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特許7342650位置推定装置、位置推定方法及び位置推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】位置推定装置、位置推定方法及び位置推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
G01S5/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019212123
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021085660
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】三宅 史朗
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-281793(JP,A)
【文献】特開2006-071516(JP,A)
【文献】特開2016-048205(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2192421(EP,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1650077(KR,B1)
【文献】特開2012-202747(JP,A)
【文献】国際公開第2006/132003(WO,A1)
【文献】特開2018-136209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得する取得部と、
前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定する推定部と、
少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する補正部と、
を備える、位置推定装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記推定された発信機の位置と前記上位4番目の受信信号強度を取得した受信機の位置とを結ぶ補正直線に沿った方向に、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項1に記載の位置推定装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記上位1番目から3番目の受信信号強度を取得した受信機のうち前記補正直線を介して対向する2つの受信機間を結ぶ連結線と、前記補正直線との交点を、前記補正の上限の位置として、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項2に記載の位置推定装置。
【請求項4】
前記補正部は、前記上位1番目から3番目の受信信号強度を取得した受信機のうち、前記推定された発信機の位置を介して前記上位4番目の受信信号強度を取得した受信機と対向する受信機の受信信号強度と、前記上位4番目の受信信号強度との差に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の位置推定装置。
【請求項5】
前記推定部は、上位1番目から3番目の受信信号強度のそれぞれについて、前記受信信号強度を取得した受信機の位置を中心とし、前記受信信号強度に基づく推定距離を半径とする第1から第3の推定円が重なる場合、前記第1から第3の推定円が重なる重複領域内に前記発信機の3次元位置を推定し、
前記補正部は、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記重複領域内で、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の位置推定装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記上位4番目の受信信号強度を取得した受信機の位置を中心とし、前記上位4番目の受信信号強度に基づく推定距離を半径とする第4の推定円の円周と前記重複領域とが重なる場合、前記重複領域のうち前記第4の推定円の中で、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項5に記載の位置推定装置。
【請求項7】
前記補正部は、前記上位4番目の受信信号強度を取得した受信機の位置を中心とし、前記上位4番目の受信信号強度に基づく推定距離を半径とする第4の推定円の円周と前記重複領域とが重ならない場合、前記重複領域内で、前記第4の推定円の円周に近づくように、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項5に記載の位置推定装置。
【請求項8】
前記推定部は、上位1番目から3番目の受信信号強度のそれぞれについて、前記受信信号強度を取得した受信機の位置を中心とし、前記受信信号強度に基づく推定距離を半径とする第1から第3の推定円が重ならない場合、前記上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定し、
