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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20230905BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20230905BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20230905BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J29/38 201
B41J29/13
B41J3/407
B41J2/01 109
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019158006
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021035745
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】723005698
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148460
【弁理士】
【氏名又は名称】小俣 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100168125
【弁理士】
【氏名又は名称】三藤 誠司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一朗
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-160846(JP,A)
【文献】特開2004-320743(JP,A)
【文献】特開2010-253951(JP,A)
【文献】特開2019-000438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷を施すためのプリンタであって、
特定の画像を含む複数の画像が表示された表示媒体に設けられた非接触型タグであって、前記特定の画像を識別するための特定の識別情報を含む、前記複数の画像をそれぞれ識別するための複数の識別情報が記憶された前記非接触型タグから前記複数の識別情報を非接触で読み取る読取部と、
前記読取部により読み取られた前記複数の識別情報のうち、前記特定の識別情報を選択する操作を受け付ける受付部と、
前記特定の画像を示す特定の画像データを含む、前記複数の画像をそれぞれ示す複数の画像データ、及び、前記複数の画像データと当該複数の画像データをそれぞれ識別するための複数の識別情報との対応関係を示す対応情報が記憶された記憶装置を参照することにより、前記複数の画像データの中から、前記受付部により選択する操作が受け付けられた前記特定の識別情報と対応付けられた前記特定の画像データを決定する決定部と、
決定された前記特定の画像データに基づいて、前記記録媒体への印刷を制御する印刷制御部と、を備え
前記表示媒体には、さらに、当該表示媒体に表示された前記複数の画像とそれぞれ対応付けられた複数の第1の識別子が表示され、
前記受付部は、前記読取部により読み取られた前記複数の識別情報をそれぞれ選択する操作を受け付ける、前記複数の第1の識別子にそれぞれ対応する複数の第2の識別子がそれぞれ表示された複数の操作ボタンを有する
プリンタ。
【請求項2】
前記複数の第1の識別子及び前記複数の第2の識別子の各々は、文字、数字、記号及び図形の少なくとも1つを含む
請求項に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記表示媒体はシート状に形成されており、
前記複数の画像及び前記複数の第1の識別子は、前記表示媒体の表面に表示されている
請求項又はに記載のプリンタ。
【請求項4】
記録媒体に印刷を施すためのプリンタであって、
特定の画像が表示された表示媒体に設けられた非接触型タグであって、前記特定の画像を識別するための特定の識別情報が記憶された前記非接触型タグから当該特定の識別情報を非接触で読み取る読取部と、
前記特定の画像を示す特定の画像データを含む複数の画像データ、及び、前記複数の画像データと当該複数の画像データをそれぞれ識別するための複数の識別情報との対応関係を示す対応情報が記憶された記憶装置を参照することにより、前記複数の画像データの中から、前記読取部により読み取られた前記特定の識別情報と対応付けられた前記特定の画像データを決定する決定部と、
決定された前記特定の画像データに基づいて、前記記録媒体への印刷を制御する印刷制御部と、
読取部を内部に収容する筐体と、を備え、
前記筐体には、前記表示媒体を載置するための載置領域が配置され、
前記読取部は、前記載置領域に対応して配置されており、
前記筐体の内部には、前記記録媒体を載置するための載置部が配置され、
前記筐体には、さらに、前記記録媒体を前記載置部上で位置合わせする際に、前記筐体の外部から前記載置部を覗き込むための覗き窓が形成されている
リンタ。
【請求項5】
前記載置領域には、前記表示媒体を位置決めするための凹部が形成されている
請求項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に印刷を施すためのプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に印刷を施すためのプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のプリンタは、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ及びデジタルカメラ等の外部機器と有線又は無線で接続されることにより、当該外部機器との間で通信可能である。外部機器からの画像データがプリンタに送信されることにより、プリンタにおいて当該画像データに基づく印刷が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-11364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のプリンタでは、ユーザは、プリンタで印刷を実行する際には、プリンタと外部機器とを有線又は無線で接続した後に、外部機器において画像データをプリンタに送信する操作を行う必要がある。そのため、ユーザの手間がかかるという課題が生じる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、その目的は、簡単な操作で印刷を実行することができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るプリンタは、記録媒体に印刷を施すためのプリンタであって、特定の画像が表示された表示媒体に設けられた非接触型タグであって、前記特定の画像を識別するための特定の識別情報が記憶された前記非接触型タグから当該特定の識別情報を非接触で読み取る読取部と、前記特定の画像を示す特定の画像データを含む複数の画像データ、及び、前記複数の画像データと当該複数の画像データをそれぞれ識別するための複数の識別情報との対応関係を示す対応情報が記憶された記憶装置を参照することにより、前記複数の画像データの中から、前記読取部により読み取られた前記特定の識別情報と対応付けられた前記特定の画像データを決定する決定部と、決定された前記特定の画像データに基づいて、前記記録媒体への印刷を制御する印刷制御部と、を備える。
