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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】補給型液体貯留タンク、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B41J2/175 171
B41J2/175 303
B41J2/175 301
B41J2/175 141
B41J2/175 169
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019066703
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163717
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中澤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】桑山 剛
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-264354(JP,A)
【文献】特開2006-044214(JP,A)
【文献】特開平08-011320(JP,A)
【文献】特開2003-089221(JP,A)
【文献】特開2003-312000(JP,A)
【文献】実開平06-067034(JP,U)
【文献】特開2019-025663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を補給可能な補給型液体貯留タンクであって、
内部に液体が補給されるタンク本体部と、
液体を吸収する吸収体により構成され、前記タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材と、
を備え、
前記タンク本体部には、前記背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるために前記タンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量の液面高さを示す機能下限指示部が設定されており、
前記背圧付与部材の下端は、前記機能下限指示部以下の高さに位置しており、
前記タンク本体部には、さらに、前記タンク本体部内の液体の残量を使用者が目視により確認するための目視下限指示部が設けられており、
前記機能下限指示部は、前記目視下限指示部よりも下側に位置していることを特徴とする補給型液体貯留タンク。
【請求項2】
前記タンク本体部内を、液体が貯留される液体貯留部と、前記背圧付与部材が収容される背圧付与部材収容部と、に隔離するとともに、前記液体貯留部の前記目視下限指示部よりも下方部と前記背圧付与部材収容部の前記目視下限指示部よりも下方部とを連通する隔離壁を備え、
前記機能下限指示部は、前記隔離壁の下端以上の高さに位置していることを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項3】
内部に液体を補給可能な補給型液体貯留タンクであって、
内部に液体が補給されるタンク本体部と、
液体を吸収する吸収体により構成され、前記タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材と、
を備え、
前記タンク本体部には、前記背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるために前記タンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量の液面高さを示す機能下限指示部が設定されており、
前記背圧付与部材の下端は、前記機能下限指示部以下の高さに位置しており、
前記タンク本体部には、さらに、前記タンク本体部内の液体の残量を液体の吐出量のカウント値に基づいて判定するための制御下限指示部が設けられており、
前記機能下限指示部は、前記制御下限指示部よりも下側に位置していることを特徴とする補給型液体貯留タンク。
【請求項4】
前記タンク本体部内の液体を流出する液体流出口を備え、
前記タンク本体部内の液体は、前記背圧付与部材を経由して前記液体流出口から流出することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項5】
前記液体流出口は、前記背圧付与部材に対向する面の少なくとも一部が前記背圧付与部材に接触していることを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項6】
前記液体流出口は、前記背圧付与部材に対向する面の全部が前記背圧付与部材に接触していることを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項7】
内部に液体を補給可能な補給型液体貯留タンクであって、
内部に液体が補給されるタンク本体部と、
液体を吸収する吸収体により構成され、前記タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材と、
