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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
A63B37/00 214
A63B37/00 212
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019119816
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021003475
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠原 宏隆
【審査官】右田 純生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-005831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0183691(US,A1)
【文献】特開平05-111550(JP,A)
【文献】特開2012-040377(JP,A)
【文献】特開2011-147775(JP,A)
【文献】特開2011-167507(JP,A)
【文献】特表2015-503400(JP,A)
【文献】特表2014-524335(JP,A)
【文献】特開平10-234885(JP,A)
【文献】特開2016-106984(JP,A)
【文献】特開2010-284531(JP,A)
【文献】特開昭60-034469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0165245(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0045844(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00-37/14
A63B 45/00-45/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、該ゴルフボール表面のランド部とディンプル部には塗膜を有し、上記ランド部の塗膜の摩擦係数は上記ディンプル部の摩擦係数よりも高いことを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
上記の摩擦係数の差が0.01以上である請求項記載のゴルフボール。
【請求項3】
上記ランド部の表面エネルギーが34ダイン以上であり、上記ディンプル部の表面エネルギーが30ダイン以下である請求項1又は2記載のゴルフボール。
【請求項4】
上記ディンプル部の塗膜は、シリコーン系ポリマー又はフッ素系ポリマーを含む塗料組成物により形成される請求項記載のゴルフボール。
【請求項5】
カバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、該ゴルフボール表面のランド部とディンプル部には塗膜を有し、上記ランド部の表面エネルギーが34ダイン以上であり、上記ディンプル部の表面エネルギーが30ダイン以下であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項6】
上記ディンプル部の塗膜は、シリコーン系ポリマー又はフッ素系ポリマーを含む塗料組成物により形成される請求項5記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボール表面に施される塗装を塗り分けたゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールの要求特性は、主に飛距離の増大であるが、そのほかには、アプローチショット時にはボールが良く止まる性能や耐傷付き性(耐擦過傷性)などがある。即ち、今までは、ドライバー打撃時はよく飛び、アプローチショット時にはバックスピンが好適にかかるゴルフボールが多く開発されている。
【0003】
ゴルフボールの表面を保護する目的で、又は美的外観を良好に維持する目的により、該ボール表面部分には塗料組成物による塗膜(または「塗料層」とも言う。)を有することが多い。通常、ゴルフボールの塗料組成物としては、大きな変形及び衝撃、摩擦に耐え得るなどの理由から、ポリオールとポリイソシアネートとを使用直前に混合して用いる2液硬化型ポリウレタン塗料が多く使用されている。
【0004】
