(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】情報処理装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20180101AFI20230905BHJP
A61F 5/44 20060101ALI20230905BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20230905BHJP
【FI】
G06Q50/22
A61F5/44 S
G06N20/00
(21)【出願番号】P 2020018035
(22)【出願日】2020-02-05
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
(72)【発明者】
【氏名】白木 正孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誉久
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-293021(JP,A)
【文献】特開2003-005970(JP,A)
【文献】特開2019-111312(JP,A)
【文献】特開2014-033745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A61F 5/44
G06N 20/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラと、メモリとを備え、
前記メモリは、
排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データから、前記排泄物の種類を示す出力データを導出する学習済モデルを記憶し、
前記コントローラは、
前記学習済モデルを用いて前記種類を推定する推定処理、を実行
し、
前記出力データは、排泄物の種類が大便、小便、又は屁の何れであるかに加えて、排泄物の種類が大便である場合、大便の状態を示す、
ことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記学習済モデルは、前記センサの検出値の時系列を表す学習用データと前記種類を表す学習用ラベルとの組み合わせの集合を学習用データセットとする教師あり機械学習により構築されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習済モデルは、前記センサの検出値の時系列を表す学習用データの集合を学習用データセットとする教師なし機械学習により構築されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記センサは、ガスの濃度を検出するセンサを含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記入力データを用いて前記学習済モデルを再学習させる再学習処理を更に実行する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記再学習処理において、前記入力データを用いて該入力データに対応する被介護者の学習済モデルを再学習させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記出力データの示す種類が屁以外の種類である場合、排泄ケアが必要である旨を示す通知データを介護者の端末へ送信する一方、該出力データの示す種類が屁である場合は前記通知データの送信を行わない出力制御処理、を更に実行する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コントローラを備え、
前記コントローラは、
排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、前記排泄物の種類を表す種類データとを用いて、前記検出データと前記種類データとの相関関係を機械学習させた学習済モデルを生成する生成処理、を実行
し、
前記種類データは、排泄物の種類が大便、小便、又は屁の何れかであるかに加えて、排泄物の種類が大便である場合、大便の状態を示す、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
メモリを備え、
前記メモリは、
前記センサの検出値の時系列を表すデータと、前記種類を示すラベルとを組み合わせた教師データの集合を記憶し、
前記コントローラは、
前記生成処理において、前記教師データの集合を学習用データセットとして、前記センサの検出値の時系列を表す入力データから前記種類を表す出力データを導出する学習済モデルを教師あり機械学習により構築する、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
メモリを備え、
前記メモリは、
前記センサの検出値の時系列を表す学習用データの集合を記憶し、
前記コントローラは、
前記生成処理において、前記学習用データの集合を学習用データセットとして、前記センサの検出値の時系列を表す入力データから前記種類を表す出力データを導出する学習済モデルを教師なし機械学習により構築する、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
予め定められたプログラムに従って前記各処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、
前記プログラムを格納した少なくとも1つのメモリと、を備えている、
ことを特徴とする請求項1~10までの何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の情報処理装置を制御する制御プログラムであって、前記コントローラに前記各処理を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
