(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-01
(45)【発行日】2023-09-11
(54)【発明の名称】固定子および回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 3/28 20060101AFI20230904BHJP
【FI】
H02K3/28 N
(21)【出願番号】P 2023520296
(86)(22)【出願日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2022044019
【審査請求日】2023-06-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松原 正克
(72)【発明者】
【氏名】森 大介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 直哉
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/039201(WO,A1)
【文献】特開2013-132176(JP,A)
【文献】国際公開第2008/020471(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状で内周面に周方向に複数の固定子スロットが形成された固定子鉄心と、
互いに異なる2つの前記固定子スロットにそれぞれ収容される直線部と前記固定子鉄心の軸方向の第1の端部の外側において2つの前記直線部を接続するエンド部とをそれぞれが有する複数の連結体、ならびに、前記固定子鉄心の軸方向の第2の端部の外側において、複数の前記連結体を直列に接続する複数の渡り部とを相ごとに具備する固定子巻線と、
を備える固定子であって、
複数の前記直線部は、複数の前記固定子スロットのそれぞれにおいて、径方向に複数の層を形成しており、
第1の固定子スロット内の第N層(Nは1以上の整数)の前記直線部と第2の固定子スロット内の第(N+1)層の前記直線部を接続する第1の連結体の軸方向外側端部は、前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向の中央部より前記第1の固定子スロットに近い側に形成され、
前記第1の固定子スロット内の第(N+1)層の前記直線部と前記第2の固定子スロット内の第N層の前記直線部を接続する第2の連結体の軸方向外側端部は、前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向の中央部より前記第2の固定子スロットに近い側に形成され、
前記第1の連結体と前記第2の連結体とは前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向に中央の領域である中央領域で互いに交差する、
ことを特徴とする固定子。
【請求項2】
前記連結体および前記渡り部は、矩形断面を有する平角線であることを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項3】
前記中央領域より前記第1の固定子スロットに近い領域においては、前記第N層の前記直線部と同じ径方向の位置にある第1の並列領域を含み、
前記中央領域より前記第2の固定子スロットに近い領域においては、前記第(N+1)層の前記直線部と同じ径方向の位置にある第2の並列領域を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項4】
前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットとの間隔は、短節巻のピッチに相当することを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項5】
前記固定子巻線の外部との結線部は、前記固定子鉄心の前記第1の端部の反対側の第2の端部の外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項6】
前記固定子巻線は、中性点を有するスター結線であり、
前記中性点は、前記固定子鉄心の前記第1の端部の反対側の第2の端部の外側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の固定子。
【請求項7】
ロータシャフトおよび前記ロータシャフトに取り付けられた回転子鉄心を有する回転子と、
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の固定子と、
を備える回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(電気自動車)、PEV(プラグイン電気自動車)などに用いられる電動機および発電機では、固定子巻線に大電流を流すことから、固定子巻線の導体として、断面積の大きな平角線が用いられる。そこで、平角線を含む結線ユニットが大型化し、電動機の周辺部品との干渉を招くことから、結線ユニットを電動機の近傍にコンパクトに収める技術が望まれている。
【0003】
