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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/12 20060101AFI20230905BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20230905BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20230905BHJP
   B60C 11/13 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B60C11/12 A
B60C5/00 H
B60C11/12 D
B60C11/03 B
B60C11/03 100C
B60C11/13 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019066629
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2019182407
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2018074055
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】澤上 勲
(72)【発明者】
【氏名】袁 蘇湘
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226369(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035660(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/12
B60C 5/00
B60C 11/03
B60C 11/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝により区分される複数の陸部とを有し、
前記複数の主溝は、外側クラウン主溝と、車両装着時において、前記外側クラウン主溝よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝とを含み、
前記複数の陸部は、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝との間に区分されるクラウン陸部を含み、
前記クラウン陸部には、一端が前記外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が前記内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、
前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異な
前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向に対する角度は、前記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向に対する角度よりも小さい、
タイヤ。
【請求項2】
車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝により区分される複数の陸部とを有し、
前記複数の主溝は、外側クラウン主溝と、車両装着時において、前記外側クラウン主溝よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝とを含み、
前記複数の陸部は、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝との間に区分されるクラウン陸部を含み、
前記クラウン陸部には、一端が前記外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が前記内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、
前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異なり
前記クラウン陸部には、前記第1クラウンサイプの前記他端と前記第2クラウンサイプの前記他端との間をつなぐ深さが2mm未満のクラウン浅溝が設けられている、
イヤ。
【請求項3】
前記クラウン浅溝は、タイヤ軸方向に対して、前記第1クラウンサイプと同じ方向に傾斜している、請求項に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記クラウン陸部には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない、請求項1ないしのいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項5】
車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝により区分される複数の陸部とを有し、
前記複数の主溝は、外側クラウン主溝と、車両装着時において、前記外側クラウン主溝よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝とを含み、
