(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】媒体載置装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/04 20060101AFI20230905BHJP
B65H 11/00 20060101ALI20230905BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20230905BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B65H1/04 310B
B65H11/00 A
G03G15/00 407
G03G21/16 147
(21)【出願番号】P 2019213503
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】浦部 智也
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-144868(JP,A)
【文献】特開2016-133615(JP,A)
【文献】特開2012-013828(JP,A)
【文献】特開2017-190239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 11/00-11/02
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けられたユニット回動軸を中心に回動し、該装置本体に形成された本体開閉箇所を開放したユニット開放状態又は該本体開閉箇所を閉塞したユニット閉塞状態に遷移する開閉ユニットと、
媒体を載置する載置箇所を有し、前記開閉ユニットに設けられたトレイ回動軸を中心に回動し、該開閉ユニットに形成されたユニット開閉箇所を開放したトレイ開放状態又は該ユニット開閉箇所を閉塞したトレイ閉塞状態に遷移する媒体トレイと、
可撓性を有し、前記装置本体に本体側固定部が固定されると共に前記媒体トレイにトレイ側固定部が固定された連結部材と、
前記媒体トレイに設けられ、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材に形成される第1当接箇所に当接するトレイ当接部と、
前記開閉ユニットに設けられ、当該開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材に形成される第2当接箇所に当接するユニット当接部と
を具え、
前記第2当接箇所は、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材を挟んで前記第1当接箇所の反対側であり、且つ前記連結部材の前記本体側固定部と前記トレイ当接部とを結ぶ仮想的な直線に対し前記ユニット回動軸と反対側に位置
し、
前記連結部材は、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記第2当接箇所において前記ユニット当接部との間に作用する摩擦力が、前記媒体トレイに対し前記開閉ユニットを前記装置本体側へ回動させる力よりも大きい
ことを特徴とする媒体載置装置。
【請求項2】
前記第1当接箇所は、前記連結部材における前記ユニット回動軸の反対側に設けられ、
前記第2当接箇所は、前記連結部材における前記ユニット回動軸側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項3】
前記第2当接箇所は、前記連結部材において、前記第1当接箇所よりも前記本体側固定部に近い側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項4】
前記ユニット当接部は、前記媒体トレイが前記開閉ユニットに対して閉塞されたトレイ閉塞状態において、前記トレイ当接部との間に前記連結部材が移動可能な隙間を形成する
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項5】
前記開閉ユニットは、前記本体開閉箇所を開放する方向に付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項6】
前記媒体トレイは、前記ユニット開閉箇所を開放する方向に付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体載置装置。
【請求項7】
装置本体に設けられたユニット回動軸を中心に回動し、該装置本体に形成された本体開閉箇所を開放したユニット開放状態又は該本体開閉箇所を閉塞したユニット閉塞状態に遷移する開閉ユニットと、
媒体を載置する載置箇所を有し、前記開閉ユニットに設けられたトレイ回動軸を中心に回動し、該開閉ユニットに形成されたユニット開閉箇所を開放したトレイ開放状態又は該ユニット開閉箇所を閉塞したトレイ閉塞状態に遷移する媒体トレイと、
可撓性を有し、前記装置本体に本体側固定部が固定されると共に前記媒体トレイにトレイ側固定部が固定された連結部材と、
前記媒体トレイに設けられ、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材に形成される第1当接箇所に当接するトレイ当接部と、
前記開閉ユニットに設けられ、当該開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材に形成される第2当接箇所に当接するユニット当接部と
を具え、
前記第1当接箇所は、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材の前記本体側固定部と前記トレイ側固定部とを結ぶ仮想的な直線に対し前記ユニット回動軸側に位置し、
前記第2当接箇所は、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記連結部材を挟んで前記第1当接箇所の反対側に位置
し、
前記連結部材は、前記開閉ユニットが前記ユニット開放状態であるときに、前記第2当接箇所において前記ユニット当接部との間に作用する摩擦力が、前記媒体トレイに対し前記開閉ユニットを前記装置本体側へ回動させる力よりも大きい
