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特許7342616画像処理システム、設定方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】画像処理システム、設定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20230905BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20230905BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230905BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G01N21/88 J
G01N21/84 E
G06T7/00 610
H04N7/18 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019196314
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2021071310
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 紫朗
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-037094(JP,A)
【文献】特開平07-220058(JP,A)
【文献】特開2017-049974(JP,A)
【文献】特開2018-189558(JP,A)
【文献】特開2017-156161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0184653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 7/90
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の外観画像を用いた画像計測を行なう画像処理システムであって、
前記対象物を撮像する撮像部と、
前記対象物に対して光を照射するための複数の照明要素から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部と、
互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を前記撮像部から取得する画像取得部と、
複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択する選択部と、
各評価用点灯パターンについて、前記対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像とを用いて、前記画像計測への適合度を示す評価値を算出する算出部と、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するパターン決定部とを備え
前記複数の評価アルゴリズムは、前記少なくとも1つの評価画像における少なくとも1つの第1領域と少なくとも1つの第2領域との差分に依存する第1評価値を前記評価値として出力する第1アルゴリズムと、前記少なくとも1つの第2領域の均一度に依存する第2評価値を前記評価値として出力する少なくとも1つの第2アルゴリズムとを含む、画像処理システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2アルゴリズムは、前記第2評価値に対する前記均一度の寄与率が互いに異なる複数の第2アルゴリズムを含む、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第2アルゴリズムの各々は、
前記少なくとも1つの第2領域に属する複数の画素の輝度の分散に応じた値が閾値よりも小さい場合に、前記閾値を用いて前記第2評価値を出力し、
前記分散に応じた値が前記閾値以上である場合に、前記分散に応じた値を用いて前記第2評価値を出力し、
前記閾値は、前記少なくとも1つの第2アルゴリズムに応じて設定される、請求項またはに記載の画像処理システム。
【請求項4】
ユーザインターフェイスをさらに備え、
前記算出部は、
前記ユーザインターフェイスへの入力に従って、前記少なくとも1つの第1領域の形状、サイズおよび位置を決定し、
前記少なくとも1つの第2領域の形状およびサイズを前記少なくとも1つの第1領域の形状およびサイズと同一に設定し、
前記ユーザインターフェイスへの入力に従って、前記少なくとも1つの第2領域の位置を決定する、請求項からのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記複数の評価アルゴリズムは、互いに異なるエッジパターンを用いて前記少なくとも1つの評価画像における指定領域に属する画素のエッジらしさを示す第3評価値を前記評価値として出力する2以上の第3アルゴリズムをさらに含む、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
対象物の外観画像を用いた画像計測を行なう画像処理システムであって、
前記対象物を撮像する撮像部と、
前記対象物に対して光を照射するための複数の照明要素から構成され、照明要素ごとに
発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部と、
互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部から照明光を照射す
るとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を前記撮像部か
ら取得する画像取得部と、
複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択する選択部と、
各評価用点灯パターンについて、前記対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対
応する前記少なくとも1つの評価画像とを用いて、前記画像計測への適合度を示す評価値
を算出する算出部と、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用い
る点灯パターンを決定するパターン決定部とを備え、
前記少なくとも1つの評価画像は複数の評価画像を含み、
前記算出部は、前記複数の評価画像の各々に対して前記評価値を算出し、
前記パターン決定部は、
各評価用点灯パターンについて、前記複数の評価画像に対する前記評価値の中から最も前記適合度の低い最低評価値を抽出し、
前記複数の評価用点灯パターンの中から、最も前記適合度の高い前記最低評価値が抽出された評価用点灯パターンを前記画像計測に用いる点灯パターンとして決定する、画像処理システム。
【請求項7】
前記照明部が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されており、
前記画像取得部は、
前記複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、
選択された前記少なくとも1つのグループに属する複数の点灯パターンを前記複数の評価用点灯パターンとして決定する、請求項1からのいずれか1項に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記複数の照明要素は、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置され、
Nは2以上の整数であり、
前記複数のグループは、
前記第1~第Nの半径方向の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記第1~第Nの半径方向のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項9】
Nは4以上の偶数であり、
前記複数のグループは、前記第1~第Nの半径方向のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第3グループをさらに含む、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項10】
前記複数のグループは、
前記複数の照明要素の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記複数の照明要素の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項11】
ユーザインターフェイスをさらに備え、
前記選択部は、前記ユーザインターフェイスへの入力に従って前記対象アルゴリズムを選択する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項12】
対象物に対して光を照射するための複数の照明要素から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部に対して点灯設定を行なうための設定方法であって、
互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を、前記対象物を撮像する撮像部から取得するステップと、
複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択するステップと、
各評価用点灯パターンについて、前記対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像とを用いて、前記対象物の外観画像を用いた画像計測への適合度を示す評価値を算出するステップと、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するステップとを備え
前記複数の評価アルゴリズムは、前記少なくとも1つの評価画像における少なくとも1つの第1領域と少なくとも1つの第2領域との差分に依存する第1評価値を前記評価値として出力する第1アルゴリズムと、前記少なくとも1つの第2領域の均一度に依存する第2評価値を前記評価値として出力する少なくとも1つの第2アルゴリズムとを含む、設定方法。
【請求項13】
請求項12に記載の設定方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理システム、設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)分野などにおいて、対象物を照明装置からの光による照明下で撮像し、生成された画像データから対象物に関する情報を取得する画像処理技術が利用されている。
【0003】
照明の色、方向など設定可能な条件が多い照明装置を用いる場合、多数の点灯パターンの中から最適な点灯パターンが適宜選択される。例えば、特開2003-270163号公報(特許文献1)は、照明条件を変化させて条件設定用物品を撮像して得た複数の撮像画像に基づいて評価値を最適化する照明条件を演算し、演算された照明条件において検査対象物品の検査を行なう技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-270163号公報
【文献】特開平7-220058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の技術では、画一的な評価値に基づいて照明条件が最適化される。しかしながら、対象物の外観画像を用いた画像計測では、対象物の状態や外観画像に対する画像処理の内容によって、画像計測への適合度の評価方法が異なり得る。そのため、画一的な評価値に基づいて最適化された照明条件は、画像計測に適合しない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定をより簡単に行なうことのできる画像処理システム、設定方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例によれば、対象物の外観画像を用いた画像計測を行なう画像処理システムは、対象物を撮像する撮像部と、対象物に対して光を照射するための複数の照明要素から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部とを備える。さらに、画像処理システムは、画像取得部と、選択部と、算出部と、パターン決定部とを備える。画像取得部は、互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って照明部から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を撮像部から取得する。選択部は、複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択する。算出部は、各評価用点灯パターンについて、対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像とを用いて、画像計測への適合度を示す評価値を算出する。パターン決定部は、評価値に基づいて、複数の評価用点灯パターンの中から、画像計測に用いる点灯パターンを決定する。
【0008】
この開示によれば、複数の評価アルゴリズムの中から画像計測に適した評価アルゴリズムが選択されることにより、当該画像計測に最適な点灯パターンが計測用点灯パターンとして自動的に決定される。これにより、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定を簡単に行なうことができる。
【0009】
上述の開示において、複数の評価アルゴリズムは、第1アルゴリズムと、少なくとも1つの第2アルゴリズムとを含む。第1アルゴリズムは、少なくとも1つの評価画像における少なくとも1つの第1領域と少なくとも1つの第2領域との差分に依存する第1評価値を評価値として出力する。少なくとも1つの第2アルゴリズムは、少なくとも1つの第2領域の均一度に依存する第2評価値を評価値として出力する。
【0010】
