(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】癌の治療及び/又は予防用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230905BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20230905BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230905BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
A61K39/395 T ZNA
A61K31/4745
A61K39/395 E
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
(21)【出願番号】P 2019522350
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019014044
(87)【国際公開番号】W WO2019189780
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2018067453
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 文義
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 孝則
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/096535(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/147176(WO,A1)
【文献】特表2018-502892(JP,A)
【文献】JAMA Oncol., 2017, 3(7), pp. 969-973
【文献】GREENSHIELDS, Anna L. et al.,Imiquimod induces reactive oxygen species- and caspase-independent cell cycle arrest and apoptosis in MDA-MB-468 breast cancer cells,Mol Cancer Ther,2009年,Vol. 8, Issue 12, Supplement,Abstract C88
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 31/4745
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療及び/又は予防のための医薬品であって、
CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメントと、イミキモドとを、一緒に又は別々に組み合わせて含み、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列又は、該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントであり、
前記癌は、CAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌であり、
前記抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントが、癌細胞表面上に存在するCAPRIN-1タンパク質の細胞外領域と免疫学的反応性を有する、
医薬品。
【請求項2】
前記抗体又はその
抗原結合フラグメントが、配列番号31~35、296~299、308、309のいずれかで表されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する、請求項
1に記載の医薬品。
【請求項3】
前記抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項
1又は2に記載の医薬品。
【請求項4】
前記抗体又はその
抗原結合フラグメントが以下の(A)~(M)のいずれかである、請求項1~
3のいずれか1項に記載の医薬品。
(A)配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又は
抗原結合フラグメント
(B)配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又は
抗原結合フラグメント
(C)配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又は
抗原結合フラグメント
(D)配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又は
抗原結合フラグメント
(E)配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(F)配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(G)配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(H)配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(I)配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(J)配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(K)配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(L)配列番号301、302及び303の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号305、306及び307の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
(M)配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメント
【請求項5】
前記抗体又はその
抗原結合フラグメントが以下の(a)~(al)のいずれかである、請求項1~
4のいずれか1項に記載の医薬品。
(a)重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(b)重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(c)重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(d)重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(e)重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(f)重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(g)重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(h)重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(i)重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(j)重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(k)重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(l)重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(m)重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(n)重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(o)重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(p)重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(q)重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(r)重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(s)重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(t)重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(u)重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(v)重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(w)重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(x)重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(y)重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(z)重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(aa)重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ab)重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ac)重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ad)重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ae)重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(af)重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ag)重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ah)重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ai)重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(aj)重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(ak)重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
(al)重鎖可変領域が配列番号300のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号304のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はその
抗原結合フラグメント
【請求項6】
前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は単鎖抗体である、請求項1~
5のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項7】
前記癌が、基底細胞癌、バジェット病、皮膚癌、乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫、睾丸癌、甲状腺癌又は頭頸部癌である、請求項1~
6のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項8】
前記イミキモドの剤形が経皮投与型製剤である、請求項1~
7のいずれか1項に記載の医薬品。
【請求項9】
イミキモドを有効成分と
して含有する、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメントを有効成分と
して含有する癌の治療及び/又は予防用医薬組成物の薬効増強剤
であって、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列又は、該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントであり、
前記癌は、CAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌であり、
前記抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントが、癌細胞表面上に存在するCAPRIN-1タンパク質の細胞外領域と免疫学的反応性を有する、
