(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60W 10/08 20060101AFI20230905BHJP
B60K 6/48 20071001ALI20230905BHJP
B60K 6/547 20071001ALI20230905BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230905BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20230905BHJP
B60W 10/02 20060101ALI20230905BHJP
B60W 10/10 20120101ALI20230905BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20230905BHJP
F16H 59/08 20060101ALI20230905BHJP
F16H 59/70 20060101ALI20230905BHJP
F16H 59/74 20060101ALI20230905BHJP
F16H 61/04 20060101ALI20230905BHJP
F16H 61/686 20060101ALI20230905BHJP
F16H 63/50 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/48 ZHV
B60K6/547
B60L15/20 K
B60L50/16
B60W10/02 900
B60W10/10 900
B60W20/00
F16H59/08
F16H59/70
F16H59/74
F16H61/04
F16H61/686
F16H63/50
(21)【出願番号】P 2020038151
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 善雄
(72)【発明者】
【氏名】明樂 武
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151909(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057757(WO,A1)
【文献】特開2008-254725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
B60L 1/00-58/40
F16H 59/00-63/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と、
電動機と、
前記内燃機関と前記電動機とのうちの少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、
前記内燃機関と前記電動機との間に設けられる第1係合要素と、
前記第1係合要素および前記自動変速機に含まれる係合要素に油圧を供給する電動式油圧源と、
前記電動機および前記電動式油圧源を制御する制御装置とを備え、
前記自動変速機の変速レンジが変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合に、前記制御装置は、所定の制御を実行し、
前記所定の制御において、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、変更後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させ、
前記制御装置は、前記自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジおよびパーキングレンジである場合には、前記電動機を停止させ、
前記自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合に、前記制御装置は、前記所定の制御として第1制御を実行し、
前記第1制御において、前記制御装置は、
前記電動機の停止を継続し、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、
変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を前記目標回転速度まで上昇させる
、ハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項2】
内燃機関と、
電動機と、
前記内燃機関と前記電動機とのうちの少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、
前記内燃機関と前記電動機との間に設けられる第1係合要素と、
前記第1係合要素および前記自動変速機に含まれる係合要素に油圧を供給する電動式油圧源と、
前記電動機および前記電動式油圧源を制御する制御装置とを備え、
前記自動変速機の変速レンジが変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合に、前記制御装置は、所定の制御を実行し、
前記所定の制御において、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、変更後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させ、
前記内燃機関または前記電動機を動力原として作動する機械式油圧源をさらに備え、
前記制御装置は、前記自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジである場合には、前記電動機を停止させ、
前記自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合に、前記制御装置は、前記所定の制御として第1制御を実行し、
前記第1制御において、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を前記所定回転速度まで上昇させ、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、
変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、前記目標回転速度まで上昇させる
、ハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項3】
前記自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されていない場合には、前記制御装置は、前記第1制御を実行しない、
請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項4】
内燃機関と、
電動機と、
前記内燃機関と前記電動機とのうちの少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、
前記内燃機関と前記電動機との間に設けられる第1係合要素と、
前記第1係合要素および前記自動変速機に含まれる係合要素に油圧を供給する電動式油圧源と、
前記電動機および前記電動式油圧源を制御する制御装置とを備え、
前記自動変速機の変速レンジが変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合に、前記制御装置は、所定の制御を実行し、
前記所定の制御において、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、変更後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させ、
前記制御装置は、前記自動変速機の変速レンジが前進レンジまたは後進レンジであり、かつ、アクセル操作がない場合には、前記電動機を、選択されている変速レンジに応じた目標回転速度で回転させ、
前記自動変速機の変速レンジが前進レンジと後進レンジとの間で
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されている場合には、前記制御装置は、前記所定の制御として第2制御を実行し、
前記第2制御において、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を前記所定回転速度に低下させ、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、
変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、前記目標回転速度まで上昇させる
、ハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項5】
前記自動変速機の変速レンジが前進レンジと後進レンジとの間で
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されていない場合には、前記制御装置は、前記第2制御を実行しない、
請求項4に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項6】
前記ハイブリッド車両の車速が閾値より大きい場合には、前記制御装置は、前記第2制御を実行しない、
請求項4または請求項5に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
【請求項7】
前記自動変速機の変速レンジが
変更され、かつ、前記第1係合要素が解放されており、かつ、
前記変速レンジの変更後に前記内燃機関を作動させる場合に、前記制御装置は、
前記電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、
前記第1係合要素を係合させ、
前記自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、
変更後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、
前記電動機の回転速度を、
変更後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させる、請求項1から
請求項6のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2015-217914号公報(特許文献1)には、エンジンと、モータジェネレータと、エンジンおよびモータジェネレータの間に設けられたK0クラッチと、エンジンおよびモータジェネレータのうちの少なくともいずれかの動力を駆動輪に伝達する自動変速機とを備えたハイブリッド車両が開示されている。このハイブリッド車両は、自動変速機の変速レンジが変速された場合に自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替えることにより、変速後の変速レンジを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたハイブリッド車両では、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替えるにあたり、自動変速機の入力軸の回転速度に関しては何ら考慮されていない。自動変速機の入力軸が回転している状態で、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替えると、イナーシャトルクが発生し変速ショックが生じる可能性がある。自動変速機に含まれる係合要素に供給する油圧を徐々に変化させて、係合要素の係合状態を切り替えることにより、変速ショックを緩和させることも考えられるが、この場合には、変速の応答性が低下してしまう。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エンジンと、モータジェネレータと、エンジンおよびモータジェネレータの間に設けられた係合要素と、自動変速機とを備えたハイブリッド車両において、自動変速機の変速レンジの変速の応答性を確保しつつ、変速ショックの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)この開示に係るハイブリッド車両の駆動装置は、内燃機関と、電動機と、内燃機関と電動機とのうちの少なくとも一方の動力を駆動輪に伝達する自動変速機と、内燃機関と電動機との間に設けられる第1係合要素と、第1係合要素および自動変速機に含まれる係合要素に油圧を供給する電動式油圧源と、電動機および電動式油圧源を制御する制御装置とを備える。自動変速機の変速レンジが変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合に、制御装置は、所定の制御を実行する。所定の制御において、制御装置は、電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変速後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、電動機の回転速度を、変速後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させる。
【0007】
上記構成によれば、自動変速機の変速レンジが変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合には、電動機の回転速度が所定回転速度以下の状態で自動変速機に含まれる係合要素の係合状態が切り替えられる。所定回転速度は、たとえば、自動変速機に含まれる係合要素へ供給する油圧を徐々に変化させることなく、油圧を一気に変化させて係合要素を係合および解放しても、ハイブリッド車両の搭乗者に違和感を与える程度の変速ショックを発生させない回転速度に設定される。ゆえに、変速ショックを抑制しつつ、自動変速機に含まれる係合要素への油圧を一気に変化させられるため、自動変速機の変速レンジの変速の応答性を確保しつつ、変速ショックの発生を抑制することができる。
【0008】
(2)ある実施の形態においては、制御装置は、自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジおよびパーキングレンジである場合には、電動機を停止させる。自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合に、制御装置は、所定の制御として第1制御を実行する。第1制御において、制御装置は、電動機の停止を継続し、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変速後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、電動機の回転速度を目標回転速度まで上昇させる。
【0009】
上記構成によれば、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジへ変速レンジが変速された場合には、電動機を停止した状態、すなわち自動変速機の入力軸が回転していない状態で、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態が切り替えられる。これにより、電動機の回転速度を所定回転速度にした状態で自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替え場合よりも、さらに変速ショックを低減させることができる。また、変速レンジがニュートラルレンジおよびパーキングレンジである場合には、電動機を停止させることにより、消費エネルギを抑制することができる。
【0010】
(3)ある実施の形態においては、ハイブリッド車両の駆動装置は、内燃機関または電動機を動力原として作動する機械式油圧源をさらに備える。制御装置は、自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジである場合には、電動機を停止させる。自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合に、制御装置は、所定の制御として第1制御を実行する。第1制御において、制御装置は、電動機の回転速度を所定回転速度まで上昇させ、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変速後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、電動機の回転速度を、目標回転速度まで上昇させる。
【0011】
電動式油圧源の作動だけでは、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替えるための油圧を適切に供給できないこともあり得る。上記構成によれば、第1制御において、電動機の回転速度を所定回転速度まで上昇させることにより、機械式油圧源が作動される。電動式油圧源および機械式油圧源が作動することにより、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を切り替えるための油圧を適切に供給することができる。
【0012】
(4)ある実施の形態においては、自動変速機の変速レンジが、ニュートラルレンジまたはパーキングレンジから前進レンジまたは後進レンジに変速され、かつ、第1係合要素が解放されていない場合には、制御装置は、第1制御を実行しない。