例えば、対象物の表面の欠陥を検出するための画像計測では、欠陥部分を強調するための画像処理が実施される。欠陥部分とともに背景まで強調され得る画像処理を行なう場合には、なるべく背景が均一となるような点灯パターンが好ましい。上記の開示によれば、欠陥を含む領域を第1領域に設定し、欠陥を含まない背景の領域を第2領域として設定し、かつ、第2アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択することにより、背景が均一となるような点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定できる。一方、背景がそれほど強調されない画像処理を行なう場合には、欠陥部分と背景との差分が大きくなるような点灯パターンが好ましい。このような場合、第1アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択することにより、欠陥部分と背景との差分が大きくなるような点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定できる。
【0011】
上述の開示において、少なくとも1つの第2アルゴリズムは、第2評価値に対する均一度の寄与率が互いに異なる複数の第2アルゴリズムを含む。
【0012】
この開示によれば、複数の第2アルゴリズムの中から、画像計測に適した寄与率の第2アルゴリズムを選択することができる。これにより、画像計測に適した点灯パターンが計測用点灯パターンとして決定される。
【0013】
上述の開示において、少なくとも1つの第2アルゴリズムの各々は、例えば、少なくとも1つの第2領域に属する複数の画素の輝度の分散に応じた値が閾値よりも小さい場合に、閾値を用いて第2評価値を出力し、分散に応じた値が閾値以上である場合に、分散に応じた値を用いて第2評価値を出力する。閾値は、少なくとも1つの第2アルゴリズムに応じて設定される。
【0014】
上述の開示において、画像処理システムは、ユーザインターフェイスをさらに備える。算出部は、ユーザインターフェイスへの入力に従って、少なくとも1つの第1領域の形状、サイズおよび位置を決定する。算出部は、少なくとも1つの第2領域の形状およびサイズを少なくとも1つの第1領域の形状およびサイズと同一に設定する。算出部は、ユーザインターフェイスへの入力に従って、少なくとも1つの第2領域の位置を決定する。
【0015】
この開示によれば、ユーザは、第1領域の形状、サイズおよび位置を設定することにより、第2領域の形状およびサイズを設定する必要がなくなる。その結果、第2領域の設定に要する手間が削減される。
【0016】
上述の開示において、複数の評価アルゴリズムは、互いに異なるエッジパターンを用いて少なくとも1つの評価画像における指定領域に属する画素のエッジらしさを示す第3評価値を評価値として出力する。
【0017】
この開示によれば、例えば対象物の表面が一定方向に延びる筋や模様を有する場合、当該方向に応じた評価アルゴリズムを選択することにより、当該筋や模様を強調するような評価用点灯パターンが画像計測に用いる点灯パターンとして決定される。
【0018】
上述の開示において、少なくとも1つの評価画像は複数の評価画像を含む。算出部は、複数の評価画像の各々に対して評価値を算出する。パターン決定部は、各評価用点灯パターンについて、複数の評価画像に対する評価値の中から最も適合度の低い最低評価値を抽出する。パターン決定部は、複数の評価用点灯パターンの中から、最も適合度の高い最低評価値が抽出された評価用点灯パターンを画像計測に用いる点灯パターンとして決定する。
【0019】
この開示によれば、安定して適合度の高い点灯パターンを画像計測に用いる点灯パターンとして決定される。
【0020】
上述の開示において、照明部が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されている。画像取得部は、複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、選択された少なくとも1つのグループに属する複数の点灯パターンを複数の評価用点灯パターンとして決定する。
【0021】
この開示によれば、照明部が取りうる点灯パターンの総数が膨大であったとしても、画像計測に適したグループが選択されることにより、画像計測に用いる点灯パターンの決定に要する時間を短縮できる。
【0022】
上述の開示において、複数の照明要素は、例えば、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置される。Nは2以上の整数である。複数のグループは、第1~第Nの半径方向の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される第1グループと、第1~第Nの半径方向のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む。
【0023】
上述の開示において、Nは4以上の偶数である。複数のグループは、第1~第Nの半径方向のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第3グループをさらに含んでもよい。
【0024】
上述の開示において、複数のグループは、複数の照明要素の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成される第1グループと、複数の照明要素の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含んでもよい。
【0025】
上述の開示において、画像処理システムは、ユーザインターフェイスをさらに備える。選択部は、ユーザインターフェイスへの入力に従って対象アルゴリズムを選択する。
【0026】
この開示によれば、ユーザは、画像計測に適した評価アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択できる。
【0027】
本開示の一例によれば、対象物に対して光を照射するための複数の照明要素から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部に対して点灯設定を行なうための設定方法は、以下の第1~第4のステップを備える。第1のステップは、互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って照明部から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を、対象物を撮像する撮像部から取得するステップである。第2のステップは、複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択するステップである。第3のステップは、各評価用点灯パターンについて、対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像とを用いて、対象物の外観画像を用いた画像計測への適合度を示す評価値を算出するステップである。第4のステップは、評価値に基づいて、複数の評価用点灯パターンの中から、画像計測に用いる点灯パターンを決定するステップである。
【0028】
本開示の一例によれば、プログラムは、上記の設定方法をコンピュータに実行させる。これらの開示によっても、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定をより簡単に行なうことができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定をより簡単に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】画像処理システムの構成例を示す図である。
図2】画像処理システム1の基本構成を示す模式図である。
図3】照明装置のXZ断面を示す図である。
図4】照明装置の底面図である。
図5】制御装置のハードウェア構成を示す模式図である。
図6】計測用点灯パターンを決定する流れを示すフローチャートである。
図7】評価画像に設定される欠陥領域と背景領域との一例を示す図である。
図8】第1グループに属する点灯パターンを説明する図である。
図9】第2グループに属する点灯パターンを説明する図である。
図10】第3グループに属する点灯パターンを説明する図である。
図11】点灯パターンの最適化のための設定画面の一例を示す図である。
図12】欠陥領域を設定するためのタブ61が操作されたときの設定画面の一例を示す図である。
図13図12に示す編集ボタンが操作されたときの設定画面の一例を示す図である。
図14】欠陥領域の範囲を示す枠線の位置およびサイズが変更された後の設定画面の一例を示す図である。
図15】背景領域を設定するときの設定画面の一例を示す図である。
図16】追加の背景領域および欠陥領域を設定するときの設定画面の他の例を示す図である。
図17】評価値データの一例を示す図である。
図18】設定画面に表示される評価値の一覧を示す図である。
図19】明るさの異なる4つの評価用点灯パターンの照明下においてそれぞれ得られた4つの評価画像の一部分の拡大図である。
図20図19に示す評価画像から算出されたσ'の値を示す図である。
図21図19に示す評価画像から算出された評価値Eを示す図である。
図22図19に示す評価画像に対して画像処理を行なった結果を示す図である。
図23】8つのエッジパターンの例を示す図である。
図24】画像処理システムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0032】
§1 適用例
図1を参照して、本発明の適用例について説明する。図1は、画像処理システムの構成例を示す図である。
【0033】
図1に例示される画像処理システム1は、対象物の外観画像を用いた画像計測を行なうためのシステムである。画像処理システム1は、対象物を撮像する撮像部の一例であるカメラ8と、対象物に光を照射する照射部の一例である照明装置4と、画像処理システム1において実行される処理を制御する制御装置100とを備える。
【0034】
照明装置4は、対象物に対して光を照射するための複数の照明要素40から構成される。図1の例では、照明装置4は、13個の照明要素40から構成される。図1においては、照明要素40の符号を一部省略している。なお、照明要素40の数は、図1に示す例に限らず、2以上であればよい。照明要素40の大きさは、互いに異なってもよく、また、互いに共通していてもよい。照明要素40は、互いに同一平面上に配置されてもよく、また、互いに異なる平面上に配置されてもよく、各照明要素40から対象物に対して光を照射することができるように配置されていればよい。照明装置4は、照明要素40ごとに発光強度および発光色を調整できる。ここで、発光強度を調整することができるとは、照明要素40ごとに点灯または消灯することはもちろん、各照明要素40から照射される光の強さを段階的に調整することも含む。
【0035】
制御装置100は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有している。制御装置100は、画像取得部210と、評価アルゴリズム選択部220と、算出部230と、点灯パターン決定部240とを含む。典型的には、画像取得部210と、評価アルゴリズム選択部220と、算出部230と、点灯パターン決定部240とは、制御装置100が備えるCPUが、制御装置100などに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0036】
画像取得部210は、互いに異なる複数の評価用点灯パターンxiの各々に従って照明装置4から照明光を対象物に照射し、各評価用点灯パターンxiに対応する少なくとも1つの評価画像Rをカメラ8から取得する。点灯パターンとは、各照明要素40の発光強度および発光色を規定したものである。
【0037】
評価アルゴリズム選択部220は、複数の評価アルゴリズムから1つの評価アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択する。評価アルゴリズムは、評価画像を用いて、点灯パターンの画像計測への適合度を示す評価値を算出するための算出方法を定義する。評価アルゴリズムは、評価値を算出するための関数やプログラムなどによって表される。
【0038】
対象物の外観画像を用いた画像計測において用いられる様々な手法に応じて、複数の評価アルゴリズムが予め設定される。例えば、対象物の表面の欠陥を検査するための画像計測が行なわれる場合、以下の第1アルゴリズムと第2アルゴリズムとが予め設定される。第1アルゴリズムは、欠陥部分を含む欠陥領域と欠陥部分を含まない背景領域との差分に依存する第1評価値を算出するアルゴリズムである。第2アルゴリズムは、背景領域の均一度に依存する第2評価値を算出するアルゴリズムである。なお、第1評価値は、背景領域の均一度に依存しない。第2評価値は、欠陥領域と背景領域との差分にも依存してもよい。
【0039】
欠陥を検出するための画像計測では、外観画像に対して、欠陥部分を強調するための画像処理が実行され得る。このような画像処理として様々な手法が知られており、欠陥部分とともに背景も強調され得る画像処理もあれば、背景が強調されにくい画像処理もある。背景が強調され得る画像処理として、例えばSobelフィルタ処理が挙げられる。背景が強調されにくい画像処理として、例えばHough変換処理が挙げられる。
【0040】
背景が強調されにくい画像処理を含む画像計測を行なう場合には、背景領域の均一度を考慮せず、欠陥領域と背景領域との差分が大きい照明条件が好ましい。このような場合には、第1アルゴリズムが選択される。一方、背景が強調され得る画像処理を用いた画像計測を行なう場合には、背景領域の均一度が高くなるような照明条件が好ましい。このような場合には、第2アルゴリズムが選択される。
【0041】
算出部230は、各評価用点灯パターンxiについて、対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンxiに対応する評価画像Rとを用いて、画像計測への適合度を示す評価値Piを算出する。具体的には、算出部230は、評価画像Rから特徴量を算出し、算出した特徴量を対象アルゴリズムに適用することにより、評価用点灯パターンxiに対応する評価値Piを算出する。評価値Piは、評価用点灯パターンxiが画像計測にどの程度適しているかを示す。
【0042】