前記複数の陸部は、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝との間に区分されるクラウン陸部を含み、
前記クラウン陸部には、一端が前記外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が前記内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、
前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異なり、
前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記クラウン陸部の幅の25%~45%であり、
前記クラウン陸部には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない、
タイヤ。
【請求項6】
車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝により区分される複数の陸部とを有し、
前記複数の主溝は、外側クラウン主溝と、車両装着時において、前記外側クラウン主溝よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝とを含み、
前記複数の陸部は、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝との間に区分されるクラウン陸部を含み、
前記クラウン陸部には、一端が前記外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が前記内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、
前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異なり、
前記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向長さよりも小さく、
前記クラウン陸部には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない、
タイヤ。
【請求項7】
記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記クラウン陸部の幅の20%~40%である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦安定性能とウェット性能とを両立し得るタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤ周方向に延びる複数の主溝を有するタイヤが知られている。この種のタイヤでは、操縦安定性能とウェット性能とを両立することが求められている。例えば、下記特許文献1のタイヤは、車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有し、車両外側の剛性を高めることで操縦安定性能とウェット性能との両立を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-154710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤに対する要求は、年々高まってきており、特許文献1のタイヤについても、更なる改善が求められていた。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立し得るタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両への装着の向きが指定されたトレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、前記複数の主溝により区分される複数の陸部とを有し、前記複数の主溝は、外側クラウン主溝と、車両装着時において、前記外側クラウン主溝よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝とを含み、前記複数の陸部は、前記外側クラウン主溝と前記内側クラウン主溝との間に区分されるクラウン陸部を含み、前記クラウン陸部には、一端が前記外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が前記内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異なることを特徴とする。
【0007】
本発明のタイヤにおいて、前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向に対する角度は、前記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向に対する角度よりも小さいのが望ましい。
【0008】
本発明のタイヤにおいて、前記クラウン陸部には、前記第1クラウンサイプの前記他端と前記第2クラウンサイプの前記他端との間をつなぐ深さが2mm未満のクラウン浅溝が設けられているのが望ましい。
