(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】カセット及びカセット体
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20230905BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230905BHJP
B41J 17/32 20060101ALI20230905BHJP
B65D 85/575 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J3/36 T
B41J17/32 A
B65D85/575 A
B65D85/575 Z
(21)【出願番号】P 2018176821
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100152515
【氏名又は名称】稲山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-159490(JP,A)
【文献】特開平11-078128(JP,A)
【文献】特開2013-095047(JP,A)
【文献】特開2003-103864(JP,A)
【文献】特開2007-190679(JP,A)
【文献】特開2010-235312(JP,A)
【文献】特開2001-310540(JP,A)
【文献】特開2018-001593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/04-15/14
B41J 3/36
B41J 17/32
B65D 85/575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有
し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記カセットが前記プリンタにより使用される前の未使用状態で、前記表示部と、前記表示部と隣接する非表示部との境界部分にハーフカット線を有することを特徴とするカセット。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記媒体の前記表示部がある面と反対の面に、粘着部を有し、
前記カセットが前記プリンタにより使用される前の未使用状態で、前記粘着部によって前記一部と前記筐体の外面が仮止めされていることを特徴とするカセット。
【請求項3】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記表示部は、
前記媒体の延伸方向に沿って並んだ第1表示部及び第2表示部であって、
第1態様で前記情報が印刷されている前記第1表示部と、
前記第1態様と異なる第2態様で前記情報が印刷されている前記第2表示部と、
を有
し、
前記カセットが前記プリンタにより使用される前の未使用状態で、前記第1表示部と前記第2表示部との境界部分にハーフカット線を有することを特徴とするカセット。
【請求項4】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記表示部は、
前記媒体の延伸方向に沿って並んだ第1表示部及び第2表示部であって、
第1態様で前記情報が印刷されている前記第1表示部と、
前記第1態様と異なる第2態様で前記情報が印刷されている前記第2表示部と、
を有し、
前記筐体は、
前記媒体の前記一部が前記筐体の外部に排出される排出部を含む第1外面、及び、前記第1外面に隣接する第2外面を有し、
前記第1表示部及び前記第2表示部の境界部分に曲折部を有し、
前記第1表示部と反対の面が前記第1外面に対向し、前記第2表示部と反対の面が前記第2外面に対向することを特徴とするカセット。
【請求項5】
前記第1態様及び前記第2態様は、それぞれ、前記情報の基準となる方向が相違することを特徴とする請求項
3又は4に記載のカセット。
【請求項6】
前記情報は、文字を少なくとも含み、
前記第1態様及び前記第2態様は、それぞれ、文字の大きさが相違することを特徴とする請求項
3又は4に記載のカセット。
【請求項7】
前記ハーフカット線は、
前記媒体の前記一部の厚さ方向の全域に亘って切断された全切断部が、前記媒体の前記一部の幅方向の一部に形成された第1ハーフカット線、又は、
前記媒体の前記一部の厚さ方向の一部に切れ目が形成された半切断部が、前記媒体の前記一部の幅方向の全域又は一部に形成された第2ハーフカット線
の何れかであることを特徴とする請求項
1又は
3に記載のカセット。
【請求項8】
前記情報は、前記カセットを用いた印刷時の印刷濃度が段階的に変化した模様を示す階調情報を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から
7の何れかに記載のカセット。
【請求項9】
前記情報の少なくとも一部が記憶された記憶部を更に備えたことを特徴とする請求項1から
8の何れかに記載のカセット。
【請求項10】
前記媒体の他部に、別の表示部が更に設けられたことを特徴とする請求項1から
9の何れかに記載のカセット。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記筐体には、前記情報が印刷され
ているテープが巻回された第1ロールが収容され、
前記媒体は、前記テープを少なくとも含
み、
前記筐体には、前記情報が印刷された前記テープに貼付されるフィルムが巻回された第2ロールが更に収容され、
前記媒体は、前記テープ及び前記フィルムを含むことを特徴とするカセット。
【請求項12】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、情報が印刷された表示部を有し、
前記情報は、前記情報が印刷されている前記媒体の幅、前記カセットがレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式、前記媒体の厚さ、インクリボンの加熱に要する熱量、及び消費期限のうち少なくとも1つであり、
前記表示部は、
前記媒体の延伸方向に沿って並んだ第1表示部及び第2表示部であって、
第1態様で前記情報が印刷された前記第1表示部と、
前記第1態様と異なる第2態様で前記情報が印刷された前記第2表示部と、
を有し、
