(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
F15B 11/17 20060101AFI20230905BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20230905BHJP
F15B 11/042 20060101ALI20230905BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230905BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
F15B11/17
F15B11/08 A
F15B11/042
E02F9/20 Q
E02F9/22 K
E02F9/22 C
(21)【出願番号】P 2019108012
(22)【出願日】2019-06-10
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】平岡 京
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄一郎
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-027261(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054365(WO,A1)
【文献】特開2005-083427(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02653619(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20; 9/22
F15B 11/042;11/08;11/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に取り付けられる作業アタッチメントと、
油が供給されることで駆動し、前記作業アタッチメントを作動させる作業アクチュエータと、
油が供給されることで駆動し、前記下部走行体に対して前記上部旋回体を旋回させる旋回モータと、
前記作業アクチュエータに油を供給可能な第1ポンプと、
前記第1ポンプとは別に設けられ、前記作業アクチュエータおよび前記旋回モータのそれぞれに油を供給可能である第2ポンプと、
前記第1ポンプと前記作業アクチュエータとの間に設けられ、前記作業アクチュエータを一方向に作動させるための作業指令に応じて、前記第1ポンプから前記作業アクチュエータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能な第1作業アクチュエータ制御弁と、
前記第2ポンプと前記作業アクチュエータとの間に設けられ、前記作業指令に応じて、前記第2ポンプから前記作業アクチュエータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能な第2作業アクチュエータ制御弁と、
前記第2ポンプと前記旋回モータとの間に設けられ、前記旋回モータを作動させるための旋回指令に応じて、前記第2ポンプから前記旋回モータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能な旋回制御弁と、
前記作業アクチュエータを前記一方向に作動させるための作業操作の量である作業操作量に応じて、前記第1作業アクチュエータ制御弁および前記第2作業アクチュエータ制御弁のそれぞれに前記作業指令を出力する作業操作部と、
前記旋回モータを作動させるための旋回操作に応じて、前記旋回制御弁に前記旋回指令を出力する旋回操作部と、
コントローラと、
を備え、
前記作業操作量が減らされたときに前記第1作業アクチュエータ制御弁が開いた状態から閉じた状態に切り換わる前記作業操作量であるとともに、前記作業操作量が増やされたときに前記第1作業アクチュエータ制御弁が閉じた状態から開いた状態に切り換わる前記作業操作量を、第1操作量とし、
前記作業操作量が減らされたときに前記第2作業アクチュエータ制御弁が開いた状態から閉じた状態に切り換わる前記作業操作量であるとともに、前記作業操作量が増やされたときに前記第2作業アクチュエータ制御弁が閉じた状態から開いた状態に切り換わる前記作業操作量を、第2操作量としたとき、
前記コントローラは、
前記作業操作および前記旋回操作のいずれも行われていない状態から、前記旋回操作および前記作業操作が同時に行われる複合操作状態に変わる場合に、または、前記作業操作が行われ、かつ、前記旋回操作が行われていない場合に、非同期制御を行
い、
前記非同期制御は、前記第2操作量を前記第1操作量よりも大きくする制御であり、
前記コントローラは、前記旋回操作と前記作業操作とが同時に行われている
前記複合操作状態から、前記旋回操作が行われ前記作業操作が行われない状態に変化する場合に、同期制御を行い、
前記同期制御は、
前記第1操作量と前記第2操作量とを同等にする制御である、
作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械であって、
前記第2作業アクチュエータ制御弁に入力される前記作業指令は、パイロット圧による指令であり、
前記作業操作部から前記第2作業アクチュエータ制御弁に入力される前記作業指令を、前記コントローラから入力される制限指令に応じて、前記第2作業アクチュエータ制御弁の開度が小さくなる側に制限する制限弁を備え、
前記コントローラは、前記非同期制御を行うときの前記制限弁による制限よりも、前記同期制御を行うときの前記制限弁による制限が小さくなるように、前記制限指令を前記制限弁に出力する、
作業機械。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業機械であって、
前記作業アタッチメントは、前記上部旋回体に起伏可能に取り付けられるブームを備え、
前記作業アクチュエータは、前記上部旋回体に対して前記ブームを起伏させるブームシリンダを備え、
前記作業アクチュエータの前記一方向への作動は、前記上部旋回体に対して前記ブームを上げるための前記ブームシリンダの伸張である、
作業機械。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機械であって、
前記コントローラは、前記複合操作状態において前記旋回モータを減速させる旋回減速操作が行われている状態から、前記旋回減速操作が行われるとともに前記作業操作が行われない状態に変化する場合に、前記同期制御を行う、
作業機械。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機械であって、
前記コントローラは、前記旋回操作の操作量が、前記旋回操作の操作量に関する閾値である減速閾値よりも大きい状態から小さい状態に変化した場合に、前記旋回減速操作が行われていると判定する、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回モータを有する作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1などに、従来の作業機械が記載されている。特許文献1(同文献の