【0009】
本発明のタイヤにおいて、前記クラウン浅溝は、タイヤ軸方向に対して、前記第1クラウンサイプと同じ方向に傾斜しているのが望ましい。
【0010】
本発明のタイヤにおいて、前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記クラウン陸部の幅の25%~45%であるのが望ましい。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、前記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記クラウン陸部の幅の20%~40%であるのが望ましい。
【0012】
本発明のタイヤにおいて、前記第2クラウンサイプのタイヤ軸方向長さは、前記第1クラウンサイプのタイヤ軸方向長さよりも小さいのが望ましい。
【0013】
本発明のタイヤにおいて、前記クラウン陸部には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていないのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤにおいて、クラウン陸部には、一端が外側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第1クラウンサイプと、一端が内側クラウン主溝に連通しかつ他端が前記クラウン陸部内で終端する第2クラウンサイプとが設けられ、前記第1クラウンサイプは、タイヤ軸方向に対して、前記第2クラウンサイプと同じ方向に傾斜しかつ傾斜角度が異なっている。
【0015】
このような第1クラウンサイプ及び第2クラウンサイプを有するクラウン陸部は、車両装着時において、車両内側の剛性を高め、車両外側の排水性を向上させることができる。このため、本発明のタイヤは、操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態のタイヤのトレッド部の展開図である。
図2】クラウン陸部の拡大図である。
図3】外側ミドル陸部の拡大図である。
図4】内側ミドル陸部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用や重荷重用の空気入りタイヤ、及び、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤ等の様々なタイヤに用いることができる。本実施形態のタイヤ1は、例えば、断面幅の呼びが205mm以上の乗用車用の空気入りタイヤとして好適に用いられる。
【0018】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、車両への装着の向きが指定されたトレッド部2を有している。トレッド部2は、車両装着時において、タイヤ1の車両外側に位置する外側トレッド端Toと、車両内側に位置する内側トレッド端Tiとを有している。車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。
【0019】
各トレッド端To、Tiは、空気入りタイヤの場合、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置である。ここで、「正規状態」とは、タイヤ1が正規リムにリム組みされかつ正規内圧に調整された無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤ1の各部の寸法等は、この正規状態で測定された値である。
【0020】
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0021】
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0022】
「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。
【0023】
本実施形態のトレッド部2は、タイヤ周方向に延びる複数の主溝3と、複数の主溝3により区分される複数の陸部4とを有している。複数の主溝3は、それぞれ、トレッド幅TWの2%以上の溝幅W1~W4を有している。ここで、トレッド幅TWは、正規状態での外側トレッド端Toから内側トレッド端Tiまでのタイヤ軸方向の距離である。
【0024】
本実施形態の複数の主溝3は、外側クラウン主溝5と、車両装着時において、外側クラウン主溝5よりも車両内側に位置する内側クラウン主溝6とを含んでいる。外側クラウン主溝5は、例えば、タイヤ赤道Cと外側トレッド端Toとの間を、タイヤ周方向に連続して直線状に延びている。内側クラウン主溝6は、例えば、タイヤ赤道Cと内側トレッド端Tiとの間を、タイヤ周方向に連続して直線状に延びている。
【0025】
外側クラウン主溝5の溝幅W1は、内側クラウン主溝6の溝幅W2よりも大きいのが望ましい。このような複数の主溝3は、タイヤ赤道C周辺の領域で優れた排水性を発揮でき、タイヤ1の優れたウェット性能が得られる。
【0026】
本実施形態の複数の主溝3は、車両装着時において、外側クラウン主溝5よりも車両外側に位置する外側ショルダー主溝7と、内側クラウン主溝6よりも車両内側に位置する内側ショルダー主溝8とを含んでいる。外側ショルダー主溝7は、例えば、外側クラウン主溝5と外側トレッド端Toとの間を、タイヤ周方向に連続して直線状に延びている。内側ショルダー主溝8は、例えば、内側クラウン主溝6と内側トレッド端Tiとの間を、タイヤ周方向に連続して直線状に延びている。
