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特許7342711導電ペースト、導電膜、伸縮性導電膜および電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】導電ペースト、導電膜、伸縮性導電膜および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20230905BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20230905BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20230905BHJP
   C08K 5/37 20060101ALI20230905BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20230905BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20230905BHJP
   H01B 7/06 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
H01B1/22 A
C08K3/08
C08K9/02
C08K5/37
C08L101/02
H01B5/14 Z
H01B7/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020006517
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021114416
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中里 睦
(72)【発明者】
【氏名】大庭 一敏
(72)【発明者】
【氏名】松田 雪恵
(72)【発明者】
【氏名】水野 雄貴
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/108502(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/22
C08K 3/08
C08K 9/02
C08K 5/37
C08L 101/02
H01B 5/14
H01B 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋基を有するエラストマー(A)と、銀粒子または銀被覆粒子(B)と、チオール基含有化合物(C)とを含有する導電ペーストであって、
チオール基含有化合物(C)は、前記エラストマー(A)の架橋基と化学結合し得る反応性官能基(チオール基を除く)を有し、
前記エラストマー(A)とチオール基含有化合物(C)との合計固形分中のチオール基濃度が、0.001~0.250mmol/gであることを特徴とする導電ペースト。
【請求項2】
前記エラストマー(A)の架橋基が、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群より選択される1種以上の架橋基を含むことを特徴とする請求項1記載の導電ペースト。
【請求項3】
前記エラストマー(A)が、末端領域にアミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群より選択される1種以上の架橋基を有することを特徴とする請求項2記載の導電ペースト。
【請求項4】
前記エラストマー(A)の数平均分子量が、10,000~500,000であることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の導電ペースト。
【請求項5】
前記エラストマー(A)のガラス転移温度が、20℃以上の温度領域および20℃未満の温度領域にそれぞれ1つ以上存在することを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の導電ペースト。
【請求項6】
銀粒子または銀被覆粒子(B)が、連鎖状銀粉であって、タップ密度が、2.0g/cm以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の導電ペースト。
【請求項7】
さらに、沸点180℃~270℃の溶剤を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の導電ペースト。
【請求項8】
基材上に、請求項1~7のいずれか記載の導電ペーストを塗布してなる導電膜。
【請求項9】
請求項8に記載の導電膜の基材が、伸縮性を有する基材であることを特徴とする伸縮性導電膜。
【請求項10】
請求項8記載の導電膜または請求項9記載の伸縮性導電膜を有する電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐湿熱性が高く、伸縮可能な電極や配線に好適な導電膜を作製するための導電ペーストに関する。さらに、前記導電ペーストから形成されてなる導電膜、伸縮性導電膜および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業分野において導電材料が用いられており、これらの材料の更なる高機能化に関して種々の提案がなされている。特に近年は、フレキシブル性や伸縮性を備える導電膜の開発が進み、アクチュエータ用途やウェアラブルセンサー用途へ向けた提案がなされている。
特許文献1には、低コストで高い耐久性を有する、伸縮性導電被覆を得るための導電性ペーストが開示されている。表面処理が施されていない銀被覆粒子を用い、さらに特定の添加材を組み合わせることにより、被膜伸長時に高い導電性が得られることが開示されている。
特許文献2には、ブロック共重合体と、特定の銀粉とを組み合わせることによって、
著しく伸縮性が向上した導電体を得ることができる導電性組成物が開示されている。
特許文献3には、塗布または印刷可能であり、さらに伸縮可能で、しかも高導電率の導電性膜を実現することができる優れた導電性ペーストが開示されている。この導電性ペーストによって形成された導電性膜は、有効な導電性のネットワークを形成するために高導電性であり、また導電材料(金属ナノワイヤ)の高いアスペクト比に起因して、伸長時にも導電性ネットワークが破断しないために、伸長時でもその高導電性を保持できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/159374号
【文献】国際公開2017/026130号
【文献】国際公開2015/005204号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生体センシング等のヘルスケア機器、ウェアラブル機器、並びにロボティックスなどの分野の進展に伴い、伸縮性に優れた導電材料が求められている。これら用途では、従来求められていた導電性のみならず、加工時または/および使用時に曲面部や可動部に追随可能な伸縮性が求められる。
【0005】
また、曲面部や可動部に導電材料を用いると、繰り返し伸縮に伴う樹脂の構造破壊によって、樹脂自身にクラックが発生しやすいという問題がある。特に、導電材料の場合には導電材を添加する場合がほとんどであり、伸長収縮の変形時に樹脂から導電材が剥離して樹脂中に空隙(ボイド)が発生し、そこを起点としてクラックが生じやすくなる。その結果、伸縮を重ねるごとに導電性が低下してしまう問題がある。
