(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-09-04
(45)【発行日】2023-09-12
(54)【発明の名称】収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/10 20060101AFI20230905BHJP
【FI】
B65D5/10 A
(21)【出願番号】P 2020045627
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 典生
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-359285(JP,A)
【文献】特開2003-231519(JP,A)
【文献】特開2009-214891(JP,A)
【文献】特開2008-201445(JP,A)
【文献】特開2007-284063(JP,A)
【文献】米国特許第03655116(US,A)
【文献】特開2005-1718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
B65D 5/42
B65D 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部を構成する壁面部の上端縁に蓋を構成する天面フラップが連設されており、前記天面フラップの横幅方向の一方側の端部に、該一方側に隣り合う天面フラップが被せられることにより、前記蓋が閉じた状態に維持される収納箱であって、
少なくとも1つの天面フラップは、その先端縁に第1切欠き部が形成されており、かつ前記第1切欠き部の両側に、該天面フラップの前記一方側に隣り合う天面フラップが被せられる第1縁部と、前記一方側に隣り合う天面フラップに被せられる第2縁部と、を含み、
前記第1切欠き部が形成された天面フラップの前記一方側に隣り合う天面フラップは、その先端縁に第2切欠き部が形成されており、かつ前記第2切欠き部の両側に、第3縁部と、第4縁部と、を含み、
前記第1切欠き部が形成された天面フラップの下から、前記第2切欠き部が形成された天面フラップを引き上げることで、前記第1縁部に前記第3縁部が被せられるとともに前記第1切欠きと前記第2切欠きが係合可能であり、
前記第1縁部の長さは、前記第2縁部の長さよりも短い又は等し
く、
前記第4縁部の長さは、前記第3縁部の長さよりも短い、ことを特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記第2切欠き部が形成された天面フラップには、前記第2切欠き部の底から前記第3縁部側に少なくともV字形状に延びる折り目が設けられている、ことを特徴とする請求項
1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記第2切欠き部が形成された天面フラップを最初とし、前記第1切欠き部が形成された天面フラップを最後とするように隣り合う前記天面フラップが順番に折り曲げられ、
前記第3縁部が前記第1縁部上に引き上げられることにより前記蓋が形成されている、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘材を使用しなくても蓋をすることができる収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば果物や野菜等の農産物を収納する段ボール箱等の収納箱は、側面となる胴部を構成する4つの壁面部の上端縁に天面フラップが連設されており、4つの天面フラップを内側へ90度折り曲げることで蓋が形成される。対向する一対の天面フラップを折り曲げた後、その上に対向する他の一対の天面フラップを内側へ90度折り曲げることで先端縁同士が突き合うようにして重ね合わせ、重なった部分にステープルを打ち込んだり、他の一対の天面フラップの突き合わせ部にテープを貼り付けたりして、蓋は閉じた状態が維持される。
【0003】
これに対して、ステープルやテープ等の封緘材を使用せずに蓋をすることができる収納箱が提案されている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載の収納箱(天面封緘箱)は、特許文献1の
図3から