このような状況に鑑み、従来の回転電機では、平角線を、固定子巻線のコイルエンドの軸方向外方に軸方向に複数層に配置して結線ユニットのコンパクト化を図る方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
相導体として、矩形断面を有する平角線を用いて、巻線する場合、1極1相あたりのスロット数が1より大きい場合でも、巻線ピッチが1極分である全節巻が用いられる。しかしながら、全節巻では、巻線ピッチが長いため巻線の長さが長くなる。この結果、導体抵抗が大きくなり、回転電機の効率が低下するという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、平角線の相導体を用いた固定子巻線の導体抵抗を低減して効率を向上できる固定子および回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る固定子は、円筒状で内周面に周方向に複数の固定子スロットが形成された固定子鉄心と、前記固定子スロットに収容される2つの直線部と前記固定子鉄心の軸方向の第1の端部の外側において2つの前記直線部を接続するエンド部とを有する相導体を直列に接続して形成される相巻線を有する固定子巻線と、を具備する固定子であって、前記固定子巻線は、複数の前記固定子スロットのそれぞれにおいて、径方向に前記直線部の複数の層を形成しており、第1の固定子スロット内の第N層(Nは1以上の整数)の直線部と第2の固定子スロット内の第(N+1)層の直線部を接続する第1のエンド部の第1の軸方向外側端部は、前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向の中央部より前記第1の固定子スロットに近い側に形成され、第1の固定子スロット内の第(N+1)層の直線部と第2の固定子スロット内の第N層の直線部を接続する第2のエンド部の第1の軸方向外側端部は、前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向の中央部より前記第2の固定子スロットに近い側に形成され、前記第1のエンド部と前記第2のエンド部とは前記第1の固定子スロットと前記第2の固定子スロットの周方向に中央の領域である中央領域で互いに交差する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る回転電機の例を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態に係る回転電機の例を示す横断面図である。
【
図3】実施形態に係る回転電機の例を示す
図2のA部の詳細な部分横断面図である。
【
図4】実施形態に係る固定子の第1のコイルエンド部の構成を示す径方向外側より見た展開図である。
【
図5】実施形態に係る固定子の第1のコイルエンド部の構成を示す
図4のB-B矢視断面図である。
【
図6】実施形態に係る固定子の固定子巻線の各スロット内の各層の直線部間の接続状態を示す接続図である。
【
図7】実施形態に係る固定子の固定子巻線の各スロット内の各層の直線部間の3相分の接続状態の一部を示す接続図である。
【
図8】従来例における固定子の第1のコイルエンド部の構成を示す径方向外側より見た展開図である。
【
図9】従来例における固定子の第1のコイルエンド部の構成を示す
図8のC-C矢視断面図である。
【
図10】従来例における固定子巻線の各スロット内の各層の直線部間の接続状態を示す接続図である。
【
図11】従来例における固定子の固定子巻線の各スロット内の各層の直線部間の3相分の接続状態の一部を示す接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る固定子および回転電機について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る回転電機1の例を示す縦断面図である。また、
図2は、実施形態に係る回転電機1の例を示す横断面図である。回転電機1は、回転子10、固定子100、2つの軸受31、固定子100を収納する筒状のフレーム33、およびフレーム33の両端部に取り付けられそれぞれ軸受31を静止支持する軸受ブラケット32を有する。
【0011】
回転子10は、回転軸CLの方向に延びたロータシャフト11と、ロータシャフト11に取り付けられた円筒状の回転子鉄心12と、回転子鉄心12中に埋め込まれて各磁極を成す複数の永久磁石13とを有する。
図2は、回転子10が8極の場合を示すが、回転子10はこれ以外の極数であってもよい。
【0012】
ここで、以下の説明の便宜上、
図1および
図2を参照しながら方向を定義する。ロータシャフト11の回転軸CLの延びる方向に平行な方向を軸方向と呼ぶ。ロータシャフト11に垂直な任意の平面上でロータシャフト11の回転軸から遠ざかる方向を径方向と呼ぶ。回転軸からの距離の大きな方を径方向の外側、距離の小さな方を径方向の内側と呼ぶものとする。また、回転子鉄心12の外周方向を周方向と呼ぶ。
【0013】
固定子100は、ギャップ20(