前記筐体は、
前記媒体の前記一部が前記筐体の外部に排出される排出部を含む第1外面、及び、前記第1外面に隣接する第2外面を有し、
前記第1表示部及び前記第2表示部の境界部分に曲折部を有し、
前記第1表示部と反対の面が前記第1外面に対向し、前記第2表示部と反対の面が前記第2外面に対向することを特徴とするカセット。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、
を備えたカセットであって、
前記一部は、情報が印刷された表示部を有し、
前記情報は、前記カセットを用いた印刷時の印刷濃度が段階的に変化した模様を示す階調情報を少なくとも含むことを特徴とするカセット。
【請求項14】
請求項1から
13の何れかに記載の前記カセットと、
プリンタにより使用される前の未使用の状態の前記カセットを覆う袋と
を備えたカセット体であって、
前記袋
は、前記表示部に対向する部位が透過性を有するか、又は、前記表示部に対向する部位に貫通穴が設けられたことを特徴とするカセット体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カセット、及び、カセットが袋に収容されたカセット体に関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタに装着されて使用されるカセットが知られている。特許文献1は、ラミネートタイプ及びレセプタタイプのそれぞれのカセットを開示する。ラミネートタイプのカセットには、透明テープからなる印字テープ、インクリボン、及び、粘着剤と剥離紙とを備えた両面粘着テープが収容される。レセプタタイプのカセットには、ラミネートタイプのカセットの印字テープ及び両面粘着テープの代わりに、粘着剤が塗布されて剥離紙が貼着された印字テープを備える。それぞれのタイプのカセットの剥離紙には、タイプ、テープ幅、インクリボンの色等の情報(以下、「カセット情報」という。)を示すテープ種識別マークが連続して印刷される。
【0003】
上記カセットは、テープ作成装置に装着されて使用される。この場合、テープ作成装置に設けられたテープ種判別センサにより、テープ種識別マークが読み取られる。テープ作成装置は、読み取ったテープ種識別マークにより示されるカセット情報に応じた条件で、サーマルヘッドを加熱し、インクリボンのインクを印字テープに転写する。これにより、ラベル用テープが作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カセットの筐体の表面に、カセット情報が表示されたシールが貼付される場合がある。ユーザは、シールを確認することによってカセット情報を認識できる。これに対し、コスト等の点から、シールを用いずにカセット情報をユーザに通知することが所望される。ここで、特許文献1に記載されたカセットのように、カセット情報を剥離紙に印刷することによりユーザに通知することが考えられる。しかし、カセットにおいて剥離紙は筐体内に収容されているので、ユーザが外部から確認できないという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、安価な方法でカセット情報をユーザに通知できるカセット、及び、カセットが袋に収容されたカセット体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るカセットは、筐体と、前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、を備えたカセットであって、前記一部は、前記カセットがプリンタにより使用される前の未使用状態で、情報が印刷されている表示部を有することを特徴とする。第1態様によれば、カセットは、筐体の外部に突出した媒体の一部は、情報が印刷された表示部を有する。従って、カセットは、例えば、情報としてカセット情報を表示部に印刷することによって、ユーザにカセット情報を通知できる。このためカセットは、筐体にシール等を貼付することなく安価にカセット情報をユーザに通知できる。
本発明の第2態様に係るカセットは、筐体と、前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、を備えたカセットであって、前記一部は、情報が印刷された表示部を有し、前記表示部は、前記媒体の延伸方向に沿って並んだ第1表示部及び第2表示部であって、第1態様で前記情報が印刷された前記第1表示部と、前記第1態様と異なる第2態様で前記情報が印刷された前記第2表示部と、を有し、前記筐体は、前記媒体の前記一部が前記筐体の外部に排出される排出部を含む第1外面、及び、前記第1外面に隣接する第2外面を有し、前記第1表示部及び前記第2表示部の境界部分に曲折部を有し、前記第1表示部と反対の面が前記第1外面に対向し、前記第2表示部と反対の面が前記第2外面に対向することを特徴とする。
本発明の第3態様に係るカセットは、筐体と、前記筐体の内部に収容され、一部が前記筐体の外部に突出する媒体と、を備えたカセットであって、前記一部は、情報が印刷された表示部を有し、前記情報は、前記カセットを用いた印刷時の印刷濃度が段階的に変化した模様を示す階調情報を少なくとも含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の第4態様に係るカセット体は、第1態様から第3態様に係る前記カセットと、前記カセットを覆う袋とを備えたカセット体であって、前記カセットが前記プリンタにより使用される前の未使用の状態で、前記袋のうち、前記表示部に対向する部位が透過性を有するか、又は、前記表示部に対向する部位に貫通穴が設けられたことを特徴とする。第2態様によれば、ユーザは、カセットが袋に収容されたカセット体の状態でも、印刷情報を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】カセット装着部22及びカセット6の斜視図である。
【
図3】カセット6が装着された状態のカセット装着部22、及びプラテンホルダ38の平面図である。
【
図5】第1実施形態におけるカセット6Aを示す図である。
【
図6】第2実施形態におけるカセット6B、及び、カセット体9示す図である。
【
図7】第3実施形態におけるカセット6Cを示す図である。
【
図8】第4実施形態におけるカセット6Dを示す図である。
