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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 7/00 20060101AFI20230905BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20230905BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230905BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20230905BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20230905BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230905BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C08L7/00
B60C1/00 C
B60C1/00 B
C08K3/04
C08K3/013
C08L21/00
C08K3/36
C08L9/00
B60C1/00 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019100356
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020193292
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】端場 俊文
(72)【発明者】
【氏名】田中 健宏
(72)【発明者】
【氏名】坂口 祐美
(72)【発明者】
【氏名】井之上 ゆき乃
(72)【発明者】
【氏名】伏原 和久
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038001(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/077716(WO,A1)
【文献】WHALEY, W. G. and BOWEN, J. S.,RussianDandelion (Kok- Saghyz): an Emergency Source of Natural Rubber,米国,U.S. Department of Agriculture,1947年,pp.138-141、p.145、Figure 35,https://handle.nal.usda.gov/10113/CAT87206585
【文献】Continental Opens “Taraxagum Lab Anklam” Research and Test Laboratory for Dandelion Rubber,[online],2018年12月06日,第2ページ下から8行-最終行,[2023年3月13日検索]、インターネット <https://www.continental-tires.com/transport/media-services/newsroom/20181206-taraxagum>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤ。
【請求項2】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤ。
【請求項3】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤ。
【請求項4】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量が5質量%以上であるスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤ。
【請求項5】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量が5質量%以上であるスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤ。
【請求項6】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量が5質量%以上であるスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤ。
【請求項7】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤ。
【請求項8】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤ。
【請求項9】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤ。
【請求項10】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤ。
【請求項11】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤ。
【請求項12】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤ。
【請求項13】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤ。
【請求項14】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤ。
【請求項15】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤ。
【請求項16】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカと、有機酸コバルトとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が3~120質量部であるタイヤ。
【請求項17】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカと、有機酸コバルトとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が3~120質量部であるタイヤ。
【請求項18】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカと、有機酸コバルトとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が3~120質量部であるタイヤ。
【請求項19】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤ。
【請求項20】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤ。
【請求項21】
FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス含量が90質量%以上であるブタジエンゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤ。
【請求項22】
前記ゴム組成物が固体樹脂を含む請求項19~21のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギー、省資源の社会的要請により、タイヤの耐久性向上の要求が高いため、耐破壊特性、耐摩耗性、耐亀裂成長性に優れたゴム材料として天然ゴムが汎用されている。天然ゴムは、一般に、亜熱帯地域、例えば、インドネシア、タイ、マレーシア等で栽培されるヘベア(Hevea brasiliensis:ゴムノキ)を原料として製造されている。
【0003】
最近、世界的なタイヤ生産量は増加傾向にあり、それに伴い、天然ゴム使用量も増加傾向が続いているが、ゴムノキは、現在、亜熱帯地域でしか栽培されておらず、供給面や価格面で不安定であることは否めない。また、低燃費性能、耐摩耗性能、耐破壊性能等のタイヤ性能の要求も高まっており、汎用される天然ゴムにもこれらの性能の向上が要求されている
【0004】
例えば、天然ゴムのエポキシ変性、架橋剤添加による超高分子量成分の導入、シス含量を高めた合成ポリイソプレンの合成等、種々の検討がなされているが、更なる性能改善が望まれている(特許文献1参照)。また、製造コストも大きく、価格面のメリットも少ないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-205960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等のタイヤ性能に優れた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤに関する。
【0008】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤに関する。
【0009】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が30質量部以上である重荷重用タイヤに関する。
【0010】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤに関する。
【0011】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤに関する。
【0012】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるオールシーズンタイヤに関する。
【0013】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤに関する。
【0014】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤ。
【0015】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が0.1~10.0質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるサマータイヤに関する。
【0016】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤに関する。
【0017】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤに関する。
【0018】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ブタジエンゴムの含有量が20~64質量%であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が5質量部以上であるスタッドレスタイヤに関する。
【0019】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤに関する。
【0020】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤに関する。
【0021】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が10質量部以上であるタイヤに関する。
【0022】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有するタイヤに関する。
【0023】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有するタイヤに関する。
【0024】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有するタイヤに関する。
【0025】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤに関する。
【0026】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤに関する。
【0027】
本発明は、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有するタイヤに関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有し、前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量が1質量%以上であり、前記ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が1質量部以上である重荷重用タイヤ等であるので、優れた低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等のタイヤ性能を付与できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔重荷重用タイヤ〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)の重荷重用タイヤ(トラック、バス等の重荷重がかかるタイヤ)である。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとを所定配合で併用しているため、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。また、ロシアタンポポは温帯地域で生育する単年草であり、亜熱帯に比べ、耕作可能地がアジア/北米/欧州と広いため、天然ゴムの供給リスクを分散することも可能である。
【0030】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第1の重荷重用タイヤ。
【0031】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第2の重荷重用タイヤ。
【0032】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第3の重荷重用タイヤ。
【0033】
優れた低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、破壊特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が向上する。
【0034】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0035】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとを併用することで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0036】
第1~第3の重荷重用タイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、FFF-MALS(フィールドフローフラクショネーション装置(FFF)及び多角度光散乱検出器(MALS))によって測定される重量平均分子量Mwが500万以上である。下限以上にすることで、ゴムの機械的強度が高まり、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等が改善される傾向がある。好ましくは505万以上、より好ましくは507万以上である。上限は特に限定されず、Mwは大きい方が好適であるが、高粘度による加工性悪化の観点からは、2000万以下が好ましく、1000万以下がより好ましい。
【0037】
第1~第3の重荷重用タイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、FFF-MALS(フィールドフローフラクショネーション装置(FFF)及び多角度光散乱検出器(MALS))によって測定される重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn(Mw/Mn:分子量分布)が、好ましくは2.40以下、より好ましくは2.20以下、更に好ましくは2.00以下、特に好ましくは1.90以下である。上限以下にすることで、ゴムの機械的強度が高まり、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等が改善される傾向がある。下限は特に限定されず、Mw/Mnは小さい方が好適であるが、分子量分布の狭さによる加工性悪化の観点からは、1.00以上が好ましく、1.50以上がより好ましい。
【0038】
なお、第1~第3の重荷重用におけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等のタイヤ性能の点から、Molar Mass(g/mol)-Mass Distributionの関係等で示される分子量分布が単分散のゴムであることが好ましい。
【0039】
第1の重荷重用タイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、ポリマーの回転半径Rz(ロシアタンポポ由来天然ゴムを構成するポリマー全体のRz)が130nm以上である。下限以上にすることで、ゴムの機械的強度が高まり、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等が改善される傾向がある。また、低発熱性が改善される傾向もある。好ましくは133nm以上、より好ましくは135nm以上である。上限は特に限定されず、Rzは大きい方が好適であるが、分岐ポリマーの少なさによる加工性悪化の観点からは、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましい。
【0040】
第2の重荷重用タイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上である。ここで、「重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値」とは、FFF-MALSを用いて得られるMwとRzにおいて、500万~5000万の領域の各Mwで測定される各Rzの値の平均値である。例えば、Mw500万~5000万の領域のMw値、Rz値が(Mw,Rz),(Mw,Rz),・・・,(Mw,Rz)の場合、(Rz+Rz+・・・+Rz)/nが該平均値である。データ数nは、Mw500万~5000万の領域で任意に適宜選択可能であり、例えば、300~500個程度のデータを取得すればよい。
【0041】
該平均値を下限以上にすることで、ゴムの機械的強度が高まり、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等が改善される傾向がある。また、低発熱性が改善される傾向もある。好ましくは150nm以上、より好ましくは160nm以上、更に好ましくは170nm以上、特に好ましくは180nm以上である。上限は特に限定されず、平均値は大きい方が好適であるが、分岐ポリマーの少なさによる加工性悪化の観点からは、250nm以下が好ましく、240nm以下がより好ましい。
【0042】
第3の重荷重用タイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上である。ここで、「重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾き」とは、FFF-MALSを用いて得られる各Mwにおける各Rzのそれぞれの常用対数をプロットした図において、Mw500万~5000万の領域で作製した一次回帰直線の傾きである。
【0043】
一次回帰直線の近似は、通常知られた統計学的手法を用いることができ、例えば、最小二乗法を用いた回帰直線(近似直線)を求める近似方法を挙げることができる。具体的には、logMwに対するlogRzのプロット図において、Mw500万~5000万の領域のxy平面(logMw-logRz平面)上のデータ点(logMw,logRz),(logMw,logRz),・・・,(logMw,logRz)に対する回帰直線として、例えば、最小二乗法によって決定される。データ数nは、Mw500万~5000万の領域で任意に適宜選択可能であり、例えば、300~500個程度のデータを取得すればよい。
【0044】
前記傾きを下限以上にすることで、ゴムの機械的強度が高まり、耐摩耗性、ウェットグリップ性能、雪氷上性能、耐破壊性能、耐屈曲亀裂成長性等が改善される傾向がある。また、低発熱性が改善される傾向もある。好ましくは0.26以上、より好ましくは0.28以上、更に好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.32以上である。上限は特に限定されず、平均値は大きい方が好適であるが、分岐ポリマーの少なさによる加工性悪化の観点からは、0.60以下が好ましく、0.50以下がより好ましい。
【0045】
ここで、Mw、Rzの測定に用いるFFF-MALSは、フィールドフローフラクショネーション(FFF)装置及び多角度光散乱(MALS)検出器を備えた装置である。FFF装置とは、例えば、100μm~500μmの空隙(チャンネル)に試料溶液を通過させて、チャンネルを通過させる際に場(フィールド)を引加することにより分子量分別ができる装置であり、フィールドの引加法として、遠心力、温度差、電場などがあるが、非対称流FFF装置が好適である。具体的には、サンプル(ゴム)を溶媒に溶解し、得られたゴムの溶液を、MALS検出器、示差屈折計(RI検出器)が備えられたFFF装置を使用し、得られた値からDebyeプロットを行う方法等を採用することにより、Mw、Rzを測定できる。
【0046】
サンプル(ロシアタンポポ由来天然ゴム)の溶解に用いる有機溶媒としては特に限定されず、溶解可能な任意の溶媒を使用可能である。例えば、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、トルエン、シクロヘキサン等を単独又は混合して使用できる。なかでも、溶解性が良好という点から、THFが好適である。有機溶媒中のサンプル濃度(ロシアタンポポ由来天然ゴムの濃度)は、0.001~1質量%に調整することが好ましい。例えば、有機溶媒中にサンプルを添加し該濃度に調整し、12時間以上放置することで完全に溶解した溶液を調整できる。
【0047】
なお、本明細書において、ロシアタンポポ由来天然ゴムのMw、Mn、ポリマーのRz、ポリマーのRzの平均値、一次回帰直線の傾きは、詳細には、後述の実施例に記載の方法で測定される。
【0048】
前記本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、例えば、米国特許公開公報US2019/0048101A1、US2019/0046895A1に記載の抽出方法により得ることができる。
【0049】
前記第1~第3の重荷重用タイヤは、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する。
【0050】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0051】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ゴム成分は、非変性ゴム、変性ゴムのいずれでもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、BRが好ましい。
【0052】
BRは特に限定されず、例えば、高シス含量のハイシスBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。なかでも、耐摩耗性等が向上するという理由から、シス含量が90質量%以上のハイシスBRが好ましい。
【0053】
BRとして、シス-1,4-結合量が94.0質量%以上で、かつ活性末端を有するポリブタジエンの活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う変性工程(A)と、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる縮合工程(B)とを含み、前記ポリブタジエンとして、下記(a)~(c)成分の混合物を主成分とする触媒組成物の存在下で重合したポリブタジエンを用いる製造方法により得られる変性BR(変性共役ジエン系重合体)も好適に使用できる。
(a)成分:ランタノイドからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するランタノイド含有化合物、又は、該ランタノイド含有化合物とルイス塩基との反応により得られる反応生成物