図1参照)に記載の発明は、第1ポンプと、第2ポンプと、を有している。第1ポンプが吐出した油は、第1作業アクチュエータ制御弁(同文献におけるブーム用方向切換弁)を通って作業アクチュエータ(同文献におけるブームシリンダ)に供給される。第2ポンプが吐出した油は、旋回モータに供給される。また、第2ポンプが吐出した油は、第2作業アクチュエータ制御弁(同文献におけるブーム合流弁)を通って作業アクチュエータに供給される場合がある。同文献には、作業アクチュエータを作動させる操作(同文献ではブーム上げ操作)が行われる場合に、第1ポンプおよび第2ポンプからの油を合流させて作業アクチュエータに供給することが記載されている(同文献の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同文献に記載の発明において、旋回モータを作動させる旋回操作と、作業アクチュエータを作動させる作業操作と、が同時に行われている複合操作状態のときに、作業操作の操作量が減らされる(例えば作業操作用の操作レバーが戻される)場合がある。この場合、作業操作の操作量が減る過程で、作業操作の操作量がゼロになる前に(例えば操作レバーが中立状態になる前に)、第1ポンプから作業アクチュエータに供給される油への、第2ポンプから作業アクチュエータに供給される油の合流が解除されるとする。すると、油の合流が解除されるまで第2ポンプから作業アクチュエータに流れていた油が、旋回モータに流れる。すると、操作者の意図しないタイミングで、旋回モータの角加速度が増加するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、操作者の意図しないタイミングで、作業アクチュエータに供給される油の合流が解除され、旋回モータの角加速度が増加してしまうことを抑制できる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
作業機械は、下部走行体と、上部旋回体と、作業アタッチメントと、作業アクチュエータと、旋回モータと、第1ポンプと、第2ポンプと、第1作業アクチュエータ制御弁と、第2作業アクチュエータ制御弁と、旋回制御弁と、作業操作部と、旋回操作部と、コントローラと、を備える。前記上部旋回体は、前記下部走行体に旋回可能に搭載される。前記作業アタッチメントは、前記上部旋回体に取り付けられる。前記作業アクチュエータは、油が供給されることで駆動し、前記作業アタッチメントを作動させる。前記旋回モータは、油が供給されることで駆動し、前記下部走行体に対して前記上部旋回体を旋回させる。前記第1ポンプは、前記作業アクチュエータに油を供給可能である。前記第2ポンプは、前記第1ポンプとは別に設けられ、前記作業アクチュエータおよび前記旋回モータのそれぞれに油を供給可能である。前記第1作業アクチュエータ制御弁は、前記第1ポンプと前記作業アクチュエータとの間に設けられる。前記第1作業アクチュエータ制御弁は、前記作業アクチュエータを一方向に作動させるための作業指令に応じて、前記第1ポンプから前記作業アクチュエータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。前記第2作業アクチュエータ制御弁は、前記第2ポンプと前記作業アクチュエータとの間に設けられる。前記第2作業アクチュエータ制御弁は、前記作業指令に応じて、前記第2ポンプから前記作業アクチュエータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。前記旋回制御弁は、前記第2ポンプと前記旋回モータとの間に設けられ、前記旋回モータを作動させるための旋回指令に応じて、前記第2ポンプから前記旋回モータに供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。前記作業操作部は、前記作業アクチュエータを前記一方向に作動させるための作業操作の量である作業操作量に応じて、前記第1作業アクチュエータ制御弁および前記第2作業アクチュエータ制御弁のそれぞれに前記作業指令を出力する。前記旋回操作部は、前記旋回モータを作動させるための旋回操作に応じて、前記旋回制御弁に前記旋回指令を出力する。前記コントローラは、前記第1作業アクチュエータ制御弁が開閉し始める前記作業操作量よりも大きい前記作業操作量になったときに、前記第2作業アクチュエータ制御弁が開閉し始めるようにする非同期制御を行う場合がある。前記コントローラは、前記旋回操作と前記作業操作とが同時に行われている複合操作状態から、前記旋回操作が行われ前記作業操作が行われない状態に変化する場合に、同期制御を行う。前記同期制御は、前記第1作業アクチュエータ制御弁を閉じる前記作業操作量と、前記第2作業アクチュエータ制御弁を閉じる前記作業操作量と、が同等になるように、前記第2作業アクチュエータ制御弁に入力される前記作業指令を設定する制御である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、操作者の意図しないタイミングで、作業アクチュエータに供給される油の合流が解除され、旋回モータの角加速度が増加してしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図1に示す作業機械の油圧回路を示す図である。
【
図3】
図2に示すブーム上げ操作部71の操作量と、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52の開度と、の関係を示すグラフである。
【
図4】
図2に示す旋回操作部77の操作量の時間変化を示すグラフである。
【
図5】
図2に示すコントローラ90から比例弁61への指令値の算出を示すフローチャートである。
【
図6】
図2に示すブーム上げ操作部71の操作量と、比例弁61への指示電流Irと、の関係を示すグラフである。
【
図7】
図2に示す旋回操作部77の操作量と、比例弁61への指示電流Isと、の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1~
図7を参照して、作業機械1について説明する。
【0010】
作業機械1は、作業を行う機械である。作業機械1は、例えば建設作業を行う建設機械であり、ショベルでもよく、クレーンでもよい。作業機械1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、作業アタッチメント装置15と、油圧制御装置20(
図2参照)と、を備える。
【0011】
下部走行体11は、作業機械1を走行させる。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13は、作業機械1の操作者が運転を行うための運転室13aなどを備える。
【0012】
作業アタッチメント装置15は、作業を行う装置(作業装置)である。作業アタッチメント装置15は、上部旋回体13に取り付けられる。作業アタッチメント装置15は、ブーム15aと、アーム15bと、バケット15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏(上下に回転)可能に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに回転可能に取り付けられる。バケット15cは、アーム15bに回転可能に取り付けられる。
【0013】
油圧制御装置20(
図2参照)は、作業機械1の作動を制御する装置であり、油圧回路などを含む。
図2に示すように、油圧制御装置20は、ポンプ30と、アクチュエータ40と、制御弁50と、比例弁61と、操作部70と、操作量センサ80と、コントローラ90と、を備える。
【0014】