【0027】
外側ショルダー主溝7の溝幅W3は、内側ショルダー主溝8の溝幅W4よりも小さいのが望ましい。このような複数の主溝3は、タイヤ赤道Cと内側トレッド端Tiとの間の領域で優れた排水性を発揮でき、タイヤ1の優れたウェット性能が得られる。また、複数の主溝3は、タイヤ赤道Cと外側トレッド端Toとの間の領域の剛性が高められ、タイヤ1の優れた操縦安定性能が得られる。
【0028】
内側ショルダー主溝8の溝幅W4は、内側クラウン主溝6の溝幅W2よりも小さいのが望ましい。このため、複数の主溝3の溝幅W1~W4は、W1>W2>W4>W3の関係を有している。複数の主溝3の溝幅の合計(W1+W2+W3+W4)は、好ましくは、トレッド幅TWの22%~28%である。このような複数の主溝3は、タイヤ1のウェット性能と操縦安定性能とをバランスよく高めることができる。
【0029】
複数の陸部4は、例えば、外側クラウン主溝5と内側クラウン主溝6との間に区分されるクラウン陸部9を含んでいる。複数の陸部4は、また、外側クラウン主溝5と外側ショルダー主溝7との間に区分される外側ミドル陸部10と、内側クラウン主溝6と内側ショルダー主溝8との間に区分される内側ミドル陸部11とを含むのが望ましい。複数の陸部4は、さらに、外側ショルダー主溝7と外側トレッド端Toとの間に区分される外側ショルダー陸部12と、内側ショルダー主溝8と内側トレッド端Tiとの間に区分される内側ショルダー陸部13とを含んでいる。
【0030】
図2は、クラウン陸部9の拡大図である。図2に示されるように、本実施形態のクラウン陸部9には、一端14aが外側クラウン主溝5に連通する第1クラウンサイプ14と、一端15aが内側クラウン主溝6に連通する第2クラウンサイプ15とが設けられている。第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15は、それぞれ、好ましくは、幅が1.5mm未満の切れ込みである。
【0031】
第1クラウンサイプ14は、他端14bがクラウン陸部9内で終端するのが望ましい。また、第2クラウンサイプ15は、他端15bがクラウン陸部9内で終端するのが望ましい。本実施形態の第1クラウンサイプ14と第2クラウンサイプ15とは、タイヤ周方向に交互に設けられている。このような第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15は、クラウン陸部9の剛性を維持しつつ、排水性を向上させることができる。
【0032】
本実施形態の第1クラウンサイプ14は、タイヤ軸方向に対して、第2クラウンサイプ15と同じ方向に傾斜している。第1クラウンサイプ14は、第2クラウンサイプ15と傾斜角度が異なるのが望ましい。このような第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15を有するクラウン陸部9は、車両装着時において、車両内側の剛性を高め、車両外側の排水性を向上させることができる。このため、本実施形態のタイヤ1は、操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立することができる。
【0033】
第1クラウンサイプ14は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、15~30°の角度θ1で傾斜している。また、第2クラウンサイプ15は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、30~45°の角度θ2で傾斜している。第1クラウンサイプ14の角度θ1は、第2クラウンサイプ15の角度θ2よりも小さいのが望ましい。このような第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15は、タイヤ1のウェット性能をより向上させることができる。
【0034】
第1クラウンサイプ14は、好ましくは、クラウン陸部9の幅W5の25%~45%のタイヤ軸方向長さL1を有している。また、第2クラウンサイプ15は、好ましくは、クラウン陸部9の幅W5の20%~40%のタイヤ軸方向長さL2を有している。
【0035】
第2クラウンサイプ15のタイヤ軸方向長さL2は、第1クラウンサイプ14のタイヤ軸方向長さL1よりも小さいのが望ましい。このようなクラウン陸部9は、車両装着時において、車両内側に位置する第1クラウンサイプ14の方が大きいので、トルクをより大きく発生させることができ、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立させることができる。
【0036】
本実施形態の第1クラウンサイプ14は、深さが2mm未満の浅溝16の底部に設けられている。また、本実施形態の第2クラウンサイプ15は、深さが2mm未満の浅溝17の底部に設けられている。第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15は、このような態様に限定されるものではなく、クラウン陸部9の踏面から延びるものでもよい。第1クラウンサイプ14及び第2クラウンサイプ15は、それぞれ、好ましくは、クラウン陸部9の踏面から5~7mmの深さを有している。