【0007】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体に表示された特定の画像を記録媒体に印刷したい場合、表示媒体に設けられた非接触型タグに記憶されている特定の識別情報を読取部に非接触で読み取らせる。これにより、記憶装置に記憶されている複数の画像データの中から、読取部により読み取られた特定の識別情報と対応付けられた特定の画像データが決定され、当該特定の画像データに基づいて記録媒体に印刷が施される。したがって、ユーザは少なくとも非接触型タグを読取部に非接触で読み取らせる操作を行えばよいので、ユーザの手間を省くことができ、簡単な操作で印刷を実行することができる。
【0008】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記表示媒体には、前記特定の画像を含む複数の画像が表示され、前記非接触型タグには、前記特定の識別情報を含む、前記複数の画像をそれぞれ識別するための複数の識別情報が記憶されており、前記読取部は、前記非接触型タグから前記複数の識別情報を非接触で読み取り、前記プリンタは、さらに、前記読取部により読み取られた前記複数の識別情報のうち、前記特定の識別情報を選択する操作を受け付ける受付部を備え、前記決定部は、前記複数の画像をそれぞれ示す前記複数の画像データ、及び、前記対応情報が記憶された前記記憶装置を参照することにより、前記複数の画像データの中から、前記受付部により選択する操作が受け付けられた前記特定の識別情報と対応付けられた前記特定の画像データを決定するように構成してもよい。
【0009】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体に表示された複数の画像のうち特定の画像を記録媒体に印刷したい場合、表示媒体に設けられた非接触型タグに記憶されている複数の識別情報を読取部に非接触で読み取らせる。さらに、ユーザは、印刷したい特定の画像に対応する特定の識別情報を選択する操作を受付部により行う。これにより、記憶装置に記憶されている複数の画像データの中から、受付部により選択する操作が受け付けられた特定の識別情報と対応付けられた特定の画像データが決定され、当該特定の画像データに基づいて記録媒体に印刷が施される。したがって、ユーザは少なくとも、非接触型タグを読取部に非接触で読み取らせ、且つ、印刷したい特定の画像に対応する特定の識別情報を選択する操作を行えばよいので、ユーザの手間を省くことができ、簡単な操作で印刷を実行することができる。
【0010】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記表示媒体には、さらに、当該表示媒体に表示された前記複数の画像とそれぞれ対応付けられた複数の第1の識別子が表示され、前記受付部は、前記読取部により読み取られた前記複数の識別情報をそれぞれ選択する操作を受け付ける、前記複数の第1の識別子にそれぞれ対応する複数の第2の識別子がそれぞれ表示された複数の操作ボタンを有するように構成してもよい。
【0011】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体に表示された複数の画像のうち特定の画像を記録媒体に印刷したい場合、複数の操作ボタンのうち、特定の画像と対応付けられて表示媒体に表示された第1の識別子に対応する第2の識別子が表示された操作ボタンを操作すればよい。これにより、ユーザは、印刷したい特定の画像に対応する特定の識別情報を選択する操作を容易に行うことができる。
【0012】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記複数の第1の識別子及び前記複数の第2の識別子の各々は、文字、数字、記号及び図形の少なくとも1つを含むように構成してもよい。
【0013】
本態様によれば、複数の第1の識別子及び複数の第2の識別子の各々を分かりやすく表示することができる。
【0014】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記表示媒体はシート状に形成されており、前記複数の画像及び前記複数の第1の識別子は、前記表示媒体の表面に表示されているように構成してもよい。
【0015】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体を容易に取り扱うことができる。
【0016】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記プリンタは、さらに、前記印刷部を内部に収容する筐体を備え、前記筐体には、前記表示媒体を載置するための載置領域が配置され、前記読取部は、前記載置領域に対応して配置されているように構成してもよい。
【0017】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体を筐体の載置領域に載置することにより、非接触型タグを読取部に非接触で読み取らせることができる。これにより、より一層簡単な操作で印刷を実行することができる。
【0018】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記載置領域には、前記表示媒体を位置決めするための凹部が形成されているように構成してもよい。
【0019】
本態様によれば、ユーザは、表示媒体を筐体の載置領域の凹部に載置することにより、表示媒体を載置領域において容易に位置決めすることができる。
【0020】
例えば、本発明の一態様に係るプリンタにおいて、前記筐体の内部には、前記記録媒体を載置するための載置部が配置され、前記筐体には、さらに、前記記録媒体を前記載置部上で位置合わせする際に、前記筐体の外部から前記載置部を覗き込むための覗き窓が形成されているように構成してもよい。
【0021】
本態様によれば、ユーザは、覗き窓を通して筐体の外部から載置部を覗き込むことにより、記録媒体を載置部上で容易に位置合わせすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係るプリンタによれば、簡単な操作で印刷を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施の形態1に係るプリンタを示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るプリンタを示す平面図である。