ポンプ30は、油(作動油、駆動油、圧油)を吐出する。ポンプ30は、駆動源であるエンジン(図示なし)に接続され、エンジンが出力する動力により駆動されることで、油を吐出する。ポンプ30は、2系統以上設けられる。ポンプ30は、第1ポンプ31と、第1ポンプ31とは別に設けられる第2ポンプ32と、を備える。第1ポンプ31は、後述するブームシリンダ41(作業アクチュエータ)に油を供給可能である。第2ポンプ32は、ブームシリンダ41および後述する旋回モータ47のそれぞれに油を供給可能である。第2ポンプ32は、ブームシリンダ41および旋回モータ47に、同時に(並行して)油を供給する場合がある。
【0015】
アクチュエータ40は、作業機械1を作動させる。アクチュエータ40は、油が供給されることで駆動する油圧アクチュエータである。アクチュエータ40は、作業アクチュエータ群40aと、旋回モータ47と、を備える。
【0016】
作業アクチュエータ群40aは、作業アタッチメント装置15(
図1参照)を作動させる。作業アクチュエータ群40aは、複数の油圧シリンダ(伸縮シリンダ)を備え、ブームシリンダ41と、アームシリンダ43と、バケットシリンダ45と、を備える。
【0017】
ブームシリンダ41(作業アクチュエータ)は、
図1に示す上部旋回体13に対してブーム15aを起伏(上下に回転)させる。ブームシリンダ41の数は、1でもよく、複数でもよい(アームシリンダ43およびバケットシリンダ45も同様)。
図2に示すように、ブームシリンダ41は、ヘッド室41aと、ロッド室41bと、を備える。ヘッド室41aに油が供給され、ロッド室41bから油が排出されると、ブームシリンダ41が伸びる。ブームシリンダ41が伸びることで、ブーム15a(
図1参照)が上げられる(「ブーム上げ」という)。ロッド室41bに油が供給され、ヘッド室41aから油が排出されると、ブームシリンダ41が縮む。ブームシリンダ41が縮むことで、ブーム15a(
図1参照)が下げられる。
【0018】
アームシリンダ43は、
図1に示すブーム15aに対してアーム15bを回転させる。アームシリンダ43は、ブームシリンダ41と同様のヘッド室およびロッド室を備える(バケットシリンダ45も同様)。バケットシリンダ45は、アーム15bに対してバケット15cを回転させる。
【0019】
(作業アタッチメント、作業アクチュエータ)
ここで、作業アタッチメント装置15(ブーム15a、アーム15b、およびバケット15c)のいずれかを、「作業アタッチメント」とする。作業アクチュエータ群40a(ブームシリンダ41、アームシリンダ43、およびバケットシリンダ45)のうち、作業アタッチメントを駆動するものを、「作業アクチュエータ」とする。以下では、作業アタッチメントをブーム15aとし、作業アクチュエータをブームシリンダ41とする。以下の説明におけるブーム15aを、作業アタッチメントに読み替えてもよく、ブームシリンダ41を作業アクチュエータに読み替えてもよい。
【0020】
旋回モータ47(
図2参照)は、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させる。
図2に示すように、旋回モータ47は、第2ポンプ32から油が供給されることで駆動する、油圧モータである。
【0021】
制御弁50(コントロールバルブ)は、ポンプ30とアクチュエータ40との間(油路における間、以下の「間」について同様)に設けられる。制御弁50は、ポンプ30の吐出油の流れの方向および流量を制御する。制御弁50は、作業アクチュエータ制御弁50aと、旋回制御弁57と、を備える。
【0022】
作業アクチュエータ制御弁50aは、ポンプ30と作業アクチュエータ群40aとの間に設けられ、ポンプ30から作業アクチュエータ群40aに供給される油の流れの方向および流量を制御する。作業アクチュエータ制御弁50aは、第1ブーム制御弁51(第1作業アクチュエータ制御弁)と、第2ブーム制御弁52(第2作業アクチュエータ制御弁)と、アーム制御弁53と、バケット制御弁55と、を備える。
【0023】
第1ブーム制御弁51(第1作業アクチュエータ制御弁)(ブーム1速、ブームメインスプール弁)は、第1ポンプ31とブームシリンダ41との間に設けられ、第1ポンプ31からブームシリンダ41に供給される油の流れの方向および流量を制御する。第1ブーム制御弁51は、ブーム上げ指令(作業指令)に応じて、第1ポンプ31からブームシリンダ41(さらに詳しくはヘッド室41a)に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。上記「ブーム上げ指令」は、ブーム15a(
図1参照)を上げるための指令であり、ブームシリンダ41を伸張させる(作業アクチュエータを一方向に作動させる)ための指令である。第1ブーム制御弁51は、第1ポンプ31からヘッド室41aに油を供給するための流路の開口(ブーム上げメインスプールメータイン開口)の開度を変化させる。第1ブーム制御弁51は、スプールの位置によって開度を変える、スプール弁である(他の制御弁50も同様)。第1ブーム制御弁51は、例えば、第1ブーム制御弁51に入力されるパイロット圧(ブーム上げPi圧)に基づいて制御される。この場合、ブーム上げ指令は、パイロット圧による指令である。なお、第1ブーム制御弁51は、第1ブーム制御弁51に入力される電気信号などに基づいて制御されてもよい(ブーム上げ指令は電気信号などでもよい)。また、第1ブーム制御弁51は、ブーム15a(
図1参照)を下げる指令に応じて、第1ポンプ31からブームシリンダ41のロッド室41bに供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。
【0024】
第2ブーム制御弁52(第2作業アクチュエータ制御弁)(ブーム2速、ブーム上げ合流弁)は、第2ポンプ32とブームシリンダ41との間に設けられ、第2ポンプ32からブームシリンダ41に供給される油の流れの方向および流量を制御する。第2ブーム制御弁52は、ブーム15a(
図1参照)が上げられる場合に、第2ポンプ32からヘッド室41aに油を供給するための弁である。第2ブーム制御弁52は、第1ポンプ31からヘッド室41aに供給される油に対して、第2ポンプ32の吐出油を合流させる弁である。第2ブーム制御弁52は、ブーム上げ指令に応じて、第2ポンプ32からブームシリンダ41(さらに詳しくはヘッド室41a)に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。第2ブーム制御弁52は、ブームシリンダ41のヘッド室41aに油を供給するための流路の開口(ブーム上げ合流メータイン開口)の開度を変化させる。第2ブーム制御弁52は、ブーム15a(
図1参照)が下げられる場合には、第2ポンプ32からブームシリンダ41のロッド室41bに油を供給させなくてもよい。例えば、第2ブーム制御弁52からロッド室41bに油を供給するための流路が設けられなくてもよい。なお、第2ブーム制御弁52からロッド室41bに油を供給するための流路が設けられてもよい。この場合、第2ブーム制御弁52は、ブーム15a(
図1参照)が下げられる場合に、第2ポンプ32からヘッド室41aに油を供給させず(流路を遮断し)、第2ポンプ32からロッド室41bに油を供給する状態になってもよい。第2ブーム制御弁52は、例えば、第2ブーム制御弁52に入力されるパイロット圧(ブーム上げ合流Pi圧)に基づいて制御される。なお、第2ブーム制御弁52は、第2ブーム制御弁52に入力される電気信号などに基づいて制御されてもよい。
【0025】
アーム制御弁53は、ポンプ30(
図2に示す例では第2ポンプ32)からアームシリンダ43に供給される油の流れの方向および流量を制御する。なお、アーム制御弁53は、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52と同様に、2つ設けられてもよい(バケット制御弁55も同様)。