【0037】
本実施形態の第2クラウンサイプ15の浅溝17は、内側クラウン主溝6に連通する一端17aに面取部を有している。これにより、第2クラウンサイプ15は、その一端15a側が適度に開口し易くなり、タイヤ1のウェット性能を向上させ得る。
【0038】
本実施形態のクラウン陸部9には、第1クラウンサイプ14の他端14bと第2クラウンサイプ15の他端15bとの間をつなぐ深さが2mm未満のクラウン浅溝18が設けられている。クラウン浅溝18は、タイヤ軸方向に対して、第1クラウンサイプ14と同じ方向に傾斜するのが望ましい。クラウン浅溝18は、例えば、第2クラウンサイプ15と同じ角度θ2で傾斜している。
【0039】
本実施形態のクラウン浅溝18は、第1クラウンサイプ14の浅溝16及び第2クラウンサイプ15の浅溝17に連続している。クラウン浅溝18は、第1クラウンサイプ14の浅溝16及び第2クラウンサイプ15の浅溝17と略同一の溝幅W6を有するのが望ましい。ここで、「略同一の溝幅」とは、溝幅が同一であるものと、±10%以内の寸法差を有するものとを含んでいる。
【0040】
クラウン浅溝18の溝幅W6は、好ましくは、2~5mmである。このようなクラウン浅溝18は、クラウン陸部9の剛性を維持しつつ、排水性を向上させるので、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく両立させ得る。
【0041】
本実施形態のクラウン陸部9には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない。このため、クラウン陸部9は、その剛性が高められ、タイヤ1の操縦安定性能を向上させることができる。
【0042】
図3は、外側ミドル陸部10の拡大図である。図3に示されるように、外側ミドル陸部10には、一端19aが外側クラウン主溝5に連通する第1外側ミドルサイプ19と、一端20aが外側ショルダー主溝7に連通する第2外側ミドルサイプ20とが設けられている。第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、それぞれ、好ましくは、幅が1.5mm未満の切れ込みである。
【0043】
第1外側ミドルサイプ19は、他端19bが外側ミドル陸部10内で終端するのが望ましい。また、第2外側ミドルサイプ20は、他端20bが外側ミドル陸部10内で終端するのが望ましい。本実施形態の第1外側ミドルサイプ19と第2外側ミドルサイプ20とは、タイヤ周方向に交互に配されている。第1外側ミドルサイプ19の他端19bは、例えば、第2外側ミドルサイプ20の他端20bよりも、タイヤ軸方向外側に位置していてもよい。このような第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、外側ミドル陸部10の剛性を維持しつつ、タイヤ1のウェット性能を向上させることができる。
【0044】
本実施形態の第1外側ミドルサイプ19は、タイヤ軸方向に対して、第1クラウンサイプ14と同じ方向に傾斜している。また、本実施形態の第2外側ミドルサイプ20は、タイヤ軸方向に対して、第1外側ミドルサイプ19と同じ方向に傾斜している。第2外側ミドルサイプ20は、第1外側ミドルサイプ19と略平行に配されるのが望ましい。ここで、「略平行」とは、平行であるものと、平行に対し±5°以内の角度で傾斜するものとを含んでいる。
【0045】
第1外側ミドルサイプ19は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、15~30°の角度θ3を有している。また、第2外側ミドルサイプ20は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、15~30°の角度θ4を有している。このような第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、ウェット路面走行時、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランスよく摩擦力を提供し、タイヤ1のウェット性能を向上させることができる。
【0046】
本実施形態の第1外側ミドルサイプ19と第2外側ミドルサイプ20とは、異なるタイヤ軸方向長さL3、L4を有している。第2外側ミドルサイプ20のタイヤ軸方向長さL4は、第1外側ミドルサイプ19のタイヤ軸方向長さL3よりも小さいのが望ましい。このような外側ミドル陸部10は、車両装着時において、車両内側に位置する第1外側ミドルサイプ19の方が大きいので、トルクをより大きく発生させることができ、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立させることができる。
【0047】
第1外側ミドルサイプ19のタイヤ軸方向長さL3は、好ましくは、外側ミドル陸部10の幅W7の65%~80%である。このような第1外側ミドルサイプ19は、外側クラウン主溝5とともに、タイヤ1の優れたウェット性能を発揮するのに役立つ。
【0048】
第2外側ミドルサイプ20のタイヤ軸方向長さL4は、好ましくは、外側ミドル陸部10の幅W7の20%~35%である。このような第2外側ミドルサイプ20は、外側ミドル陸部10の剛性を維持し、タイヤ1の優れた操縦安定性能を発揮するのに役立つ。