図3】実施の形態1に係るプリンタの内部構造を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る表示媒体の一例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る表示媒体のRFIDタグに記憶されている識別情報データテーブルの一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
図7】実施の形態1に係るプリンタの記憶部に記憶されている対応情報データテーブルの一例を示す図である。
図8】実施の形態1に係るプリンタの使用方法を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1に係るプリンタの使用方法を説明するための図である。
図10】実施の形態2に係るプリンタの機能構成を示すブロック図である。
図11】実施の形態3に係るプリンタを示す斜視図である。
図12】実施の形態4に係るプリンタを示す斜視図である。
図13】実施の形態5に係るプリンタを示す斜視図である。
図14】実施の形態6に係るプリンタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0025】
(実施の形態1)
[1-1.プリンタの構造]
まず、図1図3を参照しながら、実施の形態1に係るプリンタ2の構造について説明する。図1は、実施の形態1に係るプリンタ2を示す斜視図である。図2は、実施の形態1に係るプリンタ2を示す平面図である。図3は、実施の形態1に係るプリンタ2の内部構造を示す斜視図である。
【0026】
本実施の形態では、プリンタ2は、ユーザの手の指4の爪6(記録媒体の一例)に例えば絵柄等の印刷を施すための、いわゆるネイルプリンタである。図1図3に示すように、プリンタ2は、筐体8と、筐体8の内部に配置された印刷ユニット10とを備えている。
【0027】
図1に示すように、筐体8は、例えば箱形状に形成されている。筐体8の前面8aには、ユーザの指4を挿入するための開口部12が配置されている。図3に示すように、開口部12の下側(Z軸のマイナス側)には、ユーザの指4を載置するためのフィンガーホルダ14(載置部の一例)が配置されている。また、開口部12の上側(Z軸のプラス側)には、ユーザの指4を上方から押さえるための押さえカバー(図示せず)が配置されている。フィンガーホルダ14は、押さえカバーに対して上下方向(Z軸方向)に移動可能であり、押さえカバーに近付く方向にバネ(図示せず)で付勢されている。
【0028】
図3に示すように、ユーザは、指4の爪6が上側を向くようにして、指4を真っ直ぐに伸ばした状態で筐体8の開口部12に挿入し、指4の腹側をフィンガーホルダ14に載置する。これにより、指4の爪6を含む部分(例えば、指4の先端から第一関節の近傍までの部分)が筐体8の内部に配置される。この時、フィンガーホルダ14が押さえカバーに近付く方向に付勢されることにより、例えば指4の第一関節付近がフィンガーホルダ14及び押さえカバーにより上下から挟持される。
【0029】
図1及び図2に示すように、筐体8の天面8bには、筐体8の外部から、筐体8の内部に配置されたフィンガーホルダ14を覗き込むための覗き窓16が形成されている。覗き窓16は、フィンガーホルダ14の直上に配置されている。ユーザは、覗き窓16を通して筐体8の外部からフィンガーホルダ14を覗き込むことにより、指4の爪6をフィンガーホルダ14上で位置合わせすることができる。覗き窓16には、例えば透光性を有する樹脂等で形成された透光プレート18が配置されている。透光プレート18は、印刷の実行時に筐体8の内部で発生したインクミストが筐体8の外部に漏れるのを抑制し、且つ、筐体8の外部の塵埃等が筐体8の内部に侵入するのを抑制するためのものである。
【0030】
なお、本実施の形態では、覗き窓16に透光プレート18を配置したが、この透光プレート18に代えて、覗き窓16に例えば拡大レンズを配置してもよい。これにより、ユーザは、覗き窓16を通してフィンガーホルダ14を拡大して見ることができる。また、透光プレート18又は拡大レンズがインクミスト等で汚れた際には、透光プレート18又は拡大レンズを交換可能としてもよい。
【0031】
図1及び図2に示すように、筐体8の天面8bには、ユーザによる印刷開始の操作を受け付けるための印刷開始ボタン20が配置されている。また、筐体8の天面8bには、後述するように読取部44(図2及び図3参照)により読み取られた複数の識別情報のうち、いずれかの識別情報(特定の識別情報)を選択する操作を受け付けるための受付部22が配置されている。
【0032】
受付部22は、読取部44により読み取られた複数の識別情報をそれぞれ選択するための複数の操作ボタン24,26,28,30,32,34(24~34)を有している。複数の操作ボタン24~34にはそれぞれ、「1」、「2」、「3」、「4」、「5」及び「6」の各数字(複数の第2の識別子の一例)が表示されている。
【0033】
また、図1及び図2に示すように、筐体8の天面8bには、表示媒体36(図1参照)を載置するための載置領域38が配置されている。載置領域38には、表示媒体36を位置決めするための凹部40が形成されている。凹部40は、XY平面視で略矩形状に形成されている。XY平面視において、凹部40の大きさは、表示媒体36の大きさよりも大きい。なお、表示媒体36の構成については後述する。
【0034】
図3に示すように、筐体8の内部には、プリント配線基板42が配置されている。プリント配線基板42は、フィンガーホルダ14の上方に配置されている。プリント配線基板42の上面には、読取部44が実装されている。読取部44は、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグリーダ機能を有する回路モジュールである。図2に示すように、読取部44は、筐体8の載置領域38の直下に(すなわち、載置領域38に対応して)配置されており、載置領域38に載置された表示媒体36のRFIDタグ88(図1参照)から複数の識別情報を非接触で読み取る。
【0035】
また、プリント配線基板42の下面には、LED(Light Emitting Diode)素子46が実装されている。LED素子46は、筐体8の内部を照明するための光源である。ユーザが指4の爪6をフィンガーホルダ14上で位置合わせする際に、LED素子46が点灯することにより、フィンガーホルダ14及び爪6がLED素子46により照明される。
【0036】
印刷ユニット10は、筐体8の内部に配置された指4の爪6に絵柄等の印刷を施すためのユニットである。印刷ユニット10の印刷方式は、指4の爪6にミスト状のインクを吹き付けることにより印刷を施すインクジェット方式である。
【0037】
図3に示すように、印刷ユニット10は、ヘッド部48と、駆動機構50とを有している。
【0038】