を備え、
前記タンク本体部には、前記背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるために前記タンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量の液面高さを示す機能下限指示部が設定されており、
前記背圧付与部材の下端は、前記機能下限指示部以下の高さに位置しており、
前記タンク本体部内の液体を流出する液体流出口を備え、
前記タンク本体部内の液体は、前記背圧付与部材を経由して前記液体流出口から流出し、
前記液体流出口は、前記背圧付与部材に対向する面が前記背圧付与部材に接触しない非接触状態であることを特徴とする補給型液体貯留タンク。
【請求項8】
前記背圧付与部材とは別に補助吸収体を備えることを特徴とする請求項4から7の何れか1項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項9】
前記タンク本体部内の液体は、前記補助吸収体及び前記背圧付与部材のうち少なくとも何れか一方を経由して前記液体流出口から流出することを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項10】
前記液体流出口は、前記補助吸収体及び前記背圧付与部材のうち少なくとも何れか一方に対向する面の少なくとも一部が前記補助吸収体に接触していることを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項11】
前記液体流出口は、前記補助吸収体及び前記背圧付与部材のうち少なくとも何れか一方に対向する面の全部が前記補助吸収体に接触していることを特徴とする請求項に記載の補給型液体貯留タンク。
【請求項12】
内部に液体を補給可能な補給型液体貯留タンクであって、
内部に液体が補給されるタンク本体部と、
液体を吸収する吸収体により構成され、前記タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材と、
を備え、
前記タンク本体部には、前記背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるために前記タンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量の液面高さを示す機能下限指示部が設定されており、
前記背圧付与部材の下端は、前記機能下限指示部以下の高さに位置しており、
前記タンク本体部内の液体を流出する液体流出口を備え、
前記タンク本体部内の液体は、前記背圧付与部材を経由して前記液体流出口から流出し、
前記背圧付与部材とは別に補助吸収体を備え、
前記タンク本体部内の液体は、前記補助吸収体及び前記背圧付与部材のうち少なくとも何れか一方を経由して前記液体流出口から流出し、
前記液体流出口は、前記補助吸収体及び前記背圧付与部材のうち少なくとも何れか一方に対向する面が前記補助吸収体に接触しない非接触状態であることを特徴とする補給型液体貯留タンク。
【請求項13】
請求項1から12の何れか1項に記載の補給型液体貯留タンクを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を補給可能な補給型液体貯留タンク、及び、この補給型液体貯留タンクを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばインクなどの液体を貯留する液体貯留タンクを備え、この液体貯留タンクに貯留された液体を消費するインクジェット式プリンタが知られている。そして、液体貯留タンクとしては、内部に液体を適宜補給可能な補給型の液体貯留タンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-161851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インクジェット式プリンタにおいては、インクを吐出しない状態のノズルからインクが漏出しないように、液体貯留タンク内のインクに背圧つまり負圧を付与することで、ノズル先端部のインクにメニスカスを形成しておくことが要求される。そして、液体貯留タンク内のインクに背圧を付与する手段として、インクを吸収する吸収体を設けた構成が知られている。
【0005】
しかしながら、背圧付与手段を吸収体で構成した場合、タンク内のインクの残量の減少により吸収体に十分な量のインクが供給されないようになると、十分な背圧をインクに付与することが困難となる。