図3)を介して回転子鉄心12の径方向の外側に配された円筒状の固定子鉄心110と、固定子鉄心110に巻回された固定子巻線120を有する。固定子100の固定子鉄心110の内周面は、ギャップ20を介して回転子鉄心12の外周面に対向している。固定子鉄心110は、その内周面に、軸方向に固定子鉄心110を貫通し周方向に互いに間隔を置いて形成された複数の固定子スロット111を有する。
【0014】
図1に示すように、固定子巻線120は、複数の連結体130および複数の渡り部125を有する。複数の連結体130および複数の渡り部125には断面が矩形の巻線導体121が用いられている。なお、以下では、巻線導体が平角導体の場合を例にとって説明するが、これに限定されず、たとえば断面が円形の導体など平角導体以外の場合であってもよい。
【0015】
それぞれの連結体130は、互いに異なる2つの固定子スロット111にそれぞれ収容される直線部130a、および固定子鉄心110の軸方向の第1の端部110aの外側においてこの2つの直線部130aを接続するエンド部130bを有する。
【0016】
それぞれの渡り部125は、固定子鉄心110の軸方向の第2の端部110bの外側において、2つの連結体130を直列に接続する。
【0017】
複数の連結体130と、これらを直列に接続する複数の渡り部125によって、固定子巻線120の一つの相が形成される。固定子巻線120が、たとえば3相のスター結線の場合は、少なくとも、3つの相が図示しない中性点を一端として互いに並列に接続される。以下では、固定子巻線120の構成がスター結線の場合を例にとって示すが、本実施形態は、デルタ結線の場合にも適用可能である。
【0018】
図2では、固定子スロット111の数が48の場合を示しているが、これに限定されない。すなわち、相数、極数および毎極毎相のスロット数による決まる数である。
図2は、3相、8極、毎極毎相のスロット数が2で総数が48(3×8×2=48)となる場合を示している。
【0019】
なお、本実施形態は、固定子100に関するものであるので、
図2では、回転電機1として磁石埋め込み型の回転子を有する同期機を例にとって示しているが、これに限定されない。すなわち、回転電機1としては、同期機でも誘導機でもよい。同機器の場合の回転子は巻線型でもよい。また、誘導機の場合にも、巻線型でもよいし、かご型でもよい。さらには、リラクタンスロータを有している場合でもよい。
【0020】
図3は、実施形態に係る回転電機1の例を示す
図2のA部の詳細な部分横断面図である。
図3では、連結体130の直線部130aのみを示している。
【0021】
それぞれの固定子スロット111には、固定子巻線120の連結体130の直線部130aが、6層に積層されて収納されている。
【0022】
固定子スロット111に収納された連結体130は、固定子スロット111内の径方向外側すなわち固定子スロット111の底部から径方向の内側すなわち回転子鉄心12側に向かって積層された複数の導体を有する。ここで、層の番号は、固定子スロット111内の径方向外側から径方向の内側に向かって、順番付けがされるものとする。すなわち、固定子スロット111に収納された直線部130aは、第1層導体131、第2層導体132、第3層導体133、第4層導体134、第5層導体135、および第6層導体136を有する。なお、層数の6層は例であって、複数であれば数は限定しないが、後述するように、互いに隣接する2つの層間での接続関係から、層数は偶数であることが好ましい。
【0023】
図3では、回転子10については、1つの磁極について示している。また、
図3では、磁極の周方向の中央に関して互いに対称に回転子鉄心12に形成された2つの磁石収納孔12aと、それぞれの磁石収納孔12aに収納されて軸方向に延びる永久磁石13を例示している。
【0024】
図4は、実施形態に係る固定子100の連結体130の構成を示す径方向外側より見た展開図である。
図4は、周方向に沿って径方向外側から回転軸CLの方向を見た図であり、固定子鉄心110の第1の端部110aの軸方向の外側の固定子巻線120の部分、すなわち連結体130のエンド部130b、並びにこれに接続される直線部130aを示す。また、
図5は、実施形態に係る固定子100の連結体130のエンド部130bの構成を示す
図4のB-B矢視断面図である。なお、
図5は、展開図である
図4のB-B矢視断面図と表現したが、正確には、
図4で示す固定子100の立体的な形状についての断面図である。
【0025】
図4および
図5では、2つの連結体130、すなわち具体的には、第1の連結体140および第2の連結体150を示している。連結体130は、複数の固定子スロット111のうちの2つの固定子スロット111、すなわち第1スロット111aおよび第2スロット111bのそれぞれに収納されている直線部130aと直線部130a、およびこれらを結ぶエンド部130bを有する。なお、
図4においては、第1スロット111aと第2スロット111bとの間に配された他の固定子スロット111の図示を省略している。
【0026】
第1の連結体140は、第1スロット111a内の第1層である第1直線部141aと、第2スロット111b内の第2層である第2直線部141bと、これらを接続するエンド部142とを有する。
【0027】