介護者を支援するための技術が提案されている。例えば特許文献1には、介護者に排泄処置の緊急度を通知する排泄検出装置が記載されている。特許文献1に記載の技術では、被介護者の布団に囲まれた空間で両太股の間の近傍のシーツの下に、アンモニアや硫化水素やアミン類を検出できる臭いセンサと湿度センサが設置され、シーツを通して吸気ファンが空気を強制循環させる。排泄検出装置は、検出した臭いセンサの強さの変化量と持続時間と、湿度センサの湿度の変化量と持続時間の情報から、排泄物の種類とオムツ漏れを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-033745号公報(2014年2月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、介護において被介護者の排泄物の種類(大便、小便、屁、等)を、より高い精度で判定できれば好適である。特許文献1に記載の技術では、排泄物の種類を適切に判定できず、誤った判定結果が出力されてしまう場合があった。
【0005】
本発明の一態様は、被介護者の排泄物の種類の推定精度を高くする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係る情報処理装置は、コントローラと、メモリとを備え、前記メモリは、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データから、前記排泄物の種類を示す出力データを導出する学習済モデルを記憶し、前記コントローラは、前記学習済モデルを用いて前記種類を推定する推定処理、を実行する、ことを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データを学習済モデルに入力することにより、排泄物の種類が推定される。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0008】
本発明の態様2に係る情報処理装置は、前記態様1において、前記学習済モデルは、前記センサの検出値の時系列を表す学習用データと前記種類を表す学習用ラベルとの組み合わせの集合を学習用データセットとする教師あり機械学習により構築されたものである、ことを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データを、教師あり機械学習により構築された学習済モデルに入力することにより、排泄物の種類が推定される。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0010】
本発明の態様3に係る情報処理装置は、前記態様1において、前記学習済モデルは、前記センサの検出値の時系列を表す学習用データの集合を学習用データセットとする教師なし機械学習により構築されたものである、ことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データを、教師なし機械学習により構築された学習済モデルに入力することにより、排泄物の種類が推定される。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0012】
本発明の態様4に係る情報処理装置は、前記態様1~3において、前記センサは、ガスの濃度を検出するセンサを含む、ことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、ガスの濃度を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データを学習済モデルに入力することにより、排泄物の種類が推定される。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0014】
本発明の態様5に係る情報処理装置は、前記態様1~4において、前記コントローラは、前記入力データと、当該入力データ及び前記学習済モデルを用いて推定された種類を表す種類データとを用いて、前記学習済モデルを再学習させる再学習処理を更に実行する、ことを特徴とする。
【0015】
上記の構成によれば、入力データを用いて学習済モデルが再学習される。この学習済モデルが用いられることにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0016】
本発明の態様6に係る情報処理装置は、前記態様5において、前記コントローラは、前記再学習処理において、前記入力データを用いて該入力データに対応する被介護者の学習済モデルを再学習させる、ことを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、被介護者毎の学習済モデルを用いて排泄物の種類が推定される。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0018】
本発明の態様7に係る情報処理装置は、前記態様1~6において、前記コントローラは、前記出力データの示す種類が屁以外の種類である場合、排泄ケアが必要である旨を示す通知データを介護者の端末へ送信する一方、該出力データの示す種類が屁である場合は前記通知データの送信を行わない出力制御処理、を更に実行する、ことを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、被介護者の排泄物の種類に応じた通知制御を行うことができる。
【0020】
本発明の態様8に係る情報処理装置は、コントローラを備え、前記コントローラは、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、前記排泄物の種類を表す種類データとを用いて、前記検出データと前記種類データとの相関関係を機械学習させた学習済モデルを生成する生成処理、を実行する、ことを特徴とする。
【0021】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、排泄物の種類を示す種類データとを用いて、両者の相関関係を機械学習させた学習済モデルが生成される。この学習済モデルを用いることにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0022】
本発明の態様9に係る情報処理装置は、前記態様8において、メモリを備え、前記メモリは、前記センサの検出値の時系列を表すデータと、前記種類を示すラベルとを組み合わせた教師データの集合を記憶し、前記コントローラは、前記生成処理において、前記教師データの集合を学習用データセットとして、前記センサの検出値の時系列を表す入力データから前記種類を表す出力データを導出する学習済モデルを教師あり機械学習により構築する、ことを特徴とする。
