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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】接合方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B23K20/12 310
B23K20/12 366
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019148013
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028079
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 久司
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 伸城
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/082439(WO,A1)
【文献】特表2002-539949(JP,A)
【文献】特開2000-42759(JP,A)
【文献】特開2007-285344(JP,A)
【文献】特表2014-530318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を備える本体と、前記凹部の開口部を封止する蓋部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、
摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、 前記本体は、底部と前記底部の周縁部から立ち上がる周壁部とを有し、前記周壁部の内周壁に前記周壁部の端面から一段下がった段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記段差側面に近接するとともに前記周壁部の端面から突出する傾斜台を形成し、前記傾斜台は、下端が前記段差側面と接するとともに方向を変えながら湾曲して傾斜しているアプローチ部と、前記アプローチ部の上端と接して徐々に上昇する傾斜面とを有する準備工程と、
前記本体に前記蓋部材を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記蓋部材の側面とを突合せて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記蓋部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記攪拌ピンのみを前記第一突合せ部に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記周壁段差部及び前記蓋部材に接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行った後、前記回転ツールを前記アプローチ部に進入させて、前記傾斜面に移動させながら記傾斜面に沿って昇るように移動させて当該傾斜面の上側で前記攪拌ピンを引抜く本接合工程と、
前記傾斜台を切削除去する傾斜台除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法。
【請求項2】
凹部を備える本体と、前記凹部の開口部を封止する蓋部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、
摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、 前記本体は、底部と前記底部の周縁部から立ち上がる周壁部とを有し、前記周壁部の内周壁に前記周壁部の端面から一段下がった段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記蓋部材の側面に近接するとともに前記蓋部材の表面から突出する傾斜台を形成し、前記傾斜台は、下端が前記蓋部材の側面と接するとともに方向を変えながら湾曲して傾斜しているアプローチ部と、前記アプローチ部の上端と接して徐々に上昇する傾斜面とを有する準備工程と、
前記本体に前記蓋部材を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記蓋部材の側面とを突合せて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記蓋部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、
回転する前記攪拌ピンのみを前記第一突合せ部に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記周壁段差部及び前記蓋部材に接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行った後、前記回転ツールを前記アプローチ部に進入させて、前記傾斜面に移動させながら記傾斜面に沿って昇るように移動させて当該傾斜面の上側で前記攪拌ピンを引抜く本接合工程と、