第2の連結体150は、第2スロット111b内の第1層である第1直線部151aと、第1スロット111a内の第2層である第2直線部151bと、これらを接続するエンド部152とを有する。
【0028】
以下、第1の連結体140のエンド部142および第2の連結体150のエンド部152のそれぞれについて順次説明した上で、エンド部142とエンド部152との配置関係および全体形状について説明する。
【0029】
(第1の連結体140のエンド部142の説明)
まず、第1の連結体140のエンド部142について説明する。第1の連結体140のエンド部142は、その巻線導体121が延びる方向に沿って、エンド部142の全体形状を決定する部分を有するので、第1スロット111a内の第1層である第1直線部141aを出発点として、これらについて順次説明する。
【0030】
第1層延長部142aは、巻線導体121の第1直線部141aからの軸方向の延長部である。
【0031】
次に、巻線導体121は、エッジワイズ内側曲げ部142bで第1層導体131と同じ径方向の位置を維持しながら周方向の内側に方向を変える。なお、ここで、内側とは、巻線導体121について固定子鉄心110に近づく方向、さらに詳細には、結合先である第2直線部141bに近づく方向を意味するものとする。また、外側とは、内側とは逆の方向を意味するものとする。次に、巻線導体121は、エッジワイズ段付き部142cにおいて径方向の位置を維持しながら、周方向の外側に方向を変えた後に元の方向に復帰する。すなわち、
図4の展開図の上では、外側に段が形成された状態となっている。
【0032】
次に、巻線導体121は、周方向延長部142dにおいて第1層導体131と同じ径方向の位置を維持しながら軸方向に傾きをもって延びた後に、エッジワイズ外側曲げ部142eにおいて外側に方向を変え、エッジワイズ内側曲げ部142fにおいて内側に方向を変え、さらにエッジワイズ外側曲げ部142gによって外側に方向を変える。この結果、軸方向突部142qが形成されている。
【0033】
ここで、軸方向突部142qにおいて固定子鉄心110の第2の端部110bから最も距離の長い部分を軸方向外側端部142zというものとする。また、軸方向外側端部142zと第1の端部110a間の距離を、突出長さd1とする。
【0034】
軸方向外側端部142zの周方向の位置は、
図4に示すように、第1スロット111aと第2スロット111bとの間の領域の中央の位置すなわち第1スロット111aと第2スロット111bに等距離の位置ではなく、第2スロット111bに近い側にある。
【0035】
軸方向突部142qの周方向の中央には、径方向段付き部142sが形成されている。径方向段付き部142sでは、第1層導体131と同じ径方向位置から、第2層導体132と同じ径方向位置に連続的に変化している。ここで、たとえば、第1層導体131と同じ径方向位置とは、その部分の回転軸CLからの距離が、第1層導体131の回転軸CLからの距離と同じであることを意味するものとする。
【0036】
巻線導体121は、軸方向突部142qから、周方向延長部142hで周方向に延びている。ここで、第2層導体132と同じ径方向位置を維持しながら周方向延長部142hで周方向に延びた巻線導体121は、次に、エッジワイズ内側曲げ部142jで内側に方向を変え、さらにエッジワイズ外側曲げ部142kで外側に方向を変える。この結果、周方向突部142pが形成される。
【0037】
周方向突部142pで軸方向に方向を変えた巻線導体121は、巻線導体121の第2直線部141bからの軸方向の延長部である第2層延長部142mとなる。
【0038】
(第2の連結体150のエンド部152の説明)
図4に示すように、第2の連結体150のエンド部152の展開図上での平面的な形状は、第1の連結体140のエンド部142の展開図上での平面的な形状と同じであり、互いに、周方向に対称となっている。ただし、径方向には、第2の連結体150のエンド部152は、第1の連結体1400のエンド部142とは異なっている。したがって、3次元的には、第2の連結体150のエンド部152は、第1の連結体1400のエンド部142とは異なる形状を有している。
【0039】
以下、第2の連結体150のエンド部152について、同様に、第1スロット111a内の第2層である第1直線部151aを出発点として、その巻線導体121がどのような形状に形成されているかについて順次説明する。
【0040】
第1延長部152aは、第1スロット111a内の第2層である第1直線部151aからの延長部である。
【0041】
次に、巻線導体121は、エッジワイズ外側曲げ部152bで周方向外側に方向を変え、その後にエッジワイズ内側曲げ部152cで周方向内側に向きを変えた後に、周方向延長部152dに接続される。
【0042】
エッジワイズ外側曲げ部152bおよびエッジワイズ内側曲げ部152cにより
図3の展開図上において外側に凸となる部分である周方向突部152pが形成される。周方向突部152pにおいては、径方向段付き部152sが形成されており、巻線導体121は、第2層導体132と同じ径方向位置から第1層導体131と同じ径方向位置に連続的に変化している。
【0043】