薬剤増強剤。
【請求項10】
CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその
抗原結合フラグメントを有効成分と
して含有する、イミキモドを有効成分と
して含有する癌の治療及び/又は予防用医薬組成物の薬効増強剤
であって、
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列又は、該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントであり、
前記癌は、CAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌であり、
前記抗体又はその抗原結合部位を含むフラグメントが、癌細胞表面上に存在するCAPRIN-1タンパク質の細胞外領域と免疫学的反応性を有する、
薬剤増強剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントとイミキモドを用いた癌の治療及び/又は予防のための医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
癌細胞上の特異的抗原タンパク質を標的にした、各種抗体医薬は、その癌特異性から、副作用が少ない癌治療薬として癌治療に適用されている。例えば、多くの固形癌の細胞膜表面には、Cytopasmic-activation and proliferation-associated protein 1(CAPRIN-1)が発現しており、このCAPRIN-1タンパク質に対する抗体が癌の治療及び/又は予防用医薬用途として有望であることが知られている(特許文献1)。
【0003】
近年、臨床においては、癌治療薬の有効性を高めるため、複数の癌治療薬を併用する治療法が標準的治療法として用いられている。例えば、大腸癌に対しては、イリノテカンとフォリン酸とフルオロウラシルを併用する治療法、乳癌に対しては、ドキソルビシンとシクロフォスファミドを組み合わせた治療法、あるいはパクリタキセルとトラスツマブとベルツスズマブ、胃癌に対してはシスプラチンとフルオロウラシルなどの複数の抗癌剤を用いて治療することが一般的となっている。抗CAPRIN-1抗体を有効成分とする癌治療薬についても、化学療法剤と併用することによる優れた癌治療効果が確認されている(特許文献2)。しかし、化学療法剤どうしの組合せによる癌の治療は、適用されるすべての癌に対して有効であるわけではなく、また、治療効果を相加的に高めることはあっても、相乗的に大幅に治療効果を高めるものは数少ない。
【0004】
イミキモドは、Toll様受容体(TLR)7又は8のアゴニストとして知られている。イミキモドの生体内での主な作用機序は、IFN-αの産生促進を介したウイルス増殖の抑制及び細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞の障害により、ウイルス感染に伴う疾患に対して効果が発揮されると考えられており、本作用機序に基づき、もともと癌の治療薬ではなく尖圭コンジローマ治療薬として承認された塗布剤型の医薬品である。その後、日光角化症、ボーエン病などの表在性の疾患についても有効性が認められている。また、欧米においてイミキモドは、表在性の基底細胞癌への適用も認められており、表在性の皮膚癌(ボーエン病、メラノーマ、皮膚T細胞リンパ腫)の治療に応用されている(非特許文献1)。表在型の基底細胞癌に対する作用機序は、生体内の免疫細胞の一つである単球やマクロファージなどによる自然免疫システムの強い賦活化がメカニズムの一つであると考えられている(非特許文献2)。しかし、イミキモドは一部の癌(表在型の基底細胞癌)に対して用途が認められているのみである。その他、イミキモドは乳房外バジェット病において対症療法として用いられる例が知られており、Cohenらは9例中7例が完全奏功したと報告している(非特許文献3)。
【0005】
また、癌抗体医薬とToll様受容体のアゴニストを含む抗原提示細胞を活性化する因子を併用(combination)することによる癌の治療方法(特許文献3)、抗体医薬を含む標的療法剤(targeted therapeutic)とヒト形質型細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞又はNK細胞を活性化しうる免疫療法剤(immunotherapeutic)の併用(combination)による癌の治療方法(特許文献4)が知られており、前述の抗原提示細胞を活性化する因子及び免疫療法剤の一例としてイミキモドが記載されている。このように、癌抗体医薬とイミキモドの併用(combination)による癌治療方法を示唆する文献はあるものの、これら文献には実際にイミキモドと癌抗体医薬を併用(combination)した場合の癌治療効果に関するデータは示されておらずその有効性は明らかになっていない。むしろ、非ホジキン性リンパ腫の治療のために癌抗体医薬の一種であるリツキシマブ(癌細胞表面に発現するCD20タンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体)の投与履歴のある患者に発生した基底細胞癌に対してイミキモドを投与した場合、イミキモドの抗腫瘍効果が減弱してしまった事例が報告されている(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2010/016526号
【文献】WO2011/096535号
【文献】WO2015/112749号
【文献】WO2016/004875号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Skin Therapy Lett.2002,7,1-6
【文献】British J Dermatol. 2003,149,57-58
【文献】South Med J,2006,99,396-402
【文献】Journal of Medical Case Reports (2016) 10:57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、CAPRIN-1タンパク質を細胞表面に特異的に発現する癌を治療及び/又は予防するための医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の通り、非ホジキン性リンパ腫の治療のために癌抗体医薬の一種であるリツキシマブ(癌細胞表面に発現するCD20タンパク質と特異的に結合するモノクローナル抗体)の投与履歴のある患者に発生した基底細胞癌に対してイミキモドを投与した場合、イミキモドの抗腫瘍効果が減弱してしまった事例が報告されているが、本報告は癌細胞を標的とする癌抗体医薬によってはイミキモドと併用することによってイミキモドの抗腫瘍効果が減弱してしまう可能性を当業者に示唆するものであった。しかしながら、本発明者は鋭意研究の結果、癌細胞と免疫学的反応性を有するCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントとイミキモドとの併用(combination)が、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメント単独あるいは、イミキモド単独に比べて極めて強い抗腫瘍効果を発揮すること、さらにはCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントとイミキモドを併用した場合の抗腫瘍効果の増強効果が、既存の癌抗体医薬とイミキモドを併用した場合の抗腫瘍効果の増強効果と比較して顕著に優れること、加えてCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントとイミキモドを併用した場合の抗腫瘍効果の増強効果が、イミキモドとは異なる既存の抗癌剤を併用した場合の抗腫瘍効果と比較して優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
具体的には、本発明は以下の(1)~(14)の特徴を有する。
【0011】
(1)CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントと、イミキモドとを、一緒に又は別々に組み合わせて含むことを特徴とする、癌の治療及び/又は予防のための医薬品。
【0012】
(2)前記抗体又はそのフラグメントが、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列又は、該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する、(1)に記載の医薬品。
【0013】
(3)前記抗体又はそのフラグメントが、癌細胞表面上に存在するCAPRIN-1タンパク質の細胞外領域と免疫学的反応性を有する、(1)又は(2)に記載の医薬品。
【0014】
(4)前記抗体又はそのフラグメントが、配列番号31~35、296~299、308、309のいずれかで表されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する、(1)~(3)に記載の医薬品。
【0015】
(5)前記抗体がモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、(1)~(4)のいずれかに記載の医薬品。
【0016】
(6)前記抗体又はそのフラグメントが以下の(A)~(M)のいずれかである、(1)~(5)のいずれかに記載の医薬品。
(A)配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(B)配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(C)配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(D)配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はフラグメント
(E)配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(F)配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(G)配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(H)配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(I)配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(J)配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(K)配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(L)配列番号301、302及び303の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号305、306及び307の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント
(M)配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。
【0017】
(7)前記抗体又はそのフラグメントが以下の(a)~(al)のいずれかである、(1)~(6)のいずれかに記載の医薬品。