特許文献1には、ゴルフボール表面の土手部(陸部)を疎水性となるように形成するとともにディンプル部を親水性になるように形成し、土手部に水分が付着することを防止するゴルフボールが開示されているが、当該文献の技術は、ゴルフボールのスピン性能に着目して塗膜をディンプル部と土手部とで塗り分けたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-503400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ディンプル部とランド部とで物性の異なる塗膜で塗り分けることでスピン性能を向上させたうえで耐汚染性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、カバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、該ゴルフボール表面のランド部とディンプル部には、互いに物性の異なる塗膜を有すること、好ましくは、上記ランド部の塗膜の摩擦係数は、上記ディンプル部の摩擦係数よりも高くなるように塗膜を形成すると、ディンプル部の領域で打撃時のスピン性能には影響を与えないものであり汚染の少ないものであるとともに、ランド部では特にミドルアイアンで打撃した際は低スピン化を図り飛距離を伸ばすことができ、アプローチショット時は高いスピン量となりコントロール性が良好なものになることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
即ち、図1は、ボールをクラブ(図では#6アイアン)で打撃したときの、ボールとクラブとの接触部分を示す写真図ではあるが、図1に示すように、この接触部分はあくまでの土手部L’部分であり、ディンプル部分D’はほとんど接触しないので、土手部にタッキング性の良い塗料を用い、ディンプル部はスピン性能に影響を与えないので、表面エネルギーの低く汚れ難い塗料を用いることが有効なことを本発明者は見出したものである。
【0009】
従って、本発明は下記のゴルフボールを提供する。
1.カバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、該ゴルフボール表面のランド部とディンプル部には塗膜を有し、上記ランド部の塗膜の摩擦係数は上記ディンプル部の摩擦係数よりも高いことを特徴とするゴルフボール。
.上記の摩擦係数の差が0.01以上である上記記載のゴルフボール。
.上記ランド部の表面エネルギーが34ダイン以上であり、上記ディンプル部の表面エネルギーが30ダイン以下である上記1又は2記載のゴルフボール。
.上記ディンプル部の塗膜は、シリコーン系ポリマー又はフッ素系ポリマーを含む塗料組成物により形成される上記記載のゴルフボール。
5.カバー表面に多数のディンプルを有するゴルフボールにおいて、該ゴルフボール表面のランド部とディンプル部には塗膜を有し、上記ランド部の表面エネルギーが34ダイン以上であり、上記ディンプル部の表面エネルギーが30ダイン以下であることを特徴とするゴルフボール。
6.上記ディンプル部の塗膜は、シリコーン系ポリマー又はフッ素系ポリマーを含む塗料組成物により形成される上記5記載のゴルフボール。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴルフボールによれば、該ゴルフボールの表面のランド部とディンプル部には、それぞれ物性の異なる塗膜が形成され、ディンプル部は低摩擦性の塗膜により形成されるものであり、打撃時のスピン性能には影響を与えないものであり汚染の少ないものであるとともに、ランド部は高摩擦性に塗膜により形成されるものであり、特にミドルアイアンで打撃した際は低スピン化を図り飛距離を伸ばすことができ、アプローチショット時は高いスピン量となりコントロール性が良好なものになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ボールをクラブで打撃したときのボールとクラブとの接触部分を示す写真図である。
図2】塗膜を土手部とディンプル部とで塗り分けたゴルフボールを示す写真図である。
【0012】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、コアと1層以上のカバーとを具備し、該カバーの表面に塗膜が形成されるものである。例えば、図2のゴルフボールGの表面の写真図では、多数の円形ディンプルDの境界部には網目状のようにランド部Lが形成されており、ランド部とディンプル部とでは塗料の種類が異なる塗膜を塗り分けている。
【0013】
本発明で用いられるカバーは、1層のほか、2層や3層以上の複数層に形成することができる。本明細書においては、カバーの各層を「カバー層」と称し、該カバー層の全てを「カバー」と称する。
【0014】