【0013】
第1係合要素が解放されていない場合には、内燃機関の動作に伴なって自動変速機の入力軸が回転する。そのため、第1制御を実行したとしても、変速ショックを適切に抑制することができない。上記構成によれば、第1制御の実行により変速ショックを適切に抑制することができない場合には、第1制御を実行しないようにすることができる。
【0014】
(5)ある実施の形態においては、制御装置は、自動変速機の変速レンジが前進レンジまたは後進レンジであり、かつ、アクセル操作がない場合には、電動機を、選択されている変速レンジに応じた目標回転速度で回転させる。自動変速機の変速レンジが前進レンジと後進レンジとの間で変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合には、制御装置は、所定の制御として第2制御を実行する。第2制御において、制御装置は、電動機の回転速度を所定回転速度に低下させ、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変速後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、電動機の回転速度を、目標回転速度まで上昇させる。
【0015】
上記構成によれば、変速レンジが前進レンジまたは後進レンジであり、かつ、アクセル操作がない場合には、電動機は、選択されている変速レンジに応じた目標回転速度(所望のクリープトルクを発生させる回転速度)で回転される。変速レンジが前進レンジと後進レンジとの間で変速され、かつ、第1係合要素が解放されている場合には、電動機の回転速度を所定回転速度に低下させ、この状態で自動変速機に含まれる係合要素の係合状態が切り替えられる。これにより、油圧を一気に変化させて自動変速機の係合要素を係合および解放できるので、自動変速機の変速レンジの変速の応答性を確保しつつ、変速ショックの発生を抑制することができる。
【0016】
(6)ある実施の形態においては、自動変速機の変速レンジが前進レンジと後進レンジとの間での変速され、かつ、第1係合要素が解放されていない場合には、制御装置は、第2制御を実行しない。
【0017】
第1係合要素が解放されていない場合には、内燃機関の動作に伴なって自動変速機の入力軸が回転する。そのため、第2制御を実行したとしても、変速ショックを適切に抑制することができない。上記構成によれば、第2制御の実行により変速ショックを適切に抑制することができない場合には、第2制御を実行しないようにすることができる。
【0018】
(7)ある実施の形態においては、ハイブリッド車両の車速が閾値より大きい場合には、制御装置は、第2制御を実行しない。
【0019】
運転者によっては、ハイブリッド車両が完全に停車する前の状態で変速レンジが切り替えられることもあり得る。ハイブリッド車両が閾値以上の車速で走行している状態で、電動機の回転速度を所定回転速度に低下させると、回転速度の変化に伴なうショックを生じさせてしまう可能性がある。上記構成によれば、第2制御の実行によりショックを生じさせてしまう可能性がある場合には、第2制御を実行しないようにすることができる。
【0020】
(8)ある実施の形態においては、自動変速機の変速レンジが変速され、かつ、第1係合要素が解放されており、かつ、変速後に内燃機関を作動させる場合に、制御装置は、電動機の回転速度を所定回転速度以下にし、第1係合要素を係合させ、自動変速機に含まれる係合要素の係合状態を、変速後の変速レンジに応じた係合状態に切り替え、電動機の回転速度を、変速後の変速レンジに応じた目標回転速度まで上昇させる。
【0021】
たとえば、運転者によっては、変速レンジの変速と同時にアクセルが踏み込まれる場合もあり得る。アクセルの踏み込み量によっては、内燃機関の作動を要する場合があり得る。このような場合には、電動機の回転速度が所定回転速度以下の状態で、第1係合要素を係合させる。電動機の回転速度が所定回転速度以下であるため、自動変速機の入力軸の回転速度を抑制されている。そのため、第1係合要素に係合油圧を一気に供給して第1係合要素を係合したとしても、ショックが発生することを抑制することができる。これにより、内燃機関を速やかに作動させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、エンジンと、モータジェネレータと、エンジンおよびモータジェネレータの間に設けられた係合要素と、自動変速機とを備えたハイブリッド車両において、自動変速機の変速レンジの変速の応答性を確保しつつ、変速ショックの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施の形態に係るハイブリッド車両の全体構成図である。
【
図2】ハイブリッド車両の前方への発進時および後進時における自動変速機の係合要素の組み合わせを説明するための図である。
【
図4】第1制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】第2制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】第1制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】第2制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】変形例における第1制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】変形例における第2制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0025】
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係るハイブリッド車両1の全体構成図である。ハイブリッド車両1は、エンジン10と、K0クラッチ12と、モータジェネレータ22と、自動変速機23と、トルクコンバータ24と、油圧回路26と、電動式オイルポンプ(以下、「EOP:Electric Oil Pump」とも称する)27と、機械式オイルポンプ(以下、「MOP:Mechanical Oil Pump」とも称する)28と、電力制御装置(PCU:Power Control Unit)40と、バッテリ42と、駆動輪72と、ECU(Electronic Control Unit)100とを備える。本実施の形態に係るハイブリッド車両1は、走行モードとして、HVモードおよびEVモードを少なくとも有する。HVモードは、エンジン10およびモータジェネレータ22を動力源とした走行モードである。EVモードは、エンジン10を停止状態にするとともにモータジェネレータ22をバッテリ42の電力で駆動して走行する走行モードである。走行モードは、たとえば、ハイブリッド車両1に対する要求パワー等に基づいて選択される。
【0026】
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10は、ECU100からの制御信号によって制御される。
【0027】
モータジェネレータ22は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石がロータ(図示せず)に埋設された三相交流回転電機である。モータジェネレータ22の回転軸は、K0クラッチ12を介してエンジン10のクランク軸に連結される。モータジェネレータ22は、エンジン10を始動する際にバッテリ42の電力を用いてエンジン10のクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータ22はエンジン10の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ22によって発電された交流電力は、PCU40により直流電力に変換されてバッテリ42に充電される。また、モータジェネレータ22の回転軸は、トルクコンバータ24の入力軸に連結される。
【0028】
トルクコンバータ24は、モータジェネレータ22の回転軸に連結されるポンプインペラー24aと、自動変速機23の入力軸に連結されるタービンインペラー24bと、ポンプインペラー24aとタービンインペラー24bとの間に設けられるステータ24cとを含む。トルクコンバータ24の入力軸と出力軸とは、ロックアップクラッチ(図示せず)が係合状態になることにより回転が同期し、ロックアップクラッチが解放状態になることにより回転の同期が解除される。
【0029】
