(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/20 20060101AFI20230905BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20230905BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20230905BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G21/14
G03G21/00 384
G03G15/08 362
G03G15/08 390Z
(21)【出願番号】P 2019198611
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】山根 信司
(72)【発明者】
【氏名】江木 誠
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-052485(JP,A)
【文献】特開2019-128562(JP,A)
【文献】特開2006-251707(JP,A)
【文献】特開2019-090972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 21/14
G03G 21/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像装置と機外温度検出部と制御部とを備える画像形成装置であって、
前記現像装置は、
像担持体に形成された静電潜像に現像剤を付与して、前記静電潜像を可視像に現像する現像ローラーと、
前記現像剤を前記現像ローラーに沿って搬送しつつ撹拌する撹拌部材を有し、前記現像剤を前記現像ローラーに供給する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部の外壁面における前記現像ローラー及び前記撹拌部材を駆動する駆動入力部の周囲箇所に配置され、前記現像剤収容部の外壁面の温度を機内温度として検出する機内温度検出部と、を備え、
前記機外温度検出部は、当該画像形成装置の外部の温度を検出し、
前記制御部は、前記機内温度検出部が検出した機内温度が予め定められた第1閾値温度未満である場合に、連続印刷が可能な第1クーリングモードに設定してクーリング制御を行い、前記第1クーリングモードに設定されているときに前記機内温度検出部が検出した機内温度が前記第1閾値温度以上である期間taが最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合(但し、1分間における最大印刷枚数Pmax(枚/分)、最速画像形成周期Tm=60/Pmaxとする)に、当該機内温度検出部が検出した機内温度と前記機外温度検出部が検出した機外温度とで決定される現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う第2クーリングモードに設定してクーリング制御を行う画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2クーリングモードに設定されているときに、前記機内温度検出部が検出した機内温度が前記第1閾値温度よりも低い予め定められた第2閾値温度未満である期間tbが前記最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合に、前記第1クーリングモードに復帰させてクーリング制御を行う請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2クーリングモードでは、印刷要求に対して、予め定められた周期T毎に現像剤上限温度を超過しない範囲で設定された印刷可能時間tと印刷待機時間(T-t)をセットとする前記現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記印刷可能時間tにおいて前記現像装置を駆動させ、前記印刷待機時間(T-t)において前記現像装置を駆動させない請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、モーターと、前記モーターの回転を前記現像ローラー及び前記
撹拌部材に伝達する伝達状態と遮断する遮断状態とに切り換え可能なクラッチと、を備え、
前記制御部は、前記印刷可能時間tにおいて前記クラッチを伝達状態にして前記現像装置及び前記
撹拌部材を駆動させ、前記印刷待機時間(T-t)において前記クラッチを遮断状態にして前記現像装置及び前記
撹拌部材を駆動させない請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
当該画像形成装置の外部の空気を冷却風として取り込んで、この取り込んだ冷却風を前記現像ローラー表面に沿って流す冷却用ファンを備え、
前記制御部は、前記第2クーリングモードにおける前記印刷待機時間(T-t)において、前記冷却用ファンを、前記第1クーリングモード時の第1回転速度よりも大きい予め定められた第2回転速度で動作させる請求項
3乃至請求項5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
入力データである機内温度及び機外温度と出力データである前記現像駆動デューティ比との対応関係を示す参照テーブルを、予め記憶する記憶部を、更に備え、
