摺動方向と垂直に交わる上記摺接面上の直線とを結ぶ平面との角度は、5~95度である請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
上記スライド機能の最大スライド距離は、6~50mmである請求項1に記載のルアー。
【請求項4】
上記スライド機能は、上記前部ボディと上記後部ボディとを互いに逆方向へ付勢する弾性
部材を備える請求項1に記載のルアー。
【請求項5】
上記弾性部材は、圧縮コイルバネであり、
上記圧縮コイルバネの自然長(荷重がかかっていない場合の長さ)は、6.1~50.1mm、バネ定数は、0.01~0.7N/mmであり、
上記圧縮コイルバネの素材は、ステンレスである請求項4に記載のルアー。
【請求項6】
上記前部ボディの溝部及び上記釣針押え部材は、上記釣針を上記前部ボディに係止するために上記釣針の形状に沿った部分を有する請求項1に記載のルアー。
【請求項7】
上記釣針押え部材は、リップを有する請求項1に記載のルアー。
【請求項8】
上記後部ボディの素材は、硬質プラスチックである請求項1に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、釣り用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
コクチバス、オオクチバス、ナマズ、スズキ等の大型の魚は、ベイトとして魚やミミズ、エビ、ザリガニ、カエル、虫、ネズミ等の小動物を補食する。これら大型の魚を捕獲する手段としてルアーフィッシングが普及している。ルアーフィッシングではルアーが用いられる。ルアーには釣糸が連結される。ルアーは、キャストによって空中を飛行し、やがて着水する。ルアーは、釣糸が巻かれることによって水中や水面を泳ぐ。このルアーをベイトと勘違いした上記の魚は、ルアーに食いつく。ルアーに取り付けられた釣針が上記の魚に刺さり、上記の魚が釣り上げられる。
【0003】
従来、ルアーには、素材にプラスチック、木、金属等の硬質な物質を用いたハードルアーと呼ばれるルアーがあり、このハードルアーは釣針全体が外部に露出した状態でルアーボディに釣針を取り付けることが一般的である。(特許文献1図1
【0004】
そのため、ハードルアーを、一般に魚が潜んでいる可能性が高い水中の木、岩、水底等の障害物周辺で使うと釣針が障害物に引っ掛かり易いという問題がある。
【0005】
上記障害物への釣針の引っ掛かりが抑制されたハードルアーとして、例えば、下記特許文献2の図1及び図2等には、釣針の針先部分がルアー本体の中に隠納され、魚の喰いつきによって隠納状態保持部が外れバネの力によって外に突出するルアーが開示されている。
【0006】
その他にも釣針をルアーボディに内蔵し、魚の咬みつき圧力によって釣針が外部へ突出するルアー(特許文献3)や、魚の咬みつき圧力によって釣針係止手段の結合を解き、バネ力によって針が外部へ突出するルアー(特許文献4)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2022-176045
【文献】実登3048571
【文献】特開昭63-226236
【文献】実全昭58-053559
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし上記の(特許文献2)(特許文献3)(特許文献4)はいずれも魚の咬みつき圧力を原動力として、ボディ内部から外部に釣針が突出する機構を作動させるものとしており、魚がルアーへ咬みつく際の方向や強さによっては正常に釣針がルアーボディから突出せず、魚がルアーに食いついた場合に針が魚に刺さらない又は針が魚に深く刺さらずに魚を捕獲できないことが考えられる。
【0009】
加えて、釣針の交換が困難な構造によって釣針をルアーボディに内蔵した場合、一般にルアーボディよりも消耗の早い釣針が正常に機能しなくなった際には、ルアー全体が機能しなくなる問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、針先をボディに隠納することで水中の障害物への引っ掛かりを防止し、且つ、魚がどのようにルアーを咥えても釣人が釣糸を引張る行為によってルアーボディに陰納された針先をルアーボディの外部へ突出させ、魚の口に釣針を深く突き刺すことが、硬質素材による成形でも可能なルアーを提供し、あわせて釣針の交換が容易に可能なルアーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るルアーは、
溝部を有する前部ボディと、
釣針を固定する為の釣針押え部材と、
上記前部ボディと釣針押え部材とで係止された釣針と、
上記釣針を隠納するための溝部を有する後部ボディとを備え、
上記前部ボディと後部ボディとにはスライド機能を備え、互いに摺接し、
上記前部ボディと後部ボディとがスライドすることにより、上記釣針が後部ボディから突出することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、上記後部ボディの上記釣針の突出方向の上記スライド機能の摺接面外形線と、上記釣針の収納方向の上記摺接面外形線とで定める平面と、
上記後部ボディの上記摺接面から最も距離が離れた点と、上記後部ボディの摺接面の摺動可動部摺接面の中心点を通り摺動方向と垂直に交わる上記摺接面上の直線とを結ぶ平面との角度は、5~95度である。
【0013】
好ましくは、上記スライド機能の最大スライド距離は、6~50mmである。
【0014】
好ましくは、上記スライド機能は、上記前部ボディと上記後部ボディとを互いに逆方向へ付勢する弾性部材を備える。
【0015】
好ましくは、上記弾性部材は、圧縮コイルバネであり、
上記圧縮コイルバネの自然長(荷重がかかっていない場合の長さ)は、6.1~50.1mm、バネ定数は、0.01~0.7N/mmであり、
上記圧縮コイルバネの素材は、ステンレスである。
【0016】
好ましくは、上記スライド機能は、前部ボディ及び後部ボディのいずれか一方に設けられたシャフトと、他方に設けられた、上記シャフトが挿通されるシャフト孔とを備える。
【0017】
好ましくは、上記シャフトと上記シャフト孔とを釣針を中心としてそれぞれ一対ずつ備え、2本の上記シャフト間の距離が3~25mmである。
【0018】
好ましくは、上記前部ボディの溝部及び上記釣針押え部材は、上記釣針を上記前部ボディに係止するために上記釣針の形状に沿った部分を有する。
【0019】
好ましくは、上記釣針押え部材は、リップを有する。
【0020】
好ましくは、上記後部ボディの素材は、硬質プラスチックである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、水中の障害物への引っ掛かりを防止し、魚の口に釣針が深く突き刺さることを実現でき、釣針の交換も容易に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は本考案の第1実施形態に係る釣り用ルアーを分解して示す斜視図である。
図2図2は、図1のルアーの斜視図である。
図3図3は、図1のルアーの斜視図である。
図4図4は、図1のルアーの斜視図である。
図5図5は、図1のルアーの側面図である。
図6図6は、図1のルアーの側面図である。
図7図7は、図21のルアーのBーB線に沿って見た断面図である。
図8図8は、図22のルアーのCーC線に沿って見た断面図である。
図9図9は、図21のルアーのAーA線に沿って見た断面図である。
図10図10は、図5のルアーのDーD線に沿って見た断面図である。
図11図11は、図1のルアーの前部ボディの構造を示す斜視図である。
図12図12は、図1のルアーの後部ボディの形状を示す説明斜視図である。
図13図13は、図5のルアーのEーE線に沿って見た断面図である。
図14図14は、図1のルアーの正面図である。
図15図15は、図14のルアーのGーG線に沿って見た断面図である。
図16図16は、図1のルアーの釣針押え部材を示す後面図である。
図17図17は、図1のルアーの釣針押え部材を示す上面図である。
