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特許7342653固形化物排出機構およびダスト固形化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】固形化物排出機構およびダスト固形化装置
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/28 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B30B9/28 H
B30B9/28 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019212938
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021084114
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西川 心太郎
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-187870(JP,A)
【文献】特公昭38-007184(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のロッドと第2のロッドとの間に、これら第1、第2のロッドを相対的に接近する方向に押圧してダストを固形化して固形化物を得るダスト固形化装置に付設される固形化物排出機構であって、
前記第1のロッドもしくは前記第2のロッドの上部にウェイト付与部材配置部が配置され、前記ウェイト付与部材配置部には、前記第1、第2のロッド上に転動自在に配置され、前記第1、第2のロッドに挟持された前記固形化物が、前記ウェイト付与部材配置部に移動したとき、前記固形化物の上部に位置し、前記固形化物に荷重を加え、前記第1、第2のロッドに挟持された前記固形化物を鉛直下向きに排出するウェイト付与部材が配設されている、固形化物排出機構。
【請求項2】
前記ウェイト付与部材は、円柱形状を有する請求項1に記載の固形化物排出機構。
【請求項3】
前記ウェイト付与部材は、軸線方向外方へ突出する軸体を有し、前記ウェイト付与部材配置部の側壁に設けられた長孔に軸支される請求項1または2に記載の固形化物排出機構。
【請求項4】
前記ウェイト付与部材は、縦積みに複数配置される請求項1から3のいずれか1項に記載の固形化物排出機構。
【請求項5】
前記ウェイト付与部材は、前記ウェイト付与部材配置部の外部に、前記軸支される軸上に追加荷重部材を備える請求項3または4に記載の固形化物排出機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の固形化物排出機構を備えるダスト固形化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形化物排出機構およびダスト固形化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料等のレーザー加工、プラズマ加工、および溶接などの際に、発生するヒュームを含むダストは、作業者が吸引すると健康に深刻な被害を与える恐れがある。そのため、作業環境を清浄に保つため集塵機を作動させて、ダストを作業環境から除去することが行われている。ここで集塵機に収集されたダストは、かさ密度が小さい状態であり、この状態のままでは取り扱いが難しいためダストを圧縮して固形化し、扱いやすい個体の状態に加工することが行われる。
【0003】
このダストを固形化することに関して、特許文献1には、廃棄物を固形化する装置が開示されている。この文献では、ホッパに貯留された廃棄物をこのホッパの下方に設けられた桶型圧縮室に供給し、この圧縮室の上方と側方から圧縮して廃棄物を固形化する。その後、圧縮室が側方に移動し押し出し手段によって固形化物が押し出されて排出することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、捕集した微粉末をスクリューコンベアで成形室に供給し、微粉末が所定量に達したとき圧縮スライダを下降させて微粉末を圧縮して固化する処理装置が開示されている。圧縮は微粉末をさらに供給して複数回行われ、固化した成形品が所定の大きさに達したときに成形室の下方に設けられた排出孔を開放し前記圧縮スライダを下降させて成形品を排出する。
【0005】
特許文献3には、集塵機で集塵された粉粒体をホッパの下方に設けられた成形室に供給し、成形部材と開閉部材により粒粉体を固形化する固形化装置が開示されている。前記成形室は水平に配置され固形化された粒粉体は、前記成形部材により前記成形室の外部に移動され、上方より下降する清掃部材により前記成形部材の先端に付着している固形化された粒粉体を落下させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平04-123898号公報