図5に示されているように、蓋を構成する一対の内フラップ及び一対の外フラップに対して、内フラップには先端縁の一方の角部寄りに切込溝が形成され、外フラップには先端縁の一方の角部に前記切込溝に挿入して噛み合わせることができる切欠き係合部が形成されている。そして、一対の内フラップを内側へ90度折り曲げ、その上に一対の外フラップを内側へ90度折り曲げて重ねた後、外フラップの下にもぐりこんでいる内フラップの切込溝に隣接した外側縁部を掴んで外フラップ上に引き上げることで、内フラップの切込溝に外フラップの切欠き係合部を挿入する。これにより、内フラップと外フラップとが噛み合うので、蓋は閉じた状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の収納箱において、内フラップの外側縁部を外フラップ上に引き上げる際には、前記外側縁部に被さる外フラップを乗り越える必要がある。しかし、外フラップの内側に突き出る長さが長いと、内フラップの外側縁部を外フラップ上に引き上げ難くなるため、蓋を形成し難い。また、外フラップの切欠き係合部が形成される角部は、内フラップ上に位置し、内フラップが開かないように内フラップを上から抑える。しかし、前記角部の内側に突き出る長さが短いと、前記角部により内フラップを上から抑える力が弱まるため、蓋が開きやすい。よって、特許文献1に記載の収納箱は、上述した点で改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、蓋を形成する作業を容易に行うことができ、蓋を開き難くすることができる収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、胴部を構成する壁面部の上端縁に蓋を構成する天面フラップが連設されており、前記天面フラップの横幅方向の一方側の端部に、該一方側に隣り合う天面フラップが被せられることにより、前記蓋が閉じた状態に維持される収納箱に関する。本発明の収納箱は、少なくとも1つの天面フラップは、その先端縁に第1切欠き部が形成されており、かつ前記第1切欠き部の両側に、該天面フラップの前記一方側に隣り合う天面フラップが被せられる第1縁部と、前記一方側に隣り合う天面フラップに被せられる第2縁部と、を含み、前記第1切欠き部が形成された天面フラップの前記一方側に隣り合う天面フラップは、その先端縁に第2切欠き部が形成されており、かつ前記第2切欠き部の両側に、第3縁部と、第4縁部と、を含み、前記第1切欠き部が形成された天面フラップの下から、前記第2切欠き部が形成された天面フラップを引き上げることで、前記第1縁部に前記第3縁部が被せられるとともに前記第1切欠きと前記第2切欠きが係合可能であり、前記第1縁部の長さは、前記第2縁部の長さよりも短い又は等しいことを特徴とする。
【0008】
本発明の収納箱において好ましくは、前記第4縁部の長さは、前記第3縁部の長さよりも短いことを特徴とするように、構成することができる。
【0009】
また、本発明の収納箱において好ましくは、前記第2切欠き部が形成された天面フラップには、前記第2切欠き部の底から前記第3縁部側に少なくともV字形状に延びる折り目が設けられていることを特徴とするように、構成することができる。
【0010】
また、本発明の収納箱において好ましくは、前記第2切欠き部が形成された天面フラップを最初とし、前記第1切欠き部が形成された天面フラップを最後とするように隣り合う前記天面フラップが順番に折り曲げられ、前記第3縁部が前記第1縁部上に引き上げられることにより前記蓋が形成されていることを特徴とするように、構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の収納箱によれば、蓋を形成する作業を容易に行うことができ、蓋を開き難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る収納箱の斜視図である。
【
図2】
図1に示す収納箱の蓋及び底部が開いた状態の斜視図である。
【
図3】
図1に示す収納箱の蓋が開いた状態の斜視図である。
【
図4】
図1に示す収納箱を組み立てるためのブランクシートの平面図である。
【
図6】
図1に示す収納箱の組立手順を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す収納箱を組み立てるためのブランクシートの一部を拡大して示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である収納箱1を示している。
図2は、
図1に示す収納箱1の蓋4及び底部2が開いた状態を示し、
図3は、
図1に示す収納箱1の底部2が閉じかつ蓋4が開いた状態を示している。
【0014】
収納箱1は、側面となる筒状の胴部3と、胴部3の一方の開口を塞ぐ底部2と、底部2と反対側の蓋4とを備えている。胴部3は、4つの壁面部30~33で構成される。底部2は、4つの壁面部30~33の下端縁に連設された4つの底面フラップ20~23で構成される。蓋4は、4つの壁面部30~33の上端縁に連設された4つの天面フラップ40~43で構成される。蓋4は、天面フラップ40~43の横幅方向の一方側の端部に、この一方側に隣り合う天面フラップ41~43,40が被せられることにより、閉じた状態に維持されている。つまり、天面フラップ40~43は、横幅方向の一方側に隣り合う天面フラップの上に一部が重なり、他方側に隣り合う天面フラップの下に他の一部が重なる状態となる。例えば天面フラップ43は、横幅方向の一方側に隣り合う天面フラップ40の下側に、横幅方向の一方側の端部の少なくとも一部が位置するとともに、横幅方向の他方側に隣り合う天面フラップ42の上側に、横幅方向の他方側の端部の少なくとも一部が位置する。なお、「端部」とは「端」から所定距離内の範囲を指す。