図18図18は、図17の釣針押え部材のFーF線に沿って見た断面図である。
図19図19は、図1のルアーの釣針を着脱する過程を示した説明側面断面図である。
図20図20は、図1のルアーの釣針を着脱する過程を示した説明側面断面図である。
図21図21は、図1のルアーの上面図である。
図22図22は、図1のルアーの上面図である。
図23図23は、本考案の第2実施形態に係る釣用ルアーを示す側面図及び側面断面図である。
図24図24は、本考案の第3実施形態に係る釣用ルアーを示す背面図、正面図、斜視図、上面図、側面断面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態のルアー1Aについて説明する。
【0024】
本第1実施形態のルアー1Aは、図1図6に示されるように、前部ボディ2と後部ボディ3とボディに釣針を着脱する為の部材である釣針押え部材6と釣針7と上記前部ボディと上記後部ボディとをスライド可能に連結するスライド機構9、加えて図1図7図8に示す釣針7をルアーボディに着脱可能にするための機構としての釣針着脱機構10を備える。釣針7の釣糸係止部7bに釣糸が結ばれる。
【0025】
本第1実施形態のルアー1Aは、スライド機構9により、後部ボディ3に設けられた釣針収納部8に釣針7が収納された図2及び図5及び図7に示される初期形態P0から、釣針7の針先7aから湾曲部7eがボディ外部へ突出した図3及び図4及び図6及び図8に示される釣針突出形態P1へ可逆に変化させることができる。以下、初期形態P0から釣針突出形態P1への形態の変化を変形A、釣針突出形態P1から初期形態P0への形態の変化を変形Bとする。変形A及び変形Bは繰り返し動作させることができる。
【0026】
また、釣針突出形態P1は、後述の開放空間2dの下側面と最も収縮した状態にある弾性部材5、最も収縮した状態にある弾性部材5と後部ボディ前方凸部3bの下側面がそれぞれ当接した状態であり、初期形態P0は、後述の後部ボディ前方凸部3bの上側面と後述の開放空間2dの上側面とが当接した状態である。
【0027】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、釣針突出形態P1にあるルアー1Aは、釣針7の針先7aから湾曲部7eまでの部分が後部ボディ3の外部へ突出するが、針先7aのみが後部ボディ3の外部に突出しても良く、また、針先7aから延伸軸部7fまでの部分が後部ボディ3の外部へ突出しても構わない。
【0028】
図5及び図7に示されるように、初期形態P0にあるルアー1Aは、側面からルアー1Aを見た場合、釣針7の針先7aが後部ボディ3に隠納されるため、水中や水面、水面付近の障害物の回避に優れる。ルアー1Aは、大きな外力が加わっていない場合に初期形態P0をとり、例としては、水中においてリーリング(リールによってルアーを巻き取ること)をした時、キャスティング時、携行時、保管時等である。初期形態P0にあるルアー1Aを魚が咥えた状態で、釣糸係止部7bに結ばれた釣糸を引張り、スライド機構9を作動させ、前部ボディ2と釣針押え部材6とで係止された釣針7を後部ボディ3に設けられた釣針収納部8から引き出し変形Aを行うことで、魚の口に上記釣針を突き刺し、魚を釣り上げることができる。このとき、釣針7が釣針収納部8から引き出されると同時に魚の口に釣針7が突き刺さることが好ましいが、釣針突出形態P1に変化した時点からさらに釣糸を引張ることで、魚の口に上記釣針を突き刺しても良い。
【0029】
以下でスライド機構9の詳細について説明する。
【0030】
図4に示されるように、スライド機構9は、前部ボディ2と後部ボディ3とを互いにスライドを可能に連結する機構であり、上記スライド機構によって変形A及び変形Bは可能となる。図9に示されるように、本第1実施形態のルアー1Aにおいて、スライド機構9は、シャフト4、後部ボディ3に設けられたシャフト孔を備えるための部分である後部ボディ前方凸部3b、上記後部ボディ前方凸部に設けられたシャフト孔3a、弾性部材5、前部ボディ2に設けられた開放空間2dを備え、図4及び図11に示されるように、上記スライド機構は釣針7を中心として左右に1つずつ備えられ、ルアー1Aの前後方向に対してスライド面が図6に示される矢印15方向に傾斜する。つまり、矢印15は、スライド機構9のスライド方向を示す。
【0031】
スライド機構9は、リーリング時のルアーの動きを阻害しないために可能な限り軽くあることが好ましく、加えて、十分な強度を有して前部ボディ2と後部ボディ3とをスライド可能に連結するものでなくてはならない。上記の理由より前部ボディ2と後部ボディ3とはシャフトとシャフトが挿通されるシャフト孔とによってスライド可能に連結されることが好ましく、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト4とシャフト孔3aとによって前部ボディ2と後部ボディ3とがスライド可能に連結される。また、上記の条件が満たされれば、必ずしもシャフトとシャフト孔とによって前後のボディを連結する必要はなく、例えば、レールとなる凹部又は凸部を前部ボディ又は後部ボディのいずれかに設け、他方に上記レールをスライド可能な凹部又は凸部を設けることによって前後のボディをスライド可能に連結しても良い。
【0032】
図9に示されるように、シャフト4は、その上端と下端とが、前部ボディ2に備えられた、開放空間2dの上側部分及び下側部分にそれぞれ設けられた上部シャフト設置凹部2b、下部シャフト設置凹部2cへ圧入され前部ボディ2に固定支持されている。図9及び図10に示されるようにシャフト4とシャフト孔3aは、釣針7を中心としてそれぞれ左右に1つずつ備えられ、左右のシャフト4は、それぞれ左右のシャフト孔3aに挿通されている。上記の構造により前部ボディ2と後部ボディ3とは、左右のシャフト4を軸として互いににシャフト4に並行もしくは並行に近い角度での移動(スライド)を可能に連結される。
【0033】
ルアーがリーリング時に安定して動くためにルアーの構造及び形状は、左右方向に対称である必要があるため、上記シャフト及びシャフト孔も左右に対称に備える必要がある。しかし、奇数本のシャフトを左右対称となるように備えた場合、ルアーを上方向から見て釣針と重なる位置にシャフトを備える必要があり、釣針によってシャフトの長さは制限され、魚に釣針を深く突き刺すために必要な長さの釣針が突出可能なスライド距離を得るために必要な長さのシャフトを備えることができない。魚に釣針を深く突き刺すために必要な長さの釣針が突出可能なスライド距離を得られる長さのシャフトを備えるためには、釣針の延伸軸部7fの接線とシャフトはねじれの位置にある必要があり、かつシャフトは左右対称に備える必要があることから、シャフトは釣針を中心として左右に2本備えることが好ましい。4以上の偶数本のシャフトを備えた場合、魚が餌と認識する形状からルアーの形状が逸脱し、加えてスライド機構が重くなりルアーのリーリング時の動きが不安定になりやすいためシャフトの数は2本が好ましい。上記の理由より本第1実施形態のルアー1Aは、釣針7を中心としてシャフト4とシャフト孔3aとをそれぞれ左右に1つずつ左右方向に対称に備える。
【0034】
左右のシャフト4の左右方向の距離(図22に示される直線Uの長さ)の値が大き過ぎる場合、ルアーの左右方向の幅が大きくなり魚が餌と認識する形状からルアーの形状が逸脱してしまい、かつ、ルアーの形状が魚の口に入りづらくなるため、左右のシャフト4の左右方向の距離の値は可能な限り小さくすることが好ましい。しかし、図10図11及び図22に示されるように、左右のシャフトの間には、前部ボディ2が必要な強度を有するための部分である前部ボディ後方凸部2fを備える必要があり、加えて、図9図10図22に示される、シャフト孔の縁3mは、後部ボディ前方凸部3bが十分な強度を有するために十分に厚い必要がある。上記の理由より左右のシャフト4の左右方向の距離は、前部ボディ後方凸部2fと十分な厚さのシャフト孔の縁3mを備えた上で可能な限り小さくすることが好ましく、本第1実施形態のルアー1Aにおいて、左右のシャフト4の左右方向の距離(図22に示される直線Uの長さ)は7.6mmである。また、上記の距離は必ずしも上記の値である必要はなく前部ボディ後方凸部2fの左右方向の厚さやシャフト孔の縁3mの厚さに合わせて3~25mmであっても好ましい結果が得られた。