点灯パターン決定部240は、算出部230が算出した評価値Piに基づいて、画像計測に用いる計測用点灯パターンを決定する。典型的には、点灯パターン決定部240は、画像計測への適合度が最も高い値を示す評価値Piに対応する評価用点灯パターンxiを計測用点灯パターンとして決定する。
【0043】
本実施の形態に係る画像処理システム1によれば、複数の評価アルゴリズムの中から画像計測に適した評価アルゴリズムが選択されることにより、当該画像計測に最適な点灯パターンが計測用点灯パターンとして自動的に決定される。これにより、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定を簡単に行なうことができる。
【0044】
§2 具体例
<A.画像処理システム構成>
図2は、画像処理システム1の基本構成を示す模式図である。画像処理システム1は、主たる構成要素として、制御装置100と、カメラ8と、照明装置4とを含む。制御装置100とカメラ8とは互いにデータ通信可能に接続される。照明装置4は、カメラ8を介して制御装置100によって制御される。
【0045】
なお、以下では、説明の便宜上、照明装置4から光が照射される方向をZ軸と規定し、紙面の左右方向をX軸とし、X軸およびZ軸に対して垂直な軸をY軸とする。また、光が照射される側を下とする。
【0046】
照明装置4の上部には、カメラ8が照明装置4の上部から対象物Wを撮像することができるように、開口部46が設けられている。なお、本実施の形態においては、カメラ8は、照明装置4の上部に設置されているとしたが、カメラ8の撮像視野の少なくとも一部に、照明装置4の照射領域の少なくとも一部が含まれるように設置されていればよく、照明装置4の横に設置されていてもよい。
【0047】
カメラ8は、撮像視野に存在する被写体を撮像して画像を生成する撮像部である。カメラ8は、主たる構成要素として、レンズや絞りなどの光学系と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの受光素子とを含む。
【0048】
制御装置100は、対象物W上の欠陥や汚れの有無の検査、対象物Wの大きさや配置や向きなどの計測、対象物W表面上の文字や図形などの認識といった画像処理の実行とは別に、画像処理の内容の設定を受け付けることができる。画像処理の内容の設定には、画像を取得するときの撮像条件の設定と、画像に対して実行する処理内容の設定とが含まれる。撮像条件の設定には、照明装置4に対する点灯設定と、カメラ8に対するカメラ設定とが含まれる。制御装置100は、照明装置4に対する点灯設定を行なうための装置として機能する。なお、制御装置100とは別に、照明装置4に対する点灯設定を行なう設定支援装置を設けてもよい。
【0049】
制御装置100は、ユーザインターフェイスとして、表示部101と、表示部101の表示面に装着されるタッチパネル102とを含む。表示部101は、典型的には液晶ディスプレイからなり、たとえば、ユーザに設定内容を表示する。タッチパネル102は、各種の設定に関する情報を入力するための入力部として機能する。たとえば、ユーザは、表示部101に表示された情報に基づいてタッチパネル102を操作することで、画像処理の内容の設定に関する設定情報を入力することができ、各種設定を行なうことができる。なお、入力部はタッチパネルから構成されるとしたが、キーボードまたはマウス、あるいは、その両方から構成されるものであってもよい。
【0050】
<B.照明装置の構成>
図3および図4を参照して、照明装置4の構成について説明する。図3は、照明装置のXZ断面を示す図である。図4は、照明装置の底面図である。
【0051】
図3に例示される照明装置4の形状はドーム状である。照明装置4には、対象物Wと対向する位置に、主波長の異なる複数種類の発光部(以下「光源」とも称す。)が複数組設けられている。具体的には、赤色光源r、緑色光源g、および青色光源bから構成される一組の光源が複数組設けられている。なお、図3において、左斜め下向きの斜線が付されている光源は赤色光源rであり、ドットパターンが付されている光源は緑色光源gであり、右斜め下向きの斜線が付されている光源は青色光源bであって、符号を一部省略している。
【0052】
照明装置4は、複数の照明要素40を含む。各照明要素40には、1または複数組の光源が設けられる。図4に示されるように、複数の照明要素40は、90°間隔の第1の半径方向D1~第4の半径方向D4に沿って放射状に配置される。具体的には、複数の照明要素40は、中央の照明要素41と、照明要素41から第1の半径方向D1に沿って設けられた照明要素42(42U,42M,42L)と、照明要素41から第2の半径方向D2に沿って設けられた照明要素43(43U,43M,43L)と、照明要素41から第3の半径方向D3に沿って設けられた照明要素44(44U,44M,44L)と、照明要素41から第4の半径方向D4に沿って設けられた照明要素45(45U,45M,45L)とを含む。
【0053】
照明要素41~45から照射される光の入射方位は互いに異なる。入射方位とは、Z軸を中心とした方位である。照明要素41の光源から発せられた光は、反射板47において反射することによって、Z軸に平行に進行する。照明要素42の光源から発せられた光は、Z軸に平行に進行した後、ドーム状に形成された拡散板48(図3参照)を透過することにより、第1の半径方向D1(図4参照)の逆方向側に傾斜した方向に進行する。照明要素43の光源から発せられた光は、Z軸に平行に進行した後、拡散板48を透過することにより、第2の半径方向D2(図4参照)の逆方向側に傾斜した方向に進行する。照明要素44の光源から発せられた光は、Z軸に平行に進行した後、拡散板48を透過することにより、第3の半径方向D3(図4参照)の逆方向側に傾斜した方向に進行する。照明要素45の光源から発せられた光は、Z軸に平行に進行した後、拡散板48を透過することにより、第4の半径方向D4(図4参照)の逆方向側に傾斜した方向に進行する。
【0054】
照明要素41は、円形である。照明要素42~45は、照明要素41を中心とする円弧状である。
【0055】
照明要素42U,43U,44U,45Uは、中央の照明要素41からの距離(半径r1)が同一となるように環状に配列される。照明要素42M,43M,44M,45Mは、中央の照明要素41からの距離(半径r2>r1)が同一となるように環状に配列される。照明要素42L,43L,44L,45Lは、中央の照明要素41からの距離(半径r3>r2)が同一となるように環状に配列される。照明要素42U~45Uから照射される光のXY平面に対する入射角と、照明要素42M~45Mから照射される光のXY平面に対する入射角と、照明要素42L~45Lから照射される光のXY平面に対する入射角とは、互いに異なる。
【0056】
このように、照明装置4は、13個の照明要素41,42U~45U,42M~45M,42L~45Lを備える。しかしながら、照明装置4が備える照明要素の個数は、13個に限定されない。
【0057】
例えば、図4に例示される照明装置4では、複数の照明要素40が第1の半径方向D1~第4の半径方向D4に沿って放射状に配置されるものとしたが、複数の照明要素40は、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置されてもよい。Nは、2以上の整数であればよい。
【0058】
また、図4に例示される照明装置4では、各半径方向に沿って配置される照明要素40の個数を3としたが、当該個数は2または4以上であってもよい。
【0059】
なお、各照明要素に、赤色光源r、緑色光源g、および青色光源bが、それぞれ同じ数だけ配置されている必要はなく、3種類の光源が各々1つずつ以上配置されていればよい。また、各照明要素に含まれている赤色光源r、緑色光源g、および青色光源bの比率は同じであっても、異なっていてもよい。たとえば、一の照明要素には他の照明要素に比べて赤色光源rが多く配置されていてもよい。本実施の形態においては、赤色光源r、緑色光源g、および青色光源bが、それぞれ同じ数だけ配置されているものとして説明する。
【0060】
<C.制御装置100のハードウェア構成>
図5は、制御装置のハードウェア構成を示す模式図である。図5に示すように、制御装置100は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有しており、予めインストールされたプログラムをプロセッサが実行することで、後述するような各種の処理を実現する。
【0061】
より具体的には、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ110と、RAM(Random Access Memory)112と、表示コントローラ114と、システムコントローラ116と、I/O(Input Output)コントローラ118と、ハードディスク120と、装置用インターフェイス122と、入力インターフェイス124と、通信インターフェイス128と、メモリカードインターフェイス130とを含む。これらの各部は、システムコントローラ116を中心として、互いにデータ通信可能に接続される。
【0062】
プロセッサ110は、システムコントローラ116との間でプログラム(コード)などを交換して、これらを所定順序で実行することで、目的の演算処理を実現する。
【0063】
システムコントローラ116は、プロセッサ110、RAM112、表示コントローラ114、入力インターフェイス124およびI/Oコントローラ118とそれぞれバスを介して接続されており、各部との間でデータ交換などを行うとともに、制御装置100全体の処理を司る。
【0064】
RAM112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置であり、ハードディスク120から読み出されたプログラム、またはカメラ8によって取得されたカメラ画像、画像に対する処理結果、および撮像条件を含むワークデータなどを保持する。
【0065】
表示コントローラ114は、表示部101と接続されており、システムコントローラ116からの内部コマンドに従って、各種の情報を表示するための信号を表示部101に出力する。
【0066】
入力インターフェイス124は、タッチパネル102と接続されており、タッチパネル102から入力される各種情報をシステムコントローラ116に送信する。
【0067】
I/Oコントローラ118は、制御装置100に接続される記録媒体または外部機器との間のデータ交換を制御する。より具体的には、I/Oコントローラ118は、ハードディスク120と、装置用インターフェイス122と、通信インターフェイス128と、メモリカードインターフェイス130と接続される。
【0068】
ハードディスク120は、典型的には、不揮発性の磁気記憶装置であり、プロセッサ110で実行される制御プログラム150に加えて、各種設定値などが格納される。このハードディスク120にインストールされる制御プログラム150は、メモリカード136などに格納された状態で流通する。なお、ハードディスク120に代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置やDVD-RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)などの光学記憶装置を採用してもよい。
【0069】
図1に示す画像取得部210、評価アルゴリズム選択部220、算出部230および点灯パターン決定部240は、プロセッサ110が制御プログラム150を実行することにより実現される。
【0070】
装置用インターフェイス122は、カメラ8および照明装置4と、プロセッサ110との間のデータ伝送を仲介する。装置用インターフェイス122は、プロセッサ110から命令される撮像条件に従った指示を、装置用インターフェイス122を介してカメラ8および照明装置4に出力する。また、装置用インターフェイス122は、対象物Wを撮像することで得られる画像データを取得し、プロセッサ110とカメラ8との間のデータ伝送を仲介する。
【0071】
通信インターフェイス128は、プロセッサ110と図示しない他のパーソナルコンピュータやサーバ装置などとの間のデータ伝送を仲介する。通信インターフェイス128は、典型的には、イーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)などからなる。
【0072】
メモリカードインターフェイス130は、プロセッサ110と記録媒体であるメモリカード136との間のデータ伝送を仲介する。メモリカード136には、制御装置100で実行される制御プログラム150などが格納された状態で流通し、メモリカードインターフェイス130は、このメモリカード136から制御プログラムを読み出す。メモリカード136は、SD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、またはCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体などからなる。あるいは、通信インターフェイス128を介して、配信サーバなどからダウンロードしたプログラムを制御装置100にインストールしてもよい。
【0073】
上述のような汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有するコンピュータを利用する場合には、本実施の形態に係る機能を提供するためのアプリケーションに加えて、コンピュータの基本的な機能を提供するためのOS(Operating System)がインストールされていてもよい。この場合には、本実施の形態に係る制御プログラム150は、OSの一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の順序および/またはタイミングで呼び出して処理を実行するものであってもよい。
【0074】
さらに、本実施の形態に係る制御プログラム150は、他のプログラムの一部に組み込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には、上記のような組み合わせられる他のプログラムに含まれるモジュールを含んでおらず、当該他のプログラムと協働して処理が実行される。すなわち、本実施の形態に係る制御プログラムとしては、このような他のプログラムに組み込まれた形態であってもよい。