(b)成分:アルミノオキサン、及び、一般式(1);AlRで表される有機アルミニウム化合物(ただし、一般式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1~10の炭化水素基又は水素原子を表す。Rは、R及びRと同一又は異なって、炭素数1~10の炭化水素基を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
(c)成分:その分子構造中に少なくとも1個のヨウ素原子を含有するヨウ素含有化合物
【0054】
すなわち、シス-1,4-結合量が94.0質量%以上であるポリブタジエンの活性末端に、アルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行い、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含有される元素のうちの少なくとも1種の元素を含む縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物のアルコキシシラン化合物残基を縮合反応させることによって、前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)を製造できる。このような変性BRとして、例えば、特開2015-232112号公報に記載の変性BR(変性共役ジエン系重合体)が挙げられる。
【0055】
上記変性工程(A)は、シス-1,4-結合量が94.0質量%以上で、かつ活性末端を有するポリブタジエンの活性末端に、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有するアルコキシシラン化合物を導入させる変性反応を行う工程である。
【0056】
上記ポリブタジエンは、シス-1,4-結合量が94.0質量%以上で、かつ活性末端を有する共役ジエン系重合体である。上記シス-1,4-結合量は、好ましくは94.6質量%以上であり、より好ましくは98.5質量%以上であり、更に好ましくは99.0質量%以上であり、特に好ましくは99.2質量%以上である。なお、本明細書において、シス-1,4-結合量(シス含量)は、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出した値である。
【0057】
上記(a)成分に関し、上記ランタノイド含有化合物の好適例としては、ネオジムのリン酸塩、又は、ネオジムのカルボン酸塩が特に好ましく、ネオジムのバーサチック酸塩、又は、ネオジムの2-エチルヘキサン酸塩が最も好ましい。ルイス塩基の具体例としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、一価又は二価のアルコール等が挙げられる。
【0058】
上記(b)成分に関し、上記アルモキサンの具体例としては、メチルアルモキサン(以下、「MAO」とも称する。)、エチルアルモキサン、n-プロピルアルモキサン、n-ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t-ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、イソヘキシルアルモキサン等が挙げられる。これらの中でも、MAOが好ましい。
【0059】
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ-n-プロピルアルミニウム、水素化ジ-n-ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム、エチルアルミニウムジハイドライド、n-プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられる。これらの中でも、水素化ジイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウムが好ましく、水素化ジイソブチルアルミニウムが特に好ましい。
【0060】
上記(c)成分に関し、上記ヨウ素含有化合物の好適例としては、ヨウ素、トリメチルシリルアイオダイド、トリエチルシリルアイオダイド、ジメチルシリルジヨード、メチルアイオダイド、ヨードホルム、ジヨードメタンが特に好ましく、トリメチルシリルアイオダイドが最も好ましい。
【0061】
上記各成分((a)~(c)成分)の配合割合は、必要に応じて適宜設定すればよく、前記特開2015-232112号公報に記載の割合を採用できる。
【0062】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)を製造する際に用いる前記ポリブタジエン(共役ジエン系重合体)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比、すなわち、分子量分布(Mw/Mn)は、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。なお、本明細書において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴム以外のポリマーのMw、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0063】
前記ポリブタジエン(共役ジエン系重合体)の100℃におけるムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、5~50が好ましく、10~40がより好ましい。なお、前記ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度100℃の条件で測定した値である。
【0064】
前記ポリブタジエン(共役ジエン系重合体)の1,2-ビニル結合の含量(1,2-ビニル結合量)は、0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。該1,2-ビニル結合量は、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。なお、本明細書において、1,2-ビニル結合量は、NMR分析により測定されるシグナル強度から算出した値である。
【0065】
上記変性工程(A)に用いるアルコキシシラン化合物(以下、「変性剤」とも称する。)としては、アルコキシシリル基を含む2つ以上の反応基を有する化合物が挙げられる。アルコキシシリル基以外の反応基としては、特にその種類は限定されないが、例えば、(f);エポキシ基、(g);イソシアネート基、(h);カルボニル基、及び(i);シアノ基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基が好ましい。
【0066】
上記アルコキシシラン化合物(変性剤)としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3-シアノプロピルトリメトキシシランが特に好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが最も好ましい。また、上述のアルコキシシラン化合物の部分縮合物を用いることもできる。
【0067】
上記変性工程(A)の変性反応では、上記アルコキシシラン化合物の使用量は、上記(a)成分1モルに対して、0.01~200モルであることが好ましく、0.1~150モルであることがより好ましい。
【0068】
上記変性工程(A)においては、上記変性剤の他に、縮合工程(B)において、活性末端に導入された変性剤であるアルコキシシラン化合物残基と縮合反応し、消費されるものを更に添加することが好ましい。具体的には、官能基導入剤を添加することが好ましい。
【0069】
上記官能基導入剤は、活性末端との直接反応を実質的に起こさず、反応系に未反応物として残存するものであれば特に制限されないが、例えば、上記変性剤として用いるアルコキシシラン化合物とは異なるアルコキシシラン化合物、即ち、(j);アミノ基、(k);イミノ基、及び(l);メルカプト基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を含有するアルコキシシラン化合物であることが好ましい。なお、この官能基導入剤として用いられるアルコキシシラン化合物は、部分縮合物であってもよいし、官能基導入剤として用いるアルコキシシラン化合物の部分縮合物でないものと該部分縮合物との混合物であってもよい。
【0070】
上記官能基導入剤の好適例としては、3-ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3-ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、1-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕-4,5-ジヒドロイミダゾール、1-〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-メルカプトプロピルトリエトキシシランが特に好ましく、3-アミノプロピルトリエトキシシランが最も好ましい。
【0071】
上記官能基導入剤としてアルコキシシラン化合物を用いる場合、その使用量は、上記(a)成分1モルに対して、0.01~200モルが好ましく、0.1~150モルがより好ましい。
【0072】
上記縮合工程(B)は、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する縮合触媒の存在下で、前記活性末端に導入されたアルコキシシラン化合物の残基を縮合反応させる工程である。
【0073】
上記縮合触媒は、周期律表の第4族、12族、13族、14族及び15族に含まれる元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有するものであれば、特に制限されないが、例えば、チタン(Ti)(第4族)、スズ(Sn)(第14族)、ジルコニウム(Zr)(第4族)、ビスマス(Bi)(第15族)及びアルミニウム(Al)(第13族)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むものであることが好ましい。
【0074】
上記縮合触媒の好適例としては、チタン(Ti)を含む縮合触媒等が挙げられる。チタン(Ti)を含む縮合触媒の中でも、チタン(Ti)のアルコキシド、カルボン酸塩又はアセチルアセトナート錯塩であることが更に好ましい。特に好ましくは、テトラi-プロポキシチタニウム(テトライソプロピルチタネート)である。
【0075】
上記縮合触媒の使用量としては、縮合触媒として用いることができる上記種々の化合物のモル数が、反応系内に存在するアルコキシシリル基総量1モルに対して、0.1~10モルとなることが好ましく、0.3~5モルが特に好ましい。
【0076】
上述のように縮合反応を行った後、従来公知の後処理を行い、目的の変性BR(変性共役ジエン系重合体)を得ることができる。
【0077】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)のムーニー粘度(ML1+4(125℃))は、10~150が好ましく、20~100がより好ましい。なお、前記変性BRのムーニー粘度(ML1+4、125℃)は、JIS K 6300に準じて、Lローターを使用して、予熱1分、ローター作動時間4分、温度125℃の条件で測定した値である。
【0078】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)の分子量分布(Mw/Mn)は、3.5以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.5以下が更に好ましい。
【0079】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)のコールドフロー値(mg/分)は、1.0以下が好ましく、0.8以下がより好ましい。なお、本明細書において、コールドフロー値(mg/分)は、圧力3.5lb/in、温度50℃で重合体を1/4インチオリフィスに通して押し出すことにより測定した値である。なお、定常状態にするため、10分間放置後、押し出し速度を測定し、その測定値を毎分のミリグラム数(mg/分)で表示する
【0080】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)の経時安定性の評価値は、0~5が好ましく、0~2がより好ましい。なお、本明細書において、経時安定性は、90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4,125℃)を測定し、下記式により算出した値である。なお、値が小さいほど経時安定性が良好である。
式:[90℃の恒温槽で2日間保存した後のムーニー粘度(ML1+4,125℃)]-[合成直後に測定したムーニー粘度(ML1+4,125℃)]
【0081】
前記変性BR(変性共役ジエン系重合体)のガラス転移温度は、-40℃以下が好ましく、より好ましくは-43℃以下、更に好ましくは-46℃以下、特に好ましくは-50℃以下である。他方、該ガラス転移温度の下限は特に制限されない。なお、前記変性BRのガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じて、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することによリ、ガラス転移開始温度として求めた値である。
【0082】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0083】
前記ゴム組成物において、BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0084】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、タイヤ製造において一般的に用いられるものを使用することができ、例えば、SAF、ISAF、HAF、FF、FEF、GPFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックを単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0085】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは85m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS-K6217-2:2001に準拠して測定できる。
【0086】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは250ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは180ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS-K6217-4:2001に準拠して測定できる。
【0087】
カーボンブラックとして、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、圧縮試料オイル吸収量100~180ml/100gのカーボンブラック(以下「ハイストラクチャーカーボンブラック」とも称する)も好適に使用できる。
【0088】
ハイストラクチャーカーボンブラックの圧縮試料オイル吸収量(COAN)は、100ml/100g以上、好ましくは110ml/100g以上、より好ましくは120ml/100g以上である。また、該COANは、180ml/100g以下、好ましくは170ml/100g以下、より好ましくは150ml/100g以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、カーボンブラックのCOANは、JIS K6217-4の測定方法によって求められる。なお、使用したオイルはジブチルフタレート(フタル酸ジブチル)である。
【0089】
ハイストラクチャーカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。また、該窒素吸着比表面積は、好ましくは600m/g以下、より好ましくは450m/g以下、更に好ましくは300m/g以下、特に好ましくは250m/g以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0090】
ハイストラクチャーカーボンブラックの900℃での揮発分量は、好ましくは0.50質量%以下、より好ましくは0.46質量%以下である。上限以下にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
また、該揮発分量の下限は、特に限定されない。
なお、本明細書において、カーボンブラックの揮発分量は、JIS K6221(1994)に準拠した測定方法によって求められる。
【0091】
ハイストラクチャーカーボンブラックの1500℃での揮発分量は、好ましくは1.00質量%以下、より好ましくは0.70質量%以下である。上限以下にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
また、該揮発分量の下限は、特に限定されない。
【0092】
ハイストラクチャーカーボンブラックのJIS K 6220-1に準拠して測定したpHは、好ましくは6.0以上、より好ましくは7.0以上、更に好ましくは8.5以上である。該pHは、好ましくは12.0以下、より好ましくは11.0以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0093】
ハイストラクチャーカーボンブラックの製造方法としては、ファーネス法やチャンネル法等の従来から公知の方法が用いられ、例えば、特開2013-116940号公報に記載の方法で製造できる。
【0094】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、30質量部以上、好ましくは35質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0095】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、シリカを含有することが好ましい。
【0096】
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0097】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-81に準拠して測定できる。
【0098】
シリカとして、窒素吸着比表面積(NSA)NSA160m/g以上のシリカ(以下「微粒子シリカ」とも称する。)も好適に使用できる。微粒子シリカのNSAの下限は、165m/g以上が好ましく、170m/g以上がより好ましい。上限は、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましい。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0099】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0100】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは35質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは70質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0101】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販されているものとしては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、スルフィド系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤が好ましく、メルカプト系シランカップリング剤がより好ましい。
【0102】
メルカプト系シランカップリング剤としては、メルカプト基を有するシランカップリング剤、メルカプト基が保護化されているシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0103】
好適なメルカプト系シランカップリング剤として、(i)下記式(2-1)で表されるシランカップリング剤、(ii)下記式(2-2)で示される結合単位Aと下記式(2-3)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤等が挙げられる。
【化1】
(式(2-1)中、R101は-Cl、-Br、-OR106、-O(O=)CR106、-ON=CR106107、-ON=CR106107、-NR106107及び-(OSiR106107(OSiR106107108)から選択される一価の基(R106、R107及びR108は同一でも異なっていても良く、各々水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基であり、hは平均値が1~4である。)であり、R102はR101、水素原子又は炭素数1~18の一価の炭化水素基、R103は-[O(R109O)]-基(R109は炭素数1~18のアルキレン基、jは1~4の整数である。)、R104は炭素数1~18の二価の炭化水素基、R105は炭素数1~18の一価の炭化水素基を示し、xa、ya及びzaは、xa+ya+2za=3、0≦xa≦3、0≦ya≦2、0≦za≦1の関係を満たす数である。)
【化2】
【化3】
(式(2-2)及び(2-3)中、xbは0以上の整数、ybは1以上の整数である。R201は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基、又は該アルキル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R202は分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基を示す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
【0104】
上記式(2-1)におけるR102、R105、R106、R107及びR108の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記式(2-1)におけるR109の例として、直鎖状アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、分枝状アルキレン基としては、イソプロピレン基、イソブチレン基、2-メチルプロピレン基等が挙げられる。
【0105】
上記式(2-1)で表されるシランカップリング剤の具体例としては、3-ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3-ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3-ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2-ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2-ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。なかでも、3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(Momentive社製のNXT)が特に好ましい。上記シランカップリング剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0106】
上記式(2-2)で示される結合単位Aと上記式(2-3)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤は、ビス-(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC-S-C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
【0107】
また、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Aはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの-C15部分が結合単位Bの-SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
【0108】