【0035】
前部ボディ2と後部ボディ3とがスライドが可能な距離は、開放空間2dの上側面と後部ボディ前方凸部3bの上側面との当接及び、開放空間2dの下側面と弾性部材5及び上記弾性部材と後部ボディ前方凸部3bの下側面との当接によって決定され、最大スライド距離は、図6に示される開放空間2dの矢印15方向の長さ(図6に示される直線K2の長さ)から、後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さ(図6に示される直線K3の長さ)と弾性部材5が最も収縮した時の長さ(弾性部材5の密着時長さ)とを差し引いた長さであり、図6に示される直線K1の長さである。変形Aにおいて後部ボディ3から突出する釣針7の長さは、この最大スライド距離に依存するため、最大スライド距離(図6に示される直線K1の長さ)は、魚に釣針を深く突き刺すために十分な長さの釣針が突出可能となる長さでなくてはならないが、最大スライド距離を長く設定しすぎた場合、魚が餌と認識する形状からルアーの形状が逸脱してしまい、かつ、ルアーの形状が魚の口に入りづらくなる。
【0036】
上記の理由より、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、最大スライド距離(図6に示される直線K1の長さ)は14.4mmである。また、最大スライド距離は、釣針の大きさやスライド面の傾斜角度やボディの大きさ及び形状に合わせて6~50mmの範囲内の適切な値に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0037】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さ(図6に示される直線K3の長さ)は、後部ボディ前方凸部3bが十分な強度を有するために3mmであるが、上記後部ボディ前方凸部の矢印15方向の厚さは最大スライド距離に合わせて1~10mmの範囲内で適切な値に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0038】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト孔3aは円柱形の孔でありその直径は1.2mmであるが、上記直径の大きさは、シャフトの線径に合わせて0.5~3.8mmの範囲内の値を適切に設定することでも好ましい結果が得られた。また、上記シャフト孔は、必ずしも円柱形である必要も閉じられている必要もない。
【0039】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト4の断面は円形でありその直径は0.8mmであるが、上記直径の大きさは、0.4~3mmの範囲内の値を適切に設定することでも好ましい結果が得られた。また、断面は必ずしも円形である必要はなく、例えば、長方形等であっても良い。
【0040】
図9及び図10に示されるように、上記シャフトとシャフト孔の間には前部ボディ2と後部ボディ3の円滑なスライドを可能にする為の隙間14が必要である。換言するとシャフト孔よりシャフトは細い必要がある。本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト孔3aの直径は、1.2mm、シャフト4の直径は、0.8mmでありシャフトの直径はシャフト孔の直径よりも0.4mm細い。シャフト孔の直径の値からシャフトの直径の値を差し引いた値は、シャフトの直径に合わせて0.1~0.8mmの範囲内の値を適切に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0041】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト4の形状は直線であるが、必ずしも直線である必要はなく、シャフト孔3aが上記シャフトに沿って円滑に移動可能であれば、上記シャフトの形状は屈折や湾曲しても良い。
【0042】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト4は、上部シャフト設置凹部2b、下部シャフト設置凹部2cへ圧入されることで前部ボディ2へ固定支持されているが、シャフト4を前部ボディ2へ固定支持する方法は必ずしも上記の方法である必要はない。
【0043】
シャフト4は、錆びにくい素材で成形する必要があり、本第1実施形態において、上記シャフトの素材はステンレスである。また、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、上記シャフトの素材はステンレスであるが、錆びにくいステンレス以外の金属やカーボンや樹脂等の素材であっても良い。
【0044】
図4及び図11に示されるように、開放空間2dは前部ボディ2の後部に釣針7を中心として左右に1つずつ設けられたそれぞれ左と右に開く空間である。この開放空間の内側の面を開放空間中心面2d-1、前側の面を開放空間前面2d-2とする。上記開放空間は、シャフト4、弾性部材5、後部ボディ前方凸部3bを設置し、かつ上記後方ボディ前方凸部が上記シャフトに沿って移動可能なためのスペースであり、上記開放空間の矢印15方向の長さ(図6に示される直線K2の長さ)は、最大スライド距離を決定する要素の1つであり、上記開放空間の矢印15方向の長さは、魚に釣針を深く突き刺すために十分な長さの釣針が突出可能となるスライド距離が得られる長さでなくてはならない。また、左右の上記開放空間は図11に示されるように前部ボディ後方凸部2fによって中心が隔てられており、上記前部ボディ後方凸部は、前部ボディ2に釣針嵌合凹部2eと釣針押え部材嵌合凹部2aと上記開放空間とを設けた際に損なわれた強度を補うことを目的とする部分である。
【0045】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、上記開放空間の矢印15方向の長さ(図6に示される直線K2の長さ)は20mmであるが、上記開放空間の矢印15方向の長さは、釣針の大きさやスライド面の傾斜角度やボディの大きさ及び形状に合わせて7~60mmの範囲内で適切な値に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0046】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、開放空間中心面2d-1と開放空間前面2d-2はシャフト4に並行な平面であるが、必ずしも上記開放空間中心面と上記開放空間前面は上記シャフトに並行な平面である必要はなく、シャフト孔3aが上記シャフトに沿って円滑に移動可能な範囲であれば曲面や上記シャフトに対して傾斜した平面であっても良い。
【0047】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、前部ボディ後方凸部2fは後方に向かって左右の幅が小さくなるが、必ずしも上記の形状である必要はなく、全ての箇所で左右の幅が同じであったり後方に向かって左右の幅が大きくなっても良い。
【0048】
図9図11に示すように、弾性部材5は、開放空間2dの下側面と後部ボディ前方凸部3bの下側面との間に設けられ、開放空間2dの下側面及び後部ボディ前方凸部3bの下側面と当接する。弾性部材5の自然長(荷重がかかっていない場合の長さ)は、開放空間2dの矢印15方向の長さから後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さを差し引いた長さ(図5に示される直線K4の長さ)よりも長く、ルアー1Aの全ての形態において、上記弾性部材は自然長(荷重がかかっていない場合の長さ)よりも短い状態にあり、上記弾性部材が前部ボディ2を矢印15の反対方向へ、後部ボディ3を矢印15方向へそれぞれ付勢することによって初期形態P0はその形状が維持される。また、上記弾性部材が前部ボディ2を矢印15の反対方向へ後部ボディを矢印15方向へそれぞれ付勢することによって、釣針突出形態P1もしくは釣針突出形態P1と初期形態P0との中間の形態にあり大きな外力が加わっていないルアー1Aは、初期形態P0へと自然に変化し、初期形態P0の状態が維持される。