ことを特徴とする媒体載置装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項
7の何れかに記載の媒体載置装置と、
前記装置本体内に設けられ前記媒体に画像を形成する画像形成部と
を具えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は媒体載置装置及び画像形成装置に関し、例えば画像形成装置に供給する用紙を載置するトレイに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、例えば本体内に装着された用紙カセットにセットされた用紙(媒体とも呼ぶ)や、本体前側に設けられた給紙トレイ(媒体トレイとも呼ぶ)に載置された用紙等を、搬送部によって所定の搬送経路に沿って搬送しながら、画像形成部等により画像を形成する(すなわち印刷する)ものが広く普及している。
【0003】
また画像形成装置は、例えば装置本体の前側に、開閉可能なフロントユニット(開閉ユニットとも呼ぶ)が設けられる場合がある。これにより画像形成装置では、使用者や保守作業者に対し、消耗品であるトナーや感光体ドラム等を容易に交換させ、また紙詰まり等の障害が発生した場合に装置本体の内部にアクセスして解消させることができる。このような画像形成装置では、例えばフロントユニットが装置本体に対して所定の角度まで回動した際に所定のリミッタに当接させ、該フロントユニットの回動可能な範囲を制限している。
【0004】
さらに画像形成装置には、装置本体の前側に開閉可能なフロントユニットが設けられた上で、該フロントユニットに対して開閉可能な給紙トレイが設けられる場合がある。しかしながらこの画像形成装置では、フロントユニットに対して給紙トレイが開放され用紙が載置された状態で、トナーカートリッジの交換等のためにフロントユニットが開放されると、給紙トレイから用紙が落下する恐れがあった。
【0005】
そこで画像形成装置として、装置本体と給紙トレイとをバンドで接続することにより、フロントユニットが開放された場合に該給紙トレイの回動する範囲を制限するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-190239号公報(
図4~
図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した画像形成装置では、例えば給紙トレイに爪状のロック部材を設けたものがある。この画像形成装置では、フロントユニットに対して給紙トレイを閉塞した際にロック部材をフロントユニットに係合させてこの閉塞した状態を維持し、また給紙トレイに比較的強い力が加えられた際に、ロック部材の係合を解除して開放させる。すなわちこの画像形成装置では、給紙トレイを使用しない場合にはフロントユニットに対して閉塞した状態を維持できる一方、該給紙トレイを使用する場合には該給紙トレイにやや強い力を加えさせるだけで直ちに開放させて使用させることができる。
【0008】
しかしながら、このような画像形成装置では、給紙トレイが閉塞された状態でフロントユニットが勢い良く開放されると、該フロントユニットがリミッタに当接した衝撃等により、ロック部材の係合が解除されて給紙トレイが開放され、載置されていた用紙が落下する場合がある、という問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、開閉可能な媒体トレイが不必要に開放されることを未然に防止し得る媒体載置装置及び画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明の媒体載置装置においては、装置本体に設けられたユニット回動軸を中心に回動し、該装置本体に形成された本体開閉箇所を開放したユニット開放状態又は該本体開閉箇所を閉塞したユニット閉塞状態に遷移する開閉ユニットと、媒体を載置する載置箇所を有し、開閉ユニットに設けられたトレイ回動軸を中心に回動し、該開閉ユニットに形成されたユニット開閉箇所を開放したトレイ開放状態又は該ユニット開閉箇所を閉塞したトレイ閉塞状態に遷移する媒体トレイと、可撓性を有し、装置本体に本体側固定部が固定されると共に媒体トレイにトレイ側固定部が固定された連結部材と、媒体トレイに設けられ、開閉ユニットがユニット開放状態であるときに、連結部材に形成される第1当接箇所に当接するトレイ当接部と、開閉ユニットに設けられ、当該開閉ユニットがユニット開放状態であるときに、連結部材に形成される第2当接箇所に当接するユニット当接部とを設け、第2当接箇所は、開閉ユニットがユニット開放状態であるときに、連結部材を挟んで第1当接箇所の反対側であり、且つ連結部材の本体側固定部とトレイ当接部とを結ぶ仮想的な直線に対しユニット回動軸と反対側に位置し、連結部材では、開閉ユニットがユニット開放状態であるときに、第2当接箇所においてユニット当接部との間に作用する摩擦力が、媒体トレイに対し開閉ユニットを装置本体側へ回動させる力よりも大きいようにした。
【0011】
また本発明の画像形成装置においては、上述した媒体載置装置と、装置本体内に設けられ媒体に画像を形成する画像形成部とを設けるようにした。
【0012】
本発明は、開閉ユニットがユニット開放状態であるときに、連結部材の第1当接箇所及び第2当接箇所から、開閉ユニットのユニット当接部及び媒体トレイのトレイ当接部に対して、互いに引き合う方向へ向かう成分を含む力をそれぞれ作用させる。これにより本発明は、ユニット開放状態において媒体トレイをトレイ閉塞状態に維持できる。また本発明は、連結部材の第2当接箇所とユニット当接部との間に作用する摩擦力が、開閉ユニットを装置本体側へ回動させる力よりも大きいため、滑りの発生を抑止でき、該媒体トレイをトレイ閉塞状態に維持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開閉可能な媒体トレイが不必要に開放されることを未然に防止し得る媒体載置装置及び画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】画像形成装置の内部構成を示す略線図である。