コアは、公知のゴム材料を基材として形成することができる。基材ゴムとしては、天然ゴム又は合成ゴムの公知の基材ゴムを使用することができ、より具体的には、ポリブタジエン、特にシス構造を少なくとも40%以上有するシス-1,4-ポリブタジエンを主に使用することが推奨される。また、基材ゴム中には、所望により上述したポリブタジエンと共に、天然ゴム,ポリイソプレンゴム,スチレンブタジエンゴムなどを併用することができる。また、ポリブタジエンは、チタン系、コバルト系、ニッケル系、ネオジウム系等のチーグラー系触媒,コバルト及びニッケル等の金属触媒により合成することができる。
【0015】
上記の基材ゴムには、不飽和カルボン酸及びその金属塩等の共架橋剤,酸化亜鉛,硫酸バリウム,炭酸カルシウム等の無機充填剤、ジクミルパーオキサイドや1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物等を配合することができる。また、必要により、市販品の老化防止剤等を適宜添加することができる。
【0016】
上記カバーは、少なくとも1層有し、例えば、2層のカバーや3層のカバー等のものが挙げられる。2層のカバーの場合、カバー層は、内側を中間層、外側を最外層と称することがある。また、3層のカバーの場合、カバー層は、内側から順に、包囲層、中間層及び最外層と称することがある。なお、上記最外層の外表面には、通常、空力特性の向上のためにディンプルが多数形成される。
【0017】
カバー層の材質については、特に制限はなく、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に採用することができ、例えば、アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂、更にはポリウレタン樹脂により形成することができる。特には、後述するように比較的硬い材料で高反発な樹脂材料を得るためには、高中和型樹脂混合材料やアイオノマー樹脂材料を使用することが好適である。
【0018】
カバー層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上であり、上限としては、好ましくは2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。
【0019】
カバー層の硬度は、特に制限されるものではないが、ショアD硬度で、好ましくは55以上であり、より好ましくは57以上であり、上限としては、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、さらに好ましくは65以下とすることができる。
【0020】
本発明では、後述する塗膜と接するカバー層(最外層)の材料硬度は比較的低い方が好ましい。カバー硬度を低くすれば塗膜物性がスピンに与える影響が大きくなり、また塗装の塗り分けの効果が高くなるためである。カバー層の材料硬度として具体的には、ショアD硬度で好ましくは60以下、より好ましくは50以下とすることが好適である。即ち、本発明では、ロングアイアン等のフルショット時の飛距離増大やアプローチショット時のスピン性能を高めるためにもカバー層(最外層)を軟らかい樹脂材料により形成されることが望ましい。したがって、塗膜と接するカバー層の材料については、アイオノマー樹脂よりも熱可塑性ウレタンエラストマー等のポリウレタン樹脂を主材としたものが好適である。
【0021】
カバー層の形成方法としては、公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、予め作製したコアまたはカバー層を被覆した被覆球体を金型内に配置し、上記で調製した樹脂材料を射出成形する方法等を採用できる。
【0022】
本発明のゴルフボールは、多数のディンプルが形成されたカバーの表面に塗膜を有するものであり、上記カバーに形成された塗膜については、該カバー表面のランド部とディンプル部とに分けてそれぞれ異なる物性の塗膜を有する。
【0023】
ディンプル部の領域は、ボール表面に形成される多数個のディンプルにおいて、各ディンプルの外周縁に囲まれた空間部分であり、ランド部の領域は、上記ディンプル部以外のボール表面の領域を意味する。
【0024】
上記ランド部の塗膜の摩擦係数は、JIS K7215に準拠する「プラスチックフィルムおよびシートの摩擦係数試験方法」により、0.019~0.035の範囲であることが好適である。一方、上記ディンプル部の塗膜の摩擦係数は、上記と同様の試験方法により、0.010~0.018の範囲であることが好適である。なお、上記摩擦係数試験の具体的な測定条件は、後述する実施例で試験した内容により実施される。
【0025】
上記ランド部の塗膜の摩擦係数は、本発明の所望の効果を十分に得るためには上記ディンプル部の摩擦係数よりも高いことが好適である。上記ランド部の摩擦係数と上記ディンプル部の摩擦係数との差は、0.01~0.025であることが好適である。この差が十分ではないと、スピン性能と耐汚染性とのバランスが悪くなって両性能を十分に達成できないおそれある。