巻線導体121は、周方向延長部152dにおいて第1層導体131と同じ径方向の位置を維持し、第1の連結体140の周方向延長部142dに並列にかつ周方向延長部142dの軸方向の外側に隣接しながら延びている。
【0044】
巻線導体121は、その後、エッジワイズ外側曲げ部152eにおいて外側に方向を変え、エッジワイズ内側曲げ部152fにおいて内側に方向を変え、さらにエッジワイズ外側曲げ部152gによって外側に方向を変える。この結果、軸方向突部152qが形成されている。
【0045】
軸方向突部152qの周方向の中央には、径方向段付き部152tが形成され、巻線導体121は、第1層導体131と同じ径方向位置から第2層導体132と同じ径方向位置に連続的に変化している。
【0046】
ここで、軸方向突部142qにおいて固定子鉄心110の第1の端部110aから最も距離の長い部分を軸方向外側端部152zというものとする。また、軸方向外側端部152zと第2の端部110b間の距離は、第1の連結体140の軸方向外側端部142zと第2の端部110b間の距離である突出長さd1に等しい。
【0047】
その後、巻線導体121は、軸方向突部152qから周方向延長部152hとなり、固定子鉄心110側に延びている。周方向延長部152hにおいて、巻線導体121は、第層導体131と同じ径方向の位置を維持し、第1の連結体140の周方向延長部142hに並列にかつ周方向延長部142hの軸方向の内側に隣接しながら延びている。
【0048】
次に、巻線導体121は、エッジワイズ内側曲げ部152jにおいて周方向内側に向きを変え、次にエッジワイズ外側曲げ部152kにおいて周方向外側に向きを変える。この結果、
図4の展開図において長手方向に段付き部が形成される。
【0049】
この長手方向の段付き部とこれに続くエッジワイズ内側曲げ部152mとの接続部分において、径方向段付き部152uが形成されている。径方向段付き部152uにおいて、巻線導体121の径方向の位置は第2層導体132と同じ径方向の位置から第1層導体131と同じ径方向の位置に連続的に変化する。
【0050】
巻線導体121は、エッジワイズ内側曲げ部152mで周方向内側に向きを変えて、軸方向に平行となり、第2スロット111b内の第2層の第2直線部151bに接続する第2延長部152nとなる。
【0051】
(エンド部142とエンド部152の関係)
次に、第1の連結体140のエンド部142と第2の連結体150のエンド部152の関係について説明する。
【0052】
前述の様に、第1の連結体140のエンド部142においては、周方向には、軸方向外側端部142zが周方向に第2スロット111bに近い側にある。このため、第2スロット111b内の第2直線部141bからの軸方向の延長部である第2層延長部142mに接続する前に周方向突部142pが形成されている。また、径方向には、軸方向突部142qから周方向延長部142hに移る部分に径方向段付き部142sが形成され、巻線導体121は、第1層導体131と同じ径方向位置から第2層導体132と同じ径方向位置に連続的に変化している。
【0053】
また、前述の様に、第2の連結体150のエンド部152においては、周方向には、軸方向外側端部152zが周方向に第1スロット111aに近い側にある。このため、第1スロット111a内の第2直線部151bからの軸方向の延長部である第2層延長部152nに接続する前に周方向突部152pが形成されている。また、径方向には、
図4の展開図における段付き形状の部分において径方向段付き部152sが形成され、巻線導体121は、第2層導体132と同じ径方向位置から第1層導体131と同じ径方向位置に連続的に変化している。また、軸方向突部152qから周方向延長部152jに移る部分に径方向段付き部152tが形成され、巻線導体121は、第1層導体131と同じ径方向位置から第2層導体132と同じ径方向位置に連続的に変化している。さらに、周方向突部152pには、径方向段付き部152uが形成され、巻線導体121は、第1層導体131と同じ径方向位置から第2層導体132と同じ径方向位置に連続的に変化している。
【0054】
以上のような第1の連結体140と第2の連結体150それぞれの形状から、次のような位置関係となる。
【0055】
(1)第1の連結体140の軸方向突部142qと第2の連結体150の軸方向突部152qは、周方向に異なる位置にある。
【0056】
(2)第1の連結体140と第2の連結体150は、周方向の中央の交差部130cにおいて互いに交差する。
【0057】
(3)第1の連結体140の周方向延長部142dと第2の連結体150の周方向延長部152jは、ともに第1層導体131と同じ径方向位置にあり並列領域を形成している。また、第2の連結体150の周方向延長部152jは、第1の連結体140の周方向延長部142dの軸方向外側に周方向延長部142dに隣接するように配され並列領域を形成している。
【0058】
(4)第1の連結体140の周方向延長部142gと第2の連結体150の周方向延長部152eは、ともに第2層導体132と同じ径方向位置にある。また、第1の連結体140の周方向延長部142gは、第2の連結体150の周方向延長部152eの軸方向外側に周方向延長部152e隣接するように配されている。
