(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】無線機および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20230905BHJP
H04W 4/10 20090101ALI20230905BHJP
【FI】
H04M3/56 A
H04W4/10
(21)【出願番号】P 2019124019
(22)【出願日】2019-07-02
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細野 英一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 真吾
(72)【発明者】
【氏名】太田 敦士
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆志
(72)【発明者】
【氏名】石橋 淳
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147483(JP,A)
【文献】特開2018-148329(JP,A)
【文献】特開2007-251526(JP,A)
【文献】特開2017-028680(JP,A)
【文献】特開2006-157608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00-11/00
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の待ち受け及び受信をする無線信号受信部と、
前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示する音声提示部と、
他無線機と自無線機との位置関係を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記位置関係に基づき、前記無線信号受信部が無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御する受信制御部と、
所定のグループIDを記憶する記憶部と、
を備え
、
前記音声提示部は、前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる送信先グループIDと、前記記憶部に記憶しているグループIDとが一致する場合に前記音声信号の提示を行い、
前記情報取得部は、前記位置関係とともに前記他無線機に設定されているグループIDを更に取得し、
前記受信制御部は、前記記憶部に記憶しているグループIDと、前記情報取得部で取得したグループIDとが一致する他無線機の前記位置関係とに基づき、前記無線信号受信部が前記無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御する、
ことを特徴とする無線機。
【請求項2】
無線信号を受信する無線信号受信部と、
前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示する音声提示部と、
所定の情報をユーザに提示する情報提示部と、
他無線機と自無線機との位置関係を取得する情報取得部と、
前記情報取得部で取得した前記位置関係に基づき、前記音声提示部が前記音声信号の提示を行うか否かを制御する提示制御部と、
を備え、
前記提示制御部は、前記音声信号の提示を行わない制御をする場合、前記無線信号受信部が無線信号を受信しているときは、前記無線信号を受信している旨をユーザに提示するように前記情報提示部を制御する、
ことを特徴とする無線機。
【請求項3】
所定のグループIDを記憶する記憶部を更に備え、
前記音声提示部は、前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる送信先グループIDと、前記記憶部に記憶しているグループIDとが一致する場合に前記音声信号の提示を行い、
前記情報取得部は、前記位置関係とともに前記他無線機に設定されているグループIDを更に取得し、
前記提示制御部は、前記記憶部に記憶しているグループIDと、前記情報取得部で取得したグループIDとが一致する他無線機の前記位置関係とに基づき、前記音声提示部が前記提示を行うか否かを制御し、かつ前記音声信号の提示を行わない制御をする場合、前記無線信号受信部が前記記憶部に記憶しているグループIDと一致するグループIDを含む無線信号を受信しているときは、前記記憶部に記憶しているグループIDと一致するグループIDを含む無線信号を受信している旨をユーザに提示するように前記情報提示部を制御する、
ことを特徴とする請求項
2に記載の無線機。
【請求項4】
前記提示制御部は、前記音声信号の提示を行わない制御をする場合、前記位置関係に基づき、前記他無線機の方向をユーザに提示するように前記情報提示部を制御する、
ことを特徴とする請求項
2または
3に記載の無線機。
【請求項5】
前記情報取得部は、前記他無線機に設定されている音量の大きさに関する情報を取得し、
前記提示制御部は、前記他無線機に設定されている音量の大きさに応じて前記音声提示部が前記音声信号の提示を行うか否かを制御する、
ことを特徴とする請求項
2から
4のいずれか1項に記載の無線機。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記他無線機における音声の再生方法に関する情報を取得し、
前記提示制御部は、前記再生方法に関する情報に基づき、前記音声提示部を制御して、前記音声信号の提示を行う、
ことを特徴とする請求項
2から
5のいずれか1項に記載の無線機。
【請求項7】
外部から音声が入力される音声入力部と、
前記音声入力部に入力された音声と、前記無線信号に含まれる前記音声信号とが同じ情報であるか否かを判定する音声信号判定部と、
を更に備え、
前記提示制御部は、前記音声入力部に入力された音声と、前記無線信号に含まれる前記音声信号とが一致していない場合、前記音声提示部を制御して前記音声信号の提示を行う、
請求項
2から
6のいずれか1項に記載の無線機。
【請求項8】
無線信号の待ち受け及び受信をするステップと、
受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示するステップと、
他無線機と自無線機との位置関係を取得するステップと、
取得した前記位置関係に基づき、前記無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御するステップと、
所定のグループIDを記憶部に記憶するステップと、
を含
み、
前記音声信号をユーザに提示するステップでは、受信した前記無線信号に含まれる送信先グループIDと、前記記憶部に記憶しているグループIDとが一致する場合に前記音声信号の提示を行い、
