(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】印刷装置及びテープ
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20230905BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230905BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G06K7/10 280
B41J3/36 T
B41J29/38 601
(21)【出願番号】P 2019048317
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】村山 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】寺田 宏平
(72)【発明者】
【氏名】林 祐二
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-015513(JP,A)
【文献】特開2008-009940(JP,A)
【文献】特開2007-296746(JP,A)
【文献】特開2013-178641(JP,A)
【文献】特開2011-204011(JP,A)
【文献】特開2013-228909(JP,A)
【文献】特開2009-083459(JP,A)
【文献】特開2010-198174(JP,A)
【文献】宮坂 電人,お悩み&疑問に即答 プログラミングSOS!,C MAGAZINE,日本,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2003年10月01日,第15巻第10号,pp. 26-38
【文献】マーク グラハム・A,THE X RESOURCE,UNIX USER,日本,ソフトバンク株式会社,1996年06月01日,第5巻第6号,pp. 91-102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
B41J 3/36
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも認証データを記憶する記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープを、前記長手方向に沿って供給するテープ供給部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに印刷する印刷部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子から情報を読取る読取部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子に情報を書込む書込部と、
制御部と
を備え、
前記記憶素子は、前記認証データとして、第一記憶領域に予め書込まれた第一データと、第二記憶領域に予め書込まれた第二データとを記憶し、
前記制御部は、
第一の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第一認証データと、第二の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第二認証データとを、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一認証データの前記第一データ及び前記第二認証データの前記第二データが予め定められた関係である認証条件を満たすか否かを判断し、
前記認証条件を満たすと判断した場合、前記書込部による前記第一のラベルへの情報の書込みを許可する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
少なくとも認証データを記憶する記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープを、前記長手方向に沿って供給するテープ供給部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに印刷する印刷部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子から情報を読取る読取部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子に情報を書込む書込部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
第一の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第一認証データと、第二の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第二認証データと、前記第二のラベルとは反対側から前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第三の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第三認証データとを、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが予め定められた関係である認証条件である、第一の前記認証条件を満たし、且つ読取った前記第一認証データ及び前記第三認証データが第二の前記認証条件を満たすか否かを判断し、
前記第一の認証条件及び前記第二の認証条件の両方を満たすと判断した場合、前記書込部による前記第一のラベルへの情報の書込みを許可する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
少なくとも認証データを記憶する記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープを、前記長手方向に沿って供給するテープ供給部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに印刷する印刷部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子から情報を読取る読取部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
第一の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第一認証データと、第二の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第二認証データとを、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが予め定められた関係である認証条件を満たすか否かを判断し、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子に情報を書込む書込部を、更に備え、
前記制御部は、前記認証条件を満たすと判断した場合、前記書込部による前記第一のラベルへの情報の書込みを許可し、
前記第一のラベルは、前記第二のラベルに対して、前記テープ供給部による前記テープの搬送方向下流に配置される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
少なくとも認証データを記憶する記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープを、前記長手方向に沿って供給するテープ供給部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに印刷する印刷部と、
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子から情報を読取る読取部と、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
第一の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第一認証データと、第二の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第二認証データとを、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが予め定められた関係である認証条件を満たすか否かを判断し、読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データを所定の数式に適用して算出した算出値が所定のキー値である場合、前記認証条件を満たすと判断
し、
前記第一のラベルに設けられた前記記憶素子に記憶されている前記キー値を、前記読取部によって読取り、
読取った前記キー値に基づいて、前記算出値が前記キー値であるか否かを判断する
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子に情報を書込む書込部を、更に備え、
前記制御部は、前記認証条件を満たすと判断した場合、前記書込部による前記第一のラベルへの情報の書込みを許可する
ことを特徴とする請求
項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第一のラベルは、前記第二のラベルに対して、前記テープ供給部による前記テープの搬送方向下流に配置されることを特徴とする請求項1
、2、4、及び5の何れかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第二のラベルは、前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合うことを特徴とする請求項1から