【0006】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、背圧付与手段として吸収体を備える構成において、液体の残量が減少した場合であっても、内部の液体に十分な背圧を付与することができる補給型液体貯留タンク、及び、この補給型液体貯留タンクを備える画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る補給型液体貯留タンクは、内部に液体を補給可能な補給型液体貯留タンクであって、内部に液体が補給されるタンク本体部と、液体を吸収する吸収体により構成され、前記タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材と、を備え、前記タンク本体部には、前記背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるために前記タンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量の液面高さを示す機能下限指示部が設定されており、前記背圧付与部材の下端は、前記機能下限指示部以下の高さに位置していることを特徴とする。
【0008】
本開示に係る画像形成装置は、本開示に係る補給型液体貯留タンクを備えていることを特徴とする。
【0009】
本開示によれば、タンク本体部内の液体に背圧を付与する背圧付与部材の下端は、背圧付与部材による背圧付与機能を発揮させるためにタンク本体部内に貯留しておくことが必要な液体の最少量を示す機能下限指示部以下の高さに位置している。この構成によれば、仮に、タンク本体部内に貯留されている液体の液面高さが機能下限指示部まで減少したとしても、背圧付与部材の下端が液体に浸漬した状態を維持することができ、背圧付与部材は、液体を吸収することができる。よって、背圧付与手段として吸収体を備える構成において、液体の残量が減少した場合であっても、タンク本体部の内部の液体に十分な背圧を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る補給型液体貯留タンクの構成例を概略的に示す縦断面図
図2】本開示に係る画像形成装置の構成例を概略的に示す図
図3】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その1)
図4】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その2)
図5】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その3)
図6】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その4)
図7】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その5)
図8】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その6)
図9】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その7)
図10】本開示に係る補給型液体貯留タンクの変形例を概略的に示す図(その8)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1に例示するインク貯留タンク1は、使用姿勢における補給型液体貯留タンクの一例であり、その外郭を構成するタンク本体部2の内部に背圧付与部材3を備えている。タンク本体部2の内部は、隔離壁4によって、インク貯留部5と背圧付与部材収容部6とに隔離されている。インク貯留部5は、液体貯留部の一例であり、内部にインクを貯留可能な空間を形成している。背圧付与部材収容部6は、内部に背圧付与部材3を収容している。背圧付与部材収容部6の上下方向の長さは、インク貯留部5の上下方向の長さよりも長くなっている。これにより、タンク本体部2の上壁部2aは、高壁部2a1及び当該高壁部2a1よりも低い低壁部2a2を有する段状の壁部となっている。
【0012】
隔離壁4は、インク貯留部5と背圧付与部材収容部6との境界部において、上方から下方に直線状に延びるように設けられている。隔離壁4の下端は、タンク本体部2の下壁部2bまで到達しておらず、これにより、隙間4aを形成している。タンク本体部2の内部において、インク貯留部5のうち後述する目視下限指示部ML2を示す凸部2Lよりも下方部と背圧付与部材収容部6のうち後述する目視下限指示部ML2を示す凸部2Lよりも下方部とは、隔離壁4が形成している隙間4aを介して相互に連通している。隔離壁4は、インクなどの液体を透過不能な壁部として構成されている。
【0013】
また、インク貯留タンク1は、補助吸収体7を備えている。補助吸収体7は、隔壁部4が形成する隙間4aを通してインク貯留部5及び背圧付与部材収容部6の双方に行き渡るようにして配置されている。補助吸収体7は、例えば、スポンジ、海綿体、毛管の束などのインクを吸収可能な手段により構成されており、インク貯留部5内から背圧付与部材収容部6内へのインクの移動を促進する機能を発揮する。
【0014】
また、インク貯留タンク1は、インク注入口8を備えている。これにより、インク貯留タンク1は、インク注入口8を介して、タンク本体部2の内部に液体の一例であるインクを適宜補給可能となっている。即ち、インク貯留タンク1は、外部から内部にインクを補給可能な補給型のインク貯留タンクとして構成されている。インク注入口8は、液体注入口の一例である。
【0015】