ヘッド部48は、ヘッド支持部52と、ヘッド支持部52に搭載されたインクヘッド54とを有している。インクヘッド54の内部には、複数色のインクが充填されている。ヘッド部48の下面には、フィンガーホルダ14に載置された指4の爪6に向けて下方にインクを吐出するノズル面(図示せず)が形成されている。
【0039】
駆動機構50は、ヘッド部48を、第1の方向(X軸方向)及び第1の方向と略直交する第2の方向(Y軸方向)に二次元的に移動させるための機構である。駆動機構50は、ヘッド部48を第1の方向に移動させるためのX軸駆動機構56と、ヘッド部48を第2の方向に移動させるためのY軸駆動機構58とを有している。
【0040】
X軸駆動機構56は、移動テーブル60と、X軸ガイドシャフト62と、X軸モータ64と、タイミングベルト66とを有している。
【0041】
X軸ガイドシャフト62は、筐体8の内部に配置された移動テーブル60に支持されており、第1の方向に長尺状に延びている。X軸ガイドシャフト62には、ヘッド部48が移動可能に支持されている。X軸モータ64は、例えばサーボモータで構成され、移動テーブル60の下面に支持されている。
【0042】
X軸モータ64の駆動力は、タイミングベルト66を介してヘッド部48に伝達される。これにより、ヘッド部48は、移動テーブル60に対して、X軸ガイドシャフト62に沿って第1の方向に往復移動する。
【0043】
Y軸駆動機構58は、移動テーブル60と、ベアリング部材68と、Y軸ガイドシャフト70と、Y軸モータ(図示せず)と、ウォームギア(図示せず)と、ウォームホイール72と、駆動変換機構(図示せず)とを有している。
【0044】
Y軸ガイドシャフト70は、筐体8の内部に配置された支持プレート74に支持されており、第2の方向に長尺状に延びている。Y軸ガイドシャフト70には、移動テーブル60の下面に固定されたベアリング部材68が移動可能に支持されている。すなわち、移動テーブル60は、ベアリング部材68を介してY軸ガイドシャフト70に移動可能に支持されている。Y軸モータは、例えばサーボモータで構成され、支持プレート74に支持されている。ウォームギアは、Y軸モータの駆動軸に回転可能に支持されている。ウォームホイール72は、支持プレート74に回転可能に支持されており、ウォームギアと噛み合わされている。
【0045】
駆動変換機構は、ウォームホイール72の回転をヘッド部48の第2の方向における直線移動に変換するための機構である。駆動変換機構は、ウォームホイール72に形成されたピニオン歯車と、ベアリング部材68に形成されたラック歯車とを有している。ピニオン歯車及びラック歯車は、互いに噛み合わされている。
【0046】
Y軸モータの駆動力は、ウォームギア、ウォームホイール72及び駆動変換機構を介して移動テーブル60に伝達される。これにより、ヘッド部48は、移動テーブル60と一体的に、Y軸ガイドシャフト70に沿って第2の方向に往復移動する。
【0047】
ヘッド部48が第1の方向に往復移動しながら、第2の方向における他方側から一方側(Y軸のプラス側からマイナス側)に向けて移動している状態で、ヘッド部48のノズル面から指4の爪6に向けてインクが吐出されることにより、指4の爪6に印刷が施される。
【0048】
[1-2.表示媒体の構成]
ここで、図4及び図5を参照しながら、実施の形態1に係るプリンタ2での印刷に用いられる表示媒体36について説明する。図4は、実施の形態1に係る表示媒体36の一例を示す図である。図5は、実施の形態1に係る表示媒体36のRFIDタグ88に記憶されている識別情報データテーブル90の一例を示す図である。
【0049】
図4に示すように、表示媒体36は、上述したプリンタ2での印刷に用いられる媒体であり、例えば樹脂製又は紙製等の矩形状のシート状に形成されている。表示媒体36の表面36aには、複数のサンプル画像76,78,80,82,84,86(76~86)(複数の画像の一例)が表示されている。複数のサンプル画像76~86の各々は、プリンタ2で印刷可能な画像のサムネイルである。図4に示す例では、複数のサンプル画像76~86はそれぞれ、てんとう虫、イルカ、レモン、チューリップ、飛行機及びユニオンジャックを表す画像(絵柄)である。
【0050】
また、表示媒体36の表面36aには、複数のサンプル画像76~86とそれぞれ対応付けられた「1」、「2」、「3」、「4」、「5」及び「6」の各数字(複数の第1の識別子の一例)が表示されている。なお、表示媒体36の表面36aに表示された「1」、「2」、「3」、「4」、「5」及び「6」の各数字はそれぞれ、プリンタ2の複数の操作ボタン24~34に表示された「1」、「2」、「3」、「4」、「5」及び「6」の各数字と対応付けられている。
【0051】
図4に示すように、表示媒体36の中央部には、例えばパッシブ型のRFIDタグ88(非接触型タグの一例)が埋め込まれている。図5に示すように、RFIDタグ88には、識別情報データテーブル90が記憶されている。識別情報データテーブル90は、複数のサンプル画像76~86をそれぞれ識別するための複数の識別情報が格納されたデータテーブルである。
【0052】
図5に示す例では、識別情報データテーブル90の1行目には、サンプル画像76(てんとう虫)を識別するための識別情報「IMG001」が格納されている。識別情報データテーブル90の2行目には、サンプル画像78(イルカ)を識別するための識別情報「IMG002」が格納されている。識別情報データテーブル90の3行目には、サンプル画像80(レモン)を識別するための識別情報「IMG003」が格納されている。識別情報データテーブル90の4行目には、サンプル画像82(チューリップ)を識別するための識別情報「IMG004」が格納されている。識別情報データテーブル90の5行目には、サンプル画像84(飛行機)を識別するための識別情報「IMG005」が格納されている。識別情報データテーブル90の6行目には、サンプル画像86(ユニオンジャック)を識別するための識別情報「IMG006」が格納されている。
【0053】
プリンタ2で印刷を実行する際には、表示媒体36の表面36aが上側を向くようにして、表示媒体36をプリンタ2の筐体8の載置領域38の凹部40(図2参照)に載置する。これにより、プリンタ2の読取部44は、表示媒体36のRFIDタグ88に記憶されている複数の識別情報「IMG001」、「IMG002」、「IMG003」、「IMG004」、「IMG005」及び「IMG006」(「IMG001」~「IMG006」)を非接触で読み取る。
【0054】
なお、本実施の形態では、表示媒体36の表面36aが上側を向くようにして、表示媒体36を載置領域38の凹部40に載置したが、これに限定されず、表示媒体36の表面36aが下側を向くようにして、表示媒体36を載置領域38の凹部40に載置してもよい。また、複数のサンプル画像76~86は、表示媒体36の両面(表面36a及び裏面)に表示されていてもよい。この場合においても、表示媒体36を載置領域38の凹部40に載置する際に、表示媒体36の両面のどちらが上側を向いていてもよい。
【0055】
[1-3.プリンタの機能構成]