【0015】
収納箱1は、例えば
図4に示すブランクシート10により組み立てることができる。なお、ブランクシート10の形状は、
図4に示す形状に限定されない。ブランクシート10は、例えば厚紙、段ボール紙などの各種公知の紙材料を用いて形成することができる。ブランクシート10は、4つの底面フラップ20~23、4つの壁面部30~33及び4つの天面フラップ40~43の他に、接合片50を含む。
【0016】
底面フラップ20~23及び壁面部30~33は、平面視で矩形状、本実施形態では長方形状である。一対の底面フラップ21,23及び一対の壁面部31,33の横幅W1(
図4に示す)は、他の一対の底面フラップ20,22及び壁面部30,32の横幅W2(
図4に示す)よりも長いが、等しくてもよい。天面フラップ40~43は、平面視で実質的に矩形状、本実施形態では実質的に長方形状である。一対の天面フラップ41,43の横幅W1(
図4に示す)は、他の一対の天面フラップ40,42の横幅W2(
図4に示す)よりも長いが、等しくてもよい。隣り合う2つの天面フラップ40,43には、先端縁に切欠き部60,61や凹み62が形成されている。
【0017】
壁面部30~33は、直線的に並ぶように連設されており、隣り合う壁面部30~33の境目には、折り目L1~L3が設けられている。壁面部30~33は、収納箱1の組み立て時に角筒状をなし、その内側の空間が内容物(例えば果物や野菜等の農産物)の収納空間となる。なお、折り目L1~L3及び後述する折り目L4~L12は、例えばブランクシート10の一方面からブランクシート10の肉厚を圧縮して形成される罫線(折れ線)で構成することができる。
【0018】
壁面部30~33には、それぞれ壁面部30~33を間に挟むようにして対応する底面フラップ20~23及び天面フラップ40~43が連設されている。壁面部30~33と底面フラップ20~23及び天面フラップ40~43との境目(収納箱1の組み立て時には壁面部30~33の下端縁及び上端縁)には、折り目L4~L11が設けられている。また、壁面部30~33のうち、一方の端(
図4では左端)に位置する壁面部33には、壁面部30~33を角筒状とする際に他方の端(
図4では右端)に位置する壁面部32に例えば糊等の接着剤により固着されて壁面部32,33同士を繋ぎ合わせるための接合片50が連設されている。壁面部32及び接合片50の境界部分には、折り目L12が設けられている。
【0019】
底面フラップ20~23は、収納箱1の組み立て時に内側へ90度折り曲げられることで底部2を形成する。底面フラップ20~23は、本実施形態では一対の底面フラップ20,22を内側へ90度折り曲げた後、その上に一対の底面フラップ21,23を内側へ90度折り曲げて重ね合わせることで、底部2を形成する。
【0020】
底面フラップ20~23の横幅と直交する方向の長さ(底面フラップ20~23の先端縁から対応する壁面部30~33との境目までの長さ)であって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さD(
図4に示す)は、幅狭の壁面部30,32の横幅W2の半分の長さ(W2/2)とほぼ等しい。これにより、収納箱1の組み立て時には、底部2は一対の底面フラップ21,23により全面が閉塞される。一対の底面フラップ21,23の境目(突き合せ部分)に例えばテープを貼り付けることで、底部2は閉塞状態が維持される。なお、ステープルや接着剤等のテープ以外の封緘材を用いてもよい。
【0021】
天面フラップ40~43は、収納箱1の組み立て時に内側へ90度折り曲げられることで蓋4を形成する。天面フラップ40~43は、本実施形態では、第2切欠き部61が形成された天面フラップ40から順番に折り曲げられる。具体的には、天面フラップ40~43は、天面フラップ40を内側へ90度折り曲げた後、天面フラップ40と隣り合う2つの天面フラップ41,43のうちの第1切欠き部60が形成された天面フラップ43とは逆側の天面フラップ41の方へ、天面フラップ41、天面フラップ42、天面フラップ43の順に内側へ90度折り曲げることで、蓋4を形成する。
【0022】
天面フラップ40~43の横幅と直交する方向の長さ(天面フラップ40~43の先端縁から対応する壁面部30~33との境目までの長さ)であって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さd(
図4に示す)は、幅狭の壁面部20,22の横幅W2の半分の長さ(W2/2)よりも短い。これにより、収納箱1の組み立て時には、蓋4は中央に開口が形成される。
【0023】
図1及び
図4に示すように、蓋4を構成する天面フラップ40~43には、テープやステープル、接着剤等の封緘材を用いることなく蓋4を閉じた状態に維持するためのロック機構が形成されている。
【0024】