インク注入口8は、タンク本体部2の上壁部2aに備えられている。この場合、インク注入口8は、タンク本体部2の上壁部2aのうちインク貯留部5の上壁部を構成する低壁部2a2に備えられている。また、インク注入口8は、タンク本体部2の上壁部2a、この場合、低壁部2a2を上下方向に貫通しており、その下端がタンク本体部2の上壁部2aから下方、つまり、タンク本体部2内、より具体的には、インク貯留部5内に突出した筒形状を備えている。また、インク注入口8は、その上端がタンク本体部2の上壁部2aから上方に突出した構成となっている。また、インク貯留タンク1は、インク注入口8を密閉可能なキャップ8aを着脱可能に備えている。
【0016】
また、インク貯留タンク1は、大気連通口9を備えている。この場合、大気連通口9は、インク注入口8と同様に、タンク本体部2の上壁部2aのうち低壁部2a2に備えられている。大気連通口9は、タンク本体部2の内外において大気を流通させるための開口である。
【0017】
また、インク貯留タンク1には、機能下限指示部ML1が設定されている。機能下限指示部ML1は、背圧付与部材3による背圧付与機能を維持するためにタンク本体部2内に貯留しておくことが必要なインクの最小許容量の液面高さに相当する高さに設定されているラインである。また、機能下限指示部ML1は、少なくとも、タンク本体部2の上下方向の中央部よりも低い位置に設定されている。また、機能下限指示部ML1は、少なくとも、タンク本体部2の下壁部2bよりも高い位置に設定されている。
【0018】
また、インク貯留タンク1は、タンク本体部2内のインクを外部に流出するためのインク流出口10を備えている。これにより、インク貯留タンク1は、インク流出口10を介して、記録ヘッド11にインクを供給可能となっている。インク流出口10は、タンク本体部2の下壁部2bに設けられている。この場合、インク流出口10は、タンク本体部2の下壁部2bのうち背圧付与部材収容部6の下壁部を構成する部分に備えられている。なお、記録ヘッド11には、例えばシートなどの画像形成対象物にインクを吐出する複数のノズルが備えられている。記録ヘッド11は、タンク本体部2内から供給されるインクを用いて画像形成対象物に画像を形成する。
【0019】
次に、上述した背圧付与部材3の構成例について具体的に説明する。背圧付与部材3は、液体、この場合、インクを吸収可能な吸収体により構成されている。背圧付与部材3を構成する吸収体としては、例えば、スポンジ、海綿体、毛管の束などのインクを吸収可能なものであれば適宜の手段を採用することができる。背圧付与部材3は、タンク本体部2の内部に補給されたインク、この場合、インク注入口8を介してインク貯留部5の内部に補給されたインクを、隙間4aを通して吸収する。即ち、背圧付与部材3は、その下部からインクを吸収し、その吸収されたインクは、背圧付与部材3に対し下側から上側に向かって浸透するようになっている。
【0020】
そして、この背圧付与部材3の少なくとも一部、この場合、下端は、上述した機能下限指示部ML1以下の高さに位置している。さらに、背圧付与部材3の下端は、目視下限指示部ML2以下の高さに位置している。目視下限指示部ML2は、タンク本体部2内のインクの液面高さを使用者が目視により確認するためのラインである。この場合、タンク本体部2の側壁部2cにおいて水平方向に直線状に延びる可視可能なライン、換言すれば、凸部2Lにより構成される物理的なライン構造が目視下限指示部ML2と同じ高さに設けられている。ユーザは、この物理的なライン構造の上下方向の高さが目視下限指示部ML2の高さであると視認することができる。なお、目視下限指示部ML2を示す物理的なライン構造は、側壁部2cから突出する凸部に限られず、例えば、側壁部2cにおいて窪む凹部であってもよいし、側壁部2cに直接印刷されたラベルや側壁部2cに貼付されたシールなどであってもよい。更に、ライン構造は、複数の凸型ドットや凹型ドットなど、タンク本体部2内に所定量貯留されているインクの液面高さに相当する高さを示すことができる構造であれば、どのような構造であってもよい。また、目視下限指示部ML2は、機能下限指示部ML1よりも高い位置に設定されている。つまり、機能下限指示部ML1は、目視下限指示部ML2よりも下側に位置している。
【0021】
さらに、背圧付与部材3の下端は、制御下限指示部ML3以下の高さに位置している。制御下限指示部ML3は、タンク本体部2内の液体の残量をコンピュータが確認するためのラインである。この場合、制御下限指示部ML3は、タンク本体部2の側壁部2cにおいて水平方向に直線状に延びるラインとして設定されている。また、制御下限指示部ML3は、機能下限指示部ML1よりも高い位置であって、且つ、目視下限指示部ML2よりも低い位置に設定されている。つまり、制御下限指示部ML3は、機能下限指示部ML1と目視下限指示部ML2との間に位置している。また、機能下限指示部ML1は、制御下限指示部ML3よりも下側に位置している。
【0022】
なお、制御下限指示部ML3は、目視下限指示部ML2よりも高い位置に設定してもよい。また、この制御下限指示部ML3を参照するコンピュータとしては、例えば、後述する画像形成装置100の動作全般を制御する図示しない制御装置などが考えられる。制御装置は、マイクロコンピュータを主体として構成されるものであり、例えば、記録ヘッド11のノズルから吐出したインクの吐出量をカウントし、このカウント値に基づいて、タンク本体部2内のインクの残量が制御下限指示部ML3まで減少したか否かを判定する。