【0075】
なお、代替的に、制御プログラム150の実行により提供される機能の一部もしくは全部を専用のハードウェア回路として実装してもよい。
【0076】
<D.点灯パターンの決定方法の概要>
本実施の形態において、制御装置100は、互いに異なる評価用点灯パターンの下で撮像することによって取得された評価画像Rに基づいて、各評価用点灯パターンを評価し、その評価結果に基づいて画像計測に用いる計測用点灯パターンを決定する。
【0077】
図6は、計測用点灯パターンを決定する流れを示すフローチャートである。制御装置100は、各評価用点灯パターンxiの下で撮像された評価画像Riを取得する(ステップS1)。制御装置100は、複数の評価アルゴリズムの中から1つの対象アルゴリズムを選択する(ステップS2)。
【0078】
次に、制御装置100は、対象アルゴリズムと評価画像Riとを用いて、評価用点灯パターンxiの評価値Piを算出する(ステップS3)。制御装置100は、評価用点灯パターンxiごとの評価値Piに基づいて、計測用点灯パターンを決定する(ステップS4)。
【0079】
<E.評価アルゴリズムの例>
次に、評価アルゴリズムの一例について説明する。ここでは、欠陥検査用の画像計測に対する各評価用点灯パターンの適合度を示す評価値を算出するための評価アルゴリズムを説明する。
【0080】
対象物Wの欠陥を検査するためには、欠陥部分を目立たせる画像を得るような点灯パターンが好ましい。そのため、評価画像Rについて、欠陥部分を含む少なくとも1つの欠陥領域と、欠陥部分を含まない少なくとも1つの背景領域とが予め設定される。
【0081】
図7は、評価画像に設定される欠陥領域と背景領域との一例を示す図である。図7に例示される評価画像Rにおいて、m個の欠陥領域H0~Hm-1と、n個の背景領域h0~hn-1とが設定されている。なお、mおよびnは、1以上の整数であればよい。すなわち、評価画像Rに設定され欠陥領域の個数は、特に限定されず、1または2以上である。評価画像Rに設定され背景領域の個数は、特に限定されず、1または2以上である。
【0082】
図7に例示される欠陥領域H0~Hm-1および背景領域h0~hn-1は、全て同一の形状およびサイズを有する。具体的には、欠陥領域H0~Hm-1および背景領域h0~hn-1は、x軸方向の長さがlx、y軸方向の長さがlyである矩形状である。ただし、欠陥領域H0~Hm-1および背景領域h0~hn-1の形状およびサイズは互いに異なっていてもよい。
【0083】
評価画像Rを構成する各画素の位置は、評価画像Rの左上角の原点とするxy座標値で示される。欠陥領域Hpの左上頂点の座標は(Xp、Yp)である。背景領域hqの左上頂点の座標は(xq、yq)である。座標(x、y)の画素の輝度(明るさ)は、f(x,y)で表される。
【0084】
欠陥検出用の画像計測では、外観画像に対して、欠陥部分を強調するための画像処理が実行され、画像処理に手法によっては、背景まで強調される。そのため、欠陥領域と背景領域との差分に依存する第1アルゴリズムと、背景領域の均一度に依存する評価値を算出する第2アルゴリズムとが予め設定される。
【0085】
第1アルゴリズムおよび第2アルゴリズムは、以下の式(1)で示される評価値Eを算出する。すなわち、欠陥領域H0~Hm-1についてそれぞれ算出される(σ0/σ')~(σm-1/σ')のうちの最小値が評価値Eとして算出される。
【0086】
【数1】
【0087】
式(1)の分子のσpは、欠陥領域Hpと背景領域h0~hn-1との差分を示す値である。そのため、第1アルゴリズムおよび第2アルゴリズムは、欠陥領域と背景領域との差分に依存する評価値Eを算出できる。σpは、例えば、以下の式(2)を満たす。
【0088】
【数2】
【0089】
式(2)において、bは、背景領域h0~hn-1を構成する画素の輝度の平均値を示し、以下の式(3)で示される。
【0090】
【数3】
【0091】
式(1)の分母のσ'は、背景領域h0~hn-1の均一度を示す。ただし、第1アルゴリズムでは、σ'には予め定められた閾値κが代入される。κは例えば1に設定される。これにより、第1アルゴリズムを用いた場合、背景領域の均一度に依存しない評価値Eが算出される。
【0092】
背景領域の均一度に依存する評価値Eを算出する第2アルゴリズムでは、以下のようにしてσ'が算出される。ここでは、評価値Eに対する背景領域の均一度の寄与率が互いに異なる複数の第2アルゴリズムが設定されるときのσ'の算出方法について説明する。評価値Eに対する背景領域の均一度の寄与率は、背景均一性レベルλで表される。背景均一性レベルλは、1~Lのいずれかの整数を取りうる。Lは例えば5である。L=5である場合、背景均一性レベルλ=1~5にそれぞれ対応する5つの第2アルゴリズムが予め設定されることになる。
【0093】
まず、背景領域h0~hn-1に属する全ての画素の輝度値の分散Vが以下の式(4)に従って算出される。
【0094】
【数4】
【0095】
式(4)に従って算出された分散Vを用いて、以下の式(5)に従ってσ'が算出される。
【0096】
【数5】
【0097】
式(5)に示されるように、分散Vに応じた値(λ/L)V1/2が閾値κより小さい場合には、σ'は、閾値κよりも小さくならないように、当該閾値κに固定される(クリップされる)。すなわち、分散Vに応じた値(λ/L)V1/2が閾値κより小さい場合に、閾値κを用いて評価値Eが算出される。一方、分散Vに応じた値(λ/L)V1/2が閾値κ以上である場合には、σ’は、分散Vに応じた値(λ/L)V1/2に決定される。すなわち、分散Vに応じた値(λ/L)V1/2が閾値κ以上である場合に、(λ/L)V1/2を用いて評価値Eが算出される。なお、閾値κは、第2アルゴリズムに応じて予め設定され、例えば1である。
【0098】
このように、第2アルゴリズムでは、背景領域の均一度を示す分散Vに依存する評価値Eが算出される。さらに、背景均一性レベルλが大きくなる程(Lに近づく程)、式(1)の分母であるσ’は大きくなる(評価値Eに対する背景領域の均一度の寄与率が大きくなる)。
【0099】
なお、評価画像を構成する画素の輝度は、赤色成分、緑色成分および青色成分によって表される。プロセッサ110は、赤色成分の輝度を上記の式(2)~式(5)に代入することにより、σRpおよびσ'Rを算出する。プロセッサ110は、緑色成分の輝度を上記の式(2)~式(5)に代入することにより、σGpおよびσ'Gを算出する。プロセッサ110は、青色成分の輝度を上記の式(2)~式(5)に代入することにより、σBpおよびσ'Bを算出する。プロセッサ110は、σRp+σGp+σBpをσpとして式(1)に代入すればよい。同様に、プロセッサ110は、σ'R+σ'G+σ'Bをσ'として式(1)に代入すればよい。
【0100】
式(1)によって算出される評価値Eは、画像計測への適合度が高いほど大きくなる。しかしながら、評価値は、式(1)に従って算出される評価値Eに限定されず、画像計測への適合度が高いほど小さくなってもよい。なお、以下では、式(1)によって算出される評価値Eを例にとり説明する。
【0101】
<F.評価用点灯パターンの例>
各照明要素40の明るさとして7段階(消灯を含む)に調整可能であり、かつ、各照明要素40の色として白,赤,緑,青,シアン,マゼンタ,イエローの7色のいずれかに調整可能である場合、各照明要素40が取り得る照明状態は、6×7=42通りの点灯状態に消灯状態を加えた43通りとなる。照明装置4が13個の照明要素40を備える場合、照明装置4が取り得る点灯パターンの総数は、4313と膨大となる。そのため、本実施の形態では、照明装置4が取り得る点灯パターンが複数のグループに予め分割されており、当該複数のグループから選択された少なくとも1つのグループに属する点灯パターンが評価用点灯パターンとして決定される。
【0102】
図8は、第1グループに属する点灯パターンを説明する図である。図8に例示される第1グループは、第1の半径方向D1~第4の半径方向D4の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される。
【0103】
図8に示されるように、第1グループには、点灯される照明要素40の組み合わせ(以下、「要素組み合わせ」と称する。)として、(b)~(j)の9種類が存在する。(b)に示す要素組み合わせでは、全ての照明要素40が点灯される。(c)に示す要素組み合わせでは、照明要素41からの距離がr3(図4参照)である照明要素42L~45Lが点灯される。(d)に示す要素組み合わせでは、照明要素41からの距離がそれぞれr2,r3(図4参照)である照明要素42M~45M,42L~45Lが点灯される。(e)に示す要素組み合わせでは、中央の照明要素41以外の照明要素40が点灯される。(f)に示す要素組み合わせでは、照明要素41からの距離がr2(図4参照)である照明要素42M~45Mが点灯される。(g)に示す要素組み合わせでは、照明要素41からの距離がそれぞれr1,r2(図4参照)である照明要素42U~45U,42M~45Mが点灯される。(h)に示す要素組み合わせでは、中央の照明要素41のみが点灯される。(i)に示す要素組み合わせでは、照明要素41からの距離がr1(図4参照)である照明要素42U~45Uが点灯される。(j)に示す要素組み合わせでは、照明要素41,42U~45Uが点灯される。なお、点灯される照明要素の明るさおよび色は、全て同一となるように調整される。
【0104】
図9は、第2グループに属する点灯パターンを説明する図である。図9に例示される第2グループは、第1の半径方向D1~第4の半径方向D4のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される。
【0105】
図9に示されるように、第2グループには、(b)~(q)の16種類の要素組み合わせが存在する。(b)に示す要素組み合わせでは、第1の半径方向D1(図4参照)に配置された照明要素42L,42M,42Uの全てが点灯され、(c)~(e)に示す要素組み合わせでは、照明要素42L,42M,42Uがそれぞれ点灯される。(f)に示す要素組み合わせでは、第2の半径方向D2(図4参照)に配置された照明要素43L,43M,43Uの全てが点灯され、(g)~(i)に示す要素組み合わせでは、照明要素43L,43M,43Uがそれぞれ点灯される。(j)に示す要素組み合わせでは、第3の半径方向D3(図4参照)に配置された照明要素44L,44M,44Uの全てが点灯され、(k)~(m)に示す要素組み合わせでは、照明要素44L,44M,44Uがそれぞれ点灯される。(n)に示す要素組み合わせでは、第4の半径方向D4(図4参照)に配置された照明要素45L,45M,45Uの全てが点灯され、(o)~(q)に示す要素組み合わせでは、照明要素45L,45M,45Uがそれぞれ点灯される。なお、点灯される照明要素の明るさおよび色は、全て同一となるように調整される。
【0106】
図10は、第3グループに属する点灯パターンを説明する図である。図10に例示される第3グループは、第1の半径方向D1~第4の半径方向D4のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される。
【0107】
図10に示されるように、第3グループには、(b)~(m)の12種類の要素組み合わせが存在する。具体的には、(b)~(g)に示す要素組み合わせでは、第1の半径方向D1(図4参照)に配置された照明要素42L,42M,42Uと、第3の半径方向D3に配置された照明要素44L,44M,44Uとのうちの選択された照明要素が点灯される。照明要素44L,44M,44Uのうち点灯される照明要素は、中央の照明要素41に対して、照明要素42L,42M,42Uのうち点灯される照明要素と対称である。(h)~(m)に示す要素組み合わせでは、第2の半径方向D2(図4参照)に配置された照明要素43L,43M,43Uと、第4の半径方向D4に配置された照明要素45L,45M,45Uとのうちの選択された照明要素が点灯される。照明要素43L,43M,43Uのうち点灯される照明要素は、中央の照明要素41に対して、照明要素45L,45M,45Uのうち点灯される照明要素と対称である。なお、点灯される照明要素の明るさおよび色は、全て同一となるように調整される。
【0108】
なお、複数の照明要素40が等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置される場合、互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される第3グループは、Nが4以上の偶数であれば設定可能である。1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される第2グループは、Nが2以上の整数であれば設定可能である。
【0109】
<G.点灯パターンの最適化のための設定画面>
図11を参照して、点灯パターンの最適化のための設定画面の一例について説明する。図11は、点灯パターンの最適化のための設定画面の一例を示す図である。
【0110】
図11に例示される設定画面60は、プロセッサ110が制御プログラム150を実行することにより、表示部101に表示される。設定画面60への入力は、タッチパネル102を用いて実行される。すなわち、プロセッサ110は、ユーザインターフェイスであるタッチパネル102への入力に応じた処理を実行する。
【0111】
図11に例示される設定画面60は、3つのタブ61~63を有する。タブ61は、欠陥領域を設定するときに選択される。タブ62は、最適化のための各種の計測パラメータを設定するときに選択される。タブ63は、最適化により決定された計測用点灯パターンを示す情報の出力条件を設定するときに選択される。なお、図11には、タブ62が選択されているときの設定画面60が示される。
【0112】
設定画面60は、評価アルゴリズムを選択するための入力欄64を含む。入力欄64には、0~Lの整数のうちの1つが入力可能である。ここで、「0」は、第1アルゴリズムを選択する際に入力される。1~Lのいずれかの整数は、第2アルゴリズムを選択する際に入力される。入力欄64に入力される「1」~「L」は、背景均一性レベルλを示す。プロセッサ110は、入力欄64への入力に従って、第1アルゴリズムおよびL種類の第2アルゴリズムの中から対象アルゴリズムを選択する。