さらにヘルスケア機器、ウェアラブル機器、並びにロボティックスなどの分野において、高温高湿など過酷な環境下でも機器が作動し続ける必要があるが、高温高湿環境下では塗膜構造が変化しやすく、導電性を低下してしまう問題もある。
【0006】
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、高温高湿環境下を経ても導電性を維持する導電ペースト、前記導電ペーストから形成されてなる導電膜、伸縮性導電膜およびこの伸縮性導電膜を含む電子デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討を重ねたところ、以下の態様において、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、架橋基を有するエラストマー(A)と、銀粒子または銀被覆粒子(B)と、チオール基含有化合物(C)とを含有し、チオール基含有化合物(C)は、前記エラストマー(A)の架橋基と化学結合し得る反応性官能基(チオール基を除く)を有し、前記エラストマー(A)とチオール基含有化合物(C)との合計固形分中のチオール基濃度が、0.001~0.250mmol/gであることを特徴とする導電ペーストに関する。
【0008】
また、発明は、前記エラストマー(A)の架橋基が、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群より選択される1種以上の架橋基を含むことを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0009】
また、発明は、前記エラストマー(A)が、末端領域にアミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群より選択される1種以上の架橋基を有することを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0010】
また、発明は、前記エラストマー(A)の数平均分子量が、10,000~500,000であることを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0011】
また、発明は、前記エラストマー(A)のガラス転移温度が、20℃以上の温度領域および20℃未満の温度領域にそれぞれ1つ以上存在することを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0012】
また、発明は、銀粒子または銀被覆粒子(B)が、連鎖状銀粉であって、タップ密度が、2.0g/cm以下であることを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0013】
また、発明は、さらに、沸点180℃~270℃の溶剤を含有することを特徴とする前記の導電ペーストに関する。
【0014】
また、発明は、基材上に、前記の導電ペーストを塗布してなる導電膜に関する。
【0015】
また、発明は、前記基材が、伸縮性を有することを特徴とする前記の伸縮性導電膜に関する。
【0016】
また、発明は、前記の導電膜または前記の伸縮性導電膜を有する電子デバイスに関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制でき、高温高湿環境下を経ても導電性を維持する導電ペースト、前記導電ペーストから形成されてなる導電膜、伸縮性導電膜およびこの伸縮性導電膜を含む電子デバイスを提供できるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した導電ペースト、導電膜、伸縮性導電膜および電子デバイスの製造方法における実施形態の一例について詳細に説明する。本明細書において特定する数値は、実施形態または実施例に開示した方法により求められる値である。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれる。また、本発明のフィルムは、シート、テープおよびラベルと同義である。また、特に言及しない限り、各種成分は、それぞれ独立に、単独または2種類以上を併用できる。
【0019】
<導電ペースト>
本発明の導電性ペーストは、架橋基を有するエラストマー(A)と、銀粒子または銀被覆粒子(B)と、チオール基含有化合物(C)とを含有し、
チオール基含有化合物(C)は、チオール基と、前記エラストマー(A)の架橋基と水素結合および共有結合を形成しうる官能基を有し、
前記架橋基を有するエラストマー(A)とチオール基含有化合物(C)との合計の固形分中のチオール基濃度が、0.001~0.250mmol/gである。さらに本発明の導電ペーストは溶剤を含んでもよく、
銀粒子または銀被覆粒子(B)がエラストマー(A)および/または溶剤中の全体にわたり、分散されていることを特徴とする。
【0020】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)の架橋基は、チオール基含有化合物(C)の官能基と化学結合すれば特に限定されない。ここでいう化学結合とは、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合をいう。前記エラストマー(A)の架橋基としては、
例えば、アセトアセチル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリレート基および酸無水物基等があげられる。中でも水素結合および共有結合の形成のしやすさおよび導電ペーストの保存安定性の点から、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基および(メタ)アクリレート基からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。上記架橋基は1分子中に1種のみを有するものであってもよいし、1分子中に2種以上を同時に有してもよい。ここで(メタ)アクリレートとは、メタクリレートまたはアクリレートを意味する。
【0021】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)のエラストマーの種類は特に限定されず、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)等の炭化水素系エラストマーやその水添エラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー、ウレタンエラストマー、アクリルエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリイミドエラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。または2種以上のエラストマーを化学的に結合した複合エラストマーでもよい。
これらのなかでは、伸縮性の点からシリコーンエラストマー、ウレタンエラストマー、アクリルエラストマーが好ましく、さらに基材との密着性の点から、ウレタンエラストマーおよびアクリルエラストマーが好ましい。