前記位置関係を取得するステップでは、前記位置関係とともに前記他無線機に設定されているグループIDを更に取得し、
前記無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御するステップでは、前記記憶部に記憶しているグループIDと、取得したグループIDとが一致する他無線機の前記位置関係とに基づき、前記無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円滑なグループ通話を実現するために、少なくとも位置情報を使って送話者と受話者の距離を測定することによって、同一のグループに属する端末装置の中から、接続すべき端末装置を選択する。これによって、送話者近傍の端末装置における受信が抑制されるので、通話の明瞭性が高められる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術文献では、送話者と受話者との距離は考慮されているが、受話者どうしの距離は考慮されていない。互いに近傍に存在する複数の端末装置が同一の音声を再生する場合、周囲の端末装置の音声によって明瞭に聞き取りにくくなる。音声を再生する際に、端末装置毎に異なった遅延が生じる場合、音声はさらに聞き取りにくくなる。また、同一グループに属するすべての端末装置は、待ち受け中には待機電力を消費しており、グループ通話を受信中には電波の受信及び音声を再生するので、すべての端末装置の電力が消費されてしまう。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、グループ通話の受信端末における待ち受け処理、電波の受信及び音声信号の再生に関する処理を適切に決定する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線機は、無線信号の待ち受け及び受信をする無線信号受信部と、前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示する音声提示部と、他無線機と自無線機との位置関係を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記位置関係に基づき、前記無線信号受信部が無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御する受信制御部と、を備える。
【0007】
本発明の無線機は、無線信号を受信する無線信号受信部と、前記無線信号受信部で受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示する音声提示部と、所定の情報をユーザに提示する情報提示部と、他無線機と自無線機との位置関係を取得する情報取得部と、前記情報取得部で取得した前記位置関係に基づき、前記音声提示部が前記音声信号の提示を行うか否かを制御する提示制御部と、を備え、前記提示制御部は、前記音声信号の提示を行わない制御をする場合、前記無線信号受信部が無線信号を受信しているときは、前記無線信号を受信している旨をユーザに提示するように前記情報提示部を制御する。
【0008】
本発明の制御方法は、無線信号の待ち受け及び受信をするステップと、受信した前記無線信号に含まれる音声信号をユーザに提示するステップと、他無線機と自無線機との位置関係を取得するステップと、取得した前記位置関係に基づき、前記無線信号の待ち受け及び受信を行うか否かを制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グループ通話の受信端末における待ち受け処理、電波の受信及び音声信号の再生に関する処理を適切に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の各実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の各実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、他無線機の位置情報を説明するための図である。
【
図6】
図6は、自無線機と他無線機との間の距離を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、他無線機の位置情報とGIDを説明するための図である。
【
図10】
図10は、自無線機と他無線機との間の距離を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本発明の第3実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、本発明の第3実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の第4実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、本発明の第4実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本発明の第5実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、本発明の第5実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
まず、本発明の詳細を説明する前に、本発明の概要について説明する。本発明に係る無線通信システムは、複数の無線機を含む。複数の無線機は、グループ通信を実行する。グループ通信は、例えば、ユーザがPTT(Push to Talk)ボタンを押下することで開始され、PTTボタンを解放することで終了する。グループ通信では、複数の無線機のうち1台が音声信号を送信し、他無線機のそれぞれが音声信号を受信する。この場合、同一のグループ通信を実行している他無線機が近くに存在する場合には、自無線機から音声を出力しなくとも音声を聞き取ることができる。そのため、本実施形態では、他無線機が出力する音声をユーザが聞き取ることのできる近距離にいる場合には、自無線機からの音声の出力を停止する。
【0013】
図1と、
図2とを用いて、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。
図1と、
図2とは、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【0014】
図1に示すように、無線通信システム1は、第1無線機10aと、第2無線機10bと、第3無線機10cと、第4無線機10d、第5無線機10eと、通信制御装置20とを含む。第1無線機10aと、第2無線機10bと、第3無線機10cと、第4無線機10d、第5無線機10eは、例えば、業務用の無線機である。通信制御装置20は、例えば、図示しない基地局装置に設けられたレピータである。第1無線機10a~第5無線機10eとは、無線機10と総称することもある。無線通信システム1に含まれる無線機の数は本発明を限定するものではない。無線通信システム1は、例えば、業務用無線通信システムである。