【0026】
バケット制御弁55は、ポンプ30(
図2に示す例では第1ポンプ31)からバケットシリンダ45に供給される油の流れの方向および流量を制御する。
【0027】
旋回制御弁57は、第2ポンプ32と旋回モータ47との間に設けられ、第2ポンプ32から旋回モータ47に供給される油の流れの方向および流量を制御する。さらに詳しくは、旋回制御弁57は、ポンプ30のうち、第2ブーム制御弁52を介してブームシリンダ41に油を供給するポンプ30(具体的には第2ポンプ32)から、旋回モータ47に供給される油を制御する。旋回制御弁57と第2ブーム制御弁52とは、第2ポンプ32に並列的に接続される。旋回制御弁57は、旋回指令に応じて、第2ポンプ32から旋回モータ47に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。上記「旋回指令」は、旋回モータ47を作動させるための指令である。旋回指令は、例えばパイロット圧による指令であり、電気信号による指令でもよい。
【0028】
比例弁61(制限弁、ブーム上げ合流比例弁)は、第2ブーム制御弁52に指令を出力する。比例弁61は、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令を、コントローラ90から入力される制限指令に応じて制限する。「制限」とは、第2ブーム制御弁52の開度が小さくなる側に制御することである。具体的には、比例弁61は、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52に入力されるパイロット圧(ブーム上げ合流Pi圧)を、コントローラ90から入力される制限指令(電気信号、例えば電流値)に応じて制限する(下げる)。比例弁61は、比例弁61に入力される圧力を、減圧して出力する減圧弁である。比例弁61は、比例弁61に入力される制限指令に応じて開度を変えることで、減圧を行う。例えば、比例弁61は、いわば逆比例弁であり、比例弁61に入力される電流値が大きいほど、開度が小さくなり(閉じられ)、出力する圧力が小さくなるように構成される。なお、比例弁61は、比例弁61に入力される電流値が大きいほど、開度が大きくなる(開かれる)ように構成されてもよい。また、第2ブーム制御弁52に指令を出力する装置は、比例弁61でなくてもよく、入力される指令に応じてパイロット圧を発生させる装置でもよい。第2ブーム制御弁52が電気信号に応じて制御される場合は、コントローラ90が第2ブーム制御弁52に指令(電気信号)を直接的に出力してもよい。
【0029】
操作部70は、操作者に操作され、作業機械1(
図1参照)を操作するための部分である。操作部70は、
図1に示す運転室13aに設けられてもよく、運転室13aから離れた位置に設けられてもよい(遠隔操縦が行われてもよい)。
図2に示す操作部70は、操作量に応じて指令値を出力する。操作部70は、例えば操作量に応じてパイロット圧を出力してもよく(操作部70はリモコン弁を備えてもよく)、操作量に応じて電気信号を出力してもよい。操作部70は、操作量が大きいほど指令値を大きくし、操作量が小さいほど指令値を小さくする。操作部70は、例えば操作レバーを備えるものである。操作部70は、ブーム上げ操作部71と、旋回操作部77と、を備える。
【0030】
ブーム上げ操作部71(作業操作部)は、ブーム上げ操作(作業操作)が行われる部分である。上記「ブーム上げ操作」は、ブーム15a(
図1参照)を上げるための操作であり、さらに詳しくは、ブームシリンダ41を伸張させるための操作(作業アクチュエータを一方向に作動させるための操作)である。ブーム上げ操作部71は、ブーム上げ操作に応じて、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52のそれぞれに、ブーム上げ指令を出力する。第2ブーム制御弁52が電気信号に応じて制御される場合は、ブーム上げ操作部71は、コントローラ90を介して第2ブーム制御弁52にブーム上げ指令を出力してもよい(第1ブーム制御弁51についても同様)。例えば、ブーム上げ操作部71は、ブーム上げ操作に応じて、第1ブーム制御弁51にパイロット圧(ブーム上げPi圧)を出力する。例えば、ブーム上げ操作部71は、ブーム上げ操作に応じて、比例弁61にパイロット圧(ブーム上げPi圧)を出力し、比例弁61を介して第2ブーム制御弁52にパイロット圧を出力する。なお、ブーム上げ操作部71を構成する操作レバーは、ブーム15a(
図1参照)を下げる操作を行うためのブーム下げ操作部でもある。さらに詳しくは、この操作レバーが、中立位置に対する一方側に操作されるとブーム15aを上げるための操作となり、中立位置に対する他方側(一方側の逆側)に操作されるとブーム15aを下げるための操作となる。
【0031】
旋回操作部77は、旋回操作が行われる部分である。上記「旋回操作」は、
図1に示す下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させるための操作である。
図2に示す旋回操作部77は、旋回操作に応じて、旋回制御弁57に旋回指令を出力する。例えば、旋回操作部77は、旋回操作に応じて、旋回制御弁57にパイロット圧(旋回Pi圧)を出力する。
【0032】
操作量センサ80は、操作部70の操作量を検出する。操作量センサ80は、例えば操作部70の指令値を検出する。操作部70がパイロット圧を出力する場合、操作量センサ80は、パイロット圧を検出する圧力センサを備える。操作部70が電気信号を出力する場合、操作量センサ80は、電気信号を検出する。この場合、操作量センサ80は、コントローラ90でもよい。操作量センサ80は、ブーム上げ操作量センサ81と、旋回操作量センサ87と、を備える。ブーム上げ操作量センサ81は、ブーム上げ操作部71の操作量を検出する。旋回操作量センサ87は、旋回操作部77の操作量を検出する。
【0033】
コントローラ90は、信号の入出力、演算(処理、判断、算出)、情報の記憶などを行う。コントローラ90は、比例弁61に指令(信号)を出力し、比例弁61の開度を制御する。コントローラ90には、操作量センサ80から検出結果が入力される。
【0034】
(作動)
図1に示す作業機械1は、以下のように作動するように構成される。
【0035】
ブーム15aが上げられるときの作業機械1の作動は、次の通りである。操作者によるブーム15aを上げる操作(ブーム上げ操作)に応じて、
図2に示すブーム上げ操作部71が、指令を出力する。第1ブーム制御弁51が、ブーム上げ操作部71の指令に応じて、第1ポンプ31とブームシリンダ41(ヘッド室41a)とをつなぐ流路の開度を変える。この流路が開いた状態(遮断されていない状態)の場合、第1ポンプ31の吐出油が、第1ブーム制御弁51を通って、ヘッド室41aに供給される。ヘッド室41aに油が供給されることで、ブームシリンダ41が伸び、
図1に示す上部旋回体13に対してブーム15aが上がる。
【0036】
また、
図2に示すブーム上げ操作部71の指令に応じて、比例弁61が、第2ブーム制御弁52に指令を出力する。第2ブーム制御弁52が、比例弁61の指令に応じて、第2ポンプ32とブームシリンダ41(ヘッド室41a)とをつなぐ流路の開度を変える。この流路が開いた状態の場合は、第2ポンプ32の吐出油が、第2ブーム制御弁52を通って、ヘッド室41aに供給される。このとき、第2ポンプ32の吐出油が、第1ポンプ31からヘッド室41aに供給される油に合流する。この合流が行われることで、第1ポンプ31の吐出油のみがヘッド室41aに供給される場合に比べ、ヘッド室41aに供給される油の流量を増やすことができ、ブームシリンダ41の作動速度を速くできる。