【文献】特開2010-069536号公報
【文献】特開2011-156560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1~3に記載の固形化装置では、形成した固形化物を排出する際に、排出のための駆動源を有する装置の動作が必要となっている。例えば、引用文献1では、押し出し手段を駆動する必要があり、引用文献2では、排出孔を開放する駆動が必要であり、引用文献3では、清掃部材を駆動して、固形化物を排出している。すなわち、これらの駆動源の必要性により装置構成が複雑になる恐れがある。また、引用文献1や2の排出方法では、排出機構である押し出し手段、あるいは圧縮シリンダに固形化物が付着した際の対策が考慮されていないため、固形化物の付着が生じた際には、固形化物の排出がうまく行われない恐れがある。
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、簡便な構造で固形化物の排出を的確に行い得る固形化物排出機構およびダスト固形化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の固形化物排出機構は、第1のロッドと第2のロッドとの間に、これら第1、第2のロッドを相対的に接近する方向に押圧してダストを固形化して固形化物を得るダスト固形化装置に付設される固形化物排出機構であって、前記第1のロッドもしくは前記第2のロッドの上部にウェイト付与部材配置部が配置され、前記ウェイト付与部材配置部には、該第1、第2のロッドに挟持された固形化物を鉛直下向きに排出するウェイト付与部材が配設されている。
このような発明によれば、第1、第2のロッドに挟持された固形化物を鉛直下向きに排出するウェイト付与部材によって固形化物を排出できるので、駆動源を使用することなく簡便な構成で固形化物を的確に排出できる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記ウェイト付与部材は、円柱形状を有する。
このような構成によれば、ウェイト付与部材は、円柱形状を有しているので、ロッド上で転動自在であり、上記発明を適切に実施することができる。
【0010】
前記ウェイト付与部材は、軸線方向外方へ突出する軸体を有し、前記ウェイト付与部材配置部の側壁に設けられた長孔に軸支される。
このような構成によれば、ウェイト付与部材の移動が長孔の中にとどまるので、ウェイト付与部材の移動を的確に制御することができる。
【0011】
本発明の一態様においては、前記ウェイト付与部材は、縦積みに複数配置される。
このような構成によれば、複数のウェイト付与部材が配置されるので、ウェイト付与部材として適切な重さを確保することができる。
【0012】
本発明の一態様においては、前記ウェイト付与部材は、前記ウェイト付与部材配置部の外部に、前記軸支される軸上に追加荷重部材を備える。
このような構成によれば、簡便な構造によりウェイト付与部材の重量の調整が可能となる。
【0013】
本発明のダスト固形化装置は、上述の固形化物排出機構を備えている。
このような発明によれば、簡便な構造で固形化物の排出を的確に行う事ができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡便な構造で固形化物の排出を的確に行い得る固形化物排出機構およびダスト固形化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態として示したダスト固形化装置の側断面図である。
図2図1に示したダスト固形化装置の加圧ロッド、閉止ロッドと成形孔の構造を説明するための拡大側断面図である。
図3図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図4図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図5図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図6図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図7図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図8図1に示したダスト固形化装置の動作を説明するための拡大側断面図である。
図9】本発明の実施の形態における成形部材の図2のA-A断面矢視図である。
図10】本発明の変形例における成形部材の図2のA-A断面矢視図である。
図11】本発明の実施の形態におけるウェイト付与部材配置部の斜視図である。
図12】本発明の変形例におけるウェイト付与部材配置部の斜視図である。
図13】本発明の変形例におけるウェイト付与部材配置部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態のダスト固形化装置の側断面図である。