【
図9】第5実施形態におけるカセット6E、及び、カセット体9を示す図である。
【
図10】第6実施形態におけるカセット6Fを示す図である。
【
図11】変形例におけるカセット6Gの内部構造を示す平面図である。
【
図12】変形例におけるカセット6Gを示す図である。
【
図13】変形例におけるカセット6G、及び、カセット体9を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載される装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0011】
<プリンタ1の概要>
図1から
図3を参照し、プリンタ1について説明する。なお、
図2において、ギア群90は、実際には覆い隠される。以下の説明では、
図1の上方、下方、右下方、左上方、左下方、及び右上方を、それぞれ、プリンタ1及びカセット6の上方、下方、右方、左方、前方、及び後方と定義する。
【0012】
図1に示すように、プリンタ1は、レセプタタイプ、ラミネートタイプ等、各種のカセットの使用が可能な汎用の印刷装置である。
図1に示すように、プリンタ1は、略直方体形状の本体カバー2を備える。本体カバー2の上面に、入力部11及び表示部13が設けられる。入力部11は、種々の情報入力、電源の入切、プリンタ1の各種制御を行う。表示部13は、入力された情報等を表示する。本体カバー2のうち表示部13よりも後側に、カセットカバー3が取り付けられる。カセットカバー3は、図示しない閉鎖位置と、
図1に示す開放位置との間で回動可能である。本体カバー2の内部にカセット装着部22が設けられる。カセット装着部22には、カセット6(
図2参照)を着脱可能である。本体カバー2の左方に装置排出口26が設けられる。印字済みのテープ8(
図2参照)は、装置排出口26を介してプリンタ1から排出される。
【0013】
図2に示すように、カセット装着部22には、サーマルヘッド29、駆動ローラ軸32、リボン巻取軸33、電極34、プラテンホルダ38(
図3参照)等が設けられる。サーマルヘッド29は、ヘッドホルダ291の前面に設けられる。ヘッドホルダ291は、カセット装着部22の前部に設けられる。カセット装着部22にカセット6が装着された場合、ヘッドホルダ291は、カセット6のヘッド挿入部62に挿入される(
図3参照)。駆動ローラ軸32は、ヘッドホルダ291の左側に回転可能に設けられる。リボン巻取軸33は、カセット装着部22の略中央に回転可能に設けられる。駆動ローラ軸32及びリボン巻取軸33は、ギア群90により連結される。ギア群90には、非図示の駆動モータが連結される。駆動ローラ軸32及びリボン巻取軸33は、駆動モータの回転に応じ、互いに連動して回転する。電極34は、カセット装着部22の右側面に設けられる。電極34は、カセット装着部22にカセット6が装着された場合、カセット6の電極63に接触する。
【0014】
図3に示すように、プラテンホルダ38は、カセット装着部22の前方に設けられる。プラテンホルダ38は、本体カバー2(
図1参照)に支持された回動軸37を中心に回動可能に支持される。回動軸37は上下方向に延びる。プラテンホルダ38には、プラテンローラ30及びテープサブローラ31が、それぞれ、平面視で反時計回り方向に回転可能に支持される。プラテンローラ30は、サーマルヘッド29と対向する。テープサブローラ31は、プラテンローラ30の左側に設けられ、駆動ローラ軸32と対向する。プラテンホルダ38には、カセットカバー3(
図1参照)の開閉に連動して移動する非図示のリリースレバーが連結される。リリースレバーは、カセットカバー3が開放位置に移動することに応じ、プラテンホルダ38を待機位置(
図3参照)に移動させる。プラテンホルダ38は、待機位置に配置された状態でカセット装着部22から離隔する。リリースレバーは、カセットカバー3が閉鎖位置に移動することに応じ、プラテンホルダ38を非図示の印刷位置に移動させる。プラテンホルダ38は、印刷位置に配置された状態でカセット装着部22に近接する。このとき、プラテンローラ30はサーマルヘッド29に近接し、テープサブローラ31は駆動ローラ軸32に近接する。
【0015】
装置排出口26(
図1参照)の右側には、印字済みのテープ8を切断する切断機構15が設けられる。切断機構15は、固定刃151及び移動刃152を有する。移動刃152は、固定刃151に対向して前後方向に移動可能である。切断された印刷済みのテープ8は、装置排出口26を介してプリンタ1から排出される。
【0016】
<カセット6の概要>
カセット6は、レセプタタイプのカセットである。
図4に示すように、カセット6は筐体60を備える。筐体60は略直方体状である。筐体60は、インクリボン4、テープ8等を内部に収納する。筐体60には、リボンボス710、支持孔711、支持孔712、支持孔713、及び、テープボス714が形成される。
【0017】
リボンボス710は、筐体60の右前部に設けられ、リボンスプール74を回転可能に支持する。リボンスプール74は、リボンロール40を保持する。リボンロール40にはインクリボン4が巻回される。支持孔711は、筐体60の前後方向の中央よりもやや後側、且つ左右方向の中央よりも左側に設けられ、テープスプール72を回動可能に支持する。テープスプール72は、テープロール80を保持する。テープロール80にはテープ8が巻回される。テープ8は、基材と、粘着剤により基材に貼付された剥離紙とを含む。基材及び剥離紙は積層する。
【0018】
支持孔712は、リボンボス710と支持孔711との間に設けられ、リボン巻取スプール76を支持する。リボン巻取スプール76には、リボン巻取軸33(
図3参照)が挿入される。リボン巻取スプール76は、リボン巻取軸33の回転駆動に伴って回転し、リボンロール40からインクリボン4を引き出して巻き取る。
【0019】
支持孔713は、筐体60の左前角部に設けられ、駆動ローラ78を回転可能に支持する。駆動ローラ78には、駆動ローラ軸32(
図3参照)が挿入される。駆動ローラ78は、駆動ローラ軸32の回転駆動に伴って回転し、テープサブローラ31(
図3参照)と共にテープロール80からテープ8を引き出して搬送する。テープボス714は、ラミネートタイプのカセットとして筐体60が用いられる場合に使用される。
【0020】