【0049】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、シャフト4はその両端が前部ボディ2に固定支持され、シャフト孔3aと上記シャフト孔を備えるための部分である後部ボディ前方凸部3bは、後部ボディ3に備えられ、弾性部材5は上記後部ボディ前方凸部の下側(矢印15の反対方向側)の位置に備えられているが、後部ボディにシャフトの両端を固定支持し、シャフト孔及びシャフト孔を備えるための凸部を前部ボディに備えても良く、上記の場合、弾性部材はシャフト孔を備えるための凸部より上側(矢印15方向側)の位置に備える。
【0050】
前部ボディ2と後部ボディ3の最大スライド距離(図6に示される直線K1の長さ)をより大きくするために、弾性部材5は、可能な限り短く収縮することが好ましく、加えてルアーがリーリング時に安定して動くために十分軽いことが好ましい。上記の理由より弾性部材5は圧縮コイルバネであることが好ましい。本第1実施形態のルアー1Aにおいては、弾性部材5は圧縮コイルバネであり、その中心をシャフト4が挿通される。
【0051】
上記圧縮コイルバネのバネ定数の値が大き過ぎる場合、上記圧縮コイルバネが変形Aの妨げとなり魚に釣針を突き刺すことができないため上記圧縮コイルバネのバネ定数の値は十分に小さい必要があり、本第1実施形態のルアー1Aにおいて、上記圧縮コイルバネのバネ定数は、0.029N/mmである。また、上記圧縮コイルバネのバネ定数は、スライド機構9のスライド面の傾斜角度や開放空間2dの矢印15方向の長さから後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さを差し引いた長さ(図5に示される直線K4の長さ)に合わせて0.01~0.7N/mmの範囲内で適切な値を設定することでも好ましい結果が得られた。
【0052】
前部ボディ2と後部ボディ3とを互いに逆方向へ付勢するために、上記圧縮コイルバネの自然長(荷重がかかっていない場合の長さ)は、開放空間2dの矢印15方向の長さから後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さを差し引いた長さ(図5に示される直線K4の長さ)よりも長い必要があり、本第1実施形態のルアー1Aにおいて上記圧縮コイルバネの自然長は、17.4mmである。また、上記圧縮コイルバネの自然長は、直線K4の長さに合わせて6.1~50.1mmの範囲内で適切な値を設定することでも好ましい結果が得られた。
【0053】
上記圧縮コイルバネは、錆びにくい素材で成形する必要があり、本第1実施形態においては、上記圧縮コイルバネの素材はステンレスである。また、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、上記圧縮コイルバネの素材はステンレスであるが、錆びにくいステンレス以外の金属やカーボンや樹脂等の素材であっても良い。
【0054】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、弾性部材5は圧縮コイルバネであるが、上記弾性部材は圧縮コイルバネに限られず板バネやゴム等の他の弾性体であっても良い。
【0055】
本第1実施形態のルアー1Aは、弾性部材5を備えるが、上記弾性部材を備えなくとも水中でのリーリング時にルアーが初期形態P0をとる場合は、弾性部材5を備えなくても良い。例としては、前部ボディ2に加わる浮力と後部ボディ3に加わる浮力の差によって上記前部ボディに対して上記後部ボディが矢印15方向に付勢される場合等である。弾性部材5を備えない場合の最大スライド距離は、開放空間2dの矢印15方向の長さから後部ボディ前方凸部3bの矢印15方向の厚さを差し引いた長さ(図5に示される直線K4の長さ)となる。
【0056】
スライド機構9のスライド面の傾斜角度について図12に示しながら以下に説明する。上記スライド機構のスライド面、つまり前部ボディ2と後部ボディ3との摺接面がボディの前後方向に対して傾斜することにより、魚がルアー1Aを咥えた状態で釣糸係止部7bに結ばれた釣糸を引張った際に、前部ボディ2と後部ボディ3とが小さな力で摺動し、釣糸係止部7bに結ばれた釣糸を引張る力が、魚に釣針7を突き刺す力に効率的に変換され、かつ、釣針7が釣針収納部8から引き出された際に、上記釣針が針先7aから後部ボディ3の外部へ突出しすることで釣針7が釣針収納部8から引き出されると同時に魚の口に釣針7が突き刺ささり、釣針7を魚に深く突き刺すことができる。図12に示されるように、後部ボディ3の釣針7の突出方向の摺接面外形線L2と、上記後部ボディの上記釣針の収納方向の摺接面外形線L3とで定めるを平面をS1とする。また、上記後部ボディの摺接面から最も距離が離れた上記後部ボディ上の点G2と、後部ボディ3の摺接面の摺動可動部摺接面の中心点G1を通り摺動方向と垂直に交わる上記摺接面上の直線L1とを結ぶ平面(換言すると、L1上の任意の異なる2点T1及びT2とG2の3点で定義される平面)をS2とする。S1とS2との角度(θ)は、5~95度となるように後部ボディ3の摺接面を傾斜させることが好ましい。θの値が上記の範囲よりも極端に大きくなった場合、釣糸を引張る方向と上記摺接面との角度が大きくなり、釣糸を引張った際に前部ボディ2と後部ボディ3とがスライドしないもしくは、スライドするためにより大きな力が必要となることに加えて、釣針7が釣針収納部8から引き出された際に針先からボディ外部へ突出しないため、魚に釣針7が突き刺さりずらい。一方でθの値が上記の範囲よりも極端に小さくになった場合、魚が咥えている箇所に針先が突出しないため、魚に釣針7が突き刺さりにくい。
【0057】
図5及び図6に示されるように、後部ボディ3は、後部ボディ湾曲部3cを備え、上記後部ボディは、上側部分の前方が下方向へ湾曲した形状である。図6に示されるように、この後部ボディ湾曲部は、釣針突出形態P1にあるルアー1Aにおいて後部ボディ3の上側部分と前部ボディ2の後側部分によって形成される空間、換言すると釣針突出形態P1にあるルアー1Aにおいて延伸軸部7fの上側部分に開かれる空間(フッキングスペース11)をより大きなものとし、釣針7を魚により深く突き刺さるようにすることが目的である。上記フッキングスペースが十分に大きくない場合、後部ボディ3が魚の口と干渉し釣針が刺さることの妨げになる。
【0058】
しかし、後部ボディ3の全部または一部を可撓性のある素材で成形し、変形Aにおいて後部ボディ3の上下方向の収縮変形により、十分な大きさの上記フッキングスペースが形成されれば後部ボディ3に後部ボディ湾曲部3cを設ける必要はない。
【0059】
図7及び図8に示されるように、後部ボディ3は、釣針収納部8を備える。上記釣針収納部は、初期形態P0において釣針7の後部(延伸軸部7fから針先7aまでの部分)を収納するための部分であり、図5及び図7に示されるように、後部ボディ3及び釣針収納部8は、初期形態P0にあるルアー1Aを側面から見た場合に上記後部ボディが釣針7の後部を陰納する形状である。図7及び図8に示されるように、変形及び変形Bの際に釣針7と後部ボディ3とが干渉しないように上記釣針収納部は、上側部分の少なくとも一部分と前側部分の少なくとも一部分が開かれており、図10に示されるように上記釣針収納部の左右方向の幅は、釣針7の線径と同じかそれよりも広い。また上記釣針収納部の前側部分が開かれているのは、釣針7をルアーボディに取り付ける際に、上記釣針を上記釣針収納部へ挿入するためでもある。本実施形態のルアー1Aにおいては、上記釣針収納部の下側部分と後側部分は全て閉じられているが、必ずしも閉じられている必要はない。