なお、ここで言うエラストマーとは、弾性の顕著な高分子物質のことであり、張力を受けるとエネルギーの散逸に伴う発熱などがほとんどなく迅速に伸長し、張力を除くとおおよそ元の長さに戻る材料のことである。
【0022】
上記ウレタンエラストマーは、少なくともポリオール成分とイソシアネート成分とが反応して得られる樹脂である。ポリオール成分過剰で反応させれば、樹脂の末端に水酸基を導入することができ、イソシアネート成分過剰で反応させれば、樹脂の末端にイソシアネート基を架橋基として導入することができる。
架橋基を有するポリオール成分とイソシアネート成分とを反応させることにより、ウレタンエラストマーに架橋基を導入することもできる。例えば、3級アミノ基を有するポリオール成分を反応させることにより架橋基となるアミノ基を導入することができ、カルボキシル基を有するポリオール成分を反応させることにより架橋基となるカルボキシル基を導入することができ、(メタ)アクリレート基を有するポリオール成分を反応させることにより架橋基となる(メタ)アクリレート基を導入することができる。
またポリオール成分とイソシアネート成分とが反応して得られるウレタンエラストマーの末端にある水酸基またはイソシアネート基を、さらに反応させることにより架橋基を導入することもできる。例えば、末端のイソシアネート基に、ポリアミンをさらに反応させることにより架橋基となるアミノ基を導入することができ、アミノ基とチオール基を有する化合物をさらに反応させることによりチオール基を導入することができ、水酸基と(メタ)アクリレート基を有する化合物をさらに反応させることにより(メタ)アクリレート基を導入することができる。
【0023】
ウレタンエラストマーとしては、例えば、オレフィン系ポリオールをポリオール成分とするオレフィン系ウレタンエラストマー、エステル系ポリオールをポリオール成分とするエステル系ウレタンエラストマー、エーテル系ポリオールをポリオール成分とするエーテル系ウレタンエラストマー、カーボネート系ポリオールをポリオール成分とするカーボネート系ウレタンエラストマー、ひまし油系ポリオールをポリオール成分とするひまし油系ウレタンエラストマー等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
また、上記ウレタンラストマーは、2種以上の上記ポリオール成分を併用したものであってもよい。
【0024】
上記ポリオール成分の市販品としては、例えば
エポール(出光興産社製)等のオレフィン系ポリオール;
ポリライトRX―4800などのポリライトシリーズ(DIC社製)や、P-1010やP-2050、F-2010などのクラレポリオールシリーズ(クラレ社製)等のエステル系ポリオール;
Pシリーズや、Gシリーズ、EDPシリーズなどのADEKAポリエーテル(ADEKA社製)や、PTGやPTG-Lシリーズ(保土谷化学工業社製)、プレミノールシリーズやプレミノールSシリーズ(AGC社製)等のエーテル系ポリオール;
ベネビオールシリーズ(三菱ケミカル社製)や、クラレポリオールCシリーズ等のカーボネート系ポリオール;
URICシリーズ各種、POLYCASTORシリーズ等のひまし油系ポリオール等が挙げられる。
【0025】
イソシアネート成分としては、
1,3-及び1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び2,6-トリレンジイソシアネート(以下においてTDIと略記することがある。)、粗製TDI、2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下においてMDIと略記することがある。)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート並びにトリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等の直鎖又は分岐脂肪族ポリイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート及びα,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート
上記イソシアネート成分のウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等の変性物が挙げられる。
イソシアネート成分は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
上記アクリルエラストマーは、(メタ)アクリル単量体を含むエチレン性不飽和単量体を熱重合開始剤により重合させて得られる樹脂であるが、架橋基は、例えば以下3つの方法で導入することができる。
1つ目は架橋基を有するエチレン性不飽和単量体を重合する方法であり、例えば、アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合することによりアクリルエラストマーにアミノ基を導入することができ、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体を重合することによりアクリルエラストマーにイソシアネート基を導入することができ、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を重合することによりアクリルエラストマーにエポキシ基を導入することができ、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体を重合することによりアクリルエラストマーにカルボキシル基を導入することができ、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を重合することによりアクリルエラストマーに水酸基を導入することができる。2つ目は上記の架橋基を有するアクリルエラストマーの架橋基をさらに反応させることにより(メタ)アクリレート基またはチオール基を導入することができ、例えば、水酸基を有するアクリルエラストマーの水酸基に対し、イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体のイソシアネート基を反応させることで、アクリルエラストマーに(メタ)アクリレート基を導入することができ、イソシアネート基を含有するエチレン性不飽和単量体を重合して得られるイソシアネート基を含有する重合体中のイソシアネート基に対して、チオール基とアミノ基を有する化合物のアミノ基、またはチオール基と水酸基を有する化合物の水酸基を反応させることによりアクリルエラストマーにチオール基を導入することができる。3つ目は樹脂末端に存在する重合開始剤残基をさらに反応させることによりチオール基を導入することができ、例えば、RAFT剤を用いて重合したアクリルエラストマーの末端に存在するRAFT剤残基に対し、アミン化合物を作用させることによりチオール基へと変換することができ、アクリルエラストマーにチオール基を導入することができる。
【0027】
架橋基を有するエチレン性不飽和単量体は、単独で重合してもよいし、その他のエチレン性不飽和単量体と共重合してもよい。
共重合できるエチレン性不飽和単量体としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート類;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エチル-α-(ヒドロキシメチル)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;