次に、図6及び図7を参照しながら、実施の形態1に係るプリンタ2の機能構成について説明する。図6は、実施の形態1に係るプリンタ2の機能構成を示すブロック図である。図7は、実施の形態1に係るプリンタ2の記憶部92に記憶されている対応情報データテーブル98の一例を示す図である。
【0056】
図6に示すように、プリンタ2は、機能構成として、読取部44と、受付部22と、記憶部92(記憶装置の一例)と、決定部94と、印刷制御部96とを備えている。
【0057】
読取部44は、上述したように、筐体8の載置領域38(図2参照)に載置された表示媒体36のRFIDタグ88から、複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」を非接触で読み取る。
【0058】
受付部22は、上述したように、読取部44により読み取られた複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」のうち、いずれかの識別情報を選択する操作を受け付ける。
【0059】
記憶部92は、複数の画像データ及び対応情報データテーブル98(対応情報の一例)を記憶するメモリである。記憶部92に記憶された複数の画像データは、表示媒体36の表面36aに表示された複数のサンプル画像76~86の各オリジナル画像をそれぞれ示す、画像データA(てんとう虫)、画像データB(イルカ)、画像データC(レモン)、画像データD(チューリップ)、画像データE(飛行機)及び画像データF(ユニオンジャック)を含む。なお、記憶部92に記憶された複数の画像データは、上述した複数の画像データA~F以外の他の画像データを含んでいてもよい。
【0060】
対応情報データテーブル98は、上述した複数の画像データA~Fと当該複数の画像データA~Fをそれぞれ識別するための複数の識別情報との対応関係を示すデータテーブルである。図7に示す例では、対応情報データテーブル98の1行目には、画像データAと、当該画像データAを識別するための識別情報「IMG001」とが対応付けられている。対応情報データテーブル98の2行目には、画像データBと、当該画像データBを識別するための識別情報「IMG002」とが対応付けられている。対応情報データテーブル98の3行目には、画像データCと、当該画像データCを識別するための識別情報「IMG003」とが対応付けられている。対応情報データテーブル98の4行目には、画像データDと、当該画像データDを識別するための識別情報「IMG004」とが対応付けられている。対応情報データテーブル98の5行目には、画像データEと、当該画像データEを識別するための識別情報「IMG005」とが対応付けられている。対応情報データテーブル98の6行目には、画像データFと、当該画像データFを識別するための識別情報「IMG006」とが対応付けられている。
【0061】
決定部94は、記憶部92に記憶された対応情報データテーブル98を参照することにより、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、受付部22により選択する操作が受け付けられた識別情報と対応付けられた画像データ(特定の画像データ)を決定する。例えば、受付部22により識別情報「IMG001」を選択する操作が受け付けられた場合(すなわち、操作ボタン24が押下された場合)には、決定部94は、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、識別情報「IMG001」と対応付けられた画像データAを決定する。同様に、例えば受付部22により識別情報「IMG002」を選択する操作が受け付けられた場合(すなわち、操作ボタン26が押下された場合)には、決定部94は、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、識別情報「IMG002」と対応付けられた画像データBを決定する。
【0062】
印刷制御部96は、決定部94により決定された画像データに基づいて、ユーザの指4の爪6への印刷を制御する。例えば、決定部94により画像データAが決定された場合には、印刷制御部96は、ユーザの指4の爪6に画像データAにより示されるてんとう虫の画像が印刷されるように、印刷ユニット10を制御する。同様に、例えば決定部94により画像データBが決定された場合には、印刷制御部96は、ユーザの指4の爪6に画像データBにより示されるイルカの画像が印刷されるように、印刷ユニット10を制御する。
【0063】
[1-4.プリンタの使用方法]
次に、図8及び図9を参照しながら、実施の形態1に係るプリンタ2の使用方法について説明する。図8は、実施の形態1に係るプリンタ2の使用方法を示すフローチャートである。図9は、実施の形態1に係るプリンタ2の使用方法を説明するための図である。
【0064】
図8及び図9の(a)に示すように、ユーザは、プリンタ2の主電源をオンした後に、表示媒体36の表面36aが上側を向くようにして、表示媒体36をプリンタ2の筐体8の載置領域38の凹部40に載置する(S101)。この時、表示媒体36が凹部40に嵌まり込むことにより、表示媒体36が載置領域38において位置決めされる。これにより、XY平面視において、表示媒体36のRFIDタグ88とプリンタ2の読取部44とが重なり合うように配置される。
【0065】
プリンタ2の読取部44は、表示媒体36のRFIDタグ88に記憶されている複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」を非接触で読み取る(S102)。読取部44により読み取られた複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」は、例えば一時メモリ(図示せず)に記憶され、決定部94において複数の操作ボタン24~34とそれぞれ対応付けられる。これにより、複数の操作ボタン24~34はそれぞれ、読取部44により読み取られた複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」を選択する操作を受け付けるための操作ボタンとして機能するようになる。
【0066】
ユーザがプリンタ2の複数の操作ボタン24~34のいずれをも押下していない場合には(S103でNO)、ステップS103に戻る。
【0067】
一方、ユーザがプリンタ2の複数の操作ボタン24~34のいずれかを押下した場合には(S103でYES)、決定部94は、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、複数の操作ボタン24~34のいずれかにより選択する操作が受け付けられた識別情報と対応付けられた画像データを決定する(S104)。
【0068】