【0015】
無線通信システム1において、ユーザU1は、第2無線機10bに対して、グループ通信におけるグループを識別するためのグループID(以下、GIDと呼ぶ)を「1」に設定している。このため、第2無線機10bは、「GID=1」を送信先とした通信(コール)の待ち受け処理を実施している。待ち受け処理とは、前記したコールの待機状態である。
【0016】
第2無線機10bは、所定範囲R1(例えば、3m)内に他無線機10が存在するか否かを判定する。所定範囲R1とは、その範囲内の無線機10が出力した音声をユーザU1が聞くことのできると想定した範囲である。第2無線機10bは、例えば、近距離無線通信で所定範囲R1以内に他無線機10が存在するか否かを判定する。近距離無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)を用いることができる。
図1に示す例では、第3無線機10cと、第4無線機10dとは、所定範囲R1内に存在している。第1無線機10aと、第5無線機10eとは、所定範囲R1内に存在していない。この場合、ユーザU1は、第3無線機10cと、第4無線機10dから出力された音声は聴取することができる。一方、第1無線機10aと、第5無線機10eとから出力された音声は聴取することができない。
【0017】
第2無線機10bは、所定範囲R1内に他無線機10が存在すると判定した場合、他無線機10のGIDを判定する。具体的には、第2無線機10bは、第3無線機10cと、第4無線機10dとに対して第2無線機10bと同一の「GID=1」のGIDが設定されているか否かを判定する。第2無線機10bは、例えば、第3無線機10cと、第4無線機10dとの間で近距離無線通信を実行することで、それぞれのGIDを判定する。
図1に示す例では、第3無線機10cは、例えば、「GID=1」で待ち受け処理するように設定されている。一方、第4無線機10dは、例えば、「GID=2」で待ち受け処理するように設定されている。
【0018】
第2無線機10bは、所定範囲R1内に「GID=1」で待ち受け処理するように設定されている第3無線機10cが存在するので、「GID=1」の待ち受け処理を停止する。
【0019】
図2を用いて、ユーザU1が「GID=1」のグループ通信の音声を聴取する方法について説明する。
【0020】
第1無線機10aは、「GID=1」で待ち受け処理するように設定されている。ユーザU2は、第1無線機10aを操作するユーザである。
【0021】
まず、ユーザU2は、第1無線機10aのPTTボタンを押下する。これにより、第1無線機10aは、「GID=1」を送信先とするグループ通信を長距離無線通信で通信制御装置20に送信する。長距離無線通信は、例えば、業務用無線である。
【0022】
通信制御装置20は、第1無線機10aから受けたグループ通信を第3無線機10cに対してブロードキャスト送信する。
【0023】
第3無線機10cは、通信制御装置20からグループ通信を受信する。第3無線機10cは、グループ通信に含まれる音声信号に対応する音声をスピーカから出力する。
【0024】
ユーザU1は、第3無線機10cから出力された音声を聴取する。これにより、ユーザU1は、グループ通信の音声を聴取することができる。
【0025】
[第1実施形態に係る無線機の構成]
図3を用いて、本発明の第1実施形態に係る無線機の構成について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図3に示すように、無線機10は、第1アンテナ31と、第2アンテナ32と、無線信号受信部41と、情報取得部42と、受信制御部43と、音声提示部44とを備える。
【0027】
第1アンテナ31は、各種の無線信号を受信する。第1アンテナ31は、例えば、各種の無線信号を通信制御装置20から受信する。第1アンテナ31は、受信した無線信号を無線信号受信部41に出力する。
【0028】
第2アンテナ32は、GPS(Global Positioning System)信号を受信する。第2アンテナ32は、受信したGPS信号を自無線機位置情報取得部421に出力する。
【0029】
無線機10が備える各部は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)がRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行されることにより実現される。
【0030】
無線信号受信部41は、第1アンテナ31を介して無線信号を受信する。無線信号受信部41は、受信した無線信号に含まれる音声信号を音声提示部44に出力する。また、無線信号受信部41は、第1アンテナ31から無線信号を受信していない場合、受信信号の検出を待つ待機状態、つまり待ち受け処理を行っている状態となる。後述する受信制御部43により無線信号を停止する処理が実行されていなければ、無線信号受信部41は、受信信号の有無に係わらず電力を消費している。
【0031】
情報取得部42は、各種の情報を取得する。情報取得部42は、自無線機位置情報取得部421と、他無線機情報取得部422と、距離計算部423とを有する。
【0032】
自無線機位置情報取得部421は、第2アンテナ32を介してGPS信号を受信する。自無線機位置情報取得部421は、GPS信号に基づいて無線機10の位置情報を取得する。自無線機位置情報取得部421は、例えば、位置情報として現在地の地名や住所を取得する。自無線機位置情報取得部421は、例えば、位置情報として経度と緯度とで指定される地図上の座標情報を取得する。自無線機位置情報取得部421は、取得した無線機10の位置情報を距離計算部423に出力する。
【0033】
他無線機情報取得部422は、無線機10とは異なる他無線機から各種の情報を取得する。他無線機情報取得部422は、例えば他無線機との間でBluetoothなどの近距離無線を実行することで他無線機に設定された各種の情報を取得する。他無線機情報取得部422は、例えば、他無線機の位置情報を取得する。他無線機情報取得部422は、取得した他無線機の位置情報を受信制御部43に出力する。
【0034】
距離計算部423は、無線機10と他無線機との間の距離を算出する。距離計算部423は、例えば、自無線機位置情報取得部421から受けた自無線機の位置情報と、他無線機情報取得部422から受けた他無線機の位置情報とに基づいて、無線機10と他無線機との間の距離を計算する。距離計算部423は、例えば、経度と緯度とで指定される地図上の無線機10と他無線機との座標の差を算出することで、無線機10と他無線機との間の距離を算出する。距離計算部423は、無線機10と他無線機との間の距離に関する距離情報を受信制御部43に出力する。