【0049】
本実施形態の第1外側ミドルサイプ19は、深さが2mm未満の浅溝21の底部に設けられている。また、本実施形態の第2外側ミドルサイプ20は、深さが2mm未満の浅溝22の底部に設けられている。第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、このような態様に限定されるものではなく、外側ミドル陸部10の踏面から延びるものでもよい。第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、それぞれ、好ましくは、外側ミドル陸部10の踏面から5~7mmの深さを有している。
【0050】
本実施形態の第1外側ミドルサイプ19の浅溝21は、溝幅W8が大きい第1浅溝部21Aと、溝幅W9が小さい第2浅溝部21Bとを有している。第2浅溝部21Bの溝幅W9は、好ましくは、第1浅溝部21Aの溝幅W8の60%~80%である。これにより、第1外側ミドルサイプ19は、その一端19a側が適度に開口し易くなり、タイヤ1のウェット性能を向上させ得る。
【0051】
第2外側ミドルサイプ20の浅溝22は、第2浅溝部21Bの溝幅W9と略同一の溝幅W10を有するのが望ましい。第2外側ミドルサイプ20の浅溝22の溝幅W10は、好ましくは、2~5mmである。このような第2外側ミドルサイプ20の浅溝22は、外側ミドル陸部10の剛性を維持しつつ、排水性を向上させるので、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく両立させ得る。
【0052】
第1外側ミドルサイプ19は、第1クラウンサイプ14と外側クラウン主溝5を介して滑らかに連続するのが望ましい。ここで、「滑らかに連続する」とは、一方のサイプをその長さ方向に沿って仮想延長したとき、他方のサイプをその長さ方向に沿って仮想延長ものと、少なくとも主溝内で交差する態様を含むものとする。このような第1外側ミドルサイプ19と第1クラウンサイプ14とを有するタイヤ1は、接地時の排水がよりスムーズになり、トレッド部2の剛性が連続的に分布されるので、操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく両立させることができる。
【0053】
本実施形態の外側ミドル陸部10には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない。このため、外側ミドル陸部10は、その剛性が高められ、タイヤ1の操縦安定性能を向上させることができる。
【0054】
図4は、内側ミドル陸部11の拡大図である。図4に示されるように、内側ミドル陸部11には、一端23aが内側クラウン主溝6に連通する第1内側ミドルサイプ23と、一端24aが内側ショルダー主溝8に連通する第2内側ミドルサイプ24とが設けられている。第1内側ミドルサイプ23及び第2内側ミドルサイプ24は、それぞれ、好ましくは、幅が1.5mm未満の切れ込みである。
【0055】
第1内側ミドルサイプ23は、他端23bが外側ミドル陸部10内で終端するのが望ましい。また、第2内側ミドルサイプ24は、他端24bが外側ミドル陸部10内で終端するのが望ましい。本実施形態の第1内側ミドルサイプ23と第2内側ミドルサイプ24とは、タイヤ周方向に交互に配されている。このような第1内側ミドルサイプ23及び第2内側ミドルサイプ24は、内側ミドル陸部11の剛性を維持しつつ、タイヤ1のウェット性能を向上させることができる。
【0056】
本実施形態の第1内側ミドルサイプ23は、タイヤ軸方向に対して、第2クラウンサイプ15と同じ方向に傾斜している。また、本実施形態の第2内側ミドルサイプ24は、タイヤ軸方向に対して、第1内側ミドルサイプ23と同じ方向に傾斜している。第2内側ミドルサイプ24は、第1内側ミドルサイプ23と略平行に配されるのが望ましい。
【0057】
第1内側ミドルサイプ23は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、15~25°の角度θ5を有している。また、第2内側ミドルサイプ24は、タイヤ軸方向に対して、好ましくは、15~25°の角度θ6を有している。このような第1外側ミドルサイプ19及び第2外側ミドルサイプ20は、ウェット路面走行時、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランスよく摩擦力を提供し、タイヤ1のウェット性能を向上させることができる。
【0058】
本実施形態の第1内側ミドルサイプ23と第2内側ミドルサイプ24とは、異なるタイヤ軸方向長さL5、L6を有している。第2内側ミドルサイプ24のタイヤ軸方向長さL6は、第1内側ミドルサイプ23のタイヤ軸方向長さL5よりも大きいのが望ましい。このような内側ミドル陸部11は、車両装着時において、車両内側に位置する第2内側ミドルサイプ24の方が大きいので、トルクをより大きく発生させることができ、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とを高次元で両立させることができる。
【0059】