【
図2】ユニット開放状態を示す略線的斜視図である。
【
図4】装置本体、フロントカバーユニット及び給紙トレイの組立を示す略線的斜視図である。
【
図5】装置本体、フロントカバーユニット及び給紙トレイの組立を示す略線的断面図である。
【
図7】ユニット閉塞状態及びトレイ閉塞状態を示す略線図である。
【
図8】ユニット閉塞状態及びトレイ開放状態を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0016】
[1.画像形成装置の構成]
図1に左側面図を示すように、画像形成装置1は、カラー用電子写真式プリンタであり、用紙Pに対し所望のカラー画像を印刷するようになっている。この画像形成装置1は、略箱型に形成された装置本体2の内部に種々の部品が配置されている。以下では、
図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0017】
装置本体2は、
図2に示すように、前側に大きく開口された部分(以下これを本体開口部2A又は本体開閉箇所と呼ぶ)を有している。この本体開口部2Aは、装置本体2に対し回動するフロントカバーユニット3により、開放又は閉塞することができる。因みに
図2は、フロントカバーユニット3が開放されたユニット開放状態を示している。
【0018】
フロントカバーユニット3は、
図3に示すように、その中央付近が大きく開口された部分(以下これをユニット開口部3A又はユニット開閉箇所と呼ぶ)を有している。このユニット開口部3Aは、フロントカバーユニット3に対し回動する給紙トレイ4により、開放又は閉塞することができる。因みに
図3は、給紙トレイ4が開放されたトレイ開放状態を示している。給紙トレイ4は、トレイ開放状態における上面側に、用紙を載置するための載置箇所4Sが形成されている。この載置箇所4Sは、画像を印刷するための用紙が載置される。なおフロントカバーユニット3及び給紙トレイ4については、後に詳述する。
【0019】
また画像形成装置1(
図1)は、装置本体2内に設けられた制御部6により全体を統括制御するようになっている。装置本体2の上面における前側には、例えば液晶パネル等の表示デバイスでなり、制御部6の制御に基づいて文字や画像等により情報を表示する表示部7と、例えば方向ボタンやOKボタン及びキャンセルボタンのような複数の操作ボタンの組合せでなり、使用者の操作指示を受け付けて制御部6に通知する操作部8とが設けられている。
【0020】
装置本体2(
図1)内の最下部には、紙葉状の媒体である用紙Pを収容する給紙カセット10が設けられている。給紙カセット10は、例えば中空の直方体状に形成されており、上面が開放されている。また給紙カセット10の内部には、収用された用紙を持ち上げる用紙載置台10Aが設けられている。因みに用紙Pは、例えばA4サイズにカットされた、いわゆるカット紙となっている。
【0021】
給紙カセット10の前上方には、用紙繰出部11が設けられている。用紙繰出部11は、ピックアップローラ12、給紙ローラ13及び分離ローラ14等のような複数のローラが設けられている。この用紙繰出部11は、各ローラを適宜回転させることにより、給紙カセット10に収納されている用紙Pのうち最上面の1枚のみを他の用紙Pから分離し、前斜め上方へ繰り出す。
【0022】
用紙繰出部11の前側ないし上側には、用紙Pを搬送する下搬送部15が設けられている。下搬送部15は、レジストローラ16やプレッシャローラ17等の複数のローラ、及び用紙Pを案内する搬送ガイド等により構成されている。この下搬送部15は、用紙繰出部11から引き渡される用紙Pを前上方へ進行させてから後斜め上方向へ折り返すような搬送路Wに沿って進行させ、後側の中搬送部20に引き渡す。
【0023】
また用紙繰出部11の前上側であって給紙トレイ4の後側には、トレイ用紙繰出部18が設けられている。トレイ用紙繰出部18は、用紙繰出部11と同様の複数のローラにより構成されており、給紙トレイ4に載置された用紙を1枚ずつに分離して後方へ送り出し、後側の中搬送部20に引き渡す。
【0024】
中搬送部20は、前側及び後側にそれぞれ配置されたプーリの周囲を周回するように、無端ベルトでなる搬送ベルト21が張架されている。搬送ベルト21のうち上側の部分は、前下側と後上側とを結ぶ斜め方向に沿った搬送路Wを構成している。この搬送ベルト21は、図示しないモータからの駆動力によりプーリが回転されると、上側部分を後方へ進行させるように走行する。すなわち中搬送部20は、下搬送部15から用紙Pが送り出され、又は給紙トレイ4からようると、これを搬送ベルト21の上側部分に載せ、搬送路Wに沿って後斜め上方向へ搬送する。
【0025】
中搬送部20の上側には、前下側から後上側へ向けて斜め方向に並ぶように、4個の画像形成ユニット22K、22C、22M及び22Y(以下これらをまとめて画像形成ユニット22と呼ぶ)が配置されている。各画像形成ユニット22は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色にそれぞれ対応しているものの、対応する色以外については互いに同様に構成されている。
【0026】
画像形成ユニット22の上側には、各画像形成ユニットと対応する複数のトナーカートリッジ23が配置されている。また各トナーカートリッジ23及び各画像形成ユニットの間には、図示しないトナー搬送部が設けられている。このトナー搬送部は、各トナーカートリッジ23から各画像形成ユニット22へトナーを搬送する。
【0027】
画像形成部としての画像形成ユニット22は、画像形成本体部24及びLEDヘッド25により構成されている。LEDヘッド25は、左右方向(以下これを主走査方向とも呼ぶ)に沿って多数のLED素子が整列配置されており、制御部6の制御に基づいた発光パターンで各LED素子を点灯若しくは消灯させる。
【0028】