【0023】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、排泄物の種類を示す種類データとを用いて、両者の相関関係を教師あり機械学習させた学習済モデルが生成される。この学習済モデルを用いることにより、排泄物の種類の推定精度を向上させることができる。
【0024】
本発明の態様10に係る情報処理装置は、前記態様8において、メモリを備え、前記メモリは、前記センサの検出値の時系列を表す学習用データの集合を記憶し、前記コントローラは、前記生成処理において、前記学習用データの集合を学習用データセットとして、前記センサの検出値の時系列を表す入力データから前記種類を表す出力データを導出する学習済モデルを教師なし機械学習により構築する、ことを特徴とする。
【0025】
上記の構成によれば、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、排泄物の種類を示す種類データとを用いて、両者の相関関係を教師なし機械学習させた学習済モデルが生成される。この学習済モデルを用いることにより、排泄物の種類の推定精度を向上させることができる。
【0026】
本発明の態様11に係る情報処理装置は、前記態様1~10において、前記コントローラは、予め定められたプログラムに従って前記各処理を実行する少なくとも1つのプロセッサと、前記プログラムを格納した少なくとも1つのメモリと、を備えている、ことを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0028】
本発明の態様12に係る制御プログラムは、前記態様1~11のいずれかに記載の表示制御装置を制御する制御プログラムであって、前記コントローラに前記各処理を実行させることを特徴とする。
【0029】
本発明の範疇には、態様12に係る制御プログラム及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も含まれる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、被介護者の排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の実施形態1に係る介護支援システムの概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図7】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図8】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図9】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図10】本発明の実施形態1に係るセンサの検出値を例示する図である。
【
図11】本発明の実施形態1に係る情報処理装置が行う処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図12】本発明の実施形態2に係る情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態2に係る学習済モデルの一例を模式的に示した図である。
【
図14】本発明の実施形態2に係る情報処理装置が行う処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図15】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図16】本発明の実施形態3に係る情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図17】本発明の実施形態3に係る情報処理装置が行う処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図18】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図19】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図20】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図21】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図22】介護者端末に表示される画面を例示する図である。
【
図23】本発明の実施形態4に係る情報処理装置の機能構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0033】
(構成)
図1は、本実施形態に係る介護支援システム1の概要を示す図である。介護支援システム1は、介護を支援するためのシステムである。介護支援システム1は特に、被介護者の排泄ケアを支援するためのサービスを提供する。介護支援システム1は、センサモジュール10、情報処理装置20、介護者端末30、及び中継装置40を含む。センサモジュール10、情報処理装置20、介護者端末30及び中継装置40はネットワークN1を介して接続される。ネットワークN1は、例えば有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0034】
図1には、図面が煩雑になるのを防ぐため、センサモジュール10、介護者端末30及び中継装置40をそれぞれ1台ずつ図示しているが、複数のセンサモジュール10、複数の介護者端末30、及び複数の中継装置40が介護支援システム1に含まれてもよい。
【0035】
センサモジュール10は、被介護者により装着されて用いられる。センサモジュール10は例えば、被介護者の身体と、身体に装着されるオムツ又は下着等の装着物との間に挟まれることにより被介護者に装着される。また、センサモジュール10は、被介護者が使用するシーツに装着されて用いられてもよい。センサモジュール10は、被介護者の排泄物に関する情報を検出する1以上のセンサ(図示略)を備える。