【0060】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ3及び釣針収納部8は、初期形態P0にあるルアー1Aを側面から見た場合に上記後部ボディが釣針7の後部を陰納する形状であるが、後部ボディ3及び釣針収納部8は、初期形態P0にあるルアー1Aを側面から見た場合に上記後部ボディが釣針7の後部全てを隠納する形状である必要はなく、釣針7の針先7a以外の部分、例えば、延伸軸部7f、湾曲部7e等の部分は後部ボディの外部に露出していても構わない。
【0061】
上記釣針収納部は、ルアー1Aが水中にある場合水で満たされるため、釣針収納部を備えない一般的なルアーと比較してルアー1Aは、ボディの上側部分の浮力が小さくなり、リーリング時の動きが不安定になりやすい。ルアーの左右方向の幅を変えずにリーリング時の安定した動きを得るためには、釣針収納部8の左右方向の幅を釣針が収納可能な範囲で可能な限り小さくし、後述の前部空気室3dと後部空気室3eの体積を大きくすることが有効である。上記の理由より、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、釣針収納部8の左右方向の幅(図22に示される直線Hの長さ)は、1.6mmである。また、釣針収納部8の左右の幅は、上記の値に限られる必要はなく、釣針の左右方向の幅(一般には釣針の線径)に合わせて0.2~10mmの範囲内で適切な値を設定することでも好ましい結果が得られた。
【0062】
図9及び図13に示されるように、後部ボディ3は、前部空気室3dと後部空気室3eとを備える中空構造である。また、左右の空気室は、釣針収納部8と2枚の中央壁3hとにより隔てられている。上記前部空気室及び後部空気室は水中において空気が抜けないよう閉じられている。
【0063】
図13に示されるように、本実施形態のルアー1Aにおいては、上記空気室の全てにラトル12〔雑音を発生させるための小型球(ガラス製、金属製、樹脂製、その他)〕と錘13(金属製、高比重樹脂製など)を1つずつ封入しているが、必ずしも全ての空気室に上記ラトルと錘は封入する必要はなく、また、1つの空気室に上記ラトルと錘を複数封入しても良く、全ての空気室にラトルも錘も封入しなくても良い。また、上記前部空気室と後部空気室は、空気室分割壁3fにより隔てられており、上記空気室分割壁はボディの強度を確保すること及びラトルの可動範囲を制限することが目的であり、前後方向に枚数を増やしても良く、また備えなくても構わない。
【0064】
図13に示されるように、本実施形態のルアー1Aにおいては、左右の後部空気室3eは、補強部3gによって隔てられているが、後部ボディ3の強度が十分である場合は補強部3gを設けなくても良い。
【0065】
図7及び図8に示されるように、本第1実施形態のルアー1において後部ボディ3は、ヒートンを設置するためのヒートン孔3iを備える。上記ヒートン孔は一般にエイト菅と呼ばれる8の字型の金具を備えるための円形の溝部でも良い。また、上記ヒートン孔及びエイト菅を取り付ける為の溝部は後部ボディ3に複数箇所設けても良く、また設けなくても良い。
【0066】
図2及び図5に示されるように、本第1実施形態のルアー1において後部ボディ3は、上側部分の前方に形状保持部3jを備える。前部ボディ2と後部ボディ3とは、シャフト4とシャフト孔3aによって連結され、図9及び図10に示されるように、上記シャフトとシャフト孔の間には前部ボディ2と後部ボディ3の円滑なスライドを可能にする為の隙間14が設けられているが、この隙間によって前部ボディ2と後部ボディ3との間には、微小なヨーイングとピッチングが生じる。上記形状保持部は、初期形態P0にあるルアー1Aにおいてその一部が前部ボディ2に接することによって、上記の微小なヨーイングとピッチングを抑制する。また、上記形状保持部は設けなくても構わない。
【0067】
図1及び図7及び図8及び図10及び図14から図18に示されるように、ルアー1Aは、釣針着脱機構10を備える。上記釣針着脱機構は、釣針の交換を可能かつ容易にすることを目的とする機構である。上記釣針着脱機構は、釣針押え部材6に備えられた釣針押え部材嵌合凸部6aと、上記釣針押え部材嵌合凸部の釣針7との接触部分に備えられた溝部である釣針支持スリット6c及び、前部ボディ2に備えられた溝部である釣針押え部材嵌合凹部2aと、上記釣針押え部材嵌合凹部の上記釣針との接触部分に備えられた溝部である釣針嵌合凹部2eと、上記釣針押え部材嵌合凹部を後部ボディ3の釣針収納部8へ開く釣針挿通孔2gとを備える。上記釣針押え部材嵌合凸部と上記釣針押え部材嵌合凹部とが取外し可能な嵌合であることによって上記釣針押え部材は上記前部ボディに着脱可能である。また、上記釣針嵌合凹部と釣針7の前部(釣糸係止部7bより後ろの部分から延伸軸部7eまでの部分)も取外し可能な嵌合である。上記釣針押え部材と前部ボディとで釣針7の前部を挟み込むこと及び、釣針7の前部と上記前部ボディとが取り外し可能な嵌合であることによって、上記前部ボディと上記釣針押え部材とで上記釣針を、上記前部ボディへ着脱可能に係止することができる。また、上記前部ボディと上記釣針押え部材とで上記釣針を挟み込むことだけで上記釣針を強固に係止可能な場合は、上記釣針と嵌合な部分である上記釣針嵌合凹部を上記前部ボディに備えなくても構わない。
【0068】
釣針着脱機構10により釣針を前部ボディ3へ着脱する手順を図19に示しながら以下に説明する。
【0069】
釣針取付方法
釣針7の後部(延伸軸部7fから針先7aまでの部分)を針先7aから前部ボディ2に備えられた釣針挿通孔2gを通して後部ボディ3の釣針収納部8へ挿入した後、釣針嵌合凹部2eと嵌合である釣針7の前部を上記釣針嵌合凹部に嵌め込み(取付A)、さらに釣針押え部材6に備えられた釣針押え部材嵌合凸部6aと嵌合である前部ボディに備えられた釣針押え部材嵌合凹部2aに上記釣針押え部材嵌合凸部を圧入(取外し可能な圧入)する(取付B)。上記取付A及び取付Bによって、上記釣針押え部材嵌合凸部と上記釣針押え部材嵌合凹部とで上記釣針の前部は、挟み込まれ、加えて、上記釣針の前部と上記釣針嵌合凹部2eとが嵌合であることによって、上記前部ボディと上記釣針押え部材とで上記釣針は係止され、上記釣針は上記前部ボディへ固定される。(取付Aの詳細な手順については後述する)
釣針取外し方法
上記釣針押え部材嵌合凸部を上記釣針押え部材嵌合凹部から抜き取ることで上記釣針押え部材を上記前部ボディから取外し(取外しB)た後、上記釣針を上記釣針嵌合凹部から取り外し、さらに上記釣針挿通孔から上記釣針の後部を上記釣針収納部より抜き取る(取外しA)ことで上記釣針押え部材及び上記釣針を前部ボディから取外す。
【0070】
図19に示されるように、以下では、ルアー1Aにおいて、取外しAが完了した形態すなわち前部ボディ2に釣針7と釣針押え部材6が取付られていない形態を前部開放形態P2、前部開放形態P2に取付Aが行われた形態を釣針取付形態P3とする。また、釣針取付形態P3にあるルアー1Aに取付Bを行った形態を完全形態P4とし、加えて、前部開放形態P2にあるルアー1Aに取付Aを行った後、さらに取付Bを行い完全形態P4にすることを取付Cとし、完全形態P4にあるルアー1Aに取外しBを行なった後、さらに取外しAをを行い前部開放形態P2にすることを取外しCとする。
【0071】
釣針着脱機構10の細部について以下に説明する。
【0072】
図16から図18に示されるように、釣針押え部材嵌合凸部6aは、図18の矢印15方向に伸びる釣針押え部材嵌合凸部主部6a-1(以下6a-1)と6a-1から左右方向に突き出た釣針押え部材嵌合凸部副部6a-2(以下6a-2)とを備える。また、図14及び図15に示されるように、釣針押え部材嵌合凹部2aは、釣針押え部材嵌合凹部主部2a-1(以下2a-1)と釣針押え部材嵌合凹部副部2a-2(以下2a-2)とを備え、6a-1と2a-1及び6a-2と2a-2は、それぞれ嵌合である。6a-1の釣針7と接触する部分(釣針支持スリット6c)及び2a-1の釣針7と接触する部分(釣針嵌合凹部2e)は、より強固に釣針7を係止するために釣針7の前部の屈折や湾曲に沿った形状の溝部であり、上記の形状により完全形態P4において釣針押え部材6と釣針7と前部ボディ2とが密接し釣針7はルアーボディに対して動くことなく固定される。