グリシジル(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N , N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド、N , N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N , N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、イソブチル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、及びt-オクチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN 置換型(メタ)アクリルアミド類;
N-メチレンアリルアミン、N-(2,2-ジメチルプロピリデン)アリルアミン、N-(2-フリルメチレン)アリルアミン、N-ベンジリデンアリルアミン、N-(4-メチルベンジリデン)アリルアミン、N-(4-クロロベンジリデン)アリルアミン等のN- アルキレンアリルアミン;
及び、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;
片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー、及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール等の重合性オリゴマー等があげられる。
【0028】
更に、スチレン、α-メチルスチレン、p-ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン、インデン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類を用いてもよい。
【0029】
重合の際、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、任意に0.001~5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。
また、分子量分布やブロック共重合体を合成することを目的にリビング重合によりアクリルエラストマーを得てもよい。リビング重合としては、例えば、原子移動ラジカルリビング重合、可逆的付加開裂連鎖移動型リビング重合、有機テルル化合物を用いたリビング重合、ヨウ素化合物などの有機触媒を用いたリビングラジカル重合などが挙げられる。
リビング重合を用いることで一次構造が制御されたブロック共重合体や星型ポリマー、くし形ポリマーなどを合成することができる。
【0030】
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2 種類以上混合して用いても良いが、最終用途で使用する溶剤であることが好ましい。
【0031】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)の数平均分子量Mnは、後述する実施例に記載された方法で求めることができる。Mnは、10,000~500,000が好ましい。この範囲とすることにより、エラストマー(A)を例えばフィルムに成型した場合、伸縮性と強度を両立することができる。Mnのより好ましい範囲は10,000~400,000であり、さらに好ましい範囲は30,000~300,000である。
【0032】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)が、ガラス転移温度Tgを20℃以上の温度領域および20℃未満の温度領域にそれぞれ1つ以上存在することが、伸縮性に優れ、伸長時にクラックの発生を効果的に抑制できる点から好ましい。より好ましくはTgが、60℃以上180℃以下と、-70℃以上0℃以下の温度領域に1つずつあることが好ましく、さらに好ましくは90℃以上180℃以下と、-60℃以上-30℃以下の温度領域に1つずつあることが好ましい。
【0033】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)とチオール基含有化合物(C)の全固形分中のチオール基濃度は0.001~0.250mmol/gである。チオール基濃度が0.001mmol/g未満であれば、湿熱耐性が得られず、0.250mmol/gより大きくなると、銀の分散性が悪化し、さらに臭気も悪化する。さらに好ましくは、0.015~0.100mmol/gである。
【0034】
本発明で使用する架橋基を有するエラストマー(A)中の架橋基は、エラストマーの化学構造の末端領域にあることが好ましい。架橋基が末端領域にあることで、導電塗膜の伸縮性が向上することがある。ここでいう末端領域とは、末端の元素から30原子以内の領域であることを意味する。
【0035】
次に、本発明で使用する銀粒子または銀被覆粒子(B)を説明する。
銀粒子または銀被覆粒子(B)とは、銀からなる粒子状物質または銀により被覆された導電粒子または非導電粒子であればよい。
上記導電粒子とは、例えば、
金、白金、銅、パラジウム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、
黄銅、青銅、白銅、半田などの合金
カーボン、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブなどの導電性カーボン;
ITO、IZO等の導電性セラミックフィラー;
ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられる。
上記非導電粒子とは、例えば、
アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドなどのプラスチック粒子などが挙げられ、ゴムのように変形可能で柔らかくてもよいし、硬くてもよい。
これら導電粒子または非導電粒子に銀をコートしたりめっきすることにより、銀被覆粒子を得ることができる。
【0036】
本発明で使用する銀粒子または銀被覆粒子(B)の形状は、特に限定されず、例えば、球状、フレーク(鱗片)状、樹枝(デンドライト)状、コイル状(螺旋形状、スパイラル形状含む)、ワイヤ状が挙げられる。樹枝状とは、棒状の主枝から分岐枝が2次元または3次元方向に延びた形状をいう。導電粒子の形状は、導電粒子同士の接触しやすさの観点からフレーク状または/および球状粒子が連鎖状になっているもの(連鎖状銀粉)が好ましい。
【0037】
本発明で使用する銀粒子または銀被覆粒子(B)のタップ密度は、2.0g/cm以下であることが好ましい。タップ密度が2.0g/cm以下であると、導電膜中の銀粉の占有体積が大きくなるので、銀粒子または銀被覆粒子(B)同士の接触点が増え、より導通しやすくなる。
【0038】
本発明で使用する銀粒子または銀被覆粒子(B)の平均粒子径D50は、例えば0.5~50μm程度とすることができる。導電性フィラー同士の接触しやすさの観点からは、1~12μmが好ましく、フィルムの厚みを薄くする観点からは1~6μmが好ましい。
【0039】