前記傾斜台を切削除去する傾斜台除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材同士を接合する技術として、摩擦攪拌接合が知られている。摩擦攪拌接合では、回転ツールに備えられた攪拌ピンを金属部材から引き抜く際に、引抜き穴が残ってしまうという課題がある。そこで、金属部材に引抜き穴が残らないような接合方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に係る接合方法では、攪拌ピンを移動させながら徐々に引き抜くことによって、引抜き痕を小さくする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-87649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の接合方法では、回転ツールを徐々に引き抜く際に、塑性化領域に引抜き痕が残ってしまうという課題がある。
【0006】
そこで本発明は、凹部を備える本体と蓋部材とを摩擦攪拌によって接合する際に、攪拌ピンによる引抜き穴及び引抜き痕の発生を防ぐことができる接合方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、凹部を備える本体と、前記凹部の開口部を封止する蓋部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記本体は、底部と前記底部の周縁部から立ち上がる周壁部とを有し、前記周壁部の内周壁に前記周壁部の端面から一段下がった段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記段差側面に近接するとともに前記周壁部の端面から突出する傾斜台を形成し、前記傾斜台は、下端が前記段差側面と接するとともに方向を変えながら湾曲して傾斜しているアプローチ部と、前記アプローチ部の上端と接して徐々に上昇する傾斜面とを有する準備工程と、前記本体に前記蓋部材を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記蓋部材の側面とを突合せて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記蓋部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記攪拌ピンのみを前記第一突合せ部に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記周壁段差部及び前記蓋部材に接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行った後、前記回転ツールを前記アプローチ部に進入させて、前記傾斜面に移動させながら記傾斜面に沿って昇るように移動させて当該傾斜面の上側で前記攪拌ピンを引抜く本接合工程と、前記傾斜台を切削除去する傾斜台除去工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、凹部を備える本体と、前記凹部の開口部を封止する蓋部材とを摩擦攪拌で接合する接合方法であって、摩擦攪拌で用いる回転ツールの攪拌ピンの外周面は先細りとなるように傾斜しており、前記本体は、底部と前記底部の周縁部から立ち上がる周壁部とを有し、前記周壁部の内周壁に前記周壁部の端面から一段下がった段差底面と、当該段差底面から立ち上がる段差側面と、を有する周壁段差部を形成し、前記蓋部材の側面に近接するとともに前記蓋部材の表面から突出する傾斜台を形成し、前記傾斜台は、下端が前記蓋部材の側面と接するとともに方向を変えながら湾曲して傾斜しているアプローチ部と、前記アプローチ部の上端と接して徐々に上昇する傾斜面とを有する準備工程と、前記本体に前記蓋部材を載置することにより、前記周壁段差部の段差側面と前記蓋部材の側面とを突合せて第一突合せ部を形成するとともに、前記周壁段差部の段差底面と前記蓋部材の裏面とを重ね合わせて第二突合せ部を形成する載置工程と、回転する前記攪拌ピンのみを前記第一突合せ部に挿入し、前記攪拌ピンのみを前記周壁段差部及び前記蓋部材に接触させた状態で前記第一突合せ部に沿って前記回転ツールを移動させて摩擦攪拌を行った後、前記回転ツールを前記アプローチ部に進入させて、前記傾斜面に移動させながら記傾斜面に沿って昇るように移動させて当該傾斜面の上側で前記攪拌ピンを引抜く本接合工程と、前記傾斜台を切削除去する傾斜台除去工程と、を含むことを特徴とする接合方法。
【0009】
かかる接合方法によれば、摩擦攪拌接合を行った後、突合せ部とは別の位置に設けられた傾斜台で攪拌ピンを引き抜くことができる。また、傾斜台は周壁部から切除することができる。これにより、攪拌ピンによる引抜き穴及び引抜き痕の発生を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、凹部を備える本体と封止体を摩擦攪拌によって接合する際に、攪拌ピンによる引抜き穴及び引抜き痕の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施形態に係る接合方法の準備工程を示す分解斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る接合方法の載置工程を示す断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る接合方法の本接合工程を示す平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る接合方法の本接合工程の終了位置の斜視図である。
図5】本発明の第一実施形態に係る接合方法本接合工程の終了位置の断面図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る接合方法を示す斜視図である。