4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記制御部は、読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが同一データである場合、前記認証条件を満たすと判断することを特徴とする請求
項2から4
の何れかに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制御部は、読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データを所定の数式に適用して算出した算出値が所定のキー値である場合、前記認証条件を満たすと判断することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記印刷装置の記憶部に予め記憶されている前記キー値に基づいて、前記算出値が前記キー値であるか否かを判断することを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記第一のラベルに設けられた前記記憶素子に記憶されている前記キー値を、前記読取部によって読取り、
読取った前記キー値に基づいて、前記算出値が前記キー値であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求
項9に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記第一認証データと、前記第二認証データと、前記第二のラベルとは反対側から前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第三の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第三認証データとを、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが第一の前記認証条件を満たし、且つ読取った前記第一認証データ及び前記第三認証データが第二の前記認証条件を満たすか否かを判断し、
前記第一の認証条件及び前記第二の認証条件の両方を満たすと判断した場合、前記書込部による前記第一のラベルへの情報の書込みを許可する
ことを特徴とする請求項1又は
3に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記制御部は、
読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データを所定の数式に適用して算出した第一算出値が所定の第一キー値である場合、前記第一の認証条件を満たすと判断し、
読取った前記第一認証データ及び前記第三認証データを所定の数式に適用して算出した第二算出値が所定の第二キー値である場合、前記第二の認証条件を満たすと判断する
ことを特徴とする請求項2又は12に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記第一のラベルに設けられた前記記憶素子に記憶されている前記第一キー値及び前記第二キー値を、前記読取部によって読取り、
読取った前記第一キー値に基づいて、前記第一算出値が前記第一キー値であるか否かを判断し、
読取った前記第二キー値に基づいて、前記第二算出値が前記第二キー値であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項13に記載の印刷装置。
【請求項15】
情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、
前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた第一データと、第二記憶領域に予め書込まれた第二データとを記憶し、
前記第一データと前記第二データとは異なる値のデータであり、
前記複数のラベルの任意の一つである第一のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データは、前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データと同一データである
ことを特徴とするテープ。
【請求項16】
前記第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データは、前記第一のラベルとは反対側から前記第二のラベルと前記長手方向に隣り合う第三のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データと同一データである
ことを特徴とする請求項15に記載のテープ。
【請求項17】
情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、
前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた第一データと、第二記憶領域に予め書込まれた第二データとを記憶し、
前記第一データと前記第二データとは異なる値のデータであり、
前記複数のラベルは、前記長手方向に隣り合って並ぶ任意の三つの前記ラベルである第一のラベル、第二のラベル、及び第三のラベルを含み、
前記第一のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データと前記第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データとの合計値の少なくとも一部は、前記第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データと前記第三のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データとの合計値の少なくとも一部と同じ値である
ことを特徴とするテープ。
【請求項18】
情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、
前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた認証データと、第二記憶領域に予め書込まれた第一キー値とを記憶し、
前記認証データと前記第一キー値とは異なる値のデータであり、
前記複数のラベルの任意の一つである第一のラベルに設けられた第一の前記記憶素子が記憶する前記認証データを、前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第二のラベルに設けられた第二の前記記憶素子が記憶する前記認証データと乗算した値の少なくとも一部は、前記第一の記憶素子が記憶する前記第一キー値の少なくとも一部と同じ値である
ことを特徴とするテープ。
【請求項19】
前記複数のラベルは、前記第二のラベルとは反対側から前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第三のラベルを含み、
前記記憶素子は、第三記憶領域に予め書込まれた第二キー値を記憶し、
前記第一の記憶素子が記憶する前記認証データを、前記第三のラベルに設けられた第三の前記記憶素子が記憶する前記認証データと乗算した値の少なくとも一部は、前記第一の記憶素子が記憶する前記第二キー値の少なくとも一部と同じ値である
ことを特徴とする請求項18に記載のテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及びテープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報を記憶可能な記憶素子が設けられたテープ、及びテープに設けられた記憶素子に対して非接触通信で情報の読取り及び書込みを実行可能な印刷装置が知られている。例えば特許文献1では、RFID(Radio Fequency Identification)インレットが、RFIDラベル用紙に取り付けられる。RFIDラベル印刷装置は、RFIDインレットから非接触通信で読取った情報の中に、RFIDラベル印刷装置で使用可能なRFIDラベル用紙の種類コードが含まれるか否かを判断する。RFIDラベル印刷装置は、RFIDラベル印刷装置で使用可能なRFIDラベル用紙の種類コードが含まれていないと判断された場合、印刷手段による印刷動作を行わない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷装置及びテープによれば、印刷装置がテープに設けられた記憶素子から情報を読取るだけでなく、印刷装置がテープに設けられた記憶素子に情報を書込むことができる。しかしながら、例えば印刷装置で不正なテープが使用されている場合などに、そのテープに設けられた記憶素子に対する情報の不正な書込みを抑制することが求められていた。
【0005】
本発明の目的は、テープに設けられた記憶素子に対する情報の不正な書込みを抑制可能な印刷装置及びテープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る印刷装置は、少なくとも認証データを記憶する記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープを、前記長手方向に沿って供給するテープ供給部と、前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに印刷する印刷部と、前記テープ供給部によって供給される前記テープの前記ラベルに設けられた前記記憶素子から情報を読取る読取部と、制御部とを備え、前記制御部は、第一の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第一認証データと、第二の前記ラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記認証データである第二認証データとを、前記読取部によって読取り、読取った前記第一認証データ及び前記第二認証データが予め定められた関係である認証条件を満たすか否かを判断することを特徴とする。