筐体60には、ヘッド挿入部62と排出部69とが設けられる。ヘッド挿入部62は、筐体60の前部を上下方向に貫通し、平面視略U字状に形成される。ヘッド挿入部62には、ヘッドホルダ291(
図3参照)が挿入される。以下、ヘッド挿入部62の前側を左右方向に延びる部分を、「アーム部65」という。アーム部65の左端部には、アーム開口67が設けられる。ヘッド挿入部62の左前角部には、リボン分離部68が設けられる。リボン分離部68は、印刷済みのテープ8からインクリボン4を分離し、且つインクリボン4をリボン巻取スプール76へと案内する。排出部69は、筐体60の左前角部に設けられる。排出部69は、テープ8をカセット6から外部に排出し、装置排出口26(
図3参照)へと案内する。
【0021】
テープ8は、テープロール80から筐体60の内部において右前角部を通り、アーム開口67へと延びる。インクリボン4は、リボンロール40からアーム開口67へと延びる。アーム開口67では、テープ8の基材側にインクリボン4が重ね合わされる。重ね合されたテープ8とインクリボン4とは、アーム開口67から外部に露出して、リボン分離部68へと搬送される。インクリボン4は、リボン分離部68でテープ8から分離されて、リボン巻取スプール76まで延びる。テープ8は、リボン分離部68でインクリボン4が分離されて排出部69まで延びる。
【0022】
図2に示すように、カセット6の右側面に、電極63及び記憶部63Aが設けられる。電極63は、プリンタ1のカセット装着部22にカセット6が装着された状態で、プリンタ1の電極34に接触する。記憶部63Aは不揮発性のメモリである。記憶部63Aには、後述のカセット情報が記憶される。
【0023】
<印刷手順>
図2、
図3を参照し、印刷手順について説明する。カセット装着部22にカセット6が装着される。カセット6のリボン巻取スプール76及び駆動ローラ78には、それぞれ、プリンタ1のリボン巻取軸33及び駆動ローラ軸32が挿入される。ヘッド挿入部62には、ヘッドホルダ291が挿入される。カセット6の電極63に、プリンタ1の電極34が接触する。プリンタ1の非図示の制御部は、接触した電極34、63を介して、カセット6の記憶部63Aに記憶されたカセット情報を読み出すことが可能となる。
【0024】
カセットカバー3が閉鎖位置に移動することに応じ、プラテンホルダ38は待機位置から印刷位置に移動する(矢印Y11、
図3参照)。プラテンローラ30は、テープ8とインクリボン4とを重ね合わせてサーマルヘッド29に押圧する。サーマルヘッド29の発熱により、インクリボン4が加熱される。これにより、インクリボン4のインクは、テープ8の基材に転写される。以上によって、文字等の情報が印刷される。テープ8のうち、印刷によって情報の視認が可能となる面を「表示面」という。テープ8のうち、表示面と反対側の面を「非表示面」という。レセプタタイプのカセット6の場合、テープ8の基材のうちインクリボン4のインクが転写される面が「表示面」に対応する。基材に剥離紙が貼付された状態の場合、剥離紙のうち基材側と反対側の面が「非表示面」に対応する。一方、基材から剥離紙が剥離された状態の場合、基材のうち表示面と反対の面が「非表示面」に対応する。
【0025】
図3に示すように、印刷に使用されたインクリボン4は、リボン分離部68で印刷済みのテープ8から分離されて、リボン巻取スプール76に巻き取られる。インクリボン4が分離された印刷済みのテープ8は、駆動ローラ78の回転により排出部69からカセット6の外部へと排出される。排出された印刷済みのテープ8は、装置排出口26を介してプリンタ1の外部に排出される。テープ8を切断する為の操作が入力部11を介して実行された場合、切断機構15が駆動される。移動刃152は、固定刃151に近接する向きに移動し、排出されたテープ8を切断する。
【0026】
<カセット6の詳細(第1実施例~第6実施形態)>
プリンタ1から取り外された状態のカセット6について、
図5~
図10を参照して説明する。なお、以下で説明するカセット6には、未使用状態のカセット6だけでなく、一旦プリンタ1に装着されて使用された後、プリンタ1から脱離されたカセット6も含む。カセット6において、テープ8の一部は、テープ8の搬送経路に沿った方向において、排出部69に対してテープロール80と反対側に配置される。以下、テープ8の搬送経路に沿った方向において、排出部69に対してテープロール80側を「上流側」といい、排出部69に対してテープロール80と反対側を「下流側」という。筐体60のうち排出部69よりも上流側を「筐体60の内部」といい、筐体60のうち排出部69よりも下流側を「筐体60の外部」という。筐体60の外部に突出したテープ8の一部を、「突出部8P」という。
図5(a)、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)、
図10(a)のそれぞれの部分拡大図は、A-A線を矢印方向から視た状態を示している。
【0027】
<第1実施形態(カセット6A)>
図5を参照し、第1実施形態に係るカセット6Aについて説明する。カセット6Aにおいて、突出部8Pは、排出部69から左方に延びる。突出部8Pにはカセット情報が印刷されている。カセット情報は、(1)テープ8の幅(12mm)、(2)テープ8の全長(8m)、(3)カセット6がレセプタタイプであるかラミネートタイプであるかを識別可能な型式(TZe)、(4)テープ8の厚さ(0.1mm)、(5)インクリボン4の加熱に要する熱量(熱量A)、(6)最終使用日時(2018.9.21 19:21)、(7)消費期限(2018.12.31)、のそれぞれが文字で示された情報を含む。突出部8Pのうち、カセット情報の視認が可能な表示面8Xは後側を向く。表示面8Xと反対の非表示面8Yは前側を向く。
【0028】
テープ8の表示面8Xのうち、突出部8Pにおいてカセット情報が印刷された部分を、「表示部8A」という。テープ8の表示面8Xのうち、表示部8Aよりも上流側に隣接する部分であって情報が印刷されない部分を、「非表示部8B」という。表示部8Aと非表示部8Bとの境界部分は、排出部69よりも僅かに下流側に配置される。表示部8Aと非表示部8Bとの境界部分に、ハーフカット線8Cが形成される。ハーフカット線8Cとして、以下の第1ハーフカット線又は第2ハーフカット線が選択的に適用される。
【0029】