前記制御部は、前記機内温度検出部が検出した機内温度と、前記機外温度検出部が検出した機外温度と、前記参照テーブルとを用いて、前記現像駆動デューティ比を特定する請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置を備える画像形成装置に関し、特に現像装置のクーリング制御に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の現像装置では、現像剤を撹拌しつつ搬送し、現像剤を、現像ローラーを介して像担持体の静電潜像に付与して、像担持体の静電潜像を可視像(現像剤の像)に現像している。例えば、画像形成装置において、連続印刷等により現像剤を担持搬送する現像装置が昇温した場合には、現像剤の熱劣化を防止するために、印刷動作を制限又は中断させて、現像装置の冷却が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像形成装置では、現像装置の内部又は周辺の温度を検知し、その検知温度が閾値温度以上になると、連続画像形成可能なページ数を所定ページ数以下に制限した間欠印刷動作モードとし、その後、間欠印刷動作モードにおいて検知温度が上記の閾値温度よりも低い解除温度未満になった場合に、連続画像形成可能なページ数の制限を解除している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、連続印刷可能なページ数と現像剤の昇温要因となる発熱量とが完全に比例せず、連続印刷可能なページ数に制限した場合であっても、現像剤の温度が閾値温度を超過し、現像剤の熱劣化を防止できないことがある。更に、現像装置の検知温度と現像剤が最も高温に曝される部分の温度とが乖離している場合は、現像剤の温度が現像剤上限温度を超えて、現像剤を熱劣化させる可能性が高まる。だからと言って、閾値温度を下げてしまうと、現像剤の熱劣化が低減されるが、印刷が必要以上に制限・中断されてしまい、利便性が著しく阻害されるため、閾値温度を下げることは好ましくない。
【0006】
また、近年の地球温暖化などの影響で、高温環境での使用事例が増加する一方で、環境規制に対応するために、現像剤の溶融粘度はより低温化している。このため、印刷が制限・中断されて利便性が阻害されるケースが増加することが予想される。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、現像剤の熱劣化を適切に低減しつつ、印刷の生産性の低下を極力回避して、利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、現像装置と機外温度検出部と制御部とを備える画像形成装置であって、前記現像装置は、像担持体に形成された静電潜像に現像剤を付与して、前記静電潜像を可視像に現像する現像ローラーと、前記現像剤を前記現像ローラーに沿って搬送しつつ撹拌する撹拌部材を有し、前記現像剤を前記現像ローラーに供給する現像剤収容部と、前記現像剤収容部の外壁面における前記現像ローラー及び前記撹拌部材を駆動する駆動入力部の周囲箇所に配置され、前記現像剤収容部の外壁面の温度を機内温度として検出する機内温度検出部と、を備え、前記機外温度検出部は、当該画像形成装置の外部の温度を検出し、前記制御部は、前記機内温度検出部が検出した機内温度が予め定められた第1閾値温度未満である場合に、連続印刷が可能な第1クーリングモードに設定してクーリング制御を行い、前記第1クーリングモードに設定されているときに前記機内温度検出部が検出した機内温度が前記第1閾値温度以上である期間taが最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合(但し、1分間における最大印刷枚数Pmax(枚/分)、最速画像形成周期Tm=60/Pmaxとする)に、当該機内温度検出部が検出した機内温度と前記機外温度検出部が検出した機外温度とで決定される現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う第2クーリングモードに設定してクーリング制御を行うものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤の熱劣化を適切に低減しつつ、印刷の生産性の低下を極力回避して、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】本実施形態の画像形成装置における感光体ドラム及び現像装置などを示す縦断面図である。
【
図3】現像装置の現像剤収容部を示す横断面図である。
【
図4】画像形成装置の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図4に示す駆動部の主要内部構成等を示す機能ブロック図である。
【
図6】現像駆動デューティ比を特定するための参照テーブルを示す図である。
【
図7】印刷可能時間と印刷待機時間との比で示される現像駆動デューティ比を説明するための図である。
【
図8】画像形成装置における現像装置のクーリング制御を示すフローチャートである。
【
図9】第1変形例における変更後の参照テーブルを示す図である。
【
図10】第3変形例における現像装置のクーリング制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明にかかる一実施形態の画像形成装置を示す断面図である。画像形成装置10は、画像読取部11と、画像形成部12とを備えている。
【0012】
画像読取部11は、原稿用紙の画像を光学的に読み取る撮像素子を有しており、この撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿用紙の画像を示す画像データが生成される。
【0013】
画像形成部12は、上記画像データによって示される画像を記録紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像を可視像(現像剤の像)に現像して、感光体ドラム4の表面の可視像を、中間転写ベルト5に転写する。これにより、カラーの可視像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーの可視像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー7の間のニップ域Nにおいて給紙部14から搬送路8を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写される。なお、感光体ドラム4は、特許請求の範囲における像担持体の一例となる。
【0014】
この後、定着装置15で記録紙Pが加熱及び加圧されて、記録紙P上の可視像が熱圧着により定着され、更に記録紙Pが排出ローラー16を通じて排出トレイ17に排出される。