【0059】
以上の
図4および
図5では、一方の固定子スロット111の第1層と他方の固定子スロット111の第2層とを接続するエンド部130bの場合を例にとって説明したが、第3層と第4層の関係、第5層と第6層の関係についても同様である。
【0060】
図6は、実施形態に係る固定子100の固定子巻線120の各固定子スロット111内の各層の直線部130a間の接続状態を示す接続図である。
図6は、1つの相の巻線導体121の全体の接続状態を示している。
【0061】
図6で示すマス目の横方向は、最上行に記載したように、固定子スロット111の番号を示している。また、縦方向は、上から下に向かって、1層目ないし6層目を示す。
【0062】
このような構成において、各マス目に記載された符号は、各固定子スロット111内の各層の連結体130の直線部130aの番号を示す。直線部130a同士を接続する破線は、連結体130のエンド部130bを示す。また、直線部130a同士を接続する実線は、渡り部125を示す。言い換えれば、破線は固定子鉄心110の第1の端部110aの軸方向の外側、実線は固定子鉄心110の第2の端部110bの軸方向の外側に配された巻線導体121を示す。
【0063】
1uで示す直線部130aは、固定子鉄心110の第2の端部110bの軸方向の外側で固定子巻線120の外部と接続するリード線161に接続されている。また、96uで示す直線部130aは、固定子鉄心110の第2の端部110bの軸方向の外側で中性点線162に接続されている。なお、以下、説明の便宜上、たとえば、1uで示す直線部130aを直線部1u、96uで示す直線部130aを直線部96uのように表示する。
【0064】
図6は、U相の巻線導体121を示しており、U相の巻線導体121は、リード線161に接続されている直線部1uから中性点線162に接続されている直線部96uまでが、エンド部130bおよび渡り部125によって直列に接続されている。1u、96u等の番号は、各直線部130aが接続されている順序を示している。
【0065】
本実施形態では、3相、8極、毎極毎相のスロット数が2で総数が48となる場合を例にとって説明している。
【0066】
今、巻線ピッチが1極分となる全節巻の場合を考える。この8極で総数48スロットの場合、全節巻では、巻線の間隔が6スロット(=48/((8/2)×2))となる。詳細には、5スロットを挟んだ2つのスロット間で接続される。
図6においても、たとえば、直線部2u(第6スロット)から直線部3u(第12スロット)までが6スロットとなっている。また、直線部3u(第7スロット)から直線部4u(第13スロット)までが6スロットとなっている。すなわち、これらの部分は、全節巻の部分である。
図6に示すように、全節巻は、実線で示す渡り部125においてなされている。すなわち、固定子鉄心110の第2の端部110bの軸方向の外側においてなされている。
【0067】
一方、破線で示すエンド部130bについては、全節巻ではなく、短節巻となっている。たとえば、直線部5u(第13スロット)から直線部6u(第18スロット)までが5スロットとなっている。また、直線部93u(第13スロット)から直線部94u(第18スロット)までが5スロットとなっている。
【0068】
ここで、直線部5u(第13スロット)から直線部6u(第18スロット)までは、
図4に示す第1の連結体140のエンド部142に、また、直線部93u(第13スロット)から直線部94u(第18スロット)までは、
図4に示す第2の連結体150のエンド部152に対応させることができる。
【0069】
すなわち、第13スロットを第1スロット111a、第18スロットを第2スロット111bに対応させれば、第1スロット111aの第1層と第2スロット111bの第2層とを接続する第1の連結体140のエンド部142、および、第1スロット111aの第2層と第2スロット111bの第1層とを接続する第2の連結体150のエンド部152と同様に、2つの巻線導体121のぞれぞれのエンド部130bが互いに交差するように配置することができる。
【0070】
以上、U相について説明したが、V相の直線部130aについては、スロット番号を2つずつ増加させた位置に、またW相の直線部130aについては、スロット番号を4つずつ増加させた配置され、U相と同様の巻線導体121の引き回しが可能である。
【0071】
図7は、実施形態に係る固定子の固定子巻線の各固定子スロット111内の各層の直線部130a間の3相分の接続状態の一部を示すエンド部130bの接続図である。
図4と同様に、周方向に沿って径方向外側から回転軸CL(
図1)の方向を見た図である。
【0072】
図7では、固定子鉄心110に形成された固定子スロット111の一部を示している。たとえば、
図6においてのスロット番号が7の場合をSL7と表記している。
図7では、SL7からSL18までを示している。
【0073】
図7では、U相については、たとえば、SL7の第1層の直線部130a(