【0007】
本発明の第二態様に係るテープは、情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた第一データと、第二記憶領域に予め書込まれた第二データとを記憶し、前記複数のラベルの任意の一つである第一のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データは、前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データと同一データであることを特徴とする。
【0008】
本発明の第三態様に係るテープは、情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた第一データと、第二記憶領域に予め書込まれた第二データとを記憶し、前記複数のラベルは、前記長手方向に隣り合って並ぶ任意の三つの前記ラベルである第一のラベル、第二のラベル、及び第三のラベルを含み、前記第一のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データと前記第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データとの合計値の少なくとも一部は、前記第二のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第二データと前記第三のラベルに設けられた前記記憶素子が記憶する前記第一データとの合計値の少なくとも一部と同じ値であることを特徴とする。
【0009】
本発明の第四態様に係るテープは、情報の読取り及び書込みが可能な記憶素子が夫々設けられた複数のラベルが長手方向に並ぶテープであって、前記記憶素子は、第一記憶領域に予め書込まれた認証データと、第二記憶領域に予め書込まれた第一キー値とを記憶し、前記複数のラベルの任意の一つである第一のラベルに設けられた第一の前記記憶素子が記憶する前記認証データを、前記第一のラベルと前記長手方向に隣り合う第二のラベルに設けられた第二の前記記憶素子が記憶する前記認証データと乗算した値の少なくとも一部は、前記第一の記憶素子が記憶する前記第一キー値の少なくとも一部と同じ値であることを特徴とする。
【0010】
本発明の第一~第四態様によれば、テープに設けられた記憶素子に対する情報の不正な書込みを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】テープカセット30が装着された装着部8の平面図である。
【
図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】テープ50の平面図及び第一実施例のタグ情報100の概念図である。
【
図5】第一実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【
図6】第一実施例のタグ書込処理を示すフローチャートである。
【
図7】第二実施例のタグ情報110の概念図である。
【
図8】第二実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【
図9】第三実施例のタグ情報120の概念図である。
【
図10】第三実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【
図11】第四実施例のタグ情報130の概念図である。
【
図12】第四実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【
図13】第五実施例のタグ情報140の概念図である。
【
図14】第五実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【
図15】第五実施例のタグ確認処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明では、
図1の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、及び下側を、夫々、印刷装置1の右側、左側、前側、後側、上側、及び下側とする。
図4の上側、下側、右側、左側を、夫々、テープ50の上側、下側、先端側、末尾側とする。
【0013】
図1に示すように、印刷装置1は、直方体状の筐体である本体カバー2を備える。本体カバー2の上面前部には、キャラクタを入力するためのキーボード3が設けられる。キーボード3は、電源スイッチ、用途キー、カーソルキー等を含む。キーボード3の後側には、各種情報を表示するディスプレイ5が設けられる。一例として、ディスプレイ5はドットマトリクスLCDである。ディスプレイ5の後側には、本体カバー2に対して開閉可能なカセットカバー6が設けられる。本体カバー2の左面後部には、印刷されたテープ50を本体カバー2の外部に排出する排出口9が設けられる。
【0014】
図2に示すように、本体カバー2の内部におけるカセットカバー6(
図1参照)の下側には、装着部8が設けられる。装着部8は、テープカセット30の形状に対応する凹部であり、テープカセット30を着脱可能な部位である。以下では、装着部8に装着されているテープカセット30を、装着中のテープカセット30という。印刷装置1は、装着中のテープカセット30を用いて、キーボード3を介して入力されたキャラクタの印刷を実行する。
【0015】
テープカセット30は、テープ50及びインクリボン60等を収容する箱状のカセットケース33を備える。印刷前のテープ50が巻回されたテープスプール40は、カセットケース33内の左後部で回転可能に支持される。未使用のインクリボン60が巻回されたリボンスプール42は、カセットケース33内の右前部で回転可能に支持される。リボン巻取スプール44は、テープスプール40とリボンスプール42との間で回転可能に支持される。リボン巻取スプール44は、リボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出すとともに、印刷に使用されたインクリボン60を巻き取る。テープ駆動ローラ46は、カセットケース33内の左前角部で回転可能に支持されて、テープスプール40から印刷前のテープ50を引き出して搬送する。テープ50の搬送方向の下流側及び上流側が、テープ50の長手方向の先端側及び末尾側に対応する。
【0016】
装着部8には、リボン巻取軸(図示略)、テープ駆動軸(図示略)、サーマルヘッド10、プラテン機構12、無線通信リーダ16、無線通信ライタ18等が設けられる。リボン巻取軸は、リボン巻取スプール44に挿入され、テープ送りモータ23(
図3参照)の駆動によって回転する。テープ駆動軸は、テープ駆動ローラ46に挿入され、テープ送りモータ23の駆動によって伝達機構(図示略)を介して回転する。サーマルヘッド10は、テープ駆動軸の右側に配置され、搬送されるテープ50に未使用のインクリボン60を用いて印刷を行う。プラテン機構12は、サーマルヘッド10との間でテープ50とインクリボン60とを互いに圧接して搬送する。排出口9と装着部8との間には、カット機構17が設けられる。カット機構17は、カットモータ24(
図3参照)の駆動により、テープ50を所定の位置で切断する。
【0017】
無線通信リーダ16は、カット機構17に対してテープ50の搬送方向上流側に設けられる。無線通信リーダ16は、テープカセット30から排出されたテープ50に対向して、テープ50の無線通信タグ80(
図4参照)に対して近距離無線通信でデータの読取りが可能である。無線通信ライタ18は、排出口9とカット機構17との間に設けられる。無線通信ライタ18は、排出口9とカット機構17との間にあるテープ50に対向して、テープ50の無線通信タグ80に対して近距離無線通信でデータの書込みが可能である。本実施形態では、無線通信リーダ16は公知のRFID(Radio frequency identification)リーダであり、無線通信ライタ18は公知のRFIDライタである。なお、無線通信リーダ16と無線通信ライタ18との距離は、少なくとも後述する複数の無線通信タグ80の配置間隔よりも大きいことが好適である。
【0018】
図3を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は制御回路部70を備える。制御回路部70は、CPU71、ROM72、CGROM73、RAM74、フラッシュメモリ75、および入出力インタフェース77を備え、これらがデータバス69を介して接続される。CPU71は、印刷装置1を統括制御する。ROM72は、CPU71が各種プログラムを実行するときに必要な各種パラメータを記憶する。CGROM73は、テープに印字するキャラクタの画像データを記憶する。RAM74は、テキストメモリ、印刷バッファ等、複数の記憶領域を備える。フラッシュメモリ75は、CPU71が実行する各種プログラム、無線通信タグ80から読取ったデータ、及び無線通信タグ80に書込むデータ等を記憶する。
【0019】
入出力インタフェース77には、キーボード3、液晶駆動回路(LCDC)25、駆動回路26、27、28、無線通信リーダ16、及び無線通信ライタ18が接続される。無線通信リーダ16は、公知のRFIDリーダと同様に図示外のアンテナとリーダICとを備える。無線通信ライタ18は、公知のRFIDライタと同様に図示外のアンテナとライタICとを備える。LCDC25は、ディスプレイ5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示略)を有する。駆動回路26は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路27は、テープ送りモータ23を駆動するための電子回路である。駆動回路28は、カットモータ24を駆動するための電子回路である。
【0020】