図7】本発明の第三実施形態に係る接合方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図等を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「裏面」の反対側の面を「表面」と言う。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る接合方法では、金属製の本体1と、金属製の蓋部材2とを摩擦攪拌接合で接合して中空容器を形成する。
【0014】
本体1は、上方が開口された箱状体である。本体1は、底部10と、周壁部11と、傾斜台3とで構成されている。本体1は、本実施形態ではアルミニウム合金を使用するが、摩擦攪拌可能な金属から適宜選択することができる。例えば、本体1は、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、アルミニウム、マグネシウム、チタン等で形成することができる。
【0015】
底部10は、平面視矩形の板状を呈する。周壁部11は、底部10の周縁に立設されており、平面視矩形枠状を呈する。周壁部11は、同じ板厚からなる壁部11A、11B、11C、11Dで構成されている。壁部11A、11Cは、短辺部となっており、互いに対向している。壁部11B、11Dは、長辺部となっており、互いに対向している。底部10及び、周壁部11の内部には凹部12が形成されている。
【0016】
周壁部11の端面となる端面11aには、本体1の周壁部11の内周縁に沿って周壁段差部13が形成される。周壁段差部13は、段差底面13aと、段差底面13aから立ち上がる段差側面13bとで構成される。段差底面13aは、端面11aから一段下がった位置に形成されている。
【0017】
傾斜台3は、端面11aに設けられている。傾斜台3は、傾斜台側面3aと、傾斜台側面3bと、傾斜面3cと、アプローチ部3dとで構成される。傾斜台側面3a及び傾斜台側面3bは傾斜台3の側面であり、互いに対向している。傾斜台側面3aは、段差側面13bから離間した位置に形成されている。傾斜台側面3aから段差側面13bまでの距離は、後記する本接合工程を行う際に、回転ツールFと傾斜台3とが干渉しないように設定することが好ましい。
【0018】
傾斜面3cは、徐々に上昇する斜面であればよく、平面であっても、曲面であってもよい。アプローチ部3dは、下端が段差側面13bと接するとともに上端が傾斜面3cに接し、90°方向を変えながら緩やかに湾曲して傾斜している。なお、本実施形態では、傾斜台3は、壁部11Dの端面11aに設けられているが、壁部11A,11B,11Cの端面11aであってもよい。また、アプローチ部3dの下端は、本接合工程の際に回転ツールFと接触しないように段差側面13bと離間させてもよい。
【0019】
本体1は、例えばダイキャストで形成するのが好ましい。ダイキャストによれば傾斜台3が設けられた本体1を容易に一体形成することができる。
【0020】
蓋部材2は、本体1の開口部を封止する平面視矩形の板部材である。蓋部材2の材料は、本体1と同じ金属でもよいし、異なる金属であってもよい。蓋部材2は、周壁段差部13にほぼ隙間なく載置される大きさで形成されている。蓋部材2の板厚寸法は、段差側面13bの高さ寸法より大きくしてもよい。
【0021】
次に、本実施形態に係る接合方法について説明する。本実施形態に係る接合方法は、準備工程と、載置工程と、本接合工程と、傾斜台除去工程とを行う。
【0022】
準備工程は、図1に示すように、傾斜台3及び凹部12を備えた本体1と、本体1に載置する蓋部材2とを形成する工程である。本体1は、例えばダイキャストで形成を行う。
【0023】
載置工程は、図2に示すように、本体1に形成される周壁段差部13に、蓋部材2を載置する工程である。周壁段差部13の段差側面13bと、蓋部材2の側面2cとが突き合わされて第一突合せ部J1が形成される。さらに、周壁段差部13の段差底面13aと、蓋部材2の底面2bとが突き合わされて第二突合せ部J2が形成される。周壁部11の端面11aと、蓋部材2の表面2aとは面一になっている。
【0024】
本接合工程は、回転ツールFを用いて第一突合せ部J1を摩擦攪拌接合する工程である。図2に示すように、回転ツールFは、連結部F1と、攪拌ピンF2を有する。攪拌ピンF2は、連結部F1から垂下しており、連結部F1と同軸になっている。攪拌ピンF2は連結部F1から離間するにつれて先細りになっている。攪拌ピンF2の外周面には螺旋溝が刻設されている。本実施形態では、回転ツールFを右回転させるため、螺旋溝を基端から先端に向けて左回りに刻設する。
【0025】
なお、回転ツールFを左回転させる場合は、螺旋溝を基端から先端に向けて右回りに刻設する。このようにすると、摩擦攪拌接合によって塑性流動化した金属が螺旋溝に導かれて攪拌ピンF2の先端側に移動する。これにより、被接合金属部材(本体1及び蓋部材2)から溢れ出る金属を少なくすることができる。
【0026】
本接合工程では、図3に示すように、開始位置Spから一周させて中間点S1までの本工程と、中間点S1から終了位置Epまでの離脱工程とを行う。本工程では、回転ツールFを用いて、第一突合せ部J1に沿って摩擦攪拌接合を行う。回転ツールFを任意に設定した開始位置Spに挿入し、回転ツールFを第一突合せ部J1に沿って右回りに移動させる。
【0027】
攪拌ピンF2の挿入の深さは、攪拌ピンF2の先端が周壁段差部13の段差底面13aに達するように設定するとともに、蓋部材2及び周壁部11に攪拌ピンF2のみが接触するように設定する。そして、回転ツールFを一定の高さ位置を保った状態で第一突合せ部J1をなぞるようにして移動させる。