図1に示すようにダスト固形化装置1は、装置本体2と、該装置本体2に設けられるダストDを貯留するホッパ3と、該ホッパ3内に設けられた成形孔4を有する成形部材5と、前記成形孔4内に対して進入、退避自在とされた加圧ロッド(第1のロッド)6と、前記加圧ロッド6に対向する閉止ロッド(第2のロッド)7と、加圧ロッド6を駆動する加圧ロッド駆動シリンダ61(駆動源)と、閉止ロッド7を駆動する閉止ロッド駆動シリンダ71(駆動源)と、を備えている。ダスト固形化装置1は、前記加圧ロッド6を前記成形孔内4に進入させてその内部に充填されたダストDを固形化して固形化物Kを得るように構成されている。
【0017】
前記成形孔4は、前記成形部材5を貫通する構成とされ、前記閉止ロッド7は、前記成形孔4の第1の開口部41から進入、退避自在とされ、前記加圧ロッド6は、前記成形孔の第2の開口部42から進入、退避自在とされている。
【0018】
前記成形孔4の第1の開口部41および第2の開口部42に対向してそれぞれ装置本体2の第1の壁部31と第2の壁部32が配設されている。前記第1の壁部31および第2の壁部32には、各々前記成形孔4の軸線上に位置し、前記閉止ロッド7と前記加圧ロッド6のいずれか一方、または双方が往復移動する第1の孔21、および第2の孔22が形成され、前記成形孔4内で固形化された前記固形化物Kが、前記閉止ロッド7と前記加圧ロッド6とともに前記第1の孔21を通して、前記ホッパ3外へ搬送可能とされている。なお、ここで第1の壁部31と第2の壁部32は、ホッパ3内部の側壁も構成している。
【0019】
前記装置本体2には、前記ホッパ3の外部近傍に、前記第1の孔21に交差して上下方向に延びる排出孔23が形成されている。このダスト固形化装置1の詳細な動作については後述するが、前記排出孔23内に前記閉止ロッド7と前記加圧ロッド6との間に挟持された固形化物Kが移動したときに、該固形化物Kを前記排出孔23に落下排出させる。
【0020】
また、前記装置本体2には、前記ホッパ3、および前記排出孔23の近傍に、前記第1の孔21、および前記第2の孔22に交差して上下方向に延びる防塵孔24、25が形成されている。
【0021】
また、前記排出孔23は、前述したように前記第1の孔21に交差して上下方向に延び、前記第1の孔21の上部がウェイト付与部材配置部26とされ、前記第1の孔の下部が排出孔23とされるように形成されている。前記ウェイト付与部材配置部26には、前記第1の孔21内に前記加圧ロッド6、閉止ロッド7、およびこれらの間に挟持された固形化物Kが移動したときに、これら加圧ロッド6、閉止ロッド7上で転動自在、かつ前記固形化物K上に位置したときに該固形化物Kを前記排出孔23側へ排出するウェイト付与部材28が配設されている。本実施の形態では、ウェイト付与部材28は、一定値以上の重量を有する円柱形状の部材であって、ウェイト付与部材配置部26に2個縦積みに配置されている。
【0022】
ここにおいて、加圧ロッド(第1のロッド)6、閉止ロッド(第2のロッド)7、これらのロッドの駆動源(加圧ロッド駆動シリンダ61、閉止ロッド駆動シリンダ71)、ウェイト付与部材28が配設されたウェイト付与部材配置部26および排出孔23は、ダスト固形化装置1の固形化物排出機構9を構成している。
【0023】
図2は、図1における成形部材5の成形孔4と加圧ロッド6と閉止ロッド7を含む部分を拡大した図である。図9は、図2のA-A断面矢視図である。本実施形態では、加圧ロッド6と閉止ロッド7は、直径dの円の断面形状を有し、2つのロッド6、7と成形孔4の間には隙間8が設けられている。成形部材5には、ホッパ3内のダストが上方から下方へスムーズに移動するように、傾斜面51が形成されている。なお図2は、加圧ロッド6、閉止ロッド7、および成形部材5の成形孔の位置関係を明らかにする目的で描かれているので、ダストDは省略され、隙間8も誇張して示している。
【0024】
図11は、本実施形態におけるウェイト付与部材配置部26の模式的斜視図である。ここでは、説明のためウェイト付与部材配置部26とウェイト付与部材28、および閉止ロッド7のみ描写されている。ウェイト付与部材配置部26は、四方を枠体81で囲まれ、下方が排出孔23(図示せず)に連通し、上部は開放された構成となっている。
【0025】
ウェイト付与部材配置部26と排出孔23の間は、加圧ロッド6と閉止ロッド7が移動可能なように構成されている。図11では、閉止ロッド7が配置されている状態を示している。閉止ロッド7の上部には、ウェイト付与部材28が配設されている。なお実際は、2点鎖線uで示す位置にも枠体81が存在するが、図11では、説明のためこの部分(紙面手前)の枠体81の描写を省略している。
【0026】
図11に示しているように、本実施の形態では、ウェイト付与部材28は、閉止ロッド7上のウェイト付与部材配置部26に2個縦積みに配置されている。ウェイト付与部材28は、閉止ロッド7の矢印のそれぞれの方向e、fの移動に従って、閉止ロッド7とウェイト付与部材28の接触面、およびウェイト付与部材28同士の接触面の摩擦により、それぞれg、h、およびi、jの方向に回転動可能なように構成されている。