【0026】
上記ランド部の塗膜は、その摩擦係数が上記ディンプル部よりも高いため汚染され易いので、汚れの目立たない色(白色ボールの場合、例えば黄色や緑色等の色調)で塗り分けられていることが好適である。
【0027】
また、上記ランド部の表面エネルギーについては、2mN/m刻みの複数のダインペンを使用した測定方法により、34ダイン以上であることが好適である。一方、上記ディンプル部の表面エネルギーは、30ダイン以下であることが好適である。
【0028】
上記ディンプル部の表面エネルギーを上記のように低く設定するためには、ディンプル部の塗膜が、シリコーン系ポリマー又はフッ素系ポリマーを含む塗料組成物により形成されていることが好適である。シリコーン系のポリマー(樹脂,ゴム又はオイル)としては、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイルやジメチルシリコーンオイル等が挙げられ、フッ素系ポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。
【0029】
ゴルフボールの球面に占めるディンプル部の割合について、具体的には、ディンプルの縁に囲まれた平面の面縁で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率(SR値)で表すと、ランド部の汚染を減らすためには、好ましくは60%以上であり、またディンプルによる空気力学特性を十分に発揮し得る点から70%以上であることが望ましい。また、打撃時にランド部がボールと接触するため、スピン性能を十分に発揮する目的で上記SR値は、好ましくは95%以下であり、さらに好ましくは90%以下であることが望まれる。
【0030】
上記ランド部及び上記ディンプル部に形成される塗膜については、いずれも各種塗料を用いて塗装することができ、塗料としては、ゴルフボールの過酷な使用状況に耐えうる必要から、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン塗料を主成分とする塗料用組成物を用いることが好適である。
【0031】
上記ポリオール成分としては、アクリル系ポリオールやポリエステルポリオールなどが挙げられる。なお、これらのポリオールには、ポリオールの変性体が含まれ、更に作業性を向上させるため、他のポリオールを追加することもできる。
【0032】
アクリルポリオールとしては、イソシアネートと反応する官能基を有するモノマーの単独重合体または共重合体が挙げられ、このようなモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を併用することができる。
【0033】
また、アクリルポリオールの変性体としては、例えば、ポリエステル変性アクリルポリオール等が使用できる。他のポリオールとしては、ポリオキシエチレングリコール(PEG),ポリオキシプロピレングリコール(PPG)及びポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)のようなポリエーテルポリオール、ポリエチレンアジペート(PEA),ポリブチレンアジペート(PBA)及びポリヘキサメチレンアジペート(PH2A)のような縮合系ポリエステルポリオール、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール、ポリヘキサメチレンカーボネートのようなポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を併用することができる。また、これらポリオールのアクリル系ポリオール全量に対する比率は、50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以下である。
【0034】
ポリエステルポリオールは、ポリオールと多塩基酸との重縮合により得られる。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジメチロールヘプタン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジオール類、トリオール、テトラオール、脂環構造を有するポリオールが挙げられる。多塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂環構造を有するジカルボン酸、トリス-2-カルボキシエチルイソシアヌレートが挙げられる。
【0035】