前記補正部は、前記上位4番目の受信信号強度を取得した受信機の位置を中心とし、前記上位4番目の受信信号強度に基づく推定距離を半径とする第4の推定円と前記推定された発信機の位置とが重ならない場合、前記第4の推定円に近づくように、前記推定された発信機の位置を補正する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の位置推定装置。
【請求項9】
発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得し、
前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定し、
少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する、
位置推定方法。
【請求項10】
発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得し、
前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定し、
少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する、
処理をコンピュータに実行させるための位置推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置推定装置、位置推定方法及び位置推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の位置を推定する位置推定システムの利用が広がっている。位置推定システムとして、GPS(Global Positioning System)衛星を使用して屋外の位置情報を算出するシステムの他に、GPS衛星の電波が受信できない屋内の位置情報を入手するため、Bluetooth(登録商標)や無線LAN(Local Area Network)信号を用いるシステムが実現されている。
【0003】
これらのシステムでは、受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に基づいて位置を推定する3点測位法が用いられている。関連する技術として、例えば、特許文献1や2が知られている。特許文献1や2などの関連する技術では、複数の受信機を設置した環境において発信機の発信信号を受信し、各受信機が受信した受信信号の信号強度から発信機の位置を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-71516号公報
【文献】特開2016-48205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように関連する技術では、3点測位法により、3点の位置に設置された受信機が受信する信号の信号強度に基づいて発信機の位置を推定する。しかしながら、関連する技術では、発信機と受信機間の環境等によって位置の算出に誤差が生じるため、精度よく位置を推定することが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得する取得部と、前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定する推定部と、少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する補正部と、を備える、位置推定装置を提供する。
【0007】
本発明は、発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得し、前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定し、少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する、位置推定方法を提供する。
【0008】
本発明は、発信機から発信された無線信号の受信信号強度を複数の受信機から取得し、前記取得された受信信号強度のうち上位1番目から3番目の受信信号強度に基づいて、前記発信機の位置を推定し、少なくとも前記上位1番目から3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と上位4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、前記上位4番目の受信信号強度に基づいて、前記推定された発信機の位置を補正する、処理をコンピュータに実行させるための位置推定プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、位置の推定精度を向上することが可能な位置推定装置、位置推定方法及び位置推定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る位置推定システムの構成例を示す構成図である。
図2】実施の形態1に係る受信機の設置例を示す部屋の斜視図である。
図3】実施の形態1に係る受信機の設置例を示す部屋の平面図である。
図4】実施の形態1に係る位置情報サーバにおける位置情報演算部の構成例を示す構成図である。