【0027】
次に、図3図8は、図1におけるホッパ3内の成形部材5を含む部分を拡大した図である。これらを参照してダスト固形化装置1の動作を説明する。
【0028】
(1)図3を参照して、この状態では、閉止ロッド7は、成形部材5の成形孔4内に静止して位置している。加圧ロッド6は、成形孔4の外部に移動しており、加圧ロッド6の加圧面62と、閉止ロッド7の間にはダストDが存在している。
【0029】
(2)図4を参照して、図3の状態から加圧ロッド6を成形孔4内に向けて移動させると、ダストDが成形孔4内に押し込まれ、さらに加圧ロッド6を対向する閉止ロッド7に向かって移動させることによって、ダストDが押し固められ固形化物Kが形成される。このとき、図2に示した隙間8よりダストDが成形孔4より漏れ出しても、成形孔4の開口部41、42は、ホッパ3内に開放されているので、ダストDが固形化装置1の外部に流出することはない。
【0030】
(3)図5を参照して、(1)と(2)の動作を繰り返すことによって成形孔4内に更にダストDが押し込まれ、固形化物Kがさらに大きく形成される。このように、固形化物Kを繰り返し押し固める動作を行っても、(2)と同様の理由でダストDが固形化装置1の外部に流出することはない。
【0031】
(4)図6を参照して、上記の動作を繰り返すことによって固形化物Kが所定の大きさまで形成されると、閉止ロッド7と加圧ロッド6は、固形化物Kを挟んだ状態で第1の孔21内を、ホッパ3の外部(紙面左側)に同時に移動する。固形化物Kを挟んで閉止ロッド7と加圧ロッド6の移動した先には、第1の孔21に交差して上下方向に延びる排出孔23が設けられている。固形化物Kは、閉止ロッド7と加圧ロッド6によって、排出孔23内に配置されて静止する。
【0032】
(5)図7を参照して、前述したように、排出孔23の上部には、ウェイト付与部材28が加圧ロッド6、閉止ロッド7上で転動自在に配置されており、閉止ロッド7の移動時には、円柱形状を有するウェイト付与部材28が、閉止ロッド7と接触しているため、閉止ロッド7の動きに合わせて回転する。ここで、加圧ロッド6と閉止ロッド7のいずれか一方または双方を固形化物Kに対して僅かに後退させて、固形化物Kを挟み込む力を弱めると、ウェイト付与部材28の湾曲して突出する円柱表面281が、加圧ロッド6と閉止ロッド7の間隙67にはまりこみ、固形化物Kを排出孔23下方に向けて押し出す。押し出された固形化物Kは、加圧ロッド6の加圧面62、および閉止ロッド7の加圧面72より剥離し排出孔23下方に排出される。
【0033】
(6)図8を参照して、固形化物Kが排出された後、加圧ロッド6と閉止ロッド7は、それぞれの加圧面62、72が互いに接近する方向に移動した後、加圧ロッド6の加圧面62、および閉止ロッド7の加圧面72を当接させた状態で、成形部材5の成形孔内4へ向けて移動する。これら2つのロッドの加圧面62、72が接触したまま移動して、成形孔4内に位置した後、閉止ロッド7は、その位置で静止し、加圧ロッド6の加圧面62は、さらに成形孔4の外部に向けて移動し、図3の位置まで移動した後静止する。
【0034】
上述の(1)~(6)の工程を繰り返すことによって、ダストDの固形化物Kが連続的に形成される。
【0035】
以上述べたように、本実施形態では、ダストDを固形化物Kに形成する成形孔4の開口部41と42は、ホッパ3内に開放しているので、ダストDの固形化の際に飛散するダストDは、ホッパ3内に留めることができる。したがって、固形化の際に飛散するダストを含む塵埃を防護、回収するための機構を備える必要がなく、簡便な構造でダストの飛散を防止し、ダストの固形化を的確に行い得る。
【0036】
ロッドの加圧動作の際のダストの飛散は、ホッパ内にとどまるので、加圧ロッド6と閉止ロッド7と成形孔4の間に所望の隙間を設けることができる。したがって、固形化の際のロッドの動作をスムーズにするように隙間を任意に設定できる。加圧ロッド6と閉止ロッド7が図1紙面上左右の移動をする第1の孔21と第2の孔22には、その経路に防塵孔24、25が設けられているので、ロッド6、7に付着したダストDは、防塵孔内で剥離し、駆動シリンダ61、71に損傷を与えるのを防止することができる。
【0037】
また、本実施形態では、固形化物Kは、加圧ロッド(第1のロッド)6と閉止ロッド(第2のロッド)7に挟持されてホッパ3の外部の排出孔23に搬送される。したがって、固形化物Kを形成する2つのロッドをそのまま搬送機構に利用でき、搬送のために別の機構を設ける必要がないので、簡便な構造でダスト固形化装置1を構成することができる。
【0038】
2つのロッド6、7によって排出孔23に搬送された固形化物Kは、排出孔23の上部のウェイト付与部材配置部26に配設されたウェイト付与部材28の重量のみによって、2つのロッド6、7の間隙から押し出されるので、動力源を設けることなく簡単な構造によって排出機構を実現できる。このときウェイト付与部材28は、ロッド上で転動自在に保持されているので、ロッド移動の動作に係る抵抗が低減されている。