本発明で使用する銀粒子または銀被覆粒子(B)に加え、さらに導電性粒子を添加してもよく、例えば、金、白金、銅、パラジウム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉛、錫などの金属、
黄銅、青銅、白銅、半田などの合金、
カーボン、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブなどの導電性カーボン;
ITO、IZO等の導電性セラミックフィラー;
ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリンなどの導電性高分子などが挙げられる。
【0040】
銀粒子または銀被覆粒子(B)、さらに加えてもよい導電性粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0041】
架橋基を有するエラストマー(A)とチオール基含有化合物(C)との全質量に対して、銀粒子または銀被覆粒子(B)の含有率は、導電性の点から50~95質量%であることが好ましく、70~90質量%であることがより好ましい。
【0042】
次に、本発明で使用するチオール基含有化合物(C)について説明する。
チオール基含有化合物(C)は、チオール基、および前記エラストマー(A)の架橋基と化学結合するチオール基以外の反応性官能基を有していればよく、
例えば、エラストマー(A)がアミノ基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはイソシアネート基やエポキシ基、カルボキシル基、(メタ)アクリレート基が挙げられる。
エラストマー(A)がイソシアネート基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはアミノ基やエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基が挙げられる。
エラストマー(A)がエポキシ基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはアミノ基やカルボキシル基が挙げられる。
エラストマー(A)がカルボキシル基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはアミノ基やイソシアネート基、エポキシ基が挙げられる。
エラストマー(A)がヒドロキシ基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはイソシアネート基やカルボキシル基が挙げられる。
エラストマー(A)が(メタ)アクリレート基を有している場合、チオール基含有化合物(C)の官能基としてはアミノ基が挙げられる。
中でも水素結合および化学結合の形成のしやすさの点からアミノ基とカルボキシル基とからなる水素結合や、イソシアネート基と水酸基とからなる化学結合、エポキシ基とカルボキシル基とからなる化学結合、(メタ)アクリレート基とアミノ基による化学結合が好ましく、特にこのましくはアミノ基とカルボキシル基とからなる水素結合である。
チオール基とアミノ基とを有する化合物としては、例えば、システアミンやシステイン、11-アミノー1-ウンデカンチオール、8-アミノー1-オクタンチオール、6-アミノー1-ヘキサンチオール等が挙げられ、
チオール基と水酸基とを有する化合物としては、例えば、メルカプトエタノール、1-チオグリセロール、2-チオグリセロールなどが挙げられる。
チオール基とカルボキシル基とを有する化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプト酪酸、チオリンゴ酸などが挙げられる。
【0043】
本発明の導電ペーストに、所望の印刷方式に応じた印刷適性を付与するため、溶剤を添加することができる。
溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
中でもシルクスクリーン印刷に応じたペーストにするためには、印刷版のメッシュ内部で乾燥し、メッシュが塞がれてしまうことを抑制するため、沸点が180℃以上270℃以下の溶剤を使用することが好ましい。
【0044】
本発明の導電ペーストは、必要に応じてさらに他の成分を含有してもよい。このような他の成分としては、チオール基含有化合物(C)以外の架橋剤、分散剤、耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、シランカップリング剤、可塑剤、難燃剤、保湿剤等が挙げられる。
【0045】
チオール基含有化合物(C)以外の架橋剤 は、前記エラストマー(A) を架橋するために用いられ、例えば、前記エラストマー(A) が有する架橋基と架橋形成しうる反応性官能基を1分子中に2つ以上有するものの中から適宜選択して用いることができる。このような反応性官能基としては、たとえば、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ブロック化イソシアネート基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
架橋剤を用いる場合、エラストマー(A)100質量部に対して、0.05質量部以上30質量部以下用いることが好ましく、1質量部以上25質量部以下用いることがより好ましい。
【0046】
本発明の導電ペーストの製造方法は、前記エラストマー(A) と、銀粒子または銀被覆粒子(B) と、チオール基含有化合物(C)と、必要により用いられるその他の成分とを、溶剤中に混合または分散する方法であればよく、公知の混合手段により混合することにより製造することができる。
【0047】
本発明の導電膜は、基材上に導電ペーストを塗布して得ることができる。導電ペーストの塗布方法は、特に限定されないが、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、コーティング法などの印刷法が挙げられる。
また、塗工後、必要に応じて乾燥を行う。前記乾燥は、熱風オーブンおよび赤外線ヒーター等公知の乾燥機を使用できる。
【0048】
導電ペーストが塗布される基材としては、たとえば、
オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリアミド、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート等の樹脂フィルム;
天然ゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)等の炭化水素系エラストマーやその水添エラストマー、シリコーンエラストマー、フッ素エラストマー、ウレタンエラストマー、アクリルエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリイミドエラストマー等の樹脂エラストマーフィルムなどが挙げられ、
金属箔、紙、不織布等も挙げることができ、これらの積層体であってもよい。
これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらは一軸あるいは二軸に延伸されたものであってもよい。
【0049】
本発明の伸縮性導電膜は、導電ペーストを伸縮性の基材上に塗布して得ることができる。基材は伸縮性を有していれば特に限定されないが、具体例としては、伸縮性プラスチックフィルム、伸縮性繊維が例示できる。伸縮性繊維はテキスタイル生地でもよい。また、基材に凹部を設け、この凹部に伸縮性導体を埋設してもよい。