具体的にロック機構として、本実施形態では、1つの天面フラップ43の先端縁に第1切欠き部60が形成されている。第1切欠き部60は、天面フラップ43の先端縁から対応する壁面部33との境目(天面フラップ43の基端縁)に向かって延びており、略V字状をなしている。なお、第1切欠き部60の形状は略U字状等であってもよく、限定されない。第1切欠き部60は、天面フラップ43の先端縁において、横幅方向中央よりも一方の端側(
図4では右端側)に位置している。
【0025】
第1切欠き部60が形成された天面フラップ43において、第1切欠き部60の両側の部分は第1縁部70と第2縁部71とを構成する。第1縁部70は第1切欠き部60よりも横幅方向中央側の部分であり、収納箱1の組み立て時に天面フラップ43と隣り合う天面フラップ40の一部(後述する第3縁部72)が乗り越えることで、天面フラップ40が被せられて天面フラップ40の下側に位置する部分である。第2縁部71は第1切欠き部60よりも横幅方向中央側とは反対側(天面フラップ40側)の部分であり、収納箱1の組み立て時に天面フラップ43と隣り合う天面フラップ40に被せられて天面フラップ40の上側に位置する部分である。
【0026】
第1縁部70は、その先端縁から天面フラップ43の基端縁までの長さであって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さd1(
図5に示す)が、第2縁部71の先端縁から天面フラップ43の基端縁までの長さであって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さd2(
図5に示す)よりも短い又は等しく、本実施形態では等しい。なお、第2縁部71の該長さd2は、本実施形態では天面フラップ43の他の部分及び他の天面フラップ41,42の該長さdと等しい。
【0027】
またロック機構として、本実施形態では、他の天面フラップ40~42のうち、収納箱1の組み立て時に第1切欠き部60が形成された天面フラップ43と隣り合う天面フラップ40,42であって第1切欠き部60に近い方の天面フラップ40の先端縁には、第1切欠き部60と係合可能な第2切欠き部61が形成されている。第2切欠き部61は、天面フラップ40の先端縁から対応する壁面部30との境目(天面フラップ40の基端縁)に向かって延びており、略V字状をなしている。なお、第2切欠き部61の形状は略U字状等であってもよく、限定されない。第2切欠き部61は、天面フラップ40の先端縁において、横幅方向中央よりも天面フラップ43に近い側の端(
図4では左端側)に位置している。
【0028】
第2切欠き部61が形成された天面フラップ40において、第2切欠き部61の両側の部分は第3縁部72と第4縁部73とを構成する。第3縁部72は第2切欠き部61よりも横幅方向中央側の部分であり、収納箱1の組み立て時に第1切欠き部60が形成された天面フラップ43の下から引き上げられることで、天面フラップ43の第1縁部70に被せられて天面フラップ43の上側に位置する部分である。第4縁部73は第2切欠き部61よりも横幅方向中央側とは反対側(天面フラップ43側)の部分であり、収納箱1の組み立て時に第1切欠き部60が形成された天面フラップ43が被せられて天面フラップ43の下側に位置する部分である。
【0029】
第4縁部73は、その先端縁から天面フラップ40の基端縁までの長さであって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さd4(
図5に示す)が、第3縁部72の先端縁から天面フラップ40の基端縁までの長さであって収納箱1の組み立て時に内側に突き出る長さd3(
図5に示す)よりも短い。なお、第3縁部72の該長さd1は、本実施形態では天面フラップ40の他の部分及び他の天面フラップ41,42の該長さdと等しい。
【0030】
天面フラップ40の先端縁には、幅方向中央よりも第2切欠き部61側(
図4では右側)に半円状の凹み62が形成されている。凹み62は、ユーザの少なくとも1本の指を差し込むことが可能な大きさであり、凹み62にユーザが指を差し込むことで、第3縁部72を引き上げ易くなっている。凹み62は、収納箱1の組み立て時に第1切欠き部60が形成された天面フラップ43の先端縁(第1縁部70の先端縁)の近傍に位置している。なお、凹み62の形状は、必ずしも半円状である必要はなく、種々の形状とすることができる。
【0031】
天面フラップ40には、第2切欠き部61の底から横幅方向中央側(第3縁部72側であって
図4では右側)に少なくともV字状に延びる折り目L13が設けられている。つまり、折り目L13は、第2切欠き部61の底から、天面フラップ40の基端縁に向かって第4縁部73から離れる方向に斜めに延びかつ天面フラップ40の基端縁又はその近傍から先端縁に向かって第4縁部73から離れる方向に斜めに延びている。なお、折り目L13は、必ずしもV字状である必要はなく、逆N字状又はW字状等であってもよいが、その終端が横幅方向において凹み62を越えた位置にあることが好ましい。折り目L13は、例えばブランクシート10の肉厚を圧縮する罫線(折れ線)、又は、ミシン線やハーフカット線等の切込線で形成することができる。