画像形成本体部24には、供給ローラ、現像ローラ及び帯電ローラといった複数のローラや感光体ドラム、並びに現像ブレード等が組み込まれている。画像形成本体部24は、各ローラ等を適宜回転させると共に、所定の高電圧を印加して帯電させながら、LEDヘッド25の発光パターンに基づいたトナー画像を感光体ドラムの周側面上に形成し、これを搬送ベルト21側に到達させる。このとき画像形成本体部は、搬送ベルト21上に(すなわち搬送路W上に)用紙Pが搬送されていれば、トナー画像をこの用紙Pに転写させる。
【0029】
中搬送部20及び画像形成ユニット22の後側には、定着部26が配置されている。定着部26は、搬送路Wの下側及び上側に加熱ローラ及び加圧ローラを配置しており、搬送路Wに沿って用紙Pを後斜め上方へ搬送しながら、該用紙Pに熱及び圧力を加えてトナー画像を定着させる。
【0030】
定着部26の後側ないし上側には、上搬送部27が配置されている。上搬送部27は、下搬送部15と同様、用紙Pを案内する搬送ガイドや、該用紙Pに駆動力を伝達するローラ等により構成されている。この上搬送部27は、定着部26から引き渡される用紙Pを後上方へ進行させてから前斜め上方向へ折り返すような搬送路Wに沿って進行させ、排出口28から排出して前側の載置トレイ29上に載置させる。載置トレイ29は、装置本体2の上面に形成されており、排出口28の近傍が下方にえぐられると共に、前方へ進むに連れて徐々に上昇するように傾斜されている。
【0031】
このように画像形成装置1は、給紙カセット10に収容された用紙P、又は給紙トレイ4に載置された用紙Pを搬送路Wに沿って搬送し、画像形成ユニット22によりトナー画像を形成して該用紙Pに転写した後、定着部26によって定着させることにより、印刷処理を行う。
【0032】
[2.フロントカバーユニット及び給紙トレイの構成]
次に、フロントカバーユニット3及び給紙トレイ4の構成について、
図1~
図3に加えて
図4及び
図5を参照しながら説明する。なお
図4は、画像形成装置1における前側部分を構成する各部品を分解した模式的な斜視図を示す。また
図5は、画像形成装置1における前側部分を構成する各部品を分解し、各部品の断面を左方向から見た断面図を示す。
【0033】
開閉ユニットとしてのフロントカバーユニット3は、全体として前後方向に薄い直方体状若しくは板状に形成されている。因みにフロントカバーユニット3は、例えば樹脂材料が成型されてなる成型部品や金属部品等を適宜組み合わせることにより構成されている。
【0034】
フロントカバーユニット3の下端近傍における左右両側には、左右方向に貫通する丸孔でなる回動軸孔3Hがそれぞれ設けられている。一方、装置本体2における前端近傍であって左右両側の下端近傍には、左右方向に沿った細い円柱状でなるユニット回動軸2Xがそれぞれ設けられている。フロントカバーユニット3は、回動軸孔3Hをユニット回動軸2Xに挿通させることにより、装置本体2により回動可能に支持されている。
【0035】
またフロントカバーユニット3には、後方向に向けて細長い柱状のユニット係合部3Mが立設されている。このユニット係合部3Mの上側面には、上方向に突出した爪状の突起が形成されている。一方、装置本体2には、ユニットロック部2L(
図1)が設けられている。このユニットロック部2Lは、例えば爪状のロック部材、該ロック部材の移動可能な方向を上下方向に規制すると共にその移動範囲を規制する規制部材、及び該ロック部材を下方向に付勢するスプリング等(一部図示せず)により構成されている。このユニットロック部2Lは、スプリングによりロック部材を下方向へ付勢しているものの、使用者等の操作により、該ロック部材を一時的に上方向へ移動させることができる。
【0036】
かかる構成により画像形成装置1では、装置本体2の本体開口部2Aをフロントカバーユニット3により閉塞したユニット閉塞状態(
図1)において、該フロントカバーユニット3のユニット係合部3Mを装置本体2のユニットロック部2Lに係合させ、ユニット閉塞状態を維持する。
【0037】
また画像形成装置1は、ユニット閉塞状態において、使用者等により装置本体2のユニットロック部2Lが操作されると、フロントカバーユニット3のユニット係合部3Mとの係合が解除される。この状態でフロントカバーユニット3は、上端近傍を前方向へ倒すような外力が加えられると、重力の作用も加わり、ユニット回動軸2Xを中心として矢印R1方向(
図1及び
図5)へ回動し、
図2に示したように、該本体開口部2Aを開放したユニット開放状態に遷移する。
【0038】
さらにフロントカバーユニット3は、ユニット開放状態において矢印R2方向へ向かう力が加えられると、ユニット回動軸2Xを中心として回動し、ユニット係合部3Mをユニットロック部2Lに係合させてユニット閉塞状態に遷移する。
【0039】
因みにフロントカバーユニット3には、例えば下搬送部15を構成する一部の部品や、トレイ用紙繰出部18を構成する一部の部品等が組み込まれている。このため画像形成装置1では、フロントカバーユニット3をユニット開放状態(
図2)とした場合、これらの部品を装置本体2から引き離し、搬送路Wの一部を外部に露出させるため、使用者等に対し、詰まった用紙の取出や清掃等の作業を効率良く行わせることができる。
【0040】
媒体トレイとしての給紙トレイ4は、フロントカバーユニット3と同様に、全体として前後方向に薄い直方体状若しくは板状に形成されている。
【0041】
この給紙トレイ4は、フロントカバーユニット3のユニット開口部3Aを閉塞した際に装置本体2の前側面を形成するトレイ前側板4Fを有するトレイ本体部4A、及び該トレイ本体部4Aに対してスライドし得る板状のトレイ延長部4B等のような、複数の部品の組み合わせにより構成されている。因みにトレイ本体部4A及びトレイ延長部4Bは、例えば樹脂材料が成型されてなる成型部品により構成されている。
【0042】
給紙トレイ4のトレイ本体部4Aにおける左右両側の下端近傍には、左右方向に貫通する丸孔でなる回動軸孔4Hがそれぞれ設けられている。一方、フロントカバーユニット3のユニット開口部3A内における左右両側の下端近傍には、左右方向に沿った細い円柱状でなるトレイ回動軸3Xがそれぞれ設けられている。給紙トレイ4は、回動軸孔4Hをトレイ回動軸3Xに挿通させることにより、フロントカバーユニット3により回動可能に支持されている。