【0035】
受信制御部43は、無線信号受信部41を制御する。受信制御部43は、無線信号受信部41を制御して、無線信号の受信を開始させたり、無線信号の受信を停止したりする。受信制御部43は、無線機10と、他無線機との位置関係に基づいて無線信号受信部41を制御する。受信制御部43は、例えば、距離計算部423から受けた距離情報に基づいて、無線信号受信部41を制御する。受信制御部43は、例えば、無線機10と他無線機との間の距離が予め定められた所定距離(例えば、3m)以下である場合に、無線信号受信部41を制御して、無線信号の受信を停止する。上述したように、予め定められた所定距離とは、ユーザUが他無線機から出力された音声を聴取可能と想定した距離である。すなわち、受信制御部43は、無線機10と他無線機との間が所定距離以下である場合には、無線信号の受信を停止させることで音声の出力を停止させる。詳細には、受信制御部43は、無線機10と他無線機との間が所定距離以下である場合には、無線信号受信部41の処理を停止することにより音声提示部44への音声信号の出力を停止し、無線信号の受信を停止する。また、受信制御部43は、例えば、無線信号の受信を停止させた後、無線機10と他無線機の間の距離が所定距離を超えた場合には、無線信号受信部41に無線信号を受信させて音声の出力を再開する。
【0036】
受信制御部43は、無線信号の受信を停止する処理として、無線信号受信部41の電源を遮断してもよい。無線信号受信部41は、無線信号の受信が停止中では無く無線信号を検出できていない場合には、無線信号の検出を行う待ち受け処理を継続する。また、無線信号受信部41は、無線信号の受信が停止中では無く無線信号を検出した場合には、受信した無線信号に含まれる音声信号を音声提示部44に出力する。
【0037】
音声提示部44は、無線信号受信部41から音声信号を受ける。音声提示部44は、無線信号受信部41から受けた音声信号に対してデコード処理を施す。音声提示部44は、デコードした音声信号を図示しないスピーカら出力してユーザUに提供する。
【0038】
[第1実施形態に係る無線機の処理]
図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る無線機の処理について説明する。
図4は、本発明の第1実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0039】
まず、無線機10は、自無線機の位置情報を取得する(ステップS101)。具体的には、自無線機位置情報取得部421がGPS信号に基づいて無線機10の位置情報を取得する。そして、ステップS102に進む。
【0040】
無線機10は、他無線機の位置情報を取得する(ステップS102)。具体的には、他無線機情報取得部422が近距離無線通信を用いて、他無線機がGPS信号に基づいて取得した位置情報をその他無線機から取得する。そして、ステップS103に進む。
【0041】
図5を用いて、他無線機情報取得部422が取得する他無線機の位置情報について説明する。
図5は、他無線機の位置情報を説明するための図である。
【0042】
図5に示すように、他無線機情報取得部422が取得する位置情報100は、他無線機を識別するための無線機IDと位置とが関付けられている。位置情報100の例では、No.1の無線機はA地点、No.2の無線機はB地点、No.3の無線機はC地点、No.4の無線機はD地点、No.5の無線機はE地点に位置している。
【0043】
再び
図4を参照する。無線機10は、無線機10と他無線機との間の距離を算出する(ステップS103)。具体的には、距離計算部423が無線機10の位置情報と、他無線機の位置情報とに基づいて、無線機10と他無線機との間の距離を算出する。そして、ステップS104に進む。
【0044】
図6を用いて、無線機10と他無線機との間の距離について説明する。
図6は、無線機10と他無線機との間の距離を説明するための図である。
【0045】
図6に示すように、距離計算部423が計算する距離情報200は、無線機IDと距離とが関連付けられている。距離情報200の例では、No.1の無線機との間の距離は10m、No.2の無線機との間の距離は5m、No.3の無線機との間の距離は20m、No.4の無線機との間の距離は5m、No.5の無線機との間の距離は15mである。
【0046】
再び
図4を参照する。無線機10は、所定距離以下の他無線機が存在するか否かを判定する(ステップS104)。具体的には、受信制御部43が距離計算部423の計算結果に基づいて、所定距離以下の他無線機が存在するか否かを判定する。所定距離以下の無線機が存在すると判定された場合(ステップS104のYes)、ステップS105に進む。所定距離以下の無線機が存在しないと判定された場合(ステップS104のNo)、ステップS107に進む。
【0047】
ステップS104でYesと判定された場合、無線機10は、無線信号の受信を停止して、音声出力を停止する(ステップS105)。具体的には、受信制御部43が無線信号受信部41を制御して、無線信号の受信を停止する。そして、ステップS101に進む。よって、ステップS104にて、所定距離以下の無線機が確認できなくなるまで、無線信号の受信の停止は継続される。
【0048】
ステップS104でNoと判定された場合、無線機10は、無線信号を受信して音声を出力する。具体的には、受信制御部43が無線信号受信部41を制御して、無線信号の受信を開始し(ステップS106)、無線信号を受信する(ステップS107)。そして、ステップS108に進む。
【0049】
無線機10は、通信が終了したか否かを判定する(ステップS108)。具体的には、受信制御部43が、無線信号受信部41に無線信号が入力されているかを判定することで、通信が終了したか否かを判定する。通信が終了したと判定された場合(ステップS108のYes)、
図4の処理は終了する。通信が終了していないと判定された場合(ステップS108のNo)、ステップS101に進む。よって、ステップS104所定距離以下の無線機が確認できるまで、無線信号の受信を継続する。
【0050】
上述のとおり、本実施形態では、所定距離以内に他無線機が存在する場合に、自無線機による無線信号の受信を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、他無線機が所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0051】
[第2実施形態に係る無線機の構成]
図7を用いて、本発明の第2実施形態に係る無線機の構成について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
第2実施形態に係る無線機10Aは、記憶部45を備えている点で
図3に図示の無線機10とは異なっている。
【0053】