図4を参照し、テープ50の概要を説明する。本実施形態のテープ50は、複数の固定長のラベル51が搬送方向に沿って連続して並ぶ長尺帯状のシートである。テープカセット30が装着された印刷装置1では、テープ50がその長手方向に沿って搬送される。サーマルヘッド10は、テープ50の一面である印刷面に、インクリボン60を用いてキャラクタを印刷する。カット機構17は、ラベル51単位でテープ50をカットする。テープ50の両面のうちで印刷面とは反対面に、無線通信でデータの読取り及び書込みが可能な複数の無線通信タグ80が設けられる。複数の無線通信タグ80は、テープ50の長手方向に並んで設けられる。
【0021】
本実施形態の無線通信タグ80は、ICチップ81、アンテナ82、及びシール基材83を有する公知のRFIDタグである。シール基材83は、その表面にICチップ81及びアンテナ82が配設された長方形状のシートである。ICチップ81は、高周波回路、メモリ、電源回路を備える。アンテナ82は、シール基材83上においてICチップ81を中心に巻回されたコイル状のアンテナである。本実施形態の無線通信タグ80は、パッシブ型RFIDタグであるが、アクティブ型RFIDタグでもよい。
【0022】
ICチップ81は、各種情報を記憶可能な複数の記憶領域を有する。本実施形態では、タグ識別領域101、アドレスA領域102、アドレスB領域103、付加情報領域104等が、ICチップ81に設けられている。タグ識別領域101は、無線通信タグ80に固有の識別データを記憶する。アドレスA領域102及びアドレスB領域103は、無線通信タグ80の認証に用いられるデータを記憶するが、詳細は後述する。付加情報領域104は、テープカセット30に関する情報(例えば、テープ種類、印刷色、テープ幅等)、無線通信タグ80の関連情報、ユーザが任意に書込んだ情報等の付加データを記憶する。無線通信タグ80に記憶されている各種情報を総称して、タグ情報100という。
【0023】
本実施形態では、テープ50の製造時に、複数の無線通信タグ80のうちでテープ50の先端側に配置される無線通信タグ80から順に、図示外のRFIDライタによって各種情報が書込まれる。このとき、複数の無線通信タグ80に対してテープ50の末尾側に向けて昇順に割り振られた識別データが、タグ識別領域101に書込まれる。無線通信タグ80の認証に用いられる正規のデータが、アドレスA領域102及びアドレスB領域103に書込まれる。無線通信タグ80に固有の製造年月日及び製造時間(時分秒と秒単位未満4桁)を示す付加データが、付加情報領域104に書込まれる。
【0024】
本実施形態では、無線通信タグ80がラベル51毎に1つずつ配置されるように、複数の無線通信タグ80がテープ50の長手方向(即ち、搬送方向)に沿って等間隔に並ぶ。
図4では、テープ50の搬送方向における下流端から上流側に向けて並ぶ三つのラベル51を、その並び順にラベル51A、51B、51Cとする。ラベル51A、51B、51Cに設けられた各無線通信タグ80は、夫々、無線通信タグ80A、80B、80Cである。無線通信タグ80A、80B、80Cに記憶された各タグ情報100は、夫々、タグ情報100A、100B、100Cである。
【0025】
例えば、先頭のラベル51A(無線通信タグ80A)では、最も小さい識別データである「1」が、タグ識別領域101に記憶されている。二番目のラベル51B(無線通信タグ80B)には識別データ「2」がタグ識別領域101に記憶され、三番目のラベル51C(無線通信タグ80C)には識別データ「3」がタグ識別領域101に記憶されている。無線通信タグ80A、80B、80Cには、その識別データが大きいほど、より遅い製造年月日及び製造時間を示す付加データが付加情報領域104に記憶されている。
【0026】
<第一実施例>
図4を参照し、第一実施例のテープ50の詳細を説明する。以下では、無線通信タグ80のアドレスA領域102に記憶されている認証データを、Aデータという。無線通信タグ80のアドレスB領域103に記憶されている認証データを、Bデータという。各無線通信タグ80には、以下の規則性に従ってAデータ及びBデータが予め書き込まれている。
【0027】
複数のラベル51の任意の一つである第一ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するBデータは、第一ラベルとテープ50の長手方向(即ち、搬送方向)に隣り合う第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータと同一データである。より詳細には、第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するBデータは、第一ラベルとは反対側から第二ラベルと長手方向に隣り合う第三ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータと同一データである。
【0028】
上記の規則性を、
図4に示す例を用いて説明する。
図4において、ラベル51Aを第一ラベルとし、ラベル51Bを第二ラベルとし、ラベル51Cを第三ラベルとする。第一~第三ラベルに設けられた無線通信タグ80A~80Cは、夫々、タグ情報100A~100Cを記憶する。この場合、タグ情報100AのBデータとタグ情報100BのAデータとは何れも「0010」で等しい。タグ情報100BのBデータとタグ情報100CのAデータとは何れも「0011」で等しい。つまり第一実施例では、任意のラベル51のBデータは、テープ50の搬送方向上流側に隣り合うラベル51のAデータと同一データとなっている。
【0029】
第一実施例では、テープ50の製造時において、テープ50に設けられる複数の無線通信タグ80のアドレスA領域102及びアドレスB領域103に、上記の規則性を満たすようにデータA及びデータBを算出して書き込めばよい。なお、これら複数の無線通信タグ80において、一の無線通信タグ80に記憶されるAデータ及びBデータの組合せは、残りの無線通信タグ80に記憶されるAデータ及びBデータの組合せの全てと異なることが好適である。
【0030】
図5及び
図6を参照して、第一実施例のリードライト制御に関する処理を説明する。印刷装置1で実行されるリードライト制御は、テープカセット30が装着部8に装着された状態において、無線通信タグ80に対する情報の読み書きに関する制御であって、テープ50を搬送及び印刷する動作制御と合わせて実行される。リードライト制御は、タグ確認処理(
図5参照)とタグ書込処理(
図6参照)とを含む。これらの処理は、印刷装置1が電源オンされたことを契機に、ROM72のプログラムに基づいてCPU71によって実行される。
【0031】
図5に示すように、第一実施例のタグ確認処理では、まずCPU71は無線通信タグ80を認識可能であるかを判断する(S1)。CPU71は、テープ50が所定距離搬送されている期間に、無線通信リーダ16によって無線通信タグ80を検出できた場合、無線通信タグ80を認識可能であると判断する(S1:YES)。この場合、CPU71は無線通信リーダ16によって、S1で検出されたタグNからタグ情報100を読み取る(S3)。読取ったタグNのタグ情報100は、フラッシュメモリ75に記憶される。また、フラッシュメモリ75には、読取ったタグNの識別データを示す変数Nが記憶されている。S3で読み取られたタグNの識別データに応じて、変数Nがセットされる。タグNは、無線通信リーダ16によって検出された最新の無線通信タグ80であり、この無線通信タグ80のタグ識別領域101に記憶されている識別データを「N」とする。
【0032】
図4に示す例では、印刷装置1が電源オンされた直後は、無線通信リーダ16によって最初に検出される無線通信タグ80は、先頭のラベル51Aに設けられた無線通信タグ80Aである。この無線通信タグ80は、タグ識別領域101には識別データ「1」が記憶されているため、フラッシュメモリ75にはタグ「1」のタグ情報100が記憶され、且つ変数Nが「1」にセットされる(S3)。その後、テープ50の搬送に伴って、複数の無線通信タグ80が順次読み取られる毎に、各無線通信タグ80から読み取られたタグ情報100が記憶され、且つ変数Nが最新の識別データに応じて更新される(S3)。
【0033】
次いでCPU71は、タグ(N-1)のタグ情報100がフラッシュメモリ75にあるかを判断する(S5)。タグ(N-1)は、フラッシュメモリ75の変数Nから1減算した値(即ち、N-1)の識別データを有する無線通信タグ80である。つまりタグ(N-1)は、最新のタグNよりも1つ前に読み取られた無線通信タグ80である。
図4に示す例では、印刷装置1が電源オンされた直後は、タグ(N-1)は識別データ「0」の無線通信タグ80に相当するが、テープ50には識別データ「0」の無線通信タグ80が存在しない(S5:NO)。この場合、CPU71は処理をS1に戻す。
【0034】
タグ(N-1)のタグ情報100がフラッシュメモリ75にある場合(S5:YES)、CPU71はタグ(N-1)のBデータとタグNのAデータが同一であるかを判断する(S7)。具体的には、フラッシュメモリ75に記憶されているタグ情報100のうち、タグ(N-1)のタグ情報100に含まれるBデータと、タグNのタグ情報100に含まれるAデータとが同一であるかが判断される。
【0035】
タグ(N-1)のBデータとタグNのAデータが同一である場合(S7:YES)、タグ(N-1)は正規の無線通信タグ80であるとみなされる。CPU71は、フラッシュメモリ75にタグ(N-1)の書込許可フラグを記憶させ、この書込許可フラグに「1」をセットする(S9)。書込許可フラグは、対応する無線通信タグ80への情報書込みの可否を示すフラグであり、「1」は情報書込みの許可を示し、「0」は情報書込みの禁止を示す。
【0036】