自動変速機23は、複数のギヤ段を連続的に変更する有段式自動変速機である。自動変速機23は、複数の変速レンジを有する。複数の変速レンジは、たとえば、前進レンジ(以下、「Dレンジ」とも称する)と、後進レンジ(以下、「Rレンジ」とも称する)と、パーキングレンジ(以下、「Pレンジ」とも称する)と、ニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」とも称する)とを含む。変速レンジとしてDレンジが選択される場合には、ハイブリッド車両1の運転状態に応じて、1速から上限のギヤ段までのいずれかのギヤ段が形成される。
【0030】
自動変速機23は、たとえば、単数あるいは複数の遊星歯車機構を含む変速部と、複数の係合要素とを含む。複数の係合要素は、遊星歯車機構の回転要素の回転を停止させるブレーキ、および他の回転要素と回転を同期させるクラッチを含む。本実施の形態においては、自動変速機23は、C1クラッチ14と、C2クラッチ15と、C3クラッチ16と、C4クラッチ17と、B1ブレーキ18と、B2ブレーキ19とを含む。なお、以下においては、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19を総称して「ATクラッチ」とも称する。また、ATクラッチのうち、Dレンジを形成する場合に係合される係合要素を総称して「Driveクラッチ」とも称する。ATクラッチのうち、Rレンジを形成する場合に係合される係合要素を総称して「Revクラッチ」とも称する。
【0031】
図2は、ハイブリッド車両1の前方への発進時および後進時における自動変速機23の係合要素の組み合わせを説明するための図である。
【0032】
図2を参照して、本実施の形態においては、ハイブリッド車両1の前方への発進時(Dレンジが選択され、かつ、ギヤ段として1速が形成される場合)には、C1クラッチ14、C2クラッチ15およびB2ブレーキ19を係合させる。つまり、前進1速段は、C1クラッチ14、C2クラッチ15およびB2ブレーキ19を係合させることにより形成される。C1クラッチ14、C2クラッチ15およびB2ブレーキ19は、Driveクラッチと総称される。なお、C3クラッチ16、C4クラッチ17およびB1ブレーキ18は、解放させる。
【0033】
ハイブリッド車両1の後進時(Rレンジが選択される場合)には、C2クラッチ15、C3クラッチ16およびB2ブレーキ19を係合させる。つまり、後進段は、C2クラッチ15、C3クラッチ16およびB2ブレーキ19を係合させることにより形成される。C2クラッチ15、C3クラッチ16およびB2ブレーキ19は、Revクラッチと総称される。なお、C1クラッチ14、C4クラッチ17およびB1ブレーキ18は、解放させる。
【0034】
なお、
図2には示していないが、Dレンジにおける1速以外の他のギヤ段(たとえば、2速および3速等)についても、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19の係合および解放の組み合わせにより形成される。
【0035】
再び
図1を参照し、EOP27は、ECU100からの制御信号に基づいて動作するモータ(図示せず)を動力源として作動する。上記モータは、バッテリ42あるいは補機バッテリ(図示せず)の電力を用いて駆動される。MOP28は、エンジン10またはモータジェネレータ22を動力源としてポンプインペラー24aの回転により作動する。EOP27およびMOP28は、いずれもオイルパン54(
図3参照)に貯留する作動油を油圧回路26に供給する。
【0036】
油圧回路26は、ECU100からの制御信号に基づいて、K0クラッチ12およびATクラッチ(C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19)のうちの少なくともいずれかに作動油を供給する。
【0037】
K0クラッチ12、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19の各々は、動力の受け渡しを行なう2つの回転体(摩擦材が設けられたドライブプレートおよびドリブンプレート)を有する。作動油が供給されると、作動油の供給量に応じた油圧によりクラッチピストンが移動することにより、2つの回転体の間で摩擦が発生する。これにより、上記2つの回転体が互いに相対回転しなくなるように力が働き、K0クラッチ12、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19の各々が係合する(すなわち、2つの回転体の回転が同期する)。
【0038】
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory))および各種信号を入出力するための入出力バッファとを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、CPUによって実行される処理が記されている。ECU100は、入出力バッファから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、CPUにより所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいてハイブリッド車両1が所望の状態となるように各機器(エンジン10、PCU16、および油圧回路26等)を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
【0039】
ECU100は、たとえば、運転者のシフトレバー(
図3)の操作により選択されたシフトポジションに応じて変速レンジを設定する。ECU100は、設定された変速レンジを形成するように、ATクラッチの係合状態(係合および解放)を切り替える。具体的には、ECU100は、設定された変速レンジを形成するように、油圧回路26を制御して、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19を係合または解放する。
【0040】
ECU100は、エンジン10の作動の要否を判断する。変速レンジとしてNレンジおよびPレンジが選択されている場合には、ECU100は、バッテリ42のSOC(State Of Charge)に基づいて、エンジン10の作動の要否を判定する。たとえば、バッテリ42のSOCが所定SOC未満である場合には、ECU100は、エンジン10を作動させて、エンジン10の動力を用いてモータジェネレータ22に発電させる。そして、ECU100は、モータジェネレータ22によって発電された電力により、バッテリ42を充電する。一方、バッテリ42のSOCが所定SOC以上である場合には、ECU100は、エンジン10を停止させる。エンジン10を停止させる場合には、ECU100は、K0クラッチ12を解放するように油圧回路26を制御する。なお、ハイブリッド車両1に、たとえばトーイングモードのような、エンジン10を常時作動させるモードが備わっている場合には、ECU100は、当該モードのON/OFF状態に従って、エンジン10の作動の要否を判定してもよい。
【0041】
変速レンジとしてDレンジが選択されている場合には、ECU100は、ハイブリッド車両1の運転状態に応じてエンジン10の作動の要否を判定する。ECU100は、たとえば、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量とハイブリッド車両1の速度とに基づいて、ハイブリッド車両1に要求されるパワー(要求パワー)を算出する。ECU100は、たとえば、要求パワーが閾値を超える場合に、エンジン10の作動を要求する。ECU100は、たとえば、要求パワーが閾値を下回る場合に、エンジン10の停止を要求する。
【0042】
次に、油圧回路26の構成について説明する。
図3は、油圧回路26の構成を説明するための図である。油圧回路26は、油圧調整弁50と、第0ソレノイドバルブ56と、第1ソレノイドバルブ57と、第2ソレノイドバルブ58と、第3ソレノイドバルブ59と、第4ソレノイドバルブ60と、第5ソレノイドバルブ61と、第6ソレノイドバルブ62とを含む。
【0043】
EOP27およびMOP28のうちの少なくともいずれかが作動すると、オイルパン54の内部に貯留した作動油がストレーナ52を経由して吸引され、油圧回路26に作動油が吐出される。なお、EOP27は、ECU100からの制御信号M1に基づいて作動する。
【0044】
油圧調整弁50は、EOP27およびMOP28のうちの少なくともいずれかから吐出された作動油の油圧を所定の油圧(ライン圧)に調整する。
【0045】
第0ソレノイドバルブ56、第1ソレノイドバルブ57、第2ソレノイドバルブ58、第3ソレノイドバルブ59、第4ソレノイドバルブ60、第5ソレノイドバルブ61、および第6ソレノイドバルブ62の各々には、油圧調整弁50によって調整された油圧が供給される。