図3、4)とSL12の第2層の直線部130aとを接続するエンド部130bを7u1と表記している。同様に、SL7の第2層の直線部130aとSL12の第1層の直線部130aとを接続するエンド部130bを7u2と表記している。V相については、たとえば、SL9の第1層の直線部130aとSL14の第2層の直線部130aとを接続するエンド部130bを9v1と表記している。また、W相については、たとえば、SL11の第1層の直線部130aとSL16の第2層の直線部130aとを接続するエンド部130bを11w1と表記している。
【0074】
このように、エンド部130bについて、軸方向に3列並列に並べることにより、短節巻を実現することができる。
【0075】
(従来例の説明)
次に、発明の効果を説明するために、従来例を説明する。ここで、上述した実施形態と同様の部分については、共通の符号を用いる。
【0076】
図8は、従来例における固定子のエンド部242の構成を示す径方向外側より見た展開図である。また、
図9は、従来例における固定子のエンド部242の構成を示す
図8のC-C矢視断面図である。
【0077】
連結体240のエンド部242は、2つの直線部241間、具体的には、第1スロット111a内の第1層に配された第1直線部241aと第3スロット111c内の第2層に配された第2直線部241bの間を接続する。
【0078】
エンド部242の周方向の中央部に軸方向突部242qが形成されている。また、軸方向突部242qの周方向の中央部に、径方向段付き部242sが形成されている。したがって、第1直線部241aに続くエンド部242の連結体240は、径方向段付き部242sに至るまでは、第1層に配された第1直線部241aと同一の径方向位置を維持しながら引き回される。また、径方向段付き部242sに続くエンド部242の連結体240は、第2層に配された第2直線部241bに至るまで第2直線部241bと同一の径方向位置を維持しながら引き回される。
【0079】
ここで、固定子鉄心110の第1の端部110aから、軸方向突部242qの軸方向の最外部である軸方向外側端部242zまでの距離をdcとする。距離dcについては、後に説明する。
【0080】
以上の
図8および
図9では、一方の固定子スロット111の第1層と他方の固定子スロット111の第2層とを接続するエンド部242の場合を例にとって説明したが、たとえば、第3層と第4層、第5層と第6層についても同様である。
【0081】
図10は、従来例における固定子巻線の各スロット内の各層の直線部241間の接続状態を示す接続図である。
図6と同様に、
図10で示すマス目の横方向は、最上行に記載したように、固定子スロット111の番号を示している。また、縦方向は、上から下に向かって、1層目ないし6層目を示す。また、各マス目に記載された符号は、各固定子スロット111内の各層の連結体240の直線部241の番号を示す。また、直線部241同士を接続する実線は、渡り部225を示す。また、直線部241同士を接続する破線は、エンド部242を示す。言い換えれば、破線は固定子鉄心110の第1の端部110aの軸方向の外側、実線は固定子鉄心110の第2の端部110bの軸方向の外側に配された巻線導体121を示す。
【0082】
96uで示す直線部241は、固定子鉄心110の第1の端部110aの軸方向の外側で固定子巻線の外部と接続するリード線161に接続されている。また、49uで示す直線部241は、固定子鉄心110の第1の端部110aの軸方向の外側で中性点線162に接続されている。なお、
図6の場合と同様に、説明の便宜上、たとえば、1uで示す直線部241を直線部1u、96uで示す直線部241を直線部96uのように表示する。
【0083】
図10では、U相の連結体240を示しており、U相の連結体240は、リード線161に接続されている直線部1uから中性点線162に接続されている直線部96uまで、エンド部242および渡り部225によって直列に接続されている。
図6の場合と同様に、1u、96u等の番号は、各直線部241が接続されている順序を示している。
【0084】
従来例についても、比較のために、本実施形態と同様に、3相、8極、毎極毎相のスロット数が2で総数が48となる場合を例にとって説明している。したがって、全節巻の場合は、6スロット間隔となる。
【0085】
従来例では、たとえば、直線部5u(第24スロット)から直線部6u(第30スロット)までが6スロットとなっている。このように、
図10では、実線で示す渡り部225、破線で示すエンド部242のいずれにおいても、6スロット間隔すなわち、全節巻となっている。
【0086】
以上、U相について説明したが、V相の直線部241については、スロット番号を2つずつ増加させた位置に、またW相の直線部241については、スロット番号を4つずつ増加させて配置される。
【0087】
図11は、従来例における固定子の固定子巻線の各固定子スロット111内の各層の直線部間の3相分の接続状態の一部を示す接続図である。
図4と同様に、周方向に沿って径方向外側から回転軸CL(
図1)の方向を見た図である。
【0088】
図11では、固定子鉄心110に形成された固定子スロット111の一部を示している。また、
図7と同様に、たとえば、
図10においてのスロット番号が7の場合をSL7と表記している。
図11では、SL7からSL14までを示している。