また導電膜の基材と反対側(表側)に絶縁層(誘電層)を介してクロストークノイズを除去するためのシールド電極層が検出部を覆うように形成されていても良い。また、最外層に電極層(表側電極層や裏側電極層、シールド電極層)を保護するためのオーバーコート層を備えていても良い。
【0050】
本発明の電子デバイスは、導電膜を有し、伸縮性導電膜を有することが好ましい。伸縮性導電膜を用いることにより、導電部に屈曲性、可撓性、伸縮性を付与できる。このため、導電部に屈曲性、可撓性または/および伸縮性が求められる電子デバイス全般に好適に用いられる。例えば、身体やロボットに貼付するセンサー、衣服に内装するウェアラブルセンサー、生体情報取得デバイスに好適である。
【0051】
また、エレクトロニクス分野において、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル配線板、柔軟なトランスデューサ、屈曲性のあるモバイル機器への利用が好適である。また、電磁気で駆動するモータやアクチュエータ、圧電効果を利用したスピーカ、バイブレータ、超音波発生装置等に適用可能である。
【0052】
電子デバイスにおける伸縮性導電膜は、導電性が要求される部材に制限無く利用できる。例えば、配線、電極、導電性接着剤、ビア、電磁波シールドフィルム、熱伝導性フィルムに用いられる。
【0053】
電極を金属層により構成すると導電性は優れるものの、伸縮性がないため、その利用が限定されていた。一方、導電体として伸縮性導電膜を用いることにより、伸縮性を顕著に改善できる。更に、柔軟性を有しており人体の動きにもフィットしやすいという優位点がある。
【0054】
なお、電子デバイスにおいて、伸縮性、屈曲性または/および可撓性が求められる粘着層、保護層などを用いてもよい。
【実施例
【0055】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以降の説明において特に断りが無い場合には、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を意味するものとする。また、溶剤以外は不揮発分換算値である。
【0056】
[数平均分子量(Mn)]
GPC(商品名:GPCV-2000、日本ウォーターズ社製、カラム:TSKgel、α-3000、移動相:10mMトリエチルアミン/ジメチルホルムアミド溶液)を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作成し、数平均分子量(Mn)を測定した。
【0057】
[ガラス転移温度の測定]
ガラス転移温度は、JIS K 7121(2012)プラスチックの転移温度測定方法に準拠して測定を行い、当該JIS 9.3記載の補外ガラス転移開始温度(Tig)により求められる温度でガラス転移温度を求めた。測定には、示差走査熱量計(TAインスツルメント社製、DSC Q2000)を用いた。
【0058】
[チオール基濃度の測定]
乾燥固化したエラストマーとチオール基含有化合物の混合物約1gの重量を予め精秤し、その樹脂が溶解した1.2wt%-ヨウ化カリウム水溶液を100ml、トルエン400ml、ピリジン600mlの混合液を、0.05Nヨウ素のトルエン溶液にて滴定を行った。溶液が黄色になった時点を終点として、以下計算式によりチオール基濃度を求めた。
チオール基濃度(mmol/g)=0.05×(滴定量)×(ヨウ素のトルエン溶液のファクター)/サンプル重量(g)
【0059】
[タップ密度の測定]
タップ密度とは、一定容器中に一定量の粉体を上下に加振しながら入れた後の体積当たりの質量のことであり、JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。具体的には、目盛り付きガラス容器(容量100ml)に、銀粒子または銀被覆粒子(粉体量100g)を採取し、所定のタッピング装置にてタップストローク3mm、タップ回数100回/分の条件にてタップした。
【0060】
(エラストマー製造例1)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)799部とジメチロールブタン酸13部とイソホロンジイソシアネート(IPDI)188部とを仕込み、徐々に昇温し、90℃にて6時間反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認した。固形分が30%になるようにシクロヘキサノン(沸点156℃)を添加することにより、数平均分子量が32,000、ガラス転移温度が-51℃であるカルボキシル基を有するエラストマー(A1)を得た。
【0061】
(エラストマー製造例2)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)888部と、IPDI207部とを仕込み、徐々に昇温し、90℃にて6時間反応させた。固形分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加することにより、数平均分子量が58,000、ガラス転移温度が-58℃である末端領域にイソシアネート基を有するエラストマー(A2)を得た。
【0062】
(エラストマー製造例3)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)888部とIPDI257部とを仕込み、徐々に昇温し、90℃にて6時間反応させた。その後50℃まで冷却した後、3-ジエチルアミノプロピルアミン12部と、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点218℃)1000部を添加し、50℃にて1時間反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認した。固形分が30%になるようにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加することにより、数平均分子量が9,200、ガラス転移温度が-43℃である末端領域にのみアミノ基を有するエラストマー(A3)を得た。
【0063】
(エラストマー製造例4)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(分子量1000)888部とIPDI207部とを仕込み、徐々に昇温し、90℃にて6時間反応させた。その後50℃まで冷却した後、3-ジエチルアミノプロピルアミン6部と、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート1000部を添加し、50℃にて1時間反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認した。固形分が30%になるようにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを添加することにより、数平均分子量が56,000、ガラス転移温度が-42℃である末端領域にのみアミノ基を有するエラストマー(A4)を得た。
【0064】