(a)重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(b)重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(c)重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(d)重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(e)重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(f)重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(g)重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(h)重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(i)重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(j)重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(k)重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(l)重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(m)重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(n)重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(o)重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(p)重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(q)重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(r)重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(s)重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(t)重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(u)重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(v)重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(w)重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(x)重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(y)重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(z)重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aa)重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ab)重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ac)重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ad)重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ae)重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(af)重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ag)重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ah)重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ai)重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(aj)重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(ak)重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント
(al)重鎖可変領域が配列番号300のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号304のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0018】
(8)前記抗体が、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体又は単鎖抗体である、(1)~(7)のいずれかに記載の医薬品。
【0019】
(9)前記癌がCAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面に発現する癌である、(1)~(8)のいずれかに記載の医薬品。
【0020】
(10)前記癌が、基底細胞癌、バジェット病、皮膚癌、乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫、睾丸癌、甲状腺癌又は頭頸部癌である、(1)~(9)のいずれかに記載の医薬品。
【0021】
(11)前記イミキモドの剤形が経皮投与型製剤である、(1)~(10)のいずれかに記載の医薬品。
【0022】
(12)イミキモドを有効成分とする、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントを有効成分とする癌の治療及び/又は予防用医薬組成物の薬効増強剤。
【0023】
(13)CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントを有効成分とする、イミキモドを有効成分とする癌の治療及び/又は予防用医薬組成物の薬効増強剤。
【0024】
(14)CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントと、イミキモドとを、一緒に又は別々に、被験者に投与することを特徴とする、癌の治療及び/又は予防のための方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメントとイミキモドとの併用は、CAPRIN-1タンパク質に対する抗体単独ならびにイミキモド単独に比べて強い抗腫瘍効果を発揮するだけでなく、既存の癌に対する抗体医薬とイミキモドとの併用よりも優れた抗腫瘍効果を示す。さらに本発明に係るCAPRIN-1タンパク質に対する抗体とイミキモドとの併用は、既存化学療法剤とCAPRIN-1タンパク質に対する抗体との併用に比べて強い抗腫瘍効果を示す。したがってCAPRIN-1タンパク質に対する抗体とイミキモドとの併用は癌の治療や予防に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明で用いられるCAPRIN-1タンパク質に対する抗体又はそのフラグメント(以下、「抗CAPRIN-1抗体」という。)とイミキモドとの併用による抗腫瘍活性は、後述するように生体内で担癌動物に対する腫瘍増殖の抑制を調べることによって評価することができる。
【0027】
本明細書において、「併用」あるいは「組合せ」とは、抗CAPRIN-1抗体とイミキモドを同一生体へと同時あるいは所定の間隔をおいてそれぞれ独立した有効成分として投与されることを指す。その間隔は、同時投与であってもよく、30分後、あるいは1時間後、3時間後、6時間後、12時間後、1日後、3日後、5日後、7日後、2週間後、3週間後、4週間後であってもよい。抗CAPRIN-1抗体あるいはイミキモドが生体内にてその活性を示すときに、いずれか一方が投与されれば良い。また、抗CAPRIN-1抗体が先に投与されても良く、イミキモドが先に投与されるものであっても良い。
【0028】
本発明に係る抗CAPRIN-1抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってもよく、好ましくはモノクローナル抗体であり、本発明の抗体が、抗腫瘍活性を発揮しうる限り、いかなる種類の抗体であってもよく、抗体は組換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト動物抗体である。
【0029】
また、本発明における癌の治療及び/又は予防の対象である被験者は、ヒト、ペット動物、家畜類、競技用動物等の哺乳動物であり、好ましい被験者はヒトである。
【0030】
以下に本発明に関する、抗CAPRIN-1抗体、イミキモド、それらを有効成分として含む医薬品並びに癌の治療及び/又は予防方法について説明する。
【0031】
<抗CAPRIN-1抗体>
本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体と免疫学的反応性を有する抗原の具体例である、配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質のうち、配列番号6、8、10、12及び14で示されるアミノ酸配列はイヌのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号2及び4で示されるアミノ酸配列はヒトのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号16で示されるアミノ酸配列はウシのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号18で示されるアミノ酸配列はウマのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号20~28で示されるアミノ酸配列はマウスのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列であり、配列番号30で示されるアミノ酸配列はニワトリのCAPRIN-1タンパク質のアミノ酸配列である。
【0032】
また、本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体は、前記配列番号2~30のうち偶数の配列番号のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上の配列同一性を有するCAPRIN-1タンパク質のバリアントと免疫学的反応性を有するものであってもよい。ここでいう「%配列同一性」は、2つの配列を、ギャップを導入してか又はギャップを導入しないで、最大の類似度となるようにアラインメント(整列)したとき、アミノ酸(又は塩基)の総数に対する同一アミノ酸(又は塩基)のパーセンテージ(%)を意味する。
【0033】
本発明において抗CAPRIN-1抗体とは、CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメントを意味する。ここで、「免疫学的反応性」とは、生体内で抗体とCAPRIN-1タンパク質又はその部分ポリペプチドとが結合する特性を意味する。
【0034】
本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、モノクローナル抗体あるいはポリクローナル抗体であっても良い。
【0035】
CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有するポリクローナル抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体)は、例えば天然のCAPRIN-1タンパク質、あるいはGSTなどとの融合タンパク質、又はその部分ペプチドをマウス、ヒト抗体産生マウス、ラット、ウサギ、ニワトリなどに免疫し、血清を得る。得られた血清を硫安沈殿、プロテインA、プロテインG、DEAEイオン交換カラム、CAPRIN-1タンパク質や部分ペプチドを結合させたアフィニティーカラムなどにより得ることができる。
【0036】
上記免疫に用いるCAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片は、CAPRIN-1及びそのホモログの塩基配列及びアミノ酸配列は、例えば、GenBank(米国NCBI)にアクセスし、BLAST、FASTA等のアルゴリズム(Karlin and Altschul, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:5873-5877,1993; Altschul et al., Nucleic Acids Res. 25:3389-3402, 1997)を利用することによって入手することができる。また、そのCAPRIN-1タンパク質の作製方法はWO2014/012479を参照することによって得ることができるし、CAPRIN-1タンパク質を発現する細胞等を用いることもできる。
【0037】
CAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有するモノクローナル抗体(抗CAPRIN-1モノクローナル抗体)は、例えば、CAPRIN-1を発現する乳癌細胞SK-BR-3やCAPRIN-1タンパク質の全長あるいはその断片などをマウスに投与して免疫し、同マウスより分離した脾臓細胞とミエローマ細胞を融合し、得られた融合細胞(ハイブリドーマ)から抗CAPRIN-1モノクローナル抗体を産生するクローンを選択することで得ることができる。選択されたハイブリドーマから産生される抗体は、前述したポリクローナル抗体の精製方法と同様の方法で得ることができる。
【0038】
本発明に用いる抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト動物抗体が含まれる。
【0039】
ヒト抗体は、EBウイルスに感染したヒトリンパ球を、タンパク質、タンパク質発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来のU266細胞などのミエローマ細胞と細胞融合させ、得られた融合細胞からCAPRIN-1タンパク質の全長又はその断片と免疫学的反応性を有する抗体を得ることができる。
