(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 45/385 20200101AFI20230905BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20230905BHJP
【FI】
H05B45/385
H05B45/38
(21)【出願番号】P 2019197724
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】飯田 岳秋
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】芝原 信一
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-54509(JP,A)
【文献】特開2016-207311(JP,A)
【文献】特開2020-166958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ユニットと、蓄電池と、光源と、を備え、
前記電源ユニットは、
交流電力を整流する整流回路と、
トランスを有し、前記整流回路の電圧を降圧して、前記蓄電池に予め定められた電流を出力する充電回路と、
点灯用スイッチング素子を有し、前記点灯用スイッチング素子をオンすると前記蓄電池のエネルギが前記トランスの2次巻線に伝達され、前記点灯用スイッチング素子をオフすると前記トランスに蓄積されたエネルギが前記光源に供給される点灯回路と、を備えたことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記充電回路はフライバックコンバータであり、前記点灯用スイッチング素子は、前記2次巻線と、前記蓄電池の負極側端子との間に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記2次巻線と、前記点灯用スイッチング素子との間に、整流素子を介して前記光源が接続されたことを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記点灯用スイッチング素子はMOSFETであり、前記点灯回路は、前記2次巻線と、前記MOSFETと、前記整流素子を有する昇圧チョッパ回路であることを特徴とする請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記MOSFETがオンオフ動作を繰り返している期間は前記充電回路の動作を停止させる制御回路を備えたことを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
前記トランスは、前記整流回路に電気的に接続された1次巻線と、前記2次巻線と、前記1次巻線と前記2次巻線が巻きつけられた磁性体コアとを備え、前記2次巻線の上に前記1次巻線が巻きつけられたことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記整流回路と前記光源の間に直列に接続されたスイッチを有し、
前記充電回路の動作中は前記スイッチをオフ状態としつつ前記点灯用スイッチング素子をオン状態とし、前記点灯回路の動作中は前記スイッチをオン状態とする制御回路を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記蓄電池に出力される電流が一定となるように前記充電回路を定電流制御する制御回路を備えたこと特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記充電回路は充電用スイッチング素子を備え、
前記充電用スイッチング素子と前記点灯用スイッチング素子を制御する制御回路を備え、
前記制御回路は前記充電用スイッチング素子と前記点灯用スイッチング素子の少なくとも一方にフォトカプラを介して制御信号を送ることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項10】
前記充電回路は充電用スイッチング素子を備え、
前記充電用スイッチング素子と前記点灯用スイッチング素子を制御する制御回路を備え、
前記制御回路は、前記充電用スイッチング素子がオンオフを繰り返す期間において、前記充電用スイッチング素子がオンしている期間は前記点灯用スイッチング素子をオフ状態とし、前記充電用スイッチング素子がオフしている期間の少なくとも一部に前記点灯用スイッチング素子をオン状態とすることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項11】
前記点灯用スイッチング素子はワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項12】
前記充電用スイッチング素子はワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることを特徴とする請求項9に記載の照明器具。
【請求項13】
前記ワイドバンドギャップ半導体は、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドであることを特徴とする請求項11又は12に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源とした照明器具の中でも、災害等による停電時に点灯させることを想定している非常用照明器具又は誘導灯は、内蔵する蓄電池の電力を用いてLEDを点灯させる。停電が発生していない平常時において交流電源から入力されたエネルギを蓄電池に充電することで、停電時に十分な時間LEDを点灯させることを可能とする。
【0003】
特許文献1には、交流電源が正常に得られている通常時に非常用電源である蓄電池を充電し、停電が発生している非常時に蓄電池の電力を用いて光源を点灯する非常用照明器具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、非常用照明器具に用いられる回路は、LEDを点灯させるための点灯回路に加え、蓄電池を充電するための充電回路を備えた構成となっており、同程度の出力の他の照明器具と比較して部品点数が多い。従って、器具形状が大型であるとともに高コストであるという課題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、小型化に好適な照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明に係る照明器具は、電源ユニットと、蓄電池と、光源と、を備え、該電源ユニットは、交流電力を整流する整流回路と、トランスを有し、該整流回路の電圧を降圧して、該蓄電池に予め定められた電流を出力する充電回路と、点灯用スイッチング素子を有し、該点灯用スイッチング素子をオンすると該蓄電池のエネルギが該トランスの2次巻線に伝達され、該点灯用スイッチング素子をオフすると該トランスに蓄積されたエネルギが該光源に供給される点灯回路と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のその他の特徴は以下に明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電回路と点灯回路の主回路部品を共通で使用して部品点数を削減することで、回路及び器具全体を小型化するとともに、低コスト化する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施の形態1に係る照明器具の回路図である。
【
図9】実施の形態2に係る照明器具の回路図である。
【
図11】実施の形態3に係る照明器具の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。実施の形態に係る照明器具は非常用照明器具であるが単に照明器具と称することがある。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
実施の形態1.