【0015】
図2は、各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkにおける1組の感光体ドラム4及び現像装置22などを示す縦断面図である。また、
図3は、現像装置22の現像剤収容部31を示す横断面図である。
【0016】
図2に示すように各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bk毎に、感光体ドラム4、現像装置22、及び1次転写ローラー6などが設けられている。感光体ドラム4の周囲には、感光体ドラム4の表面を除電する除電部24、感光体ドラム4の表面に残留したトナーをクリーニングするクリーニング部25、感光体ドラム4の表面を均一に帯電させる帯電部26、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成する露光部23等が設けられている。現像装置22には、現像ローラー27、層規制部材28、現像剤を収容した現像剤収容部31、及び現像剤を循環搬送させる2本のスパイラルフィーダー32等が設けられている。なお、スパイラルフィーダー32は、特許請求の範囲における攪拌部材の一例となる。
【0017】
本実施形態では、現像装置22の現像剤収容部31に収容されている現像剤として、一成分磁性トナーを用いている。現像ローラー27は、アルミなどの金属からなるスリーブ、スリーブの内側に設けられた現像極及び層規制極等を有するマグネットなどを備えている。また、現像ローラー27のスリーブ表面には、現像剤の搬送を安定化させるための予め定められた粗さの凹凸が形成されている。
【0018】
層規制部材28は、現像ローラー27の表面の現像剤の層厚を規制する。具体的には、層規制部材28は、磁性ブレード及びマグネットで構成され、現像ローラー27内のマグネットの層規制極との間に磁場を生成し、現像ローラー27のスリーブとの隙間により該現像ローラー27の表面に現像剤の薄層を形成する。
【0019】
図2及び
図3に示すように現像剤収容部31は、現像ローラー27に対して並設されかつ隔壁29で仕切られた2本の供給搬送路31A及び還流搬送路31Bを有している。供給搬送路31Aと還流搬送路31Bをそれぞれの両端の連結路31C、31Dを通じて接続して、現像剤が循環する循環搬送路を形成している。供給搬送路31A及び還流搬送路31Bには、それぞれのスパイラルフィーダー32が設けられている。各スパイラルフィーダー32は、後述する
図4に示す駆動部47により矢印方向に回転駆動される。
【0020】
供給搬送路31Aにおいて、現像剤は、該供給搬送路31Aのスパイラルフィーダー32によって現像剤の搬送方向上流側から搬送方向下流側へと(現像ローラー27の一端側から他端側へと)矢印方向に搬送されつつ撹拌されて、現像ローラー27に供給され、一方の連結路31Cを通じて還流搬送路31Bへ送り出される。また、還流搬送路31Bにおいて、現像剤は、該還流搬送路31Bのスパイラルフィーダー32によって供給搬送路31Aでの搬送方向とは逆方向に搬送されつつ撹拌され、他方の連結路31Dを通じて供給搬送路31Aへと戻される。これにより、現像剤が循環搬送されながら現像ローラー27に供給される。
【0021】
現像剤収容部31には、現像剤の補給口(図示せず)が設けられており、この補給口を通じての現像剤の補給により現像剤収容部31に収容されている現像剤の量が維持される。
【0022】
現像ローラー27及び感光体ドラム4は、後述する
図4に示す駆動部47により矢印方向に回転駆動される。現像ローラー27のスリーブ表面には現像剤が供給され、層規制部材28により現像ローラー27のスリーブ表面に現像剤の薄層が形成され、現像ローラー27のスリーブ表面の現像剤が感光体ドラム4の表面に形成された静電潜像に付与されて、該感光体ドラム4の表面に可視像(現像剤の像)が形成される。
【0023】
次に、画像形成装置10の制御に係る構成について説明する。
図4は、画像形成装置10の主要内部構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように画像形成装置10は、画像読取部11、画像形成部12、表示部41、操作部42、機内温度検出部43、機外温度検出部49、記憶部44、冷却用ファン48、及び制御ユニット45などを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信を可能とされている。
【0024】
表示部41は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどの表示装置である。
【0025】
操作部42は、ユーザーにより入力操作される、テンキー、決定キー、スタートキーなどのハードキーを備えている。
【0026】
ここで、駆動部47について、
図5を用いてもう少し説明する。
図5は、
図4に示す駆動部の主要内部構成等を示す機能ブロック図である。駆動部47は、第1モーター47Aと、第1モーター47Aの回転を現像ローラー27及びスパイラルフィーダー32に伝達する伝達状態と遮断する遮断状態とに切り換え可能な第1クラッチ47Bと、第2モーター47Eと、第2モーター47Eの回転を感光体ドラム4に伝達する伝達状態と遮断する遮断状態とに切り換え可能な第2クラッチ47Fと、を備える。第1モーター47A、第2モーター47Eは、例えばステッピングモーターである。第1クラッチ47B、第2クラッチ47Fは、例えば電磁クラッチである。なお、第1モーター47Aは、特許請求の範囲におけるモーターの一例、第1クラッチ47Bは、特許請求の範囲におけるクラッチの一例となる。
【0027】
例えば、現像ローラー27は、第1モーター47Aによる回転力が、伝達状態の第1クラッチ47Bを介して当該現像ローラー27に伝達されることにより、矢印方向に回転駆動される。スパイラルフィーダー32は、