(エラストマー製造例5)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、アセトン(沸点56℃)2000部を仕込み、徐々に昇温し56℃にて還流を開始した。そこに、ブチルアクリレート(BA)848部と、メチルメタクリレート(MMA)129部と、メタクリル酸(MAA)22部と、アゾイソブチロニトリル(AIBN)2部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間にAIBN1部を添加し、その後1時間ごとにAIBN1部を3回添加し、アセトンの還流温度でさらに3時間反応を行った。その後50℃まで冷却した後、固形分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加することにより、数平均分子量が140,000、ガラス転移温度が-38℃であるカルボキシル基を有するエラストマー(A5)を得た。
【0065】
(エラストマー製造例6)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、アセトン(沸点56℃)2000部を仕込み、徐々に昇温し56℃にて還流が開始した。そこに、ブチルアクリレート(BA)661部と、メチルメタクリレート(MMA)275部と、メタクリル酸(MAA)22部と、アゾイソブチロニトリル(AIBN)2部の混合液を約3時間かけて滴下した。滴下終了後1時間にAIBN1部を添加し、その後1時間ごとにAIBN1部を3回添加し、アセトンの還流温度でさらに3時間反応を行った。その後50℃まで冷却した後、固形分が30%になるようにシクロヘキサノンを添加することにより、数平均分子量が110,000、ガラス転移温度が-11℃であるカルボキシル基を有するエラストマー(A6)を得た。
【0066】
(エラストマー製造例7)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル(RAFT剤、BM1448)21部と、AIBN0.2部と、MMA430部と、MAA20部と、メチルエチルケトン(MEK、沸点79℃)2000部とを仕込み、75℃にて6時間反応させた。次いで、AIBN0.3部と、BA1100部をさらに仕込み、75℃にて10時間反応させた。更に、AIBN0.2部と、MMA430部と、MAA20部とを仕込み、75℃にて7時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥し、固形分が30%になるようにシクロヘキサノンに溶解させることにより、数平均分子量が118,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃の2つである末端領域にのみカルボキシル基を有するエラストマー(A7)を得た。
【0067】
(エラストマー製造例8)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル(RAFT剤、BM1448)11部と、AIBN0.2部と、MMA430部と、MAA20部と、メチルエチルケトン(MEK、沸点79℃)2000部とを仕込み、75℃にて6時間反応させた。次いで、AIBN0.3部と、BA1100部をさらに仕込み、75℃にて10時間反応させた。更に、AIBN0.2部と、MMA430部と、MAA20部とを仕込み、75℃にて7時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥し、固形分が30%になるようにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解させることにより、数平均分子量が56,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃の2つである末端領域にのみカルボキシル基を有するエラストマー(A8)を得た。
【0068】
(エラストマー製造例9)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、BA1500部と、トルエン2000部とを仕込み、110℃まで加熱後、24時間反応させた。4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル(RAFT剤、BM1448)7.0部、AIBN0.04部、MMA430部、MAA20部とをトルエン2000部中で、75℃にて8時間反応させた後、さらにBA320部と、AIBN0.06部を加え、さらに75℃にて16時間反応させることによりカルボキシル基を有する重合体を得た。
その後、室温まで冷却し、濾過、洗浄、および乾燥によって得られたカルボキシル基を有する重合体70.0部をトルエン300部に溶解させ、処理剤としてモノエチルアミン18部を添加し、30℃で18時間攪拌した。1H-NMR分析およびIR分析、メルカプタン滴定分析により、重合体の末端のチオカルボニルチオ基が定量的にメルカプト基に変換されていることを確認した。
【0069】
次いで、重合体100部の末端メルカプト基に対して、脱水トルエン200部、カップリング剤としてイソホロンジイソシアネートの3量体 4.4部、および触媒としてジブチルスズビスイソオクチルチオグリコレート0.01部を添加し、80℃で10時間反応させることによりカップリング反応を行った。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥し、固形分30%となるようにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解させることで、数平均分子量が105,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃の2つである各枝の末端領域にカルボキシル基を有し、枝数が3のエラストマー(A9)を得た。
【0070】
(エラストマー製造例10)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル(RAFT剤、BM1448)21部と、AIBN0.2部と、MMA430部と、グリシジルメタクリレート(GMA)20部と、メチルエチルケトン(MEK、沸点79℃)2000部とを仕込み、75℃にて6時間反応させた。次いで、AIBN0.3部と、BA1100部をさらに仕込み、75℃にて10時間反応させた。更に、AIBN0.2部と、MMA430部と、MAA20部とを仕込み、75℃にて7時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥し、固形分が30%になるようにジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点247℃)に溶解させることにより、数平均分子量が75,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃の2つである末端領域にのみエポキシ基を有するエラストマー(A10)を得た。
【0071】