タグ(N-1)のBデータとタグNのAデータが同じでない場合(S7:NO)、タグ(N-1)は不正な無線通信タグ80である可能性がある。CPU71は、フラッシュメモリ75にタグ(N-1)の書込許可フラグを記憶させ、この書込許可フラグを「0」にセットする(S11)。S9又はS11の実行後、CPU71は処理をS1に戻す。以上のS5~S11が繰り返し実行される毎に、最新のタグNよりも1つ前に読み取られた無線通信タグ80の夫々に対応する書込許可フラグが、フラッシュメモリ75に記憶される。
【0037】
なお、無線通信リーダ16によってタグNを検出できない場合(S1:NO)、CPU71はタグNのタグ情報100がフラッシュメモリ75にあるかを判断する(S13)。タグNのタグ情報100がある場合(S13:YES)、最後にタグ情報100が読み取られたタグNは、テープ50に設けられた末尾の無線通信タグ80であるとみなされる。従ってCPU71は、S9と同様の手法で、フラッシュメモリ75においてタグNの書込許可フラグを「1」にセットする(S15)。S15の実行後、又はタグNのタグ情報100がない場合(S13:NO)、CPU71はタグ確認処理を終了する。
【0038】
図6に示すように、第一実施例のタグ書込処理では、まずCPU71は無線通信タグ80を検出したかを判断する(S101)。無線通信ライタ18によってテープ50に設けられた複数の無線通信タグ80の何れかを検出した場合、CPU71は無線通信タグ80を検出したと判断する(S101:YES)。次いでCPU71は、検出した無線通信タグ80(以下、検出タグ)の書込許可フラグが「1」であるかを判断する(S103)。具体的には、CPU71は、検出タグのタグ識別領域101から識別データを読み取る。CPU71はフラッシュメモリ75を参照して、読み取った識別データに対応する検出タグの書込許可フラグを特定し、その書込許可フラグが「1」であるかを判断する。
【0039】
検出タグの書込許可フラグが「1」である場合(S103:YES)、CPU71はフラッシュメモリ75から対象情報を読み出して、対象情報を無線通信ライタ18によって検出タグに書き込む(S105)。対象情報は、無線通信タグ80への書き込み対象となる情報であり、例えばユーザが予めキーボード3等から入力した情報である。対象情報としては、ラベル51の作成者や用途を示す情報や、ラベル51が貼り付けられる商品に関する情報などが例示される。
【0040】
次いでCPU71は、検出タグに記憶されているデータA及びデータBが、S105の実行前と比較して変更なしかを判断する(S107)。データA及びデータBが変更されていない場合(S107:YES)、CPU71は検出タグのデータA及びデータBを変更する(S109)。具体的には、CPU71は無線通信ライタ18によって、検出タグのアドレスA領域102に記憶されているデータAに所定値(例えば「1」)を加算し、検出タグのアドレスB領域103に記憶されているデータBに所定値(例えば「1」)を加算する。このように検出タグのデータA及びデータBを変更することで、検出タグに対して不正な情報更新が行われることを防止できる。
【0041】
S109の実行後、CPU71は処理をS101に戻す。また、無線通信タグ80を検出していない場合(S101:NO)、検出タグの書込許可フラグが「1」でない場合(S103:NO)、又は検出タグのデータA及びデータBが変更されている場合(S107:NO)、CPU71は処理をS101に戻す。
【0042】
第一実施例のリードライト制御を、
図4を参照して具体的に説明する。例えば、印刷動作時にテープ50が搬送されるのに伴って、無線通信リーダ16によってラベル51A~51C(無線通信タグ80A~80C)から、タグ情報100A~100Cが順次読み取られる。ここでタグ情報100Bが読み取られた時点では、フラッシュメモリ75の変数Nが「2」となる(S1:YES、S3)。この場合、タグ情報100AのBデータとタグ情報100BのAデータとは、何れも「0010」で同一であると判断される(S5:YES、S7:YES)。無線通信タグ80Aの書込許可フラグが「1」にセットされる(S9)。
【0043】
その後、無線通信タグ80Aが無線通信ライタ18によって検出されると、無線通信タグ80Aの書込許可フラグが「1」であるため、無線通信タグ80Aに対象情報が書き込まれる(S101:YES、S103:YES、S105)。このとき、無線通信タグ80AのデータA及びデータBが変更されていなければ、これらのデータA及びデータBを変更する処理が実行される(S107:YES、S109)。
【0044】
<第二実施例>
図7を参照し、第二実施例のテープ50の詳細を説明する。第二実施例のテープ50は、上記第一実施例(
図4参照)と同様であるが、以下の規則性に従ってAデータ及びBデータが無線通信タグ80に予め書き込まれている点が異なる。なお、第二実施例では、無線通信タグ80A、80B、80Cに記憶された各タグ情報110は、夫々、タグ情報110A、110B、110Cとする。
【0045】
複数のラベル51は、テープ50の長手方向(即ち、搬送方向)に隣り合って並ぶ任意の三つのラベル51である第一ラベル、第二ラベル、及び第三ラベルを含む。第一ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するBデータと第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータとの合計値の少なくとも一部は、第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するBデータと第三ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータとの合計値の少なくとも一部と同じ値である。
【0046】
上記の規則性を、
図4及び
図7に示す例を用いて説明する。
図4において、ラベル51Aを第一ラベルとし、ラベル51Bを第二ラベルとし、ラベル51Cを第三ラベルとする。第一~第三ラベルに設けられた無線通信タグ80A~80Cは、夫々、
図7に示すタグ情報110A~110Cを記憶する。この場合、タグ情報110AのBデータ「0010」とタグ情報110BのAデータ「1101」との合計値を、第一合計値とする。タグ情報110BのBデータ「0011」とタグ情報110CのAデータ「1100」との合計値を、第二合計値とする。第一合計値と第二合計値とは、何れも「1111」と等しい。
【0047】
第二実施例では、テープ50の製造時において、テープ50に設けられる複数の無線通信タグ80のアドレスA領域102及びアドレスB領域103に、上記の規則性を満たすようにデータA及びデータBを算出して書き込めばよい。なお、これら複数の無線通信タグ80において、一の無線通信タグ80に記憶されるAデータ及びBデータの組合せは、残りの無線通信タグ80に記憶されるAデータ及びBデータの組合せの全てと異なることが好適である。
【0048】
図8を参照して、第二実施例のリードライト制御に関する処理を説明する。第二実施例のタグ確認処理では、第一実施例(
図5参照)と比べて、S7に代えてS17が実行される点が異なる。即ち、CPU71はタグ(N-1)のBデータとタグNのAデータとの合計値が規定値と同一であるかを判断する(S17)。具体的には、フラッシュメモリ75に記憶されているタグ情報110のうち、タグ(N-1)のタグ情報110に含まれるBデータと、タグNのタグ情報110に含まれるAデータとの合計値が算出される。算出された合計値の少なくとも一部が、ROM72に予め記憶されている規定値と同一であるかが判断される。
【0049】
合計値が規定値と同一である場合(S17:YES)、タグ(N-1)の書込許可フラグが「1」にセットされる(S9)。合計値が規定値と同一でない場合(S17:NO)、タグ(N-1)の書込許可フラグが「0」にセットされる(S11)。その他の処理は、第一実施例(
図5参照)と同じである。また第二実施例では、第一実施例と同様のタグ書込処理が実行される(
図6参照)。
【0050】
第二実施例のリードライト制御を、
図4及び
図7を参照して具体的に説明する。例えば、印刷動作時にテープ50が搬送されるのに伴って、無線通信リーダ16によってラベル51A~51C(無線通信タグ80A~80C)から、タグ情報110A~110Cが順次読み取られる。ここでタグ情報110Bが読み取られた時点では、フラッシュメモリ75の変数Nが「2」となる(S1:YES、S3)。この場合、タグ情報110AのBデータ「0010」とタグ情報110BのAデータ「1101」との合計値が「1111」と算出される。この合計値は、ROM72に予め記憶されている規定値「1111」と同一である(S5:YES、S17:YES)。無線通信タグ80Aの書込許可フラグが「1」にセットされる(S5:YES、S17:YES、S9)。以降は、第一実施例と同様に、無線通信タグ80Aに対象情報が書き込まれる。
【0051】
<第三実施例>
図9を参照し、第三実施例のテープ50の詳細を説明する。第三実施例のテープ50は、上記第一実施例(
図4参照)と同様であるが、以下の規則性に従ってAデータ及びBデータが無線通信タグ80に予め書き込まれている点が異なる。なお、第三実施例では、無線通信タグ80A、80B、80Cに記憶された各タグ情報120は、夫々、タグ情報120A、120B、120Cとする。また、第三実施例のテープ50には、100個の無線通信タグ80が設けられており、末尾の無線通信タグ80に記憶されたタグ情報120を、タグ情報120Zとする。
【0052】
複数のラベル51の任意の一つである第一ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータを、第一ラベルとテープ50の長手方向(即ち、搬送方向)に隣り合う第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータと乗算した値の少なくとも一部は、第一ラベルの無線通信タグ80が記憶する付加データの少なくとも一部と同じ値である。より詳細には、複数のラベル51は、第一ラベルとは反対側から第二ラベルと長手方向に隣り合う第三ラベルを含む。第一ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータを、第三ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータと乗算した値の少なくとも一部は、第一ラベルの無線通信タグ80が記憶するBデータの少なくとも一部と同じ値である。