図5】実施の形態1に係る位置推定方法の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る位置補正方法の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る位置補正方法を説明するための図である。
図8】実施の形態1に係る位置補正方法を説明するための図である。
図9】実施の形態1に係る位置補正方法を説明するための図である。
図10】実施の形態2に係る位置推定方法の例を示すフローチャートである。
図11】実施の形態2に係る位置補正方法の例を示すフローチャートである。
図12】実施の形態2に係る位置補正方法の例を示すフローチャートである。
図13】実施の形態2に係る位置推定方法を説明するための図である。
図14】実施の形態2に係る位置補正方法を説明するための図である。
図15】実施の形態2に係る位置補正方法を説明するための図である。
図16】実施の形態2に係る位置補正方法を説明するための図である。
図17】実施の形態2に係る位置推定方法を説明するための図である。
図18】実施の形態2に係る位置補正方法を説明するための図である。
図19】実施の形態2に係る位置補正方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図面においては、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態に係る位置推定システムの構成例を示す構成図であり、図2は、受信機の設置例を示す部屋の斜視図であり、図3は、図2の設置例を部屋の天井側から見た平面図である。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態に係る位置推定システム1は、発信機2、複数の受信機3、位置情報サーバ10を備える。位置推定システム1は、発信機2が送信するビーコン信号を用いて、発信機2の位置を測定するシステムである。例えば、ビーコン信号は、Bluetooth Low Energy(BLE)のiBeacon(登録商標)などである。なお、ビーコン信号は、Bluetoothに限らず、無線LAN等のその他の無線信号でもよい。
【0014】
図2及び図3の例では、4つの受信機3a~3dが、部屋5の天井の角部付近にそれぞれ設置されている。平面視で四角形の頂点の位置に、受信機3a~3dが設置されているとも言える。受信機3a~3dにより構成される四角形は、正方形を含む長方形でもよいし、その他の任意の四角形でもよい。受信機3a~3dに囲まれた部屋5の中の3次元空間が位置測定領域となる。受信機3a~3dが、発信機2から受信するビーコン信号の信号強度を測定し、その信号強度に基づいて、部屋5の位置測定領域の中で、3点測位法により発信機2の位置を推定する。この例では、4つの受信機3a~3dを示しているが、位置測定領域を囲むように5つ以上の受信機3を配置してもよい。
【0015】
なお、複数の受信機3は、部屋の床や壁など任意の位置に配置してもよいが、発信機2からのビーコン信号が障害物によって遮られることを避けるために、天井のような高い場所に設置することが好ましい。また、この例では、屋内に受信機3を設置しているが、屋内に限らず、屋外に受信機3を設置し、屋外で発信機2の位置を推定してもよい。
【0016】
発信機2は、位置測定のためのビーコン信号を発信する発信機であり、位置測定対象の機器である。発信機2は、ビーコン送信部21、CPU(Central Processing Unit)22、記憶部23、電源24を備える。ビーコン送信部21は、BLE等の通信規格にしたがってビーコン信号を無線送信する。ビーコン送信部21は、発信機2を識別するID情報を含むビーコン信号を、定期的に周囲へブロードキャストする。
【0017】
CPU22は、発信機2の各部を制御する制御部である。CPU22は、ビーコン信号の送信タイミングや送信電力等を制御する。記憶部23は、発信機2の動作に必要な情報を記憶する記憶部である。記憶部23には、ビーコン信号に含まれる発信機2のID情報等が記憶されている。電源24は、発信機2が動作するためのバッテリ電源等である。電源24は、発信機2に内蔵されていてもよいし、外部から供給されてもよい。
【0018】
発信機2は、その他、必要に応じて、発信機2の向きを検出する地磁気センサーや、GPS信号を受信するGPS受信部、ユーザに情報を表示する表示部、暗号化/復号化のためのキー処理部等を備えてもよい。
【0019】
受信機3は、発信機2からビーコン信号を受信する受信機であり、受信したビーコン信号の受信信号強度を測定し出力する機器である。受信機3は、ビーコン受信部31、CPU32、Ethernet(登録商標)送受信部33、電源34を備える。ビーコン受信部31は、BLE等の通信規格にしたがって発信機2から無線送信されたビーコン信号を受信し、さらに、受信したビーコン信号の信号強度を測定する。
【0020】
CPU32は、受信機3の各部を制御する制御部である。CPU32は、発信機2から受信したビーコン信号に含まれるID情報とビーコン信号の受信信号強度から、位置情報サーバ10へ送信する信号強度測定情報を生成する。Ethernet送受信部33は、Ethernet規格にしたがい、ネットワーク4を介して位置情報サーバ10と通信を行う。Ethernet送受信部33は、受信したビーコン信号のID情報と受信信号強度とを含む信号強度測定情報を位置情報サーバ10へ送信する。電源34は、受信機3が動作するための電源である。電源34は、受信機3に内蔵されていてもよいし、外部から供給されてもよい。