第1内側ミドルサイプ23のタイヤ軸方向長さL5は、好ましくは、内側ミドル陸部11の幅W11の20%~35%である。このような第1内側ミドルサイプ23は、内側ミドル陸部11の剛性を維持し、タイヤ1の優れた操縦安定性能を発揮するのに役立つ。
【0060】
第2内側ミドルサイプ24のタイヤ軸方向長さL6は、好ましくは、内側ミドル陸部11の幅W11の40%~55%である。このような第2内側ミドルサイプ24は、内側ミドル陸部11の剛性分布を適正にし、タイヤ1の摩耗の進行を均一にすることができる。
【0061】
本実施形態の第1内側ミドルサイプ23は、深さが2mm未満の浅溝25の底部に設けられている。また、本実施形態の第2内側ミドルサイプ24は、深さが2mm未満の浅溝26の底部に設けられている。第1内側ミドルサイプ23及び第2内側ミドルサイプ24は、このような態様に限定されるものではなく、内側ミドル陸部11の踏面から延びるものでもよい。第1内側ミドルサイプ23及び第2内側ミドルサイプ24は、それぞれ、好ましくは、内側ミドル陸部11の踏面から5~7mmの深さを有している。
【0062】
本実施形態の内側ミドル陸部11には、第1内側ミドルサイプ23の他端23bと第2内側ミドルサイプ24の他端24bとの間をつなぐ深さが2mm未満のミドル浅溝27が設けられている。ミドル浅溝27は、タイヤ軸方向に対して、第1内側ミドルサイプ23と異なる方向に傾斜するのが望ましい。ミドル浅溝27は、好ましくは、タイヤ軸方向に対して、60~80°の角度θ7を有している。このようなミドル浅溝27は、そのエッジによってタイヤ軸方向に大きな摩擦力を提供し、タイヤ1のウェット路面走行時の旋回性能を高めることができる。
【0063】
本実施形態のミドル浅溝27は、第1内側ミドルサイプ23の浅溝25及び第2内側ミドルサイプ24の浅溝26に連続している。ミドル浅溝27は、第1内側ミドルサイプ23の浅溝25及び第2内側ミドルサイプ24の浅溝26と略同一の溝幅W12を有するのが望ましい。
【0064】
ミドル浅溝27の溝幅W12は、好ましくは、2~5mmである。このようなミドル浅溝27は、内側ミドル陸部11の剛性を維持しつつ、排水性を向上させるので、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく両立させ得る。
【0065】
第1内側ミドルサイプ23は、第2クラウンサイプ15と内側クラウン主溝6を介して滑らかに連続するのが望ましい。このような第1内側ミドルサイプ23と第2クラウンサイプ15とを有するタイヤ1は、接地時の排水がよりスムーズになり、トレッド部2の剛性が連続的に分布されるので、操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく両立させることができる。
【0066】
本実施形態の内側ミドル陸部11には、幅が3mm以上かつ深さが2mm以上の溝が設けられていない。このため、内側ミドル陸部11は、その剛性が高められ、タイヤ1の操縦安定性能を向上させることができる。
【0067】
図1に示されるように、外側ショルダー陸部12には、例えば、複数の外側ショルダー横溝28と複数の外側ショルダーサイプ29とが設けられている。本実施形態の外側ショルダー横溝28と外側ショルダーサイプ29とは、タイヤ周方向に交互に設けられている。
【0068】
外側ショルダー横溝28は、例えば、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側に延び、外側ショルダー主溝7に連通している。このため、本実施形態の外側ショルダー横溝28は、外側ショルダー陸部12を完全に横切っている。
【0069】
外側ショルダー横溝28は、タイヤ軸方向に対する角度θ8が、タイヤ軸方向内側に向かって漸増するように滑らかに湾曲して延びているのが望ましい。外側ショルダー横溝28の角度θ8は、好ましくは、5~20°の範囲である。このような外側ショルダー横溝28は、ウェット路面走行時、溝内の水を滑らかに外側トレッド端To側に案内でき、タイヤ1のウェット性能をより向上させることができる。
【0070】
外側ショルダー横溝28は、例えば、第2外側ミドルサイプ20と外側ショルダー主溝7を介して滑らかに連続するように延びている。このような外側ショルダー横溝28は、第2外側ミドルサイプ20と協働して、タイヤ1のウェット性能を向上させることができる。
【0071】
外側ショルダーサイプ29は、例えば、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側に延び、外側ショルダー主溝7に連通している。このため、本実施形態の外側ショルダーサイプ29は、外側ショルダー陸部12を完全に横切っている。
【0072】
外側ショルダーサイプ29は、タイヤ軸方向に対する角度θ9が、タイヤ軸方向内側に向かって漸増するように滑らかに湾曲して延びているのが望ましい。外側ショルダーサイプ29の角度θ9は、好ましくは、5~20°の範囲である。本実施形態の外側ショルダーサイプ29は、外側ショルダー横溝28に沿って延びている。このような外側ショルダーサイプ29は、外側ショルダー陸部12の接地面の歪みを抑制し、その偏摩耗を抑制することができる。
【0073】
内側ショルダー陸部13には、例えば、複数の内側ショルダー横溝30と複数の内側ショルダーサイプ31とが設けられている。本実施形態の内側ショルダー横溝30と内側ショルダーサイプ31とは、タイヤ周方向に交互に設けられている。