【0053】
上記の規則性を、
図4及び
図9に示す例を用いて説明する。
図4において、ラベル51Bを第一ラベルとし、ラベル51Aを第二ラベルとし、ラベル51Cを第三ラベルとする。第一~第三ラベルに設けられた無線通信タグ80B、80A、80Cは、夫々、
図9に示すタグ情報120A~120Cを記憶する。この場合、タグ情報120BのAデータ「1232」と、タグ情報120AのAデータ「16」とを乗算した値は、第一乗算値「19712」である。第一乗算値の下四桁は、タグ情報120Aの付加データの下四桁「9712」(秒単位未満4桁)と同じ値である。タグ情報120BのAデータを、タグ情報120CのAデータと乗算した値を乗算した値は、第二乗算値「3015936」である。第二乗算値の下四桁は、タグ情報120BのBデータ「5936」と同じ値である。
【0054】
第三実施例では、テープ50の製造時において、テープ50に設けられる複数の無線通信タグ80のアドレスA領域102及びアドレスB領域103に、上記の規則性を満たすようにデータA及びデータBを算出して書き込めばよい。具体的には、テープ50の製造時に、付加情報領域104に付加データが書き込まれると共に、この付加データの少なくとも一部(本例では下四桁)がアドレスA領域102に書き込まれればよい。隣り合う二つの無線通信タグ80のデータAを乗算した値の少なくとも一部(本例では下四桁)が、アドレスB領域103に書き込まれればよい。なお本例では、末尾の無線通信タグ80に記憶されているタグ情報120ZのアドレスB領域103に、エンドマークとして「0」が書き込まれている。
【0055】
図10を参照して、第三実施例のリードライト制御に関する処理を説明する。第三実施例のタグ確認処理では、第一実施例(
図5参照)と比べて、S7に代えてS27が実行される点が異なる。即ち、CPU71はタグ(N-1)のAデータとタグNのAデータとの乗算値が、タグ(N-1)のBデータと同一であるかを判断する(S27)。具体的には、フラッシュメモリ75に記憶されているタグ情報120のうち、タグ(N-1)のタグ情報120に含まれるAデータと、タグNのタグ情報120に含まれるAデータとの乗算値が算出される。算出された乗算値の少なくとも一部が、タグ(N-1)のタグ情報120に含まれるBデータと同一であるかが判断される。
【0056】
乗算値がタグ(N-1)のBデータと同一である場合(S27:YES)、タグ(N-1)の書込許可フラグが「1」にセットされる(S9)。乗算値がタグ(N-1)のBデータと同一でない場合(S27:NO)、タグ(N-1)の書込許可フラグが「0」にセットされる(S11)。その他の処理は、第一実施例(
図5参照)と同じである。また、第三実施例では、第一実施例と同様のタグ書込処理が実行される(
図6参照)。なお、第三実施例では、S3でアドレスB領域103からエンドマーク「0」を読み取った場合、CPU71は処理をS15に移行してもよい。
【0057】
第三実施例のリードライト制御を、
図4及び
図9を参照して具体的に説明する。例えば、印刷動作時にテープ50が搬送されるのに伴って、無線通信リーダ16によってラベル51A~51C(無線通信タグ80A~80C)から、タグ情報120A~120Cが順次読み取られる。ここでタグ情報120Bが読み取られた時点では、フラッシュメモリ75の変数Nが「2」となる(S1:YES、S3)。この場合、タグ情報120AのAデータ「16」とタグ情報120BのAデータ「1232」との乗算値が「19712」と算出される。この乗算値の下四桁は、タグ情報120AのBデータ「9712」と同一である(S5:YES、S27:YES)。無線通信タグ80Aの書込許可フラグが「1」にセットされる(S9)。以降は、第一実施例と同様に、無線通信タグ80Aに対象情報が書き込まれる。
【0058】
<第四実施例>
図11を参照し、第四実施例のテープ50の詳細を説明する。第四実施例のテープ50は、上記第一実施例(
図4参照)と同様であるが、以下の点が異なる。第四実施例では、無線通信タグ80A、80B、80Cに記憶された各タグ情報130は、夫々、タグ情報130A、130B、130Cとする。また、第四実施例のテープ50には、100個の無線通信タグ80が設けられており、末尾の無線通信タグ80に記憶されたタグ情報130を、タグ情報130Zとする。
【0059】
第四実施例では、上記実施形態(
図4参照)とは異なり、テープ50の製造時に、複数の無線通信タグ80のうちでテープ50の末尾側に配置される無線通信タグ80から順に、図示外のRFIDライタによって各種情報が書込まれる。このとき、複数の無線通信タグ80に対してテープ50の先端側に向けて昇順に割り振られた識別データが、タグ識別領域101に書込まれる。無線通信タグ80の認証に用いられる正規のデータが、アドレスA領域102及びアドレスB領域103に書込まれる。無線通信タグ80に固有の製造年月日及び製造時間(時分秒と秒単位未満4桁)を示す付加データが、付加情報領域104に書込まれる。
【0060】
例えば、先頭のラベル51A(無線通信タグ80A)では、最も大きい識別データである「100」が、タグ識別領域101に記憶されている。二番目のラベル51B(無線通信タグ80B)には識別データ「99」がタグ識別領域101に記憶され、三番目のラベル51C(無線通信タグ80C)には識別データ「98」がタグ識別領域101に記憶されている。無線通信タグ80A、80B、80Cには、その識別データが小さいほど、より遅い製造年月日及び製造時間を示す付加データが付加情報領域104に記憶されている。なお本例では、末尾の無線通信タグ80に記憶されているタグ情報130ZのアドレスB領域103に、エンドマークとして「0」が書き込まれている。
【0061】
第四実施例のテープ50は、第三実施例(
図9)と同様の規則性に従って、Aデータ及びBデータが無線通信タグ80に予め書き込まれている。例えば
図4において、ラベル51Bを第一ラベルとし、ラベル51Aを第二ラベルとし、ラベル51Cを第三ラベルとする。この場合、第一~第三ラベルに設けられた無線通信タグ80B、80A、80Cは、夫々、
図11に示すタグ情報130A~130Cを記憶する。タグ情報130A~130Cに記憶されたAデータ及びBデータは、第三実施例(タグ情報120A~120C)と同様の規則性を有する。
【0062】
図12を参照して、第四実施例のリードライト制御に関する処理を説明する。第四実施例のタグ確認処理では、まずCPU71はS1と同様に、無線通信タグ80を認識可能であるかを判断する(S31)。無線通信タグ80を認識可能である場合(S31:YES)、CPU71はS3と同様に、タグNからタグ情報130を読み取る(S33)。
【0063】
次いでCPU71は、タグ(N+1)のタグ情報130がフラッシュメモリ75にあるかを判断する(S35)。タグ(N+1)は、フラッシュメモリ75の変数Nを1加算した値(即ち、N+1)の識別データを有する無線通信タグ80である。つまりタグ(N+1)は、最新のタグNよりも1つ前に読み取られた無線通信タグ80である。
図11に示す例では、印刷装置1が電源オンされた直後は、タグ(N+1)は識別データ「101」の無線通信タグ80に相当するが、テープ50には識別データ「101」の無線通信タグ80が存在しない(S35:NO)。この場合、CPU71は処理をS31に戻す。
【0064】
タグ(N+1)のタグ情報130がフラッシュメモリ75にある場合(S35:YES)、CPU71はタグ(N+1)のAデータとタグNのAデータとの乗算値が、タグ(N+1)のBデータと同一であるかを判断する(S37)。乗算値がタグ(N+1)のBデータと同一である場合(S37:YES)、CPU71はフラッシュメモリ75において、タグ(N+1)の書込許可フラグを「1」にセットする(S39)。乗算値がタグ(N+1)のBデータと同一でない場合(S37:NO)、CPU71はフラッシュメモリ75において、タグ(N+1)の書込許可フラグを「0」にセットする(S41)。S39又はS41の実行後、CPU71は処理をS31に戻す。
【0065】
無線通信タグ80を認識可能でない場合(S31:NO)、CPU71はタグNのタグ情報130があるかを判断する(S43)。タグNのタグ情報130がある場合(S43:YES)、CPU71はタグNの書込許可フラグを「1」にセットする(S45)。S45の実行後、又はタグNのタグ情報130がない場合(S43:NO)、CPU71はタグ確認処理を終了する。なお、第四実施例では、第一実施例と同様のタグ書込処理が実行される(
図6参照)。S33でアドレスB領域103からエンドマーク「0」を読み取った場合、CPU71は処理をS45に移行してもよい。
【0066】
第四実施例のリードライト制御を、
図4及び
図11を参照して具体的に説明する。例えば、印刷動作時にテープ50が搬送されるのに伴って、無線通信リーダ16によってラベル51A~51C(無線通信タグ80A~80C)から、タグ情報130A~130Cが順次読み取られる。ここでタグ情報130Bが読み取られた時点では、フラッシュメモリ75の変数Nが「2」となる(S31:YES、S33)。この場合、タグ情報130AのAデータ「16」とタグ情報130BのAデータ「1232」との乗算値が「19712」と算出される。この乗算値の下四桁は、タグ情報130AのBデータ「9712」と同一である(S35:YES、S37:YES)。無線通信タグ80Aの書込許可フラグが「1」にセットされる(S39)。以降は、第一実施例と同様に、無線通信タグ80Aに対象情報が書き込まれる。
【0067】
<第五実施例>
図13を参照し、第五実施例のテープ50の詳細を説明する。第五実施例のテープ50は、上記第一実施例(