上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、好ましくは99モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。また、結合単位Bの含有量は、シリカとの反応性の観点から、好ましくは1モル%以上、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、好ましくは70モル%以下、より好ましくは65モル%以下、更に好ましくは55モル%以下である。また、結合単位A及びBの合計含有量は、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2-2)、(2-3)と対応するユニットを形成していればよい。
【0109】
201のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などがあげられる。
【0110】
201の分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1~12である。
【0111】
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、1-オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は、好ましくは2~12である。
【0112】
201の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は、好ましくは2~12である。
【0113】
202の分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1~12である。
【0114】
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、1-ヘキセニレン基、2-ヘキセニレン基、1-オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は、好ましくは2~12である。
【0115】
202の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は、好ましくは2~12である。
【0116】
式(2-2)で示される結合単位Aと式(2-3)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(xb)と結合単位Bの繰り返し数(yb)の合計の繰り返し数(xb+yb)は、3~300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの-C15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
【0117】
式(2-2)で示される結合単位Aと式(2-3)で示される結合単位Bとを含むシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT-Z30、NXT-Z45、NXT-Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0118】
メルカプト系シランカップリング剤として、(iii)下記式(2-4)で表されるシランカップリング剤も好適に使用できる。
【0119】
【化4】
【0120】
(式(2-4)中、R~Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1~12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1~12のアルコキシ基、又は-O-(R10-O)-R11(z個のR10は、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30の2価の炭化水素基を表す。z個のR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R11は、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、炭素数6~30のアリール基、又は炭素数7~30のアラルキル基を表す。zは1~30の整数を表す。)で表される基を表す。R~Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1~6のアルキレン基を表す。)
【0121】
~Rは、分岐若しくは非分岐の炭素数1~12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1~12のアルコキシ基、又は-O-(R10-O)-R11で表される基を表す。R~Rは、少なくとも1つが-O-(R10-O)-R11で表される基であることが好ましく、2つが-O-(R10-O)-R11で表される基であり、かつ、1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1~12のアルコキシ基であることがより好ましい。
【0122】
~Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1~12(好ましくは炭素数1~5)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基などがあげられる。
【0123】
~Rの分岐若しくは非分岐の炭素数1~12(好ましくは炭素数1~5)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトシキ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、iso-ブトキシ基、sec-ブトシキ基、tert-ブトシキ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基、へプチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基などがあげられる。
【0124】
~Rの-O-(R10-O)-R11において、R10は、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30(好ましくは炭素数1~15、より好ましくは炭素数1~3)の2価の炭化水素基を表す。該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルキニレン基、炭素数6~30のアリーレン基などがあげられる。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基が好ましい。
【0125】
10の分岐若しくは非分岐の炭素数1~30(好ましくは炭素数1~15、より好ましくは炭素数1~3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。
【0126】
10の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30(好ましくは炭素数2~15、より好ましくは炭素数2~3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1-プロペニレン基、2-プロペニレン基、1-ブテニレン基、2-ブテニレン基、1-ペンテニレン基、2-ペンテニレン基、1-ヘキセニレン基、2-ヘキセニレン基、1-オクテニレン基などがあげられる。
【0127】
10の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30(好ましくは炭素数2~15、より好ましくは炭素数2~3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。
【0128】
10の炭素数6~30(好ましくは炭素数6~15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基などがあげられる。
【0129】
zは1~30(好ましくは2~20、より好ましくは3~7、さらに好ましくは5~6)の整数を表す。
【0130】
11は、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2~30のアルケニル基、炭素数6~30のアリール基又は炭素数7~30のアラルキル基を表す。中でも、分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキル基が好ましい。
【0131】
11の分岐若しくは非分岐の炭素数1~30(好ましくは炭素数3~25、より好ましくは炭素数10~15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基などがあげられる。
【0132】
11の分岐若しくは非分岐の炭素数2~30(好ましくは炭素数3~25、より好ましくは炭素数10~15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、1-オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられる。
【0133】
11の炭素数6~30(好ましくは炭素数10~20)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基などがあげられる。
【0134】
11の炭素数7~30(好ましくは炭素数10~20)のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などがあげられる。
【0135】
-O-(R10-O)-R11で表される基の具体例としては、例えば、-O-(C-O)-C1123、-O-(C-O)-C1225、-O-(C-O)-C1327、-O-(C-O)-C1429、-O-(C-O)-C1531、-O-(C-O)-C1327、-O-(C-O)-C1327、-O-(C-O)-C1327、-O-(C-O)-C1327などがあげられる。中でも、-O-(C-O)-C1123、-O-(C-O)-C1327、-O-(C-O)-C1531、-O-(C-O)-C1327が好ましい。
【0136】
の分岐若しくは非分岐の炭素数1~6(好ましくは炭素数1~5)のアルキレン基としては、例えば、R10の分岐若しくは非分岐の炭素数1~30のアルキレン基と同様の基をあげることができる。
【0137】
上記式(2-4)で表される化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記式で表される化合物(EVONIK-DEGUSSA社製のSi363)などがあげられ、下記式で表される化合物を好適に使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【化5】
【0138】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0139】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては特に限定されないが、オイル、液状ポリマー(液状ジエン系重合体)、液状樹脂などが挙げられる。これらは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、オイル、液状ポリマー、液状樹脂が好ましく、加工性等の観点からオイルが特に好ましい。
【0140】
なお、上記液体可塑剤は、環境の面から、多環式芳香族含有量(PCA)が3質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましい。該多環式芳香族含有量(PCA)は、英国石油学会346/92法に従って測定される。
【0141】
上記オイルとしては、特に限定されず、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイル、TDAE、MES等の低PCA(多環式芳香族)プロセスオイル、植物油脂、及びこれらの混合物等、従来公知のオイルを使用できる。なかでも、ゴム物性の点では、アロマ系プロセスオイルが好ましい。上記アロマ系プロセスオイルとしては、具体的には、出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルAHシリーズ等が挙げられる。
【0142】
上記液状ポリマー(液状ジエン系重合体)としては、常温(25℃)で液体状態のジエン系重合体等が挙げられる。
液状ジエン系重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10~2.0×10であることが好ましく、3.0×10~1.5×10であることがより好ましい。
【0143】
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)などが挙げられる。
【0144】
上記液状樹脂としては、特に制限されないが、例えば、液状の芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0145】
液状芳香族ビニル重合体としては、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂等が挙げられる。具体的には、スチレンの単独重合体、α-メチルスチレンの単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体などの液状樹脂等が挙げられる。
【0146】
液状クマロンインデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂等が挙げられる。クマロン、インデン以外に骨格に含まれていてもよいモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0147】
液状インデン樹脂としては、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む液状樹脂等が挙げられる。
【0148】
液状テルペン樹脂としては、αピネン、βピネン、カンフェル、ジペテンなどのテルペン化合物を重合して得られる樹脂や、テルペン化合物とフェノール系化合物とを原料として得られる樹脂であるテルペンフェノールに代表される液状テルペン系樹脂等が挙げられる。
【0149】
液状ロジン樹脂としては、天然ロジン、重合ロジン、変性ロジン、これらのエステル化合物、及びこれらの水素添加物に代表される液状ロジン系樹脂等が挙げられる。
【0150】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0151】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、特に限定されないが、例えば、固体状のスチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂(DCPD系樹脂)、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0152】
固体状のスチレン系樹脂は、スチレン系単量体を構成モノマーとして用いた固体状ポリマーであり、スチレン系単量体を主成分(50質量%以上)として重合させたポリマー等が挙げられる。具体的には、スチレン系単量体(スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-フェニルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン等)をそれぞれ単独で重合した単独重合体、2種以上のスチレン系単量体を共重合した共重合体の他、スチレン系単量体及びこれと共重合し得る他の単量体のコポリマーも挙げられる。
【0153】
前記他の単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのアクリロニトリル類、アクリル類、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル類、クロロプレン、ブタジエンイソプレンなどのジエン類、1-ブテン、1-ペンテンのようなオレフィン類;無水マレイン酸等のα,β-不飽和カルボン酸又はその酸無水物;等が例示できる。
【0154】
なかでも、固体状のα-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレン単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体等)が好ましい。
【0155】
固体状のクマロンインデン樹脂としては、前述の液状状態のクマロンインデン樹脂と同様の構成単位を有する固体樹脂が挙げられる。
【0156】
固体状のテルペン系樹脂としては、ポリテルペン、テルペンフェノール、芳香族変性テルペン樹脂などが挙げられる。
ポリテルペンは、テルペン化合物を重合して得られる樹脂及びそれらの水素添加物である。テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
【0157】
固体状のポリテルペンとしては、上述したテルペン化合物を原料とするα-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、β-ピネン/リモネン樹脂などのテルペン樹脂の他、該テルペン樹脂に水素添加処理した水素添加テルペン樹脂等の固体樹脂も挙げられる。
【0158】
固体状のテルペンフェノールとしては、上記テルペン化合物とフェノール系化合物とを共重合した固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられ、具体的には、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びホルマリンを縮合させた固体樹脂が挙げられる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
【0159】
固体状の芳香族変性テルペン樹脂としては、テルペン樹脂を芳香族化合物で変性して得られる固体樹脂、及び該樹脂に水素添加処理した固体樹脂が挙げられる。なお、芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体;クマロン、インデンなどが挙げられる。
【0160】
固体状のp-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂としては、p-t-ブチルフェノールとアセチレンとを縮合反応させて得られる固体樹脂が挙げられる。
【0161】
固体状のアクリル系樹脂としては特に限定されないが、不純物が少なく、分子量分布がシャープな樹脂が得られるという点から、無溶剤型アクリル系固体樹脂を好適に使用できる。
【0162】
固体状の無溶剤型アクリル樹脂は、副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを極力使用せずに、高温連続重合法(高温連続塊重合法)(米国特許第4,414,370号明細書、特開昭59-6207号公報、特公平5-58005号公報、特開平1-313522号公報、米国特許第5,010,166号明細書、東亜合成研究年報TREND2000第3号p42-45等に記載の方法)により合成された(メタ)アクリル系樹脂(重合体)が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルは、メタクリル及びアクリルを意味する。
【0163】
固体状のアクリル系樹脂は、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないことが好ましい。また、上記アクリル系樹脂は、連続重合により得られる組成分布や分子量分布が比較的狭いものが好ましい。
【0164】
上述のように、固体状のアクリル系樹脂としては、実質的に副原料となる重合開始剤、連鎖移動剤、有機溶媒などを含まないもの、すなわち、純度が高いものが好ましい。固体状のアクリル系樹脂の純度(該樹脂中に含まれる樹脂の割合)は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは97質量%以上である。
【0165】
固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸や、(メタ)アクリル酸エステル(アルキルエステル、アリールエステル、アラルキルエステルなど)、(メタ)アクリルアミド、及び(メタ)アクリルアミド誘導体などの(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。
【0166】
また、固体状のアクリル系樹脂を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸誘導体と共に、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ビニルを使用してもよい。
【0167】
固体状のアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル成分のみで構成される樹脂であっても、(メタ)アクリル成分以外の成分をも構成要素とする樹脂であっても良い。
また、固体状のアクリル系樹脂は、水酸基、カルボキシル基、シラノール基等を有していてよい。
【0168】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0169】
液体可塑剤、固体樹脂としては、例えば、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXTGエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0170】
(ファルネセン系樹脂)
前記ゴム組成物は、ファルネセン系樹脂を含有することが好ましい。ファルネセン系樹脂とは、ファルネセンをモノマー成分として重合して得られた重合体を意味する。ファルネセンには、α-ファルネセン((3E,7E)-3,7,11-トリメチル-1,3,6,10-ドデカテトラエン)やβ-ファルネセン(7,11-ジメチル-3-メチレン-1,6,10-ドデカトリエン)などの異性体が存在するが、以下の構造を有する(E)-β-ファルネセンが好ましい。
【化6】
【0171】
ファルネセン系樹脂は、ファルネセンの単独重合体(ファルネセン単独重合体)であってもよいし、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合体(ファルネセン-ビニルモノマー共重合体)であってもよい。ビニルモノマーとしては、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、tert-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ジフェニルエチレン、3級アミノ基含有ジフェニルエチレンなどの芳香族ビニル化合物や、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物などが挙げられる。なかでも、スチレン、ブタジエンが好ましい。すなわち、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体としては、ファルネセンとスチレンとの共重合体(ファルネセン-スチレン共重合体)、ファルネセンとブタジエンとの共重合体(ファルネセン-ブタジエン共重合体)が好ましい。ファルネセン-スチレン共重合体を配合することで、破壊強度、操縦安定性能、ウェットグリップ性能及び耐摩耗性能の改善効果を高めることができ、ファルネセン-ブタジエン共重合体を配合することで、低燃費性能及び耐摩耗性能の改善効果を高めることができる。
【0172】
ファルネセン単独重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-60℃以下、より好ましくは-70℃以下であり、好ましくは-120℃以上、より好ましくは-110℃以上である。上記範囲内であれば、タイヤ用軟化剤として好適に使用できる。
同様の理由から、ファルネセン-スチレン共重合体のTgは、好ましくは-15℃以下、より好ましくは-30℃以下であり、好ましくは-80℃以上、より好ましくは-70℃以上である。
同様の理由から、ファルネセン-ブタジエン共重合体のTgは、好ましくは-60℃以下、より好ましくは-70℃以下であり、好ましくは-120℃以上、より好ましくは-110℃以上である。
なお、本明細書において、ファルネセン系樹脂のTgは、JIS-K7121:1987に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定した値である。
【0173】
ファルネセン単独重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは8000以上である。3000以上であると、操縦安定性能、耐摩耗性能が向上する傾向がある。また、該Mwは、好ましくは500000以下、より好ましくは300000以下、更に好ましくは150000以下である。500000以下であると、加工性能、耐摩耗性能が向上する傾向がある。