【0113】
設定画面60は、照明装置4が取り得る点灯パターンのうち評価用点灯パターンを選択するための入力欄65およびチェックボックス66~68を含む。
【0114】
チェックボックス66、67は、図8図10に示す第1~第3グループのいずれかを選択するためのボックスである。チェックボックス66,67のいずれもチェックされない場合、図8に示す第1グループが選択される。チェックボックス66がチェックされ、チェックボックス67がチェックされない場合、図8に示す第1グループと図10に示す第3グループとが選択される。チェックボックス66がチェックされず、チェックボックス67がチェックされる場合、図8に示す第1グループと図9に示す第2グループとが選択される。チェックボックス66,67の両方がチェックされる場合、第1~第3グループの全てが選択される。
【0115】
チェックボックス68は、点灯される照明要素40の発光色を設定するために利用される。チェックボックス68がチェックされない場合、点灯される照明要素40の発光色は、白のみに設定される。チェックボックス68がチェックされる場合、点灯される照明要素40の発光色は、白色以外の赤,緑,青,シアン,マゼンタ,イエローの6色に調整される。
【0116】
入力欄65は、点灯される照明要素40の明るさの変動幅を設定するために利用される。例えば、各照明要素40の明るさが127段階で調整可能であり、入力欄65に「20」が入力された場合、点灯される照明要素40の明るさは、「20」,「40」,「60」,「80」,「100」,「120」の6段階に調整される。入力欄65に「30」が入力された場合、点灯される照明要素40の明るさは、「30」,「60」,「90」,「120」の4段階に調整される。
【0117】
例えば、チェックボックス66~68がチェックされず、入力欄65に「20」が入力された場合、図8に示す(b)~(j)の9種類の要素組み合わせの各々について6段階の明るさに順次調整される。そのため、プロセッサ110は、9×6=54の点灯パターンを評価用点灯パターンとして選択する。
【0118】
チェックボックス66のみがチェックされ、入力欄65に「20」が入力された場合、図8に示す(b)~(j)の9種類の要素組み合わせおよび図10に示す(b)~(m)の12種類の要素組み合わせの各々について6段階の明るさに順次調整される。そのため、プロセッサ110は、21×6=126の点灯パターンを評価用点灯パターンとして選択する。
【0119】
チェックボックス68のみがチェックされ、入力欄65に「20」が入力された場合、図8に示す(b)~(j)の9種類の要素組み合わせの各々について、6段階の明るさに順次調整されるとともに、6種類の発光色に順次調整される。そのため、プロセッサ110は、9×6×6=324の点灯パターンを評価用点灯パターンとして選択する。
【0120】
設定画面60は、欠陥領域を追加するためのボタン69と、背景領域を追加するためのボタン70と、欠陥領域または背景領域を削除するためのボタン71とを含む。ボタン69~71が操作されたときのプロセッサ110の処理の詳細については後述する。
【0121】
設定画面60は、評価用点灯パターンの中から画像計測に最適な計測用点灯パターンを決定する処理を開始するためのボタン72を含む。ボタン72が操作されると、プロセッサ110は、入力欄65およびチェックボックス66~68への操作に応じて決定した複数の評価用点灯パターンの各々に従って照明装置4から照明光を照射させ、各評価用点灯パターンに対応する評価画像をカメラ8から取得する。プロセッサ110は、取得した評価画像と入力欄64への入力に応じて選択した対象アルゴリズムとを用いて、各評価用点灯パターンに対する評価値Eを算出する。
【0122】
プロセッサ110は、評価画像を取得するたびに評価値Eを算出し、算出した評価値Eを表示欄73に表示する。また、プロセッサ110は、全ての評価用点灯パターンに対する評価値Eを算出し終えると、最大の評価値Eと、最大の評価値Eが算出された評価用点灯パターンを識別する点灯パターンNo.とを表示欄74に表示する。
【0123】
プロセッサ110は、ボタン72が操作されるたびに評価値Eの算出を繰り返す。これにより、同一のサンプルまたは異なるサンプルに対して複数回の評価値Eが得られる。
【0124】
設定画面60は、領域75の表示内容を切り替えるためのボタン76を含む。領域75には、カメラ8から取得した評価画像、および、プロセッサ110によって算出された評価値Eの一覧のいずれかが表示される。プロセッサ110は、評価画像が表示されているときにボタン76が操作されると、領域75の表示内容を評価値Eの一覧に切り替える。プロセッサ110は、評価値Eの一覧が表示されているときにボタン76が操作されると、領域75の表示内容を評価画像に切り替える。
【0125】
設定画面60は、不要なデータを削除するためのボタン77を含む。プロセッサ110は、領域75に表示された評価値Eの一覧において指定されたデータを削除する。
【0126】
設定画面60は、複数の評価用点灯パターンのうちの1つを選択するためのチェックボックス78,79および入力欄80を含む。プロセッサ110は、チェックボックス78,79の一方がチェックされると、入力欄80への入力を受け付ける。なお、プロセッサ110は、チェックボックス79がチェックされたことに応じて、領域75に表示される評価値Eの一覧を評価値Eの大きさの順にソートする。
【0127】
プロセッサ110は、入力欄80に入力された点灯パターンNo.の評価用点灯パターンに対応する評価画像を領域75に表示する。さらに、プロセッサ110は、入力欄80に入力された点灯パターンNo.の評価用点灯パターンにおいて点灯される照明要素40の位置を示す模式図を領域81に表示する。さらに、プロセッサ110は、入力欄80に入力された点灯パターンNo.の評価用点灯パターンについて算出された評価値Eを表示欄73に表示する。これにより、ユーザは、各評価用点灯パターンに対応する、評価値E、評価画像および点灯される照明要素40の位置を容易に確認できる。
【0128】
設定画面60は、評価画像のロギングを実施するためのチェックボックス82を含む。チェックボックス82がチェックされると、プロセッサ110は、取得した評価画像を記憶領域に保存する。
【0129】
設定画面60は、算出された評価値Eのデータの保存を実行するための領域83を含む。領域83において、保存フォルダおよび保存ファイル名が指定される。プロセッサ110は、ボタン72の操作に応じて各評価用点灯パターンに対する評価値Eを算出し終えると、算出した評価値Eの一覧を示す評価値データを生成する。プロセッサ110は、生成した評価値データに対して領域83で指定されたファイル名を付与し、当該評価値データを領域83で指定されたフォルダに格納する。評価値データの詳細については後述する。
【0130】
なお、チェックボックス82がチェックされている場合、評価画像についても領域83において指定された保存フォルダに格納される。
【0131】
さらに、設定画面60は、テスト計測するためのボタン84と、判定条件を入力するための領域85とを含む。プロセッサ110は、領域85に入力された判定条件を評価値Eが満たさない場合にエラー通知を行なう。当該エラー通知が不要の場合には、評価値Eが取り得る範囲全てを領域85に設定すればよい。
【0132】
設定画面60は、OKボタン86とキャンセルボタン87とを含む。プロセッサ110は、OKボタン86の操作に応じて、最も適合度の高い評価値E(最大評価値)に対応する評価用点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定する。プロセッサ110は、キャンセルボタン87の操作に応じて、設定画面60に対する操作の結果を照明装置4の設定に反映せずに、処理を終了する。
【0133】
<H.欠陥領域および背景領域の設定>
次に、図12図16を参照して、欠陥領域および背景領域の設定方法について説明する。図12は、欠陥領域を設定するためのタブ61が操作されたときの設定画面の一例を示す図である。
【0134】
図12に示されるように、プロセッサ110は、タブ61が操作されると、設定画面60の領域75にカメラ8から取得したサンプル画像を表示する。ユーザは、タブ61を操作する前に、対象物Wのサンプルを設置する。これにより、設定画面60の領域75には当該サンプルに対応するサンプル画像Sが表示される。図12に例示されるサンプル画像Sは、欠陥部分90を有する。
【0135】
設定画面60は、欠陥領域を編集するための編集ボタン91を含む。編集ボタン91が操作されることにより、プロセッサ110は、欠陥領域の編集を開始する。
【0136】
図13は、図12に示す編集ボタンが操作されたときの設定画面の一例を示す図である。図13に例示される設定画面60は、領域形状選択ボタン群92と、サイズ編集領域93とを含む。領域形状選択ボタン群92に含まれるボタンが操作されると、プロセッサ110は、当該ボタンに対応する形状(四角形、円形、扇型など)を有する枠線94をサンプル画像Sに重ねて表示する。枠線94は、欠陥領域の範囲を示す。
【0137】
さらに、サイズ編集領域93に含まれるボタンおよび/または入力ボックスに対する操作に応じて、プロセッサ110は、枠線94の位置およびサイズを編集する。なお、プロセッサ110は、枠線94の位置またはサイズを変更するための変更ボタン95を表示し、変更ボタン95への操作に応じて、枠線94の位置およびサイズを変更してもよい。
【0138】
図14は、欠陥領域の範囲を示す枠線の位置およびサイズが変更された後の設定画面の一例を示す図である。図14に示されるように、ユーザは、枠線94内に欠陥部分90が収まるように、枠線94の位置およびサイズを調整する。
【0139】
OKボタン96が操作されると、プロセッサ110は、枠線94によって囲まれた領域を欠陥領域として設定する。一方、キャンセルボタン97が操作されると、プロセッサ110は、編集中のデータを削除する。
【0140】
図15は、背景領域を設定するときの設定画面の一例を示す図である。図15に例示される設定画面60は、欠陥領域の設定後にタブ62が操作されたことに応じて表示される。背景領域を追加するためのボタン70が操作されると、プロセッサ110は、設定済みの欠陥領域の範囲を示す枠線94と同じ形状およびサイズを有する枠線98aをサンプル画像Sに重ねて表示する。枠線98aは、1つの背景領域の範囲を示す。プロセッサ110は、枠線98aに対するドラッグ操作を受け付け、当該ドラッグ操作に応じて枠線98aを移動させる。ユーザは、欠陥部分が含まれないように枠線98aを移動させればよい。プロセッサ110は、枠線98aによって囲まれた領域を背景領域として設定する。このように、ユーザは、枠線98aの位置を適宜設定するだけで、背景領域を設定できる。
【0141】
図16は、追加の背景領域および欠陥領域を設定するときの設定画面の他の例を示す図である。図16に例示される設定画面60では、背景領域を設定するための枠線98a,98bが表示されている。プロセッサ110は、ボタン70が操作されるたびに、背景領域を設定するための枠線98をサンプル画像Sに重ねて表示するとともに、各枠線98(98a,98b)によって囲まれた領域を背景領域として設定する。サンプル画像Sによっては、位置に応じて明るさ、コントラストなどが変化し得る。そのため、ユーザは、互いに異なる位置に配置された複数の背景領域を設定する。
【0142】
サンプル画像Sに複数の欠陥部分が含まれる場合、ユーザは、欠陥領域を追加するためのボタン69を操作すればよい。ボタン69の操作に応じて、プロセッサ110は、設定済みの欠陥領域の範囲を示す枠線94と同じ形状およびサイズを有する枠線94aをサンプル画像Sに重ねて表示する。ユーザは、枠線94aの位置およびサイズを変更する。プロセッサ110は、枠線94aによって囲まれる範囲を新たな欠陥領域の範囲として設定する。
【0143】
さらに、枠線94a,98a,98bのうちのいずれかが選択された状態でボタン71が操作されることにより、プロセッサ110は、選択された枠線を削除する。これにより、ユーザは、不要な枠線を削除できる。
【0144】
<I.評価値データ>
図17は、評価値データの一例を示す図である。図17に示されるように、評価値データは、評価用点灯パターンごとに、評価用点灯パターンを識別する点灯パターンNo.と、評価用点灯パターンの詳細情報と、評価値Eとを対応付けたデータである。詳細情報は、点灯される照明要素と、照明要素の明るさと、照明要素の発光色とを示す。上述したように、設定画面60のボタン72(図11参照)が複数回操作された場合、操作されるたびに評価画像が取得され、取得された評価画像に対して評価値Eが算出される。そのため、評価値データは、各回の評価値Eを示す。
【0145】
プロセッサ110は、図11に示す設定画面60においてボタン76が操作されると、評価値データに基づいて、評価値Eの一覧を設定画面60の領域75に表示する。
【0146】
図18は、設定画面に表示される評価値の一覧を示す図である。図18(a)には、図11に示す設定画面60においてチェックボックス79がチェックされないときの評価値Eの一覧が示され、図18(b)には、チェックボックス79がチェックされたときの評価値Eの一覧が示される。図18には、設定画面60のボタン72(図11参照)に対する8回の操作に応じてそれぞれ算出された8つの評価値E(「Data0」~「Data7」)の一覧が示される。「P-No.」は、評価用点灯パターンを識別する点灯パターンNo.を示している。
【0147】
図18(a)に示されるように、点灯パターンNo.の順に評価値Eが表示される。これにより、ユーザは、各評価用点灯パターンの画像計測への適合度を把握できる。ユーザは、チェックボックス79をチェックすることにより、図18(b)に示されるように評価値Eの大きい順にソートすることができる。これにより、画像計測への適合度の高い評価用点灯パターンを特定しやすくなる。
【0148】
なお、評価値データが各評価用点灯パターンについて複数の評価値Eを含む場合、プロセッサ110は、以下の手順に従ってソートする。プロセッサ110は、各評価用点灯パターンについて、複数の評価値Eの中から、画像計測への適合度が最も低い評価値(最小評価値)を抽出する。プロセッサ110は、抽出した最小評価値に基づいて、画像計測への適合度が高い順に、点灯パターンNo.および評価値を並び替える。すなわち、プロセッサ110は、最小評価値の大きい順に、点灯パターンNo.および評価値を並び替える。