図3に示すように、現像剤収容部31の外壁面31Eにおいて回転可能に軸支されている。各スパイラルフィーダー32は、第1モーター47Aによる回転力が、伝達状態の第1クラッチ47Bを介して当該各スパイラルフィーダー32の軸部32Aに伝達されることにより、矢印方向に回転駆動される。感光体ドラム4は、第2モーター47Eによる回転力が、伝達状態の第2クラッチ47Fを介して当該感光体ドラム4に伝達されることにより、矢印方向に回転駆動される。
【0028】
機内温度検出部43は、現像剤の周辺の温度を検出する温度センサーであり、画像形成装置10の内部の予め定められた位置に配置されている。具体的には、機内温度検出部43は、
図3に示すように、現像剤収容部31の外壁面31Eにおける現像ローラー27及びスパイラルフィーダー32を駆動する駆動入力部(例えば、第1モーター47Aの回転が第1クラッチ47Bを介して伝達される入力ギアG1)の周囲箇所に配置されており、現像装置22の現像剤収容部31の外壁面31Eの温度を、画像形成装置10の機内温度Tiとして検出する。なお、入力ギアG1には、第1モーター47Aの回転力が第1クラッチ47Bを介して伝達される構成であるため、第1モーター47A及び第1クラッチ47Bからの熱が伝達されることから、現像剤収容部31のうちで最も温度が高い箇所となっている。この機内温度Tiは、現像装置22の現像剤収容部31に収容されている現像剤の温度に影響するので、機内温度Tiが高くなるほど現像剤の温度も高くなる。
【0029】
なお、現像剤の昇温原因としては、例えば、第1モーター47A又は第1クラッチ47Bによる熱が、入力ギアG1を含むギア機構、スパイラルフィーダー32の軸部32Aを介して当該スパイラルフィーダー32及び現像ローラー27に伝達されることなどが挙げられる。
【0030】
機外温度検出部49は、画像形成装置10の外部の温度を検出する温度センサーであり、画像形成装置10の外部の予め定められた位置に配置されている。例えば、機外温度検出部49は、画像形成装置10の筐体10Aの外面の予め定められた箇所(例えば、筐体10Aの上記吸込口の周囲箇所など)に配置されており、画像形成装置10の外部の温度を、画像形成装置10の機外温度Toとして検出する。
【0031】
冷却用ファン48は、画像形成装置10の筐体10Aに形成された図示しない吸込口から当該画像形成装置10の外部の空気を冷却風として取り込み、その取り込んだ冷却風を
図2に示す現像ローラー27のスリーブと感光体ドラム4の間のスペースSP付近にかつ現像ローラー27のスリーブ及び感光体ドラム4の長手方向に沿って流通させて、現像ローラー27のスリーブ及び感光体ドラム4を冷却するためのファンである。冷却風は、画像形成装置10の筐体10Aに形成された図示しない排気口から排気される。冷却風は、現像ローラー27のスリーブ表面及び感光体ドラム4の表面に担持されている現像剤が吹き飛ばされない程度の微風とすることが可能である。例えば、冷却用ファン48は、予め定められた第1回転速度で回転することで、上記の微風となる。
【0032】
記憶部44は、RAM、大容量のHDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置であり、各種のデータやプログラムを記憶している。記憶部44は、
図6に示すように、現像装置22の現像駆動デューティ比を特定するための参照テーブルと、後述する第1閾値温度Tf及び第2閾値温度Tsとを予め記憶している。
図6は、現像駆動デューティ比を特定するための参照テーブルを示す図である。参照テーブルは、入力データである機内温度Ti及び機外温度Toと出力データである現像駆動デューティ比との対応関係を示すデータテーブルであり、例えば、ルックアップテーブルである。参照テーブルには、複数の機内温度Ti及び複数の機外温度Toが記憶されると共に、機内温度Tiと機外温度Toとで一義的に決定される現像駆動デューティ比が、機内温度Tiと機外温度Toとの組み合わせごとに対応して記憶されている。例えば、
図6に示すように、機内温度Tiが39℃であり、機外温度Toが30℃以上35℃未満である場合には、現像駆動デューティ比が50%に特定される。現像駆動デューティ比は、現像剤上限温度を超過しない範囲で予め設定されたものである。なお、参照テーブルにおける機外温度Toは、1℃刻みであってもよい。
【0033】
図7は、印刷可能時間と印刷待機時間との比で示される現像駆動デューティ比を説明するための図である。現像駆動デューティ比は、予め定められた周期T(例えば60秒)において印刷可能時間tが占める割合である。例えば、印刷可能時間tが12秒であれば、現像駆動デューティ比は20%となる。
【0034】
制御ユニット45は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。この制御ユニット45は、上記のROM又は記憶部44に記憶された制御プログラムが上記プロセッサーで実行されることにより、制御部46として機能する。
【0035】
制御ユニット45は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。また、制御ユニット45は、画像読取部11、画像形成部12、表示部41、操作部42、機内温度検出部43、機外温度検出部49、記憶部44、及び冷却用ファン48などと接続されており、これらの構成要素の制御や、各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0036】
制御部46は、種々の処理を実行する処理部としての役割を果し、また表示部41を制御する機能を有する。
【0037】
また、制御部46は、画像形成部12における駆動部47を制御して、現像ローラー27及び各スパイラルフィーダー32と感光体ドラム4等を個別に回転駆動する。
【0038】
更に、制御部46は、冷却用ファン48を制御して、冷却風を現像ローラー27のスリーブ及び感光体ドラム4の長手方向に沿って流通させる。
【0039】
制御部46は、現像装置22を冷却するためのクーリングモードとして、第1クーリングモード又は第2クーリングモードを設定する。
【0040】