また、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体のMwは、好ましくは3000以上、より好ましくは5000以上、更に好ましくは8000以上である。3000以上であると、操縦安定性能が向上する傾向がある。また、該Mwは、好ましくは500000以下、より好ましくは300000以下、更に好ましくは150000以下、特に好ましくは100000以下である。500000以下であると、ウェットグリップ性能が向上する傾向がある。
Mwが上記範囲内のファルネセン単独重合体、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体は、常温で液状であり、タイヤ用軟化剤として好適に使用できる。
【0174】
ファルネセン単独重合体の溶融粘度は、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは200Pa・s以下であり、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.5Pa・s以上である。上記範囲内であれば、タイヤ用軟化剤として好適に使用でき、かつ耐ブルーム性にも優れる。
同様の理由から、ファルネセン-ビニルモノマー共重合体の溶融粘度は、好ましくは1000Pa・s以下、より好ましくは650Pa・s以下、更に好ましくは200Pa・s以下であり、好ましくは1Pa・s以上、より好ましくは5Pa・s以上である。
なお、本明細書において、ファルネセン系樹脂の溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS.INC.製)を用いて、38℃で測定した値である。
【0175】
ファルネセン単独重合体において、モノマー成分100質量%中のファルネセンの含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
【0176】
ファルネセン-ビニルモノマー共重合体において、モノマー成分100質量%中のファルネセン及びビニルモノマーの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。また、ファルネセンとビニルモノマーとの共重合比は、質量基準で、ファルネセン:ビニルモノマー=99/1~25/75であることが好ましく、ファルネセン:ビニルモノマー=80/20~40/60であることがより好ましい。
【0177】
ファルネセン系樹脂は市販品として入手することができ、例えば、(株)クラレ等の製品を使用できる。
【0178】
前記ゴム組成物において、ファルネセン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、ファルネセン系樹脂配合により得られる性能の改善効果が充分に得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。50質量部以下であると、良好な低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。
【0179】
(テトラジン系化合物)
前記ゴム組成物は、下記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物を含んでもよい。
【化7】
[式中、R及びRは同一でも異なっていても良く、各々水素原子(-H)、-COOR(Rは水素原子(-H)またはアルキル基を示す)又は炭素数1~11の一価の炭化水素基を示し、該炭化水素基はヘテロ原子を有してもよい。また、R及びRは塩を形成してもよい。]
【0180】
上記ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
及びRの炭化水素基の炭素数は1~11であり、好ましくは2~9、より好ましくは4~7である。
【0181】
及びRとしては、補強性充填剤(特に、カーボンブラック、シリカ)との相互作用が生じやすいと考えられるという理由から、-COOR又はヘテロ原子を有する炭化水素基が好ましく、R及びRが共にヘテロ原子を有する炭化水素基であることがより好ましい。
【0182】
及びRの炭化水素基としては、特に限定されないが、補強性充填剤(特に、カーボンブラック、シリカ)との相互作用が生じやすいと考えられるという理由から、単素環基、複素環基が好ましく、少なくとも一方が複素環基であることがより好ましく、双方が複素環基であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、単素環基とは、環構造が炭素原子のみによって構成される基を意味し、複素環基とは、環構造が炭素原子を含む2種類以上の元素によって構成される基を意味する。
【0183】
単素環基としては、例えば、アリール基、シクロアルキル基等が挙げられる。なかでも、アリール基が好ましい。
【0184】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0185】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0186】
複素環基としては、環を構成するヘテロ原子として窒素原子を含有する含窒素複素環基が好ましく、環を構成するヘテロ原子として窒素原子のみを含有する含窒素複素環基がより好ましい。
【0187】
含窒素複素環基としては、例えば、アジリジニル基、アゼチジニル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ヘキサメチレンイミノ基、イミダゾリジル基、ピペラジニル基、ピラゾリジル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等が挙げられる。なかでも、ピリジル基、ピリミジル基が好ましく、ピリジル基が更に好ましい。
【0188】
上記単素環基、上記複素環基が有する水素原子は、置換基により置換されていてもよい。補強性充填剤(特に、カーボンブラック、シリカ)との相互作用が生じやすいと考えられるという理由から、置換基により置換されていることが好ましい。
【0189】
置換基としては、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基、スルホン酸基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。なお、これらの置換基は、更に上記置換基を有していてもよく、上記置換基以外にも例えば、アルキレン基、アルキル基等を有していてもよい。なかでも、カルボキシル基、上記-COOR、アミノ基(好ましくは下式(A)で表される基、下式(B)で表される基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【化8】
【0190】
なお、置換基は、上式(A)、(B)で表される基のように、塩を形成してもよい。塩を形成する例としては、例えば、アミノ基とハロゲン原子との塩、カルボキシル基とNa、K等の1価の金属との塩、スルホン酸基と上記1価の金属との塩等が挙げられる。
【0191】
上記-COORのRは水素原子又はアルキル基を示す。該アルキル基の炭素数は、好ましくは1~8、より好ましくは1~3である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
としては、アルキル基が好ましい。
【0192】
上記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物としては、ジエン系ゴムと反応可能なものであれば特に限定されない。テトラジン系化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、下記一般式(1-1)、(1-2)、(1-3)、又は(1-4)で表される化合物(特に、下記一般式(1-1)又は(1-4)で表される化合物)が好ましく、下記式(1-1-1)、(1-1-2)、(1-2-1)、(1-3-1)、(1-4-1)又は(1-4-2)で表される化合物(特に、下記式(1-1-1)又は(1-4-1)で表される化合物)がより好ましい。
上記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物は、市販品を用いてもよく、公知の方法により合成してもよい。
【化9】
[式(1-1)中、R11は、水素原子(-H)、-COOR17(R17は水素原子(-H)又はアルキル基を示す)又は炭素数1~11の一価の炭化水素基を示し、該炭化水素基はヘテロ原子を有してもよい。また、R11は塩を形成してもよい。]
[式(1-2)中、R12は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を示す。また、R12は塩を形成してもよい。]
[式(1-3)中、R13及びR14は同一でも異なっていても良く、各々水素原子(-H)又はアルキル基を示す。また、R13及びR14は塩を形成してもよい。]
[式(1-4)中、R15及びR16は同一でも異なっていても良く、各々水素原子(-H)、-COOR18(R18は水素原子(-H)又はアルキル基を示す)、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を示す。また、R15及びR16は塩を形成してもよい。]
【化10】
【0193】
11のヘテロ原子としては、R及びRのヘテロ原子と同様の原子が挙げられる。
11の炭化水素基の炭素数はR及びRの炭化水素基と同様であり、好適な態様も同様である。
【0194】
11としては、補強性充填剤(特に、カーボンブラック、シリカ)との相互作用が生じやすいと考えられるという理由から、-COOR17又はヘテロ原子を有する炭化水素基が好ましい。
【0195】
11の炭化水素基としては、R及びRの炭化水素基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
【0196】
上記-COOR17のR17は水素原子又はアルキル基を示す。該アルキル基としては、Rのアルキル基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
17としては、アルキル基が好ましい。
【0197】
12の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基としては、上記置換基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
【0198】
12は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよいが、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、パラ位が好ましい。
【0199】
13及びR14のアルキル基は、Rのアルキル基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。R13及びR14としては、アルキル基が好ましい。
【0200】
15及びR16としては、水素原子、又は窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基が好ましい。
【0201】
-COOR18のR18は水素原子又はアルキル基を示す。該アルキル基としては、Rのアルキル基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
18としては、アルキル基が好ましい。
【0202】
15及びR16の窒素原子、酸素原子、硫黄原子、フッ素原子およびケイ素原子からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基としては、上記置換基と同様の基が挙げられ、好適な態様も同様である。
【0203】
15及びR16は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよいが、パラ位が好ましく、R15及びR16共にパラ位がより好ましい。
【0204】
前記ゴム組成物において、上記テトラジン系化合物の含有量(テトラジン系化合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0205】
(微粒子亜鉛担持体)
前記ゴム組成物には、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を配合してもよい。
【0206】
前記微粒子亜鉛担持体は、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させたものである。珪酸塩粒子の表面は、酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子に対して親和性を有しており、このため均一に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させることができる。
【0207】
酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子の担持量は、金属亜鉛換算で6~75質量%の範囲であることが好ましく、下限は、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは25質量%以上、特に好ましくは35質量%以上であり、上限は、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。
ここで、金属亜鉛換算の担持量とは、担持している酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を金属亜鉛に換算したZn換算質量を算出し、この値を用いて、以下の式から算出することができる。
金属亜鉛換算の担持量(質量%)=〔(Zn換算質量)/(微粒子亜鉛担持体の質量)〕×100
【0208】
酸化亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子(微粒子亜鉛担持体)のBET比表面積は、10~55m/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは15~50m/gの範囲であり、更に好ましくは20~45m/gの範囲である。
【0209】
塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持した珪酸塩粒子(微粒子亜鉛担持体)のBET比表面積は、25~90m/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは30~85m/gであり、更に好ましくは35~80m/gの範囲である。
【0210】
BET比表面積は、BET比表面積測定装置を用い、窒素吸着法により求めることができる。珪酸塩粒子に担持させた酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子のBET比表面積(BETZn)は、以下の式により算出することができる。
【0211】
BETZn={(BETZn-Si×WZn)+WSi(BETZn-Si-BETSi)}/WZn
BETZn-Si:微粒子亜鉛担持体のBET比表面積
BETSi:珪酸塩粒子のBET比表面積
Zn:微粒子亜鉛担持体中に含まれる酸化亜鉛又は塩基性炭酸亜鉛の質量%
Si:微粒子亜鉛担持体中に含まれる珪酸塩粒子の質量%
【0212】
珪酸塩粒子の表面に担持される酸化亜鉛微粒子及び塩基性炭酸亜鉛微粒子のBET比表面積(BETZn)は、酸化亜鉛微粒子の場合、15~100m/gの範囲が好ましく、40~80m/gの範囲がより好ましく、塩基性炭酸亜鉛微粒子の場合、15~100m/gの範囲が好ましく、40~80m/gの範囲がより好ましい。
【0213】
前記珪酸塩粒子としては、珪酸アルミニウム塩鉱物粒子が好ましく用いられる。また、珪酸アルミニウム塩鉱物粒子以外の珪酸塩粒子としては、タルク、マイカ、長石、ベントナイト、珪酸マグネシウム、シリカ、珪酸カルシウム(ワラストナイト)、珪藻土などが挙げられる。
【0214】
前記珪酸アルミニウム塩鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、及びセリサイトから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0215】
珪酸アルミニウム塩鉱物粒子は、好ましくは無水珪酸アルミニウム塩鉱物粒子である。無水珪酸アルミニウム塩鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、及びセリサイトから選ばれる少なくとも1種を焼成したものが挙げられる。例えば、粒径2μm以下の含有率が80%以上である微細粒子からなるこれらの粘土鉱物を、500~900℃の温度で焼成したものが挙げられる。
【0216】
前記微粒子亜鉛担持体は、例えば、特開2018-184497号公報に記載の方法で製造できる。上記微粒子亜鉛担持体の市販品としては、白石カルシウム(株)等の製品を使用できる。
【0217】
前記ゴム組成物において、前記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。該含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0218】
(アミド化合物)
前記ゴム組成物は、アミド化合物を含有することが好ましい。
アミド化合物としては、特に限定されないが、脂肪酸アミド、脂肪酸アミドエステルが挙げられる。アミド化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、脂肪酸アミドが好ましく、脂肪酸アミドと脂肪酸アミドエステルの混合物がより好ましい。
【0219】
脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸アミドでも不飽和脂肪酸アミドでもよい。飽和脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミドなどが挙げられ、不飽和脂肪酸アミドとしては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。なかでも、不飽和脂肪酸アミドが好ましく、オレイン酸アミドがより好ましい。
【0220】
脂肪酸アミドエステルは、飽和脂肪酸アミドエステルでも不飽和脂肪酸アミドエステルでもよい。飽和脂肪酸アミドエステルとしては、ステアリン酸アミドエステル、ベヘニン酸アミドエステルなどが挙げられ、不飽和脂肪酸アミドエステルとしては、オレイン酸アミドエステル、エルカ酸アミドエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、不飽和脂肪酸アミドエステルが好ましく、オレイン酸アミドエステルがより好ましい。
【0221】
アミド化合物として、アミド化合物及び脂肪酸金属塩の混合物も好適に使用できる。
脂肪酸金属塩を構成する金属としては、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ニッケル、モリブデンなどが挙げられる。なかでも、カルシウム、亜鉛などのアルカリ土類金属が好ましく、カルシウムがより好ましい。
【0222】
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよい。飽和脂肪酸としては、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸などが挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、エライジン酸などが挙げられる。なかでも、飽和脂肪酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。また、不飽和脂肪酸としてはオレイン酸が好ましい。
【0223】
アミド化合物としては、例えば、日油(株)、ストラクトール社、ランクセス社等の製品を使用できる。
【0224】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するアミド化合物の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。なお、本明細書において、アミド化合物として、アミド化合物以外に脂肪酸金属塩を含む混合物を用いる場合、アミド化合物の含有量は、該脂肪酸金属塩も含む量を意味する。
【0225】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0226】
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0227】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0228】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0229】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0230】
(他の成分)
前記ゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
【0231】
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0232】
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0233】
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましい。
【0234】
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0235】
前記ゴム組成物は、ステアリン酸を含有してもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0236】
ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0237】
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有してもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0238】
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0239】
前記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。これらの配合剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましい。
【0240】
前記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
【0241】
混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫等の加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。
【0242】
前記重荷重用タイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、上記ゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
【0243】
前記重荷重用タイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0244】
〔オールシーズンタイヤ〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のオールシーズンタイヤ(全シーズン用タイヤ)である。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用しているため、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0245】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第1のオールシーズンタイヤ。
【0246】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第2のオールシーズンタイヤ。
【0247】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第3のオールシーズンタイヤ。
【0248】
優れた低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、破壊特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が向上する。