【0040】
ヒト化抗体とは、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称される改変抗体である。ヒト化抗体は、免疫動物由来の抗体の相補性決定領域を、ヒト抗体の相補性決定領域へ移植することによって構築される。その一般的な手法としての遺伝子組換え手法もよく知られた技術である。具体的には、例えば、マウス抗体、ウサギ抗体の相補性決定領域とヒト抗体のフレームワーク領域を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAを、ヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結して、発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入して産生させることによって得られる(欧州特許出願公開第EP239400、国際公開番号WO96/02576を参照)。相補性決定領域を介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域におけるフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato K.et al., Cancer Research 1993, 53: 851-856)。また、様々なヒト抗体由来のフレームワーク領域に置換してもよい(WO99/51743を参照)。
【0041】
抗体は、通常少なくとも2本の重鎖及び2本の軽鎖を含むヘテロ多量糖タンパク質である。抗体は、2本の同一の軽鎖及び、2本の同一の重鎖で構成される。重鎖は一方の端に重鎖可変領域を有し、それにいくつかの定常領域が続く。軽鎖は一方の端に軽鎖可変領域を有し、それにいくつかの定常領域が続く。可変領域は相補性決定領域(CDR)と呼ばれる特定の可変領域を示して抗体に結合特異性を付与する。可変領域に相対的に保存されている部分はフレームワーク領域(FR)と呼ばれている。完全な重鎖及び軽鎖の可変領域は、それぞれ3つのCDR(CDR1~CDR3)により連結された4つのFRを含む。
【0042】
なお、ヒト由来重鎖及び軽鎖の定常領域及び可変領域の配列は、例えばNCBI(米国:GenBank、UniGene等)から入手可能であり、例えば、ヒトIgG1の重鎖定常領域は、登録番号J00228、ヒトIgG2の重鎖定常領域は、登録番号J00230、ヒト軽鎖κ定常領域については登録番号V00557、X64135、X64133等、ヒト軽鎖λ定常域については、登録番号X64132、X64134等の配列を参照することができる。
【0043】
キメラ抗体は、異なる動物由来の配列を組み合わせて作製される抗体であり、例えば、マウス抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域とヒト抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の定常領域からなる抗体等である。キメラ抗体の作製は公知の方法を用いて行うことができ、例えば、抗体V領域をコードするDNAとヒト抗体のC領域をコードするDNAを連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得られる。
【0044】
非ヒト動物抗体は、公知の方法に従って、感作抗原を動物に免疫する、一般的な方法として、感作抗原をマウスなどの動物の腹腔内又、皮内あるいは皮下に注射することにより得られる。感作抗原を注射する際には、CFA(フロイント完全アジュバント)をはじめとする各種アジュバントと適量混合して動物に複数回投与する。動物を免疫し、血清中に抗CAPRIN-1抗体が含まれていることを確認した後に血清を得て、前述の通り、硫安沈殿、プロテインA、プロテインG、DEAEイオン交換カラム、CAPRIN-1タンパク質や部分ペプチドを結合させたアフィニティーカラムなどにより得ることができる。また、非ヒト動物からモノクローナル抗体を得る場合には、免疫した動物から免疫細胞を採取し、ミエローマ細胞と細胞融合に付することで得ることができる。前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は公知の方法に準じて行うことができる(Kohler,G.and Milstein,C. Methods Enzymol.(1981)73,3-46を参照)。
【0045】
本発明で用いる抗体は、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入して、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体としても得ることができる(Carl, A.K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990を参照)。
【0046】
本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、可変領域(例えばFR)や定常領域中のアミノ酸を他のアミノ酸に置換されたものであってもよい。アミノ酸置換は、1もしくは複数個、例えば15未満、10未満、8以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下のアミノ酸、好ましくは1~9アミノ酸の置換であり、置換された抗体は、未置換抗体に比べて、抗原へ特異的に結合する性質、抗原への結合親和性が同等あるいはそれ以上であり、ヒトへの適用時に拒絶反応を起こさない抗体であるべきである。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換が望ましく、これは、電荷、側鎖、極性、芳香族性などの性質の類似するアミノ酸間の置換である。性質の類似したアミノ酸は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン、ヒスチジン)、酸性アミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)、無電荷極性アミノ酸(グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン)、無極性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、アラニン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン)、分枝鎖アミノ酸(トレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン)などに分類しうる。
【0047】
本発明で用いる抗CAPRIN-1抗体は、癌細胞表面上のCAPRIN-1タンパク質との結合親和性が高いほうが、より強い抗腫瘍効果が期待できる。結合定数(親和定数)Ka(kon/koff)が、好ましくは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5×108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5×109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5×1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5×1011M-1、少なくとも1012M-1、あるいは、少なくとも1013M-1であることが望ましい。
【0048】
本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、化学的に修飾されていてもよく、そのような抗体修飾物としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、抗腫瘍性化合物(例えば、下記に例示の抗腫瘍剤)等の各種分子と結合した抗体を挙げることができる。本発明の抗体修飾物においては、結合される物質は限定されない。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野において既に確立されている。 本発明に用いる抗CAPRIN-1抗体は、抗体の重鎖定常領域のアミノ酸を1個、2個もしくは数個置換する、あるいは、重鎖定常領域に結合するN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに結合しているフコースを除去することで、抗CAPRIN-1抗体のエフェクター細胞に対する結合力を向上させることができる。上記はアミノ酸置換単独であってもよいし、また、フコースが結合している抗体との組成物であってもよい。
【0049】
重鎖定常領域のアミノ酸を1個、2個もしくは数個置換された抗体は、例えばWO2004/063351、WO2011/120135、米国特許8388955、WO2011/005481、米国特許6737056、WO2005/063351を参照して作製することができる。
【0050】
重鎖定常領域中のN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに付加しているフコースが除去された抗体又はその産生細胞は、米国特許6602684号、欧州特許1914244、米国特許7579170を参照して作製することができる。重鎖定常領域に結合するN-グリコシド結合糖鎖中のN-アセチルグルコサミンに結合しているフコースを除去した抗体とフコースが結合している抗体の組成物又はその産生細胞は、例えば米国特許8642292号を参照して作製することができる。
【0051】
本発明で用いられる抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体、抗CAPRIN-1モノクローナル抗体、抗体の作製方法、精製方法ならびに免疫に用いるCAPRIN-1タンパク質あるいはその部分ポリペプチドの作製方法は、WO2010/016526、WO2011/096517、WO2011/096528、WO2011/096519、WO2011/096533、WO2011/096534、WO2011/096535、WO2013/018886、WO2013/018894、WO2013/018892、WO2013/018891、WO2013/018889、WO2013/018883、WO2013/125636、WO2013/125654、WO2013/125630、WO2013/125640、WO2013/147169、WO2013/147176ならびにWO2015/020212を参照して得ることができる。
【0052】
本発明における抗CAPRIN-1抗体の具体例としては、前述のWO2010/016526、WO2011/096517、WO2011/096528、WO2011/096519、WO2011/096533、WO2011/096534、WO2011/096535、WO2013/018886、WO2013/018894、WO2013/018892、WO2013/018891、WO2013/018889、WO2013/018883、WO2013/125636、WO2013/125654、WO2013/125630、WO2013/125640、WO2013/147169、WO2013/147176ならびにWO2015/020212に記載の抗CAPRIN-1抗体が挙げられるが、好ましい抗CAPRIN-1抗体としては以下のものが挙げられる。
【0053】
配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列あるいは該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、よりさらに好ましくは99%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。
【0054】
配列番号31で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号36、37及び38の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号40、41及び42の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号140、141及び142の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号143、144及び145の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号164、165及び166の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号167、168及び169の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号39のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号43のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0055】