【0073】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、釣針押え部材6が十分な強度を有するために、2a-1の左右方向の幅(図14に示される直線J1の長さ)は2.1mm、6a-1の左右方向の幅(図16に示される直線J2の長さ)は2.0mmであるが、各幅は必ずしも上記の値である必要はなく、2a-1の左右方向の幅は0.5~10.1mm、6a-1の左右方向の幅は0.5~10mmであっても好ましい結果が得られた。また、釣針押え部材6が前部ボディ2から意図せず外れないために2a-1の左右方向の幅と6a-1の左右方向の幅は同じか、2a-1の左右方向の幅が6a-1の左右方向の幅より0.1mm以内の値で大きいことが好ましい。また、本実施形態のルアー1Aにおいては、2a-1及び6a -1の左右方向の幅は一定であるが、必ずしも一定である必要はなく、後方または矢印15の逆方向に向かって幅が小さくなっても良い。
【0074】
また、完全形態P4にあるルアー1Aにおいて、前部ボディ2から釣針押え部材6が意図せず外れることを防ぐために、前部ボディ2と釣針押え部材6との間には十分な摩擦抵抗が必要である。本第1実施形態のルアー1Aにおいては、上記の理由より2a-1と6a-1とが接する面積は、153mm2であるが、2a-1と6a-1とが接する面積は、2a-1と6a-1の形状に合わせて40mm2以上の値を適切に設定することでもで好ましい結果が得られた。
【0075】
6a-2及び2a-2は、釣糸係止部7bに結ばれた釣糸を引張った際に生じる釣針7の前部から釣針押え部材6へ加わる矢印15方向の力によって釣針押え部材6が前部ボディ2から外れることを防ぐことための部分である。釣針押え部材6が前部ボディ2に対して矢印15方向へ動こうとした場合に左右方向へ突出した6a-2と、6a-2と嵌合な2a-2とが当接し抵抗になることによって、釣針押え部材6が前部ボディ2から外れることが抑制される。加えて、6a-2及び2a-2を備えることで釣針押え部材6と前部ボディ2との接触面積を増やし摩擦抵抗を大きくすることで矢印15方向以外の方向へ釣針押え部材6が前部ボディ2から外れることも防がれる。6a-2は後述のリップを支持する為の部分でもある。
【0076】
図14図16に示されるように、本第1実施形態のルアー1Aにおいては、6a-2及び2a-2は、左右対称に1つずつ一対備えられているが、6a-2及び2a-2は複数対備えても良く、また、6a-1と2a-1とによって十分強固に釣針押え部材6を前部ボディ3へ取り付けることができる場合、6a-2及び2a-2は備えなくても良い。本第1実施形態のルアー1Aにおいては、2a-2及び6a -2の上下方向の幅は一定であるが、必ずしも一定である必要はなく、後方に向かって幅が小さくなっても良い。
【0077】
前部ボディ2の釣針押え部材嵌合凹部2aは、図13から図15に示されるように、釣針刺通孔2gによって後部ボディ3の釣針収納部8へ開かれる。釣針刺通孔2gは、取付A及び取付Bの際に、釣針7の後部(延伸軸部7fから針先7aまで)を後部ボディ3の釣針収納部8に出し入れするため、上記釣針押え部材嵌合凹部と上記釣針収納部とを繋ぐ孔である。
【0078】
図14及び図15に示されるように、釣針嵌合凹部2eは、2a-1の釣針7との接触部分に備えられた、釣針7の屈折や湾曲に沿った形状の溝であり、上記釣針嵌合凹部は、上記釣針の前部(釣糸係止部7bより後ろの部分から延伸軸部7eまでの部分)と嵌合である。上記釣針嵌合凹部の左右の幅は2a-1の左右の幅と同じかそれよりも狭く、釣針7の線径と同程度である。
【0079】
図16図18に示されるように、釣針支持スリット6cは6a-1の釣針7との接触部分に備えられた、釣針7の屈折や湾曲に沿った形状の溝であり、その左右の幅は6a-1の左右の幅と同じかもしくはそれより狭く、釣針7の線径と同程度である。釣針嵌合凹部2eと釣針支持スリット6cは、完全形態P4にあるルアー1Aにおいて互いに合わさり、釣針7の前部が収まる空間を形成する。この空間に釣針7の前部が収まることで、釣針7の前部は前部ボディ2と釣針固定体6に密接し、釣針7のボディに対しての微小なヨーイング及びピッチング及びローリングは抑制され、上記前部ボディに対して上記釣針は動くことなく固定される。
【0080】
以下では、取付A及び取外しAの方法と手順について図20に詳細を示しながら説明する。
【0081】
まず、図20のX-1に示されるように、釣針7を反転させた状態で針先7aを2a-1に入れ、さらに上記針先を釣針刺通孔2gへ挿通する(手順1)。次に、図20のX-2に示されるように、釣針刺通孔2gに湾曲部7eがさしかかった時点で釣針7を半時計周りに回転させ湾曲部7eを後部ボディ3に設けられた釣針収納部8へ挿入し、図20に示されるX-3の状態にする(手順2)。最後に延伸軸部7fを釣針収納部8へ挿入することで図20に示されるX-4の状態にし(手順3)、釣針嵌合凹部2eに釣針7の前部を嵌め込み、図20に示されるX-5の状態(釣針取付形態P3)にすることで取付Aは完了する(手順4)。また、上記の手順1から手順4を逆順に行うことで取外しAは、完了する。取付A及び取外しAが可能であるために、前部ボディ2の断面2hの形状は、手順1、手順2の際に釣針7と干渉しない形状でなければならない。
【0082】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、上記の手順で取付A及び取外しAを行うが、取付A及び取外しAの手順については、必ずしも上記のようでなくても良い。例えば、釣針の左右の幅が最も大きい部分(一般には釣糸係止部)が、釣針収納部8及び2a-1及び釣針刺通孔2gの左右方向のいずれの幅よりも小さい場合には、釣糸係止部から釣針を釣針収納部8、釣針刺通孔2g、2a-1の順に各箇所へ挿入し取付Aを行い、上記と逆の順序で取外しAを行う等の手順でも良い。
【0083】
図16図18に示されるように、釣針押え部材6は、リップ6bを備える。上記リップが水の抵抗を受けることでリーリング時にルアー1Aは、左右に揺れながら潜行する。上記リップは、図16及び図17に示される6a-2及び、図18に示されるリップ支持部6dによって釣針押え部材6へ固定指示される。本実施形態のルアー1Aにおいては、上記リップは前方に向かって広がり、ボディの前後方向に対して傾斜する平面形状であるが、必ずしもこのような形状や角度である必要はなく、またリップは設けなくても良い。また、前述の通り釣針押え部材6は、ボディに対して着脱可能であるため異なる形状のリップを備える釣針押え部材を換装することでルアーのリーリング(リールによってルアーを巻き取ること)時の動きを変えることができる。
【0084】
釣針を前部ボディ2へ係止するためには、釣針の前部は複雑な形状であることが好ましく、また一般に容易に入手可能であることが好ましいことから、本第1実施形態のルアー1において、釣針7は、図7に示すように釣糸係止部7bから延伸軸部7fの間に2箇所の屈折部7cを備える一般にオフセットフックと呼ばれるソフトルアー(可撓性、弾性のある素材で成形されたルアー)用の釣針であるが、前部ボディへ係止することが可能であれば、必ずしも釣針はオフセットフックである必要はなく、例えば、屈折部を備えないストレートフック、マス針等のオフセットフック以外の釣針でも良い。また、本発明のルアーに適した形状の専用の釣針でも良い。
【0085】
ルアー1Aは、ハードルアーの中でも内部に浮力体を備える一般にハードプラグと呼ばれるルアーであり、水に浮く重さであり、リーリング(リールによってルアーを巻き取ること)によって潜行するが、必ずしも内部に浮力体を備える必要はなく、水に浮く重さである必要もなく、また、リーリングによって潜行する必要もない。