【0249】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0250】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを併用することで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0251】
第1~第3のオールシーズンタイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0252】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0253】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。ゴム成分は、非変性ゴム、変性ゴムのいずれでもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、SBR、BRが好ましい。
【0254】
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0255】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性等が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、H-NMR測定により算出される。
【0256】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0257】
前記ゴム組成物において、SBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは55質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性等が得られる傾向がある。
【0258】
BRは特に限定されず、例えば、前述のBRと同様のものを使用できる。
【0259】
前記ゴム組成物において、BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0260】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0261】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは85m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0262】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは250ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは180ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0263】
カーボンブラックとして、前述のハイストラクチャーカーボンブラックも好適に使用できる。ハイストラクチャーカーボンブラックの好適なCOAN、NSA、900℃での揮発分量、1500℃での揮発分量、pHの範囲も同様である。
【0264】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0265】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0266】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0267】
シリカとして、前述の微粒子シリカも好適に使用できる。微粒子シリカの好適なNSAの範囲も同様である。
【0268】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。また、該シリカの含有量が120質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは180質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0269】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部以上、より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは85質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0270】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0271】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0272】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0273】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。また、該液体可塑剤の含有量が50質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましく90質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0274】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、前述の固体樹脂と同様のものを使用できる。
【0275】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0276】
(ファルネセン系樹脂)
前記ゴム組成物は、ファルネセン系樹脂を含有することが好ましい。ファルネセン系樹脂としては、前述のファルネセン系樹脂と同様のものを使用できる。ファルネセン系樹脂の好適なTg、Mw、溶融粘度、ファルネセンの含有量、ファルネセン及びビニルモノマーの合計含有量の範囲も同様である。
【0277】
前記ゴム組成物において、ファルネセン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、ファルネセン系樹脂配合により得られる性能の改善効果が充分に得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。50質量部以下であると、良好な低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。
【0278】
(テトラジン系化合物)
前記ゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物を含んでもよい。テトラジン系化合物としては、前述のテトラジン系化合物と同様のものを使用できる。
【0279】
前記ゴム組成物において、上記テトラジン系化合物の含有量(テトラジン系化合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0280】
(微粒子亜鉛担持体)
前記ゴム組成物には、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を配合してもよい。前記微粒子亜鉛担持体としては、前述のものと同様のものを使用できる。
【0281】
前記ゴム組成物において、前記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。該含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0282】
(アミド化合物)
前記ゴム組成物は、アミド化合物を含有することが好ましい。
アミド化合物としては、前述のアミド化合物と同様のものを使用できる。
【0283】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するアミド化合物の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0284】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0285】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0286】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0287】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0288】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様のワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0289】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記オールシーズンタイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0290】
前記オールシーズンタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0291】
〔サマータイヤ〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のサマータイヤ(夏用タイヤ)である。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムと特定スチレン含有量のスチレンブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用しているため、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0292】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第1のサマータイヤ。
【0293】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第2のサマータイヤ。
【0294】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、スチレン含有量10質量%以上のスチレンブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第3のサマータイヤ。
【0295】
優れた低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、破壊特性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が向上する。
【0296】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0297】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムと特定スチレン含有量のスチレンブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを併用することで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0298】
第1~第3のサマータイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0299】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、0.1質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上である。上限は、10.0質量%以下、好ましくは8.0質量%以下、より好ましくは7.0質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0300】
前記ゴム組成物は、ゴム成分として特定スチレン含有量のスチレンブタジエンゴム(高スチレンSBR)を含む。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0301】
高スチレンSBRのスチレン含有量は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。下限以上にすることで、良好なウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。また、該スチレン含有量の上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、H-NMR測定により算出される。
【0302】
高スチレンSBRのビニル含有量(SBRのブタジエン成分中のビニル含有量)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0303】
高スチレンSBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40万以上、より好ましくは70万以上、更に好ましくは80万以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性等が得られる傾向がある。該Mwは、好ましくは180万以下、より好ましくは160万以下、更に好ましくは140万以下である。上限以下にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。
【0304】
高スチレンSBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。SBRは、非油展SBR、油展SBRのいずれでもよい。また、SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれでもよい。
【0305】
油展SBRは、SBRに対して伸展油を用いて油展したものである。SBRの油展に用いる伸展油としては、例えば、ナフテン系、パラフィン系、芳香族油展系等が挙げられる。油展の方法としては、例えば、重合終了後、伸展油を加え、従来公知の方法により脱溶媒及び乾燥する方法等が挙げられる。なお、伸展油の使用量は、SBR(ゴム固形分)100質量部に対し、5~70質量部が好ましく、10~50質量部がより好ましく、15~45質量部が更に好ましい。
【0306】
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
【0307】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0308】
変性SBRとして、特に下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたSBRが好適である。
【化11】
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。)
【0309】
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性SBRとしては、なかでも、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたSBR(特開2010-111753号公報に記載の変性SBR等)が好適に用いられる。
【0310】
、R及びRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。R及びRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、R及びRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
【0311】
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0312】
変性SBRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性SBRも好適に使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
【0313】
ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
【0314】
(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
【0315】
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドンN-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、
【0316】
N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なかでも、アルコキシシランにより変性された変性SBRが好ましい。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
【0317】
高スチレンSBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0318】
前記ゴム組成物において、高スチレンSBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、耐摩耗性等が得られる傾向がある。
【0319】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴム、高スチレンSBRと共に、他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。ゴム成分は、非変性ゴム、変性ゴムのいずれでもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能の観点から、BRが好ましい。
【0320】
BRは特に限定されず、例えば、前述のBRと同様のものを使用できる。
【0321】
前記ゴム組成物において、BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善される。
【0322】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0323】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは85m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0324】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは250ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは180ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0325】
カーボンブラックとして、前述のハイストラクチャーカーボンブラックも好適に使用できる。ハイストラクチャーカーボンブラックの好適なCOAN、NSA、900℃での揮発分量、1500℃での揮発分量、pHの範囲も同様である。
【0326】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0327】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0328】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0329】
シリカとして、前述の微粒子シリカも好適に使用できる。微粒子シリカの好適なNSAの範囲も同様である。
【0330】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。また、該シリカの含有量が120質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは180質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0331】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0332】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0333】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0334】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0335】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。また、該液体可塑剤の含有量が50質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましく110質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0336】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、前述の固体樹脂と同様のものを使用できる。
【0337】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0338】
(ファルネセン系樹脂)
前記ゴム組成物は、ファルネセン系樹脂を含有することが好ましい。ファルネセン系樹脂としては、前述のファルネセン系樹脂と同様のものを使用できる。ファルネセン系樹脂の好適なTg、Mw、溶融粘度、ファルネセンの含有量、ファルネセン及びビニルモノマーの合計含有量の範囲も同様である。
【0339】
前記ゴム組成物において、ファルネセン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、ファルネセン系樹脂配合により得られる性能の改善効果が充分に得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。50質量部以下であると、良好な低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。
【0340】
(テトラジン系化合物)
前記ゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物を含んでもよい。テトラジン系化合物としては、前述のテトラジン系化合物と同様のものを使用できる。
【0341】
前記ゴム組成物において、上記テトラジン系化合物の含有量(テトラジン系化合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0342】
(微粒子亜鉛担持体)
前記ゴム組成物には、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を配合してもよい。前記微粒子亜鉛担持体としては、前述のものと同様のものを使用できる。
【0343】
前記ゴム組成物において、前記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。該含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0344】
(アミド化合物)
前記ゴム組成物は、アミド化合物を含有することが好ましい。
アミド化合物としては、前述のアミド化合物と同様のものを使用できる。
【0345】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するアミド化合物の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0346】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0347】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0348】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0349】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0350】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様のワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0351】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記サマータイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0352】
