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特許7342312アメリカンドッグ用ミックス、及びアメリカンドッグの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】アメリカンドッグ用ミックス、及びアメリカンドッグの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/157 20160101AFI20230905BHJP
   A21D 10/00 20060101ALI20230905BHJP
   A21D 13/40 20170101ALI20230905BHJP
   A21D 13/60 20170101ALI20230905BHJP
【FI】
A23L7/157
A21D10/00
A21D13/40
A21D13/60
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018238358
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020099210
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598068769
【氏名又は名称】フルタフーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227489
【氏名又は名称】日東富士製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100157772
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 武孝
(72)【発明者】
【氏名】古田 雅彬
(72)【発明者】
【氏名】徳永 琴美
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 一貴
(72)【発明者】
【氏名】大島 秀男
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019645(JP,A)
【文献】特開昭62-079746(JP,A)
【文献】特開2011-036237(JP,A)
【文献】特開平05-328914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A21D
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットショーケースに入れて保存されるアメリカンドッグ用のミックス粉であって、小麦粉、膨張剤、増粘剤、及びβ-アミラーゼを含有することを特徴とするアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項2】
更に、糖類、及び/又は乳化剤を含有する、請求項1に記載のアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項3】
前記ミックス粉中のβ-アミラーゼ活性が5~300IU/gになるように前記β-アミラーゼを含有する、請求項1又は2に記載のアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項4】
前記増粘剤は、アルギン酸エステル、及び/又はアルギン酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項5】
前記乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれたいずれか1又は2以上である、請求項に記載のアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項6】
前記糖類をミックス粉中に10~40質量%含有する、請求項2又は5に記載のアメリカンドッグ用ミックス粉。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載されたアメリカンドッグ用ミックス粉を用いてバッターを作り、串を刺した具材に前記バッターを被覆し、加熱油に浸漬して油ちょうし、前記油ちょうされたアメリカンドッグをホットショーケースに入れて保存することを特徴とするアメリカンドッグの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業性や食感が良好であって、更にホットショーケースに保存されたものであっても食感が良好なアメリカンドッグを得られるアメリカンドッグ用ミックス粉、及びそれを用いたアメリカンドッグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アメリカンドッグは、串に刺したソーセージ等の具材を、小麦粉、膨張剤を主成分とするバッターで被覆し、油ちょうすることにより得られる。その独特の外観や食感により、子供から大人まで人気のある食品である。アメリカンドッグの食感や、衣と具材との結着性などを改善するため、従来から様々な提案がなされている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、小麦粉と、アルギン酸エステル及び/又はアルギン酸塩と、起泡力がロスマイルス法で50~150mmである乳化剤とを含有することを特徴とするアメリカンドッグ用ミックス粉が開示されている。
【0004】