【0036】
排泄物とは、生物から出される物質をいう。排泄物は例えば、大便、小便、又は屁である。本実施形態において、排泄物に関する情報は、排泄物の特徴を表す情報をいう。排泄物に関する情報は例えば、ガスの濃度、ガスの成分、温度、又は湿度を表す情報である。また、排泄物に関する情報を検出するセンサは例えば、ガスの濃度又は成分を検出するガスセンサ、温度を検出する温度センサ、湿度を検出する湿度センサ、又は温度及び湿度を検出する温湿度センサである。
【0037】
また、センサモジュール10は、センサの信号値を中継装置40を介して情報処理装置20に送信する通信モジュール(図示略)を備える。通信モジュールは例えば、中継装置40と近距離無線通信(Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標)等)を行う。センサモジュール10は、ひとつの種類のセンサを複数備えていてもよい。例えば、センサモジュール10は、複数のガスセンサを備えていてもよい。
【0038】
情報処理装置20は例えば、サーバ又はPC(Personal Computer)等の装置である。情報処理装置20は、センサモジュール10から被介護者に関する情報を収集し、介護を支援するための情報を介護者端末30に提供する。介護者端末30は、介護者により使用される端末である。介護者端末30は例えば、PC、タブレットPC、スマートフォン及びフィーチャーフォン等の携帯電話機、又は携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)である。中継装置40は、センサモジュール10と情報処理装置20との間のデータの遣り取りを中継する装置である。
【0039】
図2は、情報処理装置20の機能構成を例示するブロック図である。情報処理装置20はコントローラ21及びメモリ22を備える。コントローラ21は生成部211を備える。生成部211は学習済モデルM1を生成する生成処理を実行する。
【0040】
学習済モデルM1は、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す検出データと、排泄物の種類を表す種類データとを用いて、検出データと種類データとの相関関係を機械学習させた学習済モデルである。検出データは、センサモジュール10が備えるセンサの検出値の時系列を表すデータである。検出データは例えば、センサの検出値(例えば、温度又は湿度)が時系列に並んだ時系列データ、及び、センサの検出値の信号波形を表す画像データを含む。種類データは、排泄物の種類を示すデータである。排泄物の種類は例えば、大便、小便、又は屁である。排泄物の種類は更に細分化されていてもよい。その場合、排泄物の種類は例えば、便の状態(固い便、やや硬い便、普通便、やや軟らかい便、泥状便、又は水様便、等)である。また、排泄物の種類を示すデータは、便の量(少ない、普通、多い、等)、又は、血液の混入量(無し、少し、多い、等)を示すデータを含んでいてもよい。
【0041】
排泄物の種類によって検出データには異なった特徴が表れる。これらの特徴の例を
図3~
図10を用いて説明する。
【0042】
図3~
図10は、ガスセンサの検出値及び湿度センサの検出値の信号波形を模式的に例示する図である。図において、横軸は時刻を示し、縦軸はセンサの検出値を示す。
図3は、排泄が無い状態における各センサの検出値を模式的に例示した図である。
図3の例では、ガスセンサの検出値及び湿度センサの検出値は変動していない。
【0043】
図4は、大便が排泄された場合のガスセンサの検出値を模式的に例示した図である。
図4の例では、排泄があった時刻t41からガスセンサの検出値が上昇し、その後、検出値はほぼ一定の値となる。
【0044】
図5は、時刻t51において小便が排泄され、排泄された小便が全てオムツに吸収された場合における各センサの検出値を模式的に例示した図である。
図5の例では、ガスセンサの検出値及び湿度センサの検出値は、排泄がなされた時刻t51の前後で変動しない。これは、排泄された小便が全てオムツに吸収されるためである。
【0045】
図6は、時刻t61において小便が排泄され、排泄された小便がオムツから溢れた場合における各センサの検出値の変化を模式的に例示した図である。
図6の例では、小便が排泄された時刻t61以降において湿度センサの検出値が上昇するとともに、ガスセンサの検出値が徐々に上昇している。
【0046】
図7は、屁が排泄された場合における各センサの検出値の変化を模式的に例示した図である。
図7の例では、ガスセンサの検出値は、屁が排泄された時刻t71において急激に上昇し、その後、時刻t72において排泄前の検出値に近い値まで下がる。すなわち、屁が排泄された場合、ガスセンサの検出値は一時的に上昇した後、例えば10~15分が経過すると排泄前の検出値に近い値に戻る。一方、湿度センサの検出値は排泄の前後に関わらずほぼ一定である。
【0047】
図8は、固形便(通常の便よりも固い便)が排泄された場合における各センサの検出値の変化を模式的に例示した図である。
図8の例では、排泄があった時刻t81からガスセンサの検出値が上昇し、その後、検出値はほぼ一定の値となる。一方、湿度センサの検出値は排泄の前後に関わらずほぼ一定である。
【0048】
図9は、普通便(通常の便)が排泄された場合における各センサの検出値の変化を模式的に例示した図である。
図9の例では、排便があった時刻t91からガスセンサの検出値が上昇し、その後検出値はほぼ一定の値となる。また、湿度センサにより検出される湿度は徐々に上昇する。
【0049】
図10は、水様便が排泄された場合における各センサの検出値の変化を模式的に例示した図である。
図10の例では、排泄があった時刻t101からガスセンサの検出値が上昇し、その後、検出値は徐々に小さくなっていく。また、湿度センサの検出値は徐々に上昇する。
【0050】
図3~
図10に例示されるように、排泄物の種類によって検出データの波形は異なった特徴を有する。本実施形態では、情報処理装置20は、検出データを用いた機械学習により、排泄物の種類を推定するための学習済モデルM1を生成する。
【0051】