【0037】
下部走行体11に対して上部旋回体13が旋回するときの作業機械1の作動は、次の通りである。操作者による上部旋回体13を旋回させる操作(旋回操作)に応じて、
図2に示す旋回操作部77が、指令を出力する。旋回制御弁57が、旋回操作部77の指令に応じて、第2ポンプ32と旋回モータ47とをつなぐ流路の開度を変える。旋回制御弁57が開いた状態の場合、第2ポンプ32の吐出油が、旋回制御弁57を通って、旋回モータ47に供給される。すると、旋回モータ47が駆動(回転)し、
図1に示す上部旋回体13が下部走行体11に対して旋回する。
【0038】
(第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52の開閉タイミング)
図2に示すコントローラ90は、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52の開閉のタイミングを制御する(
図3参照)。具体的には、コントローラ90は、ブーム上げ操作部71の操作量(ブーム上げ操作量)に基づいて、第2ブーム制御弁52の開度を制御することで、上記のタイミングを制御する。コントローラ90は、ブーム上げ操作、および、旋回モータ47を作動させる旋回操作部77の操作(旋回操作)に応じて、上記のタイミングに関する制御の内容を変える。
【0039】
(非同期制御)
コントローラ90は、「非同期制御」(
図3参照)を行う場合がある。非同期制御は、第1ブーム制御弁51が開閉し始めるブーム上げ操作量(
図3に示すA1を参照)よりも大きいブーム上げ操作量(
図3に示すA2を参照)になったときに、第2ブーム制御弁52が開閉し始めるようにする制御である。以下、ブーム上げ操作量であるA1、A2については、
図3を参照して説明する。上記「開閉し始める」とは、開いた状態(遮断されていない状態)と閉じた状態(遮断された状態)とが切り換わることを意味する。第1ブーム制御弁51が開閉し始めるブーム上げ操作量(A1)をゼロとする。非同期制御は、ブーム上げ操作量が減らされたときに、第2ブーム制御弁52を閉じ始めるタイミングが、第1ブーム制御弁51を閉じ始めるタイミングよりも前になるようにする制御である。また、非同期制御は、ブーム上げ操作量が増やされたときに、第2ブーム制御弁52を開き始めるタイミングが、第1ブーム制御弁51を開き始めるタイミングよりも後になるようにする制御である。
【0040】
ブーム上げ操作量が増やされる場合の、非同期制御の具体例は、次の通りである。ブーム上げ操作部71が中立位置のとき、ブーム上げ操作量はゼロ(A1)であり、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52が遮断される。レバーであるブーム上げ操作部71が中立位置から傾動されていくと、ブーム上げ操作量はゼロ(A1)よりも大きくなる。このとき、第1ブーム制御弁51は、閉じた状態から開いた状態になる。ブーム上げ操作量がA1よりも大きく、A2未満の場合、第1ブーム制御弁51は、ブーム上げ操作量に応じた開度で開いた状態になり、第2ブーム制御弁52は、遮断された状態である。すると、第1ポンプ31の吐出油は、第1ブーム制御弁51を介してブームシリンダ41(さらに詳しくはヘッド室41a)に供給され、ブームシリンダ41が伸張する。このとき、第2ポンプ32の吐出油は、ブームシリンダ41に供給されない。ブーム上げ操作部71がさらに傾動され、ブーム上げ操作量が、A2以上になる。このとき、第2ブーム制御弁52は、閉じた状態から開いた状態になる。このとき、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52の開度は、ブーム上げ操作量に応じた開度で、開いた状態になる。すると、第1ポンプ31から第1ブーム制御弁51を介してブームシリンダ41(ヘッド室41a)に供給される油に対して、第2ポンプ32の吐出油が、第2ブーム制御弁52を介して合流する。そして、第1ポンプ31および第2ポンプ32の吐出油が、ブームシリンダ41(ヘッド室41a)に供給される。
【0041】
非同期制御は、例えば次の場合に行われてもよい。例えば、ブーム上げ操作および旋回操作がいずれも行われていない状態から、ブーム上げ操作および旋回操作が同時に行われる複合操作状態に変わる時(複合操作の開始時)に、非同期制御が行われてもよい。この場合、次の作用が得られる。複合操作の開始時には、旋回モータ47の作動に大きな動力(旋回モータ47が作動している最中よりも大きな動力)が必要となる。非同期制御が行われると、ブーム上げ操作量がA2より小さいときには、第2ブーム制御弁52は閉じた状態である。よって、第2ポンプ32の吐出油を、第2ブーム制御弁52を介してブームシリンダ41に供給することなく、旋回制御弁57を介して旋回モータ47に供給することができる。よって、旋回モータ47に対して十分な動力を供給することができる。旋回モータ47が動き始めると(上部旋回体13(
図1参照)が旋回し始めると)、旋回モータ47の作動に必要な動力が低下する。すると、第2ポンプ32の吐出油をブームシリンダ41に供給する余裕(余力)が生じる。そこで、コントローラ90は、ブーム上げ操作量がA2以上になると、第2ブーム制御弁52を開くように制御する。すると、第1ポンプ31からブームシリンダ41(ヘッド室41a)に供給される油に対して、第2ポンプ32の吐出油が第2ブーム制御弁52を介して合流する。よって、第1ポンプ31の吐出油のみをブームシリンダ41に供給する場合に比べ、ブームシリンダ41の作動速度(ブーム15a(
図1参照)を上げる速度)を向上させることができる(増速できる)。
【0042】
非同期制御は、ブーム上げ操作が行われ、かつ、旋回操作が行われていない場合に行われてもよい。なお、変形例として、非同期制御は行われなくてもよい。
【0043】
(ブーム上げ操作量が減らされ、旋回操作が行われる場合の非同期制御)
ブーム上げ操作および旋回操作が行われている状態(複合操作状態)において、ブーム上げ操作が減らされ、かつ、引き続き旋回操作が行われている場合に、仮に非同期制御が行われるとする。すると、第2ブーム制御弁52が遮断されたときに、旋回モータ47の角加速度が増加する。この作動の詳細は次の通りである。旋回操作が行われている場合に、ブーム上げ操作量がA2(
図3参照)以上からA2未満に減らされると、第2ブーム制御弁52が遮断される(合流が切れる)。この時(合流が切れた時)、それまで第2ポンプ32からブームシリンダ41に供給されていた油が、旋回モータ47に流れる。すると、旋回モータ47に供給される油の油圧が急上昇する。例えば、旋回モータ47に供給される油の油圧が、ブームシリンダ41の作動圧(保持圧)から、旋回モータ47のリリーフ圧まで上昇する。旋回モータ47に供給される油の油圧が上昇すると、旋回モータ47の出力トルクが上昇し、旋回モータ47の角加速度(旋回モータ47の出力軸の角加速度)が増加する。すると、旋回モータ47の回転速度が上昇(増速)する場合がある。また、旋回モータ47が減速していた場合は、旋回モータ47の減速度が低下する(減速が弱まる)。上記のように、ブーム上げ操作量がA2以上からA2未満に減らされると、第1ブーム制御弁51が遮断されるよりも前に第2ブーム制御弁52が遮断される(合流が切れる)。よって、ブーム上げ操作量がゼロ(A1)になっていない(ブーム上げ操作部71が中立位置に戻されていない)状況での、操作者の意図しない、上部旋回体13(