【0039】
(変形例1)
図12は、本変形例における、ウェイト付与部材配置部26の斜視図で、上記実施の形態の図11に相当する図である。本変形例では、図に示すようにウェイト付与部材28は、円柱形状を有すると共に、軸線方向(m)の外方へ突出する軸体82を有し、前記ウェイト付与部材配置部26の枠体81の側壁83、83に設けられた長孔84、84に軸支される。
このような構成によれば、ウェイト付与部材28の移動が長孔84、84の中にとどまるので、ウェイト付与部材28の移動を的確に制御することができる。
【0040】
(変形例2)
図13は、本変形例における、ウェイト付与部材配置部26の斜視図で、上記実施の形態の図11に相当する図である。本変形例が上述の変形例1と異なる点は、ウェイト付与部材配置部26の外部に、前記長孔84に軸支される軸体82上に追加荷重部材85を備える点である。追加荷重部材85は、所定の重量を有する錘であって、上部に孔86を有するものである。この孔86を軸体82に係止させて該軸体82上に吊下されている。
このような構成によれば、簡便な構造によりウェイト付与部材28の重量の調整が可能となる。
【0041】
(変形例3)
図10は、本変形例の図2におけるA-A断面矢視図である。上記の実施形態では、加圧ロッド6、閉止ロッド7の断面形状は、円とされたが、本変形例では、正六角形を採用する。その他の構成、動作は上述の実施形態と同じであって、同様の作用、効果が得られる。
【0042】
上述の実施形態、変形例では、閉止ロッド7と加圧ロッド6の断面として円と六角形が採用されたがこれに限定されず、ロッドの断面形状としては任意の多角形を採用してよい。
図9図10において、閉止ロッド7と加圧ロッド6は、断面の中心を通る最大寸法dが10mmから100mmに形成されてよい。成形孔4は、閉止ロッド7と加圧ロッド6との隙間8の寸法sが0.2mmから2mmに形成されてよい。このような範囲を有する寸法を採用することによって、成形孔4と加圧ロッド6、および閉止ロッド7を厳密な寸法によらず容易に作成することができ、また、固形物Kを効率よく固形化することができる。
【0043】
上述の実施形態では、図2に示すように、成形部材の上部の形状が傾斜面51を有するように形成したが、これに限定されず、傾斜面がなく形成してよい。また、図2における成形部材5の上部の厚さtは、任意であって、上記の傾斜面の有りなしを含めて、加圧ロッド6の往復動によってダストDが効率よく成形孔4内に詰め込まれる厚さ、形状を適切に設定すればよい。
【0044】
なお、本実施形態では、排出孔23は第1の孔21と交差して設けられたが、第2の孔22と交差して設けられてもよい。その場合は、形成された固形化物Kは、第2の孔内を通して排出孔23へ、加圧ロッド6と閉止ロッド7に挟持されて搬送される。第1の孔21、第2の孔22に交差する防塵孔24、25は、排出孔23とホッパ3の近傍に設けられたが、どちらもホッパ3の近傍に設けられてもよい。また、排出孔23が、防塵孔24、25の役割を兼ねる場合には、排出孔23が設けられた側には防塵孔を設けなくてもよい。
本実施形態では、第1の孔21、第2の孔22が、水平方向に延在するように形成されているが、成形孔4のなかにダストDを効率よく押し込めることを考慮して、水平方向に対し傾斜させた方向に延在させて形成してもよい。
本実施形態では、ウェイト付与部材28は、2個縦積みにした構成としたが、これに限定されず、1個でもまた2個より多くてもその用途に応じて1個から複数個を任意に選択してよい。
【0045】
また、本実施形態では、閉止ロッド7を静止させて、加圧ロッド6の往復動によって、固形化物Kを形成したが、これに限定されず、閉止ロッド7、加圧ロッド6の両方のロッド6、7の往復動によってダストDを突き固めて固形化物Kを形成してもよい。ここで、閉止ロッド7、加圧ロッド6の名称は単なる実施の形態における動作に基づく命名であり、その制御を逆転させ、たとえば、閉止ロッド7に押し固める作業をさせるように制御しても固形化物Kを形成できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ダスト固形化装置
2 装置本体
21 第1の孔
22 第2の孔
23 排出孔
24、25 防塵孔
26 ウェイト付与部材配置部
28 ウェイト付与部材
3 ホッパ
31 第1の壁部
32 第2の壁部
4 成形孔
41 第1の開口部
42 第2の開口部
5 成形部材
6 加圧ロッド(第1のロッド)
61 加圧ロッド駆動シリンダ(駆動源)
7 閉止ロッド(第2のロッド)
71 閉止ロッド駆動シリンダ(駆動源)
8 ロッドと成形孔の間の隙間
82 軸体
83 側壁
84 長孔
85 追加荷重部材
9 固形化物排出機構
D ダスト
K 固形化物
m 軸線方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13