【0086】
一般にハードプラグと呼ばれるルアーは、一般的にルアーの上側部分に空気を含み上側部分は浮力を有し、ルアーの下側部分に備えられた錘とでバランスを取り合うことによってリーリング時に安定して動くことが可能となる。しかし、本第1実施形態のルアー1Aの後部ボディ3は、水中において水で満たされる釣針収納部8を備え、加えて後部ボディ湾曲部3cを備えるため一般的なハードプラグと比較してルアーの上側部分の浮力が小さくなるため、ルアー1Aのリーリング時の動きは不安定になり易すく、リーリング時の安定した動きを得るために後部ボディ3は、一般的なハードプラグと比較して軽量に成形する必要がある。また、後部ボディ3は釣針収納部8を備えるため一般的なハードルアーと比較して左右方向の強度が低くなるため小さい体積でも十分な強度を持つ素材で後部ボディ3を形成する必要がある。
【0087】
上記の理由より、後部ボディ3は、硬質プラスチックを素材としてシェル構造で成形することが好ましく、本第1実施形態のルアー1において、上記後部ボディは硬質プラスチックのPLA(Poly-Lactic Acid)を素材として0.8mmのシェル構造で成形している。
【0088】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、後部ボディの素材はPLAであるが、必ずしも上記後部ボディの素材はPLAである必要はなく他の硬質プラスチックでも良い。また、ルアー1Aがリーリング時に安定して動くために十分な浮力を確保でき、かつ十分な強度が得られるのであれば後部ボディの素材は、硬質プラスチックに限らず、金属、木、等の硬質素材、又は、軟性樹脂等の軟質素材、もしくはこれらを組み合わせたものでも良く、シェル構造でなくても良い。
【0089】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、後部ボディ3は、厚さ0.8mmのシェル構造で形成されているが、上記シェル構造の厚さは、ボディの大きさ及び形状に合わせて0.4~4mmの範囲内の値を適切に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0090】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、前部ボディ2と釣針押え部材6の素材は、硬質プラスチックのPLA(Poly-Lactic Acid)であるが、必ずしも上記前部ボディと釣針押え部材の素材は、PLAである必要はなく、金属、木、PLA以外の硬質プラスチック等の硬質素材、又は、軟性樹脂等の軟質素材、もしくはこれらを組み合わせたものであっても良い。
【0091】
以上、本発明を第1実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は以下のように変形、変更させても良い。
【0092】
上記施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ前方凸部3bの下側面と開放空間の下側面は平面であるが、弾性部材5の上側部分と下側部分をボディに固定すること及び、収縮時の上記弾性部材を収納することを目的とする凹部を後部ボディ前方凸部3bの下側面と開放空間の下側面、もしくはそのどちらかの一方に設けても良い。
【0093】
後部ボディ3の下側部分又は前部ボディ2の下側部分には、錘を貼り付けても良い。また、上記後部ボディの下側部分又は前部ボディの下側部分に凹部を設け、その凹部に錘を取り付けても良い。
【0094】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、後部ボディ3は中空構造としたが本発明はこれに限定されるものではなく、ボディ3は空洞がない中実構造のルアーにも適用することができる。
【0095】
前部ボディ2及び後部ボディ3は、例えば、魚やミミズ、エビ、ザリガニ、カエル、虫、ネズミ等の小動物に模した外形であっても良い。
【0096】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、左右の開放空間2dはそれぞれ左右に開き上記ルアーを側面から見た場合、シャフト4及び弾性部材5は外部に露出しているが、シャフト4及び弾性部材5にゴミが付着することを防ぐために、変形A及び変形Bの妨げにならない範囲で左右の開放空間2dをそれぞれ左右に閉じる部材を前部ボディ2または後部ボディ3に設けても良い。
【0097】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ3は一体の部材であるが、上記後部ボディはヒンジ機構等によって互いに別体の部材が複数連結されたものであっても良い。また、後部ボディ3の形状は、本考案の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能であり、例としては、一般にミノーと呼ばれるよ細身で前後方向に長い形状等である。
【0098】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、前部ボディ2と釣針押え部材6とで釣針7を動くことなく係止するために、2a-1、釣針嵌合凹部2e、6a-1及び釣針支持スリット6cは釣針7の前部に沿った形状であるが、完全形態P4において前部ボディ2と釣針固定体6がそれぞれ少なくとも一点で釣針に接するならば、2a-1、釣針嵌合凹部2e、6a-1及び釣針支持スリット6cは釣針7に沿った形状である必要はない。上記の場合、6a-1と釣針支持スリット6cの形状を変えた釣針押え部材に換装することで異なる形状の釣針を換装することが可能である。
【0099】
キャスティング時に本実施形態のルアー1Aは、初期形態P0を取るが、キャスティング時の飛距離向上のために図12に示すθの値を5度~45度として、キャスティング時に後部ボディ3が慣性によって瞬時に弾性部材5を圧縮するようにしてもよい。この場合、飛行中のルアーは重心がより後方になると共に、より進行方向の空気抵抗を受けにくく揚力を得られる形状に変化するためキャスティング時の飛距離が向上する。
【0100】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、前部ボディ2及び後部ボディ3及び釣針押え部材6の表面は塗装されていないが、さまざまな色や模様に塗装しても良い。また、魚が上記ルアーを咥えた場合に素材の質感から本物の餌ではないことを判断してルアーを吐き出してしまうことを防ぐために、上記後部ボディ表面に藻類を付着させたり、上記後部ボディ表面を軟性素材で覆う等の魚が咥えた際に違和感を感じにくい表面処理を施しても良い。
【0101】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ3の表面は滑らかな曲面であるが、上記ルアーを引張り魚の口に釣針を突き刺す際に、上記ルアーが滑り魚の口から抜けてしまうことを防ぐために上記後部ボディにローレット加工等の表面加工を施しても良く、また、上記後部ボディに突起等を設けても良い。
【0102】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、互いに別体の前部ボディ2と後部ボディ3の2つの部材がスライド機構9によりスライド可能に連結されるが、必ずしもスライド機構によりスライド可能に連結される部材の数は2つである必要はなく、例えば、前部ボディと中部ボディとがスライド機構によりスライド可能に連結され、さらに、中部ボディと後部ボディとがスライド機構によりスライド可能に連結される等の3つ以上の部材がスライド機構により連結される構造であっても良い。
【0103】
本第1実施形態のルアー1Aのボディは、臭気性集魚剤等の誘引剤を含有していないが、誘引剤を設置するための空間を前部ボディ2または後部ボディ3に設け誘引剤を設置しても良い。