【0021】
位置情報サーバ10は、複数のビーコン信号の受信信号強度に基づいて、発信機2の位置を推定する位置推定装置である。位置情報サーバ10は、位置情報演算部100、地図情報管理部11、データベース12、Ethernet送受信部13、表示部14、CPU15、電源16を備える。
【0022】
位置情報演算部100は、複数の受信機3が測定したビーコン信号の信信号強度に基づいて、発信機2の位置情報を演算する。位置情報演算部100は、各受信機3から発信機2のビーコン信号のID情報と受信信号強度とを含む信号強度測定情報を受け取り、図2及び図3のように、各受信機3の地図上の3次元の位置関係と受信信号強度から算出される発信機2までの距離(例えば、距離d、d、d)を使用して、ID情報から識別される発信機2の3次元位置を推定する。本実施の形態では、位置情報演算部100は、複数の受信機3のうち、第1から第3の受信機3の受信信号強度に基づいて発信機2の位置を推定し、さらに、第4の受信機3の受信信号強度に基づいて、推定位置を補正する。
【0023】
地図情報管理部11は、データベース12の地図情報を管理する。データベース12は、位置情報サーバ10の処理に必要な情報を記憶する。データベース12は、地図情報や、受信機3の地図上の位置、算出した発信機2の位置情報等を記憶する。Ethernet送受信部13は、Ethernet規格にしたがい、ネットワーク4を介して複数の受信機3と通信を行う。Ethernet送受信部13は、複数の受信機3から、各受信機3が受信したビーコン信号のID情報と受信信号強度とを含む信号強度測定情報を受信する。
【0024】
表示部14は、ユーザに情報を表示する表示部である。表示部14は、発信機2の位置情報を地図情報に重ね合わせて表示する。CPU15は、位置情報サーバ10の各部を制御する制御部である。例えば、CPU15は、位置情報演算部100が演算した発信機2の位置情報を表示部14に表示するよう制御する。電源16は、位置情報サーバ10が動作するための電源である。位置情報サーバ10は、その他、必要に応じて、暗号化/復号化のためのキー処理部等を備えてもよい。
【0025】
図4は、位置情報サーバ10における位置情報演算部100の構成例を示している。図4に示すように、位置情報演算部100は、取得部101、推定部102、補正部103を備える。
【0026】
取得部101は、Ethernet送受信部13を介して、複数の受信機3から信号強度測定情報を取得する。推定部102は、取得部101により取得した信号強度測定情報に基づいて、発信機2の位置を推定する。3点測位法により位置を推定するため、推定部102は、複数の受信機3から取得した信号強度測定情報のうち、3つの受信機3の信号強度測定情報を用いて、発信機2の位置を算出する。受信信号強度は大きい方がより安定した精度のよい値である可能性が高いため、例えば、受信信号強度が大きい方から1番目~3番目(上位1番目~3番目)の受信機3の信号強度測定情報を用いる。
【0027】
補正部103は、推定部102が3点測位法により推定した発信機2の推定位置を、推定の演算で用いていない受信機3の信号強度測定情報に基づいて補正する。この例では、受信信号強度の大きさが1番目~3番目の受信機3の信号強度測定情報を用いて位置を推定しているため、例えば、次に受信信号強度が大きい4番目(上位4番目)の受信機3の信号強度測定情報を用いて推定位置を補正する。位置の推定精度を向上させるため、4番目の受信信号強度が、1番目~3番目の受信信号強度と同程度の強度の場合に、4番目の受信機3の信号強度測定情報を用いて推定位置を補正することが好ましい。すなわち、4番目の受信信号強度と1番目~3番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、4番目の受信機3の信号強度測定情報を用いて推定位置を補正する。なお、5つ以上の受信機3がある場合、4番目に限らず、1番目~3番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さいその他の受信機3の信号強度測定情報を用いてもよい。
【0028】
次に、本実施の形態に係る位置推定方法について説明する。図5は、本実施の形態に係る位置情報サーバ10における位置推定方法の流れを示しており、図6は、図5における位置補正処理(S105)の流れを示している。
【0029】
図5に示すように、まず、位置情報サーバ10は、複数の受信機3から信号強度測定情報を取得する(S101)。すなわち、発信機2がビーコン信号を発信すると、その周囲の複数の受信機3がビーコン信号を受信し、ビーコン信号の受信信号強度を測定する。さらに、位置情報サーバ10における位置情報演算部100の取得部101が、複数の受信機3からビーコン信号のID情報と受信信号強度とを含む信号強度測定情報を取得する。
【0030】
続いて、位置情報サーバ10は、受信信号強度が1番目から3番目の信号強度測定情報を選択する(S102)。位置情報演算部100の推定部102は、取得した複数の受信機3の信号強度測定情報に含まれる受信信号強度を比較し、3点測位法による位置の推定に使用する受信信号強度として、複数の受信信号強度の中から受信信号強度が1番目~3番目の信号強度測定情報を選択する。