図1参照)の角加速度の変化が生じる。例えば、操作者が、ブーム上げ操作量を減らしながら、上部旋回体13の旋回を減速させる操作を行う場合に、上部旋回体13の旋回が急増速する場合がある。また、上部旋回体13の旋回を減速させる操作がされているときに、上部旋回体13の旋回が増速すると、エネルギーの無駄が生じる。そこで、コントローラ90は、「同期制御」を行う場合がある。
【0044】
(ブーム上げ操作量が減らされ、旋回減速操作が行われている場合の制御)
ブーム上げ操作量が減らされ、旋回モータ47を減速させる(ブレーキをかける)旋回操作(旋回減速操作)が行われる場合、コントローラ90は、「同期制御」(
図3参照)を行う。さらに詳しくは、旋回減速操作とブーム上げ操作とが同時に行われている状態(複合操作状態)から、旋回減速操作が行われるとともにブーム上げ操作が行われない状態に変化する場合に(変化の過程で)、コントローラ90は、同期制御を行う。同期制御は、第1ブーム制御弁51を閉じるブーム上げ操作量(A1)と、第2ブーム制御弁52を閉じるブーム上げ操作量(A1)と、が同等になるように、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令を設定する制御である。同期制御では、第1ブーム制御弁51を閉じるブーム上げ操作量と第2ブーム制御弁52を閉じるブーム上げ操作量とが、完全に一致するように制御されてもよく、略一致するように制御されてもよい(厳密な一致でなくてもよい)。同期制御は、ブーム上げ操作量が減らされたときに、第1ブーム制御弁51を閉じるタイミングと、第2ブーム制御弁52を閉じるタイミングと、が同じタイミングになるような制御である。上記「同じタイミングになるような制御」は、各タイミングが略一致するような制御であればよく、各タイミングを完全に(厳密に)一致させる制御でなくてもよい。
【0045】
同期制御の具体例は次の通りである。旋回減速操作が行われ、ブーム上げ操作量がA1(
図3参照)よりも大きい場合、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52のそれぞれは、ブーム上げ操作量に応じた開度で、開いた状態になる。ここで、ブーム上げ操作量がA2(
図3参照)より大きい量からA2未満に変化しても、第2ブーム制御弁52は開いた状態を維持する。旋回減速操作が行われ、ブーム上げ操作量がA1になった時、第1ブーム制御弁51が閉じられ(遮断され)、かつ、第2ブーム制御弁52が閉じられる(遮断される)。旋回減速操作が行われ、ブーム上げ操作量がA1未満の場合(すなわち、ブーム上げ操作が行われない場合)、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52は遮断した状態になる。
【0046】
このように、ブーム上げ操作量が減らされたときに、第1ブーム制御弁51が遮断されるタイミングと第2ブーム制御弁52が遮断されるタイミングとが同じになるように制御される。よって、ブーム上げ操作量が減らされ、ブーム上げ操作量がゼロになる前の操作者の意図しないタイミングで、第2ブーム制御弁52が遮断され、旋回モータ47の角加速度が急変してしまう問題(上記の問題点を参照)を抑制できる。
【0047】
(ブーム上げ操作量が減らされ、一定の旋回操作が行われている場合の制御)
ブーム上げ操作量が減らされ、旋回操作の操作量がゼロよりも大きい一定の操作量である場合、コントローラ90は、同期制御を行ってもよい。この場合も、ブーム上げ操作量が減らされ、ブーム上げ操作量がゼロになる前の操作者の意図しないタイミングで、第2ブーム制御弁52が遮断され、旋回モータ47が急増速してしまう、という問題を抑制できる。
【0048】
(ブーム上げ操作量が減らされ、旋回加速操作が行われている場合の制御)
ブーム上げ操作量が減らされ、旋回モータ47を加速させる旋回操作(旋回加速操作)が行われる場合、コントローラ90は、非同期制御を行ってもよく、同期制御を行ってもよい。
【0049】
ブーム上げ操作量が減らされ、旋回加速操作が行われているときに、コントローラ90が非同期制御を行う場合について説明する。この場合、上記のように、合流が切れた時に、旋回モータ47が増速する場合がある。一方、旋回加速操作が行われている場合は、旋回モータ47の増速は、通常、操作者の意図に沿った作動である。そのため、旋回モータ47が増速しても構わない。この場合、ブーム上げ操作量がA1(
図3参照)からA2(
図3参照)の間では、第2ブーム制御弁52が閉じられる。よって、第2ポンプ32の吐出油を、ブームシリンダ41に供給することなく、旋回モータ47に供給できる。よって、旋回モータ47の加速性(上部旋回体13(
図1参照)の旋回加速性)を確保できる。例えば、旋回モータ47が停止している状態から加速するときの加速性(上部旋回体13(
図1参照)の旋回起動の起動性)を確保できる。
【0050】
ブーム上げ操作量が減らされ、旋回加速操作が行われているときに、コントローラ90が同期制御を行う場合は、上記と同様に、旋回モータ47の急増速を抑制できる。
【0051】
(旋回減速操作の判定)
上記のように、旋回減速操作が行われているか否かによって、コントローラ90が行う制御(同期制御、非同期制御)が変わる場合がある。コントローラ90は、旋回減速操作が行われているか否かを、例えば次のように判定する。コントローラ90は、旋回操作の操作量が、減速閾値th(
図4参照)よりも大きい状態から小さい状態に変化した場合に、旋回減速操作が行われていると判定する。減速閾値thは、旋回操作の操作量(旋回操作量)に関する閾値である。減速閾値thは、コントローラ90に設定される。例えば、減速閾値thは、旋回操作量が最大(フルレバー)の状態から、小さくされた(フルレバーでなくなった)ことを判別できるような値に設定される。例えば、減速閾値thは、旋回操作量の最大値の近傍に設定される。減速閾値thは、旋回操作部77が操作量に応じた電流値を出力する場合は、電流値に関する閾値でもよい。減速閾値thは、旋回操作部77が操作量に応じてパイロット圧を出力する場合は、パイロット圧に関する閾値でもよい。
【0052】
図4に、旋回操作量の時間変化の例を示す。この例では、時間t0から時間t1の間には、旋回操作量が増やされる。時間t1から時間t2の間には、旋回操作量が最大(フルレバー)とされる。時間t2以後に、旋回操作量が減らされる。時間t3の時に、旋回操作量が減速閾値thよりも大きい状態から小さい状態に変化する。この時、
図2に示すコントローラ90は、旋回減速操作が行われていると判定する。この時間t3の時、ブーム上げ操作は行われている。その後、ブーム上げ操作量がゼロになり、第1ブーム制御弁51と第2ブーム制御弁52とが同じタイミングで閉じられる。なお、上記の旋回減速操作が行われているか否かの判定は一例である。例えば、コントローラ90は、単位時間当たりの旋回操作量の変化量などに基づいて、旋回減速操作が行われているか否かを判定してもよい。
【0053】
(比例弁61の開度の算出)
コントローラ90は、上記の同期制御および非同期制御が行われるように、指令(制限指令、指令値)を比例弁61に出力し、比例弁61の開度を制御する。コントローラ90は、比例弁61の開度を制御することで、第2ブーム制御弁52の開度を制御する。具体的には例えば、上記のように、比例弁61は、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令を、コントローラ90から入力される制限指令に応じて、制限する。コントローラ90は、非同期制御を行うときの制限よりも、同期制御を行うときの制限が小さくなるように、制限指令を比例弁61に出力する。コントローラ90は、あるブーム上げ操作量(例えばA2(