前記サマータイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0353】
〔スタッドレスタイヤ〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のスタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)である。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムと特定シス-1,4-結合量のブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用しているため、低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0354】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第1のスタッドレスタイヤ。
【0355】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第2のスタッドレスタイヤ。
【0356】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、シス-1,4-結合量94.0質量%以上のブタジエンゴムと、カーボンブラックと、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したトレッドを有する第3のスタッドレスタイヤ。
【0357】
優れた低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、破壊特性、耐摩耗性、雪氷上性能等が向上する。
【0358】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0359】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムと特定シス-1,4-結合量のブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを併用することで、低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0360】
第1~第3のスタッドレスタイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0361】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、1質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に改善される。
【0362】
前記ゴム組成物は、ゴム成分として特定シス-1,4-結合量のブタジエンゴム(高シスBR)を含む。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0363】
上記高シスBRは、シス-1,4-結合量が94.0質量%以上、好ましくは95.0質量%以上、より好ましくは97.0質量%以上、更に好ましくは98.0質量%以上である。上記範囲内にすることで、耐摩耗性等が改善される傾向がある。
【0364】
上記高シスBRとしては、汎用の高シス含量のハイシスBR、希土類系触媒を用いて合成したBR(希土類BR)等が挙げられる。また、上記高シスBRとして、前述の変性BR(変性共役ジエン系重合体)も好適に使用できる。上記高シスBRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよい。
【0365】
前記ゴム組成物において、高シスBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、20質量%以上、好ましくは25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。上限は、64質量%以下、好ましくは55質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に改善される。
【0366】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0367】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは85m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0368】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは250ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは180ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0369】
カーボンブラックとして、前述のハイストラクチャーカーボンブラックも好適に使用できる。ハイストラクチャーカーボンブラックの好適なCOAN、NSA、900℃での揮発分量、1500℃での揮発分量、pHの範囲も同様である。
【0370】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0371】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、窒素吸着比表面積40m/g以上のシリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0372】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、ウェットグリップ性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0373】
シリカとして、前述の微粒子シリカも好適に使用できる。微粒子シリカの好適なNSAの範囲も同様である。
【0374】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは60質量部以上である。また、該シリカの含有量が120質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは180質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0375】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0376】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0377】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0378】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0379】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。また、該液体可塑剤の含有量が50質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましく100質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0380】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、前述の固体樹脂と同様のものを使用できる。
【0381】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0382】
(ファルネセン系樹脂)
前記ゴム組成物は、ファルネセン系樹脂を含有することが好ましい。ファルネセン系樹脂としては、前述のファルネセン系樹脂と同様のものを使用できる。ファルネセン系樹脂の好適なTg、Mw、溶融粘度、ファルネセンの含有量、ファルネセン及びビニルモノマーの合計含有量の範囲も同様である。
【0383】
前記ゴム組成物において、ファルネセン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、ファルネセン系樹脂配合により得られる性能の改善効果が充分に得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。50質量部以下であると、良好な低燃費性、耐摩耗性、雪氷上性能等が得られる傾向がある。
【0384】
(テトラジン系化合物)
前記ゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物を含んでもよい。テトラジン系化合物としては、前述のテトラジン系化合物と同様のものを使用できる。
【0385】
前記ゴム組成物において、上記テトラジン系化合物の含有量(テトラジン系化合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0386】
(微粒子亜鉛担持体)
前記ゴム組成物には、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を配合してもよい。前記微粒子亜鉛担持体としては、前述のものと同様のものを使用できる。
【0387】
前記ゴム組成物において、前記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。該含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0388】
(アミド化合物)
前記ゴム組成物は、アミド化合物を含有することが好ましい。
アミド化合物としては、前述のアミド化合物と同様のものを使用できる。
【0389】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するアミド化合物の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0390】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0391】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0392】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0393】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは7.0質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0394】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様のワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0395】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記スタッドレスタイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0396】
前記スタッドレスタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0397】
〔ベーストレッド〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のベーストレッドを有するタイヤである。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとシリカとを所定配合で併用しているため、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0398】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する第1のタイヤ。
【0399】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する第2のタイヤ。
【0400】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラックと、シリカとを所定配合で含むゴム組成物を用いて作製したベーストレッドを有する第3のタイヤ。
【0401】
優れた低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、耐破壊性能等が向上する。
【0402】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0403】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとシリカとを所定配合で併用することで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0404】
第1~第3のタイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0405】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、1質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善される。
【0406】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。ゴム成分は、非変性ゴム、変性ゴムのいずれでもよい。なかでも、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能の観点から、BRが好ましい。
【0407】
BRは特に限定されず、例えば、前述のBRと同様のものを使用できる。
【0408】
前記ゴム組成物において、BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善される。
【0409】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0410】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは85m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下、更に好ましくは200m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0411】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは100ml/100g以上、更に好ましくは110ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは250ml/100g以下、より好ましくは200ml/100g以下、更に好ましくは180ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0412】
カーボンブラックとして、前述のハイストラクチャーカーボンブラックも好適に使用できる。ハイストラクチャーカーボンブラックの好適なCOAN、NSA、900℃での揮発分量、1500℃での揮発分量、pHの範囲も同様である。
【0413】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは25質量部以上、更に好ましくは35質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは55質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0414】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、シリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0415】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは40m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0416】
シリカとして、前述の微粒子シリカも好適に使用できる。微粒子シリカの好適なNSAの範囲も同様である。
【0417】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは13質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。また、該シリカの含有量が120質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下、更に好ましくは180質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0418】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは40質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは55質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは220質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0419】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0420】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0421】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0422】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。また、該液体可塑剤の含有量が50質量部以上の配合でも良好な物性が得られる。上限は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましく90質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐破壊性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0423】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、前述の固体樹脂と同様のものを使用できる。
【0424】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0425】
(ファルネセン系樹脂)
前記ゴム組成物は、ファルネセン系樹脂を含有することが好ましい。ファルネセン系樹脂としては、前述のファルネセン系樹脂と同様のものを使用できる。ファルネセン系樹脂の好適なTg、Mw、溶融粘度、ファルネセンの含有量、ファルネセン及びビニルモノマーの合計含有量の範囲も同様である。
【0426】
前記ゴム組成物において、ファルネセン系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。1質量部以上であると、ファルネセン系樹脂配合により得られる性能の改善効果が充分に得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。50質量部以下であると、良好な低燃費性、耐破壊性能等が得られる傾向がある。
【0427】
(テトラジン系化合物)
前記ゴム組成物は、前記一般式(1)で表されるテトラジン系化合物を含んでもよい。テトラジン系化合物としては、前述のテトラジン系化合物と同様のものを使用できる。
【0428】
前記ゴム組成物において、上記テトラジン系化合物の含有量(テトラジン系化合物の総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0429】
(微粒子亜鉛担持体)
前記ゴム組成物には、珪酸塩粒子の表面に酸化亜鉛微粒子又は塩基性炭酸亜鉛微粒子を担持させた微粒子亜鉛担持体を配合してもよい。前記微粒子亜鉛担持体としては、前述のものと同様のものを使用できる。
【0430】
前記ゴム組成物において、前記微粒子亜鉛担持体の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.6質量部以上である。該含有量は、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.8質量部以下、更に好ましくは1.6質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0431】
(アミド化合物)
前記ゴム組成物は、アミド化合物を含有することが好ましい。
アミド化合物としては、前述のアミド化合物と同様のものを使用できる。
【0432】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量部に対するアミド化合物の含有量は、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0433】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0434】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.8質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0435】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましく、グアニジン系加硫促進剤がより好ましい。
【0436】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0437】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様のワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0438】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記ベーストレッドを有するタイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0439】
前記ベーストレッドを有するタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0440】
〔ブレーカー〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のブレーカーを有するタイヤである。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用しているため、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0441】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有する第1のタイヤ。
【0442】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有する第2のタイヤ。
【0443】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したブレーカーを有する第3のタイヤ。
【0444】
優れた低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、耐破壊性能等が向上する。
【0445】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0446】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用することで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0447】
第1~第3のタイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0448】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%でも良い。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善される。