具体的には、制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが予め定められた第1閾値温度Tf(例えば、Tf=39℃)未満である場合(Ti<Tf)に、連続印刷が可能な第1クーリングモードに設定してクーリング制御を行う。
【0041】
また、制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上である場合(Ti≧Tf)に、参照テーブルを用いて、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと機外温度検出部49が検出した機外温度Toとで決定される現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う第2クーリングモードに設定してクーリング制御を行う。具体的には、制御部46は、第2クーリングモードでは、印刷要求に対して、予め定められた周期T毎に現像剤上限温度を超過しない範囲で設定された印刷可能時間tと印刷待機時間(T-t)をセットとする現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う。例えば、制御部46は、
図6に示すように、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが39℃である場合、機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上であると判定し、機内温度Tiが39℃であり、機外温度Toが32℃である場合には、参照テーブルを用いて、現像駆動デューティ比が50%であると特定する。
【0042】
また、制御部46は、印刷可能時間tにおいて現像装置22を駆動させ、印刷待機時間(T-t)において現像装置22を駆動させない。具体的には、制御部46は、印刷可能時間tにおいて第1クラッチ47Bを伝達状態にして現像ローラー27及び各スパイラルフィーダー32を駆動させ、且つ、第2クラッチ47Fを伝達状態にして感光体ドラム4を駆動させ、印刷待機時間(T-t)において第1クラッチ47B及び第2クラッチ47Fを遮断状態にして現像ローラー27、各スパイラルフィーダー32及び感光体ドラム4を駆動させない。
【0043】
制御部46は、第2クーリングモードに設定されているときに、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tfよりも低い予め定められた第2閾値温度Ts(例えば、Ts=38.5℃)未満である場合に、第1クーリングモードに復帰させてクーリング制御を行う。
【0044】
次に、画像形成装置10における現像装置22のクーリング制御について、
図8に示すフローチャートを参照して説明する。
図8は、画像形成装置における現像装置のクーリング制御を示すフローチャートである。
【0045】
まず、制御部46は、機内温度検出部43によって検出された現像装置22の現像剤収容部31の外壁面31Eの温度を画像形成装置10の機内温度Tiとして取得し、この機内温度Tiが予め設定されたファン動作閾値温度T1(例えば、35℃)以上であるか否かを判定する(S101)。制御部46は、機内温度Tiがファン動作閾値温度T1以上であると判定すると(S101「Yes」)、冷却用ファン48を駆動させる(S102)。例えば、制御部46は、冷却用ファン48を上記の予め定められた第1回転速度で回転させる。一方、制御部46は、機内温度Tiがファン動作閾値温度T1未満であると判定すると(S101「No」)、冷却用ファン48を停止させる(S103)。
【0046】
制御部46は、可視像を記録紙に記録する印刷ジョブ(印刷要求)の有無を判定する(S104)。制御部46は、印刷ジョブが無いと判定すると(S104「No」)、本処理を終了させる。制御部46は、印刷ジョブがあると判定すると(S104「Yes」)、機内温度検出部43によって検出された機内温度Tiが予め設定された第1閾値温度Tf以上であるか否かを判定する(S105)。
【0047】
例えば、制御部46は、機内温度Tiが第1閾値温度Tf未満であると判定すると(S105「Yes」)、第1クーリングモードを設定する(S106)。制御部46は、印刷ジョブについて連続印刷を画像形成部12に実行させる(S107)。本実施形態では、第1クーリングモード及び第2クーリングモードにおいて、機内温度Tiがファン動作閾値温度T1以上である場合に、冷却用ファン48が第1回転速度で回転することで、連続印刷中においても上記の微風が現像ローラー27のスリーブ及び感光体ドラム4の長手方向に沿って流され、現像ローラー27のスリーブ及び感光体ドラム4を冷却することができる。
【0048】
制御部46は、印刷ジョブの終了か否かを判定する(S108)。制御部46は、印刷ジョブの終了ではない場合(S108「No」)、すなわち、印刷ジョブについて連続印刷が終了していない場合、S105の処理に戻す。一方、制御部46は、印刷ジョブが無い、すなわち連続印刷が終了したと判定すると(S108「Yes」)、本処理を終了させる。
【0049】
ところで、上記のS105の処理において、制御部46は、機内温度Tiが第1閾値温度Tf未満でない、言い換えれば第1閾値温度Tf以上であると判定すると(S105「No」)、現像剤収容部31の現像剤の温度が高いとみなし、第2クーリングモードを設定する(S109)。続いて、制御部46は、機外温度検出部49が検出した温度を、画像形成装置10の機外温度Toとして取得する(S110)。そして、制御部46は、検出された機内温度Ti及び機外温度Toと
図6に示す参照テーブルとを用いて、検出された機内温度Ti及び機外温度Toによる現像装置22の現像駆動デューティ比を特定する(S111)。例えば、制御部46は、
図6に示すように、機内温度Tiが39℃であり、機外温度Toが30℃以上35℃未満である場合には、現像駆動デューティ比を50%に特定する。
【0050】
制御部46は、
図7に示すように、現時点が印刷可能時間であるか否かを判定し(S112)、印刷可能時間であると判定すると(S112「Yes」)、特定された現像駆動デューティ比(ここでは50%)で間欠印刷を現像装置22などに実行させる(S113)。なお、制御部46は、印刷可能時間でないと判定すると(S112「No」)、S112の処理に戻る。