【0149】
すなわち、プロセッサ110は、各評価用点灯パターンについて複数の評価画像を取得した場合、当該複数の評価画像の各々に対して評価値Eを算出する。そして、プロセッサ110は、各評価用点灯パターンについて、複数の評価画像に対する評価値Eの中から最も適合度の低い評価値(以下、「最低評価値」と称する。)を抽出する。プロセッサ110は、複数の評価用点灯パターンの中から、最も適合度の高い最低評価値が抽出された評価用点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定する。
【0150】
<J.点灯パターンの最適化の処理例>
次に、図19図22を参照して、点灯パターンの最適化の処理例について説明する。図19は、明るさの異なる4つの評価用点灯パターンの照明下においてそれぞれ得られた4つの評価画像の一部分の拡大図である。(a)~(d)には、それぞれ点灯パターンNo.29,7,44,40に対応する評価画像が示される。(a)には比較的暗い評価画像が示され、背景の均一度が低い。これに対し、(b),(c),(d)の順に明るさが増し、背景の均一度が高まっている。ただし、背景の均一度が高まるにつれ、欠陥部分90と背景との差異が小さくなっている。
【0151】
図20は、図19に示す評価画像から算出されたσ'の値を示す図である。図20には、閾値κを1としたときのσ'の値が示される。なお、図20において、「λ=0」は、欠陥領域と背景領域との差分に依存し、背景領域の均一度に依存しない評価値を算出する第1アルゴリズムを示している。すなわち、σ'は、全ての評価用点灯パターンに対して閾値κ(=1)に固定される。一方、「λ=1」~「λ=5」は、それぞれ背景均一性レベルλ=1~5としたときの第2アルゴリズムを示している。
【0152】
点灯パターンNo.29に対応するσ'は、評価画像における背景の均一度が低いため(図19(a)参照)、背景均一性レベルλ=1であっても閾値κ(=1)よりも大きな値を取り、背景均一性レベルλが大きくなるにつれ増大する。
【0153】
点灯パターンNo.7,44に対応する評価画像における背景の均一度は、点灯パターンNo.29に対応する評価画像における背景の均一度よりも高い(図19(b)(c)参照)。そのため、点灯パターンNo.7,44に対応するσ'は、背景均一性レベルλ=1,2において閾値κ(=1)に固定され、背景均一性レベルλが3以上において閾値κよりも大きな値を取る。なお、点灯パターンNo.44に対応する評価画像における背景の均一度は、点灯パターンNo.7に対応する評価画像における背景の均一度よりも高い。そのため、背景均一性レベルλが3以上において、点灯パターンNo.44に対応するσ'は、点灯パターンNo.7に対応するσ'よりも小さい。
【0154】
点灯パターンNo.40に対応する評価画像における背景の均一度は、点灯パターンNo.44に対応する評価画像における背景の均一度よりもさらに高い(図19(d)参照)。そのため、点灯パターンNo.40に対応するσ'は、全ての背景均一性レベルλにおいて閾値κ(=1)に固定される。
【0155】
図21は、図19に示す評価画像から算出された評価値Eを示す図である。図21には、閾値κを1としたときの評価値Eが示される。
【0156】
第1アルゴリズム(λ=0)が対象アルゴリズムとして選択された場合、点灯パターンNo.29に対応する評価値Eが最大となり、点灯パターンNo.29が計測用点灯パターンとして決定される。図20に示したように、背景の均一度に依存するσ'は、全ての評価用点灯パターンに対して閾値κ(=1)に固定される。そのため、評価値Eは、上記の式(1)に従って、分子のσpにのみ依存する。σpは、欠陥領域と背景領域との差分を示す値である。従って、欠陥部分と背景との差の大きい評価画像が得られた点灯パターンNo.29に対応する評価値Eが最大となる。
【0157】
背景均一性レベルλ=1,2の第2アルゴリズムが対象アルゴリズムとして選択された場合、点灯パターンNo.7に対応する評価値Eが最大となり、点灯パターンNo.7が計測用点灯パターンとして決定される。図20に示したように、背景均一性レベルλ=1,2において、点灯パターンNo.29に対応するσ'は、閾値κ(=1)より大きくなる。σ'は、上記の式(1)の分母である。そのため、点灯パターンNo.29に対応する評価値Eが小さくなり、欠陥領域と背景領域との差分を示すσpが次に大きい点灯パターンNo.7に対応する評価値Eが最大となる。
【0158】
背景均一性レベルλ=3,4の第2アルゴリズムが対象アルゴリズムとして選択された場合、点灯パターンNo.44に対応する評価値Eが最大となり、点灯パターンNo.44が計測用点灯パターンとして決定される。図20に示したように、背景均一性レベルλ=3,4において、点灯パターンNo.7に対応するσ'が閾値κ(=1)より大きくなる。そのため、点灯パターンNo.7に対応する評価値Eが小さくなる。σpが次に大きい点灯パターンNo.44に対応するσ'も、閾値κ(=1)より大きくなるが、点灯パターンNo.7に対応するσ'より小さい。そのため、点灯パターンNo.44に対応する評価値Eが最大となる。
【0159】
背景均一性レベルλ=5の第2評価アルゴリズムが対象アルゴリズムとして選択された場合、点灯パターンNo.40に対応する評価値Eが最大となり、点灯パターンNo.40が計測用点灯パターンとして決定される。図20に示したように、背景均一性レベルλ=5において、点灯パターンNo.40に対応するσ'のみが閾値κ(=1)に固定され、他の評価用点灯パターンに対応するσ'は閾値κ(=1)よりもかなり大きくなる。そのため、点灯パターンNo.40に対応する評価値Eが最大となる。
【0160】
以上のように、選択された対象アルゴリズムに応じて、評価値Eが最大となる評価用点灯パターンが異なる。そのため、画像計測に応じた評価アルゴリズムを選択することにより、画像計測に適した点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定できる。
【0161】
図22は、図19に示す評価画像に対して画像処理を行なった結果を示す図である。(a)~(d)には、画像処理としてSobelフィルタ処理が行なわれた後の画像が示される。(e)~(h)には、画像処理としてHough変換処理が行なわれた後の画像が示される。(a)および(e)は、点灯パターンNo.29に対応する評価画像に対して画像処理が行なわれた後の画像を示す。(b)および(f)は、点灯パターンNo.7に対応する評価画像に対して画像処理が行なわれた後の画像を示す。(c)および(g)は、点灯パターンNo.44に対応する評価画像に対して画像処理が行なわれた後の画像を示す。(d)および(h)は、点灯パターンNo.40に対応する評価画像に対して画像処理が行なわれた後の画像を示す。
【0162】
図22に示されるように、Sobelフィルタ処理が行なわれると、背景に含まれるエッジまで強調される。その結果、背景の均一度が低い画像を用いた場合、欠陥部分と背景との区別がつきにくくなり、欠陥部分を精度良く検知できなくなる。そのため、Sobelフィルタ処理を含む画像計測を行なう場合、ユーザは、背景均一性レベルλ=5の第2アルゴリズムを選択すればよい。これにより、背景の均一度の高い点灯パターンNo.40が計測用点灯パターンとして決定される。
【0163】
一方、Hough変換処理が行なわれると、背景への影響はほとんどないが、欠陥部分が細くなりやすい。その結果、欠陥部分と背景との差分が小さい画像を用いた場合、欠陥部分を精度良く検知できなくなる。そのため、Hough変換処理を含む画像計測を行なう場合、ユーザは、第1アルゴリズムを選択すればよい。これにより、欠陥部分と背景との差分の大きい点灯パターンNo.29が計測用点灯パターンとして決定される。
【0164】
<K.作用・効果>
以上のように、本実施の形態の画像処理システム1は、対象物Wの外観画像を用いた画像計測を行なう。画像処理システム1は、対象物Wを撮像するカメラ8と、対象物Wに対して光を照射するための複数の照明要素40から構成され、照明要素40ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明装置4とを備える。さらに、画像処理システム1は、画像取得部210と、評価アルゴリズム選択部220と、算出部230と、点灯パターン決定部240とを備える。画像取得部210は、互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って照明装置4から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像をカメラ8から取得する。評価アルゴリズム選択部220は、複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択する。算出部230は、各評価用点灯パターンについて、対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する評価画像とを用いて、画像計測への適合度を示す評価値を算出する。点灯パターン決定部240は、評価値に基づいて、複数の評価用点灯パターンの中から、画像計測に用いる点灯パターンを決定する。
【0165】
上記の構成によれば、複数の評価アルゴリズムの中から画像計測に適した評価アルゴリズムが選択されることにより、当該画像計測に最適な点灯パターンが計測用点灯パターンとして自動的に決定される。これにより、対象物Wの外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定を簡単に行なうことができる。
【0166】
複数の評価アルゴリズムは、評価画像における少なくとも1つの欠陥領域と少なくとも1つの背景領域との差分に依存する評価値を出力する第1アルゴリズムと、少なくとも1つの背景領域の均一度に依存する評価値を出力する少なくとも1つの第2アルゴリズムとを含む。
【0167】
上述したように、対象物Wの表面の欠陥を検出するための画像計測では、欠陥部分を強調するための画像処理が実施される。欠陥部分とともに背景まで強調され得る画像処理を行なう場合には、なるべく背景が均一となるような点灯パターンが好ましい。このような場合、第2アルゴリズムが対象アルゴリズムとして選択されることにより、背景が均一となるような点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定できる。
【0168】
一方、背景がそれほど強調されない画像処理を行なう場合には、欠陥領域と背景領域との差分が大きくなるような点灯パターンが好ましい。このような場合、第1アルゴリズムが対象アルゴリズムとして選択されることにより、欠陥領域と背景領域との差分が大きくなるような点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定できる。
【0169】
少なくとも1つの第2アルゴリズムは、評価値に対する背景の均一度の寄与率が互いに異なる複数の第2アルゴリズムを含む。
【0170】
上記の構成によれば、複数の第2アルゴリズムの中から、画像計測に適した寄与率の第2アルゴリズムを適宜選択することができる。これにより、画像計測に適した点灯パターンが計測用点灯パターンとして決定される。
【0171】
第2アルゴリズムは、背景領域に属する複数の画素の輝度の分散Vに応じた値(例えば(λ/L)V1/2)が閾値κよりも小さい場合に、閾値κを用いて評価値を算出する。第2アルゴリズムは、分散Vに応じた値(例えば(λ/L)V1/2)が閾値κ以上である場合に、分散Vに応じた値(例えば(λ/L)V1/2)を用いて評価値を算出する。閾値κは、第2アルゴリズムに応じて設定される。
【0172】
分散Vを用いて評価値を算出する場合、分散Vが0に近づく程、評価値に対する分散Vの影響度が大きくなる。例えば、分散Vを分母として含む式によって評価値が算出される場合、分散Vが0に近づくにつれ、評価値が無限大に近づく。しかしながら、上記の構成によれば、背景の均一度がある程度高い場合に、閾値κを用いて評価値が算出され、背景の均一度が低い場合に、分散Vに応じた値を用いて評価値が算出される。これにより、適切な評価値が算出される。
【0173】
画像処理システム1は、ユーザインターフェイスとしてタッチパネル102をさらに備える。算出部230は、タッチパネル102への入力に従って、欠陥領域の形状、サイズおよび位置を決定する。さらに、算出部230は、背景領域の形状およびサイズを欠陥領域の形状およびサイズと同一に設定し、タッチパネル102への入力に従って、背景領域の位置を決定する。これにより、ユーザは、欠陥領域の形状、サイズおよび位置を設定することにより、背景領域の形状およびサイズを設定する必要がなくなる。その結果、背景領域の設定に要する手間が削減される。
【0174】
算出部230は、複数の評価画像の各々に対して評価値を算出する。点灯パターン決定部240は、各評価用点灯パターンについて、複数の評価画像に対する評価値の中から最も適合度の低い最低評価値を抽出する。点灯パターン決定部240は、複数の評価用点灯パターンの中から、最も適合度の高い最低評価値が抽出された評価用点灯パターンを計測用点灯パターンとして決定する。これにより、安定して適合度の高い評価用点灯パターンが計測用点灯パターンとして決定される。
【0175】
照明装置4が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されている。画像取得部210は、複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、選択された少なくとも1つのグループに属する複数の点灯パターンを複数の評価用点灯パターンとして決定する。これにより、照明装置4が取りうる点灯パターンの総数が膨大であったとしても、画像計測に適したグループが選択されることにより、計測用点灯パターンの決定に要する時間を短縮できる。
【0176】
複数の照明要素40は、例えば、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置される。Nは2以上の整数である。複数のグループは、第1~第Nの半径方向の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される第1グループと、第1~第Nの半径方向のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む。