【0104】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、初期形態P0にあるルアー1を側面から見た場合に後部ボディ3が針先7aを陰納する形状となるように、上記後部ボディが上方向へ湾曲するが、他の手段によって上記針先を初期形態P0にあるルアー1Aを側面から見た場合に隠納された状態にしても良い。例えば、初期形態P0にあるルアー1Aを側面から見た場合に上記針先を隠納する凸部を上記後部ボディに設ける等である。また、上記の例の場合は後部ボディ湾曲部3cを設ける必要はない。
【0105】
本第1実施形態のルアー1Aにおいては、後部ボディ前方凸部3bに孔を開けることでシャフト孔3aを設けているが、金属等の破断しにくい素材で上記シャフト孔を補強しても良い。
【0106】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、後部ボディ3はPLA((Poly-Lactic Acid)のみで成形されているが、軟質樹脂や繊維素材等で魚の鰭等を模した部分を上記後部ボディに設けても良い。例えば、魚の尾鰭を模した複数本の糸状のゴム素材を上記ルアーの後端に取り付ける等である。
【0107】
本第1実施形態のルアー1Aにおいて、前部ボディ2の釣針押え部材嵌合凹部2aは上記前部ボディの前方へ開かれ、釣針押え部材6及び釣針7を前方より釣針押え部材嵌合凹部2aへ取り付けるが、釣針押え部材嵌合凹部を前部ボディの後方へ開き、釣針押え部材と釣針を前部ボディの後方より取り付けても良い。上記の形態及び取付方法に変更した場合、後部ボディをスライドさせた状態で、釣針押え部材及び釣針の着脱作業を行う。
【0108】
変形A及び変形Bが可能な範囲で釣針収納部8の上側部分を可能な限り閉じ、ルアーを水中から引き上げた後も釣針収納部8が水で満たされるように、釣針収納部8の形状を変化させても良い。上記の変更によりキャスト時のルアー重量をが増加し飛距離が向上する。
【0109】
以下、本発明の第1実施形態の変形の具体例として本発明の第2実施形態と第3実施形態を図面を参照して説明する。
【0110】
図23は、本第2実施形態のルアー1Bを示す、側面図及び側面断面図である。図23に示すルアー1Bは、初期形態P0にある。ルアー1Bは、魚を模した形状である。ルアー1Bの後部ボディ3は、初期形態P0にあるルアー1Bを側面から見た場合に針先7aを隠納する針先隠納凸部3kを左右に備える。上記針先隠納凸部を上記後部に備えることにより上記後部ボディを湾曲した形状にせずとも上記針先を隠納することができるため、ルアーの形状をより本物の魚に近づけること及びルアー1Bのリーリング時の動きをより魚に近い自然な動きにすることができる。ルアー1Bは、鰭3lを備える。上記鰭は、ルアーの形状をより魚に近づけること及び、より魚がルアー1Bを咥え易くすることで魚に釣針7が刺さり易くすることを目的とする。
【0111】
本第2実施形態のルアー1Bにおいて、左右に備えられた上記針先隠納凸部の左右方向の厚さはそれぞれ0.8mmであるが、必ずしも上記の値である必要はなく、ボディの大きさ及び形状に合わせて0.2~4mmの範囲内で適切な値に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0112】
本第2実施形態のルアー1Bにおいて、左右の上記針先隠納凸部の左右方向の間隔は、1.6mmであるが、必ずしも上記の値である必要はなく、左右の上記針先隠納凸部の左右方向の間隔は、
釣針の左右方向の幅(一般には釣針の線径)に合わせて0.2~10mmの範囲内で適切な値に設定することでも好ましい結果が得られた。
【0113】
本第2実施形態のルアー1Bにおいて、上記針先隠納凸部は、硬質プラスチックを素材とするが、必ずしも硬質プラスチックを素材とする必要はなく、金属や可撓性のある樹脂等でも良い。
また、リーリング時に上記針先を障害物刺さらないよう保護できれば、上記針先隠納凸部は、後部ボディから上方向へ突出したワイヤー等でも良い。
【0114】
ルアー1Bは、空気室分割壁3f及び形状保持部3j及び後部ボディ湾曲部3cを備えていない。ルアー1Bは、上記針先隠納凸部と上記鰭とを備えること及び上記空気室分割壁と上記形状保持部と上記後部ボディ湾曲部を備えていないことを除いて第1実施形態のルアー1Aと同様の構成である。第2実施形態のルアー1Bもスライド機構9と釣針着脱機構10とを備えており、釣針の交換及び変形Aと変形Bが可能である。
【0115】
図24は、本第3実施形態のルアー1Cを示す、側面図、側面断面図、上面図、正面図、背面図及び斜視図である。図24に示すルアー1Cは、初期形態P0にある。ルアー1Cは、ザリガニを模した形状である。ルアー1Cの後部ボディ3は、互いに別体の後部ボディ前部3-1と後部ボディ後部3-2とを備え、上記後部ボディ前部と後部ボディ後部は、ヒンジ機構16により揺動可能に連結されている。ルアー1Cは、釣針収納部8が下方向方向へ開き、初期形態P0において釣針7の延伸軸部7fがボディの外部へ露出する。ルアー1Cは、水に沈む重さである。
【0116】
ルアー1Cは、後部ボディ3が、互いに別体の後部ボディ前部3-1と後部ボディ後部3-2とを備え、上記後部ボディ前部と後部ボディ後部は、ヒンジ機構16により揺動可能に連結されていること及び釣針収納部8が下方向へ開き、初期形態P0において釣針7の延伸軸部7fがボディの外部へ露出すること及び水に沈む重さであることを除いて第1実施形態のルアー1Aと同様の構成である。第3実施形態のルアー1Cもスライド機構9と釣針着脱機構10とを備えており、釣針の交換及び変形Aと変形Bが可能である。
【0117】
以上で本考案の実施形態について説明したが、本考案では上記実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
【符号の説明】
【0118】
1A,1B,1C:ルアー
2:前部ボディ
2a:釣針押え部材嵌合凹部
2a-1:釣針押え部材嵌合凹部主部
2a-2:釣針押え部材嵌合凹部副部
2b:上部シャフト設置凹部
2c:下部シャフト設置凹部
2d:開放空間
2d-1:開放空間中心面
2d-2:開放空間前面
2e:釣針嵌合凹部
2f:前部ボディ後方凸部
2g:釣針挿通孔
2h:上部断面
3:後部ボディ
3-1:後部ボディ前部
3-2:後部ボディ後部
3a:シャフト孔
3b:後部ボディ前方凸部
3c:後部ボディ湾曲部
3d:前部空気室
3e:後部空気室
3f:空気室分割壁
3g:補強部
3h:中央壁
3i:ヒートン孔
3j:形態保持部
3k:釣針隠納凸部
3l:鰭
3m:シャフト孔の縁
4:シャフト
5:弾性部材
6:釣針押え部材
6a:釣針押え部材嵌合凸部
6a-1:釣針押え部材嵌合凸部主部
6a-2:釣針押え部材嵌合凸部副部
6b:リップ
6c:釣針支持スリット
6d:リップ支持部
7:釣針
7a:針先
7b:釣糸係止部
7c:屈折部
7e:湾曲部
7f:延伸軸部
8:釣針収納部
9:スライド機構
10:釣針着脱機構
11:フッキングスペース
12:ラトル
13:錘
14:隙間
15:スライド方向
16:ヒンジ機構
P0:初期形態
P1:釣針突出形態
P2:前部開放形態
P3:釣針取付形態
P4:完全形態
【要約】
【課題】針先をボディに隠納することで水中の障害物への引っ掛かりを防止し、且つ釣針の交換が容易に可能なルアーを提供する。
【解決手段】本第1実施形態のルアー1Aは、互いに別体の前部ボディ2及び釣針収納部8を有する後部ボディ3と、上記前部ボディと上記後部ボディとを互いに摺動可能に連結するスライド機構9と、釣針押え部材6と、上記釣針収納部に隠納された釣針7と、上記釣針押え部材と上記後部ボディとで上記釣針を係止する釣針着脱機構10とを備え、上記釣針の釣糸係止部7bに結ばれた釣り糸を引張ることによって、上記前部ボディと上記後部ボディとを摺動させ、上記後部ボディに隠納された針先7aを上記後部ボディの外部へ突出させ上記釣針を魚に突き刺すことでき、上記釣針押え部材と上記前部ボディが取り外し可能な嵌合であることによって容易に釣針を交換することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24