【0051】
制御部46は、印刷ジョブの終了か否かを判定する(S114)。制御部46は、印刷ジョブの終了ではない場合(S114「No」)、すなわち、印刷ジョブについて間欠印刷が終了していない場合、機内温度Tiが第2閾値温度Ts未満であるか否かを判定する(S115)。制御部46は、機内温度Tiが第2閾値温度Ts未満であると判定すると(S115「Yes」)、S106の処理に進む。一方、制御部46は、機内温度Tiが第2閾値温度Ts未満でないと判定すると(S115「No」)、S110の処理に進む。一方、S114の処理において、制御部46は、印刷ジョブが無い、すなわち間欠印刷が終了したと判定すると(S114「Yes」)、本処理を終了させる。
【0052】
このように本実施形態の画像形成装置10によれば、現像剤収容部31の外壁面31Eに、駆動源(例えば第1モーター47A及び第1クラッチ47Bの少なくとも一方)からの動力入力部(例えば入力ギアG1)の温度が他の箇所よりも高温であり、かかる箇所の温度を機内温度Tiとして機内温度検出部43が検出するので、現像剤が最も高温に曝される部分の温度又はその近傍の温度を検出でき、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと、現像剤が最も高温に曝される部分の温度との乖離を低減できる。また、制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上である場合に、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと機外温度検出部49が検出した機外温度Toとで決定される現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う第2クーリングモードに設定してクーリング制御を行うので、現像剤の性能を維持し、画像品質を保証するための現像剤上限温度以内に現像温度を抑制でき、現像剤の熱劣化を適切に低減できる。このため、現像剤の劣化による画像不良や画像形成装置の損傷を防止できる。また、高温環境でも現像剤上限温度付近まで印刷を許可できるため、印刷の生産性の低下を極力回避して、利便性を向上させることができる。
【0053】
また、制御部46は、第2クーリングモードに設定されているときに、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tfよりも低い第2閾値温度Ts未満である場合に、第1クーリングモードに復帰させてクーリング制御を行うので、第1閾値温度Tfのみで第1クーリングモードに復帰させる構成に比べて、不安定なモード移行を低減することができ、第2クーリングモードから第1クーリングモードに復帰させる際における印刷動作挙動を低減することができる。
【0054】
また、制御部46は、第2クーリングモードでは、印刷要求に対して、予め定められた周期T毎に現像剤上限温度を超過しない範囲で設定された印刷可能時間tと印刷待機時間(T-t)をセットとする現像駆動デューティ比で間欠印刷を行うので、現像剤上限温度以内に現像温度を抑制でき、現像剤の熱劣化を適切に低減できる。
【0055】
また、制御部46は、印刷可能時間tにおいて現像装置22を駆動させ、印刷待機時間(T-t)において現像装置22を駆動させないので、印刷待機時間(T-t)において現像装置22が駆動することによる発熱を防止できる。このため、印刷待機時間(T-t)におけるクーリング効果を向上させることができる。
【0056】
また、制御部46は、印刷可能時間tにおいて第1クラッチ47Bを伝達状態にして現像装置22及びスパイラルフィーダー32を駆動させ、印刷待機時間(T-t)において第1クラッチ47Bを遮断状態にして現像装置22及びスパイラルフィーダー32を駆動させないので、印刷待機時間(T-t)において現像ローラー及びスパイラルフィーダー32が駆動することによる発熱を防止できる。このため、印刷待機時間(T-t)におけるクーリング効果を向上させることができる。
【0057】
また、記憶部44は、入力データである機内温度Ti及び機外温度Toと出力データである現像駆動デューティ比との対応関係を示す参照テーブルを、予め記憶する。制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと、機外温度検出部49が検出した機外温度Toと、記憶部44が記憶する参照テーブルとを用いて、現像駆動デューティ比を特定する。これにより、現像駆動デューティ比を好適に特定することができる。
【0058】
上記実施形態では、機内温度検出部43は、
図3に示すように、現像剤収容部31の外壁面31Eにおける、現像ローラー27及びスパイラルフィーダー32を駆動する駆動入力部(例えば、第1モーター47Aの回転が第1クラッチ47Bを介して伝達される入力ギアG1)の周囲箇所に配置され、現像剤収容部31の外壁面31Eの温度を、画像形成装置10の機内温度Tiとして検出するとしているが、これに限定されない。機内温度検出部43は、
図3に破線で示す箇所、すなわち、現像剤収容部31の内壁面31Fにおける、現像ローラー27及びスパイラルフィーダー32を駆動する駆動入力部(例えば、第1モーター47Aの回転が第1クラッチ47Bを介して伝達される入力ギアG1)の周囲箇所に配置され、現像剤収容部31の内壁面31Fの温度を機内温度Tiとして検出するとしてもよい。また、機内温度検出部43は、現像剤収容部31の内壁面31Fにおける現像ローラー27の支持箇所に配置され、現像ローラー27のスリーブの表面温度を機内温度Tiとして検出するとしてもよい。これらの場合には、現像剤収容部31の内壁面31Fにおけるスパイラルフィーダー32の支持箇所の周囲箇所又は現像ローラー27の支持箇所の周囲箇所の温度が他の箇所よりも高温であり、かかる箇所の温度を機内温度検出部43が検出するので、現像剤が最も高温に曝される部分の温度又はその近傍の温度を検出でき、機内温度検出部43が検出した機内温度と、現像剤が最も高温に曝される部分の温度との乖離を低減できる。