【0031】
続いて、位置情報サーバ10は、選択した信号強度測定情報に基づいて、発信機2の位置を推定する(S103)。位置情報演算部100の推定部102は、選択した受信信号強度が1番目~3番目の信号強度測定情報を用いて、3点測位法により発信機2の位置を算出する。
【0032】
3点測位法は、受信信号強度から発信機と受信機の間の距離を算出し、算出された距離情報と、受信した受信機の位置情報とに基づいて発信機の位置を推定する方法である。この距離の算出では、受信信号強度が距離の2乗に反比例して減衰することから、受信機と発信機を基準となる距離だけ離して設置した状態で測定した受信信号強度を基準値として用いる。
【0033】
例えば、ビーコン信号の一つであるiBeaconの信号内には、いくつかの情報が組み込まれており、その中にMeasured Powerと呼ばれるパラメータが含まれる。iBeaconの場合、発信機と受信機を1m離して測定した受信信号強度をMeasured Powerと定義しており、この基準となる受信信号強度を「RSSI@1m」とする。そうすると、基準となる受信信号強度と実際に測定した受信信号強度(RSSI)から、以下のような式で発信機と受信機の距離(d)が算出できる。
d=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*n)} ・・・(1)
【0034】
この式(1)内のnは伝搬損失係数である。nは理想的な環境では2となり、電波の受信環境によって変動する。
【0035】
例えば、図2に示した受信機3a~3cの信号強度測定情報から発信機2の位置を算出する場合について説明する。このとき、受信機3及び発信機2の位置関係を3次元直交座標系(X軸/Y軸/Z軸)で表現し、受信機3aの位置を(x,y,z)、受信機3bの位置を(x,y,z)、受信機3cの位置を(x,y,z)、発信機2の位置を(x,y,z)とする。また、受信機3aと発信機2間の距離をd、受信機3bと発信機2間の距離をd、受信機3cと発信機2間の距離をdとし、発信機2からの信号を受信したときの受信機3aの受信信号強度をRSSI、受信機3bの受信信号強度をRSSI、受信機3cの受信信号強度をRSSIとする。
【0036】
そうすると、各距離d~dは、上記式(1)より、以下の式から求められる。ここでは、n=2とする。
=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(2)
=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(3)
=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(4)
【0037】
さらに、上記式(2)~(4)によるd~dと、受信機3a~3cと発信機2の3次元座標の距離を使用して、方程式を立てると以下のようになる。
{(x-x+(y-y+(z-z1/2=d=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(5)
{(x-x+(y-y+(z-z1/2=d=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(6)
{(x-x+(y-y+(z-z1/2=d=10^{(RSSI@1m-RSSI)/(10*2)} ・・・(7)
【0038】
式(5)~(7)において、x、y、z以外のパラメータは既知である。このため、推定部102は、式(5)~(7)の3元2次方程式を解くことで発信機2の3次元座標を算出する。
【0039】
続いて、位置情報サーバ10は、4番目の受信信号強度により位置補正が可能かどうか判定する(S104)。位置情報演算部100の補正部103は、4番目の受信信号強度の信号強度測定情報を用いて位置補正が可能かどうか判断するため、1番目~3番目の受信信号強度と4番目の受信信号強度とを比較する。1番目~3番目の全てもしくは平均値と4番目とを比較してもよいし、1番目もしくは3番目と4番目とを比較してもよい。
【0040】
少なくとも1番目~3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と4番目の受信信号強度との差が所定値よりも小さい場合、4番目の受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正可能であると判断し、少なくとも1番目~3番目のいずれかの受信信号強度に基づく受信信号強度と4番目の受信信号強度との差が所定値よりも大きい場合、4番目の受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正不可能であると判断する。
【0041】
例えば、1番目の受信信号強度の受信機を受信機3aとし、4番目の受信信号強度の受信機を受信機3dとして、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-1.5[dBm]より小さい場合、受信機3dの受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正可能と判断し、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-1.5[dBm]より大きい場合、受信機3dの受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正不可能と判断する。なお、この閾値の値は、一例であり、測定する環境等に応じて任意に設定される。