図2の説明に戻る。学習済モデルM1は、検出データに基づいて種類データを生成可能な任意の機械学習モデルであり得る。学習済モデルM1は例えば、CNN(Convolutional Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short-Term Memory)、DNN(Deep Neural Network)、又はこれらの組み合わせで実現可能である。また、学習済モデルM1は、教師あり機械学習により構築されてもよく、また、教師なし機械学習により構築されてもよい。
【0052】
メモリ22は、学習済モデルM1及び学習用データセットD1を記憶する。学習用データセットD1は、学習済モデルM1の生成処理において用いられるデータの集合である。学習済モデルM1が教師あり機械学習により構築される場合、学習用データセットD1は教師データの集合である。教師データは、センサモジュール10に含まれるセンサの検出値の時系列を表すデータと、排泄物の種類を示すラベルとを組み合わせたデータである。一方、学習済モデルM1が教師なし機械学習により構築される場合、学習用データセットD1は、センサモジュール10に含まれるセンサの検出値の時系列を表す学習用データの集合である。
【0053】
(動作)
図11は、情報処理装置20が行う処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、又は、順序を替えて実行されてもよい。ステップS101において、生成部211は学習用データセットD1をメモリ22から読み出すことにより、学習用データセットD1を取得する。なお、生成部211は、学習用データセットD1を他の装置から受信することにより、学習用データセットD1を取得してもよい。
【0054】
ステップS102において、生成部211は、検出データと種類データとの相関関係を機械学習させた学習済モデルM1を生成する。学習済モデルM1は、教師あり機械学習により構築されてもよく、また、教師なし機械学習により構築されてもよい。教師あり機械学習により学習済モデルM1を生成する場合、生成部211は、教師データの集合を学習用データセットD1として、センサの検出値の時系列を表す入力データから排泄物の種類を表す出力データを導出する学習済モデルM1を、教師あり機械学習により構築する。すなわち、この場合、学習済モデルM1は、センサの検出値の時系列を表す学習用データと排泄物の種類(その時系列に基づき人間が判定した排泄物の種類)を表す学習用ラベルとの組み合わせの集合を学習用データセットとする教師あり機械学習により構築されたモデルである。
【0055】
教師なし機械学習により学習済モデルM1を生成する場合、生成部211は、学習用データの集合を学習用データセットD1として、センサの検出値の時系列を表す入力データから種類を表す出力データを導出する学習済モデルを、教師なし機械学習により構築する。教師なし機械学習は例えば、クラスター分析、又は主成分分析の手法を用いて行われる。この場合、学習済モデルM1は、センサの検出値の時系列を表す学習用データの集合を学習用データセットとする教師なし機械学習により構築されたモデルである。
【0056】
以上のように構成された情報処理装置20は、検出データと種類データとの相関関係を機械学習させた学習済モデルM1を生成するので、学習済モデルM1が用いられることで、被介護者の排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0057】
〔実施形態2〕
(構成)
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0058】
図12は、本実施形態に係る情報処理装置20Bの機能構成を例示するブロック図である。
図12において、コントローラ21は、学習フェーズ実行部210及び推定フェーズ実行部220を有する。学習フェーズ実行部210は生成部211を有する。推定フェーズ実行部220は、入力データ取得部221、推定部222及び出力制御部223を有する。
【0059】
入力データ取得部221は、センサモジュール10から入力データを取得する。入力データは、センサモジュール10に含まれるセンサの検出値の時系列を表すデータである。入力データは例えば、センサの検出値(例えば、温度又は湿度)が時系列に並んだ時系列データ、及びセンサの検出値の信号波形を表す画像データを含む。
【0060】
推定部222は、学習済モデルM1を用いて、被介護者の排泄物の種類を推定する。この実施形態では、推定部222は、入力データ取得部221により取得された入力データを学習済モデルM1に入力することにより排泄物の種類を推定する。
【0061】
図13は、本実施形態に係る学習済モデルM1の一例を模式的に示した図である。図示の通り、学習済モデルM1には入力データが入力される。学習済モデルM1は、例えば、畳み込み層と、プーリング層と、結合層とから成る。畳み込み層において、入力データはフィルタリングによる情報の畳み込みがなされる。畳み込みを経たデータは、プーリング層においてプーリング処理が施される。これにより、データ中の特徴の位置変化に対するモデルの認識能力が向上する。プーリング処理を経たデータは、結合層で処理されることによって、学習済モデルM1の出力データ、すなわち、排泄物の種類の推定結果の形式に変換されて出力される。
【0062】
すなわち、学習済モデルM1に入力された入力データを、
図13に示す各層をこれらの順に通過させることにより、排泄物の種類の推定結果が出力される。なお、推定結果の出力形式は特に限定されない。例えば、排泄物の種類はテキストデータで示されてもよい。
【0063】
図12の説明に戻る。出力制御部223は、出力データの示す排泄物の種類に応じた出力制御を行う。この実施形態では、出力制御部223は、出力データの示す種類が屁以外の種類である場合、介護者端末30へ通知データを送信する一方、該出力データの示す種類が屁である場合、通知データの送信を行わない出力制御処理を実行する。
【0064】
(動作)
(学習用データセットの収集に係る動作)