一方、パンや菓子用の組成物として、小麦粉の他に、増粘剤や、酵素を含有するものが提案されている。例えば、下記特許文献2には、小麦粉:100質量部に対して、乳化剤:0.05~5質量部、増粘剤:0.001~10質量部、酵素:0.1~2000ppmを含有し、酵素は、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、ヘミセルラーゼ、リパーゼから選んで使用することができる焼成パン製品用の組成物が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、小麦粉、水及びα-アミラーゼを混合して加温すること等によって、糖化度が100~2000である糖化生地を調製する工程と、前記糖化生地を用いて最終生地を調製する工程とを含む、パンの製造方法が開示されている。また、酵素として、更にβ-アミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ又はこれらの2又は3の混合物を用いてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-19645号公報
【文献】WO2014/128873号公報
【文献】特開2016-106530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、購入後すぐに食したいという消費者のニーズに応えて、製品を高温で保存できるホットショーケースが利用されており、例えばコンビニエンスストアなどにおいては、アメリカンドッグもホットショーケース内に陳列されて販売されることが多くなっている。
しかしながら、アメリカンドッグをホットショーケース内に保存すると、保存時間が長くなるにつれて衣が硬くなり、タフな食感となるという問題があった。 上記特許文献1の発明においても、上記課題について十分に解決されているとは言えなかった。また、上記特許文献2,3は、アメリカンドッグに特有な上記課題に着眼して、その解決手段を提供するものではなかった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ホットショーケースなどに保存した場合でも、衣が硬くなりすぎず、良好な食感を維持できるようにしたアメリカンドッグ用ミックス粉とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、アメリカンドッグ用ミックス粉にβ-アミラーゼを含有させることで、ホットショーケースに保存されたものであっても衣が硬くなりすぎず、良好な食感が維持されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の一つは、小麦粉、膨張剤、増粘剤、及びβ-アミラーゼを含有することを特徴とするアメリカンドッグ用ミックス粉を提供するものである。本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉によれば、製造時の作業性が良好で、サクサクとした食感が得られ、、ホットショーケースに保存されたものであっても衣が硬くなりすぎず、良好な食感が維持されるアメリカンドッグ用ミックス粉を提供できる。
【0011】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉においては、ミックス粉中に含まれるβ-アミラーゼ活性が5~300IU/gになるように前記β-アミラーゼを含有することが好ましい。これによれば、更に、作業性や製造直後の食感が良好であって、更にホットショーケースに保存されたものであっても食感が維持されているアメリカンドッグ用ミックス粉を提供できる。
【0012】
また、本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉においては、前記増粘剤は、アルギン酸エステル、及び/又はアルギン酸塩を含むことが好ましい。これによれば、衣の具材との結着性を向上させることができる。
【0013】
更に、本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉においては、前記乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれたいずれか1又は2以上であることが好ましい。これによれば、衣の具材との結着性を向上させることができる。
【0014】
更に、本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉においては、前記糖類をミックス粉中に10~40質量%含有することが好ましい。これによれば、風味がよく、サクみのある軽い食感を付与することができる。
【0015】
また、本発明のもう一つは、上記記載のアメリカンドッグ用ミックス粉を用いてバッターを作り、串を刺した具材に前記バッターを被覆し、加熱油に浸漬して油ちょうすることを特徴とするアメリカンドッグの製造方法を提供するものである。本発明のアメリカンドッグの製造方法によれば、作業性や製造直後のサクサクとした食感が良好であって、更にホットショーケースに保存されたものであっても衣が硬くなりすぎない良好な食感が維持されているアメリカンドッグを提供できる。
【0016】
本発明のアメリカンドッグの製造方法においては、前記油ちょうされたアメリカンドッグをホットショーケースに入れて保存することが好ましい。これによれば、再加熱することなくすぐに食することができ、更に、保存されたものであっても衣が硬くなりすぎない良好な食感が維持されているアメリカンドッグを提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉及びアメリカンドッグの製造方法によれば、作業性や製造直後の食感が良好であって、更にホットショーケースに保存されたものであっても衣が硬くなりすぎず、良好な食感が得られるアメリカンドッグ用ミックス粉を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉は、小麦粉、膨張剤、増粘剤、及びβ-アミラーゼを含有する。
【0019】