【0042】
4番目の受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正可能と判断された場合(S104/Yes)、位置補正処理(S105)を行い、また、4番目の受信信号強度の信号強度測定情報により位置補正不可能と判断された場合(S104/No)、位置補正せずに(S106)、S103の推定位置を最終結果として処理を終了する。
【0043】
位置補正処理では、図6に示すように、補正部103は、補正方向を特定し(S111)、補正上限を設定する(S112)。例えば、図7に示すように、受信機3aの信号強度測定情報による距離dと受信機3bの信号強度測定情報による距離dと受信機3cの信号強度測定情報による距離dとに基づいて、3点測位法により推定された位置をA1とする。この場合、位置A1から4番目の受信機3dに向かう方向を補正方向とする。補正方向は、位置A1の3次元座標と受信機3dの3次元座標を結ぶ線分α(補正直線)に沿った方向である。この補正方向に向かって、位置A1から受信機3dに近づくように位置A1を補正する。また、受信機3bと受信機3cを結ぶ線分βまでを補正上限Xとする。補正上限Xは、受信機3bの3次元座標と受信機3cの3次元座標を結ぶ線分βと、位置A1と受信機3dを結ぶ線分αとの交点である。線分βは、線分αを介して対向する位置の受信機3cと受信機3bとを結ぶ連結線であるとも言える。
【0044】
続いて、補正部103は、補正方向及び補正上限までの範囲で、4番目の受信信号強度の信号強度測定情報に基づき推定位置を補正する(S113)。例えば、図8に示すように、線分α上の推定位置A1から補正上限Xまでが補正範囲dAとなり、この補正範囲内で、受信機3dの受信信号強度に応じて推定位置を補正する。
【0045】
例えば、推定位置A1から補正上限Xまでの補正範囲dAを15分割したスケールを設定し、そのスケール上で位置を補正する。この例では、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-1.5[dBm]の間にあるため、その範囲を15等分し、図9に示すように、0.1[dBm]間隔で補正位置を算出する。具体的には、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の強弱によって補正方向の位置が変わるため、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差に応じて補正後の位置A2を算出する。推定位置A1を介して4番目の受信機3dと対向する位置の受信機3aの受信信号強度と、受信機3dの受信信号強度との差に基づいて、推定位置A2を補正するとも言える。
例えば、図9の例では、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-1.4の場合、A1からP1まで位置を補正し、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-0.1の場合、A1からP14まで位置を補正する。受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-1.5以下の場合、補正後の位置をA1、すなわち補正なしとし、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差が-0.1以上の場合、補正後の位置を補正上限Xとする。
【0046】
以上のように本実施の形態では、3点測位法で推定した位置を補正することで、より精度の高い位置検出を可能とする。関連する技術のように、3点測位法により受信信号強度に基づいて位置を推定するのみでは、受信環境によって受信信号強度に基づく距離に誤差が含まれるため、算出した位置情報が大きくずれる場合がある。これに対し、本実施の形態では、3点の受信機による受信信号強度から推定される位置に対し、更に別の受信点の受信信号強度を使って位置を補正する。3点の受信信号強度に基づく距離から得られた位置を、他の点の受信信号強度に基づいて補正することで、より高い精度で位置情報を算出することができる。
【0047】
例えば、図7のような位置関係では、受信機3aの受信信号強度が最も強い場合、対象物の位置は実際の位置よりも受信機3aの近くに存在すると推定される傾向がある。本実施の形態では、受信機3a~3cの次に大きい受信機3dの受信信号強度を用いて、対象物の推定位置を補正することで、推定位置を実際の位置に近づけることができる。
【0048】
本実施形態では、送信機2の3次元的な位置を推定する例を説明したが、送信機2と受信機3がほぼ同一平面状に存在することが予め判っていて3次元的な位置を推定する必要がない場合等は、2次元的な位置を推定すれば良い。例えば、送信機と受信機が同じフロアのほぼ同じ高さに存在することが判っている場合、高さ方向の位置は推定する必要が無く、2次元的な位置を推定すれば良い。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。尚、説明を簡単にするために本実施形態では受信機2の2次元的な位置を推定する場合の例を説明する。本実施の形態は、実施の形態1と同様の構成において、3点測位法により位置を推定する際に、受信信号強度から推定される距離を示す推定円を用いる。