【0046】
第0ソレノイドバルブ56は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SK0に基づく指示圧をK0クラッチ12に供給するように油圧を調整する。
【0047】
第1ソレノイドバルブ57は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL1に基づく指示圧をC1クラッチ14に供給するように油圧を調整する。
【0048】
第2ソレノイドバルブ58は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL2に基づく指示圧をC2クラッチ15に供給するように油圧を調整する。
【0049】
第3ソレノイドバルブ59は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL3に基づく指示圧をC3クラッチ16に供給するように油圧を調整する。
【0050】
第4ソレノイドバルブ60は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL4に基づく指示圧をC4クラッチ17に供給するように油圧を調整する。
【0051】
第5ソレノイドバルブ61は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL5に基づく指示圧をB1ブレーキ18に供給するように油圧を調整する。
【0052】
第6ソレノイドバルブ62は、油圧調整弁50によって調整された油圧を元圧として、ECU100からの制御信号SL6に基づく指示圧をB2ブレーキ19に供給するように油圧を調整する。
【0053】
ECU100には、シフトレバー202の位置を検出するシフトポジションセンサ200が接続される。シフトポジションセンサ200は、シフトレバー202の位置を検出し、検出結果を示す信号SHTをECU100に送信する。
【0054】
ECU100は、シフトポジションセンサ200からの信号SHTに基づいて運転者が選択する変速レンジを特定する。たとえば、運転者がシフトレバー202をDレンジに対応する位置に移動した場合、シフトポジションセンサ200は、Dレンジに対応する信号SHTをECU100に送信する。ECU100は、シフトポジションセンサ200からの信号SHTに基づいて運転者が選択する変速レンジがDレンジであることを特定する。
【0055】
以上のような構成を有するハイブリッド車両1において、変速レンジの変速があった場合には、ECU100は、変速後の変速レンジに応じて自動変速機23のATクラッチの係合状態を切り替える。この場合に、自動変速機23の入力軸が回転している状態で、ATクラッチの係合状態を切り替えると、イナーシャトルクが発生し変速ショックが生じる可能性がある。ATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させてATクラッチの係合状態を切り替えることにより、変速ショックを緩和させることも考えられるが、この場合には、変速の応答性が低下してしまう。特に、変速と同時にアクセルが踏み込まれてエンジン10の作動が必要となるようなケースにおいては、変速の応答性の問題がより顕著となる。具体的には、上記のようなケースにおいては、たとえば、変速の完了後にK0クラッチ12を係合させてエンジン10を始動させる。そのため、変速の応答性が低いと、運転者がアクセルを踏み込んでからエンジンが始動するまでに時間を要し、運転者にヘジテーションを感じさせてしまう可能性がある。そのため、早期に変速を完了させることが望まれる。なお、以下においては、係合要素に供給する油圧を、解放油圧(MIN圧)から係合油圧(MAX圧)に一気に変化させて、係合要素を係合することを「急係合」とも称する。また、以下においては、係合要素に供給する油圧を、係合油圧(MAX圧)から解放油圧(MIN圧)に一気に変化させて係合要素を解放することを「急解放」とも称する。
【0056】
本発明者らは、自動変速機23の入力軸の回転速度を第1回転速度以下にした状態でATクラッチの係合状態を切り替えることにより、変速ショックを低減させることを着想した。第1回転速度は、ATクラッチを急係合した場合でもハイブリッド車両1の搭乗者に違和感を与える程度の変速ショックを発生させない回転速度である。
【0057】
ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードである場合には、エンジン10が停止されており、かつ、K0クラッチ12が解放される。そのため、モータジェネレータ22の回転速度に基づいて自動変速機23の入力軸の回転速度が決まる。モータジェネレータ22の回転速度を制御して、自動変速機23の入力軸の回転速度を第1回転速度以下すれば、ATクラッチを急解放および急係合したとしても、変速ショックの発生を抑制することができる。そのため、ATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させなくてもよいので、変速の応答性を確保することができる。本実施の形態においては、ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードである場合に、ECU100は、変速レンジの変速パターンに応じて、第1制御または第2制御を実行する。以下、変速レンジの変速パターンを示しながら、第1制御および第2制御を説明する。
【0058】
なお、ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードでない場合(本実施の形態においてはHVモードである場合)には、K0クラッチ12が係合されて、エンジン10が作動される。そのため、自動変速機23の入力軸の回転速度は、第1回転速度よりも大きいことが想定される。そこで、ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードでない場合には、ECU100は、ATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させてATクラッチの係合状態を切り替える「通常制御」を実行する。
【0059】
<第1制御>
第1制御は、第1変速パターンの変速があった場合に、ECU100により実行される制御である。第1変速パターンは、NレンジからDレンジへの変速、NレンジからRレンジへの変速、PレンジからDレンジへの変速、およびPレンジからRレンジへの変速を含む。以下では、第1変速パターンの代表として、NレンジからDレンジへの変速があった場合を例にして、第1制御を説明する。なお、第1変速パターンのうち、NレンジからDレンジへの変速以外の変速についても、以下の説明と同様の考え方を適用することができる。
【0060】
NレンジおよびPレンジにおいては、上述のとおり、バッテリ42のSOCに基づいて、エンジン10の作動可否が判断される。ここでは、理解容易化のために、バッテリ42のSOCは所定SOC以上であることを前提として説明する。つまり、NレンジまたはPレンジが選択されている場合には、ECU100は、エンジン10を停止させて、K0クラッチ12を解放する。換言すれば、NレンジまたはPレンジが選択されている場合には、ECU100は、走行モードにEVモードを選択する。
【0061】
図4は、第1制御を説明するためのタイミングチャートである。
図4の横軸には、時間が示されている。
図4の縦軸には、EOP27の回転速度、モータジェネレータ22の回転速度(MG回転速度)、およびATクラッチへの供給油圧が示されている。
【0062】
図4を参照して、時刻t1において、変速レンジがNレンジからDレンジに変速されたものとする。時刻t1以前では、変速レンジがNレンジであるため、エンジン10、モータジェネレータ22およびEOP27は、停止されている。また、K0クラッチ12およびATクラッチは解放されている。なお、本実施の形態においては、変速レンジがNレンジおよびPレンジである場合には、モータジェネレータ22を停止させているため、MOP28も停止している。変速レンジがNレンジおよびPレンジである場合には、モータジェネレータ22を停止させることにより消費エネルギを抑制することができる。また、変速レンジがNレンジおよびPレンジである場合には、EOP27を停止させる。これにより、EOP27の耐久を維持することができる。
【0063】
時刻t1において、ECU100は、変速レンジがNレンジからDレンジに変速されたと判定すると、第1制御を開始する。第1制御において、ECU100は、まず、ATクラッチへ油圧を供給できるようにするために、モータを駆動させてEOP27を回転させる。