図9の(a)に示すように、ユーザは、表示媒体36の表面36aに表示された複数のサンプル画像76~86を見ながら、どのサンプル画像により示される画像を指4の爪6に印刷するかを決定する。ユーザは、複数のサンプル画像76~86のうち、例えばサンプル画像76(特定の画像)により示されるてんとう虫の画像を指4の爪6に印刷したいと思った場合には、サンプル画像76と対応付けられて表示媒体36の表面36aに表示された数字「1」と同じ数字「1」が表示された操作ボタン24を押下する。これにより、決定部94は、記憶部92に記憶された対応情報データテーブル98を参照することにより、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、操作ボタン24により選択する操作が受け付けられた識別情報「IMG001」と対応付けられた画像データAを決定する。
【0069】
また、ユーザは、表示媒体36の表面36aに表示された複数のサンプル画像76~86のうち、例えばサンプル画像78により示されるイルカの画像を指4の爪6に印刷したいと思った場合には、サンプル画像78と対応付けられて表示媒体36の表面36aに表示された数字「2」と同じ数字「2」が表示された操作ボタン26を押下する。これにより、決定部94は、記憶部92に記憶された対応情報データテーブル98を参照することにより、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、操作ボタン26により選択する操作が受け付けられた識別情報「IMG002」と対応付けられた画像データBを決定する。
【0070】
同様に、ユーザが操作ボタン28~34をそれぞれ押下した場合には、決定部94は、記憶部92に記憶された複数の画像データA~Fの中から、操作ボタン28~34により選択する操作がそれぞれ受け付けられた識別情報「IMG003」~「IMG006」とそれぞれ対応付けられた画像データC~Fを決定する。
【0071】
なお、ユーザが複数の操作ボタン24~34のいずれかを押下したタイミングで、プリンタ2の内部に配置されたLED素子46が点灯することにより、プリンタ2の内部が照明される。
【0072】
その後、ユーザは、指4の爪6が上側を向くようにして、指4を真っ直ぐに伸ばした状態で筐体8の開口部12(図1参照)に挿入し、指4の腹側をフィンガーホルダ14に載置する。この時、ユーザは、覗き窓16を通して筐体8の外部からフィンガーホルダ14を覗き込むことにより、指4の爪6をフィンガーホルダ14上で位置合わせする。
【0073】
その後、ユーザは、プリンタ2の印刷開始ボタン20を押下することにより、印刷制御部96は、決定部94により決定された画像データに基づいて、ユーザの指4の爪6への印刷の制御を開始する。これにより、プリンタ2の印刷ユニット10により、ユーザの指4の爪6への印刷が実行される(S105)。
【0074】
図9の(b)に示すように、例えば決定部94により画像データAが決定された場合には、印刷制御部96は、ユーザの指4の爪6に画像データAにより示されるてんとう虫の画像100が印刷されるように、印刷ユニット10を制御する。
【0075】
同様に、例えば決定部94により画像データB~Fがそれぞれ決定された場合には、印刷制御部96は、ユーザの指4の爪6に画像データB~Fによりそれぞれ示されるイルカの画像、レモンの画像、チューリップの画像、飛行機の画像及びユニオンジャックの画像が印刷されるように、印刷ユニット10を制御する。
【0076】
なお、印刷ユニット10による印刷が終了したタイミングで、LED素子46が消灯する。
【0077】
[1-5.効果]
上述したように、実施の形態1に係るプリンタ2では、ユーザは、表示媒体36に表示された複数のサンプル画像76~86のうちいずれかのサンプル画像(例えばサンプル画像76)を指4の爪6に印刷したい場合、表示媒体36に設けられたRFIDタグ88に記憶されている複数の識別情報「IMG001」~「IMG006」を読取部44に非接触で読み取らせる。さらに、ユーザは、複数の操作ボタン24~34のうち操作ボタン24を押下することにより、印刷したいサンプル画像76に対応する識別情報「IMG001」を選択する操作を行う。これにより、記憶部92に記憶されている複数の画像データA~Fの中から、操作ボタン24により選択する操作が受け付けられた識別情報「IMG001」と対応付けられた画像データAが決定され、当該画像データAに基づいて指4の爪6に印刷が施される。
【0078】
したがって、ユーザは少なくとも、RFIDタグ88を読取部44に非接触で読み取らせ、且つ、操作ボタン24を押下することにより、印刷したいサンプル画像76に対応する識別情報「IMG001」を選択する操作を行えばよいので、ユーザの手間を省くことができ、簡単な操作で印刷を実行することができる。
【0079】
なお、本実施の形態では、1種類の表示媒体36を用いて印刷を実行する場合について説明したが、複数種類の表示媒体36を用いて印刷を実行してもよい。この場合、複数種類の表示媒体36にはそれぞれ、互いに異なる1以上のサンプル画像が表示されている。また、プリンタ2の記憶部92には、複数種類の表示媒体36に表示されている全てのサンプル画像の各オリジナル画像をそれぞれ示す複数の画像データ(例えば複数の画像データA~Z)、及び、複数の画像データA~Zと当該複数の画像データA~Zをそれぞれ識別するための複数の識別情報との対応関係を示す対応情報データテーブル98が記憶されている。ユーザは、複数種類の表示媒体36のうち、印刷したいサンプル画像が表示された表示媒体36を筐体8の載置領域38に載置し、複数の操作ボタン24~34のいずれかを押下すればよい。
【0080】
(実施の形態2)
図10を参照しながら、実施の形態2に係るプリンタ2Aの機能構成について説明する。図10は、実施の形態2に係るプリンタ2Aの機能構成を示すブロック図である。なお、以下の各実施の形態において、上記実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0081】
図10に示すように、実施の形態2に係るプリンタ2Aは、機能構成として、上記実施の形態1で説明した記憶部92に代えて、入力部102を備えている。入力部102は、USB(Universal Serial Bus)メモリ104(記憶装置の一例)が着脱自在に差し込まれるUSBポートである。USBメモリ104には、上記実施の形態1で説明した記憶部92に記憶されている各種データ、すなわち、複数の画像データA~F及び対応情報データテーブル98(図7参照)が記憶されている。
【0082】
決定部94は、USBメモリ104に記憶された対応情報データテーブル98を参照することにより、USBメモリ104に記憶された複数の画像データA~Fの中から、複数の操作ボタン24~34(図2参照)のいずれかにより選択する操作が受け付けられた識別情報と対応付けられた画像データを決定する。
【0083】
したがって、本実施の形態では、外部メモリであるUSBメモリ104に複数の画像データA~F及び対応情報データテーブル98が記憶されているので、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、プリンタ2の記憶容量を削減することができる。
【0084】
(実施の形態3)