上記において、β-アミラーゼとは、デンプン、グリコーゲンなどの非還元性末端からα-1,4結合をマルトース単位で切断するエキソ型の酵素である。本発明に用いるβ-アミラーゼとしては、食品として使用できるものであれば、特に制限はなく、市販品を含めて適宜使用することができる。例えば、ハイマルトシンG(製品名、エイチビーアイ株式会社)、β-アミラーゼF「アマノ」(製品名、天野エンザイム株式会社)、モチフレッシュ(製品名、日清オイリオグループ株式会社)、β-アミラーゼ♯1500S(製品名、ナガセケムテックス株式会社)、BETALASE 1500LA(製品名、日本バイオコン株式会社)等を使用する事が出来る。
【0020】
ミックス粉に対するβ-アミラーゼの配合量としては、特に制限はなく、適宜調節することができるが、ミックス粉1g当たりのβ-アミラーゼ活性が、好ましくは5~300IU、より好ましくは5~150IUとなるようにβ-アミラーゼを含有させることが好ましい。ミックス粉1g当たりのβ-アミラーゼ活性が5IU未満であると、添加による効果は十分でない傾向になり、ミックス粉1g当たりのβ-アミラーゼ活性が300IUを超えると、アメリカンドッグ生地に過度なゆるみが生じることによって作業性が悪くなったり、製造直後のサクサク感が減ったりする傾向にある。
【0021】
なお、β-アミラーゼ活性は、新食品分析ハンドブック(株式会社建帛社発行)に記載されている3.4.2 β-アミラーゼの測定法に則って測定することができる。酵素単位としては、標準条件で1分間に1マイクロモルの基質の変化を触媒する酵素量を1単位とする(国際単位:IU)。
【0022】
本発明に用いる小麦粉としては、特に制限はなく、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等を使用することができる。
【0023】
ただし、小麦粉は、その少なくとも一部として、熱処理小麦粉を用いることができる。熱処理小麦粉を用いることで、よりサクサク感のあるアメリカンドッグを得ることができる。これは、熱処理小麦粉では、グルテンを形成する蛋白質であるグリアジンとグルテニンとが熱変性し、加水して生地とするときグルテンが形成され難いので、油ちょうの際、衣の組織が適度に脆くなり、吸油され易いためと考えられる。
【0024】
熱処理小麦粉を用いる場合、非熱処理小麦粉とを組み合わせて用いることがより好ましい。これによれば、熱処理小麦粉は、グルテンが形成され難いことによってアメリカンドッグの骨格を形成する点で劣る傾向があるが、非熱処理小麦粉を一部配合することにより、その欠点を補いつつ、上記熱処理小麦粉によるメリットを享受することができる。また、それらの配合比率によって、小麦粉全体中の蛋白質の熱変性の程度をより容易に調整することができる。この場合、熱処理小麦粉と非熱処理小麦粉の配合比率は、乾燥質量比にして、1:0.1~4.0が好ましく、1:0.1~1.5がより好ましい。
【0025】
熱処理小麦粉は、一般小麦粉を熱処理して調製されたものを用いてもよく、あるいは小麦粒を熱処理し、その後挽砕することにより調製されたものを用いてもよい。熱処理は、小麦粉中の蛋白質が変性する温度、時間等の条件で行えばよく、湿熱、乾熱のいずれの条件で行ってもよい。熱風乾燥によることもできる。
【0026】
本発明に用いる膨張剤としては、ガス発生機能を有するものであればよく、特に制限はない。
【0027】
膨張剤によるガス発生の特性は、膨張剤に含まれるアルカリ剤と酸性剤の種類の組み合わせや配合比率によって調整することができる。より詳細には、膨張剤に含まれるアルカリ剤と速効性酸性剤と遅効性酸性剤の種類の組み合わせや配合比率によって調整することができる。例えば、累積ガス量を高めたい場合には、速効性酸性剤の配合量を増やし、遅効性酸性剤の配合量を少なくし、累積ガス量を低くしたい場合には、遅効性酸性剤の配合量を増やし、速効性酸性剤の配合量を少なくすればよい。
【0028】
膨張剤に用いるアルカリ剤や酸性剤としては、食品として使用できるものであればよく、特に制限はない。アルカリ剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。速効性酸性剤としては、例えば、酒石酸、フマル酸、及びそれらの塩等が挙げられ、より詳細には、酒石酸水素カリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム等が挙げられる。遅効性酸性剤としては、例えば、リン酸塩、ピロリン酸塩、及びグルコノデルタラクン等が挙げられ、より詳細には、第一リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン等が挙げられる。
【0029】
本発明に用いる増粘剤としては、特に制限はなく、キサンタンガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸エステル、アルギン酸塩、寒天、ゼラチン、ペクチン等を使用することができる。これらの増粘剤を使用することによって、衣の具材との結着性を向上させることができる。
【0030】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉は、乾燥物換算(複数種類を使用する場合はその合計量)で上記小麦粉を30~80質量%、上記膨張剤を1~5質量%、上記増粘剤を0.1~1.5質量%含有することが好ましく、上記小麦粉を40~70質量%、上記膨張剤を1.5~4.5質量%、上記増粘剤を0.1~1.5質量%含有することがより好ましい。これにより、上記小麦粉、上記膨張剤、及び上記増粘剤が、それぞれ効果的に作用して、優れた品質のアメリカンドッグを得ることができる。
【0031】
また、本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉は、更に、糖類、及び/又は乳化剤を含有する。
【0032】
本発明に用いる糖類としては、砂糖が好ましいが、これに限られず、例えばグルコース、乳糖、トレハロース、ソルビトール、デキストリン、粉末水飴等も使用することができる。