まず、センサモジュール10により、被介護者の排泄物に関する情報が検出される。排泄物に関する情報の検出は例えば、所定の単位時間が経過する毎に行われる。センサモジュール10は、センサの検出結果を通信モジュール(図示略)により情報処理装置20Bに送信する。情報処理装置20Bは、センサモジュール10から検査結果を受信し、受信した検査結果の時系列を表す検出データを含む学習用データをメモリ22に蓄積する。検出データは例えば、数分~数十分の時間におけるセンサの検出値の時系列データである。また、学習用データは例えば、被介護者を識別する識別情報、及びタイムスタンプを含む。被介護者を識別する識別情報は例えば、被介護者を識別する介護者ID、又は被介護者の氏名である。
【0065】
学習済モデルM1が教師あり機械学習により生成される場合、検出データと排泄物の種類を示すラベルとの組み合わせが学習用データとして用いられる。この場合、排泄物の種類を示すラベルは、介護者により選択される。例えば、介護者は、被介護者の排泄ケアを実際に行った際に、自身が所有する介護者端末30を用いて、排泄物の種類を選択する操作を行う。介護者端末30は、選択された種類を示す種類データを情報処理装置20Bに送信する。情報処理装置20Bは、介護者端末30から受信した種類データに応じて、学習用データとラベルとを紐付けてメモリ22に記憶させる。情報処理装置20Bは、介護者端末30から種類データを受信する毎に、受信した種類データを含む学習用データをメモリ22に記憶する。これにより、メモリ22には、複数の学習用データが学習用データセットとして蓄積される。
【0066】
(学習動作)
生成部211は、メモリ22に記憶された学習用データセットD1を用いて、学習済モデルM1を生成する生成処理を実行する。この生成処理は、上述の実施形態1における
図11の処理と同様である。
【0067】
(推定動作)
図14は、情報処理装置20Bが行う処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、又は、順序を替えて実行されてもよい。ステップS201において、入力データ取得部221は、センサモジュール10から入力データを受信することにより、入力データを取得する。入力データは例えば、数分~数十分の時間におけるセンサの検出値の時系列データである。
【0068】
ステップS202において、推定部222は、ステップS201で取得された入力データを学習済モデルM1に入力し、学習済モデルM1から出力される排泄物の種類の推定結果を取得することにより、被介護者の排泄物の種類を推定する。排泄物の種類は例えば、大便、小便、又は屁である。
【0069】
ステップS203において、出力制御部223は、ステップS202において推定された種類が屁であるかを判定する。屁でない場合(ステップS203;NO)、出力制御部223はステップS204の処理に進む。一方、屁である場合(ステップS203;YES)、出力制御部223はステップS205の処理に進む。
【0070】
ステップS204において、出力制御部223は、排泄ケアが必要である旨を示す通知データを介護者端末30に送信し、排泄物の種類と排泄ケア「要」とを介護者に通知する。排泄ケアとは、排泄物に対する処置であり、例えばオムツの交換である。すなわち、排泄ケアは、排泄物が屁である場合は不要である一方、排泄物が屁以外である場合(大便、小便、等の場合)は必要である。通知データは例えば、排泄物の種類、排泄ケアが必要である旨、被介護者の名前、部屋番号、及び、排泄が検出されてからの経過時間を示すデータを含む。通知データが介護者端末30に送信されることにより、被介護者による排泄が介護者に通知される。ステップS204の処理を終えると、出力制御部223は、ステップS206の処理に進む。
【0071】
ステップS205において、出力制御部223は、排泄物が屁(おなら)である旨を示すデータを介護者端末30に送信することにより、介護者に屁の排泄があった旨を通知する。この場合、排泄ケアが必要である旨を示す通知データは介護者端末30へ送信されない。すなわち、出力制御部223は、出力データの示す種類が屁である場合、排泄ケアが必要である旨を示す通知データの送信を行わない(排泄ケアを通知しない)。
【0072】
介護者端末30は、情報処理装置20Bから被介護者に関する情報を受信し、受信した情報に基づいて、排泄があった旨を示すメッセージ又はアイコン等を自装置のディスプレイに表示する等して、排泄ケアが必要である旨を示す情報を出力する。介護者は、介護者端末30のディスプレイ等を視認することにより、被介護者の排泄ケアが必要である旨を把握する。
【0073】
図15は介護者端末30のディスプレイに表示される画面を例示する図である。図において、画面SC1には、被介護者の名前のリストが表示される。画面SC1において、被介護者の名前の近傍には、排泄ケアが必要であるか否かを示すアイコンI1~I9が表示される。
図15において、アイコンI1~I4は排泄ケアが不要である旨を示す。アイコンI5~I9は排泄ケアが必要である旨を示す。また、アイコンI1~I9において、センサモジュール10からの出力情報を取得してからの経過時間がアイコンの周囲を囲むバーにより表されている。この場合、バーの長さ(弧の長さ)が長いほど経過時間が長い旨が示されている。
【0074】
図14の説明に戻る。ステップS206において、出力制御部223は、センサモジュール10が取り外されたかを判定する。この判定は例えば、センサモジュール10に設けられた温度センサの検出値を判定することにより行われる。例えば、温度センサにより検出された温度が閾値以下である場合、出力制御部223はセンサモジュール10が取り外された(被介護者がセンサモジュール10を装着していない)と判定する。なお、センサモジュール10が取り外されたかの判定方法はこれに限られず、他の手法が用いられてもよい。
【0075】
センサモジュール10が取り外されたと判定した場合(ステップS206;YES)、出力制御部223は処理を終了する。一方、センサモジュールが取り外されていないと判定した場合(ステップS206;NO)、出力制御部223はステップS201の処理に戻る。
【0076】
以上説明したように本実施形態では、センサの信号値を表す検出データを機械学習させた学習済モデルM1を用いて、情報処理装置20Bが排泄物の種類の推定処理を実行する。情報処理装置20Bは、排泄物に関する情報を検出するセンサの検出値の時系列を表す入力データを学習済モデルM1に入力することにより、排泄物の種類を推定する。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0077】