【0028】
回転ツールFの移動軌跡には、塑性化領域Wが形成される。開始位置Spからスタートした回転ツールFが一周して開始位置Spに達したら、塑性化領域Wをオーバーラップさせて、中間点S1まで移動させる。回転ツールFが中間点S1に達したら、回転ツールFを離脱させずにそのまま離脱工程に移行する。
【0029】
離脱工程は、図4に示すように、中間点S1から終了位置Epまで回転ツールFを移動させて、傾斜台3で離脱させる工程である。離脱工程では、回転ツールFの挿入深さを一定に保ちながらアプローチ部3dに進入し傾斜台3の傾斜面3cに移動させる。その後、回転ツールFを端面11aから徐々に離間させながら、傾斜面3cに沿って移動させる。回転ツールFが終了位置Epに達したら、回転ツールFを上昇させて、傾斜台3から回転ツールFを離脱させる。
【0030】
最後に、傾斜台3を、本体1から取り除く傾斜台除去工程を行う。傾斜台除去工程では、例えば、切削加工により端面11aを基準として傾斜台3をすべて除去する。
【0031】
以上説明した、接合方法によれば、回転ツールFの終了位置Epを傾斜台3に設定するとともに、当該傾斜台3を切除する。これにより、本体1に引抜き穴及び引抜き痕が残存するのを防ぐことができる。また、これにより本体1の表面には引抜き穴及び引抜き痕が残存しないため、きれいに仕上げることができる。
【0032】
また、回転ツールFは傾斜面3cに沿って上昇させるため、終了位置Epまで回転ツールFを移動させると、攪拌ピンF2と端面11aとを離間させることができる。これにより、回転ツールFを離脱させた際に生じる引抜き穴は、本体1には残存せず、傾斜台3のみに残存させることができる。
【0033】
また、傾斜台3にアプローチ部3dを設けることにより、第一突合せ部J1から傾斜台3へ回転ツールFの移動速度を落とすことなくスムーズに移動させることができる。また、アプローチ部3dの下端を段差側面13bに接触させているため、離脱工程の際に端面11aに塑性化領域Wが極力残存しないようにすることができる。
【0034】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態に係る接合方法について説明する。本実施形態では、傾斜台が形成される方向が第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分について説明する。
【0035】
本実施形態では、図6に示すように傾斜台3Bは、第一突合せ部J1に対して傾斜面3cの傾斜方向が垂直に形成されている。傾斜面3cの下端は段差側面13bに接触している。なお、傾斜面3cの下端と段差側面13bとは、本接合工程の際に回転ツールFと接触しないように離間させてもよい。
【0036】
離脱工程において、第一実施形態では、回転ツールFを傾斜面3cに移動させる際にアプローチ部3dを介して移動させていた。しかし、本実施形態では、傾斜面3cが段差側面13bに対して垂直に接続されているため、中間点S1で、回転ツールFを90°左に移動させるだけで、回転ツールFを容易に傾斜台3Bへ移動させることができる。なお、その他の構成については、第一実施形態と同様である。
【0037】
以上説明した接合方法であっても、第一実施形態と略同等の効果を奏することができる。
【0038】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態に係る接合方法について説明する。本実施形態では、傾斜台が蓋部材2に形成されている点で第一実施形態と相違する。本実施形態では、第一実施形態と相違する部分について説明する。
【0039】
図7に示すように、本実施形態では、傾斜台3Cが蓋部材2の表面2a上に突出して形成されている。傾斜台3Cのアプローチ部3dは、下端が蓋部材2の側面2cと接するとともに上端が傾斜面3cに接し、90°方向を変えながら緩やかに湾曲して傾斜している。なお、傾斜面3cの下端と蓋部材2の側面2cとは、本接合工程の際に回転ツールFと接触しないように離間させてもよい。
【0040】
蓋部材2の傾斜台3Cは、第一実施形態と同様に、例えば、ダイキャストで形成することができる。これにより、傾斜台3Cと蓋部材2とを容易に一体形成することができる。
【0041】
なお、本接合工程については、傾斜台3Cで離脱させることを除いては、第一実施形態と同様である。また、その他の構成についても、第一実施形態と同じであるため、詳細な説明は省略する。このように、第三実施形態に係る接合方法であっても、第一実施形態と概ね同等の効果を奏することができる。
【0042】
以上、本発明について説明したが、本発明は、前記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変化が可能である。
【0043】
例えば、第三実施形態において蓋部材2に形成される傾斜台に第二実施形態のような構成を適用してもよい。すなわち、蓋部材2の側面2cに対して傾斜面の傾斜方向が垂直となるように傾斜台を蓋部材2に設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 本体
2 蓋部材
3、3B、3C 傾斜台
10 底部
11 周壁部
11a 端面
11A 壁部
11B 壁部
11C 壁部
11D 壁部
12 凹部
13 周壁段差部
13a 段差底面
13b 段差側面
J1 第一突合せ部
J2 第二突合せ部
F 回転ツール
F1 連結部
F2 攪拌ピン
W 塑性化領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7