第1ハーフカット線では、突出部8Pの厚さ方向の全域に亘って切断された全切断部が、突出部8Pの幅方向の一部に形成されている。つまり、全切断部は、テープ8の基材及び剥離紙のそれぞれの幅方向の一部を、境界部分で表示部8A側と非表示部8B側とに分断する切断部である。第1ハーフカット線の一例は、全切断部が幅方向に断続的に形成されたミシン目である。テープ8は、第1ハーフカット線において分断可能となる。テープ8が第1ハーフカット線において分断された場合、突出部8Pはカセット6Aから切り離される。
【0030】
第2ハーフカット線の第1例では、突出部8Pのうち基材のみが厚さ方向の全域に亘って切断された半切断部が、突出部8Pの幅方向の全域又は一部に形成されている。剥離紙に切断部は形成されない。テープ8は、突出部8Pの基材を切り離すことによって、突出部8Pの剥離紙から基材を剥がすことが可能となる。切り離された基材のうち、表示面8Xと反対側の面は、粘着剤が付着した状態で露出する。
【0031】
<第1実施形態の作用、効果>
筐体60の外部に突出したテープ8の突出部8Pは、カセット情報が印刷された表示部8Aを有する。従ってユーザは、突出部8Pのカセット情報を視認することによって、カセット6のカセット情報を認識できる。このためカセット6は、筐体60にシール等を貼付することなく安価にカセット情報をユーザに通知できる。
【0032】
テープ8は、表示部8Aと非表示部8Bとの間にハーフカット線8Cを有する。この場合、ユーザは、ハーフカット線8Cによって表示部8Aを非表示部8Bから容易に切り離すことができる。この場合、ユーザは、切り離した表示部8Aをカセット6の筐体60に貼付することができるので、切り離された表示部8Aを有効的に利用できる。
【0033】
プリンタ1の仕様によっては、プリンタ1に対するカセット6の装着時、カセット6から突出部8Pを切り離す作業が必要となる場合がある。これに対し、カセット6において表示部8Aと非表示部8Bとの境界部分に第1ハーフカット線が形成されている場合、第1ハーフカット線によって突出部8Pをカセット6から容易に切り離すことができる。従って、ユーザは、プリンタ1に対するカセット6の装着作業を容易に実行できる。
【0034】
カセット6Aでは、ハーフカット線8Cとして第1ハーフカット線又は第2ハーフカット線が選択的に適用される。例えば第1ハーフカット線が形成された場合、カセット6から突出部8Pを容易に切り離すことができる。一方、例えば第2ハーフカット線が形成された場合、突出部8Pのうち表示部8Aを含む基材を剥離紙から容易に剥離させることができる。
【0035】
カセット6Aは記憶部63Aを備える。記憶部63Aにはカセット情報が記憶される。この場合、例えばカセット6の製造工程において、記憶部63Aに記憶されたカセット情報を参照して、テープ8の突出部8Pに印刷を行うことができる。
【0036】
カセット6は、インクリボン4のインクをテープ8に転写することによって印刷が実行される、レセプタタイプのカセットである。つまり、第1実施形態にて説明した発明は、レセプタタイプのカセットに適用できる。
【0037】
<第2実施形態(カセット6B)>
図6を参照し、第2実施形態に係るカセット6Bについて説明する。カセット6Bでは、突出部8Pの下流側の端部の一部において、剥離紙が基材から剥離される。これにより、突出部8Pの非表示面のうち下流側の端部において、粘着剤が露出する。以下、突出部8Pの非表示面のうち粘着剤が露出した部分を、「粘着部8N」という。
【0038】
図6(a)に示すように、突出部8Pは、排出部69から右斜め前方に向けて、筐体60のアーム部65の先端に向けて延びる。突出部8Pの粘着部8Nは、アーム部65の前壁の外面に貼付される。これにより、突出部8Pはアーム部65に仮止めされる。突出部8Pは、表示部8Aが前側を向いた状態で安定化される。
【0039】
図6(b)に示すように、カセット6Bは、未使用の状態で袋9Aに収容される。袋9Aは、カセット6Bの周囲を覆う。袋9Aの前端部のうち、突出部8Pの表示部8Aと対向する部分に、窓91が形成される。窓91は透過性を有する。袋9Aの内部に配置された表示部8Aは、窓91を介して外部から透けて見える。以下、袋9Aと、袋9Aに収容されたカセット6を総称して、「カセット体9」という。
【0040】
<第2実施形態の作用、効果>
カセット6Bでは、突出部8Pの非表示面のうち下流側の端部に粘着部8Nが形成される。突出部8Pは、粘着部8Nがアーム部65に仮止めされることによって、表示部8Aが外側を向いた状態で安定化される。従ってユーザは、カセット情報を容易に確認できる。
【0041】
カセット6Bを覆う袋9Aの前端部のうち、突出部8Pの表示部8Aと対向する部分に、窓91が形成される。袋9Aの内部に配置された表示部8Aは、窓91を介して外部から透けて見える。従って、ユーザは、カセット6Bが袋9Aに収容されたカセット体9の状態でも、カセット情報を確認できる。
【0042】
<第3実施形態(カセット6C)>
図7を参照し、第3実施形態に係るカセット6Cについて説明する。カセット6Cは、表示部として第1表示部8D及び第2表示部8Eを備え、且つ、ハーフカット線8Fを更に有するという点で、第1実施形態に係るカセット6A(
図5参照)と相違する。第1表示部8D及び第2表示部8Eは、テープ8の延伸方向に沿って並ぶ。第1表示部8Dは、第2表示部8Eの上流側に隣接する。非表示部8Bは、第1表示部8Dの上流側に隣接する。第1表示部8Dと非表示部8Bとの境界部分に、ハーフカット線8Cが形成される。
【0043】
第1表示部8D及び第2表示部8Eには、それぞれ、カセット情報(1)~(4)が印刷されている。第1表示部8Dと第2表示部8Eとでは、カセット情報が印刷される場合の態様が相違する。具体的には、第1表示部8Dと第2表示部8Eとでは、カセット情報として含まれる文字の大きさが相違する。第2表示部8Eに印刷されるカセット情報の文字の大きさは、第1表示部8Dに印刷されるカセット情報の文字の大きさよりも大きい。
【0044】
第1表示部8Dと第2表示部8Eとの境界部分に、ハーフカット線8Fが形成される。ハーフカット線8Fとして、第1実施形態と同様、第1ハーフカット線又は第2ハーフカット線が適用される。
【0045】
<第3実施形態の作用、効果>