図1は、比較例に係る照明器具100の充電回路、点灯回路、蓄電池及び光源の回路図である。照明器具100は、交流電源1に接続され交流電源1から供給される電力を直流に変換する整流回路2と、充電回路4´と、定電流回路8と、点灯回路10´と、光源13とを備えている。充電回路4´は、交流電源1と蓄電池9を電気的に絶縁するとともに、整流回路2の出力を降圧した一定電圧を出力する。定電流回路8は、充電回路4´の出力電圧を用いて、蓄電池9を充電するための一定電流を出力する。点灯回路10´は、停電が発生した場合に蓄電池9の電圧を光源13が点灯可能な高さに昇圧する。光源13は、点灯回路10´から入力される電流を光に変換し点灯する。
【0013】
交流電源1と充電回路4´の間に接続される整流回路2は、交流電源1から入力される交流電圧を整流し直流の電圧を出力する。整流回路の構成としては、4つのダイオードを用いた全波整流回路の他、MOSFET等のスイッチング素子を用いた同期整流の回路構成としてもよい。また、1つのダイオードのみで半波整流回路としてもよく、この場合、交流電源1から入力される電流が通過するダイオードの数を半減できるため、整流回路2で発生する損失を低減することができる。
【0014】
整流回路2の出力、すなわち、直流側と充電回路4´の間にはフィルタコンデンサ3が接続されている。より具体的には、フィルタコンデンサ3の一端は整流回路2の正極側端子とフライバックトランス5の1次巻線5aに接続され、フィルタコンデンサ3の他端は整流回路2の負極側端子と充電用スイッチング素子4aのソース端子に接続される。
【0015】
フィルタコンデンサ3は、充電回路4´が備える充電用スイッチング素子4aのスイッチング動作により交流電源1から入力される電流に発生するスイッチングリプルを抑制する。
【0016】
フィルタコンデンサ3として、フィルムコンデンサの他、チップ形状のセラミックコンデンサを用いることができる。特に、チップ形状のセラミックコンデンサを用いる場合は、フィルムコンデンサに比べて低背部品であるため、基板を低背化することができる。
【0017】
フィルタコンデンサ3と電解コンデンサ6の間には充電回路4´が接続される。充電回路4´はフライバックコンバータであり、例えば、充電用スイッチング素子4a、フライバックトランス5、スナバダイオード4d、スナバ抵抗4e、スナバコンデンサ4f、ダイオード4cを備える。充電用スイッチング素子4aのソース端子は整流回路2の負極側端子及びフィルタコンデンサ3と接続され、ドレイン端子はフライバックトランス5の1次巻線5aの一端及びスナバダイオード4dのアノード端子と接続される。スナバダイオード4dのカソード端子は、スナバ抵抗4eの一端と、スナバコンデンサ4fの一端に接続される。スナバ抵抗4eの他端は、スナバコンデンサ4fの他端と、フライバックトランス5の1次巻線5aの一端に接続される。フライバックトランス5の2次巻線5bはダイオード4cのアノードと、電解コンデンサ6の負極側端子に接続される。ダイオード4cのカソードは、電解コンデンサ6の正極側端子に接続される。
【0018】
充電回路4´はフィルタコンデンサ3の電圧を降圧し、電解コンデンサ6に出力する機能をもつ。電解コンデンサ6の電圧が蓄電池9の電圧よりも高いほど、定電流回路8で発生する損失が増加するため、電解コンデンサ6の電圧が蓄電池9の電圧よりも高く、なおかつ、同程度の高さとなるように充電回路4´の出力電圧を定電圧制御する。
【0019】
蓄電池9は、照明器具100が設置された後に交換することがある。よって、照明器具100が交流電源1に接続されて通電している状態で人が蓄電池9及びその接続端子に触れる可能性があるため、感電防止を目的として、充電回路4´は交流電源1と蓄電池9を電気的に絶縁している。
図1においては、充電回路4´としてフライバックコンバータの構成を示しているが、これに限るものではなく、例えば、フライフォワードコンバータ又はLLC方式のDC/DCコンバータにおいても、上述の機能を実現することができる。
【0020】
充電用スイッチング素子4aは、一般に用いられているSi(ケイ素)を材料とした素子を用いる他、SiC(炭化ケイ素)を材料とした素子を用いることができる。SiCはSiよりも導通損失が小さく、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき、充電動作時における照明器具100の消費電力を低減することができる。また、充電用スイッチング素子4aの発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。
【0021】
また、充電用スイッチング素子4aとして、GaN(窒化ガリウム)を材料としたスイッチング素子を用いることができる。GaNを材料としたスイッチング素子の例としては、HEMTが挙げられる。HEMTはSiのMOSFETよりも導通損失が小さく、また、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき充電動作時における照明器具100の消費電力を低減することができる。また、スイッチング素子の発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。
【0022】
充電回路4´と蓄電池9の間には、電解コンデンサ6、ダイオード7、定電流回路8が接続される。電解コンデンサ6の正極側端子は、ダイオード4cのカソード端子とダイオード7のアノード端子に接続される。電解コンデンサ6の負極側端子はフライバックトランス5の2次巻線5bの一端と、蓄電池9の負極側端子に接続される。ダイオード7のカソード端子は定電流回路8の一端に接続される。定電流回路8の他端は蓄電池9の正極側端子とコイル10bの一端に接続される。
【0023】
電解コンデンサ6は、充電回路4´から出力される電圧を平滑化する機能をもつ。充電回路4´は整流回路2から出力される電圧を一定電圧に制御するが、整流回路2から出力される電圧は交流電源1の2倍周波数で脈動しているため充電回路4´から出力される電圧も交流電源1の2倍周波数で脈動する。電解コンデンサ6は、交流電源1の2倍周波数で脈動する電圧を平滑化している。これによって、電解コンデンサ6の電圧の脈動によるピーク値が低減できるため、蓄電池9の電圧に対して電解コンデンサ6の電圧が高くなりすぎることを抑制できる。これにより、定電流回路8で発生する損失と照明器具100の消費電力を低減することができる。
【0024】
定電流回路8の例としてシャントレギュレータを用いる構成が挙げられる。また、別の例によれば、降圧チョッパ回路などのDC/DCコンバータを用いて出力を定電流制御する構成にすることもできる。
【0025】
ダイオード7は定電流回路8に逆方向の電流が流れることを防止する機能をもつ。定電流回路8としてシャントレギュレータを用いた場合、電解コンデンサ6が充電されていない状態で蓄電池9を接続すると、蓄電池9からシャントレギュレータを逆導通して、電解コンデンサ6を充電する方向に電流が流れる。上記の電流が流れる経路には電流の大きさを制限する電気部品がないため、シャントレギュレータの定格電流を超える過大な電流が発生し、シャントレギュレータが故障することがある。また、蓄電池9に大きな電流が流れることによって蓄電池9の寿命が低下することがある。そのため、ダイオード7を用いることによって、シャントレギュレータが逆導通して電流が流れることを防止し、シャントレギュレータの故障と蓄電池9の寿命の低下を抑制する。
【0026】
充電回路4´と点灯回路10´の間には、蓄電池9が接続される。蓄電池9の正極側端子は、定電流回路8の一端とコイル10bの一端に接続される。蓄電池9の負極側端子は、電解コンデンサ6の負極側端子と、フライバックトランス5の2次巻線5bの一端と、MOSFET10aのソース端子に接続される。
【0027】
蓄電池9は、交流電源1から正常に電圧が入力されている場合に、充電回路4´と定電流回路8によって一定の電流で充電され、電力を蓄える機能をもつ。ここで、交流電源1から正常に電圧が入力されている場合というのは、例えば、交流電源1の電圧が100Vrmsの場合、85Vrmsを超える電圧が入力されていることである。逆に、交流電源1の電圧が例えば85Vrms以下である条件を交流電源1から正常に電圧が入力されていない場合とする。
【0028】