図11を参照しながら、実施の形態3に係るプリンタ2Bの構造について説明する。図11は、実施の形態3に係るプリンタ2Bを示す斜視図である。
【0085】
図11に示すように、実施の形態3に係るプリンタ2Bでは、筐体8Bの内部には、上記実施の形態1で説明したフィンガーホルダ14に代えて、トレイ106(載置部の一例)が配置されている。ユーザは、トレイ106上にいわゆる付け爪であるネイルチップ108(記録媒体の一例)を載置した状態で、当該トレイ106を、筐体8Bの開口部12を通して筐体8の内部に差し込む。なお、筐体8Bの内部には、トレイ106が筐体8の内部に差し込まれたことを検知するためのセンサ(図示せず)が配置されている。これにより、トレイ106に載置されたネイルチップ108に印刷が施される。
【0086】
また、図11に示すように、筐体8Bの天面8bには、筐体8Bの外部の光を筐体8Bの内部に取り入れるための採光窓110が形成されている。なお、本実施の形態では、上記実施の形態1で説明したLED素子46は設けられていない。採光窓110には、例えば透光性を有する樹脂等で形成された透光プレート112が配置されている。透光プレート112は、上記実施の形態1で説明した透光プレート18と同様の機能を有している。筐体8Bの外部の光が採光窓110を通して筐体8Bの内部に照射されることにより、ユーザは、覗き窓16を通して筐体8Bの外部からトレイ106を覗き込みながら、ネイルチップ108をトレイ106上で容易に位置合わせすることができる。
【0087】
なお、本実施の形態では、採光窓110に透光プレート112を配置したが、この透光プレート112に代えて、採光窓110に光拡散用のレンズを配置してもよい。
【0088】
(実施の形態4)
図12を参照しながら、実施の形態4に係るプリンタ2Cの構造について説明する。図12は、実施の形態4に係るプリンタ2Cを示す斜視図である。なお、説明の都合上、図12では、筐体8Cの天面8bに配置された覗き窓16、印刷開始ボタン20及び複数の操作ボタン24~34等(図1参照)の図示を省略し、且つ、表示媒体36に表示された複数のサンプル画像76~86等(図4参照)の図示を省略してある。
【0089】
図12に示すように、実施の形態4に係るプリンタ2Cでは、筐体8Cの背面8cには、表示媒体36を筐体8Cの内部に略水平方向(Y軸のマイナス方向)に差し込むための差し込み孔112が形成されている。筐体8Cの天面8bには、差し込み孔112と連通する切り欠き部114が形成されている。なお、筐体8Cの天面8bには、上記実施の形態1で説明した載置領域38は配置されていない。
【0090】
また、プリント配線基板42は、筐体8Cの内部において、差し込み孔112に差し込まれた表示媒体36に対して略平行に配置され、且つ、当該表示媒体36の直下に配置されている。
【0091】
ユーザが表示媒体36を差し込み孔112にY軸のマイナス方向に差し込むことにより、プリント配線基板42に実装された読取部44(図3参照)は、表示媒体36のRFIDタグ88(図4参照)に記憶されている複数の識別情報を非接触で読み取る。印刷の終了後には、ユーザは、表示媒体36を差し込み孔112からY軸のプラス方向に引き抜く。この時、ユーザは、切り欠き部114を通して、表示媒体36を手の指でつまむことができる。
【0092】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0093】
(実施の形態5)
図13を参照しながら、実施の形態5に係るプリンタ2Dの構造について説明する。図13は、実施の形態5に係るプリンタ2Dを示す斜視図である。なお、説明の都合上、図13では、筐体8Dの天面8bに配置された覗き窓16、印刷開始ボタン20及び複数の操作ボタン24~34等(図1参照)の図示を省略し、且つ、表示媒体36に表示された複数のサンプル画像76~86等(図4参照)の図示を省略してある。
【0094】
図13に示すように、実施の形態5に係るプリンタ2Dでは、筐体8Dの天面8bには、表示媒体36を筐体8Dの内部に略垂直方向(Z軸のマイナス方向)に差し込むための差し込み孔112Dが形成されている。筐体8Dの背面8cには、差し込み孔112Dと連通する切り欠き部114Dが形成されている。なお、筐体8Dの天面8bには、上記実施の形態1で説明した載置領域38は配置されていない。
【0095】
また、プリント配線基板42は、筐体8Dの内部において、差し込み孔112Dに差し込まれた表示媒体36に対して略平行に配置されている。
【0096】
ユーザが表示媒体36を差し込み孔112DにZ軸のマイナス方向に差し込むことにより、プリント配線基板42に実装された読取部44(図3参照)は、表示媒体36のRFIDタグ88(図4参照)に記憶されている複数の識別情報を非接触で読み取る。印刷の終了後には、ユーザは、表示媒体36を差し込み孔112DからZ軸のプラス方向に引き抜く。この時、ユーザは、切り欠き部114Dを通して、表示媒体36を手の指でつまむことができる。
【0097】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0098】
(実施の形態6)
図14を参照しながら、実施の形態6に係るプリンタ2Eの構造について説明する。図14は、実施の形態6に係るプリンタ2Eを示す斜視図である。なお、説明の都合上、図14では、筐体8Eの天面8bに配置された覗き窓16、印刷開始ボタン20及び複数の操作ボタン24~34等(図1参照)の図示を省略し、且つ、表示媒体36に表示された複数のサンプル画像76~86等(図4参照)の図示を省略してある。
【0099】
図14に示すように、実施の形態6に係るプリンタ2Eでは、筐体8Eの背面8cには、表示媒体36を保持するためのホルダ116が取り付けられている。ホルダ116の上面には、表示媒体36をホルダ116内部に略垂直方向(Z軸のマイナス方向)に差し込むための差し込み孔118が形成されている。なお、筐体8Eの天面8bには、上記実施の形態1で説明した載置領域38は配置されていない。
【0100】
また、プリント配線基板42は、筐体8Eの内部において、ホルダ116に保持された表示媒体36に対して略平行に配置されている。
【0101】
ユーザが表示媒体36をホルダ116の差し込み孔118にZ軸のマイナス方向に差し込むことにより、プリント配線基板42に実装された読取部44(図3参照)は、表示媒体36のRFIDタグ88(図4参照)に記憶されている複数の識別情報を非接触で読み取る。印刷の終了後には、ユーザは、表示媒体36をホルダ116の差し込み孔118からZ軸のプラス方向に引き抜く。
【0102】
したがって、本実施の形態においても、上記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態1~6に係るプリンタについて説明したが、本発明は、これらの上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記各実施の形態をそれぞれ組み合わせてもよい。
【0104】