図3参照)など)のときの第2ブーム制御弁52の開度が、非同期制御を行うときよりも同期制御を行うときの方が大きくなるように、制限指令を比例弁61に出力する。なお、制限しない、という指令は制限指令に含まれるとする。また、コントローラ90は、同期制御および非同期制御を行う際に、第1ブーム制御弁51を制御しなくてもよい。例えば、第1ブーム制御弁51は、ブーム上げ操作部71の操作により制御される。
【0054】
コントローラ90は、比例弁61への指令値を、例えば次のように算出する。コントローラ90は、例えば
図5に示す処理により、
図2に示す比例弁61への指令値を算出する。以下では、油圧制御装置20の各構成要素(比例弁61、コントローラ90など)については
図2を参照して説明する。
【0055】
図6に示すように、コントローラ90は、ブーム上げ操作量に基づいて、比例弁61への指示電流Ir(指令値)を算出する(
図5に示すステップS11)。このとき、コントローラ90は、ブーム上げ操作量が大きいほど、比例弁61が開き、第2ブーム制御弁52が開くように、指示電流Irを算出する。このとき、コントローラ90は、ブーム上げ操作量が小さいほど、比例弁61が閉じ、第2ブーム制御弁52が閉じるように、比例弁61への指示電流Irを算出する。
【0056】
具体的には、コントローラ90には、ブーム上げ操作量(例えばパイロット圧)と、比例弁61への指示電流Irと、の関係(マップ)が設定される。そして、コントローラ90は、コントローラ90に入力されたブーム上げ操作量と、この関係(マップ)と、に基づいて、指示電流Irを算出する。なお、
図6に示す例では、比例弁61への指示電流Irが大きいほど、比例弁61の開度が小さくなる場合の例を示した。具体的には例えば、コントローラ90は、ブーム上げ操作量がB1未満の場合、指示電流Irを、比例弁61が遮断されるような指示電流Ir1(指令値の最大値)とする。コントローラ90は、ブーム上げ操作量がB2(B1よりも大きいB2)を超える場合、指示電流Irを、比例弁61が全開となるような指示電流Ir2(指令値の最小値)とする。ブーム上げ操作量がB1以上、B2以下の場合は、ブーム上げ操作量がB1からB2に大きくなるにしたがって、指示電流Irが、指示電流Ir1から指示電流Ir2に近づく。この処理(
図5に示すステップS11)では、コントローラ90は、算出した指示電流Irを比例弁61に出力しない。
【0057】
次に、コントローラ90は、同期制御を行うか否かの判定を行う(
図5に示すステップS13)。さらに詳しくは、コントローラ90は、旋回減速操作が行われているか否かを判定する。コントローラ90は、旋回操作が行われ、かつ、旋回減速操作が行われていない場合は、非同期制御を行う。コントローラ90は、旋回減速操作が行われている場合は、同期制御を行う。
【0058】
コントローラ90は、非同期制御を行う場合(
図5に示すステップS13でNOの場合)、比例弁61に出力する指示電流Isを、ブーム上げ操作量に基づく指示電流Irにする(ステップS13で算出した指示電流Irにする)(
図5に示すステップS15)。この場合、コントローラ90は、比例弁61に出力する指示電流Isを、旋回操作量とは関係なく、ブーム上げ操作量に基づいて決定する。
【0059】
コントローラ90は、同期制御を行う場合(
図5に示すステップS13でYESの場合)、
図7に示すように、ブーム上げ操作量および旋回操作量に基づいて、比例弁61への指示電流Isを演算する。具体的には、コントローラ90には、旋回操作量(例えばパイロット圧)と、比例弁61への指示電流Isと、の関係(マップ)が設定される。そして、コントローラ90は、コントローラ90に入力された旋回操作量と、この関係(マップ)と、に基づいて、指示電流Isを算出する。そして、コントローラ90は、算出した指示電流Isを、比例弁61に出力する。
【0060】
さらに詳しくは、旋回操作量が、ゼロよりも大きく(旋回操作が行われており)、かつC1以下の場合、コントローラ90は、指示電流Isを、ブーム上げ操作量に基づく指示電流Irとする(ステップS13で算出した指示電流Irとする)。C1は、例えば、旋回操作量の最小値の近傍の値である。その結果、旋回操作量がゼロよりも大きくC1以下、かつ、ブーム上げ操作が行われていれば(
図3に示すブーム上げ操作量がA1よりも大きい場合は)、第2ブーム制御弁52は、開いた状態になる。また、旋回操作量がゼロよりも大きくC1以下、かつ、ブーム上げ操作が行われていなければ(
図3に示すブーム上げ操作量がA1よりも小さい場合は)、第2ブーム制御弁52は、遮断される。
【0061】
図7に示す旋回操作量がC2以上の場合、コントローラ90は、指示電流Isを、比例弁61が全開となり、第2ブーム制御弁52が全開となるような値(指示電流Is1)とする。この場合、コントローラ90は、ブーム上げ操作量とは関係なく、指示電流Isを算出する。なお、旋回操作量がC1よりも大きくC2未満の場合、コントローラ90は、旋回操作量がC1からC2に大きくなるにしたがって、指示電流Irから指示電流Is1に近づくように、指示電流Isを算出する。上記の指示電流Isの算出は、一例であり、様々に変形されてもよい。例えば、旋回操作量がC2以上の場合に、ブーム上げ操作量に基づいて指示電流Isが算出されてもよい。
【0062】
(効果)
図1に示す作業機械1による効果は、次の通りである。
【0063】
(第1の発明の効果)
作業機械1は、下部走行体11と、上部旋回体13と、ブーム15a(作業アタッチメント)と、ブームシリンダ41(作業アクチュエータ)と、を備える。
図2に示すように、作業機械1は、旋回モータ47と、第1ポンプ31と、第2ポンプ32と、第1ブーム制御弁51(第1作業アクチュエータ制御弁)と、第2ブーム制御弁52(第2作業アクチュエータ制御弁)と、を備える。作業機械1は、ブーム上げ操作部71(作業操作部)と、旋回操作部77と、コントローラ90と、を備える。
図1に示すように、上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。ブーム15aは、上部旋回体13に取り付けられる。ブームシリンダ41は、油が供給されることで駆動し、ブーム15aを作動させる。旋回モータ47(
図2参照)は、油が供給されることで駆動し、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させる。
図2に示すように、第1ポンプ31は、ブームシリンダ41に油を供給可能である。第2ポンプ32は、第1ポンプ31とは別に設けられ、ブームシリンダ41および旋回モータ47のそれぞれに油を供給可能である。
【0064】
第1ブーム制御弁51は、第1ポンプ31とブームシリンダ41との間に設けられる。第1ブーム制御弁51は、ブームシリンダ41を伸張させる(一方向に作動させる)ためのブーム上げ指令(作業指令)に応じて、第1ポンプ31からブームシリンダ41に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。第2ブーム制御弁52は、第2ポンプ32とブームシリンダ41との間に設けられる。第2ブーム制御弁52は、ブーム上げ指令に応じて、第2ポンプ32からブームシリンダ41に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。旋回制御弁57は、第2ポンプ32と旋回モータ47との間に設けられ、旋回モータ47を作動させるための旋回指令に応じて、第2ポンプ32から旋回モータ47に供給される油の流量を変化させるように開閉可能である。