蓄電池9は、停電などによって交流電源1から正常に電圧が入力されていない場合に、点灯回路10´を介して光源13に電力を供給する機能をもつ。非常用照明器具技術基準(JIL5501)の規格によって光源13を点灯させる時間が決められているため、蓄電池9は十分な時間、光源13を点灯させることができる放電容量の部品を用いる必要がある。
【0029】
蓄電池9として例えばニッケル・水素電池又はニッケル・カドミウム電池を用いることができる。電池の形状は例えば単三又は単四の形状である。光源13を十分な時間点灯させるために必要な数の電池を直列、並列に組み合わせて蓄電池9を構成する。
【0030】
蓄電池9と光源13の間には点灯回路10´が接続される。点灯回路10´は昇圧チョッパ回路であり、MOSFET10a、コイル10b、整流素子10cを備える。MOSFET10aのソース端子は蓄電池9の負極側端子とフィルタコンデンサ11の一端に接続され、ドレイン端子はコイル10bの一端と整流素子10cのアノード端子に接続される。コイル10bの他端は蓄電池9の正極側端子と接続される。整流素子10cのアノード端子は、コイル10bの一端とMOSFET10aのドレイン端子に接続され、整流素子10cカソード端子はフィルタコンデンサ11の一端に接続される。
【0031】
点灯回路10´は蓄電池9の電圧を昇圧し光源13に出力する機能をもつ。また、光源13としてLEDを用いる場合、光源13の明るさは光源13に流す電流の大きさによって決まるため、光源13に出力する電流が一定の大きさになるように点灯回路10´を定電流制御する。
【0032】
図1の構成においては、点灯回路10´として昇圧チョッパ回路の構成を示しているが、これに限るものではなく、例えば昇降圧チョッパ回路、フライバック回路、フライフォワード回路、SEPIC、Zetaコンバータ若しくはCukコンバータ、又はLLC方式のDC/DCコンバータの構成においても、上記で説明した機能を実現することができる。
【0033】
MOSFET10aとして、一般に用いられているSi(ケイ素)を材料とした素子を用いる他、SiC(炭化ケイ素)を材料とした素子を用いることができる。この場合、SiCはSiよりも導通損失が小さく、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき、点灯動作時における照明器具100の消費電力を低減することができる。また、MOSFET10aの発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって蓄電池9の放電容量の削減が可能となるので、蓄電池9に用いる電池の放電容量を低減したり、電池本数を削減したりすることができる。
【0034】
また、MOSFET10aとしてGaN(窒化ガリウム)を材料としたスイッチング素子を用いることができる。GaNを材料としたスイッチング素子としては、HEMTが例として挙げられる。HEMTはSiのMOSFETよりも導通損失が小さく、また、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき、点灯動作時における照明器具100の消費電力を低減することができる。また、スイッチング素子の発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって蓄電池9の放電容量の削減が可能となるので、蓄電池9に用いる電池の放電容量を低減したり、電池本数を削減したりすることができる。
【0035】
点灯回路10´の出力側にはフィルタコンデンサ11、点灯スイッチ12、光源13が接続されている。フィルタコンデンサ11の一端は整流素子10cのカソード端子と、点灯スイッチ12の一端に接続されている。フィルタコンデンサ11の他端は蓄電池9の負極側端子と、MOSFET10aのソース端子と、光源13の負極側端子に接続されている。点灯スイッチ12の一端は、フィルタコンデンサ11の一端と、整流素子10cのカソード端子に接続されており、点灯スイッチ12の他端は光源13の正極側端子に接続されている。
【0036】
フィルタコンデンサ11は、点灯回路10´が備えるMOSFET10aのスイッチング動作により光源13に入力する電流に発生するスイッチングリプルを抑制し、平滑化する機能をもつ。
【0037】
フィルタコンデンサ11はフィルムコンデンサの他、チップ形状のセラミックコンデンサを用いることができる。特に、チップ形状のセラミックコンデンサを用いる場合は、フィルムコンデンサに比べて低背部品であるため、基板を低背化することができる。
【0038】
点灯スイッチ12は、点灯回路10´と光源13の間の接続をオン・オフすることで、光源13の点灯、消灯を制御する。光源13が短絡故障した場合には、蓄電池9、コイル10b、整流素子10c、光源13の電流経路が形成され蓄電池9が短絡されるため、短絡電流が流れる。この場合、蓄電池9又は整流素子10cの発熱又は発煙等の故障が発生し得るが、光源13が短絡故障した際に点灯スイッチ12をオフすることで蓄電池9又は整流素子10cの発熱又は発煙等を防止する。
【0039】
図1の例における点灯スイッチ12はn型のMOSFETであるが、これに限るものではなく、p型のMOSFET又はnpnトランジスタなどを用いることもできる。
【0040】
光源13は、複数のLEDを直列・並列に接続したLED群で構成し得る。また、光源13は、LEDで構成してもよいし、有機EL(Electro Luminescence)で構成してもよい。
【0041】
図2は、実施の形態1に係る照明器具100Aの充電回路、点灯回路、蓄電池、光源などを示す回路図である。実施の形態1に係る照明器具100Aについて、
図1を参照しつつ説明した比較例と同一又は対応する構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0042】
実施の形態1に係る照明器具100Aと比較例の照明器具100との相違点は、照明器具100Aでは、充電回路4´の代わりに充電回路4が用いられていること、フライバックトランス5の代わりにフライバックトランス14が用いられていること、点灯回路10´の代わりに点灯回路10が用いられていること、点灯スイッチ12の代わりにスイッチ17が用いられていること、逆導通ダイオード16が用いられていることを含む。
【0043】
照明器具100Aのフィルタコンデンサ3と電解コンデンサ6の間には充電回路4が接続される。充電回路4は、フライバックコンバータであり、充電用スイッチング素子4a、フライバックトランス14、スナバダイオード4d、スナバ抵抗4e、スナバコンデンサ4f、点灯用スイッチング素子15aを備える。点灯用スイッチング素子15aは例えばMOSFETである。充電用スイッチング素子4aのソース端子は整流回路2の負極側端子とフィルタコンデンサ3とに接続され、ドレイン端子はトランス14の1次巻線14aの一端とスナバダイオード4dのアノード端子と接続される。スナバダイオード4dのカソード端子は、スナバ抵抗4eの一端と、スナバコンデンサ4fの一端に接続される。スナバ抵抗4eの他端は、スナバコンデンサ4fの他端と、フライバックトランス14の1次巻線14aの一端に接続される。フライバックトランス14の2次巻線14bの一端は、電解コンデンサ6の正極側端子と、逆導通ダイオード16のカソード端子と、定電流回路8の一端に接続される。フライバックトランス14の2次巻線14bの他端は、点灯用スイッチング素子15aのドレイン端子と、整流素子10cのアノード端子に接続される。
【0044】
比較例の照明器具100では充電回路4´においてダイオード4cを用いるのに対し、実施の形態1における照明器具100Aの充電回路4は点灯用スイッチング素子15aを用いるという相違点がある。点灯用スイッチング素子15aの寄生ダイオードを利用してダイオード4cと同等の機能を実現している。点灯用スイッチング素子15aは、2次巻線14bと、蓄電池9の負極側端子との間に接続されている。
【0045】
充電回路4はフィルタコンデンサ3の電圧を降圧し、電解コンデンサ6に出力する機能をもつ。電解コンデンサ6の電圧が蓄電池9の電圧よりも高いほど、定電流回路8で発生する損失が増加するため、電解コンデンサ6の電圧が蓄電池9の電圧よりも高く、なおかつ、同程度の高さとなるように充電回路4の出力電圧を定電圧制御する。