【0177】
上記の構成によれば、放射状に配置された複数の照明要素40の中心付近に対象物を設置し、かつ、第1グループを選択することにより、対象物への照明光の照射方向が均一となる。そのため、照明光の照射方向が均一であることが好ましい画像計測を行なう場合には第1グループを選択すればよい。一方、照明光の照射方向に偏りがあることが好ましい画像計測を行なう場合には第2グループを選択すればよい。
【0178】
複数のグループは、第1~第Nの半径方向のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第3グループをさらに含んでもよい。ただし、Nは4以上の整数である。
【0179】
また、複数のグループは、複数の照明要素の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成されるグループと、複数の照明要素の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成されるグループとを含んでもよい。
【0180】
評価アルゴリズム選択部220は、タッチパネル102への入力に従って対象アルゴリズムを選択する。これにより、ユーザは、画像計測に適した評価アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択できる。
【0181】
<L.変形例>
(変形例1)
上記の説明では、プロセッサ110(評価アルゴリズム選択部220)は、タッチパネル102への入力に応じて対象アルゴリズムを選択するものとした。しかしながら、プロセッサ110(評価アルゴリズム選択部220)は、実行される画像計測に応じて自動的に対象アルゴリズムを選択してもよい。
【0182】
例えば、制御装置100は、画像計測の種別ごとに、当該種別を示す種別情報と当該種別に適した評価アルゴリズムを識別する識別情報とを対応付けたテーブルを予め記憶する。当該テーブルは、予め実験等により作成される。プロセッサ110(評価アルゴリズム選択部220)は、実行される画像計測の種別に対応する識別情報をテーブルから読み出し、読み出した識別情報で識別される評価アルゴリズムを対象アルゴリズムとして選択すればよい。
【0183】
(変形例2)
評価値の算出方法は、上記の方法に限定されない。例えば、欠陥領域および背景領域の全てが同一形状および同一サイズである場合、式(1)のσpは、式(2)の代わりに以下の式(6)を用いて算出されてもよい。
【0184】
【数6】
【0185】
式(7)において、b(i,j)は、背景領域h0~hn-1における画素(i,j)の輝度値の平均値を示し、以下の式(7)で示される。
【0186】
【数7】
【0187】
さらに、背景領域h0~hn-1に属する全ての画素の輝度値の分散Vは、式(4)の代わりに以下の式(8)に従って算出されてもよい。
【0188】
【数8】
【0189】
式(8)に従って算出された分散Vを用いて、上記の式(5)に従ってσ'が算出される。
あるいは、式(1)のσpは、式(2)の代わりに以下の式(9)を用いて算出されてもよい。
【0190】
【数9】

式(9)において、aは、欠陥領域Hpにおける輝度の平均値を示し、以下の式(10)で示される。
【0191】
【数10】
【0192】
式(9)を用いて算出されるσpは、欠陥領域Hpにおける標準偏差を示している。欠陥領域Hpには欠陥部分が含まれるため、欠陥部分が目立つような点灯パターンにおいてσpが大きくなり、評価値も大きくなる。
【0193】
(変形例3)
上記の説明では、閾値κは、例えば1に予め設定されるものとした。しかしながら、閾値κは、評価用点灯パターンに対応する評価画像に応じて設定されてもよい。例えば、以下のようにして閾値κが設定される。
【0194】
プロセッサ110(算出部230)は、各評価用点灯パターンについて、上記の式(4)または式(8)に従って分散Vを算出する。その後、プロセッサ110(算出部230)は、例えば以下の条件a,bの両方を満たすように閾値κを決定すればよい。閾値κとして複数の値が取り得る場合、例えば当該複数の値の中央値が閾値κとして決定される。
(条件a)全ての評価用点灯パターンのうち2~20%の評価点灯パターンにおいて、(1/L)V1/2≧κとなる。
(条件b)全ての評価用点灯パターンのうち80~100%の評価点灯パターンにおいて、V1/2≧κとなる。
【0195】
あるいは、プロセッサ110(算出部230)は、タッチパネル102への入力に従って閾値κを決定してもよい。これにより、ユーザは、閾値κを所望の値に設定できる。
【0196】
(変形例4)
上記の説明では、複数の評価アルゴリズムは、欠陥領域と背景領域との差分に依存する評価値を算出する第1アルゴリズムと、背景領域の均一度に依存する評価値を算出する第2アルゴリズムとを含むものとした。しかしながら、複数のアルゴリズムは、これらのアルゴリズムに限定されない。
【0197】
例えば、複数の評価アルゴリズムは、互いに異なるエッジパターンを用いて、評価画像における指定領域に属する画素のエッジらしさを示す評価値を算出してもよい。エッジらしさを示す評価値は、例えば特開平7-220058号公報(特許文献2)に開示された方法を用いて算出される。
【0198】
図23は、8つのエッジパターンの例を示す図である。図23に示されるように、各エッジパターンについて、3×3=9画素のウィンドウが設定される。プロセッサ110(算出部230)は、ウィンドウを評価画像内の3×3画素に重ね合わせ、エッジパターンとウィンドウ内の画像データとの適合度を算出する。プロセッサ110(算出部230)は、評価画像の指定領域において、ウィンドウを水平方向および垂直方向に移動させながら適合度を算出し、算出した適合度の合計値を算出する。指定領域は、評価画像の全領域であってもよいし、一部の領域であってもよい。算出された適合度の合計値は、指定領域に属する画素のエッジらしさを表す。
【0199】
プロセッサ110(算出部230)は、ウィンドウ内において、中心画素と8つの周辺画素の各々との輝度差Q(明るさの差)を算出する。算出部230は、輝度差Qを用いて以下のようにして適合度を算出する。
【0200】
図23には、メンバーシップ関数を用いて表現された各エッジパターンのファジィモデルが示される。図23において、NはNegativeを、Zはzeroを、PはPositiveをそれぞれ表わしている。
【0201】
メンバーシップ関数Nは、輝度差Qがある負の値-Qbより小さい範囲では、関数値が1の値をとり、0より大きい範囲では0の値をとり,-Qbから0までの範囲ではその値に対応して直線的に変化する1から0までの値をとる。
【0202】
メンバーシップ関数Pは、輝度差Qが0より小さい範囲では関数値が0の値をとり、ある正の値Qbより大きい範囲では1の値をとり、0~Qbの範囲ではその値に対応して直線的に変化する0~1の間の値をとる。
【0203】
メンバーシップ関数Zは、輝度差Qの絶対値がある値Qaより大きい範囲では関数値が0となり、絶対値がQbより小さい範囲では1となる。そして、輝度差Qの絶対値がQbより大きくかつQaより小さい範囲では、その値に対応して、関数値は、直線的に変化する1から0までの中間の値となる。
【0204】
図23(A)に示すファジィモデルは,右下方向に明るくかつ左上方向に暗くなり,右上りの斜めのエッジパターンを表わしている。図23(B)に示すファジィモデルは、右方向に明るく、左方向に暗く、垂直方向にのびるエッジパターンを表わしている。図23(C)に示すファジィモデルは、右上方向に明るくかつ左下方向に暗くなり、右下りの斜めのエッジパターンを表わしている。図23(D)に示すファジィモデルは、上方向に明るく、下方向に暗く、水平方向にのびるエッジパターンを表わしている。図23(E)に示すファジィモデルは、左上方向に明るくかつ右下方向に暗くなり、右上りの斜めのエッジパターンを表わしている。図23(F)に示すファジィモデルは、左方向に明るく、右方向に暗く、垂直方向にのびるエッジパターンを表わしている。図23(G)に示すファジィモデルは、左上方向に明るくかつ右下方向に暗くなり、右下りの斜めのエッジパターンを表わしている。図23(H)に示すファジィモデルは、下方向に明るく、上方向に暗く、水平方向にのびるエッジパターンを表わしている。
【0205】
例えば、複数の評価アルゴリズムとして、以下の第3~第6アルゴリズムが予め設定され、ユーザは、第3~第6アルゴリズムの1つを対象アルゴリズムとして選択する。第3アルゴリズムは、図23(A)および図23(E)によって表されるエッジパターンを用いて算出された適合度の合計値を評価値として出力する。第4アルゴリズムは、図23(B)および図23(F)によって表されるエッジパターンを用いて算出された適合度の合計値を評価値として出力する。第5アルゴリズムは、図23(C)および図23(G)によって表されるエッジパターンを用いて算出された適合度の合計値を評価値として出力する。第6アルゴリズムは、図23(D)および図23(H)によって表されるエッジパターンを用いて算出された適合度の合計値を評価値として出力する。
【0206】
対象物Wの表面に一方向に沿った複数の筋が形成されており、画像計測において、当該筋を強調させる画像処理が実行されるとする。この場合、当該筋を目立たせるような評価用点灯パターンが好ましい。そのため、ユーザは、筋の方向に応じて評価アルゴリズムを選択すればよい。
【0207】
例えば、筋が垂直方向である場合、第4アルゴリズムが選択される。第4アルゴリズムは、図23(B)および図23(F)によって表されるエッジパターンを用いて適合度を算出すし、算出した適合度の合計値を評価値として出力する。すなわち、評価値は、垂直方向のエッジらしさを示す。そのため、第4アルゴリズムが選択されることにより、垂直方向の筋を目立たせるような評価用点灯パターンが計測用点灯パターンとして決定される。
【0208】
(変形例5)
上記の説明では、照明装置4の形状をドーム状とした。しかしながら、照明装置4の形状は、ドーム状に限定されるものではなく、例えば平面や直線状でもよい。また、照明光をハーフミラーで反射させて対象物を照射してもよい。例えば、照明装置4において光源をマトリクス状に配置し、照明装置4を複数の照明要素に分割してもよい。
【0209】
また、図3に例示される照明装置4において、照明要素40からの光の出射方向が全て中央に向かうものとした。しかしながら、複数の照明要素からの光の出射方向は、これに限定されるものではなく、互いに異なる方向を向いていてもよい。
【0210】
各照明要素が発する光はそれぞれ異なる偏光特性を与えてもよい。具体的には、照明要素の出射面(拡散板より外側)に0度、45度、90度、135度の直線偏光フィルタを装着することにより、無偏光も含めて、5通りの特性を与えることができる。
【0211】
§3 別の適用例
図24を参照して、本発明の別の適用例について説明する。図24は、画像処理システムの別の構成例を示す図である。
【0212】
特許文献1に開示の技術では、複数の照明角度において物品を撮像して得た撮像画像に基づいて評価値を最適化する照明角度が演算される。ここで、複数の照明角度は予め定められる。しかしながら、照明の色、方向など設定可能な条件が多い照明装置を用いる場合、多数の点灯パターンが存在し、これら全ての点灯パターンを評価すると最適化に要する時間がかかる。一方、多数の点灯パターンのうち予め定められた点灯パターンのみ評価する場合、評価していない点灯パターンの方がより適している場合がありうる。その結果、最適化が不十分となる。
【0213】
本開示は、このような問題にも鑑みてなされたものであり、その目的は、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定をより適切に行なうことのできる画像処理システム、設定方法およびプログラムを提供することでもある。
【0214】
図24に例示される画像処理システム1Aは、図1に示す画像処理システム1と比較して、制御装置100の代わりに制御装置100Aを備える。
【0215】
制御装置100Aは、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに従う構造を有している。制御装置100Aは、上記の制御装置100と比較して、評価アルゴリズム選択部220を備えず、かつ、画像取得部210の代わりに画像取得部210Aを備える点で相違する。
【0216】
照明装置4が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されている。画像取得部210Aは、ユーザインターフェイスへの入力に従って、複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、選択された少なくとも1つのグループに属する複数の点灯パターンを複数の評価用点灯パターンとして決定する。そして、画像取得部210Aは、選択した複数の評価用点灯パターンxiの各々に従って照明装置4から照明光を対象物に照射し、各評価用点灯パターンxiに対応する少なくとも1つの評価画像Rをカメラ8から取得する。
【0217】
なお、図24に示す画像処理システム1Aでは、算出部230は、予め定められた評価アルゴリズムと評価用点灯パターンxiに対応する評価画像Rとを用いて、画像計測への適合度を示す評価値Piを算出してもよい。
【0218】
なお、図24に示す画像処理システム1Aの具体例は、例えば上記の「§2 具体例」と共通する。すなわち、複数のグループは、例えば図8に示す第1グループ、図9に示す第2グループ、図10に示す第3グループを含む。また、複数のグループは、複数の照明要素40の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成されるグループと、複数の照明要素40の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成されるグループとを含んでもよい。
【0219】
