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特許7342683活性エネルギー線硬化性インキ組成物およびその印刷物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性インキ組成物およびその印刷物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20230905BHJP
   C09D 11/102 20140101ALI20230905BHJP
【FI】
C09D11/101
C09D11/102
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019230093
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021098770
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004436
【氏名又は名称】東洋インキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】江山 誉昭
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真平
(72)【発明者】
【氏名】矢上 裕起
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-199492(JP,A)
【文献】特開平02-051516(JP,A)
【文献】特開2018-016688(JP,A)
【文献】特開2019-143136(JP,A)
【文献】特開2015-003949(JP,A)
【文献】特開2004-124032(JP,A)
【文献】国際公開第2017/099146(WO,A1)
【文献】特開2010-229298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/101
C09D 11/102
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、重合開始剤、不活性樹脂、ロジン変性ポリエステル化合物、および、(メタ)アクリレート化合物(ロジン変性ポリエステル化合物である場合を除く)を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物であって、
前記ロジン変性ポリエステル化合物における、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であり、
前記ロジン変性ポリエステル化合物の重量平均分子量が、1,000~10,000であり、
前記ロジン変性ポリエステル化合物が、(メタ)アクリロイル基を2~5個有する化合物であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項2】
前記ロジン変性ポリエステル化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して5~30質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項3】
前記不活性樹脂の含有量が、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して、1~15質量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項4】
前記不活性樹脂が、スチレン由来の構造単位を含み、
前記不活性樹脂におけるスチレン由来の構造単位の割合が、不活性樹脂を構成する全構造単位に対し50質量%以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項5】
前記不活性樹脂が、ポリスチレン樹脂またはスチレン(メタ)アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート化合物が、複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、請求項1~のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項7】
前記活性エネルギー線硬化型インキ組成物の植物成分由来成分比率(バイオマス比率)が、10質量%以上である請求項1~のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
【請求項8】
基材に、請求項1~のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性インキ組成物を印刷し、活性エネルギー線で硬化させてなる印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅広い基材に対して良好な密着性を有し、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルムなどのプラスチック基材に対する良好な密着性を有し、硬化塗膜の耐薬品性に優れ、かつ、インキ組成物中のバイオマス由来成分を有する比率が10質量%以上である活性エネルギー線硬化性インキ組成物およびその印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、紫外線、可視光線、電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、生産性が高く、また、高い塗膜耐性を得ることが可能なことから耐久性が必要な分野で広く使用されている。
【0003】
しかしながら、活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、印刷する基材がプラスチックの場合、プラスチックの種類、特に、極性の低いポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系基材や、ポリスチレン基材は良好な密着性が得られないという課題があり、種々の検討がされている。
【0004】
さらに、近年、環境負荷低減のための取り組みとして、一般社団法人日本有機資源協会によって、新たにバイオマスマーク制度が制定されたことにより、インキ組成物に含まれる原料をバイオマス由来原料に代替し、その比率を高めることが求められている。
【0005】
しかしながら、活性エネルギー線硬化性インキ組成物において、バイオマス由来原料の比率を高めると、基材への十分な密着性や塗膜耐性が得られないという課題があり、種々の検討がされている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開平3-215543)には、重量平均分子量が3,000~50,000である含窒素(メタ)アクリル系単量体を有するスチレン-アクリル酸エステル系共重合体を10~50重量%、反応希釈剤を50~90重量%を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、アクリル基材やポリエステル基材への密着性はある程度向上するが十分ではなく、特に、極性の低いポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系基材や、ポリスチレン基材は良好な密着性が得られないという課題があった。
【0007】
例えば、特許文献2(特開平8-143635)には、ロジンエポキシアクリレートを5~95重量%、炭素-炭素不飽和結合基を有する数平均分子量1,000~50,000のポリウレタン樹脂を5~95重量%、反応性希釈剤を0~70重量%を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、ロジンエポキシアクリレートを使用することでバイオマス比率は高くなるが、密着性は十分ではなく、特に、ポリスチレン基材において、十分な密着性が得られないという課題があった。また、ロジンエポキシアクリレート、ポリウレタン樹脂のいずれも単官能のため塗膜耐性に課題があった。
【0008】
例えば、特許文献3(特開2004-339487)には、単官能のポリエーテル系重合性オリゴマーを含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、柔軟なポリエーテル構造を有する単官能オリゴマーを使用することで、ポリエチレンテレフタレート基材への密着性は向上するが、ポリスチレン基材の密着性には課題があった。また、塗膜が柔軟になり、塗膜耐性が悪化するという課題があった。さらに、バイオマス由来原料を使用しておらず、環境対応が十分ではないといえる。
【0009】
例えば、特許文献4(特開2011-225751)には、水素化ビスフェノールと、分岐アルキル基またはエーテルを有するジオールと多塩基酸とからなるポリエステル樹脂を10~40重量%、UV硬化性化合物を30~75重量%を含むUV硬化型平版印刷インキが開示されている。しかしながら、ポリエチレンテレフタレート基材への密着性は向上するが、ポリスチレン基材の密着性には課題があった。また、UV硬化性化合物として単官能化合物を使用しているため、十分な塗膜耐性が得られないという課題があった。さらに、バイオマス由来原料を使用しておらず、環境対応が十分ではないといえる。
【0010】