【0043】
ところでフロントカバーユニット3側におけるユニット開口部3A内の上端近傍には、トレイロック部3Lが形成されている。トレイロック部3Lは、下方向に向けて突出した爪状の突起が設けられている。トレイロック部3Lは、フロントカバーユニット3と一体に樹脂材料により形成されており、比較的弱い力が加えられた場合にはその形状を殆ど変化させない一方、比較的強い力が加えられた場合には弾性変形する。
【0044】
また給紙トレイ4のトレイ本体部4Aには、トレイ係合部4M(
図5)が設けられている。このトレイ係合部4Mは、例えばトレイ本体部4Aの後側面における上端近傍から後方向へ向けて立設しており、その側面の一部が突出して爪状若しくはかぎ状に形成されている。またトレイ係合部4Mは、トレイ本体部4Aと一体に樹脂材料により形成されており、比較的弱い力が加えられた場合にはその形状を殆ど変化させない一方、比較的強い力が加えられた場合には弾性変形する。
【0045】
かかる構成により画像形成装置1では、フロントカバーユニット3のユニット開口部3Aを給紙トレイ4により閉塞したトレイ閉塞状態(
図1)において、該給紙トレイ4のトレイ係合部4Mをトレイロック部3Lに係合させ、トレイ閉塞状態を維持する。
【0046】
また画像形成装置1は、ユニット閉塞状態であり且つトレイ閉塞状態(
図1)において、使用者等により給紙トレイ4の上端近傍に対して前方向へ向かう力が加えられると、トレイロック部3L及びトレイ係合部4Mの係合が解除される。この状態で給紙トレイ4は、上端近傍を前方向へ倒すような外力が加えられると、重力の作用も加わり、トレイ回動軸3Xを中心として矢印R1方向(
図1及び
図5)へ回動し、
図3に示したように、ユニット開口部3Aを開放したトレイ開放状態に遷移する。
【0047】
因みに給紙トレイ4では、トレイ収納状態において、トレイ本体部4Aに対してトレイ延長部4Bを重ねるように収納されており、トレイ開放状態に遷移し、トレイ本体部4Aに対してトレイ延長部4Bが前方へ引き出されると、載置箇所4Sを前後方向に拡張し得るようになっている。
【0048】
さらに給紙トレイ4は、トレイ開放状態においてトレイ延長部4Bがトレイ本体部4Aに収納された上で、矢印R2方向へ向かう力が加えられると、トレイ回動軸3Xを中心として回動し、給紙トレイロック部4Lをユニット係合部3Mに係合させてトレイ閉塞状態に遷移する。
【0049】
[3.バンドステーの構成]
これに加えて、画像形成装置1内における左前側部分には、バンドステー5が設けられている。連結部材としてのバンドステー5は、可撓性を有する樹脂材料によって構成されており、
図6に平面図を示すように、全体として細長く薄い板状に形成されている。因みにバンドステー5は、十分な厚さを有しており、これに伴ってある程度の剛性を有している。このためバンドステー5は、外力が加えられると一時的に弾性変形するものの、この外力が解放されると、弾性力を作用させて自然状態に(すなわち平坦な形状に)戻ろうとする。
【0050】
バンドステー5は、その後端部分に、装置本体2に固定するための本体側固定部5Aが形成されると共に、その前端部分に、給紙トレイ4に固定するためのトレイ側固定部5Bが形成されている。本体側固定部5Aは、他の部分よりも幅広に形成されており、丸孔及び角孔でなる固定孔5AHが穿設されている。トレイ側固定部5Bは、長手方向に離れた2箇所に、丸孔でなる固定孔5BHが穿設されている。
【0051】
このバンドステー5(
図4及び
図5)は、画像形成装置1に組み込まれる際に、後端近傍の本体側固定部5Aが装置本体2に固定され、且つフロントカバーユニット3のユニット開口部3Aに挿通され、さらに前端近傍のトレイ側固定部5Bを給紙トレイ4に固定される。
【0052】
具体的に、装置本体2には、本体開口部2A内における前左側であって、ユニット回動軸2Xの上側に、バンドステー固定台2Cが設けられている。このバンドステー固定台2Cは、前側が平坦に形成されると共に、複数の孔部や溝部が穿設されている。また装置本体2におけるバンドステー固定台2Cの上側には、十分な大きさのバンド退避空間2Sが形成されている。
【0053】
バンドステー5の本体側固定部5Aは、端部を下方向へ向けた姿勢で、板状の金属部品である固定部材31に形成された所定の突起を固定孔5AHに挿通させ、該固定部材31と共に固定ねじ32によりバンドステー固定台2Cに固定される。すなわち本体側固定部5Aは、バンドステー固定台2C及び固定部材31により前後から挟まれた状態で、装置本体2に取り付けられている。
【0054】
またフロントカバーユニット3には、ユニット開口部3Aにおける左内側面の近傍に、ユニット当接部3Tが設けられている。このユニット当接部3Tは、上下方向に関してユニット開口部3Aの概ね下半分を占めており、その上端が左右方向から見て円弧状に湾曲されている。さらにユニット開口部3Aにおけるユニット当接部3Tの上側には、バンド通過空間3ASが形成されている。
【0055】
バンドステー5は、このバンド通過空間3ASを通過するようにして、すなわちユニット当接部3Tの上側を通るようにして、ユニット開口部3Aに挿通されている。
【0056】
さらに給紙トレイ4には、トレイ前側板4Fの後面における左端近傍の上寄りに、後方向に向けて2本の円柱状の固定突起4C1及び4C2が立設されている。また給紙トレイ4には、トレイ本体部4Aにおいてトレイ前側板4Fの後側に位置し、且つ該トレイ前側板4Fの左端よりも右側に位置するトレイ本体部左側面4ALから、左方向に向けて、トレイ当接部4Tが立設されている。
【0057】
トレイ当接部4Tは、中心軸を左右方向に沿わせた柱状に形成されており、左方向から見た断面形状が英大文字の「D」を回転させた形状に類似している(
図5等)。またトレイ当接部4Tは、トレイ前側板4Fの後側面からやや後方に離隔しており、且つ固定突起4C1及び4C2の下側に位置している。
【0058】