【0064】
また、時刻t1において、ECU100は、モータジェネレータ22を作動し、Dレンジにおけるモータジェネレータ22の目標回転速度よりも低い所定回転速度で動作するように制御する。目標回転速度は、たとえば、Dレンジにおいて所望のクリープトルクを発生させるためのモータジェネレータ22の回転速度である。目標回転速度は、DレンジとRレンジとで異なる値を設定することも可能である。所定回転速度は、自動変速機23の入力軸の回転速度を第1回転速度にするための回転速度である。すなわち、所定回転速度は、ATクラッチの急係合により生じる変速ショックを、ハイブリッド車両1の搭乗者に違和感を与えない程度に抑制することができる回転速度である。所定回転速度は、実験、シミュレーション、あるいはハイブリッド車両1の仕様等に基づいて適切に設定することができる。ここで、モータジェネレータ22を作動させるのは、MOP28を作動させるためである。EOP27のみの作動では、ATクラッチの係合状態を切り替えるためのに要する油圧を適切に供給できない可能性がある。EOP27に加えてMOP28を作動させることにより、ATクラッチの係合状態を切り替えるためのに要する油圧を適切に供給することができる。
【0065】
時刻t2において、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にしたまま、Driveクラッチを急係合させる。時刻t1から時刻t2までの時間は、たとえば、EOP27およびMOP28が適切に動作できるようになるまでの時間以上の時間が設定される。
【0066】
時刻t3において、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度に引き上げる。時刻t2から時刻t3までの時間は、たとえば、油圧を供給してからDriveクラッチの係合が完了するまでに要する時間以上の時間に設定される。
【0067】
時刻t4において、ECU100は、第1制御を終了する。具体的には、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度に維持したまま、EOP27を停止させる。
【0068】
上記のように、第1制御では、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にした状態でATクラッチの係合状態が切り替えられる。モータジェネレータ22の回転速度が小さいので、ATクラッチを急係合および急解放させたとしても、変速ショックの発生を抑制することができる。第1制御ではATクラッチを急係合および急解放させることができるため、変速ショックの発生を抑制するためにATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させながらATクラッチを係合および解放する場合(通常制御)と比べ、変速に要する時間を短縮することができる。
【0069】
なお、EOP27の作動により、ATクラッチの係合状態を切り替えるための作動油を油圧回路26に十分供給できる場合には、MOP28を作動させなくてもよい。この場合には、時刻t3までモータジェネレータ22を停止させておくことができる。そのため、モータジェネレータ22の回転速度がゼロである状態、すなわち自動変速機23の入力軸が回転していない状態でATクラッチの係合状態を切り替えることができる。よって、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にした状態でATクラッチの係合状態が切り替える場合と比べて、変速ショックをより低減させることができる。
【0070】
<第2制御>
第2制御は、第2変速パターンの変速があった場合に、ECU100により実行される制御である。第2変速パターンは、DレンジからRレンジへの変速、およびRレンジからDレンジへの変速を含む。以下では、第2変速パターンの代表として、RレンジからDレンジへの変速があった場合を例にして、第2制御を説明する。なお、DレンジからRレンジへの変速についても、以下の説明と同様の考え方を適用することができる。
【0071】
図5は、第2制御を説明するためのタイミングチャートである。
図5の横軸には、時間が示されている。
図5の縦軸には、EOP27の回転速度、モータジェネレータ22の回転速度、およびATクラッチへの供給油圧が示されている。
【0072】
図5を参照して、時刻t10において、変速レンジがRレンジからDレンジに変速されたものとする。時刻t10以前では、ハイブリッド車両1は、Rレンジにおいてクリープトルクにより極低速で後進している。モータジェネレータ22は、Rレンジの目標回転速度で回転している。時刻t11において、変速レンジがRレンジからDレンジに変速される。なお、この場合において、運転者によるアクセル操作はない、あるいはエンジン10に作動を要するまでのアクセル操作はないものとする。
【0073】
時刻t10において、ECU100は、変速レンジがRレンジからDレンジに変速されたと判定すると、第2制御を開始する。第2制御を開始すると、ECU100は、まず、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度に低下させる。また、ECU100は、ATクラッチへ油圧を供給できるようにするために、モータを駆動させてEOP27を回転させる。
【0074】
時刻t11において、モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下する。
【0075】
時刻t12において、ECU100は、Revクラッチのうち、Dレンジを形成するために解放すべきC3クラッチ16を解放する。
図5から認識し得るように、モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度に低下された状態で、C3クラッチ16が解放される。時刻t11から時刻t12までの時間は、たとえば、EOP27を作動させるための制御信号を送信してから、EOP27がライン圧を供給できるようになるまでの時間以上の時間が設定される。
【0076】
時刻t13において、ECU100は、Driveクラッチのうち、未係合であるC1クラッチ14を係合する。
図5から認識し得るように、モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度に低下された状態で、C1クラッチ14が係合される。時刻t12から時刻t13までの時間は、たとえば、油圧をMIN圧にしてからC3クラッチ16の解放が完了するまでに要する時間以上の時間に設定される。
【0077】
時刻t14において、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度からDレンジにおける目標回転速度に上昇させる。時刻t13から時刻t14までの時間は、たとえば、油圧をMAX圧にしてからC1クラッチ14の係合が完了するまでに要する時間以上の時間に設定される。
【0078】
時刻t15において、ECU100は、第2制御を終了させる。具体的には、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度をDレンジにおける目標回転速度に維持したまま、EOP27を停止させる。
【0079】
上記のように、第2制御では、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度に低下させ、モータジェネレータ22の回転速度が小さい状態で、ATクラッチの係合状態が切り替えられる。モータジェネレータ22の回転速度が小さいので、Revクラッチを急解放およびDriveクラッチを急係合させたとしても、変速ショックの発生を抑制することができる。第2制御ではATクラッチを急係合および急解放させることができるため、変速ショックの発生を抑制するためにATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させながらATクラッチを係合および解放する場合と比べ、変速に要する時間を短縮することができる。
【0080】
なお、変速レンジがDレンジからRレンジへ変速される場合には、時刻t12においてC1クラッチ14を解放し、時刻t13においてC3クラッチ16を係合する、という点でRレンジからDレンジへ変速する場合と異なる。その他については、RレンジからDレンジへ変速する場合と同様である。
【0081】
<ECUの機能ブロック>