配列番号33で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号60、61及び62の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号64、65及び66の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号63のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号67のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0056】
配列番号32で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号52、53及び54の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号56、57及び58の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号55のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0057】
配列番号34で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号170、171及び172の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号173、174及び175の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号176、177及び178の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号179、180及び181の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0058】
配列番号35で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、配列番号182、183及び184の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号185、186及び187の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント、あるいは、配列番号188、189及び190の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号191、192及び193の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント、あるいは、重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0059】
配列番号44、45及び46の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号48、49及び50の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは、重鎖可変領域が配列番号47のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号51のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0060】
配列番号296で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号146、147及び148の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号149、150及び151の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0061】
配列番号297で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号272、273及び274の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号275、276及び277の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0062】
配列番号298で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号290、291及び292の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号293、294及び295の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0063】
配列番号299で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号301、302及び303の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号305、306及び307の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号300のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号304のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0064】
配列番号308で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0065】
配列番号309で表されるアミノ酸配列又は該アミノ酸配列と80%以上(好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上)の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するCAPRIN-1タンパク質の部分ポリペプチドと免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。好ましくは配列番号134、135及び136の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖可変領域と配列番号137、138及び139の相補性決定領域(それぞれCDR1、CDR2及びCDR3)を含む軽鎖可変領域とを含み、かつ、CAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗体又はそのフラグメント。より好ましくは、重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0066】
また、以下の抗CAPRIN-1抗体も好ましく用いられる。
【0067】
重鎖可変領域が配列番号68のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号69のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0068】
重鎖可変領域が配列番号70のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号71のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0069】
重鎖可変領域が配列番号72のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号73のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0070】
重鎖可変領域が配列番号74のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号75のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0071】
重鎖可変領域が配列番号76のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号77のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0072】
重鎖可変領域が配列番号78のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号79のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0073】
重鎖可変領域が配列番号80のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号81のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0074】
重鎖可変領域が配列番号82のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号83のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0075】
重鎖可変領域が配列番号84のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号85のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0076】
重鎖可変領域が配列番号86のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号87のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0077】
重鎖可変領域が配列番号88のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号89のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0078】
重鎖可変領域が配列番号90のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号91のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0079】
重鎖可変領域が配列番号92のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号93のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0080】
重鎖可変領域が配列番号94のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号95のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0081】
重鎖可変領域が配列番号96のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号97のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0082】
重鎖可変領域が配列番号98のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号99のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0083】
重鎖可変領域が配列番号100のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号101のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0084】
重鎖可変領域が配列番号102のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号103のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0085】
重鎖可変領域が配列番号104のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号105のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0086】
重鎖可変領域が配列番号106のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号107のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0087】
重鎖可変領域が配列番号108のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号109のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0088】