バンドステー5は、ユニット開口部3Aのバンド通過空間3ASを通過した後、トレイ当接部4Tの下側を通り、且つ該トレイ当接部4T及びトレイ前側板4Fの隙間を上方向へ進行するように各部を挿通される。さらにバンドステー5は、前端近傍のトレイ側固定部5Bに形成された2箇所の固定孔5BHを固定突起4C1及び4C2にそれぞれ挿通させることにより、該トレイ側固定部5Bが給紙トレイ4に対して固定される。因みにバンドステー5は、弾性力の作用により、固定孔5BHを固定突起4C1及び4C2にそれぞれ挿通させた状態を維持している。
【0059】
[4.フロントカバーユニット及び給紙トレイの開閉とバンドステーの状態]
次に、画像形成装置1においてフロントカバーユニット3及び給紙トレイ4を開閉する様子について、それぞれ説明する。
【0060】
画像形成装置1は、
図1に示した場合と同様に、フロントカバーユニット3がユニット閉塞状態であり、且つ給紙トレイ4がトレイ閉塞状態である場合、
図5と対応する
図7に示すように、バンドステー5の一部をバンド退避空間2S内で撓ませる。このとき画像形成装置1は、フロントカバーユニット3のユニット当接部3Tと給紙トレイ4のトレイ当接部4Tを互いに近接させているものの、両者の間にバンドステー5の厚さよりも長い隙間を形成しており、この隙間にバンドステー5を挿通させた状態となっている。
【0061】
また画像形成装置1は、フロントカバーユニット3をユニット閉塞状態としたまま、給紙トレイ4をトレイ閉塞状態から矢印R1方向へ回動させると、
図7と対応する
図8に示すように、また
図3にも示したように、トレイ開放状態に遷移する。
【0062】
画像形成装置1では、給紙トレイ4がトレイ閉塞状態(
図7)から矢印R1方向へ約75度回動した段階で、給紙トレイ4の所定箇所がフロントカバーユニット3の所定箇所に当接してこれ以上の回動が規制され、トレイ開放状態となる。このため画像形成装置1では、バンドステー5に張力が作用しておらず、上述したように大きく撓んだ状態となっている。
【0063】
このとき画像形成装置1では、バンドステー5がフロントカバーユニット3におけるユニット当接部3Tの後上側に当接し、その前側で大きく撓みを形成し、さらに給紙トレイ4におけるトレイ当接部4Tの後下側に当接している。
【0064】
さらに画像形成装置1は、
図2に示した場合と同様に、フロントカバーユニット3に対して給紙トレイ4をトレイ閉塞状態としたまま、該フロントカバーユニット3をユニット閉塞状態から矢印R1方向へ回動させると、
図7と対応する
図9に示すように、また
図2にも示したように、ユニット開放状態に遷移する。
【0065】
このとき画像形成装置1では、バンドステー5が第1当接箇所P1において、給紙トレイ4のトレイ当接部4Tに当接すると共に、この該バンドステー5上で第1当接箇所P1よりも本体側固定部5A側となる第2当接箇所P2において、フロントカバーユニット3のユニット当接部3Tに当接している。画像形成装置1では、ユニット当接部3T及びトレイ当接部4Tが十分に狭い隙間を形成していることから、第1当接箇所P1及び第2当接箇所P2が極めて近接している。
【0066】
またバンドステー5は、本体側固定部5Aの上端側となる本体側当接箇所Q1において、装置本体2に固定された固定部材31の上端近傍に当接し、且つトレイ側固定部5Bの下端側となるトレイ側当接箇所Q2において給紙トレイ4に当接している。
【0067】
さらに画像形成装置1では、バンドステー5が本体側固定部5A及びトレイ側固定部5Bの間で、第1当接箇所P1の近傍及び第2当接箇所P2の近傍、並びに本体側当接箇所Q1においてそれぞれ屈曲されながら張架され、張力を作用させた状態となっている。因みにフロントカバーユニット3は、ユニット閉塞状態(
図1及び
図5)から約60度回動した段階で、バンドステー5に張力が作用し、ユニット開放状態となっている。
【0068】
画像形成装置1では、このユニット閉塞状態において、本体側当接箇所Q1及び第1当接箇所P1を通る仮想直線VL1を設定すると、第2当接箇所P2がこの仮想直線VL1よりも上側、すなわちフロントカバーユニット3のユニット回動軸2Xと反対側に位置している。また画像形成装置1では、本体側当接箇所Q1及びトレイ側当接箇所Q2を通る仮想直線VL2を設定すると、第1当接箇所P1がこの仮想直線VL2よりも下側、すなわちユニット回動軸2Xと同じ側に位置している。
【0069】
ここでバンドステー5は、張力の作用により、第1当接箇所P1において、トレイ当接部4Tに対し概ね上方向に向かう力F1を作用させる。またバンドステー5は、同様に張力の作用により、第2当接箇所P2おいて、ユニット当接部3Tに対して概ね下方向へ向かう力F2を作用させる。
【0070】
また画像形成装置1では、フロントカバーユニット3に対する給紙トレイ4の動きが、トレイ回動軸3Xを中心とした回動のみとなっている。このため画像形成装置1では、バンドステー5により、フロントカバーユニット3が矢印R1方向へ付勢されると共に給紙トレイ4が矢印R2方向へ付勢された状態、すなわち該フロントカバーユニット3及び該給紙トレイ4が互いに引き合う状態となる。
【0071】
画像形成装置1では、仮にフロントカバーユニット3がユニット閉塞状態から勢い良く矢印R1方向へ回動された場合、ユニット開放状態となりバンドステー5が張架されて張力が作用した際に、その反動で該フロントカバーユニット3が僅かに矢印R2方向へ回動しようとする。その一方で画像形成装置1では、給紙トレイ4に対して引き続き矢印R1方向へ回動しようとする慣性力が作用し、フロントカバーユニット3から離れようとする。しかしながら画像形成装置1では、バンドステー5から作用する力F1及びF2によりフロントカバーユニット3及び給紙トレイ4が互いに引き合っているため、該給紙トレイ4がフロントカバーユニット3から解放されることなく、トレイ閉塞状態を維持できる。
【0072】
[5.効果等]
以上の構成において、本実施の形態による画像形成装置1は、装置本体2及び給紙トレイ4にバンドステー5の両端をそれぞれ固定し、フロントカバーユニット3にユニット当接部3Tを設けると共に、該給紙トレイ4にトレイ当接部4Tを設けた(