【0033】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉は、乾燥物換算で上記糖類を10~40質量%含有することが好ましく、15~30質量%含有することがより好ましい。糖類の含有量が上記範囲未満であると、風味が悪くなったり、サクみのある軽い食感が得にくくなったりする傾向がみられ、上記範囲を超えると、甘味が強すぎたり、焦げやすくなったりする傾向がみられる。
【0034】
本発明に用いる乳化剤としては、特に制限はなく、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンエステル等を使用することができる。
【0035】
本発明のアメリカンドッグ用ミックス粉は、乾燥物換算で乳化剤を0.05~2.0質量%含有することが好ましく、0.1~1.0質量%含有することがより好ましい。乳化剤の含有量が上記範囲内であると、アメリカンドッグの衣にサクミのある食感を付与し、また、経時的な食感の老化を防止する効果がある傾向にある。
【0036】
更に、本発明のアメリカンドッグ用ミックスには、必要に応じて、上記の他に、小麦粉以外の穀粉、塩、澱粉、植物性蛋白質(大豆蛋白等)、卵粉(全卵、卵白、卵黄いずれでもよい)、乳製品(脱脂粉乳等)、食物繊維、調味料、香料、着色料等を含有させることができる。
【0037】
本発明のアメリカンドッグ用ミックスは、水あるいは牛乳等により加水して、アメリカンドッグ用のバッターとすることができる。加水の量は適宜調整すればよいが、典型的にはミックス100質量部に対して50~100質量部が好ましく、より典型的にはミックス100質量部に対して60~90質量部が好ましい。
【0038】
上記バッターを用いて、従来公知の手順に準じて、アメリカンドッグを製造することができる。具体的には、串刺しされたソーセージ、フランクフルト等の具材の表面にバッターを付着させ、厚さ3~5mm程度となるように具材の全体を覆い、160~190℃の加熱油に浸漬して、3~10分間程度、油ちょうすることによって、アメリカンドッグを得ることができる。
【0039】
また、油ちょう後、更にホットショーケース等で高温(例えば、60~90℃、好ましくは70~80℃)で長時間(例えば、1~10時間、好ましくは2~8時間)、保存することが可能である。本発明のミックス粉を用いると、ホットショーケース等で保存されたアメリカンドッグであっても、衣が硬くなりすぎず、良好な食感が維持される。
【0040】
なお、本発明のミックス粉を用いて製造したアメリカンドッグは、ホットショーケースで保存した場合に限らず、通常の室温下で長時間保存した場合や、電子レンジ加熱して温めた場合などであっても、良好な食感が維持される。
【実施例
【0041】
<実験例1>
1.アメリカンドッグの製造
下記表1に示す配合で比較例1~6、及び実施例1のアメリカンドッグ用ミックス粉を調製し、アメリカンドッグを製造した。用いた酵素製剤1~6は、表2に示した。
【0042】
具体的には、ミックス100質量部に対して70~80質量部の水を加えてバッターとし、串に刺した約35gのソーセージに、そのバッターの約65g程度をソーセージ全体が被覆されるように付着させ、串を手で持って先端側から180℃のサラダ油に浸漬して、6分間油ちょうした。
【0043】
製造したアメリカンドッグはホットショーケース(三洋電機株式会社製)で75℃、6時間保存した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
2.評価
アメリカンドッグの製造における作業性、油ちょうした直後のアメリカンドッグの食感(サクサク感)、6時間保存後の食感(表面の硬さ)を評価した。評価は、比較例1のアメリカンドッグを基準(3点)とし、基準より優れるものを5点、やや優れるものを4点、同等のものを3点、やや劣るものを2点、劣るものを1点とし、パネラー7名の平均点を算出し、表3に示した。
【0047】
表3に示したように、β-アミラーゼを含む実施例1では、作業性や油ちょうした直後のサクサク感に優れ、また、ホットショーケース保存後でも、衣が硬くなりすぎない良好な食感が維持されていたという評価であった。
【0048】
しかし、α-アミラーゼを含む比較例6や他の酵素を含む比較例3~5では、作業性、製造直後の食感、保存後の食感が劣るという評価であった。
【0049】
【表3】
【0050】
<実験例2>
1.アメリカンドッグの製造
下記表4に示す配合で比較例1、及び実施例1~3のアメリカンドッグ用ミックス粉を調製し、上記実験例1と同様に、アメリカンドッグを製造した。用いた酵素製剤6~8は、表5に示した。
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
2.評価
アメリカンドッグの製造における作業性、油ちょうした直後のアメリカンドッグの食感(サクサク感)、6時間保存後の食感(表面の硬さ)を、上記実験例1と同様に、評価し、表6に示した。
【0054】
表6に示したように、β-アミラーゼを含む実施例1~3では、作業性や油ちょうした直後のサクサク感に優れ、また、ホットショーケース保存後でも、衣が硬くなりすぎない良好な食感が維持されていたという評価であった。
【0055】
【表6】
【0056】
<実験例3>
1.アメリカンドッグの製造
下記表7に示す配合で比較例1、及び実施例4~9のアメリカンドッグ用ミックス粉を調製し、上記実験例1と同様に、アメリカンドッグを製造した。
【0057】
【表7】
【0058】
2.評価
アメリカンドッグの製造における作業性、油ちょうした直後のアメリカンドッグの食感(サクサク感)、6時間保存後の食感(表面の硬さ)を、上記実験例1と同様に、評価し、表8に示した。
【0059】
表8に示したように、β-アミラーゼを含有する実施例4~9では、ホットショーケース保存後でも、衣が硬くなりすぎない良好な食感が維持されていたという評価であった。特に、ミックス粉1g当たりのβ-アミラーゼ活性が5~300IUとなるようにβ-アミラーゼを含有する実施例5~8では、ホットショーケース保存後の食感がより高い評価であった。
【0060】
【表8】