【0032】
次に、
図4に示すブランクシート10を用いて
図1に示す収納箱1を組み立てる手順について説明する。まず、4つの壁面部30~33を折り目L1~L3で折り曲げて角筒状とし、壁面部33に連設された接合片50を折り目L12で90度折り曲げて壁面部32の内面に接着剤等を用いて貼り付けることで、
図2に示す状態とする。なお、収納箱1は、図示は省略するが胴部3が扁平な状態でユーザに供給される。
【0033】
次に、底部2を形成するために、対向する一対の底面フラップ20,22を内側へ90度折り曲げてから、その上に対向する他の一対の底面フラップ21,23を内側へ90度折り曲げて重ね合わせる。そして、一対の底面フラップ21,23の境目(突き合せ部分)に例えばテープを貼り付けることで、
図3に示す状態とする。これにより、底部2が閉塞状態に維持され、底組みが完成する。
【0034】
次に、蓋4を形成するために、
図6(A)~(C)に示すように、まず天面フラップ40~43を、第2切欠き部61が形成された天面フラップ60を最初とし、第1切欠き部60が形成された天面フラップ43を最後となるように、隣り合う天面フラップ40~43を、天面フラップ40、天面フラップ41、天面フラップ42、天面フラップ43の順番に内側へ90度折り曲げる。これにより、天面フラップ40~42には、横幅方向の一方側の端部に、この一方側に隣り合う天面フラップ41~43が被せられる。
【0035】
次に、
図6(D)に示すように、第1切欠き部60が形成された天面フラップ43を一方の手で上から押さえ、第2切欠き部61が形成された天面フラップ40の凹み62に他方の手の指を差し込みながら天面フラップ40を持ち上げることで、天面フラップ40の第3縁部72を天面フラップ43の第1縁部70の下から上に引き上げる。このとき、天面フラップ40にはV字状に延びる折り目L13が凹み62を跨ぐように形成されているので、
図6(E)に示すように、天面フラップ40を持ち上げた際に天面フラップ40は第3縁部72側が上に凸の形で湾曲する、例えば略く字状に変形することから、天面フラップ40の第3縁部72は天面フラップ43の第1縁部70を容易に乗り越えることができる。これにより、天面フラップ43には、
図6(F)に示すように、第1縁部70に天面フラップ40の第3縁部72が被せられるとともに、第1切欠き部60に天面フラップ40の第2切欠き61が係合する。また、天面フラップ43の第2縁部71が天面フラップ40に被せられる。これにより、
図1に示す状態となり、中央に開口を有する蓋4が形作られる。
【0036】
以上の通り、上述した本実施形態の収納箱1では、天面フラップ40~43が順番に内側へ折り曲げられるとともに、最初に折り曲げた天面フラップ40の第3縁部72を最後に折り曲げた天面フラップ40の第1縁部70上に引き上げることで、天面フラップ40~43は互いにロックされた状態で環状に連結されるので、蓋4は閉じた状態に維持される。よって、テープやステープル、接着剤等の封緘材を用いなくとも蓋をすることができる。
【0037】
また本実施形態の収納箱1では、天面フラップ43の第1縁部70の長さd1が第2縁部71の長さd2よりも短い又は等しい。天面フラップ43の第1縁部70が収納箱1の組立時に内側に突き出る長さd1が長いと、第1縁部70上に天面フラップ40の第3縁部72を引き上げる際に第1縁部70が干渉して第3縁部72の引き上げの妨げになる。これに対して、第1縁部70の長さd1が第2縁部71の長さd2よりも短い又は等しいことで、第1縁部70が第3縁部72の引き上げ時の妨げになることが抑制されるので、第3縁部72の引き上げが容易となる。よって、蓋4を形成する作業を容易に行うことができる。
【0038】
一方で、天面フラップ43の第2縁部71は、天面フラップ40上に位置して天面フラップ40が開かないように上から抑えるが、第2縁部71が収納箱1の組立時に内側に突き出る長さd2が短いと、天面フラップ40を上から抑える力が弱まる。これに対して、第2縁部71の長さd2が第1縁部70の長さd2よりも長い又は等しいことで、第2縁部71により良好に天面フラップ40を開かないように上から抑えることができる。よって、蓋4を開き難くすることができる。
【0039】
また本実施形態の収納箱1では、天面フラップ40の第2切欠き部61の底から第3縁部72側に少なくともV字状に延びる折り目L13が設けられているので、天面フラップ40の第3縁部72を引き上げる際に天面フラップ40が例えば略く字状等の上に凸の形で変形する。これにより、天面フラップ40の第3縁部72の引き上げ時に第3縁部72が第1縁部70を乗り越え易くなるので、第3縁部72の引き上げが容易となる。よって、蓋4を形作る作業を容易に行うことができる。
【0040】