【0449】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0450】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0451】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは30m/g以上、より好ましくは50m/g以上、更に好ましくは65m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは150m/g以下、より好ましくは120m/g以下、更に好ましくは100m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0452】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは30ml/100g以上、より好ましくは50ml/100g以上、更に好ましくは60ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは150ml/100g以下、より好ましくは110ml/100g以下、更に好ましくは90ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0453】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0454】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、シリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0455】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは40m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは120m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0456】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0457】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐破壊性能等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0458】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0459】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0460】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0461】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。上限は、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましく15質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐破壊性能等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0462】
(有機酸コバルト)
前記ゴム組成物は、有機酸コバルトを含むことが好ましい。有機酸コバルトは、ゴムとスチールブレーカーを架橋する役目を果たすため、有機酸コバルトを含有することにより、スチールブレーカーとゴムとの接着性を向上できる。
【0463】
上記有機酸コバルトとしては、例えば、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ホウ素3ネオデカン酸コバルト、アビチエン酸コバルトなどが挙げられる。なかでも、加工性(粘度)に優れ、加硫反応が進行しやすいという点から、ステアリン酸コバルトが好ましい。
【0464】
前記ゴム組成物において、有機酸コバルトの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、コバルト金属量に換算して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.08質量部以上である。該含有量は、好ましくは0.50質量部以下、より好ましくは0.30質量部以下、更に好ましくは0.20質量部以下である。上記範囲内にすることで、スチールブレーカーとゴムとの接着性が充分なものとなり、良好な耐亀裂成長性等が得られる傾向がある。
【0465】
(酸化亜鉛)
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含有することが好ましい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0466】
前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3.0質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上、更に好ましくは6.5質量部以上である。上限は、好ましくは15.0質量部以下、より好ましくは12.0質量部以下、更に好ましくは10.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善される。
【0467】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0468】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上である。上限は、好ましくは10.0質量部以下、より好ましくは8.0質量部以下、更に好ましくは6.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0469】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。
【0470】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が得られる傾向がある。
【0471】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様の固体樹脂、ファルネセン系樹脂、テトラジン系化合物、微粒子亜鉛担持体、アミド化合物、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0472】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記ブレーカーを有するタイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0473】
前記ブレーカーを有するタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【0474】
〔サイドウォール〕
(ゴム成分)
本発明は、以下の(1)~(3)のサイドウォールを有するタイヤである。特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用しているため、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される。
【0475】
(1)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、ポリマーの回転半径Rzが130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する第1のタイヤ。
【0476】
(2)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mw500万~5000万の領域のポリマーの回転半径Rzの平均値が130nm以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する第2のタイヤ。
【0477】
(3)FFF-MALSによって測定される重量平均分子量Mwが500万以上でかつ、重量平均分子量Mwの常用対数(logMw)に対するポリマーの回転半径Rzの常用対数(logRz)のプロットにおける重量平均分子量Mw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きが0.25以上であるロシアタンポポ由来天然ゴムと、カーボンブラック及び/又はシリカとを含むゴム組成物を用いて作製したサイドウォールを有する第3のタイヤ。
【0478】
優れた低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に(相乗的に)改善される理由(メカニズム)は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、Mwが高く、高分子量成分を多量に含んでいるため、ゴムの破壊強度等が高まる。また、該ロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含んでいるため、ポリマーのRzが大きい。従って、ポリマーのRzが大きいことに起因してポリマー/ポリマー間の絡み合いが増えること、ポリマー/フィラー間の接触確率が上がることでフィラーとの相互作用が増えること、により、補強性が向上し、耐屈曲亀裂成長性等が向上する。
【0479】
更に、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムは、ヘベア由来天然ゴムに比べて、分岐度が低く、直鎖状ポリマーを多く含むため、ポリマーの分子末端数が少ない。従って、自由分子末端が少なくなることで、ヒステリシスロスを生じる成分が少なくなるため、優れた低発熱性が得られる。
【0480】
そして、このようなロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用することで、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に(相乗的に)改善されるものと推察される。
【0481】
第1~第3のタイヤにおけるロシアタンポポ由来天然ゴムは、前述のロシアタンポポ由来天然ゴムと同様のものである。
【0482】
前記ゴム組成物において、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に改善される。
【0483】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。
【0484】
前記ゴム組成物は、前記ロシアタンポポ由来天然ゴムと共に他のゴム成分を使用してもよい。他のゴム成分としては、前記と同様のものが挙げられる。ゴム成分は、非変性ゴム、変性ゴムのいずれでもよい。なかでも、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能の観点から、BRが好ましい。
【0485】
BRは特に限定されず、例えば、前述のBRと同様のものを使用できる。
【0486】
前記ゴム組成物において、BRの含有量は、ゴム成分100質量%中、好ましくは10質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内にすることで、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に改善される。
【0487】
(カーボンブラック)
前記ゴム組成物は、カーボンブラックを含有する。
カーボンブラックとしては、前述のカーボンブラックと同様のものを使用できる。
【0488】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは35m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは80m/g以下、より好ましくは65m/g以下、更に好ましくは55m/g以下である。カーボンブラックのNSAが下限以上にすることで、優れた耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0489】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、好ましくは50ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上、更に好ましくは100ml/100g以上である。また、該DBPは、好ましくは150ml/100g以下、より好ましくは130ml/100g以下、更に好ましくは120ml/100g以下である。下限以上にすることで、優れた耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なカーボンブラック分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0490】
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。下限以上にすることで、良好な耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
【0491】
(シリカ)
前記ゴム組成物は、シリカを含有する。
シリカとしては、前述のシリカと同様のものを使用できる。
【0492】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは20m/g以上、より好ましくは30m/g以上、更に好ましくは40m/g以上である。また、該NSAは、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下、更に好ましくは120m/g以下である。下限以上にすることで、優れた耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0493】
前記ゴム組成物において、シリカの含有量(各種シリカの総量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0494】
前記ゴム組成物において、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。下限以上にすることで、優れた耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られ、優れた低燃費性が得られる傾向がある。
【0495】
(シランカップリング剤)
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤と同様のものを使用できる。また、前述のメルカプト系シランカップリング剤も好適に使用できる。
【0496】
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。また、該含有量は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限以上にすることで、分散性の改善等の効果が十分に得られる傾向がある。上限以下にすることで、充分なカップリング効果が得られ、良好な補強性が得られる傾向がある。
【0497】
(液体可塑剤)
前記ゴム組成物は、液体可塑剤(常温(25℃)で液体状態の可塑剤)を配合してもよい。液体可塑剤としては、前述の液体可塑剤と同様のものを使用できる。
【0498】
前記ゴム組成物において、液体可塑剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。上限は、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましく15質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐屈曲亀裂成長性等が得られる傾向がある。なお、液体可塑剤の含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイル(伸展油)の量も含まれる。また、オイルの含有量も同様の範囲が好適である。
【0499】
(固体樹脂)
前記ゴム組成物には、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態のポリマー)を配合してもよい。固体樹脂としては、前述の固体樹脂と同様のものを使用できる。
【0500】
前記ゴム組成物において、固体樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内であると、良好な低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が得られる傾向がある。
【0501】
(硫黄)
前記ゴム組成物は、硫黄を含有することが好ましい。
硫黄としては、前述の硫黄と同様のものを使用できる。
【0502】
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.2質量部以上である。上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは4.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が得られる傾向がある。
【0503】
(加硫促進剤)
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、前述の加硫促進剤と同様のものを使用できる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0504】
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。上限は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.0質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が得られる傾向がある。
【0505】
(他の成分)
前記ゴム組成物には、前述と同様のファルネセン系樹脂、テトラジン系化合物、微粒子亜鉛担持体、アミド化合物、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、他の配合剤(有機架橋剤等)を更に配合してもよい。
【0506】
前記ゴム組成物は、前述のゴム組成物と同様の製法で製造できる。
前記サイドウォールを有するタイヤは、前述のタイヤと同様の製法で製造できる。
【0507】
前記サイドウォールを有するタイヤとしては、空気入りタイヤ、エアレス(ソリッド)タイヤなどが挙げられるが、なかでも、空気入りタイヤが好ましい。
【実施例
【0508】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0509】
<製造例1:ロシアタンポポ由来天然ゴムA、B、Cの作製>
米国特許公開公報US2019/0048101A1、US2019/0046895A1に記載の抽出方法により、ロシアタンポポ由来天然ゴムA、B、Cを調製した。
【0510】
上記製造例で製造されたロシアタンポポ由来天然ゴムA~C、ヘベア由来天然ゴム(TSR20)、合成イソプレンゴム(合成IR:JSR製IR2200)について、FFF-MALSによって測定されるMw及びMw/Mn、ポリマーのRz、Mw500万~5000万の領域のポリマーのRzの平均値、logMwに対するlogRzのプロット(Mw500万~5000万の領域)の一次回帰直線の傾き、を表1に示す。なお、それぞれの測定方法は、以下のとおりである。
【0511】
(FFF-MALSによるMw、Mn、ポリマーのRzの測定)
THF中に、ゴムサンプルを溶液中のゴム濃度が0.2質量%となるように添加した。1週間振とうさせた後、得られた溶液を、PTFE製のフィルター(孔径1.0又は5.0μm)を用いてろ過した。ろ液をFFF-MALSにより測定・分析した。
なお、使用したFFF装置、MALS検出器、RI検出器の仕様は、以下のとおりである。
FFF装置:Postnova社製TF2000(測定条件:移動相にはTHFを用い、流速は0.3mL/minとした)
MALS検出器:Postnova社のPN3150(測定条件:7°~168°の計21角度で検出した)
RI検出器:Postnova社のPN3621(測定条件:検出器温度は37℃とした)
装置の配管の連結方法:FFF装置-MALS検出器-RI検出器の順に連結
【0512】
(Mw500万~5000万の領域のポリマーのRzの平均値の測定)
FFF-MALSで得られた各Mw、各Rzの値に基いて、Mw500万~5000万の領域のポリマーのRzの平均値の平均値を算出した。なお、(Mw,Rz)は、FFF-MALSにおいて2秒毎にデータを取得し、合計300~400個のデータを入手した。
【0513】
(logMw-logRzのプロット図のMw500万~5000万の領域の一次回帰直線の傾きの測定)
FFF-MALSで得られた各Mw、各Rzを用いて、logMw-logRzのプロット図を作製した。この図のMw500万~5000万の領域のデータについて、最小二乗法を用いて一次回帰直線を求め、その傾きを決定した。
【0514】
【表1】
【0515】
<製造例2:微粒子亜鉛担持体の合成>
5.5質量%濃度の焼成クレー水懸濁液847mlに、酸化亜鉛を91.5g加えて十分に攪拌した。ついで、10質量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を330gと、10質量%塩化亜鉛水溶液を340g加えてさらに攪拌した。これに30質量%濃度の炭酸ガスを、pHが7以下になるまで吹き込んで、焼成クレーの表面に塩基性炭酸亜鉛を析出させて微粒子亜鉛担持体を合成した。その後、脱水、乾燥、粉砕工程を経て粉末化し、微粒子亜鉛担持体を得た。
微粒子亜鉛担持体のBET比表面積は50m/gであった。また、微粒子亜鉛担持体においては、焼成クレーに塩基性炭酸亜鉛が金属亜鉛として45質量%担持されていた。従って、担持された塩基性炭酸亜鉛のBET比表面積は60m/gであった。
【0516】
<製造例3-1、3-2:カーボンブラックB、Cの製造>
空気導入ダクトと燃焼バーナーを備える内径1100mm、長さ1700mmの燃焼帯域、該燃焼帯域から連接され、周辺から原料ノズルを貫通接続した内径175mm、長さ1050mmの狭径部からなる原料導入帯域、クエンチ装置を備えた内径400mm、長さ3000mmの後部反応帯域を順次接合したカーボンブラック反応炉を用い、燃料油にD重油、及び原料炭化水素(原料油)にクレオソート油を使用し、表2に示す各条件によりカーボンブラックを製造した。
次いで、製造したカーボンブラックに対して、酸素を流通しない条件下(窒素ガス雰囲気下)で表2に示す条件により熱処理を行った。
製造例3-1、3-2で得られたカーボンブラックB、Cの各種特性を表3に示した。
【0517】
【表2】
【0518】
【表3】
【0519】
<製造例4-1(共役ジエン系重合体の合成)>
予め、0.18ミリモルのバーサチック酸ネオジムを含有するシクロヘキサン溶液、3.6ミリモルのメチルアルモキサンを含有するトルエン溶液、6.7ミリモルの水素化ジイソブチルアルミニウムを含有するトルエン溶液、及び、0.36ミリモルのトリメチルシリルアイオダイドを含有するトルエン溶液と1,3-ブタジエン0.90ミリモルを30℃で60分間反応熟成させて得られる触媒組成物(ヨウ素原子/ランタノイド含有化合物(モル比)=2.0)を得た。続いて、シクロヘキサン2.4kg、1,3-ブタジエン300gを窒素置換された5Lオートクレーブに投入した。そして、上記触媒組成物を上記オートクレーブに投入し、30℃で2時間、重合反応させて、重合体溶液を得た。なお、投入した1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。
【0520】
ここで、共役ジエン系重合体(以下、「重合体」とも称する。)、すなわち、変性前のものの各種物性値を測定するため、上記重合体溶液から200gの重合体溶液を抜き取り、この重合体溶液に2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加し、重合反応を停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を重合体とした。
【0521】
重合体の各種物性値は、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が12、分子量分布(Mw/Mn)が1.6、シス-1,4-結合量が99.2質量%、1,2-ビニル結合量が0.21質量%であった。
【0522】
<製造例4-2(変性共役ジエン系重合体の合成)>