重鎖可変領域が配列番号110のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号111のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0089】
重鎖可変領域が配列番号112のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号113のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0090】
重鎖可変領域が配列番号114のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号115のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0091】
重鎖可変領域が配列番号116のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号117のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0092】
重鎖可変領域が配列番号118のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号119のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0093】
重鎖可変領域が配列番号120のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号121のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0094】
重鎖可変領域が配列番号122のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号123のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0095】
重鎖可変領域が配列番号124のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号125のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0096】
重鎖可変領域が配列番号126のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号127のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0097】
重鎖可変領域が配列番号128のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号129のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0098】
重鎖可変領域が配列番号130のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号131のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0099】
重鎖可変領域が配列番号132のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号133のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0100】
重鎖可変領域が配列番号300のアミノ酸配列を含み、かつ、軽鎖可変領域が配列番号304のアミノ酸配列を含んでなる抗体又はそのフラグメント。
【0101】
後述の実施例では、CAPRIN-1タンパク質の全長、癌細胞の細胞膜表面に発現する領域の一部のポリペプチドに対する上記ポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体とイミキモドを組み合わせることにより、担癌生体内でその強い抗腫瘍効果が確認された。
【0102】
<イミキモド>
本発明に係るイミキモドは、CASナンバー99011-02-6で表される分子量約240.3の化合物であり、Toll様受容体(TLR)7あるいは8に結合するアゴニストである。イミキモドのIUPAC名は4-amino-1-(2-methylpropyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolineであり、別な記述として、R837、S-26308、1-(2-METHYLPROPYL)-1H-IMIDAZO[4,5-C]QUINOLIN-4-AMINE;4-amino- 1-isobutyl-1h-imidazo[4,5-c]quinoline、1-isoButyl-1H-Inudazole[4.5-c]quinoline-4-amine;1-(2-Methylpropyl)-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-4-amineで表される。
【0103】
イミキモドは当業者に公知の手法により化学合成することで得てもよいが、イミキモドを有効成分とする医薬品として日本では“ベセルナクリーム5%”、欧米では“Aldara(登録商標)Cream,5%”が上市されており、本発明においてイミキモドを利用する際にはこれら医薬品を適宜利用することができる。
【0104】
<その他抗腫瘍剤>
本発明の医薬品の有効成分としては、本発明の医薬品としての効果を阻害しない範囲において前記抗CAPRIN-1抗体及びイミキモドの他に、文献等で公知の抗腫瘍剤を含んでいてもよい。公知の抗腫瘍剤としては特に制限はないが、具体例としては、パクリタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、シクロフォスファミド、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、チオテパ、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン、ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、ウレドーパ(uredopa)、アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethilenethiophosphoramide)、トリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)、ブラタシン、ブラタシノン、カンプトセシン、ブリオスタチン、カリスタチン(callystatin)、クリプトフィシン1、クリプトフィシン8、ドラスタチン、ズオカルマイシン、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコジクチン(sarcodictyin)、スポンジスタチン、クロランブシル、クロロナファジン(chloRNAphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード、カルムスチン、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、カリケアマイシン(calicheamicin)、ダイネマイシン、クロドロネート、エスペラマイシン、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(adriamycin)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンC、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)、デノプテリン(denopterin)、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)、フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine);アンドロゲン類、例えばカルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、フロリン酸(frolinic acid)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン(amsacrine)、ベストラブシル(bestrabucil)、ビサントレン(bisantrene)、エダトラキセート(edatraxate)、デフォファミン(defofamine)、デメコルシン(demecolcine)、ジアジコン(diaziquone)、エルフォルニチン (elfornithine)、酢酸エリプチニウム(elliptinium)、エポチロン(epothilone)、エトグルシド(etoglucid)、レンチナン、ロニダミン(lonidamine)、メイタンシン(maytansine)、アンサミトシン(ansamitocine)、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトキサントロン、モピダンモール(mopidanmol)、ニトラエリン(nitraerine)、ペントスタチン、フェナメット(phenamet)、ピラルビシン、ロソキサントロン(losoxantrone)、ポドフィリン酸(podophyllinic acid)、2-エチルヒドラジド、プロカルバジン、ラゾキサン(razoxane)、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム(spirogermanium)、テニュアゾン酸(tenuazonic acid)、トリアジコン(triaziquone)、ロリジン(roridine)A、アングイジン(anguidine)、ウレタン、ビンデシン、ダカーバジン、マンノムスチン(mannomustine)、ミトブロニトール、ミトラクトール(mitolactol)、ピポブロマン(pipobroman)、ガシトシン(gacytosine)、ドキセタキセル、クロランブシル、ゲムシタビン(gemcitabine)、6-チオグアニン、メルカプトプリン、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ビンブラスチン、エトポシド、イホスファミド、マイトキサントロン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ノバントロン(novantrone)、テニポシド、エダトレキセート(edatrexate)、ダウノマイシン、アミノプテリン、キセローダ(xeloda)、イバンドロナート(ibandronate)、イリノテカン、トポイソメラーゼインヒビター、ジフルオロメチロールニチン(DMFO)、レチノイン酸、カペシタビン(capecitabine)、並びにそれらの薬学的に許容可能な(公知の)塩又は(公知の)誘導体を包含する。
【0105】
<本発明の抗腫瘍効果>
本発明の抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの組合せは、インビボで細胞障害活性を有する。よって本発明の抗腫瘍効果は、癌に対する細胞障害活性を調べることによって知ることが可能である。細胞障害活性は、癌を有する生体へ抗CAPRIN-1とイミキモドを投与し、投与後の腫瘍の大きさを計測して、癌の大きさを経時的に調べる事によって評価できる。また、本発明の抗腫瘍効果は、生存率を調べることによっても評価できる。また、サイトカインあるいはケモカインの産生能を調べる事によっても評価できる。本発明にある抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの組み合わせによる抗腫瘍効果は、さらに癌の予防、転移の予防あるいは再発の予防を調べることによって知ることができる。
【0106】
本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体は、癌細胞表面上のCAPRIN-1タンパク質との結合親和性が高いほうが、より強い抗腫瘍効果が期待できる。結合定数(親和定数)Ka(kon/koff)が、好ましくは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも5×108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも5×109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも5×1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも5×1011M-1、少なくとも1012M-1、あるいは、少なくとも1013M-1であることが望ましい。
【0107】