ポリオール成分としては、2種類のポリエステルポリオールを併用することが好適である。この場合、2種類のポリエステルポリオールを(A)成分及び(B)成分とすると、(A)成分のポリエステルポリオールとしては、樹脂骨格に環状構造が導入されたポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、シクロヘキサンジメタノール等の脂環構造を有するポリオールと多塩基酸との重縮合、或いは、脂環構造を有するポリオールとジオール類又はトリオールと多塩基酸との重縮合により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。一方、(B)成分のポリエステルポリオールとしては、多分岐構造を有するポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、東ソー社製の「NIPPOLAN 800」等の枝分かれ構造を有するポリエステルポリオールが挙げられる。
【0036】
上記2種類のポリエステルポリオールからなる主剤の全体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは13,000~23,000であり、より好ましくは15,000~22,000である。また、上記2種類のポリエステルポリオールからなる主剤の全体の数平均分子量(Mw)は、好ましくは1,100~2,000であり、より好ましくは1,300~1,850である。これらの平均分子量(Mw及びMn)が上記範囲を逸脱すると、塗膜の耐摩耗性が低下するおそれがある。なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、示差屈折率計検出によるゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称する)測定による測定値(ポリスチレン換算値)である。
【0037】
上記2種類のポリエステルポリオール(A),(B)成分の配合量は、特に制限はないが、(A)成分の配合量が、主剤全量に対して20~30質量%であり、(B)成分の配合量が主剤全量に対して2~18質量%であることが好ましい。
【0038】
一方、ポリイソシアネートについては、特に制限はなく、一般的に用いられている芳香族、脂肪族、脂環式などのポリイソシアネートであり、具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-4-イソシアナトメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは,単独で或いは混合して使用することができる。
【0039】
上記のヘキサメチレンジイソシアネートの変性体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのポリエステル変性体やウレタン変性体などが挙げられる。上記のヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体(イソシアヌレート体)やビュレット体、アダクト体が挙げられる。
【0040】
ポリオールが有する水酸基(OH基)とポリイソシアネートが有するイソシアネート基(NCO基)とのモル比(NCO基/OH基)については、0.5~1.5の範囲になるようにする必要があり、好ましくは0.8~1.2であり、より好ましくは1.0~1.2である。0.5未満の場合には未反応の水酸基が残り、塗膜としての性能及び耐水性が悪くなるおそれがある。一方、1.5を超えるとイソシアネート基が過剰となるため、水分との反応でウレア基(脆い)が生成することになり、その結果、塗膜の性能が低下するおそれがある。
【0041】
硬化触媒(有機金属化合物)として、アミン系触媒や有機金属系触媒を使用することができ、この有機金属化合物としては、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、スズ等の金属石鹸等、従来から2液硬化型ウレタン塗料の硬化剤として配合されているものを好適に使用することができる。
【0042】
塗料組成物には、塗装条件により、各種の有機溶剤を混合することができる。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油炭化水素系溶剤等が使用できる。
【0043】
塗料組成物には、必要に応じて、公知の塗料配合成分を添加してもよい。具体的には、増粘剤や紫外線吸収剤、蛍光増白剤、スリッピング剤、顔料等を適量配合することができる。
【0044】
上記ランド部の塗膜と上記ディンプル部の塗膜とは、上述したように互いに摩擦係数や表面エネルギーが異なるが、上述した塗料用組成物のポリオール成分やポリイソシアネート成分の種類をそれぞれ選定し、或いはそれぞれ配合量を調整することにより、上記物性値の異なる塗膜を得ることできる。