例えば、特許文献5(特表2008-516052)には、天然油のアクリレート官能基誘導体と、1以上のさらなるアクリレート官能基物質を含むエネルギー線硬化性インク組成物(新聞用途)が開示されている。しかしながら、天然油のアクリレート官能基誘導体を使用することでバイオマス比率は高くなるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルムなどのプラスチック基材に対する密着性には課題があった。また、塗膜の耐薬品性も実用レベルではなく課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開平3-215543号公報
【文献】特開平8-143635号公報
【文献】特開2004-339487号公報
【文献】特開2011-225751号公報
【文献】特表2008-516052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、幅広い基材に対して良好な密着性を有し、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルムなどのプラスチック基材に対して良好な密着性を有し、硬化塗膜の耐薬品性に優れ、かつ、インキ組成物中のバイオマス由来成分を有する比率が10質量%以上であるである活性エネルギー線硬化性インキ組成物およびその印刷物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す活活性エネルギー線硬化性インキ組成物により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、着色剤、重合開始剤、不活性樹脂、ロジン変性ポリエステル化合物、および、(メタ)アクリレート化合物(ロジン変性ポリエステル化合物である場合を除く)を含む活性エネルギー線硬化型インキ組成物であって、
前記ロジン変性ポリエステル化合物における、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であり、
前記ロジン変性ポリエステル化合物の重量平均分子量が、1,000~10,000であり、
前記ロジン変性ポリエステル化合物が、(メタ)アクリロイル基を2~5個有する化合物であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
【0015】
また、本発明は、前記ロジン変性ポリエステル化合物の含有量が、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して、5~30質量%である、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物。
に関する。
【0019】
また、本発明は、前記不活性樹脂の含有量が、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して、1~15質量%である、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
【0020】
また、本発明は、前記不活性樹脂が、スチレン由来の構造単位を含み、
前記不活性樹脂におけるスチレン由来の構造単位の割合が、不活性樹脂を構成する全構造単位に対し50質量%以上であることを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
【0021】
また、本発明は、前記(メタ)アクリレート化合物が、複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物および/またはビスフェノールA構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
【0022】
また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型インキ組成物のバイオマス比率が10質量%以上である、上記活性エネルギー線硬化型インキ組成物に関する。
【0023】
また、本発明は、基材に、上記活性エネルギー線硬化性インキ組成物を印刷し、活性エネルギー線で硬化させてなる印刷物。
【発明の効果】
【0024】
本発明によって、幅広い基材に対して良好な密着性を有し、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルムなどのプラスチック基材に対して良好な密着性を有し、硬化塗膜の耐薬品性に優れ、かつ、インキ組成物中のバイオマス由来成分を有する比率が10質量%以上である活性エネルギー線硬化性インキ組成物およびその印刷物を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0026】
本明細書で使用される用語について説明する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。「活性エネルギー線」とは、紫外線、電子線等、照射することによって照射されたものに化学反応等の化学的変化を生じさせ得る性質を有するエネルギー線を意味する。
【0027】
<活性エネルギー線硬化性インキ組成物>
本発明の一実施形態は、活性エネルギー線硬化性インキ組成物に係わる。当該活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、着色剤、重合開始剤、(メタ)アクリレート化合物、ロジン変性ポリエステル化合物を含む活性エネルギー線硬化型インキであって、ロジン変性ポリエステル化合物における、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であることを特徴とする。
以下、本実施形態の活性エネルギー線硬化性インキ組成物(以下、単に「インキ組成物」ともいう)に含まれるか、または含まれ得る成分を説明する。
【0028】
[着色剤]
本発明における活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、着色剤を含有する。着色剤としては、顔料および染料のうち少なくとも一方を用いることができる。耐光性の観点から、顔料が好ましい。
本発明に用いることができる顔料としては、特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも用いることができる。
【0029】
上記無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる
【0030】
上記有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料; β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系などの不溶性アゾ顔料;銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(例えば、塩素化または臭素化)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系等の多環式顔料および複素環式顔料などが挙げられる。
【0031】
更に詳しくは、C.I.カラーインデックスで示すと、黒顔料としては、C.I.Pigment Black 1、6、7、9、10、11、28、26、31などが挙げられる。
【0032】
白顔料としては、C.I.Pigment White 5、6、7、12、28などが挙げられる。
【0033】
黄顔料としては、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、18、24、73、74、75、83、93、95、97、98、100、108、109、110、114、120、128、129、138、139、174、150、151、154、155、167、180、185、213などが挙げられる。
【0034】
青またはシアン顔料としては、C.I.Pigment Blue 1、2、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62などが挙げられる。
【0035】
赤または紅顔料としては、C.I.Pigment RED 1、3、5、19、21、22、31、38、42、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、50、52、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、90、104、108、112、114、122、144、146、148、149、150、166、168、169、170、172、173、176、177、178、184、185、187、193、202、209、214、242、254、255、264、266、269、C.I.Pigment Violet 19などが挙げられる。
【0036】
緑顔料としては、C.I.Pigment Green 1、2、3、4、7、8、10、15、17、26、36、45、50などが挙げられる。
【0037】
紫顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、2、3、4、5:1、12、13、15、16、17、19、23、25、29、31、32、36、37、39、42などが挙げられる。