【0089】
図11では、巻線導体121の配列を示している。U相については、たとえば、SL7の第1層の直線部241(
図8、9)とSL13の第2層の直線部241とを接続するエンド部242を7u1と表記している。V相については、たとえば、SL9の第1層の直線部241とSL15の第2層の直線部241とを接続するエンド部242を9v1aと表記している。また、W相については、たとえば、SL11の第1層の直線部241とSL17の第2層の直線部241とを接続するエンド部242を11w1aと表記している。
【0090】
図11のように、互いに同じ周方向に向かって配列された場合には、エンド部242について、コンパクトな配置を、軸方向に3列並列に並べることにより実現している。
【0091】
また、エンド部242は、U相の2本、V相の2本およびW相の2本の連続する計6つの固定子スロット111をまたぐ配置となる。この結果、従来例では、必然的に、全節巻となる。
【0092】
(本実施例と従来例との比較)
以下に、本実施形態におけるエンド部130bと、従来例におけるエンド部242とを比較しながら、本実施形態の効果を説明する。
【0093】
(1)本実施形態におけるエンド部130bと従来例におけるエンド部242は、いずれも軸方向に3本が並列に配列される構成となる。この結果、本実施形態におけるエンド部130bの突出長さd1は、従来例におけるエンド部242の突出長さdcとほぼ同等の長さを維持できる。
【0094】
(2)従来例におけるエンド部242は、全て全節巻となっているのに対して、本実施形態においては、エンド部130b側では短節巻を実現できる。この結果、固定子巻線120の巻線導体121の全長が短くなる。これにより、導体抵抗が減少し、回転電機1の効率が向上する。
【0095】
以上、説明した実施形態によれば、平角線の巻線導体121を用いた固定子巻線120の導体抵抗を低減して効率を向上できる固定子100および回転電機1を提供することができる。
【0096】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
1…回転電機、10…回転子、11…ロータシャフト、12…回転子鉄心、12a…磁石収納孔、13…永久磁石、20…ギャップ、31…軸受、32…軸受ブラケット、33…フレーム、100…固定子、101…固定子ティース、110…固定子鉄心、110a…第1の端部、110b…第2の端部、111…固定子スロット、111a…第1スロット、111b…第2スロット、111c…第3スロット、120…固定子巻線、121…巻線導体、125…渡り部、130…連結体、130a…直線部、130b…エンド部、130c…交差部、131…第1層導体、132…第2層導体、133…第3層導体、134…第4層導体、135…第5層導体、136…第6層導体、140…第1の連結体、141…直線部、141a…第1直線部、141b…第2直線部、142…エンド部、142a…第1層延長部、142b…エッジワイズ内側曲げ部、142c…エッジワイズ外側曲げ部、142d…周方向延長部、142e…エッジワイズ外側曲げ部、142f…エッジワイズ内側曲げ部、142g…エッジワイズ外側曲げ部、142h…周方向延長部、142j…エッジワイズ内側曲げ部、142k…エッジワイズ外側曲げ部、142m…第2層延長部、142p…周方向突部、142q…軸方向突部、142s…径方向段付き部、142x…中央領域、142z…軸方向外側端部、150…第2の連結体、151…直線部、151a…第1直線部、151b…第2直線部、152…エンド部、152a…第1延長部、152b…エッジワイズ外側曲げ部、152c…エッジワイズ内側曲げ部、152d…周方向延長部、152e…エッジワイズ外側曲げ部、152f…エッジワイズ内側曲げ部、152g…エッジワイズ外側曲げ部、152h…周方向延長部、152j…エッジワイズ内側曲げ部、152k…エッジワイズ外側曲げ部、152m…エッジワイズ内側曲げ部、152n…第2延長部、152p…周方向突部、152q…軸方向突部、152s、152t、152u…径方向段付き部、152x…中央領域、152z…軸方向外側端部、161…リード線、162…中性点線、220…固定子巻線、240…連結体、241…直線部、241a…第1直線部、241b…第2直線部、242…エンド部、242q…軸方向突部、242s…径方向段付き部、242z…軸方向外側端部
【要約】
実施形態によれば固定子(100)は、固定子鉄心(110)および固定子スロット(111)内の2つの直線部とこれらを接続するエンド部を有する固定子巻線(120)を備える。第1の固定子スロット(111a)内の第N層と第2の固定子スロット(111b)内の第(N+1)層の直線部を接続する第1のエンド部(142)の軸方向外側端部(142z)は周方向に第1の固定子スロット(111a)に近く、第1の固定子スロット(111a)内の第(N+1)層と第2の固定子スロット(111b)内の第N層の直線部を接続する第2のエンド部(152)の軸方向外側端部(152z)は周方向に第2の固定子スロット(111b)に近い。第1のエンド部(142)と第2のエンド部(152)は周方向中央領域に交差部(130c)を形成する。