【0045】
上記塗料組成物からなる塗膜の厚さについては、特に制限はないが、通常5~40μm、好ましくは10~20μmである。
【0046】
上記塗料組成物からなる塗膜は、軟らかく形成することにより打撃時にクラブと接触したときのスピン性能が高められる点から、その弾性仕事回復率は高いことが望ましく、具体的には、60%以上とすることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。また、この塗膜の弾性仕事回復率が上記範囲であれば、塗膜が高弾性力を有するため自己修復機能が高く、耐摩耗性にも優れる。また、上記塗料組成物で塗装されたゴルフボールの諸性能を向上させることができる。上記の弾性仕事回復率の測定方法については以下のとおりである。
【0047】
弾性仕事回復率は、押し込み荷重をマイクロニュートン(μN)オーダーで制御し、押し込み時の圧子深さをナノメートル(nm)の精度で追跡する超微小硬さ試験方法であり、塗膜の物性を評価するナノインデンテーション法の一つのパラメータである。従来の方法では最大荷重に対応した変形痕(塑性変形痕)の大きさしか測定できなかったが、ナノインデンテーション法では自動的・連続的に測定することにより、押し込み荷重と押し込み深さとの関係を得ることができる。そのため、従来のような変形痕を光学顕微鏡で目視測定するときのような個人差がなく、精度高く塗膜の物性を評価することができると考えられる。ボール表面の塗膜がドライバーや各種のクラブの打撃により大きな影響を受け、塗膜がゴルフボールの物性に及ぼす影響は小さくないことから、塗膜を超微小硬さ試験方法で測定し、従来よりも高精度に行うことは、非常に有効な評価方法となる。
【0048】
上記塗料組成物を使用する際は、公知の方法で製造されたゴルフボールに対し、塗料組成物を塗装時に調整し、通常の塗装工程を採用して表面に塗布し、乾燥工程を経てボール表面に塗膜を形成することができる。この場合、塗装方法としては、スプレー塗装法、静電塗装法、ディッピング法などを好適に採用することができ、特に制限はない。
【0049】
本発明では、ランド部とディンプル部とは異なる物性の塗膜により形成されるものであり、異なる塗料組成物を用いて、マスキングテープを用いて塗装を塗り分けることができる。例えば、ゴルフボール表面のランド部のみをマスキングテープでマスキングし、次に、上記マスキングした状態でボール表面を塗装し、次いで、ランド部のマスキングテープを剥がし、ディンプル部をマスキングテープによりマスキングし、この状態でボール表面を塗装することで、ランド部とディンプル部とは異なる塗膜を形成することができる。また、上記の方法に代えて、ボールを特定の塗料を有する平板上に転がしてランド部のみに該塗料を形成することもできる。また、シリコーン系ワックス等を配合した塗料組成物を用い、土手部とディンプル部とは同じ塗料組成物を塗装し、土手部の塗膜については、表面に浮き出したシリコーン系ワックス等を研磨又は研削により除去することによりランド部とディンプル部とは、摩擦係数等の異なる塗膜を形成することもできる。
【実施例
【0050】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0051】
〔実施例1~3、比較例1~4〕
表1に示す配合により、全ての例に共通するコア用のゴム組成物を調製・加硫成形することにより直径38.6mmのコアを作製した。
【0052】
【表1】
【0053】
上記コア材料の詳細は下記のとおりである。
・「cis-1,4-ポリブタジエン」JSR社製、商品名「BR01」
・「アクリル酸亜鉛」日本触媒社製
・「酸化亜鉛」堺化学工業社製
・「硫酸バリウム」堺化学工業社製
・「老化防止剤」商品名「ノクラックNS6」(大内新興化学工業社製)
・「有機過酸化物(1)」ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
・「有機過酸化物(2)」1,1-ジ(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカの混合物、商品名「パーヘキサC-40」(日油社製)
・「ステアリン酸亜鉛」日油社製
【0054】
次に、全ての例に共通する中間層樹脂材料を配合した。この中間層樹脂材料は、酸含量18質量%のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体のナトリウム中和物50質量部と、酸含量15質量%のエチレン-不飽和カルボン酸共重合体の亜鉛中和物50質量部との合計100質量部とするブレンド物である。この樹脂材料を、上記で得た直径38.6mmのコアの周囲に射出成形し、厚さ1.25mmの中間層を有する中間層被覆球体を製造した。