図4参照)と同様であるが、以下の点が異なる。第五実施例では、無線通信タグ80A、80B、80Cに記憶された各タグ情報140は、夫々、タグ情報140A、140B、140Cとする。無線通信タグ80Cの搬送方向上流側にある四つ目の無線通信タグ80に記憶されたタグ情報140は、タグ情報140Dとする。また、第四実施例のテープ50には、100個の無線通信タグ80が設けられており、末尾の無線通信タグ80に記憶されたタグ情報140を、タグ情報140Zとする。
【0068】
第五実施例では、タグ識別領域201、アドレスA領域202、アドレスB領域203、アドレスC領域204、付加情報領域205等が、ICチップ81に設けられている。タグ識別領域201及び付加情報領域205は、上記実施例のタグ識別領域101及び付加情報領域104と同じである。アドレスA領域202、アドレスB領域203、及びアドレスC領域204は、無線通信タグ80の認証に用いられるデータを記憶する。以下では、アドレスA領域202に記憶されている認証データを、Aデータという。アドレスB領域203に記憶されている認証データを、Bデータという。アドレスC領域204に記憶されている認証データを、Cデータという。各無線通信タグ80には、以下の規則性に従ってAデータ、Bデータ、及びCデータが予め書き込まれている。
【0069】
複数のラベル51の任意の一つである第一ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータを、第一ラベルとテープ50の長手方向(即ち、搬送方向)に隣り合う第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶するAデータと乗算した値の少なくとも一部は、第一ラベルの無線通信タグ80が記憶するBデータの少なくとも一部と同じ値である。より詳細には、複数のラベル51は、第二ラベルとは反対側から第一ラベルと長手方向に隣り合う第三ラベルを含む。第一ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータを、第三ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータと乗算した値の少なくとも一部は、第一ラベルの無線通信タグ80が記憶するCデータの少なくとも一部と同じ値である。
【0070】
上記の規則性を、
図4及び
図13に示す例を用いて説明する。
図4において、ラベル51Bを第一ラベルとし、ラベル51Aを第二ラベルとし、ラベル51Cを第三ラベルとする。この場合、第一~第三ラベルに設けられた無線通信タグ80B、80A、80Cは、夫々、
図13に示すタグ情報140A~140Cを記憶する。この場合、タグ情報140BのAデータ「40」と、タグ情報140CのAデータ「7534」とを乗算した値は、第一乗算値「301360」である。第一乗算値の下四桁は、タグ情報140BのBデータ「1360」(秒単位未満4桁)と同じ値である。タグ情報140BのAデータ「40」と、タグ情報140AのAデータ「2546」とを乗算した値は、第二乗算値「101840」である。第二乗算値の下四桁は、タグ情報140BのCデータ「1840」(秒単位未満4桁)と同じ値である。
【0071】
第五実施例では、第四実施例(
図11参照)と同様に、テープ50の製造時に、複数の無線通信タグ80のうちでテープ50の末尾側に配置される無線通信タグ80から順に、図示外のRFIDライタによって各種情報が書込まれる。このとき、テープ50に設けられる複数の無線通信タグ80のアドレスA領域202、アドレスB領域203、及びアドレスC領域204に、上記の規則性を満たすようにデータA、データB、及びデータCを算出して書き込めばよい。
【0072】
具体的には、テープ50の製造時に、付加情報領域205に付加データが書き込まれると共に、この付加データの少なくとも一部(本例では下四桁)が、アドレスA領域202にデータAとして書き込まれればよい。隣り合う二つの無線通信タグ80のデータAを乗算した第一乗算値の少なくとも一部(本例では下四桁)が、アドレスB領域203にデータBとして書き込まれればよい。隣り合う二つの無線通信タグ80のデータAを乗算した第二乗算値の少なくとも一部(本例では下四桁)が、アドレスC領域204にデータCとして書き込まれればよい。
【0073】
なお、末尾のラベル51が第一ラベルである場合、第一ラベルよりも搬送方向上流側にはラベル51が存在しないため、第三ラベルが存在しない状態となる。この場合、第三ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータがないため、第一乗算値を算出することができない。つまり、第一ラベルの無線通信タグ80に書き込むべきデータBを、算出することができない。従って本例では、末尾の無線通信タグ80に記憶されているタグ情報140ZのアドレスB領域203に、エンドマークとして「0」が書き込まれている。
【0074】
また、先頭のラベル51Aが第一ラベルである場合、第一ラベルよりも搬送方向下流側にはラベル51が存在しないため、第二ラベルが存在しない状態となる。この場合、第二ラベルの無線通信タグ80が記憶するAデータがないため、第二乗算値を算出することができない。つまり、第一ラベルの無線通信タグ80に書き込むべきデータCを、算出することができない。従って本例では、先頭の無線通信タグ80に記憶されているタグ情報140AのアドレスC領域204に、スタートマークとして「0」が書き込まれている。
【0075】
図14及び
図15を参照して、第五実施例のリードライト制御に関する処理を説明する。第五実施例のタグ確認処理では、まずCPU71はS31と同様に、無線通信タグ80を認識可能であるかを判断する(S51)。無線通信タグ80を認識可能である場合(S51:YES)、CPU71はS33と同様に、タグNからタグ情報140を読み取る(S53)。
【0076】
次いでCPU71は、タグ(N+1)及びタグ(N+2)の二つのタグ情報140が、フラッシュメモリ75にあるかを判断する(S55)。タグ(N+2)は、フラッシュメモリ75の変数Nを2加算した値(即ち、N+2)の識別データを有する無線通信タグ80である。つまりタグ(N+2)は、最新のタグNよりも2つ前に読み取られた無線通信タグ80である。タグ(N+1)及びタグ(N+2)の二つのタグ情報140が存在しない場合(S55:NO)、CPU71は処理をS51に戻す。
【0077】
タグ(N+1)及びタグ(N+2)の二つのタグ情報140がフラッシュメモリ75にある場合(S55:YES)、CPU71はタグNのAデータとタグ(N+1)のAデータとを乗算した第一乗算値X1を算出する(S57)。CPU71はタグ(N+1)のAデータとタグ(N+2)のAデータとを乗算した第二乗算値X2を算出する(S59)。CPU71は、第一乗算値X1がタグ(N+1)のBデータと同一であり、且つ第二乗算値X2がタグ(N+1)のCデータと同一であるかを判断する(S61)。
【0078】
第一乗算値X1がタグ(N+1)のBデータと同一であり、且つ第二乗算値X2がタグ(N+1)のCデータと同一である場合(S61:YES)、CPU71はフラッシュメモリ75において、タグ(N+1)の書込許可フラグを「1」にセットする(S63)。第一乗算値X1がタグ(N+1)のBデータと同一でない場合、又は第二乗算値X2がタグ(N+1)のCデータと同一でない場合(S61:NO)、CPU71はフラッシュメモリ75において、タグ(N+1)の書込許可フラグを「0」にセットする(S65)。S63又はS65の実行後、CPU71は処理をS51に戻す。以上のS55~S65が繰り返し実行される毎に、最新のタグNよりも1つ前に読み取られた無線通信タグ80の夫々に対応する書込許可フラグが、フラッシュメモリ75に記憶される。
【0079】
無線通信タグ80を認識可能でない場合(S51:NO)、CPU71はタグNのタグ情報140があるかを判断する(S71)。タグNのタグ情報140がある場合(S71:YES)、最後にタグ情報100が読み取られたタグNは、テープ50に設けられた末尾の無線通信タグ80であるとみなされる。CPU71はタグNのCデータが「0」であるかを判断する(S73)。具体的には、フラッシュメモリ75に記憶されているタグ情報140のうち、タグNのタグ情報140のアドレスB領域203に「0」が記憶されているかが判断される。タグNのCデータが「0」である場合(S73:YES)、CPU71はS57と同様に、第一乗算値X1を算出する(S75)。
【0080】
CPU71は、第一乗算値X1がタグNのBデータと同一であるかを判断する(S77)。第一乗算値X1がタグNのBデータと同一である場合(S77:YES)、タグNは正規の無線通信タグ80であるとみなされる。CPU71はフラッシュメモリ75において、タグNの書込許可フラグを「1」にセットする(S79)。タグNのCデータが「0」でない場合(S73:NO)、又は第一乗算値X1がタグNのBデータと同一でない場合(S77:NO)、タグNは正規の無線通信タグ80でない可能性がある。CPU71はフラッシュメモリ75において、タグNの書込許可フラグを「0」にセットする(S81)。S79又はS81の実行後、或いはタグNのタグ情報140がない場合(S71:NO)、CPU71はタグ確認処理を終了する。
【0081】
第五実施例のリードライト制御を、
図4及び
図13を参照して具体的に説明する。例えば、印刷動作時にテープ50が搬送されるのに伴って、無線通信リーダ16によってラベル51A~51C(無線通信タグ80A~80C)から、タグ情報140A~140Cが順次読み取られる。ここでタグ情報140Bが読み取られた時点では、フラッシュメモリ75の変数Nが「2」となる(S51:YES、S53)。
【0082】