図6は、ECU100の機能ブロック図である。ECU100は、シフト操作判定部102と、EOP制御部104と、MG制御部106と、油圧制御部108とを含む。なお、これらの構成は、ソフトウェア処理によって実現されてもよいし、ハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0082】
シフト操作判定部102は、シフトポジションセンサ200からの信号SHTに基づいて、選択されている変速レンジを判定する。シフト操作判定部102は、第1変速パターンまたは第2変速パターンに該当する変速があったか否かを判定する。
【0083】
シフト操作判定部102は、第1変速パターンに該当する変速があったと判定した場合には、第1変速パターンに該当する変速があったことを示す信号(以下「第1信号」とも称する)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。第1信号は、第1制御の開始信号の役割を担う。より具体的には、シフト操作判定部102は、NレンジからDレンジへの変速があったと判定した場合には、NレンジからDレンジへの変速があったことを示す信号(第1信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。シフト操作判定部102は、NレンジからRレンジへの変速があったと判定した場合には、NレンジからRレンジへの変速があったことを示す信号(第1信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。シフト操作判定部102は、PレンジからDレンジへの変速があったと判定した場合には、PレンジからDレンジへの変速があったことを示す信号(第1信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。シフト操作判定部102は、PレンジからRレンジへの変速があったと判定した場合には、PレンジからRレンジへの変速があったことを示す信号(第1信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。
【0084】
また、シフト操作判定部102は、第2変速パターンに該当する変速があったと判定した場合には、第2変速パターンに該当する変速があったことを示す信号(以下「第2信号」とも称する)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。第2信号は、第2制御の開始信号の役割を担う。より具体的には、シフト操作判定部102は、RレンジからDレンジへの変速があったと判定した場合には、RレンジからDレンジへの変速があったことを示す信号(第2信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。シフト操作判定部102は、DレンジからRレンジへの変速があったと判定した場合には、DレンジからRレンジへの変速があったことを示す信号(第2信号)をEOP制御部104、MG制御部106および油圧制御部108に出力する。
【0085】
EOP制御部104は、第1信号または第2信号を受信すると、EOP27へ制御信号M1を出力する。これにより、EOP27が作動する。EOP制御部104は、第1制御の終了信号または第2制御の終了信号を受信すると、EOP27を停止させる制御信号M1をEOP27へ出力する。これにより、EOP27が停止する。
【0086】
MG制御部106は、モータジェネレータ22へMG制御信号を出力する。具体的には、MG制御部106は、第1信号を受けた場合には、モータジェネレータ22を作動させ、かつ、モータジェネレータ22を所定回転速度で回転させるためのMG制御信号をモータジェネレータ22に出力する。MG制御部106は、第2信号を受けた場合には、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度に低下させるためのMG制御信号をモータジェネレータ22に出力する。
【0087】
また、MG制御部106は、油圧制御部からATクラッチの係合状態の切り替えが完了したことを示す信号を受けると、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度に引き上げるためのMG制御信号をモータジェネレータ22に出力する。MG制御部106は、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度に制御すると、第1制御または第2制御の終了信号をEOP制御部104に出力する。
【0088】
油圧制御部108は、MG制御部106からモータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にしたことを示す信号を受信すると、第1信号または第2信号に基づいてATクラッチの係合状態を切り替える。具体的には、油圧制御部108は、選択された変速レンジに応じて、SL1~SL6の信号を第1ソレノイドバルブ57~第6ソレノイドバルブ62にそれぞれ出力する。
【0089】
<第1制御の処理の手順>
図7は、第1制御の処理手順を示すフローチャートである。
図7に示すフローチャートは、第1変速パターンに該当する変速があったと判定された場合に、ECU100によって実行される。なお、
図7および後述の
図8から
図10に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、ECU100によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がECU100内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
【0090】
ECU100は、K0クラッチ12が解放されているか否かを判定する(S1)。換言すれば、S1においては、ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードであるか否かを判定する。K0クラッチ12が解放されていると判定すると(S1においてYES)、ECU100は、第1制御を実行する。具体的には、ECU100は、まず、EOP27を作動させる(S3)。また、S3において、ECU100は、EOP27を作動させるとともに、モータジェネレータ22が所定回転速度で回転するように、モータジェネレータ22を制御してもよい。
【0091】
ECU100は、EOP27を作動させてから指定時間が経過したか否かを判定する(S5)。指定時間は、EOP27を起動させるための時間として設定される。指定時間は、たとえば、EOP27を作動させるための制御信号を送信してから、EOP27がライン圧を供給できるようになるまでの時間以上の時間に設定される。たとえば、指定時間は、
図6の時刻t1からt2までの時間に対応する。
【0092】
指定時間が経過していない場合には(S5においてNO)、ECU100は、指定時間の経過を待つ。
【0093】
指定時間が経過した場合には(S5においてYES)、ECU100は、Driveクラッチを係合させる(S7)。
【0094】
そして、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度に上昇させる(S9)。
【0095】
次いで、ECU100は、EOP27を停止させて(S61)、第1制御を終了させる。
【0096】
一方、S1において、K0クラッチ12が解放されていないと判定すると(S1においてNO)、ECU100は、通常制御を実行する。具体的には、ECU100は、Driveクラッチに徐々に油圧を供給して、Driveクラッチを段階的に係合させる(S21)。
【0097】
ECU100は、Driveクラッチに含まれるすべての係合要素のドライブプレートとドリブンプレートとの回転速度が同期したことを判断してから所定時間が経過したか否かを判定する(S23)。
【0098】
所定時間が経過していない場合には(S23においてNO)、ECU100は、所定時間の経過を待つ。所定時間が経過した場合には、(S23においてYES)、ECU100は、処理を終了させる。
【0099】
<第2制御の処理の手順>
図8は、第2制御の処理手順を示すフローチャートである。
図8に示すフローチャートは、第2変速パターンに該当する変速があったと判定された場合に、ECU100によって実行される。
【0100】