【0046】
蓄電池9は、照明器具100Aが設置された後に交換することがある。よって、照明器具100Aが交流電源1に接続され通電している状態で蓄電池9及びその接続端子に人が触れる可能性があるため、感電防止を目的として、充電回路4は交流電源1と蓄電池9を電気的に絶縁している。
【0047】
充電回路4と蓄電池9の間には、電解コンデンサ6、逆導通ダイオード16、定電流回路8が接続される。電解コンデンサ6の正極側端子はフライバックトランス14の2次巻線14bの一端と、逆導通ダイオード16のカソード端子と、定電流回路8の一端に接続される。電解コンデンサ6の負極側端子は点灯用スイッチング素子15aのソース端子と、蓄電池9の負極側端子に接続される。逆導通ダイオード16のアノード端子は、蓄電池9の正極側端子と、定電流回路8の一端に接続され、逆導通ダイオード16のカソード端子は定電流回路8の他端と、電解コンデンサ6の正極側端子と、フライバックトランス14の2次巻線14bの一端に接続される。定電流回路8の一端は、逆導通ダイオード16のカソード端子と、電解コンデンサ6の正極側端子と、フライバックトランス14の2次巻線14bの一端に接続され、定電流回路8の他端は、逆導通ダイオード16のアノード端子と、蓄電池9の正極側端子に接続される。
【0048】
電解コンデンサ6は、充電回路4から出力される電圧を平滑化する機能をもつ。充電回路4は整流回路2から出力される電圧を一定電圧に制御するが、整流回路2から出力される電圧は交流電源1の2倍周波数で脈動しているため、充電回路4から出力される電圧も交流電源1の2倍周波数で脈動する。電解コンデンサ6は、交流電源1の2倍周波数で脈動する電圧を平滑化している。これによって、電解コンデンサ6の電圧の脈動によるピーク値が低減できるため、蓄電池9の電圧に対して、電解コンデンサ6の電圧が高くなりすぎることを抑制できる。そのため、定電流回路8で発生する損失を低減でき、照明器具100Aの消費電力を低減することができる。
【0049】
また、電解コンデンサ6は、蓄電池9から見た点灯回路10のインピーダンスを高くし、蓄電池9が出力する電流のピーク電流を抑制する機能をもつ。点灯回路10の点灯用スイッチング素子15aのスイッチング動作により、フライバックトランス14の2次巻線14bには、数10kHz~数100kHzの高周波成分が重畳した三角波状の電流が流れるが、蓄電池9と2次巻線14bの間に電解コンデンサ6を配置することで、その高周波成分の電流は主として電解コンデンサ6から供給される。これによって、蓄電池9から出力される電流のピーク電流が低減できるため、蓄電池9の発熱を抑制し、蓄電池9の劣化を抑制することができる。
【0050】
定電流回路8として例えばシャントレギュレータを用いることができる。また、別の構成として、降圧チョッパ回路などのDC/DCコンバータを用いて出力を定電流制御する構成にすることもできる。
【0051】
逆導通ダイオード16は定電流回路8に逆方向の電流が流れることを防止する機能をもつ。定電流回路8としてシャントレギュレータを用いた場合、電解コンデンサ6が充電されていない状態で蓄電池9を接続すると、蓄電池9からシャントレギュレータを逆導通して、電解コンデンサ6を充電する方向に電流が流れる。上記の電流が流れる経路には、電流の大きさを制限する電気部品がないため、シャントレギュレータの定格電流を超える過大な電流が発生し、シャントレギュレータが故障することがある。そこで、逆導通ダイオード16を用いることによってシャントレギュレータが逆導通して電流が流れることを防止し、シャントレギュレータの故障を抑制する。そのとき、定電流回路8が逆導通する際の順方向電圧に対して、逆導通ダイオード16の順方向電圧を低くする必要がある。そのため、逆導通ダイオード16としてショットキーバリアダイオードを使用することができる。
【0052】
また、逆導通ダイオード16は、蓄電池9から電解コンデンサ6に電流を流す機能をもつ。照明器具100Aは、交流電源1から正常に電圧が入力されている場合に、電解コンデンサ6の電圧を用いて、定電流回路8により一定の電流で蓄電池9を充電する。すなわち、電解コンデンサ6から、定電流回路8を介して蓄電池9の方向に電流を流す。一方で、交流電源1から正常に電圧が入力されていない場合は、蓄電池9に蓄えた電力を用いて点灯回路10により一定の電流で光源13を点灯する。すなわち、蓄電池9から、点灯回路10を介して光源13の方向に電流を流す。逆導通ダイオード16は点灯回路10を動作させる際に、蓄電池9から、点灯回路10の方向に電流を導通させる。
【0053】
交流電源1から正常に電圧が入力されている場合、充電回路4と定電流回路8によって蓄電池9が一定の電流で充電され、電力を蓄える。ここで、交流電源1から正常に電圧が入力されている場合というのは、例えば、交流電源1の電圧が100Vrmsの場合、85Vrmsを超える電圧が入力されていることである。逆に、交流電源1の電圧が例えば85Vrms以下である条件を、交流電源1から正常に電圧が入力されていない場合とする。
【0054】
また、蓄電池9は、停電などによって交流電源1から正常に電圧が入力されていない場合に、点灯回路10を介して光源13に電力を供給する機能をもつ。照明器具100AはJIL5501の規格によって光源13を点灯させる時間が決められているので、蓄電池9として十分な時間、光源13を点灯させることができる放電容量の部品を用いる必要がある。
【0055】
蓄電池9として例えばニッケル・水素電池又はニッケル・カドミウム電池を用いる。電池の形状は例えば単三又は単四の形状である。光源13を十分な時間点灯させるために必要な本数を直列、並列に組み合わせて蓄電池9を構成する。
【0056】
蓄電池9と光源13の間には点灯回路10が接続される。点灯回路10は昇圧チョッパ回路であり、点灯用スイッチング素子15a、フライバックトランス14の2次巻線14b、整流素子10cから構成される。点灯用スイッチング素子15aのソース端子は蓄電池9の負極側端子とフィルタコンデンサ11の一端に接続され、ドレイン端子はフライバックトランス14の2次巻線14bの一端と整流素子10cのアノード端子と接続される。フライバックトランス14の2次巻線14bの他端は、電解コンデンサ6の正極側端子と接続されている。フライバックトランス14の2次巻線14bの一端は点灯用スイッチング素子15aのドレイン端子と、整流素子10cのアノード端子に接続される。整流素子10cのアノード端子は、フライバックトランス14の2次巻線14bの一端と、点灯用スイッチング素子15aのドレイン端子に接続され、整流素子10cカソード端子はフィルタコンデンサ11の一端に接続される。
図2には、2次巻線14bと点灯用スイッチング素子15aとの間に、整流素子10cとスイッチ17を介して光源13が接続されたことが図示されている。
【0057】
比較例の照明器具100で用いられるMOSFET10aの代わりに、実施の形態1に係る照明器具100Aの点灯回路10では点灯用スイッチング素子15aを用いる。また、比較例のコイル10bの代わりにフライバックトランス14の2次巻線14bを利用して、コイル10bと同等の機能を実現している。
【0058】
点灯回路10は、蓄電池9の電圧を昇圧し、光源13に出力する機能をもつ。また、光源13としてLEDを用いる場合、光源13の明るさは光源13に流す電流の大きさによって決まるため、点灯回路10は光源13に出力する電流が一定の大きさになるように定電流制御する。
【0059】
図2の点灯回路10は、2次巻線14bと、点灯用スイッチング素子15aと、整流素子10cを有する昇圧チョッパ回路であるが、これに限るものではなく、例えば、SEPICの構成においても上記で説明した機能を実現することができる。
【0060】