【0055】
次に、上記の中間層被覆球体の周囲に、下記表2に示す「A」「B」2種類のカバー材料を用い、同表に示す配合量で射出成形し、厚さ0.8mmのカバー層(最外層)を有する直径42.7mmのスリーピースゴルフボールを作製した。この際、各実施例、比較例のカバー表面には、特に図示してはいないが、共通するディンプルが形成された。
【0056】
【表2】
【0057】
表2中に記載した材料は以下の通りである。
・「T-8283」「T-8290」「T-8295」:ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」、MDI-PTMGタイプの熱可塑性ポリウレタン
・「ハイトレル4001」:東レデュポン社製の熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー
・「酸化チタン」:石原産業社製の商品名「タイペ-クR-50」
・「ポリエチレンワックス」:三洋化成社製の商品名「サンワックス161P」
・「イソシアネート化合物」:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
【0058】
上記のカバーの材料硬度については、樹脂材料「A」「B」をそれぞれ厚さ2mmのシート状に成形し、2週間以上放置し、その後、ショアD硬度はASTM D2240規格に準拠して計測した。その値を上記表2に示した。
【0059】
塗膜の形成
次に、下記表3に示す塗料配合において、ディンプルが多数形成された最外層の表面に、エアースプレーガンにより上記塗料を塗装し、厚み15μmの塗膜を形成した各例のゴルフボールを作製した。実施例1~3及び比較例1については、下記の方法により、ランド部とディンプル部とは異なる種類の塗膜が形成された。
【0060】
〔実施例1,2及び比較例1の塗装方法〕
先ずゴルフボール表面のランド部のみをマスキングテープでマスキングする。次に、上記のマスキングした状態でボール表面を表3に示す塗料配合で塗装する。次に、ランド部のマスキングテープを剥がし、今度はディンプル部をマスキングテープによりマスキングし、この状態でボール表面を表3に示す塗料配合で塗装する。次に、ランド部のマスキングテープを剥がす。
【0061】
〔実施例3の塗装方法〕
ランド部及びディンプル部の全てに表3に示す塗料配合No.2で塗装する。次に、ランド部の表面を僅かに研磨する。これにより塗料の表面に浮き出たシリコンワックスが削り取られる。したがってランド部の表面は厚み13μmの塗膜となっている。
【0062】
【表3】
【0063】
[ポリエステルポリオール(A)の合成例]
環流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管及び温度計を備えた反応装置に、トリメチロールプロパン140質量部、エチレングリコール95質量部、アジピン酸157質量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール58質量部を仕込み、撹拌しながら200~240℃まで昇温させ、5時間加熱(反応)させた。その後、酸価4,水酸基価170,重量平均分子量(Mw)28,000の「ポリエステルポリオール(A)」を得た。
次に、上記の合成したポリエステルポリオール(A)を酢酸ブチルで溶解させ、不揮発分70質量%のワニスを調製した。
【0064】
「塗料配合No.1」は、上記ポリエステルポリオール溶液23質量部に対して、「ポリエステルポリオール(B)」(東ソー(株)製の飽和脂肪族ポリエステルポリオール「NIPPOLAN 800」、重量平均分子量(Mw)1,000、固形分100%)を15質量部と有機溶剤とを混合し、主剤とした。この混合物は、不揮発分38.0質量%であった。
【0065】
「塗料配合No.2」は、上記「塗料配合No.1」の組成に対して、シリコンワックス(商品名「BYK3700」 BYK社製)を表3に示した配合量で混合した。
【0066】
「塗料配合No.3」は、上記ポリエステルポリオール溶液26質量部に対して、「ポリエステルポリオール(B)」(東ソー(株)製の「NIPPOLAN 800」、固形分100%)を4質量部と有機溶剤とを混合し、主剤とした。この混合物は、不揮発分30.0質量%であった。
【0067】
「塗料配合No.4」は、上記「ポリエステルポリオール(B)」を混合せず、表3に示すように、主剤として「ポリエステルポリオール(A)」のみを酢酸ブチルで溶解させた。この溶液は、不揮発分27.5質量%であった。
【0068】