【0050】
図10は、本実施の形態に係る位置推定方法の流れを示しており、図11は、図10における第1の位置補正処理(S206)の流れを示し、図12は、図10における第2の位置補正処理(S208)の流れを示している。
【0051】
図10に示すように、まず、位置情報サーバ10は、実施の形態1のS101及びS102と同様に、複数の受信機3から信号強度測定情報を取得し(S201)、受信信号強度の大きさが1番目から3番目の受信機3の信号強度測定情報を選択する(S202)。
【0052】
続いて、位置情報サーバ10は、受信信号強度の大きさが1番目から3番目の受信機3の信号強度測定情報による推定円を算出する(S203)。位置情報演算部100の推定部102は、受信信号強度の大きさが1番目から3番目の受信機3の信号強度測定情報に基づき、各受信機3の推定円を算出する。推定円は、受信機3の位置を中心とし、受信機3の受信信号強度から求められた距離を半径とする円である。
【0053】
例えば、図13に示すように、受信機3a~3cの受信信号強度を用いる場合、受信機3aの位置を中心とし、受信機3aの受信信号強度による距離dを半径とする推定円C1を求め、受信機3bの位置を中心とし、受信機3bの受信信号強度による距離dを半径とする推定円C2を求め、受信機3cの位置を中心とし、受信機3cの受信信号強度による距離dを半径とする推定円C3を求める。距離d~dは、実施の形態1と同様に各受信機3の受信信号強度に基づいて求める。
【0054】
続いて、位置情報サーバ10は、算出した3つの推定円が重なるかどうか判定する(S204)。位置情報演算部100の推定部102は、3つの推定円から位置推定が可能かどうか判断するため、1番目から3番目の受信信号強度により求めた推定円が全て重なる重複領域の有無を判定する。
【0055】
3つの推定円が重なる場合(S204/Yes)、位置情報サーバ10は、推定円の重複領域内に位置を推定する(S205)。位置情報演算部100の推定部102は、例えば、図13に示すように、受信機3aの推定円C1と受信機3bの推定円C2と受信機3cの推定円C3との重複領域R1がある場合、重複領域R1内に発信機2の位置A3を推定する。例えば、重複領域R1の中心(重心)を推定位置A3とする。本実施の形態では、この重複領域R1の中で、さらに4番目の受信信号強度に基づいて位置を補正する。
【0056】
続いて、位置情報サーバ10は、重複領域内に推定した位置に対し第1の位置補正処理を行う(S206)。第1の位置補正処理では、図11に示すように、4番目の受信信号強度による推定円を算出する(S211)。上記S203と同様、位置情報演算部100の推定部102は、4番目の受信信号強度に基づき、4番目の受信機3の推定円を算出する。なお、4番目の受信信号強度は、実施の形態1と同様に、1番目から3番目の受信信号強度との差が小さい受信信号強度である。
【0057】
続いて、位置情報サーバ10は、算出した4番目の推定円の円周が重複領域に重なるかどうか判定する(S212)。位置情報演算部100の推定部102は、4番目の推定円による位置補正方法を判断するため、1番目から3番目の受信信号強度により求めた推定円の重複領域に、さらに4番目の受信信号強度により求めた推定円の円周が重なるかどうか判定する。
【0058】
1番目から3番目の推定円の重複領域に4番目の推定円の円周が重なる場合(S212/Yes)、位置情報サーバ10は、4番目の推定円が重なる重複領域内に位置を補正する(S213)。位置情報演算部100の推定部102は、例えば、図14に示すように、受信機3aの推定円C1と受信機3bの推定円C2と受信機3cの推定円C3が重複領域R1で重なり、さらに、この領域に受信機3dの推定円C4の円周が重なる場合、すなわち、推定円C1~C4が全て重なる重複領域R2がある場合、重複領域R1内の推定位置A3を重複領域R2内の位置A4に補正する。重複領域R2は、重複領域R1のうちの4番目の推定円C4の中の領域である。例えば、推定位置A3から重複領域R2の中心に位置を補正する。
【0059】
また、1番目から3番目の推定円の重複領域に4番目の推定円の円周が重ならない場合(S212/No)、位置情報サーバ10は、1番目から3番目の推定円の重複領域の端部に位置を補正する(S214)。この場合、位置情報演算部100の推定部102は、重複領域内で4番目の推定円の円周に近づくように位置を補正する。例えば、図15に示すように、受信機3aの推定円C1と受信機3bの推定円C2と受信機3cの推定円C3の重複領域R1よりも、受信機3dの推定円C4の円周が受信機3d側の場合、重複領域R1の中で最も受信機3dに近い位置A5に補正する。
【0060】
また、図16に示すように、受信機3aの推定円C1と受信機3bの推定円C2と受信機3cの推定円C3の重複領域R1よりも、受信機3dの推定円C4の円周が受信機3dと反対側、すなわち受信機3a側の場合、重複領域R1の中で最も受信機3dに遠い、すなわち受信機3aに最も近い位置A6に補正する。