テープ8の突出部8Pの表示部は、第1表示部8D及び第2表示部8Eを有する。第1表示部8Dと第2表示部8Eとでは、カセット情報自体は共通するものの、その態様が相違する。具体的には、第1表示部8D及び第2表示部8Eのそれぞれで表示されるカセット情報の文字の大きさが相違する。この場合、ユーザは、より見やすい態様の表示部を選択して視認することによって、カセット情報を認識できる。即ちユーザは、多様な態様で第1表示部8D及び第2表示部8Eに表示されたカセット情報を適切に確認できる。
【0046】
第1表示部8Dと第2表示部8Eとの境界部分に、ハーフカット線8Fが形成される。従ってユーザは、ハーフカット線8Fによって第1表示部8D及び第2表示部8Eを容易に切り離すことができる。この場合、ユーザは、切り離した第1表示部8D及び第2表示部8Eを筐体60に貼付することができるので、切り離した第1表示部8D又は第2表示部8Eを有効的に利用できる。又、カセット情報が表示された2つのラベル(第1表示部8D及び第2表示部8E)が形成されることになるので、ユーザは、筐体60の異なる位置に第1表示部8D及び第2表示部8Eを貼付できる。このため、カセット情報を含むラベルを筐体60に貼付する場合の利便性を向上させることができる。更に、上記のように、第1表示部8Dと第2表示部8Eとでは、含まれる文字の大きさが相違する。従ってユーザは、切り離されたテープ8の一部が使用される状況に応じて、第1表示部8D及び第2表示部8Eを使い分けることができる。これによって、ユーザは、カセット情報を更に容易に認識できる。
【0047】
<第4実施形態(カセット6D)>
図8を参照し、第4実施形態に係るカセット6Dについて説明する。カセット6Dでは、突出部8Pの表示面8Xのうち第1表示部8D及び第2表示部8Eに印刷されるカセット情報が、第3実施形態に係るカセット6C(
図7参照)と相違する。具体的には、第1表示部8Dには、カセット情報として、(8)2次元バーコードが印刷される。2次元バーコードは、例えば、カセット情報(1)~(7)の一部に基づいて形成される。第2表示部8Eには、カセット情報として、(9)階調情報が印刷される。階調情報は、印刷濃度が段階的に変化した態様を示す。階調情報は、プリンタ1による印刷時において調整が可能な複数の印刷濃度を示す。
【0048】
<第4実施形態の作用、効果>
カセット情報として2次元バーコードが表示されることによって、文字が直接表示される場合と比べて、大量のカセット情報をユーザに認識させることができる。又、例えば、他のプリンタが他のカセットを使用して印刷された階調情報が、カセット6Dの筐体60に貼付される場合、カセット6Dが実際に使用された場合と異なる階調表現となる可能性があり、好ましくない。これに対し、本実施形態において、カセット情報として第2表示部8Eに表示される階調情報を、プリンタ1がカセット6Dを使用して印刷することによって、ユーザは、階調印刷が実行された場合の印刷態様を正確に確認できる。
【0049】
<第5実施形態(カセット6E)>
図9を参照し、第5実施形態に係るカセット6Eについて説明する。
図9(a)に示すように、カセット6Eでは、突出部8Pの表示面8Xのうち第1表示部8D及び第2表示部8Eに印刷されるカセット情報(1)~(4)の態様が、第3実施形態に係るカセット6C(
図7参照)と相違する。具体的には、第1表示部8Dには、カセット情報(1)~(4)の文字が、上流側から下流側に向けて配列されている。第1表示部8Dのカセット情報(1)~(4)のそれぞれの書字方向は、下方向と一致する。第2表示部8Eには、カセット情報(1)~(4)の文字が、下流側から上流側に向けて配列されている。第2表示部8Eのカセット情報(1)~(4)のそれぞれの書字方向は、上方向と一致する。即ち、第1表示部8D及び第2表示部8Eのそれぞれのカセット情報(1)~(4)の文字の書字方向は、互いに反対方向を向く。
【0050】
更に、カセット6Eは、ハーフカット線8C、8Fの位置が曲折した状態で、袋9Aに収容される。つまり、突出部8Pのうちハーフカット線8Cが形成された部分は、第1表示部8Dと非表示部8Bとの境界部分に形成された曲折部8Gとして機能する。突出部8Pのうちハーフカット線8Fが形成された部分は、第1表示部8Dと第2表示部8Eとの境界部分に形成された曲折部8Hとして機能する。カセット6Eの筐体60のうち、排出部69を含む左壁を、「第1外面60A」と定義する。カセット6Eの筐体60のうち、第1外面60Aの前端部に隣接する前壁を、「第2外面60B」と定義する。この場合、
図9(b)に示すように、突出部8Pの非表示面のうち第1表示部8Dと反対の部分は、第1外面60Aに対向する。
図9(c)に示すように、突出部8Pの非表示面のうち第2表示部8Eと反対の部分は、第2外面60Bに対向する。
【0051】
袋9Aの左端部のうち、突出部8Pの第1表示部8Dにと対向する部分に、窓92が形成される。袋9Aの前端部のうち、突出部8Pの第2表示部8Eにと対向する部分に、窓93が形成される。袋9Aの内部に配置された第1表示部8Dは、窓92を介して外部から透けて見え、第2表示部8Eは、窓93を介して外部から透けて見える。なお、袋9Aは、窓92、93として貫通穴を有していてもよい。
【0052】
<第5実施形態の作用、効果>
カセット6Eは、筐体60の第1外面60Aに対向する位置に第1表示部8Dを配置させ、且つ、第2外面60Bに対向する位置に第2表示部8Eを配置させることができる。この場合、例えばカセット6Eの第1外面60Aが上側を向くようにカセット体9が配置された状態で、ユーザは、窓92を介して第1表示部8Dのカセット情報を認識できる。又、例えばカセット6Eの第2外面60Bが上側を向くようにカセット体9が配置された状態で、ユーザは、窓93を介して第2表示部8Eのカセット情報を認識できる。このように、ユーザは、異なる複数の方向からカセット体9をみたそれぞれの場合で、カセット情報を確認できる。
【0053】
第1表示部8Dに表示されたカセット情報の書字方向と、第2表示部8Eに表示されたカセット情報の書字方向とが相違する。この場合、カセット6Eは、ユーザが筐体60を見る方向が、カセット体9の配置状態に応じて変化する場合でも、それぞれの状態でユーザによるカセット情報の確認を更に容易化できる。
【0054】
<第6実施形態(カセット6F)>