【0023】
また、インク貯留タンク1は、タンク本体部2の内部において、背圧付与部材3とインク注入口8との間にインク貯留部5及び隔離壁4が介在した構成となっている。そのため、インク注入口8は、背圧付与部材3に直接的に接触しない非接触状態となるように備えられている。
【0024】
図2に例示するように、本開示に係るインク貯留タンク1は、例えばインクジェット式プリンタなどの画像形成装置100に備えられる。この場合、画像形成装置100は、画像形成対象物に対する画像形成時に往復移動するキャリッジ101にインク貯留タンク1を備えるオンキャリッジ型の装置として構成されている。なお、画像形成装置100は、キャリッジ以外の部分にインク貯留タンク1を備えるオフキャリッジ型の装置であってもよい。また、画像形成装置100は、往復移動しないライン状の画像形成部を備える装置であってもよい。また、画像形成装置100は、インク貯留タンク1を着脱可能に備える装置であってもよいし、着脱不能に備える装置であってもよい。また、画像形成装置100は、インクによって画像を形成する装置に限られず、インク以外の液体によって画像を形成する装置であってもよい。
【0025】
以上に説明したインク貯留タンク1によれば、タンク本体部2内のインクに背圧を付与する背圧付与部材3の下端は、機能下限指示部ML1以下の高さに位置している。この構成によれば、仮に、タンク本体部2内のインクの残量が機能下限指示部ML1まで減少したとしても、背圧付与部材3の下端がインクに浸漬した状態を維持することができ、従って、背圧付与部材3は、インクを吸収することができる。よって、背圧付与手段として吸収体からなる背圧付与部材3を備える構成において、インクの残量が減少した場合であっても、タンク本体部2の内部のインクに十分な背圧を付与することができる。
【0026】
また、インク貯留タンク1によれば、機能下限指示部ML1は、目視下限指示部ML2よりも下側に位置している。この構成によれば、タンク本体部2内のインクの残量が機能下限指示部ML1まで減少する前に、使用者に、タンク本体部2内のインクの残量が少なくなっていること気付かせやすくすることができる。これにより、タンク本体部2内へのインクの補給を早期に促すことができ、インクに十分な背圧が付与されない状態が発生してしまうことを抑制することができる。なお、タンク本体部2のうち少なくとも目視下限指示部ML2が形成されている部分およびその周辺部分は、内部のインクの水面を確認できるよう、例えば透明あるいは半透明の窓部を設けるようにするとよい。また、タンク本体部2全体を透明あるいは半透明の部材により設けてもよい。
【0027】
また、インク貯留タンク1によれば、機能下限指示部ML1は、制御下限指示部ML3よりも下側に位置している。この構成によれば、タンク本体部2内のインクの残量が機能下限指示部ML1まで減少する前に、例えば画像形成装置100の制御装置によって、タンク本体部2内のインクの残量が少なくなっていることを報知することができる。これにより、タンク本体部2内へのインクの補給を早期に促すことができ、インクに十分な背圧が付与されない状態が発生してしまうことを抑制することができる。
【0028】
また、インク貯留タンク1によれば、機能下限指示部ML1は、インク流出口10の上端よりも上側に位置し、かつ、背圧付与部材3及び補助吸収体7のうち少なくとも何れか一方の下端より上側に位置している。よって、インク貯留タンク1によれば、仮に、タンク本体部2内のインクの残量が機能下限指示部ML1まで減少したとしても、タンク本体部2内のインクは、背圧付与部材3及び補助吸収体7を必ず経由してインク流出口10から流出する構成となっている。なお、仮に機能下限指示部ML1がインク流出口10の上端よりも下側に位置する場合には、インク流出口10に直接空気が流入する可能性があり、この場合、図示しない記録ヘッドのノズルからインクを吐出できなくなる現象、いわゆる吐出不良が発生する可能性がある。そのため、本実施形態に係るインク貯留タンク1によれば、このような吐出不良の発生を抑制することができる。
【0029】
なお、本開示は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形、拡張が可能である。
【0030】
即ち、図3に例示するように、機能下限指示部ML1は、隔離壁4の下端以上の高さに位置する構成としてもよい。この構成によれば、仮に、タンク本体部2内のインクの残量が機能下限指示部ML1まで減少したとしても、インク貯留部5内から背圧付与部材収容部6内へのインクの流路となる隙間4aをインクで満たすことができ、インク貯留部5内から背圧付与部材収容部6内の背圧付与部材3に空気が流れてしまうことを回避することができる。
【0031】