図24に示す画像処理システム1Aによれば、複数のグループの中から画像計測に応じたグループを選択することができる。これにより、照明装置4が取りうる複数の点灯パターンの全てを評価する場合に比べて、最適化に要する時間を短縮できる。さらに、複数のグループの中から評価すべきグループが選択可能であることから、評価すべき点灯パターンが評価対象外になることを避けることができる。これにより、対象物の外観画像を用いた画像計測に適合するように照明の点灯設定をより適切に行なうことのできる画像処理システムを実現できる。
【0220】
§4 付記
以上のように、本実施の形態は以下のような開示を含む。
【0221】
(構成1)
対象物(W)の外観画像を用いた画像計測を行なう画像処理システム(1)であって、
前記対象物(W)を撮像する撮像部(8)と、
前記対象物(W)に対して光を照射するための複数の照明要素(40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U)から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部(4)と、
互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部(4)から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を前記撮像部から取得する画像取得部(110,210)と、
複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択する選択部(110,220)と、
各評価用点灯パターンについて、前記対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像とを用いて、前記画像計測への適合度を示す評価値を算出する算出部(110,230)と、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するパターン決定部(110,240)とを備える、画像処理システム(1)。
【0222】
(構成2)
前記複数の評価アルゴリズムは、前記少なくとも1つの評価画像における少なくとも1つの第1領域と少なくとも1つの第2領域との差分に依存する第1評価値を前記評価値として出力する第1アルゴリズムと、前記少なくとも1つの第2領域の均一度に依存する第2評価値を前記評価値として出力する少なくとも1つの第2アルゴリズムとを含む、構成1に記載の画像処理システム(1)。
【0223】
(構成3)
前記少なくとも1つの第2アルゴリズムは、前記第2評価値に対する前記均一度の寄与率が互いに異なる複数の第2アルゴリズムを含む、構成2に記載の画像処理システム(1)。
【0224】
(構成4)
前記少なくとも1つの第2アルゴリズムの各々は、
前記少なくとも1つの第2領域に属する複数の画素の輝度の分散に応じた値が閾値よりも小さい場合に、前記閾値を用いて前記第2評価値を出力し、
前記分散に応じた値が前記閾値以上である場合に、前記分散に応じた値を用いて前記第2評価値を出力し、
前記閾値は、前記少なくとも1つの第2アルゴリズムに応じて設定される、構成2または3に記載の画像処理システム(1)。
【0225】
(構成5)
ユーザインターフェイス(102)をさらに備え、
前記算出部(110,230)は、
前記ユーザインターフェイス(102)への入力に従って、前記少なくとも1つの第1領域の形状、サイズおよび位置を決定し、
前記少なくとも1つの第2領域の形状およびサイズを前記少なくとも1つの第1領域の形状およびサイズと同一に設定し、
前記ユーザインターフェイス(102)への入力に従って、前記少なくとも1つの第2領域の位置を決定する、構成2から4のいずれかに記載の画像処理システム(1)。
【0226】
(構成6)
前記複数の評価アルゴリズムは、互いに異なるエッジパターンを用いて前記少なくとも1つの評価画像における指定領域に属する画素のエッジらしさを示す第3評価値を前記評価値として出力する、構成1に記載の画像処理システム(1)。
【0227】
(構成7)
前記少なくとも1つの評価画像は複数の評価画像を含み、
前記算出部は、前記複数の評価画像の各々に対して前記評価値を算出し、
前記パターン決定部(110,240)は、
各評価用点灯パターンについて、前記複数の評価画像に対する前記評価値の中から最も前記適合度の低い最低評価値を抽出し、
前記複数の評価用点灯パターンの中から、最も前記適合度の高い前記最低評価値が抽出された評価用点灯パターンを前記画像計測に用いる点灯パターンとして決定する、構成1から6のいずれかに記載の画像処理システム(1)。
【0228】
(構成8)
前記照明部(4)が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されており、
前記画像取得部(110,210)は、
前記複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、
選択された前記少なくとも1つのグループに属する複数の点灯パターンを前記複数の評価用点灯パターンとして決定する、構成1から7のいずれかに記載の画像処理システム(1)。
【0229】
(構成9)
前記複数の照明要素(40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U)は、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置され、
Nは2以上の整数であり、
前記複数のグループは、
前記第1~第Nの半径方向の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記第1~第Nの半径方向のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、構成8に記載の画像処理システム(1)。
【0230】
(構成10)
Nは4以上の偶数であり、
前記複数のグループは、前記第1~第Nの半径方向のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第3グループをさらに含む、構成9に記載の画像処理システム(1)。
【0231】
(構成11)
前記複数のグループは、
前記複数の照明要素の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記複数の照明要素の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、構成8に記載の画像処理システム(1)。
【0232】
(構成12)
ユーザインターフェイス(102)をさらに備え、
前記選択部(110,220)は、前記ユーザインターフェイス(102)への入力に従って前記対象アルゴリズムを選択する、構成1に記載の画像処理システム(1)。
【0233】
(構成13)
対象物(W)に対して光を照射するための複数の照明要素(40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U)から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部(4)に対して点灯設定を行なうための設定方法であって、
互いに異なる複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部(4)から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を、前記対象物(W)を撮像する撮像部(8)から取得するステップと、
複数の評価アルゴリズムから1つの対象アルゴリズムを選択するステップと、
各評価用点灯パターンについて、前記対象アルゴリズムと当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像とを用いて、前記対象物の外観画像を用いた画像計測への適合度を示す評価値を算出するステップと、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するステップとを備える、設定方法。
【0234】
(構成14)
構成13に記載の設定方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【0235】
(構成15)
対象物(W)の外観画像を用いた画像計測を行なう画像処理システム(1A)であって、
前記対象物(W)を撮像する撮像部(8)と、
前記対象物(W)に対して光を照射するための複数の照明要素(40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U)から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部(4)とを備え、
前記照明部(4)が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されており、
前記画像処理システム(1A)はさらに、
前記複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、前記少なくとも1つのグループに属する複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部(4)から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を前記撮像部(8)から取得する画像取得部(110A,210)と、
各評価用点灯パターンについて、当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像を用いて前記画像計測への適合度を示す評価値を算出する算出部(110,230)と、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するパターン決定部(110,240)とを備える、画像処理システム(1A)。
【0236】
(構成16)
前記複数の照明要素は、等角度間隔の第1~第Nの半径方向に沿って放射状に配置され、
Nは2以上の整数であり、
前記複数のグループは、
前記第1~第Nの半径方向の照射強度が均一となる複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記第1~第Nの半径方向のうちの1つの半径方向に配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、構成15に記載の画像処理システム(1A)。
【0237】
(構成17)
Nは4以上の偶数であり、
前記複数のグループは、前記第1~第Nの半径方向のうち互いに逆向きとなる一対の半径方向に沿って配置された照明要素のみが点灯される複数の点灯パターンから構成される第3グループをさらに含む、構成16に記載の画像処理システム(1A)。
【0238】
(構成18)
前記複数のグループは、
前記複数の照明要素の発光色が白色である複数の点灯パターンから構成される第1グループと、
前記複数の照明要素の発光色が白色以外の色である複数の点灯パターンから構成される第2グループとを含む、構成15に記載の画像処理システム(1A)。
【0239】
(構成19)
ユーザインターフェイス(102)をさらに備え、
前記画像取得部(110A,210)は、前記ユーザインターフェイス(102)への入力に従って前記少なくとも1つのグループを選択する、構成15から18のいずれかに記載の画像処理システム(1A)。
【0240】
(構成20)
対象物(W)に対して光を照射するための複数の照明要素(40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U)から構成され、照明要素ごとに発光強度および発光色の少なくとも一方を調整できる照明部(4)に対して点灯設定を行なうための設定方法であって、
前記照明部(4)が取りうる複数の点灯パターンは、複数のグループに予め分割されており、
前記複数のグループから少なくとも1つのグループを選択し、前記少なくとも1つのグループに属する複数の評価用点灯パターンの各々に従って前記照明部(4)から照明光を照射するとともに、各評価用点灯パターンに対応する少なくとも1つの評価画像を、前記対象物(W)を撮像する撮像部(8)から取得するステップと、
各評価用点灯パターンについて、当該評価用点灯パターンに対応する前記少なくとも1つの評価画像を用いて前記画像計測への適合度を示す評価値を算出するステップと、
前記評価値に基づいて、前記複数の評価用点灯パターンの中から、前記画像計測に用いる点灯パターンを決定するステップとを備える、設定方法。
【0241】
(構成21)
構成20に記載の設定方法をコンピュータに実行させるプログラム(150)。
【0242】
本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0243】
1,1A 画像処理システム、4 照明装置、8 カメラ、40,41,42~45,42L~45L,42M~45M,42U~45U 照明要素、46 開口部、47 反射板、48 拡散板、60 設定画面、61,62,63 タブ、64,65,80 入力欄、66~68,78,79,82 チェックボックス、69~72,76,77,84,86 ボタン、73,74 表示欄、75,81,83,85 領域、90 欠陥部分、91 編集ボタン、92 領域形状選択ボタン群、93 サイズ編集領域、94,94a,98,98a,98b 枠線、95 変更ボタン、96 OKボタン、97 キャンセルボタン、100,100A 制御装置、101 表示部、102 タッチパネル、110 プロセッサ、112 RAM、114 表示コントローラ、116 システムコントローラ、118 I/Oコントローラ、120 ハードディスク、122 装置用インターフェイス、124 入力インターフェイス、128 通信インターフェイス、130 メモリカードインターフェイス、136 メモリカード、150 制御プログラム、210,210A 画像取得部、220 評価アルゴリズム選択部、230 算出部、240 点灯パターン決定部、D1 第1の半径方向、D2 第2の半径方向、D3 第3の半径方向、D4 第4の半径方向、H0~Hm-1 欠陥領域、R,Ri 評価画像、S サンプル画像、W 対象物、h0~hn-1 背景領域、xi 評価用点灯パターン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24