記憶部45は、各種の情報を記憶する。記憶部45は、例えば、無線機10Aに設定されているグループ通信に関する各種の情報を記憶する。記憶部45は、例えば、無線機10Aに設定されているグループ通信のGIDに関するGID情報を記憶している。記憶部45は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。
【0054】
無線信号受信部41Aは、第1アンテナ31を介して音声信号と、音声信号を送信した他無線機のGID情報(送信先グループIDとも呼ばれる)とを含む無線信号を受信する。無線信号受信部41Aは、音声信号とGIDとを含む無線信号を音声提示部44Aに出力する。
【0055】
他無線機情報取得部422Aは、例えば、他無線機から他無線機に設定されているGIDに関するGID情報を取得する。他無線機情報取得部422Aは、取得した他無線機のGID情報を受信制御部43に出力する。
【0056】
受信制御部43Aは、他無線機情報取得部422Aから受けたGID情報と、距離計算部423から受けた距離情報とが所定条件を満たすか否かを判定する。具体的には、受信制御部43Aは、他無線機情報取得部422Aから受けた他無線機のGID情報と、記憶部45に記憶されている無線機10AのGID情報とに基づいて、他無線機のGIDと無線機10AのGIDとが一致しているか否かを判定する。そして、受信制御部43Aは、無線機10Aと他無線機とのGIDが一致し、かつ無線機10Aと他無線機との間の距離が予め定められた所定距離以下である場合に、無線信号受信部41Aを制御して無線信号の受信を停止する。受信制御部43Aは、無線機10Aと他無線機との距離が所定距離を超えている場合、またはGIDが一致しない場合には、無線信号受信部41Aを制御して、無線信号を受信する。
【0057】
音声提示部44Aは、無線信号受信部41Aから音声信号と音声信号を送信した他無線機のGID情報とを受ける。音声提示部44Aは、無線信号受信部41Aから受けたGID情報と、記憶部45に記憶されている無線機10AのGID情報とに基づいて、音声信号を送信した他無線機と無線機10AのGIDとが一致しているか否かを判定する。音声提示部44Aは、音声信号を送信した他無線機と無線機10AのGIDとが一致している場合に、音声信号をデコードしてユーザUに提供する。
【0058】
[第2実施形態に係る無線機の処理]
図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る無線機の処理について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0059】
ステップS201は、
図4のステップS101と同一の処理なので、説明は省略する。
【0060】
無線機10Aは、他無線機の位置情報とGIDとを取得する(ステップS202)。具体的には、他無線機情報取得部422Aが近距離無線通信を用いて、他無線機がGPS信号に基づいて取得した位置情報と、他無線機に設定されているGIDとをその他無線機から取得する。そして、ステップS203に進む。
【0061】
図9を用いて、他無線機情報取得部422Aが取得する他無線機の位置情報とGIDとについて説明する。
図9は、他無線機の位置情報とGIDとを説明するための図である。
【0062】
図9に示すように、他無線機情報取得部422Aが取得する位置情報100Aは、他無線機を識別するための無線機IDと、GIDと、位置とが関付けられている。位置情報100Aの例では、No.1の無線機は、GIDが「2」でありA地点に位置している。No.2の無線機は、GIDが「4」でありB地点に位置している。No.3の無線機は、GIDが「1」でありC地点に位置している。No.4の無線機は、GIDが「2」でありD地点に位置している。No.5の無線機はGIDが「1」でありD地点に位置している。
【0063】
再び
図8を参照する。無線機10Aは、無線機10Aと他無線機との間の距離を算出する(ステップS203)。具体的には、距離計算部423が無線機10の位置情報と、他無線機の位置情報とに基づいて、無線機10と他無線機との間の距離を算出する。ステップS203では、距離計算部423は、各グループIDの無線機との間の距離を算出する。そして、ステップS204に進む。
【0064】
図10を用いて、無線機10Aと他無線機との間の距離について説明する。
図10は、無線機10Aと他無線機との間の距離を説明するための図である。
【0065】
図10に示すように、距離計算部423が計算する距離情報200Aは、無線機IDと、GIDと、距離とが関連付けられている。距離情報200の例では、No.1の無線機との間の距離は10m、No.2の無線機との間の距離は5m、No.3の無線機との間の距離は20m、No.4の無線機との間の距離は5m、No.5の無線機との間の距離は15mである。
【0066】
再び
図8を参照する。無線機10Aは、所定の条件を満たす他無線機が存在するか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、受信制御部43が、GIDが無線機10Aと同一であり、かつ距離計算部423の計算結果に基づいて、所定距離以下の他無線機が存在するか否かを判定する。所定の条件を満たす無線機が存在すると判定された場合(ステップS204のYes)、ステップS205に進む。所定の条件を満たす無線機が存在しないと判定された場合(ステップS204のNo)、ステップS206に進む。
【0067】
ステップS205~ステップS208の処理は、それぞれ、
図4のステップS105~ステップS108と同一の処理なので、説明は省略する。
【0068】
上述のとおり、本実施形態では、自無線機と同一のGIDが設定され、かつ所定距離以内に他無線機が存在する場合に、自無線機による無線信号の受信を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、同一のGIDが設定された他無線機が所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0069】
[第3実施形態に係る無線機の構成]
図11を用いて、本発明の第3実施形態に係る無線機の構成について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【0070】
第3実施形態に係る無線機10Bは、受信制御部43を備えていない点、提示制御部46と、情報提示部47とを備えている点で
図1に図示の無線機10とは異なっている。
【0071】