点灯用スイッチング素子15aは、珪素に比べてバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成してもよい。ワイドバンドギャップ半導体は耐電圧性などに優れるため照明器具を小型化することができる。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドがある。例えばSiCはSiよりも導通損失が小さく、また、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき、点灯動作時における照明器具100Aの消費電力を低減することができる。また、点灯用スイッチング素子15aの発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって、蓄電池9の放電容量を削減することができ、電池の放電容量の低減、本数の削減ができる。
【0061】
点灯用スイッチング素子15aとしてGaN(窒化ガリウム)を材料としたスイッチング素子を用いることができる。GaNを材料としたスイッチング素子としては、HEMTが例として挙げられる。HEMTはSiのMOSFETよりも導通損失が小さく、また、高速なスイッチング動作が可能であるため、スイッチング損失を低減でき、点灯動作時における照明器具100Aの消費電力を低減することができる。また、スイッチング素子の発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって、蓄電池9の放電容量を削減することができ、電池の放電容量の低減、本数の削減ができる。さらに、充電用スイッチング素子4aについても、炭化珪素、窒化ガリウム系材料又はダイヤモンドなどのワイドバンドギャップ半導体によって形成することができる。
【0062】
点灯回路10の出力側にはフィルタコンデンサ11、スイッチ17、光源13が接続されている。フィルタコンデンサ11の一端はスイッチ17の一端と光源13の一端に接続されている。フィルタコンデンサ11の他端は、電解コンデンサ6の負極側端子、点灯用スイッチング素子15aのソース端子及び光源13の負極側端子に接続されている。スイッチ17の一端は、整流素子10cのカソード端子に接続されており、スイッチ17の他端はフィルタコンデンサ11の一端と、光源13の正極側端子に接続されている。
【0063】
フィルタコンデンサ11は、点灯回路10が備える点灯用スイッチング素子15aのスイッチング動作により、光源13に入力する電流に発生するスイッチングリプルを抑制し、平滑化する機能をもつ。
【0064】
フィルタコンデンサ11として、フィルムコンデンサの他、チップ形状のセラミックコンデンサを用いることができる。特に、チップ形状のセラミックコンデンサを用いる場合は、フィルムコンデンサに比べて低背部品であるため、基板を低背化することができる。
【0065】
スイッチ17は、点灯回路10と光源13の間の接続をオン・オフすることで、光源13の点灯、消灯を制御する。光源13が短絡故障をした場合には、蓄電池9、逆導通ダイオード16、フライバックトランス14の2次巻線14b、整流素子10c、光源13の電流経路が形成され、蓄電池9が短絡されるため短絡電流が流れる。この場合、蓄電池9、逆導通ダイオード16、整流素子10cの発熱又は発煙等の故障が発生することがあるが、光源13が短絡故障した際にはスイッチ17をオフすることで、蓄電池9、逆導通ダイオード16、整流素子10cの発熱又は発煙等を防止する。
【0066】
スイッチ17は整流回路2と光源13の間の電流経路に直列に接続されている。充電回路4が動作している場合に、スイッチ17をオフすることで、光源13、フィルタコンデンサ11に電流が流れることを防止することができる。充電回路4の充電用スイッチング素子4aがオンしている場合には、2次巻線14b、整流素子10c、フィルタコンデンサ11、光源13、電解コンデンサ6の電流経路が形成され、フィルタコンデンサ11が充電されるとともに、光源13に電流が流れ点灯する可能性がある。そのため、スイッチ17を設け、充電回路4の充電用スイッチング素子4aがオンしている場合には、スイッチ17をオフすることで、フィルタコンデンサ11が充電されることと光源13に電流が流れ点灯することを防止する。充電回路4の動作中にスイッチ17をオフ状態としつつ点灯用スイッチング素子15aをオン状態とし、点灯回路10の動作中はスイッチ17をオン状態とする制御回路を提供することができる。
【0067】
図2のスイッチ17はn型のMOSFETであるが、これに限るものではなく、p型のMOSFET又はnpnトランジスタを用いることもできる。前述した整流回路2と、充電回路4と、点灯回路10が電源ユニットを構成している。
【0068】
図3、4を参照して、実施の形態1に係る照明器具100Aの充電回路4の動作をより詳細に説明する。
【0069】
図3は、実施の形態1において、充電回路4の充電用スイッチング素子4aがスイッチング動作をする際に電流が流れる経路を実線、電流が流れない経路を破線で示した回路図である。
図4は、充電動作における各種の波形図である。具体的には、
図4には、充電用スイッチング素子4aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の1次巻線14aに流れる電流、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の2次巻線14bに流れる電流、電解コンデンサ6の両端に出力される電圧、の波形が示されている。なお、
図4の波形は交流電源1の半周期間の波形を示している。説明のため、充電用スイッチング素子4aのスイッチング周期Tsw1は交流電源1の半周期間に対して実際よりも長い周期で記載している。
【0070】
充電回路4が動作している場合、スイッチ17をオフすることで、整流素子10c、スイッチ17、フィルタコンデンサ11、光源13は導通しない。また、電解コンデンサ6の両端に出力する電圧が蓄電池9の電圧よりも高いため、逆導通ダイオード16は導通しない。
【0071】
フライバックトランス14は、比較例の照明器具100におけるフライバックトランス5に相当する。また、点灯用スイッチング素子15aは、比較例の照明器具100におけるダイオード4cに相当する。つまり、点灯用スイッチング素子15aの寄生ダイオードを利用して、ダイオード4cと同等の機能を実現している。
【0072】
図4には、充電用スイッチング素子4aがスイッチングを繰り返す周期であるスイッチング周期Tsw1、充電用スイッチング素子4aがオンしている期間であるオン時間T1、充電用スイッチング素子4aがオフし2次巻線14bの電流が0Aにまで立ち下がるまでの期間である立下り時間T2、スイッチング周期Tswのうちオン時間T1と立下り時間T2以外の期間である不連続時間T3、が示されている。
【0073】
オン時間T1の期間において、充電用スイッチング素子4aのドレイン電圧は略0Vまで低下し、フィルタコンデンサ3、1次巻線14a、充電用スイッチング素子4aの電流経路が形成され、1次巻線14aに流れる電流が増加し、フライバックトランス14がエネルギを蓄える。充電用スイッチング素子4aをオフすると、1次巻線14aに流れる電流経路が遮断され、2次巻線14b、電解コンデンサ6、点灯用スイッチング素子15aの電流経路が形成され、2次巻線14bに電流が流れる。充電用スイッチング素子4aをオフした後、2次巻線14bに流れる電流は減少し、立下り時間T2が経過した時点で0Aとなる。2次巻線14bに流れる電流が0Aまで低下すると、充電用スイッチング素子4aのドレイン―ソース間の寄生容量、1次巻線14aのインダクタンス、フィルタコンデンサ3で共振が発生し、充電用スイッチング素子4aのドレイン電圧に振動が発生する。ドレイン電圧の振動は、経時的に減衰し、フィルタコンデンサ3の両端電圧に収束する。
【0074】
充電用スイッチング素子4aがオン・オフ動作を繰り返し、充電回路が動作している期間、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース間の電圧は点灯用スイッチング素子15aがオンする閾値電圧よりも低い電圧にし、点灯用スイッチング素子15aをオフ状態で維持する。充電用スイッチング素子4aのオン時間T1の期間において、点灯用スイッチング素子15aのドレイン電圧は電解コンデンサの両端電圧と、2次巻線14bの電圧の合計電圧が印加される。充電用スイッチング素子4aをオフした後、2次巻線14bに流れる電流が0Aまで低下すると、点灯用スイッチング素子15aのドレイン―ソース間の寄生容量、2次巻線14bのインダクタンス、電解コンデンサ6で共振が発生し、点灯用スイッチング素子15aのドレイン電圧に振動が発生する。ドレイン電圧の振動は、経時的に減衰し、電解コンデンサ6の両端電圧に収束する。