【0061】
一方、図10において、3つの推定円が重ならない場合(S204/No)、位置情報サーバ10は、受信信号強度から位置を推定する(S207)。位置情報演算部100の推定部102は、図17に示すように、受信機3aの推定円C1と受信機3bの推定円C2と及び受信機3cの推定円C3とが離れており、重ならない場合、各受信信号強度に基づいて位置を推定する。すなわち、実施の形態1と同様に、受信機3aの受信信号強度による距離d、受信機3bの受信信号強度による距離d、受信機3cの受信信号強度による距離dから推定される3次元の位置A7を求める。
【0062】
続いて、位置情報サーバ10は、受信信号強度から推定した位置に対し第2の位置補正処理を行う(S208)。第2の位置補正処理では、図12に示すように、4番目の受信信号強度による推定円を算出する(S215)。上記S203、S211と同様、位置情報演算部100の推定部102は、4番目の受信信号強度に基づき、4番目の受信機3の推定円を算出する。なお、S211と同様、4番目の受信信号強度は、1番目から3番目の受信信号強度との差が小さい受信信号強度である。
【0063】
続いて、位置情報サーバ10は、推定位置に算出した4番目の推定円が重なるかどうか判定する(S216)。位置情報演算部100の推定部102は、4番目の推定円から位置補正が可能かどうか判断するため、1番目から3番目の受信信号強度により求めた推定位置に、4番目の推定円が重なるかどうか判定する。
【0064】
推定位置に4番目の推定円が重なる場合(S216/Yes)、位置情報サーバ10は、補正なしとする(S217)。図18に示すように、受信機3aの受信信号強度による距離d、受信機3bの受信信号強度による距離d、受信機3cの受信信号強度による距離dから位置A7が推定され、この推定位置A7に、受信機3dの受信信号強度による距離dの推定円C4が重なる場合、位置補正を行わない。すなわち、受信機3dの受信信号強度に基づいて推定した距離dが、推定位置A7の近くか、推定位置A7よりも受信機3dに対して遠い場合、受信機3a~3cの受信信号強度で推定した位置は信頼できると判定し、受信機3a~3cの受信信号強度で推定した位置A7を最終結果とする。
【0065】
また、推定位置に4番目の推定円が重ならない場合(S216/No)、位置情報サーバ10は、4番目の推定円側に推定位置を補正する(S218)。この場合、位置情報演算部100の推定部102は、4番目の推定円に近づくように位置を補正する。例えば、図19に示すように、受信機3aの受信信号強度による距離d、受信機3bの受信信号強度による距離d、受信機3cの受信信号強度による距離dから位置A7が推定され、受信機3dの受信信号強度による距離dの推定円C4が、推定位置A7よりも受信機3dに近い場合、受信機3a~3cの受信信号強度から推定した位置は補正が必要と判断し、受信機3a~3cの受信信号強度で推定した推定位置A7に対し、受信機3dに近い側の位置A8に補正し、補正後の位置を最終結果とする。この補正は、実施の形態1と同様に、受信機3aと受信機3dの受信信号強度の差に基づいて行う。
【0066】
以上のように本実施の形態では、実施の形態1と同様の構成において、受信信号強度から推定される距離を示す推定円を用いて位置推定及び位置補正を行った。この場合でも、実施の形態1と同様、3つの受信機の受信信号強度により推定される位置を、更に他の受信機の受信信号強度に基づいて補正することにより、精度の高い位置推定が可能となる。
【0067】
本実施形態では送信機2の2次元的な位置を推定する場合を例に説明したが、送信機2の3次元的な位置を推定する場合でも同様である。送信機2の3次元的な位置を推定する場合は、各受信機3の受信強度から推定される推定円を用いる代わりに各受信機3の受信強度から推定される推定球面を用いれば良い。
【0068】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0069】
上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPUやメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における位置推定方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0070】
これらのプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0071】
1 位置推定システム
2 発信機
3 受信機
4 ネットワーク
10 位置情報サーバ
11 地図情報管理部
12 データベース
13 Ethernet送受信部
14 表示部
15 CPU
16 電源
21 ビーコン送信部
22 CPU
23 記憶部
24 電源
31 ビーコン受信部
32 CPU
33 Ethernet送受信部
34 電源
100 位置情報演算部
101 取得部
102 推定部
103 補正部
図1
図2
図3
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図5
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