提示制御部46は、音声提示部44Bを制御する。提示制御部46は、音声提示部44Bを制御して、音声の出力を開始させたり、音声の出力を停止したりする。すなわち、第3実施形態は、無線信号の受信を停止させて音声を停止させるのではなく、音声の出力を直接停止する。提示制御部46は、無線機10Bと、他無線機との位置関係に基づいて音声提示部44Bを制御する。提示制御部46は、例えば、距離計算部423から受けた距離情報に基づいて、音声提示部44Bを制御する。提示制御部46は、例えば、無線機10Bと他無線機との間の距離が予め定められた所定距離以下である場合に、音声提示部44Bを制御して、音声の出力を停止させる。このため、音声提示部44Bは、音声を出力していないが無線信号受信部41Aからは音声信号を受ける。音声提示部44Bは、音声の出力を停止している状態で無線信号受信部41Aから音声信号を受けている場合には、音声信号を受けていることを示す音声受信情報を提示制御部46に出力する。また、提示制御部46は、音声信号の出力を停止させた後、無線機10Bと他無線機の間の距離が所定距離を超えた場合には、音声提示部44Bを制御して音声の出力を再開する。
【0072】
また、提示制御部46は、情報提示部47を制御する。提示制御部46は、情報提示部47を制御して各種の情報をユーザに提示する。情報提示部47は、例えば、無線機10Bに設けられたインジケータや液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含むディスプレイである。提示制御部46は、音声提示部44Bから音声受信信号を受けた場合には、ユーザUに対して音声は出力されていないが無線機10Bは無線信号を受信していることを、情報提示部47を制御して提示する。例えば、情報提示部47がインジケータである場合には、提示制御部46は、音声受信信号を受信した場合にインジケータを点灯させる。例えば、情報提示部47がディスプレイである場合には、提示制御部46は、音声信号を受信した場合に「無線信号受信中」等の文字を表示させてもよい。
【0073】
また、提示制御部46は、情報提示部47がディスプレイである場合には、音声を出力している他無線機が位置している方向を表示してもよい。この場合、提示制御部46は、他無線機の方向に加えて距離を表示してもよい。これにより、ユーザUは、他無線機の位置を把握することができるので、他無線機が音声を出力した際のその音声を聴取しやすくなる。
【0074】
[第3実施形態に係る無線機の処理]
図12を用いて、本発明の第3実施形態に係る無線機の処理について説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0075】
ステップS301~ステップS304は、それぞれ、
図4のステップS101~ステップS104と同一の処理なので、説明は省略する。
【0076】
ステップS304でYesと判定された場合、無線機10Bは、音声出力を停止する(ステップS305)。具体的には、提示制御部46が音声提示部44Bを制御して、音声の出力を停止する。そして、ステップS306に進む。
【0077】
無線機10Bは、音声提示部44Bから通知が有るか否かを判定する(ステップS306)。具体的には、提示制御部46が、音声提示部44Bから音声受信信号を受信しているか否かを判定する。音声提示部44Bから通知があると判定された場合(ステップS306のYes)、ステップS307に進む。音声提示部44Bから通知がないと判定された場合(ステップS306のNo)、ステップS310に進む。
【0078】
ステップS306でYesと判定された場合、無線機10Bは、音声は出力されていないが音声提示部44Bが音声信号を受信している旨の情報をユーザに提示する(ステップS307)。具体的には、情報提示部47が、情報提示部47を制御して、情報をユーザに提示する。そして、ステップS301に進む。
【0079】
ステップS306でNoと判定された場合、無線機10Bは、情報を非提示する(ステップS310)。具体的には、情報提示部47が音声信号を受信している旨の情報をユーザに提示している場合には、提示制御部46は、情報提示部47を制御して、提示を止める。また、情報提示部47が情報を提示していない場合には、提示制御部46は特に処理は実行しない。そして、ステップS301に進む。
【0080】
ステップS304でNoと判定された場合、無線機10Bは、音声を出力する。具体的には、提示制御部46が音声提示部44Bを制御して、音声の出力を開始し(ステップS308)、音声提示部44Bは音声出力を行う(ステップS309)。そして、S311に進む。
【0081】
ステップS311は、
図1のステップS108と同一の処理なので、説明は省略する。
【0082】
上述のとおり、本実施形態では、所定距離以内に他無線機が存在する場合に、自無線機による音声信号の出力を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、音声を出力していない状態で無線機が無線信号を受信している場合には、その旨をユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、通信が継続していることを把握しやすくなる。
【0084】
[第4実施形態に係る無線機の構成]
図13を用いて、本発明の第4実施形態に係る無線機の構成について説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【0085】
第4実施形態に係る無線機10Cは、記憶部45を備えている点で
図11に図示の無線機10Bとは異なっている。
【0086】
音声提示部44Cは、無線信号受信部41Aから音声信号と音声信号を送信した他無線機のGID情報とを受ける。音声提示部44Cは、無線信号受信部41Aから受けたGID情報と、記憶部45に記憶されている無線機10AのGID情報とに基づいて、音声信号を送信した他無線機と無線機10CのGIDとが一致しているか否かを判定する。音声提示部44Cは、音声信号を送信した他無線機と無線機10CのGIDとが一致している場合に、音声信号をデコードしてユーザUに提供する。また、音声提示部44Cは、音声信号を送信した他無線機と無線機10CのGIDとが一致し、音声の出力が提示制御部46Aによって停止されている場合には、音声受信信号を提示制御部46Aに出力する。
【0087】
提示制御部46Aは、他無線機情報取得部422Aから受けた他無線機のGID情報と、記憶部45に記憶されている無線機10CのGID情報とに基づいて、他無線機のGIDと無線機10AのGIDとが一致しているか否かを判定する。提示制御部46Aは、無線機10Cと他無線機とのGIDが一致し、かつ無線機10Cと他無線機との間の距離が予め定められた所定距離以下である場合に、音声提示部44を制御して、音声の出力を停止する。
【0088】
提示制御部46Aは、音声提示部44Cから音声受信信号を受け、かつ無線機10Cと他無線機とのGIDが一致している場合には、ユーザUに対して音声は出力されていないが無線機10Cは無線信号を受信していることを、情報提示部47を制御して提示する。
【0089】
[第4実施形態に係る無線機の処理]