図4及び
図5)。
【0073】
画像形成装置1は、ユニット開放状態(
図7)において、張架されているバンドステー5により、第1当接箇所P1からトレイ当接部4Tに対し概ね上方向に向かう力F1を作用させ、且つ第2当接箇所P2からユニット当接部3Tに対して概ね下方向へ向かう力F2を作用させる。
【0074】
これにより画像形成装置1では、力F1及びF2によりフロントカバーユニット3及び給紙トレイ4が互いに引き合うため、該フロントカバーユニット3が勢い良く開放された場合や、ユニット開放状態において衝撃が加えられた場合であっても、給紙トレイ4を閉塞させたトレイ閉塞状態を維持できる。
【0075】
このため画像形成装置1は、例えばフロントカバーユニット3がユニット閉塞状態であり且つ給紙トレイ4がトレイ開放状態であるときに(
図3等)、該給紙トレイ4に用紙Pを載置したままトレイ閉塞状態とし、その後に該フロントカバーユニット3をユニット開放状態に遷移させたとしても、給紙トレイ4をトレイ閉塞状態に維持できる。すなわち画像形成装置1では、トレイ閉塞状態にある給紙トレイ4に用紙Pが載置された状態を維持したまま、フロントカバーユニット3を開閉させることができる。
【0076】
これを他の観点から見ると、画像形成装置1では、ユニット開放状態(
図9)において、バンドステー5が張架されていることに伴い、該バンドステー5とフロントカバーユニット3のユニット当接部3Tとの間に、十分に大きな摩擦力がさようしている。この摩擦力は、例えばフロントカバーユニット3を矢印R2方向へ回動させる際にユニット当接部3Tからバンドステー5に作用する力よりも十分に大きくなっている。
【0077】
このため画像形成装置1では、ユニット開放状態においてフロントカバーユニット3が反動や衝撃により矢印R2方向へ回動しようとした場合に、ユニット当接部3Tとバンドステー5との間の摩擦力により、該ユニット当接部3Tがバンドステー5に対して滑ることが無く、給紙トレイ4をトレイ閉塞状態に維持できる。
【0078】
また、例えば仮想的な画像形成装置において、フロントカバーユニット3のトレイロック部3Lと給紙トレイ4のトレイ係合部4Mとが係合する力を強めた場合、該フロントカバーユニット3をユニット開放状態に遷移させた際に給紙トレイ4が開放されることを防止し得ると考えられる。しかしながらこのような画像形成装置では、フロントカバーユニット3及び給紙トレイ4が閉塞された状態から、使用者等に該給紙トレイ4を開放させる場合、極めて大きな力を加えさせる必要が生じるため、使い勝手の悪化を招いてしまう。
【0079】
これに対し、本実施の形態による画像形成装置1では、ユニット開放状態においてバンドステー5とユニット当接部3T及びトレイ当接部4Tとの間に力が作用する一方、他の状態ではこれらの力が作用しないようにした(
図7)。このため画像形成装置1では、フロントカバーユニット3及び給紙トレイ4が閉塞された状態から、使用者等に該給紙トレイ4を開放させる場合、比較的小さい力を加えさせるだけで、トレイロック部3Lとトレイ係合部4Mとの係合を容易に解除させ、該給紙トレイ4を開放させることができる。
【0080】
また画像形成装置1では、バンドステー5とユニット当接部3T及びトレイ当接部4Tとの間で、ユニット開放状態(
図9)においてそれぞれ力を作用させる一方、トレイ開放状態(
図8)及びユニット閉塞状態且つトレイ閉塞状態(
図7)において力を作用させないようにした。このため画像形成装置1では、給紙トレイ4の開閉動作や、フロントカバーユニット3をユニット閉塞状態から回動させる際に、バンドステー5が存在することにより使用者に対し強い力を加えることや追加の操作手順を行わせることなく、容易に操作させることができる。
【0081】
以上の構成によれば、本実施の形態による画像形成装置1は、ユニット開放状態において、バンドステー5により、第1当接箇所P1からトレイ当接部4Tに対し概ね上方向に向かう力F1を作用させ、且つ第2当接箇所P2からユニット当接部3Tに対して概ね下方向へ向かう力F2を作用させる。これにより画像形成装置1では、力F1及びF2によりフロントカバーユニット3及び給紙トレイ4が互いに引き合うため、該フロントカバーユニット3が勢い良く開放された場合等に、給紙トレイ4を閉塞させたトレイ閉塞状態を維持することができる。
【0082】
[6.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、ユニット開放状態(
図9)において、本体側当接箇所Q1よりも下側に第1当接箇所P1及び第2当接箇所P2を位置させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば本体側当接箇所Q1よりも上側に第2当接箇所P2を位置させ、或いは第1当接箇所P1及び第2当接箇所P2の双方を位置させても良い。これらの場合、要は第2当接箇所P2が仮想直線VL1よりも下側、すなわち該仮想直線VL1に対してユニット回動軸2Xと同じ側に位置していれば良い。
【0083】
また上述した実施の形態においては、給紙トレイ4において固定突起4C1及び4C2をトレイ当接部4Tよりも上側、すなわちトレイ回動軸3Xから見て遠方に位置させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば固定突起4C1及び4C2をトレイ当接部4Tよりも下側、すなわちトレイ回動軸3Xから見て近方に位置させても良い。さらに、バンドステー5のトレイ側固定部5Bを給紙トレイ4に固定する手法についても、2箇所の固定孔5BHに固定突起4C1及び4C2を挿通させる構成(
図5及び
図6)に限らず、周知の種々の手法を用いることができる。
【0084】
さらに上述した実施の形態においては、トレイ当接部4Tを左方向から見て英大文字の「D」を回転させた形状に類似させる場合について述べた(