【0059】
<第1変形例>
第1変形例の画像形成装置10は、管理者による参照テーブルの設定値の変更を受け付け可能とするものである。具体的には、操作部42は、管理者により入力操作がされる。管理者は、例えば、画像形成装置10の設定変更の権限を有するサービスマン、監督者などである。記憶部44は、管理者のみが知るパスワードなどの管理者確認情報を予め記憶している。制御部46は、操作部42に対する入力情報(例えば氏名及びパスワード)と、記憶部44が記憶するパスワード(例えば氏名及び認証用パスワード)とが一致する場合に管理者と判定する。
【0060】
そして、制御部46は、管理者であると判定された場合に、操作部42に対して参照テーブルの設定値の変更操作がされると、参照テーブルとは別に変更後の参照テーブルを記憶部44に記憶させる。
図9は、第1変形例における変更後の参照テーブルを示す図である。変更後の参照テーブルでは、機内温度Tiが39℃で、かつ、機外温度Toが25℃以上40℃未満の場合の3つの現像駆動デューティ比と、機内温度Tiが40℃で、かつ、機外温度Toが25℃以上40℃未満の場合の3つの現像駆動デューティ比とが変更されている。なお、第1閾値温度Tf、第2閾値温度Tsの設定値を変更してもよい。
【0061】
そして、制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと、機外温度検出部49が検出した機外温度Toと、
図9に示す変更後の参照テーブルとを用いて、現像駆動デューティ比を特定する。
【0062】
これにより、管理者により変更後の参照テーブルを記憶部44に追加することができ、変更後の参照テーブルから現像駆動デューティ比を好適に特定することができる。
【0063】
なお、画像形成装置10は、複数種類の参照テーブルのうちから1つの参照テーブルを選択することが可能な構成であってもよい。例えば、記憶部44は、画像形成装置10の使用環境に対応する複数種類の参照テーブルとして、高温環境用参照テーブル、中温環境用参照テーブル及び低温環境用参照テーブルを予め記憶している。そして、制御部46は、管理者であると判定された場合に、操作部42に対して参照テーブルの選択操作がされると、当該選択操作された参照テーブルを有効な参照テーブルに登録し、当該登録した参照テーブルと機内温度Tiと機外温度Toとを用いて、現像駆動デューティ比を特定する。また、制御部46は、管理者が入力した当該画像形成装置10の使用環境温度又は機外温度検出部49が検出した機外温度Toが対応する参照テーブルを、複数種類の参照テーブルのうちから選択する。例えば、制御部46は、管理者が入力した当該画像形成装置10の使用環境温度が「高温」と入力された場合、「高温」に対応する高温環境用参照テーブルを、複数種類の参照テーブルのうちから選択する。これにより、画像形成装置10の使用環境に適した参照テーブルを選択することができる。
【0064】
<第2変形例>
上記実施形態では、制御部46は、
図8に示すS105の処理において、機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上なると、直ちに第1クーリングモードから第2クーリングモードに移行させ、S115の処理において、機内温度Tiが第2閾値温度Ts未満なると、直ちに第2クーリングモードから第1クーリングモードに復帰させている。これに対して、第2変形例の画像形成装置10では、第1クーリングモードにおいて機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上なった期間が、記録紙1枚印刷するのに必要な時間以上継続した場合に、第1クーリングモードから第2クーリングモードに移行させ、第2クーリングモードにおいて機内温度Tiが第2閾値温度Ts未満なった期間が、記録紙1枚印刷するのに必要な時間以上継続した場合に、第2クーリングモードから第1クーリングモードに復帰させている。
【0065】
制御部46は、
図8に示すS105の処理において、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上である期間taが最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合(但し、1分間における最大印刷枚数Pmax(枚/分)、最速画像形成周期Tm=60/Pmaxとする)に(S105「No」)、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと機外温度検出部49が検出した機外温度Toとで決定される現像駆動デューティ比で間欠印刷を行う第2クーリングモードに設定してクーリング制御を行う。例えば、画像形成装置10の印刷能力が40枚/分、つまり、40枚機である場合には、1分間における最大印刷枚数Pmax=40(枚/分)であり、最速画像形成周期Tmは、Tm=60/Pmaxの式より、Tm=60/40=1.5秒となるため、期間taが1.5秒以上となると、第2クーリングモードに設定される。
【0066】
上記の構成によれば、第1クーリングモードに設定されているときに、機内温度Tiが第1閾値温度Tf以上である期間taが、最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合、つまり、記録紙1枚印刷するのに必要な時間以上継続した場合に(S105「No」)、第1クーリングモードから第2クーリングモードに移行する(S109)ので、不安定なモード移行を防止することができ、第1クーリングモードから第2クーリングモードへの移行の際における印刷動作挙動を安定化させることができる。
【0067】
また、制御部46は、第2クーリングモードに設定されているときに、具体的には、