図14を用いて、本発明の第4実施形態に係る無線機の処理について説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0090】
ステップS401、ステップS403、およびステップS405~ステップS411は、それぞれ、
図12のステップS301、ステップS303、およびステップS305~ステップS311と同一の処理なので、説明は省略する。
【0091】
無線機10Cは、他無線機の位置情報とGIDとを取得する(ステップS402)。具体的には、他無線機情報取得部422が近距離無線通信を用いて、他無線機がGPS信号に基づいて取得した位置情報と、他無線機に設定されているGIDとをその他無線機から取得する。そして、ステップS403に進む。
【0092】
無線機10Cは、所定の条件を満たす他無線機が存在するか否かを判定する(ステップS404)。具体的には、受信制御部43が、GIDが無線機10Cと同一であり、かつ距離計算部423の計算結果に基づいて、所定距離以下の他無線機が存在するか否かを判定する。所定の条件を満たす無線機が存在すると判定された場合(ステップS404のYes)、ステップS405に進む。所定の条件を満たす無線機が存在しないと判定された場合(ステップS404のNo)、ステップS408に進む。
【0093】
上述のとおり、本実施形態では、自無線機と同一のGIDが設定され、かつ所定距離以内に他無線機が存在する場合に、音声の出力を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、同一のGIDが設定された他無線機が所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0094】
また、本実施形態では、音声を出力していない状態で無線機が無線信号を受信している場合には、その旨をユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、通信が継続していることを把握しやすくなる。
【0095】
[第4実施形態の変形例]
次に、第4実施形態に係る無線機10Cの変形例について説明する。
【0096】
図6に図示の無線機10Cの他無線機情報取得部422Aは、GIDに加えて他無線機の各種の情報を取得してもよい。具体的には、他無線機情報取得部422Aは、他無線機に関する位置情報、音量情報、電波の強度を示す強度情報、無線機のバッテリの残量を示す残量情報、再生方法を示す方法情報等を取得してもよい。他無線機情報取得部422Aは、取得した各種の情報を提示制御部46Aに出力する。
【0097】
位置情報は、他無線機が位置している場所に関する詳細な情報を含む。位置情報には、例えば、他無線機が建物の外に位置しているか中に位置しているかに関する情報を含む。また、位置情報には、他無線機の周辺に音声を遮るような障害物があるか否かに関する情報を含む。言い換えれば、位置情報には、その場所で他無線機が音声を鳴らした際の音声の聞こえやすさに関する情報を含む。
【0098】
音量情報は、無線機に設定されている音量の大きさに関する情報を含む。例えば、音量情報は、具体的な数値であってもよいし、数値に応じて分類された大、中、小などの情報であってもよい。
【0099】
強度情報は、無線機の電波強度に関する情報を含む。例えば、強度情報は、具体的な数値であってもよいし、数値に応じて分類された良好、不良などの情報であってもよい。
【0100】
残量情報は、無線機を駆動するバッテリの残量に関する情報を含む。例えば、残量情報は、満充電に対するパーセンテージであってもよいし、無線機の残りの駆動時間であってもよい。
【0101】
方法情報は、無線機における音声の再生方法に関する情報を含む。例えば、方法情報は、無線機から直接音声を出力させているか、無線機に接続されたヘッドセット等の音声を聴取するための外部装置で音声を出力しているか等の情報を含む。
【0102】
提示制御部46Aは、他無線機情報取得部422Aから受けた各種の情報に基づいて音声提示部44Cを制御する。提示制御部46Aは、例えば、他無線機情報取得部422Aから受けた各種の情報と、無線機10Cに設定されている各種の情報を比較し、比較結果に応じて音声提示部44Cを制御する。
【0103】
提示制御部46Aは、例えば、他無線機の位置情報に他無線機の周辺に音声を遮る障害物が存在している情報が含まれている場合には、音声提示部44Cを制御して音声を出力する。
【0104】
提示制御部46Aは、例えば、他無線機の音声情報に基づいて、他無線機に設定されている音量が無線機10Cよりも大きければ音声提示部44Cを制御して音声の出力を停止する。提示制御部46Aは、例えば、他無線機に設定されている音量が無線機10Cよりも小さければ音声提示部44Cを制御して音声を出力する。
【0105】
提示制御部46Aは、例えば、他無線機の強度情報に基づいて、他無線機の電波強度が無線機10Cよりも良好であれば音声提示部44Cを制御して音声の出力を停止する。提示制御部46Aは、例えば、他無線機の電波強度が無線機10Cよりも不良であれば音声提示部44Cを制御して音声を出力する。
【0106】
提示制御部46Aは、例えば、他無線機の強度情報に基づいて、他無線機のバッテリの残量が無線機10Cのバッテリの残量よりも多い場合には音声提示部44Cを制御して音声の出力を停止する。提示制御部46Aは、例えば他無線機のバッテリの残量が無線機10Cのバッテリの残量よりも少ない場合には音声提示部44Cを制御して音声を出力する。
【0107】
提示制御部46Aは、例えば、方法情報に基づいて、他無線機にヘッドセット等の外部装置が接続されている場合には、音声提示部44Cを制御して音声を出力する。
【0108】
上述のとおり、本変形例では、各種の条件に応じて、自無線機の音声の出力を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、同一のGIDが設定された他無線機が所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0109】
[第5実施形態に係る無線機の構成]
図15を用いて、本発明の第5実施形態に係る無線機の構成について説明する。
図15は、本発明の第5実施形態に係る無線機の構成の一例を示すブロック図である。
【0110】
第5実施形態に係る無線機10Dは、音声入力部51と、音声信号判定部52とを備える点で、
図13に図示の無線機10Cと異なっている。
【0111】
無線信号受信部41Bは、第1アンテナ31を介して無線信号を受信する。無線信号受信部41Bは、無線信号に含まれる音声信号を音声信号判定部52に出力する。
【0112】
音声入力部51は、無線機10Dに設けられた図示しないマイクを介して各種の音声を受ける。音声入力部51は、例えば、他無線機が出力した音声を受ける。音声入力部51は、受けた音声に応じた音声信号を音声信号判定部52に出力する。