【0075】
2次巻線14bに流れる電流が電解コンデンサ6を充電する。2次巻線14bに流れる電流は充電用スイッチング素子4aのオン時間T1によって決まるため、電解コンデンサ6に出力する電圧が一定となるように、オン時間T1の長さを制御する。オン時間T1の長さによって制御する方式をオン時間制御と呼ぶことがある。また、スイッチング周期Tsw1に対するオン時間T1の長さをデューティと呼ぶことから、デューティ制御と呼ぶことがある。このように、充電回路4は、フライバックトランス14を有し、整流回路2の電圧を降圧して蓄電池9に予め定められた電流を出力する。
【0076】
スイッチング周期Tsw1の逆数であるスイッチング周波数Fsw1は、例えば数10kHz~数100kHzに設定される。特に、スイッチング周波数Fsw1が可聴域である20kHzを下回ると、フライバックトランス14又はフィルタコンデンサ3から音鳴りが発生することがあるため、スイッチング周波数Fsw1は20kHzよりも高い周波数に設定することができる。また、充電用スイッチング素子4aとしてSiのMOSFETを使用するとスイッチング周波数Fsw1の上限は数100kHzであるが、GaNのHEMTを使用するとより高い周波数で動作することが可能であり、スイッチング周波数Fsw1を例えば数MHzまで上昇させることができる。この場合、フライバックトランス14とフィルタコンデンサ3の容量を低減することができ、部品サイズを小型化できる。
【0077】
次に、
図5、6を参照して、実施の形態1における照明器具100Aの点灯回路10の動作をより詳細に説明する。
【0078】
図5は、実施の形態1において、点灯回路10の点灯用スイッチング素子15aがスイッチング動作をする際に電流が流れる経路を実線、電流が流れない経路を破線で示した回路図である。
図6は、点灯動作における各種の波形図である。具体的には、充電用スイッチング素子4aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の1次巻線14aに流れる電流、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の2次巻線14bに流れる電流、電解コンデンサ6の両端に出力される電圧の波形が示されている。
【0079】
点灯回路10が動作している場合、スイッチ17をオンすることで、整流素子10c、スイッチ17、フィルタコンデンサ11、光源13が導通する。また、充電回路4から電解コンデンサ6への電圧の出力がないため、逆導通ダイオード16が導通し、蓄電池9の電圧から電解コンデンサ6に電力が供給される。
【0080】
2次巻線14bは、比較例の照明器具100におけるコイル10bに相当する。また、点灯用スイッチング素子15aは、比較例の照明器具100におけるMOSFET10aに相当し、2次巻線14b及び整流素子10cと合わせて昇圧チョッパ回路を形成する。
【0081】
図6には、点灯用スイッチング素子15aがスイッチングを繰り返す周期であるスイッチング周期Tsw2、点灯用スイッチング素子15aがオンしている期間であるオン時間T4、点灯用スイッチング素子15aがオフしている期間のうち2次巻線14bの電流が0Aに立ち下がるまでの期間である立下り時間T5、スイッチング周期Tswのうちオン時間T1と立下り時間T2以外の期間である不連続時間T6、が示されている。
【0082】
オン時間T4の期間において、点灯用スイッチング素子15aのドレイン電圧は略0Vまで低下し、電解コンデンサ6、2次巻線14b、点灯用スイッチング素子15aの電流経路が形成され、2次巻線14bに流れる電流が増加し、フライバックトランス14がエネルギを蓄える。点灯用スイッチング素子15aをオフすると、電解コンデンサ6、2次巻線14b、整流素子10c、スイッチ17、フィルタコンデンサ11及び光源13の電流経路が形成され、フライバックトランス14に蓄えられたエネルギがフィルタコンデンサ11及び光源13に放電される。これにより、2次巻線14bに流れる電流は減少し始め、立下り時間T5が経過した時点で0Aとなる。2次巻線14bに流れる電流が0Aまで低下すると、点灯用スイッチング素子15aのドレイン―ソース間の寄生容量、2次巻線14bのインダクタンス、電解コンデンサ6で共振が発生し、点灯用スイッチング素子15aのドレイン電圧に振動が発生する。ドレイン電圧の振動は、経時的に減衰し、電解コンデンサ6の両端電圧に収束する。このように、点灯用スイッチング素子15aをオンすると蓄電池9のエネルギがフライバックトランス14の2次巻線14bに伝達され、点灯用スイッチング素子15aをオフするとフライバックトランス14に蓄積されたエネルギが光源13に供給される。
【0083】
点灯用スイッチング素子15aがオン・オフ動作を繰り返し、点灯回路10が動作している期間、充電用スイッチング素子4aのゲート―ソース間の電圧は充電用スイッチング素子4aがオンする閾値電圧よりも低い電圧にし、充電用スイッチング素子4aをオフ状態で維持する。点灯用スイッチング素子15aがオンオフ動作を繰り返している期間は充電用スイッチング素子4aをオフ状態で維持することで充電回路の動作を停止させる制御回路を設けることができる。点灯用スイッチング素子15aの立下り時間T5の期間において、1次巻線14a、フィルタコンデンサ3、充電用スイッチング素子4aの寄生ダイオードの電流経路が形成されるため、フィルタコンデンサ3の両端電圧は、点灯用スイッチング素子15aの立下り時間T5の期間における1次巻線14aの電圧まで充電される。そのため、点灯回路10が動作している場合に、充電用スイッチング素子4aをオン・オフさせると、充電回路4が動作し、回路動作に伴って充電用スイッチング素子4a、スナバダイオード4d、スナバ抵抗4eで損失が発生するため、点灯動作時における照明器具100Aの消費電力が増加する。また、上記部品の発熱により、近傍に配置されている電子部品の温度が上昇し、信頼性が低下する。また、消費電力が増加するので、蓄電池9の放電容量を増加する必要があり、電池の放電容量の増加、電池本数の増加の課題がある。そこで、点灯回路10が動作をしている際、充電用スイッチング素子4aをオフ状態で維持することで、充電回路4が動作することを防止する。これによって、点灯動作時における照明器具100Aの消費電力を低減することができる。また、素子の発熱も低減できるため、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって、蓄電池9の放電容量を削減することができ、電池の放電容量の低減と電池本数の削減ができる。
【0084】
2次巻線14bに流れる電流がフィルタコンデンサ11、光源13に電力を供給し、光源13が点灯する。2次巻線14bに流れる電流は点灯用スイッチング素子15aのオン時間T4によって決まるため、光源13に出力する電流が一定となるように、オン時間T4の長さを制御する。オン時間T4の長さによって制御する方式をオン時間制御と呼ぶことがある。また、スイッチング周期Tsw2に対するオン時間T4の長さをデューティと呼ぶことから、デューティ制御と呼ぶことがある。
【0085】
スイッチング周期Tsw2の逆数であるスイッチング周波数Fsw2は例えば数10kHz~数100kHzの高さに設定される。特に、スイッチング周波数Fsw2が可聴域である20kHzを下回ると、フライバックトランス14、電解コンデンサ6又はフィルタコンデンサ11から音鳴りが発生することがあるため、スイッチング周波数Fsw2は20kHzよりも高い周波数に設定し得る。また、点灯用スイッチング素子15aとしてSiのMOSFETを使用するとスイッチング周波数Fsw2の上限は数100kHzであるが、GaNのHEMTを使用すると、より高い周波数で動作することが可能であり、スイッチング周波数Fsw2を例えば数MHzまで上昇させることができる。この場合、フライバックトランス14、電解コンデンサ6、フィルタコンデンサ11の容量を低減することができ、部品サイズを小型化できる。
【0086】