オレンジ顔料としては、C.I.Pigment Orange 13、16、20、34、36、38、39、43、51、61、63、64、74などが挙げられる。
【0038】
本発明において、上記顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0039】
本発明において、上記顔料は、印刷紙面上に目的の濃度が再現可能であれば任意の含有量で使用することが可能であり、インキ組成物の全質量に対して5~30質量%であることが好ましく、より好ましくは10~25質量%である。
【0040】
[重合開始剤]
本発明における活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、重合開始剤を含有する。上記重合開始剤としては、ラジカル重合の重合性開始剤を含有することが好ましく、光重合開始剤を含有することがより好ましい。本発明における重合開始剤は、光の作用、または増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカルを生成する化合物であり、中でも、露光という手段で重合開始させることができるという観点から光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0041】
本発明において、上記光ラジカル重合開始剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体例としては、ベンゾフェノン系化合物、ジアルコキシアセトフェノン系化合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、α-アミノアルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物などが挙げられる。
【0042】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]-フェニルメタノンなどが挙げられる。
【0043】
上記ジアルコキシアセトフェノン系化合物としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノンなどが挙げられる。
【0044】
上記α-ヒドロキシアルキルフェノン系化合物としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシメトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0045】
上記α-アミノアルキルフェノン系化合物としては、2-メチル-1-[4-(メトキシチオ)-フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル-1-ブタノンなどが挙げられる。
【0046】
上記のアシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、ジフェニルアシルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0047】
上記チオキサントン系化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0048】
本発明において、上記重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0049】
これらの中でも、密着性と耐薬品性の観点から、α-アミノアルキルフェノン系化合物およびアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含むことが好ましい。
【0050】
本発明において、上記重合開始剤の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.5~20質量%であることが好ましく、より好ましくは5~15質量%である。
【0051】
[(メタ)アクリレート化合物]
本発明における活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、(メタ)アクリレート化合物を含有する。上記(メタ)アクリレート化合物として、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート化合物」とは、オリゴマーやポリマーを構成するための最小構成単位の化合物を意味する。また、「PO」は「プロピレンオキサイド」を、「EO」は「エチレンオキサイド」を表す。
【0052】
本発明において、上記(メタ)アクリレート化合物の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、20~60質量%であることが好ましく、より好ましくは25~55質量%である。
【0053】
(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの単官能(メタ)アクリレート化合物、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレート化合物、などが挙げられる。
なお、「n官能(メタ)アクリレート化合物」とは、(メタ)アクリロイル基をn個有する(メタ)アクリレート化合物を意味する。
【0054】
また、(メタ)アクリレート化合物として、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート(ロジン変性ポリエステル化合物を除く)、エポキシアクリレート等も用いることができる。
【0055】
ウレタンアクリレートは、例えば、ジイソシアネートと水酸基を有する(メタ)アクリレート類とを反応させて得られるもの、ポリオールとポリイソシアネートとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させてなるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを、水酸基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得られるもの等がある。あるいは、ポリオールとポリイソシアネートとを水酸基過剰の条件下に反応させてなる水酸基含有ウレタンプレポリマーを、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート類と反応させて得ることもできる。
【0056】
ポリエステルアクリレートは、例えば、多塩基酸及び多価アルコールを重縮合して得られるポリエステルポリカルボン酸と、水酸基含有(メタ)アクリレート等とを反応させて得ることができる。
【0057】
エポキシアクリレートは、例えばエポキシ樹脂のグリシジル基を(メタ)アクリル酸でエステル化して、官能基を(メタ)アクリレート基としたものが挙げられ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物、ノボラック型エポキシ樹脂への(メタ)アクリル酸付加物等がある。
【0058】
本発明において、上記(メタ)アクリレート化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
これらの中でも、密着性と耐薬品性の観点から、2~4官能(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
【0060】
上記2~4官能(メタ)アクリレート化合物の中でも、複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
複素環構造を有する2~4官能(メタ)アクリレート化合物としては、具体的に、ジオキサングリコールジアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0061】
上記複素環構造を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、1~15質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。
【0062】
また、単官能(メタ)アクリレート化合物を含む場合は、耐薬品性の観点から、インキ組成物の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
【0063】
また、5官能以上の(メタ)アクリレート化合物を含む場合は、密着性の観点から、インキ組成物の全質量に対して、25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。
【0064】
[ロジン変性ポリエステル化合物]
本発明における活性エネルギー線硬化性インキ組成物が含有するロジン変性ポリエステル化合物は、ロジン変性ポリエステル化合物における、ロジン由来の構造単位の割合(以下、「ロジン含有量」ともいう)が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であることを特徴とするものである。
【0065】
本発明において、上記ロジン変性ポリエステル化合物は、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であれば特に制限がなく、公知のものを用いることができる。例えば、下記ロジン変性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