また本実施形態の収納箱1では、天面フラップ40の第4縁部73の長さd4が第3縁部72の長さd3よりも短い。これにより、天面フラップ40の第3縁部72を天面フラップ43の第1縁部70の下から上に引き上げる際の第1縁部70による抵抗が弱まる。この第3縁部72を引き上げる際の第1縁部70による抵抗が強すぎると、力が集中する第2切欠き部61から天面フラップ40が裂けるおそれがある。第4縁部73の長さd4を適切な長さとすることで蓋4を形成しやすくなり、蓋4の形成時に天面フラップ40が第2切欠き部61から裂けることを防止することができる。
【0041】
また本実施形態の収納箱1では、第1切欠き部60が天面フラップ43のみに形成されかつ第2切欠き部61が天面フラップ40のみに形成されており、隣り合う天面フラップ40~43を天面フラップ40、天面フラップ41、天面フラップ42、天面フラップ43の順番に内側へ折り曲げるとともに、最初に折り曲げた天面フラップ40の第3縁部72を最後に折り曲げた天面フラップ43の第1縁部70上に引き上げることにより、蓋4を形成できる。よって、蓋4を閉じる作業を容易に行うことができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0043】
例えば一変形例として、上述した実施形態においては、第1切欠き部60が天面フラップ43のみに形成されかつ第2切欠き61が天面フラップ40のみに形成されているが、第1切欠き部60が天面フラップ43に相対する天面フラップ41にも形成されかつ第2切欠き部61が天面フラップ40に相対する天面フラップ42にも形成されていてもよい。この変形例では、第2切欠き部61が形成された一対の天面フラップ40,42を内側へ90度折り曲げた後、その上に第1切欠き部60が形成された一対の天面フラップ41,43を内側へ90度折り曲げて重ね合わせ、一対の天面フラップ40,42の第3縁部72を一対の天面フラップ41,43の第1縁部70上にそれぞれ引き上げて、さらに第2切欠き61を第1切欠き60に係合させることで、蓋4が形成される。
【0044】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、幅狭の天面フラップ40,42に第2切欠き部61が形成され、幅広の天面フラップ41,43に第1切欠き部60が形成されているが、その逆であってもよい。
【0045】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、第1切欠き部60が形成された天面フラップ43の第1縁部70の長さd1は、第2縁部71の長さd2と等しいが、
図7及び
図8に示すように、第1縁部70の長さd1が第2縁部71の長さd2よりも短くてもよい。この変形例では、第2切欠き部61が形成された天面フラップ40の第3縁部72の引き上げ時に第1縁部70が妨げになることがより効果的に抑制されるので、第3縁部72の引き上げをさらに容易に行うことができる。
【0046】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、第1切欠き部60が形成された天面フラップ43の第2縁部71の長さd2が天面フラップ43の他の部分及び他の天面フラップ41,42の長さdと等しいが、該長さdより長くてもよい。この変形例では、より効果的に第2縁部71によって第2切欠き61が形成された天面フラップ40を開かないように上から抑えることができる。
【0047】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、第2切欠き部61が形成された天面フラップ40の第4縁部73の長さd4が第3縁部72の長さd3よりも短いが、等しくてもよい。
【0048】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、第2切欠き部61が形成された天面フラップ40の第3縁部72の長さd3が天面フラップ40の他の部分及び他の天面フラップ41,42の長さdと等しいが、該長さdより長くてもよい。この変形例では、第3縁部72によって良好に第1切欠き部60が形成された天面フラップ43を開かないように上から抑えることができる。
【0049】
他の変形例として、上述した実施形態及び変形例においては、4つの壁面部30~33で収納箱1の胴部3を構成しているが、胴部3を構成する壁面部の数は3つ以上であればよく、蓋4を構成する天面フラップの数も壁面部の数に応じて3つ以上であればよい。
【0050】
他の変形例として、底部2を構成する底面フラップ20~23の形状は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、例えばアメリカンロックやワンタッチ底と呼ばれる従来から公知の底組み構造を採用可能な形状であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 収納箱
2 底部
3 胴部
4 蓋
30 壁面部
31 壁面部
32 壁面部
33 壁面部
40 第2切欠き部が形成された天面フラップ
41 天面フラップ
42 天面フラップ
43 第1切欠き部が形成された天面フラップ
60 第1切欠き部
61 第2切欠き部
70 第1縁部
71 第2縁部
72 第3縁部
73 第4縁部
L13 折り目