ECU100は、K0クラッチ12が解放されているか否かを判定する(S51)。換言すれば、S51においては、ハイブリッド車両1の走行モードがEVモードであるか否かを判定する。K0クラッチ12が解放されていると判定すると(S51においてYES)、ECU100は、車速が閾値以下であるか否かを判定する(S53)。S53の処理は、第2制御の実行により、ショックを発生させてしまう可能性があるか否かを判定するための処理である。運転者によっては、ハイブリッド車両1が完全に停車する前の状態(車速がゼロでない状態)でシフトレバーを操作することがあり得る。ハイブリッド車両1が閾値以上の車速で走行している状態で第2制御を実行してモータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度に低下させると、回転速度の変化に伴なうショックを生じさせてしまう可能性がある。このような場合には、第2制御を実行せずに、通常制御により変速を行なうことが望ましい。閾値は、たとえば、自動変速機23の入力軸の回転速度が第1回転速度になる車速に設定される。
【0101】
車速が閾値以下であると判定すると(S53においてYES)、ECU100は、第2制御を実行する。具体的には、ECU100は、まず、EOP27を作動させる(S55)。
【0102】
次いで、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度まで低下させる(S57)。
【0103】
ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下したか否かを判定する(S59)。モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下していない場合には(S59においてNO)、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下するのを待つ。
【0104】
モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下すると(S59においてYES)、ECU100は、Revクラッチを解放する(S61)。
【0105】
次いで、ECU100は、Driveクラッチを係合する(S63)。ATクラッチの係合状態に切り替え(S61,S63)が完了すると、ECU100は、MG回転速度を目標回転速度に上昇させる。
【0106】
一方、S51において、K0クラッチ12が解放されていないと判定すると(S51においてNO)、ECU100は、通常制御を実行する。また、S53において、車速が閾値以下でないと判定すると(S53においてNO)、ECU100は、通常制御を実行する。具体的には、まず、ECU100は、Revクラッチに供給する油圧を徐々に減少させて、Revクラッチを段階的に解放させる(S71)。
【0107】
次いで、ECU100は、Driveクラッチに徐々に油圧を供給して、Driveクラッチを段階的に係合させる(S73)。
【0108】
なお、S71およびS73の処理においては、第2変速パターンに応じて、切り替えが必要な係合要素だけを解放および係合させてもよい。具体的には、第2変速パターンに応じて、S71においてRevクラッチのうち解放が必要な係合要素だけを解放し、S73においてDriveクラッチのうち未係合の係合要素だけを係合させるようにしてもよい。
【0109】
ECU100は、Driveクラッチに含まれるすべての係合要素のドライブプレートとドリブンプレートとの回転速度が同期したことを判断してから所定時間が経過したか否かを判定する(S75)。
【0110】
所定時間が経過していない場合には(S75においてNO)、ECU100は、所定時間の経過を待つ。所定時間が経過した場合には、(S75においてYES)、ECU100は、処理を終了させる。
【0111】
以上のように、本実施の形態においては、第1変速パターンおよび第2の変速パターンの変速があった場合には、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にした状態でATクラッチの係合状態が切り替えられる。モータジェネレータ22の回転速度が小さいので、ATクラッチを急係合および急解放させたとしても、変速ショックの発生を抑制することができる。そのため、ATクラッチを急係合および急解放させることができるため、ATクラッチの係合状態の切り替えに伴なう変速ショックを抑制するためにATクラッチに供給する油圧を徐々に変化させながらATクラッチを係合および解放する場合(通常制御)と比べ、変速に要する時間を短縮することができる。
【0112】
(変形例)
運転者によっては、変速レンジの変速と同時にアクセルが踏み込まれる場合もあり得る。アクセルの踏み込み量によっては、エンジン10の作動を要する場合があり得る。このような場合には、変速レンジの変速と、エンジン10の作動とを速やかに行なうことが望まれる。
【0113】
変形例に係るハイブリッド車両1においては、第1変速パターンまたは第2変速パターンの変速と同時にエンジン10の作動が必要となった場合には、ECU100は、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度にした状態で、K0クラッチ12を係合させる。そして、ECU100は、ATクラッチの係合状態を切り替えて、モータジェネレータ22の回転速度を目標回転速度まで上昇させる。すなわち、変形例では、第1制御および第2制御においてK0クラッチ12を係合させる。モータジェネレータ22の回転速度が小さい状態、すなわち自動変速機23の入力軸の回転速度が小さい状態でK0クラッチ12を係合させることができるので、K0クラッチ12に係合油圧を一気に供給しても、係合によるショックが発生することを抑制することができる。これにより、変速レンジの変速と、エンジン10の作動とを速やかに行なうことができる。
【0114】
図9は、変形例における第1制御の処理手順を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、
図7のフローチャートに対して、S31およびS33を追加したものである。その他の処理については、
図7のフローチャートと同様であるため、ここではその説明は繰り返さない。
【0115】
K0クラッチ12が解放されていると判定すると(S1においてYES)、ECU100は、第1制御を実行する。ECU100は、EOP27を作動させ(S3)、指定時間の経過を待つ。
【0116】
指定時間が経過すると(S5においてYES)、ECU100は、エンジン10の作動の要否を判定する(S31)。ECU100は、エンジン10の作動が必要であると判定すると(S31においてYES)、K0クラッチ12を係合する(S33)。一方、エンジン10の作動が不要であると判定すると(S31においてNO)、ECU100は、S33の処理をスキップして、処理をS7に進める。
【0117】
図10は、変形例における第2制御の処理手順を示すフローチャートである。図
10のフローチャートは、
図8のフローチャートに対して、S81およびS83を追加したものである。その他の処理については、
図8のフローチャートと同様であるため、ここではその説明は繰り返さない。
【0118】
K0クラッチ12が解放されており(S51においてYES)、かつ、車速が閾値以下であると判定すると(53においてYES)、ECU100は、第2制御を実行する。ECU100は、EOP27を作動させ(S55)、モータジェネレータ22の回転速度を所定回転速度まで低下させる(S57)。
【0119】
モータジェネレータ22の回転速度が所定回転速度まで低下すると(S59においてYES)、ECU100は、エンジン10の作動の要否を判定する(S81)。ECU100は、エンジン10の作動が必要であると判定すると(S81においてYES)、K0クラッチ12を係合する(S83)。一方、エンジン10の作動が不要であると判定すると(S31においてNO)、ECU100は、S83の処理をスキップして、処理をS61に進める。
【0120】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0121】
1 ハイブリッド車両、10 エンジン、12 K0クラッチ、14 C1クラッチ、15 C2クラッチ、16 C3クラッチ、17 C4クラッチ、18 B1ブレーキ、19 B2ブレーキ、22 モータジェネレータ、23 自動変速機、24 トルクコンバータ、24a ポンプインペラー、24b タービンインペラー、24c ステータ、26 油圧回路、27 EOP、28 MOP、40 PCU、42 バッテリ、50 油圧調整弁、52 ストレーナ、54 オイルパン、56 第0ソレノイドバルブ、57 第1ソレノイドバルブ、58 第2ソレノイドバルブ、59 第3ソレノイドバルブ
60 第4ソレノイドバルブ、61 第5ソレノイドバルブ、62 第6ソレノイドバルブ、72 駆動輪、100 ECU、102 シフト操作判定部、104 EOP制御部、106 MG制御部、108 油圧制御部、200 シフトポジションセンサ、202 シフトレバー。