・共役系ロジン酸と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させ、さらに、反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とをエステル化反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させ、さらに、反応化合物のカルボキシ基とカルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とを反応させた化合物(特開2018-150469参照)。
・共役系ロジン酸と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させ、さらに、反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とを反応させた後、残留している水酸基および/またはカルボキシ基に、エポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のエポキシ基を付加反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させ、さらに、反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とを反応させた後、残留している水酸基と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のカルボキシ基、および/または、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のイソシアネート基とを付加反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させ、さらに、反応化合物のカルボキシ基と、水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物の水酸基とをエステル化反応させた化合物(特開2007-56185参照) 。
・共役系ロジン酸と、ポリオールをエステル化反応させ、さらに、反応化合物の水酸基と、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のカルボキシ基、エポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のエポキシ基、および、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のイソシアネート基からなる群より選ばれる1種以上とを付加反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、エチレン性不飽和二重結合含有化合物とをディールスアルダー付加反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、エチレン性不飽和二重結合含有化合物(カルボキシ基を有するものを除く)とをディールスアルダー付加反応させ、さらに反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とをエステル化反応させた化合物(特開2000-080326参照)。
・共役系ロジン酸と、エチレン性不飽和二重結合含有化合物(カルボキシ基を有するものを除く)とをディールスアルダー付加反応させ、さらに反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とでエステル化反応させた後、残留している水酸基および/またはカルボキシ基にエポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のエポキシ基を付加反応させた化合物。
・共役系ロジン酸と、エチレン性不飽和二重結合含有化合物(カルボキシ基を有するものを除く)とをディールスアルダー付加反応させ、さらに反応化合物のカルボキシ基と、ポリオールの水酸基とでエステル化反応させた後、残留している水酸基にカルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のカルボキシ基、および/または、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物のイソシアネート基を付加反応させた化合物。
【0066】
本発明のロジン変性ポリエステル化合物を得るために用いる共役系ロジン酸とは、共役二重結合を有するロジン酸類である。本明細書において「ロジン酸類」とは、環式ジテルペン骨格を有する有機一塩基酸及びその誘導体を意味する。ロジン酸類は、例えば、ロジン酸、不均化ロジン酸、水添ロジン酸、及びこれら化合物のアルカリ金属塩であってよい。また、「共役二重結合」とは、複数の二重結合が単結合を挟んで交互に連なっている結合を意味する。但し、芳香族化合物に含まれるπ電子共役系の共役二重結合は含まない。すなわち、本明細書で記載する「共役系ロジン酸」は、共役二重結合を持たない水添ロジン酸等を除いた、上記ロジン酸類を意味する。
【0067】
共役系ロジン酸として、具体的には、アビエチン酸、及びその共役化合物である、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、及びレボピマル酸が挙げられる。また、これらの共役系ロジン酸を含有する天然樹脂として、ガムロジン、ウッドロジン、及びトール油ロジン等が挙げられる。一般に、上記天然樹脂には、共役系ロジン酸(A1)とともに、共役二重結合を持たないロジン酸類が含まれているが、ロジン変性樹脂(A)の製造時にこれら天然樹脂を使用しても差し支えなく、天然樹脂中の共役二重結合を持たないロジン酸類は、一塩基酸としてはたらき、樹脂中に組み込まれる。
【0068】
本発明のロジン変性ポリエステル化合物を得るために用いることができるα、β-不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸等またはこれらの酸無水物が挙げられる。中でも、共役系ロジン酸との反応性の観点から、マレイン酸またはその酸無水物が好ましい。
【0069】
本発明のロジン変性ポリエステル化合物を得るために用いることができるポリオールは、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
具体的には、直鎖状アルキレン2価アルコールである1,2-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール等が、
分岐状アルキレン2価アルコールである2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオ-ル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ジメチロールオクタン、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール等が、
環状アルキレン2価アルコールである1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-シクロヘプタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、水添カテコール、水添レゾルシン、水添ハイドロキノン等、
さらにポリエチレングリコール(n=2~20)、ポリプロピレングリコール(n=2~20)、ポリテトラメチレングリコール(n=2~20)等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等の2価アルコール、
グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ペンタエリスリトール、1,2,6-ヘキサントリオール、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、ヒドロキシメチルヘキサンジオール、トリメチロールオクタン、ジグリセリン、ジトリメチロ-ルプロパン、ジペンタエリスリト-ル、ソルビトール、イノシトール、トリペンタエリスリトール等の直鎖状、分岐状および環状多価アルコール等の3価以上のアルコールが挙げられる。
上記ポリオールは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。中でも、塗膜の柔軟性の観点から、分岐の少ない樹脂構造が好ましいため2価アルコールが好ましい。
【0070】
本発明のロジン変性ポリエステル化合物を得るために用いることができるエチレン性不飽和二重結合含有化合物は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。
具体的には、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、桂皮酸、2,4-ヘキサジエノン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸、5-ヘキセン酸、6-へプテン酸、7-オクテン酸、2-エチル-3-ブテン酸、4-メチル-4-ペンテン酸、5-メチル-5-ヘキセン酸、6-メチル-6-ヘプテン酸、3-プロピル-3-ブテン酸、3-(2-プロペニル)安息香酸、3-ビニル安息香酸、4-ビニル安息香酸及びこれらの酸無水物が挙げられる。
【0071】