また、図4に例示するように、インク流出口10は、補助吸収体7に対向する面の少なくとも一部が当該補助吸収体7に接触する構成としてもよい。また、図5または図6に例示するように、インク流出口10は、補助吸収体7に対向する面の全部が当該補助吸収体7に接触する構成としてもよい。即ち、インク貯留タンク1は、少なくとも、タンク本体部2内のインクが補助吸収体7を必ず経由してインク流出口10から流出する構成であれば、細部の構成を適宜変更することが可能である。なお、インク流出口10は、補助吸収体7及び背圧付与部材3のうち少なくとも何れか一方に対向する面の少なくとも一部が補助吸収体7に接触している構成としてもよい。また、インク流出口10は、補助吸収体7及び背圧付与部材3のうち少なくとも何れか一方に対向する面の全部が補助吸収体7に接触している構成としてもよい。即ち、インク貯留タンク1は、少なくとも、タンク本体部2内のインクが補助吸収体7及び背圧付与部材3のうち少なくとも何れか一方を必ず経由してインク流出口10から流出する構成であればよい。
【0032】
また、図7または図8に例示するように、タンク本体部2内のインクが補助吸収体7を必ず経由してインク流出口10から流出する構成である限り、インク流出口10は、補助吸収体7に対向する面が当該補助吸収体7に接触しない非接触状態となる構成であってもよい。
【0033】
即ち、図7に例示する構成例では、インク流出口10の上流側にタンク本体部2内に突出するリブ10aが設けられており、補助吸収体7は、リブ10a上に接触した状態で備えられている。この構成においては、リブ10aと補助吸収体7とによって囲まれる閉空間S1が形成される。この構成によっても、タンク本体部2内のインクは、補助吸収体7を必ず経由してインク流出口10から流出する。そのため、本開示に係る技術思想に含めることができる。
【0034】
また、図8に例示する構成例では、インク流出口10の上流側にタンク本体部2内に突出するリブ10aが設けられており、補助吸収体7は、リブ10aから離間した状態で備えられているが、タンク本体部2の内面に接触した状態で備えられている。この構成においては、タンク本体部2の内面と補助吸収体7とによって囲まれる閉空間S2が形成される。この構成によっても、タンク本体部2内のインクは、補助吸収体7を必ず経由してインク流出口10から流出する。そのため、本開示に係る技術思想に含めることができる。なお、インク流出口10は、補助吸収体7及び背圧付与部材3のうち少なくとも何れか一方に対向する面が補助吸収体7に接触しない非接触状態である構成であればよい。
【0035】
また、図9に例示するように、大気連通口9は、タンク本体部2の上壁部2aのうち高壁部2a1及び低壁部2a2の両方に設けてもよいし、何れか一方に設けてもよい。
【0036】
また、図10に例示するように、インク貯留タンク1は、隔離壁4を備えない構成としてもよい。この場合、背圧付与部材3は、上述の一実施形態においてインク貯留部5を形成していた部分にも設けるようにしてもよい。この場合、背圧付与部材3の上部は、高部3a1及び当該高部3a1よりも低い低部3a2を有する段状となる。そして、この構成においても、機能下限指示部ML1は、少なくとも、背圧付与部材3の下端以上の高さに位置させるとよい。なお、この場合も、インク注入口8は、背圧付与部材3に接触しない非接触状態となるように備えるとよい。また、この場合、インク貯留タンク1は、補助吸収体7も備えない構成とすることができる。また、この場合、大気連通口9は、タンク本体部2の上壁部2aのうち背圧付与部材収容部6を構成する高壁部2a1に設けてもよい。
【0037】
なお、インク貯留タンク1は、隔離壁4を備える構成においては、大気連通口9を高壁部2a1ではなく低壁部2a2に設けることが好ましい。また、インク貯留タンク1は、隔離壁4を備えない構成においては、大気連通口9を低壁部2a2ではなく高壁部2a1に設けることが好ましい。なお、大気連通口9について最も好ましい配置位置は、インク貯留タンク1が隔離壁4を備える構成において低壁部2a2に設ける構成である。
【0038】
また、背圧付与部材3は、複数の背圧付与ブロックからなる構成としてもよい。この場合、複数の背圧付与ブロックの液体の吸収性能を異ならせることで、背圧付与部材3全体としての液体の吸収性能、ひいては、背圧付与性能を容易に調整することができる。また、この場合、下側に配置される背圧付与ブロックほど液体の吸収性能を高くし、上側に配置される背圧付与ブロックほど液体の吸収性能を低くするとよい。これにより、背圧付与部材3の上部において、液体が吸収されにくい部位を形成しやすくすることができ、背圧付与部材3全体に液体が浸透してしまうこと、換言すれば、背圧付与部材3の背圧付与機能が低下あるいは消滅してしまうことを回避することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:インク貯留タンク(補給型液体貯留タンク)、2:タンク本体部、3:背圧付与部材、4:隔離壁、5:インク貯留部(液体貯留部)、6:背圧付与部材収容部、7:補助吸収体、10:インク流出口(液体流出口)、100:画像形成装置、ML1:機能下限指示部、ML2:目視下限指示部、ML3:制御下限指示部
図1
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図7
図8
図9
図10