本発明で用いられる抗CAPRIN-1抗体がCAPRIN-1に結合する能力は、例えば、ELISA法、ウエスタンブロット法、免疫蛍光及びフローサイトメトリー法等を用いた結合アッセイを利用して特定することができる。
【0108】
本発明にある抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの組合せによる癌生体内への投与は、前述の通り抗CAPRIN-1抗体単独よりも抗腫瘍効果が増強するが、その増強率は、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらにより好ましくは55%以上、さらにより好ましくは60%以上、さらにより好ましくは65%以上、最も好ましくは70%以上である。本発明にある抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの組合せ投与の抗CAPRIN-1抗体単独投与に対する抗腫瘍効果の増強率は、それぞれ有効量を担癌マウスに同条件で投与し、投与開始後、7日目以降における腫瘍体積を比較することで算出することができる。
【0109】
<癌の治療及び/又は予防のための医薬品>
本発明の医薬品は癌の治療及び/又は予防を目的とする。本発明の医薬品が標的とする癌は、CAPRIN-1タンパク質を発現する癌(細胞)であれば特に限定されない。
【0110】
本明細書で使用される「治療」とは前述の抗腫瘍効果に基づく癌の治療を意味する。また、本明細書で使用される「予防」とは、癌の発生の予防だけではなく、癌の転移又は再発の予防を意味する。
【0111】
本明細書で使用される「腫瘍」及び「癌」という用語は、悪性新生物を意味し、互換的に用いられる。
【0112】
本発明において対象となる癌としては、CAPRIN-1タンパク質を細胞膜表面上に発現している癌であればいかなる癌であってもよい。好ましくは前述の基底細胞癌、バジェット病、皮膚癌、乳癌、腎癌、膵臓癌、大腸癌、肺癌、脳腫瘍、胃癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、食道癌、白血病、リンパ腫、肝臓癌、胆嚢癌、肉腫、肥満細胞腫、副腎皮質癌、ユーイング腫瘍、ホジキンリンパ腫、中皮腫、多発性骨髄腫、睾丸癌、甲状腺癌、頭頸部癌である。さらに好ましくは、触診可能な癌、皮下に存在する癌、皮内に存在する癌、表在性の癌、真皮に存在する癌あるいは非実質臓器に存在する癌である。また、これら上記癌は、原発の癌、転移性の癌、転移した癌あるいは再発した癌であってもよい。
【0113】
前記癌は、より具体的には、例えば、ボーエン病、メラノーマ、有棘細胞癌、乳房外パジェット病、菌状息肉症、Sezary症候群、皮膚T/NK細胞リンパ腫、皮膚のみに病変を有するT細胞白血病・リンパ腫、皮膚B細胞リンパ腫(indolent群)、皮膚T細胞リンパ乳線癌、複合型乳腺癌、乳腺悪性混合腫瘍、乳管内乳頭状腺癌、肺腺癌、扁平上皮癌、小細胞癌、大細胞癌、神経上皮組織性腫瘍である神経膠腫、膠芽腫、神経芽腫、脳室上衣腫、神経細胞性腫瘍、胎児型の神経外胚葉性腫瘍、神経鞘腫、神経線維腫、髄膜腫、慢性型リンパ球性白血病、リンパ腫、消化管型リンパ腫、消化器型リンパ腫、小~中細胞型リンパ腫、盲腸癌、上行結腸癌、下行結腸癌、横行結腸癌、S状結腸癌、直腸癌、卵巣上皮癌、胚細胞腫瘍、間質細胞腫瘍、膵管癌、浸潤性膵管癌、膵臓癌の腺癌、腺房細胞癌、腺扁平上皮癌、巨細胞腫、膵管内乳頭粘液性腫瘍、粘液性嚢胞腺癌、膵芽腫、膵頭細胞腫、Frants腫瘍、漿液性嚢胞腺癌、固体乳頭状癌、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、インスリノーマ、多発性内分泌腺腫症1(Wermer症候群)、非機能性島細胞腫、ソマトスタチノーマ、VIP産生腫瘍、子宮頸癌、子宮体癌、線維肉腫、骨・関節肉種、ユーイング肉腫、ウィルムス腫瘍、肝芽腫、軟部肉腫、急性白血病、慢性白血病、脊髄腫瘍、軟部悪性腫瘍、奇形腫群腫瘍、頭頸部癌には、下咽頭癌、中咽頭癌、舌癌、上咽頭癌、口腔癌、口唇癌、副鼻腔癌、喉頭癌等が包含されるが、これらに限定されない。また上記癌を原発として、転移や再発することによって、触診可能な癌、皮下に存在する癌、皮内に存在する癌、表在性の癌、真皮に存在する癌あるいは非実質臓器に存在する癌が包含される。
【0114】
また、対象となる好ましい被験者(患者)は、哺乳動物であり、例えば霊長類、ペット動物、家畜類、競技用動物等を含む哺乳動物であり、特にヒト、イヌ及びネコが好ましい。
【0115】
本発明の医薬品は、当業者に公知の方法で製剤化することが可能である。例えば水もしくはそれ以外の薬学的に許容しうる液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、薬理学上許容される担体又は媒体、具体的には、減菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、芳香剤、賦形剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な用量が得られるようにするものである。
【0116】
注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80(TM)、HCO-60と併用してもよい。油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させればよい。
【0117】
投与は、経口又は非経口であり、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、腫瘍内注射などにより全身又は局部的に投与することができる。経皮投与型の例としては、例えば、塗布剤あるいは外用薬と呼ばれるものである。外用薬としては、固形剤、液剤、スプレー剤、軟膏剤、クリーム剤、あるいはゲル剤が挙げられる。
【0118】
また、患者の年齢、体重、性別、症状などにより適宜投与方法を選択することができる。抗体又は抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する医薬組成物の投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001~100000mg/bodyの範囲、あるいは、例えば患者の体重1kgあたり、1mgから30mgで投与量を選ぶことができるが、これらの数値に必ずしも制限されるものではない。投与量、投与方法は、患者の体重、年齢、性別、症状などにより変動するが、当業者であれば適宜選択することが可能である。
【0119】
なお、イミキモドは経皮投与型の抗癌剤としての有効性が確認されており、その結果に基づき、Aldara(登録商標)(Imiquimod)Cream,5%の販売名で抗癌剤として上市されているため、イミキモドを患者に投与する際の剤形としては経皮投与型、好ましくはクリーム型の製剤であることが好ましい。また、イミキモドを被験者に投与する場合は、“Aldara(登録商標)Cream,5%”の添付文書に記載の用法・用量に従って投与してもよい。
【0120】
<投与方法>
本発明の癌の治療及び/又は予防のための医薬品による癌の治療及び/又は予防は、前述の医薬品として投与することの他に様々な形式を含む。例えば、本発明の医薬品の各有効成分は、同時に、又は順序に従って個別に投与することができる。具体例として、約3週間までの時間間隔内で、すなわち1番目の有効成分を投与した直後から約3週間までに2番目の有効成分を投与することができる。その際、外科的処置に引き続いて実施しても、1番目の薬剤と2番目の薬剤の投与間に外科的処置を実施してもよい。また、本発明の癌の治療及び/又は予防剤を、複数の投与サイクルに従って投与してもよい。例えば、本発明の癌の治療及び/又は予防剤の各有効成分の同時投与を実施した場合、両方の有効成分を含む医薬組成物を約2日から約3週間を1サイクルとして投与する。その後は該治療サイクルを担当する医師の判断に従って、必要に応じて繰り返すことも可能である。同様に順序に従った処方を計画する場合、それぞれの個々の薬剤の投与期間が同じ期間に及ぶように調節する。サイクル間の間隔は0~2ヶ月まで変えることができる。本発明の癌の治療及び/又は予防剤の各有効成分の投与量は、医薬組成物での各有効成分の投与量と同様に設定することができる。
【0121】
<製薬キット>
本発明の癌の治療及び/又は予防用の医薬品は、製薬キットの形態であってもよい。製薬キットとは、癌を治療及び/又は予防する方法において、有効成分を別個の医薬組成物の形態で使用するためのパッケージであり、該パッケージには各有効成分を投与するための指示書が含まれる。製薬キットに含まれる癌の治療及び/又は予防用の上記医薬組成物の各有効成分は、各有効成分を一緒に又は別々に投与できるようにそれぞれが上記の通り製剤化された医薬組成物の形態でありうる。また、製薬キットには、各有効成分を上記投与方法に従って投与できるよう、1つ又は複数回の用量に十分な量の有効成分が含まれる。
【0122】
上で具体的に説明した内容に基づいて、本発明はさらに、本発明の上記医薬品を、癌をもつと疑われる被験者に投与することを含む、癌の治療及び/又は予防のための方法を提供する。また、その実施形態において、上記医薬品に含まれる、抗体又はそのフラグメント及び抗腫瘍剤は、同時に又は別々に、上記被験者に投与される。
【実施例】
【0123】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの具体例によって制限されないものとする。
【0124】
実施例1 抗CAPRIN-1抗体の作製
本発明に用いるCAPRIN-1タンパク質と免疫学的反応性を有する抗CAPRIN-1抗体は以下の様に作製したものを用いた。
【0125】
(ポリクローナル抗体)
WO2010/016526の実施例3に従って作製したヒトCAPRIN-1組換えタンパク質1mgを等容量の不完全フロイントアジュバント(IFA)溶液と混合し、これを2週間毎に4回、ウサギの皮下に投与を行った。その後血液を採取し、ポリクローナル抗体を含む抗血清を得た。さらにこの抗血清をプロテインG担体(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を用いて精製し、PBS(-)に置換して、CAPRIN-1タンパク質に対するポリクローナル抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1)を得た。
【0126】
(モノクローナル抗体)
WO2010/016526の実施例3に従って作製したヒトCAPRIN-1組換えタンパク質100μgを等量のMPL+TDMアジュバント(シグマ社製)と混合し、これをマウス1匹当たりの抗原溶液とした。抗原溶液を6週齢のBalb/cマウス(日本SLC社製)の腹腔内に投与後、1週間毎にさらに3回及び24回投与を行い免疫を完了した。最後の免疫から3日後に摘出したそれぞれの脾臓を滅菌した2枚のスライドガラスに挟んで擦り潰し、PBS(-)(日水社製)を用いて洗浄し1500rpmで10分間遠心して上清を除去する操作を3回繰り返して脾臓細胞を得た。得られた脾臓細胞とマウスミエローマ細胞SP2/0(ATCCから購入)とを10:1の比率にて混和し、そこに37℃に加温した10%FBSを含むRPMI1640培地200μlとPEG1500(ベーリンガー社製)800μlを混和して調製したPEG溶液を加えて5分間静置して細胞融合を行った。1700rpmで5分間遠心し、上清を除去後、Gibco社製のHAT溶液を2%当量加えた15%FBSを含むRPMI1640培地(HAT選択培地)150mlで細胞を懸濁し、96穴プレート(ヌンク社製)の1ウェル当たり100μlずつ、プレート15枚に播種した。7日間、37℃、5%CO2の条件で培養することで、脾臓細胞とミエローマ細胞が融合したハイブリドーマを得た。作製したハイブリドーマが産生する抗体のCAPRIN-1タンパク質に対する結合親和性を指標にハイブリドーマを選抜した。CAPRIN-1タンパク質溶液1μg/mlを96穴プレート1ウェル当たりに100μl添加し、4℃にて18時間静置した。各ウェルをPBS-Tで3回洗浄後、0.5% Bovine Serum Albumin(BSA)溶液(シグマ社製)を1ウェル当たり400μl添加して室温にて3時間静置した。溶液を除いて、1ウェル当たり400μlのPBS-Tでウェルを3回洗浄後、上記で得られたハイブリドーマの各培養上清を1ウェル当たり100μl添加し、室温にて2時間静置した。PBS-Tで各ウェルを3回洗浄した後、PBSで5000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG(H+L)抗体(インビトロジェン社製)を1ウェル当たり100μl添加して室温にて1時間静置した。PBS-Tでウェルを3回洗浄した後、TMB基質溶液(Thermo社製)を1ウェル当たり100μl添加して15~30分間静置して発色反応を行った。発色後、1規定硫酸を1ウェル当たり100μl添加して反応を停止させ吸光度計を用いて450nmと595nmの吸光度値を測定した。その結果、吸光度値が高かった抗体を産生するハイブリドーマを複数個選抜した。選抜したハイブリドーマを96穴プレート1ウェル当たりに0.5個となるようにプレートに添加し培養した。1週間後、ウェル中に単一のコロニーを形成しているハイブリドーマが観察された。それらウェルの細胞をさらに培養して、クローニングされたハイブリドーマが産生する抗体のCAPRIN-1タンパク質に対する結合親和性を指標にハイブリドーマを選抜した。CAPRIN-1タンパク質溶液1μg/mlを96穴プレート1ウェル当たりに100μl添加し、4℃にて18時間静置した。各ウェルをPBS-Tで3回洗浄後、0.5%BSA溶液を1ウェル当たり400μl添加して室温にて3時間静置した。溶液を除いて、1ウェル当たり400μlのPBS-Tでウェルを3回洗浄後、上記で得られたハイブリドーマの各培養上清を1ウェル当たり100μl添加し、室温にて2時間静置した。PBS-Tで各ウェルを3回洗浄後、PBSで5000倍に希釈したHRP標識抗マウスIgG(H+L)抗体(インビトロジェン社製)を1ウェル当たり100μl添加して室温にて1時間静置した。PBS-Tでウェルを3回洗浄した後、TMB基質溶液(Thermo社製)を1ウェル当たり100μl添加して15~30分間静置して発色反応を行った。発色後、1規定硫酸を1ウェル当たり100μl添加して反応を停止させ吸光度計を用いて450nmと595nmの吸光度値を測定した。その結果、CAPRIN-1タンパク質に反応性を示すマウスモノクローナル抗体を複数個得た。