介護者は、被介護者周辺において排泄物によるものと思われる臭いを把握した場合、排泄ケア作業を行う。しかしながら、排泄物が屁のみであった場合、介護者は不要な作業を行うこととなり、その結果被介護者のQOLが低下する場合がある。それに対し本実施形態では、情報処理装置20Bは、排泄物が屁であるかを学習済モデルM1を用いて判定し、屁である場合はその旨を通知する、又は排泄ケア作業を促す通知を行わない、といった処理制御を行う。そのため、排泄物が屁である場合に介護者に排泄ケアを促してしまうことが防止され、介護者の排泄ケアに係る負担を軽減することができる。また、本実施形態によれば、どのような排泄があったかを排泄ケアを行う前に事前に介護者へ通知することができ、介護者は排泄ケアプランを立てやすくなる。
【0078】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
図16は、本実施形態に係る情報処理装置20Cの機能構成を例示するブロック図である。図において、情報処理装置20Cの推定フェーズ実行部220は、再学習部224を有する。再学習部224は、センサモジュール10の検出結果である入力データを用いて学習済モデルM1を再学習させる再学習処理を実行する。
【0080】
図17は、情報処理装置20Cが行う処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、又は、順序を替えて実行されてもよい。
図17に示す処理が上述の実施形態2に係る
図14に示した処理と異なる点は、ステップS206の判定が「NO」である場合に(ステップS206;NO)、再学習部224がステップS211及びステップS212の処理を実行する点である。ステップS211において、再学習部224は、学習済モデルM1に入力した入力データを用いて学習用データセットを更新する。学習済モデルM1が教師なし機械学習により生成された場合、入力データが学習用データとして用いられる。一方、学習済モデルM1が教師あり機械学習により生成された場合、入力データと種類データとの組が学習用データとして用いられる。この場合、種類データは介護者端末30から取得される。
【0081】
種類データの取得は、例えば以下のようにして行われる。介護者が被介護者の排泄ケアを実際に行った際に、介護者が介護者端末30を用いて排泄物の種類を選択する操作を行う。介護者端末30は介護者による操作に応じて、排泄物の種類を示す種類データを情報処理装置20Cに送信する。再学習部224は、介護者端末30から受信された種類データを用いて再学習処理を実行する。
【0082】
図18~
図22は、介護者が被介護者の排泄物の種類を選択する際に、介護者端末30のディスプレイに表示される画面を例示する図である。例えば、
図15の画面SC1が介護者端末30のディスプレイに表示されている状態において、表示されている被介護者のリストの中から介護者がいずれかを選択すると、介護者端末30は、ディスプレイの表示画面を
図18の画面SC2に遷移させる。
【0083】
画面SC2には、被介護者の排泄物に対する処置内容のリストが表示される。処理内容の項目は例えば、「おなら確認」、「うんち処理」、「おしっこ処理」、「センサーエラー」、「電池電圧低下」、及び「その他」を含む。介護者は、画面SC2に表示された複数の項目からいずれかを選択する操作を行う。介護者が項目を選択すると、介護者端末30は、介護者の選択結果に応じて排泄物の状態を選択させるための画面に遷移させる。例えば、画面SC2において「うんち処理」が選択された場合、介護者端末30は、ディスプレイの表示画面を
図19の画面SC3に遷移させる。
【0084】
画面SC3は、排泄物の状態を選択するための画面であり、排泄物の状態のリストが表示される。リストに含まれる排泄物の状態は例えば、「コロコロ便」、「固い便」、「やや硬い便」、「普通便」、「やや軟らかい便」、「泥状便」、又は「水様便」である。介護者は、画面SC3に表示された項目の中からいずれかを選択する操作を行う。介護者が項目を選択すると、介護者端末30は、介護者の選択結果に応じて、ディスプレイの表示画面を、排泄物の量を選択させるための画面SC4(
図20参照)に遷移させる。
【0085】
画面SC4は、排泄物の量を選択するための画面である。
図20の例では、介護者端末30は、「少し」、「普通」、及び「多い」の項目を画面SC4に表示する。介護者は、画面SC4に表示された項目の中からいずれかを選択する操作を行う。介護者が項目を選択すると、介護者端末30は、介護者の選択結果に応じて、ディスプレイの表示画面を次の画面SC5(
図21参照)に遷移させる。
【0086】
画面SC5は、排泄物における血液の混入量を選択するための画面である。
図21の例では、介護者端末30は、「無し」、「少し」及び「多い」の項目を画面SC5に表示する。介護者は、画面SC5に表示された項目の中からいずれかを選択する操作を行う。介護者が項目を選択すると、介護者端末30は、介護者の選択結果に応じて、ディスプレイの表示画面を次の画面SC6(
図22参照)に遷移させる。
【0087】
画面SC6は、登録内容を決定するための画面である。
図22の例では、介護者端末30は、画面SC3~SC5において介護者が選択した内容を画面SC6に表示する。介護者は、画面SC6に表示された内容を視認し、「登録」ボタンを選択する操作を行う。介護者が操作を行うと、介護者端末30は、介護者により選択された内容を表す種類データを生成し、生成した種類データを情報処理装置20Cに送信する。送信される種類データには例えば、被介護者を識別する識別情報を含む。
【0088】
情報処理装置20Cの再学習部224は、介護者端末30から種類データを受信することにより種類データを取得する。再学習部224は、取得した種類データと、センサモジュール10から取得した検出データとを学習用データとしてメモリ22に蓄積する。再学習部224は、介護者端末30から種類データを受信する毎に、受信した種類データを含む学習用データをメモリ22に記憶する。これにより、メモリ22には、複数の学習用データが学習用データセットとして蓄積される。