図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばトレイ当接部4Tを円柱状や多角柱状等の柱状、若しくは種々の立体形状としても良い。要は、ユニット開放状態においてトレイ当接部4Tの下側(すなわちトレイ回動軸3X側)近傍をバンドステー5と当接させることができ、且つトレイ閉塞状態(
図1及び
図7等)においてユニット当接部3Tとの間にバンドステー5の厚さよりも大きい隙間を形成できれば良い。
【0085】
さらに上述した実施の形態においては、ユニット当接部3Tの上端(すなわちユニット回動軸2Xから見て遠方の端部)を左方向から見た断面形状を円弧状とする場合について述べた(
図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば平面状や、複数の平面や曲面を相互に連接させた形状等としても良い。要は、ユニット開放状態において、ユニット当接部3Tの上側(すなわちユニット回動軸2Xと反対側)近傍をバンドステー5と当接させることができ、且つトレイ閉塞状態(
図1及び
図7等)においてトレイ当接部4Tとの間にバンドステー5の厚さよりも大きい隙間を形成できれば良い。
【0086】
さらに上述した実施の形態においては、バンドステー5の本体側固定部5Aを装置本体2に固定する際に、バンドステー固定台2Cに対して固定部材31の突起を固定孔5AHに挿通させて固定ねじ32により固定する場合について述べた(
図5及び
図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、周知の種々の手法を用いることができる。
【0087】
さらに上述した実施の形態においては、トレイ回動軸3Xをユニット回動軸2Xよりも上方に、すなわち該ユニット回動軸2Xから離れた位置に配置する場合について述べた(
図5)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばトレイ回動軸3Xをユニット回動軸2Xと同軸上に配置しても良い。
【0088】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体2の前側を開閉するフロントカバーユニット3が、下側に設けられたユニット回動軸2Xを中心に回動し、ユニット閉塞状態(
図1及び
図7)から重力を利用して矢印R1方向へ回動しユニット開放状態(
図2及び
図9)に遷移する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば装置本体2の上側を開閉するトップカバーが該装置本体2の上後側端部に設けられた回動軸を中心に上方向へ回動して開放状態に遷移する場合に適用しても良い。この場合、例えばスプリング等によりトップカバーに対して上方向(すなわち開放状態に遷移する際に回動する方向)へ向けて付勢していれば良い。給紙トレイ4についても同様である。
【0089】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1における左側に、バンドステー5、ユニット当接部3T及びトレイ当接部4T等を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば画像形成装置1の右側や左右両側に、バンドステー5、ユニット当接部3T及びトレイ当接部4T等を設けても良い。
【0090】
さらに上述した実施の形態においては、装置本体2の前側を開閉するフロントカバーユニットに対して開閉可能な、画像を形成する前の用紙Pを載置する給紙トレイ4に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、装置本体2の後側を開閉するリアカバーユニットを設け、該リアカバーユニットに対して開閉可能であり画像を形成した後の(すなわち画像が印刷された)用紙Pを載置する排紙トレイを装置本体2の後側に設ける場合に、本発明を適用しても良い。
【0091】
さらに上述した実施の形態においては、用紙に画像を形成(すなわち印刷)する印刷機能を有する画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばいわゆるMFP(Multi Function Printer/Peripheral:複合機)、すなわち印刷機能の他に用紙の画像を読み取る読取機能や電話回線と接続される通信機能等を有し、複写機やファクシミリ装置、或いはイメージスキャナとしても動作し得る画像形成装置に本発明を適用しても良い。或いは、例えば複写機やファクシミリ装置等、用紙を搬送して取り扱う種々の装置に本発明を適用しても良い。
【0092】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0093】
さらに上述した実施の形態においては、開閉ユニットとしてのフロントカバーユニット3と、媒体トレイとしての給紙トレイ4と、連結部材としてのバンドステー5と、トレイ当接部としてのトレイ当接部4Tと、ユニット当接部としてのユニット当接部3Tとによって媒体載置装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる開閉ユニットと、媒体トレイと、連結部材と、トレイ当接部と、ユニット当接部とによって媒体載置装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、例えば用紙に画像を形成する画像形成装置で利用できる。
【符号の説明】
【0095】
1……画像形成装置、2……装置本体、2A……本体開口部、2C……バンドステー固定台、2X……ユニット回動軸、3……フロントカバーユニット、3A……ユニット開口部、3T……ユニット当接部、3X……トレイ回動軸、4……給紙トレイ、4C1、4C2……固定突起、4F……トレイ前側板、4L……給紙トレイロック部、4M……トレイ係合部、4S……載置箇所、4T……トレイ当接部、5……バンドステー、5A……本体側固定部、5B……トレイ側固定部、22……画像形成ユニット、26……定着部、29……載置トレイ、31……固定部材、P1……第1当接箇所、P2……第2当接箇所、Q1……本体側当接箇所、Q2……トレイ側当接箇所、VL1、VL2……仮想直線、VL2……仮想直線、W……搬送路。