水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、エチル-α-ヒドロキシメチルアクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルアリルエーテル、3-ヒドロキシプロピルアリルエーテル、4-ヒドロキシブチルアリルエーテルなどが挙げられる。また、上記の水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物にアルキレンオキサイドおよび/またはラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和二重結合含有化合物も、本発明方法において、水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物として用いることができる。
中でも、塗膜の柔軟性の観点からは、分岐の少ない樹脂構造が好ましいため二つ以下の水酸基を持つエチレン性不飽和二重結合含有化合物が好ましく、二つ以下の水酸基を持つ(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
【0072】
エポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジルアリルエーテル、2,3-エポキシ-2-メチルプロピル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ビニル-1-シクロヘキセン-1,2-エポキシド、グリシジルシンナメート、1,3-ブタジエンモノエポキサイド、セロキサイド2000(ダイセル化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0073】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、2-イソシアナトエチルアクリラート、2-イソシアナトエチルメタクリレート、2-(2-アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、2-(2-メタクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート等が挙げられる。
また、ポリイソシアネートのイソシアネート基の一部を、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の水酸基と反応させた化合物等も、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物として用いることができる。
【0074】
上記以外のエチレン性不飽和二重結合含有化合物としては、上述した、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物、水酸基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物、エポキシ基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物、および、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和二重結合含有化合物以外のエチレン性不飽和二重結合含有化合物を用いることができ、具体的には、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリンなどの単官能(メタ)アクリレート化合物、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレート化合物、
酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、1-ヘキセン、酢酸アリル、シアン化アリル、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、アセチレン、エチニルトルエンなどが挙げられる。
中でも、塗膜の柔軟性の観点から、分岐の少ない樹脂構造が好ましいためエチレン性不飽和二重結合を2~4個有する化合物が好ましく、2~4官能の(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0075】
上記エチレン性不飽和二重結合含有化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい
【0076】
上記ロジン変性ポリエステル化合物のロジン含有量は、鉛筆硬度の観点から、40~60質量%がより好ましい。
【0077】
上記ロジン変性ポリエステル化合物の重量平均分子量(以下、Mwとも称する)は、1,000~10,000であることが好ましく、2,000~8,000であることがより好ましい。
【0078】
なお、本発明において、Mwは、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(以下、「GPC」という。)で測定した。GPCの具体的な測定方法は、以下の通りである。東ソー(株)製HLC-8020を用い、検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。溶離液はテトラヒドロフランを、カラムにはTSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)3本を用いた。測定は流速0.6ml/分、注入量10μl、カラム温度40℃で行った。
【0079】
前記ロジン変性ポリエステル化合物の含有量は、密着性の観点から、活性エネルギー線硬化型インキ組成物の全質量に対して、5~30質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましい。
【0080】
本発明において、前記ロジン変性ポリエステル化合物は、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。(メタ)アクリロイル基を有することで、さらに、耐薬品性が向上する。前記ロジン変性ポリエステル化合物が有する(メタ)アクリロイル基の数は、2~5個有することが好ましく、2~4個有することがより好ましい。

【0081】
[不活性樹脂]
本発明における活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、さらに、不活性樹脂(上記ロジン変性ポリエステル化合物を除く)を含むことが好ましい。不活性性樹脂を含むことで、さらに、基材への密着性が向上する。なお、本発明において、「不活性樹脂」とは、反応性基を有しない化合物を意味する。
【0082】
前記不活性樹脂の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、1~15質量%であることが好ましく、3~15質量%であることがより好ましく、5~15質量%であることが特に好ましい。
【0083】
前記不活性樹脂のMwは、密着性の観点から、5,000~30,000であることが好ましく、10,000~20,000であることがより好ましい。
【0084】
前記不活性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、石油樹脂、尿素樹脂、ブタジエン-アクリルニトリル共重合体のような合成ゴムなどが挙げられる。中でも、密着性の観点から、不活性樹脂におけるスチレン由来の構造単位の割合(以下、「スチレン含有量」ともいう)が、不活性樹脂を構成する全構造単位に対し50質量%以上であるスチレン(メタ)アクリル樹脂が好ましく、スチレン含有量が60%以上であるスチレン(メタ)アクリル樹脂がより好ましい。
【0085】
[その他の成分]
本発明の活性エネルギー線硬化性インキ組成物は、必要に応じて本発明の効果が低下しない範囲で、上記成分以外に、体質顔料、顔料分散剤、その他の重合性化合物、増感剤、ワックス、重合禁止剤、表面張力調整剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含有することができる。
【0086】
(顔料分散剤)
本発明において、インキ組成物は、顔料分散性をより良好なものにするために、顔料分散剤を含有することが好ましい。顔料分散剤としては、特に制限はなく、公知の顔料分散剤を用いることができる。中でも、塩基性官能基を有する樹脂型顔料分散剤が好ましく、前記塩基性官能基としては一級、二級、または三級アミノ基、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素複素環などを挙げることができる。
また、前記樹脂型顔料分散剤を構成する骨格としては、脂肪酸アミン骨格、および/または、ウレタン骨格が、良好な顔料分散性が容易に得られることからさらに好ましい。
【0087】
前記顔料分散剤としては、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーシリーズ(アジスパーPB821、PB822、PB824など)、ルーブリゾール社製のソルスパーズシリーズ(Solsperse24000、Solsperse32000、Solsperse38500など)、ビックケミー社製のディスパービックシリーズ(BYK-162、BYK-168、BYK-183など)などから入手できる。
【0088】