この場合、タグ情報140BのAデータ「40」とタグ情報140CのAデータ「7534」とを乗算した値「301360」が、第一乗算値X1として算出される(S57)。タグ情報140BのAデータ「40」とタグ情報140AのAデータ「2546」とを乗算した値「101840」は、第二乗算値X2として算出される(S59)。第一乗算値X1の下四桁はタグ情報140BのBデータ「1360」と同一であり、且つ第二乗算値X2の下四桁はタグ情報140BのCデータ「1840」と同一である(S61:YES)。無線通信タグ80Bの書込許可フラグが「1」にセットされる(S63)。以降は、第一実施例と同様に、無線通信タグ80Bに対象情報が書き込まれる。
【0083】
<備考>
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1によれば、テープ送りモータ23、サーマルヘッド10、無線通信リーダ16、無線通信ライタ18、及びCPU71を備える。テープ送りモータ23は、少なくとも認証データ(Aデータ、Bデータ、Cデータ)を記憶する無線通信タグ80が夫々設けられた複数のラベル51が長手方向に並ぶテープ50を、長手方向に沿って供給する。サーマルヘッド10は、供給されるテープ50のラベル51に印刷する。無線通信リーダ16は、供給されるテープ50のラベル51に設けられた無線通信タグ80から情報を読取る。
【0084】
CPU71は、第一ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶する認証データである第一認証データと、第二ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶する認証データである第二認証データとを、無線通信リーダ16によって読取る(S3:S33:S53)。CPU71は、読取った第一認証データ及び第二認証データが予め定められた関係である認証条件を満たすか否かを判断する(S7:S17:S27:S37:S61)。
【0085】
これによれば、印刷装置1は、第一ラベルの無線通信タグ80の第一認証データと、第二ラベルの無線通信タグ80の第二認証データとに基づいて、第一ラベルの無線通信タグ80が正規であるかの認証を行う。つまり第一ラベルの無線通信タグ80のみを用いて認証を行うのでなく、二つのラベル(第一ラベル及び第二ラベル)の各無線通信タグ80を用いて認証を行うことで、第一ラベルの無線通信タグ80が正規であるかをより正確に認証できる。その結果、テープ50に設けられた無線通信タグ80に対する情報の不正な書込みを抑制可能である。
【0086】
無線通信ライタ18は、供給されるテープ50のラベル51に設けられた無線通信タグ80に情報を書込む。CPU71は、認証条件を満たすと判断した場合、無線通信ライタ18による第一ラベルへの情報の書込みを許可する(S9:S39:S63)。これによれば、正規でない無線通信タグ80に対する情報の不正な書込みを抑制できる。
【0087】
第二ラベルは、第一ラベルと長手方向に隣り合う。これによれば、二つの隣り合うラベル(第一ラベル及び第二ラベル)の各無線通信タグ80を用いて認証を行うことで、第一ラベルの無線通信タグ80が正規であるかをより迅速に認証できる。
【0088】
第一実施例では、CPU71は読取った第一認証データ(タグ(N-1)のBデータ)及び第二認証データ(タグNのAデータ)が同一データである場合、認証条件を満たすと判断する(S7)。
【0089】
第二実施例では、CPU71は、読取った第一認証データ(タグ(N-1)のBデータ)及び第二認証データ(タグNのAデータ)を所定の数式(加算式)に適用して算出した算出値が所定のキー値である場合、認証条件を満たすと判断する(S17)。詳細には、CPU71は、印刷装置1のROM72に予め記憶されているキー値(規定値)に基づいて、算出値がキー値であるか否かを判断する(S17)。
【0090】
第三実施例では、CPU71は、読取った第一認証データ(タグ(N-1)のAデータ)及び第二認証データ(タグNのAデータ)を所定の数式(乗算式)に適用して算出した算出値が所定のキー値である場合、認証条件を満たすと判断する(S17)。例えばCPU71は、第一ラベルに設けられた無線通信タグ80に記憶されているキー値(タグ(N-1)のBデータ)を、無線通信リーダ16によって読取る(S3)。CPU71は、読取ったキー値に基づいて、算出値がキー値であるか否かを判断する(S27)。
【0091】
第四実施例では、CPU71は、読取った第一認証データ(タグ(N+1)のAデータ)及び第二認証データ(タグNのAデータ)を所定の数式(乗算式)に適用して算出した算出値が所定のキー値である場合、認証条件を満たすと判断する(S37)。例えばCPU71は、第一ラベルに設けられた無線通信タグ80に記憶されているキー値(タグ(N+1)のBデータ)を、無線通信リーダ16によって読取る(S35)。CPU71は、読取ったキー値に基づいて、算出値がキー値であるか否かを判断する(S37)。
【0092】
第五実施例では、CPU71は、第一認証データ(タグ(N+1)のAデータ)と、第二認証データ(タグ(N+2)のAデータ)と、第三認証データ(タグNのAデータ)とを、無線通信リーダ16によって読取る(S35)。第三認証データは、第二ラベルとは反対側から第一ラベルと長手方向に隣り合う第三ラベルに設けられた無線通信タグ80が記憶する認証データである。CPU71は、読取った第一認証データ及び第二認証データが第一の認証条件を満たし、且つ読取った第一認証データ及び第三認証データが第二の認証条件を満たすか否かを判断する(S61)。CPU71は、第一の認証条件及び第二の認証条件の両方を満たすと判断した場合、無線通信ライタ18による第一ラベルへの情報の書込みを許可する(S63)。
【0093】
例えばCPU71は、読取った第一認証データ及び第二認証データを所定の数式(乗算式)に適用して算出した第一算出値(第一乗算値X1)が所定の第一キー値である場合、第一の認証条件を満たすと判断する(S57、S61)。CPU71は、読取った第一認証データ及び第三認証データを所定の数式(乗算式)に適用して算出した第二算出値(第二乗算値X2)が所定の第二キー値である場合、第二の認証条件を満たすと判断する(S57、S61)。
【0094】
例えばCPU71は、第一ラベルに設けられた無線通信タグ80に記憶されている第一キー値(タグ(N+1)のBデータ)を、無線通信リーダ16によって読取る(S53)。CPU71は、読取った第一キー値に基づいて、第一算出値が第一キー値であるか否かを判断する(S61)。CPU71は、第一ラベルに設けられた無線通信タグ80に記憶されている第二キー値(タグ(N+1)のCデータ)を、無線通信リーダ16によって読取る(S53)。CPU71は、読取った第二キー値に基づいて、第二算出値が第二キー値であるか否かを判断する(S61)。
【0095】
なお、上記実施形態において、無線通信タグ80が本発明の「記憶素子」に相当する。テープ送りモータ23が本発明の「テープ供給部」に相当する。サーマルヘッド10が本発明の「印刷部」に相当する。無線通信リーダ16が本発明の「読取部」に相当する。無線通信ライタ18が本発明の「書込部」に相当する。CPU71が本発明の「制御部」に相当する。ROM52が本発明の「記憶部」に相当する。本発明は、上記実施形態に限定されず、各種変形が可能である。
【0096】
例えば、上記第一~第五実施例は、適宜組み合わせて実施されてもよい。無線通信タグ80は、RFIDタグとは異なる無線通信方式の記憶素子でもよい。無線通信リーダ16及び無線通信ライタ18は、RFIDタグとは異なる無線通信方式のリーダ及びライタでもよい。上記実施形態では、一つのラベル51に一つの無線通信タグ80が設けられる場合を例示したが、一つのラベル51に複数の無線通信タグ80が設けられてもよい。ラベル51は、固定長のラベルに限定されず、可変長のラベルでもよい。
【0097】
先述したように第一及び第二実施例では、複数の無線通信タグ80に記憶されるAデータ及びBデータの組合せは、何れも異なる組合せであることが好適である。この場合、S7及びS17の判断と合わせて、CPU71はタグ(N-1)のAデータとタグNのAデータが異なるかを判断してもよい。タグ(N-1)のAデータとタグNのAデータが同じである場合、不正な無線通信タグ80である可能性があるため、CPU71はフラッシュメモリ75に記憶させるタグ(N-1)の書込許可フラグを「0」にセットしてもよい(S11)。
【0098】
先述したように第三~第五実施例では、認証データ「0」はエンドマークやスタートマークとして機能するため、その他の認証データは「0」以外であることが望ましい。そこで上記実施形態では、上記第三~第五実施例では、現実的に「0」になりにくい製造時間の秒単位未満4桁を、全ての認証データの算出基礎となるデータAとして設定されている。なお、仮に製造時間の秒単位未満4桁が「0000」となる場合は、これに所定値(例えば「1」)を加算した値がデータAとして設定されればよい。
【0099】
上記実施形態では、タグ書込処理(
図6参照)のS109において、データA及びデータBに所定値を加算することでデータA及びデータBを変更する場合を例示した。しかしながら、S109ではデータA及びデータBを変更できればよく、加算される所定値は任意であり、また加算以外の演算処理によってデータA及びデータBを変更してもよい。なお、特定値(上記実施形態では「0」)がエンドマーク又はスタートマークのような機能を有する場合は、S109では変更後のデータA及びデータBが特定値とならない演算処理によって、データA及びデータBを変更することが好適である。
【符号の説明】
【0100】
1 印刷装置
10 サーマルヘッド
12 プラテン機構
16 無線通信リーダ
18 無線通信ライタ
23 テープ送りモータ
30 テープカセット
50 テープ
51 ラベル
71 CPU
75 フラッシュメモリ
80 無線通信タグ
100,110,120,130,140 タグ情報
102,202 アドレスA領域
103,203 アドレスB領域
104,205 付加情報領域
204 アドレスC領域