上記各実施の形態では、印刷ユニット10の印刷方式をインクジェット方式としたが、これに限定されず、他の印刷方式を採用してもよい。
【0105】
上記各実施の形態では、表示媒体36に複数のサンプル画像76~86を表示するように構成したが、これに限定されず、1つのサンプル画像のみ(例えばサンプル画像76のみ)を表示するように構成してもよい。この場合、RFIDタグ88には、当該1つのサンプル画像を識別するための1つの識別情報のみ(例えば「IMG001」のみ)が記憶される。なお、この場合には、プリンタ2から受付部22を省略してもよい。
【0106】
上記各実施の形態では、プリンタ2の記憶部92又はUSBメモリ104に複数の画像データ及び対応情報データテーブル98を記憶させたが、これに限定されず、例えばRFIDタグ88又は外部サーバ等の任意の記憶装置に複数の画像データ及び対応情報データテーブル98を記憶させてもよい。
【0107】
上記実施の形態1~3では、表示媒体36をプリンタ2(2A,2B)の筐体8(8B)の載置領域38に載置することにより、RFIDタグ88を読取部44に非接触で読み取らせたが、これに限定されず、表示媒体36を載置領域38にタッチすることにより、RFIDタグ88を読取部44に非接触で読み取らせてもよい。
【0108】
上記各実施の形態では、プリンタ2(2A,2B,2C,2D,2E)により印刷が施される記録媒体として、ユーザの指4の爪6及びネイルチップ108を採用したが、これに限定されず、例えば印刷用紙、スマートフォンケース及びゴルフボール等の任意の記録媒体を採用してもよい。
【0109】
上記各実施の形態では、受付部22が複数の操作ボタン24~34を有するように構成したが、これに限定されず、例えば受付部22をタッチパネルで構成してもよい。
【0110】
上記各実施の形態では、印刷ユニット10の駆動機構50は、ヘッド部48を第1の方向及び第2の方向に二次元的に移動させたが、これに限定されず、ヘッド部48を第1の方向に一次元的に移動させてもよい。この場合には、印刷ユニット10は、記録媒体を第2の方向に搬送するための搬送機構を有するようになる。
【0111】
上記各実施の形態では、表示媒体36に表示された複数のサンプル画像76~86の各々を絵柄の画像としたが、これに限定されず、例えば複数のサンプル画像76~86の各々を色のみの画像としてもよい。
【0112】
上記各実施の形態では、表示媒体36に表示される第1の識別子及び複数の操作ボタン24~34の各々に表示される第2の識別子を数字としたが、これに限定されず、例えば文字、記号又は図形等であってもよい。あるいは、第1の識別子及び第2の識別子の各々は、文字、数字、記号及び図形のうち2以上の組み合わせであってもよい。
【0113】
上記各実施の形態では、表示媒体36に表示された第1の識別子及び複数の操作ボタン24~34の各々に表示される第2の識別子を同じ識別子(例えば同じ数字)としたが、これに限定されず、第1の識別子及び第2の識別子を所定の対応関係を有する異なる識別子としてもよい。例えば、第1の識別子を海の図柄とし、第2の識別子を海の図柄から連想される魚の図柄としてもよい。
【0114】
上記各実施の形態では、RFIDタグ88をパッシブ型のRFIDタグで構成したが、これに限定されず、例えばアクティブ型のRFIDタグで構成してもよい。
【0115】
上記各実施の形態では、筐体8(8B,8C,8D,8E)に覗き窓16を形成したが、これに限定されず、覗き窓16を省略して、筐体8(8B,8C,8D,8E)の内部に、フィンガーホルダ14に載置された指4の爪6を撮像するためのカメラを配置してもよい。この場合、カメラにより撮像された爪6の画像データは、プリンタ2(2A,2B,2C,2D,2E)から外部端末に無線で送信され、当該外部端末の表示部に表示される。ユーザは、外部端末の表示部に表示された爪6の画像データを見ることにより、フィンガーホルダ14における爪6の位置を確認することができる。
【0116】
上記各実施の形態では、筐体8(8B,8C,8D,8E)の覗き窓16に透光プレート18を配置したが、覗き窓16にシャッターを開閉自在に配置してもよい。プリンタ2(2A,2B,2C,2D,2E)を使用しない際には、覗き窓16のシャッターを閉じることにより、覗き窓16の透光プレート18に塵埃等が付着するのを抑制することができる。
【0117】
また、上記実施の形態3では、筐体8B,8C,8D,8Eの採光窓110に透光プレート112を配置したが、採光窓110にシャッターを開閉自在に配置してもよい。プリンタ2Bを使用しない際には、採光窓110のシャッターを閉じることにより、採光窓110の透光プレート112に塵埃等が付着するのを抑制することができる。
【0118】
また、上記各実施の形態では、読取部44をプリント配線基板42に直接実装したが、これに限定されない。例えば、読取部44をプリント配線基板42に直接実装されないタイプの外部アンテナとし、プリント配線基板42に実装されたコネクタに読取部44を電気的に接続した状態で、読取部44をプリント配線基板42上に固定してもよい。あるいは、例えば、読取部44を上記の外部アンテナとし、プリント配線基板42に実装されたコネクタに配線ケーブルを介して読取部44を電気的に接続した状態で、読取部44をプリント配線基板42上以外のプリンタ2(2A,2B,2C,2D,2E)の任意の箇所に固定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、例えば指の爪に印刷を施すためのネイルプリンタ等として適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
2,2A,2B,2C,2D,2E プリンタ
4 指
6 爪
8,8B,8C,8D,8E 筐体
8a 前面
8b 天面
8c 背面
10 印刷ユニット
12 開口部
14 フィンガーホルダ
16 覗き窓
18,112 透光プレート
20 印刷開始ボタン
22 受付部
24,26,28,30,32,34 操作ボタン
36 表示媒体
36a 表面
38 載置領域
40 凹部
42 プリント配線基板
44 読取部
46 LED素子
48 ヘッド部
50 駆動機構
52 ヘッド支持部
54 インクヘッド
56 X軸駆動機構
58 Y軸駆動機構
60 移動テーブル
62 X軸ガイドシャフト
64 X軸モータ
66 タイミングベルト
68 ベアリング部材
70 Y軸ガイドシャフト
72 ウォームホイール
74 支持プレート
76,78,80,82,84,86 サンプル画像
88 RFIDタグ
90 識別情報データテーブル
92 記憶部
94 決定部
96 印刷制御部
98 対応情報データテーブル
100 画像
102 入力部
104 USBメモリ
106 トレイ
108 ネイルチップ
110 採光窓
112,112D,118 差し込み孔
114,114D 切り欠き部
116 ホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14