前記顔料分散剤の含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.1~10質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
【0089】
(その他の重合性化合物)
前記(メタ)アクリレート化合物以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という)を含有することができる。その他の重合性化合物としては、分子内にアリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)などの重合性基を有する化合物が挙げられる。
【0090】
(増感剤)
本発明において、インキ組成物は、硬化性をより良好なものにするために増感剤を含有することもできる。増感剤としては、特に制限はなく、公知の増感剤を用いることができる。具体的には、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、脂肪族アミン、2-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジブチルエタノールアミン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0091】
前記重合開始助剤の含有量は、インキ組成物の総質量に対して、0.1~5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~3質量%である。
【0092】
(ワックス)
本発明において、インキ組成物は、耐摩擦性、ブロッキング防止性、スベリ性、スリキズ防止性をより良好なものにするために、ワックスを含有することが好ましい。ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えば、天然ワックスおよび合成ワックスがある。
天然ワックスは、例えば、カルナバワックス、木ろう、ラノリン、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
合成ワックスは、例えば、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックスシリコーン化合物などが挙げられる。
【0093】
前記ワックスの含有量は、インキ組成物の全質量に対して、0.1~5質量%であることが好ましい。
【0094】
(重合禁止剤)
本発明において、インキ組成物は、保存安定性を高めるため、重合禁止剤を使用することができる。重合禁止剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、フェノチアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物が特に好適に使用される。
具体的には、4-メトキシフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジン、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩などが挙げられる。
中でも、ヒンダードフェノール系化合物および/またはフェノチアジン系化合物を含むことが好ましく、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、フェノチアジンを含むことがより好ましい。
【0095】
前記重合禁止剤の含有量は、硬化性を維持しつつ保存安定性を高める観点から、インキの全質量に対して、0.01~2質量%であることが好ましい。
【0096】
なお、本発明において、インキ組成物は、環境負荷低減の観点から、実質的に有機溶剤を含有しないことが好ましい。実質的に含有せずとは、インキ組成物の全質量に対して、3質量%未満であり、より好ましくは1質量%未満である。
【0097】
(バイオマス度)
一般社団法人日本有機資源協会ではバイオマス度は以下の式のように定められており

バイオマス度 =(「使用したバイオマスの乾燥重量」÷「商品の乾燥重量」)×100

バイオマスマーク認定にはバイオマス度が10%以上必要となる。
本発明において、バイオマス度10%以上を達成する手段は、ロジン変性ポリエステル化合物を含むこと以外は、特に限定されるわけでなく、公知の方法を用いることができる。
【0098】
<印刷物>
本発明における印刷物は、上記活性エネルギー線硬化性インキ組成物を基材に印刷することによって得られる。前記基材としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、アート紙、コート紙、キャスト紙などの塗工紙や上質紙、中質紙、新聞用紙などの非塗工紙、ユポ紙などの合成紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)のようなプラスチックフィルムなどが挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンフィルムに対して、良好な密着性を得ることができる。
【0099】
本発明において、活性エネルギー線硬化性インキ組成物を印刷する方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などが挙げられる。
【0100】
本発明において、活性エネルギー線硬化性インキ組成物を硬化する方法には、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。具体的には、α線、γ線、電子線、X線、紫外線、可視光または赤外光などを照射することで硬化することができる。中でも、紫外線、電子線が好ましく、より好ましくは紫外線である。紫外線のピーク波長は、200~600nmであることが好ましく、より好ましくは350~420nmである。
【0101】
活性エネルギー線源としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。具体的には、水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハイドライドランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)等のLED(発光ダイオード)やガス・固体レーザーなどが挙げられる。
【実施例
【0102】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。
【0103】
以下の実施例で実施した各種測定の詳細は以下のとおりである。
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、東ソー(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(HLC-8320)で測定した。検量線は標準ポリスチレンサンプルにより作成した。また、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、カラムとしてTSKgel SuperHM-M(東ソー(株)製)を3本用いた。測定は、流速0.6mL/分、注入量10μL、およびカラム温度40℃の条件下で行った。
(ロジン含有量)
ロジン含有量は以下式のように定めた。

ロジン含有量 =(「使用したロジンの乾燥重量」÷「樹脂の乾燥重量」)×100
【0104】
[ロジン変性ポリエステル化合物A]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸48.1部と無水マレイン酸15.6部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールA7.3部と、オクタンジオールを4.7部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを13.3部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル11.1部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量48.1%で(メタ)アクロイル基数3のロジン変性ポリエステル化合物Aを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4500であった。
【0105】
[ロジン変性ポリエステル化合物B]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸47.0部と無水マレイン酸15.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを7.1部と、オクタンジオールを4.5部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを12.9部と、グリシジルアクリレートを13.2部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量47.0%で(メタ)アクロイル基数3のロジン変性ポリエステル化合物Bを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は6200であった。
【0106】