図10を参照し、第6実施形態に係るカセット6Fについて説明する。カセット6Fでは、非表示部8Bの代わりに第3表示部8Jを有するという点で、第4実施形態に係るカセットD(
図8参照)と相違する。第3表示部8Jは、第1表示部8Dの上流側に隣接する。第3表示部8Jの一部は、突出部8Pの上流側に配置される。言い換えれば、第3表示部8Jの一部は、排出部69よりも上流側、即ち、筐体60の内部に配置される。第3表示部8Jには、カセット情報(1)~(7)が印刷される。なお、第3表示部8Jのうちアーム開口67よりも上流側、即ち、アーム部65の内部に配置されるに印刷されたカセット情報は、外部から視認することができない。
【0055】
<第6実施形態の作用、効果>
カセット6Fでは、ヘッド挿入部62に挿入されたヘッドホルダ291のサーマルヘッド29により、インクリボン4が加熱される。これにより、テープ8のうちアーム開口67とリボン分離部68との間に亘って延びる部分にインクリボン4のインクが転写される。インクが転写されたテープ8は、下流側に搬送される。このためプリンタ1は、印刷の開始時においてサーマルヘッド29よりも上流側に配置されるテープ8には印刷を行えるのに対し、サーマルヘッド29よりも下流側に配置されるテープ8には印刷を行うことができない。
【0056】
これに対し、カセット6Fでは、排出部69よりも上流側、即ち、筐体60の内部に配置されたテープ8にカセット情報が予め表示されている。このため例えば、プリンタ1による印刷の開始後、筐体60の外部に第3表示部8Jが排出された場合において、ユーザは、カセット情報をユーザに通知する為のラベルとして第3表示部8Jを使用できる。つまり、カセット6Fでは、テープ8のうちサーマルヘッド29による印刷を行うことができない領域についても、カセット情報を表示させる領域として使用できる。従って、カセット6Fは、テープ8を効率的に使用してカセット情報をテープ8に形成させ、ユーザに使用させることができる。
【0057】
<変形例(カセット6G)>
図11を参照し、カセット6Gについて説明する。第1~第6実施形態と異なり、カセットGは、ラミネートタイプのカセットである。カセットGは、レセプタタイプのカセット6と同じ筐体60を有する。カセット6Gがレセプタタイプのカセット6A~6Fと異なる点は、支持孔711がフィルムスプール77を回動可能に支持する点、及び、テープボス714がテープスプール79を回動可能に支持する点である。
【0058】
フィルムスプール77は、フィルムロール81を回動可能に支持する。フィルムロール81には両面粘着フィルム87が巻回される。両面粘着フィルム87の一方の面には、剥離紙が貼付されている。両面粘着フィルム87は、フィルムロール81から前方に延び、駆動ローラ78に巻き付いて左方に曲折し、排出部69まで延びる。
【0059】
テープスプール79は、テープロール82を回動可能に支持する。テープロール82には、透明基材からなるテープ89が巻回される。テープ89は、テープロール82から下方に延びてリボンスプール74の右側を通過し、左方に曲折し、アーム開口67に向けて延びる。アーム開口67では、テープ89にインクリボン4が重ね合わされる。重ね合されたテープ89とインクリボン4とは、アーム開口67から外部に露出して、リボン分離部68へと搬送される。インクリボン4は、リボン分離部68でテープ89から分離されて、リボン巻取スプール76まで延びる。テープ89は、リボン分離部68でインクリボン4が分離され、駆動ローラ78の前方で両面粘着フィルム87に重ね合される。重ね合されたテープ89と両面粘着フィルム87とは、排出部69まで延びる。
【0060】
カセット6Gがカセット装着部22に装着されたプリンタ1による印刷動作は、次のように実行される。リボン巻取スプール76に挿入されたリボン巻取軸33(
図3参照)の回転に応じ、リボン巻取スプール76はリボンロール40からインクリボン4を引き出して巻き取る。プラテンローラ30(
図3参照)は、テープ89とインクリボン4とを重ね合わせてサーマルヘッド29に押圧する。サーマルヘッド29の発熱により、インクリボン4のインクがテープ89に転写される。駆動ローラ78に挿入された駆動ローラ軸32(
図3参照)の回転に応じ、駆動ローラ78は回転する。駆動ローラ78及びプラテンホルダ38のテープサブローラ31(
図3参照)は、それぞれの間に挟まれた両面粘着フィルム87及びテープ89を搬送する。インクリボン4が分離された印刷済みのテープ89は、駆動ローラ78及びテープサブローラ31により両面粘着フィルム87に押し付けられ、貼付される。貼付されたテープ89及び両面粘着フィルム87は、駆動ローラ78の回転により排出部69からカセット6の外部へと排出される。
【0061】
図12に示すように、プリンタ1から取り外された状態のカセット6Gでは、上記実施形態と同様、貼付されたテープ89及び両面粘着フィルム87の一部は筐体60の外部に突出する。筐体60の外部に突出したテープ89及び両面粘着フィルム87の一部は、突出部8Pに対応する。突出部8Pは、排出部69から左方に延びる。突出部8Pにはカセット情報(1)~(7)が印刷されている。なお、突出部8Pにおいて、印刷されたカセット情報は、テープ89を透過し、両面粘着フィルム87と反対の面で視認可能となる。このため、上記実施形態と異なり、突出部8Pのうちカセット情報の視認が可能な表示面8Xは、前側を向く。表示面8Xと反対の非表示面8Yは、後側を向く。表示部8Aと非表示部8Bとの境界部分に、ハーフカット線8Cが形成される。
【0062】
<変形例の作用、効果>
カセット6Gは、インクリボン4のインクが転写されたテープ89に両面粘着フィルム87が貼付されて印刷が実行される、ラミネートタイプのカセットである。つまり、本発明は、第1実施形態~第6実施形態にて説明したレセプタタイプのカセットだけでなく、変形例にて説明したラミネートタイプのカセットにも適用できる。
【0063】
なお、カセット6Gにおいて、第2実施形態(
図6参照)の場合と同様、突出部8Pの下流側の端部の一部において、両面粘着フィルム87の剥離紙が剥離されていてもよい。これにより、突出部8Pの非表示面のうち下流側の端部において、粘着剤が露出する。以下、