変性共役ジエン系重合体(以下、「変性重合体」とも称する。)を得るために、製造例4-1の共役ジエン系重合体の重合体溶液に次の処理を行った。温度30℃に保持した重合体溶液に、1.71ミリモルの3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間反応させて反応溶液を得た。それから、この反応溶液に1.71ミリモルの3-アミノプロピルトリエトキシシランを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。続いて、この反応溶液に1.28ミリモルのテトライソプロピルチタネートを含有するトルエン溶液を添加し、30分間撹拌した。その後、重合反応を停止させるため、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールを1.5g含むメタノール溶液を添加して、この溶液を変性重合体溶液とした。収量は2.5kgであった。続いて、この変性重合体溶液に、水酸化ナトリウムによりpH10に調整した水溶液20Lを添加し、110℃で2時間、脱溶媒とともに縮合反応させた。その後、110℃のロールで乾燥して、得られた乾燥物を変性重合体とした。
【0523】
変性重合体の各種物性値は、ムーニー粘度(ML1+4,125℃)が46、分子量分布(Mw/Mn)が2.4、コールドフロー値が0.3mg/分、経時安定性が2、ガラス転移温度が-106℃であった。
【0524】
<製造例5:油展変性ジエン系重合体(SBR3)の製造>
内容積10リットルで、底部に入口、頭部に出口を有し、攪拌機及びジャケットを付けたオートクレーブを反応器として2基直列に連結し、ブタジエン、スチレン、シクロヘキサンを各々所定の比率で混合した。この混合溶液を、活性アルミナを充填した脱水カラムを経由し、不純物を除去するためにn-ブチルリチウムをスタティックミキサー中で混合した後、1基目の反応器底部より連続的に供給し、さらに極性物質として2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパンを、重合開始剤としてn-ブチルリチウムを所定の速度でそれぞれ1基目の反応器底部より連続的に供給し、反応器内温を95℃に保持した。反応器頭部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目の反応器へ供給した。2基目の反応器の温度を95℃に保ち、変性剤としてテトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(単量体)と、オリゴマー成分との混合物を所定の速度でシクロヘキサン1000倍希釈液として連続的に加えて変性反応を行なった。この重合体溶液を反応器から連続的に抜き出し、スタティックミキサーで連続的に酸化防止剤を添加し、更にこの重合体溶液に重合体100質量部に対しジャパンエナジー製伸展油NC140を25質量部加えて混合した後、溶媒を除去し目的とする油展変性ジエン系重合体(SBR3)を得た。
【0525】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
(ゴム成分)
ロシアタンポポ由来天然ゴムA~C:前記製造例1
ヘベア由来天然ゴム:TSR20
合成イソプレンゴム(合成IR):JSR製IR2200
変性共役ジエン系重合体:前記製造例4-2
SBR1:JSR(株)製のSBR1502(スチレン含有量23.5質量%、ビニル含有量16質量%、非油展)
SBR2:Dow Chemical社製のSLR6430(スチレン含有量40質量%、ビニル含有量24質量%、Mw136万、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
SBR3:前記製造例5で合成した変性SBR(スチレン含有量38質量%、ビニル含有量39質量%、Mw80万、Tg-25℃、ゴム固形分100質量部に対してオイル分25質量部含有する油展ゴム)
BR:宇部興産(株)製BR150B(シス含量98質量%)
(シリカ)
シリカA:ソルベイジャパン(株)製の115GR(NSA115m/g)
シリカB:エボニック社製のVN3(NSA175m/g)
シリカC:エボニック社製の9100GR(NSA235m/g)
シリカD:エボニックデグザ社製のウルトラジル360(NSA50m/g)
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤B:Momentive社製のNXT(3-オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン)
シランカップリング剤C:Momentive社製のNXT-Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%))
(カーボンブラック)
カーボンブラックA:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(NSA96m/g、DBP吸収量124ml/100g)
カーボンブラックB:前記製造例3-1
カーボンブラックC:前記製造例3-2
カーボンブラックD:三菱化学(株)製のダイアブラックN326(NSA84m/g、DBP吸油量74ml/100g)
カーボンブラックE:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(NSA41m/g、DBP吸収量115ml/100g)
(固体樹脂(レジン))
レジンA:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX1150N(ポリテルペン(β-ピネン樹脂)、軟化点115℃)
レジンB:ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターT160(テルペンフェノール樹脂、軟化点160℃)
レジンC:丸善石油化学(株)製のマルカレッツM-890A(ジシクロペンタジエン系樹脂、軟化点105℃)
レジンD:荒川化学工業(株)製のパインクリスタルKR-85(ロジン系樹脂、軟化点80~87℃)
レジンE:アリゾナケミカル社製のSYLVARES SA85(α-メチルスチレン及びスチレンの共重合体、軟化点85℃)
(液体可塑剤)
オイル:JXTGエネルギー(株)製のX-140(芳香族系プロセスオイル)
(ファルネセン系樹脂)
ファルネセン系樹脂A:(株)クラレ製のKB-101(ファルネセン単独重合体、Mw10000、溶融粘度0.7Pa・s、Tg-72℃)
ファルネセン系樹脂B:(株)クラレ製のFSR-221(ファルネセン-スチレン共重合体、Mw10000、質量基準の共重合比ファルネセン/スチレン=77/23、溶融粘度5.7Pa・s、Tg-54℃)
ファルネセン系樹脂C:(株)クラレ製のFBR-746(ファルネセン-ブタジエン共重合体、Mw100000、質量基準の共重合比ファルネセン/ブタジエン=60/40、溶融粘度603Pa・s、Tg-78℃)
(老化防止剤)
老化防止剤1:住友化学(株)製のアンチゲン3C(N-フェニル-N’-イソプロピル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン(6PPD))
(ステアリン酸)
ステアリン酸:日油(株)製の椿
(有機酸コバルト)
ステアリン酸コバルト:大日本インキ化学工業(株)製のcost-F(コバルト含有量9.5質量%)
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
(微粒子亜鉛担持体)
微粒子亜鉛担持体:前記製造例2
(ワックス)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN(パラフィンワックス)
(アミド化合物)
アミド化合物:ストラクトール社製のWB16(脂肪酸カルシウム、脂肪酸アミド及び脂肪酸アミドエステルの混合物、灰分割合4.5%)
(硫黄)
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
(加硫促進剤)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS))
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
加硫促進剤3:大内新興化学工業(株)製のノクセラーDZ(N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ))
(テトラジン系化合物)
テトラジン系化合物A:上記式(1-1-1)で表される化合物
テトラジン系化合物B:上記式(1-2-1)で表される化合物
【0526】
<実施例及び比較例>
〔重荷重用タイヤ〕
表4-1~4-8に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、シート状の未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、シート状の加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃で30分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:11R22.5)を製造した。
【0527】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表4-1~4-8に示す。各基準比較例(指数100)は、比較例1-1a~比較例1-8aである。
【0528】
<耐摩耗性>
試験用タイヤを国産2-D車に装着し、走行距離5万km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、下記の式により指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好である。
(耐摩耗性指数)=(各配合の走行距離)/(基準比較例の走行距離)×100
【0529】
<ウェットグリップ性能>
以下の試験により、試験用タイヤのウェットグリップ性能を評価した。
(WET旋回性能指数)
場所:住友ゴム工業(株)岡山テストコース
方法:湿潤状態にある半径30mのコースを1周するときのラップタイムを基準比較例との比の逆数で表した。基準比較例を100とし、数値が大きいほど、ウェットグリップ性能が良好である。
【0530】
<低燃費性>
シート状の加硫ゴム組成物から幅1mm又は2mm、長さ40mmの短冊状試験片を打ち抜き、試験に供した。測定は、粘弾性測定装置((株)上島製作所製)によって、歪み1%及び周波数10Hzの条件下で、温度50℃での試験片の損失正接(tanδ(50℃))を測定し、基準比較例のtanδの逆数を100として、指数表示した。指数が大きいほど低燃費性に優れる。
【0531】
【表4-1】
【0532】
【表4-2】
【0533】
【表4-3】
【0534】
【表4-4】
【0535】
【表4-5】
【0536】
【表4-6】
【0537】
【表4-7】
【0538】
【表4-8】
【0539】
各表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとを所定配合で併用した実施例は、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善された。
【0540】
<実施例及び比較例>
〔オールシーズンタイヤ〕
表5-1~5-10に示す配合処方に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、2.1mmのシート状に成形し、150℃で30分間加硫し、2mmの加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃で30分間加硫し、試験用タイヤ(オールシーズンタイヤ)を製造した。
【0541】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表5-1~5-10に示す。各基準比較例(指数100)は、比較例2-1a~比較例2-10aである。
【0542】
<耐摩耗性>
各試験用タイヤを国産FF車に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し下記の式により指数化した。指数が大きいほど、耐摩耗性が良好である。
耐摩耗性指数=(各配合のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
【0543】
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数字が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。指数は次の式で求めた。
(ウェットグリップ性能指数)=(基準比較例の制動距離)/(各配合例の制動距離)×100
【0544】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好(低燃費)である。
【0545】
【表5-1】
【0546】
【表5-2】
【0547】
【表5-3】
【0548】
【表5-4】
【0549】
【表5-5】
【0550】
【表5-6】
【0551】
【表5-7】
【0552】
【表5-8】
【0553】
【表5-9】
【0554】
【表5-10】
【0555】
各表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用した実施例は、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善された。
【0556】
<実施例及び比較例>
〔サマータイヤ〕
表6-1~6-10に示す配合処方に従って、1.7Lバンバリーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を混練りした。次に、ロールを用いて、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、2.1mmのシート状に成形し、150℃で30分間加硫し、2mmの加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃で30分間加硫し、試験用タイヤ(乗用車用サマータイヤ)を製造した。
【0557】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表6-1~6-10に示す。各基準比較例(指数100)は、比較例3-1a~比較例3-10aである。
【0558】
<耐摩耗性>
各試験用タイヤを国産FF車に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し下記の式により指数化した。指数が大きいほど、耐摩耗性が良好である。
耐摩耗性指数=(各配合のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)/(基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離)×100
【0559】
<ウェットグリップ性能>
各試験用タイヤを車両(国産FF2000cc)の全輪に装着して、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求めた。結果は指数で表し、数字が大きいほどウェットグリップ性能が良好である。指数は次の式で求めた。
(ウェットグリップ性能指数)=(基準比較例の制動距離)/(各配合例の制動距離)×100
【0560】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、各試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数は大きい方が良好(低燃費)である。
【0561】
【表6-1】
【0562】
【表6-2】
【0563】
【表6-3】
【0564】
【表6-4】
【0565】
【表6-5】
【0566】
【表6-6】
【0567】
【表6-7】
【0568】
【表6-8】
【0569】
【表6-9】
【0570】
【表6-10】
【0571】
各表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムと特定スチレン含有量のスチレンブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用した実施例は、低燃費性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能の総合性能が顕著に改善された。
【0572】
<実施例及び比較例>
〔スタッドレスタイヤ〕
表7-1~7-10に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で10分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をキャップトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃の条件下で10分間プレス加硫して試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を得た。
【0573】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表7-1~7-10に示す。各基準比較例(指数100)は、比較例4-1a~比較例4-10aである。
【0574】
<耐摩耗性>
加硫ゴム組成物について、(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用い、表面回転速度50m/分、付加荷重3.0kg、落砂量15g/分でスリップ率20%の条件下にて、摩耗量を測定し、該摩耗量の逆数を算出した。基準比較例の摩耗量の逆数を100とし、他の配合の摩耗量の逆数を指数で表した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
【0575】
<雪氷上性能>
各試験用スタッドレスタイヤを用いて、下記の条件で氷上での実車性能を評価した。試験場所は、住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで行い、気温は0~-5℃であった。試験用タイヤを国産2000ccのFR車に装着し、時速30km/hでロックブレーキを踏み停止させるまでに要した氷上の停止距離を測定した。基準比較例をリファレンスとして、下記式から指数表示した。指数が大きいほど、雪氷上性能に優れることを示す。
(雪氷上性能)=(基準比較例の制動停止距離)/(各配合の停止距離)×100
【0576】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、試験用スタッドレスタイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100としたときの指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
【0577】
【表7-1】
【0578】
【表7-2】
【0579】
【表7-3】
【0580】
【表7-4】
【0581】
【表7-5】
【0582】
【表7-6】
【0583】
【表7-7】
【0584】
【表7-8】
【0585】
【表7-9】
【0586】
【表7-10】
【0587】
各表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムと特定シス-1,4-結合量のブタジエンゴムとカーボンブラックと特定窒素吸着比表面積のシリカとを所定配合で併用した実施例は、低燃費性、耐摩耗性及び雪氷上性能の総合性能が顕著に改善された。
【0588】
<実施例及び比較例>
〔ベーストレッド〕
表8-1~8-10に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をベーストレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
【0589】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表8-1~8-10に示す。各基準比較例(指数100)は、比較例5-1a~比較例5-10aである。
【0590】
<耐破壊強度>
加硫ゴムシート(加硫ゴム組成物)について、JIS K 6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。TB×EB/2の数値を耐破壊強度として、基準比較例の耐破壊強度を100とした指数で示した。指数が大きいほど耐破壊強度に優れる。
【0591】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
【0592】
【表8-1】
【0593】
【表8-2】
【0594】
【表8-3】
【0595】
【表8-4】
【0596】
【表8-5】
【0597】
【表8-6】
【0598】
【表8-7】
【0599】
【表8-8】
【0600】
【表8-9】
【0601】
【表8-10】
【0602】
各表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラックとシリカとを所定配合で併用した実施例は、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善された。
【0603】
<実施例及び比較例>
〔ブレーカー〕
表9に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を170℃で20分間、0.5mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物でスチールコードを被覆し、ブレーカーの形状に成形した後、他のタイヤ部材と貼り合わせ、150℃で30分間加硫することにより、試験用タイヤを得た。
【0604】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表9に示す。基準比較例(指数100)は、比較例6-1である。
【0605】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
【0606】
<耐破壊強度>
加硫ゴムシートについて、JIS K 6251に準じて3号ダンベルを用いて引張り試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)(%)を測定した。TB×EB/2の数値を耐破壊強度として、基準比較例の耐破壊強度を100とした指数で示した。指数が大きいほど耐破壊強度に優れる。
【0607】
【表9】
【0608】
表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用した実施例は、低燃費性及び耐破壊性能の総合性能が顕著に改善された。
【0609】
<実施例及び比較例>
〔サイドウォール〕
表10に示す配合内容に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練して混練物を得た。次に、得られた混練物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて混練して未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を、150℃で30分間、1mm厚の金型でプレスし、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォールドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
【0610】
得られた加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)及び試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表10に示す。基準比較例(指数100)は、比較例7-1である。
【0611】
<低燃費性>
転がり抵抗試験機を用い、試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)で走行させたときの転がり抵抗を測定し、基準比較例を100とした時の指数で表示した。指数が大きいほど転がり抵抗が小さく、低燃費性に優れることを示している。
【0612】
<耐屈曲亀裂成長性>
加硫ゴムシート(加硫物)を用い、JIS-K-6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してゴムシートを屈曲させた後、発生した亀裂の長さを測定した。基準比較例の測定値(長さ)の逆数を100とし、指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
【0613】
【表10】
【0614】
表から、本願特定のロシアタンポポ由来天然ゴムとカーボンブラック及び/又はシリカとを併用とを併用した実施例は、低燃費性及び耐屈曲亀裂成長性の総合性能が顕著に改善された。