[ロジン変性ポリエステル化合物C]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸47.0部と無水マレイン酸15.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを7.1部と、オクタンジオールを4.5部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを12.9部と、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナートを13.2部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量47.0%で(メタ)アクロイル基数3のロジン変性ポリエステル化合物Cを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は3500であった。
【0107】
[ロジン変性ポリエステル化合物D]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸50.2部とジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを18.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを9.5部と、1,4-シクロヘキサンジメタノール6.0部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを4.3部と、グリシジルアクリレートを11.8部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量50.2%で(メタ)アクロイル基数2のロジン変性ポリエステル化合物Dを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は7600であった。
【0108】
[ロジン変性ポリエステル化合物E]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸50.3部とジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを18.2部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを9.5部と、1,4-シクロヘキサンジメタノール6.0部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを4.3部と、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナートを11.7部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量50.2%で(メタ)アクロイル基数2のロジン変性ポリエステル化合物Eを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は2100であった。
【0109】
[ロジン変性ポリエステル化合物F]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸48.4部とペンタエスリトールテトラアクリレートを14.1部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを9.1部と、1,4-シクロヘキサンジメタノール5.8部と、2-アクリロイルオキシエチルイソシアナートを22.6部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量48.4%で(メタ)アクロイル基数4のロジン変性ポリエステル化合物Fを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4100であった。
【0110】
[ロジン変性ポリエステル化合物G]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸51.5部と無水マレイン酸16.7部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、1,4-シクロヘキサンジメタノール12.2部とオクタンジオールを6.2部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオールを13.3部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量51.5%で(メタ)アクロイル基数0のロジン変性ポリエステル化合物Gを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4300であった。
【0111】
[ロジン変性ポリエステル化合物H]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸59.9部とペンタエスリトールテトラアクリレート17.4部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを22.6部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量59.9%で(メタ)アクロイル基数0のロジン変性ポリエステル化合物Hを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4900であった。
【0112】
[ロジン変性ポリエステル化合物I]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸44.5部と無水マレイン酸14.4部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを6.7部とオクタンジオール4.3部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール6.1部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを23.9部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量44.5%で(メタ)アクロイル基数7のロジン変性ポリエステル化合物Iを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は5000であった。
【0113】
[ロジン変性ポリエステル化合物J]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸49.3部と無水マレイン酸16.0部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ペンタエスリトールを4.4部と、ビスフェノールAを7.4部と、オクタンジオールを4.8部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール6.8部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを11.3部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量49.3%で(メタ)アクロイル基数3のロジン変性ポリエステル化合物Jを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4500であった。
【0114】
[ロジン変性ポリエステル化合物K]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸48.1部と無水マレイン酸15.6部とを仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを7.3部と、オクタンジオールを4.7部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール13.3部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを11.1部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量48.1%で(メタ)アクロイル基数3のロジン変性ポリエステル化合物Kを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は15000であった。
【0115】
[ロジン変性ポリエステル化合物L]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸36.8部と無水マレイン酸11.9部と、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10.5部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら、180℃で1時間にわたって加熱することにより、反応混合物を得た。次いで、先に説明したように、反応混合物のガスクロマトグラフ質量分析によって、ディールスアルダー付加反応が完了したことを確認した。