【0065】
ブーム上げ操作部71は、ブーム上げ操作量(作業操作量)に応じて、第1ブーム制御弁51および第2ブーム制御弁52のそれぞれにブーム上げ指令を出力する。ブーム上げ操作量(作業操作量)は、ブームシリンダ41を伸張させる(一方向に作動させる)ためのブーム上げ操作(作業操作)の量である。旋回操作部77は、旋回モータ47を作動させるための旋回操作に応じて、旋回制御弁57に旋回指令を出力する。コントローラ90は、非同期制御を行う場合がある。非同期制御は、第1ブーム制御弁51が開閉し始めるブーム上げ操作量(
図3に示すA1)(作業操作量)よりも大きいブーム上げ操作量(
図3に示すA2)(作業操作量)になったときに、第2ブーム制御弁52が開閉し始めるようにする制御である。
【0066】
[構成1]コントローラ90は、旋回操作とブーム上げ操作とが同時に行われている複合操作状態から、旋回操作が行われブーム上げ操作が行われない状態に変化する場合に、同期制御を行う。同期制御は、第1ブーム制御弁51を閉じるブーム上げ操作量(
図3に示すA1)と、第2ブーム制御弁52を閉じるブーム上げ操作量(
図3に示すA1)と、が同等になるように、第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令を設定する制御である。
【0067】
上記[構成1]により次の効果が得られる。複合操作状態から、ブーム上げ操作量が減らされ、旋回操作が行われブーム上げ操作が行われない状態に変化する場合について検討する。この場合に、仮に、第1ブーム制御弁51が閉じるブーム上げ操作量(A1)よりも大きいブーム上げ操作量(A2)で、第2ブーム制御弁52が閉じるとする。この場合、ブーム上げ操作量が減る過程で、ブーム上げ操作量がゼロ(A1)になる前に、第1ブーム制御弁51が開いた状態のままで、第2ブーム制御弁52が閉じる。すると、それまで第2ポンプ32から第2ブーム制御弁52を通ってブームシリンダ41に供給されていた油が、第2ブーム制御弁52が閉じた時(合流が解除された時)に、旋回モータ47に流れる。すると、旋回モータ47に供給される油の油圧が上がり、旋回モータ47の出力トルクが上がり、旋回モータ47の角加速度が増加する。すると、ブーム上げ操作量がゼロ(A1)になっていない(中立位置に戻されていない)状況での、操作者の意図しないタイミングで、旋回モータ47の角速度が増速する、または、旋回モータ47の減速度が低下する。そこで、上記[構成1]では、複合操作状態から、旋回操作が行われブーム上げ操作が行われない状態に変化する場合に、第1ブーム制御弁51を閉じるブーム上げ操作量(A1)と、第2ブーム制御弁52を閉じるブーム上げ操作量(A1)とが同等になるように制御される。よって、操作者の意図しないタイミングで、ブームシリンダ41に供給される油の合流が解除され(第2ブーム制御弁52が閉じ、遮断し)、旋回モータ47の角加速度が増加してしまうことを抑制できる。
【0068】
なお、上記の[構成1]に関する説明は、作業アタッチメントがブーム15a(
図1参照)であり、作業アクチュエータがブームシリンダ41であり、作業アクチュエータの一方向の作動がブームシリンダ41の伸張である場合の説明である。作業アタッチメント、作業アクチュエータ、および作業アクチュエータの一方向の作動は、様々に変更可能である。例えば、作業アクチュエータは、アームシリンダ43でもバケットシリンダ45でもよい。下記の[構成2]に関する説明も同様である。
【0069】
(第2の発明の効果)
[構成2]第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令は、パイロット圧による指令である。作業機械1は、比例弁61(制限弁)を備える。比例弁61は、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52に入力されるブーム上げ指令を、コントローラ90から入力される制限指令に応じて、第2ブーム制御弁52の開度が小さくなる側に制限する(例えばパイロット圧を下げる)。コントローラ90は、非同期制御を行うときの比例弁61による制限よりも、同期制御を行うときの比例弁61による制限が小さくなるように、制限指令を比例弁61に出力する。
【0070】
上記[構成2]により、ブーム上げ操作部71から第2ブーム制御弁52にパイロット圧による指令が出力される構成において、上記[構成1]の同期制御を確実に実現できる。
【0071】
(第3の発明の効果)
[構成3]作業アタッチメントは、
図1に示す上部旋回体13に起伏可能に取り付けられるブーム15aを備える。作業アクチュエータは、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させるブームシリンダ41を備える。作業アクチュエータの一方向への作動は、上部旋回体13に対してブーム15aを上げるためのブームシリンダ41の伸張である。
【0072】
上記[構成3]では、作業アクチュエータの一方向への作動が、ブーム15aを上げるためのブームシリンダ41の伸張である。この構成において、上記[構成1]の効果が得られる。
【0073】
(第4の発明の効果)
[構成4]
図2に示すコントローラ90は、複合操作状態において旋回モータ47を減速させる旋回減速操作が行われている状態から、旋回減速操作が行われるとともに作業操作が行われない状態に変化する場合に、同期制御を行う。
【0074】
上記[構成4]では、上記[構成1]の同期制御が、旋回モータ47を減速させる旋回減速操作が行われているときに行われる。よって、旋回モータ47を減速させようとする操作者の意図に反して、旋回モータ47が増速する、という問題を抑制できる。また、旋回モータ47を減速させようとする操作が行われているときに旋回モータ47が増速するという、エネルギーの無駄を抑制できる(省エネルギー化できる)。
【0075】
(第5の発明の効果)
[構成5]コントローラ90は、旋回操作の操作量が、旋回操作の操作量に関する閾値である減速閾値th(
図4参照)よりも大きい状態から小さい状態に変化した場合に、旋回減速操作が行われていると判定する。
【0076】
上記[構成4]では、旋回減速操作が行われていることが、コントローラ90が同期制御を行うことの条件に含まれている。上記[構成5]により、旋回減速操作が行われているか否かを、コントローラ90が確実に判定できる。その結果、上記[構成4]による効果が確実に得られる。
【0077】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、
図2に示す回路の接続は変更されてもよい。例えば、
図5に示すフローチャートのステップの順序が変更されてもよく、ステップの一部が行われなくてもよい。例えば、
図4に示す減速閾値thは、一定でもよく、手動操作により変えられてもよく、何らかの条件に応じて自動的に変えられてもよい。例えば、
図1に示す作業機械1の各構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 作業機械
11 下部走行体
13 上部旋回体
15a ブーム(作業アタッチメント)
31 第1ポンプ
32 第2ポンプ
41 ブームシリンダ(作業アクチュエータ)
47 旋回モータ
51 第1ブーム制御弁(第1作業アクチュエータ制御弁)
52 第2ブーム制御弁(第2作業アクチュエータ制御弁)
57 旋回制御弁
71 ブーム上げ操作部71(作業操作部)
77 旋回操作部
90 コントローラ
th 減速閾値