図7は、フライバックトランス14の外観を示す斜視図である。フライバックトランス14は、
図7に表れていない1次巻線14aと2次巻線14bに加えて、磁性体のコア14c、14d、ボビン14e、絶縁テープ14f、配線端子14g、14h、14i、14j、14k、14lを備える。なお、比較例の照明器具100におけるフライバックトランス5の外観は、
図7のフライバックトランス14と同じである。
【0087】
1次巻線14aと2次巻線14bは例えば絶縁被膜を備えた銅線である。具体的にはUEW(ポリウレタン銅線マグネットワイヤー)を用いることができる。巻線の形状としては、単線の他に複数の単線をより合わせたリッツ線を用いることもできる。リッツ線は、単線に比べて、高周波における表皮効果による銅損の増加を抑制できることから、リッツ線を用いることで点灯動作時における損失を低減することができる。
【0088】
コア14c、14dは1次巻線14a、2次巻線14bに電流を流すことによって発生する磁束の経路となる磁性体である。コア14c、14dの材料として、例えばマンガン―亜鉛系、又はニッケル―亜鉛系のソフトフェライトを用いることができる。
【0089】
図8Aは比較例に係る巻線を示す断面図である。
図8Bは
図7のX-X´線断面図である。
図8Aのコア5c、5dと
図8Bのコア14c、14dは、例えばEEコアとすることができる。コア14c、14dが対向する部分にはギャップを設ける。ギャップの設け方としては、コアの一部を削る方法がある。ギャップの長さによって、1次巻線14a、2次巻線14bのインダクタンスを決定する。ギャップの設け方の他の例としては、コア14c、14dが対向している全ての面にスペーサを設ける方法もあるが、この場合はスペーサにより使用する材料が増えるため低コスト化にはやや不利である。コアの形状はEEコアに限定されず、例えばEIコア、PQコアなどを採用し得る。
【0090】
図8Aにおけるボビン5eには、1次巻線5a、2次巻線5bが巻き付く。
図8Bにおけるボビン14eには、1次巻線14a、2次巻線14bが巻き付く。どちらのボビンもコアを支持する。
【0091】
絶縁テープ14fは、1次巻線14a、2次巻線14bの間に設けられ、絶縁の機能を有する他、1次巻線14a、2次巻線14bの最外層に化粧テープとしても巻き付けられる。絶縁テープ14fは例えばポリエステルフィルム粘着テープ等の電気絶縁用テープとすることができる。
図8では絶縁テープが省略されている。
【0092】
配線端子14g、14h、14i、14j、14k、14lには、1次巻線14a、2次巻線14bが接続される。
【0093】
比較例に係る
図8Aには、1次巻線5aをボビン5eの軸に近い最内層に巻き、その外層に2次巻線5bを巻くことが図示されている。1次巻線5aは2次巻線5bに比べて印加される電圧の振れ幅が大きいため、1次巻線5aの外層に2次巻線5bを配置することで、1次巻線5aから放射されるノイズをシールドする効果がある。
【0094】
他方、実施の形態1においては、2次巻線14bを点灯回路10の動作に利用する。蓄電池9を充電する電力は例えば数100mWであり、充電回路4が動作する際2次巻線14bに流れる電流は例えば数100mAであるが、点灯回路10が動作する際は、光源13に数Wの電力を供給するため、2次巻線14bに流れる電流は数Aに上昇する。このため、
図8Bに示すように、実施の形態1では2次巻線14bをボビン14eの軸に近い最内層に巻き、その外層に1次巻線14aを巻く構造とした。言いかえると、磁性体のコア14c、14dには、2次巻線14bの上に1次巻線14aが巻きつけられることで、1次巻線と2次巻線が巻き付いている。これにより、2次巻線14bの線長を短くすることができる。短い2次巻線14bの抵抗は低いので、巻線の発熱抑制が可能である。
【0095】
実施の形態1に係る照明器具100Aでは、非常用の照明器具では停電時にのみ光源を点灯するという性質上、充電回路4と点灯回路10はいずれか一方のみしか動作しないという特質を利用して、充電回路4と点灯回路10の主回路部品を共通で使用する構成にすることで、部品点数を削減した。
【0096】
実施の形態1に記載した変形例、修正例又は代案については、以下の実施の形態に係る照明器具に応用し得る。以下の実施の形態に係る照明器具については、実施の形態1をベースとするものであるので、主として実施の形態1との相違点を説明する。
【0097】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る照明器具100Bの充電回路、点灯回路、蓄電池、光源の回路図である。
図9の照明器具100Bのうち、
図2に示す実施の形態1の照明器具100Aと同一又は対応する構成については、
図2で用いた符号と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
実施の形態2に係る照明器具100Bでは、実施の形態1に係る照明器具100Aの定電流回路8と逆導通ダイオード16が削除されている。
【0099】
充電回路4はフライバックコンバータであり、充電用スイッチング素子4a、フライバックトランス14、スナバダイオード4d、スナバ抵抗4e、スナバコンデンサ4f、点灯用スイッチング素子15aを備える。充電用スイッチング素子4aのソース端子は整流回路2の負極側端子とフィルタコンデンサ3に接続され、ドレイン端子はトランス14の1次巻線14aの一端と、スナバダイオード4dのアノード端子に接続される。フライバックトランス14の2次巻線14bの一端は電解コンデンサ6の正極側端子と、蓄電池9の正極側端子に接続される。フライバックトランス14の2次巻線14bの他端は点灯用スイッチング素子15aのドレイン端子と、整流素子10cのアノード端子に接続される。
【0100】
実施の形態2における充電回路4は、出力を定電流制御することで、実施の形態1における定電流回路8の機能を実現する。これによって、点灯時に定電流回路8を逆導通させるために設けていた逆導通ダイオード16も削減している。実施の形態2の照明器具100Bは、蓄電池9に出力される電流が一定となるように充電回路4を定電流制御する制御回路を備えることができる。
【0101】
充電回路4はフィルタコンデンサ3の電圧を降圧し、電解コンデンサ6に出力する機能をもつ。充電回路4では、蓄電池9を充電する電流を一定に保つ定電流制御を実施する。
【0102】
実施の形態2に示す照明器具100Bおいては、実施の形態1で示す照明器具100Aの逆導通ダイオード16を使用しない。逆導通ダイオード16は蓄電池9から、電解コンデンサ6に電流を流す機能をもつ。照明器具100Bでは、充電回路4を定電流制御することによって、定電流回路8を不要としている。そして、蓄電池9と電解コンデンサ6が直接接続される構成であるため、逆導通ダイオード16が不要である。
【0103】
これによって、点灯時に逆導通ダイオード16で発生する損失を低減でき、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。また、消費電力を低減することによって、蓄電池9の放電容量を削減することができ、電池の放電容量の低減と電池本数の削減ができる。
【0104】
蓄電池9と光源13の間には、点灯回路10が接続される。点灯回路10は昇圧チョッパ回路であり、点灯用スイッチング素子15a、フライバックトランス14の2次巻線14b、整流素子10cを備える。フライバックトランス14の2次巻線14bの一端は、電解コンデンサ6の正極側端子と、蓄電池9の正極側端子に接続されている。フライバックトランス14の2次巻線14bの他端は、点灯用スイッチング素子15aのドレイン端子と、整流素子10cのアノード端子に接続されている。
【0105】
図10は、実施の形態2に係る照明器具100Bの充電回路4の動作をより詳細に説明する波形図である。
【0106】
図10には、充電用スイッチング素子4aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の1次巻線14aに流れる電流、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の2次巻線14bに流れる電流、蓄電池9を充電する電流、の波形が示されている。