次に、「塗料配合No.1~No.4」の硬化剤として表3に示すイソシアネートを有機溶剤に溶解させて使用した。「塗料配合No.1~No.4」については、表3に示す配合割合になるように、HMDI系ヌレート(旭化成(株)製の「デュラネートTPA-100」NCO含有量23.1%、不揮発分100%)と、有機溶剤として酢酸エチル及び酢酸ブチルを加え、塗料を調製した。
【0069】
そして、各実施例、比較例のゴルフボールの塗膜外観を下記の基準に従って評価した。その結果を表4に示す。
【0070】
摩擦係数試験
JIS K7215に準拠する「プラスチックフィルムおよびシートの摩擦係数試験方法」により、ロードセル100N、試験速度100mm/分で、30mm×70mmのアイオノマー樹脂板(ショアD硬度60)の上に厚み15μmで各塗料を塗布したものを試験片として、該試験片の摩擦係数を測定した。
【0071】
表面エネルギー
MISHIMA社製のテストペン(ダインペン)を使用し、表面エネルギーが「30」、「32」、「34」、「36」、「38」及び「40」mN/mの2mN/m刻みの5種類のダインペンを使用した。ボール表面(塗膜)にテストペンで線を引き、インクを線状に付着させた。
その結果、ボール表面に付着したインクが水滴にならず、2秒以上保持されれば、そのテストペンが有する表面エネルギーが当該塗膜に保持されたものと判断した。次に、この表面エネルギーのレベルを上げることにより、各例の塗膜の表面エネルギーを特定した。また、表面エネルギーが小さいものは、撥水性が大きくなり、耐汚染性に優れているものと評価した。
【0072】
スピン量(I#6及びSW)
下記(1)及び(2)のクラブおよび条件により、該クラブを打撃ロボットに装着し、打撃した直後のボールのバックスピン量(rpm)を初期条件計測装置により測定した。
(1)6番アイアン「I#6」の条件
ヘッドスピード(HS)40m/s,使用クラブ「TourB X-CB:I#6」
(2)サンドウェッジ「SW」の条件
ヘッドスピード(HS)12m/s,使用クラブ「TourB XW-1:SW」
また、上記(1)のスピン量と上記(2)のスピン量との差「(1)-(2)の値」を調べた。このスピン量の差が小さいとスピン性能が改良されていると評価した。
【0073】
弾性仕事回復率
塗料の弾性仕事回復率の測定には、厚み50μmの塗膜シートを使用して測定する。測定装置は、エリオニクス社の超微小硬度計「ENT-2100」が用いられ、測定の条件は、以下の通りである。
・圧子:バーコビッチ圧子(材質:ダイヤモンド、角度α:65.03°)
・荷重F:0.2mN
・荷重時間:10秒
・保持時間:1秒
・除荷時間:10秒
塗膜の戻り変形による押し込み仕事量Welast(Nm)と機械的な押し込み仕事量Wtotal(Nm)とに基づいて、下記数式によって弾性仕事回復率が算出される。
弾性仕事回復率=Welast / Wtotal × 100(%)
【0074】
耐汚染性(草汁試験)
内容量8リットルの磁性ボールミルに、ホウレン草の緑葉の部分500gと水500gを予めミキサーで5分間ミキシングした混合物を入れ、この中に塗装ゴルフボールを10個入れ、3時間ミキシングして、試験前後におけるゴルフボールの色変化(△E)をJISZ8701のLab表色に基づき色差計で測定し、下記の基準により耐汚染性を評価した。使用した色差計は、スガ試験機(株)製の色差計(型式SC-P)である。
〔判定基準〕
◎:△E<5
○:△E=5~10
△:△E=10~20
×:△E>20
【0075】
砂摩耗試験後のボール表面の外観評価
外径210mmのポットミルに5mm前後の大きさの砂を約4kg入れ、該ポットミルに15個のボールを投入した。そして、ボールミルにて50~60rpmの回転数で120分間、撹拌した。その後、ボールをポットミルから取り出し、下記の基準により、ボール外観を評価した。
〔判定基準〕
◎:ボール表面には、傷や汚れなど目立った外傷なし
○:ボール表面には、小さな傷や汚れが見られる
△:ボール表面には、中程度の傷や汚れが見られる
×:ボール表面には、摩耗による大きな傷、又は汚れや艶の減退などが目立つ
【0076】
【表4】
【0077】
実施例1及び実施例3は、比較例4と比べて、摩擦係数がランド部は同じであるが、ディンプル部では小さくなっているため、比較例4よりも耐汚染性が改良されている。また、実施例1及び実施例2は、比較例3と比べて、摩擦係数がディンプル部は同じであるが、ランド部は大きくなっているため、ミドルアイアン(I#6)とサンドウェッジ(SW)の両方のスピン量の差が小さくなり(即ち、ミドルアイアンでは低スピン化となり、SWではほぼ同等のスピン量となる。)、スピン性能が改良されている。また、軟らかめのカバー「A」の方がスピン改良効果が現れている。
図1
図2