(エラストマー製造例11)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル(RAFT剤、BM1448)21部と、AIBN0.3部と、MMA430部と、GMA20部と、MEK2000部とを仕込み、75℃にて6時間反応させた。次いで、AIBN0.6部と、BA1100部をさらに仕込み、75℃にて10時間反応させた。更に、AIBN0.3部と、MMA430部と、MAA20部とを仕込み、75℃にて7時間反応させた。その後、室温まで冷却した後、濾過、洗浄、および乾燥し、固形分が30%になるようにジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解させることで末端領域にカルボキシル基を有するプレポリマー溶液を得た。さらに4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル40部と、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート93部をプレポリマー溶液に添加後、80℃まで加熱し、プレポリマー溶液のカルボキシル基と、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルのエポキシ基を6時間反応させることにより、数平均分子量が45,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃の2つである末端領域にのみアクリレート基を有するエラストマー(A11)を得た。
【0072】
(エラストマー製造例12)
撹拌機、還流冷却管、ガス導入管、温度計、滴下ロートを備えた4 口フラスコに、アクリルトリブロック業重合体(ポリ(BA)-ポリ(MMA)-ポリ(BA)、クラレ社製、クラリティLA2330)300部と、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート700部とを仕込み、70℃にて5時間攪拌することにより、固形分30%、数平均分子量が76,000、ガラス転移温度が-55℃と105℃ の2つである架橋基を有さないエラストマー(A12)を得た。
【0073】
(実施例1)
固形分30%のエラストマー(A1)2.25部と、銀粒子または銀被覆粒子(B1)2.7部と、チオール基含有化合物(C1)0.006部とを十分混合することにより実施例1の導電ペーストを得た。
(実施例2~21および比較例1~13)
表1または表2に示された配合処方に変更した以外は、実施例1と同様に、導電ペーストを得た。
(導電ペーストの保存安定性)
得られた導電ペーストを、40℃にて3日保管した後の流動性を確認した。
・流動性の評価基準:
+:流動性に変化がなく、40℃にて3日間保管後もスクリーン印刷が可能
NG:流動性が低下し、40℃にて3日間保管後はスクリーン印刷が不可能
【0074】
<導電膜または伸縮性導電膜の作製>
得られた導電ペーストを、スクリーン印刷で塗布し、80℃で30分間熱処理して、厚みが25μmの導電膜または伸縮性導体を形成した。導電膜作製時はPETフィルム(東洋紡株式会社性コスモシャインA4100、厚み100ミクロンメートル、ここでは基材F2と呼ぶ)を、伸縮性導電膜作製時は伸縮可能なウレタンフィルム(株式会社武田産業社製タフグレイスフィルム、厚み80ミクロンメートル、ここでは基材F1と呼ぶ)を用いて、スクリーン印刷を行うことで、導電膜または伸縮性導電膜を得た。
【0075】
(導電膜の臭気)
得られた導電膜の臭気を官能評価した。
・臭気の評価:
++:無臭
+:わずかに臭気を感じる
NG:強烈な臭気を感じる
【0076】
(導電膜の体積抵抗率)
各実施例および比較例に係る導電膜および伸縮性導電膜の体積抵抗率を測定した。具体的には、導電膜および伸縮性導電膜を幅10mm、長さ140mmにカットして試験片を作製した。表面抵抗測定器(品番:ロレスタAP MCP-T400、プローブ:ASPプローブ(4探針プローブ、三菱ケミカル社製)を用い、温度が25℃および相対湿度が50%の雰囲気中で、JIS K7194に準拠して得られた試験片の体積抵抗率を測定した。
初期状態について以下の基準により評価した。
・初期の評価基準:
+++:2.0×10-4Ω・cm未満
++:2.0×10-4Ω・cm以上、9.9×10-4Ω・cm未満
+:9.9×10-4Ω・cm以上、9.9×10-3Ω・cm未満
NG:9.9×10-3Ω・cm以上
【0077】
(導電膜の湿熱環境下での体積抵抗率の変化)
上記導電膜および伸縮性導電膜に対し、85℃、相対湿度85%の湿熱環境下で10日経過後の体積抵抗率を同様の方法で測定し、初期からの変化率(試験後変化)について、以下の基準により評価した。
[変化率(%)]
=[(試験前の試験片の体積抵抗率)-(試験後の試験片の体積抵抗率)]÷[(試験前の試験片の体積抵抗率)]
+++:変化率が20%以下。
++:変化率が20%を超えて、50%以下。
+:変化率が50%を超えて、100%以下。
NG:変化率が100%を超える。
【0078】
(伸縮性導電膜の伸縮試験での体積抵抗率の変化および外観評価)
各実施例および比較例に係る伸縮性導電膜を20mm×60mmサイズのサンプルとし、その端部をテンシロン引張試験装置に固定して、25℃、相対湿度50%、速度4mm/sの速さで50%まで伸長し、その後2秒保持し、そしてその後4mm/sの速さで除荷し、2秒保持する伸縮サイクルを1000回繰り返し、1000回後の変化率を以下の式により算出した。
[変化率(%)]=[(R1000)-(R0)]÷[(R0)]×100
ここで、R1000は1000回繰り返した伸縮サイクル直後の抵抗値、R0は測定開始前の同フィルムを用いた抵抗値を示す。以下の基準により評価した。
+++:変化率が20%以下。
++:変化率が20%を超えて、50%以下。
+:変化率が50%を超えて、100%以下。
NG:変化率が100%を超える。
【0079】
また、上記1000回収縮後の伸縮性導電膜の外観を試験前の状態と比較して以下の基準により評価した。
++:外観に変化が見られない。
+:外観に一部クラック等の亀裂が僅かに生じている。
NG:外観にひび割れやクラックが完全に生じている。
【0080】
結果を表1および表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
表1、2で使用した銀粒子、銀被覆粒子、チオール基含有化合物は、以下のとおりである。
銀粒子または銀被覆粒子(B1):タップ密度1.4g/cmの連鎖状銀(福田金属箔粉工業株式会社社製、AgC-G)
銀粒子または銀被覆粒子(B2):タップ密度3.3g/cmのフレーク状銀(福田金属箔粉工業株式会社社製、AgC-A)
銀粒子または銀被覆粒子(B3):タップ密度1.1g/cmの箔状銀(福田金属箔粉工業株式会社製、Ag-XF301S)
銀粒子または銀被覆粒子(B4):タップ密度3.3g/cmのフレーク粉(三井金属鉱業株式会社製、1000YP)
チオール基含有化合物(C1):システアミン
チオール基含有化合物(C2):システイン
チオール基含有化合物(C3):チオグリセロール
チオール基含有化合物(C4):チオリンゴ酸
チオール基含有化合物(C5):オクタンチオール(官能基を有さないチオール含有化合物)
【0084】
表1、2に示すように、本発明の導電ペーストを用いて作成した実施例1~21の導電ペーストは保存安定性に優れ、導電膜または伸縮性導電膜は導電性、伸縮性に優れ、高温高湿環境下を経ても抵抗値の上昇がなく、臭気もなかったのに対し、比較例1~13はそのいずれかが不良であり、全てが良好となるものは得られなかった。このように実施例1~21の導電ペーストおよびその導電ペーストから得られた導電膜または伸縮性導電膜は有用であることが分かった。