【0074】
内側ショルダー横溝30は、例えば、内側トレッド端Tiからタイヤ軸方向内側に延び、内側ショルダー陸部13内で終端している。本実施形態の内側ショルダー横溝30は、内側ショルダー陸部13のタイヤ軸方向の幅W13の75%~85%のタイヤ軸方向長さL7を有している。このような内側ショルダー横溝30は、タイヤ1の操縦安定性能とウェット性能とをバランスよく向上させることができる。
【0075】
本実施形態では、内側ショルダー横溝30と内側ショルダー主溝8との間の領域には、サイプ等の切れ込みが設けられていない。これにより、内側ショルダー陸部13のタイヤ軸方向内側の剛性が確実に高められる。
【0076】
内側ショルダー横溝30は、例えば、タイヤ軸方向に対する角度が異なる第1溝部30A及び第2溝部30Bを含んでいる。第1溝部30Aは、例えば、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度で延びている。第2溝部30Bは、例えば、第1溝部30Aとの間で折れ曲がって延びている。第2溝部30Bのタイヤ軸方向に対する角度θ10は、好ましくは、10~20°である。第1溝部30A及び第2溝部30Bは、それぞれの溝中心線が直線状に延びるのが望ましい。このような内側ショルダー横溝30は、溝内の水を内側トレッド端Ti側に向かって案内することができ、タイヤ1のウェット性能を向上させ得る。
【0077】
第1溝部30Aのタイヤ軸方向長さL8は、好ましくは、内側ショルダー陸部13の幅W13の40%~60%である。このような内側ショルダー横溝30は、内側ショルダー陸部13の偏摩耗を抑制することができ、タイヤ1のウェット性能を長期間維持することができる。
【0078】
第2溝部30Bは、タイヤ軸方向に対して傾斜して直線状に延びる一対の溝縁を有するのが望ましい。この一対の溝縁間の溝幅は、例えば、タイヤ軸方向内側に向かって漸減している。このような第2溝部30Bは、内側ショルダー横溝30の内端部での偏摩耗を抑制することができる。
【0079】
内側ショルダーサイプ31は、例えば、外側トレッド端Toからタイヤ軸方向内側に延び、内側ショルダー主溝8に連通している。このため、本実施形態の外側ショルダーサイプ29は、内側ショルダー陸部13を完全に横切っている。
【0080】
内側ショルダーサイプ31は、例えば、内側ショルダー主溝8を介して第2内側ミドルサイプ24と滑らかに連続するように延びている。これにより、内側ショルダーサイプ31は、より開口し易くなり、ウェット路面走行時、高い摩擦力を発揮することができる。
【0081】
内側ショルダーサイプ31は、例えば、タイヤ軸方向に対する角度が異なる第1サイプ部31A及び第2サイプ部31Bを含んでいる。第1サイプ部31Aは、例えば、タイヤ軸方向に対して5°以下の角度で延びている。第2サイプ部31Bは、例えば、第1サイプ部31Aとの間で折れ曲がって延びている。第2サイプ部31Bのタイヤ軸方向に対する角度θ11は、好ましくは、15~25°である。第1サイプ部31A及び第2サイプ部31Bは、それぞれ、直線状に延びるのが望ましい。
【0082】
本実施形態の第1サイプ部31Aのタイヤ軸方向長さL9は、好ましくは、内側ショルダー陸部13の幅W13の40%~50%である。このような内側ショルダーサイプ31は、内側ショルダー陸部13の中央部の接地面の歪みを抑制するのに役立つ。
【0083】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【実施例
【0084】
図1の基本パターンを有するタイヤが、表1の仕様に基づき試作された。各テストタイヤの操縦安定性能及びウェット性能がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下のとおりである。
【0085】
タイヤサイズ:205/55R16
リムサイズ:16×6.5JJ
空気圧:230kPa
テスト車両:前輪駆動車、排気量2000cc
タイヤ装着位置:全輪
【0086】
<操縦安定性能>
上記テスト車両でドライ路面を走行したときの操縦安定性能が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例1を100とする指数で表され、数値が大きいほど操縦安定性能が優れていることを示す。
【0087】
<ウェット性能>
上記テスト車両で、水深5mmかつ長さ20mの水たまりが設けられた半径100mのアスファルト路面を走行し、前輪の横加速度(横G)が計測され、速度50~80km/hの平均横Gが求められた。結果は、比較例1の値を100とする指数で表され、数値が大きいほどウェット性能が優れていることを示す。
【0088】
テストの結果が表1に示される。
【0089】
【表1】
【0090】
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例に対して、操縦安定性能とウェット性能とを高次元でバランスよく両立していることが確認できた。
【符号の説明】
【0091】
2 トレッド部
3 主溝
4 陸部
5 外側クラウン主溝
6 内側クラウン主溝
9 クラウン陸部
14 第1クラウンサイプ
14a 一端
14b 他端
15 第2クラウンサイプ
15a 一端
15b 他端
図1
図2
図3
図4