図8に示すS115の処理において、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tfよりも低い予め定められた第2閾値温度Ts未満である期間tbが最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合に(S115「Yes」)、第1クーリングモードに復帰させてクーリング制御を行う。例えば、画像形成装置10が上記の40枚機である場合には、期間tbが1.5秒以上となると、第1クーリングモードに復帰される。
【0068】
上記の構成によれば、第2クーリングモードに設定されているときに、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiが第1閾値温度Tfよりも低い第2閾値温度Ts未満である期間tbが最速画像形成周期Tm(秒)以上継続した場合に(S115「Yes」)、第1クーリングモードに復帰させて(S106)、クーリング制御を行うので、不安定なモード移行を防止することができ、第2クーリングモードから第1クーリングモードに復帰させる際における印刷動作挙動を安定化させることができる。
【0069】
上記第2変形例との比較のために、上記第2変形例と同じ構成の画像形成装置10において、機内温度検知時間をサンプリング周期1秒、つまり、最速画像形成周期Tm(秒)を、記録紙1枚印刷するのに必要な時間(=1.5秒)よりも少ない時間である1秒とした場合には、第1クーリングモードと第2クーリングモードとの間の状態遷移が頻繁に行われるため、不規則な印刷に伴う騒音等の不快感をユーザーに与えることになることがわかった。
【0070】
また、上記の実施形態及び各変形例では、
図6に示す参照テーブルを用いているが、現像駆動デューティ比を算出するための関係式を用いるようにしてもよい。例えば、記憶部44は、入力データである機内温度Ti及び機外温度Toを用いて現像駆動デューティ比を算出する関係式を予め記憶する。制御部46は、機内温度検出部43が検出した機内温度Tiと、機外温度検出部49が検出した機外温度Toと、前記関係式とを用いて、現像駆動デューティ比を算出する。この場合にも、現像駆動デューティ比を好適に算出することができる。
【0071】
また、上記の実施形態及び各変形例では、
図5に示す駆動部47は、第1クラッチ47B、第2クラッチ47Fを備えているが、クラッチ無しの構成としてもよい。この場合には、制御部46は、印刷待機時間(T-t)において第1モーター47A、第2モーター47Eの回転を停止させればよい。
【0072】
<第3変形例>
上記実施形態では、制御部46は、第1クーリングモード及び第2クーリングモードにおいて、機内温度Tiがファン動作閾値温度T1以上である場合に、冷却用ファン48が第1回転速度で回転するとしているが、これに限定されない。第3変形例における画像形成装置10の制御部46は、第2クーリングモードにおける印刷待機時間(T-t)において、冷却用ファン48を、第1クーリングモード時の第1回転速度よりも大きい予め定められた第2回転速度で動作させる。
【0073】
図10は、第3変形例における現像装置のクーリング制御を示すフローチャートである。第3変形例では、
図10に示すS121~S125が上記実施形態の
図8に示すフローチャートと異なるため、S121~S125について説明する。
【0074】
制御部46は、
図10に示すように、S111の処理後、冷却用ファン48を第1回転速度で回転させる(S121)。制御部46は、上記のS111の処理において特定された現像駆動デューティ比で間欠印刷を現像装置22などに実行させる(S122)。すなわち、
図7に示す印刷可能時間において、制御部46は、冷却用ファン48を第1回転速度で回転させると共に、特定された現像駆動デューティ比で間欠印刷を現像装置22などに実行させる。制御部46は、現時点が印刷可能時間であるか否かを判定し(S123)、印刷可能時間であると判定すると(S123「Yes」)、S123の処理に戻る。一方、制御部46は、印刷可能時間でないと判定すると(S123「No」)、冷却用ファン48を第2回転速度で回転させる(S124)。すなわち、
図7に示す印刷待機時間において、制御部46は、冷却用ファン48を第2回転速度で回転させる。
【0075】
そして、制御部46は、印刷待機時間であると判定すると(S125「Yes」)、S124の処理に戻り、冷却用ファン48の第2回転速度での回転を継続する。一方、制御部46は、印刷待機時間でないと判定すると(S125「No」)、つまり、
図7に示すように、印刷待機時間が終了すると、印刷ジョブの終了か否かを判定する(S114)。S114以降の処理については上記実施形態の場合と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0076】
第3変形例によれば、制御部46は、第2クーリングモードにおける印刷待機時間(T-t)において、冷却用ファン48を、第1クーリングモード時の第1回転速度よりも大きい予め定められた第2回転速度で動作させるので、印刷待機時間(T-t)におけるクーリング効果を更に向上させることができる。
【0077】
また、冷却用ファン48は、第1回転速度よりも大きい予め定められた第2回転速度で回転することで、上記の微風よりも強い風を供給でき、クーリング効果が高まる。
【0078】
また、現像剤収容部31に収容されている現像剤として、一成分磁性トナーなどの一成分の現像剤を例示しているが、トナーとキャリアを混合してなる二成分の現像剤であっても、本発明を適用できる。
【0079】
また、上記実施形態などでは、本発明の画像形成装置の一実施形態として複合機を例示しているが、これは一例に過ぎず、コピー機、プリンター、ファクシミリ装置等であってもよい。
【0080】
また、
図1乃至
図10を用いて説明した上記実施形態の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0081】
4 感光体ドラム(像担持体)
10 画像形成装置
22 現像装置
27 現像ローラー
31 現像剤収容部
32 スパイラルフィーダー(攪拌部材)
41 表示部
42 操作部
43 機内温度検出部
44 記憶部
46 制御部
47A 第1モーター
47B 第1クラッチ
48 冷却用ファン
49 機外温度検出部