次に、上記反応混合物に、ビスフェノールAを13.9部と、2,2-ジメチル-1,3プロパンジオール12.7部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを14.1部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量36.8%で(メタ)アクロイル基数2のロジン変性ポリエステル化合物Lを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4000であった。
【0116】
[ロジン変性ポリエステル化合物M]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、アビエチン酸83.1部とペンタエスリトールを6.2部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを10.6部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量83.1%で(メタ)アクロイル基数2のロジン変性ポリエステル化合物Mを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は2100であった。
【0117】
[ポリエステル化合物N]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、無水マレイン酸16.7部と、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸10.5部と、1,4-シクロヘキサンジメタノール40.9部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチルを13.2部と、触媒として、p-トルエンスルホン酸一水和物0.1部とを添加し、230℃で12時間にわたって脱水縮合反応を行い、ロジン含有量0%で(メタ)アクロイル基数2のポリエステル化合物Nを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は4300であった。
【0118】
[不活性樹脂A]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、トルエン100部を仕込み、窒素気流下で80℃ に昇温し、スチレン100部、ベンゾイルペルオキシド3 部をあらかじめ溶解させた溶解液3 時間かけて滴下した。滴下終了2 時間後にベンゾイルペルオキシド0 . 5 部を添加しさらに2 時間反応を継続させた後溶剤を脱溶媒し汲み出した。スチレン含有量100%の不活性樹脂Aを得た。GPC測定ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)は9500であった。
【0119】
表1に記載した原料と量を使用した以外は、不活性樹脂Aと同様な方法で不活性樹脂B~Kを得た。
【0120】
【表1】
【0121】
[ロジンワニスA]
攪拌機、水分離器付き還流冷却器、および温度計を備えた4つ口フラスコに、ミラマーM3130を29.9部と、ハイドロキノンを0.1部仕込み、大気下で110℃ に昇温し、ロジン変性ポリエステル化合物A70.0部を徐々に添加し溶解させロジンワニスAを得た。
【0122】
表2に記載した原料と量を使用した以外は、ロジンワニスAと同様な方法でロジンワニスB~M、およびワニスNを得た。
【0123】
【表2】
【0124】
[活性エネルギー線硬化性であるインキ組成物1の製造方法]
着色剤として、LIONOL BLUE FG-7400-Gを20.0部、アジスパーPB821を1.0部、(メタ)アクリレート化合物として、アロニックスM-315を26.9部、ロジンワニスAを35.0部、不活性樹脂Aを10.0部、重合開始剤として、Omnirad379EGを2.5部、Chemrk DEABPを2.5部、KAYACURE DETX-Sを2.0部、ハイドロキノンを0.1部を加え、バタフライミキサーを用いて攪拌混合し、3本ロールにて最大粒径が15μm以下になるように分散してバイオマス度11.8%のインキ組成物1を作成した。
【0125】
[活性エネルギー線硬化性であるインキ組成物2~33の製造方法]
表3~7に記載した原料と量を変更した以外は、インキ組成物1と同様の方法でインキ組成物2~33を得た。なお、数値は特に断りがない限り「質量部」を表し、空欄は配合していないことを表す。
【0126】
【表3】
【0127】
【表4】
【0128】
【表5】
【0129】
【表6】
【0130】
【表7】
【0131】
表3~7中の略語は、以下の通りである。
[顔料]
・LIONOL BLUE FG-7400-G:トーヨーカラー株式会社製、C.I.Pigment Blue15:3
[分散剤]
・アジスパーPB821:味の素ファインテクノ株式会社製、塩基性官能基含有の櫛形分散剤
[(メタ)アクリレート化合物]
・アロニックスM-315:東亜合成株式会社製、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート
・エベクリル1142:ダイセル・オルクネクス株式会社製、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
・ミラマーM220:東洋ケミカルズ株式会社製、トリプロピレングリコールジアクリレート
・ミラマーM3130:東洋ケミカルズ株式会社製、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート
・ミラマーM340:東洋ケミカルズ株式会社製、ペンタエリスリトールトリアクリレート
・ミラマーM600:東洋ケミカルズ株式会社製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
[重合開始剤]
・Omnirad379EG:iGM RESINS社製、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル-1-ブタノン
・Chemark DEABP:ソート社、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
・KAYACURE DETX-S:日本化薬社製、2,3-ジエチルチオキサントン
[重合禁止剤]
・ハイドロキノン:宇部興産株式会社製、ハイドロキノン
【0132】
得られたインキ組成物を、以下の方法により評価を行なった。実施例1~32、比較例1~9を表8に示す。
【0133】
[試験サンプルの作成方法]
得られたインキ組成物を、RIテスター(テスター産業株式会社製)を用いて、基材であるデンカスチレンシート(デンカ株式会社製)およびPETシート(ミネロン化成工業株式会社製)およびPPフィラーシート(ゼオン化成株式会社製)に0.25mlの盛り量でベタ画像を印刷した。その後、コンベア速度60m/分、LEDランプ(エアーモーションシステム株式会社製「XP-9」、照射距離10mm、出力70%の条件)でインキ組成物を硬化させ、試験サンプルを作成した。なお、RIテスターとは、紙やフィルムにインキを印刷する試験機であり、インキの転移量や印圧を調整することができる。
【0134】
[密着性]
上記方法で作成した試験サンプルの印刷層に粘着テープ(ニチバン社製セロテープ(登録商標)18mm幅)を貼り付け、垂直方向に剥離をおこない、インキ被膜の剥がれた面積の割合から基材密着性を評価した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価する。
5:インキ被膜の剥がれがない
4:インキ被膜の剥がれが10%未満である
3:インキ被膜の剥がれが10%以上30%未満
2:インキ被膜の剥がれが30%以上70%未満
1:インキ被膜が70%以上剥がれる
【0135】
[鉛筆硬度]
上記方法で作成した試験サンプルの塗膜を 「JIS K 5600-5-4 ( 1 9 9 9 )」 に 準拠して鉛筆硬度を測定した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価する。
5:鉛筆硬度が2H以上
4:鉛筆硬度がH以上
3:鉛筆硬度がB以上
2:鉛筆硬度が2B以上
1:鉛筆硬度が3B以下
【0136】
[耐薬品性]
上記方法で作成した試験サンプルの塗膜を、99.5%のエタノールを含ませた綿棒で100往復擦り、基材が露出する回数を評価した。3以上を実用上問題ないレベルであると評価する。
5:100回以上
4:75回以上
3:50回以上
2:25回以上
1:24回以下
【0137】
【表8】
【0138】
表8に示すように、着色剤、重合開始剤、ロジン変性ポリエステル化合物、および、(メタ)アクリレート化合物(ロジン変性ポリエステル化合物である場合を除く)を含む活性エネルギー線硬化型インキであって、前記ロジン変性ポリエステル化合物における、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40~80質量%であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インキである実施例1~32は、密着性、鉛筆硬度、耐薬品性のいずれも実用上問題なく良好であった。
ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し40質量%以下の比較例1~3と比較例7~9は、密着性が不良であり、ロジン由来の構造単位の割合が、ロジン変性ポリエステル化合物を構成する全構造単位に対し80質量%以上の比較例4~6は、鉛筆硬度と耐薬品性が不良であった。