【0089】
図17の説明に戻る。ステップS212において、再学習部224は、メモリ22に蓄積された学習用データセットを用いて学習済モデルM1を再学習させる。再学習された学習済モデルM1は、推定部222による排泄物の種類の推定処理で用いられる。すなわち、推定部222は、再学習された学習済モデルM1を用いて推定処理を実行する。
【0090】
以上説明したように本実施形態では、被介護者がセンサモジュール10を装着後に取得した各センサの信号値を表すデータを学習用データとして蓄積し、再学習部224は、蓄積した学習用データを含む学習用データセットを用いて再学習を行う。推定部222は、再学習された学習済モデルM1を用いて推定処理を行う。これにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0091】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態3にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0092】
図23は、本実施形態に係る情報処理装置20Dの機能構成を例示するブロック図である。図において、再学習部224は、学習済モデルM21、M22、…を再学習させる。学習済モデルM21、M22、…は、被介護者毎の学習済モデルである。例えば、被介護者Uiに対応する学習済モデル(以下「学習済モデルM2i」という)は、被介護者Uiの排泄物の種類を推定する処理において用いられる学習済モデルである。推定部222は、被介護者Uiの排泄物の種類を、学習済モデルM2iを用いて推定する。
【0093】
本実施形態において、再学習部224は、被介護者Uiが装着していたセンサモジュール10の検出データに対応する学習用データを含む学習用データセットを用いて、学習済モデルM2iを再学習させる。
【0094】
再学習処理において、再学習部224は、被介護者本人の検出データに対応する学習用データの重み付けを重くしてもよい。この場合、被介護者Ui用の学習済モデルM2iを構築する場合、再学習部224は、被介護者Uiが装着していたセンサモジュール10の検出データを含む学習用データと、他の被介護者が装着していたセンサモジュール10の検出データを含む学習用データとを用いて学習済モデルM2iを生成する。このとき、再学習部224は、被介護者Uiの検出データに対応する学習用データの重み付けを重くして学習済モデルM21を生成する。
【0095】
また、学習用データセットがある程度の量だけ蓄積された場合、再学習部224は、被介護者本人の識別情報が紐付けられた学習用データのみを用いて学習済モデルの再学習を行わせてもよい。この場合、再学習部224は、被介護者Uiが装着していたセンサモジュール10の検出データを含む学習用データを用いて学習済モデルM2iを生成する。
【0096】
排泄物の臭いの強さ等、排泄物の特徴は被介護者毎に傾向が異なる場合がある。本実施形態によれば、被介護者毎の学習済モデルM2iを用いて排泄物の種類が推定されることにより、排泄物の種類の推定精度を高くすることができる。
【0097】
〔変形例〕
(変形例1)
上述の実施形態2では、情報処理装置20Bは、学習フェーズ実行部210及び推定フェーズ実行部220を含んでいた。これらの構成要素により実現される機能が複数の装置により分担されて実現されてもよい。例えば、情報処理装置20Bが、学習フェーズ実行部210を備えておらず、推定フェーズ実行部220を備える構成であってもよい。この場合、学習フェーズ実行部210を備える、情報処理装置20Bとは別体の情報処理装置(図示略)により学習済モデルM1が生成され、生成された学習済モデルM1を用いて情報処理装置20Bが種類の推定処理を実行する。
【0098】
(変形例2)
上述の各実施形態において、生成部211が、センサの信号値(例えば、臭いの強さ)に応じて信号のゲインを調整し、調整後の信号値を学習用データとして用いてもよい。
【0099】
(変形例3)
上述の各実施形態で用いられる学習済モデルは、上述した実施形態で示したものに限られない。学習済モデルは例えば、MTRNN(Multi Timescale RNN)、ARIMA(AutoRegressive, Integrated and Moving Average)モデル等であってもよい。
【0100】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置20、20B、20C及び20Dの制御ブロック(特に生成部211、推定部222、出力制御部223、及び再学習部224)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0101】
後者の場合、情報処理装置20は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータ(コントローラ)を備えている。このコンピュータ(コントローラ)は例えば、予め定められた制御プログラムに従って各処理を実行する少なくとも1つのプロセッサを備えていると共に、上記制御プログラムを格納した少なくとも1つのメモリ(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記制御プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAMなどをさらに備えていてもよい。また、情報処理装置を制御する上記制御プログラムは、該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0102】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。上述した実施形態に含まれる個々の技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 介護支援システム
10 センサモジュール
20 情報処理装置
21 コントローラ
22 メモリ
30 介護者端末
40 中継装置
210 学習フェーズ実行部
211 生成部
220 推定フェーズ実行部
221 入力データ取得部
222 推定部
223 出力制御部
224 再学習部