図10の波形は交流電源1の半周期間の波形を示している。説明のため、充電用スイッチング素子4aのスイッチング周期Tsw1は交流電源1の半周期間に対して実際よりも長い周期で記載している。
【0107】
充電回路4が動作している場合、スイッチ17をオフすることで、整流素子10c、スイッチ17、フィルタコンデンサ11、光源13は導通しない。
【0108】
図10に示される充電回路4の詳しい動作は、
図4を参照しつつ説明した動作と同じなので、説明を省略する。充電用スイッチング素子4aがオン・オフ動作を繰り返し、充電回路4が動作している期間、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース間の電圧は点灯用スイッチング素子15aがオンする閾値電圧よりも低い電圧にし、オフ状態で維持する。
【0109】
2次巻線14bに流れる電流は電解コンデンサ6によって平滑化され、蓄電池9を充電する。2次巻線14bに流れる電流は充電用スイッチング素子4aのオン時間T1によって決まるため、蓄電池9を充電する電流が一定となるように、オン時間T1の長さを制御する。オン時間T1の長さによって制御する方式をオン時間制御と呼ぶことがある。また、スイッチング周期Tsw1に対するオン時間T1の長さをデューティと呼ぶことから、デューティ制御と呼ぶことがある。
【0110】
音鳴り防止のために、スイッチング周波数Fsw1は20kHzよりも高い周波数に設定し得る。また、充電用スイッチング素子4aとしてGaNのHEMTを使用すると、スイッチング周波数Fsw1を数MHzまで上昇させることができる。この場合、フライバックトランス14、フィルタコンデンサ3の容量を低減することができ、部品サイズを小型化できる。
【0111】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る照明器具100Cの充電回路、点灯回路、蓄電池、光源等の回路図である。
図11の照明器具100Cのうち、
図2に示す実施の形態1の照明器具100Aと同一又は対応する構成については、
図2で用いた符号と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0112】
実施の形態3に係る照明器具100Cは、充電用スイッチング素子4aと点灯用スイッチング素子15aを制御及び駆動する、制御回路18を備える。制御回路18は、演算部18a、駆動部18b、18c、フォトカプラ18d及び2次側制御電源19eを備える。
【0113】
演算部18aは、充電用スイッチング素子4aと点灯用スイッチング素子15aのスイッチング周期Tsw1とオン時間T1を決定し、駆動部18b、18cにスイッチング周期Tsw1、オン時間T1に関する情報を送信する。演算部18aの構成としては、市販のアナログICを組み合わせて構成することができるが、部品点数が増加し回路が複雑になる。そのため、マイコン又はCPUなどの演算装置を用い、ソフトウェアとして実現することで、回路構成を簡略化し部品点数を抑制することができる。
【0114】
駆動部18bは、演算部18aから送信されたスイッチング周期Tsw1、オン時間T1に基づいて、充電用スイッチング素子4aをオンオフ可能な電圧に変換して出力する。
【0115】
駆動部18cは、演算部18aから送信されたスイッチング周期Tsw1、オン時間T1に基づいて、フォトカプラ18dの1次側のダイオードをオン・オフ可能な電圧に変換して出力する。なお、演算部18aを用いてフォトカプラ18dの1次側のダイオードをオンオフ可能である場合には、駆動部18cを省略できる。
【0116】
フォトカプラ18dは、駆動部18cから送信された信号に基づいて、点灯用スイッチング素子15aをオン・オフ可能な電圧に変換して出力する。制御回路18は、充電回路4の1次側を基準電位として実装される。フォトカプラ18dは充電回路4によって絶縁された2次側の点灯用スイッチング素子15aに、信号を伝達する機能をもつ。充電用スイッチング素子4aと点灯用スイッチング素子15aを電気的に絶縁するための制御回路として、充電用スイッチング素子4aと点灯用スイッチング素子15aの少なくとも一方にフォトカプラを介して制御信号を送ることができる。
【0117】
図12を参照して、実施の形態3に係る照明器具100Cの充電回路4の動作をより詳細に説明する。
図12は、充電用スイッチング素子4aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の1次巻線14aに流れる電流、点灯用スイッチング素子15aのゲート―ソース端子間に入力されるオン信号、ドレイン―ソース端子間に印加されるドレイン電圧、フライバックトランス14の2次巻線14bに流れる電流、電解コンデンサ6の両端に出力される電圧、の波形を示す。
図12では交流電源1の半周期間の波形を示している。説明のため、充電用スイッチング素子4aのスイッチング周期Tsw1は交流電源1の半周期間に対して実際よりも長い周期で記載している。
【0118】
オン時間T1の期間において、充電用スイッチング素子4aのドレイン電圧は略0Vまで低下し、フィルタコンデンサ3、1次巻線14a、充電用スイッチング素子4aの電流経路が形成され、1次巻線14aに流れる電流が増加し、フライバックトランス14がエネルギを蓄える。充電用スイッチング素子4aをオフすると、1次巻線14aに流れる電流経路が遮断される。一方で、2次巻線14b、電解コンデンサ6、点灯用スイッチング素子15aの電流経路が形成され、2次巻線14bに電流が流れる。充電用スイッチング素子4aをオフした後、2次巻線14bに流れる電流は減少し、立下り時間T2が経過した時点で0Aとなる。2次巻線14bに流れる電流が0Aまで低下すると、充電用スイッチング素子4aのドレイン―ソース間の寄生容量、1次巻線14aのインダクタンス、フィルタコンデンサ3で共振が発生し、充電用スイッチング素子4aのドレイン電圧に振動が発生する。ドレイン電圧の振動は、経時的に減衰し、フィルタコンデンサ3の両端電圧に収束する。
【0119】
充電用スイッチング素子4aのオン時間T1の期間、点灯用スイッチング素子15aは、オフ状態を維持する。充電用スイッチング素子4aのオン時間T1の期間が終了し、立下り時間T2の期間が開始すると、点灯用スイッチング素子15aをオフからオンに切替え、2次巻線14bに流れる電流が0Aに低下するまでの期間、オン状態を維持する。これによって、2次巻線14bに流れる電流は、点灯用スイッチング素子15aの寄生ダイオードではなく、点灯用スイッチング素子15aのトランジスタ領域を流れる。一般には、同期整流と呼ばれる動作であり、点灯用スイッチング素子15aの寄生ダイオードよりも、トランジスタ領域の方が低損失であるため、点灯用スイッチング素子15aで発生する損失を低減することができ、近傍に配置されている電子部品の温度上昇を抑制でき、信頼性を向上させることができる。なお、点灯用スイッチング素子15aのオン状態を維持する期間は、充電用スイッチング素子4aをオンする期間と重複しなければよい。例えば、充電用スイッチング素子4aのオン時間T1の期間が終了した後、充電用スイッチング素子4aを再度オンする直前まで点灯用スイッチング素子15aをオン状態とすることもできる。
【0120】
上述したすべての制御は、実施の形態3で示した制御回路18又は他の制御回路によって実現され得る。
【符号の説明】
【0121】
1 交流電源、 2 整流回路、 3,11 フィルタコンデンサ、 4,4´ 充電回路、 4a 充電用スイッチング素子、 10a MOSFET、 14g,14h,14i,14j,14k,14l 配線端子、 15a 点灯用スイッチング素子、 4c,7 ダイオード、 10c 整流素子、 4d スナバダイオード、 4e スナバ抵抗、 4f スナバコンデンサ、 5,14 フライバックトランス、 5a,14a 1次巻線、 5b,14b 2次巻線、 6 電解コンデンサ、 8 定電流回路、 9 蓄電池、 10,10´ 点灯回路、 10b コイル、 12 点灯スイッチ、 13 光源、 16 逆導通ダイオード、 18 制御回路、 17 スイッチ、 18a 演算部、 18b,18c 駆動部、 18d フォトカプラ、 19e 2次側制御電源