図13(a)に示すように、突出部8Pの非表示面のうち粘着剤が露出した部分を、「粘着部8Q」という。突出部8Pは、排出部69から後方に向けて、筐体60の左壁に沿って延びる。突出部8Pの粘着部8Qは、左壁の外面のうち前後方向中央よりも後側に貼付される。これにより、突出部8Pは筐体60に仮止めされる。突出部8Pは、表示部8Aが左側を向いた状態で安定化される。
【0064】
図13(b)に示すように、カセット6Gは、未使用の状態で袋9Bに収容されてもよい。袋9Bの左端部のうち、突出部8Pの表示部8Aと対向する部分に、透過性を有する窓93が形成されもよい。これにより、袋9Bの内部に配置された表示部8Aは、窓93を介して外部から透けて見える。
【0065】
<その他の変形例>
本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。以下、特段説明のない限り、第1実施形態におけるカセット6Aを例に挙げて変形例を説明するが、他の実施形態についても適宜適用可能である。
【0066】
テープ8の突出部8Pに印刷されるカセット情報は、上記の具体例に限定されず、他の情報であってもよい。テープ8の突出部8Pには、カセット6に関する情報と異なる情報が印刷されてもよい。カセット6Aの記憶部63Aには、カセット情報の一部のみが記憶されていてもよい。即ち、テープ8の突出部8Pに印刷される情報と、記憶部63Aに記憶される情報とで、少なくとも一部の情報が一致していればよい。記憶部63Aには、カセット情報と異なる情報が記憶されていてもよい。例えば記憶部63Aには、カセット6Aの製造会社の名称、ロゴ等が記憶されていてもよい。プリンタ1の制御部は、電極34、63を介した方法と異なる方法で、カセット6Aの記憶部63Aに記憶された情報を読み出してもよい。カセット6Aに記憶部63Aは設けられていなくてもよい。
【0067】
ハーフカット線8Cは、上記実施形態で例示した第一ハーフカット線及び第2ハーフカット線に限定されない。例えば、第2ハーフカット線において、突出部8Pのうち剥離紙のみが厚さ方向の全域に亘って切断された半切断部が、突出部8Pの幅方向の全域又は一部に形成されていてもよい。基材に切断部は形成されなくてもよい。この場合、テープ8の突出部8Pの剥離紙を基材から切り離すことによって、突出部8Pの基材から剥離紙を剥がすことが容易に可能となる。従ってユーザは、カセット6において、突出部8Pの非表示面に粘着剤が露出した状態とすることが容易に可能となる。テープ8において、表示部8Aと非表示部8Bとの境界部分にハーフカット線8Cは形成されていなくてもよい。
【0068】
第2実施形態において、突出部8Pの粘着部8Nは、突出部8Pの非表示面の全域に亘って形成されていてもよい。粘着部8Nは、筐体60の右壁に貼付されてもよい。即ち、突出部8Pは、アーム部65の前壁の左右方向全域に亘って配置されてもよい。
【0069】
第2実施形態における袋9Aは、前側半分の領域全体が透過性を有していてもよい。袋9Aは、窓91として貫通穴を有していてもよい。
【0070】
第3実施形態において、表示部は、第1表示部8Dと第2表示部8Eとに加えて、更に表示部を備えていてもよい。つまり、突出部8Pには、3つ以上の表示部が設けられていてもよい。又、3つ以上の表示部のそれぞれの態様は、第3実施形態と同様、相違していてもよい。3つ以上の表示部のそれぞれの境界部分の少なくとも一部に、ハーフカット線が形成されていてもよい。表示部間の境界部分にハーフカット線は形成されていなくてもよい。カセット情報の態様の相違は、文字の大きさに限定されない。例えば、第1表示部8Dと第2表示部8Eとでは、文字の言語、文字の太さ、フォント、色等が相違していてもよい。カセット情報として表示部に表示されるカセット情報は、文字、2次元バーコード、階調表現に限定されないことはいうまでもない。
【0071】
第5実施形態において、突出部8Pは、排出部69からアーム開口67に向けて直線状に延び、アーム部65の前壁に沿って左方に更に延びてもよい。突出部8Pは、筐体60の前壁と右壁とが交差する角部で、筐体60に沿って曲折し、右壁に沿って後方に延びていてもよい。このとき、突出部8Pのうち、排出部69から筐体60の前壁と右壁とが交差する角部までの間を延びる部分に、第1表示部8Dが配置されてもよい。又、突出部8Pのうち、角部から右壁に沿って延びる部分に、第2表示部8Eが設けられてもよい。この場合、カセット6Eの筐体60のうち、排出部69から角部に亘って延びる部分が、第1外面と定義され、角部から後方に延びる右壁が、第2外面と定義されてもよい。
【0072】
突出部8Pは、カセット6Eの筐体60の前壁、右壁、後壁、及び、左壁のすべてを覆うように配置されてもよい。即ち、突出部8Pは、筐体60のうち上下方向に延びる壁部を全て覆ってもよい。曲折部8G、8Hにハーフカット線は設けられていなくてもよく、予め曲げ癖が付けられていてもよい。
【0073】
第5実施形態において、第1表示部8Dに表示されるカセット情報の書字方向と、第2表示部8Eに表示されるカセット情報の書字方向とは、それぞれ左右方向に延びていてもよい。それぞれの書字方向は、テープ8の幅に応じて切り替えられてもよい。第1表示部8Dに表示されるカセット情報の書字方向と、第2表示部8Eに表示されるカセット情報の書字方向とが一致してもよい。
【0074】
袋は、第2実施形態における袋9Aの窓91と、変形例における袋9Bの窓92、93との両方を備えてもよい。この場合、レセプタタイプのカセットとラミネートタイプのカセットとで袋を共通化できる。
【0075】
<その他>
テープ8、両面粘着フィルム87及びテープ89は、本発明の「媒体」の一例である。カセット情報は、本発明の「情報」の一例である。第3表示部8Jは、本発明の「別の表示部」の一例である。
【符号の説明】
【0076】
1 :プリンタ
4 :インクリボン
6、6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G :カセット
8 :テープ
8A :表示部
8B :非表示部
8C :ハーフカット線
8D :第1表示部
8E :第2表示部
8F :ハーフカット線
8G、8H :曲折部
8J :第3表示部
8N、8Q :粘着部
8X :表示面
8Y :非表示面
9 :カセット体
9A、9B :袋
60 :筐体
60A :第1外面
60B :第2外面
63A :記憶部
69 :排出部
87 :両面粘着フィルム
89 :テープ
91、92、93 :窓