【0113】
音声信号判定部52は、音声信号の各種の情報を判定する。音声信号判定部52は、例えば、無線信号受信部41Bから受けた音声信号と、音声入力部51から受けた音声信号とを比較する。音声信号判定部52は、例えば、無線信号受信部41Bから受けた音声信号と、音声入力部51から受けた音声信号とは同じ情報であるか否かを判定する。無線信号受信部41Bから受けた音声信号と、音声入力部51から受けた音声信号との相関値を求め所定のしきい値以上であれば同じ情報であるとしてもよい。音声信号判定部52は、例えば、判定結果を提示制御部46Bに出力する。
【0114】
提示制御部46Bは、例えば、距離計算部423から無線機10Dと他無線機との間の距離に関する距離情報を受ける。提示制御部46Bは、例えば、他無線機情報取得部422Aから他無線機に関する位置情報、音量情報、電波の強度を示す強度情報、無線機のバッテリの残量を示す残量情報、再生方法を示す方法情報等を含む各種の情報を受ける。提示制御部46Bは、例えば、音声信号判定部52から無線信号受信部41Bから受けた音声信号と、音声入力部51から受けた音声信号とが同じ情報であるか否かを示す判定結果を受ける。
【0115】
提示制御部46Bは、例えば、音声信号判定部52から受けた判定結果に基づいて、音声提示部44Cを制御する。提示制御部46Bは、例えば、音声信号判定部52から無線信号受信部41Bから受けた音声信号と、音声入力部51から受けた音声信号とが同じ情報ではない場合には、音声提示部44Cを制御して音声を出力する。ここで、2つの音声信号が同じ情報ではない場合とは、例えば、他無線機が音声を出力していなかったり、他無線機からの音声が届いていなかったり、雑音が多く他無線機の音声が聞こえづらかったりする状況を含む。
【0116】
[第5実施形態に係る無線機の処理]
図16を用いて、本発明の第5実施形態に係る無線機の処理について説明する。
図16は、本発明の第5実施形態に係る無線機の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0117】
ステップS501~ステップS506は、それぞれ、
図14のステップS401~ステップS407のステップS405の音声出力を停止する処理を除いた処理なので、説明は省略する。
【0118】
無線機10Dは、音声を受け付ける(ステップS506)。具体的には、音声入力部51が他無線機から発せられた音声を受け付ける。音声入力部51は、受け付けた音声に応じた音声信号を音声信号判定部52に出力する。そして、ステップS508に進む。
【0119】
無線機10Dは、2つの音声信号が同じ情報か否かを判定する(ステップS508)。具体的には、音声信号判定部52が、音声入力部51から入力された音声信号と、無線信号受信部41Bから入力された音声信号とが同じ情報であるか否かを判定する。音声信号が同じ情報であると判定された場合(ステップS508のYes)、ステップS513に進む。音声信号が同じ情報ではないと判定された場合(ステップS509のNo)、ステップ509に進む。
【0120】
音声信号が同じ情報であると判定された場合は、音声出を停止し(ステップS513)、そしてS501に進む。音声信号が同じ情報ではないとされた場合は、音声出力を開始し(ステップS509)、音声提示部44Cは音声出力を行う(ステップ510)。そして、ステップS511に進む。また、ステップS505でNoの場合、情報を非表示とし(ステップS512)、そしてステップS513に進む。
【0121】
ステップS509~ステップS511は、それぞれ、
図14のステップS408~ステップS409、およびステップS411と同一の処理なので説明は省略する。
【0122】
上述のとおり、本実施形態では、自無線機と同一のGIDが設定され、かつ所定距離以内に他無線機が存在する場合に、音声の出力を停止することができる。この場合、自無線機のユーザは、所定距離以内に存在する他無線機が出力する音声を聴取することができる。これにより、自無線機は、同一のGIDが設定された他無線機が所定距離以内に存在する場合には、通信の待ち受け処理を行わずにすむので、消費電力を削減することができる。
【0123】
また、本実施形態では、音声を出力していない状態で無線機が無線信号を受信している場合には、その旨をユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、通信が継続していることを把握しやすくなる。
【0124】
また、本実施形態では、自無線機が受信した無線信号に含まれる音声信号と、他無線機から受け付けた音声に対応する音声信号との比較結果に基づいて、音声提示部を制御することができる。その結果、本実施形態は、より適切に音声を聴取することができる。
【0125】
(第5実施形態の変形例)
なお、本実施形態において、記憶部45は、例えば、無線機10Dを使用するユーザの聴覚特性情報が記憶されてもよい。この場合、聴覚特性情報として、例えば、耳で聞き取れる最小の音の音圧レベル(最小可聴値)が記憶される。
【0126】
本変形例では、他無線機情報取得部422Aは、他無線機に記憶された他無線機を使用するユーザの聴覚特性情報を取得する。他無線機情報取得部422Aは、他無線機を使用するユーザの聴覚特性情報を提示制御部46Bに出力する。
【0127】
提示制御部46Bは、記憶部45に記憶された無線機10Dを使用するユーザの聴覚特性情報と、他無線機を使用するユーザの聴覚特性情報とを比較する。提示制御部46Bは、例えば、無線機10Dを使用するユーザの最小可聴値が他無線機を使用するユーザの最小可聴値よりも大きければ、音声提示部44Cを制御して音声の出力を停止する。この場合、無線機10Dを使用するユーザは、他無線機が出力する音声を聴取する。提示制御部46Bは、例えば、無線機10Dを使用するユーザの最小可聴値が他無線機を使用するユーザの最小可聴値よりも小さければ、音声提示部44Cを制御して音声を出力する。この場合、無線機10Dを使用するユーザは、無線機10Dが出力する音声を聴取する。
【0128】
上述のとおり、本変形例では、自無線機のユーザと、他無線機のユーザとの聴覚特性情報との比較結果に基づいて、音声を出力するか否かを判定する。これにより、自無線機のユーザと、他無線機のユーザとのうち、最小可聴値の小さい方の無線機から音声が出力されるので、各ユーザは適切に音声を聴取することができる。
【0129】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0130】
1 無線通信システム
10,10A,10B,10C,10D 無線機
41,41A 無線信号受信部
42 情報取得部
43 受信制御部
44 音声提示部
45 記憶部
46 提示制御部
47 情報提示部
51 音声入力部
52 音声信号判定部