【0127】
さらにフローサイトメトリー法により、CAPRIN-1タンパク質が細胞膜表面で発現していることが確認されているヒト癌細胞への反応性を確認した。陰性コントロールとして前記癌細胞に反応性を示さないマウスIgGコントロール抗体を用いた。確認の結果、前記癌細胞に対して、マウスIgGコントロール抗体に比べて蛍光強度が強く、細胞膜表面にCAPRIN-1が発現している上記癌細胞の細胞膜表面に強く反応するモノクローナル抗体を数個得た。その中から、CAPRIN-1タンパク質に反応性を示すモノクローナル抗体として、WO2013/125630に記載されているCAPRIN-1に対するモノクローナル抗体であって、配列番号114で表される重鎖可変領域のアミノ酸配列と、配列番号115で表される軽鎖可変領域のアミノ酸配列とを含む抗体を選抜した。
【0128】
上記選抜した抗体の重鎖可変領域のCDR1~3を特定し、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む重鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の重鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。同様にして、軽鎖可変領域のCDR1~3を特定し、フレームワーク領域がヒト抗体の配列を含む軽鎖可変領域を発現できるように、塩基配列を設計し、これをヒトIgG1の軽鎖定常領域が挿入された哺乳類発現用ベクターに挿入した。上記2つの組換え発現ベクターを常法に従って哺乳類細胞に導入して、CAPRIN-1に対するヒト化モノクローナル抗体#1(ヒト化抗体#1)を含む培養上清を得た。
【0129】
得られたヒト化抗CAPRIN-1モノクローナル抗体#1を含む培養上清を常法に従ってHitrap Protein A SepharoseFF(GEヘルスケア社製)を用いて精製し、PBS(-)に置換して0.22μmのフィルター(ミリポア社製)で濾過したものを調製した。
【0130】
上記抗CAPRIN-1抗体のCAPRIN-1タンパク質への特異的な反応性は、CAPRIN-1タンパク質をプレートに固相してELISA法を用いて検出して確認された。
【0131】
なお、上記抗CAPRIN-1抗体を用いてフローサイトメトリー法により、細胞膜の透過処理を行っていない癌細胞との反応性を調べることによって、以下の実施例に示すとおり、CAPRIN-1の一部が癌細胞の細胞膜表面に発現していることが確認された。
【0132】
フローサイトメトリー法によって、CAPRIN-1の遺伝子の発現が確認されているヒト癌細胞である、乳癌細胞(BT-474)、大腸癌細胞(HT-29)、肺癌細胞(QG56、H1650)、胃癌細胞(NCI-N87)、子宮癌細胞(HEC-1-A)、前立腺癌細胞(22Rv1)、膵臓癌細胞(Panc10.5)、肝臓癌細胞(Hep3B)、卵巣癌細胞(SKOV3)、腎癌細胞(Caki-2)、脳腫瘍細胞(U-87MG)、膀胱癌細胞(T24)、食道癌細胞(OE33)、白血病細胞(OCI-AML5)、リンパ腫細胞(Ramos)、胆嚢癌細胞(TGBC14TKB)、線維肉腫細胞(HT-1080)、メラノーマ細胞(G-361)、CAPRIN-1の遺伝子の発現が確認されているマウス腎癌細胞(Renca)、マウス乳癌細胞(4T1)のいずれの癌細胞に対してもヒト化抗体#1は、陰性コントロールである癌細胞に対して反応性を示されないヒトIgGコントロール抗体ならびにウサギIgG抗体に比べて蛍光強度が強く、CAPRIN-1が発現している上記癌細胞の細胞膜表面に強く反応することが確認された。
【0133】
実施例2 抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの併用による抗腫瘍効果
次に、実施例1にて作製した抗CAPRIN-1抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1ならびにヒト化抗体#1)とイミキモドとの組み合わせた投与による担癌マウス生体内における抗腫瘍効果を評価した。
【0134】
具体的には、CAPRIN-1タンパク質を発現するヒト由来の癌細胞を皮下へと移植したNOD-SCIDマウスを用いて、本発明にある、抗CAPRIN-1抗体とイミキモドと併用による抗腫瘍効果を検討した。マウス1匹あたり107個のヒト乳癌細胞BT474をマトリゲル(SIGMA)と混合して皮下に移植し、腫瘍が約60mm3になるまで成長させた担癌マウスを作製した。BT474は、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現しており、実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体が細胞膜表面にあるCAPRIN-1の一部に反応することが確認された癌細胞である。上記の担癌マウスの尾静脈へ10匹ずつ実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体をそれぞれ10mg/kgにて一週間に1回ずつ投与した。同じマウスへ、イミキモドは初回の抗CAPRIN-1抗体投与と同時に塗布を開始した。イミキモドを有効成分として含む“ベルセナクリーム5%”(持田製薬株式会社、以下「イミキモドクリーム」という)を一週間に5日間連続して、癌細胞を移植した皮膚の表面へと塗布し、その後2日間は投与を行わず、抗体投与開始から8日目に上記と同様の抗体投与とイミキモドクリームの塗布を行った。
【0135】
比較対照群として、担癌マウスへ、上記と同じ抗CAPRIN-1抗体を同量にて一週間に1回ずつ投与した。さらに比較対照群として、別の担癌マウス個体へ、イミキモドクリームを同様の投与間隔で、癌細胞を移植した皮膚の表面へと塗布した。さらに無治療群の担癌マウスを陰性コントロールとした。投与開始後、担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。
【0136】
評価の結果、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1の投与を開始して45日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、実施例1で作製した抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1ならびにイミキモドクリームを投与された前記担癌マウスでは60%未満であった。比較対照群の担癌マウスにおいては、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1のみを投与した群では78%であり、イミキモドクリームのみを投与した群では69%であった。
【0137】
抗CAPRIN-1モノクローナル抗体であるヒト化抗体#1の投与を開始して48日目において、陰性コントロールの腫瘍体積を100%としたとき、実施例1で作製したヒト化抗体#1ならびにイミキモドクリームを投与された前記担癌マウスでは33%未満であった。比較対照群の担癌マウスにおいては、ヒト化抗体#1のみを投与した群では、65%であった。イミキモドクリームのみを投与した群では69%であった。
【0138】
本評価の結果、CAPRIN-1に対する抗体とイミキモドを組み合わせて投与することによって、抗CAPRIN-1抗体を単独で投与した場合ならびにイミキモドを単独で投与した場合に比べて顕著に強い抗腫瘍効果を有することが示された。
【0139】
実施例3 抗CAPRIN-1抗体と抗癌剤との併用による抗腫瘍効果との比較
次に、実施例1にて作製した抗CAPRIN-1抗体(抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1およびヒト化抗体#1)とイミキモドとの組み合わせた投与による担癌マウス生体内における抗腫瘍効果と、上記抗体とイミキモドとは異なる既存の抗癌剤を併用した場合の抗腫瘍効果を比較評価した。
【0140】
具体的には、CAPRIN-1タンパク質を発現するヒト由来の癌細胞を皮下へと移植したNOD-SCIDマウスを用いて、本発明にある、抗CAPRIN-1抗体とイミキモドと併用による抗腫瘍効果を検討した。マウス1匹あたり107個のヒト乳癌細胞BT474をマトリゲル(SIGMA)と混合して皮下に移植し、腫瘍が約90mm3になるまで成長させた担癌マウスを作製した。BT474は、細胞膜表面にCAPRIN-1タンパク質が発現しており、実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体が細胞膜表面にあるCAPRIN-1の一部に反応することが確認された癌細胞である。
【0141】
抗CAPRIN-1抗体とイミキモドとの併用処置群は、上記の担癌マウスの尾静脈へ10匹ずつ実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体(ヒト化抗体#1)をそれぞれ10mg/kgにて一週間に1回ずつ投与した。さらに同じマウスへ、初回の抗CAPRIN-1抗体投与と同時にイミキモドを癌が存在する部位の皮膚表面へと塗布した。イミキモド有効成分として含む“ベルセナクリーム5%”(持田製薬株式会社、以下「イミキモドクリーム」という)を一週間に5日間連続して、癌細胞を移植した皮膚の表面へと塗布し、その後2日間は投与を行わず、抗体投与開始から8日目に上記と同様の抗体投与とイミキモドクリームの塗布を行った。
【0142】
抗CAPRIN-1抗体と抗癌剤との併用処置群は、作製した担癌マウスの尾静脈へ10匹ずつ実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体(ヒト化抗体#1)をそれぞれ10mg/kgにて一週間に1回ずつ投与した。さらに同じマウスへ、初回抗CAPRIN-1抗体投与と同時に、抗癌剤パクリタキセル、ドセタキセルをそれぞれ7mg/kg、8mg/kgにて1週間に1度、腹腔内へと投与した。
【0143】
比較対照群として、担癌マウスへ、上記と同じ抗CAPRIN-1抗体を同量にて一週間に1回ずつ投与した。投与開始後、担癌マウスの癌の大きさを経時的にノギスを用いて計測し、腫瘍体積は、定法に従い、計算式:(癌の長径の長さ)×(癌の短径の長さ)2×0.5にて算出した。
【0144】
比較評価の結果、ヒト化抗体#1の投与を開始して53日目において、抗CAPRIN-1抗体のみを投与したマウスの腫瘍体積を100%としたとき、実施例1で作製した抗CAPRIN-1抗体ならびにイミキモドクリームを投与された前記担癌マウスでは20%未満であった。一方、パクリタキセルおよびドセタキセルをそれぞれヒト化抗体#1と併用した場合、47%以上であった。
【0145】
同様にして、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1について、上記と同様の比較評価を行った結果、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1の投与を開始して30日目において、抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1のみを投与したマウスの腫瘍体積を100%としたとき、抗CAPRIN-1ポリクロ-ナル抗体#1とイミキモドクリームを併用投与された前記担癌マウスでは46%未満であった。一方、パクリタキセルおよびドセタキセルをそれぞれ抗CAPRIN-1ポリクローナル抗体#1と併用した場合、65%以上であった。
【0146】
本評価の結果、CAPRIN-1に対する抗体とイミキモドを組み合わせて処置した場合の抗腫瘍効果は、CAPRIN-1に対する抗体とイミキモドとは異なる既存の抗癌剤を組み合わせて処置した場合の抗腫瘍効果に比べて、顕著に強い相乗的な抗腫瘍効果を有することが示された。
【配列表】